一つ以上の実施形態によれば、水溶液から水を抽出するための浸透方法は、概して、水溶液を順浸透膜の第1の表面に曝すことを含み得る。第2の溶液、又は誘導溶液は、水溶液の濃度に対して大きな濃度を持っており、順浸透膜の第2の反対の表面に曝され得る。そして、水を水溶液から順浸透膜を通って第2の溶液に誘導させることができ、低濃縮された溶液から高濃縮された溶液への移動を含む流体移動特性を利用する順浸透を介して、水の濃縮された溶液を作り出す。水の濃縮された溶液は、希釈された誘導溶液とも称され、第1の出口において集められ、純水を生成するためにさらなる分離過程を経てもよい。第2の製品流れ、つまり、枯渇又は濃縮された加工処理水溶液は、排出のために、又は、さらなる処理のために、第2の出口で集められ得る。代替で、本明細書に記載されている様々なシステム及び方法は、非水溶液で実施されてもよい。
一つ以上の実施形態によれば、順浸透膜モジュールは、一つ以上の順浸透膜を備え得る。順浸透膜は、例えば、水の通過を許容するが、塩化ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、及びカルバミン酸アンモニウムなど、そこに溶け込んでいる溶質を除外する、概して半浸透性であり得る。多くの種類の半透過性膜は、それらが水(つまり、溶媒)の通過を許容する一方で溶質の通過を妨げることができ、また、溶液の溶質と反応しないという条件で、この目的に適している。
一つ以上の実施形態によれば、少なくとも一つの順浸透膜が筐体又はケーシング内に位置付けられ得る。筐体は、概して、自身に位置付けられる膜を収容するサイズ及び形とされ得る。例えば、筐体は、順浸透膜を螺旋状に巻いている場合、実質的に円筒形であってもよい。モジュールの筐体は、モジュールに供給溶液及び誘導溶液を提供するための入口と、モジュールから製品流れを取り出すための出口とを含み得る。ある実施形態では、筐体は、モジュールに導入される流体、又は、モジュールから取り出される流体を保持又は保管するための、少なくとも一つの貯留部又は空間を提供し得る。少なくとも一つの実施形態では、筐体は断熱され得る。
一つ以上の実施形態によれば、概して、順浸透膜モジュールは、第1の溶液及び第2の溶液を半透過性膜の第1の側及び第2の側とそれぞれ接触させるように、構築及び構成され得る。第1の溶液及び第2の溶液は停滞したままであり得るが、第1の溶液及び第2の溶液の両方が、直交流、つまり、半透過性膜の表面と平行な流れによって導入されることが好ましい。これは、概して、一つ以上の流体流路に沿う膜表面積を増加することで、順浸透過程の効率を増加する。ある実施形態では、第1の溶液及び第2の溶液は同じ方向に流れる。他の実施形態では、第1の溶液及び第2の溶液は反対方向に流れる。少なくともある実施形態では、同様の流体動力学が、膜表面の両側に存在し得る。これは、モジュール又は筐体における一つ以上の順浸透膜の戦略的統合によって実現され得る。
一つ以上の実施形態によれば、誘導溶質は再使用のために回収され得る。分離システムは、実質的に溶質のない製品水を生成するために、希釈された誘導溶液から溶質を揮散し得る。ある実施形態では、分離システムは、蒸留塔又は他の熱的若しくは機械的な回収機構を備え得る。したがって、誘導溶質は、再利用システムなどによって、濃縮された誘導溶液に戻される。気体の溶質は、濃縮された誘導溶液を形成するために、凝縮又は吸収され得る。吸収体は、吸収剤として、希釈された誘導溶液を用い得る。他の実施形態では、製品水は、溶質再利用システムから気体流の吸収の全部又は一部のための吸収剤として用いられ得る。
図1は、一つ以上の前処理及び/又は後処理のユニット運転14、16を含む順浸透のシステム/過程12を用いる、溶媒を浸透抽出するためのシステム10の概略を表している。本明細書に記載されているもの、さらに、米国特許第6,391,205号及び第8,002,989号と、米国特許出願公報第2011/0203994号、第2012/0273417号、第2012/0267306号、第2012/0267307号とに記載されているものなど、様々な順浸透のシステム及び過程を用いることができる。これらの特許及び特許出願公報の開示は、本明細書により、それらの全体において、本明細書において参照により組み込まれている。
一つ以上の実施形態によれば、システム10は、順浸透過程12を増進するために、一つ以上の前処理運転14を含み得る。前処理運転は、第1の溶液を予熱するための熱源、第1の溶液のpHを調整するための手段、消毒のための手段(例えば、化学的又は紫外線)、分離及び浄化、第1の溶液を濾過するためのフィルタ若しくは他の手段(例えば、炭濾過、砂濾過、ナノ濾過、又は逆浸透)、熱交換、ポリマー添加のための手段、スケール防止剤の使用、イオン交換、又は、第1の溶液を軟化するための手段(例えば、石灰軟化)のうちの少なくとも一つを備え得る。
一つ以上の実施形態によれば、システム10は、一つ以上の後処理運転16を含み得る。後処理システム/運転は、逆浸透システム、イオン交換システム、追加の順浸透過程、蒸留システム、パーベーパレーション装置、機械的蒸気再圧縮システム、熱交換システム、又は濾過システムのうちの少なくとも一つを備え得る。後処理は、製品水の塩分濃度を、単一パス順浸透システムによって生成されるもの未満に減らすことができる。他の実施形態では、後処理は、製品流れに本来あるはずの誘導溶質を除去するために代替又は追加で用いられ得る。ある特定の非限定的な実施形態では、順浸透塩水排出は、塩水に逆拡散する誘導溶質を除去するために、イオン交換、蒸留、パーベーパレーション、膜蒸留、曝気、生物学的処理、又は他の過程を用いて後処理され得る。追加の後処理運転は、例えば、結晶化及び蒸発を用いる、ゼロリキッドディスチャージ(ZLD:Zero Liquid Discharge)処理を含み得る。一実施形態では、ZLD処理は、例えば、蒸発システムの代わりに、順浸透システムを用いる。追加の実施形態では、システムは、誘導溶液の所望のモル比を維持するために、第2の室への誘導溶質の再導入を容易にするように構成される吸収体を備える再利用システムも備え得る。
図2は、本発明の一つ以上の実施形態による、溶媒を浸透抽出するためのシステム10の一つの可能な用途を表している。図1に関連して詳述したように、システム10は、順浸透システム12と、一つ以上の前処理及び後処理のユニット14、16とを備えている。システム10は、単一の前処理又は単一の後処理を含め、一つ以上の順浸透システム12と併せて、前処理及び後処理のユニット14、16の任意の組み合わせを備え得る。本明細書で説明されている様々なシステム/ユニットは、従来の配管技術によって相互接続でき、本明細書に記載されている様々なシステム及び過程の運転を監視及び制御するために、ポンプ、弁、センサ、計測器など、任意の数の構成要素及び構成要素の組み合わせを備えることができる。様々な構成要素が、本明細書において後で記載しているように、制御装置と併せて用いられ得る。
図2に示す用途では、システム10は、内地の供給源18から汽水を処理するために用いられるが、他の供給源が本発明の範囲内で検討及び考慮される。図示するように、供給流れ20が前処理ユニット14へ導かれ、そこで供給流れは、例えば、加熱される。供給流れが前処理されると、処理された流れ22は順浸透システム12へ導かれ、そこで、前述のように、第1の溶液を提供する。選択的に、処理された流れ22は、順浸透システム12に入る前に、さらなる加工処理(例えば、pH調整)のための追加の前処理ユニットへ導かれ得る。ある実施形態では、前処理ユニット14は、供給20をFOモジュールに導入する前に供給20を濃縮するために、逆浸透モジュールを備え得る。この構成は、前述のように、最初の供給が低い塩分濃度を有する場合に、特に有用であり得る。誘導溶液が、本明細書で説明したように、膜を通した溶媒の移動を促進するために必要な浸透圧勾配を提供するために、流れ24によって順浸透システム12に提供される。
少なくとも二つの流れが順浸透システム12を出て行き、それらは、溶媒が抽出されている濃縮された供給流れ又は処理された流れ26と、溶媒が加えられている希釈された誘導流れ28とである。濃縮された流れ26は、次に、追加の溶媒を回収するために第2の順浸透システムなど、さらなる加工処理のために後処理ユニット16へ導かれ得る。追加の後処理過程は、ゼロリキッドディスチャージをさらに提供するために、例えば結晶化及び蒸発で、利用され得る。完全に加工処理又は濃縮された供給は、濃縮の性質に依存して、廃棄、再利用、又は再生され得る(矢印38)。
