JP2016510295A - グラフェン材料のエッジハロゲン化 - Google Patents

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Abstract

本発明は、グラフェン、グラフェンナノリボン、グラフェン分子、またはこれらの混合物から選択されるグラフェン材料を、エッジハロゲン化グラフェン材料を得るように、ルイス酸の存在下でハロゲン供与体化合物と反応させる、グラフェン材料をエッジハロゲン化する方法に関する。

Description

グラフェンは長距離π共役を備える、sp混成炭素の二次元シートであり、並外れた熱的、機械的、および電気的性質をもたらす。グラフェン材料の物理的および化学的性質を操作するために、化学的に官能化することは大変興味深い。
原理的に、2つの異なるアプローチによりグラフェン材料を化学的に官能化することができる。第1のアプローチでは、C=C結合との付加反応により芳香族基底面を修飾する。今のところこれが一般的に好まれるアプローチである。あるいは、グラフェン材料のエッジにおいて化学的官能化を起こすことができ、これによりエッジ官能化グラフェン(例えば、エッジに結合した残基を他の化学基で置換すること)をもたらす。このアプローチは、平面(グラフェンナノリボン)の単なる一方向、または平面(グラフェン分子、すなわち非常に大きな多環式芳香族化合物)の二方向に制限された寸法を有するグラフェン材料にとって特に適切である。
エッジ官能化により、最終のグラフェン材料の特性に大きく影響を及ぼすことができる。例えば、エッジ結合のH原子をアミノ基に置換することにより、トランジスタ素子のp型半導体的挙動からn型半導体的挙動にグラフェンナノリボンを転換することができる。ハロゲン原子によりエッジを官能化したグラフェン材料もまた大変興味深いであろう。エッジに結合したハロゲン原子の存在により、グラフェン材料の光学的および電子的性質を改良することができる。
しかし、グラフェンの明確で制御可能なエッジ官能化は、いまだに大きな挑戦である。
米国特許出願公開第2010/0047154号 米国特許出願公開第2011/0097258号 KR2011/005436号 PCT/EP2012/072445 EP 12 169 326
K.Muellen他 J.Am.Chem.Soc.(2011)133、15221 Angew.Chem.Int.Ed.(1998)37、2696 Angew.Chem.Int.Ed.(2007)46、3033 Angew.Chem.Int.Ed.(1997)36、631 Angew.Chem.Int.Ed.(1997)36、1604 K.Muellen他 Carbon(1998)36、827 J.Am.Chem.Soc.(2000)122、7707 J.Am.Chem.Soc.(2004)126、7794 J.Am.Chem.Soc.(2006)128、9526 L.Doessel、L.Gherghel、X.Feng、K.Muellen、Angew.Chem.Int.Ed.50、2540−2543(2011) Cai,J.他;Nature466、470−473(2010) J.Cai他、Nature 466、pp.470〜473(2010) W.Bielawski他、Chem.Soc.Rev.、2010、39、pp.228〜240
化学的官能化が高い収率で起きながらグラフェン材料の特定の領域で選択的に行われる、グラフェン材料の化学的官能化の方法を提供することが本発明の目的である。高度な化学的官能化を備えながら、しかも明確な構造を有するグラフェン材料を提供することも、本発明の目的である。
グラフェン材料のエッジハロゲン化処理により、この目的は解決される。この時、グラフェン、グラフェンナノリボン、グラフェン分子、またはこれらの混合物から選択されるグラフェン材料は、エッジハロゲン化グラフェン材料を得るように、ルイス酸の存在下でハロゲン供与体化合物と反応させる。
本発明において、グラフェン、グラフェンナノリボンおよびグラフェン分子などのグラフェン材料を、(出発グラフェン材料のエッジを形成しているsp混成炭素原子に共有結合的に結合している残基Rを少なくとも部分的に置換することによって)、グラフェン材料の芳香族基底面でのハロゲン化はいずれも十分有効に抑えながら、エッジにおいて非常に選択的にハロゲン化することができ、グラフェン材料のエッジでのハロゲン化度は非常に高く量的(すなわち100%)でさえあることがわかった。
本発明において、ハロゲン化処理に供せられるグラフェン材料(すなわち出発グラフェン材料)は、グラフェン、グラフェンナノリボン(GNR)、およびグラフェン分子から選択される。当業者に周知のように、あらゆるこれらのグラフェン材料において、sp混成炭素原子は広がった単層の芳香族基底面を形成し、芳香族基底面のごく辺縁に位置するsp混成炭素原子はグラフェン材料のエッジを形成している。よってこれらグラフェン材料のいずれもが、芳香族の基底面とエッジを有する。グラフェン材料のエッジを形成するこれらsp混成炭素原子の各々に、残基が共有結合的に付いている(すなわちエッジ結合残基R)。しかし、グラフェン、グラフェンナノリボンおよびグラフェン分子は、その平面内の寸法が異なる。グラフェンの芳香族基底面は、実際には両方向に数ナノメートルから数ミクロンまで広がることができ、一方グラフェンナノリボンの芳香族基底面は典型的には50nm未満または10nm未満でさえある幅を有する細片の形状である。典型的には、グラフェンナノリボンのアスペクト比(すなわち長さの幅に対する比)は少なくとも10である。該当する技術分野において、「グラフェン分子」という用語は、10nmまで、典型的には5nm未満の寸法の非常に大きな多環式芳香族化合物に対して通常用いられる。「グラフェン材料」という用語は、芳香族基底面のいくつかの炭素原子がヘテロ原子により置換された材料も包含する。
もし出発グラフェン材料がグラフェン分子なら、それは、8〜200個の縮合芳香族環、より好ましくは13〜91個の縮合芳香族環、または34〜91個の縮合芳香族環、または50〜91個縮合芳香族環を有する、多環式芳香族化合物でもよい。
ごく辺縁に位置する芳香族環は別にして、任意の芳香族環は2〜6個の芳香族隣接環(aromatic neighbor ring)に縮合する。典型的には、グラフェン分子は、3〜6個の芳香族隣接環に縮合する少なくとも3個の芳香族環、より好ましくは少なくとも5個または少なくとも7個の芳香族環、さらにより好ましくは少なくとも14個または少なくとも16個の芳香族環を含む。
好ましくは、多環式芳香族化合物の縮合芳香族環は六員炭素環である。しかし、多環式芳香族化合物の縮合芳香族環の少なくともいくつかが、複素環(例えば、窒素含有複素環またはホウ素含有複素環)であることも可能であり、複素環は五員または六員であり得る。
出発グラフェン材料(すなわち、グラフェン、グラフェンナノリボン、またはグラフェン分子)のエッジに共有結合的に付いているエッジ結合残基Rは、水素、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アリール基(例えば、置換もしくは非置換フェニル基)、またはこれらの任意の組合せまたは混合物から好適に選択される。アルキル基はC1〜12アルキル基、より好ましくはC1〜8アルキル基であってよい。好ましい実施形態では、アルキル基は三級ブチル基または三級オクチル基などの三級アルキル基である。
好ましくは、グラフェン分子は以下の化合物(I)〜(VII)の1つまたは複数から選択される。
Figure 2016510295

