JP2016512798A - 通気弁 - Google Patents

Abstract

車両用タイヤの加硫金型から空気を抜く通気弁１。通気弁１は、弁スリーブ２と、弁スリーブ２内部に構成される通気チャネル３と、弁スリーブ２内に配置される可動内部部品４とを備え、可動内部部品４は弁棒５を備え、弁棒５の一端部には、通気チャネル３を開閉する弁体６が設けられる。弁体６は、通気弁１の閉鎖位置では弁スリーブ２の停止面７に当接し、開放位置では上記停止面７から隙間を置く。さらに、通気弁１は、内部部品４を開放位置に付勢するバネ部材８を備える。弁体６の前面９は隆起部１２を有する。【選択図】図１

Description

本発明は、車両用タイヤの加硫金型から空気を抜く通気弁に関する。

車両用タイヤの加硫金型には、通気孔又は通気チャネルが用いられる。なぜなら、タイヤの加硫の際、金型の内寸よりも小さいタイヤブランクを金型内部に配置し、その後、金型を閉鎖するためである。閉鎖後、タイヤブランクは膨張を起こし、それにより、タイヤブランクが可塑性のある状態で金型の表面に押し付けられ、タイヤのサイズ及び形状が得られる。加硫金型の閉鎖に関して、タイヤブランクの表面が金型表面に密着するように、タイヤブランクと金型表面との間の空気を抜く必要がある。空気を金型の各所において完全に抜き、タイヤと金型との間に空気ポケットが残らないようにするためには、これらの複数の空気抜き孔又は空気抜きチャネルが存在するべきである。

車両用タイヤの加硫金型の通気チャネルに一般的に用いられる通気弁は、通気チャネル内部にチャネルの直径よりも細い弁棒（stem）と、弁棒に固定され、金型表面の領域に配置される弁体とを備える。金型の内面には、弁体に対する停止凹部がある。弁棒の回りにはコイルバネが配置され、このコイルバネは、金型及び弁体において、直接又は弁棒及び弁棒に固定されたフランジを介して自己支持する。バネは、弁体を金型壁から離すようにタイヤブランクに向かって押すことが意図され、それにより、空気が弁体と停止凹部との間の隙間を介して、また更には弁棒と通気チャネルとの間の空隙を介して金型から出ることを可能にする。加硫されている材料は、膨張時に金型表面に向かって進むにつれ、弁体を先に押し進め、その後、弁体を最終的に停止凹部にしっかりと押し付け、空気チャネルを閉鎖する。それにより、加硫されている材料は通気チャネルにアクセスすることができない。その後、タイヤブランクを金型から取り出す間、バネは弁を開放する。

上述の解決策の不都合点は、加硫されている材料が軟らかいため、弁体が閉鎖される前に、材料が通気チャネルに向かって弁体を通り越す可能性がある点である。それにより、加硫されている材料が弁を塞ぎ、弁の閉鎖を阻止する。

本発明の目的は、上述の問題を解消する通気弁を提供することである。

本発明に係る目的は、請求項１に記載のように達成される。本発明に係る通気弁は、弁スリーブと、弁スリーブ内部に構成される通気チャネルと、弁スリーブ内に配置される可動内部部品とを備え、この可動内部部品は弁棒を備え、弁棒の端部には、通気チャネルを開閉する弁体が設けられる。弁体は、通気弁の閉鎖位置では弁スリーブの停止面に当接し、開放位置では上記停止面から隙間を置く。さらに、通気弁は、内部部品を開放位置に付勢するバネ部材を備える。弁体の前面には隆起部が設けられる。

本発明に係る解決策では、重要な利点が得られる。弁体の前面の隆起部により、通気弁が通常よりも早く閉鎖し、それにより、加硫されている材料が、通気弁が閉鎖する前に弁体を通り越して通気チャネルに入ることがない。このようにして、通気弁が塞がることが阻止される。隆起部を用いて、隆起部を適切に形状付けることにより、加硫されている材料に所望の形状の刻印、例えばロゴを施すことができる。

以下、本発明を、添付図面を参照して例を用いてより詳細に記載する。

本発明に係る通気弁の１つの実施形態を示す図である。 図１の通気弁において用いることができる弁の異なる内部部品を示す図である。 図１の通気弁において用いることができる弁の異なる内部部品を示す図である。 図１の通気弁において用いることができる弁の異なる内部部品を示す図である。 図１の通気弁において用いることができる弁の異なる内部部品を示す図である。 図１の通気弁において用いることができる弁の異なる内部部品を示す図である。 図１の通気弁において用いることができる弁の異なる内部部品を示す図である。

