JP2016212969A - コネクタ - Google Patents

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健志 増田
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健志 増田
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Abstract

【課題】要求寸法公差を厳しくしたり、コネクタ挿入力を過度に増加させたりすることなく、両ハウジングの相対的変動が規制されたコネクタを提供する。【解決手段】前方に開口したフード部および前記フード部内に収容される第1端子を有する第1ハウジングと、前記フード部内に嵌挿される内嵌部および前記内嵌部内に収容される第2端子を有する第2ハウジングと、を備え、前記内嵌部を前記フード部内に嵌合させた嵌合状態において、前記第1端子と前記第2端子とを接続させるようにしたコネクタにおいて、前記内嵌部の外周面と前記フード部の内周面のうち少なくともいずれか一方に、前記嵌合状態において、相手側の周面に当接することで、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの相対変位を規制する弾性を備えた規制突起を設ける。【選択図】図5

Description

本明細書によって開示される技術は、コネクタに関する。
従来、前方に開口したフード部および前記フード部内に収容される第1端子を有する第1ハウジングと、前記フード部内に嵌挿される内嵌部および前記内嵌部内に収容される第2端子を有する第2ハウジングとを備え、前記内嵌部を前記フード部内に嵌合させた嵌合状態において、前記第1端子と前記第2端子とを接続させるようにしたコネクタが知られている。
これらのコネクタでは、寸法公差や組付け公差を考慮して、内嵌部の外周とフード部の内周との間にクリアランスが確保されるため、両ハウジングを嵌合させた嵌合状態においてガタ付き、すなわち相対的変動が生じることがある。このようなコネクタを、例えば自動車用にそのまま用いると、車載振動等に誘発された相対的変動により、端子間の微摺動摩耗が生じる虞がある。そこで、これを回避するため、両ハウジングにおいて相手方ハウジングと対向する嵌合周面の少なくともいずれか一方に、両嵌合周面間のクリアランスを抑制するような構造を設けて、相対的変動を規制したものが知られている。
一例として、特許文献1には、一方のハウジングにおける嵌合周面に、相手方の嵌合周面との間で圧潰されるがた詰めリブを設ける構成が開示されている。
特開2008−166046号公報
しかしながら、特許文献1のように、通常、硬質性の樹脂で形成される両ハウジングの嵌合周面に、クリアランスを抑制する突起構造を一体的に設けて、コネクタの耐振動性向上を図る構成では、厳しい寸法公差設定が要求される。加えて、両ハウジングを嵌合させる際の嵌合抵抗が大幅に増加し、通常の挿入力では嵌合が困難になることさえあった。
上記事情に鑑み、本明細書は、寸法公差設定を厳しくしたり、嵌合抵抗を過度に増加させたりすることなく、両ハウジングの相対的変動が規制されたコネクタを提供する技術を開示する。
本明細書が開示するコネクタは、前方に開口したフード部および前記フード部内に収容される第1端子を有する第1ハウジングと、前記フード部内に嵌挿される内嵌部および前記内嵌部内に収容される第2端子を有する第2ハウジングとを備え、前記内嵌部を前記フード部内に嵌合させた嵌合状態において、前記第1端子と前記第2端子とを接続させるようにしたコネクタであって、前記内嵌部の外周面および前記フード部の内周面のうち少なくともいずれか一方に、前記嵌合状態において、相手側の周面に当接することで、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの相対的変動を規制する弾性を備えた規制突起が設けられていることを特徴とする。
上記構成によれば、両ハウジングの嵌合周面のうち少なくともいずれか一方に規制突起が設けられることで、両ハウジングの相対的変動、特に径方向(ハウジングの嵌挿方向に直交する方向)の相対的変動が規制される。ここで、この規制突起が弾性を備えたものとして形成されることで、両ハウジングを嵌合する際には、規制突起が弾性変形して、嵌合抵抗の増加を抑制することができる。また、寸法公差の多少の誤差は規制突起の弾性変形によって吸収できるため、寸法公差を厳しく設定する必要もない。
