JP2016203839A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1は、遊星歯車機構と第1モータジェネレータ、第2モータジェネレータとを用いた動力出力装置において、エンジンのトルクが変動しても運転者の要求する駆動軸トルクを出力できるようにするために、第1モータジェネレータのトルクに基づいて、第1モータジェネレータのトルクにより駆動軸に現れる反力トルクを算出し、運転者が要求する駆動軸トルクに対する過不足分のトルクを第2モータジェネレータにより出力するようにしている。
そのため、差動回転速度が0となる状態を境にして実際に発生する反力トルクに段差が生じ、駆動軸トルクに段差が発生するという問題がある。
これらの要因により、第1モータジェネレータの回転速度が駆動軸の回転速度よりも高い場合、駆動軸に出力されるトルクは、運転者の要求より大きくなる。
これらの要因により、第1モータジェネレータの回転速度が駆動軸の回転速度よりも低い場合、駆動軸に出力されるトルクは、運転者の要求より小さくなる。
エンジン2は、アクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量)に対応して吸入する空気量を調整するスロットルバルブ等の空気量調整手段7と、吸入する空気量に対応する燃料を供給する燃料噴射弁等の燃料供給手段8と、燃料に着火する点火装置等の着火手段9とを備えている。空気量調整手段7と燃料供給手段8と着火手段9とは、エンジン制御部10に接続される。エンジン制御部10は、空気量調整手段7と燃料供給手段8と着火手段9とにより燃料の燃焼状態を制御し、燃料の燃焼によりエンジン2に駆動力を発生させて出力軸11に出力する。
第1モータジェネレータ3は、第1モータロータ軸12と第1モータロータ13と第1モータステータ14とを備える。第2モータジェネレータ4は、第2モータロータ軸15と第2モータロータ16と第2モータステータ17とを備える。第1モータジェネレータ3の第1モータステータ14は、第1インバータ18に接続される。第2モータジェネレータ4の第2モータステータ17は、第2インバータ19に接続される。
第1インバータ18と第2インバータ19との電源端子は、バッテリ20に接続される。バッテリ20は、第1モータジェネレータ3と第2モータジェネレータ4との間で電力のやり取りが可能な蓄電手段である。バッテリ20は、バッテリ電圧やバッテリ電流などのバッテリ状態を検出するバッテリ検出部21に接続される。第1モータジェネレータ3と第2モータジェネレータ4とは、それぞれ第1インバータ18と第2インバータ19とによりバッテリ20から供給される電気量を制御され、供給される電気により駆動力を発生するとともに、回生時の駆動輪による駆動で電気エネルギを発生し、発生した電気エネルギをバッテリ20に充電する。
遊星歯車機構5のサンギア22には、第1モータジェネレータ3の第1モータロータ軸12を接続している。遊星歯車機構5のプラネタリキャリア24は、エンジン2の出力軸11に接続している。遊星歯車機構5のリングギア25は、駆動軸6に接続するとともに、第2モータジェネレータ4の第2モータロータ軸15を接続している。
遊星歯車機構5は、図6に示すように、3つの回転要素を設定している。なお、図6の記載において、「MG1」は第1モータジェネレータ3、「MG2」は第2モータジェネレータ4、「PG」は遊星歯車機構5、「Zs」はサンギア22の歯数、「Zr」はリングギア25の歯数、をそれぞれ示している。
遊星歯車機構5は、3つの回転要素の回転速度を直線で表すことができる共線図上において、3つの回転要素を一端(図6の左側)から他端(図6の右側)に向かって順番に、第1の回転要素(第1モータロータ軸12に接続されたサンギア22)、第2の回転要素(エンジン2の出力軸11に接続されたプラネタリキャリア24)、第3の回転要素(駆動軸6及び第2モータロータ軸15に接続されたリングギア25)、として設定している。
