JP2016207692A - ナノコンポジット熱電変換材料及びその製造方法 - Google Patents

ナノコンポジット熱電変換材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低い熱伝導率を有する低減熱電変換材料を提供する。【解決手段】金属熱電母材と下記一般式(I)で与えられる分散材同士が、CH3基を有する任意の位置において、(CH2−CH2)結合又は(M−O−M)結合により架橋された構造を含む。式中、MはSi、Ti及びAlからなる群より選択され、G1は独立して、金属熱電母材と結合可能な官能基の残基であり、当該基を介して金属熱電母材に結合する。G2は独立して、CH3基又は金属熱電母材と結合可能な官能基の残基であり、当該基を介して金属熱電母材に結合する。nは6〜1000の整数であり、mは0〜5の整数であり、lは0〜5の整数である。ただし、mが0であるとき−CmH2m−に隣接するG2はCH3基であり、lが0であるとき−ClH2l−に隣接するG2はCH3基である。【選択図】なし

Description

本発明は、ナノコンポジット熱電変換材料及びその製造方法に関する。
近年、地球温暖化問題から二酸化炭素排出量を削減するために、化石燃料から得られるエネルギーの割合を低減する技術への関心が益々増大しており、そのような技術の1つとして未利用廃熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換し得る熱電変換材料及びそれを用いた熱電変換素子が挙げられる。熱電変換材料とは、火力発電のように熱を一旦運動エネルギーに変換しそれから電気エネルギーに変換する2段階の工程を必要とせず、熱から直接に電気エネルギーに変換することを可能とする材料である。
熱から電気エネルギーへの変換は熱電変換材料から成形したバルク体の両端の温度差を利用して行われる。この温度差によって電圧が生じる現象はゼーベックにより発見されたのでゼーベック効果と呼ばれている。この熱電変換材料の性能は、次式で求められる性能指数Zで表される。
Z=ασ/κ(=Pf/κ)
ここで、αは熱電変換材料のゼーベック係数、σは熱電変換材料の伝導率、κは熱電変換材料の熱伝導率である。ασの項をまとめて出力因子Pfという。そして、Zは温度の逆数の次元を有し、この性能指数Zに絶対温度Tを乗じて得られるZTは無次元の値となる。そしてこのZTを無次元性能指数と呼び、熱電変換材料の性能を表す指標として用いられている。よって、熱電変換材料の性能向上には上記の式から明らかなように、より低い熱伝導率κが求められる。
熱電変換材料が幅広く使用されるためにはその性能をさらに向上させることが求められている。そして、熱電変換材料の性能向上には前記の式から明らかなように、より高いゼーベック係数α、より高い伝導率σ、より低い熱伝導率κが求められる。
例えば特許文献1には、熱電変換材料の母相に分散材のナノ粒子が分散されたナノコンポジット熱電変換材料が記載されており、特許文献1によれば、熱電変換材料の母相と分散材のナノ粒子との界面に0.1nm以上の界面粗さを有することにより、熱が散乱されて熱の伝導が妨害され、熱伝導率を低減することができるとされている。しかしながら、フォノン散乱用の粒子の界面においてフォノンが散乱されているが、このフォノン散乱粒子が粒子形状であるため、フォノン散乱界面積が不十分であるという問題があった。
特許文献2には、カーボンナノチューブ、及び共役系を有する繰り返し単位として縮合環構造を含む共役高分子を含有する熱電変換材料が記載されている。また特許文献3には、熱電材料マトリックス中にフォノン散乱粒子が分散している熱電材料であって、フォノン散乱粒子が、マトリックスよりも熱膨張率の小さい材料からなり、フォノン散乱粒子の周囲に空隙が形成されている、熱電材料が記載されている。特許文献3によれば、フォノン散乱粒子による熱伝導率κの低減効果と、空隙の存在による熱伝導率κの低減効果とによって熱伝導率κを低減しながら、フォノン散乱粒子の周囲に形成された微細な空隙が分散した状態なので、良好な強度も有しているとされている。
しかしながら上記の従来の熱電変換材料においては、分散材の分子が熱的に安定でない場合、熱処理により分散材が分解又は揮散する可能性があった。
