JP2016201238A - 蓄電デバイス用包装材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、成型性、および電解質溶液耐性に優れる最外層を有し、ヒートシール後、安定した密封状態を維持できる蓄電デバイス用包装材料の提供を目的とする。【解決手段】 最外層から順に、保護層、外層側樹脂フィルム層、外層側接着剤層、金属箔層、内層側接着剤層、およびヒートシール層を必須とする蓄電デバイス用包装材料であって、前記保護層が、水酸基およびポリシロキサン構造を有するシリコーン系樹脂(A)を含む硬化性樹脂(I)と硬化剤(II)とを含有する硬化性保護塗料から形成され、前記水酸基を有する硬化性樹脂(I)と硬化剤(II)との合計100質量%中に、ポリシロキサン構造由来のSi元素を0.01〜10質量%含む。【選択図】 図1

Description

本発明は、蓄電デバイス用包装材料に関する。
リチウムイオン電池に代表される二次電池は、パソコン、携帯端末装置(携帯電話、PDA等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星等様々な用途に用いられる。
二次電池は、外装体の内部に電極、電解質溶液等(以下、電池本体ともいう)を収容する。外装体は、電池ケース、包装容器、包装体等とも言われる。
外装体としては、金属をプレス加工して円筒状または直方体状に容器化した金属製缶タイプ、あるいは、基材層、アルミニウム箔、シーラント層から構成される積層体を袋状にしたパウチタイプや、前記積層体をプレス成型して凹部を形成し、前記凹部に電池本体を収納するエンボスタイプがある。
形状・寸法の自由度の点で、パウチタイプやエンボスタイプへの要求が高く、よりコンパクトな外装体が得られるという点でエンボスタイプへの要求がより高い。
パウチタイプやエンボスタイプの外装体は、シーラント層同士をヒートシールして形成される。即ち、シーラント層は外装体において、最も内側に位置する。一方、基材層は外装体において最も外側に位置することとなる。
エンボスタイプの外装体は、前記積層体を構成している基材層が凹型の金型の内面に接するよう、前記積層体を前記金型の内部に押し込み成型し、形成する。従って、凸状の最外層を形成することとなる基材層には、成形性の良さが求められる。
また、成型された容器に前記電解質溶液などを充填する際に、容器の外側、即ち基材層に電解質溶液などがこぼれて付着しても、基材層に損傷を与えないことが求められる。
さらに、成型された容器に前記電解質溶液などを充填し、ヒートシール層同士をヒートシールした後、ヒートシール層同士が剥がれないことが求められる。
パウチタイプやエンボスタイプの外装体を形成するための積層体(包装材料)が、特許文献1〜4に開示されている。
特許文献1には、アルミニウム箔の片面の最も外側に、その表面側に塩素またはフッ素含有リチウム塩を含む電解液に対して耐久性のあるコーティング層を有する延伸フィルムをラミネートすると共に、ポリプロピレン等のフィルムをアルミニウム箔の他の面の最も外側にラミネートした、電池ケース用包材が開示され、電解液に対して耐久性のあるコーティング層を形成するためのコーティング材として、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、セルロースエステル、ウレタン樹脂及び、アクリル樹脂の利用が開示されている。
特許文献2には、基材層、接着層、化成処理層、アルミニウム、化成処理層、酸変性PP皮膜層、最内層から構成された積層体をエンボスタイプの外装体の形成に用いる旨開示されている。第11段落には、金型と基材層との摩擦抵抗を小さくする目的で、基材層を多層化、基材層表面に、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂のいずれかからなるフィルムもしくはコーティング層を設けることが好ましいと記載されている。
特許文献3には、基材層、接着性、化成処理層1、アルミニウム、化成処理層2、酸変性ポリオレフィン層、ポリオレフィン層からなる積層体の、基材層表面に脂肪酸アマイド系のスリップ剤がコーティングされた、エンボス型リチウムイオン電池用包装材料が開示されている。
第3段落には、基材層として延伸ナイロンを用いた場合、エンボス成型において、成型メス型と基材層との摩擦係数が大きく、成型しわや切れ等が発生する場合があると記載されている。そして、第4段落には解決手段として、基材層表面に脂肪酸アマイド系のスリップ剤をコーティングする旨が記載されている。
第15段落には、金型と基材層との摩擦抵抗を小さくするため、あるいは電解質液耐性を付与するために、基材層を多層化、基材層表面に、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂のいずれかからなるフィルムもしくはコーティング層を設けることが好ましいと記載されている。
特許文献4には、表面にスリップ剤によるコーティング層を設けた基材層を用いた電池用包装材料が開示されている。スリップ剤としてはシロキサンを含有する開始剤を用いてビニル系共重合体を共重合する旨開示されている。第36段落には、基材層表面にスリップ剤を塗布しコーティングすることにより、エンボス成型の際、基材層表面と金型との滑り性が確保され、安定してプレス成型する旨記載されている。つまり、外装体が成型される際には、基材層表面と金型(メス型)との滑り性が重要である。第53段落には、外装体と金型との摩擦力が大きいと、積層構造の剥離やバリア層のクラッキングを引き起こす旨記載されている。
なお、電池用包装材料への適用を開示するものではないが、特許文献5には、成型時のアルミニウム箔の割れや破れを防止するために、熱硬化性樹脂保護皮膜を有する絞り加工用アルミニウム箔積層体の保護皮膜樹脂中に、スリップ剤を配合したアルミニウム箔積層体を食品包装用容器として用いる技術が開示されている。実施例では、エポキシ樹脂中にスリップ剤としてステアリン酸を配合する旨開示している。
同様に、電池用包装材料への適用を開示するものではないが、特許文献6には、アクリロニトリルと架橋性官能基を有するモノマーとその他のモノマーを共重合した重合体(A)、ポリオルガノシロキサン鎖を有するモノマーと架橋性官能基を有するモノマーとその他のモノマーを共重合した重合体(B)からなる防汚コーティング剤が開示されている。軟質ポリ塩化ビニル基材にコーティングして、車両のシートや、ソファー、壁紙などの内装建材などに用いられ、使用中にその環境や接触による汚染や着色を防止するとともに、付着した汚染を容易に除去できる方法を提案している。
特開2000−123799号公報 特開2001−176462号公報 特開2002−216714号公報 特開2007−294382号公報 特開平5−270563号公報 特開2000−212478号公報
前述の通り、特許文献1には、電解液に対して耐久性のあるコーティング層を形成するためのコーティング材として、種々の樹脂の利用が開示されている。そして、具体的には、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル、エポキシ樹脂を利用した場合には、コーティング材を全く利用しなかったり、前記樹脂の代わりに酢酸ビニル樹脂をコーティング材として用いたりした場合に比して、耐電解液性が向上する旨記載されている。
しかし、特許文献1記載の発明の場合、コーティング材を塗工しただけで、コーティング層を硬化させていないので、電解質溶液耐性が不十分で、白化を防止することはできない。
また、前述の通り、特許文献2には、コーティング材として、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂の利用が示唆されている。
しかし、特許文献2記載の発明の特徴はアルミニウムの両面に化成処理層を設けることであり、前記の樹脂からコーティング層を設ける旨は具体的には記載されていない。さらに、仮にコーティング材として、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂を利用したとしても、硬化させないので、電解質溶液耐性が不十分で、白化を防止することはできない。
さらに、特許文献3には、前述の通り、成形性向上の点から、肪酸アマイド系のスリップ剤の利用が開示され、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂の利用が示唆されている。
しかし、これらをコーティング材として利用したとしても、硬化させないので、電解質溶液耐性が不十分で、白化を防止することはできない。
特許文献4記載のスリップ剤は、基材表面にコートする際に、架橋剤を用いていないので、そのコーティング層は電解質溶液耐性が不十分で、白化を防止することはできない。
特許文献5には、エポキシ樹脂にスリップ剤としてステアリン酸を配合してなる等からなる熱硬化性樹脂保護皮膜を設けたアルミニウム箔積層体を食品包装用容器として用いる技術が開示されている。食品包装用容器は、最終的には食品を取り出すという要求から底部径よりも開口部径が大きいことが一般的である。しかも、底部や開口部の形状は円形や楕円形の場合が多い。底部が円形や楕円形の容器の絞り成型では、円周部は伸ばされつつほぼ均等の収縮を受け、壁部を形成する。