これにより、遊星歯車機構5は、エンジン2の出力軸11、第1モータジェネレータ3、第2モータジェネレータ4、及び駆動軸6にそれぞれ連結された3つの回転要素(サンギア22、プラネタリキャリア24、リングギア25)を有し、エンジン2の出力軸11、第1モータジェネレータ3、第2モータジェネレータ4、及び駆動軸6との間で動力の授受を行う。
エンジン制御部10と第1インバータ18と第2インバータ19とは、受信したトルク指令値に従って、エンジン2と第1モータジェネレータ3と第2モータジェネレータ4とを制御する。このとき、トルク制御手段27は、エンジン2と第1モータジェネレータ3との合成トルクに基づいて、駆動軸6に直結した第2モータジェネレータ4の出力トルクを制御する。
これにより、ハイブリッド車両1の制御装置26は、エンジン2と第1モータジェネレータ3と第2モータジェネレータ4とが発生する動力を、遊星歯車機構5を介して駆動軸6に出力し、駆動輪を駆動する。また、ハイブリッド車両1の制御装置26は、駆動輪からの駆動力を、遊星歯車機構5を介して第1モータジェネレータ3と第2モータジェネレータ4とに伝達し、電気エネルギを発生してバッテリ20を充電する。
ハイブリッド車両1の制御装置26は、遊星歯車機構5の損失トルク割合を算出する算出手段28をトルク制御手段27に備える。トルク制御手段27は、算出手段28により算出された遊星歯車機構5の損失トルク割合に応じて第2モータジェネレータ4の出力トルクを補正する。
なお、図2〜図6の記載において、「MG1」は第1モータジェネレータ3、「MG2」は第2モータジェネレータ4、「PG」は遊星歯車機構5、「Zs」はサンギア22の歯数、「Zr」はリングギア25の歯数、をそれぞれ示している。
制御装置26は、トルク制御手段27によって、(P101)で算出した損失トルク割合と第1モータジェネレータ2の出力トルクとに基づき駆動軸6の反力トルクを算出し(P102)、アクセル開度から求めた運転者要求駆動力トルクから(P102)で算出した反力トルクを減算して第2モータジェネレータ4のトルク指令値を算出し(P103)、算出したトルク指令値を第2インバータ19に送信し、第2モータジェネレータ4の出力トルクを制御する。
これにより、制御装置26は、遊星歯車機構5の損失トルク割合に応じて第2モータジェネレータ4の出力トルクを補正する。
検索テーブルによる検索において、第1モータジェネレータ3の回転速度が第2モータジェネレータ3の回転速度よりも高い場合には、遊星歯車機構5の損失トルクにより駆動軸6に現れる反力トルクが大きくなるので、検索テーブルの値は正の値とする。反対に、検索において、第2モータジェネレータ4の回転速度が第1モータジェネレータ3の回転速度よりも高い場合には、駆動軸6の反力トルクが小さくなるので、検索テーブルの値は負の値と定義する。
制御装置26は、第1モータジェネレータ3のトルクと遊星歯車機構5のギア比(リングギア25の歯数/サンギア22の歯数)とを乗算して得たトルク(損失トルクが無い場合の反力トルク)に、(S103)で算出した遊星歯車機構5の損失トルク割合に第1モータジェネレータ3のトルクの絶対値と遊星歯車機構5のギア比(リングギア25の歯数/サンギア22の歯数)から駆動軸6に現れる損失トルクとを乗算して得たトルクを加算し、反力トルクを算出する(S104)。
制御装置26は、運転者要求駆動軸トルクから(S104)で算出した反力トルクを減算して第2モータジェネレータ4のトルク指令値を算出し(S105)、各種信号の取り込み(S101)にリターンする(S106)。制御装置26は、算出したトルク指令値を第2インバータ19に送信し、第2モータジェネレータ4の出力トルクを制御する。これにより、制御装置26は、遊星歯車機構5の損失トルク割合に応じて第2モータジェネレータ4の出力トルクを補正する。
これら図5・図6を用いて、遊星歯車機構5の損失トルクにより駆動軸6のトルクが変動する理由を説明する。
一方、実際の反力トルクは、遊星歯車機構5の損失トルクにより損失トルクが無い場合よりも大きな値となる。その結果、従来では、駆動軸トルクが大きくなってしまう(図5の(1d))。本案では、この場合、遊星歯車機構5の損失トルク割合により反力トルクが大きくなるように補正されるので(図6の(1e))、第2モータジェネレータ4のトルク指令値は小さくなる(図5の(1f))。その結果、駆動軸トルクは、遊星歯車機構6の損失トルクが無い場合のトルク、すなわち運転者の要求する駆動軸トルクに近づけることができる(図5の(1g))。
