JP2016188443A - 不織布およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より柔軟で、より良好な触感の不織布を提供する。【解決手段】立体捲縮を有する捲縮性複合繊維であって、第1成分と、第1成分の融点Tf1よりも高い融点Tf2を有する第2成分とを含む捲縮性複合繊維と、温度120℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexの条件で測定した乾熱収縮率が20%以下である非熱収縮性繊維とを含み、捲縮性複合繊維と非熱収縮性繊維の質量を合わせて100質量%としたときに、捲縮性複合繊維の割合が25質量%以上85質量%以下であり、構成繊維同士が交絡しており、(Tf1−8)℃での縦方向の寸法変化率および横方向の寸法変化率の平均値が、8%以上25%以下である、不織布。【選択図】なし

Description

本発明は不織布およびその製造方法に関する。
熱処理に付されると立体捲縮を発現する潜在捲縮性複合繊維を使用した不織布は、これまでに種々提案され、実用に供されている。例えば、特許文献1は、特定の潜在捲縮性複合繊維を使用した不織布を、その伸縮性を活かして、包帯、サポーター、およびマスクなどの衛生材に用いることを提案している。また、特許文献2は、潜在捲縮性複合繊維を熱接着性繊維として使用することにより、優れた柔軟性および触感を示す不織布が得られることを報告している。特許文献3は、低温度での捲縮発現性が良好であって、かつ熱接着性繊維としても使用可能である、特定の直鎖状低密度ポリエチレンを熱収縮性成分として含む潜在捲縮性複合繊維を提案している。
特開2012−12758号公報 特許3276578号公報 特許3995697号公報
本発明は、潜在捲縮性複合繊維を使用して、より柔軟で、より良好な触感の不織布を提供することを目的としてなされたものである。
本発明は、一つの要旨において、立体捲縮を有する捲縮性複合繊維であって、第1成分と、前記第1成分の融点Tfよりも高い融点Tfを有する第2成分とを含む捲縮性複合繊維と、
温度120℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexの条件で測定した乾熱収縮率が20%以下である非熱収縮性繊維とを含み、
前記捲縮性複合繊維と前記非熱収縮性繊維の質量を合わせて100質量%としたときに、前記捲縮性複合繊維の割合が25質量%以上85質量%以下であり、
構成繊維同士が交絡しており、
(Tf−8)℃での縦方向の寸法変化率および横方向の寸法変化率の平均値が、8%以上25%以下である、不織布を提供する。
本発明は、別の要旨において、第1成分と、前記第1成分の融点Tfよりも高い融点Tfを有する第2成分とを含む熱収縮性複合繊維と、温度120℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexの条件で測定した乾熱収縮率が20%以下である非熱収縮性繊維とを、前記熱収縮性複合繊維と前記非熱収縮性繊維とを合わせて100質量%としたときに、前記熱収縮性複合繊維の割合が25質量%以上85質量%以下となるように混合して、繊維ウェブを作成すること、
前記繊維ウェブに機械的な交絡処理を施して、前記繊維ウェブを構成する繊維同士を交絡すること、
前記交絡処理後、熱処理を実施すること、
を含み、
前記熱処理を、前記熱処理後に得られる不織布において、(Tf−8)℃での縦方向の寸法変化率および横方向の寸法変化率の平均値が、8%以上25%以下となるように実施する、
不織布の製造方法を提供する。
本発明の不織布は、立体捲縮を完全に発現したものではない捲縮性複合繊維を含み、加熱によって更に収縮し得る構成であるために、柔軟で、嵩高で、かつ滑らかな触感を与える。
図1A〜図1Cは捲縮性複合繊維の立体捲縮の形態を示す模式図である。 図2は捲縮性複合繊維の立体捲縮の形態を示す模式図である。 図3は機械捲縮の形態を示す模式図である。 図4は、寸法変化率の平均値を求めるに際して、試料への測長区間の印の付け方を模式的に示す平面図である。
(本発明に至った経緯)
本発明者は、複数の成分(または相)からなり、成分間の熱収縮性の違いに起因して、加熱により立体捲縮を発現する熱収縮性複合繊維(背景技術の欄でいう「潜在捲縮性複合繊維」に相当)を用いて、不織布の触感等をさらに向上させることを検討した。繊維ウェブを作成してから、熱収縮性複合繊維に立体捲縮を発現させることによって、不織布に伸縮性を付与できるのみならず、柔軟性および触感が通常の繊維を使用した場合とは異なる不織布を得ることができる。本発明者は、この立体捲縮の発現を利用すれば、柔軟性、嵩高性および触感においてより優れた不織布が得られると考えて、検討を重ねた。
その結果、熱収縮性複合繊維における立体捲縮の発現の度合いが不織布の柔軟性および触感に影響し、立体捲縮を完全に発現させるのではなく、不完全に発現させると、不織布の柔軟性および触感が向上することが分かった。さらに、本発明者は、不織布を嵩高なものとするためには、熱収縮性複合繊維に加えて、熱収縮性を有しない又は熱収縮性の小さい繊維の使用が有効であることを見出した。
すなわち、本発明者らは、熱収縮性複合繊維と非熱収縮性繊維とを所定の割合で混合してなる繊維ウェブを、熱処理後も一定の「熱収縮しろ」を有するように熱処理条件を選択して熱処理することにより、触感等に優れた不織布が得られるとの知見を得た。具体的には、熱収縮性複合繊維を構成する熱収縮性成分の融点よりも有意に低い温度で熱処理を実施して、熱収縮性成分を完全に熱収縮させず、当該温度よりも高い温度で熱処理したときにはさらに収縮可能となるように熱処理条件を選択すれば、得られる不織布の柔軟性および触感等が有意に向上することがわかった。
以下、本発明の実施形態を説明する。
(熱収縮性複合繊維)
本実施形態の不織布は、立体捲縮を有する捲縮性複合繊維と、非熱収縮性繊維とを所定の割合で含み、かつ所定温度での縦方向の寸法変化率および横方向の寸法変化率の平均値が8%以上25%以下である、不織布である。立体捲縮を有する捲縮性複合繊維とは、熱収縮性複合繊維が熱処理に付されて、立体捲縮を発現した状態にある繊維を指す。後述するとおり、本実施形態の不織布において、捲縮複合繊維は、さらに熱処理に付されることにより収縮性を示すものであり、その意味においてはなお「熱収縮性複合繊維」と呼べるものである。ここでは、立体捲縮を熱処理により発現させていない状態の捲縮性複合繊維、すなわち熱収縮性複合繊維を説明する。
熱収縮性複合繊維は、第1成分と、前記第1成分の融点Tfよりも高い融点Tfを有する第2成分とを含み、熱処理に付されると立体捲縮を発現するものである。第1成分は、第2成分よりも高い熱収縮性を示すものであり、二つの成分の収縮性の差を利用して、立体捲縮が発現させられる。熱収縮性複合繊維は熱処理に付されることにより立体捲縮を発現した状態で、すなわち、捲縮性複合繊維として、本実施形態の不織布に存在する。この捲縮性複合繊維は後述する波形状捲縮や螺旋状捲縮といった立体捲縮を発現しているため、これを含む本発明の不織布は、丸みを適度に帯びた捲縮が不織布表面に存在することにより、滑らかでふんわりとした触感を呈するだけでなく、立体捲縮により、適度な伸縮性を有するものとなる。
第1成分の融点Tfおよび第2成分の融点Tfは、DSCにより得た融解熱量曲線から求めることができる。融解熱量曲線においては、1つの成分について二以上のピークが出現することがある。その場合には、最大のピークを示す温度を、融解ピーク温度、即ち融点とする。
