本発明の樹脂組成物は、前記一般式(1)(一般式(1)中、R1はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基のいずれかから選ばれ、aは置換基R1の個数を表し、1又は2である。)で示されるエポキシ樹脂(a)に、分子中にエチレン性不飽和基とカルボキシ基を併せ持つ化合物(b)を反応せしめて得られるエポキシカルボキシレート化合物(A)を含む。
一般式(1)においてR1は、使用される用途に応じて適宜選択されるべきものであり、例えば、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びハロゲン原子が挙げられる。これらのうち、R1が全て水素原子である化合物が材料の入手等の観点から最も好ましい。
本発明においてaは置換基R1の個数を表し、1又は2である。
本発明において炭素数1〜6のアルキル基は直鎖、分岐鎖、環状のいずれであってもよい。好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基である。
本発明において炭素数1〜6のアルコキシ基は直鎖、分岐鎖、環状のいずれであってもよい。好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。
本発明においてハロゲン原子は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(a)は、例えば、GB1158606にその製造方法が記載されており、その方法に準じて製造することも可能である。又、市販品(日本化薬製商品名:WHR−EP:一般式(1)のR1が全て水素原子であり、エポキシ当量が266g/eq)も使用できる。
エポキシ樹脂(a)のうち、エポキシ当量が266g/当量よりも小さいものが特に好ましい。その理由としては、エポキシ樹脂(a)により多くのエチレン性不飽和結合を導入することができるため、得られる硬化物の機械的強度が向上し、より強靭な樹脂となるためである。
本発明のエポキシカルボキシレート化合物(A)は、前記エポキシ樹脂(a)にエチレン性不飽和基とカルボキシ基を併せ持つ化合物(b)を反応(エポキシカルボキシレート化工程)させて得られる。
前記エポキシカルボキシレート化工程によりエポキシ樹脂の骨格に活性エネルギー線の反応性基であるエチレン性不飽和基を導入する。具体的にはエポキシ基とカルボキシ基の反応である。該エチレン性不飽和基とカルボキシ基を併せ持つ化合物(b)としては、例えば、(メタ)アクリル酸類、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸、桂皮酸、或いは、不飽和基と水酸基を併せ持つ化合物に飽和又は不飽和二塩基酸を反応せしめた化合物等が挙げられる。
上記において不飽和基と水酸基を併せ持つ化合物に飽和又は不飽和二塩基酸を反応せしめた化合物等とは、例えば、1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体と飽和若しくは不飽和二塩基酸無水物を等モル反応させて得られる半エステル類が挙げられる。例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水フタル酸の部分若しくは全水添物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の飽和若しくは不飽和二塩基酸を反応せしめた化合物が挙げられる。
これらのうち、エポキシ樹脂(a)と化合物(b)の反応の安定性を考慮すると、化合物(b)はモノカルボン酸であることが好ましい。モノカルボン酸とポリカルボン酸を併用する場合には、モノカルボン酸のモル量/ポリカルボン酸のモル量の比が15以上であることが好ましい。化合物(b)としては、樹脂組成物としたときの活性エネルギー線に対する感度の点から(メタ)アクリル酸又は桂皮酸が好ましい。
この反応におけるエポキシ樹脂(a)と化合物(b)の仕込み割合は、用途に応じて適宜変更される。即ち、全てのエポキシ基をカルボキシレート化した場合は、未反応のエポキシ基が存在しないためにエポキシカルボキシレート化合物(A)としての保存安定性は高い。この場合、硬化反応には導入した二重結合による反応性のみを利用することになる。
エポキシ基を残存させない場合のエポキシカルボキシレート化工程においては、エポキシ樹脂(a)と化合物(b)の仕込み割合は、エポキシ樹脂(a)のエポキシ基1当量に対し、化合物(b)のカルボキシ基0.90〜1.20当量が好ましい。この範囲であれば、未反応のエポキシ基が、残存しない又は少ないため、酸付加工程においてゲル化せず、樹脂の保存安定性は良好である。化合物(b)の仕込み量がこの範囲である場合、化合物(a)が残存するエポキシ基が少なく、樹脂の安定性が向上する。
一方、化合物(b)の仕込み量を減量し未反応のエポキシ基を残すことにより、導入した不飽和結合による反応と残存するエポキシ基による反応(例えば、光カチオン触媒による重合反応や熱重合反応等)を、硬化のために複合的に利用することも可能となる。この場合は金属材料等への密着性の向上や硬化収縮性の低減が達成される。しかし、エポキシカルボキシレート化合物の保存や製造条件には注意を払う必要がある。
エポキシ基を残す場合には、エポキシ樹脂(a)のエポキシ基1当量に対し、化合物(b)のカルボキシ基0.20〜0.90当量を仕込む。この範囲内であれば、複合硬化の効果が発揮される。また、エポキシ基を残す場合には、続く反応中のゲル化やエポキシカルボキシレート化合物(A)の経時安定性に注意を払う必要がある。
エポキシカルボキシレート化工程は無溶剤若しくは溶剤で希釈して反応させる。溶剤を使用する場合、該溶剤としては反応に影響が無ければ特に限定されない。該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等の芳香族系炭化水素溶剤、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素溶剤、それらの混合物である石油エーテル、ホワイトガソリン、ソルベントナフサ、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の酢酸アルキル類、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、ブチレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート等のモノ若しくはポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルモノアセテート類、グルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキル等のポリカルボン酸アルキルエステル類等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、ジエチルエーテル、エチルブチルエーテル等のアルキルエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
