JP2016194334A - 自動変速機 - Google Patents

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政弘 大竹
Masahiro Otake
政弘 大竹
直也 神内
Naoya Jinnai
直也 神内
藤堂 穂
Minoru Todo
穂 藤堂
雅俊 佐藤
Masatoshi Sato
雅俊 佐藤
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Abstract

【課題】クラッチ装置と中心軸との間に変速段によって回転速度が変化する回転部材を有するものであって、油圧制御を簡易化することが可能な自動変速機を提供する。【解決手段】自動変速機は、作動油室56に連通する径方向油路a15と、キャンセル油室57に連通する径方向油路a26と、を有する第1クラッチC1と、径方向油路a12,a15を連通させる径方向油路a13と、径方向油路a22,a26を連通させる径方向油路a24と、が同一な内周面に形成されたスリーブ部70aを有し、達成される変速段によりクラッチドラム52の回転速度に対する回転速度差が変動するスリーブ部材70と、を備える。【選択図】図4

Description

この技術は、自動変速機に関する。
従来、車両に搭載される自動変速機にあっては、車両の燃費向上等を図るため、多段化が進められており、それに伴ってクラッチの個数も増加している。また、例えば変速機構の中央部分に配置されたクラッチに作動油を供給する場合には、ミッションケースから入力軸等の中心軸を通して、該中心軸から外周側のクラッチの油圧サーボに作動油を導く構造が主流である。さらに、変速機構の各部位には、潤滑油を供給する必要があるが、軸方向の広範囲に跨って配置された変速機構に対して潤滑油を過不足なく供給するためには、中心軸を通して潤滑油を供給する構造が主流である。
また、従来、自動変速機のクラッチを係合状態にする場合、クラッチに作動油を供給するために中心軸に穿設された軸方向の油路(以下、「軸方向油路」と記載)から、中心軸の外周に配置された円筒部やクラッチドラムに形成された作動油用の径方向の油路(以下、「径方向油路」と記載)を介して、クラッチの作動油室に作動油が供給され、作動油室に供給された作動油の油圧によって油圧サーボ内のピストンを摺動しクラッチの摩擦板を押圧することで、クラッチを係合状態にする。
また、潤滑油を供給するために中心軸に穿設された軸方向油路からは、該円筒部や該クラッチドラムに形成された潤滑油用の径方向油路を介して、作動油室に作用する遠心油圧をキャンセルするクラッチのキャンセル油室に潤滑油が供給されている。クラッチの係合状態を解放する場合には、ピストンを摩擦板から離隔する方向に摺動させる必要があるため、作動油室に供給された作動油を排出する。作動油室に供給された作動油を排出する場合には、作動油室に供給する作動油の油圧を低下させ、作動油室に作用する遠心油圧を、キャンセル油室に作用する遠心油圧によってキャンセルすることで、油圧サーボ内に配設されたリターンスプリングの弾性力によってピストンを摩擦板から離隔する方向に摺動可能にし、ピストンを摩擦板から離隔する方向に摺動させることで作動油室から作動油を排出する(特許文献1参照)。
特開2014−101927号公報
ここで、自動変速機においては、中心軸と油圧サーボの作動油室との間に、該油圧サーボのクラッチドラムに対して相対回転自在な回転部材が配置される場合がある。このような場合、作動油を中心軸から作動油室に供給するために、該回転部材に径方向油路を形成するとともに、該径方向油路の軸方向両端をシールすることで、中心軸から回転部材とクラッチドラムとを介して作動油室に作動油が供給される構成となり、作動油室には、回転部材の径方向油路に発生する遠心油圧も作用することになる。そのため、キャンセル油室は、回転部材の径方向油路と作動油室との双方に発生する遠心油圧をキャンセル可能にする必要があり、リターンスプリングの付勢力でピストンを押し返すことが不可能にならないように、設計上、最も作動油室の遠心油圧が高くなる、回転部材がクラッチドラムよりも高い回転速度で回転した場合に対応した受圧面積を有するように構成することが考えられる。
しかしながら、このようにキャンセル油室の受圧面積を設計した場合、例えば回転部材の回転速度がクラッチドラムよりも低い速度で回転する状態では、キャンセル油室に作用する遠心油圧が作動油室に作用する遠心油圧よりも強くなるため、クラッチを係合する際、キャンセル油室に作用する遠心油圧とリターンスプリングの弾性力とに抗することができる係合油圧で作動油を供給しなければならなくなる。つまり、クラッチの係合時において、回転部材の回転速度に応じて作動油の係合油圧を都度変更させる必要があり、油圧制御の設計が複雑になってしまうという問題がある。
そこで、クラッチ装置と中心軸との間に変速段によって回転速度が変化する回転部材を有するものであって、油圧制御を簡易化することが可能な自動変速機を提供することを目的とするものである。
本自動変速機(1)は、複数の摩擦係合要素の係合状態によって複数の変速段を達成する自動変速機(1)において、
摩擦板(51)と、スリーブ状に形成された第1スリーブ部(52a)とシリンダ部(52c)とを有するベース部材(52)と、前記シリンダ部(52c)との間に作動油室(56)を形成するとともに前記作動油室(56)に供給される作動油に基づき前記第1スリーブ部(52a)に対して軸方向に摺動して前記摩擦板(51)を押圧するピストン(53)と、前記ピストン(53)に対して軸方向に対向配置されるとともに前記第1スリーブ部(52a)に対して軸方向に位置決めされ、前記作動油室(56)に作用する遠心油圧をキャンセルするキャンセル油室(57)を形成するキャンセルプレート(54)と、前記ピストン(53)と前記キャンセルプレート(54)との間に配置されたリターンスプリング(55)と、前記第1スリーブ部(52a)に形成され前記第1スリーブ部(52a)の内周面と前記作動油室(56)とを連通する第1径方向油路(a15)と、前記第1スリーブ部(52a)に形成され前記第1スリーブ部(52a)の内周面と前記キャンセル油室(57)とを連通する第2径方向油路(a26)と、を有するクラッチ装置(C1)と、
