JP2023051885A - 積層不織布およびその製造方法、液体含浸シート、液体含浸皮膚被覆シート、ならびにフェイスマスク - Google Patents

積層不織布およびその製造方法、液体含浸シート、液体含浸皮膚被覆シート、ならびにフェイスマスク Download PDF

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萌美 中屋敷
Moemi Nakayashiki
克仁 岩井
Katsuhito Iwai
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Abstract

【課題】適度な摩擦力を有し、かつ、表面が均一に平滑な積層不織布およびその製造方法を提供する。【解決手段】第1繊維層と、第2繊維層と、前記第1繊維層と前記第2繊維層との間に位置する中間繊維層と、を備え、前記第1繊維層は、前記第1繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、前記第2繊維層は、前記第2繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、前記中間繊維層は、前記中間繊維層の総質量を基準として、合成繊維を50質量%以上含み、前記第1繊維層と前記中間繊維層と前記第2繊維層とは、繊維同士の交絡により一体化されている、積層不織布。【選択図】なし

Description

本開示は、積層不織布およびその製造方法、および、当該不織布を用いた液体含浸シート、液体含浸皮膚被覆シート、ならびにフェイスマスクに関する。
近年、清潔志向や美容意識が高まっている。そのため、清掃に用いられるワイプ、清浄および清拭に用いられる対人用のワイプ、フェイスマスクなど、種々の使い捨てのシートが提案されている。例えば、特許文献1は、三層構造の不織布であって、中層がセルロース系短繊維を含むセルロース系短繊維層であり、上層および下層が、繊度が0.5dtexよりも大きい繊維を90質量%よりも多く含む繊維層であるシートを提案している。
特開2007-7062号公報
特許文献1では、上層および下層に、ポリエチレンテレフタレート繊維とビスコースレーヨンとを含む複合素材を使用している。使い捨てシートの用途は多岐にわたり、また、使用者も様々であるため、従来にない触感等を有する不織布は常に求められている。
本開示は、セルロース繊維の特性に着目し、特に使い捨てシートの素材として適する適度な摩擦力および平滑な表面を有する積層不織布を提供することを目的とする。
本開示は、第1繊維層と、第2繊維層と、前記第1繊維層と前記第2繊維層との間に位置する中間繊維層と、を備え、前記第1繊維層は、前記第1繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、前記第2繊維層は、前記第2繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、前記中間繊維層は、前記中間繊維層の総質量を基準として、合成繊維を50質量%以上含み、前記第1繊維層と前記中間繊維層と前記第2繊維層とは、繊維同士の交絡により一体化されている、積層不織布を提供する。
本開示はまた、第1繊維ウェブの総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含む、第1繊維ウェブを準備すること、第2繊維ウェブの総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含む、第2繊維ウェブを準備すること、中間繊維ウェブの総質量を基準として、合成繊維を50質量%以上含む、中間繊維ウェブを準備すること、前記第1繊維ウェブと前記中間繊維ウェブと前記第2繊維ウェブとを、この順に重ね合わせて積層繊維ウェブを作製すること、および、前記積層繊維ウェブを、高圧流体流を用いた交絡処理に付して繊維同士を交絡させること、を含む、積層不織布の製造方法を提供する。
本開示によれば、適度な摩擦力を有し、かつ、表面が平滑な積層不織布およびその製造方法が提供される。本開示によれば、また、この積層不織布を用いた液体含浸シート、液体含浸皮膚被覆シート、およびフェイスマスクが提供される。
外層におけるレーヨンと合成繊維との併用は、積層不織布の表面を過度に滑り易くし、乾燥状態および湿潤状態における摩擦力を低下させる。また、外層におけるレーヨンと合成繊維との併用は、湿潤状態の積層不織布の表面に凹凸を形成させるため、平滑性を低下させる。
本実施形態に係る積層不織布は、両外層に、親水性セルロース繊維と、撥水性を付与したセルロース繊維(撥水性セルロース繊維)とを備える。そのため、本実施形態に係る積層不織布の表面は、例えば合成繊維を使用して外層を形成したものと比較して、適度な摩擦力を有する。
適度な摩擦力により、積層不織布が手に触れたとき、これを皮膚に密着させて使用するとき、またはこれで対象物を拭き取るときに、適度な抵抗感が生じる。この抵抗感は、使用者に心地よい触感や、汚れが拭き取れている感覚、肌と密着している感覚を与える。さらに、本実施形態に係る積層不織布の摩擦力は、対象物に対する密着性の向上に寄与し得る。摩擦力は、セルロース繊維が膨潤するとより高まり易い。上記の摩擦力は、例えば、後述する動摩擦係数MIUで表される。
外層に撥水性セルロース繊維を混合することにより、適度な摩擦力が発揮されるのは、撥水性セルロース繊維が、通常の親水性のセルロース繊維とも合成繊維とも異なる特性を有しているためと考えられる。例えば、撥水性セルロース繊維自体が非常に柔軟であり、撥水性付与前のセルロース繊維よりも柔軟性が高い場合もある。これが、適度な摩擦力の発現に寄与していると考えられる。この柔軟性はまた、積層不織布の密着性をより向上させる。密着性と摩擦力とは相補的であって、高い密着性は適度な摩擦力の発現を促進し、適度な摩擦力は密着性を向上させる。
積層不織布を構成する各繊維層が、水流交絡により一体化されている場合、撥水性セルロース繊維の交絡度は低くなり易い。そのため、積層不織布は、さらに適度な摩擦力を発現し易く、より柔軟になり易い。
適度な摩擦力は、本実施形態に係る積層不織布が、液体が含浸された湿潤状態のときにより高まり易い。湿潤状態の積層不織布の摩擦力は、例えば、後述する湿潤状態の積層不織布の動摩擦係数MIUで表される。
これは、撥水性セルロース繊維が、湿潤状態においてより柔軟になって強度が小さくなり易いためと考えられる。撥水性セルロース繊維は、通常の疎水性合成繊維のように撥水性を有しているが、この撥水性は繊維表面において発揮される。撥水性セルロース繊維の内部は、依然として吸水および保水する機能を備えている。そのため、撥水性セルロース繊維(特に撥水性レーヨン)の公定水分率は撥水処理されていない同種のセルロース繊維と同等であり、その二次膨潤度は撥水処理されていないセルロース繊維よりは劣るが、一般的な合成繊維のそれよりも高い傾向にある。例えば、撥水処理されていないビスコースレーヨンとして二次膨潤度(水膨潤度:JIS L1015:2010 8.26に従って測定される)が80%以上90%以下程度のものがあり、撥水性レーヨンとして二次膨潤度が45%以上55%以下程度のものがある。また、撥水性レーヨンとして公定水分率(JIS L 1015に準じて測定される)が10%以上12%以下程度のものがあり、これは撥水処理されていない一般的なレーヨンの公定水分率(11%)と同等である。
疎水性の合成繊維は、公定水分率が低く膨潤し難い。つまり、疎水性の合成繊維は、吸水も保水もし難い。そのため、湿潤状態の積層不織布の摩擦力は、本実施形態に係る積層不織布より劣る。
撥水性セルロース繊維が吸水し易いことは、平滑性の向上に貢献する。本実施形態に係る積層不織布に水性液体を含浸させると、外層に位置する親水性セルロース繊維および撥水性セルロース繊維はいずれも吸水して膨潤する。そのため、積層不織布表面に親水性セルロース繊維との膨潤度の違いに起因する凹凸を生じ難く、平滑になると考えられる。上記の凹凸は、例えば、後述する動摩擦係数MIUの変動係数MMDで表される。
特許文献1のように、外層が合成繊維と親水性繊維との複合素材であると、膨潤度に差があるため外層に凹凸が生じる。この凹凸は、ざらつき感の原因となり得、また、積層不織布の対象物に対する密着性を低下させる。本実施形態に係る積層不織布は、湿潤状態においてもざらつき感が抑制され、高い密着性を有する。さらに、本実施形態に係る積層不織布は、外層に合成繊維を含む積層不織布よりも表面の毛羽が少ない。このことも、上記変動係数MMDが小さいことに寄与していると考えられる。
水性液体が含浸された積層不織布において、親水性セルロース繊維の表面に吸着している水性の液体は、撥水性セルロース繊維によって外層の外側に押し出されて、積層不織布の表面に移動し易い。油性の液体も同様に、親水性セルロース繊維によって外層の外側に押し出されて、積層不織布の表面に移動し易い。これにより、液体が含浸された積層不織布の凹凸はさらに小さくなって、ざらつき感が抑制されるとともに、対象物に対してより優れた密着性を示し得る。
内側の層は合成繊維を含むため、積層不織布はクッション性を有している。本明細書において、「クッション性」とは、弱い力(例えば、0.3kPa±0.01kPaの荷重、代表的には、0.294kPaの荷重)でも変形することのできる性質をいう。これにより、使用の際、積層不織布が柔らかく感じられて、積層不織布の触感が向上する。さらに、本実施形態に係る積層不織布を含むフェイスマスクは、顔に貼り易い。
一方で、内側の層の合成繊維によって、積層不織布は圧縮に対して変形(塑性変形)し難い傾向にある。すなわち、本開示に係る積層不織布は、強い力(例えば、6kPa±0.3kPaの荷重、代表的には、5.8kPaの荷重)で変形を生じさせたときに、その変形から元の形状に回復することができる。そのため、積層不織布が圧縮状態で保存されていても、使用する際には初期の嵩高い感じを得ることができて、やはり、積層不織布の触感が向上する。
また、湿潤状態でも内層の合成繊維層で空間が保持されるため、液保持性が向上する。加えて、積層不織布のハンドリング性が向上する。本実施形態に係る積層不織布を合成繊維同士が接着される程度に熱処理すると、強度が高くなる。このような積層不織布はよれにくく、ワイプとして適している。
[積層不織布]
本実施形態に係る積層不織布は、第1繊維層、第2繊維層および中間繊維層を含む。不織布は、JIS L 0222に「繊維シート、ウェブ又はバットで、繊維が一方向又はランダムに配向しており、交絡、及び/又は融着、及び/又は接着によって繊維間が結合されたもの。ただし、紙、織物、編物、タフト及び縮じゅう(絨)フェルトを除く。」と定義されている。
積層不織布において、各繊維層は積層されており、少なくとも繊維同士の交絡によって、一体化されている。積層される前の各繊維層は、不織布であってよく、不織布の前駆体であってよい。不織布の前駆体とは、繊維シート、ウェブまたはバットであって、繊維が一方向又はランダムに配向しているが、繊維間が結合されていないものである。積層される前の各繊維層の作製法は、特に限定されない。積層不織布の製造に使用される各繊維層(ウェブ)は、カード式法、エアレイド法または湿式法等により作製される不織布の前駆体であってよく、水流交絡(スパンレース)法、スパンボンド法または湿式法等により作製される不織布であってよい。
