JP2016518810A - 新規なバクテリオファージ及びこれを含む抗菌組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、新規なバクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)に関する。【解決手段】本発明は、前記バクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)を有効成分として含む抗菌組成物に関する。また、本発明は、前記バクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)又はこれを有効成分として含む前記抗菌組成物を用いてヒトを除いた動物のクロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病を予防及び/又は治療する方法に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、病原性クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)に特異的な死滅効果を奏する新規なバクテリオファージ及びこれを含む抗菌組成物に関する。また、本発明は、前記新規なバクテリオファージ又は前記抗菌組成物を用いて動物の疾病を予防又は治療する方法に関する。
クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens、CP)は、グラム陽性の大型偏性嫌気性桿菌であって、鞭毛がなく、芽胞を形成する菌として知られている。クロストリジウム・パーフリンジェンスは、動物、特に、鶏、豚などを始めとした家畜において下痢などを誘発する菌であって、サルモネラによる家禽チフスに劣らず、畜産業において重要且つ致命的な病原菌の一つとして認識されている。
現在、養鶏及び養豚産業において最も頻繁に発病する疾病の一つとして、クロストリジウム・パーフリンジェンスによる壊死性腸炎(Necrotic Enteritis)を挙げることができる。壊死性腸炎は、クロストリジウム感染とコクシジウム(Coccidium)感染との併発によって病症を示す場合が多いものと把握されており、前記壊死性腸炎の主な症状としては、鶏や豚などの小腸の下部に激しい壊死性病変を誘発し、血液が混じった下痢が排出される症状を挙げることができる。
このような壊死性腸炎は、その発病程度によって感染動物に脱水症状、間欠的下痢症状などを起こし、徐々に動物の身体を衰弱させ、成長障害を誘発するなど、畜産業において非常に問題となっている疾病である。さらに、壊死性腸炎の原因となるクロストリジウム・パーフリンジェンスは、動物の糞便を通じて容易に伝播するので、土壌や汚染した飼料を通じた経口感染などによって共同飼育空間内の動物間で容易に伝染し、特に、幼い家畜の発病率が高いのでさらに問題となっている。
一方、バクテリオファージ(bacteriophage)は、特定の細菌に感染し、細菌の成長を抑制・阻害する細菌特異的ウイルスを意味する。バクテリオファージは、抗生剤に比べて宿主特異性が強いだけでなく、最近、抗生剤の使用に対する耐性菌出現の問題が深刻になるにつれて、その活用に対する関心が高まっている(非特許文献1及び2)。
そこで、世界各国でバクテリオファージに対する研究が活発に進められており、バクテリオファージに対する特許出願はもちろん、これを活用した組成物に対して米国食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)の承認などを取得しようとする動きが増加している趨勢である。
バクテリオファージに関する先行技術として、特許文献1では、クロストリジウム・パーフリンジェンスに特異的な死滅効果を有するバクテリオファージについて開示しており、特許文献2では、黄色ブドウ球菌に特異的な死滅効果を有するバクテリオファージについて開示している。また、特許文献3では、細菌細胞膜のペプチドグリカン構造物を特異的に破壊させるバクテリオファージ由来の溶菌タンパク質及びこれによる細菌破砕物について開示している。
しかし、前記のような各先行技術の存在にもかかわらず、養鶏及び養豚を始めとする畜産業において重要な問題となっているクロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病、特に、壊死性腸炎を予防及び/又は治療するためのバクテリオファージに関する先行技術は依然として足りていない実情にあり、従って、このようなバクテリオファージ及びその関連技術の開発が要求されている。
韓国公開特許第10−2012−0076710号公報 韓国特許第10−0910961号公報 韓国公開特許第10−2009―0021475号公報
Cislo、Mら、Arch Immunol.Ther.Exp.2:175−183、1987 キム・ソンフンら、バクテリオファージ、新たな代替抗生剤、BioWave Vol.7 No.15、2005、BRIC
本発明者らは、抗生剤の使用による耐性菌の出現及び抗生剤の肉類内残留問題などを解決し、クロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病を効率的に予防及び治療するために研究を重ねた結果、クロストリジウム・パーフリンジェンスに対して特異的な死滅効果を有する新規なバクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)を自然界から分離するに至った。
また、前記新規なバクテリオファージの形態的、生化学的、遺伝子的特性を同定し、前記バクテリオファージが耐酸性、耐熱性及び耐乾性などに優れることを確認し、これを活用した抗生剤、消毒剤、飼料添加剤、その他組成物を開発し、さらに、クロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病の予防又は治療のための組成物及びこれを用いた疾病の予防又は治療方法を開発した。