この他にも、エポキシカルボキシレート化工程の溶剤としては後記反応性化合物(D)等を使用することができる。これら溶剤は単独又は混合して使用することができる。この場合、本発明の樹脂組成物としてそのまま利用することができる。
エポキシカルボキシレート化工程時には、反応を促進させるために触媒を使用してもよい。該触媒の使用量は反応物の総量に対して0.1〜10質量%程度添加する。該触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、塩化トリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ベンジルトリメチルアンモニウム、トリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビン、メチルトリフェニルスチビン、オクタン酸クロム、オクタン酸ジルコニウム等の塩基性触媒等が挙げられる。
エポキシカルボキシレート化工程の反応温度は60〜150℃である。又、反応時間は好ましくは5〜60時間である。エポキシカルボキシレート化工程の熱重合禁止剤として、例えば、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2−メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン等が使用できる。
エポキシカルボキシレート化工程は、適宜サンプリングしながら、サンプルの酸価(JIS K5601−2−1:1999に準拠)が3mg・KOH/g以下、好ましくは2mg・KOH/g以下となった時点を終点とする。
本発明の樹脂組成物は本発明の化合物(A)、着色剤(B)及びバインダー樹脂(C)を含有してもよい。
本発明の着色樹脂組成物における本発明の化合物(A)の含有割合は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部のうち、通常0.5〜99質量部、好ましくは、5〜50である。
本発明における着色剤(B)としては特に限定されることなく使用することが可能であり、カラーフィルタ等の用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。具体的には着色剤として顔料、染料及び天然色素を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、輝度、コントラスト及び色純度の高い画素を得るという点から、顔料及び染料よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記有機顔料の好ましい具体例としては、カラーインデックス(C.I.)名でC.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー80、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントバイオレット23等を挙げることができる。無機顔料の好ましい具体例としては、カーボンブラック、チタンブラック等を挙げることができる。
顔料としてはレーキ顔料も好ましく、具体的には、トリアリールメタン系染料やキサンテン系染料をイソポリ酸やヘテロポリ酸でレーキ化したものを挙げることができる。トリアリールメタン系レーキ顔料は、例えば、特開2011−186043号公報等に開示されている。キサンテン系レーキ顔料は、例えば、特開2010−191304号公報等に開示されている。
また、上記染料としては、キサンテン系染料、トリアリールメタン系染料、シアニン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料等が好ましい。より具体的には、特開2010−32999号公報、特開2010−254964号公報、特開2011−138094号公報、国際公開第10/123071号パンフレット、特開2011−116803号公報、特開2011−117995号公報、特開2011−133844号公報、特開2011−174987号公報等に記載の有機染料を挙げることができる。
本発明において顔料及び染料は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明においては、顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用することができる。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
本発明において着色剤として顔料を使用する場合、所望により、分散剤、分散助剤と共に使用することができる。上記分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の適宜の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等を挙げることができる。
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324(以上、ビックケミー(BYK)社製)等、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)等、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)等、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)等を、それぞれ挙げることができる。
また、上記顔料誘導体としては、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