前記作動油室(56)に供給する作動油を連通させる第1軸方向油路(a11)と、潤滑油を連通させる第2軸方向油路(a21)と、前記第1軸方向油路(a11)と外周面とを連通する第3径方向油路(a12)と、前記第2軸方向油路(a21)と前記外周面とを連通する第4径方向油路(a22)と、を有する中心軸(40)と、
同一な内周面を有するスリーブ状に形成され、前記第1径方向油路(a15)及び前記第3径方向油(a12)を連通させる第5径方向油路(a13)と、前記第2径方向油路(a26)及び前記第4径方向油路(a22)を連通させる第6径方向油路(a24)と、が形成された第2スリーブ部(70a)を有し、前記中心軸(40)の外周側に相対回転自在に配置され、達成される前記変速段によって前記ベース部材(52)の回転速度に対する回転速度差が変動する回転部材(70)と、
前記第1スリーブ部(52a)と前記第2スリーブ部(70a)との間に配置され、前記第3径方向油路(a12)と前記第5径方向油路(a13)との間及び前記第4径方向油路(a22)と前記第6径方向油路(a24)との間をシールする複数のシール部材(c3,c4,c5)と、を備える。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
本自動変速機によると、作動油室に作動油を供給する径方向油路と、キャンセル油室に潤滑油を供給する径方向油路と、を同一の内径にしたうえで、作動油室の外径とキャンセル油室の外径とを適切に設定することで、回転部材の回転速度に拘らず、作動油室とキャンセル油室との遠心油圧を同じにすることができ、クラッチ装置を係合する際の係合油圧を回転部材の回転速度に応じて変更する必要が無くなり、油圧制御を簡易化することができる。
本実施の形態に係る自動変速機を模式的に示すスケルトン図。 本実施の形態に係る自動変速機の係合表。 本実施の形態に係る自動変速機の速度線図。 本実施の形態に係る自動変速機の一部を示す断面図。
以下、本実施の形態を図1乃至図4に沿って説明する。まず、本自動変速機1の概略構成について、図1乃至図3に沿って説明する。本自動変速機1は、後輪駆動車両の前部に縦置きに搭載される駆動源としてのエンジン(不図示)のクランクシャフトに接続されるとともに、エンジンからの動力(トルク)を左右後の車輪(不図示)に伝達可能としている。自動変速機1は、発進装置3と、エンジン等から入力軸40(中心軸)に伝達された動力を変速して出力軸41(出力部材)に伝達する自動変速機構4と、これらを収容するミッションケース5と、を備えている。
発進装置3は、トルクコンバータ20と、エンジンのクランクシャフト等に連結されたフロントカバーと自動変速機構4の入力軸40とを接続及び切断可能なロックアップクラッチ21と、フロントカバーと自動変速機構4の入力軸40との間で振動を減衰するダンパ機構22と、を備えている。トルクコンバータ20は、フロントカバーに連結される入力側のポンプインペラ23と、自動変速機構4の入力軸40に連結される出力側のタービンランナ24と、ポンプインペラ23及びタービンランナ24の内側に配置されてタービンランナ24からポンプインペラ23への作動油の流れを整流するステータ25と、図示しないステータシャフトにより支持されるとともにステータ25の回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ26と、を備えている。なお、トルクコンバータ20は、ステータ25を有さない流体継手であってもよい。
自動変速機構4は、10段変速式の変速機として構成されており、入力軸40と、図示しないデファレンシャルギヤ及びドライブシャフトを介して左右後の車輪に連結される出力軸41と、入力軸40及び出力軸41の軸方向に並べて配設されるシングルピニオン式の第1プラネタリギヤ42及び第2プラネタリギヤ43と、ダブルピニオン式プラネタリギヤとシングルピニオン式プラネタリギヤとを組み合わせて構成されるラビニヨ式遊星歯車機構であるプラネタリギヤセット44と、を備えている。また、自動変速機構4は、入力軸40から出力軸41までの動力伝達経路を変更するための6つの係合要素として、それぞれ係合自在に構成された第1クラッチC1(クラッチ装置)と、第2クラッチC2と、第3クラッチC3と、第4クラッチC4と、第1ブレーキB1と、第2ブレーキB2とを備えている。
本実施の形態において、第1プラネタリギヤ42と、第2プラネタリギヤ43と、プラネタリギヤセット44と、は、エンジン側(図1における左側)から、プラネタリギヤセット44、第2プラネタリギヤ43、第1プラネタリギヤ42という順番で並ぶようにミッションケース5内に配置されている。これにより、プラネタリギヤセット44は、発進装置3に近接するように車両の前部側に配置され、第1プラネタリギヤ42は、出力軸41に近接するように車両の後部側に配置され、第2プラネタリギヤ43は、プラネタリギヤセット44と第1プラネタリギヤ42との間に配置されている。
第1プラネタリギヤ42は、外歯歯車である第1サンギヤ42s(第1回転要素)と、第1サンギヤ42sと同心円上に配置される内歯歯車である第1リングギヤ42r(第3回転要素)と、それぞれ第1サンギヤ42s及び第1リングギヤ42rに噛合する複数の第1ピニオンギヤ42pと、複数の第1ピニオンギヤ42pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する第1キャリヤ42c(第2回転要素)と、を備えている。
第1プラネタリギヤ42の第1キャリヤ42cは、入力軸40に連結された自動変速機構4の中間軸47に常時連結(固定)されている。これにより、エンジンから入力軸40に動力が伝達されている際、第1キャリヤ42cには、エンジンからの動力が入力軸40及び中間軸47を介して常時伝達されることになる。第1キャリヤ42cは、第4クラッチC4の係合時に第1プラネタリギヤ42の入力要素として機能し、第4クラッチC4の解放時には空転する。また、第1リングギヤ42rは、第4クラッチC4の係合時に当該第1プラネタリギヤ42の出力要素として機能する。