また、本明細書が開示するコネクタは、前記第2ハウジングが、さらに、前記内嵌部の外周側に設けられた外筒部を有し、前記嵌合状態において、前記内嵌部が前記フード部の内周側に嵌合され、前記外筒部が前記フード部の外周側に嵌合されるものであってもよい。
上記構成によれば、一般的な構造の防水コネクタにおいても、効果的に両ハウジングの相対的変動を防止することができる。この場合において、内嵌部の基端寄りの外周面と、フード部の開口端寄りの内周面との間に、第1ハウジングと第2ハウジングとの間をシールするパッキンが配された防水コネクタでは、規制突起が、内嵌部の先端寄りの外周面およびフード部の奥端寄りの内周面の少なくともいずれか一方に設けられることが好ましい。このようにすれば、パッキンの介在によって両ハウジングの相対的変動が比較的起こりにくい防水コネクタにおいても、耐振動特性を一層向上させることができる。
本明細書が開示するコネクタにおいて、前記規制突起は、ゴム材料からなるものであってもよい。
上記構成によれば、ゴム材料に固有の弾性によって、上記の効果を得ることができる。
また、本明細書が開示するコネクタは、前記内嵌部の外周面と前記フード部の内周面のうち少なくともいずれか一方に、当該周面を周回する係止溝が設けられており、前記規制突起が、前記係止溝内に挿入係止される係止部と、前記係止部から前記相手側の周面に向けて突出するように配される当接部と、を有するリング状のゴム部材で形成されていてもよい。
上記構成によれば、一方の嵌合周面に設けた係止溝にリング状のゴム部材を嵌着させるという簡易な構成によって、上記の効果を得ることができる。特に、当接部をリング状のゴム部材の全周に設けた場合には、規制突起が全周に亘って相手側の嵌合周面と当接して両嵌合周面間のクリアランスを塞ぐこととなるから、両ハウジングの相対的変動を一層確実に防止できる。
あるいは、本明細書が開示するコネクタは、前記内嵌部の外周面と前記フード部の内周面のうち少なくともいずれか一方に、前記周面を周回するように複数の係止孔が離間的に設けられており、前記規制突起が、前記係止孔内に挿入係止される係止脚部と、前記係止脚部から前記相手側の周面に向けて突出するように配される当接頭部と、を有するピン状の複数のゴム部材で形成されていてもよい。
上記構成によれば、嵌合抵抗を生じる規制突起が嵌合周面において離間的に設けられるため、ハウジングの挿入を比較的容易に行うことができる。規制突起は、離間的であっても嵌合周面を周回するように設けられるから、局所的なガタ付きを生じることもなく、安定的に両ハウジングの相対的変動を防止することができる。この場合において、さらに、規制突起が設けられた面の相手側の嵌合周面に、当接頭部が嵌る嵌合溝をハウジングの嵌挿方向に延設すれば、回動方向への位置ずれも併せて規制することができる。
本明細書が開示する技術によれば、寸法公差を厳しく設定したり、嵌合抵抗を過度に増加させたりすることなく、両ハウジングの相対的変動が規制されたコネクタを提供することができる。
第一実施形態に係る雄雌ハウジングの嵌合前の状態を示す側断面図 雄ハウジングの正面図 雌ハウジングの正面図 筒状部におけるゴム部材嵌着部分周辺の部分拡大図 両ハウジングの嵌合状態における側断面図 両ハウジングの嵌合状態における横断面図 第二実施形態に係る雄雌ハウジングの嵌合前の状態を示す側断面図 雌ハウジングの正面図 両ハウジングの嵌合状態における側断面図 その他の実施形態に係る規制突起周辺の部分拡大図
<第一実施形態>
以下、第一実施形態を図1ないし図6に基づいて説明する。
この実施形態では、機器直結型の防水コネクタ1を例示する。コネクタ1は、互いに嵌合される雄ハウジング(第1ハウジング)10と雌ハウジング(第2ハウジング)40とを備えている(図1)。
なお、以下、各ハウジングの相手方ハウジングと対向する面側を前面側、図1における上方を上側として説明する。
雄ハウジング10は、合成樹脂製の機器ケース11における縦向きの壁面12から一体的に突設されたフード部14を備えている。このフード部14は、断面形状がやや横長の方形で角に丸みを付けた前面開口の筒形に形成され、その内周面は、奥側が縮径部15Aで、傾斜部15Bを挟んで開口側が拡径部15Cとされた段付き状に形成されている。フード部14の外周面には、その上面から前後方向を向いた左右2本の保護壁17が立設され、両保護壁17の間に、後記する雌ハウジング40のロックアーム45と係合するロック突部18が形成されている。また、フード部14の外周面における左右の側面の下端部寄りの位置と、下面の右端の位置とには、それぞれ相手の雌ハウジング40との嵌合を案内する(こじり防止)ための同じく前後方向を向いた計3本のガイド壁19が全長にわたって形成されている(図2)。