第1成分として、例えば、プロピレンを50質量%以上含むプロピレン共重合体(以下、単に「プロピレン共重合体」と呼ぶ)、エチレン・α−オレフィン共重合体、およびポリエステル系の共重合体等が挙げられる。これらの共重合体は高い熱収縮性を示すので、これを第1成分とする熱収縮性複合繊維は立体捲縮を発現しやすい。
あるいは、第1成分は、第2成分との間で熱収縮性および融点に差を有し、第2成分とともに、立体捲縮を発現する熱収縮性複合繊維を構成し得る限りにおいて、他の熱可塑性樹脂であってよい。他の熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートおよびその共重合体等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等を含む)、ポリブテン−1、エチレン−ビニルアルコール共重合体、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ならびにナイロン6、ナイロン12およびナイロン66のようなポリアミド系樹脂等である。
第1成分は、二以上の熱可塑性樹脂を含んでよい。
第1成分は、特に、プロピレン共重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体を、50質量%以上、好ましくは80質量%以上含むものであってよい。あるいは、第1成分は、他の熱可塑性樹脂を含まず、プロピレン共重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体のみから実質的に成ってよい。これらの共重合体は、比較的低い温度で高い熱収縮性を示すので、これらを用いることにより比較的低い温度で本実施形態の不織布を製造することが可能となる。また、これらの共重合体は良好な熱接着性を示すので、本実施形態の不織布を別の部材(例えば他の不織布またはフィルム)と熱加工(例えばヒートシール加工)によって一体化させるときに、本実施形態の不織布の加工性を良好なものとする。以下、これらの共重合体について説明する。
プロピレン共重合体はプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとを共重合させることによって得られる共重合体であって、プロピレンを主たるモノマー成分とするものである。本実施形態においては、ランダム共重合体、あるいはブロック共重合体のいずれのプロピレン共重合体も用いることができる。熱収縮性を考慮すると、ランダム共重合体が好ましい。
プロピレン共重合体において、プロピレンと共重合するモノマーは、例えば、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、およびオクテン−1などの炭素数2以上20以下のα−オレフィン(炭素数3のプロピレンを除く)から選択される1または複数のモノマーである。プロピレン共重合体は、好ましくは、エチレン−プロピレン共重合体、およびエチレン−ブテン−1−プロピレン三元共重合体から選ばれる少なくとも1種である。エチレン−プロピレン共重合体の場合、好ましい共重合割合は、質量比でエチレン:プロピレン=1:99〜20:80の範囲である。エチレン−ブテン−1−プロピレン三元共重合体の場合、好ましい共重合割合は、質量比でエチレン:ブテン−1:プロピレン=(0.5〜15):(0.5〜15):(70〜99)の範囲である。
プロピレン共重合体のJIS−K−7210で規定されるメルトフローレート(MFR;測定温度230℃、荷重21.18N(2.16kgf))は50g/10分以下であることが好ましく、15g/10分以上30g/10分以下の範囲内であることがより好ましい。メルトフローレートがこの範囲内にあると、繊維製造時の紡糸性が良好である。
好ましく用いられるプロピレン共重合体は、融解ピーク温度が145℃以下、より具体的には130℃以上145℃以下のエチレン−プロピレンランダム共重合体として特定することができる。融解ピーク温度が130℃未満であるとポリマーがゴム的弾性を示すようになって、繊維のカード通過性が悪くなる。融解ピーク温度が145℃を超えると、熱収縮性が低下し、立体捲縮の発現が不十分となることがある。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンとα−オレフィンとを共重合させることによって得られる共重合体であって、エチレンを主たるモノマー成分とするものである。エチレン・α−オレフィン共重合体は、直鎖状低密度ポリエチレンとも呼ばれる。α−オレフィンは、一般に3〜12の炭素を有する。3〜12の炭素を有するα−オレフィンの例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1及びこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルヘキセン−1及びオクテン−1が特に好ましく、ブテン−1及びヘキセン−1がさらに好ましい。α−オレフィン含有量は、例えば約0.3mol%〜約50mol%であってよく、約0.3mol%〜約40mol%であってよく、0.4mol%〜約10mol%であってよく、あるいはこれらの範囲外であってもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、例えば、約0.900g/cm〜約0.940g/cmの密度を有してよく、好ましくは約0.905g/cm〜約0.935g/cm、より好ましくは約0.910g/cm〜約0.935g/cm、さらにより好ましくは0.913g/cm〜0.933g/cmの密度を有する。密度が0.900g/cm未満であると、第1成分が柔らかくなりすぎ、不織布にしたときに十分な嵩高性および嵩回復性を得られないことがある。一方、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.940g/cmよりも大きくなると、不織布にしたときに、表面触感および不織布の厚さ方向の柔軟性が劣る傾向となることがある。
エチレン・α−オレフィン共重合体の融点は、好ましくは130℃未満である。エチレン・α−オレフィン共重合体の融点が130℃以上であると、前記所定の熱収縮性が残存した状態の不織布を得るために熱処理の温度を高くする必要があり、不織布の触感が硬くなることがある。エチレン・α−オレフィン共重合体の融点は、例えば、85℃以上128℃以下であってもよく、100℃以上125℃以下であってもよく、105℃以上125℃以下の範囲内にあってよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒を用いて重合されたものであってよい。メタロセン触媒を用いれば、前記の密度、融点、および後述するMI等を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を容易に得ることができる。あるいは、エチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒を用いて重合されたものに限定されず、例えば、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合することにより得られたものであってよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、紡糸性を考慮すると、好ましくは1g/10min〜60g/10min、より好ましくは2g/10min〜40g/10min、さらにより好ましくは3g/10min〜35g/10min、最も好ましくは5g/10min〜30g/10minの範囲内にあるメルトインデックス(MI)を有する。MIは、JIS K 7210(1999年)(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kgf))に準じて測定される。MIが大きいほど、第1成分の固化速度が遅くなり、繊維同士の融着を招く。一方、MIが小さすぎると、繊維製造が困難となる。
