JP6895844B2 - 高密度ポリエチレン配管 - Google Patents

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Description

本発明は、高密度ポリエチレン配管に関する。
原子力関連施設で、放射性物質を含む流体の輸送や高放射線量下での流体の輸送を長期間安全に実施できる樹脂製配管が求められている。従来、放射性物質を含む流体の輸送や高放射線量下での流体の輸送には鋼管が使用されてきた。しかし、空間的、時間的制約が多い中では、配管を完成させるための工数の多さ、必要機材の多さから考えると鋼管敷設は必ずしも適切とは言えない。
また、原子力関連施設で使用する場合、放射線に曝される環境に置かれるため、高い耐放射線性が要求される。放射性物質を含む流体を輸送する場合、配管からの漏えい事象等を発生させてはならないからである。
長距離配管としては、水道用配管として使用されている高密度ポリエチレン配管が知られている。しかしながら、高密度ポリエチレン配管は、鋼管とは異なり耐放射線性に劣る欠点を有している。加えて、原子力関連施設の特定の施設では、配管が地中に埋設されることなく、長期間に亘ってむき出しの状態で屋外に設置されることがあるため、その場合には放射線による劣化に加えて、紫外線による劣化も進行する。このことから、高密度ポリエチレン配管は、放射線と紫外線の両者によって引き起こされる劣化を抑制しなければならない。放射線や紫外線によって引き起こされる劣化を抑制する技術が、例えば、特許文献1および特許文献2に記載されている。
特許文献1には、高密度ポリエチレンを主成分とし、前記高密度ポリエチレンは、添加剤として、ヒドロ芳香族型劣化防止剤またはプロピルフルオランテンを1〜7質量部含むことを特徴とする流体輸送配管が記載されている。
特許文献2には、架橋熱可塑性樹脂からなる内層と、この内層の外側に一体的に形成され、かつカーボンブラックを配合した架橋または非架橋熱可塑性樹脂からなる外層とを有することを特徴とする温水配管用多層パイプが記載されている。
特開2017−20628号公報 特開平3−24393号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている添加剤では、耐放射線性に対しての効果は期待できるものの、紫外線に対する効果はない。
また、特許文献2では、外層にカーボンブラックが配合されているため太陽光の紫外線などによる樹脂の劣化を抑制することはできるものの、内層および外層ともに放射性の環境に暴露されることは想定されておらず、高い線量の放射線に対する耐性は備えていない。
高密度ポリエチレン配管は、紫外線と放射線の両方の負荷がかかる環境で使用した場合に脆性破壊割れや環境応力き裂が発生するという本質的な欠点を有している。特許文献1、2に記載の技術では、このような環境で高濃度の放射性物質を含む流体の輸送を長期間安全に実施できないという懸念がある。
本発明は前記状況に鑑みてなされたものであり、紫外線と放射線の両方の負荷がかかる環境で使用した場合であっても高濃度の放射性物質を含む流体を長期間安全に輸送できる高密度ポリエチレン配管を提供することを課題とする。
本発明に係る高密度ポリエチレン配管は、内部を流体が通流する内層、および前記内層の外側を覆うとともにカーボンブラックを1〜3質量%含有する外層の少なくとも2層を有し、前記内層および前記外層はともに密度が0.940g/cm以上0.980g/cm以下のポリエチレンを含む基材で形成されており、少なくとも前記内層は、原油を精製した際に生じるオイルのうちn−d−M法による環分析の%Cが20以上60以下のナフテンを含有するオイル、および原油を精製した際に生じるオイルのうちn−d−M法による環分析の%Cが5以上40以下のアロマティクスを含有するオイルのうちの少なくとも一方を添加剤として含んでおり、前記添加剤の含有量が、前記ポリエチレンの含有量を100質量部としたときに1〜8質量部であることとした。
本発明によれば、紫外線と放射線の両方の負荷がかかる環境で使用した場合であっても高濃度の放射性物質を含む流体を長期間安全に輸送できる高密度ポリエチレン配管を提供できる。
本実施形態に係る高密度ポリエチレン配管の構成を説明する一部切欠き斜視断面図である。 添加剤として含有されるオイルの%Cの濃度と、破断時の伸びとの関係を示すグラフである。 添加剤として含有されるオイルの%Cの濃度と、破断時の伸びとの関係を示すグラフである。 添加剤として含有されるオイルの%Cの濃度と、環境応力き裂試験におけるき裂までの時間との関係を示すグラフである。 添加剤として含有されるオイルの%Cの濃度と、環境応力き裂試験におけるき裂までの時間との関係を示すグラフである。 ポリエチレン密度と、破断時の伸びとの関係を示すグラフである。 添加剤の含有量と、環境応力き裂試験におけるき裂までの時間との関係を示すグラフである。 添加剤として含有されるオイルの%Cの濃度と、アイゾット衝撃値(−10℃衝撃値)との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明に係る高密度ポリエチレン配管の一実施形態について詳細に説明する。
なお、本明細書においては、「〜」(乃至)は、数値範囲を表し、下限値および上限値を含むものとする。よって、例えば、数値A、Bについて「A〜B」と記載した場合は、AとBとの間の数値を含む範囲を表し、かつ、AおよびBもこの範囲に含まれる。言い換えると、「A〜B」は「A以上B以下」と同じ意味である。
本実施形態に係る高密度ポリエチレン配管は、原子力関連施設などにおいて、放射性物質を含む流体を輸送するために主として屋外で使用されるもの、つまり、一部または全部が屋外で使用されるものである。すなわち、この高密度ポリエチレン配管は、地中に埋設されることなく、例えば、数十年の長期間に亘って紫外線に暴露される状態で屋外に設置され、高濃度の放射性物質を含む流体の輸送や高放射線量下での流体の輸送を長期間安全に実施できるようにしたものである。
