JP2016223042A - パルプスラリー及びパルプシート - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、優れた湿潤紙力と高い緊密性を有するパルプシートであって、黄変が抑制されたパルプシートを提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、酸化パルプと、非酸化パルプを含み、酸化パルプの含有量は、酸化パルプと非酸化パルプの合計質量に対して20〜60質量%であり、酸化パルプは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を触媒として酸化されたパルプであるパルプスラリーに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、パルプスラリー及びパルプシートに関する。具体的には、本発明は、特定の割合で酸化パルプを含有するパルプスラリー及びパルプシートに関するものである。
従来、紙に湿潤紙力を付与する薬品として、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(PAE)が使用されている。PAEは幅広いpH領域で良好な湿潤紙力を発現するため、その適用範囲は広く、多用されている。PAE以外の湿潤紙力剤としては、ポリビニルアミン(PVAm)やデキストランアルデヒド等が知られている。
近年は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を触媒としてパルプを酸化し、パルプ表面を改質することで湿潤紙力を発現させる方法が開発されている。TEMPOを触媒とした酸化反応では、パルプ上の一級アルコールを選択的にアルデヒド基やカルボキシル基に酸化する。このようにして得られた酸化パルプを含むパルプシートにおいては、シート形成時にアルデヒド基が繊維間でヘミアセタール結合を形成し、これにより湿潤紙力が増強すると考えられている(例えば、非特許文献1)。
また、特許文献1には、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を触媒としてパルプを酸化し、ナノファイバーを製造する方法が開示されている。特許文献2では、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を触媒としてパルプを酸化し、得られたナノファイバーを抄紙することで製造された紙が開示されている。ここでは、抄紙されるパルプ成分の全てがTEMPOを触媒として酸化されている。
特開2009−243014号公報 特開2010−242286号公報
紙パ技協誌 第62巻第7号 830〜838頁
上述したように、湿潤紙力を増強する方法として、湿潤紙力増強剤を用いる方法があるが、湿潤紙力増強剤としてPAEを用いた場合、パルプシート(以下、紙ともいう)の製造時に規制対象物質である低分子塩素有機化合物(AOX)が発生するという問題がある。製造方法の変更等によりAOX含有量が少ないPAEも開発されているが、今後の法規制の動向次第では使用できなくなる可能性があり、PAEを使用しなくとも良好な湿潤紙力を発現し得るパルプシートが求められている。また、湿潤紙力増強剤としてPVAmやデキストランアルデヒド等を用いた場合においても、それぞれ製造コスト面や薬品安定性面で問題があり、利用が進んでいない。
また、上述したように2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を触媒としてパルプを酸化し、パルプ表面を改質することで湿潤紙力を発現させる方法も開発されている。しかし、このような酸化パルプからなるパルプシートにおいては、パルプシートが黄変することが本発明者らの検討により明らかとなった。パルプシートが黄変した場合、意匠性や品質を著しく損なうことがあり問題となっていた。また、特許文献2や非特許文献1に記載されたパルプシートにおいては、その湿潤紙力や透気度(緊密性)が不十分な場合があり、さらなる改善が求められていた。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、優れた湿潤紙力と高い緊密性を有するパルプシートであって、黄変が抑制されたパルプシートを提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、TEMPOを触媒として酸化された酸化パルプを特定の割合で含有させることにより、優れた湿潤紙力と高い緊密性を有するパルプシートが得られることを見出した。さらに本発明者らは、このようなパルプシートにおいては、b*値が小さく、黄変が抑制されていることを明らかにし、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]酸化パルプと非酸化パルプとを含み、酸化パルプの含有量は、酸化パルプと非酸化パルプの合計質量に対して20〜60質量%であり、酸化パルプは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を触媒として酸化されたパルプであるパルプスラリー。
