JP2016205440A - 放射性物質を含む流体を輸送する配管、及び配管を備えた原子力設備用流体輸送装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】放射性物質を含む流体の輸送を、長期間、安全に実施できる配管を提供する。【解決手段】放射性物質を含む流体を輸送するための配管を、流体を流すための内部空間を有し、ポリエチレンで形成された第1の管と、この第1の管よりも大きい径を有し、第1の管を内包し、ポリエチレンで形成された第2の管とからなり、第1の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が0〜0.05wt%であり、第2の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が0.2〜5.0wt%である構成とする。【選択図】図1
Description
本発明は、放射性物質を含む流体を輸送する配管に関する。また、この配管を備えた原子力設備用流体輸送装置に関する。
原子力関連施設で、放射性物質を含む流体の輸送、もしくは高放射線量下での流体の輸送を、長期間、安全に実施できる樹脂製配管が求められている。
従来、放射性物質を含む流体の輸送、もしくは高放射線量下での流体の輸送には、鋼管が使用されてきたが、空間的制約や時間的制約が多い中では、工数の多さ、必要機材の多さから考えると鋼管敷設は必ずしも適切とは言えない。また、原子力設備で使用する場合、放射線の環境に置かれるため、高い耐放射線性が要求される。放射性物質を含む流体を輸送する場合、配管からの漏えい事象等を発生させてはならないからである。
長距離配管としては、水道用配管として使用されている高密度ポリエチレン配管が知られている。しかしながら、高密度ポリエチレンは、鋼管とは異なり、耐放射線性に劣る欠点を有している。
一般に、高分子材料は、放射線が作用すると分子が励起され、結合が切断して分解することが知られている。
放射線が高密度ポリエチレンに作用すると、水素ラジカルや炭化水素ラジカルが生成する。これらのラジカルは反応性が高く、ラジカル同士が結合したり(再結合)、ラジカルが元素を引き抜いて別のラジカルを生成させたり(引き抜き反応)、ラジカルが二重結合の隣に付加したり(付加反応)、ラジカル同士が結合すると同時に分子鎖が切断されたり(不均化反応)する。
再結合や付加反応は、架橋と呼ばれる分子量の増大をもたらすが、不均化反応は崩壊と呼ばれる分子量の減少をもたらす。崩壊も架橋も、弾性が低下して、衝撃や屈曲に対する抵抗性が低下する、脆くなる等の物性の変化が生じるため、配管として使用する場合、亀裂が入る、或いは破裂する等の不具合を生じる懸念がある。高密度ポリエチレンを用いた配管もまた、同様の不具合を生じる懸念がある。
配水管に用いられている高密度ポリエチレンは、高分子量領域を増加させ、結晶構造を繋ぐタイ分子を増やすことで、長期静水圧強度と耐環境応力き裂性を向上させている。放射線環境では、結晶領域の分子鎖はあまり影響を受けないが、非晶部、即ち、タイ分子鎖の酸化切断が進行する。タイ分子鎖の切断が進むと、外部応力が加えられた際に樹脂内で応力集中が起こり、長期静水圧強度や耐環境応力き裂性、衝撃特性が低下する。
また、配管は屋外の大気中で使用することが多い。酸素が存在する大気中では、放射線が高密度ポリエチレンに作用すると、ラジカルが酸素に対して強い反応性をもつので、ラジカルと酸素が反応する。酸素は水素との親和性が高いので、これを引き抜いて過酸化ラジカル(ROO・)を生成し、酸化の伝播反応(連鎖反応)を開始する。
例えば、以下のような反応が進行することが知られている。
R・+O2→ROO・ ・・・(式1)
この過酸化ラジカルは反応性に富み、他の分子から水素を引き抜いて、過酸化物(ROOH)とラジカル(R・)に変化する。
ROO・+RH→ROOH+R・ ・・・(式2)
新たに発生したラジカル(R・)は酸素存在下で、式1によりまた新たなパーオキシラジカルを形成させる。過酸化物(ROOH)も不安定なため、分解して結果的にパーオキシラジカル(ROO・)、オキシラジカル(RO・)やラジカル(R・)が形成される。
ROOH→RO・+・OH ・・・(式3)
2ROOH→ROO・+RO・+H2O ・・・(式4)
RO・+RH→ROH+R・ ・・・(式5)
R・+O2→ROO・ ・・・(式1)
この過酸化ラジカルは反応性に富み、他の分子から水素を引き抜いて、過酸化物(ROOH)とラジカル(R・)に変化する。
ROO・+RH→ROOH+R・ ・・・(式2)
新たに発生したラジカル(R・)は酸素存在下で、式1によりまた新たなパーオキシラジカルを形成させる。過酸化物(ROOH)も不安定なため、分解して結果的にパーオキシラジカル(ROO・)、オキシラジカル(RO・)やラジカル(R・)が形成される。
ROOH→RO・+・OH ・・・(式3)
2ROOH→ROO・+RO・+H2O ・・・(式4)
RO・+RH→ROH+R・ ・・・(式5)
この様に、最初に発生した一つのラジカル(R・)がパーオキシラジカル(ROO・)を経て、新たなラジカルを多数増殖させることとなり、連鎖的に酸化の伝播反応(連鎖反応)が進行する。これにより、分子構造の分解(架橋や崩壊)が促進される。