一方、実際の反力トルクは、遊星歯車機構5の損失トルクにより損失トルクが無い場合よりも小さな値となる。その結果、従来では、駆動軸トルクが小さくなってしまう(図5の(2d))。本案では、この場合、遊星歯車機構5の損失トルク割合により反力トルクが小さくなるように補正されるので(図6の(2e))、第2モータジェネレータ4のトルク指令値は大きくなる(図5の(2f))。その結果、駆動軸トルクは、遊星歯車機構5の損失トルクが無い場合のトルク、すなわち運転者の要求する駆動軸トルクに近づけることができる(図5の(2g))。
エンジン102は、アクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量)に対応して吸入する空気量を調整するスロットルバルブ等の空気量調整手段108と、吸入する空気量に対応する燃料を供給する燃料噴射弁等の燃料供給手段109と、燃料に着火する点火装置等の着火手段110とを備えている。空気量調整手段108と燃料供給手段109と着火手段110とは、エンジン制御部111に接続される。エンジン制御部111は、空気量調整手段108と燃料供給手段109と着火手段110とにより燃料の燃焼状態を制御し、燃料の燃焼によりエンジン102に駆動力を発生させて出力軸112に出力する。
第1モータジェネレータ103は、第1モータロータ軸113と第1モータロータ114と第1モータステータ115とを備える。第2モータジェネレータ104は、第2モータロータ軸116と第2モータロータ117と第2モータステータ118とを備える。第1モータジェネレータ104の第1モータステータ115は、第1インバータ119に接続される。第2モータジェネレータ104の第2モータステータ118は、第2インバータ120に接続される。
第1インバータ119と第2インバータ120との電源端子は、バッテリ121に接続される。バッテリ121は、第1モータジェネレータ103と第2モータジェネレータ104との間で電力のやり取りが可能な蓄電手段である。バッテリ121は、バッテリ電圧やバッテリ電流などのバッテリ状態を検出するバッテリ検出部122に接続される。第1モータジェネレータ103と第2モータジェネレータ104とは、それぞれ第1インバータ119と第2インバータ120とによりバッテリ121から供給される電気量を制御され、供給される電気により駆動力を発生するとともに、回生時の駆動輪による駆動で電気エネルギを発生し、発生した電気エネルギをバッテリ121に充電する。
第1遊星歯車機構105は、エンジン102に近い側に配置される。第2遊星歯車機構106は、第1遊星歯車機構105のエンジン102から離れる側に配置される。第1遊星歯車機構105と第2遊星歯車機構106とは、各回転要素の回転中心線を同一軸上に配置している。エンジン102と第1遊星歯車機構105との間には、第1モータジェネレータ103を配置している。第2遊星歯車機構106のエンジン102から離れる側には、第2モータジェネレータ104を配置している。
第1遊星歯車機構105の第1サンギア123には、第1モータジェネレータ103の第1モータロータ軸113を接続している。第1遊星歯車機構105の第1プラネタリキャリア125と第2遊星歯車機構106の第2サンギア127とは、結合してエンジン2の出力軸112に接続している。第1遊星歯車機構105の第1リングギア126と第2遊星歯車機構106の第2プラネタリキャリア129とは、結合して駆動軸107に接続している。第2遊星歯車機構106の第2リングギア130には、第2モータジェネレータ104の第2モータロータ軸116を接続している。
第1遊星歯車機構105と第2遊星歯車機構106とは、図13に示すように、4つの回転要素を設定している。なお、図13の記載において、「MG1」は第1モータジェネレータ103、「MG2」は第2モータジェネレータ104、「PG」は第1遊星歯車機構105及び第2遊星歯車機構106を合わせたもの、をそれぞれ示している。