希釈された誘導流れ28は分離システム30へ導くことができ、そこで、溶媒及び/又は誘導溶質は回収され得る。選択的に、希釈された誘導流れ28は、例えば、希釈された誘導溶液が分離システム30へ導かれる前に予熱され得る(流れ28b)といった、追加の加工処理にとって望ましいとされる後処理ユニットへも導かれ得る(流れ28a)。一つ以上の実施形態では、分離システム30は、例えば飲料水といった実質的に精製された溶媒流れ32と、誘導溶質流れ36を生成するために、誘導溶質を希釈された誘導流れ28から分離する。一つ以上の実施形態では、溶媒流れ32は、溶媒の最終使用に依存して、さらなる加工処理のための後処理ユニットへも導かれ得る(流れ32a)。例えば、溶媒は、溶媒になおも存在し得る追加の誘導溶質を除去するために、蒸留によってさらに処理され得る。一つ以上の実施形態では、誘導溶質流れ36は、回収された誘導溶質の意図した使用に依存して、誘導流れ24に直接的に戻されてもよく(流れ36a)、誘導流れ24に再統合するために再利用システム34へ導かれてもよく(流れ36b)、又は、さらなる加工処理に向けた後処理ユニットへ導かれてもよい(流れ36c)。一つ以上の実施形態では、再利用システム34は、例えば、供給流れ20との熱交換を提供するために、前処理ユニット14と併せて使用できる(流れ40)。
システム10が低塩分濃度供給20を処理するために使用される別の可能な用途では、前処理システム14は、供給20を順浸透システム12へ導く前に供給20を濃縮する逆浸透ユニットであり得る。この実施形態では、前処理ユニット14は、溶媒/浸透の流れ32cと、FOモジュール12による処理のための濃縮供給流れ22とを提供する。また、この前処理/ROユニット14は、分離システム30からの製品溶媒32(流れ32a)を処理する後処理ユニット16と併せて、又は、後処理ユニット16の代わりに用いられ得る。具体的には、製品溶媒流れ32bが、分離システム30から供給流れ20へ導かれ、そこで、供給流れ20と混ぜ合わされ、前処理/ROユニット14に導入され得る。代替又は追加で、製品流れ32bはユニット14に直接的に供給されてもよい。概して、様々な流れが、過程の運転を最適化するために必要であるように、様々な処理ユニット14、16と、モジュール12と、サブシステムとの間で導かれ得る。
図3は、すべてが流体連通する順浸透ユニット212、逆浸透ユニット216、及び分離/再利用システム230をも用いる溶媒を抽出するための代替のシステム210の単純化された概略図である。システム210は、先に開示されているものと同様であり、例えば、順浸透ユニット212は順浸透膜213を備えており、逆浸透ユニットは逆浸透膜217などを備えている。システム210は、具体的な用途に適合するために、必要な弁、ポンプ、配管などのすべても備えている。一実施形態では、システム210は、高度に希釈された誘導溶液をもたらし得る低塩分濃度供給での使用のために構成される。
具体的には、図3に示すように、供給溶液220は、順浸透ユニット212の膜213の一方の側へ導かれ、一方、濃縮された誘導溶液224が膜213の他方の側へ導かれる。供給溶液220が低塩分濃度の供給である場合、誘導溶液は高度に希釈されることになる。高度に希釈された誘導溶液226が、順浸透ユニット212を出て行き、逆浸透ユニット216へ導かれる一方、濃縮された供給溶液222が、順浸透ユニット212を出て行き、さらなる加工処理のために送られ得るか、又は廃棄され得る。ある場合には、濃縮された供給溶液222は、食品又は薬剤製品など、一つ以上の望ましい成分を含む。
高度に希釈された誘導溶液226は、溶媒を膜217に押し通す逆浸透ユニット216で加圧される。この製品溶媒232Aは、例えば、現状通り使用され得る、廃棄され得る、さらなる加工処理のために送られ得る、又は、統合システム内の熱伝導流体として用いられ得る製品水として、逆浸透ユニット216から除去され得る。逆浸透ユニット216の第1の側216Aに留まる誘導溶液は、ここでは低希釈されており、具体的な用途に適合するために必要なように、誘導溶液をさらに濃縮するためにさらなる加工処理のために送られ得るか、及び/又は、現状通り順浸透ユニット212に戻されて再利用され得る。図3に示すように、低希釈された誘導溶液227が、さらなる濃縮のために分離/再利用ユニット230へ導かれる。しかしながら、システム210は、低希釈された誘導溶液の少なくとも一部を順浸透ユニット212に、直接的に、又は、分離/再利用ユニット230を出て行く濃縮された誘導溶液流れ224との組み合わせで、戻すように導くための選択的なバイパス回路229(及び、任意の必要な弁)も備える。
概して、分離/再利用ユニットは、例えば、その開示が、本明細書により、その全体において、本明細書において参照により組み込まれている米国特許出願公開第2012/0067819号('819公開)、又は、'895出願で開示されている種類のうちのいずれのものであってもよい。一実施形態では、ユニット230は、誘導溶質を溶媒から分離するために、熱回収過程を含む。代替の実施形態では、ユニット230は逆浸透モジュールを備えている。回収された誘導溶質は、ユニット230を出て行き(バイパスされた希釈された誘導溶液流れ229と混合されている一実施形態において)、濃縮された誘導溶液224として順浸透ユニット212へ導かれ、一方、残っている溶媒232Bが、例えば、現状通り使用され得る、廃棄され得る、又は、さらなる加工処理のために送られ得る製品水として、ユニット230を出て行く。
図3Aは、図3のシステム210の代替を描写しており、システム210は、逆浸透ユニット216へ導かれる希釈された誘導溶液の浸透圧を変更(例えば、低減)するための手段を備えている。希釈された誘導溶液の浸透圧を上回ることで、逆浸透ユニット216からのより大きな溶媒抽出をもたらすために、より少ないエネルギーが必要とされるため、希釈された誘導溶液の浸透圧を低減することは、逆浸透過程をより効率的にする。概して、浸透圧を低減するための手段は、触媒相変化、加熱、冷却、反応剤の添加、又は、電場若しくは磁場の導入など、様々な機構及び/又は過程を含むことができる。ある実施形態では、物理的又は化学的な媒体が希釈された誘導溶液226に導入され、誘導溶質と可逆的又は非可逆的に反応して、その濃度を低減するか、又は、膜によるその阻止特性を変化させる。少なくとも一実施形態では、電気又は電磁(例えば、紫外光)信号の導入が、相変化、イオン化の度合いの変化、又は、溶液226の浸透圧を低減する他の誘発された変化など、誘導溶質に変化を引き起こし得る。ある実施形態では、希釈された誘導溶液226の浸透圧は、pHレベルを調整すること、溶質のイオン性質を調整すること、又は、溶質の物理的なサイズを変更することで、低減され得る。例えば、イオン種が非イオン化され得るか、又は、大形種が比較的小形化され得る。ある実施形態では、電気透析(ED)など、加熱、冷却、真空、又は加圧を用いない技術が実施されてもよい。少なくとも一つの実施形態では、有機種の溶質の溶解性が、希釈された誘導溶液226の温度、圧力、pH、又は他の特性を変えることなどによって、操作されてもよい。少なくともある実施形態では、ナトリウム再充填イオン交換技術、又は酸若しくは塩基の再充填イオン交換など、イオン交換が実施され得る。浸透圧を低減するための他の手段が、本発明の範囲内で検討及び考慮される。
様々な実施形態において、システム210は、物質を希釈された誘導溶液226に加えるために、任意の必要な弁を含む、入口225又は他の導入位置(つまり、ポートシステム)を含む。一実施形態では、物質は水酸化銅[Cu(OH)2]であるが、他の金属/物質が、本発明の範囲内で検討及び考慮される。追加の物質が、希釈された誘導溶液226内の特定の誘導溶質を取り除く、又は、その誘導溶質と結合するために用いられてもよい。誘導溶液がアンモニア基である特定の実施形態では、水酸化銅は、逆浸透ユニット216の膜217によってより容易に拒絶されることで、希釈された誘導溶液の浸透圧を変更するより大きな分子を作り出すために、アンモニアと結合することになる。
