JP2022058301A - 液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布およびその製造方法、液体含浸皮膚被覆シート、ならびにフェイスマスク - Google Patents
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Abstract
【課題】皮膚への密着性が両方の表面において同等であり、かつ良好な触感を有する、液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布を提供する。【解決手段】第1繊維層と、第2繊維層と、前記第1繊維層と前記第2繊維層との間に位置する中間繊維層とが積層されて一体化されてなる液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布であって、前記第1繊維層は、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、前記第2繊維層は、親水性繊維を50質量%以上含み、前記中間繊維層は、繊維長が10mm未満である親水性セルロース繊維を70質量%以上含み、前記第1繊維層、前記中間繊維層、および前記第2繊維層は繊維同士の交絡により一体化されている、液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。【選択図】なし
Description
本開示は、液体、特に化粧料を含浸させた液体含浸皮膚被覆シートの基材となる積層不織布およびその製造方法、ならびに当該不織布を用いた液体含浸皮膚被覆シートおよびフェイスマスクに関する。
人体または動物の皮膚を被覆して、人体または動物の皮膚に所定の物質を付与するために用いられる、液体を含浸させたシートが種々提案され、実用されている。具体的には、有効成分を含む液体(例えば化粧料)を含浸させた液体含浸皮膚被覆シート(フェイスマスクや踵、肘、膝などに使用する角質ケアシート)等が挙げられる。液体含浸皮膚被覆シートの基材としては、不織布が一般的に用いられている。液体含浸皮膚被覆シートは、比較的長い時間、皮膚に密着させて使用することが多いため、密着性、液体の放出性、触感、および利便性等の点から様々な不織布が基材として提案されている。
本開示は、液体を含浸させた状態でいずれの表面を皮膚との接触面として使用しても、皮膚への密着性が同程度となり、不織布の表面の違いによる使用感の差が小さい液体含浸皮膚被覆シートを提供することを目的とする。
本開示は、一方の表面を形成する第1繊維層と、もう一方の表面を形成する第2繊維層と、前記第1繊維層と前記第2繊維層との間に位置する中間繊維層とが積層されて一体化されてなる液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布であって
前記第1繊維層は前記第1繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、
前記第2繊維層は前記第2繊維層の総質量を基準として、親水性繊維を50質量%以上含み、
前記中間繊維層は前記中間繊維層の総質量を基準として、繊維長が10mm未満である親水性セルロース繊維を70質量%以上含み、
前記第1繊維層、前記中間繊維層、および前記第2繊維層は繊維同士の交絡により一体化されている、
液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布を提供する。
前記第1繊維層は前記第1繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、
前記第2繊維層は前記第2繊維層の総質量を基準として、親水性繊維を50質量%以上含み、
前記中間繊維層は前記中間繊維層の総質量を基準として、繊維長が10mm未満である親水性セルロース繊維を70質量%以上含み、
前記第1繊維層、前記中間繊維層、および前記第2繊維層は繊維同士の交絡により一体化されている、
液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布を提供する。
本開示はまた、第1繊維ウェブの総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含む、第1繊維ウェブを作製すること、
第2繊維ウェブの総質量を基準として、親水性繊維を50質量%以上含む、第2繊維ウェブを作製すること、
第3繊維ウェブの総質量を基準として、繊維長が10mm未満である親水性セルロース繊維を70質量%以上含む第3繊維ウェブを準備すること、
前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブと前記第3繊維ウェブとを、前記第3繊維ウェブが前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブとの間に位置するように重ね合わせて積層繊維ウェブを作製すること、
前記積層繊維ウェブを、高圧流体流を用いた交絡処理に付して繊維同士を交絡させること
を含む、液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布の製造方法を提供する。
第2繊維ウェブの総質量を基準として、親水性繊維を50質量%以上含む、第2繊維ウェブを作製すること、
第3繊維ウェブの総質量を基準として、繊維長が10mm未満である親水性セルロース繊維を70質量%以上含む第3繊維ウェブを準備すること、
前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブと前記第3繊維ウェブとを、前記第3繊維ウェブが前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブとの間に位置するように重ね合わせて積層繊維ウェブを作製すること、
前記積層繊維ウェブを、高圧流体流を用いた交絡処理に付して繊維同士を交絡させること