一方、エンボスタイプの蓄電デバイス用容器は、コーナー部に多少の丸みを有するとはいうものの底部は四辺形の場合が多く、開口部径は底部径とほぼ変わらない場合が多い。このような底部が四辺形の容器の絞り成型では、壁部には伸びだけが加わり、収縮はコーナー部に集中する。
従って、底部が四辺形の容器の絞り成型は、底部が円形や楕円形の容器の絞り成型よりも、厳しい成型であるといえる。しかも、開口部径と底部径とがほぼ変わらず、壁部がほぼ垂直を成す絞り成型は、底部径よりも開口部径が大きい絞り成型よりも壁部にはより大きな収縮が加わるので、さらに厳しい成型である。
特許文献6には防汚コーティング剤が開示されているが、蓄電デバイス用容器への適用は開示されていない。
本発明の目的は、成型性、および電解質溶液耐性に優れる最外層を有し、ヒートシール後、安定した密封状態を維持できる蓄電デバイス用包装材料の提供を目的とする。
本発明は、最外層から順に、保護層、外層側樹脂フィルム層、外層側接着剤層、金属箔層、内層側接着剤層、およびヒートシール層を必須とする蓄電デバイス用包装材料であって、
前記保護層が、下記(1)〜(3)の条件の全てを満たす、蓄電デバイス用包装材料に関する。
(1)前記保護層が、水酸基を有する硬化性樹脂(I)と硬化剤(II)とを含有する硬化性保護塗料から形成される。
(2)前記水酸基を有する硬化性樹脂(I)は、水酸基およびポリシロキサン構造を有するシリコーン系樹脂(A)を含む。
(3)前記水酸基を有する硬化性樹脂(I)と硬化剤(II)との合計100質量%中に、ポリシロキサン構造由来のSi元素を0.01〜10質量%含む。
水酸基およびポリシロキサン構造を有する前記シリコーン系樹脂(A)は、水酸基を有し、ポリシロキサン構造を有しないアクリル系モノマーと、ポリシロキサン構造を有し、水酸基を有しないアクリル系モノマーと、水酸基もポリシロキサン構造も有しない他のアクリル系モノマーとを共重合してなるか、
あるいは、水酸基およびポリシロキサン構造を有するアクリル系モノマーと、水酸基もポリシロキサン構造も有しない他のアクリル系モノマーとを共重合してなる、
あるいは、水酸基およびポリシロキサン構造を有するアクリル系モノマーと、水酸基を有し、ポリシロキサン構造を有しないアクリル系モノマーと、水酸基もポリシロキサン構造も有しない他のアクリル系モノマーとを共重合してなる、
水酸基価が5〜100(mgKOH/g)、ガラス転移温度が30℃以下、質量平均分子量(Mw)が10,000〜800,000の共重合体である、ことが好ましい。
また、本発明の蓄電デバイス用包装材料は、水酸基を有する硬化性樹脂(I)100質量部に対して、硬化剤(II)を5〜200質量部含有することが好ましい。
前記硬化剤(II)はポリイソシアネート化合物(E)を含むことが好ましい。
本発明の蓄電デバイス用包装材料は、保護層の動摩擦係数が0.15以下であることが好ましい。
本発明の蓄電デバイス用包装材料は、外層側樹脂フィルム層がナイロン系熱可塑性樹脂フィルム、もしくはポリエステル系熱可塑性フィルムであることが好ましい。
本発明の蓄電デバイス用包装材料は、水酸基を有する硬化性樹脂(I)が、水酸基およびポリシロキサン構造を有するシリコーン系樹脂(A)の他に、水酸基を有するアクリル系樹脂(B)、水酸基を有するポリエステル系樹脂(C)および水酸基を有するエポキシ系樹脂(D)からなる群より選ばれる少なくとも一種の水酸基を有する樹脂をさらに含むことが好ましく、
水酸基を有するアクリル系樹脂(B)、水酸基を有するポリエステル系樹脂(C)および水酸基を有するエポキシ系樹脂(D)の合計100質量部に対し、シリコーン系樹脂(A)を0.2〜50質量部含有することが好ましい。
アクリル系樹脂(B)は、水酸基を有し、ポリシロキサン構造を有しないアクリル系モノマーと、水酸基もポリシロキサン構造も有しない他のアクリル系モノマーとを共重合してなる、水酸基価が5〜100(mgKOH/g)、ガラス転移温度が20〜90℃、質量平均分子量(Mw)が30,000〜800,000の共重合体であることが好ましい。
また、本発明は、本発明の蓄電デバイス用包装材から形成されてなる蓄電デバイス用容器であって、保護層が最外面を構成している、蓄電デバイス用容器に関する。
さらに、本発明は、前記の蓄電デバイス用容器を使用してなる蓄電デバイスに関する。
本発明により、成型性、および電解質溶液耐性に優れる最外層を有し、ヒートシール後、安定した密封状態を維持できる蓄電デバイス用包装材料を提供できるようになった。
本発明の蓄電デバイス用包装材の一態様の模式的断面図である。 本発明の蓄電デバイス用容器の一態様(トレイ状)の模式的斜視図である。
本発明の蓄電デバイス用包装材料は、前述の通り、最外層から順に、保護層、外層側樹脂フィルム層、外層用接着剤層、金属箔層、内層側接着剤層、およびヒートシール層を必須とする蓄電デバイス用包装材料である。
前記保護層は、水酸基を有する硬化性樹脂(I)と硬化剤(II)とを含有する硬化性保護塗料から形成される。前記水酸基を有する硬化性樹脂(I)は、水酸基およびポリシロキサン構造を有するシリコーン系樹脂(A)(以下、シリコーン系樹脂(A)と略す。)を含む。
前記硬化性保護塗料から形成される保護層は「硬化」により、外層側樹脂フィルム層への電解質液耐性を付与し、耐突き刺し性を付与する機能を主に担う。また、前記「ポリシロキサン構造」は、保護層にスリップ性を付与して動摩擦係数を低下させて、成型メス型と保護層との間に働くせん断力を低下させ、積層状態の破壊(層間剥離)やバリア層のクラッキングを防止する機能を担う。
水酸基およびポリシロキサン構造を有するシリコーン系樹脂(A)は、水酸基を有し、ポリシロキサン構造を有しないアクリル系モノマーと、ポリシロキサン構造を有し、水酸基を有しないアクリル系モノマーと、水酸基もポリシロキサン構造も有しない他のアクリル系モノマーとの共重合体であるか、
あるいは、水酸基およびポリシロキサン構造を有するアクリル系モノマーと、水酸基もポリシロキサン構造も有しない他のアクリル系モノマーとの共重合体であるか、
あるいは、水酸基およびポリシロキサン構造を有するアクリル系モノマーと、水酸基を有し、ポリシロキサン構造を有しないアクリル系モノマーと、水酸基もポリシロキサン構造も有しない他のアクリル系モノマーとの共重合体であることが好ましい。
ポリシロキサン構造を有するアクリル系モノマーの具体例としては、例えばチッソ(株)製のサイラプレーンFM−0711、FM−0721、FM−0725などの片末端(メタ)アクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン化合物や、信越化学(株)製のX−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−2404などの片末端メタクリル変性シリコーン化合物、東芝シリコーン(株)製のTSL9705などの片末端ビニル基含有ポリオルガノシロキサン化合物などが上げられる。
これらアクリル系モノマーを単独で用いても良いし、複数組み合わせて用いても良い。
水酸基を有し、ポリシロキサン構造を有しないモノマーとしては、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにε−カプロラクトンが付加した物などが挙げられ、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が1〜4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにε−カプロラクトン付加した物の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン1モル付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン2モル付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン3モル付加物などの炭素数が1〜4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン付加物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水酸基含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
水酸基もポリシロキサン構造も有しない他のアクリル系モノマーとしては、以下に示すような種々のモノマーを挙げることができる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル( メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、tert−ブチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどが上げられる。
脂環式炭化水素基を有するモノマーとしては、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、 ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどが上げられる。
エポキシ基を有するモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジルアクリレート、α−メチルグリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが上げられる。