本発明は、クロストリジウム・パーフリンジェンスに特異的な死滅効果を有する新規なバクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記バクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)を有効成分として含むクロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病の予防及び/又は治療用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記バクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)を有効成分として含む抗生剤、飼料添加剤、飲用水添加剤、消毒剤又は洗浄剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記バクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)又はこれを有効成分として含む組成物を用いて、ヒトを除いた動物のクロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病を予防及び/又は治療する方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、クロストリジウム・パーフリンジェンスに特異的な死滅効果を有する新規なバクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)を提供する。
本発明のさらに他の一態様によると、前記バクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)を有効成分として含むクロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病の予防又は治療用組成物を提供する。
本発明のさらに他の一態様によると、前記バクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)を有効成分として含む抗生剤、飼料添加剤、飲用水添加剤、消毒剤又は洗浄剤を提供する。
本発明のさらに他の一態様によると、前記バクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)又はこれを有効成分として含む組成物を、ヒトを除いた動物に投与する段階を含むクロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病を予防又は治療する方法を提供する。
本発明のバクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)は、クロストリジウム・パーフリンジェンスを特異的に死滅させるという効果を有する。
また、本発明の前記バクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)は、耐酸性、耐熱性及び耐乾性に優れ、多様な温度範囲やpH範囲、水分条件などでクロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病の予防又は治療用物質として活用できるだけでなく、抗生剤、飼料添加剤、飲用水添加剤、消毒剤及び洗浄剤などとして活用できるという効果を有する。
また、本発明は、前記バクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)又はこれを有効成分として含む組成物を、ヒトを除いた動物に投与することによって、クロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病を予防又は治療できるという効果を有する。
新規なバクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)(以下、「ΦCJ21」ともいう)の電子顕微鏡写真である。 新規なバクテリオファージΦCJ21のPFGE結果を示した図である。 新規なバクテリオファージΦCJ21のSDS−PAGE結果を示した図である。 新規なバクテリオファージΦCJ21の耐酸性実験結果を示したグラフである。 新規なバクテリオファージΦCJ21の耐熱性実験結果を示したグラフである。 新規なバクテリオファージΦCJ21の耐乾性実験結果を示したグラフである。
以下、本発明についてより詳細に説明する。本明細書に記載されていない内容は、当該技術分野又は類似分野の当業者であれば十分に認識して類推できるものであるので、それについての説明は省略する。
具体的に、本発明の一態様は、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens、CP)に特異的な死滅効果を有する新規なバクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)を提供する。
クロストリジウム・パーフリンジェンスは、グラム陽性の大型偏性嫌気性桿菌であって、鞭毛がなく、芽胞を形成するものと知られている。クロストリジウム・パーフリンジェンスは、動物、特に、鶏、豚などを始めとした家畜において下痢などを誘発する菌であって、サルモネラによる家禽チフスに劣らず、畜産業において危険且つ致命的な病原菌の一つとして認識されている。
バクテリオファージ(bacteriophage)は、特定の細菌に感染し、当該細菌の成長を抑制・阻害する細菌特異的ウイルスであって、単一あるいは二重鎖のDNA(Deoxyribonucleic acid)又はRNA(Ribonucleic acid)を遺伝物質として含むウイルスを意味する。