再使用のために誘導溶質をより完全に回収するために、及び、追加の物質を回収するために(又は、希釈された誘導溶液の浸透圧を変更した結果を逆にするために)、システム210は、例えば、分離/再利用ユニット230への入口に、及び/又は、製品溶媒出口に配置され得る、一つ以上の処理ユニット214A、214Bも備えることになる。処理ユニット214は、前処理及び後処理のユニット14、16に関して先に記載した種類のうちのいずれのものであってもよい。例えば、第1の処理ユニット214Aは、水酸化銅とアンモニアとを分離するために相変化機構を備え得る一方、第2の処理ユニット214Bは、水酸化銅を製品溶媒232Bから除去するためにナノ濾過を備えてもよい。追加又は代替で、前処理ユニット214は、熱源(例えば、熱交換器)であり得るし、又は、熱源を備え得る。例えば、一実施形態では、希釈された誘導溶液は、分離/再利用システム230に行く前に予熱され得る。様々な処理ユニット214は、希釈された誘導溶液の浸透圧を変更するための先に記載した機構及び/又は過程のうちのいずれも組み込むことができる。一つ以上の実施形態では、過程は、低希釈された誘導溶液227を、熱、電磁気、又は電気の信号(例えば、電解槽)に曝すことを含み得る。具体的な実施形態では、希釈された誘導溶液226は、紫外線又は他のエネルギーの放出源に曝されて、例えば、活性化エネルギーを上回って、イオン種を、より大きい分子量の単一の中性化合物に変換することによって、その浸透圧を低減する。希釈された誘導溶液の化学的性質を変えることで、逆浸透過程は、同じポンプ圧力でより大きな溶媒回収を得ることができる。
図4は、溶媒を抽出するための別の代替のシステム310の単純化された概略図である。しかしながら、システム310は、すべてが流体連通する二つの順浸透ユニット312、316と分離/再利用システム330とを用いている。システム310は、先に開示されているものと同様であり、例えば、順浸透ユニット312、316は順浸透膜313、317を備えており、システム310は、具体的な用途に適合するために、必要な弁、ポンプ、配管などのすべても備えている。一実施形態では、システム310は、第1の順浸透ユニット312が、例えばタンク305で、浸漬される使用について構成されており、第2の順浸透ユニット316とは異なる誘導溶液を用いている。
図4に示すように、供給溶液320は、第1の順浸透ユニット312の膜313の一方の側へ導かれ、一方、濃縮された第1の誘導溶液324が膜313の他方の側へ導かれる。一実施形態では、第1の誘導溶液がMgCl2、CaCl2、Ca(NO3)2、NaCl、KCl、又は同様物から成る群から選択される。一つ以上の実施形態では、第1の誘導溶液が、浸漬されたシステムに適合するように選択される。希釈された第1の誘導溶液326が順浸透ユニット312から出て行く一方、濃縮された供給322が順浸透ユニット312から出て行く。一つ以上の実施形態では、濃縮された供給322が、タンク305に排出され得るか、廃棄され得るか、又は、さらなる加工処理のために送られ得る。ある実施形態では、誘導溶液は光分解誘導溶質を備えており、光分解誘導溶質の場合では、希釈された第1の誘導溶液326が、第2の順浸透ユニット316に送られる前に、その浸透圧を低くするために、紫外光又は他の励振源に曝露され得る。浸透圧を低減するための他の手段(例えば、化学物質加法)は、本明細書で前述のように組み込まれ得る。
希釈された第1の誘導溶液326が、第2の順浸透ユニット316の膜317の一方の側へ導かれ、一方、濃縮された第2の誘導溶液325が、希釈された第1の誘導溶液326から溶媒を抽出することで、第1の誘導溶液を再濃縮するために、膜317の他方の側へ導かれる(排出324')。再濃縮された第1の誘導溶液324'は、第1の順浸透ユニット312へ再び導かれるように、例えば、除去装置340、又は、第1の誘導溶液(排出324)のさらなる条件付け/濃縮のための他の処理過程へ導かれる。
希釈された第2の誘導溶液327は、第2の順浸透ユニット316から排出され、第2の誘導溶液の再濃縮及び製品溶媒332の回収ための分離/再利用システム330へ導かれる。概して、分離/再利用ユニット330は、'819公開又は'895出願におけるものを含む、本明細書で開示されている種類のうちのいずれのものであってもよく、誘導溶質を溶媒から分離する。回収された誘導溶質/再濃縮された誘導溶液325は、ユニット330を出て行き、第2の順浸透ユニット316に戻されるように導かれる。残りの溶媒332は、例えば、現状通り使用され得る、さらなる加工処理のために送られ得る、又は、廃棄され得る製品水として、ユニット330を出て行く。
図4Aは、図4のシステム310の代替を描写しており、システム310は、第1の順浸透ユニット312の出口及び第2の順浸透ユニット316の供給側で希釈された第1の誘導溶液326と流体連通する追加の逆浸透ユニット346を備えている。この代替のシステムの一つの具体的な用途は、第1の供給320が低塩分濃度の供給であり、第1の希釈された誘導溶液326が高度に希釈されることになり得る場合である。逆浸透ユニット346は、高度に希釈された誘導溶液326が第2の順浸透ユニット316に供給される前に、高度に希釈された誘導溶液326を少なくとも部分的に濃縮できる。図4Aに示すように、希釈された誘導溶液326が、圧力下で、逆浸透ユニット346の膜345の一方の側に導入される。希釈された誘導溶液326の加圧は、第1の順浸透ユニット312を出て行く溶液の増加した体積のおかげによるものであるか、又は、圧力交換装置(例えば、ポンプ)の助けによるものであり得る。製品溶媒232B(例えば、飲料水)は、膜345の他方の側から回収され、現状通り使用され得るか、廃棄され得るか、又は、さらなる加工処理のために送られ得る。一つ以上の実施形態では、製品溶媒は、飲料水として使用できる。低希釈された第1の誘導溶液326'が、逆浸透ユニット346を出て行き、先に記載したような加工処理のために第2の順浸透ユニット316へ導かれる。また、先に記載した誘導溶液の浸透圧を変更するための様々な手段が、システム310に組み込まれてもよい。
図5は、溶媒を抽出するための別の代替のシステム510の単純化された概略図である。このシステム510は、すべてが流体連通の様々な状態となっている逆浸透ユニット516、二つの順浸透ユニット512、546、及び、分離/再利用システム530を用いている。システム510は、先に開示されているものと同様であり、例えば、様々な浸透ユニット512、516、546は、先に記載したように、膜513、517、545を備えており、システム510は、具体的な用途に適合するために、必要な弁、ポンプ、配管などのすべても備えている。一実施形態では、システム510は、廃水流出が濃縮された供給(例えば、高度に濃縮された塩水)を希釈してより廃棄し易くするために用いられる用途のために、構成されている。
図5に示すように、供給流れ520(例えば、海水)が、圧力下で、逆浸透ユニット516の膜517の一方の側に導入される。製品溶媒532A(例えば、飲料水)は、膜517の他方の側から回収され、さらなる加工処理のために送られ得るか、又は、廃棄され得る。次に、濃縮された供給522(例えば、塩水)は、第1の順浸透ユニット512の膜513の一方の側へ導かれる。一実施形態では、逆浸透ユニット516は、低塩分濃度の供給を、順浸透ユニット512へ導く前に、濃縮するために用いられ得る。代替で、逆浸透ユニット516は省略でき、供給520は第1の順浸透ユニット512に直接的に送られてもよい。
濃縮された誘導溶液524は、溶媒を供給流れ522(又は、ある実施形態では供給流れ520)から誘導するために、第1の順浸透ユニット512の膜513の反対側へ導かれる。一実施形態では、濃縮された供給流れ522'は、後で記載しているように、第2の順浸透ユニット546へ導かれる。ここで希釈された誘導溶液526は、第1の順浸透ユニット512を出て行き、製品溶媒532Bの再濃縮及び回収のための分離/再利用システム530へ導かれる。概して、分離/再利用ユニット530は、先に記載した種類のうちのいずれのものであってもよい。回収された誘導溶質/再濃縮された誘導溶液524は、ユニット530を出て行き、第1の順浸透ユニット512に戻されるように導かれる。残りの溶媒532Bは、例えば、現状通り使用され得る、さらなる加工処理のために送られ得る、又は、廃棄され得る製品水として、ユニット530を出て行く。代替又は追加で、溶媒は、溶媒回路532cを介して元の供給520へ導かれ得ると共に、ROモジュール516への導入のために供給520と混ぜ合わされ得るか、又は、ROモジュール516に直接的に供給され得る。
さらに濃縮された供給溶液522'(例えば、濃縮された塩水)は、第2の順浸透ユニット546の膜545の一方の側に導入される。様々な実施形態では、濃縮された供給溶液522'は圧力下で導入され、第2の順浸透ユニットはPROユニットとして運転されている。概して、濃縮された供給液522'は、特に濃縮された塩水の場合、現状通り排出されると環境に悪影響を有している可能性がある。例えば、過塩水の溶液の天然の水源への排出は、その水源の局所的な生態系を破壊する可能性がある。濃縮された供給522'を希釈するために第2の順浸透ユニット546を使用することは、この希釈された供給522"を、廃棄するのを全体としてより容易にし、排出を概してより許容可能とさせることができる。現在の用途では、濃縮された供給522'は、誘導溶液の供給源として使用されている。濃縮された供給522'が溶媒(例えば、水)を誘導する二次的な供給溶液は、典型的には、用途を限定している供給源である、及び/又は、概して、人の使用には望ましくない。一実施形態では、二次的な供給547は、加工処理され、多くの用途への使用に安全である一方、典型的には人の使用には望ましくない廃水流出である。代替又は追加で、二次的な供給547は、例えば、二次的な供給547を置換又は補完する供給520の一部による分岐流れといった、元の供給520からのものであり得る。