第2プラネタリギヤ43は、外歯歯車である第2サンギヤ43s(第4回転要素)と、第2サンギヤ43sと同心円上に配置される内歯歯車である第2リングギヤ43r(第6回転要素)と、それぞれ第2サンギヤ43s及び第2リングギヤ43rに噛合する複数の第2ピニオンギヤ43pと、複数の第2ピニオンギヤ43pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する第2キャリヤ43c(第5回転要素)と、を備えている。
第2プラネタリギヤ43の第2サンギヤ43sは、第1プラネタリギヤ42の第1サンギヤ42sと一体化(常時連結)されており、当該第1サンギヤ42sと常時一体(かつ同軸)に回転又は停止するようになっている。ただし、第1サンギヤ42sと第2サンギヤ43sとは、別体に構成されるとともに図示しない連結部材を介して常時連結されてもよい。また、第2プラネタリギヤ43の第2キャリヤ43cは、出力軸41に常時連結されており、当該出力軸41と常時一体(かつ同軸)に回転又は停止するようになっている。これにより、第2キャリヤ43cは、第2プラネタリギヤ43の出力要素として機能する。更に、第2プラネタリギヤ43の第2リングギヤ43rは、当該第2プラネタリギヤ43の停止要素として機能する。なお、第2プラネタリギヤ43の第2サンギヤ42sは、後述の第3プラネタリギヤ45の第3サンギヤ45sに第2クラッチC2の係合により駆動連結される回転連結要素として機能する。
プラネタリギヤセット44は、ダブルピニオン式プラネタリギヤである第3プラネタリギヤ45と、シングルピニオン式プラネタリギヤである第4プラネタリギヤ46とを組み合わせて構成される複合遊星歯車機構である。なお、各プラネタリギヤは、エンジン側から、第4プラネタリギヤ46、第3プラネタリギヤ45、第2プラネタリギヤ43、第1プラネタリギヤ42という順番で並ぶようにミッションケース5内に配置されている。
プラネタリギヤセット44は、外歯歯車である第3サンギヤ45s(第10回転要素)及び第4サンギヤ46s(第7回転要素)と、第3サンギヤ45s及び第4サンギヤ46sと同心円上に配置される内歯歯車である第3リングギヤ45r(第9回転要素)と、第3サンギヤ45sに噛合する複数の第3ピニオンギヤ(ショートピニオンギヤ)45pと、第4サンギヤ46s及び複数の第3ピニオンギヤ45pに噛合するとともに第3リングギヤ45rに噛合する複数の第4ピニオンギヤ(ロングピニオンギヤ)46pと、複数の第3ピニオンギヤ45p及び複数の第4ピニオンギヤ46pを自転自在(回転自在)かつ公転自在に保持する第3キャリヤ45c(第8回転要素)と、を備えている。
第3プラネタリギヤ45は、第3サンギヤ45sと、第3キャリヤ45cと、第3ピニオンギヤ45pと、第4ピニオンギヤ46pと、第3リングギヤ45rと、により構成されている。第4プラネタリギヤ46は、第4サンギヤ46sと、第3キャリヤ45cと、第4ピニオンギヤ46pと、第3リングギヤ45rと、により構成されている。
また、プラネタリギヤセット44を構成する回転要素のうち、第4サンギヤ46sは、プラネタリギヤセット44の固定可能要素として機能する。さらに、第3キャリヤ45cは、入力軸40に常時連結(固定)されるとともに、中間軸47を介して第1プラネタリギヤ42の第1キャリヤ42cに常時連結される。これにより、エンジンから入力軸40に動力が伝達されている際、第3キャリヤ45cには、エンジンからの動力が入力軸40を介して常時伝達されることになる。したがって、第3キャリヤ45cは、プラネタリギヤセット44の入力要素として機能する。また、第3リングギヤ45rは、当該プラネタリギヤセット44の出力要素として機能し、第3サンギヤ45sは、当該プラネタリギヤセット44の出力要素として機能する。
第1クラッチC1は、常時連結された第1プラネタリギヤ42の第1サンギヤ42s及び第2プラネタリギヤ43の第2サンギヤ43sとプラネタリギヤセット44の第3リングギヤ45rとを互いに接続するとともに、両者の接続を解除するものである。第2クラッチC2は、常時連結された第1プラネタリギヤ42の第1サンギヤ42s及び第2プラネタリギヤ43の第2サンギヤ43sとプラネタリギヤセット44の第3サンギヤ45sとを互いに接続するとともに、両者の接続を解除するものである。第3クラッチC3は、第2プラネタリギヤ43の第2リングギヤ43rとプラネタリギヤセット44の第3リングギヤ45rとを互いに接続するとともに、両者の接続を解除するものである。第4クラッチC4は、第1プラネタリギヤ42の第1リングギヤ42rと出力軸41とを互いに接続するとともに、両者の接続を解除するものである。
第1ブレーキB1は、プラネタリギヤセット44の第4サンギヤ46sをミッションケース5に対して回転不能に固定(接続)するとともに、当該第4サンギヤ46sをミッションケース5に対して回転自在に解放するものであり、つまり第4サンギヤ46sを係止自在にするものである。第2ブレーキB2は、第2プラネタリギヤ43の第2リングギヤ43rをミッションケース5に対して回転不能に固定(接続)するとともに、当該第2リングギヤ43rをミッションケース5に対して回転自在に解放するものであり、つまり第2リングギヤ43rを係止自在にするものである。
本実施の形態では、第1クラッチC1〜第4クラッチC4として、ピストン、複数の摩擦係合プレート(例えば、環状部材の両面に摩擦材を貼着することにより構成された摩擦プレート及び両面が平滑に形成された環状部材であるセパレータプレート)、それぞれ作動油が供給される作動油室及びキャンセル油室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧クラッチが採用されている。また、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2としては、ピストン、複数の摩擦係合プレート(摩擦プレート及びセパレータプレート)、作動油が供給される係合油室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧ブレーキが採用されている。そして、第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2は、不図示の油圧制御装置による作動油の給排を受けて動作する。