原子力設備における輸送用の配管は、多くの場合、放射性物質を含む水や海水を輸送する。また、屋外で使用する場合、配管は雨が直接あたる環境に施工されている。そのため、配管の内部、及び外部からの水の影響も考慮しなければならない。
一般に、放射線環境下における水分の影響は、原子力ケーブルに使用される絶縁体のLOCA(Loss of Coolant Accident)の模擬試験でも検討されているように、劣化が厳しいことが分かっている。
特に、雰囲気中に水分が存在する場合、前述の酸化により生成した過酸化物(ROOH)が水中のプロトンの影響で解離してカルボニル基(>C=O)と水を生成し、分子鎖中の水素を遊離する触媒反応が進行することが知られている。生成したカルボニル基(>C=O)は、分子鎖を切断してラジカルになり易いこと、さらにカルボニル基に隣接する水素が引き抜かれ易いことから、酸化劣化が促進されると考えられている。
さらに、放射線環境下では、オゾンが生成することが知られている。オゾンは、分子鎖に二重結合を持つ高密度ポリエチレンに対して強く作用する。例えば、二重結合部にオゾンが攻撃するとオゾナイドが形成され、これが不安定であるため、O−O結合が切断されてアルデヒドやケトン、エステル、ラクトン、過酸化物等を形成する。
オゾンによる分子構造の分解は、微小のクラック(オゾンクラック)を形成させることが知られている。特に、1MPAの配管圧力がかかる場合、常に伸長された状態となっており、これがオゾンの浸透率を高めるとともに応力集中によってオゾンクラックが成長し、破裂につながる懸念がある。
輸送用配管は、高温の放射性物質を含む流体を輸送する場合もある。前述した分子構造の分解をもたらす様々な素反応は、分子運動、即ち、振動や衝突確立と関係する。分子運動は高温になるほど激しくなるため、分解反応が加速され、劣化は著しい。特に、酸化反応を伴う系では、温度は、試料中の酸化層厚さ、酸素の拡散速度、酸化分解の反応速度に影響を及ぼすことが分かっており、酸化による分解が益々加速される。
一般に、温度が10℃上昇すると、反応速度は2倍になる。このように、高温の放射性物質を含む流体を輸送すると、酸化劣化が加速され、分子構造が容易に分解する。
前述のような分子構造の変化は、弾性率の低下、引張強さの低下、伸びの低下等、種々な特性の低下に繋がる。これらの特性が低下すると、配管に亀裂や微小なクラックが入る、或いは破裂する、等の不具合を生じる。原子力関連施設等において使用する場合、放射性物質の輸送、並びにシステム全体に支障をもたらす等の問題が発生する懸念がある。そのため、このような分子構造の分解を抑制する必要がある。
原子力関連施設における輸送設備では、輸送用配管は、数十〜数百本の配管が張り巡らされ、複数の汚染水滞留エリアと接続されている。これらの配管の全長は約10〜20km程度ある。このように長い距離を、亀裂や微小なクラックが発生していないか点検するのは容易ではなく、膨大な時間を要する。また、点検漏れが発生する懸念もある。
一旦、配管に不具合が認められた場合、配管全体を交換しなければならず、そのために多くの時間と労力を費やさねばならない。また、配管交換のためにシステムを停止せざるを得なくなり、全体のシステムに多大な支障をきたす。そのため、長寿命の輸送配管を得ることは、システム全体の安定性を向上させる上でも非常に重要であり、そのような配管が求められていた。
ゴムや樹脂等の高分子材料そのものについては、既に耐放射線性に関する物性が検討されている。例えば、耐放射線性に優れた組成物からなる絶縁体を備えた耐放射線性絶縁電線に関するものとして、芳香族プロセスオイルを添加することが記載されている。
絶縁電線の被覆に用いられる材料は、ポリエチレンの場合、主に低密度ポリエチレンである。その理由はケーブルの場合、引き回したり、動かしたりしたときの負荷(応力)に対する柔軟性が必要だからである。しかし、原子力設備で使用される配管では、水道配管で用いられているような耐圧性や硬度が必要となる。そのため、耐圧性や硬度の低い低密度ポリエチレンではなく、高密度ポリエチレンを使用する必要がある。
しかしながら、高い線量の放射線に対する耐性を備える高密度ポリエチレン配管の構造がどのようなものであるか分かっていなかった。
特許文献1には、原子力発電プラントの海水系冷却配管が記載されている。配管内面の腐食を防止するため、ポリエチレン等の樹脂により配管内壁がライニングされて保護されている。しかし、基本的には鋼管であるため、工数がかかり、ポリエチレン管のような簡便な工事は難しい。
特許文献2には、工場配管等に用いられる送配水用の配管として、ポリエチレンの二層配管であって、外層のみにカーボンブラックを添加し、内層にはカーボンブラックを添加しない配管が、押出しにより成型されることが記載されている。カーボンブラックは、外層の耐紫外線性を上げるため使用されている。
特許文献2において、内層にカーボンブラックを添加しない理由は、内部流体がカーボンブラックで汚染されることを防ぐためである。従って、特許文献2では、内層が放射性物質と接することは想定されておらず、高い線量の放射線に対する耐性を備えているかは分かっていない。
特許文献3には、水道水等の塩素を含む水を供給するポリエチレン樹脂パイプが、内面部分にカーボンブラックを含まず、外面に耐候性向上のためにカーボンブラックを含んだ二重管となっていることが記載されている。これも、特許文献2と同様に、内層にカーボンブラックを添加しない理由は、内部流体がカーボンブラックで汚染されることを防ぐためである。
