JP2016531071A - ディールスアルダー反応によって補助する、グラファイトを含有する炭素質材料を剥離する方法 - Google Patents

ディールスアルダー反応によって補助する、グラファイトを含有する炭素質材料を剥離する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016531071A
JP2016531071A JP2016530591A JP2016530591A JP2016531071A JP 2016531071 A JP2016531071 A JP 2016531071A JP 2016530591 A JP2016530591 A JP 2016530591A JP 2016530591 A JP2016530591 A JP 2016530591A JP 2016531071 A JP2016531071 A JP 2016531071A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
graphene
diels
graphite
formula
alder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016530591A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016531071A5 (ja
JP6345242B2 (ja
Inventor
バッサーニ,ダリオ
ヴェーラック,ジャン−バティスト
バレシュ,ユゴー,フロリアン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Centre National de la Recherche Scientifique CNRS
Original Assignee
Centre National de la Recherche Scientifique CNRS
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Centre National de la Recherche Scientifique CNRS filed Critical Centre National de la Recherche Scientifique CNRS
Publication of JP2016531071A publication Critical patent/JP2016531071A/ja
Publication of JP2016531071A5 publication Critical patent/JP2016531071A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6345242B2 publication Critical patent/JP6345242B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/805Electrodes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/15Nano-sized carbon materials
    • C01B32/182Graphene
    • C01B32/184Preparation
    • C01B32/19Preparation by exfoliation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/20Graphite
    • C01B32/21After-treatment
    • C01B32/22Intercalation
    • C01B32/225Expansion; Exfoliation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B2204/00Structure or properties of graphene
    • C01B2204/02Single layer graphene
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B2204/00Structure or properties of graphene
    • C01B2204/04Specific amount of layers or specific thickness
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K2102/00Constructional details relating to the organic devices covered by this subclass
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E70/00Other energy conversion or management systems reducing GHG emissions
    • Y02E70/30Systems combining energy storage with energy generation of non-fossil origin

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Geology (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)

Abstract

本発明は、ディールスアルダー反応によって促進する、炭素系材料中のグラファイトの剥離の方法と、その用途、特に透明導電電極など電子部品又はマイクロ電子部品の製造とに関する。本発明の方法は、グラファイトを含有する材料と式(I)で表されるアントロン化合物 式中、X、R1、R2、R3、及びR4は明細書に定義する通り、との間の、有機溶媒中、塩基の存在下、超音波処理、ボールミル粉砕、及び/又は高せん断混合下、15℃〜65℃の温度下のディールスアルダー反応を、それに伴うグラフェンディールスアルダー付加体を得るように、含む。