図2は、自動変速機構4の各変速段と第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2の作動状態との関係を示す係合表である。また、図3は、入力軸40の回転速度に対する各回転要素の回転速度の比を示す速度線図である。図3に示す速度線図においては、入力軸40、すなわち第1キャリヤ42c及び第3キャリヤ45cの回転速度を値1としている。なお、以下の記載において、回転速度とは、各回転部材の単位時間当たりの回転数を意味する。
図3に示すように、シングルピニオン式の第1プラネタリギヤ42を構成する3つの回転要素、すなわち第1サンギヤ42s、第1リングギヤ42r、第1キャリヤ42cは、当該第1プラネタリギヤ42の速度線図(図3における右側の速度線図)上でギヤ比λ1に応じた間隔をおいて図中右側から第1リングギヤ42r、第1キャリヤ42c、第1サンギヤ42sという順番で並んでいる。
また、シングルピニオン式の第2プラネタリギヤ43を構成する3つの回転要素、すなわち第2サンギヤ43s、第2リングギヤ43r、第2キャリヤ43cは、当該第2プラネタリギヤ43の速度線図(図3における中央の速度線図)上でギヤ比λ2に応じた間隔をおいて図中右側から第2サンギヤ43s、第2キャリヤ43c、第2リングギヤ43rという順番で並ぶ。上述した通り、第1サンギヤ42sと第2サンギヤ43sとは、一体に回転することから、図3において、第1サンギヤ42sと第2サンギヤ43sとは、いずれの変速段においても同一の回転速度で回転する。
さらに、プラネタリギヤセット44を構成する4つの回転要素、すなわち第4サンギヤ46s、第3キャリヤ45c、第3リングギヤ45r、第3サンギヤ45sは、この順番で図中左側からシングル式の第3プラネタリギヤ45のギヤ比λ3及びダブルピニオン式の第4プラネタリギヤ46のギヤ比λ4に応じた間隔をおいて当該プラネタリギヤセット44の速度線図(図3における左側の速度線図)上に並ぶ。
以上のように構成された自動変速機構4では、図1のスケルトン図に示す各第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2の複数の摩擦係合要素のうち3つが、図2の係合表に示す組み合わせで選択的に同時に係合状態にされることにより、前進1速段(1st)〜前進10速段(10th)、及び後進1速段(Rev)が達成可能である。
次に、本自動変速機1の第1クラッチC1近傍の詳細な構成を図4に沿って説明する。本自動変速機1の自動変速機構4は、図4に示すように、ミッションケース5に対して入力軸40及び中間軸47が自動変速機構4の略々中心に位置するように回転自在に支持されており、その入力軸40及び中間軸47の外周側に、軸方向に順に、第2クラッチC2、第1クラッチC1、第3クラッチC3及び第2ブレーキB2が配置されている。
第1クラッチC1は、大まかに、複数の外摩擦板51a及び複数の内摩擦板51bからなる摩擦板51と、摩擦板51を押圧自在な油圧サーボ50とにより構成されている。油圧サーボ50は、クラッチドラム52(ベース部材)と、ピストン53と、キャンセルプレート54と、ピストン53とキャンセルプレート54との間に縮設されたリターンスプリング55と、を有しており、クラッチドラム52とピストン53との間にシールリングd1,d2でシールされた作動油室56が形成され、また、クラッチドラム52とキャンセルプレート54との間がシールリングd3によってシールされ、ピストン53とキャンセルプレート54との間がシールリングd4でシールされることで、キャンセル油室57が形成されている。
クラッチドラム52は、内周側に、スリーブ状のサーボ用スリーブ部52a(第1スリーブ部)と、同じくスリーブ状の支持用スリーブ部52bと、からなるスリーブ部52Aを有している。また、クラッチドラム52にあって、サーボ用スリーブ部52aと支持用スリーブ部52bとの軸方向の間からは、フランジ状に外周側に延設されたフランジ部52c(シリンダ部)が、サーボ用スリーブ部52a及び支持用スリーブ部52bと一体的になるように形成されている。フランジ部52cの最も外周側には、軸方向に延設されたドラム部52dが形成されており、ドラム部52dの内周面に形成されたスプライン部52sには、複数の外摩擦板51aがスプライン係合されている。一方、フランジ部52cの径方向の略々中間部分からは、ドラム部52dとは軸方向反対側に延設された円筒状の円筒部52eが一体的に形成されており、円筒部52eの外周側には、第3クラッチC3の摩擦板81がスプライン係合されている。また、円筒部52eの軸方向反対側には、ピストン53の第1当接部53bと当接する円筒部52fが形成されている。
サーボ用スリーブ部52aの外周側には、ピストン53が軸方向に摺動自在に配設されているとともに、キャンセルプレート54がスナップリング58によって規制されて軸方向に位置決め固定されている。つまり、サーボ用スリーブ部52aの外周側には、第1クラッチC1の油圧サーボ50が配設されていることになる。
クラッチドラム52に内包されるピストン53は、不図示の油圧制御装置から第1クラッチC1の係合油圧で作動油が作動油室56に供給されることで、リターンスプリング55の弾性力に抗して軸方向のキャンセルプレート54側に摺動し、摩擦板51と対向する押圧部53aが摩擦板51を押圧することで、第1クラッチC1を係合状態にする。また、ピストン53は、第1クラッチC1を解放状態にするために、油圧制御装置が作動油室56への作動油の供給を停止し、作動油室56に遠心油圧が作用する状態となり、キャンセル油室57に作用する遠心油圧によって作動油室56に作用する遠心油圧がキャンセルされた場合に、リターンスプリング55の弾性力によって軸方向のフランジ部52c側に摺動し、作動油室56内の作動油を排出する。
