JP2016211025A - Snめっき鋼板及びSnめっき鋼板の製造方法 - Google Patents

Snめっき鋼板及びSnめっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のクロメート処理を行うことなく、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変性に優れる、Snめっき鋼板及びSnめっき鋼板の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係るSnめっき鋼板は、鋼板の少なくとも片面に、質量%で、Snを0.1g/m以上15g/m以下含有するSnめっき層が形成されたSnめっき鋼板上に、質量%で、Niを5%以上75%以下含有し、残部がZn及び不純物からなるZn−Niめっき層が、合計で0.05g/m以上0.5g/m以下の付着量で形成されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、Snめっき鋼板及びSnめっき鋼板の製造方法に関するものである。
錫(Sn)めっき鋼板は、「ブリキ」としてよく知られており、飲料缶や食缶などの缶用途その他に、広く用いられている。これは、Snが人体に安全であり、かつ、美麗な金属であることによる。このSnめっき鋼板は、主に電気めっき法によって製造される。これは、比較的高価な金属であるSnの使用量を必要最小限の量に制御するには、溶融めっき法よりも電気めっき法が有利であることによる。Snめっき鋼板は、めっき後、又は、めっき後の加熱溶融処理により美麗な金属光沢が付与された後に、6価クロム酸塩の溶液を用いた電解処理や浸漬処理などのクロメート処理によって、Snめっき上にクロメート皮膜が施されることが多い。このクロメート皮膜の効果は、Snめっき表面の酸化を抑えることによる外観の黄変の防止や、塗装されて使用される場合における酸化Snの凝集破壊による塗膜密着性の劣化の防止、耐硫化黒変性の向上、などである。
一方、近年、環境や安全に対する意識の高まりから、最終製品に6価クロムが含まれないのみならず、クロメート処理自体を行わないことが求められている。しかしながら、クロメート皮膜がないSnめっき鋼板は、上述の如く、酸化Snの成長によって外観が黄変したり、塗膜密着性が劣化したり、また、耐硫化黒変性が劣化したりする。
このため、クロメート皮膜に替わる皮膜処理をしたSnめっき鋼板が、いくつか提案されている。
例えば、以下の特許文献1では、リン酸イオンとシランカップリング剤とを含有する溶液を用いた処理によって、PとSiを含む皮膜を形成させたSnめっき鋼板が提案されており、以下の特許文献2では、リン酸アルミニウムを含む溶液を用いた処理によって、Al及びPと、Ni、Co、Cuの少なくとも1種と、シランカップリング剤との反応物を含む皮膜を形成させたSnめっき鋼板が提案されている。また、以下の特許文献3では、Snめっき上にZnめっきをした後にZn単独めっき層が消失するまで加熱処理を施す、クロメート皮膜を有さないSnめっき鋼板の製造方法が提案されている。更に、以下の特許文献4では、ジルコニウム、リン酸、フェノール樹脂等を含む化成処理皮膜を有する容器用鋼板が提案されている。
特開2004−60052号公報 特開2011−174172号公報 特開昭63−290292号公報 特開2007−284789号公報
しかしながら、上記特許文献1〜特許文献4で提案されているSnめっき鋼板やその製造方法では、経時による酸化Snの成長を十分に抑制することができず、耐黄変性や塗膜密着性の確保が不十分なだけでなく、耐硫化黒変性が劣るといった問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、従来のクロメート処理を行うことなく、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変性に優れる、Snめっき鋼板及びSnめっき鋼板の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者が鋭意検討した結果、Snめっき鋼板の表面に、NiとZnとを主体とするZn−Niめっき層を形成させることで、クロメート処理を行わずに、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変に優れるSnめっき鋼板を実現可能である旨に想到した。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)鋼板の少なくとも片面に、質量%で、SnをSn換算量として0.1g/m以上15g/m以下含有するSnめっき層が形成されたSnめっき鋼板上に、質量%で、Niを5%以上75%以下含有し、残部がZn及び不純物からなるZn−Niめっき層が、0.05g/m以上0.5g/m以下の付着量で形成された、Snめっき鋼板。