を含む、液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布の製造方法を提供する。
本開示の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布は、不織布の一方の面を構成する第1繊維層が撥水性セルロース繊維を所定の割合で含み、他方の面を構成する第2繊維層が親水性繊維を所定の割合で含み、かつ二つの繊維層の間に繊維長10mm未満の親水性セルロース繊維を所定の割合で含む中間繊維層が位置する構成であり、この構成によって、液体を含浸させたときの密着性が両方の表面において同等となる。したがって、本開示の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布によれば、表裏面を気にすることなく使用可能な利便性の高い液体含浸皮膚被覆シートを提供できる。
(本実施形態に至った経緯)
液体含浸皮膚被覆シート(以下、単に「シート」とも呼ぶ)の基材として、種々の繊維および種々の構成のものが提案されていることは、上記のとおりである。例えば、特許文献1は、繊度が0.5dtexよりも大きい繊維を90質量%より多く含む上側繊維層および下側繊維層の間に、セルロース系短繊維を50質量%以上含むセルロース系短繊維層が位置し、3つの繊維層が繊維同士の交絡により一体化されてなる、シートを提案している。同文献では、繊度が0.5dtexよりも大きく上下側繊維層のそれぞれ90%よりも大きい割合を占める繊維として特にコットンを使用することが提案されている。繊度が0.5dtexよりも大きい繊維を90質量%より多く含む上側繊維層および下側繊維層の間に、セルロース系短繊維を50質量%以上含むセルロース系短繊維層が位置し、3つの繊維層が繊維同士の交絡により一体化されてなる、液体含浸用皮膚被覆シート
液体含浸皮膚被覆シート(以下、単に「シート」とも呼ぶ)の基材として、種々の繊維および種々の構成のものが提案されていることは、上記のとおりである。例えば、特許文献1は、繊度が0.5dtexよりも大きい繊維を90質量%より多く含む上側繊維層および下側繊維層の間に、セルロース系短繊維を50質量%以上含むセルロース系短繊維層が位置し、3つの繊維層が繊維同士の交絡により一体化されてなる、シートを提案している。同文献では、繊度が0.5dtexよりも大きく上下側繊維層のそれぞれ90%よりも大きい割合を占める繊維として特にコットンを使用することが提案されている。繊度が0.5dtexよりも大きい繊維を90質量%より多く含む上側繊維層および下側繊維層の間に、セルロース系短繊維を50質量%以上含むセルロース系短繊維層が位置し、3つの繊維層が繊維同士の交絡により一体化されてなる、液体含浸用皮膚被覆シート
特許文献2に記載のシートは、親水性繊維を50質量%以上含む第1繊維層と、第1繊維層に含まれる親水性繊維よりも疎水性である疎水性繊維を50質量%以上含む第2繊維層とを含み、疎水性繊維層が1.2dtex以上の繊度を有し、疎水性繊維として疎水性に差を有する二種類以上の繊維を含み、第1繊維層を皮膚に接触させて使用するものである。特許文献2に記載のシートによれば、含浸させた液体が皮膚にとどまりやすく、液体による密着効果および保湿効果がより発揮される。
特許文献1のシートは、皮膚に接触する面がコットンを多く含む繊維層の表面となることを可能にしつつ、中間に位置するセルロース系短繊維層によって良好な地合いが確保され、装着中に「浮き」が生じにくく、外観も良好である。また、同文献のシートは少しの力で皮膚に密着させることが可能であり、使い勝手が良い。特許文献2のシートは、親水性繊維が皮膚と接触する面を構成し、それぞれの繊維の特徴を利用して、低刺激性または良好な密着性を達成している。
液体含浸皮膚被覆シートに要求される事項の一つとして、シートの両面を区別せずに用いることが挙げられる。シートは通常十分に濡らされて折りたたんだ状態で製品として提供され、利用者はこれを利用するときにはシートを広げて、所望の位置、例えば顔面に密着させる。その作業はシートが濡れていることもあって意外と煩雑であり、皮膚接触面がシートの一方の面に限定されていると、利用者の負担はさらに増す。また、皮膚接触面が一方の面に限定されることは、製品の提供者にとっても好ましくないことがある。利用者が皮膚接触面を識別できるように、しるしを付けたり、シートの色を表裏で変えたりする必要があり、製造工程を複雑にするからである。このように、シートの両面を区別せずに利用できるという特性は、製品の提供者および利用者双方にとって有益である。
両面を区別せずに使用可能なシートとする手段の一つは、単層構造の不織布でシートを構成することである。しかしながら、上記のとおり、シートに対する別の要求を満たすために、積層構造の不織布が多く提案されており、実際、シートに対する種々の要求は積層構造の不織布でなければ満たされないことが多い。
積層構造の不織布からなるシートは、その両面の見かけは同じであっても、利用者の装着感という点では両面が著しく異なる性質を有することがある。装着感に最も影響を与えるものの一つは、シートの皮膚への密着性であるが、例えば、不織布の両方の面が異なる材料で形成されている場合、密着性は表裏面で相当に異なることが多い。
そこで、積層不織布の両方の面を形成する繊維層(最外層となる繊維層)を同じ繊維構成として、シートの両面の密着性を同等のものとすることも行われている。
そこで、積層不織布の両方の面を形成する繊維層(最外層となる繊維層)を同じ繊維構成として、シートの両面の密着性を同等のものとすることも行われている。
しかしながら、二つの最外層を同じ繊維構成としたシートは、他の特性(例えば機械特性)において実用的でないこともある。特に、撥水性セルロース繊維を用いる場合には、そのような傾向が顕著に生じることが分かった。撥水性セルロース繊維は、合成繊維と同程度の撥水性を有しつつ、その素材が天然由来であることから生分解性を有する。発明者らは、環境問題への意識及び天然素材志向が高まりつつある昨今において、撥水性セルロース繊維を用いたシートは高い訴求力を有すると考え、これを用いた種々の構成のシートを検討した。