塩素を含む水は、カーボンブラックの隙間に侵入して配管表面を膨潤させ、配管表面からカーボンブラックを脱落させてしまう。そのため、水が汚染され易くなる。しかしながら、特許文献3では、内層が放射性物質と接することは想定されておらず、高い線量の放射線に対する耐性を備えているかは分かっていない。
本発明が解決しようとする課題は、原子力設備特有の放射線に対する耐性が強く、放射性物質を含む流体の輸送を長期間、安全に実施できる配管、及び配管を備えた原子力設備用流体輸送装置を提供し、それにより放射性物質を含む流体の輸送を可能とすることにある。
本発明は、放射性物質を含む流体を輸送するための配管であって、流体を流すための内部空間を有し、ポリエチレンで形成された第1の管と、第1の管よりも大きい径を有し、第1の管を内包し、ポリエチレンで形成された第2の管とからなり、第1の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が、0〜0.05wt%であり、第2の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が、0.2〜5.0wt%である配管である。
また、本発明は、原子力設備において、流体を輸送する流体輸送装置であって、流体を輸送するための配管を備え、配管は、流体を流すための内部空間を有し、ポリエチレンで形成された第1の管と、第1の管よりも大きい径を有し、第1の管を内包し、ポリエチレンで形成された第2の管とからなり、第1の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が、0〜0.05wt%であり、第2の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が、0.2〜5.0wt%である原子力設備用流体輸送装置である。
本発明により、放射性物質を含む流体の輸送もしくは高放射線量下での流体の輸送を長期間、安全に実施することが可能となる。そして、配管の交換の必要がないため、原子力プラントの放射性物質の輸送に係るシステム全体の信頼性と安全性の向上に資することができる。
本発明者らが鋭意検討した結果、高線量の内部流体が接する高密度ポリエチレン管では、パイプの材質に顔料が存在すると、タイ分子の酸化分解の進行と共に、顔料が次第に凝集して数十μm以上の塊となり、これが破断の起点となり得ることが分かった。一方、顔料のない材質のパイプを屋外で使用すると、紫外線による劣化が早まり、顔料を含む材質のパイプよりも早く寿命に到達してしまうことが判明した。
そこで、高線量の内部流体が接触する内層には顔料のない材質のポリエチレン管を使用し、紫外線があたる外層には顔料を含む材質のポリエチレン管を使用した、二層管構造とすることにより、放射線による劣化も、紫外線による劣化も抑制できることを見出した。
さらに、内層と外層の二つの異なる材質のポリエチレン管の間に空間を作り、そこに漏水センサを設置することにより、内層から発生した漏えいを漏水センサで素早く検知することができる。特に、内層と外層の間の空間は、無酸素層であることが望ましい。内層と外層の間の空間に大気が存在する場合、放射線による酸化劣化が加速するため望ましくない。無酸素層としては、真空層或いは無酸素ガス層が考えられる。
また、漏水センサの検知方法として、二つの電極の間に流体が介在するときの電気抵抗を測定する電気抵抗式センサを用いる方式、または、内層と外層の間の空間を真空に保持しておき、流体が流れ込んだときの真空度の低下を検知する真空度モニタ式センサを用いる方式が好ましい。但し、必ずしもこれらの方式に限定されるものではなく、内層と外層の間の空間において流体の存在を検知できる他のセンシング手段を備えてもよい。
以下、本発明の実施の態様を例示すると、以下の通りである。
本発明は、放射性物質を含む流体を輸送するための配管として、以下の特徴を有する。
本発明は、放射性物質を含む流体を輸送するための配管として、以下の特徴を有する。
(1)流体を流すための内部空間を有し、ポリエチレンで形成された第1の管と、第1の管よりも大きい径を有し、第1の管を内包し、ポリエチレンで形成された第2の管とからなり、第1の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が、0〜0.05wt%であり、第2の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が、0.2〜5.0wt%である。第1の管及び第2の管の顔料の含有率は、いずれもポリエチレンを100wt%とした含有率である。
第1の管(内層)及び第2の管(外層)のポリエチレンは、PE100の高密度ポリエチレンであることが望ましい。第1の管及び第2の管を熱溶着させてもよい。第1の管(内層)の顔料の含有率が0.05wt%を超えると、40μmを超える粗大な凝集粒が放射線環境で生成し易くなる。40μmを超える粗大な凝集粒は、破断の起点となり易いため、好ましくない。また、第2の管(外層)の顔料の含有率が0.2wt%を下回ると、耐候性が著しく低下するため、望ましくない。
(2)第1の管と第2の管の間に、空間部分を設けて、三層構造とすることが好ましい。