Figure 2016510295

Figure 2016510295

Figure 2016510295
[式中、エッジ結合残基Rは、上で示したものと同じ意味を有する。]
本発明のエッジハロゲン化処理に供せられるグラフェン分子は、当業者に周知の方法により得ることができる。こうした化合物の合成は、例えば以下の文献に十分記載されている。化合物Iの調製は、K.Muellen他 J.Am.Chem.Soc.(2011)133、15221;または化合物IIIは、Angew.Chem.Int.Ed.(1998)37、2696;または化合物IVは、Angew.Chem.Int.Ed.(2007)46、3033;または化合物VIは、Angew.Chem.Int.Ed.(1997)36、631;または化合物VおよびVIIは、Angew.Chem.Int.Ed.(1997)36、1604に記載されている。K.Muellen他による他の合成は、例えばCarbon(1998)36、827;J.Am.Chem.Soc.(2000)122、7707;J.Am.Chem.Soc.(2004)126、7794;J.Am.Chem.Soc.(2006)128、9526に記載されている。
本発明のエッジハロゲン化処理に供せられるグラフェンナノリボンは、当業者に周知の方法により得ることができる。一般に、グラフェンナノリボンはトップダウンまたはボトムアップ製造方法により調製することができる。
標準的なトップダウン製造技法には、例えばリソグラフィーを用いるグラフェンシートの切断、米国特許出願公開第2010/0047154号および米国特許出願公開第2011/0097258号に記載のカーボンナノチューブのアンジッピング(unzipping)、またはテンプレートとしてKR2011/005436号に記載のナノワイヤを使用することが含まれる。
グラフェンナノリボン調製のボトムアップアプローチは、例えば、L.Doessel、L.Gherghel、X.Feng、K.Muellen、Angew.Chem.Int.Ed.50、2540−2543(2011)およびCai,J.他;Nature466、470−473(2010)、ならびにPCT/EP2012/072445およびEP 12 169 326に記載されている。こうしたボトムアップアプローチにより、非常に明確な構造を有するグラフェンナノリボンが得られる。従来のポリマーと同様、こうしたボトムアップアプローチにより調製し、そのために「分子」レベルにおいてさえ明確な構造を有するグラフェンナノリボンは、その固有の繰返し単位を有する。「繰返し単位」という用語はナノリボンの一部と関係し、その繰返しは、(端部を除いて)完全なリボンを形成、またはもしGNRが2つ以上のセグメントからできていれば(端部を除いて)これらセグメントの1つを形成するだろう。「繰返し単位」という用語は、前記単位の少なくとも1つの繰返しが存在すると想定している。
典型的には、グラフェンナノリボンの最大幅は50nm未満、より好ましくは10nm未満である。
グラフェンナノリボンの最大幅の最大長さに対する比は、好ましくは少なくとも10である。
幅および長さは、当業者に周知である、原子間力顕微鏡(AFM)、透過電子顕微鏡、または走査トンネル顕微鏡(STM)などの顕微鏡的方法を用いて測定する。もし数nm未満の分解能が要求されるなら(例えば10nm未満のGNRの最大幅)、STMが選択すべき方法であり、J.Cai他、Nature 466、pp.470〜473(2010)に説明のあるように、見かけの幅をSTMシミュレーションによりフィニットチップレイディアス(finite tip radius)に対して補正する。Tersoff−Hamannアプローチに従って、追加のローリングボールアルゴリズム(rolling ball algorithm)を用いてSTM像をシミュレートし、見かけのリボン幅にチップの影響を含める。所与の幾何学形状に対するガウスアプローチおよび平面波アプローチから、フェルミエネルギーとフェルミエネルギーに所与の試料バイアスを加えたものの間の統合した状態密度を導き出す。
本発明のエッジハロゲン化処理に供せられるグラフェンは、当業者に周知の方法により得ることができる。一般的に用いられる方法は、例えばインターカレーションおよび/または機械的力を加えてグラファイトを剥離することである。別の周知の調製方法によれば、グラファイトを酸化して酸化グラファイトにし、次にこれを(例えば、機械的力を加えて、超音波処理により、または塩基性媒体中で)剥離して酸化グラフェンとすることができる。続いて、例えば剥離および還元のために、熱処理により、または化学的還元により、および/または熱衝撃処理を加えて、還元してグラフェンとする。(例えば、W.Bielawski他、Chem.Soc.Rev.、2010、39、pp.228〜240を参照のこと。)
周知のように、グラフェン、グラフェンナノリボン、またはグラフェン分子は、ジグザグエッジ構造、アームチェアエッジ構造、または両者の組合せを有することができる。グラフェン、グラフェンナノリボンまたはグラフェン分子のエッジが以下の構造要素を含み得ることもよく知られていて、これは、「重縮合ベイエッジ立体配置(double−fused bay edge configuration)」とも称される。
Figure 2016510295
グラフェン、グラフェンナノリボン、またはグラフェン分子はこれらエッジ構造の1つを含むことができ、またはエッジ構造が異なる2つ以上のエッジ部分を有することができる。
上で概説したこれらの各エッジ構造(すなわち、ジグザグ、アームチェア、およびいわゆる「重縮合ベイエッジ立体配置」)を、本発明のハロゲン化処理に供することができる。
しかし、以下でさらに詳細に議論するように、「重縮合ベイエッジ立体配置」は、ハロゲン置換に到達できない「立体的に保護された」残基Rを含む可能性がある。一方、本発明の方法でのジグザグおよびアームチェアエッジ構造におけるハロゲン化度は非常に高く、100%に近いか100%でさえあり得る。
本発明の方法によれば、出発グラフェン材料はハロゲン供与体化合物と反応する。
ハロゲン供与体化合物は当業者には周知である。
