JP2015197150A - 自動変速機の潤滑装置 - Google Patents

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卓也 中島
直也 神内
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直也 神内
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Minoru Todo
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Abstract

【課題】キャリヤを構成するキャリヤ本体とキャリヤカバーの両方からピニオンに潤滑油を供給する。【解決手段】キャリヤカバー52の内周面に環状の凹部からなる第1の油溜り61を形成する。キャリヤ本体51のショートピニオンを収納する部分となる肉厚部122に、袋状のシャフト支持孔127を形成し、該孔の底部eとシャフト嵌合部との間の空隙部127aに、肉厚部の内周面から連通溝135を形成して、内径側が開口する第2の油溜り133を形成する。第1の油溜り61からロングピニオン46pの回転支持部材63に潤滑油を供給し、第2の油溜り133からショートピニオン45pの回転支持部材54に潤滑油を供給する。【選択図】図3

Description

本開示技術は、キャリヤを有するプラネタリギヤを備えた自動変速機の潤滑装置に関する。
従来、ダブルピニオンプラネタリギヤを有する自動変速機の潤滑装置として、キャリヤに臨んで配置されたリングギヤ支持フランジに、放射状に多数のフィンを有する潤滑油供給部材を固定し、またキャリヤの一方の側板に案内板と蓋板とで構成される油溜めを設けたものが提案されている(特許文献1)。このものは、リングギヤ支持フランジの回転により、上記潤滑油供給部材が、ケース下部の油溜りの油を掻上げて遠心力にて飛散し、該飛散した油を上記油溜めに集めてピニオンシャフトに形成された油路を通ってピニオンを支持するニードルベアリングに供給する。
特開平8−270766号公報
上記潤滑油供給部材の回転により飛散された潤滑油は、その略全量が一方のキャリヤ側板に設けられた油溜めに集められて、各ピニオンシャフトからニードルベアリングに供給される。近時、自動変速機は、多段化されており、キャリヤに支持されるピニオンが高速回転する傾向にあり、上記一方の側板の油溜めからすべてのピニオンに潤滑油を供給するものでは、上記高速回転する径方向位置が異なるピニオンに対してバランスよく潤滑油を供給することが難しく、潤滑油が不足する虞がある。例えば、キャリヤがショートピニオン及びロングピニオンを有するラビニヨ型からなるプラネタリギヤを用いた自動変速機にあっては、高速回転する上記ショートピニオン及びロングピニオンに多くの潤滑油を供給する必要がある。
そこで、ダブルピニオンプラネタリギヤの各ピニオンに確実に潤滑油を供給し、もって上述した課題を解決した自動変速機の潤滑装置を提供することを目的とするものである。
互いに噛合するロングピニオン(46p)及びショートピニオン(45p)と、
前記ロングピニオン(46p)を回転自在に支持するロングピニオンシャフト(55)及び前記ショートピニオン(45p)を回転自在に支持するショートピニオンシャフト(53)の一方側を支持する一方の側板(52)と、前記ロングピニオンシャフト(55)の他方側を支持する他方の側板(51b)と、前記一方の側板(52)と他方の側板(51b)の軸方向における間に設けられ、前記ショートピニオンシャフト(53)の他方側を支持する中央の側板(51c)とを有するキャリヤ(45c)と、
前記ロングピニオン(46p)に噛合する第1のサンギヤ(46s)及びリングギヤ(45r)と、
前記ショートピニオン(45p)に噛合する第2のサンギヤ(45s)と、
からなるラビニヨ型プラネタリギヤ(44)を備えた自動変速機の潤滑装置において、
前記ロングピニオンシャフト(55)の軸内に設けられた第1の潤滑油路(62b,62c)に潤滑油を供給するように前記一方の側板(52)または前記他方の側板(51b)の何れか一方に設けられ、内径側が開口している第1の油溜り(61)と、
前記ショートピニオンシャフト(53)の軸内に設けられた第2の潤滑油路(58a,58b)に潤滑油を供給するように前記中央の側板(51c)に設けられ、内径側が開口している第2の油溜り(133)と、を備えた、
ことを特徴とする自動変速機の潤滑装置にある。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
キャリヤの一方又は他方の側板に第1の油溜りを設け、中央の側板に第2の油溜りを設けて、ロングピニオンには、上記第1の油溜りにより集めた潤滑油を供給し、ショートピニオンには、上記第2の油溜りにより集めた潤滑油を供給するので、例え各ピニオンが高速回転しても、各ピニオンに十分な潤滑油をバランスよくかつ確実に供給することができる。また、軸方向寸法の短いショートピニオンは、該ショートピニオンを回転自在に支持するショートピニオンシャフトの他方側を支持する中央の側板部分に第2の油溜りを設けて、ショートピニオン及びロングピニオンに別系統で潤滑油を供給するので、必要潤滑油量の確保が容易となり、また自動変速機内で撹拌される潤滑油が減少し、ブリーザ吹き限界が向上する。