まず、本実施形態で使用される繊維層を構成する繊維を説明する。
(撥水性セルロース繊維)
撥水性セルロース繊維は、親水性セルロース繊維とともに、第1および第2繊維層に含まれる。
セルロース繊維は本来親水性を有するものであるが、本実施形態では人為的に撥水性を付与したセルロース繊維を「撥水性セルロース繊維」と呼び、これを用いる。
セルロース繊維の種類は特に限定されない。セルロース繊維は、以下を含む。
(1)綿(コットン)、麻、亜麻(リネン)、ラミー、ジュート、バナナ、竹、ケナフ、月桃、ヘンプおよびカポック等の植物に由来する天然繊維;
(2)ビスコース法で得られるレーヨンおよびポリノジック、銅アンモニア法で得られるキュプラ、ならびに溶剤紡糸法で得られるテンセル(登録商標)およびリヨセル等の溶剤紡糸セルロース繊維、ならびにその他の再生繊維;
(3)溶融紡糸法で得られるセルロース繊維;
(4)アセテート繊維等の半合成繊維;および
(5)機械パルプ、再生パルプおよび化学パルプ等のパルプ
撥水性セルロース繊維は、これらのセルロース繊維に撥水剤を付着させることで撥水性を付与したものであってよい。あるいは、撥水性セルロース繊維は、カルボキシル基および/またはスルホン酸基を有するセルロース繊維を、イソシアネート系化合物および非フッ素系撥水剤を含む処理液で処理する方法で得られたものであってよい。かかる方法で得られる撥水性セルロース繊維は、例えば、特開2019-65443号に開示されている。
撥水性セルロース繊維は、液体を含浸させた場合に親水性セルロース繊維とともに膨潤する。その膨潤度は、親水性セルロース繊維よりも小さいものの、合成繊維よりは十分に大きい。そのため、湿潤状態の積層不織布は平滑になりやすい。平滑性の観点から、撥水性セルロース繊維は、撥水性の再生繊維を含むことが好ましい。柔軟性の観点から、撥水性セルロース繊維は、結晶性の低い(例えば、平均重合度450未満の)撥水性のレーヨンを含むことがより好ましい。レーヨンは、その断面形状が菊花状であるため、摩擦力が得られ易い点でも好ましい。水分率が経時変化し難い点で、撥水性のレーヨンを外層に含む積層不織布は、一定時間、皮膚を被覆するために使用される皮膚被覆シートに適している。
撥水性レーヨンとしては、例えば、ダイワボウレーヨン(株)製のエコリペラス(商品名、撥水性ビスコースレーヨン)、Kelheim Fibres GmbH製のOlea(商品名、撥水性ビスコースレーヨン)等が上市されている。本実施形態においては、これらの撥水性レーヨンを用いてよい。特に、エコリペラス(商品名)は高い撥水性を示し、また、耐久性の高い撥水性を有し、例えば水流交絡処理に付された場合でも撥水性が低下しにくいことから好ましく用いられる。
撥水性セルロース繊維の繊度は、0.2dtex以上であってよく、0.3dtex以上であってよく、0.4dtex以上であってよく、0.6dtex以上であってよく、1.0dtex以上であってよく、1.4dtex以上であってよい。撥水性セルロース繊維の繊度は、6.0dtex以下であってよく、4.0dtex以下であってよく、3.0dtex以下であってよく、2.0dtex以下であってよい。一態様において、撥水性セルロース繊維の繊度は、0.6dtex以上3.3dtex以下である。撥水性セルロース繊維の繊度が上記範囲であると、第1および/または第2繊維層に適度な空隙が形成されて、液体が保持され易くなる。さらに、積層不織布の触感が良好になり易い。撥水性セルロース繊維の繊度は上記範囲に限定されない。特に天然繊維は繊度の調整が難しいため、セルロース繊維として上記範囲外の繊度のものを使用してよい。
撥水性セルロース繊維の繊維長は特に限定されず、素材、その製造方法、第1および/または第2繊維層の作製方法、積層不織布の製造方法等に応じて適宜選択してよい。撥水性セルロース繊維は、例えば、短繊維である。第1および/または第2繊維層がカードウェブから作製される場合、撥水性セルロース繊維の繊維長は、100mm以下であってよく、75mm以下であってよく、65mm以下であってよい。上記の短繊維の撥水性セルロース繊維の繊維長は、10mm以上であってよく、20mm以上であってよく、30mm以上であってよい。第1および/または第2繊維層がカードウェブから作製される場合、一態様における撥水性セルロース繊維の繊維長は、10mm以上100mm以下である。第1および/または第2繊維層がエアレイドウェブから作製される場合、撥水性セルロース繊維の繊維長は、2mm以上20mm以下であってよい。
本実施形態においては、素材、繊維長および繊度のうち一つまたは複数が異なる撥水性セルロース繊維を、複数用いてもよい。
撥水性セルロース繊維の撥水性は、例えば薬食機発第0630001号の医療ガーゼ・医療脱脂綿の基準に従い、以下の方法で測定される沈降速度(6(1)カ)により評価できる。
積層不織布製造前の撥水性セルロース繊維あるいは積層不織布から採取した繊維を、カード機で解繊し、繊維集合体を準備する。この繊維集合体10gを、径0.4mmの銅線を用いて作った、径50mm、深さ80mm、線と線の距離20mm、重さ3gの試験かごの中に均等に入れる。試験かごを横にして、水温24~26℃の水面上12mmの高さから、深さ200mmの水の中に静かに落とす。試験かごを落としてから水面下に沈むまでの時間を、撥水性セルロース繊維の沈降速度とする。
撥水性セルロース繊維をカード機で解繊できない場合(例えば、繊維長が短い場合等)、採取された繊維10gを、そのまま試験かごの中に入れてよい。あるいは、撥水性セルロース繊維が繊維集合体(例えば、湿式不織布またはエアレイド不織布)の形態を既にとっており、これをカード機で解繊することが難しい場合には、1cm×1cmの大きさに切断した不織布片10g分を試験かごの中に入れるとよい。
撥水性セルロース繊維の沈降速度は、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、10分以上が特に好ましい。なかでも、試験かごを水中に落としてから10分経過した時点で、少なくとも一部の撥水性セルロース繊維が水面下に沈降してないことが好ましい。このとき、撥水性セルロース繊維は吸水していてもよい。特に、1分経過した時点で、撥水性セルロース繊維の一部ないし全部が水面に浮いていることが好ましい。
(親水性セルロース繊維)
第1繊維層および第2繊維層はそれぞれ、親水性セルロース繊維を含む。第1および第2繊維層が親水性セルロース繊維を所定割合以上含むことで、積層不織布の保水性および密着性が向上する。以下、第1および第2繊維層に含まれる親水性セルロース繊維を、「外層用親水性セルロース繊維」と称す場合がある。
「親水性セルロース繊維」という用語は、撥水性セルロース繊維と区別するために用いられるものであり、撥水性が付与されておらず、本来の親水性を有するセルロース繊維を指す。親水性セルロース繊維の例は、撥水性セルロース繊維に関して説明したとおりである。
外層用親水性セルロース繊維は、コットンおよび再生繊維のいずれか一方を含むことが好ましい。再生繊維は、繊度の調整が容易であり、そのばらつきが小さい点でより好ましい。柔軟性の観点から、特にレーヨンが好ましい。親水性セルロース繊維としてレーヨンを含む積層不織布は、湿潤状態で使用される後述する皮膚被覆シート(例えば、フェイスマスク)に特に適している。剛軟度が比較的大きくなり易い点で、溶剤紡糸セルロース繊維がより好ましい。親水性セルロース繊維として溶剤紡糸セルロース繊維を含む積層不織布は、皮膚被覆シート以外の湿潤状態で使用されるシートや、乾燥状態で使用されるシート(例えば、ウェットタイプまたはドライタイプのワイプ)に特に適している。
外層用親水性セルロース繊維の繊維長は特に限定されず、素材、その製造方法、第1および/または第2繊維層の作製方法、積層不織布の製造方法等に応じて適宜選択してよい。外層がカードウェブから作製される場合、外層用親水性セルロース繊維の繊維長は、100mm以下であってよく、75mm以下であってよく、65mm以下であってよい。この場合、外層用親水性セルロース繊維の繊維長は、10mm以上であってよく、20mm以上であってよく、30mm以上であってよい。外層が長い親水性セルロース繊維を所定割合以上含むことで、繊維同士の交絡が確保され、もって積層不織布の一体性が確保される。外層がエアレイドウェブから作製される場合、外層用親水性セルロース繊維の繊維長は、2mm以上20mm以下であってよい。
親水性繊維の上記沈降速度は、60秒以内であってよく、50秒以内であってよく、45秒以内であってよく、30秒以内であってよい。
外層用親水性セルロース繊維の繊度は、例えば、0.2dtex以上であってよく、0.3dtex以上であってよく、0.4dtex以上であってよく、0.6dtex以上であってよい。外層用親水性セルロース繊維の繊度は、例えば、5.0dtex以下であってよく、4.5dtex以下であってよく、4.0dtex以下であってよく、3.0dtex以下であってよく、2.0dtex以下であってよい。一態様において、外層用親水性セルロース繊維の繊度は、0.2dtex以上5.0dtex以下である。外層用親水性セルロース繊維の繊度が小さすぎると、不織布に繊維塊(ネップ)が生じやすくなり、大きすぎると不織布の触感が低下することがある。外層用親水性セルロース繊維の繊度はこれらの範囲に限定されない。特に天然繊維を使用する場合には、繊度の調整が難しいことから、上記範囲外の繊度のものを使用してよい。
第1および第2繊維層は、素材、繊維長および繊度のうち一つまたは複数が異なる、複数種の外層用親水性セルロース繊維を含んでよい。第1および第2繊維層に含まれる外層用親水性セルロース繊維の素材、繊維長および繊度は同じであってよく、少なくとも一つが異なっていてもよい。
繊維の素材の分類は、例えば消費者庁から公表されている「繊維の名称を示す用語」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/fiber/fiber_term.html)における「繊維等の種類」に従う。
(合成繊維)
合成繊維は、中間繊維層に含まれる。これにより、積層不織布のクッション性が向上する一方、変形から回復し易くなる。そのため、積層不織布の触感が向上する。また、湿潤状態でも内層の合成繊維層で空間が保持されるため、液保持性が向上する。加えて、積層不織布のハンドリング性が向上する。