Description

優先権
本特許出願は、2013年7月31日出願の特許出願FR 1 357 602の優先権を主張し、これによって、参照によりこの文献の内容全体が本明細書に援用される。
本発明は、ディールスアルダー反応によって促進する、炭素系材料中のグラファイトの剥離の方法と、その用途、特に透明導電電極など電子部品又はマイクロ電子部品の製造とに関する。
本発明はまた、かかる方法によって得られるディールスアルダー付加体と、これらの付加体から得られるグラフェンシートと、これらのグラフェンシートの使用とに関する。
以下の記載において、角括弧([ ])の中の参考文献は、実施例の後に挙げる参考文献一覧を参照する。
グラフェンは二次元的(単平面)炭素結晶であり、その堆積はグラファイトを形成する。それは、優れた電子特性を有し、グラファイトの剥離によって大量に得られる潜在性がある。
グラフェンの製造方法は存在するが、工業的観点からは、それらは最適で実行可能では決してない。
既存の、グラファイトの機械的又は超音波補助的剥離方法により、有機溶媒中に分散状態でグラフェンを得ることが可能である。しかしながら、得られる材料は、加えられた機械的応力に比例した密度の欠陥を示し、得られるグラフェンを目的の工業用途に不適切なものとする。
グラフェンはまた、その形成を触媒することができる金属基板(例えばNi又はCu)上への化学蒸着(CVD)によって生成させ、層剥離処理によって他の基板上へ移すことも可能である。これの利点は、非常に薄い高品質のグラフェン層(一層又は二層)を得ることができることであるが、その方法は長い時間を要し、費用がかかる。
主として、グラファイトの官能化(Chakraborty et al., "Functionalization of potassium graphit", Angew. Chem. Int. Ed., 46, 4486-4488 (2007) [参考文献1])、又は
グラファイト酸化物の官能化(Niyogi et al., "Solution Properties of Graphite and Graphene", J. Am. Chem. Soc., 128, 7720-7721 (2006) [参考文献2]; McAllister et al., "Single Sheet Functionalized Graphene by Oxidation and Thermal Expansion of Graphite", Chem. Mater., 2007, 19 (18), 4396-4404 [参考文献3])による、溶解の試
みがいくつか報告されている。
グラフェンを酸化により化学的に修飾してグラフェン酸化物を得ることで、より容易に極性溶媒及び水性溶媒中に溶解する材料を得ることが可能となる。しかしながら、グラフェン酸化物を還元してグラフェンを得ることは、困難でしばしば不完全であり、欠陥のないグラフェンシートを得ることが可能とはならない。
概して、現行の剥離方法には、重質溶媒(heavy solvent)(N−メチルピロリジン、
沸点202℃)、高ハロゲン化溶媒(1,2−ジクロロベンゼン)、あるいはエレクトロニクス産業の用途にあまり適しない溶媒(イオン性液体)の使用が必要となる。さらに、それらはしばしば大量の超音波を必要とし、その結果、得られるグラフェンに高度な分解を生じ、これは、目的の工業用途でのその使用に有害である。さらに、これらの方法は、得られるグラファイト面が、官能化及び/又は変性されるという欠点を示す。
今日までのところ、工業におけるグラフェンの開発は、上に述べたものなど、主として、材料を製造することと使用することとにおける困難により、限定されている。先行技術の上述の短所、欠点、及び障害を克服する方法、特に、グラフェンの溶解にあまり好ましくないと今まで思われていた溶媒中に、欠陥のほとんどない高品質のグラフェンシートを得ることを可能にする方法に対する現実的な必要性が存在する。
具体的には、本発明は、グラファイト含有材料と次の式(I):
[式中、
XはO又はSを表し;
、R、R、及びRは、互いに独立して水素原子、−NR、−N、−OR、−COM、若しくは−SOMを表すか;又は、一方ではRとRとが、他方ではRとRとが一緒になって、置換されていてもよい不飽和のCシクロアルキル基を形成して、次の構造を有する式(II):
(式中、
XはO又はSを表し;
R’、R’、R’、及びR’は互いに独立して水素原子、−NR、−N、−OR、−COM、又は−SOMを表す)
のペンタセノン型化合物を生じさせ;
Mは、水素原子又はアルカリ金属原子を表し;R、R、R、及びRの各出現は互いに独立して水素原子又は直鎖状若しくは分岐状C〜C16アルキルを表す]
を有するアントロン型化合物との間の、有機溶媒中、塩基の存在下、超音波処理、ボール
ミル粉砕、及び/又は高せん断混合下、15℃〜65℃の温度下のディールスアルダー反応を、それに伴うグラフェンディールスアルダー付加体を得るように含む、グラファイト含有材料の剥離方法を提供することによってこの必要性を満たすことを目的とする。
有利なことには、グラファイト含有材料は、グラファイトを含む当分野で公知のいかなる材料でもよい。例えば、それはグラファイトでもカーボンブラックでもよい。
有利なことには、上記の方法は、下の式I又はII
(式中、R、R、R、R、R’、R’、R’、及びR’は上に定義の通りである)
のアントロン型又はペンタセノン型化合物で実施することができる。所定の実施形態では、上記の方法は、上に定義の通りの式I又はIIの化合物を用いて、超音波処理下、15℃〜65℃の温度で実施することができる。
有利なことには、上記の方法は、下の式I又はII
(式中、R、R、R、R、R’、R’、R’、及びR’は上に定義の通りである)
のチオアントロン型又はチオペンタセノン型化合物で実施することができる。
式I、II、I、II、I、及びIIのそれぞれにおいて、また、R、R、R、R、R’、R’、R’、及びR’の定義において、Rラジカルはまた、Rの各出現ごとに互いに独立して、式:
(式中、nは、1〜6、好ましくは1〜3の整数、好ましくは3を表す)
のポリエチレングリコールラジカルを表すことができる。
本発明に関連して、用語「グラフェン」は、炭素原子の(単平面)シート1〜5枚からなる、基本的に二次元の炭素原子の結晶を意味するものと理解される。このようにして、本文書において、用語「グラフェン」は、グラフェンの厳密な(科学的)定義(即ち、炭素原子の二次元的(単平面)結晶であって、その堆積がグラファイトを構成するもの)を包含するが、多層のグラフェン(2〜5シート)をも包含する。このようにして、本発明に関連して用いる用語「グラフェン」は、炭素原子の単層シート、炭素原子の多層シート(2〜5シート)、又はこれらの混合物の形式で存在する材料を指す。
有利なことには、上記のグラフェンディールスアルダー付加体は、単層シート、数シート(2〜5シート)の多層シート、又はこれらの混合物の形式で存在する。
全く驚くべきことには、本発明の方法は、上記のアントロン型若しくはペンタセノン型化合物又はチオ類似体の使用によって、このようにして、第1のステップでグラファイトからグラフェンシートをグラフェンディールスアルダー付加体(単層シート又は2〜5シートの多層シート)の形式で剥離し、次いで、アニーリングステップの後にグラフェンを得ることが可能となる。具体的には、今まで、グラファイト試料にディールスアルダー反応を起こす試みは、剥離のない、そのグラファイトの官能化という結果にしかならなかった(cf. Haddon et al., Accounts of Chemical Research, vol. 45(4), 2012, 673-682 [参考文献14]、Haddon et al., JACS, 133, 2011, 3324-3327 [参考文献15]、及び韓国特許出願KR2012-0104767 [参考文献16])。
本発明は、グラフェンシート(単層シート又は2〜5シートの多層シート)が得られるよう、最初にディールスアルダー反応によってグラファイトの剥離を実施することを構成する。
いかなる特定の理論にも縛られることを望むものではないが、本発明によるアントロン型又はチオアントロン型化合物(式I又はIIの化合物)は、グラファイトに対して行われたもののその剥離という結果に至っていないディールスアルダー反応における、文献で報告される他のジエン(cf. 上記刊行物Haddon et al., 2011、及び韓国特許出願KR2012-0104767)とは異なり、これらの特定のジエンの反応性によりグラフェンシートの剥離を
行うことが正確にでき、この反応性はそれらの互変異性によるものであり、これは、インサイチュでアントラセノール/チオアントラセノール又はペンタセノール/チオペンタセノールの形をそれぞれ発生させるものである。
この互変異性平衡は、塩基の存在によって加速され、これがまた、アントラセノール又はペンタセノールを脱プロトン化し、そうしてそれぞれアントラセノレート又はペンタセノレートアニオンを形成することを可能とする。比較すると、これらの条件下で、アント
ラセノールは、高い電子密度のために、ディールスアルダー反応に関しては、アントラセンや9−メチルアントラセン(及びまた、他の一般的なジエン)に比べて1000〜10000倍の反応性を有するジエンである。他の利点は、アントロン/チオアントロン(及びペンタセノン/チオペンタセノン)の形態は、それ自体電子を失っており、そのため酸化及び光酸化に対して非常に安定となる、ということである。このことは、大気中で自然に酸化する、感光性であるペンタセンに比べて、非常に注目すべきことである。アルケン化合物との比較では、このことは、グラフェンがジエンとして挙動することになるため、ディールスアルダー反応を逆行させる。
さらに、式I又はIIの(チオ)アントロン型の化合物は、その(チオ)アントラセノール又は(チオ)ペンタセノール互変異性形式を通して、塩基の存在下でのその高い反応性によって、より穏やかな条件下で、グラフェンのディールスアルダー付加体を得ることを可能とする。付加体は、(ディールスアルダー付加体形式の)グラフェンシートの溶解に好ましい高立体障害(「蝶」形のトリプタセン構造)を示す。最初のグラフェン及びアントラセノール/チオアントラセノール又はペンタセノール/チオペンタセノールを得るために、逆環化反応は、比較的低い温度で行い、これにより、プラスチック基板上への堆積による用途を企図することが可能となる。
グラファイトを剥離して単原子シート(グラフェン)を得るには、シートを結合する接着力を相殺するために、大量のエネルギーが必要となる。本発明は、単原子面中に変形を誘導するために、多環芳香族化合物と、グラファイトを構成するグラフェンシートとの間の可逆反応を利用し、穏やかな条件下でのそれらの剥離をもたらす。用いる反応は、付加環化反応に関してアセンの反応性を増加させることのできる帯電性又は中性の置換基を有する、上に定義した通りの式I又はIIのアントラセン又は[n]−アセン(n=3〜5)誘導体(以下、「アセン」ともいう)を含むディールスアルダー付加環化(図1)である。上記方法は、様々な溶媒中で、剥離されたグラフェンを得ることを可能とする。アセンの反応性と、用いる溶媒の反応性とによっては、超音波に加えて、わずかな熱活性化で剥離方法を補助することが必要である場合がある。第四級アンモニウム(例えば、−N)基、カルボキシレート(例えば、−CO Na)基、又はスルホン酸(例えば、−SO Na)基など、帯電した置換基の場合、このようにして得られるグラフェンシート(1〜5シート)はまた、プロトン化剤若しくは脱プロトン化剤によるか、又は化学反応によるかして、帯電させること及び中性化させることができ、こうして、剥離されたグラフェンの後官能化(post-functionalization)を可能にすることができる。
得られる剥離グラフェン懸濁液は、非常に安定であることができ、剥離グラフェンを必要とする様々な用途に直接使用することができる。例えば、透明導電電極は、剥離されたグラフェンディールスアルダー付加体の薄層を透明支持体上に堆積させることによって製造することができる。真空下のアニーリングのステップにより、その温度と時間が使用アセンの化学的性質に左右されるが、昇華によってアセンを除去することが可能である。
いかなる特定の理論にも縛られることを望むものではないが、反応機構が、エノン形式と平衡状態で高反応性アセン(アントロンには9−アントラセノール、及び6,6−ジヒドロペンタセン−13−オンには6−ペンタセノール(図1A);チオアントロンには9−チオアントラセノール、及び6,6−ジヒドロチオペンタセン−13−オンには6−チオペンタセノール(図1B))をインサイチュで形成することを含む、ということが提案される。それぞれの後者の方は、グラフェンの求ジエン体部位と迅速に反応して、ディールスアルダー付加体を形成し、これの三次元構造及びsp炭素中心がグラフェンシートの平坦度を変形させる(図1A及び1B)。このことは、結果として、その剥離をもたらし、溶液中でのその安定化に寄与する。反応媒体中に可溶のいずれの有機塩基も、ケトン
型アセンとエノール型アセンとの間の相互変換を加速することを可能にする。
アントロン及びペンタセノンの合成は、非常に長い間公知となっている。読者は、アルコキシル、ポリエチレングリコール、アミノ、第四級アンモニウム、カルボキシル、カルボキシレート、又はスルホン酸塩の各置換基をR〜R及びR’〜R’の位置に保有する誘導体を含め、本発明に関連して用いられる式I及びIIの化合物を調製するために、公知の合成方法を適合させる仕方を知っているものである。例えば、Goichi et al.,
"Improved Synthesis of 1,8-Diiodoanthracene and Its Application to the Synthesis of Multiple Phenylethynyl-Substituted Anthracenes", Synthesis, 2005(13), 2116-2118 [参考文献12]、及び Li et al., Synthesis of 1,2,3,4,8,9,10,11-Octasubstituted Pentacenequinone Derivatives and their Conversion into Substituted Pentacenes,
Chemistry - An Asian Journal, 2010, 5, 1620-1626 [参考文献13]を挙げることができる。
有利なことには、式(I)の化合物においては、R、R、R、及びRは互いに独立して水素原子、−NR、−N、−OR、−COM、又は−SOMを表し、R、R、R、及びRの各出現は、互いに独立して水素原子又は直鎖状若しくは分岐状C〜C12アルキル基、例えば直鎖状又は分岐状C〜Cアルキル基、有利には分岐状Cアルキル基を表し、各出現ごとにRはまた、式:
(式中、nは、1〜6、好ましくは1〜3、好ましくは3の整数を表す)
のポリエチレングリコールラジカルを表すことができる。有利なことには、式(I)の化合物においては、R、R、R、及びRは、互いに独立して、水素原子、−N、−OR、−COM、又は−SOMを表し、Mは、水素原子又はLi、Na、若しくはK(好ましくは、MはNaを表す)などアルカリ金属原子を表し、R、R、R、及びRの各出現は、互いに独立して水素原子又はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、nブチル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、若しくはn−ヘキシル基を表し、Rはまた、各出現ごとに、式:
のポリエチレングリコールラジカルを表すこともできる。有利なことには、式(I)の化合物においては、R、R、R、及びRは、互いに独立して、−N、−COM、又は−SOMを表し、Mは、Li、Na、又はK(好ましくは、MはNaを表す)などアルカリ金属原子を表し、R、R、及びRの各出現は、互いに独立して水素原子又はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、nブチル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、若しくはn−ヘキシル基を表し、Rはまた、各出現ごとに、式:
のポリエチレングリコールラジカルを表すこともできる。有利なことには、式(I)の化合物においては、R、R、R、及びRは、互いに独立して、水素原子、−NR、又は−ORを表し、R、R、及びRの各出現は、互いに独立して水素原子又はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、nブチル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、若しくはn−ヘキシル基を表し、Rはまた、各出現ごとに、式:
のポリエチレングリコールラジカルを表すこともできる。一変形では、R、R、R、及びRは、互いに独立して、水素原子又は−NRを表し、R及びRは、互いに独立して、水素原子又はメチル基若しくはエチル基を表す。一変形では、R、R、R、及びRは、互いに独立して、水素原子又は−NRを表し、R及びRはそれぞれ、水素原子又はメチル基若しくはエチル基を表す。一変形では、R、R、R、及びRは、互いに独立して、水素原子又は−NRを表し、R及びRはそれぞれ、水素原子を表す。一変形では、R、R、R、及びRはそれぞれ、水素原子を表す。
有利なことには、式(I)の化合物は、次の式:
(式中、X、R、及びRは上に定義の通りであり、上に記載の全ての変形を含む)を有する。
有利なことには、式(I)の化合物は、次の式:
(式中、X及びRは上に定義の通りであり、上に記載の全ての変形を含む)
を有する。
有利なことには、式(I)の化合物においては、一方ではRとRが、他方ではRとRが、一緒になって、次の構造を有する式(II):