実施の形態に係る自動変速機を示すスケルトン図。 実施の形態に係る自動変速機の係合表。 実施の形態に係る自動変速機の要部の断面図。 実施の形態に係るキャリヤ本体及びキャリヤカバーからなるキャリヤを示す斜視図。 その前方からみた正面図。 実施の形態に係る潤滑油分配部材(レシーバ)を示す斜視図であり、(a)と(b)とはみる方向が異なる図である。
以下、本発明に係る実施の形態を、図面に沿って説明する。
まず、本実施の形態の自動変速機1の概略構成について、図1及び図2に沿って説明する。本自動変速機1は、後輪駆動車両の前部に縦置きに搭載される駆動源としての図示しないエンジン(内燃機関)のクランクシャフトあるいは電気モータのロータに接続されると共に、エンジン等からの動力を図示しない左右の後輪に伝達可能としている。自動変速機1は、発進装置2と、オイルポンプ3と、エンジン等から入力軸40に伝達された動力を変速して出力軸41に伝達する変速機構4と、これらを収容するトランスミッションケース5とを備えている。
発進装置2は、トルクコンバータ27と、エンジンのクランクシャフト等に連結されたフロントカバーと変速機構4の入力軸40とを接続及び切断可能なロックアップクラッチ21と、フロントカバーと変速機構4の入力軸40との間で振動を減衰するダンパ機構22とを備えている。トルクコンバータ27は、フロントカバーに連結される入力側のポンプインペラ23と、変速機構4の入力軸40に連結される出力側のタービンランナ24と、ポンプインペラ23及びタービンランナ24の内側に配置されてタービンランナ24からポンプインペラ23への作動油の流れを整流するステータ25と、図示しないステータシャフトにより支持されると共にステータ25の回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ26とを備えている。尚、発進装置2は、ステータ25を有さない流体継手であってもよい。
変速機構4は、10段変速式の変速機として構成されており、入力軸40と、図示しないデファレンシャルギヤ及びドライブシャフトを介して左右の後輪に連結される出力軸41と、入力軸40及び出力軸41の軸方向に並べて配設されるシングルピニオン式の第1プラネタリギヤ42及び第2プラネタリギヤ43と、ダブルピニオン式プラネタリギヤとシングルピニオン式プラネタリギヤとを組み合わせて構成されるラビニヨ式遊星歯車機構であるプラネタリギヤセット44とを備えている。また、変速機構4は、入力軸40から出力軸41までの動力伝達経路を変更するための6つの係合要素として、第1クラッチC1と、第2クラッチC2(第2の係合要素)と、第3クラッチC3と、第4クラッチC4と、第1ブレーキB1と、第2ブレーキB2とを備えている。
本実施の形態では、第1及び第2プラネタリギヤ42,43、並びにプラネタリギヤセット44は、発進装置2即ちエンジン側(図1における左側)から、プラネタリギヤセット44、第2プラネタリギヤ43、第1プラネタリギヤ42という順番で並ぶようにトランスミッションケース5内に配置されている。これにより、プラネタリギヤセット44は、発進装置2に近接するように車両の前部側に配置され、第1プラネタリギヤ42は、出力軸41に近接するように車両の後部側に配置され、第2プラネタリギヤ43は、プラネタリギヤセット44と第1プラネタリギヤ42との間に配置されている。
第1プラネタリギヤ42は、外歯歯車である第1サンギヤ42sと、第1サンギヤ42sと同心円上に配置される内歯歯車である第1リングギヤ42rと、それぞれ第1サンギヤ42s及び第1リングギヤ42rに噛合する複数の第1ピニオン42pと、複数の第1ピニオンギヤ42pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する第1キャリヤ42cとを備えている。
第1プラネタリギヤ42の第1キャリヤ42cは、入力軸40に連結された変速機構4の中間軸47に常時連結(固定)されている。これにより、エンジン等から入力軸40に動力が伝達されている際、第1キャリヤ42cには、エンジン等からの動力が入力軸40及び中間軸47を介して常時伝達されることになる。第1キャリヤ42cは、第4クラッチC4の係合時に第1プラネタリギヤ42の入力要素として機能し、第4クラッチC4の解放時には空転する。また、第1リングギヤ42rは、第4クラッチC4の係合時に当該第1プラネタリギヤ42の出力要素として機能する。
第2プラネタリギヤ43は、外歯歯車である第2サンギヤ43sと、第2サンギヤ43sと同心円上に配置される内歯歯車である第2リングギヤ43rと、それぞれ第2サンギヤ43s及び第2リングギヤ43rに噛合する複数の第2ピニオン43pと、複数の第2ピニオンギヤ43pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する第2キャリヤ(プラネタリキャリヤ)43cとを備えている。
第2プラネタリギヤ43の第2サンギヤ43sは、第1プラネタリギヤ42の第1サンギヤ42sと一体化(常時連結)されており、該第1サンギヤ42sと常時一体(かつ同軸)に回転または停止するようになっている。但し、第1サンギヤ42sと第2サンギヤ43sとは、別体に構成されると共に図示しない連結部材を介して常時連結されてもよい。また、第2プラネタリギヤ43の第2キャリヤ43cは、出力軸41に常時連結されており、当該出力軸41と常時一体(かつ同軸)に回転または停止するようになっている。これにより、第2キャリヤ43cは、第2プラネタリギヤ43の出力要素として機能する。更に、第2プラネタリギヤ43の第2リングギヤ43rは、該第2プラネタリギヤ43の固定可能要素として機能する。