合成繊維は、通常、熱可塑性樹脂により形成される。熱可塑性樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートおよびその共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等を含む)、ポリブテン-1、プロピレンを主たる成分とするプロピレン共重合体(プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1-エチレン共重合体を含む)、エチレン-ビニルアルコール共重合体、およびエチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン12およびナイロン66のようなポリアミド系樹脂;アクリロニトリルを構成成分として含むアクリル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレンおよび環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチック、ならびにそれらのエラストマーよりなる群から選択される少なくとも1つであってよい。
合成繊維は、単一繊維であってよく、および/または複合繊維であってよい。単一繊維は、繊維断面が1つのセクションからなり、複合繊維は、その繊維断面が複数のセクションを有する。複合繊維は、例えば、同心または偏心の芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維、または分割型複合繊維等であってよい。繊維の断面は円形であっても非円形であってもよい。非円形の形状としては、楕円形、Y形、X形、井形、多葉形、多角形、星形等が挙げられる。合成繊維は、中空断面を有していてもよい。単一繊維および複合繊維のいずれの場合も、複合繊維を構成する各セクションは、一種類の樹脂からなっていてよく、あるいは二種以上の樹脂が混合されたものであってよい。
合成繊維は、分割型複合繊維であってよい。分割型複合繊維は、水流交絡処理により分割して、極細繊維を形成する。これにより、交絡がより進行する。そのため、得られる積層不織布は、緻密化して厚みが小さいものとなり、また、極細繊維の交絡により比較的剛性の小さいものとなる。
複合繊維において、融点の最も低い熱可塑性樹脂が繊維表面の一部を構成するように、二以上の成分を配置してよい。その場合、積層不織布を生産する工程において、最も融点が低い熱可塑性樹脂からなる成分(以下、「低融点成分」)が溶融または軟化する条件で熱を加えると、低融点成分が接着成分となる。このような合成繊維は、接着性繊維として機能し得る。
融点のより高い熱可塑性樹脂である第1成分と、融点のより低い熱可塑性樹脂である第2成分とからなる複合繊維を構成する樹脂の組み合わせ(第1/第2)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、およびポリエチレンテレフタレート/プロピレン共重合体等のポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂との組み合わせ、ならびにポリプロピレン/ポリエチレン、およびポリプロピレン/プロピレン共重合体等の二種類のポリオレフィン系の熱可塑性樹脂の組み合わせ、および融点の異なる二種類のポリエステル系樹脂の組み合わせである。
あるいは、第1成分と第2成分の組み合わせは、生分解性を有する樹脂の組み合わせであってよく、そのような組み合わせによれば積層不織布における生分解性繊維の割合をより大きくすることができる。具体的には、第1成分をポリ乳酸、第2成分をポリブチレンサクシネートとすることで接着性繊維を生分解性のものとし得る。
あるいは、第1成分と第2成分の組み合わせは、植物由来の原料(バイオマス原料)を用いた熱可塑性樹脂であってよい。この組み合わせによれば、積層不織布におけるバイオマス原料の割合をより大きくすることができる。具体的な樹脂の組み合わせとしては、第1成分をバイオポリエステル/バイオポリエチレン、バイオポリエステル/バイオポリプロピレン、バイオポリプロピレン/バイオポリエチレン、ポリ乳酸/ポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。
合成繊維の繊度は、例えば、0.3dtex以上であってよく、0.6dtex以上であってよく、0.9dtex以上であってよく、1.3dtex以上であってよく、1.5dtex以上であってよく、1.6dtex以上であってよい。合成繊維の繊度は、例えば、4.0dtex以下であってよく、2.5dtex以下であってよく、2.4dtex以下であってよく、2.2dtex以下であってよい。一態様において、合成繊維の繊度は、0.3dtex以上4.0dtex以下である。
分割型複合繊維は、その繊維断面において、2以上のセクションを有する。各セクションは、それぞれ単一成分により構成されていてよい。複数の構成成分が、それぞれ複数のセクションに分割されていてよい。各セクションの少なくとも一部は繊維表面に露出し、その露出部分は、繊維の長さ方向に連続的に存在している。分割型複合繊維は、菊花状に並べられた複数の楔形のセクションを有していてよい。分割型複合繊維は、繊維断面において層状に並んだ複数のセクションを有していてよい。分割型複合繊維は、長さ方向に連続する空洞部分を有さない、いわゆる中実断面を有していてよい。分割型複合繊維は、長さ方向に連続する1以上の空洞部分を有する、いわゆる中空断面を有していてよい。
分割型複合繊維の分割数(即ち、複合繊維におけるセクションの数)は、例えば、4以上、32以下であってよく、特に4以上、20以下であってよく、より特には6以上、10以下であってよい。分割型複合繊維の分割後の繊度は、例えば、0.1dtex以上1.0dtexであってよい。
合成繊維は、ポリエステル系樹脂を含んでいてよい。これにより、中間繊維層がより嵩高になり易く、剛性も大きくなり易い。特に、ポリエチレンテレフタレートを含んでいてよい。芯成分および鞘成分として異なるポリエステル系樹脂を含む、芯鞘型複合繊維であってよい。
合成繊維は、ポリオレフィン系樹脂を含んでいてよい。これにより、変形からより回復し易い積層不織布を得ることができる。特に、ポリプロピレンを含んでいてよい。芯成分としてポリプロピレン、鞘成分としてポリエチレンを含む、芯鞘型複合繊維であってよい。
合成繊維は、ポリアミド系樹脂およびアクリロニトリル系樹脂を含んでいてよい。このような合成繊維は、比較的大きな公定水分率を有するため、積層不織布の保水性が大きくなり易い。ナイロン繊維の公定水分率は4.5%であり、アクリロニトリルの質量割合が85%以上のアクリロニトリル系合成繊維の公定水分率は2.0%である。特に、ポリアクリロニトリル系樹脂を含んでいてよい。
合成繊維の繊維長は特に限定されず、上記の通り、素材、その製造方法、中間繊維層の作製方法、積層不織布の製造方法等に応じて適宜選択される。合成繊維は、繊維長100mm以下の短繊維であってよく、繊維長100mm超の長繊維であってよい。なかでも、嵩高い積層不織布が得られ易い点で、短繊維が好ましい。繊維長は、80mm以下が好ましく、60mm以下がより好ましい。合成繊維の長繊維を用いる場合、例えば中間繊維層の目付を調整して、積層不織布の剛軟度やクッション性を制御してもよい。
合成繊維の沈降速度は、繊維を構成する合成樹脂そのものの親水性/疎水性だけでなく、合成繊維表面に界面活性剤などの繊維処理剤を付与したり、親水化処理または疎水化処理が行われることにより変化する。例えば、表面に付与された繊維処理剤が除去された疎水性合成繊維の沈降速度は、1分以上であり、5分以上であってよく、10分以上であってよい。親水性の繊維処理剤で処理された合成繊維の沈降速度は、60秒以内であってよく、50秒以内であってよく、45秒以内であってよく、30秒以内であってよい。合成繊維の表面に付与された繊維処理剤は、水流交絡処理によって脱落し得る。そのため、表面処理された合成繊維の沈降速度もまた、変化し得る。
中間繊維層は、素材、繊維長および繊度のうち一つまたは複数が異なる、複数種の合成繊維を含んでよい。中間繊維層は、例えば、ポリエステル系樹脂を含む繊維と、ポリオレフィン系樹脂を含む繊維とを含んでいてよい。
(他の繊維)
第1および第2繊維層は、その効果を妨げない範囲において、上記の撥水性セルロース繊維および親水性セルロース繊維(以下、セルロース繊維と総称する場合がある。)以外の繊維を含んでよい。中間繊維層は、その効果を妨げない範囲において、合成繊維以外の繊維を含んでよい。
第1および/または第2繊維層に含まれ得る他の繊維としては、例えば、セルロース繊維以外の親水性繊維、上記の合成繊維および接着性を有する繊維が挙げられる。中間繊維層に含まれ得る他の繊維としては、例えば、親水性繊維(セルロース繊維を含む)、上記の撥水性セルロース繊維、および接着性を有する繊維が挙げられる。以下、これらの繊維を説明する。
親水性繊維としては、例えば、セルロース繊維以外の天然繊維(例えば、シルク、ウール)、親水性を有する合成繊維、および、親水化処理が施された合成繊維(公定水分率が5%未満の合成繊維)が挙げられる。親水化処理としては、例えば、コロナ放電処理、スルホン化処理、グラフト重合処理、繊維への親水化剤の練り込み、および耐久性油剤の塗布が挙げられる。
親水性繊維の上記沈降速度は、60秒以内であってよく、50秒以内であってよく、45秒以内であってよく、30秒以内であってよい。
親水性繊維の繊度は、混合される他の繊維の繊度等に応じて、適宜選択される。親水性繊維が第1および/または第2繊維層に含まれる場合、その繊度は、親水性セルロース繊維と同様であってよい。親水性繊維が中間繊維層に含まれる場合、その繊度は、合成繊維と同様であってよい。
親水性繊維の繊維長は特に限定されず、上記の通り、素材、その製造方法、繊維層の作製方法、積層不織布の製造方法等に応じて適宜選択される。親水性繊維が第1および/または第2繊維層に含まれる場合、その繊維長は、親水性セルロース繊維と同様であってよい。親水性繊維が中間繊維層に含まれる場合、その繊維長は、合成繊維と同様であってよい。
<接着性繊維>
接着性繊維は、繊維同士を接着する。これにより、積層不織布の強度が向上するとともに、過度の伸びが抑制される。特に、積層不織布の10%伸長時応力が大きくなり易い。積層不織布の過度の伸びが抑制されると、ハンドリング性(例えば、使用する際の積層不織布の広げ易さ)が向上し易い。
一方、繊維同士が過度に接着すると、積層不織布の剛性が高くなりすぎて、密着性が低下し易い。特に、積層不織布を皮膚被覆シートに用いる場合、繊維同士は接着されていないことが好ましい。
接着性繊維は、第1繊維層、第2繊維層および中間繊維層のいずれの繊維層に含まれてもよい。風合いの低下が抑制される点で、接着性繊維は中間繊維層に含まれることが好ましい。
接着性繊維は、例えば、上記の合成繊維である。接着性繊維は、接着性を発現した状態で繊維層に含まれる合成繊維であり得る。合成繊維は、一般に、加熱により接着性を示す。接着性繊維はこれに限定されず、熱接着性でなくてよく、合成繊維でなくてもよい。接着性繊維は、接着性を有する上記の親水性繊維あってよい。接着性繊維の繊度は、例えば、上記した合成繊維の繊度と同程度であってよい。
接着性繊維の繊維長は特に限定されず、上記の通り、素材、その製造方法、繊維層の作製方法、積層不織布の製造方法等に応じて適宜選択される。接着性繊維が第1および/または第2繊維層に含まれる場合、その繊維長は、撥水性セルロース繊維と同様であってよい。接着性繊維が中間繊維層に含まれる場合、その繊維長は、合成繊維と同様であってよい。