着色剤(B)の含有量は、本発明の着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、着色剤が通常0.01〜70質量部、好ましくは0.5〜50質量部、より好ましくは1.0〜40質量部の範囲内が更に好ましい。
本発明においてバインダー樹脂(C)とは着色剤(B)の分散時の分散安定性のため、分散剤、分散助剤として機能するが、着色樹脂組成物がフォトリソグラフィー法で用いられる場合は、カラーフィルタ製造時の現像処理工程において用いられるアルカリ性現像液に可溶であることが望ましい。良好な微細パターンを形成するためには、バインダー樹脂が光重合開始剤、光重合性モノマー等との十分な硬化特性を有していることが望ましく、また、色材化合物、光重合開始剤、光重合性モノマー、顔料分散液等の構成材料と相溶性が良く、着色樹脂組成物が析出や凝集等を起こさないよう安定でなければならない。着色樹脂組成物がインクジェット法で用いられる場合は、特にアルカリ可溶性は必要ではないため、他の構成材料との相溶性の良いバインダー樹脂を選択すればよい。
バインダー樹脂(C)としては公知の樹脂を使用することもできるが、より好ましくは以下に挙げる1個以上のカルボキシル基、または水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーあるいは他の共重合可能な芳香族炭化水素基や脂肪族炭化水素基を有するエチレン性不飽和モノマー等の共重合体であることが望ましい。また、これらの側鎖もしくは末端等にエポキシ基を有したもの、さらにアクリレートを付加させたエポキシアクリレート樹脂も使用できる。これらのモノマー等は単独でも2種以上組み合わせても良い。
バインダー樹脂の原料として使用し得る前記カルボキシル基含有不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、エタクリル酸、桂皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸(無水物)類;3価以上の不飽和多価カルボン酸(無水物)類、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタアクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート及び2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸等を挙げることができる。これらのカルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマーは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
バインダー樹脂の原料として使用し得る前記水酸基含有不飽和モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシ−3−メチル−ペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノ(メタ)アクリレート、2−(2−ヒドロキシエチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート等の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、バインダー樹脂の原料として使用し得る前記以外の不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノール(メタ)アクリレートヒドロキシエチル化物及びフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、フェニルノルボニル(メタ)アクリレート、シアノノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、フェンチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−8−イル(メタ)アクリレート、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−4−メチル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸及びt−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環骨格類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート等の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート及びアリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキル末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノプロピルアクリレート、2−アミノプロピルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート及び3−アミノプロピルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル及び安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル及びメタリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル及びシアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−(メタ)アクリロイルフタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド及びマレイミド等の不飽和アミドあるいは不飽和イミド類;1,3−ブタジエン、イソプレン及びクロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;並びにポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリn−ブチルアクリレート、ポリn−ブチルメタクリレート及びポリシリコーン等の重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基あるいはモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができる。これらの不飽和モノマーは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