本実施形態に係る高密度ポリエチレン配管はこれを具現するため、前述した高密度ポリエチレンの持つ本質的な欠点である脆性破壊割れや応力き裂の問題を抜本的に改善するものである。つまり、本実施形態に係る高密度ポリエチレン配管は、紫外線と高線量の放射線の両方の負荷がかかる環境で目に見えない微小な欠陥が発生・存在しても、そこに応力が集中して脆性破壊割れや環境応力き裂を引き起こさず、かつ十分な伸びを有するようにしたものである。
図1は、本実施形態に係る高密度ポリエチレン配管1の構成を説明する一部切欠き斜視断面図である。
図1に示すように、高密度ポリエチレン配管1は、内部を流体が通流する内層2、およびこの内層2の外側を覆うとともにカーボンブラックを1〜3質量%含有する外層3の少なくとも2層を有している。
なお、内層2と外層3は互いに接していてもよく、離間していてもよい。内層2と外層3が互いに接している場合、融着や接着などにより互いに固定させることができる。内層2と外層3とを離間させる場合、内層2と外層3との間の空間(当該空間を「空間層」と呼称する。ただし、空間層については図示せず。)に漏れ検知機能を持たせることができる。漏れ検知機能は、例えば、2つの電極の間に媒体が介在するときの電気抵抗を測定する電気抵抗式センサを用いる方式や、前記空間層を真空に保持しておき、流体が流れ込んだときの真空度の低下を検知する方式などを採用することができる。
また、内層2と外層3との間に、内層2の内側からの衝撃や、外層3の外側からの衝撃を相互に緩衝できる緩衝層を中間層として設けることができる。当該緩衝層は、例えば、高密度ポリエチレンよりも軟らかいポリエチレン(密度が0.940g/cm未満のポリエチレン)で形成することができる。
さらに、内層2の内側表面に流体中の砂利や石等の固形物による破損を防ぐため、ライニング層や保護層を設けてもよい(いずれも図示せず)。
そして、内層2および外層3はともに密度が0.940g/cm以上0.980g/cm以下のポリエチレンを含む基材で形成されている。
なお、本明細書では、密度が0.940g/cm以上のポリエチレンを高密度ポリエチレンと呼称する。本実施形態で用いるポリエチレンの密度は0.942g/cm以上とするのが好ましく、0.945g/cm以上とするのがより好ましく、0.950g/cm以上とするのがさらに好ましい。ポリエチレンの密度を高くするほど破断し難い高密度ポリエチレン配管1が得られるが、密度が0.980g/cmを超えたあたりからその効果は飽和する傾向にある。また、密度が0.980g/cmを超えると高密度ポリエチレン配管1が脆くなるおそれもある。そのため、内層2および外層3はともに密度を0.980g/cm以下とする。他方、内層2および外層3の密度が0.940g/cm未満であると、硬さが十分とは言えないので、管が破断し易くなったり、長期間の使用に耐えられなくなったりするおそれがある。そのため、内層2および外層3はともに密度を0.940g/cm以上とする。破断し難い高密度ポリエチレン配管1とする観点からも、密度は前記したように0.942g/cm以上とするのが好ましく、0.945g/cm以上とするのがより好ましく、0.950g/cm以上とするのがさらに好ましい。
なお、高密度ポリエチレンを含む基材は、一般に市販されている高密度ポリエチレン樹脂のペレットを用いて得ることができる。高密度ポリエチレンを含む基材は、ポリプロピレンなどの他の樹脂を質量基準で50%未満含む混合材または再生材であってもよい。高密度ポリエチレンを含む基材は、酸化防止剤や耐熱安定剤などを含んでいてもよい。
そして、少なくとも内層2は、原油を精製した際に生じるオイルのうちn−d−M法による環分析の%C(質量%)が20以上60以下のナフテンを含有するオイル(以下、「所定のナフテンを含有するオイル」と呼称することがある)、および原油を精製した際に生じるオイルのうちn−d−M法による環分析の%C(質量%)が5以上40以下のアロマティクスを含有するオイル(以下、「所定のアロマティクスを含有するオイル」と呼称することがある)のうちの少なくとも一方を添加剤として含んでいる。つまり、少なくとも内層2は、添加剤として、所定のナフテンを含有するオイルおよび所定のアロマティクスを含有するオイルとをそれぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。内層2が添加剤としてこれらのオイルを含むことで、後述するように、高濃度の放射性物質を含む流体を長期間安全に輸送できるようになる。本実施形態においては、外層3も添加剤としてこれらのオイルを含んでいてもよい。このようにすると、外層3も内層2と同様の前記効果を得ることができる。
なお、ナフテンとは環状炭化水素のことをいい、一般式C2nで表される。アロマティクスとは芳香族系炭化水素、即ち、共役二重結合を有する不飽和で環状の炭化水素のことをいい、一般式C2n−6で表される。
所定のアロマティクスを含有するオイルは、例えば、パラフィン系ベースオイルやナフテン系ベースオイルの精製過程で、高比重、高粘度の芳香族系炭化水素を多く含む残油が生成するが、こうしたオイルをブレンドして得たものであってもよい。
所定のナフテンを含有するオイルや所定のアロマティクスを含有するオイルを添加剤として含んでいるか否か、また、その含有量は、例えば、赤外分光分析(IR分析)などを行うことによって判断することができる。
n−d−M法とは、ASTM D 3238−85に準拠した油(オイル)の構造基分析の一方法(環分析法)であり、ベースオイルの組成分析として一般的な分析方法である。n−d−M法によれば、オイルの密度d20、屈折率nD20および(平均)分子量のデータを使って、オイル中のパラフィン炭素数%C、ナフテン炭素数%C、芳香族炭素数%C、および1平均分子中のナフテン環の環数R、芳香族環の環数Rをそれぞれ計算で求め、全炭素に対する割合で表すことができる。