[2] パルプルラリーに含まれる全パルプ中のグルコースのC6位の酸化率が3〜11%である[1]記載のパルプスラリー。
[3]酸化パルプの平均繊維長は0.1〜3.0mmであり、酸化パルプの平均繊維径は10〜30μmである[1]又は[2]記載のパネルスラリー。
[4]酸化パルプと、非酸化パルプを含み、酸化パルプの含有量は、酸化パルプと非酸化パルプの合計質量に対して20〜60質量%であり、酸化パルプは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を触媒として酸化されたパルプであるパルプシート。
[5]パルプを2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)と、酸化剤の存在下で酸化処理する工程と、酸化処理する工程で得られたパルプと、酸化処理する工程を経ていないパルプとを、質量比が2:8〜6:4となるように溶媒に混合する工程を含むパルプスラリーの製造方法。
[6]酸化パルプを叩解する工程をさらに含む[5]に記載のパルプスラリーの製造方法。
本発明によれば、優れた湿潤紙力と高い緊密性を有するパルプシートを得ることができる。また、本発明によれば、b*値が小さく、黄変が抑制されたパルプシートを得ることができる。
図1は、酸化パルプの含有量と引張強度の関係を示すグラフである。 図2は、酸化パルプの含有量と湿潤強度の関係を示すグラフである。 図3は、酸化パルプの含有量と透気度の関係を示すグラフである。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(パルプスラリー)
本発明は、酸化パルプと、非酸化パルプを含むパルプスラリーであって、酸化パルプの含有量が、酸化パルプと非酸化パルプの合計質量に対して20〜60質量%のパルプスラリーに関する。このようなパルプスラリーに含まれる酸化パルプは、パルプの構成単位であるグルコースのC6位の水酸基が酸化されたパルプである。なお、グルコースのC6位の水酸基が酸化された酸化パルプは、2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)を触媒として酸化されたパルプである。
ここで、非酸化パルプとは、酸化剤等を使用した酸化反応を経ていないパルプをいう。この場合、パルプの構成単位である全グルコースの98%以上の水酸基が酸化されていない状態となる。具体的には、非酸化パルプが有するカルボキシル基の含有率は、0.10mmol/pulp−g以下であり、非酸化パルプが有するアルデヒド基の含有率は、0.10mmol/pulp−g以下である。
また、本発明において、酸化パルプとは、2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)を触媒として酸化されたパルプであり、パルプの構成単位である全グルコースの10%以上のC6位の水酸基が酸化されているパルプである。
本発明のパルプスラリーは、2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)を触媒として酸化された酸化パルプを所定量含有するため、優れた湿潤紙力と高い緊密性(高透気度)を有するパルプシートを形成し得る。また、本発明のパルプスラリーは上記構成を有するため、b*値が小さく、黄変が抑制されたパルプシートを形成し得る。このように、本発明のパルプスラリーから形成されたパルプシートにおいては、高湿潤強度、高緊密性及び黄変抑制の全てが達成されている。さらに本発明のパルプスラリーから形成されたパルプシートは、乾燥状態における引張強度も高く、平滑性にも優れている。
ここで、パルプスラリーとは、酸化パルプと、非酸化パルプを水溶液等の溶媒に分散させた懸濁液である。本発明のパルプスラリーは、上記パルプ成分の他に内填薬品等を含有していてもよい。内填薬品としては、例えば、硫酸バンド等の薬品定着剤、ロジン等のサイズ剤、ポリアクリルアマイド、澱粉等の紙力増強剤、ポリアマイド等の濾水度歩留り向上剤、消泡剤、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の填料、塩基性染料、酸性染料、アニオン性直接染料、カチオン性直接染料等を挙げることができる。また、本発明のパルプスラリーは、ポリアミド、ポリアミン、ポリアミドエピクロロヒドリン等の湿潤紙力剤を含有してもよいが、上述したようにTEMPOを触媒として酸化された酸化パルプを所定量含有するため、湿潤紙力剤の添加量を大幅に低減させることができる。なお、本発明のパルプスラリーは、TEMPOを触媒として酸化された酸化パルプを所定量含有するため、湿潤紙力剤を含有しなくとも十分な湿潤紙力を有するパルプシートを形成することができる。このため、本発明のパルプスラリーを用いた場合、パルプシートの製造時に規制対象物質である低分子塩素有機化合物(AOX)の発生を抑制することができ、環境への負荷を軽減することができる。