エチレン・α−オレフィン共重合体における重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Q値:Mw/Mn)は、5以下であることが好ましい。Q値は、より好ましくは約2〜約4であり、さらにより好ましくは約2.5〜約3.5である。5以下のQ値はエチレン・α−オレフィン共重合体の分子量分布の幅が狭いことを意味する。Q値が上記範囲内にあるエチレン・α−オレフィン共重合体を鞘成分として使用することにより、熱処理により立体捲縮がより良好に発現する。
第1成分がエチレン・α−オレフィン共重合体を含む場合、熱収縮性複合繊維それ自体が柔軟なものとなり、不織布の風合いを軟らかくする。また、エチレン・α−オレフィン共重合体は、プロピレン共重合体と比較して、より低い温度で熱収縮可能であるため、第1成分がエチレン・α−オレフィン共重合体を含む熱収縮性複合繊維は、例えば、100℃未満、特に90℃以下で、立体捲縮を発現することができ、比較的低い熱処理温度で本実施形態の不織布を製造することを可能にする。
第2成分は、第1成分の融点Tfよりも高い融点Tfを有する。TfはTfよりも10℃以上高くてよく、特に15℃以上高くてよい。TfとTfとの差が小さいと、良好な捲縮発現を得られないことがある。
第2成分として使用可能な樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびその共重合体などのポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66、およびその共重合体などのポリアミド樹脂、ならびにポリプロピレンおよびポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂などが挙げられる。第2成分は、これらから選択される2以上の樹脂を含んでよい。第2成分は、収縮するとしてもその度合いは、第1成分よりも小さく、熱収縮性複合繊維に剛性を付与し、繊維のカード通過性等を確保する役割をする。
第2成分は、融点が150℃以上のポリプロピレンを50質量%以上、好ましくは80質量%以上含んでよい。あるいは、第2成分は他の熱可塑性樹脂を含まず、ポリプロピレンのみから実質的に成っていてよい。ポリプロピレンは、紡糸性、繊維の捲縮発現性、および樹脂自身が有する収縮性等の点から第2成分として好ましく用いられる。また、ポリプロピレンは、ポリエチレンテレフタレートをはじめとするポリエステル樹脂に比べて柔軟な樹脂であることから、後述する、第2成分にポリエチレンテレフタレートを含む熱収縮性複合繊維に比べて、より柔軟な熱収縮性複合繊維を与えると考えられる。
あるいは、第2成分はポリエチレンテレフタレートを50質量%以上、好ましくは80質量%以上含んでよい。また、第2成分は他の熱可塑性樹脂を含まず、ポリエチレンテレフタレートのみから実質的に成っていてよい。ポリエチレンテレフタレートは、紡糸性に優れ、また、これを第2成分に含む繊維は、捲縮発現性に優れるものとなる。さらに、ポリエチレンテレフタレートは、前述したポリプロピレン樹脂に比べ、融点が高く、弾性の大きい樹脂であることから、これが第2成分に含まれる繊維を含む不織布は、比較的高い温度で熱処理をしても嵩が減少しにくい。さらにまた、ポリエチレンテレフタートを構成成分とする繊維は、繊維そのものの弾性が大きくなりやすいことから、第2成分にポリエチレンテレフタレートを含む熱収縮性複合繊維は嵩高な不織布が求められる用途に適している。
熱収縮性複合繊維は、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出している断面構造を有することが好ましい。そのような断面構造として、第1成分が鞘成分、第2成分が芯成分であって、第2成分(芯成分)の重心位置が繊維の重心位置からずれている偏心芯鞘型断面、および第1成分と第2成分とが貼り合わされた並列型断面が挙げられる。そのような断面構造によれば、収縮性に優れ、かつ捲縮発現性に優れた複合繊維を得ることができる。
熱収縮性複合繊維が、偏心芯鞘型複合繊維である場合、第2成分の偏心率は、15〜60%の範囲内にあることが好ましく、20〜50%の範囲内にあることがより好ましく、30〜50%の範囲内にあることが特に好ましい。ここでいう偏心率とは、次式で定義される。
Figure 2016188443
第1成分と第2成分の複合比率は、容積比で3:7〜7:3の範囲であってよく、好ましくは4:6〜6:4である。第1成分の割合が小さすぎると、収縮が不十分となる場合があり、第1成分の割合が大きすぎると、不織布を製造する際に高速でカードを通過させることが困難となることがある。
熱収縮性複合繊維の繊度は、特に限定されない。例えば、熱収縮性複合繊維は、約1.1dtex〜約15dtexの繊度を有してよく、好ましくは約1.2dtex〜約5dtex、より好ましくは約1.5dtex〜約3.5dtexの繊度を有してよく、特に好ましくは約1.5dtex〜2.5dtexの繊度を有してよい。繊度が小さいほど、不織布の触感はより滑らかなものとなり、また、不織布はより柔軟なものとなる。
熱収縮性複合繊維の繊維長もまた、特に限定されない。不織布を製造するときに、繊維ウェブをカード機を用いて作製する場合、繊維長は約1mm〜約100mmの範囲内にあってよく、好ましくは約28mm〜約72mm、より好ましくは約32mm〜約64mmの範囲内にある。エアレイド機を用いる場合においては、繊維長は約3mm〜約30mmの範囲内にあってよく、好ましくは約5mm〜約25mmの範囲内にある。
熱収縮性複合繊維は、熱処理に付されると立体捲縮を発現する。ここで、「立体捲縮」という用語は、図3に示すような捲縮の山(または山頂部)が鋭角である機械捲縮と区別されるために用いられる。また、「立体捲縮が発現している」とは、例えば、図1Aに示すような山部が湾曲した捲縮(波形状捲縮)、図1Bに示すような山部が螺旋状に湾曲した捲縮(螺旋状捲縮)、図1Cに示すような、波形状捲縮と螺旋状捲縮とが混在した捲縮、および図2に示すような、機械捲縮と波形状捲縮および螺旋状捲縮の少なくとも一つとが混在した捲縮が発現していることを指す。
上記のとおり、本実施形態の不織布においては、熱処理に付された後の熱収縮性複合繊維、すなわち立体捲縮を有する捲縮性複合繊維が存在し、この捲縮性複合繊維はさらに熱収縮可能なものである。捲縮性複合繊維は、本実施形態の不織布において、例えば、温度Tf−3℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexの条件で測定した乾熱収縮率が20%を超えるような熱収縮性を有している状態で存在していてよい。
(非熱収縮性繊維)
非熱収縮性繊維は、温度120℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexの条件で測定した乾熱収縮率が20%以下である繊維であり、この乾熱収縮率を満足する限りにおいて、特に限定されない。非熱収縮性繊維は、本実施形態の不織布の嵩を高くし、不織布に適度なコシを持たせる役割をして、不織布が薄く、コシのない状態になることを防止する。不織布が薄く、コシのないものであると、生産時のロールへの巻き取り時に皺や折れが発生しやすいだけでなく、不織布が変形しやすいために、不織布を特定の形状に打ち抜く打ち抜き加工を実施できないことがあり、あるいは打ち抜く形状が崩れやすくなることがある。