また、ピストン53は、シールリングd2が配設されクラッチドラム52の円筒部52fと当接する第1当接部53bと、シールリングd4が配設されるキャンセルプレート54の外周側と内周面が当接する第2当接部53cと、を有している。ピストン53に対向配置されるキャンセルプレート54は、クラッチドラム52のフランジ部52cに対して軸方向に位置決めされている。ここで、第1当接部53bの円筒部52fとの当接面と、第2当接部53cのキャンセルプレート54との当接面と、は、回転中心からの径方向の位置が同一となるように形成されている。つまり、油圧サーボ50は、作動油室56の外径を形成する第1当接部53bと当接する円筒部52fの内周面と、キャンセル油室57の外径を形成するキャンセルプレート54と当接する第2当接部53cの内周面と、が回転中心からの軸方向同一の位置に形成されている。
また、クラッチドラム52は、サーボ用スリーブ部52a及び支持用スリーブ部52bが、スリーブ部材70(回転部材)の外周側にサブブッシュb2、メインブッシュb3、スラストベアリングb4及びスラストベアリングb5により相対回転自在に支持されている。ここで、クラッチドラム52は、図4で図示を省略した部分で、ドラム部52dに形成されたスプライン部52sと、プラネタリギヤセット44の第3リングギヤ45rのスプライン部がスプライン係合されている。つまり、クラッチドラム52とクラッチドラム52に内包される油圧サーボ50とは、図3で示した速度線図において、第3リングギヤ45rと同じ速度で回転しており、変速段が前進1速段又は前進7速段である場合と、前進2速段〜前進6速段、前進8速段〜前進10速段である場合と、で回転速度が変化する構成となっている。
スリーブ部材70は、スリーブ状のスリーブ部(第2スリーブ部)70aと、スリーブ部70aから外周側にフランジ上に延設されたフランジ部70bと、を有しており、入力軸40及び中間軸47の外周側にブッシュb1及びスラストベアリングb6等によって相対回転自在に支持されている。
また、スリーブ部材70は、軸方向一方側(図4における右側)に延設された連結部70cが、図4で図示を省略した部分で第1サンギヤ42s及び第2サンギヤ43sに一体的に連結されている。つまり、スリーブ部材70は、図3で示した速度線図において、第1サンギヤ42s及び第2サンギヤ43sと同じ回転速度で回転しており、変速段によって回転速度が大きく異なる構成となっている。スリーブ部材70は、例えば、変速段が前進4速段である場合、入力軸40に対して2倍以上の回転速度で回転し、クラッチドラム52の回転速度よりも高い回転速度で回転する。また、スリーブ部材70は、変速段が前進8速段である場合、入力軸40の回転速度及びクラッチドラム52の回転速度よりも低い回転速度で回転する。つまり、スリーブ部材70は、変速段が前進4速段等のクラッチドラム52の回転速度よりも高い回転速度で回転する第1変速段と、変速段が前進8速段等のクラッチドラム52の回転速度よりも低い回転速度で回転する第2変速段と、でクラッチドラム52に対する回転速度が異なるように構成されており、達成される変速段によってクラッチドラム52の回転速度に対する回転速度差が変動するように構成されている。
スリーブ部材70のスリーブ部70aと、クラッチドラム52のサーボ用スリーブ部52aと、の間には、環状の環状部材75が配置されている。環状部材75は、サーボ用スリーブ部52aの内周側に圧入されてサーボ用スリーブ部52aと一体回転するように構成されている。
次に、第1クラッチC1の作動油の油路構造の詳細について説明する。入力軸40には、中心に対して偏心した位置に互いに独立するように軸方向に向けて2本の軸方向油路a11,a21と不図示の軸方向油路の3本の油路が穿設されている。
軸方向油路a11は、作動油を供給するための第1軸方向油路であり、不図示の油圧制御装置から例えばトルクコンバータ20と自動変速機構4との間を仕切る隔壁を介して、第1クラッチC1の作動油が導通自在となっている。軸方向油路a11からは、径方向に外周面まで貫通するように径方向油路a12が穿設されている。径方向油路a12は、入力軸40の外周側において軸方向の両側に配置されたシールリングc1,c2によってシールされて、スリーブ部材70に径方向油路a12と軸方向に対応する位置に貫通するように穿設された径方向油路a13に連通されている。さらに、径方向油路a13は、スリーブ部材70の外周側において軸方向の両側に配置されたシールリングc3,c4によってシールされて環状部材75に穿設された貫通孔a14に連通されており、貫通孔a14を介してクラッチドラム52のサーボ用スリーブ部52aの内周面と作動油室56とを連通するように形成された径方向油路a15に連通される。
つまり、軸方向油路a11からは、径方向油路a12,a13,a15を介して作動油室56に作動油が導通自在(供給自在)となるように構成されている。第1クラッチC1を係合状態にする場合には、油圧制御装置から係合油圧で作動油が軸方向油路a11に導通され、径方向油路a12,a13,a15を介して作動油室56に導通される。また、第1クラッチC1を解放状態にする場合には、油圧制御装置から供給される油圧が解除され、軸方向油路a11内の作動油が径方向油路a12から外周側に飛散される。そのため、作動油室56に作用する遠心油圧は、径方向油路a12が形成されているスリーブ部70aの内周面から発生し、作動油室56の外径となるクラッチドラム52の円筒部52fの内周面を伝ってピストン53を軸方向のうちキャンセルプレート54側に摺動させる方向に作用する。なお、本自動変速機1においては、径方向油路a12が第3径方向油路を構成し、径方向油路a13が第5径方向油路を構成し、径方向油路a15が第1径方向油路を構成している。また、本自動変速機1においては、スリーブ部70aと環状部材75との間に配置されるシールリングc3,c4がシール部材を構成する。
