JP2016220660A - 咀嚼・嚥下困難者に適したゼリープレミックス - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1のゼリー飲料はゲル化剤としてカラギーナン、ローカスト、キサンタンガム、グルコマンナンから複数選ばれたもので、ゼリーとゼリーから離水した液体から構成されている。しかし、離水量については全く規定がなく、物性の規定もスパウトやストローを通過し崩壊する前の物性値となっている。
さらに、ゼリー飲料の、クラッシュした後のゼリーの物性を論じた文献は見当たらず、嚥下困難者向けゼリープレミックスにおいて、調製したゼリーのクラッシュした後のゼリーの物性を論じた文献も見当たらない。
特許文献2 特開2005−348676号公報
特許文献3 特開2008−17766号公報
特許文献4 特開2007−189958号公報
特に、添加する湯に対して、ローメトキシルペクチンの含有量を0.6〜1.5質量%、カルシウム塩の含有量を0.1〜0.25質量%及びリン酸塩及び/又はクエン酸塩の含有量を0.01〜0.25質量%に調整したプレミックスで調製されたゼリーは、14メッシュの篩を通過させ一旦崩壊させた後、再凝集したゼリーの物性値を、厚生労働省特別用途食品嚥下困難者食品基準(但し測定温度15℃)に準じてテクスチャーアナライザーで測定した時、最大応力(N/m2)が500〜1500、付着性(J/m3)が200以下であり、ろ紙法(外形125mmのろ紙上に直径30mm内径26mm高さ10mmのアクリル円筒を乗せ、検体5.5gを充填して5分後の離水円直径を測定)による離水円直径が32〜60mmとなった。係るゼリーは、クラッシュした後も均一でまとまりが最もあり、べたつきがなくかつ飲み込みやすいので、咀嚼・嚥下困難者向のゼリーとして優れていることが判明した。すなわち、本発明は、少なくともローメトキシルペクチン、カルシウム塩、リン酸塩及び/又はクエン酸塩で構成される粉末形態のゼリープレミックスである。
また、本発明のゼリープレミックスは、粉末であるために保存性に優れ、40℃以上の湯に溶かすだけの加熱であるため、ペクチンの欠点である中性域での加熱劣化の影響がほとんどなく、中性の商品とすることもできる。
さらには、湯に溶かすプレミックスの量を調整することにより、利用者の嚥下困難の状態に合わせた物性の調整も可能になる。
本発明の咀嚼・嚥下困難者向けゼリープレミックスとは、粉末組成物であり、これを40℃以上の湯に添加し、泡立て器等で素早く30秒以上撹拌し、器に入れ室温以下に冷却させると、均一な咀嚼・嚥下困難者に適した物性のゼリーが調製できる。
なお、本発明において「%」は特に断らない限り「質量%」を意味する。
したがって、ゼリープレミックスには、少なくともローメトキシルペクチン、カルシウム塩、緩衝作用を持ったリン酸塩及び又はクエン酸塩が必要になる。
乳酸カルシウムや塩化カルシウムなどの溶解性の良いカルシウム塩は、ペクチンの溶解や均質なゲル化の妨げになり適さない。
糖質、ペプタイド、粉末油脂、酸味料、香料、色素、乳化剤、水溶性食物繊維、ビタミン、一価金属塩をプレミックスに適宜混合することも可能である。
80℃の湯に対するペクチンの配合量を0.5%〜1.7%まで変化させ、同時に硫酸カルシウムの配合量を0.15%〜0.28%、クエン酸三ナトリウム、メタリン酸ナトリウムを合わせて0.13%〜0.26%まで変化させて、クラッシュ後のゼリーの物性と離水性と均一性、まとまり感を評価した。クラッシュは14メッシュ篩を通過させて行った。ペクチンはエステル化度34であった。
ゼリーの調製は、80℃の湯1000mlに混合粉末を入れ、泡立て器で1分間撹拌させ、容器に充填し、粗熱をとった後乾燥しないように蓋をし、10℃の冷蔵庫に4時間以上入れた。
※-1)均一性:メッシュ14の篩を通過させてクラッシュさせた後のゼリーの口中での一体感
○:クラッシュしたゼリー小片が再凝集し滑らかな食感
×:クラッシュしたゼリー小片が個々に粒として存在している食感
※-2)まとまり性:口中に入れた時に感じる食塊感
○:良好な食塊感
△:やや広がって食塊感が弱い
×:広がって食塊感がない
※-3)総合評価:すべての物性を勘案した総合評価
◎:咀嚼・嚥下困難者用ゼリーとして最適
○:咀嚼・嚥下困難者用ゼリーとして良好
△:咀嚼・嚥下困難者用ゼリーとして可
×:咀嚼・嚥下困難者用ゼリーとして不可
結果を表1に示す。
実験例3のクラッシュする前のゼリーのなかに、モヤ状のものが発生した。ペクチンとカルシウムの反応が速すぎ、細かいゲルの集まりが生じたものと推察されるが、実験例4のようにメタリン酸Naを添加すると、モヤの発生はなくなった。
酸を加えない中性系での検討を、実施例1<酸性系での実験>と同様に成分を調整したゼリー飲料を用いて評価した。
結果を表2に示す。
高齢者にはエネルギーやたんぱく質強化のニーズがあるため、これらを添加した時のゼリーの性状への影響を見るため、実験例4をベースに実施例1<酸性系での実験>と同様に成分を調整したゼリーを用いて評価した。コラーゲンペプチドは豚由来の分子量5000のものを用いた。
結果を表3に示す。
溶解する湯の温度の影響を見るため、実施例1<酸性系での実験>と同様に成分を調整し、湯の温度を40℃、50℃、60℃、80℃にして溶解させ、冷却して製造したゼリーを用いて評価した。使用したペクチンは、エステル化度31であった。
結果を表4に示す。
実験例4の配合のプレミックスを、吸湿性のないアルミ入りフィルムに密封し、37℃1か月保存すると、酸と糖の粉末同士のケーキングが生じた。
これを防止する目的で、デキストリン(DE8〜9.5)を加え、同様に保存試験を行った。
37℃1か月保存後、20メッシュの篩にかけ、篩上に残る粒子の比率を求めた。
結果を表5に示す。
Claims (4)
- 少なくともローメトキシルペクチン、カルシウム塩、リン酸塩及び/又はクエン酸塩から構成し、40℃以上の湯に添加し、冷やして調製したゼリーが、クラッシュしてもまとまり性を有し、離水がないことを特徴とするゼリープレミックス。
- 添加する湯に対してのペクチン含量が0.6〜1.5質量%、カルシウム塩含量が0.1〜0.25質量%、リン酸塩及び/又はクエン酸塩含量が0.01〜0.25質量%である咀嚼・嚥下困難者に適した請求項1記載のゼリープレミックス。
- 酸味料と糖を添加する場合、吸湿によるケーキング、褐変を防止するため、デキストリンをプレミックス中8%以上含有する請求項1又は2記載のゼリープレミックス。
- 請求項1〜3の何れかに記載のゼリープレミックスを40℃以上の湯に添加し、冷やして調製した咀嚼・嚥下困難者に適したゼリー。
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