(2)前記Zn−Niめっき層におけるNi含有率が、質量%で、10%以上55%以下である、(1)に記載のSnめっき鋼板。
(3)前記Zn−Niめっき層におけるNi含有率が、質量%で、10%以上30%以下である、(1)又は(2)に記載のSnめっき鋼板。
(4)前記Snめっき層と前記鋼板との間に、SnとFeとの合金層を有する、(1)〜(3)の何れか1項に記載のSnめっき鋼板。
(5)鋼板の少なくとも片面に、質量%で、SnをSn換算量として0.1g/m以上15g/m以下含有するSnめっき層が形成されたSnめっき鋼板を、NiイオンとZnイオンとを含み、Niイオン濃度が質量%で20%以上95%以下であり、かつ、NiイオンとZnイオンの合計が50kg/m以上250kg/m以下である水溶液中で、電流密度0.1A/dm以上150A/dm以下の条件で電解する、Snめっき鋼板の製造方法。
(6)鋼板の少なくとも片面に、質量%で、SnをSn換算量として0.1g/m以上15g/m以下含有するSnめっき層と、当該Snめっき層と鋼板との間に位置するSnとFeとの合金層と、が形成されたSnめっき鋼板を、NiイオンとZnイオンとを含み、Niイオン濃度が質量%で20%以上95%以下であり、かつ、NiイオンとZnイオンの合計が50kg/m以上250kg/m以下である水溶液中で、電流密度0.1A/dm以上150A/dm以下の条件で電解する、Snめっき鋼板の製造方法。
(7)前記水溶液の液温は、25℃以上70℃以下である、(5)又は(6)に記載のSnめっき鋼板の製造方法。
以上説明したように本発明によれば、従来のクロメート処理を行うことなく、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変性に優れるSnめっき鋼板及びSnめっき鋼板の製造方法を提供することが可能となる。
試験例でのめっき浴組成とめっき中Ni含有率を図示したグラフ図である。 試験例での△b*に及ぼすめっき中Ni含有率の影響を図示したグラフ図である。 試験例でのめっき浴中Ni含有率に及ぼす電流密度の影響を示したグラフ図である。
以下に、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
以下で説明する本発明は、食缶、飲料缶などの缶用途その他に広く用いられるSnめっき鋼板と、かかるSnめっき鋼板の製造方法に関するものである。より詳細には、従来のクロメート処理を行うことなく、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変性に優れるSnめっき鋼板及びSnめっき鋼板の製造方法に関するものである。
本実施形態に係るSnめっき鋼板は、鋼板の少なくとも片方の表面にSnめっき層の形成されたSnめっき鋼板の表面に、所定量のNiを含有し、残部がZn及び不純物からなるZn−Niめっき層が所定の付着量で形成されていることを特徴とする。
より詳細には、本実施形態に係るSnめっき鋼板は、鋼板の少なくとも片面に、質量%で、SnをSn換算量として0.1g/m以上15g/m以下含有するSnめっき層が形成されたSnめっき鋼板上に、質量%で、Niを5%以上75%以下含有し、残部がZn及び不純物からなるZn−Niめっき層が、合計で0.05g/m以上0.5g/m以下の付着量で形成されている。
<鋼板について>
本実施形態に係るSnめっき鋼板に用いられる鋼板は、特に規定されるものではなく、一般的な容器用のSnめっき鋼板に用いられている鋼板であれば、任意のものを使用可能であり、例えば、低炭素鋼や極低炭素鋼などが挙げられる。また、用いる鋼板の製造方法や材質も特に規定されるものではなく、例えば、鋳造から熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、調質圧延等の工程を経て製造されたものを挙げることができる。