本発明のパルプスラリーにおいては、パルプルラリーに含まれる全パルプ中のグルコースのC6位の酸化率が3〜11%であることが好ましい。例えば、酸化パルプの構成単位である全グルコースのC6位の酸化率が15%であり、非酸化パルプの構成単位である全グルコースのC6位の酸化率が1.5%である場合、酸化パルプと非酸化パルプを1:1の質量比で混合すると、パルプルラリーに含まれる全パルプ中のグルコースのC6位の酸化率は、8.25%となる。このように、本発明のパルプスラリーには、C6位の酸化率が異なる酸化パルプと非酸化パルプを所定の範囲内となるように混合することで、上記酸化率を達成することができる。
なお、非酸化率パルプのC6位の酸化率は、2.0%未満であることが好ましく、酸化パルプのC6位の酸化率は10%以上であることが好ましい。
パルプスラリーに含まれる全パルプのC6位の酸化率は、カルボキシル基量、アルデヒド基量より算出することができる。カルボキシル基量は、伝導度滴定により算出することができる。アルデヒド基量は、亜塩素酸でアルデヒド基をカルボキシル基に酸化後、伝導度滴定を行い、酸化前後のカルボキシル基量からアルデヒド基量を算出することができる。ここで、パルプが全てグルコースから構成されていると仮定し、上記の測定から求めたカルボキシル基量、アルデヒド基量よりパルプルラリーに含まれる全パルプ中のグルコースのC6位の酸化率を算出する。具体的には、実施例に記載の算出方法を用いることができる。
本発明のパルプスラリーにおいては、パルプスラリーを12000Gの遠心力がかかるように30分間遠心分離した後の上澄みに含まれる固形分が、パルプスラリーに含まれる全固形分の10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。ここで遠心分離処理に用いるパルプスラリーのパルプ濃度は1質量%であり、このようなパルプスラリー10gを12000Gの遠心力がかかるように30分間遠心分離する。その後、上澄みに含まれる繊維等の固形分を濾過処理等で選別し、乾燥させ、その質量を測定することで、上澄みに含まれる固形分を算出することができる。本発明のパルプスラリーに含まれるパルプ成分の90質量%以上はこのような遠心分離処理によって沈降する。すなわち、本発明で用いるパルプは微細繊維化しておらず、遠心分離処理によって沈降する。なお、ナノファイバーのような微細繊維を上記遠心処理した場合、ほとんどのパルプ繊維が上澄みに残ることとなり、本発明で用いるパルプスラリーとは異なっている。
(酸化パルプ)
本発明のパルプスラリーは酸化パルプを含有する。本発明で用いられる酸化パルプは、パルプの構成単位であるグルコースのC6位の水酸基が酸化されたパルプである。このような酸化パルプは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を触媒として酸化反応を行うことにより得られる。なお、酸化パルプにおいては、構成単位である全グルコースの10%以上のC6位の水酸基が酸化されている。
パルプスラリーにおける酸化パルプの含有量は、酸化パルプと非酸化パルプの合計質量に対して20〜60質量%である。酸化パルプの含有量は、25〜55質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましい。酸化パルプの含有量を上記範囲内とすることにより、優れた湿潤紙力と高い緊密性(高透気度)を有するパルプシートを形成することができる。また、酸化パルプの含有量を上記範囲内とすることにより、b*値が小さく、黄変が抑制されたパルプシートを形成することができる。
上述したような酸化パルプの原料となるパルプとしては、針葉樹クラフトパルプや広葉樹クラフトパルプを用いることが好ましい。針葉樹クラフトパルプ及び広葉樹クラフトパルプとしては、例えば、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、針葉樹亜硫酸パルプ等を挙げることができる。また、広葉樹クラフトパルプとしては、例えば、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ等を挙げることができる。中でも、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)及び広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)から選択される少なくとも一種は好ましく用いられる。なお、用いるパルプ種は1種であってもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明では、針葉樹クラフトパルプと広葉樹クラフトパルプの他に、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、または離解・脱墨・漂白古紙パルプ、あるいはケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的にまたは機械的に製造されたパルプ等の公知の種々のパルプを用いることができる。