(3)空間部分に、真空層、或いは、無酸素ガス層を設ける。無酸素ガスは、窒素や不活性ガスのアルゴン等でもよい。空間部分に真空層或いは無酸素ガス層を設けることにより、第1の管及び第2の管のポリエチレンの酸化による劣化を抑制することができる。
(4)空間部分に、漏れ検知機構を備える。例えば、前述した漏水センサを、空間部分に設ける。
(3)空間部分に、真空層、或いは、無酸素ガス層を設ける。無酸素ガスは、窒素や不活性ガスのアルゴン等でもよい。空間部分に真空層或いは無酸素ガス層を設けることにより、第1の管及び第2の管のポリエチレンの酸化による劣化を抑制することができる。
(4)空間部分に、漏れ検知機構を備える。例えば、前述した漏水センサを、空間部分に設ける。
(5)放射性物質と接する内層の第1の管のポリエチレンとして、架橋ポリエチレンを用いることが好ましい。架橋ポリエチレンは、高密度ポリエチレンと比較して、耐放射線性に優れる。これは、架橋ポリエチレンは、複数の架橋分子によって3次元のネットワーク構造を作っているために、分子構造の安定性が高められており、放射線によって一部の架橋分子が切断されても、全体の構造の安定性には大きな影響を及ぼさない。反対に、放射線によって架橋が再形成されるものもあり、全般に耐放射性に優れることが分かっている。
架橋ポリエチレンに対して、高密度ポリエチレンは、結晶化度が高いため、結晶部部分が多く、結晶と結晶を繋ぐ非晶部は少ない。非晶部は結晶と結晶をつなぐ分子鎖の部分であり、放射線によって切断され易いために構造が弱くなることが分かっている。
(6)(5)のように内層の第1の管のポリエチレンに架橋ポリエチレンを用いて、さらに、外層の第2の管のポリエチレンに高密度ポリエチレンを用いて、第1の管と第2の管が熱溶着された構成とすることが、より好ましい。
放射性物質と接する内層の第1の管に、架橋ポリエチレンを使用することで、耐放射線性を向上させることができる。一方、外層の第2の管は、熱融着式の継手を使用するために、高密度ポリエチレン管を使用する。熱融着式の継手は、通常、高密度ポリエチレンで構成されている。高密度ポリエチレンの融点は120〜130℃である。融点以上の温度に上げることで、継手と外層の高密度ポリエチレン管を共に溶解させて熱融着させる。これにより、継手と配管との接着強度を向上できるため、配管のはずれ等の不具合を解消することができる。
(7)内層の第1の管のポリエチレンとして、高密度ポリエチレンを用いて、外層の第2の管のポリエチレンとして、高密度ポリエチレンを用いて、第1の管と第2の管が熱溶着された構成とすることが、好ましい。
(8)顔料としてカーボン、カドミレット、イソインドリノンイエロー、ぺリレンレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、弁柄、酸化チタン、炭酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、黄鉛、縮合アゾブラウン、縮合アゾレッド、ベンズイミダゾロンブラウンから選ばれる1種以上を使用するのが良い。
また、本発明は、原子力設備において流体を輸送する原子力設備用流体輸送装置として、以下の特徴を有する。
(9)原子力設備用流体輸送装置が流体を輸送するための配管を備え、配管は、流体を流すための内部空間を有し、ポリエチレンで形成された第1の管と、第1の管よりも大きい径を有し、第1の管を内包し、ポリエチレンで形成された第2の管とからなり、第1の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が、0〜0.05wt%であり、第2の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が、0.2〜5.0wt%である。
原子力設備用流体輸送装置は、流体を輸送するための配管を備え、この配管によって輸送元設備と輸送先設備(いずれも、例えばタンク等の流体の貯留設備)との間で流体を輸送させる。
(9)原子力設備用流体輸送装置が流体を輸送するための配管を備え、配管は、流体を流すための内部空間を有し、ポリエチレンで形成された第1の管と、第1の管よりも大きい径を有し、第1の管を内包し、ポリエチレンで形成された第2の管とからなり、第1の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が、0〜0.05wt%であり、第2の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が、0.2〜5.0wt%である。
原子力設備用流体輸送装置は、流体を輸送するための配管を備え、この配管によって輸送元設備と輸送先設備(いずれも、例えばタンク等の流体の貯留設備)との間で流体を輸送させる。
なお、上述の本発明の配管、及び本発明の原子力設備用流体輸送装置において、さらに、第1の管と第2の管が熱溶着されている構成とすることが可能である。
本発明の配管に用いられるポリエチレンは、外気の高い放射線や紫外線、大気中の酸素や雨、放射線により発生するオゾンに対しても高い耐性を示し、分子構造の分解による亀裂やオゾンクラックが発生することがない。また、本発明の配管に用いられるポリエチレンは、夏場の強い紫外線と放射線の複合作用に対しても、高い耐性を示す。従って、本発明の配管によれば、このような環境でのクラックの発生確率が低くなり、破断に繋がる危険性を下げることができる。