バインダー樹脂(共重合体)を製造する場合は、重合開始剤を使用する。ここで共重合体を合成するときに使用される重合開始剤の具体例としては、例えば、α,α’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、t−ブチルパーオクトエート、ジ−t−ブチルパーオキシド過酸化ベンゾイルメチルエチルケトンパーオキシド等を挙げることができる。重合開始剤の使用割合は、共重合体の合成に使用する全単量体100質量部に対して、0.01〜25質量部である。また、共重合体を合成する場合は、有機溶剤を使用するのが好ましいが、使用する単官能のモノマーや重合開始剤等に対して十分な溶解力を有するものを使用する。バインダー樹脂の製造に使用し得る有機溶剤としては、後述する本発明の着色樹脂組成物が含有する有機溶剤と同様のものが挙げられる。
共重合体を合成するときの反応温度は50〜120℃であることが好ましく、特に好ましくは80〜100℃である。また、反応時間は1〜60時間であることが好ましく、より好ましくは3〜20時間である。共重合体の好ましい酸価は10〜300(mgKOH/g)であり、好ましい水酸基価は10〜200(mgKOH/g)である。酸価もしくは水酸基価が10以下の場合は現像性が低下する。共重合体の重量平均分子量(Mw)は2000〜400000が好ましく、3000〜100000がより好ましい。重量平均分子量が2000以下、あるいは400000以上では、感度および現像性等が低下する。尚、本発明において、酸価はJIS K−2501に、水酸基価はJIS K−1557に準拠した方法で測定した値を意味する、また、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)の測定結果に基づいて、ポリスチレン換算で算出した値を意味する。
また、共重合体の側鎖に更に不飽和二重結合を導入した重合体もバインダー樹脂として有用である。例えば、無水マレイン酸と共重合可能なスチレン、ビニルフェノール、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド等との共重合物の無水マレイン酸部に、ヒドロキシエチルアクリレート等のアルコール性のヒドロキシル基を有するアクリレートやグリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有するアクリレートを反応させハーフエステル化した化合物、およびアクリル酸やアクリル酸エステルとヒドロキシエチルアクリレート等のアルコール性のヒドロキシル基を有するアクリレートとの共重合体の水酸基にアクリル酸を反応せしめた化合物等が挙げられる。また、ウレタン樹脂やポリアミド、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、市販のPSY−C1(新中村化学工業製)ACA−200M(ダイセル社製)、ORGA−3060(大阪有機化学製)、AX3−BNX02(日本触媒製)、UXE−3024(日本化薬製)、UXE−3000(日本化薬製)、ZGA−287H(日本化薬製)、TCR−1338H(日本化薬製)、ZXR−1722H(日本化薬製)、ZFR−1401H(日本化薬製)、ZCR−1642H(日本化薬製)もバインダー樹脂として使用することができる。
バインダー樹脂(C)は、本発明の着色樹脂組成物に単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の樹脂組成物に使用しうるバインダー樹脂(C)は前記カルボキシル貴含有不飽和モノマー、前記不飽和カルボン酸エステル類の共重合体が好ましい。該共重合体としては例えばPSY−C1(新中村化学工業製)が市場で入手可能である。
本発明の着色樹脂組成物におけるバインダー樹脂(C)の含有割合は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部のうち、通常0.5〜99質量部、好ましくは、5〜50である。バインダー樹脂(C)の含有量が0.5質量部未満の場合、アルカリ現像性が低下し、画素が形成される部分以外の領域での地汚れや膜残り等の問題が発生する場合がある。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物には、着色樹脂組成物の粘度を下げ、着色樹脂組成物塗布時作業性を改善する目的で有機溶剤を併用してもよい。有機溶剤としては、着色樹脂組成物の構成成分であるバインダー樹脂、光重合開始剤等に対して十分な溶解力を有し、バインダー樹脂の合成に用いる単官能のモノマーや重合開始剤等に対しても十分な溶解力を有するものが好ましく使用できる。また、顔料分散体を作成する際にも分散安定性を保つことができるものも好ましく使用できる。
本発明の着色樹脂組成物が含有する有機溶剤の具体例としては、ベンゼン、トルエン及びキシレン等のベンゼン類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ及びブチルセロソルブ等のセロソルブ類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート及びブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ酢酸エステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル類;メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のプロピオン酸エステル類;乳酸メチル、乳酸エチル及び乳酸ブチル等の乳酸エステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコール類;酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチル等の酢酸エステル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類;並びにメタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、ジアセトンアルコール及びベンジルアルコール等のアルコール類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
