JP2003097676A - 自動変速機の潤滑構造 - Google Patents

自動変速機の潤滑構造

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JP2003097676A
JP2003097676A JP2001289499A JP2001289499A JP2003097676A JP 2003097676 A JP2003097676 A JP 2003097676A JP 2001289499 A JP2001289499 A JP 2001289499A JP 2001289499 A JP2001289499 A JP 2001289499A JP 2003097676 A JP2003097676 A JP 2003097676A
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oil
lubricating oil
carrier plate
pinion
thrust washer
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JP2001289499A
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English (en)
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Kenichi Yajima
健一 矢島
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Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H57/00General details of gearing
    • F16H57/04Features relating to lubrication or cooling or heating
    • F16H57/042Guidance of lubricant
    • F16H57/043Guidance of lubricant within rotary parts, e.g. axial channels or radial openings in shafts
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H57/00General details of gearing
    • F16H57/04Features relating to lubrication or cooling or heating
    • F16H57/0467Elements of gearings to be lubricated, cooled or heated
    • F16H57/0479Gears or bearings on planet carriers

Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分なプラネタリギヤユニットの潤滑量が確
保でき、かつ製造コストの低減が期待できる自動変速機
の潤滑構造を提供することにある。 【解決手段】 リヤプラネタリギヤユニット41のピニ
オンシャフト51のニードルベアリング45が当接する
部分に潤滑油導入口及びキャリヤプレート60の側面6
4と対応する部分に潤滑油吐出口が開口する潤滑油孔5
2を穿孔し、キャリヤプレート60の円孔61の内周端
面63及び側面64によって形成される角部を切除して
形成したリング状の油溜め65と、スラストワッシャ7
0に形成された円孔71の縁部72によって溝状の油保
持部75を形成し、かつスラストワッシャ70に各ピニ
オン44とキャリヤプレート60の側面64との間に介
装されるスラストワッシャ部73を一体形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機の潤滑
構造に関し、特に自動変速機のプラネタリギヤユニット
の潤滑構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に使用される自動変速機は、トルク
コンバータとプラネタリギヤユニット等の歯車機構を有
する多段変速機構とを組み合わせて構成される。このよ
うな多段変速機の変速制御には通常油圧機構が用いら
れ、機械式或いは電磁式切換弁により油圧回路を切換
え、これにより多段変速機構に配設されるブレーキ、ク
ラッチ等の摩擦係合装置を選択的に作動させてエンジン
動力の伝達系路を切換えて所要の変速段を得るようにな
っている。
【0003】この種の自動変速機に用いられるプラネタ
リユニットは、例えば特開平5−141484号公報に
開示され、かつ図12に要部断面を示すように、サンギ
ヤ及びインターナルギヤ(図示せず)と噛み合うピニオ
ン101が一対のキャリヤプレート102、103に掛
け渡されて周り止めピン104によって回転が阻止され
たピニオンシャフト105に2列に配置されたニードル
ベアリング106を介在して回転自在に支承されてい
る。2列に配置されたニードルベアリング106の間に
リング部材107が介設され、ピニオン101とキャリ
ヤプレート102及び103との間に各々スラストワッ
シャ108が各々配設されてピニオン101によるスラ
スト力を受けるようになっている。更に、このスラスト
ワッシャ108はニードルベアリング106の端部に当
接し、ニードルベアリング106によるスラスト力を受
けてこれらのスキューの発生を防止している。
【0004】キャリヤプレート102の内周端面に沿っ
て断面U字状の油保持部102aを形成し、かつ油保持
部102aから潤滑油をピニオンシャフト105に形成
された導入油孔105aに誘導する切り欠き102bが
形成されている。ピニオンシャフト105の導入油孔1
05aは一端が閉塞された軸方向孔105bに連通さ
れ、更に軸方向孔105bはピニオンシャフト105の
中央部付近に形成された吐出油孔105cに連通されて