図5に示すように、二次的な供給547は、第2の順浸透ユニット546の膜545の反対側へ導かれる。濃縮された供給522'は、順浸透ユニット546を出て行くと共に、廃棄され得るか、又は、さらなる加工処理のために送られ得る希釈された供給522"を、作り出す膜545を通して溶媒を誘導する。第2の順浸透ユニット546がPROユニットである実施形態では、システム510は、供給/誘導溶液出口543と流体連通するタービン548を備え得る。PROユニットの例は、米国特許出願公開第2010/0024423号及び第2010/0183903号に開示されており、それらの開示は、本明細書により、それらの全体において、本明細書において参照により組み込まれている。代替又は追加で、システム510は、希釈された供給522"の少なくとも一部を、供給520から逆浸透ユニット516及び/又は第1の順浸透ユニット512に戻すように導くためのバイパス回路529(及び、任意の必要な弁)を備え得る。
濃縮された二次的な供給549は、第2の順浸透ユニット546を出て行くと共に、廃棄され得るか、又は、さらなる加工処理のために送られ得る。廃水流出供給547の場合、溶媒の除去よってここでは小さな体積を有する濃縮された流出549が、焼却炉へ導かれ得るか、又は、さらなる濃縮/処理のための廃水加工処理施設に戻すように導かれ得る。追加で、第2の順浸透ユニット546は一つ以上の実施形態で浸漬され得る。
図6は、溶媒を抽出するための別の代替のシステム610の単純化された概略図である。しかしながら、このシステム610は、選択膜ユニット656及び分離/再利用システム630と流体連通する一つ以上の順浸透ユニット612を使用している。様々な実施形態では、選択膜は陽イオン選択膜655であり、選択膜ユニット656は硬水軟化モジュールである。システム610は、先に開示されているものと同様であり、後で記載しているように、一つ以上の前処理及び/又は後処理のユニット614、616を備え得る。前処理及び後処理のユニット614、616は、先に記載した種類のうちのいずれのものであってもよい。追加で、システム610は、具体的な用途に適合するために必要な弁、ポンプ、配管などのすべても備えている。
図6に示すように、システム610は、選択膜ユニット656と、バイパス回路又は弁構成611(弁623A、623B、及び回路621)と、順浸透ユニット612と、分離/再利用システム630と、呼び水システム又は第2の弁構成619(弁623C及び入口625)と、様々な前処理及び後処理のユニット614、616とを備えている。順浸透ユニット612及び分離/再利用ユニット630は、概して、他のシステム10、210、310、510に関連して先に記載したように運転する。概して、第1の弁構成611は、供給溶液流れ620を選択膜ユニット656へ導くか、又は、選択膜ユニット656をバイパスし、供給流れ620を順浸透膜613の一方の側に直接的に流体連結するかのいずれかのために構成される。分離/再利用システム630は、順浸透膜613の他方の側に流体連結され、濃縮された誘導溶液624を供給し、希釈された誘導溶液626を加工処理する。
選択膜ユニット656が陽イオン選択膜ユニットである様々な実施形態では、ユニット656は、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウム、及びストロンチウムといった、硬度イオンを供給溶液620から除去するために用いられている。これらの様々な硬度イオンは、脱塩システムで沈殿する傾向があり、脱塩過程に有害である汚染及びスケールを生じさせる。軟化された供給溶液620'は、順浸透ユニット612の膜613の一方の側へ導かれる。一つ以上の実施形態では、最初の供給溶液620は第1の処理ユニット614Aによって加工処理され得る、及び/又は、軟化された供給溶液620'は、順浸透ユニット612への導入の前に、第2の処理ユニット614Bにおいてさらに処理され得る。典型的には、陽イオン選択膜ユニット656は、図6Aに関連してより詳細に記載するように、膜545の反対側における順浸透ユニット612からの濃縮された供給622を、最初の供給620のように、硬度イオンの交換のために用いる。しかしながら、各々のユニット612、656が、「供給」流れに関して他方に依拠しているため、ユニット612、656のうちの一方又は両方は、典型的には、呼び水がされる必要がある。
概して、システム610はバイパス回路611を備えており、バイパス回路611は、未処理の供給として直接的に、又は、処理ユニット614のうちの一つによって加工処理した後に間接的に、供給溶液を順浸透ユニット612に提供するために必要な弁623A、623B、及び回路621を備えている。バイパス回路611は、具体的な用途に適合するために必要なように、任意の数及び構成の弁及び回路を備え得ると共に、必要に応じて、一つ以上の処理ユニット614をも備え得る。バイパス回路611は、システム610に、陽イオン選択膜ユニット656が供給620を軟化するために必要とされる濃縮された供給622を生成することを、開始させることができる。代替で、供給620は、最初に順浸透ユニット612に呼び水するために、ユニット656で加工処理することなくユニット656をそのままに通り抜けて送られてもよい。さらに別の可能な実施形態では、バイパス回路611は、代替の供給を順浸透ユニット612に導入するためのポート又は他の手段を備え得る。
追加又は代替で、システム610は、順浸透ユニット612への最初の供給を軟化するために、呼び水の溶液(例えば、塩水)を陽イオン選択膜ユニット656に提供できる呼び水システム619を備え得る。呼び水システム619は、一つ以上の弁623Cと、呼び水の溶液をシステム610に導入するための一つ以上の入口625(又は、他の手段)とを備えている。システム610が定常状態に達すると、呼び水の溶液の供給が停止され得る。システム弁623Cは、例えば、陽イオン選択膜ユニット656をバイパスするために、又は、濃縮された供給622を排出するために、濃縮された供給622の方向を変えるために使用されてもよい。一つ以上の実施形態では、システム610は、濃縮された供給622を、陽イオン選択膜ユニット656へ導く前に、又は、排出する前に、さらに加工処理するために、後処理ユニット616を備えてもよい。
陽イオン選択膜ユニット656の運転は、供給が塩水の供給源である一つの可能な実施形態に関連して、図6Aに示されている。図6Aに示すように、塩水供給620は、ユニット656の陽イオン選択膜655の一方の側に導入される。供給620は、ナトリウムイオン(Na+)及び塩化物イオン(Cl-)を、カルシウム(Ca2+)、マグネシウム(Mg2+)、バリウム(Ba2+)、ストロンチウム(St2+)など、様々な硬度のイオンと共に含んでいる。順浸透ユニット612(又は、他の供給源)からの濃縮された塩水622が、陽イオン選択膜655の他方の側に導入される。膜655を通じた正のナトリウムイオン(Na+)についての化学的活性の差が、膜655を通じて塩水622から供給620にナトリウムイオンを移動させる。電気選択性が、供給620から塩水622への膜655を通じた、正に帯電された硬度イオン(例えば、Ca2+、Mg2+、Ba2+、及びSt2+)の通過をもたらす。膜655が陽イオン選択性であるため、負に帯電されたイオン(例えば、Cl-、SO4-、HCO3-、及びCO3-)は、膜655を通過せず、それによって、順浸透ユニット612へ導かれるための軟化された供給620'をもたらす。ここで硬度イオンを含んでいる濃縮された塩水、又は、重い塩水622'は、さらなる加工処理のために送られ得るか、又は、廃棄され得る。