(第1繊維層および第2繊維層)
第1および第2繊維層は、積層不織布の外側に位置し、対象物(例えば、皮膚)との接触面となり得る。第1および第2繊維層は、撥水性セルロース繊維と、親水性セルロース繊維(外層用親水性セルロース繊維)との両方を含む。この組み合わせによって、積層不織布は、適度な摩擦力を有し、その一方、表面は平滑になる。さらに、外層用親水性セルロース繊維は、後述するように繊維同士を高圧流体流、特に高圧水流を噴射して交絡させる場合に、繊維同士の交絡を促し、積層不織布の一体性を確保する。
撥水性セルロース繊維は、第1および第2繊維層に、各繊維層の総質量を基準として10質量%以上90質量%以下含まれる。撥水性セルロース繊維の含有割合が10質量%未満であると、柔軟性(特に湿潤時の柔軟性)が低下し易く、摩擦力が小さくなり易い。撥水性セルロース繊維の含有割合が90質量%を超えると、各繊維層内、および、第1および第2繊維層と中間繊維層との間で、繊維同士が十分に交絡せず、積層不織布の一体性が損なわれる場合がある。また、保水性が小さくなる場合がある。撥水性セルロース繊維の含有割合は、15質量%以上であってよく、20質量%以上であってよく、25質量%以上であってよい。撥水性セルロース繊維の含有割合は、80質量%以下であってよく、70質量%以下であってよく、60質量%以下であってよい。
外層用親水性セルロース繊維は、第1および第2繊維層に、各繊維層の総質量を基準として10質量%以上90質量%以下含まれる。外層用親水性セルロース繊維の含有割合が10質量%未満であると、各繊維層内、および、第1および第2繊維層と中間繊維層との間で、繊維同士が十分に交絡せず、積層不織布の一体性が損なわれる場合がある。また、積層不織布を皮膚被覆シートとして使用したとき、化粧料等の液体の濡れ性が低くなって皮膚への密着性が低くなる場合がある。外層用親水性セルロース繊維の含有割合が90質量%を超えると、摩擦力が低下し易い。さらに、各繊維層内において繊維同士の交絡が緊密になりすぎて、十分な厚みが得られ難い。外層用親水性セルロース繊維の含有割合は、20質量%以上であってよく、30質量%以上であってよく、40質量%以上であってよい。外層用親水性セルロース繊維の含有割合は、85質量%以下であってよく、80質量%以下であってよく、75質量%以下であってよい。
第1および第2繊維層は、撥水性セルロース繊維および外層用親水性セルロース繊維以外の他の繊維を含み得る。他の繊維の質量割合は、各繊維層の総質量を基準として、30質量%以下であってよく、20質量%であってよく、10質量%以下であってよい。積層不織布表面の摩擦力および凹凸発生を考慮すると、第1および第2繊維層は、撥水性セルロース繊維および外層用親水性セルロース繊維のみで構成されてよい。
第1繊維層における撥水性セルロース繊維の質量割合と、第2繊維層における撥水性セルロース繊維の質量割合とは、同程度であってよく、異なっていてもよい。なかでも、第1および第2繊維層における撥水性セルロース繊維の質量割合は、同じか同程度であることが好ましい。この場合、積層不織布の両外層の対象物に対する摩擦力が同程度になる。そのため、いずれの層も対象物への接触面として利用できて、便利である。具体的には、第1繊維層および第2繊維層における撥水性セルロース繊維の質量割合の差は、10%以下が好ましい。上記差は、8%以下であってよく、5%以下であってよい。
上記の各繊維の含有割合は、他の層と一体化される前の各繊維層に含まれる繊維の割合である。例えば、積層不織布において、中間繊維層および/または第2繊維層を構成する繊維の一部が第1繊維層に混入しているとしても、当該混入した繊維は第1繊維層に含まれるものとはならない。中間繊維層における繊維の含有割合も同様である。
第1および第2繊維層の目付は特に限定されない。第1および第2繊維層の目付は、10g/m以上であってよく、15g/m以上であってよく、20g/m以上であってよい。第1および第2繊維層の目付は、70g/m以下であってよく、50g/m以下であってよく、30g/m以下であってよい。第1および第2繊維層の目付がこの範囲であると、繊維は交絡し易くなり、また交絡による繊維層表面の荒れが抑制され易い。
第1繊維層と第2繊維層との目付の比(第1/第2)は、例えば、2/1~1/2であってよく、1.5/1~1/1.5であってよい。この場合、積層不織布の両外層の対象物に対する密着性が同程度になり易い。
上記の各繊維層の目付は、他の層と一体化される前の各繊維層の目付である。例えば、積層不織布において、中間繊維層および/または第2繊維層を構成する繊維の一部が第1繊維層に混入しているとしても、当該混入した繊維の質量は第1繊維層の目付に含まれない。中間繊維層の目付も同様である。
外層に関し、撥水性セルロース繊維の繊度をFとし、親水性セルロース繊維の繊度をFとしたとき、撥水性セルロース繊維の繊度Fと親水性セルロース繊維の繊度Fとの比(F/F)は、0.2以上5以下であってよい。繊度比(F/F)が上記範囲内にあると、例えば、積層不織布を皮膚被覆シートとして用いたときに、触感が柔らかくなって装着感が向上し、また、長時間使用しても良好な密着性を示し得る。繊度比(F/F)は、0.5以上であってよく、0.9以上であってよく、1以上であってよく、1.2以上であってよい。繊度比(F/F)は、3.5以下であってよく、3以下であってよく、2以下であってよい。一態様において、繊度比(F/F)は、1以上2以下である。
(中間繊維層)
中間繊維層は、第1繊維層と第2繊維層の間であって、積層不織布の内側に位置する。中間繊維層は、合成繊維を含む。中間繊維層は、積層不織布のクッション性、液体保持性およびハンドリング性の向上、さらには変形からの容易回復性に寄与する。合成繊維は、接着性繊維として含まれていてもよい。積層不織布全体の柔軟性を考慮すると、合成繊維は互いに熱接着されていない状態、すなわち接着性繊維として機能しない状態で含まれることが望ましい。
合成繊維は、中間繊維層に、中間繊維層の総質量を基準として、50質量%以上含まれる。これにより、積層不織布のクッション性およびハンドリング性が高まる。合成繊維の含有割合は、70質量%以上であってよく、90質量%以上であってよく、100質量%であってよい。
中間繊維層は、合成繊維以外の他の繊維を含み得る。他の繊維の質量割合は、中間繊維層の総質量を基準として、40質量%以下であってよく、30質量%以下であってよく、20質量%以下であってよい。クッション性等を考慮すると、中間繊維層は、合成繊維のみで構成されてよい。
中間繊維層の目付は、例えば7g/m以上、特に12g/m以上であってよく、より特には13g/m以上であってよい。中間繊維層の目付の上限は、例えば30g/mであり、特に25g/m、より特には20g/mである。中間繊維層の目付が上記範囲であると、各層間において繊維同士は十分に交絡し易く、また、保水性が向上し易い。
中間繊維層と第1および第2繊維層との目付の比(中間/第1(あるいは第2))は、例えば7/1~1/7であり、3/1~1/3であってよく、1.5/1~1/1.5であってよい。目付の比が上記範囲であると、各層間において繊維同士は十分に交絡し易く、また、保水性が向上し易い。
(積層不織布)
本実施形態に係る積層不織布は、上記の第1繊維層、第2繊維層および中間繊維層を含み、これらの繊維層は、繊維同士の交絡により一体化されている。そのため、積層不織布は、適度な強伸度(具体的には、引張強さ、伸び率、10%伸長時応力)を有する。
本実施形態に係る積層不織布は、適度な摩擦力を有する一方で、表面は平滑である。さらに、本実施形態に係る積層不織布は、クッション性に優れ、変形から容易に回復し得る。そのため、ドライタイプおよびウェットタイプの各種用途に使用される。積層不織布の用途としては、例えば、清掃用ワイプ(床用、窓用、家具用等)、吸収性物品(使い捨ておむつ、使い捨てパンツ、生理用品、尿取りパッド、ペット用シート等)、化粧用材料(フェイスマスク等の皮膚被覆シート、クレンジングシート等の清浄シート等);衛生材料(湿布材、シーツ、タオル、産業用マスク、衛生用マスク、ヘアキャップ等);包装用材料(脱酸素剤、カイロ、温シップ、食品包装材);フィルター;ボディケア用品(制汗シート、角質ケアシート、体用の保湿シート、痩身用シート、お尻ふき、清拭シート、冷却シート)が挙げられる。
〈動摩擦係数およびその変動係数〉
動摩擦係数MIUは、摩擦力、すなわち滑りやすさの程度を示す。動摩擦係数MIUが大きいほど、摩擦が大きく、対象物上を滑り難い。動摩擦係数MIUが小さいほど、摩擦が小さく、対象物上を滑り易い。本実施形態に係る積層不織布は、適度な動摩擦係数MIUを有しており、ある程度の抵抗を示しながら、対象物上で容易に移動したり、対象物から容易に剥離したりできる。対象物に対する適度な抵抗感は、積層不織布の密着性を向上させ得る。
乾燥状態の積層不織布の、第1および第2繊維層表面におけるMD方向の動摩擦係数MIUMDは、例えば0.1以上であり、0.13以上であってよく、0.15以上であってよい。動摩擦係数MIUMDは、0.5以下であってよく、0.4以下であってよく、0.38以下であってよい。一態様において、動摩擦係数MIUMDは、0.1以上0.5以下である。
乾燥状態の積層不織布の、第1および第2繊維層表面におけるCD方向の動摩擦係数MIUCDは、例えば0.1以上であり、0.13以上であってよく、0.15以上であってよい。動摩擦係数MIUCDは、0.4以下であってよく、0.39以下であってよく、0.38以下であってよい。一態様において、動摩擦係数MIUCDは、0.1以上0.4以下である。
湿潤状態の積層不織布の、第1および第2繊維層表面におけるMD方向の動摩擦係数MIUMWはそれぞれ、例えば0.265以上であり、0.280以上であってよく、0.300以上であってよく、0.320以上であってよく、0.340以上であってよい。動摩擦係数MIUMWは、0.5以下であってよく、0.4以下であってよく、0.38以下であってよい。一態様において、動摩擦係数MIUMWは、0.265以上0.5以下である。
湿潤状態の積層不織布の、第1および第2繊維層表面におけるCD方向の動摩擦係数MIUCWはそれぞれ、例えば0.290以上であり、0.300以上であってよく、0.320以上であってよく、0.340以上であってよい。動摩擦係数MIUCWは、0.4以下であってよく、0.39以下であってよく、0.38以下であってよい。一態様において、動摩擦係数MIUCWは、0.290以上0.4以下である。
動摩擦係数MIUのばらつき(変動係数MMD)は、積層不織布表面の凹凸感を示す指標の1つである。積層不織布表面の凹凸感もまた密着性に影響し、凹凸感が小さくなると密着性は向上し易い。本実施形態に係る積層不織布は、変動係数MMDが小さく、表面の凹凸感が小さいため、不織布表面が滑らかであり、対象物に対する密着性はより高い。変動係数MMDは、測定された摩擦係数と動摩擦係数とのずれを示し、平均偏差ともいわれる。