検討を進めるうち、発明者らは、撥水性セルロース繊維は湿潤時に柔らかく、強度が小さいという特徴を有し、皮膚接触面を構成する繊維層に含まれることで良好な触感をシートに付与することを見出した。良好な触感を確保するためには、撥水性セルロース繊維の割合をある程度大きくすることが好ましい。一方、撥水性セルロース繊維は、高圧流体流(特に水流)により繊維同士を交絡させて不織布を製造する場合には、その撥水性のために交絡性が低くて不織布の強度を十分なものとできないことがあり、また、シートのコストを上昇させる傾向にあることから、これを大量に使用することが好まれないこともある。そこで、本発明者らは、シートの二つの外層のうち、一層を撥水性セルロース繊維の割合が比較的多いものとし、もう一方の層を撥水性セルロース繊維を含まないか、含むとしても比較的小さい割合で含む層としたシートの構成を検討した。
しかしながら、そのような構成のシートにおいては、シートの両面では繊維構成が異なることとなり、同等の密着性を得られないという問題が見出された。 本発明者らは、この問題を解決するために種々検討した。そして、撥水性セルロース繊維層をより多く含む第1繊維層と、親水性繊維を含む第2繊維層とを、その間に繊維長10mm未満の親水性セルロース繊維を所定割合以上含む中間繊維層が介在するように積層して、繊維同士の交絡により一体化させることで、第1繊維層と第2繊維層の繊維構成が異なるにもかかわらず、両面の密着性がほぼ同程度であり、かつ触感の良好なシートを与え得る不織布を得ることができた。これは、密着性が繊維層内の液体量および繊維層表面に形成される液膜による影響を受けることを見出したことによるものである。そして、撥水性セルロース繊維の割合を多くした繊維層においては、撥水性セルロースそれ自体の保液性は小さいものの、繊維同士の交絡が進行しないことで繊維間空隙が増え、当該空隙に液体が保持されやすい傾向にあることも分かった。一方、撥水性セルロース以外の親水性繊維の割合を多くして構成する繊維層においては、当該親水性繊維それ自体(およびその周囲における)の保液性が向上する傾向にあるが、当該親水性繊維が強固に交絡することで繊維間空隙が小さくなる。各繊維を使用するときに実現される繊維層の保液特性を検討し、それらのバランスをとることで、積層不織布の両面の密着性に顕著な差が生じない構成が可能となった。
以下、本実施形態の不織布を構成する繊維をまず説明する。
以下、本実施形態の不織布を構成する繊維をまず説明する。
(撥水性セルロース繊維)
セルロース繊維は本来親水性を有するものであるが、本実施形態では人為的に撥水性を付与したセルロース繊維を「撥水性セルロース繊維」と呼び、これを用いる。セルロース繊維の種類は特に限定されない。セルロース繊維には以下のものが含まれる。
(1)綿(コットン)、麻、亜麻(リネン)、ラミー、ジュート、バナナ、竹、ケナフ、月桃、ヘンプ及びカポック等の植物に由来する天然繊維;
(2)ビスコース法で得られるレーヨン及びポリノジックレーヨン、銅アンモニア法で得られるキュプラ、ならびに溶剤紡糸法で得られるテンセル(登録商標)及びリヨセル等の溶剤紡糸セルロース繊維、ならびにその他の再生繊維;
(3)溶融紡糸法で得られるセルロース繊維;
(4)アセテート繊維等の半合成繊維;及び
(5)機械パルプ、再生パルプおよび化学パルプ等のパルプ
セルロース繊維は本来親水性を有するものであるが、本実施形態では人為的に撥水性を付与したセルロース繊維を「撥水性セルロース繊維」と呼び、これを用いる。セルロース繊維の種類は特に限定されない。セルロース繊維には以下のものが含まれる。
(1)綿(コットン)、麻、亜麻(リネン)、ラミー、ジュート、バナナ、竹、ケナフ、月桃、ヘンプ及びカポック等の植物に由来する天然繊維;
(2)ビスコース法で得られるレーヨン及びポリノジックレーヨン、銅アンモニア法で得られるキュプラ、ならびに溶剤紡糸法で得られるテンセル(登録商標)及びリヨセル等の溶剤紡糸セルロース繊維、ならびにその他の再生繊維;
(3)溶融紡糸法で得られるセルロース繊維;
(4)アセテート繊維等の半合成繊維;及び
(5)機械パルプ、再生パルプおよび化学パルプ等のパルプ
撥水性セルロース繊維は、これらのセルロース繊維に撥水剤を付着させることで撥水性を付与したものであってよい。あるいは、撥水性セルロース繊維は、紡糸液に特定の化合物を混合して再生繊維を紡糸した後、この再生繊維に特定の撥水剤を付与することで、特定の化合物と撥水剤との間で結合を生じさせ、もって撥水性を付与する方法で得られたものであってよい。かかる方法で得られる撥水性再生セルロース繊維は、例えば、特開2019-65443号に開示されている。
撥水性セルロース繊維としては、例えば、ダイワボウレーヨン(株)製のエコリペラス(商品名、撥水性ビスコースレーヨン)、Kelheim Fibres GmbH製のOlea(商品名、撥水性ビスコースレーヨン)等が上市されている。本実施形態においては、これらの撥水性セルロース繊維を用いてよい。特に、エコリペラス(商品名)は高い撥水性を示し、また、耐久性の高い撥水性を有し、例えば水流交絡処理に付された場合でも撥水性が低下しにくいことから好ましく用いられる。
撥水性セルロース繊維の繊度は、例えば、0.6dtex以上3.3dtex以下の繊度を有してよく、特に1.0dtex以上2.5dtex以下であってもよく、より特には1.4dtex以上2.0dtex以下であってもよい。撥水性セルロース繊維の繊度が小さすぎると、第1繊維層の空隙が小さくなるため、不織布が液体を保持しにくく、大きすぎると不織布の触感が低下することがある。撥水性セルロース繊維の繊度はこれらの範囲に限定されない。特に天然繊維を使用する場合には、繊度の調整が難しいことから、上記範囲外の繊度のものを使用してよい。