第1遊星歯車機構105と第2遊星歯車機構106とは、4つの回転要素の回転速度を直線で表すことができる共線図上において、4つの回転要素を一端(図13の左側)から他端(図13の右側)に向かって順番に、第1の回転要素(第1モータロータ軸113に接続された第1サンギア123)、第2の回転要素(エンジン2の出力軸112に接続された第1プラネタリキャリア125及び第2サンギア127)、第3の回転要素(駆動軸107に接続された第1リングギア126及び第2プラネタリキャリア129)、第4の回転要素(第2モータロータ軸116に接続された第2リングギア130)、として設定している。
これにより、第1遊星歯車機構105と第2遊星歯車機構106とは、エンジン102の出力軸112、第1モータジェネレータ103、第2モータジェネレータ104、及び駆動軸107にそれぞれ連結された4つの回転要素を有し、エンジン102の出力軸112、第1モータジェネレータ103、第2モータジェネレータ104、及び駆動軸107との間で動力の授受を行う。
エンジン制御部111と第1インバータ119と第2インバータ120とは、受信したトルク指令値に従って、エンジン102と第1モータジェネレータ103と第2モータジェネレータ104とを制御する。このとき、トルク制御手段132は、エンジン102のトルクに基づいて第1モータジェネレータ103及び第2モータジェネレータ104の出力トルクを制御する。
これにより、ハイブリッド車両101の制御装置131は、エンジン102と第1モータジェネレータ103と第2モータジェネレータ104とが発生する動力を、第1遊星歯車機構105及び第2遊星歯車機構106を介して駆動軸107に出力し、駆動輪を駆動する。また、ハイブリッド車両101の制御装置131は、駆動輪からの駆動力を、第1遊星歯車機構105及び第2遊星歯車機構106を介して第1モータジェネレータ103と第2モータジェネレータ104とに伝達し、電気エネルギを発生してバッテリ121を充電する。
ハイブリッド車両101の制御装置131は、第1遊星歯車機構105及び第2遊星歯車機構106の損失トルクを算出する算出手段133をトルク制御手段132に備える。トルク制御手段132は、算出手段133により算出された第1遊星歯車機構105及び第2遊星歯車機構106の損失トルクに応じて第1モータジェネレータ103と第2モータジェネレータ104との出力トルクを補正する。
なお、図8〜図13の記載において、「MG1」は第1モータジェネレータ103、「MG2」は第2モータジェネレータ104、「PG1」は第1遊星歯車機構105、「PG2」は第2遊星歯車機構106、「PG」は第1遊星歯車機構105及び第2遊星歯車機構106を合わせたもの、「Zs1」は第1サンギア123の歯数、「Zr1」は第1リングギア126の歯数、「Zs2」は第2サンギア127の歯数、「Zr2」は第2リングギア130の歯数、「FB」はフィードバック、をそれぞれ示している。
制御装置131は、トルク制御手段132によって、第1モータジェネレータ103の基本トルクに(P201)で算出した第1モータジェネレータ103の回転速度フィードバック補正トルクを加算して第1モータジェネレータ103の回転速度フィードバック補正後トルクを算出し(P203)、第2モータジェネレータ104の基本トルクに(P202)で算出した第2モータジェネレータ104の回転速度フィードバック補正トルクを加算して第2モータジェネレータ104の回転速度フィードバック補正後トルクを算出する(P204)。
また、制御装置131は、算出手段133によって、第1モータジェネレータ103の回転速度と第2モータジェネレータ104の回転速度との差動回転速度を算出し(P205)、算出した差動回転速度に基づき第1遊星歯車機構105の損失トルク割合を算出し(P206)、算出した差動回転速度に基づき第2遊星歯車機構106の損失トルク割合を算出する(P207)。