例えば、非熱収縮性繊維として、コットン、シルク、ウール、麻、およびパルプなどの天然繊維、レーヨン、キュプラ、および溶剤紡糸セルロース繊維などの再生繊維、およびアクリル系、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、およびポリブチレンサクシネートおよびその共重合体等のポリエステル系、ナイロン6、ナイロン12およびナイロン66等のアミド系、ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等を含む)、ポリブテン−1、エチレン−ビニルアルコール共重合体、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系、ならびにポリウレタン系などの合成繊維が挙げられる。非熱収縮性繊維としての合成繊維は、単一繊維であっても、複合繊維であってもよい。例えば、複合繊維は、芯鞘型複合繊維、または分割型複合繊維であってよい。また、非熱収縮性繊維として、2以上の繊維を組み合わせて使用してよい。
非熱収縮性繊維は、例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートからなる単一繊維(以下、「ポリプロピレン繊維」)であってよい。これらの単一繊維は、入手しやすく、また、比較的小さい繊度のものを入手しやすいことから好ましく用いられる。特に、熱収縮性複合繊維が、第1成分にエチレン・α−オレフィン共重合体またはプロピレン共重合体を含むものである場合、非熱収縮性繊維がポリプロピレン繊維であると、ポリプロピレン樹脂そのものがポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂等の他の熱可塑性樹脂と比較して柔軟であることから、柔らかく、滑らかな触感の不織布が得られやすい。加えて、ポリプロピレン樹脂はポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂と比較して低融点であることから、ポリプロピレン繊維を用いると、得られる不織布を部分的に熱接着する場合、より低温で熱接着できるだけでなく、熱接着性も良好である。
非熱収縮性繊維の繊度は、特に限定されない。例えば、非熱収縮性繊維が、再生繊維または合成繊維である場合、その繊度は約0.3dtex〜約15dtexであってよく、好ましくは約0.5dtex〜約5dtexであり、より好ましくは約0.8dtex〜約3.5dtexであり、特に好ましくは約0.8dtex〜約2.0dtexである。繊度が小さいほど、不織布の触感はより滑らかなものとなり、また、不織布はより柔軟なものとなる。非熱収縮性繊維の繊度は、熱収縮性複合繊維のそれと同じであってよく、異なっていてよく、好ましくは熱収縮性複合繊維の繊度よりも小さい。非熱収縮性繊維の繊度が熱収縮性複合繊維の繊度よりも小さいと、滑らかで柔らかい触感の不織布が得られやすい。
非熱収縮性複合繊維の繊維長もまた、特に限定されない。不織布を製造するときに、繊維ウェブをカード機を用いて作製する場合、繊維長は約1mm〜約100mmの範囲内にあってよく、好ましくは約28mm〜約72mm、より好ましくは約32mm〜約64mmの範囲内にある。エアレイド機を用いる場合においては、繊維長は約3mm〜約30mmの範囲内にあってよく、好ましくは約5mm〜約25mmの範囲内にある。
(不織布構成)
続いて、本実施形態の不織布の構成を説明する。本実施形態の不織布は、立体捲縮を有する捲縮性複合繊維と非熱収縮性複合繊維とを含み、捲縮性複合繊維と非熱収縮性繊維の質量を合わせて100質量%としたときに、捲縮性複合繊維の割合が25質量%以上85質量%以下であり、構成繊維同士が交絡している不織布である。さらに、本実施形態の不織布は、(Tf−8)℃(Tfは捲縮性複合繊維の第1成分の融点)での縦方向の寸法変化率および横方向の寸法変化率の平均値が、8%以上25%以下であるような熱収縮性を有している。
立体捲縮を有する捲縮性複合繊維は、前記熱収縮性複合繊維が熱処理に付されて立体捲縮が発現したものである。捲縮性複合繊維において、立体捲縮は40個/25mm以上700個/25mm以下、特に50個/25mm以上600個/25mm以下の数で発現していてよい。捲縮性複合繊維において、機械捲縮と、波形状捲縮および/または螺旋状捲縮とが混在して発現している場合には、機械捲縮も上記立体捲縮の数に含める。不織布中に含まれる捲縮性複合繊維における捲縮数は、当該繊維を、立体捲縮が伸びきらないように不織布から抜き取って、JIS L 1015に準じて測定することができる。あるいは、立体捲縮を有する捲縮性複合繊維が他の繊維と強固に交絡し、不織布中から取り出すことが難しい場合、不織布の表面または断面を走査型電子顕微鏡などで拡大したものを撮影し、撮影した写真において観察される範囲で捲縮性複合繊維の捲縮数および長さを計測し、25mmあたりの捲縮数に換算する方法で捲縮数を求めてもよい。本実施形態において捲縮性複合繊維は、第1成分が完全に熱収縮しておらず、それにより前記のような熱収縮性を不織布に残存させている。
捲縮性複合繊維は、捲縮性複合繊維と非熱収縮性繊維の質量を合わせて100質量%としたときに、25質量%以上85質量%以下の割合で含まれ、好ましくは35質量%以上80質量%以下の割合で含まれ、より好ましくは40質量%以上80質量%以下含まれ、特に好ましくは45%以上75%以下含まれる。捲縮性複合繊維の割合が小さすぎると、立体捲縮の総数が少なくなり、立体捲縮によりもたされる効果、例えば滑らかな触感を得られないことがある。捲縮性複合繊維の割合が大きすぎると、非熱収縮性繊維の割合が小さくなって、不織布の嵩が小さくなる傾向にあり、また、不織布表面に毛玉状物が形成されて、触感が低下することがある。
本実施形態の不織布は、捲縮性複合繊維と非熱収縮性繊維の質量を合わせて100質量%としたときに、捲縮性複合繊維が前記の割合で含まれている限りにおいて、他の繊維を含んでよい。他の繊維は、例えば、立体捲縮を有しておらず、かつ温度120℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexの条件で測定した乾熱収縮率が20%を超えるような繊維である。他の繊維を含む場合には、その割合は、不織布を構成する繊維全体の25質量%以下とすることが好ましい。他の繊維の割合が大きくなると、捲縮性複合繊維と非熱収縮性繊維が奏する効果(例えば、滑らかな触感)を十分に得られないことがある。
本実施形態の不織布は、構成繊維同士が交絡することにより一体化されている。後述するように、繊維同士は、ニードルパンチ法または流体流(特に水流)交絡処理法により交絡させられてよい。繊維同士の交絡により一体化させた不織布は、より柔軟である。不織布の柔軟性の点から、本実施形態の不織布において、繊維同士は熱接着していないことが好ましい。熱接着により不織布は硬くなる傾向にあるからである。
前記のとおり、本実施形態の不織布は熱収縮性を有するものである。不織布の熱収縮性は、下記の方法に従って測定される、(Tf1−8)℃での寸法変化率によって評価される。
(1)不織布から、約100mm×約100mmの試験片を3枚採取する。
(2)この試験片において図4に示すように、縦方向および横方向それぞれ3箇所に約83mmの長さを表す印をつける(以下、測長区間という)。図4においては縦方向の測長区間を太い実線で示している。