雄ハウジング10には、導電性に優れた金属材からなる2本の雄端子(第1端子)20が装着され、各雄端子20の一端のタブ21が、フード部14の奥面から左右に間隔をあけて並んだ状態で突設されている(図2)。また、各タブ21の先端は、縮径部15Aと傾斜部15Bとのほぼ境の位置まで突出している(図1)。なお、2本の雄端子20は、図1において紙面の手前側と奥側に重畳するように配されているため、図1では、手前側の1本のみが示されている。
雌ハウジング40は、どちらも合成樹脂製のハウジング本体41と、フロントホルダ60とから構成され、電線Wの端末に接続された雌端子(第2端子)30が2本収容されるようになっている。雌端子30は、導電性に優れた金属板をプレス成形して形成されたもので、雄端子20のタブ21が挿入される角筒形の接続部31を有し、後端に設けられたバレル部32が、防水用のゴム栓33と共に電線Wの端末に加締め圧着されている。また、接続部31内には、タブ21に弾接する弾性接触片が配されている。なお、2本の雌端子30は、雄端子20と同じく、図1において紙面の手前側と奥側に重畳するように配されているため、図1では、手前側の1本のみが示されている。
雌ハウジング40のハウジング本体41は、端子収容筒部42の外周側に外筒部43が設けられた形状である。外筒部43は、上記した雄ハウジング10のフード部14の外周側にほぼ緊密に嵌合される前面開口の筒形の概形をなすように形成されている(図1、図3)。
外筒部43の上面には、アーチ部44が形成されており、同アーチ部44内に、雄ハウジング10側の両保護壁17を含めたロック突部18の形成領域が嵌合可能となっている。そして、アーチ部44内には、ロックアーム45が形成されている。このロックアーム45は、後端側の支点部46が端子収容筒部42の後端に連結されることで、前方を向いた片持ち状に支持され、支点部46を中心として先端側が上下方向に弾性変位可能となっている。このロックアーム45の先端部に、雌ハウジング40のロック突部18が嵌合可能なロック孔47が開口されている。
また、外筒部43の内周面には、その左右の側面の下端部寄りの位置と、下面の左端の位置において、上記した雌ハウジング40のガイド壁19を嵌合するガイド溝49が形成されている(図3)。
一方、ハウジング本体41の端子収容筒部42は、雄ハウジング10のフード部14における縮径部15Aよりも一回り小さい断面形状で、かつ先端面が外筒部43の開口縁よりも所定寸法後退した位置にある(図1)。
端子収容筒部42内には、雌端子30が収容される2本のキャビティ50が、雄ハウジング10側の2本の雄端子20と同じ間隔をあけて左右に並んで形成されている。各キャビティ50は前後方向に貫通して形成され、雌端子30における接続部31の前端から少し後退した位置から、ゴム栓33までを収容可能となっている。キャビティ50の天井面には、雌端子30の接続部31の上面に形成された前側突部35に弾性的に係止するランス52が設けられている。
端子収容筒部42の前面には、ハウジング本体41とは別体に形成されたフロントホルダ60が嵌着されている。フロントホルダ60は、端子収容筒部42の前面に当接される厚肉の前壁部61の後面の周縁部から、端子収容筒部42における前端側の半分強の外周面を覆う筒状部62が突設された形状となっており、筒状部62は、相手の雄ハウジング10の縮径部15A内にほぼ緊密に嵌合される断面形状となっている。
前壁部61の後面側には、端子収容筒部42の各キャビティ50と整合する位置に、雌端子30の接続部31の前端部分を収容する補助キャビティ64が形成されている。また、同前面側には、雄端子20のタブ21が挿入可能な端子挿入口65が、補助キャビティ64に連通して形成されている。
フロントホルダ60は、筒状部62の内周面に突設された突部66を、端子収容筒部42の外周面に周設された溝48に嵌めることで、端子収容筒部42の前端側の外周に嵌着される。ここで、フロントホルダ60の前壁部61の前面が、外筒部43の開口縁の位置とほぼ一致するとともに、フロントホルダ60の補助キャビティ64が、端子収容筒部42のキャビティ50の前面開口と整合するものとされている。この端子収容筒部42とフロントホルダ60とによって、本発明の内嵌部70が形成されている。