好ましくは、ハロゲン供与体化合物は、ハロゲン間化合物、SCl、SOCl、SClとSOClの混合物、SOCl、Cl、Br、F、I、PCl、PCl、POCl、POCl、POBr、N−ブロモスクシンイミド、N−クロロスクシンイミド、またはこれらの混合物から選択される。
好ましくは、ハロゲン間化合物は以下の式(VIII)を有する化合物である。
XY (VIII)
[式中、
nは1、3、5、または7であり、
XおよびYは異なっており、F、Cl、BrおよびIから選択される。]
好ましくは、Xは電気陰性度がYより小さい。
ハロゲン間化合物は、例えばICl、IBr、BrF、BrCl、BrF、ClF、ClF、またはこれらの任意の混合物から選択することができる。
好ましい実施形態では、ハロゲン供与体化合物は、ICl、SCl、SOCl、SClとSOClの混合物、Cl、またはこれらの任意の混合物から選択される。
好ましくは、本発明のハロゲン化処理は塩素化処理である。従って、ハロゲン供与体化合物が塩素供与体(Clドナー)化合物であることが好ましい。
もしハロゲン供与体化合物がハロゲン間化合物であれば、それは典型的には出発グラフェン材料のエッジ結合残基Rを置換するより大きな電気陰性度の化学種である。より具体的には、出発グラフェン材料が例えばIClと反応すると、塩素化グラフェン材料が得られる。
上で示したように、出発グラフェン材料とハロゲン供与体化合物はルイス酸の存在下で反応する。
本発明において、「ルイス酸」という用語は一般に容認された意味によって用いられ、そのため、電子対受容体である分子構成体に関係し、よってルイス塩基と反応してルイス塩基により供給される電子対を共有してルイス付加物を形成する。
ルイス酸は、式(IX)または式(X)、(XI)、(XII)の化合物から選択される。
AX (IX)
[式中、AはAl、Fe、Sm、Sc、Hf、In、YまたはBであり、Xはハロゲン(好ましくはF、Cl、Br、P)またはトリフルオロスルホン酸塩(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸塩OTf)である。];
AX (X)
[式中、AはP、Sb、Mo、またはAsであり、Xはハロゲン(好ましくはCl)である。];
AX (XI)
[式中、AはTiまたはSnであり、Xはハロゲン(好ましくはCl)である。];
AX (XII)
[式中、AはMg、Zn、CuまたはBeであり、Xはハロゲン(好ましくはCl)またはトリフルオロスルホン酸塩(例えばトリフルオロメタンスルホン酸塩OTf)である。]
好ましいルイス酸として、例えば、AlCl、AlBr、FeCl、FeBr、Sm(OTf)、BF、Cu(OTf)、ZnCl、BCl、BeCl、またはこれらの任意の混合物が含まれる。
好ましくは、ルイス酸は触媒として働く。従ってルイス酸を少量加えることが好ましい。
グラフェン、グラフェンナノリボンまたはグラフェン分子のルイス酸に対する質量比は、20/1〜1/10、より好ましくは5/1〜1/4などのように、広い範囲にわたって変えることができる。
グラフェン、グラフェンナノリボンまたはグラフェン分子のエッジ結合残基Rの、ルイス酸に対するモル比は、100/1〜1/5、より好ましくは25/1〜1/2などのように、広い範囲にわたって変えることができる。
グラフェン、グラフェンナノリボンまたはグラフェン分子のハロゲン供与体化合物に対する質量比は、1/1000〜1/10、より好ましくは1/500〜1/30などのように、広い範囲にわたって変えることができる。
グラフェン、グラフェンナノリボンまたはグラフェン分子のエッジ結合残基Rの、ハロゲン供与体化合物に対するモル比は、1/1〜1/200、より好ましくは1/5〜1/70などのように、広い範囲にわたって変えることができる。
好ましくは、本発明のハロゲン化処理は有機液体または有機溶媒中で行われる。
適当な有機液体または有機溶媒は当業者に周知であり、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、もしくはこれらの混合物などの液体炭化水素、または好ましくは、CCl、CHCl、CHCl、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、CHBr、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ブロモクロロフルオロカーボン、ブロモフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、もしくはこれらの任意の混合物などのハロゲン化炭素を含むことができる。ハロゲン供与体化合物はまた溶媒として用いることができ、例えばSOClは液体または溶媒として用いることができる。
反応温度は広い範囲にわたって変えることができる。適当な反応温度は、例えば−20℃〜200℃、より好ましくは40℃〜150℃の範囲である。使用する液体の種類によって、反応温度の上限は変わる可能性がある。反応温度は−20℃〜液体または液体混合物の沸点の範囲内とすることができる。
本発明のハロゲン化処理では、グラフェン、グラフェンナノリボンまたはグラフェン分子、およびハロゲン供与体化合物、およびルイス酸を、好ましくは室温にて、液体または溶媒に任意の順番で加えることができ、続いて、エッジハロゲン化反応(すなわち、Clなどのハロゲン原子によるエッジ結合残基Rの置換)を加速するに十分に昇温する。すでに上で述べたように、反応は還流下または少なくとも液体の(大気圧下)沸点T近傍の温度、例えばTreaction=0.8〜1.0、で実施することができる。
反応混合物を反応温度にて、エッジハロゲン化度の最大を提供するに十分な時間保持する。
本発明の方法を用いて、芳香族基底面のいかなるハロゲン化もほぼ完全に抑えながら、高度なエッジハロゲン化を達成することができる。立体的に保護された残基Rを含む重縮合ベイエッジ立体配置を除いて、グラフェン材料のエッジにおけるハロゲン化度は量的(すなわち、ハロゲン原子によるエッジ結合残基Rの100%置換)である、または、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも94%、もしくは少なくとも98%など、少なくとも100%に近い。