酸性基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−ヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドフォスフェートなどが上げられる。
水酸基及びポリシロキサン構造を有するシリコーン系樹脂(A)は、前記モノマーを共重合させることにより、容易に調製することができる。
モノマーを重合させる方法としては、例えば、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが上げられるが、本発明は、かかる重合方法によって限定されるものではない。これらの重合方法のなかでは、得られる反応混合物をそのまま使用することができることから、溶液重合法が好ましい。
以下に、モノマーを溶液重合させることによって水酸基及びポリシロキサン構造を有するシリコーン系樹脂(A)を調製する場合の一実施態様について説明するが、本発明は、その実施態様のみに限定されるものではない。
モノマーを溶液重合させる際に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;n−ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、エチルセロソルブなどのアルコール系溶媒; 酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ジメチルホルムアミドなどが上げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。溶媒の量は、単体混合物の濃度、目的とするアクリル系重合体の分子量などに応じて適宜決定することが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。重合開始剤の量はモノマー混合物100質量部あたり、通常、好ましくは0.01〜30質量部、より好ましくは0.05〜10質量部である。
なお、重合の際には、得られる水酸基及びポリシロキサン構造を有するシリコーン系樹脂(A)の分子量を調整するために、例えば、n−ドデシルメルカプタンなどの連鎖移動剤を用いてもよい。
モノマーを重合させる際の重合温度は、通常、好ましくは40〜200℃ 、より好ましくは40〜160℃である。
モノマーの重合時間は、重合温度、モノマー混合物の組成、重合開始剤の種類およびその量などによって異なるので一概には決定することができないため、それらに応じて適宜決定することが好ましい。
このようにして得られる水酸基及びポリシロキサン構造を有するシリコーン系樹脂(A)は、水酸基価が5〜100(mgKOH/g)あることが好ましく、20〜80(mgKOH/g)あることがより好ましい。
水酸基価が5(mgKOH/g)以上であることにより、水酸基及びポリシロキサン構造を有するシリコーン系樹脂(A)を含む硬化性樹脂(I)は後述する硬化剤(II)との反応により、適度な架橋構造の保護層を形成するのでシリコーン系樹脂(A)の脱離によるヒートシール層表面の汚染を防止できるとともに、保護層の電解質溶液耐性を向上できる。
一方、水酸基価が100(mgKOH/g)以下であることにより、シリコーン系樹脂(A)と硬化剤(II)との過度な架橋が抑制される。その結果、基材層との密着性を向上するとともに、シリコーン系樹脂(A)由来のポリシロキサン構造が保護層内部に強固に固定され過ぎないようにでき、成型性を向上できる。
シリコーン系樹脂(A)の水酸基価は、シリコーン系樹脂(A)の形成に供されるモノマー成分中の水酸基含有モノマーの割合により制御することができる。
シリコーン系樹脂(A)は、ガラス転移温度が30℃以下であることが好ましく、20℃以下であることがより好ましく、−10〜10℃あることがさらに好ましい。
シリコーン系樹脂(A)のガラス転移温度が30℃以下であることにより、硬化剤(II)と反応した保護層中のシリコーン系樹脂(A)由来の側鎖の自由度が増して、スリップ性を向上させることが出来る。スリップ性を向上できると動摩擦係数を低下させて、成型メス型と硬化樹脂層との間に働くせん断力を低下させることにより、積層状態の破壊(層間剥離)やバリア層のクラッキングを防止することが出来る。
なお、ここで言うガラス転移温度とは、シリコーン系樹脂(A)の溶液を乾燥させて固形分を100%にした樹脂について、示差走査熱量分析(DSC)によって測定したガラス転移温度のことを示す。例えば、ガラス転移温度は、試料約10mgを秤量したサンプルを入れたアルミニウムパンと、試料を入れていないアルミニウムパンとをDSC装置にセットし、これを窒素気流中で液体窒素を用いて、予測されるガラス転移温度マイナス50℃ まで冷却処理し、その後、昇温速度10℃/分で、予測されるガラス転移温度プラス50℃まで昇温してDSC曲線をプロットする。このDSC曲線の低温側のベースライン(試験片に転移および反応を生じない温度領域のDSC曲線部分)を高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点から、補外ガラス転移開始温度(Tig)を求め、これをガラス転移温度として求めることができる。本発明のガラス転移温度は、上記の方法により測定した値を記載している。
本発明におけるシリコーン系樹脂(A)の質量平均分子量は、10,000〜800,000であることが好ましく、20,000〜500,000であることがより好ましい。質量平均分子量が10,000以上であることにより、強靭な皮膜を有する蓄電デバイス用包装材料が得られ、800,000以下であることによりゲル物の混入などのない、美麗な包装材料が得られる。
なお、上記の質量平均分子量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の値である。例えば、カラム(昭和電工(株)製KF−805LKF−803L、及びKF−802)の温度を40℃として、溶離液としてTHFを用い、流速を0.2ml/minとし、検出をRI、試料濃度を0.02%とし、標準試料としてポリスチレンを用いて行ったものである。本発明の質量平均分子量は、上記の方法により測定した値を記載している。
本発明において水酸基を有する硬化性樹脂(I)は、前述のシリコーン系樹脂(A)の他に、水酸基を有するアクリル系樹脂(B)、水酸基を有するポリエステル系樹脂(C)および水酸基を有するエポキシ系樹脂(D)からなる群より選ばれる少なくとも一種の水酸基を有する樹脂(以下、「水酸基を有する他の樹脂」ともいう)をさらに含むことができる。「水酸基を有する他の樹脂」を用いることにより、成型性向上機能は主にシリコーン系樹脂(A)に担わせ、電解質溶液耐性は主に「水酸基を有する他の樹脂」に担わせることができる。
本発明における硬化性保護塗料は、水酸基を有する硬化性樹脂(I)と後述する硬化剤(II)との合計100質量%中に、ポリシロキサン構造由来のSi元素を0.01〜10質量%含むことが重要であり、ポリシロキサン構造由来のSi元素を0.05〜5質量%含むことが好ましい。
ポリシロキサン構造由来のSi元素を0.01質量%以上含むことにより、保護層の動摩擦係数を0.15以下とすることができる。動摩擦係数が0.15以下であることにより、エンボス成型において、成型メス型と基材層との摩擦係数が小さくなり、成型時の積層状態の破壊(層間剥離)やバリア層のクラッキングを防止することができる。さらに動摩擦係数の低下により成型時の生産性向上も期待できる。一方、ポリシロキサン構造由来のSi元素を10質量%以下とすることにより、成型性とヒートシール後の密封状態を維持できる。
ポリシロキサン構造由来のSi元素含有量を上記範囲とするためには、ポリシロキサン構造を多量に含むシリコーン系樹脂(A)少量と、「水酸基を有する他の樹脂」を多量に用いることもできるし、ポリシロキサン構造を適当量含むシリコーン系樹脂(A)のみを用いることもできるし、あるいはポリシロキサン構造を少量含むシリコーン系樹脂(A)を多量に、少量の「水酸基を有する他の樹脂」と共に用いることもできる。
なお、シリコーン系樹脂(A)100質量%中のポリシロキサン構造由来のSi元素含有率は、シリコーン系樹脂(A)の形成に供されるモノマーの合計100g中に含まれるポリシロキサン構造を有するモノマーの含有量(g)に、前記ポリシロキサン構造を有するモノマー中のポリシロキサン構造由来のSi元素含有率を乗じ、求める。
ポリシロキサン構造を有するモノマー中のポリシロキサン構造由来のSi元素含有率は、ICP発光分光分析法により求めた。具体的には、試料をアセトンで約100倍に希釈した溶液約0.1gを精秤し、マイクロウェーブ湿式分解装置を用いた酸分解法により処理後、蒸留水で50ml定容とした。
なお、動摩擦係数の測定は、東洋精機(株)製 FRICTION TESTERTR−2 を用いて、以下に述べる方法で測定した。測定はJIS規格のプラスチックフィルム及びシート用JIS K7125に準じて行った。
本発明の樹脂組成物を基材に所定の膜厚で塗布・硬化させた平らな積層物の上に、
底辺の長さが63mm×63mm、質量200g±2gのスレッドを載せる。引っ張り速度:100mm/minの速度でスレッドを引っ張り、その時の応力をロードセルで測定した。3回測定し、3回の平均を動摩擦係数とした。なお、荷重レンジは2Nとして測定した。
次に、「水酸基を有する他の樹脂」のうちの1つ、アクリル系樹脂(B)について説明する。