[式中、XはO又はSを表し、
R’、R’、R’、及びR’は、互いに独立して、水素原子、−NR、−N、−OR、−COM、又は−SOMを表し、
R、R、R、及びRの各出現は、互いに独立して、水素原子又は直鎖状若しくは分岐状C〜C12アルキル基、例えば直鎖状若しくは分岐状C〜Cアルキル基、有利には分岐状Cアルキル基を表し、Rはまた、各出現ごとに、式:
(式中、nは1〜6、好ましくは1〜3、好ましくは3の整数を表す)
のポリエチレングリコールラジカルを表すこともできる。]
の化合物をもたらすために、置換されていてもよい不飽和のCシクロアルキル基を形成する。有利なことには、式(II)の化合物においては、R’、R’、R’、及びR’は、互いに独立して、水素原子、−N、−OR、−COM、又は−SOMを表し、Mは、水素原子又はLi、Na、若しくはK(好ましくは、MはNaを表す)などアルカリ金属原子を表し、R、R、R、及びRの各出現は、互いに独立して水素原子又はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、nブチル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、若しくはn−ヘキシル基を表し、Rはまた、各出現ごとに、式:
のポリエチレングリコールラジカルを表すこともできる。有利なことには、式(II)の化合物においては、R’、R’、R’、及びR’は、互いに独立して、−N、−COM、又は−SOMを表し、Mは、Li、Na、若しくはK(好ましくは、MはNaを表す)などアルカリ金属原子を表し、R、R、及びRの各出現は、互いに独立して水素原子又はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、nブチル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、若しくはn−ヘキシル基を表し、Rはまた、各出現ごとに、式:
のポリエチレングリコールラジカルを表すこともできる。有利なことには、式(II)の化合物においては、R’、R’、R’、及びR’は、互いに独立して、水素原子、−NR、又は−ORを表し、R、R、及びRの各出現は、互いに独立して水素原子又はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、nブチル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、若しくはn−ヘキシル基を表し、Rはまた、各出現ごとに、式:
のポリエチレングリコールラジカルを表すこともできる。一変形では、R’、R’、R’、及びR’は、互いに独立して、水素原子又は−NRを表し、R及びRは、互いに独立して、水素原子又はメチル基若しくはエチル基を表す。一変形では、R’、R’、R’、及びR’は、互いに独立して、水素原子又は−NRを表し、R及びRはそれぞれ、水素原子又はメチル基若しくはエチル基を表す。一変形では、R’、R’、R’、及びR’は、互いに独立して、水素原子又は−NRを表し、R及びRはそれぞれ、水素原子を表す。一変形では、R’、R’、R’、及びR’はそれぞれ、水素原子を表す。
有利なことには、式(II)の化合物は、次の式:
(式中、X、R’、及びR’は上に定義の通りであり、上に記載の全ての変形を含む)
を有する。
有利なことには、式(II)の化合物は、次の式:
(式中、X及びR’は上に定義の通りであり、上に記載の全ての変形を含む)
を有する。
有利なことには、式I又はIIの化合物において、置換基の少なくとも1つは−COM又は−SOMを表し、Mは、Li、Na、又はK、好ましくはNaを表すことができる。
有利なことには、式(I)の化合物は、次の構造:
の1つに対応する。
有利なことには、上記有機溶媒は、当業者に既知の任意の有機溶媒とすることができる。例えば、飽和若しくは不飽和の脂肪族若しくは脂環式炭化水素(n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、シクロヘキサン、若しくはメチルシクロヘキサンな
ど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメン、若しくはメシチレンなど)、好ましくは少なくとも3つの炭素原子を含むアルコール(イソプロパノール、n−ブタノール、シクロヘキサノールなど)、グリコール(エチレングリコール若しくはプロピレングリコールなど)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、四塩化炭素、パークロロエチレン、若しくは1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンなど)、ケトン(アセトン、ブタノン、2−ペンタノン、シクロヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、若しくは2,6−ジメチル−4−ヘプタノンなど)、エステル(エチルアセテート、プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート(isobutyl actetate)、アミルアセテート、若しくは2−エチルヘキシルアセテ
ートなど)、エーテル(テトラヒドロフラン(THF)、エチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、アニソール、若しくは2,5,8−トリオキサノナンなど)、グリコールエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、(2−メトキシメチルエトキシ)−プロパノール、若しくはトリプロピレングリコールモノメチルエーテルなど)、又はアセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、若しくはジメチルホルムアミド(DMF)など他の有機溶媒、又はこれらのうち2つ以上の混合物が挙げられる。有利なことには、メタノール又はエタノール以外の有機溶媒が好ましいと考えられる。有利なことには、ベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、及び同種のものなど、芳香族溶媒を用いることができる。例えば、有機溶媒は、THF、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、2−プロパノール、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、又は1,2−ジクロロベンゼンであってもよい。
有利なことには、溶媒は、それがグラフェン又は得られるグラフェンディールスアルダー付加体のフィルムを安定化させ、溶解させることができるようなものを選択することができる。これを行うためには、溶媒は、極性非プロトン性溶媒又は極性過ぎない芳香族溶媒から選択することができる。
有利なことには、用いる塩基は、反応媒体に可溶であれば、当業者に既知のどの塩基でもよい。例えば、ジエチルアミン、ジメチルアミン、アザクラウンエーテル、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−メチルシクロペンチルアミン又はN−エチルシクロペンチルアミンなど、ジアルキルアミン又はトリアルキルアミンが挙げられる。また、それとして、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、又はピリミジンなど、窒素性芳香族塩基が挙げられる。
有利なことには、上記方法は、次の技術の少なくとも1つによって行われる:超音波処理、ボールミル粉砕、及び高せん断混合。これらの技術は、単独で用いても組合せて用いても、剥離方法を加速させることができる。
有利なことには、上記方法は、超音波処理のみによって行われる。より有利なことには、超音波処理は、ボールミル粉砕及び/又は高せん断混合によって補われる。超音波処理とボールミル粉砕、又は超音波処理と高せん断混合は、同時であっても順次であってもよく、好ましくは順次である。
有利なことには、超音波処理は、穏やかな超音波処理、即ち、それ自体単独ではグラファイトの剥離ができない超音波処理である。
有利なことには、超音波処理は、上に定義した通りの穏やかな超音波処理を行うために適切な周波数で作動する超音波浴処理器を用いて行われる。この目的のために提供される機器は、当業者に周知である。例えば、30又は37kHzで作動する超音波浴処理器を用いることができる。有利なことには、超音波処理の電力と時間は、上に定義した通りの穏やかな超音波処理を可能にするために調整することができ、同時に、本発明の方法によるディールスアルダー反応によって修飾したグラフェンシートを無傷に保つことができる。例えば、超音波処理の電力は、約40〜150Wの消費とすることができ、超音波処理の時間は、10分〜5時間の間で変動させることができる。
有利なことには、本発明による方法は、周囲温度、即ち20〜25℃で行うことができる。わずかにより高い温度、例えば25〜65℃でも有利である。典型的には、本発明による方法は、20〜65℃の温度で行うことができる。
本発明による方法によって得られるグラフェンディールスアルダー付加体は、剥離されるグラフェンシートの大きさに従って、反応媒体中に可溶性となることもあるし不溶性となることもある。このようにして、一変形によれば、方法は、遠心処理ステップを追加的に含むことができ、このステップは、方法の終了時に得られる溶液から不溶解画分をも分離することを可能にする。当業者であれば、澄明な液、即ち検出可能凝集物を含まない溶液を得るために適切な遠心処理条件を決定する仕方を知るものである。例えば、遠心処理は、分当り1000〜5000回転で0.1〜24時間行うことができる。有利なことには、遠心処理ステップは、分当り3000回転で30分〜1時間行われる。
有利なことに、遠心処理の間に溶液中に凝集物が存在するかどうかは、肉眼で確認される。そうして、澄明な液(即ち、肉眼に見える凝集物のない溶液)を得ることを遠心処理が可能にしたときを判定するために、溶液の試料を、遠心処理ステップ中の異なる時間間隔で取り出すことができる。肉眼での検査により、最小約10分の1ミリメートル(100ミクロン)の大きさを有する、あり得る凝集物を検出することが可能である。
有利なことには、遠心処理の間に溶液中に凝集物が存在するかどうかは、光学顕微鏡で確認される。そうして、澄明な液(即ち、光学顕微鏡に見える凝集物のない溶液)を得ることを遠心処理が可能にしたときを判定するために、溶液の試料を、遠心処理ステップ中の異なる時間間隔で取り出すことができる。光学顕微鏡での検査により、最小約1ミクロンの大きさを有する、あり得る凝集物を検出することが可能である。一具体的実施形態では、溶液の試料は、20〜100倍の拡大率を有する光学顕微鏡で分析することができる。
一変形では、方法は、方法によって得られる化学的に修飾されたグラフェンのディールスアルダー付加体(「DA」付加体)を分離するために、遠心処理の完了時に得られる上清をろ過するステップを追加的に含むことができ、それが反応媒体中に可溶性であるか否かを問わない(可溶性又は部分的に可溶性であれば、上清が回収され、不溶性又は部分的に不溶性であれば、不溶性画分が回収される)。例えば、ろ過ステップの後、DA付加体が不溶性又は部分的に可溶性の場合、DA付加体は、この方法の間に用いられた同じ溶媒ですすぐことができる。付加体は、このようにすすいだ後、乾燥してもよい。
ボールミル粉砕は、当業者に公知のいずれの技術及び機器によっても行うことができる。例えば、Zhao, W., Fang, M., Wu, F., Wu, H., Wang, L. and Chen, G. Preparation of graphene by exfoliation of graphite using wet ball-milling. J. Mater. Chem., 20, 5817-5817 (2010) [参考文献17]を参照することができる。
高せん断混合は、当業者に公知のいずれの技術及び機器によっても行うことができる。例えば、Nature Materials, 2014, 13, 624-630) [参考文献18]を参照することができる
グラフェンディールスアルダー付加体が得られ分離されると、ディールスアルダー反応を逆行させ(逆ディールスアルダー反応)、そうしてグラフェンそのもの(単層シート、2〜5シートの多層シート、又はこれらの混合物)を得るために、(ディールスアルダー付加体の形式の)剥離グラフェンシートをアニーリングに付すことができる。このようにして、有利なことには、本方法は、真空下でグラフェンディールスアルダー付加体をアニーリングして、グラフェンそのものを得るステップを追加的に含むことができる。このアニーリングステップは、例えば、150〜200℃、好ましくは160〜180℃の温度で行うことができる。有利なことには、アニーリングステップは、真空下、例えば1.33322Pa以下(≦0.01mmHg)、好ましくは1.33322×10−3Pa(10−5mmHg)〜1.33322Pa(≦0.01mmHg)の低い圧力、で行うことができる。
このようにして得られるグラフェンは、単層シート、又は数枚(2〜5)のシートの多層シート、又はこれらの混合物の形式で存在してもよい。
有利なことには、DA付加体は、反応媒体中に可溶性又は部分的に可溶性でもよく、上清中に少なくとも部分的に存在してもよい。グラフェンDA付加体を溶液の形式で得ることは、その工業用途、特に、所与の使用の目的のためにそれを成形することに、非常に有利である。これは、かかる溶液は、グラフェンの付加体のフィルムを形成するか、又はグラフェンを含む複合物を含浸によって調製する目的で、所与の基板の上に平面状グラフェンDA付加体を堆積させるのに、容易に用いることができるからである。これは、グラフェンDA付加体を上記基板上に堆積させてすぐ、それをアニーリングに付して、上に記載の通りにグラフェンシートを(逆ディールスアルダー反応によって)得ることができるからである。これらの溶液はまた、グラフェンの精製を可能とする。
概して、本発明の方法は、撹拌を行っても行わなくても用いることができる。撹拌システムを用いる場合、それは、機械的撹拌、磁気撹拌、又は超音波処理による撹拌のシステムとすることができる。一具体的な実施形態では、本方法は機械的撹拌下で行うことができる。他の実施形態では、本方法は、磁気撹拌下で行うことができる。有利なことには、本発明の方法は、超音波処理以外の撹拌システムなしで行うことができる。
有利なことには、グラフェンDA付加体が反応媒体中で可溶性であるとき、本発明に係る方法は、所与の基板上に平面状のグラフェンDA付加体を堆積させるステップを追加的に含む。好ましくは、この堆積は、不活性雰囲気下で行うことができる。堆積を行い、溶媒を除去すると、基板を真空下でアニーリングに付すことができ、それからグラフェンシートは表面との相互作用状態に入り、表面上で安定した状態となる。
堆積は、或る量のグラフェンDA付加体の溶液を基板上に単一的に堆積させ、続いて、グラフェンDA付加体の面を分離するために用いる溶媒の蒸発によって、行うことができる。例えば、本発明のグラフェンDA付加体の溶液は、所与の基板上に堆積させることができ、溶媒は、不活性雰囲気下で蒸発させることができる。基板上に堆積させる平面状のグラフェンDA付加体は、極性非プロトン性溶媒が蒸発すると、このようにして得ることができる。
グラフェンDA付加体の堆積はまた、例えば、グラフェンDA付加体の溶液のフィルムが所与の基板上に堆積されることを可能にするブラシ又は他の器具を使った塗布による堆積
によって行うことができる。
グラフェンDA付加体の堆積はまた、浸漬コーティングによって行うことができる。例えば、基板は、グラフェンDA付加体の面が基板の表面上で吸着されることを可能にするために、グラフェンDA付加体の溶液中で一定時間浸漬コーティングすることができる。基板は引き続き溶液から、好ましくは、均一なコーティングを得るために均一な速度で取り出し、溶媒を蒸発させる。
グラフェンDA付加体の堆積はまた、スピンコーティングによって行うことができる。例えば、グラフェンDA付加体の溶液の滴を、回転している基板上に、所望により高温度で堆積させることができる。好ましくは、均一な堆積層が得られるよう、本処理中回転速度を一定に保ち、そして溶媒を蒸発させる。スピンコーティングを高温で行う際、その温度は10〜200℃の間とすることができる。温度が約80〜200℃のとき、グラフェンDA付加体は、逆ディールスアルダー反応を経て、グラフェンそのものをもたらす。
グラフェンDA付加体の堆積はまた、溶液の滴のドロップキャスティング(drop casting)によって行うことができる。例えば、グラフェンDA付加体の溶液の滴を基板上に堆積させることができる。続いて、溶媒の滴を、蒸発させる溶媒によっては所望により高温で、蒸発させる。
かかる方法は当業者にとって公知であり、当業者は基板の性質、基板とグラフェンシートの間の相互作用、溶媒による基板の濡れ性、及び他のパラメーターなど、パラメーターに従って処理条件を調整する方法を知り、これらのパラメーターの関連性は当業者によって理解されるであろう。
適切な基板としては、網羅的ではないが、セラミック、金属、ガラス、シリカ、雲母、グラファイト、及び/又はプラスチックが挙げられる。一実施形態では、基板は、炭素ナノチューブ又はグラフェンシートの堆積に使用されるもの及び/又は適切なものであるいかなる公知の基板ともすることができる。例えば、基板は、HOPG(高配向パイロライトグラファイト),Si/SiO又は雲母とすることができる。
本発明はまた、本発明に係る方法によって得ることができるグラフェンを提供する。
本発明はまた、本発明に係る方法によって得ることができるグラフェンディールスアルダー付加体を提供する。