リング部材107の内側に対向して開口している。一
方、自動変速機の各構成部の潤滑油供給は、入力軸に沿
って中空状に形成された供給通路内にオイルポンプから
潤滑油が圧送供給され、入力軸の回転による遠心力によ
って円周方向に穿孔された油孔からトランスミッション
ケースの内周面に向けて飛散させることによって行われ
る。
【0005】このように構成されたプラネタリギヤユニ
ットの潤滑は、プラネタリギヤユニットの回転に伴って
ピニオン101が、ピニオンシャフト105の周りを自
転及び公転したり、ピニオンシャフト105と共に公転
する。この際、入力軸の潤滑油吐出孔から飛散された潤
滑油の一部は、キャリヤプレート102の内周端面に沿
って形成された油保持部102aに保持され、切り欠き
102bに誘導されてピニオンシャフト105に穿設さ
れた導入油孔105a、軸方向孔105b及び吐出油孔
105cを介してニードルベアリング106との当接部
に供給される。
【0006】また、特開平10−68461号公報に開
示されるプラネタリギヤユニットの潤滑構造は、図13
に示すようにフロントプラネタリギヤユニット111と
リヤプラネタリギヤユニット121を備え、リヤサンギ
ヤ122とフロントプラネタリキャリヤ126のキャリ
ヤプレート128との間に介在するスラストベアリング
129のスラストレース129aのキャリヤプレート1
28側の面にスラストベアリング129の内周側と外周
側を連通する溝を形成する。一方、ピニオン123をニ
ードルベアリング124を介在して回転自在に支持する
ピニオンシャフト127の軸方向端面に開口する軸方向
孔127aと吐出油孔127b、127cを穿設し、ピ
ニオンシャフト127の軸方向端面に、その軸方向端面
及びキャリヤプレート128の外面に沿ってスラストベ
アリング129の外周面近傍から軸方向孔127aの開
口部に至る案内油路を形成するオイルキャップ130を
固設する。
【0007】そして、入力軸131の潤滑油吐出孔13
1aから飛散した潤滑油をスラストベアリング129の
スラストレース129aに形成された溝及びオイルキャ
ップ130によって形成された案内油路を介してピニオ
ンシャフト127に形成された軸方向孔127aに誘導
し、吐出油孔127b、127cを介してニードルベア
リング124に潤滑油を供給するように構成されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平5−141
484号公報によると、キャリヤプレート102の内周
端面に沿って断面U字状に形成された油保持部102内
に潤滑油を保持し、油保持部102aに保持された潤滑
油を切り欠き102b及びピニオンシャフト105に穿
設された導入油孔105a、軸方向孔105b、吐出油
孔105cを介してニードルベアリング106の当接部
に供給して潤滑を行うように構成されている。
【0009】しかし、板厚が制限されたキャリヤプレー
ト102の内周端面に、その両側にフランジ状の縁を有
する断面U字状の油保持部102aを形成することか
ら、高速走行時等に要求される潤滑油量を十分に保持し
得る幅の油保持部102aを形成することは困難であ
り、ニードルベアリング106等の潤滑不足により円滑
な作動に影響を及ぼすことが懸念される。また、潤滑油
不足による摩耗等の破損を誘発するおそれがある。この
対策として油保持部102aを大きくするためにはキャ
リヤプレート102の板厚の増大が必要になり、キャリ
ヤプレート102の重量が増大すると共に、プラネタリ
ギヤユニットの軸長、ひいては自動変速機の全長が大き
くなり重量の増大を招く要因となる。
【0010】また、板厚が制限されたキャリヤプレート
102の内周端面に、両側にフランジ状の縁を有する断
面U字状の溝加工を施して油保持部102aを形成する
には加工精度が要求され、その加工が厄介であると共
に、各ピニオン101とキャリヤプレート102との間
に各々スラストワッシャ108を配設することから構成
部品が多く、組み立て作業の煩雑を招き多くの製造コス
トが要求される。
【0011】一方、特開平10−68461号公報にあ
っては、入力軸131の潤滑油吐出孔131aから飛散
した潤滑油をスラストベアリング129のスラストレー
ス129aに形成された溝及びオイルキャップ130に
よってピニオンシャフト127に形成された軸方向孔1
27aに誘導し、吐出油孔127b、127cを介して
ニードルベアリング124に潤滑油を供給するように構
成されている。
【0012】しかし、フロントプラネタリギヤユニット
111とリヤプラネタリギヤユニット121との間にピ
ニオンシャフト127に形成された軸方向孔127aに
潤滑油を誘導するオイルキャップ130を配設すること
から、フロントプラネタリギヤユニット111とリヤプ
ラネタリギヤユニット121との間に十分な間隙を設け
る必要があり、プラネタリギヤユニット全体の軸長が増
大し、ひいては自動変速機の全長が大きくなり重量の増
大を招くことが懸念される。また、各ピニオンシャフト
127に各々オイルキャップ130を配設することか
ら、構成部品が多く、組み立て作業の煩雑を招くことと
相俟って多くの製造コストが要求される。
【0013】従って、かかる点に鑑みなされた本発明の
目的は、十分なプラネタリギヤユニットの潤滑量が確保
でき、しかも簡単な構成で構成部品が削減及び製造の簡
素化による製造コストの低減が期待できる自動変速機の
潤滑構造を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する請求
項1に記載の自動変速機の潤滑構造は、サンギヤと、イ
ンターナルギヤと、キャリヤプレートに支持された複数
のピニオンシャフトに各々ニードルベアリングを介在し
て回転自在に支承されて上記サンギヤ及びインターナル
ギヤに噛み合う複数のピニオンと、該ピニオンの端部と
上記キャリヤプレートの側面との間に介装されたスラス
トワッシャと有するプラネタリギヤユニットを備え、入
力軸に形成された潤滑油孔から潤滑油を飛散せしめて潤
滑する自動変速機の潤滑構造において、上記ピニオンシ
ャフトは、周面の上記ニードルベアリングが当接する部
