JP2016197645A - 積層コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】高電圧の印加に起因する欠陥を防止することができる積層コンデンサを提供する。
【解決手段】積層コンデンサは、第1の容量形成層と、第2の容量形成層と、中間層とを具備する。上記第1の容量形成層は、複数の第1の内部電極層と、複数の第1の誘電体層と、第1の主面及び第2の主面とを有する。上記第2の容量形成層は、複数の第2の内部電極層と、複数の第2の誘電体層と、第3の主面及び第4の主面とを有する。上記中間層は、上記第2の主面と上記第3の主面とに挟まれて配設される。上記複数の第1の誘電体層のうち、上記第1及び第2の主面に最も近い第1の誘電体層は、それぞれ、他の第1の誘電体層の厚みよりも厚く、上記複数の第2の誘電体層のうち、上記第3及び第4の主面に最も近い第2の誘電体層は、それぞれ、他の第2の誘電体層の厚みよりも厚い。
【選択図】図2

Description

本発明は、耐圧性を高めることができる積層コンデンサに関する。
近年、電子機器の小型化及び高性能化に伴い、電子機器に用いられる積層コンデンサに対する小型化及び大容量化への要求がますます強くなってきている。この要求に応えるため、内部電極層を多層化し、チタン酸バリウム(BaTiO)等の高誘電率の誘電材料を用いた積層コンデンサが製造されている。
一方で、このような積層コンデンサに高電圧を印加した場合、誘電材料に電歪変形が発生しやすい。電歪変形は、電圧の印加によって誘電材料が機械的に歪む現象であり、これによって積層コンデンサ内部にクラックが発生し、絶縁不良が発生することがあった。
そこで、特許文献1〜3には、誘電体層と内部電極層との積層構造の間に、電歪変形に伴う応力を緩和する中間層を設けた構造の積層コンデンサが記載されている。
特開平9−180956号公報 特開平11−150037号公報 特開2007−13132号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の積層コンデンサであっても、高電圧の印加に伴い、電界が集中する一部の内部電極層間に局所的な絶縁破壊が生じることがあった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、高電圧の印加に起因する欠陥を防止することができる積層コンデンサを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る積層コンデンサは、第1の容量形成層と、第2の容量形成層と、中間層とを具備する。
上記第1の容量形成層は、厚み方向に積層された複数の第1の内部電極層と、上記複数の第1の内部電極層間に形成された複数の第1の誘電体層と、上記厚み方向に相互に対向する第1の主面及び第2の主面とを有する。
上記第2の容量形成層は、上記厚み方向に積層された複数の第2の内部電極層と、上記複数の第2の内部電極層間に形成された複数の第2の誘電体層と、上記厚み方向に対向する第3の主面及び第4の主面とを有し、上記第3の主面が上記第1の容量形成層の第2の主面と上記厚み方向に対向するように配設される。
上記中間層は、上記第2の主面と上記第3の主面とに挟まれて配設される。
また、上記複数の第1の誘電体層のうち、上記第1の主面に最も近い第1の誘電体層及び上記第2の主面に最も近い第1の誘電体層は、それぞれ、他の第1の誘電体層の厚みよりも厚く、
上記複数の第2の誘電体層のうち、上記第3の主面に最も近い第2の誘電体層及び上記第4の主面に最も近い第2の誘電体層は、それぞれ、他の第2の誘電体層の厚みよりも厚い。
上記構成によれば、高電圧を印加されて電歪変形が生じた場合であっても、中間層によってクラック等の構造欠陥を防止することができる。また、誘電体層のうち、各主面に最も近い誘電体層が、他の誘電体層の厚みよりも厚いことから、各主面に最も近い内部電極層の先端部における電界の集中を防止し、局所的な絶縁破壊を防止することができる。
また、上記第1の主面に最も近い第1の誘電体層及び上記第2の主面に最も近い第1の誘電体層の厚みは、それぞれ、上記他の第1の誘電体層の厚みの2倍以上であり、