本発明はまた、本発明に係る方法によって得ることができるグラフェンを提供する。グラフェンは、分離したグラフェンシート及び/又はグラフェンリボンの形式で存在することができる。例えば、グラフェンシートは、基板上に堆積させるか、又は他の材料と混合させることができる。
本発明はまた、本発明に係る方法によって得ることができるグラフェンの、複合材料の調製における使用に関する。
有利なことには、複合材料は、本発明に係る方法によって得ることができるグラフェンと、ポリマー又はポリマーの混合物の溶液とを混合させるステップを含む方法によって得ることができる。本発明のこの態様の実施については、読者は、例えば、文献WO2009/056696の内容を参照し、その教示を応用してもよい。文献WO2009/056696の内容、特に18ページの12行目から24ページの2行目までの文章とその中で引用されている参考文献は、参照によって本文献に明示的に援用される。
有利なことには、本発明の方法によって得られるグラフェンは、コンデンサー又はトランジスターなど、電子又はマイクロ電子部品の製造において用いることができる。
また、有利なことには、本発明の方法によって得られるグラフェンは、透明な導電電極、OLEDエレクトロルミネッセント装置、又は有機若しくはハイブリッド光電池の製造において用いることができる。
本願発明者は、ディールスアルダー反応によって補助したグラファイトの剥離によってグラフェンを調製する方法を考案したまさしく最初の者である。
有利なことには、グラファイトは、グラファイトを含有することができるいかなる原料の炭素系材料からも派生させ得る。勿論、本発明に係る方法は、グラファイト、例えばHOPG(高配向パイロライトグラファイト)又は無定形グラファイト若しくは結晶グラファイトに対して、実施することができる。本発明に係る方法はまた、高い割合のグラファイトを含有することが公知であるカーボンブラックに対して、実施することができる。カーボンブラックは、電池及び導電部品の製造において大規模に用いられる。その使用が液体中の懸濁液から出発することは、製品の成形を容易にする上で工業的に有利であるが、カーボンブラックの分散を必要とする。本発明に係る方法は、高いグラファイト含有量を有するカーボンブラックの懸濁液の安定化を的確に可能にする。
このようにして本発明は、グラフェンの分野に2つの有望な道を開く:グラフェンシートが入手できるようになることは、ポリマーとの混合又はグラフェンでの重合によって複合材料を調製することに巨大な可能性を開く。基板上へのグラフェンシートの堆積は、本発明によって大規模に容易に実行可能であり、今後通例となり得、自己集合、フィールド(field)堆積、及び同種のものによって制御された堆積物を使ってグラフェンの電子工学の真の探究を可能にし得る。
当業者が本記載を読んで気付くことができる通り、本発明の主な利点の1つは、方法の実施が簡単であること、また、無制限の量のグラフェンシートを供給することにその方法が適していることである。本発明に係る方法はまた、グラフェンの溶解にあまり望ましくないと今まで思われていた溶媒(テトラヒドロフラン、アセトニトリル)の中に、欠陥の殆どない高品質なグラフェンシートを得ることを可能にする。このことが多くの可能性を開き、特に次の通りである:
1)エレクトロニクスにおいて:特に、エレクトロルミネッセント及び太陽光発電装置における半導体酸化物に基づく透明電極の代わりになることのできる透明導電基板の製造において。本発明に係る方法は、新世代のナノメートルサイズの超高速トランジスターの製造で用いられ得る。これは、グラフェンが、その高度に非局在化した電子構造から生じる異例の特性を示すからである。グラフェンにおいて、伝導帯及び価電子帯の間の分離を、欠陥の密度を変動させることによって調整することができ、それにより完全な導電材料から半導体の材料へ変化することが可能になる。
グラフェンの電子的性質によっては、それは、フラットスクリーン、OLEDエレクトロルミネッセント装置、又は有機若しくはハイブリッド光電池の製造におけるITOの代替物としての透明導電電極の製造に用途を有し得る。半導体の形式で、それは、有機トランジスター(OFET)及びセンサーにおける活性層として用いることができる。
さらに、理論的な電子移動度が200000cm・V−1・s−1であり、このことは、この材料が高周波及びテラヘルツの電子機器において特に魅力的であることを意味す
る(グラフェンは二次元結晶なので、電子が1000km・s−1の速度、即ちシリコン中の電子の速度(7km・s−1)の殆ど150倍でグラフェン上を移動する)。
2)基礎物理:グラフェンの最も目覚しい特性の1つは、みかけの質量がゼロであるフェルミ準位で電子を有すること及びそのようにしてゼロ質量のフェルミ粒子を示す唯一の物理系を構成することであり、このことは研究のためには非常に興味深い。最も顕著な効果の1つは、周囲温度における量子ホール効果の磁場の下での発現である。
3)グラフェンの機械的特性からもたらされる他の用途(潤滑、複合ポリマー、酸素保護バリアフィルム)もまた可能である。これは、特に材料の分野において、グラフェンがスチールより、200倍大きい引っ張り強さを有し、6倍軽いということを各種測定が確証しているからである。ポリマーへのグラフェンの添加は、ポリマーの硬度及び熱安定性を増加させることを可能にする。
4)金属部位(遷移金属複合体、金属ナノ粒子)を含有するグラフェン系ハイブリッド材料の製造における用途もまた、本発明に係る方法をチオアントロン及びチオペンタセノン誘導体とともに用いることによって企図することができる。これは、グラファイトとのディールスアルダー反応によって放出されたチオール官能基が、金属部位と結合して錯体を作ることを可能にするからである。これらの材料は、触媒作用、画像処理、及び分析での用途で有利である。
提供される方法は、完全に可逆的であるグラフェンの化学修飾を含み、方法を実施した後にグラフェンの電子構造を保持することを可能にするので、特に有利である。この方法は、超音波によるグラファイトの剥離に(時間と電力の点で)より穏やかな条件を用いること、及び、困難なものであると思われているが、インクの形成や柔軟又は大型である基板上への堆積において有利である溶媒(THF、アセトニトリル)の中にグラフェンの分散物を得ることを可能にする。用いられる化合物は、市販であるか、又は市販の化合物から出発する数回のステップで入手可能である。
上述の使用の実施の例については、読者は、参考文献一覧に引用する参考文献4〜11を参照されたい。
他の利点もまた、下の実施例を読むと当業者に明らかとなり得るものであり、例示として与えた添付の図によって示す。
それぞれアントラセノールとペンタセノールをもたらすアントロン(左)と6,6−ジヒドロペンタセン−13−オン(右)のケト−エノール平衡、並びにアントラセノール及びペンタセノールとグラフェンの求ジエン体部位との反応の図を示す。 それぞれアントラセノールとペンタセノールをもたらすアントロン(左)と6,6−ジヒドロペンタセン−13−オン(右)のケト−エノール平衡、並びにアントラセノール及びペンタセノールとグラフェンの求ジエン体部位との反応の図を示す。 実施例1〜3で遠心処理の後得られた試料の写真を示す。 THF中に塩基なしの場合(3A)、アントロンなしの場合(3C)、及びアントロンも塩基もなしの場合(3B)で、4時間の超音波処理及び30分の3000rpmでの遠心処理をした追加的実験を示す。 それぞれ実施例1及び2に示す通り、アントロンを使用した場合(4A及び4C)又はペンタセノンを使用した場合(4B及び4D)に得られたグラフェンディールスアルダー付加体のシートのTEM(透過型電子顕微鏡)画像を示す。 図5Aは、式Iのアントロンを用いた本発明の方法(R〜R=H、溶媒=THF、塩基=ジイソプロピルエチルアミン)に従って剥離したグラファイトの試料をスライドガラス上に堆積させて大気中で乾燥させたもののラマンスペクトルである。図5Bは、式Iのアントロンを用いた本発明の方法(R〜R=H、溶媒=THF、塩基=ジイソプロピルエチルアミン)に従って剥離したグラファイトの試料を真空下200℃で60分アニーリングした後スライドガラス上に堆積させて大気中で乾燥させたもののラマンスペクトルである。Dバンドの強度は、欠陥(spC原子)の存在に比例する。I/I比は、このようにして、それから欠陥(シートの縁、DA付加体、又はその他のもの)の含有量を推測するのに用いることができる。I/Iは剥離の後で高く(約1)、加熱を実施した場合に大きく下がる(I/I=0.14)ことが見られる。ディールスアルダー反応は可逆的であり、グラフェンは改質されるので欠陥は減る。このようにして、欠陥の殆どないグラフェンシートのフィルムが得られる。残った欠陥は、周辺効果、又は超音波処理の間に生成される小さい欠陥の存在に起因し得る。 図6Aは、実施例3でTHF中に得られたグラフェン濃度をまとめた表である。 図6Bは、得られた種々の試料の写真に対応する。 ろ過してTHF(左側、C=0.0335mg/ml)及びトルエン(右側、C=0.0495mg/ml)中に再分散後の、実施例6(X=S)で得られた溶液を示す。 図8Aは、実施例9で得られたTHF中グラフェンの溶液の約10μmの領域に対して行った、2μmステップでのマッピングである。図8Bは、図8Aの試料に対応する、λ=568nmでのDIC(微分干渉コントラスト)/ラマンスペクトルである。図8Aにおいて、色の違いは、1578cm−1でのGバンドの強度の違いを表す。用いた波長は568nmである。 図8Cは、実施例9で得られたTHF中グラフェンの溶液の約10μmの領域に対して行った、6μmステップでのマッピングである。図8Dは、図8Bの試料に対応する、λ=568nmでのDIC(微分干渉コントラスト)/ラマンスペクトルである。8Cにおいて、色の違いは、1578cm−1でのGバンドの強度の違いを表す。用いた波長は568nmである。 図9は、四探針法によるグラフェン層の導電率の測定のために実施例10で用いられた系の図である。 超音波処理と、20日間(DMSOでは3ヶ月)の沈澱による分離の後に、実施例12で得られたカーボンブラックの異なる溶液の写真である。
実施例1:式(I)の化合物の調製
1)2,6−ジアミノアントラセン−9(10H)−オン
スズ(Sn)での還元法を用いて市販の2,6−ジアミノアントラセン−9,10−ジオンから2,6−ジアミノアントラセン−9(10H)−オンを合成する(Tetrahedron Letters, 2011, 52, 5083)。収率は精製後80%である。
H−NMR(300MHz,DMSO)δ(ppm)=7.86(d,J=8.4Hz,1H),7.31(d,J=2.5Hz,1H),7.15(d,J=8.3Hz,1
H),6.83(dd,J=8.5Hz;2.6Hz,1H),6.61(dd,J=8.5Hz;2.2Hz,1H),6.52(d,J=2.1Hz,1H),6.04(s,2H),5.19(s,2H),4.04(s,2H)
13C−NMR(75MHz,DMSO)δ(ppm)=181.684,152.93,147.195,143.639,132.454,128.898,127.694,120.658,119.052,113.26,110.545,109.761,30.974
HRMS(+TOF MS):実測値:[M+Na]247.0841 計算値:247.0841
2)2,6−ジヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン
酸性媒体中塩化スズでの還元法を用いて市販の2,6−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオンから2,6−ジヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンを合成する(Tetrahedron Letters, 2003, 44, 945-948)。収率は精製後65%である。
H−NMR(300MHz,DMSO)δ(ppm)=8.35(d,J=8.1Hz,1H),8.30(d,J=8.6Hz,1H),7.58(td,J=7.4Hz;1.9Hz,1H),7.46(m,2H),6.94(dd,J=8.7Hz;2.4Hz,1H),6.90(d,J=2.1Hz,1H),4.315(s,2H)
13C−NMR(75MHz,DMSO)δ(ppm)=182.086,161.629,156.104,143.983,132.493,131.307,129.969,129.319,123.641,120.926,115.382,113.891,111.271,31.031
HRMS(CI−DEP):実測値:[M−H]=227.07065 計算値:227.07082
3)2,6−ビス(オクチルオキシ)アントラセン−9(10H)−オン
塩基性媒体中活性亜鉛を用いて2,6−ビス(オクチルオキシ)アントラセン−9,10−ジオンから2,6−ビス(オクチルオキシ)アントラセン−9(10H)−オンを合成する(Helvetica Chimica Acta, 2006, 89, 333)。収率は99%である。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm)=8.34(d,J=8.8Hz,1H),7.8(d,J=2.8Hz,1H),7.33(d,J=8.5Hz,1H),7.15(dd,J=8.5Hz;2.8Hz,1H),6.98(dd,J=8
.8Hz;2.5Hz,1H),6.88(d,J=2.6Hz,1H),4.23(s,2H),4.06(q,J=6.1Hz,4H),1.82(m,4H),1.48(m,4H),1.30(m,16H),0.89(m,6H)
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ(ppm)=183.382,162.887,158.318,133.177,132.737,130.061,129.564,125.510,121.840,114.689,112.548,109.776,68.480,32.155,31.964,29.479,29.364,29.307,26.152,22.802,14.241
HRMS(FD+):実測値:[M+]450.31151 計算値:450.31339
4)2−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン
酸性媒体中塩化スズでの還元法によって2−ヒドロキシアントラセン−9,10−ジオンから2−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンを合成する (Tetrahedron Letters, 2003, 44, 945-948)。
H−NMR(300MHz,DMSO)δ(ppm)=8.35(d,J=8.1Hz,1H),8.30(d,J=8.6Hz,1H),7.58(td,J=7.4Hz;1.9Hz,1H),7.46(m,2H),6.94(dd,J=8.7Hz;2.4Hz,1H),6.90(d,J=2.1Hz,1H),4.315(s,2H).
13C−NMR(150MHz,DMSO)δ(ppm)=181.976,161.816,143.582,140.637,132.340,131.494,129.343,128.709,123.642,115.447,113.850,31.675.
HRMS(FD+):実測値:[M+]210.06762 計算値:210.06808
5)2,6−ビス(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)アントラセン−9(10H)−オン
水素化ホウ素ナトリウムでの2,6−ビス(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)アントラセン−9,10−ジオンの還元と、続く酸性媒体中脱水によって、2,6−ビス(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)−エトキシ)アントラセン−9(10H)−オンを合成する(Eur. J. Org. Chem., 2000, 591)。反応
の最後に、アントロン、アントラキノン、及びアントラセンの混合物が得られる。分離はできなかったが、その生成物は直接用いる。
LRMS(+TOF MS):[M+Na]=513.2
6)チオアントロン
1)ジエチルエーテル中9−ブロモアントラセンから出発し、0℃でn−BuLiを添加することによって、対応するリチウム誘導体を形成し、次いで、無機イオウを添加すると、9−アントラセンチオールを形成することができる(Asian Journal of Organic Chemistry, 2012, 1, 274)。
2)アントロンから出発し、80℃でトルエン中ローソン試薬との反応による。処理の後、回収した化合物は、9−アントラセンチオール(チオアントロン化合物との「ケト−エノール」平衡にある)である。
結晶生成物のNMRによれば、溶液中に2つの物質が存在する。溶液中の主な生成物はアントラセンチオールである:
H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm)=8.63(dd,J=8.9Hz;1.4Hz,2H),8.38(s,1H),8.00(dd,J=8.4Hz;1.4Hz,2H),7.59(ddd,J=8.9Hz;6.6Hz;1.4Hz,2H),7.50(ddd,J=8.4Hz;6.6Hz;1.4Hz,2H),3.68(s,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl)δ(ppm)=129.122,127.132,126.484,126.255,125.449
LRMS:[M+]=210.0
HRMS(CI−DEP):実測値:[M−H」=211.05785 計算値:211.05815
実施例2:アントロンを用いた、ディールスアルダー反応によるグラファイトの剥離