したがって、加熱後にも、優れた電気特性、特に十分に低減された熱伝導率を有する熱電変換材料、及びその製造方法が求められていた。
特開2010−114419号公報 特開2014−33170号公報 特開2014−22674号公報
本発明は、加熱後にも、優れた電気特性、特に十分に低減された熱伝導率を有する熱電変換材料、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、分散材の構造及び大きさを調節することにより、加熱処理による分散材の分解・揮散が抑制されることを見出した。これにより、本発明の熱電変換材料は、加熱後であっても十分に低減された熱伝導率を有する。また本発明者らは、特定の構造を有する化合物を金属熱電母材構成元素と混合した後にアルカリ処理に付すことにより、加熱による分解・揮散を抑制するために好適な構造及び大きさを有する分散材が得られることも見出した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)金属熱電母材と分散材とを含むナノコンポジット熱電変換材料であって、
分散材が、下記一般式(I):
Figure 2016207692
(式中、
Mは、Si、Ti及びAlからなる群より選択され、
は独立して、金属熱電母材と結合可能な官能基の残基であり、当該基を介して金属熱電母材に結合しており、
は独立して、CH基又は金属熱電母材と結合可能な官能基の残基であり、金属熱電母材と結合可能な官能基の残基である場合、当該基を介して金属熱電母材に結合しており、
nは、6〜1000の整数であり、
mは、0〜5の整数であり、
lは、0〜5の整数であり、
ただし、
mが0であるとき−C2m−に隣接するGはCH基であり、
lが0であるとき−C2l−に隣接するGはCH基である)
で表される構造同士が、CH基を有する任意の位置において、(CH−CH)結合又は(M−O−M)結合により架橋された構造を含む、上記熱電変換材料。
(2)金属熱電母材と結合可能な官能基が、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、イソシアヌレート基、ウレイド基、スルフィド基及びイソシアネート基からなる群より選択される少なくとも1種である、(1)記載の熱電変換材料。
(3)分散材の平均粒子径が5nm未満である、(1)又は(2)記載の熱電変換材料。
(4)金属熱電母材と分散材とを含むナノコンポジット熱電変換材料の製造方法において、以下:
(a)金属熱電母材構成元素の塩の溶液に、還元剤及び下記一般式(II):
Figure 2016207692
(式中、
Mは、Si、Ti及びAlからなる群より選択され、
は独立して、金属熱電母材と結合可能な官能基であり、
は独立して、CH基又は金属熱電母材と結合可能な官能基であり、
nは、6〜1000の整数であり、
mは、0〜5の整数であり、
lは、0〜5の整数であり、
ただし、
mが0であるとき−C2m−に隣接するGはCH基であり、
lが0であるとき−C2l−に隣接するGはCH基である)
で表される化合物を添加して混合する工程、及び
(b)工程(a)の後に得られた溶液をアルカリ処理する工程
を含む、上記方法。
(5)工程(b)において、アルカリ処理を7を超え10未満のpHで行う、(4)に記載の方法。
本発明のナノコンポジット熱電変換材料は、加熱後にも十分に低減された熱伝導率を有する。本発明の製造方法は、加熱後にも十分に低減された熱伝導率を有するナノコンポジット熱電変換材料の製造を可能とする。
図1は、本発明の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。 図2は、本発明の熱電変換材料の模式図である。 図3は、アルカリ処理のpHと分散材残存率(Siの量から換算)との関係を示すグラフである。 図4は、実施例2(pH8)の熱電変換材料のXAFS分析結果を示す図である。 図5は、実施例2(pH8)の熱電変換材料のTOFSIMS分析結果を示す図である。 図6は、実施例1−4及び比較例1の分散材体積分率と格子熱伝導率との関係を示す図である。 図7は、実施例2(a)及び実施例4(b)の高分解性能SEM観察結果を示す図である。
