JP2016216385A - 1,3,7−オクタトリエンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]2,7−オクタジエン−1−オールアセタートから1,3,7−オクタトリエンおよび酢酸を含む生成物を得る工程1;および
工程1で得られた生成物を水と接触させる工程2−A;を有することを特徴とする、1,3,7−オクタトリエンの製造方法。
[2]さらに、工程1で得られた生成物を水と共に蒸留する工程2−B;を有することを特徴とする、[1]の製造方法。
工程1では、2,7−オクタジエン−1−オールアセタートから1,3,7−オクタトリエンおよび酢酸を含む生成物を得る。
その際、触媒を用いることが好ましく、パラジウム化合物、第3級有機リン化合物の存在する反応系内に、2,7−オクタジエン−1−オールアセタートを添加し、1,3,7−オクタトリエンを含む生成物を得ることがより好ましい。
工程1で用いる2,7−オクタジエン−1−オールアセタートは、例えば、2,7−オクタジエン−1−オールと無水酢酸を反応させることで容易に製造できる。
パラジウム化合物としては、例えば、酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトナート、塩化パラジウム、炭酸パラジウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、リチウムパラジウムクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムなどが挙げられる。使用するパラジウム化合物に特に制限はないが、入手容易性、経済性の観点から酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトナート、塩化パラジウムが好ましく、酢酸パラジウムが特に好ましい。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
第3級有機リン化合物としては、例えば、トリイソプロピルホスフィン、トリn−ブチルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリn−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリベンジルホスフィン、t−ブチルジフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジエチルアミノフェニル)ホスフィンなどの単座ホスフィン;1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサンなどの多座ホスフィン;トリイソプロピルホスファイト、トリn−ブチルホスファイト、トリt−ブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2−メチルフェニル)ホスファイトなどのホスファイト;などが挙げられる。使用するリン化合物に制限は無いが、入手容易性の観点から、単座ホスフィンが好ましく、トリフェニルホスフィンがより好ましい。
工程1は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒を使用することにより、留出物中への原料の混入を防ぎつつ、安定して反応を長期にわたり実施できる。本発明の方法で用いる溶媒としては、生成物であるOCTとの分離容易性の観点から、大気圧において、OCTよりも高い沸点を有することが極めて好ましく、具体的には、大気圧において、OCTよりも15℃以上高い沸点を有することが好ましく、30℃以上高い沸点を有することがより好ましく、50℃以上高い沸点を有することがさらに好ましい。
工程1において、反応温度は、通常、80〜170℃の範囲であるのが好ましく、反応速度、パラジウム化合物および第3級有機リン化合物から形成される触媒組成物の安定性の観点から、100〜150℃の範囲であるのがより好ましい。反応温度が80℃より高いことで良好な反応速度を得られ、反応温度が170℃より低いことで、パラジウム化合物および第3級有機リン化合物から形成される触媒組成物の分解が起こりにくくなる。
本発明では、工程1の後、後述する工程2−Aおよび工程2−Bにより反応留出混合液からOCTを分離する。
工程2−Aでは、工程1で得られる反応留出混合液を水と接触させる。
添加する水の量は、後述する工程2−Bを行わない場合には、接触の回数にもよるが、反応留出混合液の0.05〜10質量倍の範囲であるのが好ましく、0.1〜5質量倍の範囲であるのがより好ましい。後述する工程2−Bを行う場合には、反応留出混合液中のOCTに対して0.2〜100質量倍の範囲であるのが好ましく、0.3〜10質量倍の範囲であるのがより好ましい。
アルカリ水溶液として用いる場合の溶質としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の酢酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の酢酸塩およびアルカリ土類金属のリン酸塩から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。中でも、入手容易性や酢酸の除去効率の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
アルカリは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
反応留出混合液を水と接触させる態様に特に制限はないが、例えば、撹拌および/または振とうを伴う態様が挙げられる。撹拌および/または振とうに用いる装置に特に制限はなく、十分に撹拌および/または振とうできるものであればよい。
水との接触回数は、含有する酢酸の量によるが、後述する工程2−Bを行わない場合には複数回接触させるのが好ましく、3回以上接触させるのがより好ましい。接触回数に特に上限は無く、経済性および廃液削減の観点から10回以下が好ましい。