本発明のバクテリオファージΦCJ21は、クロストリジウム・パーフリンジェンスに選択的に感染する種特異性を有するバクテリオファージであって、正二十面体の頭部(isometric capsid)及び収縮性の尾部(contractile tail)を有さない、形態学上、シホウイルス(Siphoviridae)に属するバクテリオファージである(図1)。バクテリオファージΦCJ21の塩基配列と別のバクテリオファージの塩基配列解読との相同性を比較した結果は、[表1]の通りである。バクテリオファージΦCJ21の耐酸性においては、pH4.0からpH9.8まで活性を失わずに安定的であり(図4)、耐熱性においては、60℃で2時間暴露したときまでは活性を失わなかった(図5)。耐乾性においては、バクテリオファージΦCJ21の力価は乾燥後に約1/10程度に減少した(図6)。バクテリオファージΦCJ21のDNA塩基配列は、配列リスト上の配列番号1と同じである。
前記バクテリオファージΦCJ21は、本発明者らが新規に分離したバクテリオファージであって、2013年1月30日付で韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、ソウル市西大門区弘済1洞361−221)に寄託番号KCCM11363Pで寄託した。
本発明のさらに他の一態様によると、前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含むクロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病の予防又は治療用組成物を提供する。前記組成物の好ましい一例として、抗生剤を提供する。
前記バクテリオファージΦCJ21は、クロストリジウム・パーフリンジェンスを特異的に死滅させ得る抗菌活性を示すので、クロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染で誘発される各疾病を予防又は治療するための目的で用いることができる。前記バクテリオファージΦCJ21を用いて治療可能なクロストリジウム・パーフリンジェンス感染性疾病の例として、好ましくは、壊死性腸炎(Necrotic Enteritis)を挙げることができるが、これに制限されることはない。
壊死性腸炎は、クロストリジウム・パーフリンジェンスによって誘発される主な感染性疾病の一つであって、家畜、特に、肉鶏において最も頻繁に発病し、相当な被害を与える細菌性疾病に該当する。前記疾病は、ほとんど全ての年齢の鶏群で発病し得るが、平飼い鶏舎で飼育される肉鶏(2週齢〜5週齢)で主に発病し、ケージ(cage)で飼育される産卵鶏(12週齢〜16週齢)でも頻繁に発病する。
壊死性腸炎の症状は、小腸でクロストリジウム・パーフリンジェンスが過度に増殖しながら現れるようになり、消化器粘膜壊死、急な下痢などを誘発する。例えば、養豚において、甚急性壊死性腸炎の場合は、発病してから1日〜2日経過した後に斃死を起こし、急性壊死性腸炎の場合は、血液が混じった下痢を排出してから2日〜3日経過した後に斃死を起こす。また、亜急性壊死性腸炎の場合は、下痢(血便はない)が5日〜7日間継続してから衰弱及び脱水症状を起こし、慢性壊死性腸炎の場合は、間欠的下痢を誘発し、成長障害を起こし得る。
本発明で使用される「予防」という用語は、前記バクテリオファージΦCJ21及び/又は前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含む組成物を、ヒトを除いた動物に提供し、前記疾病を抑制したり、発病を遅延させたりする全ての行為を意味する。
本発明で使用される「治療」という用語は、前記バクテリオファージΦCJ21及び/又は前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含む組成物を、ヒトを除いた動物に提供し、既に感染した前記疾病の症状を好転又は改善させる全ての行為を意味する。
本発明の前記バクテリオファージΦCJ21及び/又は前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含む組成物を適用できるクロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病の例としては、好ましくは壊死性腸炎を挙げることができるが、これに制限されることではない。
本発明の前記クロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病の予防又は治療用組成物は、前記バクテリオファージΦCJ21を含有し、前記バクテリオファージΦCJ21の含有量は、5×102pfu/ml〜5×1012pfu/mlであることが好ましく、1×106pfu/ml〜1×1010pfu/mlであることがより好ましい。
本発明の前記クロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病の予防又は治療用組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含むことができ、前記担体と共に製剤化され、食品、医薬品、飼料添加剤及び飲用水添加剤などとして提供され得る。本発明で使用される「薬学的に許容可能な担体」という用語は、生物体を刺激せず、投与化合物の生物学的活性及び特性を阻害しない担体又は希釈剤を意味する。
本発明に使用可能な前記担体の種類は、特に制限されることはなく、当該技術分野で通常的に使用され、薬学的に許容される担体であればいずれも使用可能である。前記担体の非制限的な例としては、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノールなどを挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
また、必要に応じて、抗酸化剤、緩衝液及び/又は静菌剤などの他の通常の添加剤を添加して使用してもよく、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び/又は潤滑剤などを付加的に添加し、水溶液、懸濁液、乳濁液などの注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒又は錠剤などに製剤化して使用してもよい。