乾燥状態の積層不織布の、動摩擦係数MIUMDの変動係数MMDMDは、例えば0.02以下であり、0.01以下であってよく、0.009以下であってよく、0.0085以下であってよい。動摩擦係数MIUCDの変動係数MMDCDは、例えば0.015以下であり、0.011以下であってよく、0.01以下であってよい。
湿潤状態の積層不織布の、動摩擦係数MIUMWの変動係数MMDMWは、例えば0.007以下であってよく、0.0065以下であってよく、0.0060以下であってよい。動摩擦係数MIUCWの変動係数MMDCWは、例えば0.015以下であり、0.014以下であってよく、0.013以下であってよい。
動摩擦係数MIUおよびその変動係数MMDによれば、布帛の風合いを客観的に評価することができる。これらは、KES(Kawabata Evaluation System)法に基づいて計測・評価することができる。動摩擦係数MIUおよびその変動係数MMDの測定機器は、KES法に基づいた表面摩擦の測定が行える機器であれば特に限定されない。例えば、摩擦感テスター(「KES-SE」、カトーテック社製)、自動化表面試験機(「KES-FB4-AUTO-A」、カトーテック社製)等を用いることができる。
動摩擦係数MIUの測定に用いられる湿潤状態の積層不織布は、乾燥状態の積層不織布100質量部に対し、1000質量部の蒸留水を含浸させることにより得られる。
〈目付〉
積層不織布の目付(単位面積当たりの質量)は用途に応じて適宜設定される。積層不織布の目付は、例えば、90g/m以下であってよい。このように目付が小さい場合でも、積層不織布は、十分な強度を有する。また、外層が親水性セルロース繊維および撥水性セルロース繊維を含むため、十分な量の液体を保持することができる。積層不織布の目付は、30g/m以上であってよい。目付が上記範囲にある積層不織布は、特にフェイスマスクの素材として適している。積層不織布の目付は、80g/m以下であってよく、70g/m以下であってよい。積層不織布の目付は、40g/m以上であってよく、45g/m以上であってよく、50g/m以上であってよい。一態様において、積層不織布の目付は30g/m以上90g/m以下である。第1および第2繊維層の目付は、25g/m以下であってよい。
〈厚さ〉
0.294kPaの荷重を加えたとき、乾燥状態の積層不織布の厚さTは、例えば0.2mm以上であり、0.3mm以上であってよく、0.4mm以上であってよい。厚さTは、例えば1.5mm以下であり、1.3mm以下であってよく、1.2mm以下であってよい。一態様において、厚さTは、0.2mm以上1.5mm以下である。
1.96kPaの荷重を加えたとき、乾燥状態の積層不織布の厚さTは、例えば0.2mm以上であり、0.3mm以上であってよく、0.4mm以上であってよい。厚さTは、例えば1.3mm以下であり、1.1mm以下であってよく、0.9mm以下であってよい。乾燥状態の積層不織布の厚さがこの範囲であると、対象物への密着性が向上し易く、また、十分な量の液体が保持され易い。一態様において、厚さTは、0.2mm以上1.3mm以下である。
〈引張強さ〉
積層不織布の乾燥状態におけるMD方向の引張強さσMDは、例えば45N/5cm以上であり、50N/5cm以上であってよく、60N/5cm以上であってよく、80/5cm以上であってよい。引張強さσMDは、200N/5cm以下であってよく、170N/5cm以下であってよく、150N/5cm以下であってよく、140N/5cm以下であってよい。積層不織布の乾燥状態におけるCD方向の引張強さσCDは、例えば3N/5cm以上であり、5N/5cm以上であってよく、8N/5cm以上であってよく、10N/5cm以上であってよい。引張強さσCDは、50N/5cm以下であってよく、40N/5cm以下であってよく、30N/5cm以下であってよい。引張強さσMDおよび引張強さσCDがこの範囲であると、積層不織布の製品加工時における取り扱い性が向上し易く、また、風合いが良好になり易い。一態様において、引張強さσMDは、45N/5cm以上200N/5cm以下である。一態様において、引張強さσCDは、3N/5cm以上50N/5cm以下である。
積層不織布の湿潤状態におけるMD方向の引張強さσMWは、例えば40N/5cm以上であり、50N/5cm以上であってよく、55N/5cm以上であってよく、60N/5cm以上であってよく、80N/5cm以上であってよい。引張強さσMWは、200N/5cm以下であってよく、170N/5cm以下であってよく、150N/5cm以下であってよく、140N/5cm以下であってよい。積層不織布の湿潤状態におけるCD方向の引張強さσCWは、例えば5N/5cm以上であり、8N/5cm以上であってよく、10N/5cm以上であってよい。引張強さσCWは、50N/5cm以下であってよく、40N/5cm以下であってよく、30N/5cm以下であってよい。引張強さσMWおよび引張強さσCWがこの範囲であると、積層不織布の製品加工時における取り扱い性が向上し易く、また、風合いが良好になり易い。一態様において、引張強さσMWは、40N/5cm以上200N/5cm以下である。一態様において、引張強さσCWは、5N/5cm以上50N/5cm以下である。
〈伸び率〉
積層不織布の乾燥状態におけるMD方向の伸び率EMDは、例えば20%以上であり、25%以上であってよく、30%以上であってよく、40%以上であってよく、50%以上であってよい。伸び率EMDは、80%以下であってよく、75%以下であってよく、65%以下であってよい。積層不織布の乾燥状態におけるCD方向の伸び率ECDは、例えば70%以上であり、80%以上であってよく、90%以上であってよい。伸び率ECDは、200%以下であってよく、180%以下であってよく、160%以下であってよく、150%以下であってよい。伸び率EMDおよび伸び率ECDがこの範囲であると、積層不織布の製品加工時における取り扱い性が向上し易く、また、風合いが良好になり易い。一態様において、伸び率EMDは、20%以上80%以下である。一態様において、伸び率ECDは、70%以上200%以下である。
積層不織布の湿潤状態におけるMD方向の伸び率EMWは、例えば30%以上であり、40%以上であってよく、50%以上であってよい。伸び率EMWは、90%以下であってよく、80%以下であってよく、70%以下であってよい。積層不織布の湿潤状態におけるCD方向の伸び率ECWは、例えば80%以上であり、90%以上であってよく、95%以上であってよい。伸び率ECWは、200%以下であってよく、180%以下であってよく、150%以下であってよい。伸び率EMWおよび伸び率ECWがこの範囲であると、積層不織布が対象物に貼り付き易くなり、また、ケースからの取り出しが容易になる。一態様において、伸び率EMWは、30%以上90%以下である。一態様において、伸び率ECWは、80%以上200%以下である。
〈10%伸長時応力〉
積層不織布の乾燥状態におけるMD方向の10%伸長時応力σ(10%)MDは、例えば2.5N/5cm以上であり、3N/5cm以上であってよく、3.2N/5cm以上であってよく、3.5N/5cm以上であってよい。10%伸長時応力σ(10%)MDは、50N/5cm以下であってよく、40N/5cm以下であってよく、30N/5cm以下であってよい。積層不織布の乾燥状態におけるCD方向の10%伸長時応力σ(10%)CDは、例えば0.2N/5cm以上であり、0.3N/5cm以上であってよく、0.35N/5cm以上であってよく、0.5N/5cm以上であってよく、0.6N/5cm以上であってよい。10%伸長時応力σ(10%)CDは、10.0N/5cm以下であってよく、8.0N/5cm以下であってよく、6.5N/5cm以下であってよく、4.5N/5cm以下であってよく、4.0N/5cm以下であってよく、3.8N/5cm以下であってよい。10%伸長時応力σ(10%)MDおよび10%伸長時応力σ(10%)CDがこの範囲であると、積層不織布の製品加工時における取り扱い性が向上し易く、また、風合いが良好になり易い。一態様において、10%伸長時応力σ(10%)MDは、2.5N/5cm以上50N/5cm以下である。一態様において、10%伸長時応力σ(10%)CDは、0.2N/5cm以上10.0N/5cm以下である。
10%伸長時応力σ(10%)MDの大きい積層不織布は、例えば、ワイプ、フィルター、包装用材料等に特に適している。
積層不織布の湿潤状態におけるMD方向の10%伸長時応力σ(10%)MWは、例えば1N/5cm以上であり、1.5N/5cm以上であってよく、2N/5cm以上であってよい。10%伸長時応力σ(10%)MWは、15N/5cm以下であってよく、10N/5cm以下であってよく、8N/5cm以下であってよい。積層不織布の湿潤状態におけるCD方向の10%伸長時応力σ(10%)CWは、例えば0.2N/5cm以上であり、0.3N/5cm以上であってよく、0.35N/5cm以上であってよく、0.4N/5cm以上であってよい。10%伸長時応力σ(10%)CWは、2.5N/5cm以下であってよく、2.0N/5cm以下であってよく、1.8N/5cm以下であってよい。10%伸長時応力σ(10%)MMおよび10%伸長時応力σ(10%)CMがこの範囲であると、積層不織布が対象物に貼り付き易くなり、また、使用時の過度な伸びが抑制されるため、使用し易い。一態様において、10%伸長時応力σ(10%)MWは、1N/5cm以上15N/5cm以下である。一態様において、10%伸長時応力σ(10%)CWは、0.2N/5cm以上2.5N/5cm以下である。
引張強さ、伸び率、ならびに10%伸長時応力の測定に用いられる湿潤状態の積層不織布は、乾燥状態の積層不織布100質量部に対し、250質量部の蒸留水を含浸させることにより得られる。
〈剛軟度〉
剛軟度が小さいほど、柔軟性が高い。本実施形態に係る積層不織布は、外層がセルロース繊維を含む一方、中間繊維層が合成繊維を含む。そのため、積層不織布は、密着性を有しながら、適度な剛軟度を有している。
積層不織布の乾燥状態での剛軟度Sは、例えば100cN以下であり、80cN以下であってよく、70cN以下であってよい。剛軟度Sは、20cN以上であってよく、25cN以上であってよく、30cN以上であってよく、33.5cN以上であってよく、35cN以上であってよい。一態様において、剛軟度Sは、20cN以上100cN以下である。
積層不織布の湿潤状態での剛軟度Sは、120cN以下であってよく、105cN以下であってよく、100cN以下であってよく、90cN以下であってよい。本実施形態に係る積層不織布は、外層がセルロース繊維を含むため、湿潤状態ではさらに柔軟性が高まる。剛軟度Sは、40cN以上であってよく、50cN以上であってよく、60cN以上であってよく、65cN以上であってよい。一態様において、積層不織布の湿潤状態での剛軟度Sは、40cN以上120cN以下である。
利用者が乾燥状態のシートを使用するときに感じる柔軟性の指標の1つとして、単位目付あたりの剛軟度Sが挙げられる。単位目付あたりの剛軟度Sが適切な範囲にあると、使用の際に積層不織布を取り扱い易く、また、密着性が良好になり易い。