車両用タイヤの加硫金型の内面は、加硫されるタイヤに、外面形状と、トレッド領域における細部によってトレッドパターンとを与える。したがって、トレッドを形状付ける加硫金型の金型表面には、特に、パターン部分を形成するトレッド溝とトレッド凹部とを形成する隆起部がある。加硫金型には、タイヤブランクと金型表面との間から空気を抜くことができる複数の通気弁１がある。車両用タイヤの加硫金型の通気弁１の数は、タイヤのサイズ及びタイプに応じて異なる。例えば、一般的に、乗用車の夏用タイヤにおいては１２００個〜２０００個の通気弁１があり、冬用タイヤにおいては２０００個〜４５００個の通気弁１がある。

図１は、車両用タイヤの加硫金型から空気を抜く通気弁１を示している。通気弁１は弁スリーブ２を備える。弁スリーブ２は円筒形であり、弁スリーブ２の外面は滑らかであるか又は外側ネジ山（outer threads）が設けられている。タイヤブランクと金型表面との間から空気を抜くのに、弁スリーブ２内部には通気チャネル３が構成されている。通気チャネル３は、金型の内側から金型の外側にかけて加硫金型の壁を貫通している。

通気弁１は、弁スリーブ２内に配置される可動内部部品４も備える。可動内部部品４は弁棒５を備え、弁棒５の端部には、通気チャネル３を開閉する弁体６が設けられる。弁スリーブ２には弁体６のための停止面７が構成されている。弁体６は、通気弁１の閉鎖位置では停止面７に当接し、開放位置では上記停止面７から隙間を置く。開放位置では、弁体６は弁スリーブ２の端１５から突出する。弁体６は、加硫金型の内部の方を向いている前面９を有し、前面９は、通気弁１が閉鎖している間、タイヤブランクの外面に接触する。したがって、タイヤ材料は、膨張時、通気弁１を閉鎖位置に付勢する。内部部品内の弁棒５の他端部には突出部１３が設けられ、突出部１３は、通気弁１が開放位置にある間、弁スリーブ２の他端１４に接して自己支持するように調整されている。したがって、突出部１３は、開放位置における内部部品４の動きを制限する。通気弁１の最大ストローク、すなわち内部部品４の最大移動量は、長手方向に０．２ｍｍ〜０．５ｍｍである。

通気弁１は、内部部品４を開放位置に付勢するバネ部材８を備える。バネ部材８は、弁スリーブ２の内部において、弁体６の後面１０と弁スリーブ２に構成された支持面１１との間に配置される。バネ部材８は内部部品の弁棒５の回りに配置される。バネ部材８は、例えばコイルバネとすることができる。

弁体６の前面９には隆起部１２が設けられ、隆起部１２により、通気弁１は通常よりも早く閉鎖する。したがって、加硫されている材料が、通気弁が閉鎖する前に弁体を通り越して通気チャネル３に入ることがない。このようにして、通気弁が塞がることが阻止される。隆起部１２の高さ（ｈ）は０．０１ｍｍ〜１．５ｍｍであり、一般的には０．５ｍｍ〜１ｍｍである。隆起部の高さ（ｈ）は、例えば０．１ｍｍ〜０．６ｍｍとすることができる。高さｈは、通気弁１が閉鎖位置にある間の、弁棒５の長手方向における、弁スリーブの端１５と隆起部の最前点（front point）との間の距離である。隆起部１２の異なる実施形態が図２〜図７に示されている。