<Snめっき層について>
上記のような鋼板の少なくとも片面には、Snめっきが施されて、Snめっき層が形成される。かかるSnめっきによって、鋼板の耐食性は向上する。なお、本明細書における「Snめっき」とは、金属Snによるめっきだけでなく、金属Snに不純物が混入したものや、金属Snに微量元素が添加したものも含む。
本実施形態に係るSnめっき層において、片面当たりのSn付着量は、Sn換算量として、0.1g/m以上15g/m以下とする。Snめっき層の片面当たりの付着量が、Sn換算量として0.1g/m未満では、耐食性に劣り、好ましくない。また、Snめっき層の片面当たりの付着量が、Sn換算量として15g/m超過では、Snによる耐食性の向上効果は十分であり、更なる増加は経済的な観点から好ましくない。なお、Snめっき層の片面当たりの付着量は、好ましくは、Sn換算量として0.9g/m以上14g/m以下である。
ここで、上記の片面当たりのSnの付着量は、例えばJIS G 3303に記載された電解法や蛍光X線法によって測定された値とする。
[Snめっき層の形成方法]
また、Snめっきを鋼板表面に施す方法は、特に規定しないが、例えば公知の電気めっき法が好ましく、溶融したSnに鋼板を浸漬することでめっきする溶融法を用いてもよい。電気めっき法としては、例えば、周知のフェロスタン浴やハロゲン浴やアルカリ浴などを用いた電解法を利用することができる。
なお、Snめっき後に、Snめっきの施された鋼板をSnの融点である231.9℃以上に加熱する、加熱溶融処理を施しても構わない。この加熱溶融処理によって、Snめっき鋼板の表面に光沢が出るとともに、Snめっきと鋼板の間に、SnとFeとの合金層が形成され、耐食性が更に向上する。
<Zn−Niめっき層について>
本実施形態に係るSnめっき鋼板は、上記のようなSnめっき層を有するSnめっき鋼板の表面に、質量%で、Niを5%以上75%以下含有し、残部がZn及び不純物からなるZn−Niめっき層が、片面当たり、0.05g/m以上0.5g/m以下の付着量で形成される。
Niの含有率を5質量%以上75質量%以下とすることで、Zn−Niめっき層中に、熱力学的に安定なγ相(NiZn21主体)やα相(Znが固溶したNi)のいずれか又は両方が含まれるようになる。これらのNiとZnとからなるめっき層は、Snめっき表面を覆いSnめっき表面への酸素到達を抑制することで酸化Snの成長を抑制するとともに、ZnとNiとを含むめっきの一部がSnめっき中に取り込まれることでSn自体を酸化させ難くする効果があり、黄変や塗膜密着性、耐硫化黒変性を改善すると考えられる。
Ni単独でも酸化Snの抑制効果はあるものの、Ni自体の色調により外観が黄みを増すだけでなく、塗膜密着性も低下し、更にNiS生成により黒変するため好ましくない。一方、Zn単独ではポーラスな酸化亜鉛が成長するため、酸化Snの抑制効果が不十分で、耐黄変性塗膜密着性に劣るため、好ましくない。
Niの含有率が5質量%未満であると、η相(Zn)がZn−Niめっき層中に過剰に含まれるため、経時でZnが酸化し、塗膜密着性が劣化する。Niの含有率が75質量%超過であると、Niが過剰となりNiSを形成し易くなるため耐硫化黒変性に劣り、また、塗膜密着性も低下する。このため、Niの含有率は、質量%で5%以上75%とする必要がある。なお、Niの含有率の好ましい範囲は、10質量%以上55質量%以下であり、より好ましい範囲は、10質量%以上30質量%以下である。
上記のNi、Znを主体とするZn−Niめっき層中には、不可避的な不純物、例えば、Fe、S、Na、K、Cl、F、Mg、Cr、Pbなどを含んでいても、特に問題はない。
上記のNi、Znを主体とするZn−Niめっき層の付着量は、0.05g/m以上0.5g/m以下である必要がある。Zn−Niめっき層の付着量が0.05g/m未満である場合には、Snめっき表面の被覆率の低下や、Zn−Niめっき層の一部のSnめっき層中への取り込みが少ないことによって、酸化Snの成長の抑制効果に劣る。一方、Zn−Niめっき層の付着量が0.5g/mを超過である場合には、本実施形態に係るSnめっき鋼板が塗装されて使用される場合の塗膜密着性が低下する。Zn−Niめっき層の付着量の好ましい範囲は、0.1g/m以上0.3g/m以下である。
