JP2016211025A - Snめっき鋼板及びSnめっき鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るSnめっき鋼板は、鋼板の少なくとも片面に、質量%で、Snを0.1g/m2以上15g/m2以下含有するSnめっき層が形成されたSnめっき鋼板上に、質量%で、Niを5%以上75%以下含有し、残部がZn及び不純物からなるZn−Niめっき層が、合計で0.05g/m2以上0.5g/m2以下の付着量で形成されている。
【選択図】なし
Description
上記知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
(2)前記Zn−Niめっき層におけるNi含有率が、質量%で、10%以上55%以下である、(1)に記載のSnめっき鋼板。
(3)前記Zn−Niめっき層におけるNi含有率が、質量%で、10%以上30%以下である、(1)又は(2)に記載のSnめっき鋼板。
(4)前記Snめっき層と前記鋼板との間に、SnとFeとの合金層を有する、(1)〜(3)の何れか1項に記載のSnめっき鋼板。
(5)鋼板の少なくとも片面に、質量%で、SnをSn換算量として0.1g/m2以上15g/m2以下含有するSnめっき層が形成されたSnめっき鋼板を、NiイオンとZnイオンとを含み、Niイオン濃度が質量%で20%以上95%以下であり、かつ、NiイオンとZnイオンの合計が50kg/m3以上250kg/m3以下である水溶液中で、電流密度0.1A/dm2以上150A/dm2以下の条件で電解する、Snめっき鋼板の製造方法。
(6)鋼板の少なくとも片面に、質量%で、SnをSn換算量として0.1g/m2以上15g/m2以下含有するSnめっき層と、当該Snめっき層と鋼板との間に位置するSnとFeとの合金層と、が形成されたSnめっき鋼板を、NiイオンとZnイオンとを含み、Niイオン濃度が質量%で20%以上95%以下であり、かつ、NiイオンとZnイオンの合計が50kg/m3以上250kg/m3以下である水溶液中で、電流密度0.1A/dm2以上150A/dm2以下の条件で電解する、Snめっき鋼板の製造方法。
(7)前記水溶液の液温は、25℃以上70℃以下である、(5)又は(6)に記載のSnめっき鋼板の製造方法。
以下で説明する本発明は、食缶、飲料缶などの缶用途その他に広く用いられるSnめっき鋼板と、かかるSnめっき鋼板の製造方法に関するものである。より詳細には、従来のクロメート処理を行うことなく、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変性に優れるSnめっき鋼板及びSnめっき鋼板の製造方法に関するものである。
本実施形態に係るSnめっき鋼板に用いられる鋼板は、特に規定されるものではなく、一般的な容器用のSnめっき鋼板に用いられている鋼板であれば、任意のものを使用可能であり、例えば、低炭素鋼や極低炭素鋼などが挙げられる。また、用いる鋼板の製造方法や材質も特に規定されるものではなく、例えば、鋳造から熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、調質圧延等の工程を経て製造されたものを挙げることができる。
上記のような鋼板の少なくとも片面には、Snめっきが施されて、Snめっき層が形成される。かかるSnめっきによって、鋼板の耐食性は向上する。なお、本明細書における「Snめっき」とは、金属Snによるめっきだけでなく、金属Snに不純物が混入したものや、金属Snに微量元素が添加したものも含む。
また、Snめっきを鋼板表面に施す方法は、特に規定しないが、例えば公知の電気めっき法が好ましく、溶融したSnに鋼板を浸漬することでめっきする溶融法を用いてもよい。電気めっき法としては、例えば、周知のフェロスタン浴やハロゲン浴やアルカリ浴などを用いた電解法を利用することができる。
本実施形態に係るSnめっき鋼板は、上記のようなSnめっき層を有するSnめっき鋼板の表面に、質量%で、Niを5%以上75%以下含有し、残部がZn及び不純物からなるZn−Niめっき層が、片面当たり、0.05g/m2以上0.5g/m2以下の付着量で形成される。
Snめっき鋼板の表面に位置する上記のNi、Znを主体とするZn−Niめっき層は、Niイオンと、Znイオンとを含む水溶液を利用した陰極電解によって、形成することができる。水溶液の種類は、特に規定するものではないが、周知の硫酸浴や塩化物浴を適用することが可能である。本実施形態に係るZn−Niめっきを形成する際には、NiイオンとZnイオンとを含み、かつ、Niイオン濃度が質量%で20%以上95%以下、かつ、NiイオンとZnイオンとの合計が50kg/m3以上250kg/m3以下である水溶液中で、液温25℃以上70℃以下、電流密度0.1A/dm2以上100A/dm2以下の条件で陰極電解する必要がある。この条件で陰極電解処理を実施することで、本発明の範囲の、鋼板の少なくとも片面に、質量%で、Snを0.1g/m2以上15g/m2以下を含有するSnめっき鋼板上に、質量%で、Niを5%以上75%以下含有し、残部がZn及び不純物からなるZn−Niめっき層を有するSnめっき鋼板を得ることができる。
<試験材の作製>