図２において、隆起部１２は凸面状であり、弁体の前面９の領域全体に亘って延在する。

図３において、隆起部１２は凸面状であるが、前面９の領域の一部のみに亘って延在する。

図４において、隆起部１２は円筒形である。

図５において、隆起部１２は円錐台の形状である。隆起部１２の広い方の端部が前方に向いている。

図６において、隆起部１２は円錐台の形状である。隆起部１２の狭い方の端部が前方に向いている。隆起部１２は弁体の前面９の領域全体に亘って延在する。

図７において、隆起部１２は円錐先端形状である。隆起部１２は、弁体の前面９の領域全体に亘って延在する。

図１の閉鎖位置では、弁体６の前面９（隆起部１２）全体が弁スリーブ２から突出するか（図２、図６、及び図７の実施形態）、又は、前面９（隆起部１２）の一部が弁スリーブ２から突出し、前面９の他の部分が弁スリーブの端１５と同じ高さになる（図３、図４、及び図５の実施形態）。図２、図３、図６、及び図７の実施形態では、隆起部１２は頂部に向かって細くなる。本発明に係る通気弁１は、タイヤの加硫中、以下のように車両用タイヤの加硫金型から空気を抜く機能を果たす。タイヤブランクを加硫金型に配置し、その内部で空気及び／又は蒸気を圧縮することによって、このタイヤブランクを膨張させる。それにより、タイヤブランクの外面が金型表面に押し付けられ、これにより、最終表面形状、すなわちタイヤトレッドの表面パターンが得られる。同時に、加硫金型を加熱して、タイヤブランクのゴム材料を加硫し、完成したタイヤを得る。タイヤブランクの外面を金型の内面に可能な限り正確に配置するために、本発明に係る通気弁１を介してタイヤブランクと金型表面との間から空気を抜く。

バネ部材８は通気弁１を開放位置に維持し、それにより、通気チャネル３を介してタイヤブランクと金型表面との間から空気を抜くことができる。タイヤ材料が膨張時に金型表面に向かって進むにつれ、タイヤ材料は弁体６を先に押し進め、その後、弁体６を最終的に停止面７に押し付け、したがって空気チャネル３を閉鎖する。それにより、タイヤ材料は通気チャネル３にアクセスすることができない。タイヤブランクが金型から取り外されると、バネ部材８は内部部品４を開放位置に動かす。

弁体の前面９の隆起部１２は、通気弁１を通常の通気弁（平滑な前面）よりも早く閉鎖させる。そのため、加硫されている材料が、通気弁１が閉鎖する前に弁体６を通り越して通気チャネル３に入ることがない。このようにして、通気弁１が塞がることが阻止される。隆起部１２を用いて、隆起部１２を適切に形状付けることにより、加硫されている材料に所望の形状の刻印、例えばロゴを施すことができる。

本発明の種々の実施形態は、上述の例のみに限定されず、添付の特許請求の範囲内で変更することができることが当業者には明らかである。本発明は、車両用タイヤの加硫金型以外のものに応用することもできる。

Claims (9)

1. 車両用タイヤの加硫金型から空気を抜く通気弁（１）であって、
   弁スリーブ（２）と、
   前記弁スリーブ（２）内部に構成される通気チャネル（３）と、
   前記弁スリーブ（２）内に配置される可動内部部品（４）であって、前記可動内部部品（４）は弁棒（５）を備え、前記弁棒（５）の一端部には、前記通気チャネル（３）を開閉する弁体（６）が設けられ、前記弁体（６）は、前記通気弁（１）の閉鎖位置では前記弁スリーブ（２）の停止面（７）に当接し、開放位置では前記停止面（７）から隙間を置く、可動内部部品（４）と、
   前記内部部品（４）を前記開放位置に付勢するバネ部材（８）と、を備え、
   前記弁体（６）の前記前面（９）には隆起部（１２）が設けられることを特徴とする、通気弁。
2. 前記隆起部（１２）の前記高さ（ｈ）が０．０１ｍｍ〜１．５ｍｍであることを特徴とする、請求項１に記載の通気弁。
3. 前記隆起部（１２）は凸面状であることを特徴とする、請求項１又は２に記載の通気弁。
4. 前記隆起部（１２）は円錐台の形状であることを特徴とする、請求項１又は２に記載の通気弁。
5. 前記隆起部（１２）は円筒形であることを特徴とする、請求項１又は２に記載の通気弁。
6. 前記隆起部（１２）は、前記前面（９）の領域全体に亘って延在するか、又は前記前面（９）の領域の一部のみに亘って延在することを特徴とする、請求項１〜５のいずれか１項に記載の通気弁。
7. 前記弁棒（５）の他端部には突出部（１３）が設けられ、前記突出部（１３）は、前記通気弁（１）が前記開放位置にある間、前記弁スリーブの他端（１４）に対して自己支持するように構成されることを特徴とする、請求項１〜６のいずれか１項に記載の通気弁。
8. 前記通気弁（１）が前記閉鎖位置にある場合、前記弁体（６）の前記前面（９）全体が前記弁スリーブ（２）から突出するか、又は、前記前面（９）の一部が前記弁スリーブ（２）から突出し、前記前面（９）の他の部分が前記弁スリーブの前記端（１５）と同じ高さになることを特徴とする、請求項１〜７のいずれか１項に記載の通気弁。
9. 前記隆起部（１２）は、その頂部に向かって細くなることを特徴とする、請求項１〜８のいずれか１項に記載の通気弁。

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