(3)各試験片について、縦方向および横方向のそれぞれの3つの測長区間の長さを0.1mmまで測定し、各方向における測長区間の長さの平均値を求め、これを各測長区間の「処理前長さ」(ΔLMD1:縦方向の処理前長さ、ΔLCD1:縦方向の処理前長さ)とする。
(4)(Tf1−8)℃に設定した恒温乾燥機を用意し、この恒温乾燥機中に、試験片を縦方向に鉛直になるように隅をつかんでつり下げる。再度設定した温度になった後、3分間、乾燥機内に試料を放置する。3分間経過した後、試験片を取り出して、室温まで冷却する。
(5)冷却した試験片について、縦方向および横方向のそれぞれの3つの測長区間の長さを0.1mmまで測定し、各方向における測長区間の平均値を求め、これを各測長区間の「処理後長さ」(ΔLMD2:縦方向の処理後長さ、ΔLCD2:縦方向の処理後長さ)とする。
(6)(2)で求めた、各試料片における縦方向の3つの測長区間の処理前長さの平均値(ΔLMD1)、(5)で求めた、各試料片における縦方向の3つの測長区間の処理後長さの平均値(ΔLMD2)から、下記の式に従って各試験片の縦方向の寸法変化率(ΔLMD)を算出する。
Figure 2016188443
(7)同様に、(2)で求めた、各試料片における横方向の3つの測長区間の処理前長さの平均値(ΔLCD1)、(5)で求めた、横方向の3つの測長区間の処理後長さの平均値(ΔLCD2)から、下記の式に従って各試験片の横方向の寸法変化率(ΔLCD)を算出する。
Figure 2016188443
(8)(6)および(7)で求めた縦方向の寸法変化率ΔLMDと横方向の寸法変化率ΔLCDの平均値から縦方向の寸法変化率および横方向の寸法変化率の平均値(ΔLave)を下記の式に従って算出する。
Figure 2016188443
(9)3点の試験片についてΔLaveを算出し、これらの値の平均値をその不織布における縦方向の寸法変化率および横方向の寸法変化率の平均値とする。
(Tf−8)℃での縦方向の寸法変化率および横方向の寸法変化率の平均値(以下、単に「寸法変化率の平均値」と呼ぶ)が8%以上25%以下であると、捲縮性複合繊維が適度な立体捲縮を有して、不織布の触感が良好なものとなり、滑らかな肌触りが得られるだけでなく、適度な立体捲縮に起因して不織布が適度な伸縮性を有するようになる。寸法変化率の平均値が小さい場合には、捲縮性複合繊維における立体捲縮の発現度合いがより大きく、螺旋状の細かな捲縮が多数発現している。そのような立体捲縮は、不織布の表面にて凹凸を生じさせる原因となり、不織布の触感を低下させるだけでなく、不織布が全体的に密度の高い構造になるため、不織布のドレープ性が失われる。あるいは、寸法変化率の平均値が小さい不織布は、捲縮性複合繊維の含有量が少なく、不織布表面を滑らかにするのに十分な数の立体捲縮が存在していないものであり得る。また、捲縮性複合繊維の含有量が小さい場合には、繊維間の交絡が弱くなり、繊維同士を熱接着させることなく不織布を製造する場合に、交絡による繊維間の結合が不十分となって毛羽立ちが多くなることがあり、繊維同士を熱接着させて不織布を製造する場合には表面がざらついたものとなることがある。
一方、寸法変化率の平均値が大きい場合には、捲縮性複合繊維における立体捲縮の発現の度合いが小さくて、立体捲縮に起因する滑らかな触感を得られないことがある。また、立体捲縮が発現する過程においては、繊維同士の交絡、および交絡による繊維間の結合が進行するので、立体捲縮の発現の度合いが小さいと、得られる不織布において、繊維間の結合が不十分となって、繊維の抜けおよび毛羽立ちが生じやすくなることがある。
寸法変化率の平均値を前記範囲内とするためには、捲縮性複合繊維の割合、繊維同士の交絡の度合い、および捲縮性複合繊維における立体捲縮の度合い(すなわち、熱収縮性複合繊維の熱処理条件)等から選択される1または複数のパラメータが調整される。例えば、繊維同士の交絡の度合いが大きすぎると、寸法変化率の平均値は小さくなる傾向にある。また、捲縮性複合繊維における立体捲縮の度合いが大きい(すなわち、熱処理温度が高い、または熱処理時間が長い)と、寸法変化率の平均値は小さくなる傾向にある。これらのパラメータを適宜調整して組み合わせることにより、所定の寸法変化率の平均値が得られる。
寸法変化率の平均値が前記範囲内にある、本実施形態の不織布は、滑らかな触感を有するものとなる。具体的には、本実施形態の不織布は、不織布表面にて測定される表面粗さの平均偏差(SMD)が3.6μm以下であるようなものとなる。SMDは、KES(Kawabata Evaluation System)に基づいて計測および評価される。KESは布帛の風合いを計測し客観的に評価する方法の一つであり、SMDは、KESで定義されている表面摩擦の特性値の一つである。
より大きいSMDは、表面がより平坦でないことを示す。SMDを測定するために用いられる機器は、KESに基づいた表面摩擦の測定が行える機器であれば特に限定されない。表面摩擦の特性値は、例えば、KES−SE 摩擦感テスター、KES−FB4−AUTO−A 自動化表面試験機(いずれもカトーテック(株)製)等を使用して測定することができる。表面摩擦は、不織布のタテ方向を測定方向として、静荷重を25gf、摩擦子の移動速度を1mm/secとして測定することができる。不織布の少なくとも一方の表面は、好ましくは3.6以下、より好ましくは3.0以下、さらにより好ましくは2.5以下、最も好ましくは1.9以下のSMDを有する。3.6以下のSMDを有する不織布表面は、凹凸がより少なく、製品の表面触感を滑らかにする。SMDの下限は特に限定されず、0に近いことが好ましいが、0.3または0.5であってよい。
不織布の目付は特に限定されず、用途等に応じて適宜選択される。不織布の目付は、例えば、30g/m〜150g/mであってよい。より具体的には、不織布を、フェイスマスクをはじめとする液体(特に化粧料)含浸皮膚被覆シート、使い捨てカイロをはじめとする温熱器具における発熱体の包材、肌当接面の基布、製品の表面材、温湿布および冷湿布をはじめとする各種パップ材の基布、および医療用の各種包帯として用いる場合には、目付は50g/m〜120g/mとしてよく、55g/m〜100g/mとしてもよく、60g/m〜90g/mとしてもよい。
不織布の厚さも特に限定されず、例えば、30g/m〜150g/mの目付を有する不織布の場合、その厚さは0.5mm〜5mmであってもよく、0.6mm〜3.5mmであってもよく、0.6mm〜3.0mmであってもよく、0.7〜2.5mmであってもよい。
本実施形態の不織布は、前記特定の繊維を含み、かつ「熱収縮しろ」を有する構成であるために、嵩高なものとして提供され得る。不織布の嵩高性は比容積で表すことができ、比容積は厚さを目付で除すことにより算出される。但し、比容積は、不織布の保存状態および/または不織布の製造過程によっても変化することに留意されたい。例えば、不織布が芯に巻き取られてロール形態で保存されていると、芯により近い側の不織布の比容積はより小さくなる傾向にある。例えば、本発明の不織布は、製造直後において、好ましくは10cm/g〜40cm/g、より好ましくは15cm/g〜30cm/gの比容積を有する。なお、比容積は、不織布1cm2あたり2.94cNの荷重を加えた状態で測定される厚さと、不織布の目付から算出される。
(不織布の製造方法)
本実施形態の不織布は、先に説明した熱収縮性複合繊維と、先に説明した非熱収縮性繊維とを、熱収縮性複合繊維と非熱収縮性繊維とを合わせて100質量%としたときに、熱収縮性複合繊維の割合が25質量%以上85質量%以下となるように混合して、繊維ウェブを作成し、この繊維ウェブに機械的な交絡処理を施して、繊維ウェブを構成する繊維同士を交絡し、その後熱処理を実施する方法で製造される。