また、本発明者らが鋭意検討した結果、管の内部を高放射線量の放射性物質を含む流体が通流する高密度ポリエチレン配管では、パイプの材質に固形の添加剤であるカーボンブラックが存在すると、結晶構造を繋ぐタイ分子(分子鎖)の酸化分解を進行することが分かった。さらに、この場合、カーボンブラックが介在物となって破断の起点となり得ることが分かった。その一方で、カーボンブラックのない材質のパイプを屋外で使用すると、紫外線による劣化が早まり、カーボンブラックを含む材質のパイプよりも早く寿命に到達してしまうことが分かった。
そこで、高放射線量の放射性物質を含む流体が接触する内層2には前述したオイルを添加剤として含む高密度ポリエチレン配管を使用し、紫外線が直接あたる外層3にのみ、カーボンブラックを1〜3質量%含む高密度ポリエチレン配管を使用した2層以上の配管構造とした。このようにすることによって、放射線による劣化と紫外線による劣化とを同時に抑制できることを見出した。
前記したように、外層3に含まれるカーボンブラックの含有量は1〜3質量%である。外層3はカーボンブラックをこの範囲で含有することにより、紫外線による劣化を抑制できる。なお、外層3に含まれるカーボンブラックの含有量が1質量%未満であると、紫外線による劣化を十分に抑制することができない。また、外層3に含まれるカーボンブラックの含有量が3質量%を超えると、前記したように、カーボンブラックが介在物となって破断の起点となり、脆性破壊割れや環境応力き裂を起こし易くなる。紫外線による劣化をより抑制しつつ、脆性破壊割れや環境応力き裂をより起こし難くする観点から、外層3に含まれるカーボンブラックの含有量は1.5〜2.5質量%とするのが好ましい。
外層3に含まれるカーボンブラックは、一般に市販されているファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどを用いることができる。
以下に、本実施形態に係る高密度ポリエチレン配管1の作用効果や当該作用効果が得られる原理などについて説明する。
はじめに、一般的な高密度ポリエチレン配管の本質的な問題点などについて説明する。
高密度ポリエチレン配管は、鋼管に比べて軽量であり、移動や加工が容易であることから、水道用配管などの長距離配管として広く用いられている。しかしながら、鋼管のような金属材料とは異なり、一般的な高密度ポリエチレン配管は炭素と水素からなる高分子で形成されている。高分子材料の中でも高密度ポリエチレンは、様々な環境下での外的因子、例えば、紫外線、放射線、熱、内圧、外圧、落下、衝撃、きず、化学物質などによって、脆性破壊割れや応力き裂を起こし易いという欠点を有している。とりわけ、屋外に高密度ポリエチレン配管を設置した場合には、紫外線と放射線の複合作用を受けるため、非常に過酷な環境に曝されることになり、前記欠点が顕著に現れる。
一般に、紫外線、放射線、熱などが高分子材料に作用すると分子が励起され、結合が切断して分解することが知られている。また、紫外線、放射線、熱などが高密度ポリエチレンに作用すると、非常に反応性の高い水素ラジカルや炭化水素ラジカルが生成することが知られている。これらのラジカルは反応性が高く、ラジカル同士が結合したり(再結合)、ラジカルが元素を引き抜いて別のラジカルを生成させたり(引き抜き反応)、ラジカルが二重結合の隣に付加したり(付加反応)、ラジカル同士が結合すると同時に分子鎖が切断されたり(不均化反応)することが知られている。再結合や付加反応は前記したように架橋と呼ばれる分子量の増大をもたらし、不均化反応は前記したように崩壊と呼ばれる分子量の減少をもたらす。これらの反応によって高密度ポリエチレンは、弾性や耐環境応力き裂性、衝撃特性などの諸特性が低下する。
架橋および崩壊はいずれも高密度ポリエチレンの弾性を低下させるので、衝撃や屈曲に対する抵抗性が低下したり、脆くなったりするなどの物性の変化が生じる。そのため、配管として使用した場合にき裂が入ったり、破裂したりするなどの不具合を生じる懸念がある。
そこで、一般的な配水管用高密度ポリエチレンは、高分子量領域を増加させたり、結晶構造を繋ぐタイ分子を増やしたりすることで長期静水圧強度や耐環境応力き裂性、衝撃特性などを向上させている。一般的な配水管用高密度ポリエチレンは、紫外線、放射線、熱などによる過酷な環境下であっても結晶領域のタイ分子はあまり影響を受けないが、非晶部(非結晶部)の増加、すなわち、非晶部におけるタイ分子の酸化切断が進行することが知られている。非晶部におけるタイ分子の酸化切断が進むと、外部応力が加えられた際に樹脂内で応力集中が起こり、長期静水圧強度や耐環境応力き裂性、衝撃特性などが低下する。そのため、配管として使用した場合にき裂が入ったり、破裂したりするなどの不具合を生じる懸念がある。
また、ラジカルは酸素に対して強い反応性を持っているので、酸素が存在する大気中で紫外線、放射線、熱などが高密度ポリエチレンに作用すると、ラジカル(R・)と酸素(O)とが反応し、過酸化ラジカル(ROO・)を生成する(下記化学式(1)参照)。
R・+O→ROO・ …(1)
この過酸化ラジカル(ROO・)は反応性に富むので、他の分子(RH)から水素(H)を引き抜いて過酸化物(ROOH)とラジカル(R・)とを生成する(下記化学式(2)参照)。つまり、生成された過酸化ラジカル(ROO・)は、下記化学式(2)以降に示す酸化の伝播反応(連鎖反応)を開始させる。
ROO・+RH→ROOH+R・ …(2)
新たに発生したラジカル(R・)は、酸素存在下で前記化学式(1)によりまた新たな過酸化ラジカル(ROO・)を生成する。
なお、過酸化物(ROOH)も不安定であるため、分解して結果的に過酸化ラジカル(ROO・)、オキシラジカル(RO・)、ラジカル(R・)などを生成する(下記化学式(3)〜(5)参照)。
ROOH→RO・+・OH …(3)
2ROOH→ROO・+RO・+HO …(4)
RO・+RH→ROH+R・ …(5)
このように、最初に発生した一つのラジカル(R・)が過酸化ラジカル(ROO・)を経て、新たなラジカルを多数増殖させることとなり、連鎖的に酸化の伝播反応(連鎖反応)が進行する。これにより、ますます分子構造の分解(架橋や崩壊)が促進される。