積層不織布の乾燥状態での単位目付あたりの剛軟度SD1は、例えば1.5cN/(g/m)以下であり、1.4cN/(g/m)以下であってよく、1.2cN/(g/m)以下であってよく、1.0cN/(g/m)以下であってよく、0.9cN/(g/m)以下であってよい。単位目付あたりの剛軟度SD1は、0.5cN/(g/m)以上であってよく、0.56cN/(g/m)以上であってよく、0.6cN/(g/m)以上であってよく、0.7cN/(g/m)以上であってよく、0.8cN/(g/m)以上であってよい。一態様において、単位目付あたりの剛軟度SD1は、0.5cN/(g/m)以上1.5cN/(g/m)以下である。剛軟度SD1がこの範囲であると、ハンドリング性(例えば、よれにくさ)および密着性が良好になり易い。
積層不織布の湿潤状態での単位目付あたりの剛軟度SW1は、例えば2cN/(g/m)以下であり、1.7cN/(g/m)以下であってよく、1.5cN/(g/m)以下であってよい。単位目付あたりの剛軟度SW1は、0.5cN/(g/m)以上であってよく、1.0cN/(g/m)以上であってよく、1.1cN/(g/m)以上であってよく、1.2cN/(g/m)以上であってよい。一態様において、単位目付あたりの剛軟度SW1は、0.5cN/(g/m)以上2cN/(g/m)以下である。剛軟度SW1がこの範囲であると、ハンドリング性および密着性が良好になり易い。
剛軟度Sは、JIS L 1913:2010 6.7.5 ハンドルオメーター法に準じて測定される。本実施形態では、試料の四辺について測定した値の和を当該試料の剛軟度とする。単位目付あたりの剛軟度Sは、測定された剛軟度Sをその試料の目付で除すことにより算出される。
剛軟度の測定に用いられる湿潤状態の積層不織布は、乾燥状態の積層不織布100質量部に対し、500質量部の蒸留水を含浸させることにより得られる。
〈保水性〉
保水性が高いほど、含侵された液体が、積層不織布内部に保持され易い。そのため、積層不織布を皮膚被覆に使用する場合、有効成分を含む液体が十分に皮膚に供給される感覚を得ることができる。
保水性は、JIS L 1913(2010) 6.9.2(保水率)に準じた方法により測定される保水率により評価される。本開示では、水への浸漬時間を2分間に変更したこと以外はJIS L 1913(2010) 6.9.2(保水率)に準じて、保水率を求める。浸漬前の試験片の質量をm、水に2分間浸漬した後、引き上げて、1分間吊して余分な水を除去したときの試験片の質量をmとして、1分後の保水率M(%)は、次式により算出される。
保水率M(%)={(m-m)/m}×100
積層不織布の1分後の保水率(保水率M(%))は、200%以上であってよく、500%以上であってよく、650%以上であってよく、800%以上であってよく、820%以上であってよく、850%以上であってよく、900%以上であってよい。1分後の保水率M(%)は、1500%以下であってよく、1200%以下であってよい。例えば、清掃用ワイプ(床用、窓用、家具用等)、クレンジングシート等の清浄シート、制汗シート、角質ケアシート、体用の保湿シート、痩身用シート、お尻ふき、清拭シート等のボディケア用品に用いられる液体含浸シートに用いられる積層不織布は、保水率Mが200%以上であってよい。フェイスマスク等に用いられる液体含浸皮膚被覆シートに用いられる積層不織布は、保水率Mが500%以上であるとよい。
皮膚被覆用途において、積層不織布内部に保持された液体は、速やかに皮膚に移行することが望ましい。液体の移行のし易さは、保水率の変化率によって評価できる。本開示では、10分間吊るしたこと以外は上記と同様にして、10分後の保水率M10(%)を算出し、保水率の変化率Mc(%)を求める。変化率Mc(%)が大きいほど、液体が移行し易い。変化率Mcは、次式により算出される。
変化率Mc(%)={(M-M10)/M10}×100
積層不織布の保水率の変化率Mc(%)は、1%以上であってよく、3%以上であってよく、5%以上であってよい。保水率の変化率Mc(%)は、40%以下であってよく、30%以下であってよい。
液体含浸皮膚被覆シートとしては、保水率Mが500%以上であるか、保水率の変化率Mcが1%以上であることの少なくとも一方を満たしていればよい。
〈圧縮変化率〉
圧縮変化率は、小さな荷重と大きな荷重との間の積層不織布の厚さの変化を表わしている。圧縮変化率が小さいということは、上記の厚さの変化が小さいことを意味し、変形から回復し易いことを示す。
圧縮変化率は、初荷重を0.294kPa、その後の荷重を5.8kPaとして求められる。圧縮変化率(%)は、次式により算出される。
圧縮変化率(%)={(T-T0‘)/T}×100
は、0.294kPaの初荷重をかけた状態の試験片の厚さである。T0‘は、5.8kPaの荷重を1分間かけた後、その荷重を取り除いて1分間放置し、続いて、0.294kPaの初荷重をかけた状態の試験片の厚さである。
積層不織布の圧縮変化率(%)は、11.5%以下であってよく、10%以下であってよく、5%以下であってよい。圧縮変化率(%)は、0.2%以上であってよく、0.5%以上であってよく、1%以上であってよく、3%以上であってよい。
[積層不織布の製造方法]
本実施形態に係る積層不織布は、例えば、第1繊維ウェブの総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含む、第1繊維ウェブを準備すること、第2繊維ウェブの総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含む、第2繊維ウェブを準備すること、中間繊維ウェブの総質量を基準として、合成繊維を50質量%以上含む、中間繊維ウェブを準備すること、前記第1繊維ウェブと前記中間繊維ウェブと前記第2繊維ウェブとを、この順に重ね合わせて積層繊維ウェブを作製すること、および、前記積層繊維ウェブを、高圧流体流を用いた交絡処理に付して繊維同士を交絡させること、を含む方法によって製造することができる。
(1)各繊維ウェブの準備
まず、第1繊維ウェブ、第2繊維ウェブおよび中間繊維ウェブを準備する。
第1繊維ウェブは第1繊維層を形成する。第2繊維ウェブは第2繊維層を形成する。中間繊維ウェブは中間繊維層を形成する。各繊維ウェブは、上記の通り、カード式法、エアレイド法または湿式法等により作製される不織布の前駆体であってよく、スパンレース法またはスパンボンド法等により作製される不織布であってよい。なかでも、柔軟性の観点から、各繊維ウェブは、カード式法、エアレイド法または湿式法等により作製される不織布の前駆体であることが好ましい。
繊維ウェブは、例えば、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカードウェブ、エアレイウェブ、および湿式抄紙ウェブ等から選択されるいずれであってもよい。各繊維ウェブの形態は互いに異なっていてよい。なかでも、カードウェブが好ましい。カードウェブは、カード機を用いて、繊維を一定方向またはランダムに並べることにより形成される。
第1繊維ウェブおよび第2繊維ウェブに含まれる繊維の種類および割合は、先に第1繊維層および第2繊維層に関連して説明したとおりであり、中間繊維ウェブに含まれる繊維の種類および割合は、中間繊維層に関して説明したとおりである。第1繊維ウェブおよび第2繊維ウェブの目付は、先に第1繊維層および第2繊維層に関連して説明したとおりであり、中間繊維ウェブの目付は、先に中間繊維層に関連して説明したとおりである。
(2)積層繊維ウェブの作製
第1ないし中間繊維ウェブを、中間繊維ウェブが第1繊維ウェブと第2繊維ウェブとの間に位置するように積層して、積層繊維ウェブを作製する。必要に応じて、第1繊維ウェブ(または第2繊維ウェブ)と中間繊維ウェブとをあらかじめ積層した予備積層繊維ウェブを作製し、これに第2繊維ウェブ(または第1繊維ウェブ)を積層して、積層繊維ウェブを作製してよい。予備積層繊維ウェブは、繊維ウェブ間で繊維同士を予め一体化させたものであってよい。
(3)交絡処理
積層繊維ウェブを、高圧流体流を用いた交絡処理に付して繊維同士を交絡させる。これにより、第1繊維層と中間繊維層と第2繊維層とが、繊維同士の交絡により一体化され、積層不織布が得られる。
高圧流体は、例えば、圧縮空気等の高圧気体、および高圧水等の高圧液体である。なかでも、高圧水が好ましい。高圧水によれば、撥水性セルロース繊維の過剰な交絡が抑制される一方、第1および第2繊維層に含まれる親水性セルロース繊維同士が交絡し易くなって、一体感が高まる。以下、高圧流体として高圧水(以下においては、単に「水流」とも呼ぶ)を用いる場合を例に挙げて、本実施形態に係る積層不織布の製造方法を説明するが、本実施形態に係る製造方法はこれに限定されるものではない。
水流交絡処理は、支持体に積層繊維ウェブを載せて、柱状水流を噴射することにより実施される。支持体は、例えば、80メッシュ以上100メッシュ以下の平織である。水流は、例えば、孔径0.05mm以上0.5mm以下のオリフィスが、0.3mm以上1.5mm以下の間隔で設けられたノズルから噴射される。水圧は、例えば、1MPa以上15MPa以下である。水圧は、10MPa以下であってよく、7MPa以下であってよい。水流は、積層繊維ウェブの表裏面に、それぞれ1~5回ずつ噴射される。
(4)接着処理
第1繊維ウェブ、第2繊維ウェブおよび中間繊維ウェブの少なくともいずれかが接着性繊維を含む場合、積層繊維ウェブに接着処理を施してもよい。これにより、一部の繊維同士が接着するため、積層不織布の機械的強度が向上し得る。接着処理は、熱接着処理であってよく、電子線照射による接着、または超音波溶着であってよい。熱処理によれば、接着性繊維(例えば、複合繊維の低融点成分)が熱処理の際、加熱によって溶融または軟化して、繊維同士が接着する。接着処理は、通常、交絡処理の後に行われる。
熱処理は、例えば、熱風を吹き付ける熱風加工処理、熱ロール加工(熱エンボスロール加工)、または赤外線を使用した熱処理である。熱処理温度(例えば、熱風の温度)は、接着性繊維を構成する成分であって、接着成分として機能させる成分が軟化または溶融する温度としてよい。例えば、熱処理温度は、当該成分の融点以上の温度としてよい。例えば、接着性繊維がポリエチレンを成分として含み、ポリエチレンを接着成分とする場合には、熱処理温度を130℃~150℃としてよく、ポリブチレンサクシネートを接着成分とする場合には、熱処理温度を120℃~133℃としてよい。
[液体含浸シート]
本実施形態に係る積層不織布は、特に液体を含浸させて使用するシートに適している。積層不織布に液体を含浸させた場合であっても、その表面に、繊維の膨潤度の違いによる凹凸が形成され難く、対象物に対して優れた密着性を有するためである。さらに、積層不織布は外層に親水性セルロース繊維および撥水性セルロース繊維を有するため、水性および油性の液体保持性も高い。
液体含浸シートとしては、例えば、ウェットタイプの清掃用ワイプ;化粧用材料;ボディケア用品が挙げられる。各具体例は、上記の通りである。