雌端子30は、キャビティ50の後面側からランス52を弾性変位させつつ同キャビティ50と補助キャビティ64とにわたって挿入される。接続部31の前面が前壁部61に当たったところで挿入が停止され、併せてランス52が復元変位して前側突部35に係止することで一次係止される。そして、端子収容筒部42に横差しされたリテーナ72が、接続部31の上面の後縁に突設された後側突部36に係止することで、雌端子30が二重係止される。
なお、端子収容筒部42の基端側の外周面(内嵌部70の基端寄りの外周面)には、相手の雄ハウジング10のフード部14における拡径部15Cとの間で弾縮されるゴム製のパッキン74が嵌着されるようになっている。上記したフロントホルダ60は、このパッキン74の抜け止めを果たす機能を兼ねている。
本実施形態において、パッキン74は、全体がゴム材料によりリング状に形成され、内周面側に2本の内周溝75を、外周面側に2条の外周リップ76およびこれらの間に配される外周溝77を有している。
さて、上記したフロントホルダ60の筒状部62の基端部、すなわち前壁部61寄りの外周面(内嵌部70の先端寄りの外周面)には、係止溝67が設けられている。係止溝67は、筒状部62の外周面を周回するように形成されて、筒状部62の一部がリング状に薄肉(他の部分の約半分の厚み)とされたものである。そして、この係止溝67に、リング状に形成されたゴム部材80が嵌着されることで、規制突起が設けられる。
本実施形態において、ゴム部材80は、係止溝67内に挿入係止される係止部81と、係止溝67に嵌着された状態において、筒状部62の外周面から径方向外側に向けて突出するように配される当接部82と、を有している(図4)。ゴム部材80は、係止溝67に嵌着された状態において、前端部および後端部が筒状部62の外周面以下の高さとなるように形成されるとともに、側断面において断面略M字型をなすものとされている。詳しくは、ゴム部材80の内周面側には、間隔をあけて前後して配される2本のリング状溝81Aが全周に亘って周設される。一方、同外周面側には、前後方向における中央部が前端部および後端部から径方向外側に膨出され、その頂点となる位置にリング状溝82Aが周設されることで、2本のリング状突部82Bが形成されている。本実施形態では、この2本のリング状突部82Bが、規制突起として機能する。
また、雌ハウジング40における外筒部43の内周面には、前後方向に延設される補助的な突条(以下、補助規制突起78という)が、ほぼ全長にわたって形成されている。詳細には、外筒部43の内周面における下面のほぼ中央部の1箇所と、アーチ部44の内面の両隅部の2箇所とに、それぞれ大きめのほぼ半円形断面の補助規制突起78Aが形成されている。また、外筒部43の内周面における左右の側面に形成されたガイド溝49では、上下両面と奥面との計3箇所ずつに、下面に形成されたガイド溝49では、対向した左右両面の2箇所に、それぞれ小さめのほぼ半円形断面の補助規制突起78Bが形成されている。
続いて、本実施形態の作用を説明する。
雌ハウジング40側の組み付けは、以下のようにして行われる。まず、ゴム部材80が、弾性を利用して拡径変形されつつ、筒状部62の係止溝67に嵌着される。また、パッキン74が端子収容筒部42の基端にスライド装着された後、フロントホルダ60が端子収容筒部42の前端部に嵌着されて一体結合される。リテーナ72は、係止部がキャビティ50の側方に退避した退避位置に仮保持された状態とされる。この状態から、電線Wの端末に接続された雌端子30が対応するキャビティ50に後方から挿入され、フロントホルダ60の前壁部61に当たったところで挿入が停止されてランス52により一次係止され、併せてキャビティ50の入口がゴム栓33でシールされる。続いて、リテーナ72を係止位置に押し込むことで、雌端子30が二重係止される。
このように組み付けられた雌ハウジング40が、図1の矢線に示すように、雄ハウジング10に向けて嵌合される。雌ハウジング40は、両側面と下面のガイド溝49を、雄ハウジング10の対応するガイド壁19に合わせて押し込まれ、ガイド壁19がガイド溝49に進入することで、こじることなく真直に案内されつつ嵌合される。
雄ハウジング10と雌ハウジング40を嵌合する過程では、雄ハウジング10のフード部14 が雌ハウジング40の内嵌部70と外筒部43との間に嵌入される。この際、外筒部43の内周面やガイド溝49の内面の補助規制突起78A、78Bは、内嵌部70の外面に押し付けられて潰されつつ押し込まれる。一方、フード部14の拡径部15Cと内嵌部70との間には十分なクリアランスが確保されているため、内嵌部70の前端が傾斜部15Bの半ばに至るまでは、筒状部62の外周面に設けられたリング状突部82Bとフード部14の内周面とが接触することはなく、挿入抵抗を比較的小さく抑えることができる。