本発明の前記クロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病の予防又は治療用組成物の投与方式は、特に制限されることはなく、当該技術分野で通常的に使用する方式に従うことができる。前記投与方式の非制限的な例として、組成物の経口投与又は非経口投与方式を挙げることができる。
前記経口投与用の剤形の非制限的な例としては、トローチ剤(troches)、ローゼンジ(lozenge)、錠剤、水溶性懸濁液、油性懸濁液、調製粉末、顆粒、エマルジョン、ハードカプセル、ソフトカプセル、シロップ又はエリキシル剤などを挙げることができる。
本発明の組成物を錠剤又はカプセルなどの剤形に製剤化するために、ラクトース、サッカロース(Saccharose)、ソルビトール(Sorbitol)、マンニトール(Mannitol)、澱粉、アミロペクチン(Amylopectin)、セルロース(Cellulose)又はゼラチン(Gelatin)などの結合剤;第二リン酸カルシウム (dicalcium phosphate)などの賦形剤;コーンスターチ又はサツマイモ澱粉などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate)、ステアリン酸カルシウム(calcium stearate)、フマル酸ステアリルナトリウム(sodium stearyl fumarate)又はポリエチレングリコールワックス(polyethylene glycol wax)などの潤滑油などを含んでもよく、カプセル剤形の場合、前記した物質以外にも、脂肪油などの液体担体などをさらに含有してもよい。
本発明の組成物の非経口投与方法としては、例えば、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与又は局部投与などを用いてもよく、前記組成物を疾患部位に塗布又は噴霧する方法を用いてもよいが、これらに制限されることはない。
前記非経口投与方法のための剤形は、例えば、皮下注射、静脈注射又は筋肉内注射などの注射用形態;坐剤注入方式;又は呼吸器を通じて吸入を可能にするエアロゾル剤などのスプレー用に製剤化してもよいが、これらに制限されることではない。前記注射用剤形に製剤化するためには、本発明の組成物を安定剤又は緩衝剤と共に水で混合することによって溶液又は懸濁液を製造し、これをアンプル(ampoule)又はバイアル(vial)の単位投与用に製剤化してもよい。前記エアロゾル剤などのスプレー用に剤形化する場合、水分散された濃縮物又は湿潤粉末が分散するように推進剤などが添加剤と共に配合されてもよい。
本発明の前記クロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病の予防又は治療用組成物の適切な塗布、噴霧又は投与量は、前記組成物の製剤化方法、投与方式、投与時間及び/又は投与経路はもちろん、投与対象となる動物の年齢、体重、性別、疾病症状の程度、摂取する食物、排泄速度などの各要因によって多様化することができ、通常、熟練した獣医であれば、目的とする治療に効果的な投与量を容易に決定して処方することができる。
本発明のさらに他の一態様によると、前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含む抗生剤を提供する。
本発明に使用される「抗生剤」という用語は、薬剤の形態でヒトを含む動物に提供され、菌を死滅させ得る効能を有する製剤を意味し、防腐剤、殺菌剤及び抗菌剤を総称する概念に該当する。
本発明の前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含む抗生剤は、従来の抗生剤に比べてクロストリジウム・パーフリンジェンスに対する特異性が非常に高いので、有益菌は死滅させず、特定の病原菌のみを死滅させることができ、薬物耐性を誘導しないので、従来の抗生剤に比べて製品寿命が延長された新規抗生剤として提供できるという利点を有する。
本発明のさらに他の一態様によると、前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含む飼料添加剤又は飲用水添加剤を提供する。
本発明の前記飼料添加剤又は飲用水添加剤は、前記バクテリオファージΦCJ21又はこれを含む組成物を飼料添加剤又は飲用水添加剤の形態で別途製造し、これを飼料又は飲用水に混合させる方式で使用してもよく、前記バクテリオファージΦCJ21又はこれを含む組成物を飼料又は飲用水の製造時に直接添加する方式で使用してもよい。
本発明の前記飼料添加剤又は飲用水添加剤として使用される前記バクテリオファージΦCJ21又は前記バクテリオファージΦCJ21を含む組成物は、液状又は乾燥状態であってもよく、乾燥した粉末の形態であることが好ましい。
本発明の前記飼料添加剤又は飲用水添加剤を乾燥した粉末の形態で製造するための乾燥方法は、特に制限されることはなく、当該技術分野で通常的に使用する方法に従うことができる。前記乾燥方法の非制限的な例としては、通風乾燥、自然乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥などを挙げることができる。これらは、単独で使用されてもよく、2種以上の方法を共に用いる方式で行われてもよい。
本発明の前記飼料添加剤又は飲用水添加剤には、非病原性の他の微生物がさらに添加されてもよい。添加され得る前記微生物の非制限的な例としては、タンパク質分解酵素、脂質分解酵素及び/又は糖転移酵素を生産できるバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)などの枯草菌;牛の胃などの嫌気的条件で生理活性及び有機物分解能を有するラクトバチルス菌株(Lactobacillus sp.);家畜の体重を増加させ、牛乳の産乳量を増加させ、飼料の消化吸収率を高める効果を有するアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)などの糸状菌;及びサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などの酵母からなる群を挙げることができる。これらは、単独で使用されてもよく、2種以上を混合して使用されてもよい。