撥水性セルロース繊維の繊維長は、特に限定されず、積層不織布の製造方法等に応じて適宜選択してよい。例えば、積層不織布の製造において第1繊維層がカードウェブを作製して製造される場合、撥水性セルロース繊維は短繊維であってよい。この短繊維の繊維長は例えば10mm以上100mm以下としてよく、特に20mm以上75mm以下としてよく、より特には30mm以上65mm以下としてよい。あるいは、第1繊維層がエアレイ法で製造される場合、繊維長は例えば2mm以上20mm以下としてよい。
本実施形態においては、素材、繊維長および繊度のうち一つまたは複数が異なる撥水性セルロース繊維を、複数用いてもよい。
本実施形態においては、素材、繊維長および繊度のうち一つまたは複数が異なる撥水性セルロース繊維を、複数用いてもよい。
本実施形態において、撥水性セルロース繊維の撥水性は、例えば薬食機発第0630001号の医療ガーゼ・医療脱脂綿の基準に従い、以下の方法で測定される沈降速度(6(1)カ)により評価できる。
不織布製造前の繊維又は繊維製品から採取した繊維をカード機で開繊した10gの繊維集合体を、径0.4mmの銅線を用いて作った径50mm、深さ80mm、線と線の距離20mmで重さ3gの試験かごの中に均等に入れ、水温24~26℃の水面上12mmの高さからかごを横にし、深さ200mmの水の中に静かに落とし、かごが水面下に沈むまでの時間を沈降速度とする。なお、カード機で開繊できない繊維(例えば、繊維長が短い繊維等)については、10gの繊維をそのまま試験かごの中に入れてよい。あるいは、繊維製品が湿式不織布またはエアレイ不織布の形態をとる場合は、1cm×1cmの大きさに切断した不織布片10g分を試験かごの中に入れるとよい。
不織布製造前の繊維又は繊維製品から採取した繊維をカード機で開繊した10gの繊維集合体を、径0.4mmの銅線を用いて作った径50mm、深さ80mm、線と線の距離20mmで重さ3gの試験かごの中に均等に入れ、水温24~26℃の水面上12mmの高さからかごを横にし、深さ200mmの水の中に静かに落とし、かごが水面下に沈むまでの時間を沈降速度とする。なお、カード機で開繊できない繊維(例えば、繊維長が短い繊維等)については、10gの繊維をそのまま試験かごの中に入れてよい。あるいは、繊維製品が湿式不織布またはエアレイ不織布の形態をとる場合は、1cm×1cmの大きさに切断した不織布片10g分を試験かごの中に入れるとよい。
上記の方法において沈降速度を測定したときに、1分、特に5分、より特には10分経過した時点で、サンプルが吸水するものの水面下までは沈降しないものが、撥水性セルロース繊維として好ましく用いられる。1分経過した時点で、サンプルが沈降せず、水面に一部ないしは全部浮いているものは、撥水性セルロース繊維としてより好ましく用いられる。
なお、撥水性セルロース繊維は表面が撥水処理されていることにより、撥水性を示し、上記のような沈降速度を示すが、一旦湿潤すると繊維内部に水分を保つ性質を有する。そのため、撥水性セルロース繊維(特に撥水性レーヨン)の公定水分率は撥水処理されていない同種のセルロース繊維と同等であり、その二次膨潤度は撥水処理されていないセルロース繊維よりは劣るが、一般的な合成繊維のそれよりも高い傾向にある。例えば、撥水処理されていないビスコースレーヨンとして二次膨潤度(水膨潤度:JIS L1015:2010 8.26に従って測定される)が80%以上90%以下程度のものがあり、撥水性レーヨンとして二次膨潤度が45%以上55%以下程度のものがある。また、撥水性レーヨンとして公定水分率(JIS L 1015に準じて測定される)が10%以上12%以下程度のものがあり、これは撥水処理されていない一般的なレーヨンの公定水分率(11%)と同等である。
(親水性セルロース繊維)
本実施形態では、第1繊維層を、撥水性セルロース繊維と親水性セルロース繊維とを組み合わせて構成し、第1繊維層と第2繊維層との間に位置する中間繊維層を、繊維長10mm未満の親水性セルロース繊維を含むように構成する。
「親水性セルロース繊維」という用語は、撥水性セルロース繊維と区別するために用いられるものであり、撥水性が付与されておらず、本来の親水性を有するセルロース繊維を指す。したがって、親水性セルロース繊維の例は、撥水性セルロース繊維に関して説明したとおりである。
本実施形態では、第1繊維層を、撥水性セルロース繊維と親水性セルロース繊維とを組み合わせて構成し、第1繊維層と第2繊維層との間に位置する中間繊維層を、繊維長10mm未満の親水性セルロース繊維を含むように構成する。
「親水性セルロース繊維」という用語は、撥水性セルロース繊維と区別するために用いられるものであり、撥水性が付与されておらず、本来の親水性を有するセルロース繊維を指す。したがって、親水性セルロース繊維の例は、撥水性セルロース繊維に関して説明したとおりである。
親水性セルロース繊維は、再生繊維であってよい。再生繊維は繊度の調整が容易であること、およびばらつきの小さいものであることから、好ましく用いられる。再生繊維のうち、ビスコースレーヨンは、コスト的に有利であることから、特に好ましく用いられる。特に第1繊維層に含まれる親水性セルロース繊維がビスコースレーヨンである場合、ビスコースレーヨンは繊維強度が比較的小さく柔らかいこと、繊度および繊維長のばらつきが小さく均一に交絡することから、第1繊維層の皮膚への密着性を良好にしやすい。
親水性セルロース繊維の繊度は、例えば、0.2dtex以上6.0dtex以下の繊度を有してよく、特に0.3dtex以上4.5dtex以下であってもよく、より特には0.4dtex以上4.0dtex以下であってもよく、さらにより特には0.6dtex以上3.0dtex以下であってもよい。親水性セルロース繊維の繊度が小さすぎると、不織布に繊維塊(ネップ)が生じやすくなり、大きすぎると不織布の触感が低下することがある。親水性セルロース繊維の繊度はこれらの範囲に限定されない。特に天然繊維を使用する場合には、繊度の調整が難しいことから、上記範囲外の繊度のものを使用してよい。