本発明のナノコンポジット熱電変換材料(以下、本発明の熱電変換材料ともいう)は金属熱電母材と分散材とを含む。金属熱電母材としては、P型であってもN型であってもよい。P型金属熱電母材の材質としては特に制限なく、例えば、BiTe系、PbTe系、ZnSb系、CoSb系、ハーフホイスラー系、フルホイスラ一系、SiGe系などを用いることができる。N型金属熱電母材の材質としても特に制限なく公知の材料を適用することができ、例えば、BiTe系、PbTe系、ZnSb系、CoSb系、ハーフホイスラー系、フルホイスラ一系、SiGe系、MgSi系、MgSn系、CoSi系などを用いることができる。これらのうち、一般に高性能として知られている熱電変換材料であり、(Bi,Sb)(Te,Se)、CoSb系、PbTe系、SiGe系等から選ばれるものを用いることが好ましい。
本発明の熱電変換材料は、金属熱電母材の表面に分散材が、官能基G又はGを介して結合していることを特徴とする。このように分散材が金属熱電母材の表面結合しているため、加熱による分散材の揮散を防ぐことができる。
上記分散材は、下記一般式(I):
Figure 2016207692
(式中、
Mは、Si、Ti及びAlからなる群より選択され、
は独立して、金属熱電母材と結合可能な官能基の残基であり、当該基を介して金属熱電母材に結合しており、
は独立して、CH基又は金属熱電母材と結合可能な官能基の残基であり、金属熱電母材と結合可能な官能基の残基である場合、当該基を介して金属熱電母材に結合しており、
nは、6〜1000の整数であり、
mは、0〜5の整数であり、
lは、0〜5の整数であり、
ただし、
mが0であるとき−C2m−に隣接するGはCH基であり、
lが0であるとき−C2l−に隣接するGはCH基である)
で表される構造同士が、CH基を有する任意の位置において、(CH−CH)結合又は(M−O−M)結合により架橋された構造を含む。図1に本発明の熱電変換材料の模式図を示す。
上記分散材は、上記一般式(I)に示されるように官能基以外の最外側は反応性の少ない炭化水素基で構成されるために、加熱により粗大粒子が生成することを防ぐことができる。さらに、上記分散材は、上記一般式(I)中のCH基を有する位置において、(CH−CH)結合又は(M−O−M)結合を有する構造を含むため、全体として安定な網目構造が生じ、分散材の耐熱性が増している。
上記一般式(I)中のMは、Si、Ti及びAlからなる群より選択される。
上記一般式(I)中のG及びGについて、金属熱電母材と結合可能な官能基の残基とは、当該官能基と金属熱電母材との結合形成反応が行われた後に残存する部位を意味する。G及びGは同一であっても異なっていてもよい。金属熱電母材と結合可能な官能基は、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、イソシアヌレート基、ウレイド基、スルフィド基及びイソシアネート基からなる群より選択されることが好ましく、メルカプト基、スルフィド基、アミノ基及びカルボキシル基より選択されることが特に好ましい。
上記一般式(I)中のnは、分散材の大きさを適切なものとする観点から、6〜1000の整数であり、好ましくは10〜800であり、さらに好ましくは10〜500である。分散材の大きさを適切なものとすることにより、フォノン熱伝導率を低下させることができるという効果が得られる。
さらに、上記一般式(I)中のnについて、金属熱電母材との結合性を高め、分散材の分散性を確保する観点から、官能基の数(G及びGの内官能基の残基である数の和)について、1/1000<(官能基の数の和/n)≦1とすることが好ましく、1/500<(官能基の数の和/n)≦1/2とすることがさらに好ましい。
本発明の熱電変換材料において、分散材の粒径は、好ましくは5nm未満、さらに好ましくは1〜4nm、特に好ましくは1〜3nmである。当該分散材の粒径は焼結処理後の値を示す。当該分散材の粒径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて該熱電変換材料の粒子を観察し、得られたSEM画像から任意に選択した複数(例えば30個程度)の分散材の粒径の平均値を算出すること、或いはBET法により、平均粒径として決定することができる。分散材が完全に粒子の形態でない場合、分散材全体が包含される最小径を粒径とする。