特定のエッジ立体配置の立体的に保護された領域内にあるエッジ結合残基Rだけが、ハロゲン原子による置換に到達できないだろう。
すでに上で述べたように、本発明のハロゲン化処理に供せられるグラフェン材料は、以下の構造(時に「重縮合ベイエッジ」と称される)のエッジまたは少なくとも1つのエッジ部分を有する可能性がある。
Figure 2016510295
この重縮合ベイエッジ構造は、ハロゲン置換に到達できる残基(上記構造において「RE,A」と示される)を有するが、ハロゲン置換に到達できない「立体的に保護された」残基(上記構造において「RE,P」と示される)も含む。本発明のハロゲン化処理において、ハロゲンによる残基RE,Aの置換度は非常に高く、ほぼ量的または100%に等しくさえあり得る。他方、残基RE,Pは、典型的にはハロゲン化処理が完了した後にまだ存在している。よって、本発明のハロゲン化処理に供せられる出発グラフェン材料が、重縮合ベイエッジ構造を含んでいたとしても、明確な置換パターンを有するエッジハロゲン化グラフェン材料は得られる。というのは、残基RE,Aのほぼ量的なハロゲン置換があり、残基RE,Pのハロゲン置換は無いからである。
以下でさらに詳細に議論し例により実証するように、本発明の方法により、出発グラフェン材料のエッジを(エッジ結合残基R(すなわち、グラフェン材料のエッジを形成するsp混成炭素原子に結合した残基R)をハロゲンにより置換することにより)選択的にハロゲン化し、一方で芳香族基底面はいずれのハロゲン化もほぼ完全に抑えられる。換言すれば、グラフェン材料の広がった芳香族系を形成する原子の混成状態は、化学的官能化がエッジに制約されるため、本発明の処理の間に変わらない。このことは、反応時間を延ばしても、および/または反応温度を上げても、および/またはハロゲン化剤を過剰にしても、依然としてあてはまる。
ハロゲン化度は周知の分析手段、H−NMR分光法、13C−NMR分光法、XPS(X線光電子分光法)、赤外分光法および/または質量分析法(例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間(MALDI−TOF)質量分析法)、などにより監視することができる。
所望のハロゲン化度が達成されると、ろ過、減圧下での揮発性成分蒸発など周知の方法により、エッジハロゲン化グラフェン材料を反応媒体から分離することができる。必用なら、例えばエタノールなどの極性溶媒を加えて沈殿させるなどにより、ハロゲン化反応を抑えることもできる。
本発明の方法により得られるハロゲン化グラフェン材料は、グラフェンに比べて改善された溶解性を有する。単に一例として、本発明の方法により調製されたハロゲン化グラフェン分子は、均一な溶液を形成するようにトルエン、クロロホルムおよび二硫化炭素などの一般的な有機溶媒に容易に溶解させることができる。
さらに、ハロゲン化処理は芳香族基底面ではなくエッジにおいて選択的に行われるので、グラフェン材料の電子的および光学的性質を修正し、明確な様式で微調整することができる。
上で議論したように、本発明の方法を用いて、エッジを選択的にハロゲン化し、一方でグラフェン材料の芳香族基底面上でのハロゲン化をほぼ完全に抑えたグラフェン材料(すなわち、グラフェン、グラフェンナノリボンGNRまたはグラフェン分子)を提供することができる。
従って別の態様では、本発明は、芳香族基底面およびエッジを含むハロゲン化グラフェン材料を提供し、グラフェン材料のエッジに共有結合的に付いている残基Rの少なくとも65モル%はハロゲン原子HAであり、エッジに結合したハロゲン原子HAが、ハロゲン化グラフェン材料中に存在する全ハロゲン原子の少なくとも95モル%を占め、グラフェン材料はグラフェン、グラフェンナノリボンおよびグラフェン分子から選択する。
基底面に結合したハロゲン原子に対するエッジに結合したハロゲン原子の比、およびグラフェン材料のエッジにおけるハロゲン置換度を、周知の分析方法により決定することができる。好ましい実施形態では、XPS(X線光電子分光法)分析を用いる。本発明では、XPSスペクトルを、AlKα単色源を備えたESCALAB 250(Thermo−VG Scientific)上で、粉末試料を用いて測定した。
グラフェン分子、グラフェンナノリボンおよびグラフェンの性質に関しては、現時点では主にハロゲン原子であるエッジ結合残基Rを当然除いて、上記の記述を参照することができる。
上で述べ、当業者には周知のように、グラフェン材料では、sp混成炭素原子は広がった単相の芳香族基底面を形成し、芳香族基底面のごく辺縁にあるこうしたsp混成炭素原子はグラフェン材料のエッジを形成する。従って、これらグラフェン材料はいずれも芳香族基底面およびエッジを有する。グラフェン材料のエッジを形成するこうしたsp混成炭素原子の各々に対して、残基が共有結合的に付いている(すなわちエッジ結合残基R)。本発明を用いて、グラフェン材料のエッジに共有結合的に付いている残基Rの少なくとも65モル%がハロゲン原子HAであり、エッジ結合ハロゲン原子HAが、ハロゲン化グラフェン材料中に存在する全ハロゲン原子の少なくとも95モル%を占めるグラフェン材料を提供することができる。
グラフェン分子は、8〜200個の縮合芳香族環、より好ましくは13〜91個の縮合芳香族環、または34〜91個の縮合芳香族環、または50〜91個の縮合芳香族環を有する多環式芳香族化合物であってよい。ごく辺縁にある芳香族環は別にして、任意の芳香族環は2〜6個の芳香族隣接環に縮合する。典型的には、グラフェン分子は少なくとも3個の芳香族環、より好ましくは少なくとも5個、または少なくとも7個の芳香族環、さらにより好ましくは少なくとも14個または少なくとも16個の芳香族環を含み、これらは3〜6個の芳香族隣接環に縮合する。好ましくは、多環式芳香族化合物の縮合芳香族環は六員炭素環である。しかし、多環式芳香族化合物の少なくともいくつかの縮合芳香族環が、五員または六員の複素環(例えば、窒素含有またはホウ素含有複素環)であることもできる。
好ましい実施形態では、ハロゲン化グラフェン分子は、以下の(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)、(XVIII)、および(XIX)のうちの1つの式を有する。
Figure 2016510295