本発明で用いる酸化パルプのフリーネスは、100〜500mlであることが好ましい。本発明で用いる酸化パルプは、上記範囲のフリーネスを有するため、高い保水度を有する。このため、パルプシートとした場合には優れた湿潤強度を発揮することができる。ここで、本明細書におけるフリーネスとは、JIS−P8220に準拠して標準離解機にて試料を離解処理した後、JIS−P8121に準拠したカナダ標準濾水度試験機を用いて、メッシュを80メシュに変更した後、測定した濾水度の値である。
本発明で用いる酸化パルプには、上記の数値範囲となるように、叩解処理を施すことが好ましい。酸化パルプに叩解処理を施すことにより、形成したパルプシートの引張強度をより効果的に高めることができる。
叩解処理は、TAPPI Test Method T 248 sp−08に記載された方法に従って行うことが好ましい。なお、PFIミルの回転数は、1000〜40000回転とすることができるが、5000〜30000回転とすることが好ましい。PFIミルの回転数を上記範囲内とすることにより、抄紙時の濾水性を適切な範囲とすることができる。本発明で用いる酸化パルプは、叩解処理を施す前であっても通常の非酸化パルプと比べて低いフリーネスを有している。これは、酸化パルプは微細繊維または微細枝繊維を多く有しているものと考えられる。このような酸化パルプに叩解処理を施すことによって、微細繊維または微細枝繊維をさらに増加させることができ、フリーネスを低下させることができる。
本発明で用いる酸化パルプの平均繊維長は0.1〜3.0mmであることが好ましく、0.4〜2.8mmであることがより好ましく、0.7〜2.5mmであることがさらに好ましい。ここで、酸化パルプの平均繊維長は、長さ平均繊維長であり、20000本以上のパルプ繊維に含まれるパルプの平均の繊維長である。
また、本発明で用いる酸化パルプの平均繊維径は10〜30μmであることが好ましく、12〜27μmであることがより好ましく14〜24μmであることがさらに好ましい。ここで、酸化パルプの平均繊維径は、数平均繊維径であり、20000本以上のパルプ繊維に含まれるパルプの平均の繊維径である。本発明では、上記平均繊維長及び平均繊維径を有する酸化パルプを用いているため、より優れた湿潤強度を発揮することができる。
TEMPOを触媒とした酸化反応では、パルプの構成単位であるグルコースのC6位にある一級アルコールを選択的にアルデヒド基やカルボキシル基に酸化する。また、本発明では、酸化パルプに叩解処理を施すことによって、アルデヒド基やカルボキシル基をパルプ表面に効率よく露出させることができる。パルプ繊維の表面に露出したアルデヒド基は他のパルプ繊維の水酸基とヘミアセタール結合を形成し、このような結合によって、パルプ繊維間の結合が強くなり、引張強度及び湿潤強度を高めているものと考えられる。
TEMPOを触媒として酸化された酸化パルプが有するカルボキシル基の含有率は、0.20〜1.20mmol/pulp−gであることが好ましく、0.42〜0.86mmol/pulp−gであることがより好ましい。また、酸化パルプが有するアルデヒド基の含有率は、0.1〜0.5mmol/pulp−gであることが好ましく、0.18〜0.21mmol/pulp−gであることがより好ましい。本明細書において、「mmol/pulp−g」との単位は、酸化パルプ1gあたりに含まれるカルボキシル基のモル数を表す単位である。
酸化パルプが有するカルボキシル基とアルデヒド基の含有率は、伝導度滴定法を用いて測定することができる。アルデヒド基量は、酢酸緩衝液の下、亜塩素酸で酸化を行った後、カルボキシル基量を測定し、酸化前後の値からアルデヒド基量を算出することができる。また、パルプ表面に露出しているカルボキシル基量はコロイド滴定法により測定することができる。
なお、本発明で用いる酸化パルプの繊維の強度は、非酸化パルプに比べて低下している。繊維の強度は、JIS P 8227に準じてゼロスパン引張強度を測定することで比較可能である。本発明では、繊維単独の強度は低下傾向であっても、パルプシート全体の強度は向上しており、繊維間の結合の生成が強度向上に寄与しているものと考えられる。
(非酸化パルプ)
本発明のパルプスラリーは非酸化パルプを含有する。本明細書において、非酸化パルプは、酸化剤等を使用した酸化反応を経ていないパルプであり、パルプの構成単位である全グルコースの98%以上の水酸基が酸化されていないパルプである。非酸化パルプが有するカルボキシル基の含有率は、0.10mmol/pulp−g以下であり、非酸化パルプが有するアルデヒド基の含有率は、0.10mmol/pulp−g以下である。