含浸させる液体および含浸量は、用途に応じて適宜選択される。含浸量は、例えば、積層不織布100質量部に対して、200質量部以上であってよく、500質量部以上であってよく、600質量部以上であってよく、700質量部以上であってよい。含浸量は、例えば、積層不織布100質量部に対して、2000質量部以下であってよく、1800質量部以下であってよく、1500質量部以下であってよい。一態様において、液体の含浸量は、積層不織布100質量部に対して、500質量部以上2000質量部以下である。液体の有効成分も、用途に応じて適宜選択される。
[液体含浸皮膚被覆シートおよびフェイスマスク]
本実施形態は、積層不織布とそれに含浸された液体とを備え、一定時間、皮膚を被覆するために使用される液体含浸皮膚被覆シートを包含する。具体的には、フェイスマスク、踵、肘、膝などに使用する角質ケアシート、体用の保湿シート、痩身用シート、冷却シート等が挙げられる。本実施形態に係る積層不織布は、外層に撥水性および親水性のセルロース繊維を含むため、チクチクとした触感を与え難く、肌触りが良い。さらに、上記の通り、密着性に優れるため、シートは、所定時間、皮膚をしっかりと覆うことができる。一方で、皮膚に過度な負担をかけることなく、位置の修正や剥離を行うことができる。
本実施形態に係るシートは、特にフェイスマスクに適している。フェイスマスクは、液体が含浸された積層不織布を含み、一定時間、顔を被覆するために使用される。
フェイスマスクは、顔を被覆するのに適した形状を有し、さらに、例えば、目、鼻および口に相当する部分に、必要に応じて打ち抜き加工による開口部および/または切り込み部が設けられた形態で提供される。あるいは、フェイスマスクは、顔の一部分(例えば、目元、口元、鼻または頬)のみを覆うような形状のものであってよい。あるいはまた、フェイスマスクは、目の周囲を覆うシートと、口の周囲を覆うシートとから成るセットとして提供してよく、あるいは3以上の部分を別々に覆うシートのセットとして提供してよい。
液体の含浸量は、例えば、積層不織布100質量部に対して、500質量部以上であってよく、600質量部以上であってよく、700質量部以上であってよい。含浸量は、例えば、積層不織布100質量部に対して、2000質量部以下であってよく、1800質量部以下であってよく、1500質量部以下であってよい。一態様において、液体の含浸量は、積層不織布100質量部に対して、500質量部以上2000質量部以下である。
液体の有効成分も、用途に応じて適宜選択される。有効成分としては、例えば、保湿成分、角質柔軟成分、制汗成分、香り成分、美白成分、血行促進成分、紫外線防止成分、および痩身成分が挙げられる。
液体含浸シート、液体含浸皮膚被覆シートおよびフェイスマスクにおいて、本実施形態に係る積層不織布の第1繊維層および第2繊維層はいずれも、皮膚接触面として利用できる。
以下、本実施形態を、実施例により説明する。
本実施例で使用する繊維として以下のものを用意した。
(撥水性セルロース繊維)
撥水性レーヨン:繊度1.7dtex、繊維長40mm、非フッ素系撥水剤により繊維表面が撥水処理されたビスコースレーヨン、商品名:エコリペラス、ダイワボウレーヨン(株)製、沈降速度10分以上、二次膨潤度48.2%
(親水性セルロース繊維)
レーヨン1:繊度1.7dtex、繊維長40mm、ビスコースレーヨン、商品名:SPV、Lenzing社製、沈降速度7秒、二次膨潤度86.5%
レーヨン2:繊度0.9dtex、繊維長38mm、ビスコースレーヨン、商品名:BH、ダイワボウレーヨン(株)製、沈降速度6秒、二次膨潤度89%
コットン:繊度1.0dtex~5.0dtex、繊維長10mm~60mm、平均繊維長20mm、コットン繊維、商品名:MSD、丸三産業(株)製、沈降速度9秒
リヨセル:繊度1.7dtex、繊維長38mm、溶剤紡糸セルロース繊維、商品名:リヨセル、Lenzing社製、沈降速度6秒
(合成繊維)
PP/PE-1.6:繊度1.6dtex、繊維長38mm、同心芯鞘型複合繊維(融点:約133℃)、芯:ポリプロピレン、鞘:高密度ポリエチレン、商品名:NBF(H)、大和紡績(株)製、沈降速度10分以上
PP/PE-1.7:繊度1.7dtex、繊維長51mm、同心芯鞘型複合繊維(融点:約133℃)、芯:ポリプロピレン、鞘:高密度ポリエチレン、商品名:HR-NTW、宇部エクシモ(株)製、沈降速度10分以上
PET:繊度1.45dtex、繊維長38mm、ポリエチレンテレフタレート繊維、商品名:T403D、東レ(株)製、沈降速度10分以上
PP/PE-PET:PP/PEとPETとの混綿ウェブ、混合比率(PP/PE:PET)=50:50
PP:繊度1.7dtex、繊維長51mm、ポリプロピレン繊維、商品名:PN、大和紡績(株)製、沈降速度10分以上
PET/coPET:繊度2.2dtex、繊維長51mm、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエチレンテレフタレートとのサイドバイサイド型複合繊維、商品名:T25、東レ(株)製、沈降速度10分以上
ニトリル:繊度1.0dtex、繊維長38mm、ポリアクリロニトリル繊維、商品名:102S、東レ(株)製、沈降速度10分以上
PET/PE分割:繊度2.2dtex、繊維長51mm、ポリエチレンテレフタレートにより構成される複数のセクションと高密度ポリエチレンにより構成される複数のセクションとを含む、菊花状の分割型繊維(合計セクション数:8)、商品名:DFS(SH)、大和紡績(株)製、沈降速度10分以上
合成繊維の沈降速度は、繊維表面に付着している繊維処理剤等の影響をなくすために、40℃の温水で2分間のもみ洗い洗浄を3回実施した後の繊維(原綿)を用いて測定した。
[実施例1]
(i)第1および第2繊維ウェブの準備
撥水性セルロース繊維を10質量%およびレーヨンを90質量%混合して、パラレルカード機を用いて、目付が約22.5g/mになるように、第1および第2繊維ウェブを作製した。
(ii)中間繊維ウェブの準備
PP/PE繊維およびパラレルカード機を用いて、目付が約15.0g/mになるように、中間繊維ウェブを作製した。
(iv)積層不織布の作製
第1繊維ウェブと中間繊維ウェブと第2繊維ウェブとを、この順に積層して、積層繊維ウェブを作製した。この積層繊維ウェブを支持体(90メッシュの平織)に載置して、4m/分の速度で搬送しながら、第2繊維ウェブの表面に3.0MPaの水圧の水流を1回噴射した。続いて、第1繊維ウェブの表面に3.0MPa水圧の水流を1回噴射した。この水流交絡処理では、孔径0.12mmのオリフィスが、0.6mm間隔で設けられたノズルを使用した。ノズルと積層繊維ウェブとの間の間隔は20mmとした。最後に、100℃で乾燥処理を行って、乾燥状態の積層不織布(Dry)を得た。
[実施例2~16、比較例1~7]
第1、第2および中間繊維ウェブを構成する繊維の種類および割合等を、表1および表2に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で積層不織布(Dry)をそれぞれ得た。
ただし、比較例1では単層の不織布を作製した。実施例6、7、比較例4および5では、積層不織布(Dry)を得た後、さらに熱処理を行った。
[評価]
評価には、乾燥状態(Dry)および湿潤状態(Wet)の積層不織布の少なくとも1つを、試料として用いた。湿潤状態の試料(Wet)は、評価項目ごとに、上記の通りに作製した。
評価方法は、以下の通りである。評価結果を表1および表2に示す。
(厚さ)
厚み測定機((株)大栄科学精器製作所製のTHICKNESS GAUGE モデル CR-60A(商品名))を用い、試料に0.294kPaまたは1.96kPaの荷重を加えた状態で、厚さを測定した。
(強伸度)
JIS L 1913:2010 6.3(引張強さ及び伸び率(ISO法))に準じて、定速緊張形引張試験機を用いて、試料片の幅5cm、つかみ間隔10cm、引張速度30±2cm/分の条件で引張試験を行い、試料が切断した時の荷重値(引張強さ)および伸び率、ならびに10%伸長時応力を測定した。1水準あたり3点の試料を準備し、測定した値を平均化した。引張試験は、試料の縦方向(MD方向)および横方向(CD方向)を引張方向とした。1水準あたり3点の試料を準備し、測定した値を平均化した。引張試験は、試料の縦方向(MD方向)および横方向(CD方向)を引張方向とした。
(剛軟度)
剛軟度を、JIS L 1913:2010 6.7.5 ハンドルオメーター法に準じて測定した。具体的には、次の手順で測定した。
試料台の上に、縦:20cm、横:20cmの試料片を、測定方向がスロット(隙間幅10mm)と直角になるように置く。
次に、試料台の表面から8mmまで下がるように調整されたペネトレータのブレードを下降させ、試料片を押し込んだ。測定は、いずれか一方の辺から6.7cm(試料片の幅の1/3)の位置で、縦方向および横方向それぞれ表裏異なる個所について行い、押し込みに対する抵抗値を読み取る。抵抗値として、マイクロアンメータの示す最高値(cN)を読み取る。4辺それぞれについて読み取った抵抗値の合計値を求める。この合計値を求める操作を同一の不織布から採取した3つの試料片について実施し、合計値の平均値を算出して、当該試料の剛軟度(cN)とする。
試料(Wet)の測定は、試料台の上にポリエチレン製シート(縦:23cm、横:23cm、厚み0.06mm)を置き、その上に試料を置いて実施した。さらに、ポリエチレン製シートのみの剛軟度を測定し、試料について測定した値からシートのみについて測定した値を引き、湿潤状態の試料の剛軟度とした。
(動摩擦係数および変動係数)
動摩擦係数の変動は、KES法に基づいて測定した。具体的には、カトーテック社製の「KES-SE」摩擦感テスターを使用した。摩擦子(ピアノワイヤ線)に対し静荷重を25gf(245N)かけ、摩擦子を積層不織布のMD方向およびCD方向に平行な方向に、移動速度1mm/secで移動させて、各方向の積層不織布の動摩擦係数(MIU)および動摩擦係数の変動係数(MMD)を測定した。一つの試料につき、各方向において6回測定を実施し、最低値と最高値を除く4つの値の平均値をその試料の当該方向におけるMIUとした。
(官能評価:クッション性/密着性)
不織布を縦(MD)方向×横(CD)方向=100mm×100mmに切断し、試料とした。試料の質量を測定した後、その質量100質量部に対して、化粧水(商品名:白潤薬用美白化粧水、ロート製薬(株)製)を800質量部含浸させた。化粧水を含浸させた状態の不織布を5名のパネラーに触ってもらい、クッション性および密着性をそれぞれ5点満点で評価して、その平均値を求めた。クッション性としては、手で軽く抑えた時に感じる積層不織布の柔らかさを評価した。
以下の評価基準に従って評価した。
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:不良
1:非常に不良
(保水性)