本発明の配管は、高線量の放射性物質を含む水や海水、さらに高温の流体を輸送することができる。具体的には、高い放射線環境の下、大気中の酸素、雨や輸送流体中の水分、放射線により発生するオゾン、高温の流体を輸送することによってもたらされる高い温度条件においても、配管を構成しているポリエチレンが劣化し難く、亀裂や微小クラックが入る、或いは破裂する等の不具合を生じることなく、長期間使用することができる。
なお、上述のように、本発明の配管は高温の流体を輸送することが可能であるが、配管の内部空間を輸送させる、放射性物質を含む流体が、常温であり、かつ内圧が1MPa以下であることがより好ましい。流体が常温で、内圧が1MPa以下である構成とすることにより、配管をさらに長期間安定して使用することが可能になる。
本発明の配管は、ポリエチレンのタイ分子構造の分解が起こっても、亀裂が発生することがない。これにより、放射線によるタイ分子の切断が起こっても、長期静水圧強度や耐環境応力亀裂性、衝撃特性が低下することなく、健全性が維持される。
また、本発明のポリエチレン管は、冬場の低温環境において流体が凍結した場合にも、衝撃によるクラックの発生確率が低くなり、破断に繋がる危険性を下げることができる。
また、原子力関連設備内で、ポンプと配管からなる流体輸送設備において、本発明のポリエチレン管を使用した輸送設備の場合には、ホースを交換することなく、5年間の連続使用が可能になる。これにより、当該設備を構築する上で、時間的、空間的制約による影響を配管施工に関しては最小限に抑えることができる上、放射性物質を扱う設備として、一定の安全性の担保ができる。
(実施形態)
表1に示す構成のポリエチレンを主材料とする配管に対して、放射線を照射して引張試験を実施した。引張試験は、日本水道協会規格「水道配水用ポリエチレン管 JWWA K 144」に準拠した。
表1に示す構成のポリエチレンを主材料とする配管に対して、放射線を照射して引張試験を実施した。引張試験は、日本水道協会規格「水道配水用ポリエチレン管 JWWA K 144」に準拠した。
以下に試験の詳細を示す。
[放射線照射試験]
放射線照射試験では、Co60線源から放出されるγ線を、1kGy/hの線量率で照射した。照射時間は、50時間、100時間、150時間、200時間、250時間とした。吸収線量は、50kGy、100kGy、150kGy、200kGy、250kGyとした。
放射線照射試験では、Co60線源から放出されるγ線を、1kGy/hの線量率で照射した。照射時間は、50時間、100時間、150時間、200時間、250時間とした。吸収線量は、50kGy、100kGy、150kGy、200kGy、250kGyとした。
[引張試験]
引張試験の試験機には、最大の引張力を指示する装置を備え、ダンベル状の試験片を締めるつかみ具を備える、JIS B7721に記載の装置を使用した。試験片は、二層構造に成型したパイプから6号ダンベル試験片を切り出して使用した。試験片の全厚みは12.5mmであり、そのうち、内層は10.5mm、外層(黒層)は2mmの試験片を使用した。
引張試験の試験機には、最大の引張力を指示する装置を備え、ダンベル状の試験片を締めるつかみ具を備える、JIS B7721に記載の装置を使用した。試験片は、二層構造に成型したパイプから6号ダンベル試験片を切り出して使用した。試験片の全厚みは12.5mmであり、そのうち、内層は10.5mm、外層(黒層)は2mmの試験片を使用した。
ダンベル試験片の厚さと平行部の幅を測定し、さらに伸び測定用の標線を平行部分の中心部に付けた後に、20mm/minで引張試験機を用いて室温で引張試験を行った。標線間距離は20mmである。引張試験では、試験片が破断に至るまでの標線間の長さを測定した。
そして、機械的特性の指標として、「破断時の伸び」を採用し、次の式(1)によって、破断時の伸びを算出した。
EB=(L1-L0)/L0×100 …(1)
EB:破断時の伸び(%)
L0:標線間距離(mm)
L1:破断時の標線間距離(mm)
合否判定基準:破断時の伸びが350%以上とした。
EB=(L1-L0)/L0×100 …(1)
EB:破断時の伸び(%)
L0:標線間距離(mm)
L1:破断時の標線間距離(mm)
合否判定基準:破断時の伸びが350%以上とした。
以下、本発明に係る配管の作製に好適な一実施の形態について説明する。
高密度ポリエチレンは、エチレンを槽状反応器に導入し、メタロセン触媒、チーグラー触媒、フィリップス触媒等を用いて、低圧(反応圧力:5〜200kgf/cm2)、及び低温(反応温度:60〜100℃)下で重合させて得られた、結晶化度が62.1〜81.6%と高く、密度が0.94〜0.97g/cm3の分岐を有さない重合体である。高密度ポリエチレンとしては、メルトフローレート(MFR)が0.1g/10min以上3g/10min以下、特に0.2〜0.5g/10min以下のものが好ましい。
高密度ポリエチレンは、エチレンを槽状反応器に導入し、メタロセン触媒、チーグラー触媒、フィリップス触媒等を用いて、低圧(反応圧力:5〜200kgf/cm2)、及び低温(反応温度:60〜100℃)下で重合させて得られた、結晶化度が62.1〜81.6%と高く、密度が0.94〜0.97g/cm3の分岐を有さない重合体である。高密度ポリエチレンとしては、メルトフローレート(MFR)が0.1g/10min以上3g/10min以下、特に0.2〜0.5g/10min以下のものが好ましい。