上記のNi、Znを主体とするZn−Niめっき層の組成及び付着量は、本Zn−Niめっき層を表面に形成させたSnめっき鋼板を、例えば、硝酸などの酸性溶液に浸漬して溶解し、得られた溶解液を高周波誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分析法などの化学分析によって測定された値とする。
[Zn−Niめっき層の形成方法]
Snめっき鋼板の表面に位置する上記のNi、Znを主体とするZn−Niめっき層は、Niイオンと、Znイオンとを含む水溶液を利用した陰極電解によって、形成することができる。水溶液の種類は、特に規定するものではないが、周知の硫酸浴や塩化物浴を適用することが可能である。本実施形態に係るZn−Niめっきを形成する際には、NiイオンとZnイオンとを含み、かつ、Niイオン濃度が質量%で20%以上95%以下、かつ、NiイオンとZnイオンとの合計が50kg/m以上250kg/m以下である水溶液中で、液温25℃以上70℃以下、電流密度0.1A/dm以上100A/dm以下の条件で陰極電解する必要がある。この条件で陰極電解処理を実施することで、本発明の範囲の、鋼板の少なくとも片面に、質量%で、Snを0.1g/m以上15g/m以下を含有するSnめっき鋼板上に、質量%で、Niを5%以上75%以下含有し、残部がZn及び不純物からなるZn−Niめっき層を有するSnめっき鋼板を得ることができる。
めっき浴中のNiイオン濃度が20質量%未満である場合には、Zn−Niめっき層中のNiの含有率が5質量%未満となり、本発明の範囲を満たさない。また、めっき浴中のNiイオン濃度が95%超過である場合には、Zn−Niめっき層中のNi含有率が75質量%超過となり、本発明の範囲を満たさない。めっき浴中のNiイオン濃度の好ましい範囲は、30質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上80%質量以下である。
また、NiイオンとZnイオンとの合計が50kg/m未満である場合には、Zn−Niめっきの付着効率に劣り、得られたZn−Niめっきも粗となり、性能に劣るため、好ましくない。また、NiイオンとZnイオンとの合計が250kg/m超過である場合には、沈殿物の生成等、液の安定性に劣り、得られためっきも粗くなり塗膜密着性に劣るため、好ましくない。
めっき浴の液温は、25℃以上70℃以下であることが好ましい。液温を25℃以上とすることで、液の安定性を更に向上させることが可能となる。液温が高い方がZn−Niめっきの付着効率は向上するが、液温が70℃超過である場合には、付着効率の向上効果は飽和する傾向にあり経済性の観点から好ましくなく、また、めっき浴からの水蒸気発生もあり、作業性の観点からも好ましくない。従って、めっき浴の液温は、25℃以上70℃以下であることが好ましい。なお、めっき浴の液温は、より好ましくは、35℃以上60℃以下である。
陰極電解する際の電流密度は、0.1A/dm以上100A/dm以下とする必要がある。電流密度が0.1A/dm未満である場合には、Zn−Niめっき層中のNi含有率が高くなり塗膜密着性や耐硫化黒変性に劣るだけでなく、Zn−Niめっきの付着効率が著しく小さく、本発明の範囲のZn−Niめっきを得ることが出来ない。一方、電流密度が150A/dm超過である場合には、めっきが粗となり塗膜密着性に劣り、好ましくない。陰極電解する際の電流密度は、好ましくは、1A/dm以上90A/dm以下である。
続いて、実施例及び比較例を示しながら、本発明に係るSnめっき鋼板及びSnめっき鋼板の製造方法について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、あくまでも本発明に係るSnめっき鋼板及びSnめっき鋼板の製造方法の一例にすぎず、本発明に係るSnめっき鋼板及びSnめっき鋼板の製造方法が下記の例に限定されるものではない。
(試験例)
<試験材の作製>
板厚0.2mmの低炭素冷延鋼板を、前処理として電解アルカリ脱脂、水洗、希硫酸浸漬酸洗、水洗した後、フェノールスルホン酸浴を用いて電気Snめっきを施した。一部の試験材は、Snめっき層の付着量を変化させた。また、電気Snめっき後に加熱溶融処理をした試験材も作製した。このように作製したSnめっき鋼板を、表1〜表6に示すNi及びZnの組成の水溶液中で陰極電解し、Ni、Znを主体とするZn−Niめっき層をSnめっき層の表面に形成した。なお、表1〜表5においては、硫酸浴から陰極電解処理をし、表6においては、塩化物浴から陰極電解処理をした。