上記複数の第2の誘電体層のうち、上記第3の主面に最も近い第2の誘電体層及び上記第4の主面に最も近い第2の誘電体層の厚みは、それぞれ、上記他の第2の誘電体層の厚みの2倍以上であってもよい。
上記厚みで形成された各主面に最も近い誘電体層は、他の誘電体層等に用いられるグリーンシートを2枚以上重ねることにより、容易に形成され得る。
また、上記中間層は、上記第1の主面に最も近い第1の誘電体層、上記第2の主面に最も近い第1の誘電体層、上記第3の主面に最も近い第2の誘電体層及び上記第4の主面に最も近い第2の誘電体層のいずれよりも厚くてもよい。
これにより、中間層の厚みを十分に確保することができ、応力緩和機能を発揮することができる。
さらに、上記中間層は、補強用のダミー内部電極層を有していてもよい。
これにより、中間層と第1及び第2の容量形成層との熱収縮率の差に起因する焼成時の構造欠陥を防止するとともに、焼成後の積層コンデンサにおける強度も高めることができる。
また、上記中間層は、上記第1の容量形成層及び上記第2の容量形成層における電歪変形に起因して発生する応力を緩和するように構成されてもよい。
これにより、中間層によってより効果的にクラックを防止することができる。
以上のように、上記積層コンデンサによれば、高電圧の印加に起因する欠陥を防止することができる。
本発明の一実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。 上記積層コンデンサの素体のX−Z平面における断面図である。 上記積層コンデンサの素体のY−Z平面における断面図である。 図2の拡大断面図である。 上記実施形態の比較例に係る積層コンデンサのX−Z平面における断面図である。 上記積層コンデンサの製造に用いられるシート材を示す図であり、図6AはY−Z平面における断面図、図6Bは斜視図である。 他のシート材を示す図であり、図7AはY−Z平面における断面図、図7Bは斜視図である。 焼成前の上記積層コンデンサの素体の製造方法を説明するための、Y−Z平面における断面図である。 上記比較例に係る積層コンデンサの素体の製造方法を説明するための、Y−Z平面における断面図である。 本実施形態の変形例1に係る積層コンデンサのX−Z平面における断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。各図においてX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を直交する三軸方向とし、Z軸方向を積層コンデンサの厚み方向とする。
[積層コンデンサの構成]
図1は、本実施形態に係る積層コンデンサ100の斜視図である。
同図に示すように、積層コンデンサ100は、素体Eと、外部電極61と、外部電極62とを備える。積層コンデンサ100は、略直方体状の素体Eの対向する端面に、2つの外部電極61、62がそれぞれ形成された構成を有する。
図2〜図4は素体Eの断面図であり、図2はX−Z平面における断面図、図3はY−Z平面における断面図、図4は図2の拡大断面図である。
これらの図に示すように、積層コンデンサ100の素体Eは、容量形成層(第1の容量形成層)10と、容量形成層(第2の容量形成層)20と、中間層30と、カバー層40,50とを有し、これらがZ軸方向に積層された積層体として構成される。
(容量形成層)
容量形成層10は、図4に示すように、Z軸方向に積層された複数の内部電極層(第1の内部電極層)11と、複数の内部電極層11間に形成された複数の誘電体層(第1の誘電体層)12とを有する。さらに容量形成層10は、複数の内部電極層11と複数の誘電体層12とが交互に積層された積層体の主面として、Z軸方向に相互に対向する第1の主面10a及び第2の主面10bを有する。
複数の内部電極層11は、それぞれ導電性材料からなり、平板状に構成された積層コンデンサ100の内部電極として機能する。当該導電性材料としては、例えばニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、又はこれらの合金を含む金属材料が適用され得る。
容量形成層10では、図2に示すように、外部電極61に接続された内部電極層11と、外部電極62に接続された内部電極層11とが交互に配設されている。これにより、外部電極61と外部電極62との間に所定の電圧を印加することで、相互に向き合う内部電極層11間にも電圧が印加され、容量形成層10に所定の容量が発生し得る。