非酸化パルプとしては、酸化パルプの原料となるパルプで列挙したパルプを挙げることができる。中でも、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)及び広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)から選択される少なくとも一種は好ましく用いられる。なお、用いるパルプ種は1種であってもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いる非酸化パルプのフリーネスは、100〜700mlであることが好ましい。非酸化パルプのフリーネスは、酸化パルプのフリーネスよりも大きいことが好ましい。なお、非酸化パルプと酸化パルプのフリーネスの差は100ml以上あることが好ましく、200ml以上あることがより好ましい。
ここで、本明細書におけるフリーネスとは、JIS−P8220に準拠して標準離解機にて試料を離解処理した後、JIS−P8121に準拠したカナダ標準濾水度試験機を用いて、メッシュを80メシュの金網に変更後、測定した濾水度の値である。
本発明で用いる非酸化パルプには、叩解処理を施してもよい。非酸化パルプに叩解処理を施すことにより、形成したパルプシートの引張強度をより効果的に高めることができる。叩解処理方法としては、酸化パルプと同様の方法を挙げることができる。
本発明で用いる非酸化パルプの平均繊維長は0.1〜3.0mmであることが好ましく、0.4〜3.0mmであることがより好ましく、0.7〜2.5mmであることがさらに好ましい。また、本発明で用いる非酸化パルプの平均繊維径は10〜30μmであることが好ましく、12〜27μmであることがより好ましく、14〜24μmであることがさらに好ましい。なお、酸化パルプと非酸化パルプの平均繊維長及び平均繊維径は同程度であることが好ましく、このような条件とすることにより、均質なパルプシートを作製することができる。
(パルプシート)
本発明は、上述したパルプスラリーを抄紙することで形成されたパルプシートに関するものでもある。具体的には、本発明のパルプシートは、酸化パルプと、非酸化パルプを含み、酸化パルプの含有量は、酸化パルプと非酸化パルプの合計質量に対して20〜60質量%である。また、酸化パルプは、パルプの構成単位であるグルコースのC6位の水酸基が酸化されたパルプであり、このような酸化パルプは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を触媒として酸化反応を行うことにより得られる。なお、パルプシートは、上述したパルプスラリーを抄紙し、シート状にしたものであればよいが、紙と同義である。
パルプシートに含まれる酸化パルプの平均繊維長は0.1〜3.0mmであることが好ましく、0.4〜3.0mmであることがより好ましく、0.7〜2.5mmであることがさらに好ましい。ここで、酸化パルプの平均繊維長は、長さ平均繊維長であり、20000本以上のパルプ繊維に含まれるパルプの平均の繊維長である。
また、パルプシートに含まれる酸化パルプの平均繊維径は10〜30μmであることが好ましく、12〜27μmであることがより好ましく、14〜24μmであることがさらに好ましい。ここで、酸化パルプの平均繊維径は、数平均繊維径であり、20000本以上のパルプ繊維に含まれるパルプの平均の繊維径である。
パルプシートの表面のL***表色系のb*値は、4.0以下であることが好ましく、3.9以下であることがより好ましく、3.8以下であることがさらに好ましい。
ここで、L***表色系のb*値は、JIS Z8722に準拠して測定されるものである。具体的には、公知の分光光度計を用いて、求めることができ、b*値が大きいほど黄色みが高いことを示す。本発明のパルプシートの表面のb*値は上記範囲内であるため、黄色みが抑えられており、意匠性に優れている。また、本発明のパルプシートは、高級紙等の白色度が求められる紙として好適である。
パルプシートの湿潤強度(湿潤引張強さ)(N・m/g)は、3.0N・m/g以上であることが好ましく、3.2N・m/g以上であることがより好ましく、3.4N・m/g以上であることがさらに好ましい。このように本発明のパルプシートは優れた湿潤強度を有する。なお、湿潤強度(湿潤引張強さ)は、パルプシート(紙)を規定の条件で水中に浸漬した後、所定の条件で引っ張り、破断するまでの最大荷重を幅1m当たりに換算した値である。具体的には、JIS P 8135に準ずる方法で測定することができる。
パルプシートの透気度(秒)は、3秒以上であることが好ましく、4秒以上であることがより好ましく、5秒以上であることがさらに好ましい。透気度は、紙の厚さ方向に空気が通り抜ける度合いを表し、数値が大きい程、高緊密であることを示す。具体的には、JIS P 8117に準ずる方法で測定することができる。本発明のパルプシートは、透気度が高く、高緊密なパルプシートである。