さらに、大気中や放射線環境下では、オゾンが生成することが知られている。オゾンは、分子鎖に二重結合を持つ高密度ポリエチレンに対して強く作用する。例えば、二重結合部をオゾンが攻撃するとオゾナイドが形成される。オゾナイドは不安定であるため、O−O結合が切断されてアルデヒドやケトン、エステル、ラクトン、過酸化物などを形成する。オゾンによる分子構造の分解は、微小のクラック(オゾンクラック)を形成させることが知られている。そのため、例えば、ゲージ圧で1MPaの配管圧力がかかる場合、常に伸長された状態となっているので、これがオゾンの浸透率を高めるとともに応力集中によってオゾンクラックが成長し、破裂に繋がる懸念がある。
また、高密度ポリエチレン配管を用いて高温の流体を移送する場合もある。この場合、前述した分子構造の分解をもたらす様々な素反応は、分子運動、すなわち、振動や衝突確率と関係する。分子運動は高温になるほど激しくなるため、分解反応が加速され、劣化が著しいものとなる。特に、酸化反応を伴う系では、温度は試料中の酸化層の厚さ、酸素の拡散速度、酸化分解の反応速度に影響を及ぼすことが分かっており、酸化による分解がますます加速される。一般的に、温度が10℃上昇すると反応速度は2倍になる。したがって、高温の流体を移送すると、酸化劣化が加速され、分子構造が容易に分解する。このような分子構造の変化は、弾性率の低下、引張強さの低下、伸びの低下など様々な特性の低下に繋がる。これらの特性が低下すると、配管にき裂や微小なクラックが入ったり、破裂したりするなどの不具合を生じる懸念がある。
さらに、高密度ポリエチレン配管は、様々な外的要因(外的ストレス)によりき裂や割れを生じることが分かっている。外的ストレスの種類に依らず、高密度ポリエチレン配管の試験片の破壊モードはいずれも伸びが低下し、破面に白化が現れる。とりわけ、高密度ポリエチレンの密度が高くなるほど、衝撃に対する耐性に劣る傾向にある。
高密度ポリエチレン配管の試験片の破面には白化の他にもクラックが発生しており、ボイドおよびフィブリルも存在する。つまり、白化は、ボイドとフィブリルで構成された損傷形態であるクレイズ破壊の発生を示すものである。なお、白化は、ボイド形成による光のミー散乱によって起こる。
高密度ポリエチレン配管の引っ張りによる破断機構は、次のように進むことが知られている。
(A)引張降伏直後に発生するひずみの局所化領域の伝播
(B)クレイズ破壊領域の伝播
(C)クレイズ破壊の集中部で分子鎖切断やクラックが発生
(D)ポリマ破断
さらに、結晶レベルでは、引っ張りにより、次のような変形が起こることが知られている。
(a)分子レベルの結晶の破壊(分子鎖剥離)
(b)結晶のブロック状破壊(分子鎖剥離)
(c)結晶内での分子のすべり回転(変化小)
ここで、(a)および(b)では結晶が破壊され、非結晶部が増加する。また、分子鎖が剥離してボイドやフィブリルが形成され、クレイズ破壊が起こる。しかし、(c)では、結晶のダメージは少なく、非結晶部はほとんど増加しない。
以上に述べた一般的な高密度ポリエチレン配管の本質的な問題点などに対処するため、本実施形態では前述したように、少なくとも内層2に添加剤として、所定のナフテンを含有するオイルおよび所定のアロマティクスを含有するオイルのうちの少なくとも一方を添加することとした。
所定のナフテンを含有するオイルは、高密度ポリエチレンとの溶解性や相溶性が高く、SP値(溶解性パラメータ)も近いという特性を有しており、結晶内の分子の細部にまで当該オイルが浸透する。したがって、添加剤として所定のナフテンを含有するオイルを添加すると、結晶内ですべり回転を起こすことができ、結晶レベルの引っ張りによる変形が緩和されるため、非結晶部の増加を抑制できる。また、添加剤として所定のナフテンを含有するオイルを添加すると、分子鎖の剥離が抑制されてボイドやフィブリルの形成が抑制されるので、クレイズ破壊を抑制できる。
また、高密度ポリエチレンは衝撃に対する耐性が低い材料であり、−10℃などの低温における耐衝撃性に劣る欠点を有している。これに対し、所定のナフテンを含有するオイルは−10℃などの低温であっても流動性を有するため、低温でもすべり回転の効果が得られる。したがって、高密度ポリエチレン配管1に当該オイルを添加することによって、高密度ポリエチレンの結晶内やタイ分子、またはその周囲ですべり回転を起こり易くすることができる。低温であっても結晶内等におけるすべり回転が容易に起こるようになれば、低温脆化は抑制でき、高密度ポリエチレン配管1の低温における耐衝撃性も大幅に向上できる。
また、放射線環境下ではポリエチレンは硬くなり、容易に脆化してしまうという欠点を有している。所定のナフテンを含有するオイルにはポリエチレンを軟化させる効果があるので、これを添加剤として高密度ポリエチレン配管1に添加することで、放射線による脆化を引起し難くできる。
一方、所定のアロマティクスを含有するオイルは純度が低く、硫黄分などの不純物が多い。硫黄は、熱や紫外線、放射線環境下でラジカルを生成し易く、反応性が高い元素の一つである。そのため、所定のアロマティクスを含有するオイルは、硫黄分が少ないオイルと比べてオイル自体が劣化し易いという特性を有している。
さらに、所定のアロマティクスを含有するオイルは、酸価が高いという特性を有している。酸価とは、油脂1g中に存在する遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数である。パーム油、ヤシ油、こめ油の原油(未精製の油脂)が一般に酸価が高い(7〜20程度)のは、これらの原料に含まれる加水分解酵素の力が強いからである。精製された油でも、自動酸化してアルデヒドやカルボン酸となる場合には、酸価が上昇する。そのため、酸価は、油脂の変質の指標ともなる。所定のアロマティクスを含有するオイルは、酸価が高いことから、オイルのアルデヒドやカルボン酸などの生成量が多い。このため、当該オイルは、酸価が低いオイルと比べて、オイル自体が熱や放射線環境下で劣化し易いという特性を有している。