制御装置131は、算出手段133によって、(P206)で算出した第1遊星歯車機構105の損失トルク割合と(P203)で算出した第1モータジェネレータ103の回転速度フィードバック補正後トルクとに基づいて第1遊星歯車機構105の損失トルクを算出し(P208)、(P207)で算出した第2遊星歯車機構106の損失トルク割合と(P204)で算出した第2モータジェネレータ104の回転速度フィードバック補正後トルクとに基づいて第2遊星歯車機構106の損失トルクを算出し(P209)、(P208)で算出した第1遊星歯車機構105の損失トルクと(P209)で算出した第2遊星歯車機構106の損失トルクとを合算して遊星歯車機構損失トルクを算出する(P210)。
制御装置131は、トルク制御手段132によって、(P203)で算出した第1モータジェネレータ103の回転速度フィードバック補正後トルクに(P211)で算出した第1モータジェネレータ103の遊星歯車機構損失補正トルクを加算して第1モータジェネレータ103のトルク指令値を算出し(P213)、算出したトルク指令値を第1インバータ119に送信し、第1モータジェネレータ103の出力トルクを制御する。
制御装置131は、トルク制御手段132によって、(P204)で算出した第2モータジェネレータ104の回転速度フィードバック補正後トルクに(P212)で算出した第2モータジェネレータ104の遊星歯車機構損失補正トルクを加算して第2モータジェネレータ104のトルク指令値を算出し(P214)、算出したトルク指令値を第2インバータ120に送信し、第2モータジェネレータ104の出力トルクを制御する。
これにより、制御装置131は、算出手段133により算出された第1遊星歯車機構105及び第2遊星歯車機構106の損失トルクに応じて第1モータジェネレータ103と第2モータジェネレータ104との出力トルクを補正する。
制御装置131は、取り込んだ各種信号から、エンジントルク指令値、運転者要求駆動軸トルク等に基づき第1モータジェネレータ103の基本トルク、第2モータジェネレータ104の基本トルクを算出する(S202)。ここで、基本トルクとは、エンジントルク指令値どおりにエンジン102がトルクを出力した場合に第1モータジェネレータ103と第2モータジェネレータ104とが釣り合うことができるトルクである。
実際には、実エンジントルクがエンジントルク指令値と一致することはほとんど無く、その場合にはトルクが釣り合わないのでエンジン回転速度が変化し続けてしまう。また、実エンジン回転速度を目標エンジン回転速度に追従させる必要があるので、回転速度フィードバツクによる補正が必要になる。また、実エンジントルクがエンジントルク指令値と異なる場合には、駆動軸トルクが運転者の要求する駆動軸トルクからずれてしまう。
そのため、制御装置131は、(S203)、(S204)において、実エンジン回転速度を目標エンジン回転速度に近づけるとともに、駆動軸107のトルクを運転者要求駆動軸トルクに近づけるように、第1モータジェネレータ103、第2モータジェネレータ104の各回転速度フィードバック補正トルクを算出し、算出した各回転速度フィードバック補正トルクにより第1モータジェネレータ103、第2モータジェネレータ104の各基本トルクを補正する。
具体的には、エンジン102の出力軸112に作用させたい第1モータジェネレータ103、第2モータジェネレータ104の各回転速度フィードバック補正トルクを、第1遊星歯車機構105、第2遊星歯車機構106の各ギア比に応じた以下の式1で示す割合で第1モータジェネレータ103、第2モータジェネレータ104に分担させて算出する。
*MG1回転速度FB補正トルク:MG2回転速度FB補正トルク=1+Zs2/Zr2:Zr1/Zs1・・・・・・式1
これより、制御装置131は、実エンジン回転速度と目標エンジン回転速度との差から、第1モータジェネレータ103の回転速度フィードバック補正トルクを算出し、第2モータジェネレータ104の回転速度フィードバック補正トルクとを算出し(S203)、第1モータジェネレータ103の基本トルクに第1モータジェネレータ103の回転速度フィードバック補正トルクを加算して第1モータジェネレータ103の回転速度フィードバック補正後トルクを算出し、第2モータジェネレータ104の基本トルクに第2モータジェネレータ104の回転速度フィードバック補正トルクを加算して第2モータジェネレータ104の回転速度フィードバック補正後トルクを算出する(S204)。