分に潤滑油導入口が開口し、かつ上記キャリヤプレート
の側面と対応する部分に潤滑油吐出口が開口する潤滑油
孔を有し、上記キャリヤプレートは、上記サンギヤと同
芯上に開口する円孔と、該円孔の内周端面及び上記側面
によって形成される角部を該内周端面に沿って切除して
形成されたリング状の油溜めと、上記側面に凹設されて
該油溜めと上記ピニオンシャフトの潤滑油導入口とを連
結する潤滑油案内溝とを有し、上記スラストワッシャ
は、円孔が開口する円板状であって、各ピニオンシャフ
トが貫通するピニオンシャフト貫通孔が穿設されて各ピ
ニオンとキャリヤプレートの側面との間に介装されるス
ラストワッシャ部が一体形成され、上記キャリヤプレー
トの側面に上記スラストワッシャが接面して、キャリヤ
プレートに形成された上記油溜めとキャリヤプレートの
円孔の縁部によって上記内周端縁に沿って溝状の油保持
部を形成すると共に、上記潤滑油案内溝とスラストワッ
シャによって上記油保持部から上記ピニオンシャフトの
潤滑油導入口に連通する孔状の潤滑油案内孔を形成した
ことを特徴とする。
【0015】請求項1の発明によると、キャリヤプレー
トに形成された円孔の内周端面と側面によって形成され
角部を切除して油溜めを形成し、側面に当接するスラス
トワッシャの円孔の縁部と協働して溝状でかつリング状
の油保持部に形成することによって、従来のようにキャ
リヤプレートの内周端面に、両側にフランジ状の縁を有
する溝加工を施して油保持部を形成する場合に比べ、油
保持部の有効幅が拡大されて油保持部に十分な潤滑油を
確保することができる。そして、油保持部に供給保持さ
れた潤滑油は、遠心力によってキャリヤプレートに形成
された潤滑油案内溝とスラストワッシャによって形成さ
れた潤滑油案内孔及びピニオンシャフトに穿孔された潤
滑油孔を介してピニオンシャフトのニードルベアリング
との当接面に十分な量が供給される。従って、ニードル
ベアリング及びピニオンの端面とスラストワッシャ部の
摺接部に十分に潤滑油を供給することができ、各摺動部
の発熱が抑制されて安定した円滑なリヤプラネタリギヤ
の作動が確保できると共に潤滑油不足による損傷等が回
避されて耐久性が得られる。
【0016】また、キャリヤプレートそれ自体に油溜め
を形成し、スラストワッシャと協働して油保持部を形成
することからプラネタリギヤユニットを大きく変更する
ことなく、かつ他の構成部品を付加することなく十分な
潤滑油が確保できる。従ってプラネタリギヤユニットの
軸長の増大が回避できる。特にフロントプラネタリギヤ
ユニットとリヤプラネタリギヤユニット等の複数のプラ
ネタリギヤユニットを近接して配置することが可能にな
り、自動変速機の全長が短縮して重量の軽減が得られ
る。
【0017】更に、油溜めは、キャリヤプレートの円孔
に面取り状の機械加工を施すことにより容易に形成で
き、かつ単一のスラストワッシャに各ピニオンシャフト
に対応するスラストワッシャ部を一体に形成することか
ら、各ピニオンシャフトに各々スラストワッシャを配設
する従来の構造に比べ構成部品の大幅な削減が得られる
と共に、組立作業の簡素化及び部品管理の簡素化が得
れ、製造コストの削減が期待できる。
【0018】請求項2に記載の発明は、請求項1の自動
変速機の潤滑構造において、上記キャリヤプレート及び
スラストワッシャに各々形成された各々の円孔は、上記
サンギヤより大径であって、上記油保持部はサンギヤの
側端面の延長面上で開口したことを特徴とする。
【0019】請求項2の発明によると、キャリヤプレー
トとスラストワッシャによって形成される油保持部をサ
ンギヤの側端面の延長面上に開口させることから、サン
ギヤの回転による遠心力によって飛散した潤滑油を油保
持部によって効率的に受け止められ、油保持部による潤
滑油の保持量が十分に確保でき、ニードルベアリング及
びピニオンの端面とスラストワッシャ部の摺接部により
多くの潤滑油を供給することができ、より安定した円滑
なリヤプラネタリギヤの作動が確保できると共に潤滑油
不足による損傷等が回避されて耐久性が確保できる
【0020】
【発明の実施の形態】以下本発明による自動変速機の潤
滑構造の実施の形態を図1乃至図11を参照して説明す
る。
【0021】図1は、本実施の形態の駆動系を説明する
スケルトン図であって、符号10はエンジンである。こ
のエンジン10に接合されてトルクコンバータ13を収
容するトルクコンバータケース1、このトルクコンバー
タケース1の後部にオイルポンプハウジング2、トラン
スミッションケース3及びトランスファケース4が順次
接合し、トランスミッションケース3の下部にオイルパ
ン5が設けられている。エンジン10のクランク軸11
がトルクコンバータケース1内部のロックアップクラッ
チ12を備えたトルクコンバータ13に連結し、トルク
コンバータ13から入力軸14がトランスミッションケ
ース3内部の自動変速機30に入力する。自動変速機3
0からの出力軸15は入力軸14と同軸上に出力し、こ
の出力軸15がトランスファケース4内部のセンターデ
ィファレンシャル装置21に同軸上で連結する。
【0022】また、トランスミッションケース3の内部
では、フロントドライブ軸16が入力軸14及び出力軸
15と平行に配置されている。このフロントドライブ軸
16の後端は一対のリダクションギヤ17、18を介し
てセンターディファレンシャル装置21に連結されてお
り、フロントドライブ軸16の前端はオイルポンプハウ
ジング2内部のフロントディファレンシャル装置19を
介して前輪に伝動構成される。一方、センターディファ
レンシャル装置21からはリヤドライブ軸20に回転力
が出力され、このリヤドライブ軸20はプロペラ軸及び
リヤディファレンシャル装置等を介して後輪に伝動構成
される。
【0023】次に自動変速機30の部分について説明す
る。
【0024】自動変速機30は入力軸14と同軸上にフ
ロントプラネタリギヤユニット31とリヤプラネタリギ
ヤユニット41を具備する多段変速機構を有している。
【0025】フロントプラネタリギヤユニット31は、
入力軸14に回転自在に嵌合するフロントサンギヤ32