第1繊維層に含まれる親水性セルロース繊維の繊維長は特に限定されず、例えば10mm以上であってよい。第1繊維層が親水性セルロース繊維を所定割合以上含むことで、繊維同士の交絡が確保され、もってシートの一体性が確保される。第1繊維層に含まれる親水性セルロース繊維の具体的な繊維長は、積層不織布の製造方法等に応じて選択してよい。積層不織布の製造方法(繊維層の作製方法)と繊維長の関係は、撥水性セルロース繊維に関連して説明したとおりである。
第1繊維層には、素材、繊維長および繊度のうち一つまたは複数が異なる親水性セルロース繊維を複数用いてもよい。
中間繊維層に含まれる親水性セルロース繊維の繊維長は10mm未満である。中間繊維層が短い親水性セルロース繊維を所定割合以上含むことで、第1繊維層の表面と第2繊維層の表面の特性、特に液体を含浸させた状態での密着性を同等のものとすることが可能となる。繊維長10mm未満の親水性セルロース繊維としては、例えば、機械パルプ、再生パルプおよび化学パルプ等のパルプがあり、また、製造過程で所望の繊維長にカットすることが比較的容易な再生繊維、溶融紡糸セルロース繊維および半合成繊維がある。
本実施形態では、中間繊維層に含まれる親水性セルロース繊維として、パルプが好ましく用いられる。パルプは針葉樹木材または広葉樹木材を用いて常套の方法で製造されたものであってよい。一般的に、パルプ繊維の繊度は、1.0dtex~4.0dtex程度、繊維長は0.8mm~4.5mm程度である。
パルプは衛生用品の材料として使用されている実績があることから消費者に受け入れられやすく、また、生分解性を有することから、使い捨てのシートを構成する材料として好ましく用いられる。さらに、木材を原料とするパルプは、後述するように水流交絡法で不織布を製造する場合に、第1繊維層に含まれる親水性セルロース繊維および第2繊維層に含まれる親水性繊維と交絡しやすい。そのため、パルプを含む中間繊維層によれば、第1および第2繊維層の繊維構成を調整することで、中間繊維層と第1および第2繊維層との交絡度合いを調整し、それによりこれらの繊維層の表面特性を調節することが容易となる。
パルプは衛生用品の材料として使用されている実績があることから消費者に受け入れられやすく、また、生分解性を有することから、使い捨てのシートを構成する材料として好ましく用いられる。さらに、木材を原料とするパルプは、後述するように水流交絡法で不織布を製造する場合に、第1繊維層に含まれる親水性セルロース繊維および第2繊維層に含まれる親水性繊維と交絡しやすい。そのため、パルプを含む中間繊維層によれば、第1および第2繊維層の繊維構成を調整することで、中間繊維層と第1および第2繊維層との交絡度合いを調整し、それによりこれらの繊維層の表面特性を調節することが容易となる。
親水性セルロース繊維は、撥水性セルロース繊維の撥水性の評価方法として説明した方法で沈降速度を測定したときに、60秒以内にサンプルが水面下に沈むようなものであってよい。親水性セルロース繊維は、サンプルをビーカー内の水面に落としてから、例えば50秒以内、特に45秒以内、より特には30秒以内に、吸水して水面下に沈むものであってよい。
(親水性繊維)
親水性繊維は第2繊維層に含まれて、第2繊維層を構成する。親水性繊維は、具体的には、上記において説明した親水性セルロース繊維のほか、セルロース繊維以外の天然繊維(例えば、シルク、およびウールなど)、ならびに親水性を有する合成繊維、または疎水性の合成繊維(公定水分率が5%未満の合成繊維)に親水化処理を施したもの等である。親水化処理として、例えば、コロナ放電処理、スルホン化処理、グラフト重合処理、繊維への親水化剤の練り込み、および耐久性油剤の塗布が挙げられる。
親水性繊維は第2繊維層に含まれて、第2繊維層を構成する。親水性繊維は、具体的には、上記において説明した親水性セルロース繊維のほか、セルロース繊維以外の天然繊維(例えば、シルク、およびウールなど)、ならびに親水性を有する合成繊維、または疎水性の合成繊維(公定水分率が5%未満の合成繊維)に親水化処理を施したもの等である。親水化処理として、例えば、コロナ放電処理、スルホン化処理、グラフト重合処理、繊維への親水化剤の練り込み、および耐久性油剤の塗布が挙げられる。
親水性繊維は、上述した親水性セルロース繊維であってよく、その場合、第2繊維層に含まれる親水性繊維と、第1繊維層に含まれる親水性セルロース繊維は、同じであってよい。第1繊維層と第2繊維層に含まれる親水性セルロース繊維が同じであると、不織布の両面の密着性だけでなく、触感等の点でも差が少なくなり、両面の装着感の差をより小さくし得る。例えば、二つの繊維層に共通して含まれる親水性セルロース繊維は、ビスコースレーヨンであってよい。
あるいは、本実施形態において、第2繊維層に含まれる親水性繊維は、第1繊維層に含まれる親水性セルロース繊維とは異なるものであってよい。ここで、親水性繊維と親水性セルロース繊維の異同は、繊維を構成する素材の違いを指し、例えば消費者庁から公表されている「繊維の名称を示す用語」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/fiber/fiber_term.html)において「繊維等の種類」の欄にて分類された分類の違いを指す。
例えば、第1繊維層において親水性セルロース繊維としてビスコースレーヨンを含む場合、第2繊維層には親水性繊維としてコットンが含まれてよい。あるいはその逆でもよい。ビスコースレーヨンとコットンはともに親水性セルロース繊維であるが、その素材が互いに異なるものである。第1繊維層の親水性セルロース繊維と第2繊維層の親水性繊維とが異なる場合には、それぞれの繊維が有する特徴を不織布に活かすことができ、シート特性(例えば、機械的特性または触感)をより良好にし得ることがある。第1繊維層に含まれる親水性セルロース繊維と第2繊維層に繊維層に含まれる親水性繊維の組み合わせの他の例として、例えば、溶剤紡糸セルロース繊維/ビスコースレーヨン、および溶剤紡糸セルロース繊維/コットンが挙げられる。これらの組み合わせにおいて、各繊維が含まれる繊維層は特に限定されず、第2繊維層に一方の繊維が含まれれば、第1繊維層に他方の繊維が含まれ、第1繊維層に一方の繊維が含まれれば、第2繊維層に他方の繊維が含まれる。