アクリル系樹脂(B)は水酸基を有し、ポリシロキサン構造を有しない。シリコーン系樹脂(A)の際に例示したモノマーのうち、ポリシロキサン構造を有するアクリル系モノマーを用いない以外は同様にして得ることができる。
アクリル系樹脂(B)の水酸基価は5〜100(mgKOH/g)であることが好ましく、ガラス転移温度が20〜90℃であることが好ましく、質量平均分子量(Mw)が30,000〜800,000であることが好ましい。
水酸基価が5(mgKOH/g)以上であることにより、硬化剤(II)との反応により、蓄電デバイス用包装材の最外層は適度な架橋構造を形成し、充填時に電解質溶液耐性を向上できる。一方、水酸基価を100(mgKOH/g)未満とすることにより、基材層との密着性を向上でき、成型時の保護層の割れを効果的に防止できる。
アクリル系樹脂(B)の水酸基価は、アクリル系樹脂(B)の形成に供されるモノマー成分中の水酸基含有モノマーの割合に依存する。
水酸基価が5〜100(mgKOH/g)のアクリル系共重合体(B)を得るためには、水酸基含有モノマーを、モノマーの合計100質量%中、1〜40質量%共重合することが好ましい。
水酸基含有モノマーの具体例としては、前記シリコーン系樹脂(A)で用いたものと同様に、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにε−カプロラクトンが付加した物などが挙げられ、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
蓄電デバイス用容器は、後述するようにメス型とオス型の「型」を用い、ヒートシール層が凹面を構成し、保護層が凸面を構成するように、蓄電デバイス用包装材料をプレス成型(エンボス成型ともいう)して得る。
本発明におけるアクリル系樹脂(B)の質量平均分子量が30,000以上であることにより、電解質溶液耐性を向上することが出来る。
ゲル状物の生成や混入を防止するという点からアクリル系樹脂(B)の質量平均分子量(Mw)は800,000以下であることが好ましい。
ゲル状物が樹脂硬化皮膜に混入すると、エンボス成型において、成型しわや切れ等が発生する場合がある。
また、アクリル系樹脂(B)の質量平均分子量(Mw)が800,000以下とすることにより、適度な粘度・適度な固形分の硬化性保護塗料を得ることができ、基材層の表面に塗布する際、不具合が生じにくい。
本発明におけるアクリル系樹脂(B)のガラス転位温度は20〜90℃であることが好ましい。より好ましくは30℃以上であり、70℃以下であることがより好ましい。ガラス転位温度を20℃以上とすることにより保護層の表面にタックが生じ難くなるため、蓄電デバイス用包装材料を製造後にロール状にした場合、ブロッキングを起こしにくくなる。
アクリル系樹脂(B)のガラス転移温度を90℃以下とすることにより、蓄電デバイス用包装材料をプレス成型して凸部を形成する際に、凸部の肩やコーナー部における保護層の割れを防ぐことが出来る。
アクリル系樹脂(B)のガラス転移温度は、前記水酸基含有モノマーとともに共重合する他のモノマーの組成比によって決まる。
他のモノマーの具定例としては、シリコーン系樹脂(A)で用いたものと同じものを用いることが出来る。
本発明の水酸基を含有するポリエステル系樹脂(C)について説明する。水酸基を含有するポリエステル系樹脂(C)としては、直鎖状でも分岐状でもいずれでもよい。直鎖状ポリエステル系樹脂の場合、水酸基価は5〜100(mgKOH/)であることが好ましく、ガラス転移温度は20〜90℃が好ましく、30〜70℃がより好ましい。
直鎖状ポリエステル系樹脂の具体例としては、東洋紡(株)製のバイロン200(水酸基価:6mgKOH/g、Tg:67℃、Mn:17、000)、バイロン220(水酸基価:50mgKOH/g、Tg:53℃、Mn:3,000)、バイロン802(水酸基価:37mgKOH/g、Tg:60℃、Mn:3,000)、バイロン637(水酸基価:5mgKOH/g、Tg:21℃、Mn:29、000)などが上げられる。
分岐状ポリエステル系樹脂としては、水酸基価が50〜250(mgKOH/g)が好ましく、大豆油脂肪酸や脱水ひまし油脂肪酸などで変性したアルキド樹脂なども使用できる。分岐状ポリエステル系樹脂の具体例としては、DIC(株)製のバーノックD−145−55BA(水酸基価:65〜72mgKOH/g、酸価:10〜14mgKOH/g)、バーノック11−408(水酸基価:180〜220mgKOH/g、酸価:≦9)、バーノックD−161(水酸基価:155〜180mgKOH/g、酸価:≦4.5)などが上げられる。
本発明の水酸基を含有するエポキシ系樹脂(D)について説明する。エポキシ樹脂としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。中でも大豆油脂肪酸や脱水ヒマシ油脂肪酸などで変性した変性エポキシ樹脂が好ましい。水酸基価は100〜250(mgKOH/g)であることが好ましい。変性エポキシ樹脂の具体例としては、荒川化学(株)製のアラキード9201N(水酸基価:250mgKOH/g、Tg:94℃、Mw:50,000)、アラキード9205(水酸基価:220mgKOH/g、Tg:84℃、Mw:30,000)、KA−1439A(水酸基価:210mgKOH/g、Tg:77℃、Mw:35,000)などが上げられる。
次に硬化剤(II)について説明する。硬化剤(II)は、前述の水酸基を有する硬化性樹脂(I)中の架橋性官能基である水酸基と反応し、架橋した保護層を生成する。
シリコーン系樹脂(A)に含まれる水酸基と反応することにより、保護層からシリコーン系樹脂(A)が脱離することを防止する。さらに、架橋により保護層を強固な層とすることができるので、電解質溶液が付着した場合の浸食を防止する。
硬化剤(II)としては、ポリイソシアネート化合物(E)や、ユリアホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、アルミニウムキレート化合物などが挙げられ、低温硬化性と塗料の保存安定性の点からポリイソシアネート化合物(E)が好ましい。
本発明において用いられるポリイソシアネート化合物(E)は、一分子中に2個以上のイソシアネート基を有することが重要であり、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が上げられる。
ポリイソシアネート化合物(E)は、1種類でも良く、2種類以上の化合物を併用してもよい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4',4"−トリフェニルメタントリイソシアネート等を上げることができる
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を上げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を上げることができる
また、上記ポリイソシアネートに加え、上記ポリイソシアネートとトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、上記ポリイソシアネートのビュレット体やイソシアヌレート体、更には上記ポリイソシアネートと公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等とのアダクト体等が上げられる。
これらポリイソシアネート化合物(E)の中でも、意匠性の観点から、低黄変型の脂肪族または脂環族のポリイソシアネートが好ましく、耐湿熱性の観点からは、イソシアヌレート体が好ましい。より具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート体、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレート体が好ましい。また、これらの混合体も好適に用いられる。
また、本発明の硬化性保護塗料には、樹脂溶液の保存安定性の観点から、ブロック化ポリイシシアネート化合物を用いても良い。ブロック化ポリイソシアネート化合物としては、上記の非ブロック化ポリイソシアネート化合物を種々のブロック化剤でブロックしたものが挙げられ、ブロック化剤としては80℃〜100℃程度の比較的低温で乖離するものが好ましい。また、非ブロック化ポリイソシアネート化合物を用いる場合には、硬化性樹脂(I)と硬化剤(II)とは別々にパッケージングして、使用する直前に混合して使用
する方法が好適に用いられる。
本発明の硬化性保護塗料は、水酸基を有する硬化性樹脂(I)と硬化剤(II)との合計100質量%中に、シリコーン系樹脂(A)に含まれるポリシロキサン構造由来のSi元素を0.01〜10質量%含むように両者を含むことが重要であり、ポリシロキサン構造由来のSi元素を0.05〜5質量%含むことが好ましい。
シリコーン系樹脂(A)に含まれるポリシロキサン構造は、硬化後の保護層の表面近傍に存在して、保護層の成型性を向上する。
例えば、ポリイソシアネート化合物(E)は、水酸基を有する硬化性樹脂(I)100質量部に対して、5〜200質量%含有することが好ましく、10〜180質量%含有することがより好ましい。