複数の誘電体層12は、内部電極層11間の各層の容量を大きくするため、高誘電率の材料からなる。高誘電率の材料としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)に代表される、バリウム(Ba)及びチタン(Ti)を含むペロブスカイト構造の材料が採用され得る。
図4に示すように、複数の誘電体層12のうち、第1の主面10aに最も近い誘電体層12を第1の主面側誘電体層12aと定義し、第2の主面10bに最も近い誘電体層12を第2の主面側誘電体層12bと定義する。また、複数の誘電体層12のうち、第1の主面側誘電体層12a及び第2の主面側誘電体層12b(主面側誘電体層12a,12b)以外の誘電体層12を、それぞれ内部誘電体層12cと定義する。
本実施形態において、主面側誘電体層12a,12bは、それぞれ、内部誘電体層12cよりも厚く、例えば主面側誘電体層12a,12bの厚みが内部誘電体層12cの厚みの2倍以上とすることができる。すなわち、第1の主面側誘電体層12aの厚みをD1、第2の主面側誘電体層12bの厚みをD2、内部誘電体層12cの厚みをD3とすると、D1とD2は、いずれもD3より大きい。またD1とD2は同一の厚みであってもよい。
一方、容量形成層20は、図4に示すように、Z軸方向に積層された複数の内部電極層(第2の内部電極層)21と、複数の内部電極層21間に形成された複数の誘電体層(第2の誘電体層)22とを有する。さらに容量形成層20は、複数の内部電極層21と複数の誘電体層22とが交互に積層された積層体の主面として、Z軸方向に相互に対向する第3の主面20a及び第4の主面20bを有する。
複数の内部電極層21は、それぞれ導電性材料からなり、平板状に構成された積層コンデンサ100の内部電極として機能する。当該導電性材料としては、例えばNi、Cu、Pd、Pt、Ag、Au、又はこれらの合金を含む金属材料が適用され得る。
容量形成層20では、図2に示すように、外部電極61に接続された内部電極層21と、外部電極62に接続された内部電極層21とが交互に配設されている。これにより、外部電極61と外部電極62との間に所定の電圧を印加することで、相互に向き合う内部電極層21間にも電圧が印加され、容量形成層20に所定の容量が発生し得る。
第3の主面20aが形成された内部電極層21は、第2の主面10bが形成された内部電極層11と同一の外部電極61に接続されている。これにより、中間層30を挟む内部電極層11,21を略同一の電位とすることができ、これらの内部電極層11,21が容量形成しない構成とすることができる。
複数の誘電体層22は、内部電極層21間の各層の容量を大きくするため、高誘電率の材料からなる。高誘電率の材料としては、例えば、誘電体層12と同様の材料が採用され得る。
図4に示すように、複数の誘電体層22のうち、第3の主面20aに最も近い誘電体層22を第3の主面側誘電体層22aと定義し、第4の主面20bに最も近い誘電体層22を第4の主面側誘電体層22bと定義する。また、複数の誘電体層22のうち、第3の主面側誘電体層22a及び第4の主面側誘電体層22b(主面側誘電体層22a,22b)以外の誘電体層22を、それぞれ内部誘電体層22cと定義する。
本実施形態において、主面側誘電体層22a,22bは、それぞれ、内部誘電体層22cよりも厚く、例えば主面側誘電体層22a,22bの厚みを内部誘電体層22cの厚みの2倍以上とすることができる。すなわち、第3の主面側誘電体層22aの厚みをD4、第4の主面側誘電体層22bの厚みをD5、内部誘電体層22cの厚みをD6とすると、D4とD5は、いずれもD6より大きい。またD4とD5は同一の厚みであってもよい。
(中間層)
図2〜図4に示すように、中間層30は、第2の主面10bと第3の主面20aとに挟まれて、2つの容量形成層10,20の間に配設される。
中間層30は、積層コンデンサ100の容量形成にほとんど寄与せず、電歪変形がほとんど発生しない構成を有する。本実施形態においては、中間層30を挟む内部電極層11,21間で容量を形成しないため、中間層30が容量の形成に寄与しない。これにより、本実施形態の中間層30は、容量形成層10,20における電歪変形に起因して発生する応力を緩和することができる。