<Ni、Zn組成及び付着量の測定>
このように作製したSnめっき鋼板の表面におけるNi、Znの組成及び付着量は、Snめっき鋼板を10%硝酸に浸漬して、Ni、Znを含む層を溶解し、得られた溶解液をICP発光分析により分析することで求めた。なお、Snめっき層の付着量は、上記の蛍光X線分析により測定した。
<耐黄変性>
耐黄変性は、上記<試験材の作製>に記載の方法で作製したSnめっき鋼板を、40℃、相対湿度80%の雰囲気中に4週間載置する湿潤試験を行い、湿潤試験前後における色差b*値の変化量△b*を求めて、評価した。△b*が1以下であれば◎とし、1超過2以下であれば○とし、2超過であれば×とし、◎と○を合格と評価した。b*は、市販の色差計であるスガ試験機製SC−GV5を用いて測定し、b*の測定条件は、光源C、全反射、測定径30mmである。
<塗膜密着性>
塗膜密着性は、上記<試験材の作製>に記載の方法で作製したSnめっき鋼板を、<耐黄変性>に記載の方法で湿潤試験した後、表面に、市販の缶用エポキシ樹脂塗料を乾燥重量で7g/m塗布し、200℃で10分焼き付け、24時間室温に置いた後、鋼板表面に達する傷を碁盤目状に入れ(3mm間隔で縦横7本ずつの傷)、その部位のテープ剥離試験をして評価した。テープ貼り付け部位の塗膜が全て剥離していなければ◎とし、碁盤目の傷部周囲で塗膜剥離が認められれば○とし、碁盤目の枡内に塗膜剥離が認められれば×とし、◎と○を合格とした。なお、試験は、上記<耐黄変性>に記載の湿潤試験をした試験材と、していない試験材の両方に対して実施した。
<耐硫化黒変性>
耐硫化黒変性は、上記<塗膜密着性>に記載の方法で作製及び湿潤試験したSnめっき鋼板の表面に、市販の缶用エポキシ樹脂塗料を乾燥重量で7g/m塗布した後、200℃で10分焼き付け、24時間室温に置いた後、所定のサイズに切断し、リン酸二水素ナトリウムを0.3%、リン酸水素ナトリウムを0.7%、L−システイン塩酸塩を0.6%からなる水溶液中に浸漬し、密封容器中で121℃・60分のレトルト処理を行い、試験後の外観から評価した。試験前後で外観の変化が全く認められなければ◎とし、僅かに(10%以下)黒変が認められれば○とし、試験面の10%超過の領域に黒変が認められれば×とし、◎と○を合格とした。
<塗装後耐食性>
塗装後耐食性は、上記<塗膜密着性>に記載の方法で作製及び湿潤試験したSnめっき鋼板の表面に、市販の缶用エポキシ樹脂塗料を乾燥重量で7g/m塗布した後、200℃で10分焼き付け、24時間室温に置いた後、所定のサイズに切断し、市販のトマトジュースに60℃で7日間浸漬した後の、錆の発生有無を目視にて評価した。錆が全く認められなければ○とし、錆が認められれば×とし、○を合格とした。
<めっき浴安定性>
めっき浴安定性は、<試験材の作製>に記載のめっき浴を24時間放置した後の外観を目視観察し、濁りや沈殿が認められた場合を×とし、透明で濁りや沈殿が認められなかった場合を○とした。
以下に示す表1〜表6は、Ni、Znを主体とするZn−Niめっき層を表面に有するSnめっき鋼板の作製条件とその組成及び付着量の結果、並びに、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変性及びめっき浴安定性の評価結果である。
Figure 2016211025
表1は、Zn−Niめっき組成を変化させた場合の結果である。浴組成が本発明の範囲内である場合には、本発明の範囲内のZn−Niめっき層が得られ、いずれの性能も良好であることが分かる。一方、浴組成が本発明の範囲を外れる場合には、いずれかの性能が劣ることが分かる。図1に、めっき浴組成とめっき中のNi含有率を図示し、図2に、△b*に及ぼすめっき中のNi含有率の影響を図示した。Ni含有率が5%以上である場合、△b*は2以下となって、耐黄変性は良好である。但し、NiイオンとZnイオンの合計が40kg/mである場合には、Zn−Niめっきの電流効率が低く、その付着量が少ないため、△b*が2超過となり、耐黄変性に劣る。
Figure 2016211025