図7は、直列又は並列に配置され得る一つ以上の順浸透モジュール712a、712b、712「n」(一般に712であり、「n」は、システム710の任意の具体的な実施形態に備えられ得る、実質的に制限のない数のモジュールを表している)を利用する代替の浸透システム710を描写している。図7で示すように、順浸透モジュール712は、分離/再利用システム730、及び、膜713a、713b、713n(ここでも、一般に713であり、nは、膜のある対応する数字を表している)を洗浄するための浸透逆フラッシングシステム750と、直列に配置されている。概して、順浸透モジュール712は、先に記載したものと同様に構成されており、また、同様に作動する。また、分離/再利用システム730は、先に記載したものと同様である。一つだけの分離/再利用システム730が描写されているが、複数のシステム730が、具体的な用途に適合するために用いられてもよい(例えば、各々の順浸透モジュール712について、又は、直列若しくは並列の複数のシステム/段について、サイズ設定され配管される単一のシステム730)。逆フラッシングシステム750は、概して、後でより詳細に記載しているように、逆フラッシング溶液751の供給源755と、流体移送装置(例えば、ポンプ)753と、一連の弁757、759、765、767、769と、センサ761(計測器又は状態ランプなど、視覚指示器が有る又は無い)と、逆フラッシング及び関連する過程を実施するための関連する配管とを備えている。弁及び他の構成要素の必ずしもすべてが別々に配管される必要はなく、任意の数/組み合わせの弁又は他の構成要素が、一つ以上の多岐管組立体に組み込まれてもよいことに留意されたい。
基本システム710の運転は、次のように進行する。供給流れ720が、半透過性膜713aによって第1の室又は側712'と第2の室/側712"とに分割されている第1の順浸透モジュール712aに導入される。供給流れ720は、各々の連続する順浸透モジュール712a、712b、及び712nへ導かれ、濃縮された供給流れ722として、最後のモジュール712nを出て行く。順浸透モジュール712の具体的な数及び構成は、具体的な用途に適合するように選択されることになり(例えば、供給流れの開始濃度及び必要な最終濃度、流動、流量など)、直列及び/又は並列に配置された任意の数のモジュールを備え得る。例えば、複数の並列な対の順浸透モジュールが直列に配置されてもよい。図7で示されている実施形態では、濃縮された誘導溶液724が、順浸透モジュール712のうちの直列の最後のモジュール712nに、供給流れ720として膜713nの反対側に導入され、それによって、誘導溶液720が、連続するモジュール712を通るように導かれるとき、供給流れ720と誘導溶液724との間に直交流を提供する。しかしながら、濃縮された誘導溶液724は、具体的な用途に適合するために、供給流れ720が最初に導入されるとき、同じモジュール712aに最初に導入され得るか、及び/又は、複数の段に同時に(つまり、並列に)導入され得る。また、様々な流れ/溶液が、膜713を通じた所望の流動を維持するために必要とされる最適な浸透差圧を得るために必要とされるように、調整/分割され得る。
供給流れ720は、各々の順浸透モジュール712を通過するときに、前述の濃縮された供給流れ722が最後の順浸透モジュール712nから排出されている状態で、より濃縮されることになる。濃縮された誘導溶液724は、供給流れから誘導溶液への膜713を通る溶媒の通過のため、各々の連続する順浸透モジュール712を通過するときに希釈されることになり、希釈された誘導溶液726を、「第1の」順浸透モジュール712aから排出する。典型的には、濃縮された供給流れ722は、廃棄されるか、又は、さらなる加工処理のために送られ、一方、希釈された誘導溶液726は、誘導溶質を回収する/誘導溶液を再濃縮するために、及び、製品溶媒(例えば、水)732を回収するために、分離/再利用システム730へ導かれる。代替又は追加で、各々の順浸透モジュール712を出て行く、より濃縮された供給流れの一部は、膜713を通じた最適な浸透差圧を維持するために必要とされるように、最初の供給流れ720に戻されるように方向が変えられて混ぜ合わされ得るか、又は、続く順浸透モジュール712へ導かれ得る。例えば、続くモジュール712へ導かれる供給流れが、膜713を通じた浸透差圧が小さ過ぎるため、流動の許容できない低下が生じるようにして、濃縮され過ぎている場合、前のモジュール712を出て行く低濃縮された供給の一部が、例えば、弁767b〜767nの適切な作動によって、続くモジュールに入って行く供給と混ぜ合わされ得る。
先に記載したように、浸透逆フラッシングシステム750は、一つ以上の弁757、759、765、767を介して順浸透モジュール712のうちの一つ以上と流体連通するフラッシング溶液751の供給源755を備えることになる。ある実施形態では、フラッシング溶液751は水(例えば、製品溶媒732又は他の低塩分濃度溶液)であるが、流動が誘導側712'から膜713の供給側712"に作り出されるように、溶液が供給流れより小さい浸透圧を有している限り、例えば、誘導溶液の希釈されたもの(例えば、逆フラッシングを受けるモジュールへ導かれ得る、他のモジュールのうちの一つを出て行く希釈された誘導溶液)、又は、用途に特定の溶液の化学的性質(例えば、システムの一つ以上の態様と化学的に互換性のある溶液、及び/又は、供給流れに流動されるときに追加的な有益な効果を有し得る溶液)など、他の流体が本発明の範囲内で検討及び考慮されている。ある実施形態では、フラッシング溶液751は、膜の活性層への汚染を低減/排除するために、膜を通して逆に流動できる、酸、キレート剤、又は界面活性剤などの、添加剤を含んでいる。このような添加剤の例には、クエン酸、硫酸、塩酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、及び、他の低分子量の物質が含まれる。追加の実施形態では、フラッシング溶液751の温度は、例えば、フラッシング溶液の温度が、膜を通じた添加剤の逆の流動の一助とするために上昇され得るといった、具体的な用途に適合するために変化され得る。一つ以上の実施形態では、フラッシング溶液751は、全体システム710の一部として、タンク755に貯蔵されるが、外部供給源から、例えば、ポート763b及び弁759bの配置を介して、供給されてもよい。弁757、759、765、767、769は、閉止弁及び方向弁の必然的な任意の組み合わせであり得ると共に、典型的には、当業界でよく知られているような、様々なシステム730、750とモジュール712との間で複数の流れを制御できる多方向弁となる。
概して、逆フラッシングシステム750は、必要に応じて運転させることができ(例えば、手動による開始によって、又は、システム710の一つ以上の性能特性の変化を表す信号によって始動されるため)、又は、例えば、供給流れ720、722及び/若しくは誘導溶液724、726の性質/化学的性質、運転条件(例えば、温度、流量、流動、圧力など)、前処理の有無、並びにそれらの組み合わせを考慮するプロトコルに依存するといった特定の間隔で、運転することができる。例えば、逆フラッシングシステム750は、例えば、3時間間隔で、又は、他の用途に特定の間隔で、一回の運転でモジュール712のすべてを洗い流すようにプログラムでき、例えば、供給流れ720が膜713を汚す高い可能性がある場合、より頻繁な間隔が好ましいこともある。他の間隔には、例えば、最初の運転の期間の間は48時間ごと又は6時間ごとで、続く運転の期間についてはより短い間隔又はより長い間隔を含み得る。また、浸透逆フラッシング処置の期間は、具体的な用途に適合するように選択できる。代替又は追加で、逆フラッシングシステム750は、モジュール712の上流及び/又は下流に配置されている一つ以上のセンサ761によって発生される一つ以上の信号に基づいて、必要に応じて個々のモジュール712を洗い流すこともできる。ある実施形態では、システムは、各々が独自のプロトコルを有する個々のモジュールで、浸透逆フラッシング処置を実施し得る。例えば、各々のモジュールは、第1のモジュールが12時間ごとに洗い流され、第2のモジュールが第1のモジュールの2時間後において12時間ごとに洗い流され、第3のモジュールが2時間後において同じく12時間ごとに洗い流されるなど、時間差のスケジュールで、6〜24時間ごとに洗い流されてもよい。モジュールについての洗い流す間隔は、実質的に同じであってもよいし、又は、具体的な用途に適合するために変化してもよい。例えば、供給入口の下流の最後のモジュールは、最も濃縮した供給に曝されるため、より多くの汚染を被る可能性があり、したがって、より長い期間で洗い流される、又は、場合により、同様に、若しくは、代替で、他のモジュールよりも頻繁に洗い流される必要がある可能性がある。必然的に、洗い流す間隔及び期間の任意の組み合わせが、モジュールの数、供給及び誘導の溶液の化学的性質、周囲条件、膜材料などによって定められ得るため、具体的な用途に適合するために可能である。