本実施形態の一例において、第2繊維層に含まれる親水性繊維の一部または全部はコットンであることが好ましい。コットンは、天然素材として使用された実績が長く、衣服および衛生材料の素材として広く使用されていて、肌に優しく、触感が良好であるとともに、安全なものとして消費者に認識されている。したがって、コットンを使用することにより、シートの訴求力をさらに向上させ得る。また、コットンは繊維強度が比較的高く、不織布の物性を向上させやすいこと、コットンは繊度および繊維長が不均一であり、比較的繊度が太く、かつ繊維長の短いものも含まれるため、中間繊維層の繊維長が短い親水性セルロース繊維と交絡しやすい。そのため、中間繊維層との間で交絡を確保しやすい。
さらに、コットンはその保水性がやや小さく、このことは水流による交絡性が高くて繊維層内の繊維間空隙を小さくすることと相まって、第2繊維層の吸水性ないしは保水性を低下させやすい。それにより、撥水性セルロース繊維を使用する第1繊維層との間で保水性の差が小さくなる。これらの理由により、本実施形態では、撥水セルロース繊維がビスコースレーヨンであり、コットンとは異なる素材である場合でも、第1繊維層と第2繊維層との間で、皮膚への密着性の差が生じにくくなると考えられる。
さらに、コットンはその保水性がやや小さく、このことは水流による交絡性が高くて繊維層内の繊維間空隙を小さくすることと相まって、第2繊維層の吸水性ないしは保水性を低下させやすい。それにより、撥水性セルロース繊維を使用する第1繊維層との間で保水性の差が小さくなる。これらの理由により、本実施形態では、撥水セルロース繊維がビスコースレーヨンであり、コットンとは異なる素材である場合でも、第1繊維層と第2繊維層との間で、皮膚への密着性の差が生じにくくなると考えられる。
コットンを使用する場合、コットンは不織布製造に一般的に用いられているものを任意に使用できる。具体的には、例えば、0.5dtex以上3.5dtex以下の繊度、および20mm以上60mm以下の繊維長(平均繊維長) を有するコットンを使用できる。繊維長および種類の異なるコットンを複数用いてよい。
本実施形態の別の例において、第2繊維層に含まれる親水性繊維の一部または全部は、再生繊維であることが好ましい。再生繊維は、繊度の調整が容易であること、およびばらつきの小さいものであること、ならびに積層不織布全体を柔軟なものとすることから、好ましく用いられる。再生繊維のうち、ビスコースレーヨンは、コスト的に有利であること、および(特に溶剤紡糸セルロース繊維と比較して)湿潤時強度が低く、柔軟であること、および保水性が高いことから、特に好ましく用いられる。また、第2繊維層の親水性繊維がビスコースレーヨンである場合には、水流による中間層への交絡性が例えばコットンと比較して小さい傾向にあるため、繊維同士が緊密に交絡することによる不織布の剛性向上が抑制され、柔らかな積層不織布を与えることができる。ビスコースレーヨンを使用する場合、繊維それ自体の保液性が大きいため、第2繊維層において繊維同士が緊密に交絡して繊維間空隙が小さくなっても、全体の保液特性を第1繊維層と同等のものとすることができる。
コットン等の天然繊維以外の親水性繊維であって、繊度の調節可能なものを用いる場合、その繊度は上述した第1繊維層に含まれる親水性セルロース繊維の繊度と同じ、又はその差が絶対値で2.0dtex以下であってよい。これにより、二つの繊維層の表面の密着性、風合いおよび触感がより類似し、シート両面の装着感の差をより小さくし得る。あるいは、第2繊維層に含まれる親水性繊維の繊度を第1繊維層に含まれる親水性セルロースの繊度より、例えば1.0dtex以上小さくしてよく、それにより、第2繊維層の表面をより緻密で滑らかなものとし得る。
親水性繊維が特に再生繊維である場合、再生繊維は、例えば、0.2dtex以上6.0dtex以下の繊度を有してよく、特に0.3dtex以上5.5dtex以下であってもよく、より特には0.4dtex以上4.5dtex以下であってもよく、さらにより特には0.6dtex以上3.0dtex以下であってもよい。再生繊維の繊度が小さすぎると、不織布に繊維塊(ネップ)が生じやすくなり、大きすぎると不織布の触感が低下することがある。
本実施形態において、第2繊維層に含まれる親水性繊維の繊維長は特に限定されず、例えば10mm以上の繊維長を有してよい。不織布を後述するように水流交絡法により製造する場合に、良好な水流交絡性を示す親水性繊維の繊維長をある程度長くする(例えば、10mm以上とする)ことで、不織布の強度を確保できる。親水性繊維の繊維長は、積層不織布の製造方法等に応じて適宜選択してよい。積層不織布の製造方法(繊維層の作製方法)と繊維長の関係は、撥水性セルロース繊維に関連して説明したとおりである。
本実施形態においては、素材、繊維長、および繊度のうち一つまたは複数が異なる親水性繊維を、複数用いてもよい。
本実施形態においては、素材、繊維長、および繊度のうち一つまたは複数が異なる親水性繊維を、複数用いてもよい。
親水性繊維は、撥水性セルロース繊維の撥水性の評価方法として説明した方法で沈降速度を測定したときに、60秒以内にサンプルが水面下に沈むようなものであってよい。親水性繊維は、サンプルをビーカー内の水面に落としてから、例えば50秒以内、特に45秒以内、より特には30秒以内に、吸水して水面下に沈むものであってよい。
(接着性繊維)
本実施形態の積層不織布は、後述するとおり、第1繊維層、第2繊維層または中間繊維層に接着性繊維を含んでよい。接着性繊維は、積層不織布において繊維同士を接着する役割をし、積層不織布の強度を向上させ、また、積層不織布の過度の伸びを抑制する。接着性繊維は、一般には、熱可塑性樹脂からなる合成繊維であり、加熱により接着性を示す熱接着性繊維であるが、接着性を有する限りにおいて熱接着性のものでなくてよく、また、合成繊維以外のものであってよい。接着性繊維は、上述した親水性繊維が接着性を有するものであってもよい。