表2は、Snめっき層の付着量を変化させた場合の結果である。Snめっき層の付着量が本発明の範囲内である場合、いずれの性能も良好であることが分かる。一方、Snめっき層の付着量が本発明の範囲を下回る場合には、耐食性が劣ることが分かる。Snめっき層の付着量が本発明の範囲を超える場合は、いずれの性能も良好であるが、経済性の観点からは、好ましくない。
Figure 2016211025
表3は、電流密度を変化させた場合の結果である。電流密度が本発明の範囲内である場合には、本発明の範囲内のめっきが得られ、いずれの性能も良好であることが分かる。一方、電流密後が本発明の範囲を外れる場合には、いずれかの性能が劣ることが分かる。図3に、めっき中のNi含有率に及ぼす電流密度の影響を図示した。
Figure 2016211025
表4は、めっき浴の液温を変えた場合の結果である。液温を25℃以上70℃以下とすることで、液温が上記範囲外である場合と比較して、液の安定性が向上することが分かる。
Figure 2016211025
表5は、Snめっき層に対する加熱溶融処理をしない場合の結果である。加熱溶融処理をしない場合においても、いずれの性能も問題なく良好であることが分かる。
Figure 2016211025
表6は、塩化物浴から陰極電解した場合の結果である。塩化物浴から得たNi,Znを含むZn−Niめっきにおいても、いずれの性能も問題なく良好であることが分かる。
以上のように、本発明に係るNiとZnを主体とするZn−Niめっき層を形成させた本発明のSnめっき鋼板は、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変性に優れることが明らかとなった。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
以上のように、NiとZnを主体とするZn−Niめっき層を形成させた本発明のSnめっき鋼板は、従来のクロメート処理を必要とせずに、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変性に優れることから、環境にやさしい缶用材料として、食缶、飲料缶などに広く用いることができ、産業上の利用価値が極めて高いものである。

Claims (7)

  1. 鋼板の少なくとも片面に、質量%で、SnをSn換算量として0.1g/m以上15g/m以下含有するSnめっき層が形成されたSnめっき鋼板上に、質量%で、Niを5%以上75%以下含有し、残部がZn及び不純物からなるZn−Niめっき層が、0.05g/m以上0.5g/m以下の付着量で形成された、Snめっき鋼板。
  2. 前記Zn−Niめっき層におけるNi含有率が、質量%で、10%以上55%以下である、請求項1に記載のSnめっき鋼板。
  3. 前記Zn−Niめっき層におけるNi含有率が、質量%で、10%以上30%以下である、請求項1又は2に記載のSnめっき鋼板。
  4. 前記Snめっき層と前記鋼板との間に、SnとFeとの合金層を有する、請求項1〜3の何れか1項に記載のSnめっき鋼板。
  5. 鋼板の少なくとも片面に、質量%で、SnをSn換算量として0.1g/m以上15g/m以下含有するSnめっき層が形成されたSnめっき鋼板を、
    NiイオンとZnイオンとを含み、Niイオン濃度が質量%で20%以上95%以下であり、かつ、NiイオンとZnイオンの合計が50kg/m以上250kg/m以下である水溶液中で、
    電流密度0.1A/dm以上150A/dm以下の条件で電解する、Snめっき鋼板の製造方法。
  6. 鋼板の少なくとも片面に、質量%で、SnをSn換算量として0.1g/m以上15g/m以下含有するSnめっき層と、当該Snめっき層と鋼板との間に位置するSnとFeとの合金層と、が形成されたSnめっき鋼板を、
    NiイオンとZnイオンとを含み、Niイオン濃度が質量%で20%以上95%以下であり、かつ、NiイオンとZnイオンの合計が50kg/m以上250kg/m以下である水溶液中で、
    電流密度0.1A/dm以上150A/dm以下の条件で電解する、Snめっき鋼板の製造方法。
  7. 前記水溶液の液温は、25℃以上70℃以下である、請求項5又は6に記載のSnめっき鋼板の製造方法。
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