有機溶剤は、本発明の着色樹脂組成物に単独もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。本発明の着色樹脂組成物における有機溶剤の使用量は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して通常10000質量部以下、好ましくは100〜1000質量部である。
本発明の着色樹脂組成物は、光重合開始剤及び/又は硬化促進剤を含有してもよい。着色樹脂組成物が含有し得る光重合開始剤としては、露光光源として一般的に用いられる超高圧水銀灯から射出される紫外線に充分な感度を有するものが好ましく、ラジカル重合性の光ラジカル開始剤、イオン硬化性の光酸発生剤もしくは光塩基発生剤等のいずれをも用いることが出来る。また、より少ない露光エネルギーで硬化をさせるために、増感剤と呼ばれる重合促進剤の成分を組み合わせて使用することもできる。光重合開始剤の具体例としては、ベンジル、ベンゾインエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸のエステル化物、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、ベンジルジメチルケタール、2−ブトキシエチル−4−メチルアミノベンゾエート、クロロチオキサントン、メチルチオキサントン、エチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、ジメチルアミノメチルベンゾエート、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4−ビス(トリブロモメチル)−6−(4’−メトキシフェニル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1,3−ベンゾジオキソラン−5−イル)−1,3,5−s−トリアジン、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート、1−(4−メチルスルファニルフェニル)ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−アセタート、1−(4−メチルスルファニルフェニル)ブタン−1−オンオキシム−O−アセタート、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、P−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、2,2’−ビス(O−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、ジアゾナフトキノン系開始剤、また市販のカヤキュアーDMBI、カヤキュアーBDMK、カヤキュアーBP−100、カヤキュアーBMBI、カヤキュアーDETX−S、カヤキュアーEPA(いずれも日本化薬製)、ダロキュアー1173、ダロキュアー1116(いれもメルクジャパン製)、イルガキュアー907(BASFジャパン製)、イルガキュアー369(BASFジャパン製)、イルガキュアー379EG(BASFジャパン製)、イルガキュアーOXE−01(BASFジャパン製)、イルガキュアーOXE−02(BASFジャパン製)、イルガキュアーPAG103(BASFジャパン製)、TME−トリアジン(三和ケミカル製)、ビイミダゾール(黒金化成製)、STR−110、STR−1(いずれもレスペケミカル製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
光重合開始剤は、本発明の着色樹脂組成物に単独もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。光重合開始剤の含有量は、着色樹脂性組成物の全固形分100質量部に対して通常0.5〜50質量部、好ましくは1〜25質量部である。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物が含有し得る硬化促進剤は、イオン硬化を促進させる反応触媒であり、例えば、1級〜3級のアミンやイミダゾール類等のN含有複素環化合物、酸無水物等が挙げられる。
アミンの具体例としてはトリエチルアミン、トリエタノールアミン、日本化薬製品のカヤハードA−A、カヤボンドC−100、カヤボンドC−200S、カヤボンドC−300S等が挙げられる。
イミダゾールの具体例としては四国化成工業製品のキュアゾール2MZ−H、キュアゾールC11Z、キュアゾールC17Z、キュアゾール1,2DMZ、キュアゾール2E4MZ、キュアゾール2PZ、キュアゾール2P4MZ、キュアゾール1B2MZ、キュアゾール1B2PZ、キュアゾール2MZ−CN、キュアゾールC11Z−CN、キュアゾール2E4MZ−CN、キュアゾール2PZ−CN、キュアゾールC11Z−CNS、キュアゾール2PZCNS−PW、キュアゾール2MZ−A、キュアゾールC11Z−A、キュアゾール2E4MZ−A、キュアゾール2MA−OK、キュアゾール2PZ−OK、キュアゾール2PHZ−PW、キュアゾール2P4MHZ−PW、キュアゾールTBZ、キュアゾール2PZL−T、キュアゾールVT、キュアゾールSFZ等が挙げられる。
酸無水物の具体例としては無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、日本化薬製品のカヤハードMCD等が挙げられる。これらのうち、硬化促進剤としてはイミダゾール類が好ましく、キュアゾール1B2PZ、キュアゾール2PZ、キュアゾール1B2MZ及びキュアゾール2E4MZが反応性からより好ましい。
硬化促進剤の含有量は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して通常0.01〜50質量部、好ましくは0.05〜20質量部である。硬化促進剤の含有量が0.01質量部よりも少ない場合は、硬化性が低下する恐れがあり、50質量部を超える場合は保存安定性が悪くなる恐れがある。