プラネタリギヤセット44は、ダブルピニオン式プラネタリギヤである第3プラネタリギヤ45と、シングルピニオン式プラネタリギヤである第4プラネタリギヤ46とを組み合わせて構成される複合遊星歯車機構(ラビニヨ型プラネタリギヤ)である。
プラネタリギヤセット44は、外歯歯車である第3サンギヤ45s及び第4サンギヤ46sと、第3及び第4サンギヤ45s,46sと同心円上に配置される内歯歯車である第3リングギヤ45rと、第3サンギヤ45sに噛合する複数の第3ピニオン(ショートピニオン)45pと、第4サンギヤ46s及び複数の第3ピニオン45pに噛合すると共に第3リングギヤ45rに噛合する複数の第4ピニオン(ロングピニオン)46pと、複数の第3ピニオン45p及び複数の第4ピニオン46pを自転自在(回転自在)かつ公転自在に保持する第3キャリヤ45cとを備えている。
また、プラネタリギヤセット44を構成する回転要素のうち、第4サンギヤ46sは、プラネタリギヤセット44の固定可能要素として機能する。更に、第3キャリヤ45cは、入力軸40に常時連結(固定)されると共に、中間軸47を介して第1プラネタリギヤ42の第1キャリヤ42cに常時連結される。これにより、エンジン等から入力軸40に動力が伝達されている際、第3キャリヤ45cには、エンジン等からの動力が入力軸40を介して常時伝達されることになる。従って、第3キャリヤ45cは、プラネタリギヤセット44の入力要素として機能する。また、第3リングギヤ45rは、当該プラネタリギヤセット44の第1の出力要素として機能し、第3サンギヤ45sは、当該プラネタリギヤセット44の第2の出力要素として機能する。
第1クラッチC1は、常時連結された第1プラネタリギヤ42の第1サンギヤ42s及び第2プラネタリギヤ43の第2サンギヤ43sとプラネタリギヤセット44の第3リングギヤ45rとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。第2クラッチC2は、常時連結された第1プラネタリギヤ42の第1サンギヤ42s及び第2プラネタリギヤ43の第2サンギヤ43sとプラネタリギヤセット44の第3サンギヤ45sとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。第3クラッチC3は、第2プラネタリギヤ43の第2リングギヤ43rとプラネタリギヤセット44の第3リングギヤ45rとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。第4クラッチC4は、第1プラネタリギヤ42の第1リングギヤ42rと出力軸41とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。
第1ブレーキB1は、プラネタリギヤセット44の第4サンギヤ46sをトランスミッションケース5に対して回転不能に固定(接続)すると共に、該第4サンギヤ46sをトランスミッションケース5に対して回転自在に解放するものである。第2ブレーキB2は、第2プラネタリギヤ43の第2リングギヤ43rをトランスミッションケース5に対して回転不能に固定(接続)すると共に、当該第2リングギヤ43rをトランスミッションケース5に対して回転自在に解放するものである。
本実施の形態では、第1クラッチC1〜第4クラッチC4として、ピストン、複数の摩擦係合板、それぞれ作動油が供給される係合油室及び遠心油圧キャンセル室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧クラッチが採用されている。また、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2としては、ピストン、複数の摩擦係合板、作動油が供給される係合油室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧ブレーキが採用されている。
そして、自動変速機1は、第1クラッチC1を係脱し得る不図示の油圧サーボ、第2クラッチC2を係脱し得る不図示の油圧サーボ、第3クラッチC3を係脱し得る不図示の油圧サーボ、第4クラッチC4を係脱し得る不図示の油圧サーボ、第1ブレーキB1を係脱し得る不図示の油圧サーボ、第2ブレーキB2を係脱し得る油圧サーボを備えている。そして、第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2の各油圧サーボは、油圧制御装置による作動油の給排を受けて動作するようになっている。
ここで、本実施の形態では、第2ブレーキB2の油圧サーボは、2つの係合油室としての第1の係合油室(インナーチャンバ)(B2in)及び第2の係合油室(アウターチャンバ)(B2out)を有するダブルチャンバ型としている。インナーチャンバ(B2in)及びアウターチャンバ(B2out)の使い分けは、例えば、中速段のように第2ブレーキB2に大きな係合圧が必要でない場合はインナーチャンバ(B2in)のみに油圧を供給し、低速段のように第2ブレーキB2に大きな係合圧が必要になる場合はインナーチャンバ(B2in)及びアウターチャンバ(B2out)の両方に油圧を供給するようにしている(図2参照)。
図2は、変速機構4の各変速段と第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2の作動状態との関係を示す係合表である。図2中、B2inは、油圧サーボのインナーチャンバに係合圧を供給したことに基づく第2ブレーキB2の係合状態を示し、B2outは、油圧サーボのアウターチャンバにライン圧PLを供給したことに基づく第2ブレーキB2の係合状態を示す。