ポリイソシアネート化合物(E)を、水酸基を有する硬化性樹脂(I)100質量部に対して5質量%以上とすることによって、電解質溶液耐性に優れた樹脂硬化皮膜を形成する。一方、ポリイソシアネート化合物(E)を、水酸基を有する硬化性樹脂(I)の合計:100質量部に対して200質量%以下とすることによって、過度な架橋構造を抑制して基材層との密着性を阻害することを防止でき、成型時の割れを防止することが出来る。
さらに、本発明の硬化性保護塗料には、本発明の目的が阻害されない範囲内で、前記シリコーン系樹脂(A)や水酸基を有する他の樹脂以外の樹脂や、有機系もしくは無機系の微粒子や、有機溶媒などが含まれていても良い。
前記シリコーン系樹脂(A)や水酸基を有する他の樹脂以外の樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、フェノール樹脂、セルロースエステル樹脂などを挙げることが出来る。これら樹脂は、架橋性官能基を有しても良いし、架橋性官能基を有さないものでもよい。好ましくは架橋性官能基を有していた方が良い。
本発明の硬化性保護塗料に白色や黒色の顔料を入れて、蓄電デバイス用包装材料の表面を透明ではなく、白色や黒色にすることもできる。白色にする場合には、一般的には酸化チタンを用いる。黒色にする場合には、一般的にはカーボンブラックを用いる。酸化チタンやカーボンブラックは、水酸基を有する硬化性樹脂(I)の一部を用いて、例えば湿式メディア分散機を用いて分散して、残りの硬化性樹脂(I)に添加する方法で得ることが
出来る。湿式メディア分散機としては、スキャンディックス、ボールミル、ペイントシェーカー、バスケットミル、ダイノミル、ウルトラビスコミル、アニュラー型分散機、ジェットミル、ホモジナイザーなどを使用することができる。
分散に使用するメディアとしては、ジルコニア、アルミナ、ガラスビーズ、スチールビーズなどが使用することができ、メディア径としては、0.1〜5mmのものを用いることができる。
本発明の硬化性保護塗料に有機系もしくは無機系の微粒子を含有することにより、保護層の表面を凹凸にしてブロッキング防止効果を付与したり、表面の凹凸によるマット感を出したり、皮膜に強度を与えて、傷付き難くしたりすることが出来る。
これら微粒子は水酸基を有する硬化性樹脂(I)100質量部に対して0.01〜30質量部含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量部含有することが好ましい。含有量が0.01質量部以上とすることにより上記効果が期待でき、30質量部以下とすることにより成型性に優れる丈夫な保護層を形成できる。
有機系微粒子の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン(登録商標)樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂、メタクリレート樹脂、アクリレート樹脂などのポリマー微粒子、あるいは、セルロースパウダー、ニトロセルロースパウダー、木粉、古紙粉、籾殻粉、澱粉などが上げられる。有機系粒子は1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
無機微粒子の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、ケイ素、アンチモン、チタンなどの金属の酸化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩などを含有する無機系微粒子が上げられる。さらに詳細な具体例としては、シリカゲル、酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、鉛酸化物、珪藻土、ゼオライト、アルミノシリケート、タルク、ホワイトカーボン、マイカ、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラスビーズ、クレー、ワラスナイト、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化チタン、リトポン、軽石粉、硫酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、炭酸バリウム、ドロマイト、二硫化モリブデン、砂鉄、カーボンブラックなどを含有する無機系粒子が挙げられる。無機系粒子は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
また、本発明における硬化性保護塗料には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、硬化促進剤を添加してもよい。硬化促進剤は、水酸基を有する硬化性樹脂(I)の水酸基とポリイソシアネート化合物(E)とのウレタン結合反応を促進する触媒としての役割を果たす。硬化促進剤としては、スズ化合物、金属塩、塩基などが上げられ、具体例としては、オクチル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、塩化スズ、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリエチルアミン、トリエチレンジアミンなどが上げられる。これらは、単独または組み合わせて用いることができる。
本発明の硬化性保護塗料は有機溶媒を含有しても良い。有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、などの芳香族系溶媒;iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒などが上げられる。
有機溶媒の沸点は50℃〜200℃ のものを用いることが好ましい。沸点が50℃よりも低いと、硬化性保護塗料を基材に塗布する際に溶剤が揮発しやすく、固形分が高くなって均一な膜厚で塗布することが難しくなる。沸点が200℃よりも高いと、溶剤を乾燥し難くなる。なお、溶剤は2種以上用いてもよい。
本発明の硬化性保護塗料に耐候性を付与する目的で、紫外線吸収剤や紫外線安定剤などをさらに含むことが出来る。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、インドール系紫外線吸収剤などの有機系紫外線吸収剤や、酸化亜鉛などの無機系紫外線吸収剤などの紫外線吸収剤が上げられる。
紫外線安定剤としては、ヒンダードアミン化合物のような紫外線安定剤が好適に用いられる。紫外線吸収剤や紫外線安定剤は、添加剤として硬化性保護塗料に添加しても良いし、官能基を有するような紫外線吸収剤や紫外線安定剤を、アクリル系共重合体と反応させて用いても良いし、他の樹脂と反応させて用いても良い。
こられ紫外線吸収剤や紫外線安定剤は、紫外線吸収剤や紫外線安定剤を除く硬化性保護塗料の固形分100質量部に対して、0.1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部用いることが好ましい。
本発明における硬化性保護塗料には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、充填剤、チクソトロピー付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤、硬化剤、増粘剤、顔料分散剤、シランカップリング剤等の各種の添加剤をさらに添加しても良い。
次に、本発明の蓄電デバイス用包装材料の構成を説明する。
蓄電デバイス用包装材料は、最外層側から、保護層/外層側樹脂フィルム層/外層側接着剤層/金属箔層/内層側接着剤層/ヒートシール層の順に積層されている。蓄電デバイス用包装材料において、金属箔層を境に電解質溶液に近く位置する予定の側を内層側、遠くに位置する予定の側を外層側という。上記の積層構成は必須の構成を示すものであり、例えば他のフィルム層を外層側、内層側それぞれさらに接着剤層を介して積層することもできる。
本発明における外層側樹脂フィルム層(基材層)はナイロン系熱可塑性樹脂フィルムもしくは、ポリエステル系熱可塑性フィルムであることが好ましい。ナイロン系熱可塑性フィルムであることがより好ましい。
基材層は、延伸ナイロンまたはポリエステルフィルムからなるが、ナイロンとしては、ポリアミド樹脂、すなわち、ナイロン6 、ナイロン6,6 、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド( MXD6)等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。
アルミニウム箔に代表される金属箔層は、外部から蓄電デバイスの内部に特に水蒸気が浸入することを防止するための機能を担う。耐ピンホール、及び成型加工性の点から厚さは20〜80μmであることが好ましい。
ピンホールの発生をさらに改善し、成型加工時のクラックの発生防止の点から鉄を0.3〜9質量%含有するアルミニウム箔を用いることが好ましく、鉄を0.7〜2質量%含有するものを用いることがより好ましい。このようなアルミニウム箔は、鉄を含有していないアルミニウム箔と比較して、展延性がよく、折り曲げによるピンホールの発生が少なくなり、蓄電デバイス用容器を成型する時に側壁の形成も容易にできる。
また、冷間圧延で製造されるアルミニウム箔は焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・腰の強さ・硬さが変化する。本発明では、焼きなましをしていない硬質処理品より、多少または完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウム箔を用いることが好ましい。アルミニウム箔の焼きなましの条件は、成型の程度に応じ適宜選定すればよい。