軸方向油路a21は、潤滑油を供給するための第2軸方向油路であり、不図示の油圧制御装置から例えばトルクコンバータ20と自動変速機構4との間を仕切る隔壁を介して、潤滑油が軸方向油路a21に導かれる。軸方向油路a21からは、径方向に外周面まで貫通するように径方向油路a22,a23等の複数の径方向油路が穿設されており、径方向油路a22,a23から外周側に潤滑油が飛散される。なお、入力軸40の軸方向油路a21は、中間軸47における軸方向に穿設された油路a50に連通しており、自動変速機構4の第1クラッチC1よりも出力軸41側の各部にも潤滑油を供給する。
径方向油路a23から飛散された潤滑油は、スラストベアリングb6を潤滑した後、第2クラッチC2の外摩擦板61aにスプライン係合されるドラム部材71の内側を通って第1クラッチC1の摩擦板51などに導かれる。また、径方向油路a22から飛散される潤滑油は、ブッシュb1を潤滑した後、スリーブ部材70に、径方向油路a22と軸方向に対応する位置に貫通するように穿設された径方向油路a24に連通される。径方向油路a24は、スリーブ部材70の外周側において軸方向の両側に配置されたシールリングc3,c5によってシールされて環状部材75に穿設された貫通孔a25に連通されており、貫通孔a25を介してクラッチドラム52のサーボ用スリーブ部52aの内周面とキャンセル油室57とを連通するように形成された径方向油路a26に連通される。
つまり、軸方向油路a21からは、径方向油路a22,a24,a26を介してキャンセル油室57に潤滑油が導通自在(供給自在)となるように構成されている。そのため、キャンセル油室57に作用する遠心油圧は、径方向油路a22が形成されているスリーブ部70aの内周面から発生し、キャンセル油室57の外径となるピストン53の第2当接部53cの内周面を伝ってピストン53を軸方向のうちクラッチドラム52のフランジ部52c側に摺動させる方向作用する。なお、本自動変速機1においては、径方向油路a22が第4径方向油路を構成し、径方向油路a24が第6径方向油路を構成し、径方向油路a26が第2径方向油路を構成している。また、本自動変速機1においては、スリーブ部70aと環状部材75との間に配置されるシールリングc3,c5がシール部材を構成する。
ここで、本自動変速機1において、スリーブ部材70は、作動油室56に供給される作動油が導通される径方向油路a12と、キャンセル油室57に供給される潤滑油が導通される径方向油路a22と、が、同一な内周面を有するスリーブ部70aに形成されている。つまり、本自動変速機1においては、作動油室56に作用する遠心油圧と、キャンセル油室57に作用する遠心油圧と、が、同一の内周面から発生することで、作動油室56からピストン53に作用する遠心油圧が、キャンセル油室57からピストン53に作用する遠心油圧によってキャンセルされる。
このため、変速段によってクラッチドラム52に対する回転数が変化するスリーブ部材70を介して、作動油室56に作動油が供給され、キャンセル油室57に潤滑油が供給される構成であっても、スリーブ部材70と環状部材75との間がシールリングc3,c4,c5によってシールされることで、作動油室56に作動油を供給する径方向油路a12,a13,a15と、キャンセル油室57に潤滑油を供給する径方向油路a22,a24,a26と、を同一の内径にすることができる。つまり、自動変速機1は、径方向油路a12,a13,a15と径方向油路a22,a24,a26とを同一の内径とし、作動油室56の外径とキャンセル油室57の外径とを適切に設定することで、スリーブ部材70の回転速度に拘らず、作動油室56とキャンセル油室57との遠心油圧を同じにすることができ、第1クラッチC1を係合する際の係合油圧をスリーブ部材70の回転速度に応じて変更する必要が無くなり、油圧制御を簡易化することができる。
(本実施形態のまとめ)
以上説明したように、本自動変速機(1)は、複数の摩擦係合要素の係合状態によって複数の変速段を達成する自動変速機(1)において、
摩擦板(51)と、スリーブ状に形成された第1スリーブ部(52a)とシリンダ部(52c)とを有するベース部材(52)と、前記シリンダ部(52c)との間に作動油室(56)を形成するとともに前記作動油室(56)に供給される作動油に基づき前記第1スリーブ部(52a)に対して軸方向に摺動して前記摩擦板(51)を押圧するピストン(53)と、前記ピストン(53)に対して軸方向に対向配置されるとともに前記第1スリーブ部(52a)に対して軸方向に位置決めされ、前記作動油室(56)に作用する遠心油圧をキャンセルするキャンセル油室(57)を形成するキャンセルプレート(54)と、前記ピストン(53)と前記キャンセルプレート(54)との間に配置されたリターンスプリング(55)と、前記第1スリーブ部(52a)に形成され前記第1スリーブ部(52a)の内周面と前記作動油室(56)とを連通する第1径方向油路(a15)と、前記第1スリーブ部(52a)に形成され前記第1スリーブ部(52a)の内周面と前記キャンセル油室(57)とを連通する第2径方向油路(a26)と、を有するクラッチ装置(C1)と、
前記作動油室(56)に供給する作動油を連通させる第1軸方向油路(a11)と、潤滑油を連通させる第2軸方向油路(a21)と、前記第1軸方向油路(a11)と外周面とを連通する第3径方向油路(a12)と、前記第2軸方向油路(a21)と前記外周面とを連通する第4径方向油路(a22)と、を有する中心軸(40)と、
同一な内周面を有するスリーブ状に形成され、前記第1径方向油路(a15)及び前記第3径方向油(a12)を連通させる第5径方向油路(a13)と、前記第2径方向油路(a26)及び前記第4径方向油路(a22)を連通させる第6径方向油路(a24)と、が形成された第2スリーブ部(70a)を有し、前記中心軸(40)の外周側に相対回転自在に配置され、達成される前記変速段によって前記ベース部材(52)の回転速度に対する回転速度差が変動する回転部材(70)と、
前記第1スリーブ部(52a)と前記第2スリーブ部(70a)との間に配置され、前記第3径方向油路(a12)と前記第5径方向油路(a13)との間及び前記第4径方向油路(a22)と前記第6径方向油路(a24)との間をシールする複数のシール部材(c3,c4,c5)と、を備える。