繊維ウェブは、熱収縮性複合繊維と非熱収縮性繊維以外の他の繊維を含んでよい。他の繊維の例およびその割合は先に不織布に関連して説明したとおりであるから、ここではその説明を省略する。
繊維ウェブの形態は、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカードウェブ、エアレイウェブ、ならびにスパンボンドウェブ等から選択されるいずれであってもよい。本実施形態では、繊維同士の交絡性の点からカードウェブが好ましく用いられる。
繊維同士の機械的な交絡は、例えば、ニードルパンチ処理、または流体流(特に水流)交絡処理により実施してよい。本実施形態では特にニードルパンチ処理が好ましく用いられる。ニードルパンチ処理によれば、繊維同士が過度に交絡されないため、より嵩高で、より柔軟な不織布を得やすい。また、ニードルパンチ処理によれば、繊維同士の交絡の度合いの調整が容易であり、所望の寸法変化率の平均値(熱収縮しろ)を得ることが容易となる。ニードルパンチ処理は、通常のニードルパンチ機を用いて実施することができる。ニードルパンチ処理は、例えば、バーブの数が3個〜12個である、36番手〜42番手の針を用いて、針深度を3mm〜20mmとし、30本/cm2〜500本/cm2の密度(単位面積当たりの針の打ち込み本数。ペネ数とも称される)で打ち込みをして実施するとよい。
次に、交絡処理後の繊維ウェブを熱処理して、熱収縮性複合繊維において立体捲縮を発現させる。熱処理は、熱処理後に得られる不織布において、(Tf−8)℃での縦方向の寸法変化率および横方向の寸法変化率の平均値が、8%以上25%以下となるように実施する。すなわち、熱処理は、熱処理後に得られる不織布が、「熱収縮しろ」を有するように、熱収縮性複合繊維において過度に立体捲縮が発現しないように実施される。
熱処理温度および熱処理時間は、立体捲縮が発現するが、その度合いが強くなりすぎないように、熱収縮性複合繊維を構成する樹脂に応じて選択され、特に、第1成分の融点Tfを考慮して選択される。Tfに近い温度で熱処理を実施すると、第1成分の熱収縮(すなわち立体捲縮の発現)が進行しすぎて、不織布に熱収縮しろを残すことが難しくなる。例えば、熱処理温度は、Tfよりも10℃以上30℃以下低い温度としてよく、熱処理時間は0.2秒以上30秒以下としてよい。
より具体的には、熱収縮性複合繊維の第1成分がエチレン・α−オレフィン共重合体を含み、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出している複合繊維である場合には、熱処理温度は、好ましくは78℃以上98℃未満、より好ましくは80℃以上95℃未満である。また、この温度範囲で熱処理を実施する場合、熱処理時間は好ましくは0.5秒以上15秒以下である。一方、熱収縮性複合繊維の第1成分がプロピレン共重合体を含み、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出している複合繊維である場合には、熱処理温度は、好ましくは100℃以上125℃未満、より好ましくは110℃以上120℃未満である。また、この温度範囲で熱処理を実施する場合、熱処理時間は好ましくは0.5秒以上15秒以下である。
熱処理は、好ましくは熱風を繊維ウェブに当てる熱風加工処理である。熱風加工処理によれば、繊維ウェブの厚さ方向に加わる圧力を小さくでき、立体捲縮がつぶれにくく、嵩高な不織布を得ることができる。熱風加工処理は、例えば、熱風貫通式熱処理機、および熱風吹き付け式熱処理機を用いて実施してよい。あるいは、熱風加工処理に変えて、赤外線を使用した熱処理を実施してよい。赤外線による熱処理もまた、繊維ウェブに圧力が加わりにくいことから好ましく用いられる。あるいはまた、熱処理は、熱ロールを用いる方法によって実施してもよい。
熱処理はまた、上記条件に加えて、繊維ウェブを構成する繊維同士が熱接着しないような条件を選択して実施してよい。構成繊維間で熱接着が生じると、前記のとおり、得られる不織布が硬くなり、触感および柔軟性が損なわれることがある。
(用途)
本実施形態の不織布は種々の用途に使用でき、柔軟さと良好な触感が求められる用途、例えば、皮膚に直接当てて使用する皮膚接触用製品に好ましく使用され、その場合、本実施形態の不織布は、皮膚に接触する面の少なくとも一部を占める。皮膚接触用製品は、例えば、マスク、サポーターおよび包帯等の衛生物品、紙おむつ、生理用ナプキン、およびおりもの用シート等の吸収性物品、化粧料等の液体を含浸させた液体含浸皮膚被覆シート(例えば、フェイスマスク、角質ケアシート、およびデコルテシート等)、使い捨てカイロをはじめとする温熱器具における発熱体の包材、ならびに温湿布および冷湿布をはじめとする各種パップ材の基布である。
例えば、マスクにおいて、本実施形態の不織布はそれのみでマスク本体を構成してよく、あるいは他の不織布との二層構造として、本実施形態の不織布が顔面と接する側に配置されるようにしてよい。吸収性物品の場合には、本実施形態の不織布を表面シートとしてよい。サポーター、包帯、および液体含浸皮膚被覆シート等においては、本実施形態の不織布はそれのみで製品本体を構成してよく、あるいは他の不織布との二層構造として、本実施形態の不織布が皮膚と接する側に配置されるようにしてよい。
以下の繊維を用意した。
(1)熱収縮性複合繊維1
熱収縮性複合繊維1として、第1成分がメタロセン触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体からなり、第2成分がポリプロピレンからなり、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上露出しており、第1成分と第2成分とが貼り合わされた並列型断面を有する複合繊維であって、繊度が4.4dtex、3.3dtex、2.2dtex、1.7dtexのものを用意した。第1成分と第2成分の複合比は、いずれの繊度についても50/50(容積比)であった。
第1成分としてのエチレン・α−オレフィン共重合体は、融点が108℃、密度が0.918g/cm、MIが7g/10min、Q値が3.0であった(商品名:420SD、宇部丸善ポリエチレン製)。
第2成分としてのポリプロピレンは、融点が160℃であった(商品名:SA03、日本ポリプロ製)。
(2)熱収縮性複合繊維2
熱収縮性複合繊維2として、第1成分がエチレンとプロピレンとが共重合しているプロピレン共重合体からなり、第2成分がポリプロピレンからなり、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上露出しており、第1成分と第2成分とが貼り合わされた並列型断面を有する複合繊維であって、繊度が2.2dtex、1.7dtexのものを用意した。第1成分と第2成分の複合比は、いずれの繊度についても50/50(容積比)であった。
第1成分としてのプロピレン共重合体は、融点が140℃、MFRが30g/10分、エチレンの割合が4.78質量%であった(商品名:Y2045GP、プライムポリマー製)。
第2成分としてのポリプロピレンは、融点が160℃であった(商品名:SA03、日本ポリプロ製)。
(3)非熱収縮性繊維1
非熱収縮性繊維1として、融点が160℃であるポリプロピレンから成る、繊度1.0dtexの単一繊維を用意した。このポリプロピレン単一繊維の温度120℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexの条件で測定した乾熱収縮率(120℃乾熱収縮率)は0.5%以下であった。120℃乾熱収縮率の決定方法は以下のとおりである。
[120℃乾熱収縮率]