所定のアロマティクスを含有するオイルは、劣化し易いという当該オイルの特性を利用するものである。つまり、熱や放射線は、ポリエチレンに作用すると同時に添加剤である当該オイルにも作用するので、ポリエチレンの代わりに添加剤である当該オイル自体を犠牲的に劣化させることによって、高密度ポリエチレンの劣化を防止する。本明細書においては、このように犠牲的に劣化する現象を「犠牲劣化」と呼称する。
また、前述したように、当該オイルは、反応性が高い元素の一つである硫黄分を多く含み、かつ、酸価が高い。そのため、当該オイルは、ラジカルに対して強い反応性を有する。これにより、当該オイルは、ポリエチレンの分子内に生成したラジカルと反応してラジカルを消失させる働きを発揮する。これにより、当該オイル自体は、分子構造が変化して劣化するが、高密度ポリエチレンの分子構造の劣化は抑えられる。すなわち、添加した当該オイルによる犠牲劣化が生じる。この機構は、酸化防止剤の挙動にもよく似ている。
なお、所定のアロマティクスを含有するオイルは、粘度指数が高いという特性を有している。粘度指数が高いということは、高密度ポリエチレン配管1に一旦添加された当該オイルが表面ににじみ出し難いことを意味している。そのため、長期間、犠牲劣化の効果が持続する。また、オイルがにじみ出ることによる流体の汚染を引き起こすこともない。加えて、所定のアロマティクスを含有するオイルは、引火点が高いという特性を有しているので、製造過程における安全性が高く、扱い易い。
以上に述べたように、本実施形態に係る高密度ポリエチレン配管1は、前記した内層2と外層3とを有しているので、紫外線と高吸収線量の放射線の複合作用による過度の劣化に対して絶大な効果が得られる。すなわち、本実施形態に係る高密度ポリエチレン配管1は、紫外線と放射線の両方の負荷がかかる環境で使用した場合であっても高濃度の放射性物質を含む流体を長期間安全に輸送できる。
次に、本実施形態に係る高密度ポリエチレン配管1の好ましい態様について説明する。
内層2は、添加剤として所定のナフテンを含有するオイルおよび所定のアロマティクスを含有するオイルのうちの少なくとも一方を前記した範囲で含んでいるので黄色を呈している。
また、外層3は、カーボンブラックを所定量含んでいるので黒色を呈している。なお、外層3は、添加剤として所定のナフテンを含有するオイルおよび所定のアロマティクスを含有するオイルのうちの少なくとも一方を含んでいても、カーボンブラックを所定量含んでいるので黒色を呈する。
内層2に添加される添加剤の含有量は、ポリエチレンの含有量を100質量部としたときに1〜8質量部の範囲であることが好ましい。添加剤の含有量をこのように制御すると、高密度ポリエチレン配管1の表面からオイル(添加剤)がにじみ出る懸念がなくなるとともに、紫外線と放射線の両方の負荷がかかる環境で使用した場合であっても脆性破壊割れや環境応力き裂をより抑制できる。なお、高密度ポリエチレン配管1の表面からオイルがにじみ出ても脆性破壊割れや環境応力き裂を抑制できることに変わりはない。高密度ポリエチレン配管1の表面からオイルがにじみ出るのをより抑制しつつ、脆性破壊割れや環境応力き裂をより抑制する観点から、添加剤の含有量は、ポリエチレンの含有量を100質量部としたときに1〜7質量部の範囲であることがより好ましい。
外層3が前記した添加剤を含有する場合も同様の理由でポリエチレンの含有量を100質量部としたときに1〜8質量部の範囲で添加剤を含有させることが好ましい。
高密度ポリエチレン配管1は、内層2の厚みと外層3の厚みとの比率が、1:1〜15:1であることが好ましい。当該比率について、内層2とはカーボンブラックを添加した外層3以外の層のことをいう。内層2の厚みと外層3の厚みとの比率が前記範囲にあると、紫外線と放射線の両方の負荷がかかる環境で使用した場合における脆性破壊割れや環境応力き裂をさらに抑制することができる。当該環境で使用した場合における脆性破壊割れや環境応力き裂をよりさらに抑制する観点から、内層2の厚みと外層3の厚みとの比率は、1:1〜13:1であることがより好ましい。
次に、本実施形態に係る高密度ポリエチレン配管1を製造する製造方法の一実施形態について説明する。
前記したように、高密度ポリエチレン配管1の原料となる高密度ポリエチレンは、一般に市販されているものを用いることができる。高密度ポリエチレンと前記した添加剤との混練は、混練機を用いて行うのが好ましい。
混練機としては、バンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸混練機、ロータ型二軸混練機、ブスコニーダーなどが使用できるが、これらに限定されるものではない。混練温度は、例えば、120〜250℃が好ましい。なお、外層3用の高密度ポリエチレンにはカーボンブラックを所定量添加して混錬機で混錬する。
次いで、混練した内層2用の高密度ポリエチレンと外層3用の高密度ポリエチレンとを用いて、押出成形で筒状の配管(パイプ)を製造する。これは、パイプ製造装置で行うことができる。例えば、ホッパーを2つ以上有するパイプ製造装置の各ホッパーに、前記した内層2用および外層3用の高密度ポリエチレン樹脂ペレットをそれぞれドライブレンドしながら供給し、押出機中で加熱溶融してダイスから円筒状に押し出し、冷却してパイプとする。
以下、高密度ポリエチレン配管1の製造方法の具体例を幾つか説明する。
例えば、チーグラー触媒を使用して高密度ポリエチレン(密度0.95g/cm、メルトフローレート0.5g/10分)を製造し、100質量部秤量する。これに、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(サンド社−テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバガイギー社製、商品名:Irganox 1010)0.05質量部を配合する。これをバンバリーミキサーで温度150℃、10分間混練してから造粒してペレットとする。このとき、前記した添加剤を添加したマスターバッチペレットと、カーボンブラックを添加したマスターバッチペレットとの2種類を作製する。添加剤を添加したマスターバッチペレットは高密度ポリエチレン配管1の内層2に使用し、カーボンブラックを添加したマスターバッチペレットを高密度ポリエチレン配管1の外層3に使用して、パイプ製造装置で高密度ポリエチレン配管1を製造する。