次に、本発明の蓄電デバイス用包装材料の製造法の一例について説明する。本発明の蓄電デバイス包装材料の製造方法は、この例に限定されるものではない。
厚さ25μmのナイロンフィルムの片面にコロナ処理を施す。次に、シリコーン系樹脂(A)、水酸基を有する他の樹脂、およびポリイソシアネート化合物(E)を含有する硬化性保護塗料を乾燥後の厚さ5μm(固形分)になるようにロールコート法で塗布し、100℃のオーブンで乾燥させて溶剤分を揮発させる。硬化性保護塗料を塗布・乾燥させた延伸ナイロンフィルムを50℃の恒温室にいれて4日間放置し、シリコーン系樹脂(A)と水酸基を有する他の樹脂中に含まれる水酸基とポリイソシアネート化合物(E)との反応を熟成させる。
硬化性保護塗料を、外層側樹脂フィルム層に塗布する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、コンマコーティング、グラビアコーティング、リバースコーティング、ロールコーティング、リップコーティング、スプレーコーティングなどを上げることができる。
保護層の厚みは、0.5〜 30μmであることが好ましく、2〜20μmであることがより好ましい。
次に、厚さ40μmのアルミニウム箔の両面に化成処理を施し、化成処理した一方の面に、本発明の硬化性保護塗料を積層した延伸ナイロンフィルムの非塗布面をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面に酸変性ポリプロピレンのエマルジョンをロールコート法により塗布乾燥し、180℃ の温度で焼付し、該焼付け面に30μmの厚さのポリプロピレンフィルムを熱ラミネートして一次積層体を形成する。
化成処理は、いずれも、処理液として、フェノール樹脂、フッ化クロム( 3 ) 化合物、リン酸からなる水溶液を、ロールコート法により、塗布し、皮膜温度が1 8 0 ℃ 以上となる条件において焼き付ける。クロムの塗布量は、2mg/m2(乾燥重量)である。
本発明の蓄電デバイス用包装材料の外層側樹脂フィルム層と金属箔層との接着に用いられる外層側用接着剤としては、熱硬化性の他、ホットメルト型、UV硬化性等、種々のものを用いることができる。
熱硬化性接着剤としては、種々のポリオール成分とイソシアネート成分に代表される硬化剤成分とを配合してなる接着剤が挙げられる。例えば、ポリエステル系接着剤としては、東洋モートン(株)製の商品名:TOMOFLEX TM−K55/CAT−10Lなどが挙げられる。ホットメルト型接着剤としては、東レ・ダウコーニング(株)製の製品などが挙げられる。
本発明の蓄電デバイス用包装材料の外層側樹脂フィルム層と金属箔層との接着に用いられる接着剤は、かかる例示のみに限定されるものではない。
内層側接着剤層は、金属箔層とヒートシール層とを積層するためのものである。内層側接着剤層を形成するための内層側接着剤としては、カルボキシル基もしくは酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂や、前記ポリオレフィン系樹脂と硬化剤とを含有するもの等が例示できる。
本発明の蓄電デバイス用容器は、前述の蓄電デバイス用包装材料を用い、前記保護層が凸面を構成し、ヒートシール層が凹面を構成するように成型して得ることができる。
なお、本発明でいう「凹面」とは、平たい状態の蓄電デバイス用包装材料を成型加工して図2に示すようなトレイ状とした場合に、電解質液を内部に収容し得る窪みを有する面という意であり、本発明でいう「凸面」とは、前記窪みを有する面の自背面(反対側の面、裏側の面)の意である。
二次電池等の蓄電デバイスは、電池本体と、前記電池本体の正極と負極にそれぞれ接合されてなる複数の端子と、電池容器と、電解質溶液とを具備する。即ち、本発明の蓄電デバイスは、前記蓄電デバイス用容器内に、電極や電解質溶液等を内部に収容したものである。収容に際しては、ヒートシール層同士を向い合せ、外周部をヒートシールし、ヒートシール層同士を一体化することにより、内部を密封することができる。シールした外周部以外のヒートシール層は電解質溶液に接する。
本発明の蓄電デバイス用包装材料は、リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等の蓄電デバイスの容器を形成するための包装材料(積層体)として好適に使用できる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、部は質量部を、%は質量%をそれぞれ示す。
合成例1「シリコーン系樹脂A−1溶液」
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルエチルケトン(MEK)を150部仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら80℃まで昇温した。フラスコ内の温度が80℃になったら、メタクリル酸n−ブチル43.22部、メタクリル酸−2−エチルヘキシル55.00部、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル1.28部、サイラプレーンFM−0721を0.50部、アゾビスイソブチロニトリル0.08部を混合したモノマー溶液を2時間掛けて滴下した。
モノマー滴下終了1時間後から1時間毎に、アゾビスイソブチロニトリルを0.02部づつ加えて反応を続け、溶液中の未反応モノマーが1%以下になるまで反応を続けた。未反応モノマーが1%以下になったら冷却して反応を終了し、固形分約40%のシリコーン系樹脂A−1溶液を得た。
シリコーン系樹脂A−1は、ガラス転移温度:2℃、酸価:0.0(mgKOH/g)、水酸基価:5.0(mgKOH/g)、質量平均分子量:300,000であり、100g当たりのポリシロキサン構造由来のSi元素含有量は0.17gであった。
なお、サイラプレーンFM−0721、100g当たりのポリシロキサン構造由来のSi元素含有量は34gである。
合成例2〜9「シリコーン系樹脂A−2〜A−9溶液」
表−1の組成に従って反応を行い、シリコーン系樹脂A−2〜A−9溶液を得た。ガラス転移温度、酸価、水酸基価、質量平均分子量、ポリシロキサン構造由来のSi元素含有量を表−1に示す。
なお、固形分、酸価、水酸基価、質量平均分子量(Mw)は、下記に記述する方法により測定した。
《固形分の測定》
直径55mm、深さ15mmの蓋付きアルミ皿の重量を、小数点以下4桁まで測定する。アルミ皿に樹脂溶液を約1.5g採取し、直ちに蓋をして素早く正確に重量を測定する。蓋を外した状態で、150℃のオーブンに入れて10分間乾燥させる。室温まで冷却してから、アルミ皿と蓋の重量を測定し、下記式で固形分を算出する。
固形分(%)=(乾燥後の重量−アルミ皿の重量)÷(乾燥前の重量−アルミ皿の重量)×100
《酸価(AV)の測定》
共栓付き三角フラスコ中に樹脂溶液を約1g精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液50mlを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1mol/Lアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
酸価は次式により求めた。酸価は樹脂の乾燥状態の数値とした。
酸価(mgKOH/g)=(a×F×56.1×0.1)/S
S:試料の採取量×(試料の固形分/100)(g)
a:0.1mol/Lアルコール性水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)
F:0.1mol/Lアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
《水酸基価(OHV)の測定》
共栓付き三角フラスコ中に樹脂溶液を約1g精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液50mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤( 無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、100℃に加熱して約1時間攪拌する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.5mol/Lアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。別途、空試験として、トルエン/エタノール混合液のみにアセチル化剤を加えて、100℃1時間加熱した溶液について、0.5mol/Lアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした。
水酸基価( mgKOH/g)={(b−a)×F×56.1×0.5}/S+D
S:試料の採取量×(試料の固形分/100)(g)
a:0.5mol/Lアルコール性水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)
b:空実験の0.5mol/Lアルコール性水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)