本発明の熱電変換材料は、金属熱電母材の結晶粒の平均粒子径(以下、平均結晶粒子径ともいう)が400nm以下であることが好ましい。金属熱電母材の結晶粒が微細化(ナノ結晶化)されることにより熱伝導率の上昇を抑えることができ、熱伝導性が向上する。このような観点から、平均結晶粒子径は、10nm〜400nmであることが好ましく、10nm〜300nmであることがさらに好ましく、10nm〜200nmであることが最も好ましい。平均結晶粒子径は焼結処理後の値を示す。
本発明の熱電材料において、分散材の体積分率は、電気伝導率と熱伝導率のバランスの観点から、好ましくは2〜8.5Vol%、さらに好ましくは4〜8.5Vol%である。
本発明は、金属熱電母材と分散材とを含む熱電変換材料の製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう)にも関する。本発明の製造方法は、本発明の熱電変換材料の製造に適している。本発明の製造方法は、以下:
(a)金属熱電母材構成元素の塩の溶液に、還元剤及び下記一般式(II):
Figure 2016207692
(式中、
Mは、Si、Ti及びAlからなる群より選択され、
は独立して、金属熱電母材と結合可能な官能基であり、
は独立して、CH基又は金属熱電母材と結合可能な官能基であり、
nは、6〜1000の整数であり、
mは、0〜5の整数であり、
lは、0〜5の整数であり、
ただし、
mが0であるとき−C2m−に隣接するGはCH基であり、
lが0であるとき−C2l−に隣接するGはCH基である)
で表される化合物を添加して混合する工程、及び
(b)工程(a)の後に得られた溶液をアルカリ処理する工程
を含む。本発明の製造方法は、工程(a)及び(b)を含むことにより、加熱後にも十分に低減された熱伝導率を有するナノコンポジット熱電変換量を得ることができる。
上記工程(a)において、金属熱電母材構成元素の塩の溶液に、上記一般式(II)の化合物及び還元剤を添加して混合する。本発明の熱電変換材料が本発明の製造方法により製造される場合、上記一般式(I)で表される構造は一般式(II)の化合物に由来する。一般式(II)中の各可変基の好ましい範囲は、本発明の熱電変換材料における記載を引用することができる(基G及びGはそれぞれ、G及びGに対応することに留意されたい)。図1に本発明の製造方法の一実施形態を示すフローチャートを示す。
上記工程(a)において、具体的には、各構成元素の塩を溶液中で還元することにより金属熱電母材構成元素のナノ粒子を合成する。この各構成元素の塩としては、塩化ビスマス、塩化テルル、塩化セレン等の塩化物を用いることが好ましい。この還元は、熱電変換材料の構成元素の塩を含むアルコール溶液に還元剤を含む溶液を滴下して行う。この分散液の溶媒であるアルコールは、上記金属熱電母材構成元素の塩を分散できるものであれば特に制限されないが、エタノールを用いることが好適である。また必要に応じてpH調整剤を添加してもよい。pH調整剤は、スラリー中で粒子等が凝集するのを抑制するために用いられ、公知のものを適宜適用することができ、例えば、塩酸、酢酸、硝酸、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)などを用いることができる。この分散液のpHとしては、3〜6又は8〜11に調整することが好ましく、4〜6又8〜10であることがより好ましい。こうして分散液を調製した後、還元剤を含む溶液をこの分散材に滴下する。還元剤としては、金属熱電母材構成元素のイオンを還元できるものであればよく、例えばNaBH、ヒドラジン等を用いることができる。
金属熱電母材構成元素の塩を含む分散液中には熱電変換材料の原料イオン、例えばBiイオンやTeイオンが存在する。従って、還元剤を含む溶液と混合されると、例えば下式に示すように、これらのイオンは還元され、金属熱電母材構成元素の粒子、例えばBi粒子やTe粒子が析出することになる。この還元において、Bi粒子やTe粒子の他に、副生物、例えばNaC1とNaBO等が生成する。この副生物を除去するために、濾過を行うことが好ましい。さらに、濾過後、アルコールや水を加えて、副生物を洗い流すことが好適である。
金属熱電母材構成元素のナノ粒子のスラリーに、上記一般式(II)の化合物を添加し、撹拌し熟成させる。熟成させる時間は、官能基と粒子表面の吸着結合のために十分な時間であれば特に制限されず、例えば、好ましくは0.1〜200時間、さらに好ましくは0.5〜60時間、特に好ましくは1〜48時間である。その結果、上記一般式(II)の化合物の官能基G及び/又はGは熱電変換材料の構成元素のナノ粒子の表面に結合する。