本発明の着色樹脂組成物には、着色樹脂組成物の粘度を下げ、着色樹脂組成物塗布時作業性を改善する目的で有機溶剤を併用してもよい。有機溶剤としては、着色樹脂組成物の構成成分であるバインダー樹脂、光重合開始剤等に対して十分な溶解力を有し、バインダー樹脂の合成に用いる単官能のモノマーや重合開始剤等に対しても十分な溶解力を有するものが好ましく使用できる。また、顔料分散体を作成する際にも分散安定性を保つことができるものも好ましく使用できる。
本発明の着色樹脂組成物が含有する有機溶剤の具体例としては、ベンゼン、トルエン及びキシレン等のベンゼン類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ及びブチルセロソルブ等のセロソルブ類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート及びブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ酢酸エステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル類;メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のプロピオン酸エステル類;乳酸メチル、乳酸エチル及び乳酸ブチル等の乳酸エステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコール類;酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチル等の酢酸エステル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類;並びにメタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、ジアセトンアルコール及びベンジルアルコール等のアルコール類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
有機溶剤は、本発明の着色樹脂組成物に単独もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。本発明の着色樹脂組成物における有機溶剤の使用量は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して通常10000質量部以下、好ましくは100〜1000質量部である。
着色剤(B)の樹脂成分への溶解性が低い場合は、分散剤や分散助剤等を併用して分散させてもよく、これら分散剤等としては色素に対して良好な吸着性を有する色素系分散剤や樹脂系分散剤、界面活性剤等が用いられる。色素系分散剤としては、色素のスルホン化物あるいはその金属塩を色素と混和する方法や置換アミノメチル誘導体を混和する方法等が一般に知られている。樹脂系分散剤としては、無極性のノニオン系のものもあるが、良好な顔料吸着性を付す酸価、アミン価等を有する高分子樹脂が一般的であり、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカルボン酸、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。樹脂分散剤の市販品としては、例えば、ED211(楠本化成製)、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ製)ソルスパース71000(アビシア製)、Disperbyk−2001(ビックケミー・ジャパン製)等が挙げられる。
また、酸性染料や塩基性染料を使用する場合は、該染料類に有機アミン化合物(例えばn−プロピルアミン、エチルヘキシルプロピオン酸アミン等)を反応させアミン塩染料に変性するか、又はそのスルホン酸基に同有機アミン化合物を反応させてスルホンアミド基を有する染料等に変性することにより有機溶剤に可溶性とした上で、有機溶剤と併用する方法が知られている。それらアミン変性した染料も本発明の着色樹脂組成物に併用可能である。アミン変性可能な染料としては、カラーインデックスで、例えば、ソルベントブルー2、3、4、5、6、23、35、36、37、38、43、48、58、59、67、70、78、98、102、104;ベーシックブルー7;アシッドブルー80、83、90;バイオレット染料としてソルベントバイオレット8、9;バイオレット4、5、14;ベーシックバイオレット10等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、化合物(A)、着色剤(B)、バインダー樹脂(C)、その他任意の添加物を、ディゾルバーやホモミキサー等により混合撹拌して製造される。着色剤(B)が顔料や溶解性の低い染料である場合は、適当な分散剤を用いてペイントシェーカー等の分散機により分散体を得て、着色樹脂組成物に加えて混合される。
本発明の着色樹脂組成物には、必要に応じて、さらに各種添加剤、例えば、充填剤、界面活性剤、熱重合防止剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を添加することができる。又、本発明の着色樹脂組成物は、その調製後に異物等を取り除くためフィルター等で精密濾過することも出来る。
本発明の着色樹脂組成物を用いたカラーフィルタ用着色硬化膜(以下、単に「着色硬化膜」ともいう)の製造方法としては、主にフォトリソグラフィー法とインクジェット法が挙げられ、前者には光重合開始剤を含有する現像性に優れた感光性着色樹脂組成物が用いられ、後者は必ずしも光重合開始剤を必要とせず、硬化促進剤を含有する熱硬化性着色樹脂組成物が用いられる。
また、例えば本発明の着色樹脂組成物をインクジェット法等で用いる場合は、光重合開始剤に熱重合開始剤を併用しても良い。熱重合開始剤としてはアゾ系化合物や有機過酸化物系のものがあるが、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ジ−t−ブチル、ジベンゾイルパーオキシド、クミルパーオキシネオデカノエート等が挙げられる。
尚、熱重合開始剤を併用する場合は、光重合開始剤と熱重合開始剤の合計が上記の光重合開始剤の含有量の範囲内となる量を用いればよい。