逆フラッシング処置が必要であることが判定されるとき、所定のプロトコル、又は、システム性能特性の変化の測定(例えば、典型的には連続的に監視されている流動の低下)のいずれかに基づいて、一つ以上の弁が作動させられて(手動により、又は、制御システムによって電気的により)、様々な流れ/溶液の流路の方向を変える。概して、本発明の一つ以上の実施形態による通常の運転では、弁757a、757b、及び757dは、濃縮された誘導溶液724の順浸透モジュール712への直接的な流れと(分離/再利用システム730から、又は、例えばポート763b及び弁759bの配置を介して、システム710に導入されるかのいずれかで)、順浸透モジュール712から分離/再利用システム730への希釈された誘導溶液726の排出とを可能にするために位置付けられている。追加の弁(例えば、流れ制御又は圧力逃がし式)及びセンサ761が、様々なシステムと、それらの間の流れとをさらに監視及び制御するためにあってもよい。例えば、システム710は、当業界でよく知られているように、例えば、過剰な溶質及び/又は望ましくない溶質(例えば、供給流れ720から膜713を通過する溶質)を、希釈された誘導溶液726内から除去するための排出として使用できる追加のポート763a及び弁759aの構成を、希釈された誘導溶液726を分離/再利用システム730に搬送する回路に備えてもよい。代替又は追加で、ポート763a及び弁759aの構成は、システム710に追加の化学物質及び/又は補給誘導溶液を導入するために用いることができ、例えば、リン酸ナトリウムが、希釈された誘導溶液726に、そのpHを調整するために加えられてもよい。一つ以上の実施形態では、ポート763b及び弁759bの構成は、追加の化学物質を導入するために、及び/又は、濃縮された誘導溶液724の最初又は補給の供給源でシステム710を呼び水するために、用いられ得る。
逆フラッシング処置を開始するために、少なくとも弁757dが、順浸透モジュール712への濃縮された誘導溶液724の流れを停止するために、及び、逆フラッシングシステム750から順浸透モジュール712の誘導側712'にフラッシング溶液751を導入するために作動される。代替で、弁757dは、例えば、任意の所与のモジュール712に導入されるフラッシング溶液751を特別に変更するために、フラッシング溶液の性質に依存して、濃縮された誘導溶液724の流れを著しく減らし、その一部をフラッシング溶液751に計量しながら供給するために作動される。典型的には、フラッシング溶液751は、直列の順浸透モジュール712に導入されるが、フラッシング溶液751は、弁757、759、765、767、769の適切な組み合わせ及び作動を介して、並列又は単一で、モジュール712に導入できる。例えば、弁757cは、フラッシング溶液を全体の一連のモジュールへ導くために、又は、フラッシング溶液751を複数のモジュール712の間で分割するために、作動できる。一実施形態では、浸透逆フラッシング処置は、一度に単一のモジュール/段で実行され(モジュールは、適切な弁の作動によって、残りのモジュールから隔離され得る)、一方、他のモジュール/段は通常通り運転し続け、それによって、全体のシステムの定常状態の運転を維持する。追加の弁構成が、具体的な用途に適合するように、フラッシング溶液751を他の流れ/溶液と混合するために用いられ得る。一例では、希釈された誘導溶液726は、溶液724を、弁757、759、765を介してモジュール712に方向を変えることで、フラッシング溶液として使用できる。フラッシング溶液751がより低い濃度の溶質である(又は、脱イオン化された水の場合、必然的に溶質がない)ため、つまり、より低い浸透ポテンシャルであるため、溶媒は、モジュール712の誘導側712'から、膜713を通って、供給側712"に(つまり、供給流れ720に)流れることになり、それによって、膜713の供給側712"に沈着している可能性のあるあらゆるスケール又は他の汚染物質の少なくとも一部を除去する。逆フラッシング処置の期間は、具体的な用途に適合するために変化することになり、1分間から60分間まで、好ましくは5分間から45分間まで、より好ましくは10分間から20分間まで、続く可能性がある。概して、処置の期間は、膜に付着しているスケール/汚染物質の実質的に一部又は全部を、最短の停止時間(例えば、供給流れ720が濃縮されていない時間)で除去するように選択されることになる。ある例示の実施形態では、浸透の逆の洗い流しは、48時間ごとに約15分間運転する。さらに別の実施形態では、浸透の逆の洗い流しは、1〜2時間ごとに約5〜10分間運転する。また、モジュール712を通る供給流れ又は誘導溶液の流量は、フラッシング処置の間に変更され得る。例えば、供給流れ720(逆の洗い流しの処置の間の誘導流れ)の流量は、例えば、膜表面に形成されているあらゆる汚染/スケールへのせん断力を大きくするために、増加され得る。増加された流量は、浸透の逆の洗い流しの間により大きな流動量ももたらし、膜の洗浄のさらなる一助となることができる。また、システム710は、順浸透モジュール712の各々に再循環回路771a、771b、771nを備えることができる。回路771は、ポンプ(又は、他の圧力交換装置)と、任意の浸透モジュール712とを備えることができる。一実施形態では、浸透の逆の洗い流しのプロトコルは、例えば、モジュール712を通る流量を変化(例えば、増加)すること、及び/又は、供給流れの少なくとも一部の流れ方向を逆にすることによって、膜の洗浄の一助とするように、再循環回路771を運転することを含んでいる。また、特定の洗い流しのプロトコルは、具体的な用途に適合するように選択されることになる。運転パラメータのうちでも、供給流れの化学的性質、目標の流動、運転圧力、及び/又は温度の性質は、適切な浸透逆フラッシング処置(例えば、間隔、期間、溶液の化学的性質など)を決定するためにすべて考慮する可能性がある。
モジュール712を出て行く「使用された」フラッシング溶液751'は、フラッシング溶液751の性質に依存して、弁757、759、765、769の適切な作動によって、分離/再利用システム730へ導かれ得るか、一つ以上のモジュール712に戻って再循環され得るか、又は、逆フラッシングシステム750に戻され得る。一つ以上の実施形態では、フラッシング溶液751'は、ポート763a及び弁759aの構成によって除去され、また、廃棄されるか、逆フラッシングシステム750に戻されるか、供給流れ720に加えられるか、又は、加工処理のための場所に送られる。ここで希釈された供給流れ722'は、最初の供給流れ720に戻されるように再循環され得るか、又は、例えば少なくとも弁757eの作動によって、濃縮された供給722とのさらなる加工処理のために送られ得る/廃棄され得る。
概して、直列の構成のモジュール712を運転するとき、図7に示して先に記載したように、供給流れ濃度がモジュール712を流れて行くにつれて増加し、誘導溶液濃度がモジュール712を流れて行くにつれて低下するように、供給流れ720と誘導溶液724との直交流で運転することが一般的に望ましい。供給流れと誘導溶液との直交流の向きは、この実施形態では垂直であると考慮され得るが、他の実施形態では、供給流れと誘導溶液との直交流は、正確な平行又は直角とは対照的に、接線方向であってもよい。この構成は、モジュール712aの膜713aを通じて、最低に濃縮された誘導溶液に相対する最低に濃縮された供給流れをもたらし、モジュール712nの膜713nを通じて、最高に濃縮された誘導溶液に相対する最高の濃縮された供給流れをもたらす。これは、モジュール712のすべてにわたって最適な浸透差圧をもたらす。しかしながら、ある実施形態では、供給流れ720からの溶媒の回収/除去を増加するために、一つ以上の順浸透モジュール712、又は、後の/続く順浸透モジュール712(誘導溶液の流れ方向によって決定される)にわたる流動を増加するように、一つ以上の順浸透モジュール712にわたっての浸透差圧を変更することが望ましい、一つ以上の実施形態では、これは、逆フラッシングシステム750の少なくとも一部を用いて、一つ以上の他の溶液の一部を特定のモジュール712に導入し、それによって任意の特定の膜713を通じた浸透差圧を変更することによって、達成できる。