以上のように構成された自動変速機1では、図1のスケルトン図に示す各第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2が、図2の係合表に示す組み合わせで係脱されることにより、前進1速段(1st)〜前進10速段(10th)、及び後進1速段(Rev)が達成される。
図3は、本実施の形態に係る自動変速機の要部の断面図、具体的にはプラネタリギヤセット44部分の断面図である。該プラネタリギヤセット44は、ショートピニオン45p及びロングピニオン46pを有するラビニヨ型キャリヤ45cを備えており、該キャリヤ45cは、鋳造により成形されたキャリヤ本体51と、該キャリヤ本体の後端面に一体に取付けられたキャリヤカバー52とからなる。上記キャリヤ本体51及びキャリヤカバー52には、それぞれ4個のショートピニオン45pを回転自在に支持するショートピニオンシャフト53及びロングピニオン46pを回転自在に支持するロングピニオンシャフト55が支持されている。図4及び図5に示すように、鋳造からなるキャリヤ本体51は、その前端側の中央部に凹孔120が形成されており、該凹孔の開口側は4個の凹部121…を有する凹凸形状となっている。これら凹部121の前方側は肉厚部122となっており、凹部の周方向の間の庇部124の前方側は空間部128となっている。更に、交互に形成された上記肉厚部122と空間部128の前方側の庇部は、中心貫通孔123を有する中央支持部125になっている。キャリヤ本体51は、周方向に交互に形成された上記凹孔120及び肉厚部122に対応する前方部分が、ショートピニオン45pを収納する部分Sとなり、上記庇部124及び空間部128に対応する部分がロングピニオン46pを収納する部分Lとなる。
上記ショートピニオン収納部Sとなる上記肉厚部122にはシャフト支持孔127が形成されており、該キャリヤ本体51の支持孔127とキャリヤカバー52の支持孔129との間にショートピニオンのシャフト53が支持される。キャリヤ本体51における上記ロングピニオン収納部Lとなる空間部128の後端側の庇部124にシャフト55用の支持孔131が形成されており、該支持孔131とキャリヤカバー52の支持孔132との間にロングピニオンのシャフト55が支持される。従って、上記キャリヤカバー52が、ロングピニオンシャフト55及びショートピニオンシャフト53の一方側を支持する一方の側板を構成し、上記キャリア本体51の庇部124がロングピニオンシャフト55の他方側を支持する他方の側板51bを構成し、上記肉厚部122及び中央支持部125が、前記一方の側板と他方の側板の軸方向における間部分に設けられ、ショートピニオンシャフト53を支持する中央の側板51cを構成する。
上記肉厚部122に形成されたシャフト支持孔127は、図3に詳示するように、袋状孔からなり、該支持孔の底部eとシャフト53の嵌合部との間が空隙部127aとなる。上記肉厚部122の内径側から上記空隙部127aに向けて座ぐり孔からなる連通溝135が形成されており、該連通溝135と上記空隙部127aにより内径側が開口している第2の油溜り133が形成される。
上記ショートピニオンシャフト53には、上記油溜り133側から軸方向に非貫通孔からなる油路58aが形成されており、該油路58aからシャフト周面に向いて油路58bが形成されている。該シャフト53にはショートピニオン45pがニードルベアリング(回転支持部材)54を介して回転自在に支持されており、上記油路58bは上記ニードルベアリング54に向けて開口して、上記油路58a,58bが、第2の油溜り133から回転支持部材であるニードルベアリング54へ潤滑油を供給する第2の潤滑油路を構成する。
上記キャリヤカバー52の支持孔132,129には、前記各ロングピニオンシャフト55及びショートピニオンシャフト53がロックピン59,60により抜止め、回転止めされて支持されている。該キャリヤカバー52の内周側には後方に向けて拡がる鍔部52aが形成されており、該鍔部52aの内周面及びピニオン側の側面により、内径側に向けて開口する環状の凹部からなる第1の油溜り61が形成されている。該油溜りの外径側底面には油路62aが形成されている。前記ロングピニオンシャフト55には軸方向に油路62bが形成され、かつ該油路62bと上記油路62aとを連通する油路62c及び上記軸方向油路62bがシャフト周面に連通する複数の油路62d,62dが形成されており、上記軸方向油路62bの先端はプラグ64により閉塞されている。上記シャフト55には複数のニードルベアリング63,63を介してロングピニオン46pが回転自在に支持されており、上記複数の油路62d,62dは、それぞれ上記ニードルベアリング(回転支持部材)63,63に向けて開口している。上記油路62a,62b,62c,62dが、第1の油溜り6から回転支持部材であるニードルベアリング63へ潤滑油を供給する第1の油路を構成する。