次に本発明の着色樹脂組成物から着色硬化膜を調製する方法について説明する。先ず、本発明の着色樹脂組成物をガラス基板、シリコン基板等の基板上に、スピンコート法、ロールコート法、スリットアンドスピン法、ダイコート法、バーコート法等の方法で、膜厚が0.1〜20μm、好ましくは0.5〜5μmになるように塗布する。次いで、必要に応じて、減圧チャンバー内で通常23〜150℃で1〜60分間、好ましくは60〜120℃で1〜10分間の乾燥条件で減圧乾燥を行い、さらにホットプレートもしくはクリーンオーブン等でプリベーク処理を行い製膜する。次に一般的なフォトリソグラフィー法により所定のマスクパターンを通して放射線(例えば電子線や紫外線が挙げられ、紫外線が好ましい。)を照射し、界面活性剤水溶液、アルカリ水溶液、又は界面活性剤とアルカリ剤の混合水溶液で現像する。現像方式としては、ディップ法、スプレー法、シャワー法、パドル法、超音波現像法等が挙げられ、これらのいずれかを組み合わせてもよい。現像により未照射部を取り除き、水でリンスした後、通常130〜300℃で1〜120分間、好ましくは150〜250℃で1〜30分間の条件でポストベーク処理を行い、本発明の着色硬化膜を得る。
上記において、界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等を用いることができる。又、アルカリ剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等を用いることができる。本発明においては、アルカリ剤と界面活性剤の両方を含む水溶液を用いることが好ましい。現像は、通常10〜50℃で30〜600秒、好ましくは20〜40℃で30〜120秒の処理条件で行われる。
本発明の着色硬化膜は、液晶表示装置、有機ELディスプレイ、あるいはデジタルカメラ等に使用される固体撮像素子等に好適なカラーフィルタとして有用であり、該カラーフィルタは前記のようにして調製された本発明の着色硬化膜からなる画素である。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物の硬化物は液晶表示装置、有機ELディスプレイ、あるいは、デジタルカメラ等に使用される固体撮像素子等に好適なパターン化された青色画素のカラーフィルタに利用可能であり、このカラーフィルタを装着されたこれらも又本発明に含まれる。
本発明の液晶表示装置は、例えば、バックライト、偏光フィルム、表示電極、液晶、配向膜、共通電極、本発明のカラーフィルタ、偏光フィルム等がこの順に積層した構造で作製される。また、有機ELディスプレイについては多層の有機発光素子の上もしくは下のどちらか一方にカラーフィルタを形成して作製される。固体撮像素子については、例えば、転送電極、フォトダイオードを設けたシリコンウエーハーの上に、本発明のカラーフィルタ層を設け、ついでマイクロレンズを積層することにより作製される。
本発明の表示素子は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子は、透過型でも反射型でもよく、適宜の構造をとることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることができ、更に薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。又、実施例中で特に断りがない限り、部は質量部を示す。なお、実施例中の各物性値は以下の方法で測定した。
(1)エポキシ当量:JIS K7236:2001に記載の方法で測定。
(2)屈折率:JIS K7142:1996に記載の方法で測定。
合成例1 エポキシカルボキシレート化合物(A−1)の合成
温度計、冷却官、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、フェノール化合物であるN−フェニルフェノールフタレイン(SABIC製PPPBP、純度99%以上)256g、エピクロロヒドリン842g、メタノール180gを加え、水浴を75℃にまで昇温した。内温が65℃を越えたところでフレーク状の水酸化ナトリウム21gを90分かけて分割添加した後、更に70℃で1時間後反応を行った。反応終了後、水300gで二回洗浄を行い生成した塩などを除去した後、加熱減圧下(〜70℃、−0.08MPa〜−0.09MPa)、撹拌しながら、3時間で、過剰のエピクロルヒドリン等を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン600gを加え溶解し、70℃にまで昇温した。攪拌下で30質量%の水酸化ナトリウム水溶液26gを加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで水洗を行った。水洗後の溶液をロータリーエバポレーターによる減圧下、メチルイソブチルケトン等を留去し、エポキシ樹脂を305g得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は266g/eq.、軟化点が89℃、ICI溶融粘度0.42Pa・s(150℃)、常温において固体であった。
攪拌装置、還流管をつけた1Lフラスコ中に、希釈溶剤としてトルエンを76.8g、得られたエポキシ樹脂を135.6g(0.6eq.)、熱重合禁止剤として、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを0.53g、分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物としてアクリル酸を43.3g(0.6eq.)、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを0.53g仕込み、98℃で24時間反応させ、酸価を測定したところ1.7mg・KOH/gであったので、反応を終了とした。この工程により70質量%の樹脂溶液を得た。
次いで、この溶液にトルエン250gを加え、水100gで3回洗浄し、有機層を減圧濃縮して、下記淡黄色樹脂状の化合物(A−1)を161.0g得た。
本発明の化合物(A−1)の物性を以下に示す。
液屈折率(D線、25℃) 1.60
1H−NMR
3.58ppm=2H、3.96−4.42ppm=10H、5.58−5.60ppm=2H、6.04−6.6.05ppm=2H、6.26−6.27ppm=2H、6.86−6.88ppm=4H、7.12ppm=1H、7.15−7.19ppm=6H、7.42−7.43ppm=2H、7.57−7.58ppm=1H、7.80−7.81ppm=2H、7.91ppm=1H.