式I
のアントロン(200mg、1.03mmol)、グラファイト粉末(100mg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(30mg、0.23mmol)及びTHF(50ml)を100mlの遠心分離管の中に導入する。混合物を超音波浴中超音波(30kHz、150W)に4時間付し、次いで、未剥離グラファイトを分離するために、毎分3000回転の速度で30分間遠心分離する。次にピペットを用いて上清を取り出し、次いで、あらかじめ乾燥し秤量しておいたナイロンフィルター(孔径0.22μm)を通してろ過する。次いで全体(フィルター及び残渣)を乾燥し秤量する。こうして上清の懸濁液中に
、1.0mgの重量のグラフェンディールスアルダー付加体、即ち濃度0.02mg・ml−1のグラフェンディールスアルダー付加体が得られる。
実施例3:アントロン誘導体を用いた、ディールスアルダー反応によるグラファイトの剥離
方法:100mgのグラファイト、50mgのアントロン誘導体生成物、及び25mgのDIPEA(ジイソプロピルエチルアミン)を、50mlのTHF(Cグラファイト=2mg/ml)中に溶解させ、超音波浴中60〜65℃で4時間超音波(180W、37kHz)に付す。次に混合物を3000rpmで30分間遠心分離し、次いで24時間放置して沈澱により分離する。続いて上清を取り出し、次いでナイロンフィルター(孔径0.22μm)を通してろ過する。そうして、得られた固体を10mlのTHF中に再分散させる。結果を図6A及び6Bに挙げる。
実施例4:6,6−ジヒドロペンタセン−13−オンを用いた、ディールスアルダー反応によるグラファイトの剥離
式II
の6,6−ジヒドロペンタセン−13−オン(10mg、0.034mmol)、グラファイト粉末(100mg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1mg、0.0077mmol)、及びTHF(50ml)を100ml遠心分離チューブの中に導入する。混合物を超音波浴中超音波(37kHz、150W)に4時間付し、次いで、未剥離グラファイトを分離するために、毎分3000回転の速度で30分遠心分離する。次にピペットを用いて上清を取り出し、次いで、あらかじめ乾燥し秤量しておいたナイロンフィルター(孔径0.22μm)を通してろ過する。次いで組み合わせ(フィルター及びろ液)を乾燥し秤量する。こうして上清の懸濁液中に、0.7mgの重量のグラフェンディールスアルダー付加体、即ち濃度0.014mg・ml−1のグラフェンディールスアルダー付加体が得られる。
実施例5:
実施例2の実験プロトコルを異なる溶媒で繰り返した。アントロンで得られた結果を、THFでの実施例2の結果を含め、表1に挙げる:
実施例6:チオアントラセノンを用いた、ディールスアルダー反応によるグラファイトの剥離
アントロンとの類似性からして、ディールスアルダー反応によるグラファイトの剥離を実施するためにイオウ含有誘導体を用いることは、剥離グラフェンのその後の官能化に有利であることが分かる。
方法:100mgのグラファイト、100mgのアントラセンチオール、及び20mgのDIPEAを、50mlの溶媒(Cグラファイト=2mg/ml)中に溶解させ、超音波浴中60〜65℃で4時間超音波(180W、37kHz)に付す。次に混合物を3000rpmで30分間遠心分離し、次いで24時間放置して沈澱により分離する。続いて上清を取り出し、次いでナイロンフィルター(孔径0.22μm)を通してろ過する。そうして、得られた固体を10mlの溶媒中に再分散させる。
実施例7:2,6−ビス(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)アントラセン−9(10H)−オンを用いた、ディールスアルダー反応によるグラファイトの剥離
アントロン型化合物とのディールスアルダー反応によってグラファイトの剥離の方法を改善するために、2,6−ビス(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)アントラセン−9(10H)−オンを用いた。後者は、末端ヒドロキシル官能基をもった2つの(PEG)鎖を示し、これは、アルコール性及び/又は水性媒体中で剥離を改善することを目標にしている。
方法:100mgのグラファイト、50mgのアントロン誘導生成物(粗原料)、及び25mgのDIPEAを、50mlの溶媒(Cグラファイト=2mg/ml)中に溶解させ、超音波浴中60〜65℃で4時間超音波(180W、37kHz)に付す。次に混合物を3000rpmで30分間遠心分離し、次いで24時間放置して沈澱により分離する。続いて上清を取り出し、次いでナイロンフィルター(孔径0.22μm)を通してろ過する。そうして、得られた固体を10mlの溶媒中に再分散させる。
IPA:イソプロパノール(2−プロパノール)
比較例8:
本発明の方法(例えば実施例1〜7)によって得られるグラフェンシートの品質及び特徴は、次のような、公知の方法のそれらと比較することができる:
・強力な(本発明の方法に推奨されるものより大変強力な)超音波処理。この方法は、典型的に、グラフェン多層シートに損傷をもたらす。
・あるいは、グラファイトの酸化/還元へと進行すること。
例えば、参考文献11(Tagmatarchis et al., 2012)に記載の実験プロトコルを利用
し得る。
次のプロトコルもまた、参考にできる:
フラットヘッドプローブ(VS70T)を備えたBandelin Sonoplus
HD 3200超音波ホモジナイザーを最大電力(250W)の10%で運転して、高強度超音波処理(チップ超音波処理(tipsonication))を行う。典型的な実験では、溶
媒[N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ピリジン、o−ジクロロベンゼン(O−DCB)、又はN−メチル−1,2−ピロリドン(NMP)]100mlにつき、50mgのグラファイトの薄片を加える。混合物を超音波に異なる期間(5、15、30、及び60分)付す。得られたグラフェン分散インクを15分間遠心分離し、上清を回収し分析する。これらの測定と計算に基づき、O−DCB中60分間高強度超音波処理した後の剥離グラフェンの濃度を17.8mg・ml−1であると判断したが、NMP中の剥離グラフェンの分散の濃度は、3.8mg・ml−1と測定された。
本発明の方法(ディールスアルダー反応+真空下アニーリングによって補助するグラフ
ァイトの剥離)及び上述の公知の方法によって得られるグラフェンは、ラマン分光法及びTEMによって特性評価することができる。本発明の方法によって得られるグラフェンは、含まれる欠陥がより少ないものと考えられ、そのため、通常の分光法(UV/vis吸収、ラマン)及び顕微鏡(AFM、SEM、TEM)技術によって特性評価されるものである。
実施例9:アントロン誘導体とのディールスアルダー反応によって剥離されたグラフェンのラマン分光法による特性評価
λ=568nm(60倍レンズ)でのDIC(微分干渉コントラスト)/ラマン検査
この方法は、試料の構成要素の屈折率差のコントラストを引き出すことである。これは、試料の屈折率によって生じる光の位相差を、振幅の検出可能な差異によって、変換する。
この実験の利点は、物体が暗い背景に対して明るく見えるが、位相コントラストに伴う回折ハローがないということである。
この方法は、試料の光路長の差を用いてコントラストを生成させ、そのため、画像上の試料の三次元的外観は、実体を表さない場合がある。
THF中グラフェンの溶液から出発して、試料をスライドガラス上にスピンコーティングによって調製した。用いる溶液は、ろ過後グラフェンの再分散から生じる溶液である。
マッピングを約10μmの領域に対して、第1のスペクトルについてはステップ2μmで、第2のスペクトルについてはステップ0.6μmで行った(図8A及び8C)。マップ上、色の違いは、1578cm−1でのGバンドの強度の違いを表す。用いた波長は568nmである。
得られたスペクトルでは、1335cm−1で強いDバンドが観察され、これは、試料中に欠陥が存在していることを意味する。これは、アントロンによる材料の官能化に起因し、これがsp中心を、そうして構造的変形を、生じさせる。続いて、2678cm−1で、2Dバンドの形は、試料の層の数を示す。この例では、このバンドが完全にローレンツ型の形であることにより、官能化グラフェン単層シートの存在を実証することが可能となっている(図8)。
実施例10:ディールスアルダー反応によって剥離したグラフェンを用いた、透明電極の調製の実施例
グラフェンの主な用途の1つは、導電インクを用いた、透明導電電極の製造である。ここに記載の方法を用いたグラファイトの剥離によって得られるグラフェンは、かかる電極の製造で直接用いることができる。グラフェンフィルムは、スピンコーティング、スプレーコーティング、又は真空ろ過など、試験済みの種々の方法によって得ることができる。用いるグラフェン濃度の点から、グラフェンフィルムの調製に最も効果的な方法は、真空ろ過である。
四探針法を用いて、グラフェン層の導電率を測定した:電流を点1と4の間に発電器によって流し、一方、電圧を点2と3の間で測定する。測定された電圧の、試料を通る電流に対する比は、点2と3の間の部分の抵抗を与える(図9)。
この区間の抵抗率を得るために、点1と点2及び3との間の微小抵抗を積分する。
グラフェンフィルムを、Anodiscアルミニウム膜(47mm、孔径0.02μm
)を通して、(ランベルト・ベールの法則と校正曲線を用いて計算した)異なる濃度の溶液(50ml)の真空ろ過によって得た。結果を表2に示す。
用いた点は、半径40.6μmで、1.6mm離れている。それらは等距離にあり、そうして、式=4.532U/I(π=3.14159)を用いて抵抗Rsを計算する。
実施例11:超音波処理の代替技術:ボールミル粉砕の使用
超音波処理を用いてディールスアルダー反応による剥離の方法を加速することは、不均一反応を促進することができる他のいかなる技術によっても取って代えることができる。例えば、ボールミル粉砕又は高せん断混合など、超音波処理の代替方法を用いることが可能である(Nature Materials, 2014, 13, 624-630 [参考文献18])。
グラファイトの剥離を可能にする高せん断混合に関する最近の研究(Nature Materials, 2014, 13, 624-630)を調べた後、この方法で超音波処理の使用を相当低減できること
を我々は実証した。
・初期濃度2mg/mlのグラファイト、即ち50mlのTHF中100mgのグラファイト、200mgのアントロン、及び30mgのDIPEAで第1の実験を行った。
直径22mmのローター/ステーターシステムを4500rpmの速度で用い、高せん断混合時間は25分である。
続いて、混合物を超音波処理(180W、37kHz)に2時間付し、次いで、遠心処理(3000rpmで30分間)によって精製する。
校正曲線(ε=26.2)を用いてランベルト・ベールの法則によって決定したグラフェン濃度は、0.0234mg/mlである(比較として、高せん断混合なしの4時間の超音波処理についてはC=0.02mg/ml)。
・より大規模な他の実験では、初期グラファイト濃度30mg/ml、即ち50mlのTHF中1.0gのグラファイト、1.5gのアントロン、及び180mgのDIPEAを用いた。
上記と同じ反応条件の下、得られたグラフェン濃度は0.0765mg/mlである。
実施例12:カーボンブラック懸濁液の安定化
本方法は、有機溶媒(50ml)中アントロン(200mg)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(30mg、20mol%)の存在下、グラファイトカーボンブラック(100mg)を超音波浴中超音波(4時間、180W、60℃)に付すことである。
異なる有機溶媒中安定した懸濁液が得られる(図10)。
本特許出願及び上記例示的実施例を読むと、当業者は、本方法が概略的なものであること、及びそれが当業者に公知の全てのグラファイトを使って適用可能であることに気付くものである。
参考文献一覧
[1] Chakraborty et al., “Functionalization of potassium graphite”, Angew. Chem. Int. Ed., 46, 4486-4488 (2007).
[2] Niyogi et al., “Solution Properties of Graphite and Graphene”, J. Am. Chem. Soc., 128, 7720-7721 (2006).
[3] McAllister et al., “Single Sheet Functionalized Graphene by Oxidation and Thermal Expansion of Graphite”, Chem. Mater., 2007, 19 (18), 4396-4404.
[4] Qing Hua Wang et al., “Understanding and controlling the substrate effect on graphene electron-transfer chemistry via reactivity imprint lithography”, Nature Chemistry, 2012, 4, 724-732.
[5] Rozhkov et al., “Electronic properties of mesoscopic graphene structures: Charge confinement and control of spin and charge transport”, Physics Reports, 503 (2011), 77-114.
[6] Cui et al., “Graphene-Enriched P3HT and Porphyrin-Modified ZnO Nanowire Arrays for Hybrid Solar Cell Applications”, J. Phys. Chem. C, 2012, 116, 9433-9438.
[7] Chhowalla et al., “Large-area ultrathin films of reduced graphene oxide as a transparent and flexible electronic material”, Nature Natotechnology, Vol. 3,
2008, 270-274.
[8] Kong et al., “Graphene as transparent conducting electrodes in organic photovoltaics: Studies in graphene morphology, hole transporting layers, and counter
electrodes”, Nano Letters, 2012, 12, 133-140.
[9] Mullen et al., “Transparent, conductive graphene electrodes for dye-sensitized solar cells”, Nano Letters, 2008, Vol. 8(1), 323-327.
[10] Kim et al., “Transparent conductive graphene electrode in GaN-based ultra-violet light emitting diodes”, Optics Express, Vol. 18(22), 2010, 23030-23034.
[11] Tagmatarchis et al., “Graphene exfoliation in organic solvents and switching solubility in aqueous media with the aid of amphiphilic block copolymers”, J. Mater. Chem., 2012, 22, 21507-21512.
[12] Goichi et al., “Improved Synthesis of 1,8-Diiodoanthracene and Its Application to the Synthesis of Multiple Phenylethynyl-Substituted Anthracenes”, Synthesis, 2005(13), 2116-2118.
[13] Li et al., “Synthesis of 1,2,3,4,8,9,10,11-Octasubstituted Pentacenequinone Derivatives and their Conversion into Substituted Pentacenes”, Chemistry - An
Asian Journal, 2010, 5, 1620-1626.
[14] Haddon et al., Accounts of Chemical Research, vol. 45(4), 2012, 673-682.
[15] Haddon et al., JACS, 133, 2011, 3324-3327.
[16] KR2012-0104767.
[17] Zhao, W., Fang, M., Wu, F., Wu, H., Wang, L. and Chen, G. Preparation of graphene by exfoliation of graphite using wet ball-milling. J. Mater. Chem., 20, 5817-5817 (2010).
[18] Paton et al., Nature Materials, 2014, 13, 624-630.