パルプシートの引張強度(N・m/g)は、30N・m/g以上であることが好ましく、35N・m/g以上であることがより好ましく、40N・m/g以上であることがさらに好ましい。このように本発明のパルプシートは優れた引張強度を有する。なお、引張強度は、一定幅の紙の一端に荷重を加え、紙が破断するときの最大荷重を幅1m当たりに換算した値である。具体的には、JIS P 8113に準ずる方法で測定することができる。
パルプシートの表面の平滑度(秒)は、いずれの表面も3秒以上であることが好ましく、3.5秒以上であることがより好ましく、4秒以上であることがさらに好ましい。平滑度は、一定量の空気が紙面の凹凸間隙を通り抜ける時間を表したものであり、数値の大きいほど平滑であることを意味する。このように本発明のパルプシートの表面は凹凸が少なく平滑である。
パルプシートの破断伸度(%)は、3.0%以上であることが好ましく、3.5%以上であることがより好ましい。破断伸度は、一定幅の紙の一端に荷重を加え、紙が破断するとき伸び率を表したものである。本発明のパルプシートは、良好な破断伸度を有している。
パルプシートの密度は0.35〜0.90g/cm3であることが好ましく、0.40〜0.80g/cm3であることがより好ましい。また、パルプシートの厚さは50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることが好ましい。
(パルプスラリーの製造方法)
本発明は、パルプスラリーの製造方法に関するものでもある。本発明のパルプスラリーの製造方法は、パルプを2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)と、酸化剤の存在下で酸化処理する工程と、酸化処理する工程で得られたパルプと、酸化処理する工程を経ていないパルプとを、質量比が2:8〜6:4となるように溶媒に混合する工程を含む。上記の工程を経て得られたパルプスラリーから形成されたパルプシートは、優れた湿潤紙力と高い緊密性(高透気度)を有し、黄色みが抑制されている。
TEMPOの使用量は、パルプの酸化反応を促進し得る触媒量である限り特に制限されない。TEMPOの使用量は、酸化反応に用いるパルプの絶乾重量100質量部に対し0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。TEMPOの使用量を上記範囲内とすることにより、パルプの酸化反応にかかる時間を短縮することが可能となる。また、TEMPOの使用量の上限値を上記範囲とすることにより、酸化パルプを得るためのコストを抑制することができる。
酸化処理する工程では、酸化剤の存在化でパルプの酸化反応を行う。酸化剤としては、例えば、次亜塩素酸、過硫酸、過酸化水素、過ヨウ素酸等を挙げることができ、中でも次亜塩素酸は好ましく用いられる。酸化処理する工程では、次亜塩素酸を1.0〜5.0mmol/pulp−gとなるように添加することが好ましく、1.5〜3.0mmol/pulp−gとなるように添加することがより好ましい。酸化剤である次亜塩素酸の添加量を上記範囲内とすることにより、酸化パルプに含まれるアルデヒド基の含有率を増やすことができ、より湿潤強度に優れたパルプスラリーを得ることができる。
酸化処理する工程では、パルプと、TEMPOと、酸化剤を混合する工程を含むことが好ましい。このような混合する工程では、撹拌を行うことが好ましく、撹拌条件は各成分が均一に混ざる条件であれば特に制限されない。撹拌条件は、反応容器、撹拌機の形態により、任意で設定を行うことが好ましい。また、酸化反応の反応時間は特に制限されるものではく、通常は反応に使用された酸化剤が消費されるまで反応を行う。酸化剤が消費されたことは、パルプスラリーのpHの低下が起こらなくなったことで確認することができる。
本発明のパルプスラリーの製造方法は、酸化パルプを叩解する工程をさらに含むことが好ましい。叩解処理は、TAPPI Test Method T 248 sp−08に記載された方法に従って行うことが好ましい。なお、PFIミルの回転数は、1000〜40000回転とすることができるが、5000〜30000回転とすることが好ましい。PFIミルの回転数を上記範囲内とすることにより、抄紙時の濾水性を適切な範囲とすることができる。
本発明のパルプスラリーの製造工程においては、酸化パルプを得る工程の後に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を回収する工程をさらに含むことが好ましい。本発明では、このように酸化パルプを得る際に用いられる触媒である2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を回収することができる。このため、酸化パルプを得る工程にかかるコストを抑制することができ、パルプシートの製造コストを抑制することができる。