JIS L 1913(2010) 6.9.2(保水率)に準じ、以下のようにして保水率を評価した。まず、100mm×100mmの試験片の質量mを測定した。次いで、試験片を蒸留水に2分間浸漬した後、引き上げて、1分間吊して余分な水を除去した。その後、試験片の質量mを測定し、1分後の保水率M(%)を、次式により算出した。
保水率M(%)={(m-m)/m}×100
上記と同様の方法で、試験片を10分間吊した後の質量m10を測定し、10分後の保水率M10(%)を算出した。
保水性の変化率Mcは、次式で算出した。
Mc(%)={(M-M10)/M10}×100
(圧縮変化率)
JIS L 1913(2010) 6.14(圧縮率)に準じて、0.294kPaの初荷重をかけた状態で、試験片(100mm×100mm)の厚さTを測定した。次に、5.8kPaの荷重を1分間かけた後、荷重を取り除き、1分間放置した。続いて、再び0.294kPaの初荷重をかけた状態で、試験片の厚さT0‘を測定した。次式により、圧縮変化率を算出した。圧縮変化率が小さいほど、大きな荷重による変形から回復し易い。
圧縮変化率(%)={(T-T0‘)/T}×100
Figure 2023051885000001
Figure 2023051885000002
実施例1~11の積層不織布は、外層が撥水性および親水性のセルロース繊維を含んでいる。実施例1~11の積層不織布は、特に湿潤状態の動摩擦係数(MIU)が、MD方向およびCD方向ともに適度に大きい。これは、水流交絡の際に、撥水性セルロース繊維が水を弾きやすいため、通常の親水性セルロース繊維よりも交絡が弱く、ほどよい交絡度合いとなったためと考えられる。また、セルロース繊維が膨潤して、その柔軟性が高まるとともに、対象物との間である程度の抵抗を生じ易くなったためと考えられる。
さらに、湿潤状態における実施例1~11の積層不織布の変動係数(MMD)は、乾燥状態のものよりも低く、表面が滑らかであることがわかる。これは、撥水性の繊維および親水性の繊維がともにセルロース繊維であるため、外層を構成する繊維が一様に膨潤したことによると考えられる。言い換えれば、撥水性レーヨンの膨潤度は十分に大きく、これにより、湿潤状態における積層不織布の凹凸発生が抑制されたと考えられる。
比較例1~5の積層不織布は、外層が親水性のセルロース繊維とともに合成繊維を含んでいる。比較例1~5の積層不織布は、特に湿潤状態の動摩擦係数(MIU)が、MD方向およびCD方向ともに非常に小さく、対象物に対して滑り易いことがわかる。さらに、これら湿潤状態の積層不織布の変動係数(MMD)は、実施例1~11のものよりも大きく、表面に凹凸が形成されていることがわかる。これは、外層が膨潤度の異なる繊維を含むためであると考えられる。
得られた乾燥状態の積層不織布の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、比較例2および3の積層不織布は、実施例3よりもやや多い毛羽が確認された。このことから、外層に合成繊維を含む比較例2および3の積層不織布は、凹凸に加えてざらつき生じており、変動係数(MMD)が大きくなったと考えられる。一方、外層に撥水性セルロース繊維を含む実施例3の積層不織布は、合成繊維の場合よりも毛羽が少なくて、変動係数(MMD)が小さく、滑らかであった。
実施例1~11の積層不織布はまた、中間繊維層が合成繊維を含む。そのため、これら積層不織布は、適度なクッション性および剛軟度を有しており、圧縮変化率が比較的小さい。適度なクッション性および剛軟度、ならびに小さい圧縮変化率は、積層不織布の触感や液保持性、ハンドリング性を向上させる。
実施例12の積層不織布は、外層に細繊度の親水性セルロース繊維を含む。実施例12の積層不織布は、特に湿潤状態の動摩擦係数(MIU)が、MD方向およびCD方向ともに大きい。これは、細繊度の親水性セルロース繊維を用いることにより、外層の単位面積当たりの繊維本数が増えて対象物と接触し易くなって、抵抗が生じ易くなったことによると考えられる。
実施例13~16の積層不織布は、中間繊維層に種々の合成繊維を含む。実施例13~16の積層不織布は、湿潤状態の動摩擦係数(MIU)が、MD方向およびCD方向ともに適度に大きい。さらに、実施例13~16の積層不織布は、湿潤状態の変動係数(MMD)は、乾燥状態のものよりも低く、表面が滑らかであった。
実施例13~16の積層不織布はまた、適度なクッション性および剛軟度を有しており、圧縮変化率が比較的小さい。適度なクッション性および剛軟度、ならびに小さい圧縮変化率は、積層不織布の触感や液保持性、ハンドリング性を向上させる。一方、比較例6~7の中間繊維層に合成繊維を含まない積層不織布は、クッション性および剛軟度に劣っており、また圧縮変化率が大きい。
実施例13、15および16の積層不織布は、中間繊維層にポリエステル系繊維を含む。実施例13および15の積層不織布は、1分後の保水率が比較的高い。実施例16の積層不織布は、保水性の変化率が特に大きい。保水性の変化率が大きいことは、含浸した液体が移行し易いことを示す。実施例16の積層不織布に含まれるポリエステル系繊維は、分割型複合繊維であるため、水流交絡処理により交絡が進行し易い。そのため、実施例16の積層不織布はより緻密であり、厚さが小さかった。これにより、保水性の変化率が大きくなったと考えられる。
実施例14の積層不織布は、中間繊維層にアクリロニトリル系繊維を含む。そのため、実施例14の積層不織布は、保水性が高い。
本開示は以下の態様を含む。
(態様1)
第1繊維層と、
第2繊維層と、
前記第1繊維層と前記第2繊維層との間に位置する中間繊維層と、を備え、
前記第1繊維層は、前記第1繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、
前記第2繊維層は、前記第2繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、
前記中間繊維層は、前記中間繊維層の総質量を基準として、合成繊維を50質量%以上含み、
前記第1繊維層と前記中間繊維層と前記第2繊維層とは、繊維同士の交絡により一体化されている、
積層不織布。
(態様2)
複数の前記合成繊維は、互いに熱接着されていない、態様1の積層不織布。
(態様3)
前記第1繊維層における前記撥水性セルロース繊維の質量割合と、前記第2繊維層における前記撥水性セルロース繊維の質量割合との差は、10%以下である、態様1または2の積層不織布。
(態様4)
前記合成繊維の繊維長は、80mm以下である、態様1~3のいずれかの積層不織布。
(態様5)
前記積層不織布の目付は、30g/m以上90g/m以下である、態様1~4のいずれかの積層不織布。
(態様6)
態様1~5のいずれかの積層不織布を含む、液体含浸シート用積層不織布。
(態様7)
第1繊維ウェブの総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含む、第1繊維ウェブを準備すること、
第2繊維ウェブの総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含む、第2繊維ウェブを準備すること、
中間繊維ウェブの総質量を基準として、合成繊維を50質量%以上含む、中間繊維ウェブを準備すること、
前記第1繊維ウェブと前記中間繊維ウェブと前記第2繊維ウェブとを、この順に重ね合わせて積層繊維ウェブを作製すること、および、
前記積層繊維ウェブを、高圧流体流を用いた交絡処理に付して繊維同士を交絡させること、を含む、
積層不織布の製造方法。
(態様8)
請求項1~5のいずれかに記載の積層不織布100質量部に対して、液体を200質量部以上2000質量部以下の量で含浸させてなる、液体含浸シート。
(態様9)
態様1~5のいずれかに記載の積層不織布100質量部に対して、液体を500質量部以上2000質量部以下の量で含浸させてなる、液体含浸皮膚被覆シート。
(態様10)
態様1~5のいずれかに記載の積層不織布100質量部に対して、液体を500質量部以上2000質量部以下の量で含浸させてなる、フェイスマスク。
本開示の積層不織布は、乾燥状態および湿潤状態において、対象物に対する高い密着性を有する。したがって、本開示の積層不織布は、ワイプやフェイスマスク等、様々な製品の基材シートとして有用である。

Claims (10)

  1. 第1繊維層と、
    第2繊維層と、
    前記第1繊維層と前記第2繊維層との間に位置する中間繊維層と、を備え、
    前記第1繊維層は、前記第1繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、
    前記第2繊維層は、前記第2繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、
    前記中間繊維層は、前記中間繊維層の総質量を基準として、合成繊維を50質量%以上含み、
    前記第1繊維層と前記中間繊維層と前記第2繊維層とは、繊維同士の交絡により一体化されている、
    積層不織布。
  2. 複数の前記合成繊維は、互いに熱接着されていない、請求項1に記載の積層不織布。
  3. 前記第1繊維層における前記撥水性セルロース繊維の質量割合と、前記第2繊維層における前記撥水性セルロース繊維の質量割合との差は、10%以下である、請求項1または2に記載の積層不織布。
  4. 前記合成繊維の繊維長は、80mm以下である、請求項1または2に記載の積層不織布。
  5. 前記積層不織布の目付は、30g/m以上90g/m以下である、請求項1または2に記載の積層不織布。
  6. 請求項1または2に記載の積層不織布を含む、液体含浸シート用積層不織布。
  7. 第1繊維ウェブの総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含む、第1繊維ウェブを準備すること、
    第2繊維ウェブの総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含む、第2繊維ウェブを準備すること、
    中間繊維ウェブの総質量を基準として、合成繊維を50質量%以上含む、中間繊維ウェブを準備すること、
    前記第1繊維ウェブと前記中間繊維ウェブと前記第2繊維ウェブとを、この順に重ね合わせて積層繊維ウェブを作製すること、および、
    前記積層繊維ウェブを、高圧流体流を用いた交絡処理に付して繊維同士を交絡させること、を含む、
    積層不織布の製造方法。
  8. 請求項1または2に記載の積層不織布100質量部に対して、液体を200質量部以上2000質量部以下の量で含浸させてなる、液体含浸シート。
  9. 請求項1または2に記載の積層不織布100質量部に対して、液体を500質量部以上2000質量部以下の量で含浸させてなる、液体含浸皮膚被覆シート。
  10. 請求項1または2に記載の積層不織布100質量部に対して、液体を500質量部以上2000質量部以下の量で含浸させてなる、フェイスマスク。
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