Claims (14)

  1. グラファイト含有材料の剥離方法であって、前記グラファイト含有材料と式(I):
    [式中、
    XはO又はSを表し;
    、R、R、及びRは、互いに独立して水素原子、−NR、−N、−OR、−COM、若しくは−SOMを表すか;又は一方ではRとRとが、他方ではRとRとが、一緒になって、置換されていてもよい不飽和のCシクロアルキル基を形成して、次の構造を有する式(II):
    (式中、
    XはO又はSを表し;
    R’、R’、R’、及びR’は、互いに独立して水素原子、−NR、−N、−OR、−COM、又は−SOMを表す)
    のペンタセノン型化合物を生じさせ;
    Mは、水素原子又はアルカリ金属原子を表し;
    R、R、R、及びRの各出現は互いに独立して、水素原子又は直鎖状若しくは分岐状C〜C16アルキルを表し;式中、Rラジカルはまた、Rの存在ごとに互いに独立して、式:
    (式中、nは、1〜6、好ましくは1〜3の整数、好ましくは3を表す)
    のポリエチレングリコールラジカルを表すことができる]
    の化合物との間の、有機溶媒中、塩基の存在下、超音波処理、ボールミル粉砕、及び/又は高せん断混合下、15℃〜65℃の温度下のディールスアルダー反応を、それに伴うグラフェンディールスアルダー付加体を得るように、含む
    方法。
  2. 式(I)の前記化合物が次の構造のうちの1つを有する、請求項1に記載の方法:

  3. 前記有機溶媒が、飽和若しくは不飽和の脂肪族若しくは脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、好ましくは少なくとも3つの炭素原子を含むアルコール、グリコール、ハロゲン化炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、グリコールエーテル、若しくは他の適切な有機溶媒、又はこれらのうち2つ以上からなる混合物より選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記有機溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、2−プロパノール、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、又は1,2−ジクロロベンゼンより選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記塩基が、ジエチルアミン、ジメチルアミン、アザクラウンエーテル、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−メチルシクロペンチルアミン、又はN−エチルシクロペンチルアミンなど、ジアルキルアミン又はトリアルキルアミンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ディールスアルダー反応を20〜65℃の温度で行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 遠心処理ステップをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記遠心処理ステップから得られた上清をろ過して、前記方法によって得られたグラフェンシートの前記ディールスアルダー付加体を分離するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記グラファイト含有材料がカーボンブラック又はグラファイトである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. グラフェンシートの前記ディールスアルダー付加体を真空下でアニーリングして、単層グラフェン、若しくは2〜5枚のグラフェンシートの多層グラフェン、又はこれらの混合物を得るステップをさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法によって得られる、グラフェンシートのディールスアルダー付加体。
  12. 請求項10に記載の方法によって得られるグラフェン。
  13. 電子又はマイクロ電子部品、好ましくはセンサー又はトランジスターの製造における、請求項12に記載のグラフェンの使用。
  14. 透明導電電極、OLEDエレクトロルミネッセント装置、又は有機若しくはハイブリッド光電池の製造における、請求項12に記載のグラフェンの使用。
JP2016530591A 2013-07-31 2014-07-30 ディールスアルダー反応によって補助する、グラファイトを含有する炭素質材料を剥離する方法 Active JP6345242B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
FR1357602 2013-07-31
FR1357602A FR3009298B1 (fr) 2013-07-31 2013-07-31 Procede d'exfoliation de graphite assiste par reaction de diels-alder
PCT/FR2014/051976 WO2015015120A2 (fr) 2013-07-31 2014-07-30 Procédé d'exfoliation de matériaux carbonés contenant du graphite, assisté par réaction de diels-alder