内嵌部70の前端が傾斜部15Bの半ばに至ると、リング状突部82Bが、徐々にフード部14の内周面に押し付けられ、弾性変形されつつ縮径部15Aまで押し込まれる。ここで、リング状突部82Bは、筒状部62の外周面以下の高さとなるように形成されたゴム部材80の前端部から滑らかに膨出される一方、フード部14の内周面には、縮径部15Aと連なる傾斜部15Bが設けられているから、両者は比較的スムーズに当接し擦り合わされて押し付け合う。さらに、ゴム部材80は、上記のように、外周面の2条のリング状突部82Bの間にリング状溝82Aが形成され、さらには裏側の内周面にも2本のリング状溝81Aが周設されているから、リング状突部82Bが膨出斜面に沿って縮径部15Aに押し付けられつつ嵌合が進められた場合、リング状突部82Bがリング状溝82Aに向けて撓み変形可能であり、さらには、ゴム部材80内部に生じた応力を、リング状溝81Aを起点とする撓み変形等によって解消できる。このように、ゴム部材80は、構造的に弾性変形し易いものとなっているため、嵌合抵抗の増加をさらに抑制することができる。
他方、ロックアーム45は、その先端がロック突部18に乗り上げて撓み変位しつつ押し込まれる。また、パッキン74は、外周リップ76がフード部14の拡径部15Cの内周面に押し付けられて、リング状突部82Bと同様に弾性変形しつつ押し込まれる。
雌ハウジング40のフロントホルダ60の前面が、雄ハウジング10のフード部14の奥面に当たる正規位置まで押し込まれると、雄端子20のタブ21が対応する雌端子30の接続部31内に正規量進入して、雄端子20と雌端子30とが電気的に接続されるとともに、ロックアーム45のロック孔47がロック突部18を通過することで、ロックアーム45が復元変位しつつロック突部18がロック孔47内に嵌り、雄ハウジング10と雌ハウジング40とが嵌合状態にロックされる(図5)。
この状態で、雌ハウジング40における内嵌部70(フロントホルダ60の筒状部62)の外周面に設けられたリング状突部82Bが、雄ハウジング10のフード部14の奥端寄りの位置において、内周面に全周に亘って当接して両周面間のクリアランスを塞ぐことで、雄ハウジング10および雌ハウジング40の間の相対的変動が規制され、雄端子20と雌端子30との間の摺動摩耗等を有効に防止できる(図5、図6)。また、パッキン74の外周リップ76が、フード部14の開口端寄りの位置において、内周面に全周に亘って当接して両周面間のクリアランスを塞ぐことで、雄ハウジング10および雌ハウジング40の間をシールして水の浸入を防止するとともに、両ハウジング間の相対的変動も規制される。内嵌部70とフード部14とが、両ハウジングの離隔した2箇所において相対的変動を規制されることとなり、一層確実に摺動摩耗等を防止することができる。さらに、外筒部43の内面やガイド溝49の内面の補助規制突起78が、相手の壁面に押し付けられて潰されることで、これも雄ハウジング10および雌ハウジング40の間の相対的変動の規制に寄与し得る。
以上のように本実施形態によれば、雌ハウジング40の内嵌部70と雄ハウジング10のフード部14との間のクリアランスを、ゴム部材80が弾性変形しつつ塞ぐ結果、雄端子20と雌端子30とが嵌合接続された位置から近い位置で振動防止が図られるから、雄端子20と雌端子30との間の摺動摩耗等を有効に防止できる。また、このような構成によれば、リング状突部82Bが全周にわたって雄ハウジング10および雌ハウジング40の間のクリアランスを塞ぐこととなり、満遍なく確実に相対的変動を規制することができる。
また、リング状突部82Bは、ゴム材料から形成されているから、雄ハウジング10を雌ハウジング40内に嵌合挿入させる際には、リング状突部82Bを弾性変形させることができ、弾性変形しない規制突起を設けた従来の構造と比べて、挿入抵抗の増加を抑制できる。また、リング状突部82Bは、弾性変形しつつ内嵌部70の外周面およびフード部14の内周面の間のクリアランスを閉塞するため、多少の寸法誤差を吸収可能であり、寸法公差設定を緩和することができる。
<第二実施形態>
以下、第一実施形態を図7ないし図9に基づいて説明する。