本実施形態の積層不織布は、後述するとおり、第1繊維層、第2繊維層または中間繊維層に接着性繊維を含んでよい。接着性繊維は、積層不織布において繊維同士を接着する役割をし、積層不織布の強度を向上させ、また、積層不織布の過度の伸びを抑制する。接着性繊維は、一般には、熱可塑性樹脂からなる合成繊維であり、加熱により接着性を示す熱接着性繊維であるが、接着性を有する限りにおいて熱接着性のものでなくてよく、また、合成繊維以外のものであってよい。接着性繊維は、上述した親水性繊維が接着性を有するものであってもよい。
接着性繊維が合成繊維である場合、合成繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートおよびその共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等を含む)、ポリブテン-1、プロピレンを主たる成分とするプロピレン共重合体(プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1-エチレン共重合体を含む)、エチレン-ビニルアルコール共重合体、およびエチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン12およびナイロン66のようなポリアミド系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレンおよび環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチック、ならびにそれらのエラストマーから任意に選択される1または複数の熱可塑性樹脂からなるものであってよい。
合成繊維は、単一成分(「単一セクション」ともいう)からなる単一繊維であってよく、および/または複数の成分(「セクション」ともいう)から構成される複合繊維であってよい。複合繊維は、例えば、同心または偏心の芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維、または分割型複合繊維等であってよい。繊維の断面は円形であっても非円形であってもよく、非円形の形状としては、楕円形、Y形、X形、井形、多葉形、多角形、星形等が挙げられる。また、合成繊維は、中空断面を有するものであってよい。単一繊維および複合繊維のいずれの場合も、繊維を構成する各セクションは、一種類の樹脂からなっていてよく、あるいは二種以上の樹脂が混合されたものであってもよい。
合成繊維が単一繊維である場合には、単一繊維は、上記ポリオレフィン系樹脂、上記ポリエステル系樹脂、上記ポリアミド系樹脂、および上記アクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種以上の樹脂からなるものであってよい。より具体的には、ポリエチレン単一繊維、ポリプロピレン単一繊維、ポリエチレンテレフタレート単一繊維等を用いてよい。
合成繊維が複合繊維である場合には、融点の最も低い熱可塑性樹脂が繊維表面の一部を構成するように、二以上の成分を配置してよい。その場合、不織布を生産する工程において、最も融点が低い熱可塑性樹脂からなる成分(以下、「低融点成分」)が溶融または軟化する条件で熱を加えると、低融点成分が接着成分となる。融点のより高い熱可塑性樹脂である第1成分と、融点のより低い熱可塑性樹脂である第2成分とからなる複合繊維を構成する樹脂の組み合わせ(第1/第2)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、およびポリエチレンテレフタレート/プロピレン共重合体等のポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂との組み合わせ、ならびにポリプロピレン/ポリエチレン、およびポリプロピレン/プロピレン共重合体等の二種類のポリオレフィン系の熱可塑性樹脂の組み合わせ、および融点の異なる二種類のポリエステル系樹脂の組み合わせである。
あるいは、第1成分と第2成分の組み合わせは生分解性を有する樹脂の組み合わせであってよく、そのような組み合わせによれば積層不織布における生分解性繊維の割合をより大きくすることができる。具体的には、第1成分をポリ乳酸、第2成分をポリブチレンサクシネートとすることで接着性繊維を生分解性のものとし得る。
単一繊維または複合繊維の構成成分として例示した熱可塑性樹脂は、具体的に示された熱可塑性樹脂を50質量%以上含む限りにおいて他の成分を含んでよい。具体的に示された熱可塑性樹脂は80質量%以上含まれていてよく、90質量%以上含まれていてよく、あるいは構成成分は具体的に示された熱可塑性樹脂から実質的に成っていてよい。ここで「実質的に」という用語は、通常、熱可塑性樹脂には各種の添加剤等が含まれていることを考慮して使用している。例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンの組み合わせにおいて、「ポリエチレン」はポリエチレンを50質量%以上含んでいれば、他の熱可塑性樹脂および添加剤等を含んでいてよい。このことは以下の例示においてもあてはまる。
合成繊維が、融点のより高い熱可塑性樹脂が第1成分として芯成分を構成し、融点のより低い熱可塑性樹脂が第2成分として鞘成分を構成する同心または偏心芯鞘型複合繊維である場合、芯/鞘の組み合わせは、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリプロピレン/プロピレン-エチレン共重合体、ポリプロピレン/プロピレン-ブテン-1-エチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/プロピレン共重合体、ポリトリメチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/共重合ポリエステル(例えば、イソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレート)であってよい。これらの樹脂の組み合わせは、分割型複合繊維において用いてもよい。