図10に示す検索テーブルの値は、第1モータジェネレータ103が接続された第1遊星歯車機構105の回転要素(第1サンギア23)に現れる損失トルクの割合として定義された値であり、差動回転速度の正負によりその符号が反転する。本案では、第1モータジェネレータ103の回転速度から第2モータジェネレータ104の回転速度を減算した値を差動回転速度と定義している。
第1モータジェネレータ103の回転速度が第2モータジェネレータ104の回転速度よりも高い場合には、第1モータジェネレータ103の回転速度を引き下げる向きに損失トルクが発生し、駆動軸107には回転速度を引き上げる向きに損失トルクが発生する。従って、この場合は、駆動軸107のトルクを増加させる損失トルクなので、トルク損失割合は正の値とする。反対に、第1モータジェネレータ103の回転速度が第2モータジェネレータ104の回転速度よりも低い場合には、駆動軸107のトルクを減少させる損失トルクなので、損失トルク割合は負の値とする。
また、第2モータジェネレータ104の損失トルク割合を示す図11においても、図10と同様に差動回転速度を定義している。第1モータジェネレータ103の回転速度が第2モータジェネレータ104の回転速度よりも高い場合には、第2モータジェネレータ104の回転速度を引き上げる向きにトルク損失が発生し、駆動軸107には回転速度を引き上げる向きに損失トルクが発生する。従って、この場合は、駆動軸107のトルクを増加させる損失トルクなので、損失トルク割合は第1モータジェネレータ103と同様に正の値とする。反対に、第1モータジェネレータ103の回転速度が第2モータジェネレータ104よりも低い場合には、駆動軸107のトルクを減少させる損失トルクなので、損失トルク割合は第1モータジェネレータ103と同様に負の植とする。
制御装置131は、(S208)において、(S207)で算出した遊星歯車機構損失トルクをエンジン102の出力軸112にトルクが影響しないように第1モータジェネレータ103と第2モータジェネレータ104とに分担させて補正できるように、第1遊星歯車機構105、第2遊星歯車機構106の各ギア比で定まる比を用いて計算を行い、第1モータジェネレータ103の遊星歯車機構損失補正トルクと第2モータジェネレータ104の遊星歯車機構損失補正とを算出する。
そして、制御装置131は、(S209)において、第1モータジェネレータ103の回転速度フィードバック補正後トルクに遊星歯車機構損失補正トルクを加算して、最終的な第1モータジェネレータ103のトルク指令値を算出し、また、第2モータジェネレータ104の回転速度フィードバック補正後トルクに遊星歯車機構損失補正トルクを加算して、最終的な第2モータジェネレータ104のトルク指令値を算出する。制御装置131は、第1モータジェネレータ103、第モータジェネレータ104の各トルク指令値を算出(S209)した後、各種信号の取り込み(S201)にリターンする(S210)。
制御装置131は、算出したトルク指令値を第1インバータ119、第2インバータ120に送信し、第1モータジェネレータ103、第2モータジェネレータ104の出力トルクを制御する。これにより、制御装置131は、第1遊星歯車機構105、第2遊星歯車機構106の損失トルクに応じて第1モータジェネレータ103、第2モータジェネレータ4の出力トルクを補正する。
これら図12、図13を用いて、第1遊星歯車機構105、第2遊星歯車機構106の損失トルクにより駆動軸107のトルクが変動する理由を説明する。
一方、第1モータジェネレータ103、第2モータジェネレータ104により駆動軸107に現れるトルクは、第1遊星歯車機構105、第2遊星歯車機構106の損失トルクにより損失トルクが無い場合より大きな値となる。図13の共線図では、第1遊星歯車機構105、第2遊星歯車機構106の回転要素を正転方向又は前進方向に回転速度を上昇させるトルクを上向きの矢印で現しているため、前進駆動方向の駆動軸トルクは下向きの矢印となる。その結果、従来では、駆動軸トルクが大きくなってしまう(図12の線Xよりも左側のMG1>MG2の領域の(1a)、図13の(1a))。