Figure 2016510295

Figure 2016510295
Figure 2016510295

Figure 2016510295
ハロゲン化グラフェン分子(XIII)の化学式はC42Cl18である。
ハロゲン化グラフェン分子(XIV)の化学式はC48Cl18である。
ハロゲン化グラフェン分子(XV)の化学式はC60Cl22である。
ハロゲン化グラフェン分子(XVI)の化学式はC60Cl24である。
ハロゲン化グラフェン分子(XVII)の化学式はC96Cl27である。
ハロゲン化グラフェン分子(XVIII)の化学式はC132Cl32である。
ハロゲン化グラフェン分子(XIX)の化学式はC222Cl42である。
高いハロゲン化度に起因して、本発明のグラフェン分子は、トルエン、クロロホルムおよび二硫化炭素などの一般的な有機溶媒に容易に溶けることができる。溶媒蒸発などの周知の方法により、グラフェン分子を結晶形で提供することができる。
もしハロゲン化グラフェン材料がハロゲン化グラフェンナノリボンであれば、その最大幅は典型的には50nm未満、より好ましくは10nm未満である。グラフェンナノリボンの最大幅の最大長さに対する比は、好ましくは少なくとも10である。幅および長さは、原子間力顕微鏡(AFM)、透過電子顕微鏡、または走査トンネル顕微鏡(STM)などの顕微鏡的方法により測定する。もし数nm未満の分解能が要求されるなら(例えば10nm未満のGNRの最大幅)、STMが選択すべき方法であり、J.Cai他、Nature 466、pp.470〜473(2010)に説明のあるように、見かけの幅をSTMシミュレーションによりフィニットチップレイディアスに対して補正する。Tersoff−Hamannアプローチに従って、追加のローリングボールアルゴリズムを用いてSTM像をシミュレートし、見かけのリボン幅にチップの影響を含める。所定の幾何学形状に対するガウスアプローチおよび平面波アプローチから、フェルミエネルギーとフェルミエネルギーに所与の試料バイアスを加えたものの間の統合した状態密度を導き出す。
上で述べたように、本発明のハロゲン化処理に供せられるグラフェンナノリボンは、「分子レベル」においてさえ非常に明確な構造を有する可能性があり、それ故に固有の繰返し単位によって特徴付けられる従来のポリマーに似ている。従って、本発明の方法は画定されたエッジハロゲン化をもたらすので、繰返し単位RUを含むハロゲン化グラフェンナノリボンが得られる。
従って、好ましい実施形態では、ハロゲン化グラフェン材料は、繰返し単位RUを含むハロゲン化グラフェンナノリボンであり、ハロゲン化グラフェンナノリボンまたは少なくともそのセグメントは[RU]からできており、2≦n≦2500、より好ましくは10≦n≦2500である。
上で示したように、グラフェン材料のエッジに共有結合的に付いている残基Rの少なくとも65モル%がハロゲン原子HAであり、エッジ結合ハロゲン原子HAは、ハロゲン化グラフェン材料中に存在する全ハロゲン原子の少なくとも95モル%を占める。
もしグラフェン材料が以下の構造のエッジ部分(「重縮合ベイエッジ立体配置」)を少しも含まない:
Figure 2016510295
または、こうした重縮合ベイエッジ部分を少量含むなら、エッジ結合残基Rは主にハロゲン原子であることができる。従って、好ましい実施形態では、グラフェン材料のエッジに共有結合的に付いている残基Rの少なくとも90モル%、より好ましくは少なくとも95モル%、さらにより好ましくは少なくとも98モル%またはさらに100モル%が、ハロゲン原子HAである。
一方、もしグラフェン材料のエッジがこうした重縮合ベイエッジ立体配置のみでできているか、または前記エッジ立体配置を多量に含むなら、エッジ結合残基R内のハロゲン原子の最小量は、ややより少ないが、それでも少なくとも65モル%、より好ましくは少なくとも70モル%または少なくとも75モル%である。
好ましくは、エッジ結合ハロゲン原子HAは、ハロゲン化グラフェン材料中に存在する全ハロゲン原子の、少なくとも95モル%または98モル%、より好ましくは少なくとも99モル%、さらにより好ましくは100モル%を占める。
さらなる態様では、本発明は、上で述べたグラフェン材料のエッジハロゲン化処理により得られるハロゲン化グラフェン材料を提供する。好ましくは、前記処理により得られるハロゲン化グラフェン材料は、上で述べた性質を有する。ハロゲン化グラフェン分子(特に式(XIII)〜(XIX))、ハロゲン化グラフェンナノリボン(例えば、繰返し単位により特徴付けられる画定された構造)、および上で述べたハロゲン化グラフェンを参照することができる。
上で述べたように、高度な選択的エッジハロゲン化に起因して、液体媒体中特にトルエン、クロロホルム、および二硫化炭素などの有機液体媒体中で、改善された溶解性または分散性を示すハロゲン化グラフェン材料が得られる。従ってこうして得られるグラフェン材料は、さらなる変換に容易に供することができる。例えば、グラフェン基底面内での化学的修飾、またはエッジでの部分的もしくは完全なハロゲン置換など。
従ってさらなる態様では、本発明は、上で述べた1つまたは複数のハロゲン化グラフェン材料を含み、液体媒体、特に有機液体媒体中で溶解または分散する組成物を提供する。
さらに、ハロゲン化処理が、芳香族基底面ではなくエッジにおいて選択的に行われるので、グラフェン材料の電子的および光学的性質を修正し、明確な様式で微調整することができる。
従ってさらなる態様では、本発明は、上で述べたハロゲン化グラフェン材料を1つまたは複数含有する半導体フィルム(例えば薄膜)を含む電子的、光学的、または光電子デバイスを提供する。
好ましくは、デバイスは、有機電界効果トランジスタデバイス、有機光起電性デバイス、または有機発光ダイオードである。
さらなる態様では、本発明は、上で述べたハロゲン化グラフェン材料を、有機電界効果トランジスタデバイス、有機光起電性デバイス、または有機発光ダイオードなどの、電子的、光学的または光電子デバイスに用いることに関する。
図1に示すスキームにより、構造的に画定されたグラフェンナノリボンを調製し、次にハロゲン化する出発グラフェン材料として用いた。 図2にエッジ塩素化グラフェンの単層FETデバイスのISD−VG特性曲線を示す。
ここで以下の例により本発明をさらに詳細に述べる。
I.ハロゲン化グラフェン分子の調製
以下のグラフェン分子を出発グラフェン材料に用いた。
4218(式Iのグラフェン分子)
Figure 2016510295
式C4218の化合物を、K.Muellen他 J.Am.Chem.Soc.(2011)133、15221に記載のように調製した。
4818(式IIのグラフェン分子)
Figure 2016510295
式C4818の化合物を、K.Muellen他 J.Am.Chem.Soc.(2006)128、9526に記載のように調製した。
6022(式IIIのグラフェン分子)
Figure 2016510295
式C6022の化合物を、Angew.Chem.Int.Ed.(1998)37、2696に記載のように調製した。
6024(式IVのグラフェン分子)
Figure 2016510295
式C6024の化合物を、Angew.Chem.Int.Ed.(2007)46、3033に記載のように調製した。
9630(式Vのグラフェン分子)
Figure 2016510295
式C9630の化合物を、Angew.Chem.Int.Ed.(1997)36、1604に記載のように調製した。
13234(式VIのグラフェン分子)
Figure 2016510295
式C13234の化合物を、Angew.Chem.Int.Ed.(1997)36、631に記載のように調製した。
22242(式VIIのグラフェン分子)
Figure 2016510295
式C22242の化合物を、Angew.Chem.Int.Ed.(1997)36、1604に記載のように調製した。
これらグラフェン分子の各々を、ルイス酸の存在下でハロゲン供与体化合物と反応させた。IClをハロゲン供与体として用い、ルイス酸はAlClとした。