この実施形態に係る防水コネクタ2では、規制突起を形成するゴム部材が、リング状に形成された第一実施形態とは異なり、複数のピン状に形成されている。以下、本実施形態の説明においては、上記した第一実施形態と同様の構造については同一符号を付し、作用及び効果についても、重複する説明は省略する。
本実施形態では、雌ハウジング140の端子収容筒部42の前面に嵌着されるフロントホルダ160において、筒状部162の基端部、すなわち前壁部161寄りの位置に、複数の係止孔167が設けられている。筒状部162の壁部を貫通する係止孔167は、筒状部162の全周に亘って離間的に形成されている。具体的には、筒状部162のうち、端子収容筒部42の前端部よりも前寄りに配される部分に形成される(図7)。また、略四角筒状に形成された筒状部162のうち、上下左右の各4辺において各2箇所、計8箇所に、係止孔167が設けられている(図8)。そして、この係止孔167のそれぞれに、ピン状に形成されたゴム部材180が嵌着されることで、規制突起が設けられる。
本実施形態において、ゴム部材180は、係止孔167内に嵌合される係止脚部181と、筒状部62の外周面から径方向外側に向けて突出するように配される当接頭部182と、を有する(図8)。また、本実施形態では、ゴム部材180は、さらに係止脚部181における当接頭部182とは反対側に、係止頭部183を有している。円柱状をなす係止脚部181は、円柱の長さが筒状部162の壁厚とほぼ等しく、径が係止孔167の孔径とほぼ等しいものとされている。係止脚部181の両端に配される当接頭部182および係止頭部183は、本実施形態では係止脚部181に対して対称な形状とされている。いずれも、外周が面取りされた略円盤状をなす当接頭部182および係止頭部183は、円盤の厚みが、雌ハウジング140の内嵌部170と雄ハウジング10のフード部14との間に設定されるクリアランスよりも僅かに大きく、径が係止孔167の孔径よりも大きいものとされている。ゴム部材180は、当接頭部182又は係止頭部183のいずれかを弾性変形させた状態で、筒状部162の壁面の一方から係止孔167内に押し込まれる。押し込まれた当接頭部182又は係止頭部183が他方の壁面側に押し出され、係止脚部181が係止孔167に挿通された状態で、当接頭部182又は係止頭部183の変形を回復させることにより、当接頭部182および係止頭部183が筒状部162の壁面の両表面に当接した状態で保持される。本実施形態では、筒状部162の外周面側に配される当接頭部182が、規制突起として機能する。
続いて、本実施形態の作用を説明する。
雌ハウジング140の内嵌部170を雄ハウジング10のフード部14の内側に、外筒部43をフード部14の外側に進入させつつ、雄ハウジング10と雌ハウジング140とを嵌合させるにあたり、嵌合の途中から、雌ハウジング140に嵌着されたフロントホルダ160の筒状部162の外周面側に突出した状態で配された当接頭部182が、雄ハウジング10のフード部14における縮径部15Aの内周面に押し付けられて弾性変形されつつ押し込まれる。ここで、当接頭部182には、外周に面取りが施され、フード部14の内周面には、傾斜部15Bが設けられているから、両者は比較的スムーズに当接し擦り合わされて押し付け合う。また、当接頭部182は、筒状部162の外周に離間的に設けられているため、挿入抵抗の増加を抑えることができる。
以上のように本実施形態によれば、雌ハウジング140の内嵌部170と雄ハウジング10のフード部14との間のクリアランスを、ゴム部材180の当接頭部182が弾性変形しつつ離間的に塞ぐ結果、雄端子20と雌端子30との間の摺動摩耗等を有効に防止できる。また、当接頭部182を、内嵌部170の外周を周回するように設けたことにより、満遍なく相対的変動を規制することができる。
また、当接頭部182は、ゴム材料から形成されているから、雄ハウジング10を雌ハウジング140内に嵌合挿入させる際には、当接頭部182を弾性変形させつつ押し込むことができ、弾性変形しない規制突起を設けた従来の構造と比べて、挿入抵抗の増加を格段に低減できる。特に、本実施形態では、当接頭部182は、筒状部162の外周に離間的に設けたから、不必要な挿入力増加を招くことが無い。