本案では、この場合、第1遊星歯車機構105、第2遊星歯車機構106の損失トルクにより駆動軸107に現れるトルクを正の値(車両を加速する側)として算出し、このトルクを相殺するように第1モータジェネレータ103と第2モータジェネレータ104のトルクを負方向に補正するので、第1モータジェネレータ103のトルク指令値(図12の(1b))及び第2モータジェネレータ104のトルク指令値(図12の(1c))は小さくなる。その結果、駆動軸トルクは、遊星歯車機構損失トルクが無い場合のトルク、すなわち運転者の要求する駆動軸トルクに近づけることができる(図12の(1d))。
一方、第1モータジェネレータ103、第2モータジェネレータ104により駆動軸107に現れるトルクは、第1遊星歯車機構105、第2遊星歯車機構106の損失トルクにより損失トルクが無い場合より小さな値となる。図13の共線図では、第1遊星歯車機構105、第2遊星歯車機構106の回転要素を正転方向又は前進方向に回転速度を上昇させるトルクを上向きの矢印で現しているため、前進駆動方向の駆動軸トルクは下向きの矢印となる。その結果、従来では、駆動軸トルクが小さくなってしまう(図12の線Xよりも右側のMG1<MG2の領域の(2a)、図13の(2a))。
本案では、この場合、第1遊星歯車機構105、第2遊星歯車機構106の損失トルクにより駆動軸107に現れるトルクを負の値(車両を減速する側)として算出し、このトルクを相殺するように第1モータジェネレータ103と第2モータジェネレータ104のトルクを正方向に補正するので、第1モータジェネレータ103のトルク指令値(図12の(2b))及び第2モータジェネレータ104のトルク指令値(図12の(2c))は大きくなる。その結果、駆動軸トルクは、遊星歯車機構損失トルクが無い場合のトルク、すなわち運転者の要求する駆動軸トルクに近づけることができる(図12の(2d))。
2 エンジン
3 第1モータジェネレータ
4 第2モータジェネレータ
5 遊星歯車機構
6 駆動軸
7 空気量調整手段
8 燃料供給手段
9 着火手段
10 エンジン制御部
11 出力軸
18 第1インバータ
19 第2インバータ
20 バッテリ
21 バッテリ検出部
26 制御装置
27 トルク制御手段
28 算出手段
Claims (2)
- 車両の動力源として設けたエンジンと第1モータジェネレータとが遊星歯車機構を介して駆動軸に動力伝達可能に連結されたハイブリッド車両の制御装置であって、前記エンジンと前記第1モータジェネレータとの合成トルクに基づいて、前記駆動軸に直結した第2モータジェネレータの出力トルクを制御するトルク制御手段を備えたハイブリッド車両の制御装置において、前記遊星歯車機構の損失トルク割合を算出する算出手段を備え、前記トルク制御手段は、前記算出手段により算出された前記遊星歯車機構の損失トルク割合に応じて前記第2モータジェネレータの出力トルクを補正することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
- 車両の動力源として設けたエンジンと第1及び第2モータジェネレータとが少なくとも1つの遊星歯車機構を介して駆動軸に動力伝達可能に連結されたハイブリッド車両の制御装置であって、エンジントルクに基づいて前記第1及び第2モータジェネレータの出力トルクを制御するトルク制御手段を備えたハイブリッド車両の制御装置において、前記遊星歯車機構の損失トルクを算出する算出手段を備え、前記トルク制御手段は、前記算出手段により算出された前記遊星歯車機構の損失トルクに応じて前記第1及び第2モータジェネレータの出力トルクを補正することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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