前記ロングピニオン46pの端面と前記キャリヤ本体51及びキャリヤカバー52との間にそれぞれスラストワッシャ65,66が介在しており、また前記ショートピニオン45pとキャリヤカバー52との間にスラストワッシャ67が介在している。一体のキャリヤ本体51及びキャリヤカバー52からなるキャリヤ45cは、そのキャリヤ本体51の中央支持部125における貫通孔123が入力軸40に嵌合して一体に支持されている。前記ミッションケース5の前方部分には隔壁5aが一体に固定されており、かつ該隔壁5aにボス部5bが一体に固定されている。前記入力軸40は、ミッションケース5と一体のボス部5bにスリーブ軸69を介して回転自在に支持されており、該ボス部5bには第1ブレーキB1及びその油圧サーボ70が配置されている。該第1ブレーキB1のハブ71は、上記ボス部5bに回転自在に支持されていると共に、第4サンギヤ(第2のサンギヤ)46sがスプライン係合している。該第4サンギヤ46sは、前記キャリヤ本体51の凹孔120内に配置されて、前記ロングピニオン46pと噛合しており、かつキャリヤ本体の中央支持部125の凹孔120側の壁面にスラストベアリング(スラスト部材)72を介して位置決めされている。
キャリヤ本体51の中央支持部125の後方において、上記入力軸40に回転自在にかつスラストベアリング74を介して軸方向に位置決めされて第3サンギヤ(第1のサンギヤ)45sが支持されている。該第3サンギヤ45sは、前記ショートピニオン45pに噛合しており、かつそのボス部73が後方に延びている。該ボス部73の中間には外径方向に突出するフランジ73aが一体に形成されており、該フランジ73aの外周部に第2クラッチC2のハブ75がセレーション(又はスプライン)結合されている。第2クラッチC2は、多数の内摩擦板76a及び外摩擦板76bを有し、内摩擦板76aが上記ハブ75の外周面にスプライン係合している。外摩擦板76bがその内周面にスプライン係合しているクラッチドラム77は、上記ボス部73の後側にて入力軸40に回転自在に支持されている。
上記ボス部73には第2クラッチC2用のピストン79及びシリンダ80が油密状にかつ軸方向に並んで支持されている。シリンダ80は、上記ボス部73にスナップリング68及び上記クラッチドラム77との間のスラストベアリング78及び間座84により軸方向、特に後方移動に対して位置決めされて配置されている。上記ピストン79の内径側及びシリンダ80との間が第2クラッチC2用の油圧サーボ81の油室を構成し、ピストン79とハブ75との間が上記油室のキャンセル油室82を構成すると共に戻しスプリング83が縮設されている。上記クラッチハブ75は、そのボス部75bの内周面に環状の突起75aが形成されており、該突起75aが前記フランジ73aの後端面に当接して、前方への移動が規制されている。
前記クラッチドラム77の外径側には、該クラッチドラム77を折返すようにして溶接されて第1クラッチC1用のハブ85が配置されている。第1クラッチC1は、多数の内摩擦板86a及び外摩擦板86bを有しており、内摩擦板86aが上記ハブ85の外周面にスプライン係合している。上記外摩擦板86bが内周面にスプライン係合するクラッチドラム87は、一方が前方に延びて第3リングギヤ(リングギヤ)45rとスプライン係合し、他方が前記第2クラッチのクラッチドラム77のボス部77aに被嵌している。該クラッチドラム87の内径側はシリンダとなってピストン89を油密状に嵌合して、油圧サーボ90の油室を構成している。該ピストン89の前方側にはキャンセルプレート91が油密状に嵌合しており、該キャンセルプレート91とピストン89との間がキャンセル油室92となると共に戻しスプリング93が隣接されている。
そして、前記第3リングギヤ45rと第2クラッチC2のハブ75との間に潤滑油分配部材(レシーバ)100が配置されている。該ハブ75のセレーションボス75bの外周面が2面取り部75cとなっており、上記レシーバ100は、該2面取り面に回転不能に嵌合している。該レシーバ100は、図6(a)(b)に示すように、断面L字状の環状部材からなり、その軸線に対して垂直なフランジ部101と、軸線に平行な鍔部102とを有する。フランジ部101の鍔部102と反対側である背面には、所定間隔(120°)毎に半径方向に延びる凹溝101aが形成されている。上記鍔部102は、所定間隔(120°)毎に切欠れた開口部102aが形成されている。
上記レシーバ100は、薄肉部100aと肉厚部100bとが交互に形成されており、肉厚部(仕切り部)100bにより周方向により区画された、薄肉部100aからなる複数(6個)の部屋A…を有する。これら部屋は、1個おきに上記開口部102aに対応して、油を開口部102aから径方向に導く第1の部屋A1を構成し、他の部分は鍔部102による庇部102bに対応して、油を庇部102bの先端から放出する第2の部屋A2を構成する。180°にて対面する2個の部屋A2,A1には、対向するようにして内側が平面となる突起103a,103aが形成されており、該突起103aが前記第2クラッチC2用ハブ75のボス75bの2面取り75cに嵌合する。該レシーバ100は、図3及び図6に示すように、その肉厚部100bが上記ハブのボス75bに嵌合すると共に上記2面取り75cへの突起103aの嵌合により回り止めされ、かつそのフランジ部101が第3サンギヤ45sの断面Sに対面して、軸方向に位置決めされて装着される。
該装着された状態において、上記レシーバ(潤滑油分配部材)100の庇部102bの先端は、前記油溜り61の鍔部52aの先端位置と軸方向に略々同じ位置にあり、上記第2の部屋A2からの油は、遠心力により庇部102bの先端から前記第2クラッチハブ75に形成された(第3の)油溜り105に導かれ、レシーバ100の上記第2の部屋A2の油は、遠心力により開口部102aからキャリヤカバー52の(第2の)油溜り61に導かれ、また軸芯側から飛散される油の一部は、フランジ部101の凹溝101aからスラストワッシャ66,67に導かれる。