本発明の前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含む飼料添加剤又は飲用水添加剤は、必要に応じてその他の添加剤をさらに含んでもよい。使用可能な前記添加剤の非制限的な例としては、飼料又は飲用水の品質低下を防止するために添加する結着剤、乳化剤、保存剤など;飼料又は飲用水の効用増大のために添加するアミノ酸剤、ビタミン剤、酵素剤、生菌剤、香味剤、非タンパク質態窒素化合物、ケイ酸塩剤、緩衝剤、着色剤、抽出剤又はオリゴ糖などがあり、その他に、飼料混合剤などをさらに含んでもよい。これらは、単独で使用されてもよく、2種以上が共に添加されてもよい。
本発明の前記飼料添加剤は、飼料100重量部に対して、0.05重量部〜10重量部で含有されることが好ましく、0.1重量部〜2重量部で含有されることがより好ましい。本発明の前記飲用水添加剤は、飲用水100重量部に対して、0.0001重量部〜0.01重量部で含有されることが好ましく、0.001重量部〜0.005重量部で含有されることがより好ましい。前記範囲内で、クロストリジウム・パーフリンジェンスに対するバクテリオファージΦCJ21の活性が十分に発揮されるという利点がある。
本発明のさらに他の一態様によると、前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含む飼料添加剤又は飲用水添加剤を添加するか、前記バクテリオファージΦCJ21を直接添加することによって製造された飼料又は飲用水を提供する。
本発明で使用される飼料は、特に制限されることはなく、当該技術分野で通常的に使用される飼料であってもよい。前記飼料の非制限的な例としては、穀物類、根果類、食品加工副産物類、藻類、繊維質類、製薬副産物類、油脂類、澱粉類、粕類又は穀物副産物類などの植物性飼料;タンパク質類、無機物類、油脂類、鉱物性類、単細胞タンパク質類、動物性プランクトン類又は食物などの動物性飼料を挙げることができる。これらは、単独で使用されてもよく、2種以上を混合して使用されてもよい。
本発明で使用される飲用水は、特に制限されることはなく、当該技術分野で通常的に使用される飲用水であってもよい。
本発明のさらに他の一態様によると、前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含む消毒剤又は洗浄剤を提供する。前記消毒剤又は洗浄剤の剤形は、特に制限されることはなく、当該技術分野で知られている剤形に製造して使用してもよい。
前記消毒剤は、クロストリジウム・パーフリンジェンスを除去するために散布されてもよく、動物の活動領域、屠殺場、斃死地域、調理場所又は調理設備などに散布されてもよいが、これらに制限されることはない。
前記洗浄剤は、クロストリジウム・パーフリンジェンスに暴露したり、暴露する可能性がある動物、特に、鶏又は豚の皮膚表面又は身体の各部位などを洗浄する用途で使用されてもよいが、これらに制限されることはない。
本発明のさらに他の一態様によると、前記バクテリオファージΦCJ21又は前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含む組成物を用いてクロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病を予防又は治療する方法を提供する。前記感染性疾病は、壊死性腸炎であることが好ましいが、これに制限されることはない。クロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病の予防又は治療対象は、鶏又は豚であってもよく、これらに制限されることはない。
本発明の前記予防又は治療方法は、具体的に、クロストリジウム・パーフリンジェンスによって感染しているか、感染する可能性があるヒトを除いた対象体に、前記バクテリオファージΦCJ21又は前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含む組成物を薬学的に有効な量で投与する段階を含む。前記バクテリオファージΦCJ21又はこれを含む組成物の適切な1日の総使用量は、正しい医学的判断範囲内で処置医によって決定することができ、これは、当該技術分野の通常の知識を有する者にとって自明な事項である。
特定の動物に対する前記バクテリオファージΦCJ21又は前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含む組成物の具体的な薬学的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、該当個体の年齢、体重、一般的な健康状態、性別又は食餌はもちろん、前記バクテリオファージΦCJ21又はこれを含む組成物の投与時間、投与経路及び組成物の分泌率、治療期間などを考慮して決定することができ、同時又は異時に共に使用される薬物のその他組成物の成分などをはじめとした多くの因子、及び医薬分野でよく知られている類似因子によって多様化することができる。
本発明の前記バクテリオファージΦCJ21又は前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含む組成物は、薬学的製剤の形態で動物に噴霧式鼻腔投与してもよく、動物の飼料又は飲用水に直接添加し、これを摂食させる方式で投与してもよく、飼料添加剤又は飲用水添加剤の形態で飼料又は飲用水に混合して投与してもよい。
本発明の前記バクテリオファージΦCJ21又は前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含む組成物の投与経路及び投与方式は、特に制限されることはなく、目的とする該当組織に前記バクテリオファージΦCJ21又はこれを含む組成物が到逹し得る限り、任意の投与経路及び投与方式であってもよい。すなわち、前記バクテリオファージΦCJ21又は前記バクテリオファージΦCJ21を有効成分として含む組成物は、経口又は非経口の多様な経路を介して投与されてもよく、その投与経路の非制限的な例としては、口腔、直腸、局所、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、経皮、鼻腔内又は吸入などを挙げることができる。