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を回収する工程では、酸化反応後のパルプスラリーを濾過し、濾液を回収することでTEMPOを回収することができる。必要に応じて濾液は濃縮され、次工程で用いられる。
(パルプシートの製造方法)
パルプシートは、上述したパルプスラリーを公知の方法で抄紙することで形成される。抄紙機としては、例えば、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の商業規模の抄紙機が、目的に応じて適宜選択される。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(酸化パルプ1の作製)
市販の広葉樹漂白クラフトパルプのドライシートをスラリー状にした後、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を0.016g/pulp−gとなるように添加した。さらに、上記スラリーに、NaBrを0.1g/pulp−g、NaClO2を1.9mmol/pulp−gとなるように加え常温に1時間置き、TEMPO酸化を行った。なお、TEMPO酸化はpH10で行い、pH低下が起きなくなった時点で反応終了とし、ろ過、洗浄を行った。このようにして得られたパルプを酸化パルプ1(TEMPO−1)とした。
(酸化パルプ2の作製)
NaClO2の添加量を3.8mmol/pulp−gとなるように変更した以外は、酸化パルプ1の作製と同様の手順で酸化パルプ2(TEMPO−2)を作製した。
TEMPO酸化を行う前の広葉樹漂白クラフトパルプ(非酸化パルプ)、酸化パルプ1(TEMPO−1)、酸化パルプ2(TEMPO−2)の性状を、表1にまとめた。
(原料性状の測定方法)
<カルボキシル基とアルデヒド基量>
伝導度滴定法によりカルボキシル基量の測定を行った。アルデヒド基量は、酢酸緩衝液の下、亜塩素酸で酸化を行った後、カルボキシル基量を測定し、酸化前後の値からアルデヒド基量を算出した。また、パルプ表面に露出しているカルボキシル基量はコロイド滴定法により測定した。
<フリーネス>
「TAPPI−T227」法において、メッシュを80meshに変更した条件にて測定を行った。なお、表1の値は叩解処理を施していない各パルプのフリーネスの値である。
<繊維長及び繊維径>
パルプの平均繊維長及び平均繊維径はカヤーニファイバーラボ(メッツォオートメーション製)を使用し測定を行った。
<保水度>
「J.TAPPI No.26」に従い行い保水度の測定を行った。
Figure 2016223042
TEMPO酸化を行うことで非酸化パルプと比較して、パルプのカルボキシル基量とアルデヒド基量が増加した。カルボキシル基はTEMPO酸化に使用する次亜塩素酸の量が増えるに従い増加した。一方で、アルデヒド基はTEMPO−1で増加したもののTEMPO−2でやや減少した。
なお、TEMPO酸化はアルカリ条件下で行っているため、TEMPO−1、TEMPO−2の平均繊維長と平均繊維径は非酸化パルプと比較して大きく、パルプ繊維が膨潤している状況がみられた。また、TEMPO−1、TEMPO−2とTEMPO酸化条件を強めていくと、フリーネスが低下した。保水度も同様にTEMPO−1、TEMPO−2になるに従い高くなった。
なお、上述した通り得られた非酸化パルプ、酸化パルプ1(TEMPO−1)及び酸化パルプ2(TEMPO−2)にはそれぞれ叩解処理を施してもよく、叩解処理を施すことにより、フリーネスの低下が見られた。
(実施例1)
上述した方法で得た酸化パルプ2(TEMPO−2)20質量部と、非酸化パルプ80質量部に各々叩解処理を施した後、混合し、イオン交換水を添加し、スラリーとした。なお、叩解前の非酸化パルプは、表1に記載した性状を有するパルプであり、酸化反応を行う前のパルプである。このようにして、実施例1のパルプスラリーを得た。
(実施例2)
酸化パルプ2(TEMPO−2)40質量部に、非酸化パルプ60質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例2のパルプスラリーを得た。
(実施例3)
酸化パルプ2(TEMPO−2)60質量部に、非酸化パルプ40質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例3のパルプスラリーを得た。
(比較例1)
酸化パルプ2(TEMPO−2)を100質量部とし、非酸化パルプを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で比較例1のパルプスラリーを得た。
(比較例2)
非酸化パルプを100質量部とし、酸化パルプを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で比較例2のパルプスラリーを得た。
(比較例3)