JIS L1015に準じ、つかみ間隔を100mmとし、処理温度120℃、処理時間15分間、初荷重0.018mN/dtexにおける乾熱収縮率を測定した。120℃乾熱収縮率は、以下の式に従って算出した。
120℃乾熱収縮率(%)=[(乾熱処理前の試料の長さ−乾熱処理後の試料の長さ)/(乾熱処理前の試料の長さ)]×100
(実施例1〜5、比較例1〜7)
表1および2に示す、熱収縮性複合繊維と非熱収縮性複合繊維とを、表1および2に示す割合で混合して、パラレルカード機を用いて繊維ウェブを作成した。得られた繊維ウェブをニードルパンチ処理に付し、繊維同士を交絡させた。ニードルパンチ処理は、40番手の針(バーブの数:9個)を用いて、針深度を5mmとし、ペネ数が100本/cmとなる条件でニードルパンチ処理を実施した。続いて、表1に示す温度に設定した熱風貫通式熱処理機にて、20秒間熱処理し、熱収縮性複合繊維において立体捲縮を発現させて、不織布を得た。
(実施例6〜7)
表1に示す、熱収縮性複合繊維と非熱収縮性複合繊維とを、表1に示す割合で混合して、パラレルカード機を用いて繊維ウェブを作成した。得られた繊維ウェブをニードルパンチ処理に付し、繊維同士を交絡させた。ニードルパンチ処理は、40番手の針(バーブの数:9個)を用いて、針深度を8mmとし、ペネ数が120本/cmとなる条件でニードルパンチ処理を実施した。続いて、表1に示す温度に設定した熱風貫通式熱処理機にて、10秒間熱処理し、熱収縮性複合繊維において立体捲縮を発現させて、不織布を得た。
実施例1〜7、比較例1〜7で得た不織布の評価結果を、表1および表2に示す。なお、各評価は以下の方法に従って実施した。
[不織布の厚さ]
厚み測定機(商品名 THICKNESS GAUGE モデル CR−60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cm2あたり2.94cNの荷重を加えた状態で測定した。
[不織布の寸法変化率]
先に、「(不織布の構成)」の欄で説明した方法に従って、縦方向および横方向の寸法変化率、ならびに縦方向の寸法変化率と横方向の寸法変化率の平均値を求めた。寸法変化率の測定温度は、熱収縮性複合繊維1を含む不織布については100℃とし、熱収縮性複合繊維2を含む不織布については、132℃とした。
[不織布の触感評価]
不織布の表面をモニター5名が手で触って、柔軟性、滑らかさおよび不織布表面の毛羽立ちを、下記の基準に従って評価し、最も多くのモニターにより得られた評価を、その不織布の評価とした。
[柔軟性]
++:触れたときの触感が特に柔軟で、肌へのなじみ(肌の凹凸への追従性)が特によい。
+:触れたときの触感が柔軟で肌へのなじみがよい。
−:触れたとき触感が硬く、肌の凹凸に追従せず、なじみがよくない。
[滑らかさ]
++:表面を撫でた時にザラザラとした刺激を感じない。
+:表面を撫でた時にザラザラとした刺激感が少ない。
−:表面を撫でたときにザラザラとした触感がある。
[表面の毛羽立ち]
+:表面の毛羽立ちが目立たず、肉眼で確認できてもわずかである。
−:表面に毛羽が目立ち、肉眼でも容易に確認できる。
[SMD]
KES−SE 摩擦感テスター(カトーテック(株)製)を用いて、不織布のタテ方向を測定方向として、静荷重を25gf、摩擦子の移動速度を1mm/secとして、表面摩擦を測定し、表面粗さの平均偏差を求めた。
Figure 2016188443
Figure 2016188443
実施例1〜7の不織布はいずれも、縦方向の寸法変化率と横方向の寸法変化率の平均値が8%以上25%以下の範囲内にあり、柔軟性および滑らかさは共に『+』以上であり、不織布表面に毛羽立ちが発生していなかった。また、不織布表面の粗さを機械的に測定したSMDが3.6以下であった。これらの結果は、熱処理により立体捲縮を発現する複合繊維と、非熱収縮性繊維を混綿し、適度に立体捲縮を発現する温度、言い換えるならば、立体捲縮を最大限発現させない温度で熱処理して不織布を作製したことで、熱の影響によって繊維が硬くなったり、場合によっては熱可塑性樹脂が融解または熱接着することがないため、柔軟で滑らかな不織布となること、加えて、適度な立体捲縮を発現させているため、繊維間の交絡がある程度固定でき、繊維表面の毛羽立ちも抑えられたことが要因であると考えられる。
比較例1、2および7の不織布は、熱処理温度が高く、縦方向の寸法変化率と横方向の寸法変化率の平均値がいずれも8%未満であった。そのため、捲縮性複合繊維に細かな立体捲縮が多数形成されていて、捲縮形状に起因すると推察される刺激感があり、SMDも大きかった。比較例3の不織布は、熱収縮性複合繊維のみを用いて作製されたものであり、その比容積が小さいだけでなく、立体捲縮を発現している繊維のみで構成されているために、捲縮形状に起因すると推察される刺激感が確認された。比較例4の不織布は比較例3の不織布と同じく不織布を構成する繊維のほとんどが捲縮性複合繊維であるため、不織布の比容積が小さいだけでなく、立体捲縮を発現している繊維の割合が多いために、捲縮形状に起因すると推察される刺激感が確認された。
比較例5の不織布は、細繊度の非熱収縮性繊維のみで構成されているため、柔らかさや滑らかさの点では優れているものの、捲縮性複合繊維を含んでいないために、繊維同士の交絡、および交絡による繊維間の結合が不十分となり、表面にはっきりと毛羽立ちが生じていた。比較例6の不織布は、実施例1〜3、および5〜7と同じ割合で捲縮性複合繊維、および非熱収縮性繊維を含んでいるが、熱処理温度が低すぎるため、捲縮性複合繊維の立体捲縮の発現が不十分であった。そのため、比較例5の不織布と同様、繊維同士の交絡、および交絡による繊維間の結合が不十分であり、表面にはっきりと毛羽立ちが生じていた。比較例6の不織布において、立体捲縮の発現が不十分であることは、縦方向の寸法変化率と横方向の寸法変化率の平均値が25%を超えていることから確認できる。
本発明は以下の態様のものを含む。
(態様1)
立体捲縮を有する捲縮性複合繊維であって、第1成分と、前記第1成分の融点Tfよりも高い融点Tfを有する第2成分とを含む捲縮性複合繊維と、
温度120℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexの条件で測定した乾熱収縮率が20%以下である非熱収縮性繊維とを含み、
前記捲縮性複合繊維と前記非熱収縮性繊維の質量を合わせて100質量%としたときに、前記捲縮性複合繊維の割合が25質量%以上85質量%以下であり、
構成繊維同士が交絡しており、
(Tf−8)℃での縦方向の寸法変化率および横方向の寸法変化率の平均値が、8%以上25%以下である、不織布。
(態様2)
構成繊維同士が熱接着されていない、態様1の不織布。
(態様3)
前記捲縮性複合繊維は、前記第1成分が、融点が145℃以下である、プロピレン共重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体を50質量%以上含み、前記第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出している複合繊維である、態様1または2の不織布。
(態様4)
前記捲縮性複合繊維において、前記第1成分が、融点が130℃未満のエチレン・α−オレフィン共重合体を50質量%以上含み、
前記エチレン・α−オレフィン共重合体が、メタロセン触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンである、態様3の不織布。
(態様5)
前記捲縮性複合繊維の第2成分が、融点が150℃以上のポリプロピレンを50質量%以上含む、態様3または4のいずれかの不織布。
(態様6)