以下では、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。ただし、これら実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されることはない。
[実施例1]
クロストリジウム・パーフリンジェンスに感染するバクテリオファージの分離
<実施例1−1>
バクテリオファージのスクリーニング及び単一バクテリオファージの分離
韓国・忠清南道の養豚及び養鶏農場で、あるサンファ原種の糞便サンプルから分離した試料50mlを遠心分離管に移し、これを4000rpmで10分間遠心分離した後、その上澄液を0.45μmのフィルターでろ過することによって試料液を準備し、これを用いてソフトアガーオーバーレイ(soft agar overlay)方法を行った。前記ソフトアガーオーバーレイ方法とは、トップ−アガー(top−agar、0.7%の寒天を用いて固体培地上に付けること)で成長する宿主細胞を用いてバクテリオファージの溶菌を観察する方法をいう。
具体的に、国立獣医科学検疫院で分離したクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens、CP)(BCCP17−1)の振盪培養液(OD600=2)150μlと、10×ブレインハートインフュージョン(Brain−heart infusion、以下、「BHI」ともいう)培地(最終体積が1Lになるように組成)2mlに試料ろ過液18mlを混合し、これを37℃で18時間培養した後、前記培養液を4000rpmで10分間遠心分離し、その上澄液を0.45μmのフィルターを用いてろ過した。その次に、BHIプレート(BHI+0.2%の羊の血液(sheep blood))に0.7%の寒天(agar)(w/v)5mlとクロストリジウム・パーフリンジェンス(BCCP17−1)振盪培養液(OD600=2)150μlとの混合液を注いで固めた後、その上に上記の試料培養ろ過液10μlを滴下し、30℃で18時間培養することによって溶菌斑の形成を確認した。
溶菌が起こった試料培養ろ過液を適宜希釈し、これにクロストリジウム・パーフリンジェンス(BCCP 17−1)振盪培養液(OD600=2)150μlを混合した後、ソフトアガーオーバーレイを進行することによって単一の溶菌斑を獲得した。一つの溶菌斑には、一つのバクテリオファージが存在しているとみなすので、単一バクテリオファージを純粋分離するために一つの溶菌斑を採取して400μlのSM溶液(NaCl 5.8g/l;MgSO47H2O 2g/l;1M Tris−Cl(pH7.5) 50ml;H2O、最終体積が1Lになるように組成)に入れ、これを4時間室温で静置することによって単一バクテリオファージを純粋分離した。
上記のようにして分離されたバクテリオファージを大量確保するために単一バクテリオファージ溶液の上澄液100μlを採取した後、0.7%の寒天12mlとクロストリジウム・パーフリンジェンス(BCCP17−1)振盪培養液500μlとを混合し、150mm直径のLB培地でソフトアガーオーバーレイを実施した。完全に溶菌が起こったプレートに15mlのSM溶液を注いだ後、4時間室温でゆっくり振り、トップ−アガー内のバクテリオファージを流出させた。前記バクテリオファージが流出したSM溶液を回収し、最終体積の1%になるようにクロロホルム(chloroform)を添加して10分間よく混ぜた後、4000rpmで10分間遠心分離を行った。ここで得られた上澄液は、0.45μmのフィルターでろ過して冷蔵保管した。
<実施例1−2>
バクテリオファージの大量培養及び精製
上記のようにして選別されたバクテリオファージをクロストリジウム・パーフリンジェンス(BCCP17−1)を用いて大量に培養し、これからバクテリオファージを精製した。
具体的に、クロストリジウム・パーフリンジェンス(BCCP17−1)振盪培養液を大量培養液体培地に1%接種すると同時に、バクテリオファージをMOI(multiplicity of infection)=0.1と計算してクロストリジウム・パーフリンジェンス(BCCP17−1)接種と同時に入れることによって同時感染を行った。その次に、これを30℃の嫌気条件で静置培養した。
その次に、4℃で12000rpmで20分間遠心分離を行った後、その上澄液を0.45μmのフィルターでろ過した。フィルタリングされた上澄液に最終濃度がそれぞれ1M及び10%(w/v)になるようにNaClとポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)を添加した後、これらをよく混ぜて4℃で8時間以上さらに静置した。その次に、4℃で12000rpmで20分間遠心分離を行った後、上澄液を除去し、沈殿物を収得した。
上記のようにして収得した沈殿物を5mlのSM溶液で再浮遊させた後、20分間室温で静置した。その次に、その上澄液を0.45μmのフィルターでろ過し、グリセロール(glycerol)密度勾配法(密度:40%、5%のグリセロール)を用いた超遠心分離(35000rpm、1時間、4℃)を行い、バクテリオファージΦCJ21を精製した。精製したΦCJ21を、500μlのSM溶液に再浮遊させた後、その力価を測定した。
本発明者は、糞便から試料を採取し、クロストリジウム・パーフリンジェンスに対して特異的死滅効果を有する前記バクテリオファージを「Bacteriophage ΦCJ21」と命名し、2013年1月30日に韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、ソウル市西大門区弘済1洞361−221)に寄託番号第KCCM11363P号で寄託した。
<実施例2>
ΦCJ21の形態観察