上記工程(b)において、工程(a)の後に得られた溶液をアルカリ処理する。これにより、上記一般式(II)中のCH基を有する位置において、(CH−CH)結合により架橋された構造及び/又は脱水縮合により(M−O−M)結合により架橋された構造が生じる。
上記工程(b)において、アルカリ処理を7を超え10未満、好ましくは7.2〜9.8、特に好ましくは7.8〜9.8、最も好ましくは8.8〜9.8のpHで行うことが好ましい。
上記工程(b)のアルカリ処理を行う時間は、縮合、架橋反応の完了のために十分な時間であれば特に制限されず、例えば、0.5〜100時間静置させることが好ましく、10〜30時間静置させることが好ましい。
本発明の製造方法は、上記工程(b)の後に、分散材が表面に結合した各構成元素のナノ粒子を熱処理して、必要であれば合金化し、熱電変換材料のナノ粒子を生成させる工程(c)を含むことができる。この熱処理工程は、通常オートクレーブ中にて、熱電変換材料の合金化のために十分な温度であれば特に制限されず、好ましくは50℃以上400℃以下、さらに好ましくは150℃以上380℃以下、さらに好ましくは180℃以上380℃以下、特に好ましくは200℃以上350℃以下に加熱することにより行われる。またこの熱処理工程は、通常オートクレーブ中にて、熱電変換材料の合金化のために十分な時間であれば特に制限されず、好ましくは0.5〜100時間、さらに好ましくは1〜50時間行われる。
本発明の製造方法は、上記工程(c)の後に、バルク体を得る必要がある場合は、上記熱電変換材料を300〜500℃の温度でSPS焼結(放電プラズマ焼結:Spark Plasma Sintering)することによって、熱電変換材料バルク体を得ることができる。SPS焼結は、パンチ(上部、下部)、電極(上部、下部)、ダイ及び加圧装置を備えたSPS焼結機を用いて行うことができる。また、焼結の際に、焼結機の焼結チャンバのみを外気から隔離して不活性の焼結雰囲気にしてもよくあるいはシステム全体をハウジングで囲んで不活性雰囲気にしてもよい。
本発明の熱電変換材料は、熱電変換素子に使用することができる。本発明の熱電変換材料を、それ自体公知の方法によって、N型ナノコンポジット熱電変換材料、P型ナノコンポジット熱電変換材料、電極及び絶縁性基板を組み立てることによって得ることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。
実施例1−4及び比較例1
以下の試薬を用いた。
溶媒:エタノール 3000mL
熱電材料試薬(金属熱電母材構成元素の塩):BiCl 4g
TeCl 11g
SbCl 25g
還元剤:NaBH 30g
分散材原料試薬(一般式(II)の化合物):両末端型メルカプト変性シリコーン
Figure 2016207692
[実施例1]
(1)予めエタノール中に熱電材料試薬を溶解し、還元剤を混合した。
(2)分散材原料試薬を溶解した溶液を(1)で得た溶液に投入し、1〜48時間熟成させた。
(3)水洗浄により還元剤由来の不純物成分を除去した。pH7.5となるように洗浄水の量を調整し、その後約20時間静置した。
(4)オートクレーブ中で250〜350℃、10時間熱処理を施し、合金化を促進し、熱電材料母材を形成した。
(5)溶媒を乾燥させて粉末を回収した。
(6)300〜400℃で、0.2時間焼結させてバルク体を作製した。
[実施例2]
上記(3)においてpH8とした以外は実施例1と同様にして熱電変換材料を得た。
[実施例3]
上記(3)においてpH9とした以外は実施例1と同様にして熱電変換材料を得た。
[実施例4]
上記(3)においてpH10とした以外は実施例1と同様にして熱電変換材料を得た。
[比較例1]
上記(3)においてpH7とした以外は実施例1と同様にして熱電変換材料を得た。
<耐熱性評価>
実施例1−4及び比較例1の熱電変換材料の耐熱性を確認するために、400℃、10時間の熱処理を施し、残存率を測定した。図3にアルカリ処理のpHと分散材残存率(Siの量から換算)との関係を示す。図3より、アルカリ処理により、当該処理を行っていない分散材試薬の熱による欠損が低下し、耐熱性が向上することがわかる。