比較例1(化合物(H−1)の合成)
攪拌装置、還流管をつけた1Lフラスコ中に、希釈溶剤としてトルエンを89.6g、9,9−ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]−9H−フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製:PG−100)を162.5g(0.6eq.)、熱重合禁止剤として、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを0.63g、分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物としてアクリル酸を46.5g(0.6eq.)、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを0.63g仕込み、98℃で24時間反応させ、酸価を測定したところ0.3mg・KOH/gであったので、反応を終了とした。この工程により70質量%の樹脂溶液を得た。
次いで、この溶液にトルエン250gを加え、水100gで3回洗浄し、有機層を減圧濃縮して、淡黄色樹脂状の9,9−ビス[4−[2−ヒドロキシ−3−(アクリロイルオキシ)プロポキシ]フェニル]−9H−フルオレン(H−1)を189.0g得た。(H−1)の液屈折率と1H−NMRは以下のとおりである。
液屈折率(D線、25℃):1.61
1H−NMR
4.20ppm=2H、4.41ppm=2H、4.69ppm=2H、5.77ppm=2H、5.83ppm=2H、6.12ppm=2H、6.41ppm=2H、6.85ppm=4H、7.18ppm=4H、7.28ppm=2H、7.38ppm=2H、7.55ppm=2H、7.90ppm.
着色剤(B1)の合成
特開2014−153441の合成例1に従い、下記式(2)で表されるシアニン系染料(B1)を合成した。
着色剤(B2)の合成
特開2013−050707の合成例2に従い、下記式(3)で表されるキサンテン系染料(B2)を合成した。
実施例1、比較例1 樹脂組成物の配合と硬化物の作成
合成例1の化合物(A−1)及び比較例1で得られた化合物(H−1)並びに(I−1)、を表1に示す組成で配合した樹脂組成物(実施例1、2及び比較例1−1〜1−3、2−1〜2−3;配合量(g))をそれぞれのガラス基板に塗布し、80℃×10分の条件でプリベークした。次いで、パターンを有するマスクを介して、得られた塗膜を露光し、露光部分の硬化を行った。その後界面活性剤を含有するアルカリ水溶液で現像し、水でリンス後、230℃で30分間、加熱硬化した。その結果、着色パターンを有する評価用基板を得た。
注)
DPHA:日本化薬(株)製 KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合物)
(I−1)オグソールEA−200:大阪ガスケミカル(株)製(ビスフェノールフルオレンのエチレンオキサイド付加物の末端アクリル酸エステル化物)
着色剤(B1):シアニン系染料
着色剤(B2):キサンテン系染料
バインダー樹脂(C−1):PSY−C1(新中村化学工業製)
NMP:N−メチルピロリドン
Irg.369(イルガキュア369):チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
該評価用基板を用いて、現像性、解像度及び基板への密着性の評価を行ったところ、得られたパターンは、ラインアンドスペースにて5μm角の解像性を持ち、残渣、画素の剥がれ等は確認されなかった。従って、固体撮像素子用の高解像度が要求されるカラーフィルタ用途にも適用できることが分かった。
試験例
実施例1又は比較例1で得られた硬化物につき、下記項目の評価結果を表2に示した。
(耐熱性:ポストベーク後の色差)
230℃で30分間ポストベーク処理の前後で前記評価基板の分光透過率を測定し、色差(△Eab)を算出して評価した。色差は小さいほど優れている。
(耐溶剤性:NMP浸漬前後の色差)
230℃で30分間ポストベーク処理した前記評価基板を、25℃のN-メチルピロリドンに15分浸漬して、浸漬前後の分光透過率を測定し、色差(△Eab)を算出して評価した。
シアニン系染料を用いた硬化物(実施例1、比較例1−1〜1−3)を比較すると、本願発明の硬化物は比較例に比べ耐熱性に特に優れ、耐溶剤性も比較例と同等以上である。また、キサンテン系染料を用いた硬化物(実施例2と比較例2−1)を比較すると、本願発明の硬化物は耐熱性においては同等である。キサンテン系染料を用いた硬化物のうち、用いるエポキシカルボキシレート化合物が(A−1)と同様芳香族環を有する比較例2−2〜2−3では実施例2よりも耐熱性・耐溶剤性においてに劣ることがわかる。