上記のようにして精製されたバクテリオファージΦCJ21を0.01%のゼラチン溶液で希釈した後、2.5%のグルタルアルデヒド(glutaraldehyde)溶液で固定した。これを炭素コーティングされた雲母板(carbon−coated mica plate(およそ2.5mm×2.5mm))に滴下して10分間適応させた後、滅菌蒸溜水で洗浄した。炭素被膜(carbon film)を銅グリッド(copper grid)上に取り付け、4%の酢酸ウラニル(uranyl acetate)で30秒〜60秒間染色し、乾燥を行った後、透過型電子顕微鏡(JEM−1011、80kV、倍率;120000〜200000倍)で検鏡した(図1)。
図1は、バクテリオファージΦCJ21の電子顕微鏡写真を示した図で、形態学上、正二十面体の頭部及び収縮性の尾部を有さない形態型を示すことから、シホウイルスに属するものであることが分かった。
<実施例3>
ΦCJ21の全体のゲノムDNAサイズの分析
前記超遠心分離を通じて精製されたバクテリオファージΦCJ21からゲノムDNAを抽出した。
具体的には、精製されたバクテリオファージΦCJ21培養液にEDTA(ethylenediaminetetraacetic acid(pH8.0))、タンパク質分解酵素(proteinase K)、及びSDS(sodium dodecyl sulfate)をそれぞれ最終濃度が20mM、50μg/ml、及び0.5%(w/v)になるように添加した後、50℃で1時間静置した。その次に、これと同一の体積のフェノール(phenol(pH8.0))を添加して撹拌し、室温で12000rpmで10分間遠心分離を行うことによって上澄液を収得した。
前記上澄液を同一の体積のPC(フェノール:クロロホルム=1:1)と混合し、室温で12000rpmで10分間遠心分離を行うことによって上澄液を収得した。前記上澄液を同一の体積のクロロホルムと混合し、室温で12000rpmで10分間遠心分離を行い、その上澄液を収得した。前記上澄液に3Mの酢酸ナトリウム(sodium acetate)を全体体積の1/10で加えて混合し、2倍の体積の冷たい95%エタノールを加えて混合した後、−20℃で1時間静置した。続いて、0℃で10分間12000rpmで遠心分離を行った後、上澄液を除去することによって沈殿物を収得した後、これに50μlのTE緩衝液(Tris−EDTA、pH8.0)を加えて溶解した。上記の抽出したDNAを10倍希釈し、OD260で吸光度を測定することによって濃度を測定した。
その次に、1μgのDNAを1%のPFGE(pulse−field gel electrophoresis)アガロースゲルにローディングし、バイオ・ラッド(BIORAD)PFGEシステムの7番プログラム(サイズ範囲25kb〜100kb;スイッチタイムランプ(switch time ramp)0.4秒〜2.0秒、線形(linear shape);順方向電圧(forward voltage)180V;逆方向電圧(reverse voltage)120V)を用いて常温で20時間展開した(図2)。
図2は、バクテリオファージΦCJ21のゲノムDNAの電気泳動写真であって、バクテリオファージΦCJ21のゲノムDNAは、約56kbのサイズを示すことを確認することができた。
<実施例4>
ΦCJ21のタンパク質パターン分析
1010pfu/ml力価(titer)の精製されたバクテリオファージΦCJ21溶液15μlと5×SDS試料溶液3μlとを混合して5分間加熱した。その次に、15%のSDS−PAGEゲルでバクテリオファージΦCJ21の全体タンパク質を展開し、クマシーブルー(coomasie blue)染色溶液を用いてゲルを1時間常温で染色した(図3)。
図3は、バクテリオファージΦCJ21を対象にして行ったSDS−PAGE結果を示す電気泳動写真であって、約40kDa、51kDa、53kDa及び70kDaサイズの主要タンパク質が観察された。図3において、Mは、分子量測定の基準になるタンパク質である。
<実施例5>
ΦCJ21の全体遺伝子塩基配列の分析
上記のようにして精製したバクテリオファージΦCJ21の遺伝子的特性を調査するために、バクテリオファージΦCJ21のDNAを遺伝子分析機器FLXチタンシーケンサー(titanium sequencer)(Roche)を使用して分析した。(株)マクロジェン(Macrogen Inc.)でGSとデ・ノボアセンブリーソフトウェア(de novo assembler software)(Roche)を使用して遺伝子を組み合わせた。転写解読枠(open reading frame)は、GeneMArk.hmm、Glimmer v3.02及びFGENESBソフトウェアを使用して行われた。BLASTPとインタープロスキャン(InterProScan)プログラムを使用して転写解読枠の名前を注釈付け(annotation)した。
前記バクテリオファージの塩基配列は、既に報告されているバクテリオファージの塩基配列と様々な類似性を示したが、全ての断片が100%一致するバクテリオファージはないことが確認された。従って、前記バクテリオファージは、新規に分離されたバクテリオファージであることを確認することができた。
下記の表1は、バクテリオファージΦCJ21の塩基配列と他のバクテリオファージの塩基配列解読との相同性を比較した結果を示したものである。
Figure 2016518810
Figure 2016518810
Figure 2016518810
(Query:クエリー、Name:名称、Length:長さ、Start:開始、End:末端、Subject:対象、Description:説明、E-Value:E−値、Identities:一致率、Match:マッチ、Total:総量)
上記のようにして製造されたバクテリオファージΦCJ21のDNAを遺伝子分析機器を使用して分析した塩基配列の一部結果は、配列番号1と同じである。
<実施例6>
pHによるΦCJ21の安定性の調査
バクテリオファージΦCJ21の低いpHでの安定性を確認するために、様々なpH範囲(pH4.0、5.5、6.4、6.9、7.4、8.2、9.0及び9.8)で安定性の調査実験を実施した。