上記ハブ75の油溜り105は、該ハブ75後端で内径側に延びる環状の突部75d及びボス75bに延びるフランジ部により形成される、内径側に向けて開放する環状の凹みからなり、ハブ75には、該油溜り105の底部から、ハブ外周面のスプライン部における軸方向に異なる位置に向けて延びる複数の油孔106…が設けられている。第2クラッチC2用ドラム77の外周スプライン部には複数の油孔107…が貫通して形成されており、またそれに折り畳むように重なる第1クラッチC1用のハブ85にも複数の油孔109が貫通して形成されている。
前記第3サンギヤ45sのボス部73に形成されたフランジ73aには複数個(4個)の連通孔110が等間隔(90°)毎に軸方向に貫通して形成されている。該連通孔110は、第2クラッチC2のキャンセル油室82と、第3サンギヤ45sの側面とフランジ73aとの間の空間Bとを連通し、該空間Bの外径側は、上記レシーバ100が天井のように覆って、前記部屋A1…,A2…が形成されている。各部屋と上記連通孔110とは、第2クラッチC2用ハブ75と第3サンギヤ45sのボスフランジ73aとをどのような位相でセレーション結合しても、連通孔110から第1の部屋A1と第2の部屋A2に振分けて油が供給されるように設定されている。
ついで、本実施の形態による自動変速機の潤滑装置の作用について説明する。本自動変速機1は、第1及び第2クラッチC1、C2の係合によりプラネタリギヤセット44が一体回転している1速段、及び直結状態である7速段以外の変速段にあっては、ショートピニオン45p及びロングピニオン46pは、入力軸40の回転よりも高い回転速度で回転している。
入力軸40の油路から供給される潤滑油は、隔壁5aと一体のボス部5bの先端と、キャリヤ本体51の中央支持部125との間から、第4サンギヤ46sが配置されているキャリヤ本体51の凹孔120内に飛散される。該飛散された潤滑油は、スラストベアリング72を潤滑すると共に、第4サンギヤ46sとロングピニオン46pとの噛合面を潤滑し、更に凹孔120の内壁面である肉厚部122に集められ、該肉厚部に形成された連通溝135に導かれる。キャリヤ45cは、エンジン等から入力軸40に動力が伝達されている際は常に回転しており、上記連通溝135の潤滑油は、袋状孔からなる油溜り133に導かれ、更にシャフト53の油路58a,58bを介してショートピニオン45pを回転支持するニードルベアリング(回転支持部材)54に供給される。
一方、入力軸40の油路からの潤滑油が第3サンギヤボス部73の油路dを介してキャンセル油室82に供給される。リバース、1速、3速、5速、10速において第2クラッチC2が係合し、その他の変速段では第2クラッチC2は解放している。該クラッチC2の係合及び解放は、油圧サーボ81に油を給排することによりピストン79を移動することにより行われる。この際、ピストン79の背面側のキャンセル油室82には油が満たされており、上記油圧サーボの油に作用する遠心油がキャンセルされる。
該キャンセル油室82からオーバフローした油は、連通孔110を通って空間Bに供給される。特に、第2クラッチC2が係合する際、ピストン79の移動によりキャンセル油室82の容積が減少し、多くの油が連通孔110を通って空間Bに供給される。該空間Bの油は、第3サンギヤ45sの回転に基づく遠心力によりレシーバ(潤滑油分配部材)100に導かれる。該レシーバ100の第1の部屋A1に導かれた油は、開口部102aから外径方向に飛散してキャリヤカバー52の油溜り61に向けて放出され、更に油路62a,62c,62b,62dを介してロングピニオン46pを回転支持するニードルベアリング(回転支持部材)63に供給される。
上記レシーバ100の第2の部屋A2に導かれた油は、庇部102bに案内されて軸方向に導かれ、庇部102bの先端から第2クラッチハブ75の油溜り105に向けて放出される。該油溜り105の油は、油孔106を介してハブ75の外周面に導かれ、第2クラッチC2の摩擦板76a,76bに供給される。更に、該油は、摩擦板からクラッチドラム77の油孔107、第1クラッチC1のハブ85の油孔109を介して該第1クラッチC1の摩擦板86a,86bに供給される。特に、第2クラッチC2が解放されている低速段(1速〜6速)にあっては、該解放されている摩擦板76a,76bを通って油孔106からの油が第1クラッチC1の摩擦板86a,86bに供給される。上記第2クラッチC2が係合開始する状態では、摩擦係合要素76a,76bに多くの潤滑油を供給することが望ましいが、この際上述したようにピストン79の移動によりキャンセル油室82の容積が減少して多量の潤滑油が空間Bに供給されるので、上記摩擦係合要素への潤滑油量も増大する。
上記空間Bに供給された油の一部は、レシーバ100のフランジ部101に設けられた凹溝101aを通ってロングピニオン46pとキャリヤカバー52との間のスラストワッシャ66,67に供給される。
これにより、空間Bの油は、レシーバ(潤滑油分配部材)100により適正に分配されて、ロングピニオン46pを支持するニードルベアリング63、クラッチC2等の摩擦板及びスラストワッシャ66,67に供給される。
本自動変速機1にあっては、10速段においてロングピニオン46pが高速回転して十分な潤滑油を必要とするが、この2クラッチC2は係合状態にあって、摩擦板76a,76bが接触して油孔106からの油の排出が不十分となり、ハブ75の油溜り105の油がオーバフローする。該油溜り105の突部75dとキャリヤカバー52の鍔部52aとの間隔が絞られており、上記油溜り105のオーバフローした油は、キャリヤカバー52の油溜り61にも流れ込み、第1の部屋A1からの油と合せてロングピニオン46pに十分な油が供給される。ショートピニオン45pも10速段においては高速回転して十分な潤滑油を必要とするが、該ショートピニオン45pには、キャリヤカバー52からのロングピニオン潤滑とは別経路であるキャリヤ本体51から、油溜り133を介して十分な潤滑油が供給される。