本実施形態において、中間層30は、全体が誘電材料で形成され、例えば誘電体層12,22と同一の材料で形成されてもよい。
中間層30の厚みD7は、少なくとも内部誘電体層12c、22cの厚みD3,D6よりは大きい厚みであればよく、例えば主面側誘電体層12a,12b,22a,22bの厚みD1,D2,D4,D5のいずれの厚みよりも厚く構成される。このように、中間層30の厚みD7を、各誘電体層12,22の厚みD1〜D6、すなわち隣接する内部電極層11間及び隣接する内部電極層21間の距離よりも長く設定することで、中間層30の応力緩和機能を高めることができる。
(カバー層)
図2〜図4に示すように、カバー層40は、容量形成層10の第1の主面10a上に形成され、カバー層50は、容量形成層20の第4の主面20b上に形成される。カバー層40,50は、第1の主面10a側の内部電極層11及び第4の主面20b側の内部電極層21をそれぞれ被覆し、これらの内部電極層11,21を外部から保護する機能を有する。
カバー層40,50は、いずれも誘電材料で形成され、例えば誘電体層12,22と同一の材料で構成されてもよい。
カバー層40,50の厚みは特に限定されないが、例えば主面側誘電体層12a,12b,22a,22bの厚みD1、D2,D4,D5のいずれの厚みよりも厚く構成され得る。これにより、カバー層40,50が十分な保護機能を発揮することができる。
[積層コンデンサの作用効果]
図5は、比較例に係る積層コンデンサ200のX−Z平面における断面図である。
同図に示すように、積層コンデンサ200は、積層コンデンサ100と同様のカバー層40,50と、容量形成層70と、外部電極61,62とを備える。容量形成層70は、容量形成層10,20と同様に、複数の内部電極層71と複数の誘電体層72とが交互に積層された積層体として構成される。複数の誘電体層72は、いずれも略同一の厚みで形成されている。
積層コンデンサ200は、高電圧を印加され誘電体層72に電歪変形が生じた場合に、特に容量形成層70の中央部に大きな応力が付加され、クラックが発生し得る。
また、容量形成層70の最外層の内部電極層71は、一方の主面を介してのみ容量形成しているため、特に先端部に電界が集中しやすく、局所的な絶縁破壊が生じやすい。
一方、本実施形態の積層コンデンサ100は、2つの容量形成層10,20の間に電歪変形に起因する応力を緩和する中間層30が設けられているため、高電圧を印加されて電歪変形が生じた場合であっても、中間層30によって応力が緩和され、クラック等の構造欠陥を防止することができる。
これに加えて、積層コンデンサ100では、主面側誘電体層12a,12b,22a,22bが内部誘電体層12c,22cよりも厚い。
上記構成によれば、主面側誘電体層12a,12b,22a,22bによって形成されるコンデンサの静電容量を、内部誘電体層12c,22cによって形成されるコンデンサの静電容量よりも低減することができる。これによって、最外層の内部電極層11,21における電界の集中を防止し、局所的な絶縁破壊を防止することができる。
特に本実施形態では、カバー層40,50側の誘電体層12a,22bのみならず、中間層側の誘電体層12b,22aも、他の誘電体層12c,22cより厚い。
仮に中間層30を設け、中間層30側の誘電体層12b,22aを内部誘電体層12c,22cと同一の厚みとした場合、中間層30に最も近い内部電極層11,21にも電界が集中する。上記構成によれば、中間層30に最も近い内部電極層11,21においても電界の集中を防止することができるため、これらの内部電極層11,21における絶縁破壊を効果的に防止することができる。
以上のように、本実施形態によれば、中間層30によって電歪変形に起因する構造欠陥を防止しつつ、局所的な電界集中による絶縁破壊も防止することができ、高電圧の印加に起因する積層コンデンサの欠陥を防止することができる。
[積層コンデンサの製造方法]
積層コンデンサ100の製造方法について説明する。
まず、2種類のシート材110,120を準備する。
図6はシート材110を示す図であり、図6AはY−Z平面における断面図、図6Bは斜視図である。