また、別の方法として、事前に、前記した添加剤を添加したマスターバッチペレットと高密度ポリエチレン樹脂ペレットとをペレット製造装置のホッパーに投入し、溶融混練する。得られた溶融樹脂組成物を多数の孔(直径3mm程度)が開けられているステンレス円盤を通過させ、水中に太い麺状に押し出し、円盤面に平行に設置された回転するナイフによって長さ3mm程度に切断し、高密度ポリエチレン配管ペレットとして貯蔵する。そして、例えば、一般的な高密度ポリエチレンパイプを製造するときに貯蔵しておいたペレットにカーボンブラックを添加し、前記と同様に混練して得られたペレットと、前記高密度ポリエチレン配管ペレットとをパイプ製造装置のホッパーに供給する。そして、押出機中で加熱溶融しつつ、ダイスから円筒状に押出して冷却することにより、高密度ポリエチレン配管1を製造する。
なお、前記した各ペレットを用いて高密度ポリエチレン配管1を成形するには、前記した各ペレットを例えば120〜250℃の温度で押出機からダイスを通して押し出し、サイジングを行った後に冷却水槽で冷却し、引取り機を通して切断または巻取る方法が挙げられる。得られる高密度ポリエチレン配管1は、内層2と外層3を有する多層パイプとなる。押出機としては、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機などが挙げられる。ダイスは、ストレートヘッドダイス、クロスヘッドダイス、オフセットダイスなどいずれのタイプのものも利用できる。サイジング方法は、サイジングプレート法、アウトサイドマンドレル法、サイジングボックス法、インサイドマンドレル法などのいずれの方法も利用できる。バンバリーミキサーで高密度ポリエチレンに前記した添加剤を混合する際は、例えば、温度180℃で10分間混練し、その後、造粒して高密度ポリエチレン配管ペレットとする。
別の方法としては、事前に、マスターバッチペレットまたは高密度ポリエチレン樹脂ペレットをペレット製造装置のホッパーに投入し、ここに一定の滴下速度で添加剤(オイル)を滴下する。なお、添加剤は、マイクロチューブポンプを用いることによって溶融混練中に滴下することができる。そして、得られた溶融樹脂組成物を多数の孔(直径3mm程度)が開けられているステンレス円盤を通過させ、水中に太い麺状に押し出し、円盤面に平行に設置された回転するナイフによって長さ3mm程度に切断して高密度ポリエチレン配管ペレットとしてもよい。なお、添加剤の滴下時は、添加剤を190℃以上の温度になるように加熱するのが好ましい。このようにして得られた添加剤を添加した高密度ポリエチレン配管ペレットと、カーボンブラックを添加して得られた高密度ポリエチレン配管ペレットとを用いてパイプ製造装置で内層2と外層3を有する高密度ポリエチレン配管1を製造する。
以下、実施例により本発明に係る高密度ポリエチレン配管についてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例においては、添加剤を変えた試験片を作製し、引張破断伸びを評価した。以下に、本実施例の試験片の作製方法について説明する。なお、添加剤は、ナフテンを含有するオイルとアロマティクスを含有するオイルとを用いた。
本実施例においては、基材として高密度ポリエチレンを用いた。高密度ポリエチレンは、チーグラー触媒を使用して製造されたものであり、密度が0.910g/cm以上0.970g/cm以下の範囲にある任意のもの(当該密度について、例えば、図6など参照)を用いた。
そして、原油を精製した際に生じるオイルのうちn−d−M法による環分析の%Cが0〜100の間の任意の濃度(当該濃度について、例えば、図2など参照)でナフテンを含有するオイルを前記基材に混合した。混合する際、バンバリーミキサーを用いて温度180℃で10分間混練してから造粒し、高密度ポリエチレン配管ペレットとした。
同様に、原油を精製した際に生じるオイルのうちn−d−M法による環分析の%Cが0〜100の間の任意の濃度(当該濃度について、例えば、図3など参照)でアロマティクスを含有するオイルを前記基材に混合した。この際、バンバリーミキサーを用いて温度180℃で10分間混練してから造粒し、高密度ポリエチレン配管ペレットとした。
さらに外層用には、基材にカーボンブラックを混合した。この際、バンバリーミキサーを用いて温度180℃で10分間混練してから造粒し、高密度ポリエチレン配管ペレットとした。
造粒した各高密度ポリエチレン配管ペレットを射出成形機に供給し、外層3と、所定のナフテンを含有するオイルまたは所定のアロマティクスを含有するオイルを添加した内層2と、を有する多層管(高密度ポリエチレン配管1)を製造した(図1参照)。なお、外層3は黒色を呈しており、内層2はいずれも黄色を呈していた。
そして、製造した高密度ポリエチレン配管から、日本工業規格(Japanese Industrial Standards)JIS K 7162に記載されている1B形のダンベル形状の試験片を作製した。
当該試験片に対し、次の(1)、(2)の処理を行った。
(1)JIS K 6761に記載されている耐候性試験に従い、暴露期間が積算放射照度3.5GJ/mである照射を行った。なお、JIS K 6761に記載されている通り、ISO16871に従って行った。
(2)次いで、60Co線源から放出されるγ線を1kGy/hの線量率で試験片に照射した。吸収線量は500kGyとした。
前記処理を行った試験片に対して引張試験を行い、破断時の伸びを算出した。また、前記処理を行った試験片に対して環境応力き裂試験を行い、き裂が発生するまでの時間を測定した。引張試験および環境応力き裂試験は次のようにして行った。