このため、作動油室(56)に作動油を供給する径方向油路(a12,a13,a15)と、キャンセル油室(57)に潤滑油を供給する径方向油路(a22,a24,a26)と、を同一の内径にしたうえで、作動油室(56)の外径とキャンセル油室(57)の外径とを適切に設定することで、回転部材(70)の回転速度に拘らず、作動油室(56)とキャンセル油室(57)との遠心油圧を同じにすることができ、クラッチ装置(C1)の係合する際の係合油圧を回転部材(70)の回転速度に応じて変更する必要が無くなり、油圧制御を簡易化することができる。
また、本自動変速機(1)において、前記回転部材(70)は、
前記複数の変速段が第1変速段である場合に、前記ベース部材(52)の回転速度よりも高い回転速度で回転し、
前記複数の変速段が第2変速段である場合に、前記ベース部材(52)の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
このため、スリーブ部材(70)の回転速度が、ベース部材(52)に対する回転速度が変速段によって高い回転速度及び低い回転速度のいずれとなる場合であっても、作動油室(56)とキャンセル油室(57)との遠心油圧を同じにすることができ、クラッチ装置(C1)の係合する際の係合油圧を回転部材(70)の回転速度に応じて変更する必要が無くなり、油圧制御を簡易化することができる。
また、本自動変速機(1)において、前記複数の摩擦係合要素は、前記クラッチ装置である第1クラッチ(C1)と、第2クラッチ(C2)と、第3クラッチ(C3)と、第4クラッチ(C4)と、第1ブレーキ(B1)と、第2ブレーキ(B2)と、であり、
前記自動変速機(1)は、
前記中心軸(40)が駆動源に駆動連結され、
第1回転要素(42s)、第2回転要素(42c)及び第3回転要素(42r)を有する第1プラネタリギヤ(42)と、
第4回転要素(43s)、第5回転要素(43c)及び第6回転要素(43r)を有する第2プラネタリギヤ(43)と、
複数のプラネタリギヤ(45,46)の組み合わせからなり、第7回転要素(46s)、第8回転要素(45c)、第9回転要素(45r)及び第10回転要素(45s)を有するプラネタリギヤセット(44)と、
前記第2プラネタリギヤ(43)の前記第5回転要素(43c)に連結された出力部材(41)と、を備え、
前記プラネタリギヤセット(44)の前記第7回転要素(46s)と前記第1プラネタリギヤ(42)の前記第2回転要素(42c)とは、前記中心軸(40)に連結され、
前記第1プラネタリギヤ(42)の前記第1回転要素(42s)と前記第2プラネタリギヤ(43)の前記第4回転要素(43s)とは、連結され、
前記第1クラッチ(C1)は、互いに連結された前記第1プラネタリギヤ(42)の前記第1回転要素(42s)及び前記第2プラネタリギヤ(43)の前記第4回転要素(43s)と、前記プラネタリギヤセット(44)の前記第9回転要素(45r)とを係合自在であり、
前記第2クラッチ(C2)は、互いに連結された前記第1プラネタリギヤ(42)の前記第1回転要素(42s)及び前記第2プラネタリギヤ(43)の前記第4回転要素(43s)と、前記プラネタリギヤセット(44)の前記第10回転要素(45s)とを係合自在であり、
前記第3クラッチ(C3)は、前記第2プラネタリギヤ(43)の前記第6回転要素(43r)と、前記プラネタリギヤセット(44)の前記第9回転要素(45r)とを係合自在であり、
前記第4クラッチ(C4)は、互いに連結された前記第2プラネタリギヤ(43)の前記第5回転要素(43c)及び前記出力部材(41)と、前記第1プラネタリギヤ(42)の前記第3回転要素(42r)とを係合自在であり、
前記第1ブレーキ(B1)は、前記プラネタリギヤセット(44)の前記第8回転要素(45c)を係止自在であり、
前記第2ブレーキ(B2)は、前記第2プラネタリギヤ(43)の前記第6回転要素(43r)を係止自在であり、
前記第1クラッチ乃至前記第4クラッチ(C1〜C4)と前記第1ブレーキ(B1)及び前記第2ブレーキ(B2)とのうち3つの摩擦係合要素を選択的に係合することで、前進10速段を達成可能で、かつ、前記第2クラッチ(C2)、前記第3クラッチ(C3)、前記第2ブレーキ(B2)を同時係合することで後進1速段を達成可能である。
このため、第1クラッチ乃至第4クラッチ(C1〜C4)と第1ブレーキ(B1)及び第2ブレーキ(B2)とのうち3つの摩擦係合要素を選択的に係合することで、前進10速段を達成可能で、かつ、第2クラッチ(C2)、第3クラッチ(C3)、第2ブレーキ(B2)を同時係合することで後進1速段を達成可能な自動変速機(1)において、本構成を用いることで、より好適な効果を得ることができる。
なお、本実施の形態においては、自動変速機1を例えば前進10速段及び後進段を達成するものを一例として説明したが、これに限らず、3重軸の外周側にクラッチの油圧サーボが配置されるような自動変速機であれば、どのような自動変速機であっても構わない。
また、本実施形態においては、作動油室56の外径を形成する第1当接部53bと当接する円筒部52fの内周面と、キャンセル油室57の外径を形成するキャンセルプレート54と当接する第2当接部53cの内周面と、が回転中心からの軸方向同一の位置に形成されているが、これに限らず、円筒部52fの内周面と、第2当接部53cの内周面と、は、キャンセル油室57に作用する遠心油圧によって作動油室56に作用する遠心油圧をキャンセル可能となる適切な軸方向の位置にそれぞれ設定されていればよい。
また、本自動変速機1では、トルクコンバータ20を備えたものを説明したが、例えばトルクコンバータの代わりにモータ・ジェネレータを配置する等してハイブリッド化したものであっても構わない。
また、本実施の形態においては、中心軸の一例である入力軸40に3本の軸方向油路を形成したものを説明したが、3本以上の軸方向油路が中心軸に形成されたものであってもよい。
1 自動変速機
40 中心軸(入力軸)
41 出力部材(出力軸)
42 第1プラネタリギヤ
42s 第1回転要素(第1サンギヤ)
42c 第2回転要素(第1キャリヤ)
42r 第3回転要素(第1リングギヤ)
43 第2プラネタリギヤ
43s 第4回転要素(第2サンギヤ)
43c 第5回転要素(第2キャリヤ)
43r 第6回転要素(第2リングギヤ)