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2016531071A true JP2016531071A (ja) 2016-10-06
JP2016531071A5 JP2016531071A5 (ja) 2017-08-10
JP6345242B2 JP6345242B2 (ja) 2018-06-20

Family

ID=50231241

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016530591A Active JP6345242B2 (ja) 2013-07-31 2014-07-30 ディールスアルダー反応によって補助する、グラファイトを含有する炭素質材料を剥離する方法

Country Status (7)

Country Link
US (1) US9718692B2 (ja)
EP (1) EP3027555B1 (ja)
JP (1) JP6345242B2 (ja)
KR (1) KR102259615B1 (ja)
CA (1) CA2915089C (ja)
FR (1) FR3009298B1 (ja)
WO (1) WO2015015120A2 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104843679B (zh) * 2015-04-03 2017-09-26 北京理工大学 由微晶石墨溶剂热剥离制备微晶石墨烯的方法
EA201792363A1 (ru) * 2015-05-26 2018-06-29 Зе Реджентс Оф Зе Юниверсити Оф Калифорния Дисперсии перфорированных графеновых материалов и применение указанных дисперсий
US11069890B2 (en) * 2016-05-31 2021-07-20 Rutgers, The State University Of New Jersey Hollow particles formed from 2-dimensional materials
MX2019003391A (es) 2016-09-30 2019-06-06 Univ California Produccion continua de materiales en capas 2d exfoliados mediante flujo de compresion.
CN106698396B (zh) * 2016-12-06 2022-10-25 董兰田 真空震荡加压制取粉状石墨烯膜片方法
KR101970502B1 (ko) * 2017-02-01 2019-04-22 한국과학기술원 그래핀 및 이의 제조방법
CN107381549B (zh) * 2017-07-31 2019-04-30 亳州市亚珠碳素有限公司 一种石墨烯导热膜的制备方法
KR102161712B1 (ko) 2017-11-23 2020-10-05 주식회사 엘지화학 고분자 그래프트 그래핀 및 이의 제조 방법
CN108275678B (zh) * 2017-12-28 2021-06-22 青岛科技大学 一种氧化石墨烯/离子液体纳米复合材料及其制备方法
WO2020048025A1 (zh) * 2018-09-06 2020-03-12 华侨大学 一种具有立体结构的取代石墨烷材料及其制备方法
CN109437127A (zh) * 2018-12-11 2019-03-08 山东大学 一种微纳米粒子辅助超声制备大横向尺寸二维材料的方法
CN110240153B (zh) * 2019-06-27 2021-08-31 华侨大学 一种宏量制备功能化石墨烯的方法
JP2023549197A (ja) * 2020-11-12 2023-11-22 矢崎総業株式会社 高分散性グラフェン材料
WO2024006663A2 (en) * 2022-06-24 2024-01-04 University Of Virginia Patent Foundation Graphene and methods of making graphene

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012031038A (ja) * 2010-07-01 2012-02-16 Sekisui Chem Co Ltd 黒鉛粒子分散液の製造方法並びに樹脂組成物及びその製造方法
KR20120104767A (ko) * 2011-03-14 2012-09-24 국립대학법인 울산과학기술대학교 산학협력단 표면 말단이 기능화된 그라파이트, Diels?Alder 반응을 통한 그라파이트 표면 말단 기능화 방법 및 이의 용도

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101622306B1 (ko) * 2009-10-29 2016-05-19 삼성전자주식회사 그라펜 시트, 이를 포함하는 그라펜 기재 및 그의 제조방법
WO2012051597A2 (en) * 2010-10-15 2012-04-19 The Regents Of The University Of California Organometallic chemistry of extended periodic ii-electron systems

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012031038A (ja) * 2010-07-01 2012-02-16 Sekisui Chem Co Ltd 黒鉛粒子分散液の製造方法並びに樹脂組成物及びその製造方法
KR20120104767A (ko) * 2011-03-14 2012-09-24 국립대학법인 울산과학기술대학교 산학협력단 표면 말단이 기능화된 그라파이트, Diels?Alder 반응을 통한 그라파이트 표면 말단 기능화 방법 및 이의 용도

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
KOERNER, M. ET AL.: "Base-Catalyzed Reactions of Anthrones with Dienophiles", THE JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY, vol. Vol.55, JPN6018013988, 1990, pages 2662 - 2672 *
SARKAR, S. ET AL.: "Diels-Alder Chemistry of Graphite and Graphene: Graphene as Diene and Dienophile", JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY, vol. Vol.133, JPN6018013984, 22 February 2011 (2011-02-22), pages 3324 - 3327 *

Also Published As

Publication number Publication date
US9718692B2 (en) 2017-08-01
CA2915089C (fr) 2021-08-17
US20160194207A1 (en) 2016-07-07
JP6345242B2 (ja) 2018-06-20
EP3027555A2 (fr) 2016-06-08
KR20160038036A (ko) 2016-04-06
FR3009298B1 (fr) 2018-06-08
WO2015015120A2 (fr) 2015-02-05
CA2915089A1 (fr) 2015-02-05
WO2015015120A3 (fr) 2015-05-07
FR3009298A1 (fr) 2015-02-06
KR102259615B1 (ko) 2021-06-01
EP3027555B1 (fr) 2023-05-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6345242B2 (ja) ディールスアルダー反応によって補助する、グラファイトを含有する炭素質材料を剥離する方法
Lavin-Lopez et al. Solvent-based exfoliation via sonication of graphitic materials for graphene manufacture
Mensing et al. Facile preparation of graphene–metal phthalocyanine hybrid material by electrolytic exfoliation
Du et al. From graphite to graphene: direct liquid-phase exfoliation of graphite to produce single-and few-layered pristine graphene
Bourlinos et al. Liquid‐phase exfoliation of graphite towards solubilized graphenes
US9156701B2 (en) Functionalised graphene oxide
Ragoussi et al. Linking Photo‐and Redoxactive Phthalocyanines Covalently to Graphene
Dideykin et al. Monolayer graphene from graphite oxide
Gao et al. Freestanding atomically-thin cuprous oxide sheets for improved visible-light photoelectrochemical water splitting
US20130001089A1 (en) Preparation of graphene sheets
US8613898B2 (en) Supramolecular structures comprising at least partially conjugated polymers attached to carbon nanotubes or graphenes
EP2176164A2 (fr) Solutions de graphene
Kim et al. Structural evolution of graphite oxide during heat treatment
WO2014136981A1 (ja) 金属性単層カーボンナノチューブと半導体性単層カーボンナノチューブとの分離方法
KR101392176B1 (ko) 그래핀 제조방법
Azani et al. Highly concentrated and stable few-layers graphene suspensions in pure and volatile organic solvents
Sun et al. High electrical conductivity of graphene-based transparent conductive films with silver nanocomposites
Zhang et al. Morphology controlled nano-structures of an octa (phenoxy)-substituted phthalocyaninato zinc complex: solvent effect on the self-assembly behaviour
EP2703347A1 (en) Nanostructured carbon-based material
US8790610B2 (en) Method of forming composite materials including conjugated materials attached to carbon nanotubes or graphenes
US8779177B1 (en) Method for bottom-up graphene sheet preparation and bandgap engineering
KR20190038585A (ko) 그래핀 산화물의 합성을 위한 개선된 방법
Chang et al. Patterns of solution-processed graphene oxide produced by a transfer printing method
Kumar et al. A study on chemical exfoliation and structural and optical properties of two-dimensional layered titanium diselenide
Bui et al. Fabrication of reduced graphene oxide thin films on corona treated silicon substrates

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170626

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170626

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180322

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180508

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180522

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6345242

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250