F:0.5mol/Lアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
《質量平均分子量(Mw)》
昭和電工社製 Shodex GPC−104/101システムを用いて測定した。
カラム Shodex KF−805L+KF−803L+KF−802
検出器 示差屈折率計(RI)
カラム温度 40℃
溶離液 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/min
試料濃度 0.02%
検量線用標準試料 TSK標準ポリスチレン
合成例101「アクリル系樹脂B−1溶液」
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルエチルケトン(MEK)を233.3部仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら80℃まで昇温した。フラスコ内の温度が80℃になったら、メタクリル酸メチル22.00部、メタクリル酸n−ブチル76.84部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル1.16部、アゾビスイソブチロニトリル0.08部を混合したモノマー溶液を2時間掛けて滴下した。
モノマー滴下終了1時間後から1時間毎に、アゾビスイソブチロニトリルを0.02部づつ加えて反応を続け、溶液中の未反応モノマーが1%以下になるまで反応を続けた。未反応モノマーが1%以下になったら冷却して反応を終了し、固形分約30%のアクリル系樹脂B−1溶液を得た。
アクリル系樹脂B−1は、ガラス転移温度:36℃、酸価:0.0(mgKOH/g)、水酸基価:5.0(mgKOH/g)、質量平均分子量:310,000であった。
合成例102〜113「アクリル系樹脂B−2〜B−13溶液」
表−2の組成に従って反応を行い、アクリル系樹脂B−2〜B−13溶液を得た。ガラス転移温度、酸価、水酸基価、質量平均分子量を表−2に示す。
なお、固形分、ガラス転移温度、酸価、水酸基価、質量平均分子量(Mw)は、シリコーン系樹脂の測定で用いたものと同じ方法により測定した。
合成例114「ポリエステル系樹脂C−1溶液」
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、東洋紡(株)製バイロン200を100部入れ、さらにメチルエチルケトンを233.3部を加えて窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温した。バイロン200が完全に溶解するまで撹拌を続けた。完全に溶解したことを確認して、室温まで冷却し、固形分約30%のポリエステル系樹脂溶液C−1を得た。
ポリエステル系溶液樹脂C−1は、酸価:2(mgKOH/g)、水酸基価:6(mgKOH/g)、ガラス転移温度:67℃、数平均分子量:17,000であった。
合成例115「ポリエステル系樹脂C−2溶液」
ポリエステル系樹脂C−1と同様の方法で、東洋紡(株)製バイロン802を溶解してポリエステル系樹脂溶液C−2を得た。
ポリエステル系溶液樹脂C−2は、酸価:<1(mgKOH/g)、水酸基価:37mgKOH/g、ガラス転移温度:60℃、数平均分子量:3,000であった。
合成例116「ポリエステル系樹脂C−3溶液」
ポリエステル系樹脂C−1と同様の方法で、DIC(株)製バーノックD−161を溶解してポリエステル系樹脂溶液C−3を得た。
ポリエステル系溶液樹脂C−3は、酸価:4(mgKOH/g)、水酸基価:165(mgKOH/g)であった。
合成例117「エポキシ系樹脂D−1溶液」
ポリエステル系樹脂C−1と同様の方法で、荒川化学(株)製アラキード9205を溶解して、固形分約30%のエポキシ系樹脂溶液D−1を得た。
エポキシ系溶液樹脂D−1は、酸価:0(mgKOH/g)、水酸基価:220(mgKOH/g)、ガラス転移温度:84℃、質量平均分子量:30,000であった。
合成例118「エポキシ系樹脂D−2溶液」
ポリエステル系樹脂C−1と同様の方法で、三菱化学(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂jer−1007を溶解して、固形分約30%のエポキシ系樹脂溶液D−2を得た。
エポキシ系樹脂溶液D−2は、エポキシ当量:1600〜1900、軟化点:127〜133℃、分子量:2,900であった。
「ポリイソシアネート化合物(E)の製造」
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート体を酢酸エチルで希釈して、固形分50%の樹脂溶液としてポリイソシアネート化合物(E)の溶液を得た。
「実施例1」
合成例1で得られたシリコーン系樹脂(A−3)0.5質量部(固形重量)に、アクリル系樹脂(B−1)100質量部(固形重量)と、ポリイソシアネート化合物(E)7質量部(固形重量)を加え、さらに固形分が30%になるようにメチルエチルケトン(MEK)を加えて撹拌し、硬化性保護塗料を得た。
得られた硬化性保護塗料を、バーコーターを用いて、予めコロナ処理を施した厚さ25μmの延伸ナイロンフィルムのコロナ処理面に塗布し、100℃のオーブン中で1分間乾燥して溶剤類を揮発させた。乾燥後の膜厚が5μmとなるようにバーコーターを選択した。
次いで50℃の恒温室に4日間放置してシリコーン系樹脂とアクリル系樹脂、ポリイソシアネート化合物との反応を熟成させて、延伸ナイロンフィルム上に硬化樹脂被膜層を形成した。
次に、厚さ40μmのアルミニウム箔の両面に化成処理を施し、化成処理した一方の面に、本発明の硬化性保護塗料を積層した延伸ナイロンフィルムの非塗布面をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化成処理したアルミニウム箔の他の面に酸変性したポリプロピレンのエマルジョンをロールコート法により塗布乾燥し、180℃の温度で焼き付けし、該焼き付け面に30μmの厚さのポリプロピレンフィルムを熱ラミネートして、一次積層体を形成した。
化成処理は、処理液として、フェノール樹脂、フッ化クロム(3)化合物、リン酸からなる水溶液を、ロールコート法により塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で焼き付けた。クロムの塗布量は、2mg/m2(乾燥重量)である。
以下に示す方法に従い、動摩擦係数、成型性1、成型性2、電解質溶液耐性、層間剥離を評価し、結果を表−3に示す。
≪動摩擦係数≫
コロナ処理を施した延伸ナイロンフィルムに、本発明の硬化性保護塗料を塗布乾燥した積層体を、50℃の恒温室で4日間放置し、硬化性樹脂の水酸基とポリイシシアネート化合物の反応を熟成させる。熟成が終了した延伸ナイロンフィルムの塗布面に、底辺の長さが63mm×63mm、質量200gの表面の平滑なステンレス製ブロック直方体を載せる。引っ張り速度:100mm/minの速度でステンレス製ブロック直方体を引っ張り、その時の応力を測定する。3回測定し、3回の平均を応力(g)とする。
動摩擦係数(μ)=応力(g)÷ステンレス製ブロックの重量(g)
4:動摩擦係数 0.10未満
3:動摩擦係数 0.10〜0.15未満
2:動摩擦係数 0.15〜0.20未満
1:動摩擦係数 0.20以上
≪成型性1≫
前記一次積層体を用いて、容量75mlの円形容器(フランジ径:80mmφ、底
部径:57mmφ、深さ:27mm)の型を用いて、成型試験を行った。評価は、フランジから底部にかけての側面部で、積層体の割れや、外層側樹脂フィルム層の破れ、皺の発生状態を評価した。試験は各積層体について50個の成型試験を行った。
4:50個すべてに割れ、破れ、皺の発生が見られない。
3:50個中2個に割れ、破れ、皺の何れかの発生が見られた。
2:50個中5個に割れ、破れ、皺の何れかの発生が見られた。
1:50個中10個に割れ、破れ、皺の何れかの発生が見られた。
≪成型性2≫
前記一次積層体を用いて、エンボス形状が30mm×50mmの大きさの打ち抜き
成型機に、一次積層体のポリプロピレン側を内側になるように載せて、本発明の硬化樹脂皮膜が外側になるように7mmの深さになるまで型抜きする。エンボスの側面とコーナー部の割れ、破れ、皺の発生の状態を評価する。
4:7mmの深さまで、割れ、破れ、皺の発生が見られない。
3:5〜7mm未満の深さで、割れ、破れ、皺の何れかの発生が見られる。
2:3〜5mm未満の深さで、割れ、破れ、皺の何れかの発生が見られる。
1:3mm未満の深さで、割れ、破れ、皺の何れかの発生が見られる。
≪電解質溶液耐性≫
前記一次積層体の最外層、本発明の硬化樹脂皮膜層の上に電解質溶液(LiPF6が1モルの濃度となるように調整した電解質溶液、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1の混合溶液)を垂らし、70℃のオーブン中に3時間静置する。3時間後に取り出して、最外層の表面を目視観察する。
4:表面に異常が全く見られない。
3:点状に白化部分が見られる。
2:全体に白化が見られる。
1:皮膜が溶解している。
≪ヒートシール部の層間剥離≫