<引張試験>
引張試験は、日本水道協会規格「水道配水用ポリエチレン管 JWWA K 144」に準拠して行った。試験機は、最大の引張力を指示する装置を備え、ダンベル状の試験片を締めるつかみ具を備えるJIS B 7721に記載の装置を使用した。ダンベル試験片の厚さと平行部の幅を測定し、さらに伸び測定用の標線を平行部分の中心部に付けた後に、500mm/minで引張試験機を用いて室温で引張試験を行った。標線間距離は50mmとした。引張試験では、破断時の伸びを測定した。破断時の伸びは、試験片が破断に至るまでの標線間の長さを測定した。試験片の破断時の伸びは、下記計算式(1)によって算出した。
EB=(L1−L0)/L0×100 …計算式(1)
前記計算式(1)において、EBは破断時の伸び(%)、L0は標線間距離(mm)、L1は破断時の標線間距離(mm)をそれぞれ示している。
<環境応力き裂試験>
環境応力き裂試験は、日本水道協会規格「水道配水用ポリエチレン管 JWWA K 144」に準拠して行った。試験片は、前記(1)、(2)の処理を行った製造した高密度ポリエチレン配管から、長さ38mm、幅13mm、厚み2mmの短冊状で、深さ0.3mm、長さ19.1mmのノッチを設けたものを作製した。そして、硬質ガラス製試験管(栓付)に50℃のノニル・フェニル・ポリオキシエチレン・エタノール10質量%水溶液を入れ、ステンレス鋼で作製された試験片固定具に試験片5個を固定して浸漬した。そして、浸漬後の試験片の外観を目視によって観察し、き裂の発生した時間を調べた。
図2は、内層の基材として、密度が0.950g/cmの高密度ポリエチレンを用い、内層に含有する添加剤として、原油を精製した際に生じるオイルのうちn−d−M法による環分析の%Cが0〜100の間の任意の濃度のオイルを用いた試験片について、破断時の伸びを測定した結果を示している。つまり、図2は、添加剤として含有されるオイルの%Cの濃度と、破断時の伸びとの関係を示すグラフである。なお、添加剤であるオイルの添加量は5質量部であり、外層にはカーボンブラックを2質量%添加した。内層の厚みと外層厚みの比率は5:1とした。積算放射照度3.5GJ/mおよびγ線吸収線量500kGyの処理を行った後に引張試験を実施した。図2中、横軸が原油のうちn−d−M法による環分析の%C(%)、縦軸が引張試験の破断時の伸び(%)を示す。
図2に示すように、添加剤として、n−d−M法による環分析の%Cが20〜60のオイルを添加すると、破断時の伸びが大きくなり、良好な結果が得られることが確認された。
図3は、添加剤として、原油を精製した際に生じるオイルのうちn−d−M法による環分析の%Cが0〜100の間の任意の濃度のオイルを用いた試験片である以外は、図2に示す例と同様にして行った破断時の伸びを測定した結果を示している。つまり、図3は、添加剤として含有されるオイルの%Cの濃度と、破断時の伸びとの関係を示すグラフである。図3中、横軸が原油のうちn−d−M法による環分析の%C(%)、縦軸が引張試験の破断時の伸び(%)を示す。
図3に示すように、添加剤として、n−d−M法による環分析の%Cが5〜40のオイルを添加すると、破断時の伸びが大きくなり、良好な結果が得られることが確認された。
図4は、内層の基材として、密度が0.950g/cmの高密度ポリエチレンを用い、内層に含有する添加剤として、原油を精製した際に生じるオイルのうちn−d−M法による環分析の%Cが0〜100の間の任意の濃度のオイルを用いた試験片について、環境応力き裂試験におけるき裂までの時間を測定した結果を示している。つまり、図4は、添加剤として含有されるオイルの%Cの濃度と、環境応力き裂試験におけるき裂までの時間との関係を示すグラフである。なお、添加剤であるオイルの添加量は5質量部であり、外層にはカーボンブラックを2質量%添加した。内層の厚みと外層厚みの比率は5:1とした。積算放射照度3.5GJ/mおよびγ線吸収線量500kGyの処理を行った後に環境応力き裂試験を実施した。図4中、横軸が原油のうちn−d−M法による環分析の%C(%)、縦軸が環境応力き裂試験におけるき裂までの時間(h)を示す。
図4に示すように、添加剤として、n−d−M法による環分析の%Cが20〜60のオイルを添加すると、き裂までの時間が長くなり、良好な結果が得られることが確認された。
図5は、添加剤として、原油を精製した際に生じるオイルのうちn−d−M法による環分析の%Cが0〜100の間の任意の濃度のオイルを用いた試験片である以外は、図4に示す例と同様にして行った環境応力き裂試験におけるき裂までの時間を測定した結果を示している。つまり、図5は、添加剤として含有されるオイルの%Cの濃度と、環境応力き裂試験におけるき裂までの時間との関係を示すグラフである。図5中、横軸が原油のうちn−d−M法による環分析の%C(%)、縦軸が環境応力き裂試験におけるき裂までの時間(h)を示す。
図5に示すように、添加剤として、n−d−M法による環分析の%Cが5〜40のオイルを添加すると、き裂までの時間が長くなり、良好な結果が得られることが確認された。
図6は、内層の基材として、密度が0.910〜0.970g/cmの間の任意の密度の高密度ポリエチレンを用い、内層に含有する添加剤として、原油を精製した際に生じるオイルのうちn−d−M法による環分析の%Cが40のオイルを用いた試験片について、破断時の伸びを測定した結果を示している。つまり、図6は、ポリエチレン密度と、破断時の伸びとの関係を示すグラフである。なお、添加剤であるオイルの添加量は5質量部であり、外層にはカーボンブラックを2質量%添加した。内層の厚みと外層厚みの比率は5:1とした。積算放射照度3.5GJ/mおよびγ線吸収線量500kGyの処理を行った後に引張試験を実施した。図6中、横軸がポリエチレン密度(g/cm)、縦軸が引張試験の破断時の伸び(%)を示す。
図6に示すように、高密度ポリエチレンの密度が0.940〜0.970g/cmであると、破断時の伸びが大きくなり、良好な結果が得られることが確認された。