と、フロントインターナルギヤ33と、フロントプラネ
タリキャリヤ36と、フロントプラネタリキャリヤ36
に軸支されてフロントサンギヤ32とフロントインター
ナルギヤ33に各々噛み合う複数のピニオン34とを具
備し、フロントサンギヤ32は複数のピニオン34によ
って自己調芯されている。
【0026】リヤプラネタリギヤユニット41は、入力
軸14にスプライン嵌合するリヤサンギヤ42と、リヤ
インターナルギヤ43と、フロントインターナルギヤ3
3と一体的に結合するリヤプラネタリキャリヤ50に軸
支されてリヤサンギヤ42とリヤインターナルギヤ43
とに各々噛み合う複数のピニオン44とを具備すると共
に、リヤプラネタリキャリヤ50から出力は出力軸15
に伝動構成される。
【0027】入力軸14とフロントプラネタリギヤユニ
ット31との間には、入力軸14の動力を選択的にフロ
ントプラネタリキャリヤ36に動力伝達するハイクラッ
チ80及び入力軸14の動力を選択的にフロントサンギ
ヤ32に動力伝達するリバースクラッチ83が介装さ
れ、トランスミッションケース3とフロントサンギヤ3
2との間にはフロントサンギヤ32を選択的に回転係止
して締結する2&4ブレーキ85が配設されている。
【0028】更に、フロントプラネタリキャリヤ36に
は、フロントプラネタリキャリヤ36と一体的に回転す
るロークラッチ87のクラッチドラム88がスプライン
嵌合している。クラッチドラム88とリヤインターナル
ギヤ43との間にフロントプラネタリキャリヤ36とリ
ヤインターナルギヤ43との間を選択的に動力伝達する
ロークラッチ87が設けられ、かつクラッチドラム88
とトランスミッションケース3との間にローワンウエイ
クラッチ89及びローワンウエイクラッチ89の空転を
防止するためのロー&リバースブレーキ90が並列に設
けられている。
【0029】次にこのように構成された自動変速機30
の作用を図2乃至図6に示す作動概略説明図及び図7に
示す作動状態説明図に従って説明する。なお、作動説明
図において○印は対応するクラッチ及びブレーキの締結
状態を示している。
【0030】先ず、エンジン10の動力はクランク軸1
1からトルクコンバータ13を介して入力軸14に動力
伝達される。ここで、パーキング(P)レンジ及びニュ
ートラル(N)レンジでは、各クラッチ及びブレーキが
開放されてリヤサンギヤ42が回転するものの空転して
動力伝達遮断状態となり、これ以降の動力伝達はしなく
なる。
【0031】次に前進段となるドライブ(D)レンジに
設定した場合について説明する。
【0032】1速時では、ロークラッチ87が締結し、
かつローワンウエイクラッチ89が動力伝達状態であ
り、その他のクラッチ及びブレーキは開放状態に制御さ
れて図2に動力伝達に関与する部材を太線で示すように
なる。従って、ロークラッチ87の締結とローワンウエ
イクラッチ89の作用によりクラッチドラム88の逆転
防止されてリヤインターナルギヤ43が固定される。入
力軸14からの動力はリヤサンギヤ42に入力される一
方、リヤプラネタリキャリヤ50とフロントインターナ
ルギヤ33が連結することから、フロントプラネタリギ
ヤユニット31側にもフロントインターナルギヤ33を
経由して回転駆動されるが、フロントサンギヤ32及び
ピニオン34が空転しながらフロントプラネタリギヤユ
ニット31全体は静止状態を保ち、出力側となるリヤプ
ラネタリキャリヤ50の回転が最も減速されて1速ギヤ
比となり出力軸15に動力伝達される。
【0033】2速時は、1速時と同様にロークラッチ8
7が締結し、かつ2&4ブレーキ85を締結し、その他
のクラッチ及びブレーキは開放状態に制御され、図3に
動力伝達に関与する部材を太線で示すようになる。従っ
て、ロークラッチ87の締結によりフロントプラネタリ
キャリヤ36とリヤインターナルギヤ43がクラッチド
ラム88を介して一体的に結合し、かつフロントサンギ
ヤ32が2&4ブレーキ85によってトランスミッショ
ンケース3に固定され、1速時と同様に入力軸14から
の動力はリヤサンギヤ42に入力する。
【0034】よって、リヤサンギヤ42の回転によりリ
ヤプラネタリキャリヤ50の回転を受けたフロントイン
ターナルギヤ33がフロントプラネタリキャリヤ36を
減速させ、この減速回転をロークラッチ87を経由して
リヤインターナルギヤ43に入力する。ここでリヤイン
ターナルギヤ43の回転がリヤプラネタリキャリヤ50
の回転に付加してリヤプラネタリキャリヤ50の回転を
速める。そのためリヤプラネタリキャリヤ50は1速時
の回転よりもリヤインターナルギヤ43の回転分だけ早
くなり減速度も小さくなる。
【0035】3速時には、ハイクラッチ80及びローク
ラッチ87の締結により入力軸14からの動力はリヤプ
ラネタリギヤユニット41のリヤサンギヤ42に入力さ
れると共に、ハイクラッチ80、フロントプラネタリギ
ヤユニット31のフロントプラネタリキャリヤ36、ロ
ークラッチ87を経由してリヤインターナルギヤ43に
同時に入力され、図4に動力伝達に関与する部材を太線
で示すようになる。従って、リヤプラネタリギヤユニッ
ト41も一体回転して1対1の直結回転となってリヤプ
ラネタリキャリヤ50から出力軸15に出力する。
【0036】4速時には、ハイクラッチ80と2&4ブ
レーキ85を締結し、その他のクラッチ及びブレーキは
開放状態に制御されて図5に動力伝達に関与する部材を
太線で示すようになる。よって、2&4ブレーキ85の
締結によってフロントサンギヤ32を固定し、ハイクラ
ッチ80の締結によって入力軸14からの出力は、フロ
ントプラネタリキャリヤ36に入力され、フロントイン
ターナルギヤ33を増速させてフロントインターナルギ
ヤ33からリヤプラネタリキャリヤ50を経由して増速
されたオーバードライブ回転を出力軸15に出力する。
【0037】後退段となるリバース(R)レンジでは、
リバースクラッチ83及びロー&リバースブレーキ90
が締結し、その他のクラッチ及びブレーキは開放状態に
制御されて図6に動力伝達に関与する部材を太線で示す
ようになる。従って、ロー&リバースブレーキ90の締