グラフェン分子C4218(I)を以下のようにハロゲン化した。
50mlのフラスコに0.1mmol(52mg)のC4218、0.2mmol(26mg)のAlCl、30mmol(5g)のIClおよび35mlのCClを満たし、次に反応物を撹拌し、80℃で48時間還流した。反応後生成物を30mlのエタノールに注いで反応を抑え、生成物を沈殿させた。次に懸濁液をろ過し、沈殿物をエタノール、塩酸(1.0mol/L)、無イオン水およびアセトンにより順次洗浄した。真空中で乾燥後、約107mg(0.097mmol)の黄色の粉末を得た。収率は約97%である。
グラフェン分子C4818(II)を以下のようにハロゲン化した。
50mlのフラスコに0.1mmol(60mg)のC4818、0.2mmol(26mg)のAlCl、30mmol(5g)のIClおよび35mlのCClを満たし、次に反応物を撹拌し、80℃で48時間還流した。反応後生成物を30mlのエタノールに注いで反応を抑え、生成物を沈殿させた。次に懸濁液をろ過し、沈殿物をエタノール、塩酸(1.0mol/L)、無イオン水およびアセトンにより順次洗浄した。真空中で乾燥後、約103mg(0.086mmol)のオレンジ色の粉末を得た。収率は約85%である。
グラフェン分子C6022(III)を以下のようにハロゲン化した。
50mlのフラスコに0.1mmol(75mg)のC6022、0.25mmol(34mg)のAlCl、30mmol(5g)のIClおよび35mlのCClを満たし、次に反応物を撹拌し、80℃で48時間還流した。その後、45℃にて回転式蒸発器により余分なIClおよび溶媒CClを除いた。暗赤色の粉末が得られ、エタノールで2回洗浄した。次に生成物をカラムクロマトグラフィーにより溶離液としてクロロホルム/ヘキサン(1:1)を用いて精製した。生成物を溶媒先端における第一成分として採取した。溶媒を蒸発させ、真空中で乾燥した後、143mgの暗赤色の粉末を得た。収率は約95%である。
グラフェン分子C6024(IV)を以下のようにハロゲン化した。
50mlのフラスコに0.1mmol(75mg)のC6024、0.25mmol(34mg)のAlCl、30mmol(5g)のIClおよび35mlのCClを満たし、次に反応物を撹拌し、80℃で48時間還流した。その後、45℃にて回転式蒸発器により余分なIClおよび溶媒CClを除いた。赤色の粉末が得られ、エタノールで2回洗浄した。次に生成物をカラムクロマトグラフィーにより溶離液としてクロロホルムを用いて精製した。生成物を溶媒先端における第一成分として採取した。溶媒を蒸発させ、真空中で乾燥した後、145mgの赤色の粉末を得た。収率は約93%である。
グラフェン分子C9630(V)を以下のようにハロゲン化した。
50mlのフラスコに0.05mmol(60mg)のC9630、0.20mmol(28mg)のAlCl、30mmol(5g)のIClおよび35mlのCClを満たし、次に反応物を撹拌し、80℃で48時間還流した。その後、45℃にて回転式蒸発器により余分なIClおよび溶媒CClを除いた。黒色の粉末が得られ、エタノールで2回洗浄した。次に生成物をカラムクロマトグラフィーにより溶離液としてクロロホルムを用いて精製した。生成物を溶媒先端における第一成分として採取した。溶媒を蒸発させ、真空中で乾燥した後、100mgの黒色の粉末を得た。収率は約95%である。
グラフェン分子C13234(VI)を以下のようにハロゲン化した。
50mlのフラスコに0.015mmol(25mg)のC13234、0.20mmol(28mg)のAlCl、30mmol(5g)のIClおよび35mlのCClを満たし、次に反応物を撹拌し、80℃で5日間還流した。反応後、50℃にて回転式蒸発器により余分なIClおよび溶媒CClを除いた。黒色の粉末が得られ、エタノールで2回洗浄した。次に生成物をカラムクロマトグラフィーにより溶離液としてクロロホルム/二硫化炭素(1:1)を用いて精製した。生成物を溶媒先端における第一成分として採取した。溶媒を蒸発させ、真空中で乾燥した後、34mgの黒色の粉末を得た。収率は約83%である。
グラフェン分子C22242(VII)を以下のようにハロゲン化した。
50mlのフラスコに0.01mmol(27mg)のC22242、0.20mmol(26mg)のAlCl、15mmol(2.5g)のIClおよび35mlのCClを満たし、次に反応物を撹拌し、80℃で60時間還流した。その後、45℃にて回転式蒸発器により余分なIClおよび溶媒CClを除いた。黒色の粉末が得られ、エタノールで2回洗浄した。次に生成物をカラムクロマトグラフィーにより溶離液としてクロロホルム/二硫化炭素(1:1)を用いて精製した。生成物を溶媒先端における第一成分として採取した。溶媒を蒸発させ、真空中で乾燥した後、38mgの黒色の粉末を得た。収率は約90%である。
ハロゲン化グラフェン分子のマススペクトルを記録した。質量スペクトルは、マトリックス支援レーザー脱離イオン源が一体化したBruker飛行時間型質量分析計(MALDI−TOF)により得た。全てのハロゲン化グラフェン分子の質量スペクトルで1つの主要な分子質量ピークを表示し、これは得られた塩素化グラフェン分子の純正さと画定された構造を示している。塩素化グラフェン分子の分子質量ピークの同位体分布は、以下にさらに示す分子式(XIII)〜(XIX)に対して計算されたものと一致している。
ハロゲン化グラフェン分子について赤外線スペクトルも測定した。塩素化グラフェン分子の固形フィルムを被覆したKBr結晶円板上で赤外線スペクトルを得た。式(I)〜(IV)および(VII)の化合物から調製した塩素化グラフェン分子の赤外線スペクトルにはC−H伸縮信号は存在せず、このことはグラフェン分子のエッジにおける完全な塩素官能化を実証している。化合物(V)および(VI)の重縮合ベイエッジ立体配置における大きな立体障害に起因して、各々3個および2個の水素原子が残存しており、このことは赤外線スペクトルに明確に示されている。
AlKa単色源を備えたESCALAB 250(Thermo−VG Scientific)上で粉末試料を用いてXPSスペクトルを測定した。
芳香族基底面でのいかなるハロゲン化も完全に抑制される一方で、グラフェン分子のエッジにおいて選択的にハロゲン化が起き、エッジでのハロゲン化度が非常に高いかまたは量的でさえあることが、質量スペクトル、赤外線スペクトルおよびXPSスペクトルから確認できる。重縮合ベイエッジ立体配置により立体的に保護されたエッジ結合H原子だけが、Cl原子により置換されない。
グラフェン分子(I)のハロゲン化から、次のエッジハロゲン化グラフェン分子(XIII)が得られる。
Figure 2016510295
グラフェン分子(II)のハロゲン化から、次のエッジハロゲン化グラフェン分子(XIV)が得られる。
Figure 2016510295
グラフェン分子(III)のハロゲン化から、次のエッジハロゲン化グラフェン分子(XV)が得られる。
Figure 2016510295
グラフェン分子(IV)のハロゲン化から、次のエッジハロゲン化グラフェン分子(XVI)が得られる。
Figure 2016510295
グラフェン分子(V)のハロゲン化から、次のエッジハロゲン化グラフェン分子(XVII)が得られる。
Figure 2016510295
グラフェン分子(VI)のハロゲン化から、次のエッジハロゲン化グラフェン分子(XVIII)が得られる。
Figure 2016510295
グラフェン分子(VII)のハロゲン化から、次のエッジハロゲン化グラフェン分子(XIX)が得られる。
Figure 2016510295
さらなる実験では、各ハロゲン化グラフェン分子(XIII)〜(XVII)を溶媒蒸発により溶液から結晶化した。グラフェン分子(XIII)〜(XVIII)のこれら結晶形態に関して、X線回折測定を行った。XRD測定により上記構造を確認した。