まず、ポリエチレン樹脂組成物の押出成形を行う。ポリエチレン樹脂組成物としては、ポリエチレン樹脂100重量部に対して酸化チタンを0.1〜5重量部の範囲で含有しているものを使用することができる。
押出成型の一つの方法としては、ポリエチレン樹脂組成物ペレットを、パイプ製造装置のホッパーに、ドライブレンドしながら供給して、押出機中で加熱溶融し、ダイスから円筒状に押出し、冷却してパイプとする。
押出成型の別の方法としては、事前に、マスターバッチペレットとポリエチレン樹脂組成物ペレットを、ペレット製造装置のホッパーに投入し、溶融混練し、溶融樹脂組成物を多数の孔(直径3mm程度)が開けられているステンレス円盤を通過させて水中にうどん状に押出し、円盤面に平行に設置されている回転するナイフによって長さ3mm程度に切断し、ポリエチレン樹脂組成物ペレットとして貯蔵する。しかる後に、ポリエチレン樹脂組成物ペレットをパイプ製造装置のホッパーに供給し、押出機中で加熱溶融し、ダイスから円筒状に押出し、冷却してパイプとする。
溶融混練に用いる混練機としては、バンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸混練機、ロータ型二軸混練機、ブスコニーダー等が使用できるが、特に限定されない。混練温度は、120〜180℃が望ましい。この範囲であれば、機械的負荷が大きくならず加工が容易であり、材料が分解することがない。
ポリエチレン樹脂組成物をパイプに成形するには、具体的には、ポリエチレン樹脂組成物を例えば150〜230℃の温度で押出機からダイスを通して押出し、サイジングを行った後、冷却水槽で冷却し、引取り機を通して切断または巻取る方法が挙げられる。パイプは、単層パイプまたは2層パイプとすることができる。押出機としては、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機等が挙げられる。ダイスは、ストレートヘッドダイス、クロスヘッドダイス、オフセットダイス等いずれのタイプのものも利用できる。サイジング方法は、サイジングプレート法、アウトサイドマンドレル法、サイジングボックス法、インサイドマンドレル法等のいずれの方法も利用できる。
なお、架橋ポリエチレン樹脂には、シラン架橋ポリエチレン樹脂を使用した。シラン架橋ポリエチレンでは、蒸気槽またはパイプ内部に温水を通水させて架橋することができ、非常に効率的である。ポリエチレン樹脂100重量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2重量部、ジクミルパーオキサイド0.2重量部を混合した樹脂組成物を、200℃で押出成形した架橋ポリエチレン管を得た。
以下、本発明の具体的な実施例を示す。
(実施例1)
マスターバッチペレット、又はポリエチレン樹脂ペレットに、以下に示す添加剤を添加してパイプを作製した。
マスターバッチペレット、又はポリエチレン樹脂ペレットに、以下に示す添加剤を添加してパイプを作製した。
まず、チーグラー触媒を使用して製造された高密度ポリエチレン(密度0.95g/cm3、メルトフローレート0.5g/10分)を、100重量部として秤量した。これに、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジフォスフォナイト(サンド社−テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバガイギー社製、商品名:Irganox 1010)0.05重量部と酸化チタン0.5重量部を配合して、高密度ポリエチレン組成物を得た。
次に、得られた高密度ポリエチレン組成物に、カーボン、カドミレット、イソインドリノンイエロー、ぺリレンレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、弁柄、酸化チタン、炭酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、黄鉛、縮合アゾブラウン、縮合アゾレッド、ベンズイミダゾロンブラウンのうちの少なくとも1種類以上の顔料を、所定の添加量(〜0.05wt%)となるように秤量して加えた。これをバンバリーミキサーで温度150℃、10分間混練してから造粒して、ペレットとした。また、顔料を加えていない、即ち顔料の添加量が0である、高密度ポリエチレン組成物も、同様に造粒してペレットとした。これらのペレットを用いて、それぞれ成型して、内層パイプを作製した。
また、得られた高密度ポリエチレン組成物に、カーボン、カドミレット、イソインドリノンイエロー、ぺリレンレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、弁柄、酸化チタン、炭酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、黄鉛、縮合アゾブラウン、縮合アゾレッド、ベンズイミダゾロンブラウンのうちの少なくとも1種類以上の顔料を、所定の添加量(0.2〜5wt%)となるように秤量して加えた。これをバンバリーミキサーで温度150℃、10分間混練してから造粒して、ペレットとした。これらのペレットを用いて、それぞれ成型して、内層パイプよりも径の大きい外層パイプを作製した。