なお、上記自動変速機は、前進10速段に限らず、ラビニヨ型のプラネタリギヤを有する自動変速機であれば、どのような自動変速機にも適用可能である。また、上述した実施の形態は、他方の側板51b及び中央の側板を一体のキャリヤ本体51に設けたが、これは、一方の側板、他方の側板及び中央の側板が別部材からなり、これら部材を一体に固定したものでもよい。またロングピニオン用の第1の油溜り61は、キャリヤカバー52からなる一方の側板に設けられているが、これは、キャリヤ本体の他方の側板51bに設けられてもよい。また、油溜りは、側板に形成されているが、別体に形成された樹脂などからなるレシーバでよい。
以上、本開示の内容をまとめて示すと以下の通りである。
(1)キャリヤ本体(51)と該キャリヤ本体の一方端に固定されたキャリヤカバー(52)からなるキャリヤ(45c)と、前記キャリヤに支持される複数のシャフト(53…,55…)にそれぞれ回転自在に支持されるピニオン(45p,46p)と、を有する自動変速機(1)の潤滑装置において、
前記キャリヤカバー(52)に設けられ、内径側が開口している第1の油溜り(61)と、
前記キャリヤ本体(51)に設けられ、内径側が開口(135)している第2の油溜り(133)と、
前記第1の油溜り(61)と、前記複数のシャフトの内の第1のシャフト(55)に支持される第1のピニオン(46p)を回転自在に支持する回転支持部材(63)とを連通する第1の油路(62a〜62d)と、
前記第2の油溜り(133)と、前記複数のシャフトの内の前記第1のシャフト以外である第2のシャフト(53)に支持される第2のピニオン(45p)を回転自在に支持する回転支持部材(54)とを連通する第2の油路(58a,58b)と、を備えたことを特徴とする。
これにより、キャリヤカバーに第1の油溜りを設け、キャリヤ本体に第2の油溜りを設けて、第1のピニオンには、上記第1の油溜りにより集めた潤滑油を供給し、第2のピニオンには、上記第2の油溜りにより集めた潤滑油を供給するので、例えピニオンが高速回転しても、各ピニオンに十分な潤滑油を供給することができる。また、複数のピニオンを第1のピニオン及び第2のピニオンに分けて、第1のピニオン及び第2のピニオンに別系統で潤滑油を供給するので、必要潤滑油量の確保が容易となり、また自動変速機内で撹拌される潤滑油が減少し、ブリーザ吹き限界が向上する。
(2)互いに噛合するロングピニオン(46p)及びショートピニオン(45p)と、
前記ロングピニオン(46p)を回転自在に支持するロングピニオンシャフト(55)及び前記ショートピニオン(45p)を回転自在に支持するショートピニオンシャフト(53)の一方側を支持する一方の側板(52)と、前記ロングピニオンシャフト(55)の他方側を支持する他方の側板(51b)と、前記一方の側板(52)と他方の側板(51b)の軸方向における間に設けられ、前記ショートピニオンシャフト(53)の他方側を支持する中央の側板(51c)とを有するキャリヤ(45c)と、
前記ロングピニオン(46p)に噛合する第1のサンギヤ(46s)及びリングギヤ(45r)と、
前記ショートピニオン(45p)に噛合する第2のサンギヤ(45s)と、
からなるラビニヨ型プラネタリギヤ(44)を備えた自動変速機の潤滑装置において、
前記ロングピニオンシャフト(55)の軸内に設けられた第1の潤滑油路(62b,62c)に潤滑油を供給するように前記一方の側板(52)または前記他方の側板(51b)の何れか一方に設けられ、内径側が開口している第1の油溜り(61)と、
前記ショートピニオンシャフト(53)の軸内に設けられた第2の潤滑油路(58a,58b)に潤滑油を供給するように前記中央の側板(51c)に設けられ、内径側が開口している第2の油溜り(133)と、を備えたことを特徴とする。
これにより、ラビニヨ型プラネタリギヤのロングピニオン及びショートピニオンに、第1の油溜り及び第2の油溜りからそれぞれ潤滑油が供給されて、該ラビニヨ型のキャリヤにおける各ピニオンに十分な潤滑油を供給することができる。軸方向寸法の短いショートピニオンは、中央の側板から確実に潤滑油が供給される。
(3)前記中央の側板(51c)は、前記一方の側板(52)および前記他方の側板(51b)の少なくとも一方より内径まで延びると共に中心孔(123)を有する中央支持部(125)を有し、
該中央支持部の前記中心孔(123)が入力軸(40)に固定されると共に、該中央支持部(125)の前記他方の側板側の壁面と前記第1のサンギヤ(46s)との間にスラスト部材(75)を介在し、
前記入力軸側から放出された潤滑油が、前記スラスト部材(75)を潤滑して前記第2の油溜り(133)に導かれる。
これにより、入力軸側から放出される潤滑油は、第1のサンギヤを位置決めするスラスト部材を潤滑し、そして第2の油溜りに導かれて、ショートピニオンを支持する回転支持部材に供給される。
(4)前記他方の側板(51b)及び前記中央の側板(51c)は、一体に形成されたキャリヤ本体(51)であり、前記一方の側板は、該キャリヤ本体の一方端に固定されたキャリヤカバー(52)であり、