結によってロークラッチ87のクラッチドラム88を介
してフロントプラネタリキャリヤ36がトランスミッシ
ョンケース3に固定され、入力軸14からの動力は、リ
バースクラッチ83を介してフロントサンギヤ32を回
転駆動する。フロントサンギヤ32の回転によりフロン
トインターナルギヤ33をフロントサンギヤ32の回転
に対して減速して逆方向に回転させる、いわゆる後退回
転をフロントインターナルギヤ33に結合されるリヤプ
ラネタリキャリヤ50を介して出力軸15に出力する。
【0038】次に、自動変速機の具体的構造についてに
図8乃至11を参照して詳細に説明する。
【0039】図8は、自動変速機の要部断面図、図9は
図8のA部拡大図である。入力軸14がエンジン10の
クランク軸11と同軸上に回転自在に支持されると共
に、この入力軸11と同軸上に出力軸15が回転可能に
軸支され、入力軸14の後端と出力軸15の前端はブッ
シュ15bを介して相対回転自在に連接されている。入
力軸14に軸心に沿ってオイルポンプに連通する給油通
路14Aが穿設され、かつこの給油通路14Aから円周
方向に複数の潤滑油吐出孔14aが分岐して穿孔される
と共に、リヤプラネタリギヤユニット41のリヤサンギ
ヤ42がスプライン嵌合するスプライン14bが形成さ
れている。同様に出力軸15には、給油通路15Aが穿
設され、この給油通路15Aから円周方向に複数の潤滑
油吐出孔15aが分岐して穿孔される。
【0040】入力軸14及び出力軸15に沿って順にハ
イクラッチ80のクラッチドラム81の基部、ハイクラ
ッチ80のクラッチハブ82、リバースクラッチ83の
クラッチハブ84、フロントプラネタリギヤユニット3
1、リヤプラネタリギヤユニット41が各スラストベア
リング79a、79b、・・・79hを介して列設され
て軸方向の各部の移動が規制される。入力軸14にブッ
シュ82bを介在してクラッチハブ82の基部が回転自
在に軸支され、基部に周面方向に穿孔された複数の油孔
82aが穿設されている。
【0041】フロントプラネタリギヤユニット31は、
リバースクラッチ83のクラッチハブ84に結合された
フロントサンギヤ32、フロントインターナルギヤ3
3、これらフロントサンギヤ32及びフロントインター
ナルギヤ33に噛合する複数、本実施の形態では4個の
ピニオン34、及び各ピニオン34をニードルベアリン
グ35を介して回転自在に支承するプラネタリキャリヤ
36を有している。
【0042】プラネタリキャリヤ36は、ピニオン34
をニードルベアリング35を介在して回転自在に軸支す
るピニオンシャフト37と、ピニオンシャフト37の両
端に各々結合されたキャリヤプレート38と39を有し
ている。一方のキャリヤプレート38はピニオン34及
びフロントサンギヤ32の端面と対向して配設されて基
端がハイクラッチ80のクラッチハブ82の基部にスプ
ライン嵌合し、他方のキャリヤプレート39はロークラ
ッチ87のクラッチドラム88に連結されている。
【0043】ピニオン34の端部とキャリヤプレート3
8及び39との間にはスラストワッシャ40が各々配設
されてピニオン34によるスラスト力を受けるようにな
っている。更に、このスラストワッシャ40はニードル
ベアリング35の端部に当接し、ニードルベアリング3
5によるスラスト力を受けてこれらのスキューの発生を
防止している。
【0044】ピニオンシャフト37には、キャリヤプレ
ート38側が開口した有底の軸方向油孔37aが穿設さ
れ、軸方向油孔37aの先端とキャリヤプレート38に
近接したピニオンシャフト37の外周とを連通してフロ
ントサンギヤ32の中心軸線方向に向かって潤滑油導入
口が開口する導入油孔37b、及びピニオンシャフト3
7の中央部に軸方向油孔37aとニードルベアリング3
5が当接するピニオンシャフト37の周面に潤滑油吐出
口が開口する吐出油孔37cが穿孔され、かつ開口する
軸方向油孔37aの端部を栓37Aによって閉塞するこ
とによって油路が形成されている。
【0045】更に、キャリヤプレート38のフロントサ
ンギヤ32及びピニオン34と対向する側面には基端か
ら導入油孔37b方向に向かって潤滑油案内溝38bが
凹設され、潤滑油案内溝38bとスラストワッシャ40
によって導入油孔37bに連通する油路を形成してい
る。
【0046】リヤプラネタリギヤユニット41は、入力
軸14に形成されたスプライン14bにスプライン嵌合
するリヤサンギヤ42、ロークラッチ87のクラッチハ
ブを兼備するリヤインターナルギヤ43、これらリヤサ
ンギヤ42及びリヤインターナルギヤ43に噛合する複
数、本実施の形態では4個のピニオン44、及び各ピニ
オン44をニードルベアリング45を介在して回転自在
に支承するプラネタリキャリヤ50を有している。ま
た、リヤサンギヤ42とキャリヤプレート38との間に
介在するスラストベアリング79eのスラストレースと
当接するリヤサンギヤ42の面にはスラストベアリング
79eの内周側と外周側を連通する油溝42aが形成さ
れている。
【0047】プラネタリキャリヤ50は、ピニオン44
をニードルベアリング45を介在して回転自在に軸支す
るピニオンシャフト51と、ピニオンシャフト51の両
端に各々結合されたキャリヤプレート55及び60を有
している。
【0048】ピニオンシャフト51には、キャリヤプレ
ート55側が開口した有底の軸方向油孔52aが穿設さ
れ、軸方向油孔52aの先端とキャリヤプレート60の
スラストワッシャ70と当接する側面と略対応した位置
でピニオンシャフト51の外周とを連通してリヤサンギ
ヤ42の中心軸線方向に向かって潤滑油導入口が開口す
る導入油孔52b、及びピニオンシャフト51の中央部
に軸方向油孔51aとニードルベアリング45が当接す
るピニオンシャフト51の周面に潤滑油吐出口が開口す
る吐出油孔52cが穿設され、かつ開口する軸方向油孔
52aの端部を栓53によって閉塞することによって潤
滑油導入口から潤滑油吐出口に至る潤滑油孔52が形成
される。
【0049】ピニオンシャフト51とキャリヤプレート
55は、周り止めピン54によって回転が阻止された状
態で結合されている。キャリヤプレート55はピニオン