図6A,Bに示すシート材110は、未焼成の誘電体セラミック材料からなるグリーンシート111上に、内部電極層11,21となる電極材料112を形成したものである。電極材料112は、シート材110の一方の短辺から露出し、他方の短辺からは露出しない形状に形成され、例えばスクリーン印刷法により形成され得る。後述するように、シート材110は、主に容量形成層10,20における内部電極層11,21と、誘電体層12,22との積層構造を作製するために用いられる。
図7はシート材120を示す図であり、図7AはY−Z平面における断面図、図7Bは斜視図である。
図7A,Bに示すシート材120は、未焼成の誘電体セラミック材料からなるグリーンシート121からなり、電極材料は形成されていない。シート材120は、主に、カバー層40,50や中間層30等の、誘電材料で構成された層を作製するために用いられる。
グリーンシート121は、グリーンシート111の厚み以上の厚みを有しており、例えばグリーンシート111の厚みの1.5〜2倍程度の厚みを有していてもよい。これにより、カバー層40,50や中間層30におけるシート材120の層数を低減することができる。
続いて、2種類のシート材110,120を積層し、未焼成の素体130を形成する。
図8はシート材110,120が積層された素体130の製造方法を説明するための、Y−Z平面における断面図である。これらの図を参照し、素体130の構成についてZ軸方向下方から上方へ向かって順次説明する。
まず、カバー層50に相当する領域50Uを形成する。
具体的には、電極材料が形成されていないシート材120を複数積層する。シート材120の層数は特に限定されないが、例えば20層以上とすることができる。
続いて領域50U上に、容量形成層20に相当する領域20Uを形成する。
具体的には、領域50Uのシート材120上に、電極材料112が形成されたシート材110を配置し、その上に電極材料が形成されていないシート材120を配置する。これらの重ねられたグリーンシート111,121は、第4の主面側誘電体層22bに対応する領域22Ubを構成する。
さらにその上に、複数のシート材110を、例えば数十層〜数百層積層する。これらのシート材110は、電極材料112の形成された辺が互い違いに配置されるように積層される。
所定の層数積層されたシート材110上に、電極材料が形成されていないシート材120を配置し、その上に電極材料112が形成されたシート材110を配置する。これらの重ねられたグリーンシート111,121は、第3の主面側誘電体層22aに対応する領域22Uaを構成する。
続いて領域20Uのシート材110のシート材110上に、中間層30に相当する領域30Uを形成する。
具体的には、領域20U上に、電極材料が形成されていないシート材120を複数積層する。シート材120の層数は特に限定されないが、例えば2層以上数十層以下とすることができる。
続いて領域30U上に、容量形成層10に相当する領域10Uを形成する。
具体的には、領域30Uのシート材120上に、電極材料112が形成されたシート材110を配置し、その上に電極材料が形成されていないシート材120を配置する。これらの重ねられたグリーンシート111,121は、第2の主面側誘電体層12bに対応する領域12Ubを構成する。
さらにその上に、複数のシート材110を積層する。これらのシート材110は、電極材料112の形成された辺が互い違いに配置されるように積層される。積層されたシート材110の層数は、例えば数十層〜数百層とすることができる。
所定の層数積層されたシート材110上に、電極材料が形成されていないシート材120を配置し、その上に電極材料112が形成されたシート材110を配置する。これらの重ねられたグリーンシート111,121は、第1の主面側誘電体層12aに対応する領域12Uaを構成する。
最後に、領域10U上に、カバー層40に相当する領域40Uを形成する。
具体的には、領域10Uのシート材110上に、電極材料が形成されていないシート材120を複数積層する。シート材120の層数は特に限定されないが、例えば20層以上とすることができる。
このように、Z軸方向下方から上方へ向かって、領域50U、領域20U、領域30U、領域10U及び領域40Uを順次積層し、プレス処理を施すことにより、これらの積層体が一体化し、未焼成の素体130が作製される。プレス処理の方法としては、例えば、静水圧プレス法を用いることができる。