接触時の温度は、凍結防止の観点からは0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、15℃以上がさらに好ましい。また、重合等の副反応防止の観点からは95℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましく、60℃以下がさらに好ましく、40℃以下が最も好ましい。特に、接触時の温度を15〜40℃とすると、OCTの回収率が向上する。
工程2−Bでは、前記工程2−Aにおいて水と接触させた反応留出混合液を、水とともに蒸留することにより、目的とするOCTの純度を高める。
特に、前記工程2−Aにおいて撹拌および/または振とうを行わない場合には、工程2−Bを行うことが好ましい。
本来OCTと酢酸の沸点はそれぞれ125℃、118℃と非常に近く、蒸留による分離が困難であるが、驚くべきことに、接触させた水とともに蒸留することで、効果的にこれらを分離することが可能となる。この理由は明らかではないが、水とOCTの共沸が起こり、OCTが本来の沸点よりも低い温度で留出するためではないかと考えられる。
なお、反応(工程1)および蒸留(工程2−B)に関しては、すべて窒素雰囲気下で行った。
反応系内に存在する混合液の分析は下記の条件で行った。
分析機器:GC14A(株式会社島津製作所製)
検出機器:FID(水素炎イオン化型検出器)
使用カラム:CBP−1(株式会社島津製作所製)
分析条件:Injection Temp.250℃、
Detection Temp.250℃
昇温条件:50℃(15分)→(20℃/分で昇温)→250℃(5分)
[工程1]
200mL三口フラスコにポリエチレングリコールジメチルエーテル(ADEKA製アデカカーポール CLE−400)48mL(50g)、酢酸パラジウム0.199g(0.89mmol)、トリフェニルホスフィン4.21g(16.1mmol)、2,7−オクタジエン−1−オールアセタート54.2g(322mmol)を入れ、17kPaに減圧し、110℃に昇温した。
生成物を反応系外に留出させながら反応を行い、留出速度が低下したところで、再び2,7−オクタジエン−1−オールアセタートを60.7g(361mmol)、トリフェニルホスフィン0.94g(3.6mmol)を追加して生成物を留出させた。
この操作を繰り返し、40時間反応させる事で、トリフェニルホスフィンを10.8g(41.1mmol)使用し、2,7−オクタジエン−1−オールアセタートを479.1g(2848mmol)反応させ、OCTと酢酸の混合留出物を428.8g得た。そのうちOCTは258.6g(2390mmol、収率84%)であった。反応留出混合液のサンプリングを行って前記条件でガスクロマトグラフィーにより分析したところ、生成したOCTとC8異性体のモル比(OCT/C8異性体)は98/2〜97/3であった。
分液ロートに工程1で得られた反応留出混合液を50g仕込み、水17gを加えた。20℃で2分間激しく振とうし、5分間静置して二層に分離した水層を取り除いた。再び水を同量追加して、上記操作を5回繰り返すことにより、有機層を29.6g得た。ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、純度99.9%のオクタトリエン類(C8異性体2.1%含む)を回収率99%で得られ、酢酸濃度は0.1%以下であった。
[工程2−A]
分液ロートに実施例1の工程1で得られた反応留出混合液を50g仕込み、水17gを加えた。70℃で2分間激しく振とうし、5分間静置して二層に分離した水層を取り除いた。再び水を同量追加して、上記操作を5回繰り返すことにより、有機層を29.0g得た。ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、純度99.9%のオクタトリエン類(C8異性体2.0%含む)を回収率97%で得られ、酢酸濃度は0.1%以下であった。
[工程2−B]
300mL三口フラスコに実施例1の工程1で得られた反応留出混合液106.6gを入れ、水を25.0g添加することで、下記組成の混合物を131.6g得た。
OCT:48質量%
酢酸:32質量%
水:19質量%
C8異性体:1質量%
当該混合物を20段蒸留塔、還留比3、釜温110℃、60〜67kPaにて蒸留することで、留出物を76.5g得た。分液ロートで当該留出物の有機層/水層を分離することにより、有機層を60.3g得た。ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、99.6%純度のOCTを回収率94%で得られ、酢酸濃度は0.1%以下であった。
300mL三口フラスコに実施例1の工程1で得られた反応留出混合液107gを入れ、下記組成の混合物を準備した。
OCT:60質量%
酢酸:39質量%
C8異性体:1質量%
当該混合物を20段蒸留塔、還留比3、釜温110℃、60〜67kPaにて蒸留したところ、13.9gの留出物が得られた。当該留出物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、OCTを42%、酢酸を58%含んでおり、OCTと酢酸を分離できなかった。
Claims (2)
- 2,7−オクタジエン−1−オールアセタートから1,3,7−オクタトリエンおよび酢酸を含む生成物を得る工程1;および
工程1で得られた生成物を水と接触させる工程2−A;を有することを特徴とする、1,3,7−オクタトリエンの製造方法。 - さらに、工程1で得られた生成物を水と共に蒸留する工程2−B;を有することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
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