あるこのような例では、濃縮されている(又は、供給源に依存して、少なくともより濃縮されている)誘導溶液724の一部が、典型的な運転の間、続く順浸透モジュール712に導入されている部分的に希釈された誘導溶液に加えられてもよく、これは、膜を通じた追加的な流動(つまり、より大きな溶媒の回収)をもたらすことができる。これは、システムのモジュール712の数、モジュールの構成、及び、どのモジュールの流動量が変更の対象とされているかに依存して、弁757bと、弁759c、759n、765のうちの一つ以上とを作動することによって達成できる。例えば、一つ以上の実施形態では、弁757bは、任意の特定のモジュール712への濃縮された誘導溶液の流れを中断しないように、複数のモジュール712への濃縮された誘導溶液724の一部を計量するために使用され得る。代替で、弁757、759、765、769の異なる組み合わせが、希釈された誘導溶液726の一部を、単独、又は、濃縮された誘導溶液724の一部との混合のいずれかで、任意の特定のモジュール712へ導かれる部分的に希釈された誘導溶液に導入するために作動でき、それによって、具体的な用途に適合するために、任意の特定のモジュール712に、特別に変更された濃度を有する誘導溶液の導入をもたらす。あるこのような用途は、誘導溶液濃度が、モジュール712のすべてにわたって比較的一定の流動量を維持するために変化される必要があるように、供給流れ濃度が変化する状況を含み得る。このような実施形態では、様々なセンサ761が、供給流れ720、722及び誘導溶液724、726の異なる特性を監視するために(例えば、伝導度センサによる濃度レベル)、並びに、一つ以上のモジュール712への誘導溶液濃度を変更するために必要とされるように適切な弁757、759、765、767、769の作動を引き起こすために、用いられ得る。
図8A及び図8Bのグラフは、先の例の一つ以上に従って運転するとき、続く順浸透モジュール712(つまり、供給流れがより低い濃縮とされてもいる、供給流れの流れ方向に対してより手前のモジュール)からの増加した溶媒の回収についての潜在能力を示している。図8A及び図8Bに示すように、縦座標に相対流動(JW)が描画され、横座標にモジュールの数(n)が描画された形で、線801/801'は、通常の運転におけるシステム710についての平均流動を表しており、一方、線803/803'は、濃縮された誘導溶液の部分的なバイパスとして浸透逆フラッシングシステム750を利用するシステム710についての平均流動を表している。
図8Aに描画した具体的な例では、システム710は六つの順浸透モジュール712を備えており、濃縮された誘導溶液724の一部は、最後の三つのモジュール(つまり、712d、712e、712f)(「1/2n」)にバイパスされているが、システム710は、任意の数の順浸透モジュール712を備えることができ、濃縮された誘導溶液724は、任意の数のモジュールに任意の順番でバイパスできる。概して、任意の続くモジュール712に入る部分的に希釈された誘導溶液への、追加の濃縮された誘導溶液の導入は、そのモジュール712に関する浸透差圧を増加させ、これは、関連する膜713を通る流動の増加をもたらす(つまり、追加的な溶媒の回収)。
図8Aで見ることができるように、変更されていない浸透差圧(つまり、通常の運転)は、複数の連続する順浸透膜を通じてほとんど一定の流動量をもたらし、一方、変更された浸透差圧の場合、後のモジュール712a、712b、712cにおいて「通常」に最終的に戻るシステム流動において、最初の増加がある(具体的には、モジュール712d、712e、712fにおいて)。図8Bによって描写されるように、濃縮された誘導溶液724の一部は、代替のモジュール712(例えば、712f、712d、712b)に導入され、それによって、平均システム流動における全体の増加について、モジュール流動に代わりの増加をもたらす。
さらに、逆フラッシングシステム750又はその一部は、全体システム710の他の運転を制御するために、及び/又は、代替の逆フラッシングプロトコルを行うためにも、用いられ得る。例えば、ある実施形態では、膜713の誘導側712'と供給側712"との間の浸透差圧が非常に大きいため、膜が剥離及び/又はブリスタリングの危険がある可能性がある。この状況では、逆フラッシングシステムの様々な弁及び回路が、異なる流れ/溶液を迂回及び/又は混合するために用いられ得る。例えば、逆フラッシング処置の間、希釈された誘導溶液726及び/又は濃縮された誘導溶液724の一部は、フラッシング溶液751と混合されて、その適切な浸透ポテンシャルを得ることができ、延いては、膜713の両方の側の間の最適な浸透差圧を得ることができる。例えば、逆フラッシング処置の間に、供給流れ720が最初に導入され、最も濃縮されている場合(図7のモジュール712a)といった、ある場合において、弁757a及び/又は弁757bは、弁759b及びおそらく弁765(どの溶液が導入されるかに依存する)と共に、順浸透モジュール712aに導入されるフラッシング溶液751に誘導溶液の一部を導入し、それによって膜713aを挟んでの浸透差圧を低下させるために、作動され得る。誘導溶液の他の部分/濃度は、システム710の任意の具体的な実施形態で用いられる順浸透モジュール712の数に依存して、適切な弁757、759、765、767、769を作動することによって、膜713を挟んでの適切な浸透差圧を得るために必要であるとして、他の順浸透モジュール712a、712nに加えられてもよい。
図9は、溶媒を抽出するための別の代替のシステム910の単純化された概略図である。このシステム910は、一つ以上の順浸透ユニット912(例えば、具体的な用途に適合するために、直列及び/又は並列に配置された複数のユニット)と、すべてが様々な流体連通の状態になっているナノ濾過/限外濾過ユニット914、逆浸透ユニット916、及び膜蒸留ユニット958のうちの一つ以上を組み込む分離システム930とを用いる。システム910は、先に開示されているものと同様であり、例えば、様々な浸透/濾過ユニット912、914、916は、先に記載したように、膜913、915、917を備えており、システム910は、具体的な用途に適合するために、必要な弁、ポンプ、配管、センサ、制御部などのすべても備えている。一実施形態では、システム910は、供給流れが、膜913を通じた選択的な浸透に置かれ得る、及び/又は、前処理を必要とすることになる特定の溶質を含む用途に向けて、構成されている。ある実施形態では、膜は、高い選択的浸透特性を有し、それによって、これらの溶質に膜913を通過させることができてもよいが、代替の種類の膜が、例えば、供給の化学的性質、誘導溶液の化学的性質、周囲条件など、具体的な用途に向けてシステム910の性能を最大化するために用いられてもよい。
図9に示すように、供給溶液920は、順浸透ユニット912の膜913の一方の側へ導かれ、一方、濃縮された誘導溶液924'が膜913の他方の側へ導かれる。希釈された誘導溶液926が、順浸透ユニット912を出て行き、分離システム930へ導かれる一方、濃縮された供給溶液922が、順浸透ユニット912を出て行き、現状通り使用されるか、さらなる加工処理のために送られ得るか、又は廃棄され得る。ある場合には、濃縮された供給溶液922は、食品又は薬剤製品など、一つ以上の望ましい成分を含む。
概して、分離システム930は、希釈された誘導溶液926の少なくとも一部を最初に処理するためのナノ濾過(NF:nanofiltration)又は限外濾過(UF:ultrafiltration)ユニット914と、NF/UFユニット914によって加工処理される希釈された誘導溶液926'、順浸透ユニット912によって直接的に作り出された希釈された誘導溶液926、又はそれら両方を処理するための逆浸透ユニット916とを備えている。システム930は、誘導溶液の追加の濃縮のために、及び/又は、後でより詳細に説明するように、追加の製品水を回収するために、膜蒸留ユニット958、又は、本明細書で先に記載したような他の熱回収システムを、選択的に備え得る。一つ以上の実施形態では、希釈された誘導溶液926は、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、様々な硫酸塩、スルホン酸塩、概して他の難溶性無機溶質、又は、有機成分など、膜913を通じて選択的に浸透されている一つ以上の溶質962を含み得る。希釈された誘導溶液926の少なくとも一部(浸透された溶質を含む)は、NF/UFユニット914へ導かれ得る。ある実施形態では、希釈された誘導溶液の全部又は一部は、バイパス回路929及び弁構成959を介してNF/UFユニット914をバイパスでき、一部において希釈された誘導溶液926の条件/化学的性質に依存して、逆浸透ユニット916に直接的に送られ得る。ある実施形態では、バイパス弁構成959は、NF/UFユニット914及び/又は逆浸透ユニット916への希釈された誘導溶液926の一部を計量できる三方弁を備え得る。代替で、複数の弁が、希釈された誘導溶液926又はその一部を適切な処理過程に選択的に導くために用いられ得る。