前記一次積層体を一旦ロール状に巻き、その後巻き戻した。巻き戻した一次積層体から、エンボス形状に打ち抜き成型した成型物を得る。次いで、前記成型物と打ち抜きしていない平らな一次積層体(巻き戻したもの)のポリプロピレン側同士を、4辺の内の3辺を190℃、98N/cm2、5秒の条件でヒートシールする。ヒートシールしていない開口部から上記電解質溶液を注ぎ入れて、その口もヒートシールする。各検体を、60℃、90%RHの恒温恒湿層に7日間保存した後に、ヒートシール部の層間剥離を目視評価下。
4:10個成型した内の10個すべてに層間剥離が見られない。
3:10個成型した内の3個未満に層間剥離が見られる。
2:10個成型した内の3〜5個未満に層間剥離が見られる。
1:10個成型した内の5個以上に層間剥離が見られる。
「実施例2〜23」、「比較例1〜3」
表−3に従って、実施例1と同様の方法で一次積層体を形成した。実施例1と同様の方法で、動摩擦係数、成型性1、成型性2、電解質溶液耐性、層間剥離の評価を行い、その結果を表−3に示す。
「比較例4」
合成例3で得られたアクリル系樹脂(B−3)100質量部(固形重量)に、ポリイソシアネート化合物(E)55質量部(固形重量)を加え、さらに、スリップ剤としてサイラプレーンFM−0721(チッソ(株)製メタクリロキシシリコーンマクロマー)を3質量部(固形重量)加えた。さらに固形分が30%になるようにメチルエチルケトン(MEK)を加えて撹拌し、硬化性保護塗料を得た。実施例1と同様の方法で一次積層体を形成し、実施例1と同様の方法で、動摩擦係数、成型性1、成型性2、電解質溶液耐性、層間剥離の評価を行い、その結果を表−3に示す。
アクリル系樹脂(B−3)100質量部(固形重量)に、サイラプレーンFM−0721を3質量部(固形重量)加えたものの、ポリシロキサン構造由来のSi元素含有量は1.0[g/100g]である。
「比較例5」
比較例5は、シリコーン系樹脂(A−3)5質量部(固形重量)とアクリル系樹脂(B−3)100質量部(固形重量)を加えたのみで、ポリイソシアネート化合物(E)を加えないで、実施例1と同様の方法で一次積層体を形成した。実施例1と同様の方法で、動摩擦係数、成型性1、成型性2、電解質溶液耐性、層間剥離の評価を行い、その結果を表−3に示す。
「比較例6」
厚さ40μmのアルミニウム箔の両面に化成処理を施し、化成処理した一方の面に、コロナ処理を施した延伸ナイロンフィルムの非コロナ処理面を、ドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化成処理したアルミニウム箔の他の面に酸変性したポリプロピレンのエマルジョンをロールコート法により塗布乾燥し、180℃の温度で焼き付けし、該焼き付け面に30μmの厚さのポリプロピレンフィルムを熱ラミネートして、一次積層体を形成した。この一次積層体を用いて、実施例1と同様の方法で評価した。実施例1と同様の方法で、動摩擦係数、成型性1、成型性2、電解質溶液耐性、層間剥離の評価を行い、その結果を表−3に示す。
Figure 2016201238
Figure 2016201238
Figure 2016201238
表3に示すように、比較例1、2は、シリコーン系樹脂(A)が水酸基を含有しないため、樹脂硬化皮膜にシリコーン化合物が固定されない。積層体を巻き取った際に、樹脂硬化皮膜からシリコーン化合物が脱落し、反対面のポリプロピレンフィルムに付着して、ヒートシール性を損ねる。
比較例3は、樹脂硬化皮膜中にポリシロキサン構造を含有しないため、樹脂硬化皮膜のスリップ性が劣る。成型時に樹脂硬化皮膜と成型メス型との間の摩擦抵抗が大きくなり、成型物に割れや、破れ、皺が発生する。
比較例4は、スリップ剤に水酸基を含有しないサイラプレーンを加えたため、積層体を巻き取った際に、樹脂硬化皮膜からシリコーン化合物が脱落し、反対面のポリプロピレンフィルムに付着して、ヒートシール性を損なう。
比較例5、6は、シリコーン系樹脂(A)は水酸基を含有しているが、硬化剤(II)を含有しないため、樹脂皮膜が架橋・硬化していない。そのため、電解質溶液に汚染されやすく、シリコーン系樹脂が樹脂皮膜から脱落して反対面のポリプロピレンフィルムに付着して、ヒートシール性を損ねる。
比較例7は、延伸ナイロンフィルム上に樹脂皮膜を全く設けていないため、スリップ性が悪く、成型時に割れや、破れ、皺が発生する。また、電解質溶液が付着すると汚染される。
本発明の硬化性保護塗料を、プラスチックフィルムやプラスチック成型物、アルミニウム箔、アルミニウム板、銅箔、ブリキ板、亜鉛メッキ鋼板、ガラス板、ガラス瓶などに塗布・硬化させた積層体は、電池用包装材料をなじめ、太陽電池裏面保護シートや、屋外ディスプレー、マーキングフィルム、ガラス飛散防止フィルム、反射防止フィルム、熱線防止フィルムなどに利用することが出来る
また、耐溶剤性や耐摩耗性に優れることから、ハードコート剤としても好適に利用できる。
さらに、本発明の硬化性保護塗料は、電解質溶液耐性に優れることから、バリア性に優れる樹脂皮膜を与える。
したがって、本発明の硬化性保護塗料は、例えば、各種記録材料、ICカード、ICタグなどをはじめ、薬品や食品などの包装材、太陽電池用裏面保護シート、マーキングフィルム、感光性樹脂板、粘着シート、色素増感型太陽電池、偏光板保護用樹脂フィルム、反射防止用樹脂フィルム、光拡散フィルムなどの光学樹脂フィルム、ガラス飛散防止樹脂フィルム、化粧シート、窓用樹脂フィルムなどの建築材料用樹脂フィルム、表示材料、電飾看板などの屋内外のオーバーレイ用樹脂フィルム、シュリンクフィルムなどに使用することができる。
(10):保護層
(11):外層側樹脂フィルム層
(12):外層側接着剤層
(13):金属箔層
(14):内層側接着剤層
(15):ヒートシール層

Claims (11)

  1. 最外層から順に、保護層、外層側樹脂フィルム層、外層側接着剤層、金属箔層、内層側接着剤層、およびヒートシール層を必須とする蓄電デバイス用包装材料であって、
    前記保護層が、下記(1)〜(3)の条件の全てを満たす、蓄電デバイス用包装材料。
    (1)前記保護層が、水酸基を有する硬化性樹脂(I)と硬化剤(II)とを含有する硬化性保護塗料から形成される。
    (2)前記水酸基を有する硬化性樹脂(I)は、水酸基およびポリシロキサン構造を有するシリコーン系樹脂(A)を含む。
    (3)前記水酸基を有する硬化性樹脂(I)と硬化剤(II)との合計100質量%中に、ポリシロキサン構造由来のSi元素を0.01〜10質量%含む。
  2. 水酸基およびポリシロキサン構造を有するシリコーン系樹脂(A)は、水酸基を有し、ポリシロキサン構造を有しないアクリル系モノマーと、ポリシロキサン構造を有し、水酸基を有しないアクリル系モノマーと、水酸基もポリシロキサン構造も有しない他のアクリル系モノマーとを共重合してなるか、
    あるいは、水酸基およびポリシロキサン構造を有するアクリル系モノマーと、水酸基もポリシロキサン構造も有しない他のアクリル系モノマーとを共重合してなる、
    あるいは、水酸基およびポリシロキサン構造を有するアクリル系モノマーと、水酸基を有し、ポリシロキサン構造を有しないアクリル系モノマーと、水酸基もポリシロキサン構造も有しない他のアクリル系モノマーとを共重合してなる、
    水酸基価が5〜100(mgKOH/g)、ガラス転移温度が30℃以下、質量平均分子量(Mw)が10,000〜800,000の共重合体である、請求項1記載の蓄電デバイス用包装材料。
  3. 水酸基を有する硬化性樹脂(I)100質量部に対して、硬化剤(II)を5〜200質量部含有することを特徴とする請求項1または2記載の蓄電デバイス用包装材料。
  4. 硬化剤(II)がポリイソシアネート化合物(E)を含む、請求項1〜3いずれか1項に記載の蓄電デバイス用包装材料。
  5. 保護層の動摩擦係数が0.15以下である、請求項1〜4いずれか1項に記載の蓄電デバイス用包装材料。
  6. 外層側樹脂フィルム層がナイロン系熱可塑性樹脂フィルム、もしくはポリエステル系熱可塑性フィルムである、請求項1〜5いずれか1項に記載の蓄電デバイス用包装材料。
  7. 水酸基を有する硬化性樹脂(I)が、水酸基およびポリシロキサン構造を有するシリコーン系樹脂(A)の他に、水酸基を有するアクリル系樹脂(B)、水酸基を有するポリエステル系樹脂(C)および水酸基を有するエポキシ系樹脂(D)からなる群より選ばれる少なくとも一種の水酸基を有する樹脂をさらに含む、請求項1〜6いずれか1項に記載の蓄電デバイス用包装材料。
  8. 水酸基を有するアクリル系樹脂(B)、水酸基を有するポリエステル系樹脂(C)および水酸基を有するエポキシ系樹脂(D)の合計100質量部に対し、シリコーン系樹脂(A)を0.2〜50質量部含有する、請求項7記載の蓄電デバイス用包装材料。
  9. アクリル系樹脂(B)は、水酸基を有し、ポリシロキサン構造を有しないアクリル系モノマーと、水酸基もポリシロキサン構造も有しない他のアクリル系モノマーとを共重合してなる、水酸基価が5〜100(mgKOH/g)、ガラス転移温度が20〜90℃、質量平均分子量(Mw)が30,000〜800,000の共重合体である、請求項7または8記載の蓄電デバイス用包装材料。
  10. 請求項1〜9いずれか1項に記載の蓄電デバイス用包装材から形成されてなる蓄電デバイス用容器であって、保護層が最外面を構成している、蓄電デバイス用容器。
  11. 請求項10記載の蓄電デバイス用容器を使用してなる蓄電デバイス。
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