板厚0.2mmの低炭素冷延鋼板を、前処理として電解アルカリ脱脂、水洗、希硫酸浸漬酸洗、水洗した後、フェノールスルホン酸浴を用いて電気Snめっきを施した。一部の試験材は、Snめっき層の付着量を変化させた。また、電気Snめっき後に加熱溶融処理をした試験材も作製した。このように作製したSnめっき鋼板を、表1〜表6に示すNi及びZnの組成の水溶液中で陰極電解し、Ni、Znを主体とするZn−Niめっき層をSnめっき層の表面に形成した。なお、表1〜表5においては、硫酸浴から陰極電解処理をし、表6においては、塩化物浴から陰極電解処理をした。
このように作製したSnめっき鋼板の表面におけるNi、Znの組成及び付着量は、Snめっき鋼板を10%硝酸に浸漬して、Ni、Znを含む層を溶解し、得られた溶解液をICP発光分析により分析することで求めた。なお、Snめっき層の付着量は、上記の蛍光X線分析により測定した。
耐黄変性は、上記<試験材の作製>に記載の方法で作製したSnめっき鋼板を、40℃、相対湿度80%の雰囲気中に4週間載置する湿潤試験を行い、湿潤試験前後における色差b*値の変化量△b*を求めて、評価した。△b*が1以下であれば◎とし、1超過2以下であれば○とし、2超過であれば×とし、◎と○を合格と評価した。b*は、市販の色差計であるスガ試験機製SC−GV5を用いて測定し、b*の測定条件は、光源C、全反射、測定径30mmである。
塗膜密着性は、上記<試験材の作製>に記載の方法で作製したSnめっき鋼板を、<耐黄変性>に記載の方法で湿潤試験した後、表面に、市販の缶用エポキシ樹脂塗料を乾燥重量で7g/m2塗布し、200℃で10分焼き付け、24時間室温に置いた後、鋼板表面に達する傷を碁盤目状に入れ(3mm間隔で縦横7本ずつの傷)、その部位のテープ剥離試験をして評価した。テープ貼り付け部位の塗膜が全て剥離していなければ◎とし、碁盤目の傷部周囲で塗膜剥離が認められれば○とし、碁盤目の枡内に塗膜剥離が認められれば×とし、◎と○を合格とした。なお、試験は、上記<耐黄変性>に記載の湿潤試験をした試験材と、していない試験材の両方に対して実施した。
耐硫化黒変性は、上記<塗膜密着性>に記載の方法で作製及び湿潤試験したSnめっき鋼板の表面に、市販の缶用エポキシ樹脂塗料を乾燥重量で7g/m2塗布した後、200℃で10分焼き付け、24時間室温に置いた後、所定のサイズに切断し、リン酸二水素ナトリウムを0.3%、リン酸水素ナトリウムを0.7%、L−システイン塩酸塩を0.6%からなる水溶液中に浸漬し、密封容器中で121℃・60分のレトルト処理を行い、試験後の外観から評価した。試験前後で外観の変化が全く認められなければ◎とし、僅かに(10%以下)黒変が認められれば○とし、試験面の10%超過の領域に黒変が認められれば×とし、◎と○を合格とした。
塗装後耐食性は、上記<塗膜密着性>に記載の方法で作製及び湿潤試験したSnめっき鋼板の表面に、市販の缶用エポキシ樹脂塗料を乾燥重量で7g/m2塗布した後、200℃で10分焼き付け、24時間室温に置いた後、所定のサイズに切断し、市販のトマトジュースに60℃で7日間浸漬した後の、錆の発生有無を目視にて評価した。錆が全く認められなければ○とし、錆が認められれば×とし、○を合格とした。
めっき浴安定性は、<試験材の作製>に記載のめっき浴を24時間放置した後の外観を目視観察し、濁りや沈殿が認められた場合を×とし、透明で濁りや沈殿が認められなかった場合を○とした。
Claims (7)
- 鋼板の少なくとも片面に、質量%で、SnをSn換算量として0.1g/m2以上15g/m2以下含有するSnめっき層が形成されたSnめっき鋼板上に、質量%で、Niを5%以上75%以下含有し、残部がZn及び不純物からなるZn−Niめっき層が、0.05g/m2以上0.5g/m2以下の付着量で形成された、Snめっき鋼板。
- 前記Zn−Niめっき層におけるNi含有率が、質量%で、10%以上55%以下である、請求項1に記載のSnめっき鋼板。
- 前記Zn−Niめっき層におけるNi含有率が、質量%で、10%以上30%以下である、請求項1又は2に記載のSnめっき鋼板。
- 前記Snめっき層と前記鋼板との間に、SnとFeとの合金層を有する、請求項1〜3の何れか1項に記載のSnめっき鋼板。
- 鋼板の少なくとも片面に、質量%で、SnをSn換算量として0.1g/m2以上15g/m2以下含有するSnめっき層が形成されたSnめっき鋼板を、
NiイオンとZnイオンとを含み、Niイオン濃度が質量%で20%以上95%以下であり、かつ、NiイオンとZnイオンの合計が50kg/m3以上250kg/m3以下である水溶液中で、
電流密度0.1A/dm2以上150A/dm2以下の条件で電解する、Snめっき鋼板の製造方法。 - 鋼板の少なくとも片面に、質量%で、SnをSn換算量として0.1g/m2以上15g/m2以下含有するSnめっき層と、当該Snめっき層と鋼板との間に位置するSnとFeとの合金層と、が形成されたSnめっき鋼板を、
NiイオンとZnイオンとを含み、Niイオン濃度が質量%で20%以上95%以下であり、かつ、NiイオンとZnイオンの合計が50kg/m3以上250kg/m3以下である水溶液中で、
電流密度0.1A/dm2以上150A/dm2以下の条件で電解する、Snめっき鋼板の製造方法。 - 前記水溶液の液温は、25℃以上70℃以下である、請求項5又は6に記載のSnめっき鋼板の製造方法。
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