実験のために、様々なpH溶液(酢酸ナトリウム緩衝溶液(pH4.0、pH5.5及びpH6.4)、リン酸ナトリウム緩衝溶液(pH6.9及びpH7.4)、Tris−HCl溶液(pH8.2、pH9.0及びpH9.8))をそれぞれ0.2Mで作製した。
上記の各pH溶液90μlと10μlの1.0×109pfu/ml力価のバクテリオファージ溶液20μlを混ぜ、各pH溶液の濃度を1Mにした後、30分、1時間及び2時間にわたって常温で静置した。その次に、これらを段階的に希釈し、ソフトアガーオーバーレイ方法を用いて各段階の希釈液を10μlずつ滴下した後、30℃で18時間培養し、溶菌の有無に応じて力価を測定した(図4)。
図4は、バクテリオファージΦCJ21の耐酸性実験結果を示した図である。図4に示したように、バクテリオファージΦCJ21は、pH4.0〜pH9.8の範囲で2時間が経過するまでは活性を失わず、非常に安定的であることを確認することができた。
<実施例7>
ΦCJ21の温度による安定性の調査
バクテリオファージの製品剤形のうち飼料添加剤として用いる場合、バクテリオファージの剤形の製剤過程で発生する熱に対する安定性を確認するための実験を行った。
具体的には、1.0×108pfu/ml力価のバクテリオファージΦCJ21の溶液200μlを60℃の温度条件下でそれぞれ0分、10分、30分、60分及び120分間静置した。その次に、上記のようにして処理した実験培養液を段階的に希釈し、ソフトアガーオーバーレイ方法で各段階の希釈液を10μlずつ滴下した後、30℃で18時間培養し、溶菌の有無に応じて力価を測定した(図5)。
図5は、バクテリオファージΦCJ21の耐熱性実験結果を示した図である。図5に示したように、バクテリオファージΦCJ21は、60℃で2時間暴露したときまでは活性の多くを失わないことが分かった
<実施例8>
ΦCJ21の乾燥に対する安定性の調査
バクテリオファージの製品剤形のうち飼料添加剤として用いる場合、バクテリオファージの剤形の製剤過程で発生する乾燥条件に対する安定性を確認するための実験を行った。
具体的に、1.0×108pfu/ml力価のバクテリオファージΦCJ21の溶液100μlをスピードバキューム(Speed−Vacuum Concentrator 5301、Eppendorf)を用いて60℃で120分間乾燥した。上記のようにして乾燥した後に得られたペレット(pellet)に初期溶液と同量のSM溶液を入れ、4℃で一日間完全に再浮遊させた。
その次に、上記のようにして処理した実験培養液を段階的に希釈し、ソフトアガーオーバーレイ方法で各段階の希釈液を10μlずつ滴下した後、30℃で18時間培養し、溶菌の有無に応じて力価を測定した(図6)。
図6は、バクテリオファージΦCJ21の耐乾性実験結果を示した図である。図6に示したように、バクテリオファージΦCJ21の力価は、乾燥後に約1/10程度に減少することが分かった。
<実施例9>
野生分離株クロストリジウム・パーフリンジェンスに対するΦCJ21の感染範囲の調査
実験に使用されたクロストリジウム・パーフリンジェンス(BCCP17−1)の他に、国立獣医科学検疫院及び建国大学で分離した野生分離株クロストリジウム・パーフリンジェンス45株に対するバクテリオファージΦCJ21の溶菌活性の有無を確認した。
具体的には、各菌株の振盪培養液(OD600=2)150μlを混ぜてソフトアガーオーバーレイ方法を進行し、1×1010pfu/ml力価のバクテリオファージΦCJ21の溶液を10μlずつ滴下した後、30℃で18時間培養し、溶菌斑形成の有無を観察した。
実験の結果、45種の野生分離株クロストリジウム・パーフリンジェンスに対して44種が感染し、約97.7%の感染率及び約97.7%の溶菌率を示すことを確認することができた。その結果を下記の表2及び表3に示した。
Figure 2016518810
Figure 2016518810
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM11363P
受託日付:20130130

Claims (8)

  1. クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)に特異的な死滅効果を有する新規なバクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)。
  2. 請求項1に記載のバクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)を有効成分として含むクロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病の予防又は治療用組成物。
  3. 前記感染性疾病が壊死性腸炎である、請求項2に記載のクロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病の予防又は治療用組成物。
  4. 請求項1に記載のバクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)を有効成分として含む抗生剤。
  5. 請求項1に記載のバクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)を有効成分として含む飼料添加剤又は飲用水添加剤。
  6. 請求項1に記載のバクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)を有効成分として含む消毒剤又は洗浄剤。
  7. 請求項1に記載のバクテリオファージΦCJ21(KCCM11363P)又は請求項2に記載の組成物を、ヒトを除いた動物に投与する段階を含むクロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病の予防又は治療方法。
  8. 前記感染性疾病が壊死性腸炎である、請求項7に記載のクロストリジウム・パーフリンジェンスによる感染性疾病の予防又は治療方法。
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