44及びリヤサンギヤ42の端面と対向して配設されて
基端56が出力軸15にスプライン嵌合し、かつ基端5
6の近傍に油孔57が穿設されている。更に、リヤサン
ギヤ42とキャリヤプレート55との間に介在するスラ
ストベアリング79fのスラストレースと当接するキャ
リヤプレート55の面にはスラストベアリング79fの
内周側と外周側を連通する油溝58が形成されている。
【0050】このピニオン44の端部とキャリヤプレー
ト55との間にはスラストワッシャ59が配設されて、
ピニオン44によるスラスト力を受けると共に、スラス
トワッシャ59はニードルベアリング45の端部に当接
してニードルベアリング45によるスラスト力を受けて
これらのスキューの発生を防止している。
【0051】次に、キャリヤプレート60及びキャリヤ
プレート60とピニオン44との間に配設されるスラス
トワッシャ70について、図8乃至図12を参照して詳
細に説明する。図10は、図9のY矢視図、図11の
(a)は図10のI−I線断面図、同図(b)は図10
のII−II線断面図である。
【0052】キャリヤプレート60は、外周縁がフロン
トインターナルギヤ33の後端縁に結合されると共に、
中央にリヤサンギヤ42の外径より若干大きな内径Dの
円孔61がリヤサンギヤ42と同軸上に開口した略円板
状であって、各ピニオンシャフト51の端部が嵌合する
ピニオンシャフト嵌入孔62が穿設されている。
【0053】円孔61の内周端面63とピニオン44及
びニードルベアリング45と対向する側面64とによっ
て形成される角部を内周端面63に沿って内周端面63
側から側面64に移行するに従って次第に拡径される断
面略円弧状乃至C字状に切除してリング状の油溜め65
が形成されている。この油溜め65は、内周端面63の
側面64の角部に沿って面取り加工を施す機械加工によ
って容易に形成できる。
【0054】リング状の油溜め65と各ピニオンシャフ
ト51に穿孔された導入油孔52bの開口とを連通する
潤滑油案内溝66が油溜め65とピニオンシャフト嵌入
孔62との間に亘って側面64に凹設されている。この
潤滑油案内溝66の溝幅は油溜め65側がピニオンシャ
フト嵌入孔62側に対して大きく設定されている。な
お、各ピニオンシャフト嵌入孔62の間にはキャリヤプ
レート55に形成された係合部59と係合する円弧状の
係合孔67が穿設されている。
【0055】一方、スラストワッシャ70は、中央にキ
ャリヤプレート60に開口する円孔61と同軸上でかつ
略同径の円孔71が開口すると共に、キャリヤプレート
60の側面64に接面する円板状であって、各ピニオン
シャフト51が貫通するピニオンシャフト貫通孔74が
穿設され、かつ各ピニオン44及びニードルベアリング
45の端部が当接するスラストワッシャ部73が一体に
突出形成されている。
【0056】このように形成されたキャリヤプレート6
0の側面64とスラストワッシャ70の接面によって、
キャリヤプレート60に形成された油溜め65とスラス
トワッシャ70に開口する円孔71の縁部72によって
キャリヤプレート60の内周端面63に沿って断面略U
字状乃至V字状の溝状で連続するリング状の油保持部7
5が形成される。更に、潤滑油案内溝66とスラストワ
ッシャ70によって油保持部75からピニオンシャフト
貫通孔62に至り、かつピニオンシャフト51に開口す
る導入油路52bの潤滑油導入口に連通する孔状の潤滑
油案内孔76が形成される。この油保持部75はリヤサ
ンギヤ42の側端面の延長面上の位置に開口するように
設定することが好ましい。
【0057】また、ピニオン44とキャリヤプレート6
0との間に介在するスラストワッシャ70のスラストワ
ッシャ部73によってピニオン44によるスラスト力を
受けると共に、スラストワッシャ59はニードルベアリ
ング45の端部に当接してニードルベアリング45によ
るスラスト力を受けてこれらのスキューの発生を防止し
ている。
【0058】このように構成された自動変速機の潤滑に
ついて説明する。フロントプラネタリギヤユニット31
及びリヤプラネタリギヤユニット41の多段変速機構、
ハイクラッチ80、リバースクラッチ83、2&4ブレ
ーキ85、ロークラッチ87、ローワンウエイクラッチ
89、ロー&リバースブレーキ90及び各スラストベア
リング79a、79b、79c・・・等への潤滑油供給
は、入力軸14及び出力軸15に形成された給油通路1
4A、15Aにオイルポンプから潤滑油が圧送供給さ
れ、入力軸14及び出力軸15の回転により潤滑油吐出
孔14a、15aからトランスミッションケース3の内
周面に向けて飛散させることによって行われる。
【0059】特に、常時作動するフロントプラネタリギ
ヤユニット31及びリヤプラネタリギヤユニット41へ
の潤滑油の供給について説明する。
【0060】入力軸14の潤滑油吐出孔14aから飛散
されてフロントサンギヤ32とキャリヤプレート39と
の間の隙間に流入した潤滑油は、遠心力によってキャリ
ヤプレート39に形成された潤滑油案内溝39bとスラ
ストワッシャ40によって形成された油路からピニオン
34に穿孔された導入油孔47bに導入され、軸方向油
孔37aに供給され、軸方向油孔37aの潤滑油吐出口
からピニオンシャフト37のニードルベアリング35と
の当接面に供給され、ピニオンシャフト37の外周面及
びピニオン34の内周面間に介在するニードルベアリン
グ35を潤滑する。更に、このニードルベアリング35
の当接面を経た潤滑油の一部がニードルベアリング35
及びピニオン34の端面とスラストワッシャ40の摺接
部を経て排出される。かくしてフロントプラネタリギヤ
ユニット31の各摺動部の発熱が抑制される。
【0061】一方、入力軸14の潤滑油吐出孔14aか
ら飛散され、リヤプラネタリギヤユニット1のリヤサン
ギヤ42とキャリヤプレート39との間の隙間に流入し
た潤滑油は、遠心力によってスラストベアリング79e
の内周側と外周側を連通するリヤサンギヤ42に形成さ
れた油溝42aに導入され、油溝42aを経てリヤサン
ギヤ42の遠心力によって回転するリヤサンギヤ42の