次に、内層パイプと外層パイプを押し出し成型して、さらに、内層パイプと外層パイプを熱溶着させて、実施例1の二層構造のパイプを作製した。
実施例1の二層構造のパイプの概略構成図を、図1に示す。図1に示すように、内層パイプ1と、その外側に設けられた外層パイプ2とが溶着されている。
(特性の測定)
実施例1において、顔料の種類と顔料の添加量を変えて作製した、それぞれの二層構造パイプから、ダンベル形状に切り出した試験片を作製した。
また、本発明に対する比較例として、それぞれの顔料について、顔料の添加量を0.07wt%とした内層パイプと、顔料の添加量を7wt%とした外層パイプを作製して、内層パイプ及び外層パイプを熱溶着させて二層構造のパイプを作製し、この二層構造のパイプから、ダンベル形状に切り出した試験片を作製した。
実施例1において、顔料の種類と顔料の添加量を変えて作製した、それぞれの二層構造パイプから、ダンベル形状に切り出した試験片を作製した。
また、本発明に対する比較例として、それぞれの顔料について、顔料の添加量を0.07wt%とした内層パイプと、顔料の添加量を7wt%とした外層パイプを作製して、内層パイプ及び外層パイプを熱溶着させて二層構造のパイプを作製し、この二層構造のパイプから、ダンベル形状に切り出した試験片を作製した。
実施例1及び比較例のそれぞれのパイプから得た試験片に対して、放射線を照射した後に、引張試験を実施した。放射線照射及び引張試験は、前述した方法で実施した。
引張試験の結果として、横軸を顔料添加量(wt%)とし、縦軸を引張試験の破断時の伸びが350%に到達する吸収線量(kGy)として、プロットしたグラフを、図2及び図3に示す。図2は、内層パイプの結果を示し、図3は、外層パイプの結果を示す。
図2より、内層パイプの顔料の添加量は0〜0.05wt%の範囲とすることが好ましい。特に、顔料の添加量が0wt%、即ち添加していない場合、最も優れた耐放射線性を示している。
図3より、外層パイプの顔料の添加量は0.2〜5wt%の範囲とすることが好ましい。内層への顔料添加量と比較して、多くの顔料が添加されている場合でも、耐放射線性が優れていることを示しているが、これは外層パイプに熱溶着させた内層パイプ(顔料の添加量が0〜0.05wt%)の強度が寄与しているためと考えられる。しかし、外層の顔料の添加量が5wt%を超えると、内層のみの強度では持ちこたえることができなくなり、低い吸収線量でパイプ材料は破断する。
(実施例2)
実施例1と同様にして作製した内層パイプ1と外層パイプ2を重ねて、それらの間に空間を設けた。次に、この空間内に、漏水センサを設置して、実施例2の配管を構成した。実施例2の配管の構造を、図4A及び図4Bに示す。図4Aは、パイプに垂直な断面における断面図を示し、図4Bは、図4AのA−Aにおける断面図を示す。
実施例1と同様にして作製した内層パイプ1と外層パイプ2を重ねて、それらの間に空間を設けた。次に、この空間内に、漏水センサを設置して、実施例2の配管を構成した。実施例2の配管の構造を、図4A及び図4Bに示す。図4Aは、パイプに垂直な断面における断面図を示し、図4Bは、図4AのA−Aにおける断面図を示す。
図4A及び図4Bに示すように、空間部分を真空脱気して真空脱気層3を構成し、内層パイプ1と外層パイプ2の間に、真空ゲージ4を設置した。パイプの外側に真空度を表示するためのモニタ5を設けてある。モニタ5には、真空度が一定の閾値に達するとアラームが表示される機構となっている。これにより、内層パイプ1からの内部流体の漏えいを検知できる。
(実施例3)
実施例1と同様にして作製した内層パイプ1と外層パイプ2を重ねて、それらの間に空間を設けた。次に、この空間内に、漏水センサを設置して、実施例3の配管を構成した。実施例3の配管の構造を、図5A及び図5に示す。図5Aは、パイプに垂直な断面における断面図を示し、図5Bは、図5AのB−Bにおける断面図を示す。
実施例1と同様にして作製した内層パイプ1と外層パイプ2を重ねて、それらの間に空間を設けた。次に、この空間内に、漏水センサを設置して、実施例3の配管を構成した。実施例3の配管の構造を、図5A及び図5に示す。図5Aは、パイプに垂直な断面における断面図を示し、図5Bは、図5AのB−Bにおける断面図を示す。
図5A及び図5Bに示すように、空間部分に窒素ガスを封入して窒素ガス層6を構成し、内層パイプ1と外層パイプ2の間に、二枚の電極7を設置してある。これらの電極7間の抵抗を検知するため、電極7間にバイアス電圧を印加して、流れる電流を検知するためのI/Vインアンプ8を設置する。パイプの外側に、抵抗もしくは電流を表示するためのモニタ9を設けてある。モニタ9には、抵抗もしくは電流が、一定の閾値に達すると、アラームが表示される機構となっている。これにより、内層パイプ1からの内部流体の漏えいを検知できる。
図4及び図5に示した各実施例は、真空脱気層3や窒素ガス層6となる空間部分の厚さが一様である構成であったが、内層パイプと外層パイプの間の空間部分の厚さは一様でなくても構わない。例えば、内層パイプと外層パイプを下側で接続して、上側の空間部分を広くした構成としても良い。この構成では、真空ゲージや電極等を上側の広い空間部分に設置することができる。
(実施例4)
実施例4として、実施例1〜実施例3の配管を用いた原子力設備用流体輸送装置の一例の概略構成図を、図6に示す。