典型的には、NF/UF膜915は、誘導溶質(例えば、NaCl)の少なくとも実質的な部分を通過させることができる一方で、浸透された溶質962の少なくとも実質的な部分を妨げる「目が弛んだ」NF膜(又は、「目が詰まった」UF膜)である。概して、何が検討されているかに拘わらず、約30%のみの除去率の膜915が許容可能(例えば、NaCl誘導溶質が使用される場合、0%〜20%が好ましい)であるが、望ましい除去率は、例えば、溶液の化学的性質、運転パラメータ、及び周囲条件といった、様々なシステム条件に依存して変わることになる。一つ以上の実施形態では、NaClなどの一価化合物を含む誘導溶質は、NF膜915をより容易に通過し、濃縮された誘導溶液924として使用するために、逆浸透ユニット916で濃縮され得る一方で、Ca2+、硫酸塩、又は有機化合物などの二価又は多塩基の化合物は、膜915によって除去され、供給流れ920に戻される。これらの溶質962は、溶質962を供給920に戻すために任意の必要なポンプ、弁、制御部などを備え得る回路968を介して、システム供給920へ導かれ得る。一つ以上の実施形態では、希釈された誘導溶液926の約10%だけがNF/UFユニット914へ導かれ、NF/UFユニット914は、溶質排出過程と同様に作用して、誘導溶液で高まり得る望ましくない溶質の少なくとも一部を除去する、並びに/又は、順浸透ユニット912の供給及び誘導の側912a、912bの間のイオンの平衡化を助け、それによって、別個の排出回路の必要性がなくなる。
また、分離システム930/バイパス回路(929、959)は、加工処理の前に、一つ以上の添加剤を希釈された誘導溶液926に導入するための手段964(例えば、タンク、計量/混合装置などが有る又は無いポート及び弁構成)を備えてもよい。ある実施形態では、分散剤(例えば、リグニンスルホン酸ナトリウム塩)が、供給流れ920への添加剤の導入を容易にするために、NF/UFユニット914の前で希釈された誘導溶液926に加えられ得ることになるが、添加剤の少なくとも実質的な部分は、NF/UF膜によって除去され、望ましくない溶質962と共に供給に戻すことができる。ある実施形態では、添加剤は、供給流れ920へ導かれる前に、NF/UF膜の汚染又はスケールを低減又は排除できる。代替又は追加で、導入手段964は、システム910の他の領域に他の添加剤(例えば、スケール防止剤、腐食防止剤、錯化剤、調合剤、金属イオン封鎖剤、汚泥調整剤、又は汚泥抑制剤)を導入するために用いられ得る。例えば、システム910は、追加の誘導溶質を誘導溶液に導入するための同様の手段966を備えてもよい。ある実施形態では、これらの手段966は、膜913を通って逆に流動した可能性のある、又は、誘導溶液回収過程において失われた可能性のある任意の溶質を置換するために、塩水製造機(例えば、主要な誘導溶質がNaClである)を備えている。これらの手段966、典型的には、濃縮された誘導溶液が順浸透ユニット912に導入される場所の近くに配置されることになるが、他の場所も、具体的な用途に適合するために可能である。
希釈された誘導溶液926、926'は、逆浸透ユニット916で(例えば、ポンプ953又は他の圧力交換器を介して)加圧され、溶媒を膜917に押し通す。この製品溶媒932は、例えば、現状通り使用され得る、廃棄され得る、さらなる加工処理のために送られ得る、又は、統合システム内の熱伝導流体として用いられ得る製品水として、逆浸透ユニット916から除去され得る。逆浸透ユニット916の第1の側916Aに留まる誘導溶液は、ここでは濃縮された誘導溶液924であり、具体的な用途に適合するために必要なように、現状通り順浸透ユニット912に戻るように送られ得るか、又は、誘導溶液をさらに濃縮するために、及び/若しくは、追加の製品溶媒を回収するために、さらなる加工処理のために送られ得る。図9に示すように、逆浸透ユニット916を出て行く濃縮された誘導溶液924は、さらなる濃縮のために選択的な膜蒸留ユニット958へ導かれ、追加の製品水932'及びより濃縮された誘導溶液926'を生成する。
一つ以上の実施形態によれば、本明細書に記載されている装置、システム、及び方法は、概して、装置の少なくとも一つの運転パラメータ、又は、限定されることはないが、作動弁及びポンプなど、システムの構成要素を調整又は調節するためのものであると共に、浸透圧的に駆動される膜モジュール、又は、具体的なシステムの他のモジュールを通る一つ以上の流体流れの性質又は特性を調節するための制御装置を備え得る。制御装置は、濃度、流量、pHレベル、又は温度など、システムの少なくとも一つの運転パラメータを検出するように構成された少なくとも一つのセンサと電気通信していてもよい。制御装置は、概して、センサによって作り出された信号に応答して、一つ以上の運転パラメータを調節するために、制御信号を作り出すように構成され得る。例えば、制御装置は、浸透圧的に駆動される膜システム、並びに、関連する前処理システム及び後処理システムの任意の流れ、構成要素、又はサブシステムの条件、性質、又は状態の表示を受信するように構成され得る。制御装置は、典型的には、表示、及び、設定ポイントなどの目標値又は所望の値のいずれのもののうちの一つ以上に基づいている少なくとも一つの出力信号の生成を容易にするアルゴリズムを、典型的には含んでいる。一つ以上の具体的な態様によれば、制御装置は、任意の流れの任意の測定された性質の表示を受信するように、及び、測定された性質の目標値からのあらゆる逸脱を縮小するために、システム構成要素のうちのいずかに対する制御、駆動、若しくは出力の信号を生成するように、構成され得る。
一つ以上の実施形態によれば、過程制御システム及び方法は、pH及び伝導度を含む検出パラメータに基づき得るなど、様々な濃縮レベルを監視し得る。過程流れ流量及びタンクレベルも制御され得る。温度及び圧力が監視され得る。膜の漏れが、イオン選択プローブ、pHメータ、タンクレベル、及び流れ流量を用いて検出され得る。漏れは、膜の誘導溶液側をガスで加圧し、超音波検出器を用いることで、及び/又は、供給水側における漏れの目視観察によって、検出することもできる。他の運転パラメータ及び保守問題が監視されてもよい。様々な過程の効率が、製品水の流量及び品質と、熱流と、電気エネルギー消費とを測定することなどによって、監視され得る。生物学的汚染軽減のための洗浄プロトコルは、膜システムにおける特定の点における供給溶液及び誘導溶液の流量によって決定される流動低下を測定することなどによって、制御され得る。塩水流れにおけるセンサは、蒸留、イオン交換、不連続点塩素処理、又は同様のプロトコルなどによって、処理がいつ必要とされるかを示すことができる。これは、pH、イオン選択プローブ、フーリエ変換赤外分光分析(FTIR:Fourier Transform Infrared Spectrometry)、又は、誘導溶質濃度を感知する他の手段で行われ得る。誘導溶液の条件は、溶質の補給追加、及び/又は交換のために監視及び追跡され得る。同様に、製品水の品質は、従来の手段によって、又は、アンモニウム若しくはアンモニアのプローブなどのプローブで、監視され得る。FTIRは、例えば、適切なプラント運転を確保するために、有用であり得る情報を提供する、及び、膜イオン交換の効果などの具合を特定するための、存在する種を検出するために実施され得る。
当業者は、本明細書で記載されているパラメータ及び構成が例示であることと、実際のパラメータ及び/又は構成は、本発明のシステム及び技術が用いられる具体的な用途に依存することとを理解すべきである。当業者は、所定の実験を用いるだけで、本発明の具体的な実施形態と同等のものを、理解すべきである、又は、確保することができるべきである。そのため、本明細書で記載されている実施形態が、例だけを用いて提示されていることと、添付の特許請求の範囲及びその均等物内で、本発明が、具体的に記載されている以外の仕方で実施されてもよいこととは、理解されるものである。
さらに、本発明は、本明細書に記載されている各々の特徴、システム、サブシステム、又は技術と、本明細書に記載されている二つ以上の特徴、システム、サブシステム、又は技術の任意の組み合わせとを対象にしており、二つ以上の特徴、システム、サブシステム、及び/又は方法の任意の組み合わせは、このような特徴、システム、サブシステム、及び技術が相互に矛盾していない場合、特許請求の範囲で具現化されるとして、本発明の範囲内にあると見なされる。さらに、一つの実施形態との関連のみで詳述された作用、要素、及び特徴は、他の実施形態の同様の役割から排除されるように意図されてはいない。