側端面からその周方向に飛散される。
【0062】リヤサンギヤ42の側端面から周方向に飛
散した潤滑油は、キャリヤプレート60に形成された油
溜め65とスラストワッシャ70に開口する円孔71の
縁部72によって断面溝状でリヤサンギヤ42の側端を
囲むリング状に形成された油保持部75によって受け止
められ、油保持部75に供給されて確保される。この
際、油保持部75をリヤサンギヤ42の側端面の延長面
上に開口することから、サンギヤ42回転による遠心力
で飛散した潤滑油を油保持部75によって効率的に受け
止められ確保される。
【0063】また、油保持部75はキャリヤプレート6
0に形成された円孔61の内周端面63の側面64と反
対側、即ちフロントプラネタリギヤユニット31側のみ
を残して側面64側を面取り状に切除して油溜め65を
形成し、側面64に当接するスラストワッシャ70の円
状孔71の縁部72と協働して断面溝状に形成すること
から、従来のようにキャリヤプレートの内周端面の両側
にフランジ状の縁を有する油保持部に比べ、油保持部7
5の有効溝幅の増大が得られ有効断面積の増大が図ら
れ、油保持部75の潤滑油保持容量の増大が可能になり
油保持部75に十分な潤滑油を確保することができる。
なお、キャリヤプレート60に形成される油溜め65の
断面積等を適宜選定することによって油保持部75の潤
滑油確保量を設定することができる。
【0064】そして、油保持部75に供給された潤滑油
は、更に遠心力によって各潤滑油案内溝66とスラスト
ワッシャ70によって形成された潤滑油案内孔76を経
てピニオンシャフト51に穿孔された導入油孔52bに
導入される。導入油孔52から軸方向油孔52aに供給
され、軸方向油孔52aからピニオンシャフト51のニ
ードルベアリング45との当接面に供給され、ピニオン
シャフト51の外周面及びピニオン44の内周面間に介
在するニードルベアリング45を潤滑する。更に、この
ニードルベアリング45の当接面を経た潤滑油の一部が
ニードルベアリング45及びピニオン44の端部とスラ
ストワッシャ59の摺接部を経て排出され、かつ潤滑油
の一部がニードルベアリング45及びピニオン44の端
部とスラストワッシャ70のラストワッシャ部72摺接
部を経て排出される。かくしてリヤプラネタリギヤユニ
ット41の各摺動部の発熱が抑制される。
【0065】従って、このように形成された自動変速機
の潤滑構造によると、フロントサンギヤ31において、
入力軸14の潤滑油吐出孔14aからフロントサンギヤ
32とキャリヤプレート39との間の隙間に流入した潤
滑油をキャリヤプレート39に形成された潤滑油案内溝
39b及びスラストワッシャ40によって形成された油
路40Aからピニオン34に穿孔された油路を介してピ
ニオンシャフト37のニードルベアリング35との当接
面に供給することから、スラストベアリング79eに影
響されることなくピニオンシャフト37のニードルベア
リング35との当接部に及びニードルベアリング35及
びピニオン34の端面とスラストワッシャ40の摺接部
に十分に潤滑油を供給することができ、安定した円滑な
フロントプラネタリギヤ31の作動が確保できると共に
潤滑油不足による損傷等が回避されて耐久性が確保でき
る。
【0066】一方、リヤプラネタリギヤユニット41に
おいて、キャリヤプレート60の円孔61の内周端面6
3を側面64によって形成される角部を面取り状に切除
して油溜め65を形成し、側面64に当接するスラスト
ワッシャ70の円孔71の縁部72との協働によって円
孔61に沿って連続するリング状で十分な溝幅を有して
有効断面積が十分確保された油保持部75が形成される
ことから、油保持部75に十分な量の潤滑油が保持で
き、ピニオンシャフト51に穿設された油路52を介し
てピニオンシャフト51のニードルベアリング45との
当接面に十分に潤滑油を供給することができる。従っ
て、ニードルベアリング45及びピニオン44の端部と
スラストワッシャ59の摺接部及びニードルベアリング
45及びピニオン44の端部とスラストワッシャ70の
ラストワッシャ部72摺接部に供給される潤滑油も十分
に確保されて安定した円滑なリヤプラネタリギヤ41の
作動が確保できると共に潤滑油不足による損傷等が回避
されて耐久性が確保できる。
【0067】また、既存のキャリヤプレート60に面取
り状の機械加工を施して油溜め65を形成し、スラスト
ワッシャ70を協働して油保持部75を形成することが
可能になり、リヤプラネタリギヤユニット41の軸長の
増大が抑制でき、フロントプラネタリギヤユニット31
とリヤプラネタリギヤユニット41とを近接して配置す
ることが可能になり、プラネタリギヤユニット全体の軸
長が短縮し、ひいては自動変速機の全長が短縮して重量
の軽減が得られる。
【0068】更に、キャリヤプレート60の円孔61に
面取り状の機械加工を施すことにより容易に油溜め65
が形成でき、従来の両側にフランジ状の縁を残して略U
字状の油保持部を機械加工する場合に比べ加工の大幅な
簡素化が得られる。また、単一のスラストワッシャ70
に各ピニオンシャフト51に対応するスラストワッシャ
部72が一体に形成されることから、各ピニオンシャフ
トに各々スラストワッシャを配設する従来の構造に比べ
構成部品の大幅な削減が得られることと相俟って組立作
業の簡素化及び部品管理の簡素化が得れ、製造コストの
削減が期待できる。
【0069】なお、本発明は上記実施の形態に限定され
ることなく発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能
である。例えば、上記実施の形態ではリヤプラネタリギ
ヤユニット41のキャリヤプレート60に油溜め65を
形成し、スラストワッシャ70と協働して油保持部75
を形成したが、フロントプラネタリギヤユニット31に
同様の構成を採用することも可能であり、また上記実施
の形態では油溜め65の断面形状を円弧状乃至略C字状
の場合を例に説明したが、断面L字状や直線状に切り欠
き形成することも可能であり、潤滑油の要求確保量等に
より任意に設定することもできる。また、ピニオンシャ