図6に示すように、原子力設備用流体輸送装置10は、配管11とタンク13と輸送先設備16を備える。配管11には、実施例1〜3の配管を使用することができる。タンク13には、配管11で輸送される、放射性物質を含んだ液体14が収容される。配管11の途中には、ポンプ12が設けられており、このポンプ12によって、タンク13よりも高い位置にある輸送先設備16へ液体14を輸送することができる。また、配管11のタンク13及び輸送先設備16に近い部分に、フランジ15が設けられている。
実施例4として、実施例1〜実施例3の配管を用いた原子力設備用流体輸送装置の一例の概略構成図を、図6に示す。
図6に示すように、原子力設備用流体輸送装置10は、配管11とタンク13と輸送先設備16を備える。配管11には、実施例1〜3の配管を使用することができる。タンク13には、配管11で輸送される、放射性物質を含んだ液体14が収容される。配管11の途中には、ポンプ12が設けられており、このポンプ12によって、タンク13よりも高い位置にある輸送先設備16へ液体14を輸送することができる。また、配管11のタンク13及び輸送先設備16に近い部分に、フランジ15が設けられている。
原子力設備用流体輸送装置10の配管11に、実施例1〜3の配管を使用することにより、高線量の液体14を輸送する場合でも、配管11において高い耐圧性を実現することが可能になる。
実施例4のように、本発明の配管を使用して原子力説部用流体輸送装置を構成することにより、高線量の内部流体を輸送する場合であっても、配管において高い耐圧性を維持することが可能である。また、5年以上の配管寿命が得られることを確認している。
1・・・内層パイプ
2・・・外層パイプ
3・・・真空脱気層
4・・・真空ゲージ
5,9・・・モニタ
6・・・窒素ガス層
7・・・電極
8・・・I/Vインアンプ
10・・・原子力設備用流体輸送装置
11・・・配管
12・・・ポンプ
13・・・タンク
14・・・液体
15・・・フランジ
16・・・輸送先設備
2・・・外層パイプ
3・・・真空脱気層
4・・・真空ゲージ
5,9・・・モニタ
6・・・窒素ガス層
7・・・電極
8・・・I/Vインアンプ
10・・・原子力設備用流体輸送装置
11・・・配管
12・・・ポンプ
13・・・タンク
14・・・液体
15・・・フランジ
16・・・輸送先設備
Claims (9)
- 放射性物質を含む流体を輸送するための配管であって、
前記流体を流すための内部空間を有し、ポリエチレンで形成された第1の管と、
前記第1の管よりも大きい径を有し、前記第1の管を内包し、ポリエチレンで形成された第2の管とからなり、
前記第1の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が、0〜0.05wt%であり、
前記第2の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が、0.2〜5.0wt%である
配管。 - 前記第1の管と前記第2の管の間に、空間部分が設けられている請求項1に記載の配管。
- 前記空間部分に、真空層、或いは、無酸素ガス層が設けられている請求項2に記載の配管。
- 前記空間部分に漏れ検知機構を備えた請求項2に記載の配管。
- 前記第1の管のポリエチレンとして、架橋ポリエチレンが用いられている請求項1に記載の配管。
- 前記第2の管のポリエチレンとして、高密度ポリエチレンが用いられ、前記第1の管と前記第2の管が熱溶着されている請求項5に記載の配管。
- 前記第1の管のポリエチレンとして、高密度ポリエチレンが用いられ、前記第2の管のポリエチレンとして、高密度ポリエチレンが用いられ、前記第1の管と前記第2の管が熱溶着されている請求項1に記載の配管。
- 前記顔料が、カーボン、カドミレット、イソインドリノンイエロー、ぺリレンレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、弁柄、酸化チタン、炭酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、黄鉛、縮合アゾブラウン、縮合アゾレッド、ベンズイミダゾロンブラウンから選ばれる1種以上である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の配管。
- 原子力設備において、流体を輸送する流体輸送装置であって、
前記流体を輸送するための配管を備え、
前記配管は、前記流体を流すための内部空間を有し、ポリエチレンで形成された第1の管と、前記第1の管よりも大きい径を有し、前記第1の管を内包し、ポリエチレンで形成された第2の管とからなり、前記第1の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が、0〜0.05wt%であり、前記第2の管のポリエチレンに含まれる顔料の含有率が、0.2〜5.0wt%である
原子力設備用流体輸送装置。
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-
2015
- 2015-04-16 JP JP2015084260A patent/JP2016205440A/ja active Pending
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