前記キャリヤ本体(51)は、前記キャリヤカバー(52)を固定する側と反対側の端面に凹孔(120)を有し、該凹孔の周面に、ショートピニオン収納部(S)となる肉厚部(122)と、ロングピニオン収納部(L)となる空間部(124)とを交互に配置し、
前記肉厚部(122)に、前記ショートピニオンシャフト(53)を嵌合する支持孔(127)を形成し、
該支持孔を袋状孔として、該袋状孔の底部と前記ショートピニオンシャフトとの間の空隙部(127a)と、該空隙部と前記肉厚部内周面とを連通する連通溝(135)とで、前記第2の油溜り(133)を形成してなる。
これにより、キャリヤ本体のショートピニオン収納部のシャフト支持孔を袋状孔とし、かつ該袋状孔の底部とシャフトとの間の空隙部に連通するように、肉厚部内周面からさぐり孔等の連通溝を形成して、第2の油溜りを容易かつ確実に形成することができ、軸方向寸法の短いショートピニオンに上記第2の油溜りから確実に潤滑することができる。
(5)前記第1の油溜り(61)は、前記キャリヤカバー(52)の内周面の全周に形成された環状の凹部からなる。
これにより、第1の油溜りは、キャリヤカバーの内周面に形成された環状の凹部からなる簡単な構成からなり、かつ全周に亘る凹部により十分な潤滑油を集めてロングピニオン等の第2のピニオンの回転支持部材を確実に潤滑することができる。
(6)前記第2の潤滑油路は、前記第2の油溜り(133)から前記ショートピニオンシャフト(53)に形成された非貫通孔(58a)を有する。
これにより、第2の油路は、第2の油溜りからショートピニオンシャフトに形成された非貫通孔を有するので、貫通孔を閉塞するプラグが不要となり、構成が簡単になる。
1 自動変速機
40 入力軸
44 ラビニヨ型プラネタリギヤ(プラネタリギヤセット)
45c キャリヤ
45p ショートピニオン(第3ピニオン)
45r リングギヤ
45s 第2のサンギヤ(第3サンギヤ)
46p ロングピニオン(第4ピニオン)
46s 第1のサンギヤ(第4サンギヤ)
51 キャリヤ本体
51b 他方の側板
51c 中央の側板
52 キャリヤカバー(一方の側板)
53 ショートピニオンシャフト
54 回転支持部材(ニードルベアリング)
55 ロングピニオンシャフト
61 第1の油溜り
62a〜62d 第1の潤滑油路
58a,58b 第2の潤滑油路
72 スラスト部材(スラストベアリング)
120 凹孔
122 肉厚部
123 中心孔
124 空間部
125 中央支持部
127 支持孔
127a 空隙部
133 第2の油溜り
135 連通溝
S ショートピニオン収納部
L ロングピニオン収納部

Claims (5)

  1. 互いに噛合するロングピニオン及びショートピニオンと、
    前記ロングピニオンを回転自在に支持するロングピニオンシャフト及び前記ショートピニオンを回転自在に支持するショートピニオンシャフトの一方側を支持する一方の側板と、前記ロングピニオンシャフトの他方側を支持する他方の側板と、前記一方の側板と他方の側板の軸方向における間に設けられ、前記ショートピニオンシャフトの他方側を支持する中央の側板とを有するキャリヤと、
    前記ロングピニオンに噛合する第1のサンギヤ及びリングギヤと、
    前記ショートピニオンに噛合する第2のサンギヤと、
    からなるラビニヨ型プラネタリギヤを備えた自動変速機の潤滑装置において、
    前記ロングピニオンシャフトの軸内に設けられた第1の潤滑油路に潤滑油を供給するように前記一方の側板または前記他方の側板の何れか一方に設けられ、内径側が開口している第1の油溜りと、
    前記ショートピニオンシャフトの軸内に設けられた第2の潤滑油路に潤滑油を供給するように前記中央の側板に設けられ、内径側が開口している第2の油溜りと、を備えた、
    ことを特徴とする自動変速機の潤滑装置。
  2. 前記中央の側板は、前記一方の側板および前記他方の側板の少なくとも一方より内径まで延びると共に中心孔を有する中央支持部を有し、
    該中央支持部の前記中心孔が入力軸に固定されると共に、該中央支持部の前記他方の側板側の壁面と前記第1のサンギヤとの間にスラスト部材を介在し、
    前記入力軸側から放出された潤滑油が、前記スラスト部材を潤滑して前記第2の油溜りに導かれる、
    請求項1記載の自動変速機の潤滑装置。
  3. 前記他方の側板及び前記中央の側板は、一体に形成されたキャリヤ本体であり、前記一方の側板は、該キャリヤ本体の一方端に固定されたキャリヤカバーであり、
    前記キャリヤ本体は、前記キャリヤカバーを固定する側と反対側の端面に凹孔を有し、該凹孔の周面に、ショートピニオン収納部となる肉厚部と、ロングピニオン収納部となる空間部とを交互に配置し、
    前記肉厚部に、前記ショートピニオンシャフトを嵌合する支持孔を形成し、
    該支持孔を袋状孔として、該袋状孔の底部と前記ショートピニオンシャフトとの間の空隙部と、該空隙部と前記肉厚部内周面とを連通する連通溝とで、前記第2の油溜りを形成してなる、
    請求項1または2記載の自動変速機の潤滑装置。
  4. 前記第1の油溜りは、前記キャリヤカバーの内周面の全周に形成された環状の凹部からなる、
    請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機の潤滑装置。
  5. 前記第2の潤滑油路は、前記第2の油溜りから前記ショートピニオンシャフトに形成された非貫通孔を有する、
    請求項1ないし4のいずれか記載の自動変速機の潤滑装置。
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