溶媒蒸発により二硫化炭素溶液から(XIII)の単結晶を成長させた。STOE回折計によりグラファイト単色化CuKα放射線源(1.54178Å)を用いてX線回折を測定した。
結晶データ:
42Cl18・(CS2)、M=1294.78、三斜晶系、a=9.1469(18)Å、b=10.368(2)Å、c=12.092(2)Å、α=86.48(3)°、β=88.75(3)°、γ=75.41(3)°、V=1107.6(4)Å3、T=193(2)K、空間群P−1、Z=4、μ(CuKα)=12.292、13412 測定反射数(reflections measureed)、3603 全ての計算に用いた独立反射数(unique)(Rint=0.1935)。最終wR2は0.3097(全データ)およびR1は0.0959(>2シグマ(I))であった。
溶媒蒸発により二硫化炭素溶液から(XIV)の単結晶を成長させた。Oxford Supernova回折計によりグラファイト単色化CuKα放射線源(1.54178Å)を用いてX線回折を測定した。
結晶データ:C48Cl18、M=1214.58、単斜晶系、a=12.861(2)Å、b=28.435(4)Å、c=10.629(3)Å、β=97.155(18)°、V=3856.7(13)Å3、T=173(2)K、空間群C2/c(no.15)、Z=4、μ(CuKα)=12.097、9190 測定反射数、3161 全ての計算に用いた独立反射数(Rint=0.0430)、最終wR2は0.2542(全データ)およびR1は0.0825(>2シグマ(I))であった。
溶媒蒸発により二硫化炭素/クロロホルム(1:1)溶液から(XV)の単結晶を成長させた。Bruker回折計によりグラファイト単色化MoKα放射線源(0.71073Å)を用いて結晶を測定した。
結晶データ:C60Cl22、M=1500.50、単斜晶系、a=27.683(6)Å、b=21.998(4)Å、c=21.006(4)Å、β=91.15(3)°、V=12790.7(4)Å、T=173(2)K、空間群C2/c(no.15)、Z=8、μ(MoKα)=0.976、35168 測定反射数、12556 全ての計算に用いた独立反射数(Rint=0.0756)、最終wR2は0.1397(全データ)およびR1は0.0651(>2シグマ(I))であった。
溶媒蒸発によりトルエン溶液から(XVI)の単結晶を成長させた。Oxford Supernova回折計によりグラファイト単色化CuKα放射線源(1.54178Å)を用いてX線回折を測定した。
結晶データ:C60Cl24、M=1571.40、単斜晶系、a=20.4128(7)Å、b=22.9777(6)Å、c=15.0794(5)Å、β=108.949(4)°、V=6689.5(4)Å、T=173(2)K、空間群C2/c(no.15)、Z=4、μ(CuKα)=9.277、12430 測定反射数、5897 全ての計算に用いた独立反射数(Rint=0.0301)、最終wR2は0.0959(全データ)およびR1は0.0369(>2シグマ(I))であった。
溶媒蒸発によりクロロホルム/シクロヘキサン溶液から(XVII)の単結晶を成長させた。Oxford Supernova回折計によりグラファイト単色化CuKα放射線源(1.54178Å)を用いてX線回折を測定した。
結晶データ:C96Cl27、M=2113.13、単斜晶系、a=36.715(4)Å、b=22.1591(12)Å、c=24.607(3)Å、β=116.242(14)、V=17956(3)Å3、T=173(2)、空間群C2/c(no.15)、Z=8、μ(CuKα)=7.891、32778 測定反射数、14891 全ての計算に用いた独立反射数(Rint=0.0532)、最終wR2は0.1681(全データ)およびR1は0.0620(>2シグマ(I))であった。
II.ハロゲン化され構造的に画定されたグラフェンナノリボンの調製
図1に示すスキームにより、構造的に画定されたグラフェンナノリボンを調製し、次にハロゲン化する出発グラフェン材料として用いた。
出発グラフェンナノリボンは約23’000Daの分子量、および以下の式で説明できる明確な構造(すなわち、繰返し単位RUによって特徴付けられ、このためGNRの構造は[RU]として表わすことができる)を有する。
Figure 2016510295
構造的に画定されたグラフェンナノリボンDGNR(Defined Graphene Nano Ribbon)を以下の手順によりハロゲン化した。
100mlのフラスコに25mgのGNR、0.20mmol(26mg)のAlCl、30mmol(5g)のIClおよび70mlのCClを満たし、次に反応物を撹拌し、80℃で4日間還流した。反応後30mlのエタノールを加えて反応を抑えた。回転式蒸発器により50℃にて溶媒を除いた。次に30mlエタノールを加えた。5分間超音波処理後、懸濁液をろ過した。沈殿物をエタノール、塩酸(1.0mol/L)、無イオン水およびアセトンで順次洗浄した。真空にて乾燥後、約33mg(0.086mmol)の暗紫色の粉末を得た。収率は約85%である。
XPSスペクトルを、AlKα単色源を備えたESCALAB 250(Thermo−VG Scientific)上で、粉末試料を用いて測定した。
ハロゲン化DGNRに行った赤外線スペクトルおよびXPS分析から、ハロゲン化がDGNRのエッジにおいて選択的に起き、エッジに結合したtert−ブチル基、およびtert−ブチル基に対してオルト位にある水素原子がハロゲン原子によって置換され、一方「重縮合ベイエッジ立体配置」により立体的に保護された水素原子は非置換のままで残ることが確認された。出発グラフェンナノリボンと同様に、ハロゲン化グラフェンナノリボンはエッジハロゲン化繰返し単位によって特徴付けられる非常に明確な構造を有する。
Figure 2016510295
III.繰返し単位を持たないハロゲン化グラフェンナノリボンおよびハロゲン化グラフェンの調製
III.1 エッジハロゲン化グラフェン
酸化グラフェンをヒドラジンにより還元して、出発グラフェンを調製した。25mgのグラフェン、0.2mmol(26mg)のAlCl、30mmol(5g)のICl、および35mlのCClを50mlのフラスコに加えた。反応物を撹拌し、80℃で4日間撹拌した。反応後、30mlのエタノールを加えて反応を抑えた。5分間超音波処理後、懸濁液をろ過した。沈殿物をエタノール、塩酸(1.0mol/L)および無イオン水により順次洗浄した。
走査電子顕微鏡により塩素化後に薄片形態が維持されていることを確認し、XPS分析によりハロゲン化がグラフェンのエッジで選択的に起き、一方で芳香族基底面でのハロゲン化がいずれも抑えられていることが示された。
III.2 繰返し単位を持たないハロゲン化グラフェンナノリボン
多層カーボンナノチューブをアンジッピングすることにより出発グラフェンナノリボンGNRを調製した。このトップダウンアプローチにより、繰返し単位を持たない出発GNRを得た。
15mgのGNR、0.2mmol(26mg)のAlCl、30mmol(5g)のICl、および35mlのCClを50mlのフラスコに加えた。反応物を撹拌し、80℃で4日間撹拌した。反応後、30mlのエタノールを加えて反応を抑えた。5分間超音波処理後、懸濁液をろ過した。沈殿物をエタノール、塩酸(1.0mol/L)および無イオン水により順次洗浄した。
走査電子顕微鏡により、塩素化後にリボン形態が維持されていることを確認し、XPS分析によりハロゲン化がグラフェンのエッジにおいて選択的に起き、一方芳香族基底面でのハロゲン化がいずれも抑えられていることが示された。
IV.塩素化グラフェンを用いた電界効果トランジスタデバイスの製造
III.1で調製した塩素化グラフェンから単層シートFETデバイスを製造し、非塩素化グラフェンによるデバイスと比較した。両デバイスは約10cm−1−1の類似の正孔移動度を示すが、塩素化グラフェンの電子移動度は、(非塩素化グラフェンの)1.0cm−1−1から5.5cm−1−1に増大する。
図2にエッジ塩素化グラフェンの単層FETデバイスのISD−V特性曲線を示す。