なお、以上では1つの素体130について説明したが、実際には、複数の素体130が配列された積層シートが形成され、素体130ごとに個片化されることで、素体130が作製される。
続いて、素体130を焼成する。焼成は例えば還元雰囲気下、あるいは、低酸素分圧雰囲気下において行うことができる。その後、焼成後の素体130の一方の端面を覆うように未焼成の電極材料を塗布し、素体130の他方の端面を覆うように未焼成の電極材料を塗布する。
塗布された未焼成の電極材料を、例えば還元雰囲気下、あるいは、低酸素分圧雰囲気下において焼き付け処理を行って、素体130に下地膜を形成する。最後に、素体130に焼き付けられた下地膜の上に、中間膜と表面膜を電界メッキ等のメッキ処理で形成して、外部電極を作製し、上記構成の積層コンデンサ100が作製される。なお、積層コンデンサ100は他の製造方法によって製造してもよい。
[積層コンデンサの製造方法の作用効果]
図9は、比較例に係る積層コンデンサ200の素体の製造方法を説明するY−Z平面における断面図である。
同図に示すように、積層コンデンサ200も、2種類のシート材110,120を所定の順番及び向きで積層することで製造されるが、その積層順が積層コンデンサ100の製造方法と異なる。
すなわち、上述の製造方法と同様に2種類のシート材110,120を準備した後、まずカバー層50に相当する領域50Uを上述の方法で積層する。
続いて、領域50U上に、容量形成層70に相当する領域70Uを積層する。領域70Uは、複数のシート材110を、電極材料112の形成された辺が互い違いに配置されるように、数十層〜数百層程度積層することで形成される。
続いて、領域70Uの上にカバー層40に相当する領域40Uを上述の方法で積層し、圧着した後、外部電極を形成し、焼成することで、積層コンデンサ200が作製される。
この製造方法では、シート材120はカバー層40,50の形成に用いられ、シート材110は容量形成層70の形成に用いられる。
一方で、本実施形態では、カバー層40,50形成用のシート材120を、中間層30の形成、及び主面側誘電体層12a,12b,22a,22bの形成に用いる。これにより、準備するシート材の種類を増やすことなく、積層コンデンサ100の製造のための工数の増加を防止することができる。
また、上記製造方法によれば、内部誘電体層12c,22cは、図8に示すようにシート材110のグリーンシート111によって形成される。一方で、主面側誘電体層12a,12b,22a,22bは、いずれもシート材110のグリーンシート111と、シート材120のグリーンシート121とによって形成される(図8の領域12Ua,12Ub,22Ua,22Ub参照)。グリーンシート121は、上述のように、グリーンシート111の厚み以上の厚みを有する。これにより、上記製造方法を採用することによって、内部誘電体層12c,22cの2倍以上の厚みの主面側誘電体層12a,12b,22a,22bを容易に形成することができる。
同様に、グリーンシート121を2層以上積層することにより、主面側誘電体層12a,12b,22a,22bより厚い中間層30を容易に形成することができる。
[変形例1]
図10は、変形例1に係る積層コンデンサ300のX−Z平面における断面図である。
なお、本変形例において、積層コンデンサ100と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
同図に示すように、積層コンデンサ300は、容量形成層10と、容量形成層20と、中間層80と、カバー層40と、カバー層50と、外部電極61と、外部電極62とを備え、中間層80の構成が上述の中間層30とは異なる。
中間層80は、補強用の複数のダミー内部電極層81を有する。複数のダミー内部電極層81はZ軸方向に積層されており、これらのダミー内部電極層81間には複数の誘電体層82が形成されている。
各ダミー内部電極層81は、第1及び第2の外部電極61,62のいずれにも接続されておらず、容量の形成に寄与しない。
ダミー内部電極層81の材料は、内部電極層11,21と同等の熱収縮率を有する材料を採用することができ、典型的には内部電極層11,21と同様の金属材料が採用される。