また、当接頭部182は、弾性変形により圧潰されつつ内嵌部170の外周面およびフード部14の内周面の間のクリアランスを閉塞するため、多少の寸法誤差を吸収可能であり、寸法公差設定を緩和することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、第1ハウジングを雄コネクタ、第2ハウジングを雌コネクタとして、第1ハウジングが、内嵌部に加えて外筒部を備える構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、第1ハウジングを雌コネクタとして、フード部の内周側に設けられて第1端子を内部に収容するタワー部をさらに有するものとし、第2ハウジングを雄コネクタとして、内嵌部が開口部を備えて前記第2端子を内部に収容する内フード部を有するものとして、嵌合状態において、タワー部が内フード部の内周側に嵌合され、フード部が内フード部の外周側に嵌合されるようなコネクタに適用してもよい。
(2)上記実施形態では、第2ハウジングの内嵌部が端子収容筒部とフロントホルダとの2部材で構成されている場合を例示したが、フロントホルダを備えることなく内嵌部が単体で形成されたものについても、本発明を同様に適用することができる。
(3)規制突起は、フード部の内面側に設けてもよい。また、規制突起の形状および数は任意である。例えば、図10に示すように、内嵌部(上記実施形態における筒状部)の外周面に、フード部に向けて突出する突条280を一体的に突設し、この突条280に切込み281を設けることで、径方向に弾性を持たせた規制突起を形成してもよい。
(4)雄側のコネクタは、機器一体型のコネクタに限定されるものではなく、例えばワイヤハーネスの端末に接続されたコネクタであってもよい。
(5)本発明は、防水機能を備えない通常のコネクタにも適用可能である。
1、2…コネクタ
10…雄ハウジング(第1ハウジング)
14…フード部
20…雄端子(第1端子)
30…雌端子(第2端子)
40、140…雌ハウジング(第2ハウジング)
41…ハウジング本体
42…端子収容筒部
43…外筒部
60、160…フロントホルダ
61、161…前壁部
62、162…筒状部
67…係止溝
70、170…内嵌部
74…パッキン
80、180…ゴム部材
81…係止部
82…当接部
167…係止孔
181…係止脚部
182…当接頭部
183…係止頭部

Claims (5)

  1. 前方に開口したフード部および前記フード部内に収容される第1端子を有する第1ハウジングと、
    前記フード部の内周側に嵌挿される内嵌部および前記内嵌部内に収容される第2端子を有する第2ハウジングと、を備え、
    前記内嵌部を前記フード部内に嵌合させた嵌合状態において、前記第1端子と前記第2端子とを接続させるようにしたコネクタであって、
    前記内嵌部の外周面および前記フード部の内周面のうち少なくともいずれか一方に、前記嵌合状態において、相手側の周面に当接することで、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの相対的変動を規制する弾性を備えた規制突起が設けられていることを特徴とするコネクタ。
  2. 前記第2ハウジングが、さらに、前記内嵌部の外周側に設けられた外筒部を有し、
    前記嵌合状態において、前記内嵌部が前記フード部の内周側に嵌合され、前記外筒部が前記フード部の外周側に嵌合されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
  3. 前記規制突起が、ゴム材料からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
  4. 前記内嵌部の外周面と前記フード部の内周面のうち少なくともいずれか一方に、当該周面を周回する係止溝が設けられており、
    前記規制突起は、前記係止溝内に挿入係止される係止部と、前記係止部から前記相手側の周面に向けて突出するように配される当接部と、を有するリング状のゴム部材で形成されていることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
  5. 前記内嵌部の外周面と前記フード部の内周面のうち少なくともいずれか一方に、前記周面を周回するように複数の係止孔が離間的に設けられており、
    前記規制突起は、前記係止孔内に挿入係止される係止脚部と、前記係止脚部から前記相手側の周面に向けて突出するように配される当接頭部と、を有するピン状の複数のゴム部材で形成されていることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
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