フト51は4本に限定されることなく3本等他の複数の
プラネタリギヤユニットを備えた自動変速機の潤滑構造
に適用することができる。
【0070】
【発明の効果】以上説明した本発明による自動変速機の
潤滑構造によると、プラネタリギヤユニットを備え、入
力軸に形成された潤滑油孔から潤滑油を飛散せしめて潤
滑する自動変速機において、油保持部が、キャリヤプレ
ートに形成された円孔の内周端面の側面によって形成さ
れ角部を切除してリング状に形成された油溜めと、キャ
リヤプレートの側面に当接するスラストワッシャの縁部
とによって溝状に形成されることから、従来のようにキ
ャリヤプレートの内周端面に、両側にフランジ状の縁を
有する溝加工を施して油保持部を形成する場合に比べ、
有効溝幅及び有効断面積の増大が可能になり、十分な潤
滑油を確保することができる。その結果、ニードルベア
リングの潤滑及びピニオンの端面とスラストワッシャ部
の摺接部に十分に潤滑油を供給することができ、安定し
た円滑なリヤプラネタリギヤの作動が確保できると共に
潤滑油不足による損傷等が回避されて耐久性が確保でき
る。
【0071】また、、油溜めは、キャリヤプレートの円
孔に面取り状の機械加工を施すことにより容易に形成で
き、かつ単一のスラストワッシャに各ピニオンシャフト
に対応するスラストワッシャ部が一体に形成されること
から、各ピニオンシャフトに各々スラストワッシャを配
設する従来の構造に比べ構成部品の大幅な削減が得られ
ることと相俟って組立作業の簡素化及び部品管理の簡素
化が得れ、製造コストの削減が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自動変速機の潤滑構造の実施の形
態を説明する自動変速機のスケルトン図である。
【図2】同じく、自動変速機の作動を説明する作動概略
説明図である。
【図3】同じく、自動変速機の作動を説明する作動概略
説明図である。
【図4】同じく、自動変速機の作動を説明する作動概略
説明図である。
【図5】同じく、自動変速機の作動を説明する作動概略
説明図である。
【図6】同じく、自動変速機の作動を説明する作動概略
説明図である。
【図7】同じく、各クラッチ及びブレーキの作動状態を
示す説明図である。
【図8】同じく、変速機の要部断面図である。
【図9】同じく、図8のA部拡大図である。
【図10】同じく、図9のY矢視図である。
【図11】同じく、(a)は図10のI−I線断面図、
(b)は図10のII−II線断面図である。
【図12】従来のプラネタリギヤユニットの要部断面図
である。
【図13】同じく、従来のプラネタリギヤユニットの要
部断面図である。
【符号の説明】
10 エンジン 14 入力軸 14A 給油通路 14a 潤滑油吐出孔 15 出力軸 15A 給油通路 15a 潤滑油吐出孔 30 自動変速機 31 フロントプラネタリギヤユニット 32 フロントサンギヤ 33 フロントインターナルギヤ 34 ピニオン 36 フロントプラネタリキャリヤ 37 ピニオンシャフト 38、39 キャリヤプレート 39b 潤滑油案内溝 40 スラストワッシャ 41 リヤプラネタリギヤユニット 42 リヤサンギヤ 43 リヤインターナルギヤ 44 ピニオン 50 プラネタリキャリヤ 51 ピニオンシャフト 55 キャリヤプレート 59 スラストワッシャ 52 潤滑油孔 55 キャリヤプレート 60 キャリヤプレート 61 円孔 62 ピニオンシャフト嵌入孔 63 内周端面 64 側面 65 油溜め 66 潤滑油案内溝 70 スラストワッシャ 71 円孔 72 縁部 73 スラストワッシャ部 74 ピニオンシャフト貫通孔 75 油保持部 76 潤滑油案内孔

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サンギヤと、インターナルギヤと、キャ
    リヤプレートに支持された複数のピニオンシャフトに各
    々ニードルベアリングを介在して回転自在に支承されて
    上記サンギヤ及びインターナルギヤに噛み合う複数のピ
    ニオンと、該ピニオンの端部と上記キャリヤプレートの
    側面との間に介装されたスラストワッシャと有するプラ
    ネタリギヤユニットを備え、入力軸に形成された潤滑油
    孔から潤滑油を飛散せしめて潤滑する自動変速機の潤滑
    構造において、 上記ピニオンシャフトは、周面の上記ニードルベアリン
    グが当接する部分に潤滑油導入口が開口し、かつ上記キ
    ャリヤプレートの側面と対応する部分に潤滑油吐出口が
    開口する潤滑油孔を有し、 上記キャリヤプレートは、上記サンギヤと同芯上に開口
    する円孔と、該円孔の内周端面及び上記側面によって形
    成される角部を該内周端面に沿って切除して形成された
    リング状の油溜めと、上記側面に凹設されて該油溜めと
    上記ピニオンシャフトの潤滑油導入口とを連結する潤滑
    油案内溝とを有し、 上記スラストワッシャは、円孔が開口する円板状であっ
    て、各ピニオンシャフトが貫通するピニオンシャフト貫
    通孔が穿設されて各ピニオンとキャリヤプレートの側面
    との間に介装されるスラストワッシャ部が一体形成さ
    れ、 上記キャリヤプレートの側面に上記スラストワッシャが
    接面して、キャリヤプレートに形成された上記油溜めと
    キャリヤプレートの円孔の縁部によって上記内周端縁に
    沿って溝状の油保持部を形成すると共に、上記潤滑油案
    内溝とスラストワッシャによって上記油保持部から上記
    ピニオンシャフトの潤滑油導入口に連通する孔状の潤滑
    油案内孔を形成したことを特徴とする自動変速機の潤滑
    構造。
  2. 【請求項2】 上記キャリヤプレート及びスラストワッ
    シャに各々形成された各々の円孔は、上記サンギヤより
    大径であって、上記油保持部はサンギヤの側端面の延長
    面上で開口したことを特徴とする請求項1に記載の自動
    変速機の潤滑構造。
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