酸化パルプ2(TEMPO−2)80質量部に、非酸化パルプ20質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例3のパルプスラリーを得た。
実施例及び比較例で得たパルプスラリーから「TAPPI Test Method T205 sp−95」に従い、60g/m2の手抄き紙(パルプシート)を作製した。手抄き紙はロータリードライヤーで乾燥後、1晩以上25℃、湿度30%条件で調湿を行った後、下記の通り評価を行った。
(評価)
<酸化率>
パルプスラリーに含まれる全パルプのC6位の酸化率は、カルボキシル基量、アルデヒド基量より算出した。カルボキシル基量は、伝導度滴定により算出した。アルデヒド基量は、亜塩素酸でアルデヒド基をカルボキシル基に酸化後、伝導度滴定を行い、酸化前後のカルボキシル基量からアルデヒド基量を算出した。ここで、パルプが全てグルコースから構成されていると仮定し、上記の測定から求めたカルボキシル基量、アルデヒド基量より下記式を用いて酸化率を算出した。
酸化率(%)=(カルボキシル基量+アルデヒド基量)mmol/{[1g/(180−18)]×1000}×100
なお、式中の180はグルコースの分子量、18はグルコースがグリコシド結合を形成する際に脱離するH2Oの分子量である。
<透気度>
透気度は、王研式透気度とし、JIS P 8117に準ずる方法で測定した。
<平滑度>
透気度は、王研式平滑度とし、JIS P 8155に準ずる方法で測定した。
<引張強度及び破断伸度>
引張強度及び破断伸度は、JIS P 8113に準ずる方法で測定した。
<湿潤強度>
湿潤強度は、湿潤引張強度とし、JIS P 8135に準ずる方法で測定した。
<b*値>
色差計(スガ試験機株式会社製、スガ分光測色計)C光源を用いてパルプシート表面のb*値を測定した。
Figure 2016223042
TEMPO触媒酸化パルプを所定量含有するパルプスラリーを抄紙して得られたパルプシートは、引張強度及び湿潤強度に優れており、かつb*値も低くパルプシートの黄色みが抑えられていることがわかる。また、透気度も高く、高緊密なパルプシートが得られていることがわかる。
一方、TEMPO触媒酸化パルプを含有しないパルプスラリーを抄紙して得られたパルプシートは、引張強度及び湿潤強度が低い。また、パルプ成分としてTEMPO触媒酸化パルプのみを含有するパルプスラリーを抄紙して得られたパルプシートは、湿潤強度が劣っており、b*値が高く、パルプシートが黄変していることがわかる。
なお、表2では、パルプシートの厚さや密度を同等とした際の各強度等の測定結果を示している。表2からわかるように、密度を同等とした場合、実施例で得られたパルプシートでは優れた引張強度と湿潤強度を発揮している。このため、同程度の強度を発揮することが求められた場合、実施例のパルプシートでは低密度化が可能となり製造コストを抑制することができる。
図1〜3は、実施例1〜3及び比較例1〜3の結果をまとめたグラフである。図1を見るに、酸化パルプの割合が多い程、乾燥状態における引張強度は高くなっていることがわかるが、図2を見るに、湿潤強度は酸化パルプの添加量が所定範囲外となると低下していることがわかる。また、図3から、酸化パルプの添加量が所定範囲外となると透気度も低下することがわかる。

Claims (6)

  1. 酸化パルプと非酸化パルプとを含み、
    前記酸化パルプの含有量は、酸化パルプと非酸化パルプの合計質量に対して20〜60質量%であり、
    前記酸化パルプは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を触媒として酸化されたパルプであるパルプスラリー。
  2. 前記パルプルラリーに含まれる全パルプ中のグルコースのC6位の酸化率が3〜11%である請求項1記載のパルプスラリー。
  3. 前記酸化パルプの平均繊維長は0.1〜3.0mmであり、前記平均酸化パルプの繊維径は10〜30μmである請求項1又は2に記載のパルプスラリー。
  4. 酸化パルプと、非酸化パルプを含み、
    前記酸化パルプの含有量は、酸化パルプと非酸化パルプの合計質量に対して20〜60質量%であり、
    前記酸化パルプは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を触媒として酸化されたパルプであるパルプシート。
  5. パルプを2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)と、酸化剤の存在下で酸化処理する工程と、
    前記酸化処理する工程で得られたパルプと、前記酸化処理する工程を経ていないパルプとを、質量比が2:8〜6:4となるように溶媒に混合する工程を含むパルプスラリーの製造方法。
  6. 酸化パルプを叩解する工程をさらに含む請求項5に記載のパルプスラリーの製造方法。
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