ダミー内部電極層81の層数は特に限定されないが、例えば数層〜数十層とすることができる。
ダミー内部電極層81を設けることにより、中間層80の厚さを十分確保した場合であっても、内部電極層11,21を含む容量形成層10,20と中間層80との熱収縮率の差に起因する焼成時のクラック発生を防止することができる。また、焼成後の積層コンデンサ300においても、強度を高めることができる。
また、積層コンデンサ300の製造方法においては、例えば2種類のシート材110,120の他、グリーンシート上にダミー内部電極層81に対応する電極パターンが印刷されたシート材を用いる。そして、未焼成の素体130を形成する際、中間層80に相当する領域に上記電極パターンが印刷されたシート材を複数積層する。そして、他の工程を積層コンデンサ100と同様に実施することにより、積層コンデンサ300を製造することができる。
[その他の変形例]
さらに、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
例えば、ダミー内部電極層の構成は上述の例に限定されず、例えばダミー内部電極層が3個以上のダミー電極片を含んでいてもよい。
また、主面側誘電体層12a,12b,22a,22bの厚みは同一でなくてもよく、異なっていてもよい。また、主面側誘電体層12a,12b,22a,22bに加えて、これらの誘電体層に近い位置の誘電体層を、他の誘電体層より厚くしてもよい。
100,300,400…積層コンデンサ
10…第1の容量形成層(容量形成層)
20…第2の容量形成層(容量形成層)
30,80,90…中間層
81,91…ダミー内部電極層

Claims (5)

  1. 厚み方向に積層された複数の第1の内部電極層と、前記複数の第1の内部電極層間に形成された複数の第1の誘電体層と、前記厚み方向に相互に対向する第1の主面及び第2の主面とを有する第1の容量形成層と
    前記厚み方向に積層された複数の第2の内部電極層と、前記複数の第2の内部電極層間に形成された複数の第2の誘電体層と、前記厚み方向に対向する第3の主面及び第4の主面とを有し、前記第3の主面が前記第1の容量形成層の第2の主面と前記厚み方向に対向するように配設された第2の容量形成層と、
    前記第2の主面と前記第3の主面とに挟まれて配設される中間層と、を具備し、
    前記複数の第1の誘電体層のうち、前記第1の主面に最も近い第1の誘電体層及び前記第2の主面に最も近い第1の誘電体層は、それぞれ、他の第1の誘電体層の厚みよりも厚く、
    前記複数の第2の誘電体層のうち、前記第3の主面に最も近い第2の誘電体層及び前記第4の主面に最も近い第2の誘電体層は、それぞれ、他の第2の誘電体層の厚みよりも厚い
    積層コンデンサ。
  2. 請求項1に記載の積層コンデンサであって、
    前記第1の主面に最も近い第1の誘電体層及び前記第2の主面に最も近い第1の誘電体層の厚みは、それぞれ、前記他の第1の誘電体層の厚みの2倍以上であり、
    前記複数の第2の誘電体層のうち、前記第3の主面に最も近い第2の誘電体層及び前記第4の主面に最も近い第2の誘電体層の厚みは、それぞれ、前記他の第2の誘電体層の厚みの2倍以上である
    積層コンデンサ。
  3. 請求項1又は2に記載の積層コンデンサであって、
    前記中間層は、前記第1の主面に最も近い第1の誘電体層、前記第2の主面に最も近い第1の誘電体層、前記第3の主面に最も近い第2の誘電体層及び前記第4の主面に最も近い第2の誘電体層のいずれよりも厚い
    積層コンデンサ。
  4. 請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の積層コンデンサであって、
    前記中間層は、補強用のダミー内部電極層を有する
    積層コンデンサ。
  5. 請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の積層コンデンサであって、
    前記中間層は、前記第1の容量形成層及び前記第2の容量形成層における電歪変形に起因して発生する応力を緩和する
    積層コンデンサ。
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