44 プラネタリギヤセット
45 第3プラネタリギヤ
45c 第8回転要素(第3キャリヤ)
45r 第9回転要素(第3リングギヤ)
45s 第10回転要素(第3サンギヤ)
46 第4プラネタリギヤ
46s 第7回転要素(第4サンギヤ)
51 摩擦板
52 ベース部材(クラッチドラム)
52a 第1スリーブ部(サーボ用スリーブ部)
52c シリンダ部(フランジ部)
53 ピストン
54 キャンセルプレート
55 リターンスプリング
56 作動油室
57 キャンセル油室
70 回転部材(スリーブ部材)
70a 第2スリーブ部(スリーブ部)
a11 第1軸方向油路(軸方向油路)
a12 第3径方向油路(径方向油路)
a13 第5径方向油路(径方向油路)
a15 第1径方向油路(径方向油路)
a21 第2軸方向油路(軸方向油路)
a22 第4径方向油路(径方向油路)
a24 第6径方向油路(径方向油路)
a26 第2径方向油路(径方向油路)
B1 第1ブレーキ
B2 第2ブレーキ
C1 クラッチ装置、第1クラッチ
C2 第2クラッチ
C3 第3クラッチ
C4 第4クラッチ
c3,c4,c5 シール部材

Claims (3)

  1. 複数の摩擦係合要素の係合状態によって複数の変速段を達成する自動変速機において、
    摩擦板と、スリーブ状に形成された第1スリーブ部とシリンダ部とを有するベース部材と、前記シリンダ部との間に作動油室を形成するとともに前記作動油室に供給される作動油に基づき前記第1スリーブ部に対して軸方向に摺動して前記摩擦板を押圧するピストンと、前記ピストンに対して軸方向に対向配置されるとともに前記第1スリーブ部に対して軸方向に位置決めされ、前記作動油室に作用する遠心油圧をキャンセルするキャンセル油室を形成するキャンセルプレートと、前記ピストンと前記キャンセルプレートとの間に配置されたリターンスプリングと、前記第1スリーブ部に形成され前記第1スリーブ部の内周面と前記作動油室とを連通する第1径方向油路と、前記第1スリーブ部に形成され前記第1スリーブ部の内周面と前記キャンセル油室とを連通する第2径方向油路と、を有するクラッチ装置と、
    前記作動油室に供給する作動油を連通させる第1軸方向油路と、潤滑油を連通させる第2軸方向油路と、前記第1軸方向油路と外周面とを連通する第3径方向油路と、前記第2軸方向油路と前記外周面とを連通する第4径方向油路と、を有する中心軸と、
    同一な内周面を有するスリーブ状に形成され、前記第1径方向油路及び前記第3径方向油を連通させる第5径方向油路と、前記第2径方向油路及び前記第4径方向油路を連通させる第6径方向油路と、が形成された第2スリーブ部を有し、前記中心軸の外周側に相対回転自在に配置され、達成される前記変速段によって前記ベース部材の回転速度に対する回転速度差が変動する回転部材と、
    前記第1スリーブ部と前記第2スリーブ部との間に配置され、前記第3径方向油路と前記第5径方向油路との間及び前記第4径方向油路と前記第6径方向油路との間をシールする複数のシール部材と、を備える、
    自動変速機。
  2. 前記回転部材は、
    前記複数の変速段が第1変速段である場合に、前記ベース部材の回転速度よりも高い回転速度で回転し、
    前記複数の変速段が第2変速段である場合に、前記ベース部材の回転速度よりも低い回転速度で回転する、
    請求項1に記載の自動変速機。
  3. 前記複数の摩擦係合要素は、前記クラッチ装置である第1クラッチと、第2クラッチと、第3クラッチと、第4クラッチと、第1ブレーキと、第2ブレーキと、であり、
    前記自動変速機は、
    前記中心軸が駆動源に駆動連結され、
    第1回転要素、第2回転要素及び第3回転要素を有する第1プラネタリギヤと、
    第4回転要素、第5回転要素及び第6回転要素を有する第2プラネタリギヤと、
    複数のプラネタリギヤの組み合わせからなり、第7回転要素、第8回転要素、第9回転要素及び第10回転要素を有するプラネタリギヤセットと、
    前記第2プラネタリギヤの前記第5回転要素に連結された出力部材と、を備え、
    前記プラネタリギヤセットの前記第7回転要素と前記第1プラネタリギヤの前記第2回転要素とは、前記中心軸に連結され、
    前記第1プラネタリギヤの前記第1回転要素と前記第2プラネタリギヤの前記第4回転要素とは、連結され、
    前記第1クラッチは、互いに連結された前記第1プラネタリギヤの前記第1回転要素及び前記第2プラネタリギヤの前記第4回転要素と、前記プラネタリギヤセットの前記第9回転要素とを係合自在であり、
    前記第2クラッチは、互いに連結された前記第1プラネタリギヤの前記第1回転要素及び前記第2プラネタリギヤの前記第4回転要素と、前記プラネタリギヤセットの前記第10回転要素とを係合自在であり、
    前記第3クラッチは、前記第2プラネタリギヤの前記第6回転要素と、前記プラネタリギヤセットの前記第9回転要素とを係合自在であり、
    前記第4クラッチは、互いに連結された前記第2プラネタリギヤの前記第5回転要素及び前記出力部材と、前記第1プラネタリギヤの前記第3回転要素とを係合自在であり、
    前記第1ブレーキは、前記プラネタリギヤセットの前記第8回転要素を係止自在であり、
    前記第2ブレーキは、前記第2プラネタリギヤの前記第6回転要素を係止自在であり、
    前記第1クラッチ乃至前記第4クラッチと前記第1ブレーキ及び前記第2ブレーキとのうち3つの摩擦係合要素を選択的に係合することで、前進10速段を達成可能で、かつ、前記第2クラッチ、前記第3クラッチ、前記第2ブレーキを同時係合することで後進1速段を達成可能である、
    請求項1又は請求項2に記載の自動変速機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111417792A (zh) * 2017-11-30 2020-07-14 法雷奥离合器公司 由在两个套筒之间形成的通道供应流体的湿式离合器系统

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