図7は、内層の基材として、密度が0.950g/cmの高密度ポリエチレンを用い、内層に含有する添加剤として、原油を精製した際に生じるオイルのうちn−d−M法による環分析の%Cが40のオイルを用いた試験片について、環境応力き裂試験におけるき裂までの時間を測定した結果を示している。ここで、添加剤であるオイルの含有量は、ポリエチレンの含有量を100質量部とした場合に0〜15質量部の間の任意の量としている。つまり、図7は、添加剤の含有量と、環境応力き裂試験におけるき裂までの時間との関係を示すグラフである。なお、外層にはカーボンブラックを2質量%添加した。内層の厚みと外層厚みの比率は5:1とした。積算放射照度3.5GJ/mおよびγ線吸収線量500kGyの処理を行った後に環境応力き裂試験を実施した。図7中、横軸が添加剤の含有量(質量部)、縦軸が環境応力き裂試験におけるき裂までの時間(h)を示す。
図7に示すように、添加剤の含有量が、ポリエチレンの含有量を100質量部とした場合に1〜8質量部の範囲にあると、き裂までの時間が長くなり、良好な結果が得られることが確認された。なお、添加剤の含有量が、ポリエチレンの含有量を100質量部とした場合に1〜7質量部の範囲にあると、き裂までの時間がより長くなり、より良好な結果が得られることが確認された。
<アイゾット衝撃試験>
また、低温における耐衝撃性を調べるため、原油を精製した際に生じるオイルのうちn−d−M法による環分析の%Cが0〜100の間の任意の濃度のオイルを用いた試験片を用いてアイゾット衝撃試験を行った。なお、内層の基材として、密度が0.950g/cmの高密度ポリエチレンを用いた。添加剤であるオイルの添加量は5質量部であり、外層にはカーボンブラックを2質量%添加した。内層の厚みと外層厚みの比率は5:1とした。積算放射照度3.5GJ/mおよびγ線吸収線量500kGyの処理を行った後にアイゾット衝撃試験を行った。
アイゾット衝撃試験は、プラスチック−アイゾット衝撃強さの試験方法−JIS K 7110に準拠して行った。ただし、試験片の温度については−10℃の低温側を測定した。試験片のサイズは80mm×10mm×4mmで、半径0.25mmのタイプAノッチを設けた。オーブンで一定温度に保持した試験片を試験支持台に固定した。振り子はノッチの付いた面を打撃した。試験温度は−10℃であった。アイゾット衝撃値はkJ/mの単位で示す。
図8は、添加剤として含有されるオイルの%Cの濃度と、アイゾット衝撃値(−10℃衝撃値)との関係を示すグラフである。図8中、横軸が原油のうちn−d−M法による環分析の%C(%)、縦軸が−10℃衝撃値(kJ/m)を示す。
図8に示すように、添加剤として、n−d−M法による環分析の%Cが5〜40のオイルを添加すると、−10℃衝撃値が大きくなり、良好な結果が得られることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、紫外線と放射線の両方の負荷がかかる環境で使用した場合であっても脆性破壊割れや環境応力き裂を起こし難い長寿命の高密度ポリエチレン配管を提供することができることが実証された。また、本発明によれば、低温における脆性破壊も起こし難い長寿命の高密度ポリエチレン配管を提供することができることが実証された。
また、本発明によれば、紫外線と放射線の複合作用によって過度に劣化することなく、目に見えない微小な欠陥が存在しても、そこに応力が集中して脆性破壊割れや応力き裂を引き起こすことがなく、また、十分な伸びや衝撃強度を有する配管を提供できる。さらに詳しく言えば、高密度ポリエチレン配管に紫外線や放射線がともに作用する屋外敷設環境においても、破断伸び、耐環境応力き裂性、衝撃特性等が低下する問題を解決することができる。したがって、屋外の放射性物質を含む流体輸送に主として使用する配管に使用する場合において、脆性破壊割れや応力き裂に対する耐性を高めることができる。
以上、本発明に係る高密度ポリエチレン配管について実施形態および実施例により詳細に説明したが、本発明は前記した実施形態および実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態および実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、それぞれの実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1 高密度ポリエチレン配管
2 内層
3 外層

Claims (4)

  1. 内部を流体が通流する内層、および前記内層の外側を覆うとともにカーボンブラックを1〜3質量%含有する外層の少なくとも2層を有し、
    前記内層および前記外層はともに密度が0.940g/cm以上0.980g/cm以下のポリエチレンを含む基材で形成されており、
    少なくとも前記内層は、原油を精製した際に生じるオイルのうちn−d−M法による環分析の%Cが20以上60以下のナフテンを含有するオイル、および原油を精製した際に生じるオイルのうちn−d−M法による環分析の%Cが5以上40以下のアロマティクスを含有するオイルのうちの少なくとも一方を添加剤として含んでおり、
    前記添加剤の含有量が、前記ポリエチレンの含有量を100質量部としたときに1〜8質量部であ
    ことを特徴とする高密度ポリエチレン配管。
  2. 前記内層が黄色、前記外層が黒色であることを特徴とする請求項1に記載の高密度ポリエチレン配管。
  3. 前記内層の厚みと前記外層の厚みとの比率が、1:1〜15:1であることを特徴とする請求項1または請求項に記載の高密度ポリエチレン配管。
  4. 放射性物質を含む流体を輸送するために一部または全部が屋外で使用されることを特徴とする請求項1から請求項のうちのいずれか一項に記載の高密度ポリエチレン配管。
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