前記捲縮性複合繊維の繊維断面は、第1成分が鞘成分であり、第2成分が芯成分であって、第2成分の重心位置が繊維の重心位置からずれている偏心芯鞘型断面、または第1成分と第2成分が貼り合わされた並列型断面である、態様1ないし5のいずれかの不織布。
(態様7)
前記非熱収縮性繊維がポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートからなる単一繊維である、態様1ないし6のいずれかの不織布。
(態様8)
不織布表面にて測定される表面粗さの平均偏差(SMD)が3.6μm以下である、態様1ないし7のいずれかの不織布。
(態様9)
第1成分と、前記第1成分の融点Tfよりも高い融点Tfを有する第2成分とを含む熱収縮性複合繊維と、温度120℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexの条件で測定した乾熱収縮率が20%以下である非熱収縮性繊維とを、前記熱収縮性複合繊維と前記非熱収縮性繊維とを合わせて100質量%としたときに、前記熱収縮性複合繊維の割合が25質量%以上85質量%以下となるように混合して、繊維ウェブを作成すること、
前記繊維ウェブに機械的な交絡処理を施して、前記繊維ウェブを構成する繊維同士を交絡すること、
前記交絡処理後、熱処理を実施すること、
を含み、
前記熱処理を、前記熱処理後に得られる不織布において、(Tf−8)℃での縦方向の寸法変化率および横方向の寸法変化率の平均値が、8%以上25%以下となるように実施する、
不織布の製造方法。
(態様10)
前記熱収縮性複合繊維において、前記第1成分が、融点が130℃未満であるエチレン・α−オレフィン共重合体を含み、前記第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出している複合繊維であり、
前記熱処理を、78℃以上98℃未満で実施する、
態様9の不織布の製造方法。
(態様11)
前記熱収縮性複合繊維において、前記第1成分が、融点が130℃以上145℃以下である、エチレンが共重合したプロピレン共重合体を含み、前記第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出している複合繊維であり、
前記熱処理を、100℃以上125℃未満で実施する、
態様9の不織布の製造方法。
(態様12)
態様1ないし8のいずれかの不織布が、皮膚に接触する面の少なくとも一部を占める、皮膚接触用製品。
本発明の不織布は、柔軟で、良好な触感を示し、かつ嵩高であるから、マスク等の衛生物品、および紙おむつ等の吸収性物品等の皮膚接触用製品において、皮膚に接触する面の少なくとも一部を構成する部材に適している。

Claims (12)

  1. 立体捲縮を有する捲縮性複合繊維であって、第1成分と、前記第1成分の融点Tfよりも高い融点Tfを有する第2成分とを含む捲縮性複合繊維と、
    温度120℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexの条件で測定した乾熱収縮率が20%以下である非熱収縮性繊維とを含み、
    前記捲縮性複合繊維と前記非熱収縮性繊維の質量を合わせて100質量%としたときに、前記捲縮性複合繊維の割合が25質量%以上85質量%以下であり、
    構成繊維同士が交絡しており、
    (Tf−8)℃での縦方向の寸法変化率および横方向の寸法変化率の平均値が、8%以上25%以下である、不織布。
  2. 構成繊維同士が熱接着されていない、請求項1に記載の不織布。
  3. 前記捲縮性複合繊維は、前記第1成分が、融点が145℃以下である、プロピレン共重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体を50質量%以上含み、前記第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出している複合繊維である、請求項1または2に記載の不織布。
  4. 前記捲縮性複合繊維において、前記第1成分が、融点が130℃未満のエチレン・α−オレフィン共重合体を50質量%以上含み、
    前記エチレン・α−オレフィン共重合体が、メタロセン触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンである、請求項3に記載の不織布。
  5. 前記捲縮性複合繊維の第2成分が、融点が150℃以上のポリプロピレンを50質量%以上含む、請求項3または4のいずれか1項に記載の不織布。
  6. 前記捲縮性複合繊維の繊維断面は、第1成分が鞘成分であり、第2成分が芯成分であって、第2成分の重心位置が繊維の重心位置からずれている偏心芯鞘型断面、または第1成分と第2成分が貼り合わされた並列型断面である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の不織布。
  7. 前記非熱収縮性繊維がポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートからなる単一繊維である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の不織布。
  8. 不織布表面にて測定される表面粗さの平均偏差(SMD)が3.6μm以下である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の不織布。
  9. 第1成分と、前記第1成分の融点Tfよりも高い融点Tfを有する第2成分とを含む熱収縮性複合繊維と、温度120℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexの条件で測定した乾熱収縮率が20%以下である非熱収縮性繊維とを、前記熱収縮性複合繊維と前記非熱収縮性繊維とを合わせて100質量%としたときに、前記熱収縮性複合繊維の割合が25質量%以上85質量%以下となるように混合して、繊維ウェブを作成すること、
    前記繊維ウェブに機械的な交絡処理を施して、前記繊維ウェブを構成する繊維同士を交絡すること、
    前記交絡処理後、熱処理を実施すること、
    を含み、
    前記熱処理を、前記熱処理後に得られる不織布において、(Tf−8)℃での縦方向の寸法変化率および横方向の寸法変化率の平均値が、8%以上25%以下となるように実施する、
    不織布の製造方法。
  10. 前記熱収縮性複合繊維において、前記第1成分が、融点が130℃未満であるエチレン・α−オレフィン共重合体を含み、前記第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出している複合繊維であり、
    前記熱処理を、78℃以上98℃未満で実施する、
    請求項9に記載の不織布の製造方法。
  11. 前記熱収縮性複合繊維において、前記第1成分が、融点が130℃以上145℃以下である、エチレンが共重合したプロピレン共重合体を含み、前記第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出している複合繊維であり、
    前記熱処理を、100℃以上125℃未満で実施する、
    請求項9に記載の不織布の製造方法。
  12. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の不織布が、皮膚に接触する面の少なくとも一部を占める、皮膚接触用製品。
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