<アルカリ処理で生成する分子構造について>
実施例2の熱電変換材料に対して、XAFS(一般的な市販のX線吸収微細構造測定装置)及びTOF-SIMS(一般的な市販の飛行時間型二次イオン質量分析装置)を用いて分析を行った。結果を図4、図5に示す。
図4の結果より、アルカリ処理前後でSi−O結合が増加していることから、アルカリ処理により、縮合反応による(Si−O−Si)結合の生成反応が促進されていることがわかる。図5の結果より、アルカリ処理後のSi−CH結合が増加していることから、アルカリ処理により、(CH−CH)結合による架橋反応が促進されていることがわかる。
<格子熱伝導率>
図6に、実施例1−4及び比較例1の分散材体積分率と格子熱伝導率との関係を示す。
定常法熱伝導率評価法及びフラッシュ法(非定常法)(ネッチ社製フラッシュ法熱伝導率測定装置)による。
格子熱伝導率は、全体の熱伝導率からキャリア熱伝導率(Kel)を差し引いて算出した。Kel=LσT(L:ローレンツ数、σ:電気伝導率(=1/比抵抗)、T:絶対温度)。
表1に実施例1−4及び比較例1の分散材体積分率とκphの値を示す。
Figure 2016207692
<得られたバルク体の高分解性能SEM観察結果>
図7に得られたバルク体(実施例2(a)及び実施例4(b))の高分解性能SEM観察結果を示す。
本発明の熱電変換材料を用いた熱電変換素子は、自動車の排熱や地熱を用いた発電及び人工衛星用の電源に利用することができる。また、本発明の熱電変換材料を用いた熱電変換素子は、電化製品及び自動車等の温度調節素子に利用することができる。

Claims (5)

  1. 金属熱電母材と分散材とを含むナノコンポジット熱電変換材料であって、
    分散材が、下記一般式(I):
    Figure 2016207692
    (式中、
    Mは、Si、Ti及びAlからなる群より選択され、
    は独立して、金属熱電母材と結合可能な官能基の残基であり、当該基を介して金属熱電母材に結合しており、
    は独立して、CH基又は金属熱電母材と結合可能な官能基の残基であり、金属熱電母材と結合可能な官能基の残基である場合、当該基を介して金属熱電母材に結合しており、
    nは、6〜1000の整数であり、
    mは、0〜5の整数であり、
    lは、0〜5の整数であり、
    ただし、
    mが0であるとき−C2m−に隣接するGはCH基であり、
    lが0であるとき−C2l−に隣接するGはCH基である)
    で表される構造同士が、CH基を有する任意の位置において、(CH−CH)結合又は(M−O−M)結合により架橋された構造を含む、上記熱電変換材料。
  2. 金属熱電母材と結合可能な官能基が、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、イソシアヌレート基、ウレイド基、スルフィド基及びイソシアネート基からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の熱電変換材料。
  3. 分散材の平均粒子径が5nm未満である、請求項1又は2に記載の熱電変換材料。
  4. 金属熱電母材と分散材とを含むナノコンポジット熱電変換材料の製造方法において、以下:
    (a)金属熱電母材構成元素の塩の溶液に、還元剤及び下記一般式(II):
    Figure 2016207692
    (式中、
    Mは、Si、Ti及びAlからなる群より選択され、
    は独立して、金属熱電母材と結合可能な官能基であり、
    は独立して、CH基又は金属熱電母材と結合可能な官能基であり、
    nは、6〜1000の整数であり、
    mは、0〜5の整数であり、
    lは、0〜5の整数であり、
    ただし、
    mが0であるとき−C2m−に隣接するGはCH基であり、
    lが0であるとき−C2l−に隣接するGはCH基である)
    で表される化合物を添加して混合する工程、及び
    (b)工程(a)の後に得られた溶液をアルカリ処理する工程
    を含む、上記方法。
  5. 工程(b)において、アルカリ処理を7を超え10未満のpHで行う、請求項4に記載の方法。
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