Claims (18)

  1. グラフェン、グラフェンナノリボン、グラフェン分子、またはこれらの混合物から選択されるグラフェン材料を、エッジハロゲン化グラフェン材料を得るように、ルイス酸の存在下でハロゲン供与体化合物と反応させる、グラフェン材料のエッジハロゲン化方法。
  2. 前記グラフェン材料が、水素、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アリール基、またはこれらの任意の組合せから選択されるエッジ結合残基Rを有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記グラフェン分子が、8〜200個の縮合芳香族環を有する多環式芳香族化合物である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記グラフェン分子が、以下の化合物(I)〜(VII)の1つまたは複数から選択される、請求項3に記載の方法。
    Figure 2016510295

    Figure 2016510295

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    Figure 2016510295

    Figure 2016510295

    [式中、エッジ結合残基Rは請求項2と同じ意味を有する。]
  5. 前記グラフェンナノリボンが、50nm未満、より好ましくは10nm未満の最大幅を有する、請求項1または2に記載の方法。
  6. ハロゲン供与体化合物が、ハロゲン間化合物、SCl、SOCl、SClとSOClの混合物、SOCl、Cl、Br、F、I、PCl、PCl、POCl、POCl、POBr、N−ブロモスクシンイミド、N−クロロスクシンイミド、またはこれらの任意の混合物から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記ハロゲン間化合物が、以下の式(VIII)を有する化合物である、請求項6に記載の方法。
    XY (VIII)
    [式中、
    nは1、3、5、または7であり、
    XおよびYは異なっており、F、Cl、Br、Iから選択される。]
  8. ルイス酸が式(IX)〜(XII)の化合物から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
    AX(IX)
    [式中、AはAl、Fe、Sm、Sc、Hf、In、Y、またはBであり、Xはハロゲン(好ましくはF、Cl、Br、P)またはトリフルオロスルホン酸塩である。];
    AX(X)
    [式中、AはP、Sb、Mo、またはAsであり、Xはハロゲンである。];
    AX(XI)
    [式中、AはTiまたはSnであり、Xはハロゲンである。];
    AX(XII)
    [式中、AはMg、Zn、CuまたはBeであり、Xはハロゲンまたはトリフルオロスルホン酸塩である。]
  9. グラフェン、グラフェンナノリボンもしくはグラフェン分子の前記エッジ結合残基Rの、ルイス酸に対するモル比が、100/1〜1/5の範囲内にあり、および/またはグラフェン、グラフェンナノリボンもしくはグラフェン分子の前記エッジ結合残基Rの、ハロゲン供与体化合物に対するモル比が、1/1〜1/100の範囲内にある、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 有機液体中で実施される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の方法に従って得られる、ハロゲン化グラフェン材料。
  12. 芳香族基底面およびエッジを含むハロゲン化グラフェン材料であって、ハロゲン化グラフェン材料のエッジに共有結合的に付いている残基Rの少なくとも65モル%がハロゲン原子HAであり、エッジに結合したハロゲン原子HAがハロゲン化グラフェン材料中に存在する全ハロゲン原子の少なくとも95モル%を占め、ハロゲン化グラフェン材料がハロゲン化グラフェン、ハロゲン化グラフェンナノリボンおよびハロゲン化グラフェン分子から選択される、ハロゲン化グラフェン材料。
  13. 前記ハロゲン化グラフェン分子が以下の式(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)、(XVIII)、および(XIX)の1つを有する、請求項11または12に記載のハロゲン化グラフェン材料。
    Figure 2016510295

    Figure 2016510295

    Figure 2016510295

    Figure 2016510295

    Figure 2016510295
  14. ハロゲン化グラフェンナノリボンが50nm未満の最大幅を有し、および/またはハロゲン化グラフェンナノリボンもしくは少なくともそのセグメントが[RU]からできており、式中、RUは繰返し単位であり、かつ2≦n≦2500である、請求項11から13のいずれか一項に記載のハロゲン化グラフェン材料。
  15. 液体媒体中に溶解または分散している、請求項11から14のいずれか一項に記載のグラフェン材料を含む組成物。
  16. 請求項11から14のいずれか一項に記載のグラフェン材料を含む半導体フィルムを備える、電子、光学、または光電子デバイス。
  17. 有機電界効果トランジスタデバイス、有機光起電性デバイス、または有機発光ダイオードである、請求項16に記載のデバイス。
  18. 請求項11から14のいずれか一項に記載のグラフェン材料を、電子、光学、または光電子デバイスで使用する方法。
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