芯鞘型複合繊維の場合、芯成分と鞘成分との複合比(芯成分:鞘成分)が体積比で80:20~20:80であることが好ましく、70:30~30:70であることがより好ましく、60:40~40:60であることがさらに好ましい。
分割型複合繊維の場合、二つの成分の比(第1:第2)は体積比で、80:20~20:80であることが好ましく、70:30~30:70であることがより好ましく、60:40~40:60であることがさらに好ましい。分割型複合繊維の場合、分割数(即ち、複合繊維におけるセクションの数)は、例えば、4以上、32以下であってよく、特に4以上、20以下であってよく、より特には6以上、10以下であってよい。
本実施形態においては、第1成分/第2成分の組み合わせが、ポリエチレンテレフタレート/共重合ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンである、芯鞘型複合繊維(同心または偏心)を接着性繊維として好ましく用いることができる。これらの繊維は、比較的低い温度(110℃以上130℃以下で接着性を示し、接着後の不織布の風合いを柔軟にすることから好ましく用いられる。
接着性繊維の繊度は、例えば、1.0dtex以上4.0dtex以下であってよく、特に1.5dtex以上2.5dtex以下であってよく、より特には1.6dtex以上2.4dtex以下、さらにより特には1.7dtex以上2.2dtex以下であってよい。接着性繊維の繊度が小さすぎると、積層不織布の強度が低く、積層不織布に伸びが生じやすくなることがあり、大きすぎると、積層不織布の触感を硬くすることがある。積層不織布に伸びが生じやすいと、例えば積層不織布をフェイスマスクとして使用する場合には、目や口の位置に設けた開口部の位置ずれが生じることがある。
特に接着性繊維が分割型複合繊維である場合、分割型複合繊維は分割前の繊度が1.0dtex以上4.0dtex以下であってよく、分割後に0.1dtex以上1.0dtex未満の接着性繊維を与えるものであってよい。
接着性繊維の繊維長は、特に限定されず、積層不織布の製造方法等に応じて適宜選択してよい。例えば、積層不織布の製造において第2繊維層がカードウェブを作製して製造される場合、接着性繊維は短繊維であってよい。この短繊維の繊維長は例えば10mm以上100mm以下としてよく、特に20mm以上75mm以下としてよく、より特には30mm以上65mm以下としてよい。あるいは、第2繊維層がエアレイ法で製造される場合、繊維長は例えば2mm以上20mm以下としてよい。
(他の繊維)
本実施形態の積層不織布は、上述の撥水性セルロース繊維および親水性セルロース繊維ならびに親水性繊維および接着性繊維以外の繊維を含んでいてよい。例えば、第1繊維層は、撥水性セルロース繊維および親水性セルロース繊維以外の他の繊維として、セルロース繊維以外の親水性繊維を含んでよい。
本実施形態の積層不織布は、上述の撥水性セルロース繊維および親水性セルロース繊維ならびに親水性繊維および接着性繊維以外の繊維を含んでいてよい。例えば、第1繊維層は、撥水性セルロース繊維および親水性セルロース繊維以外の他の繊維として、セルロース繊維以外の親水性繊維を含んでよい。
あるいは、他の繊維は、例えば、接着性繊維として機能しない合成繊維であってよい。具体的には、接着性繊維として、T℃で加熱したときに接着性を示す合成繊維を用いたときに、融点がT℃よりも高く、T℃で加熱したときに接着性を示さない合成繊維が他の繊維として含まれていてよい。したがって、ある合成繊維が接着性繊維として含まれるか、他の繊維として含まれるかは、それとともに不織布に含まれる合成繊維によって決定され、ある合成繊維は、接着性繊維として含まれる場合もあれば、他の繊維として含まれる場合もある。あるいはまた、積層不織布の製造過程において、合成繊維が接着性を示す温度以上の温度での熱処理が実施されない場合、合成繊維は接着性繊維ではなく、他の繊維として含まれることとなる。
例えば、ポリエステル(芯)/ポリプロピレン(鞘)からなる芯鞘型複合繊維は、ポリプロピレン(芯)/ポリエチレン(鞘)の組み合わせから成る芯鞘型複合繊維とともに用いる場合は、ポリエチレンが最も低い温度で熱接着性を示すために、他の繊維として含まれることとなる。一方、これが、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン6の組み合わせからなる分割型複合繊維とともに用いる場合、ポリプロピレンが最も低い温度で熱接着性を示すために、接着性繊維として含まれることとなる。
他の繊維の繊度は、例えば、1.0dtex以上4.0dtex以下であってよく、特に1.3dtex以上2.5dtex以下、より特には1.4dtex以上2.2dtex以下であってよい。他の繊維の繊度が小さすぎると、不織布にネップを生じさせ、風合いに影響が出ることがあり、大きすぎると、不織布の表面がざらついたものとなって、触感が低下することがある。
他の繊維の繊維長は、特に限定されず、不織布の製造方法等に応じて適宜選択してよい。積層不織布の製造方法(繊維層の作製方法)と繊維長の関係は、撥水性セルロース繊維および接着性繊維に関連して説明したとおりである。
(不織布の構成)
本実施形態の積層不織布は、第1繊維層と、第2繊維層と、これらの繊維層の間に位置する中間繊維層とが一体化されてなる。この積層不織布において、第1繊維層は撥水性セルロース繊維と親水性セルロース繊維を含み、第2繊維層は親水性繊維を含み、中間繊維層は繊維長が10mm未満の親水性セルロース繊維を含む。三つの繊維層は繊維同士の交絡により一体化されている。この積層不織布は、液体含浸皮膚被覆シートとして使用する場合、第1繊維層および第2繊維層のいずれをも皮膚接触面とすることができる。
本実施形態の積層不織布は、第1繊維層と、第2繊維層と、これらの繊維層の間に位置する中間繊維層とが一体化されてなる。この積層不織布において、第1繊維層は撥水性セルロース繊維と親水性セルロース繊維を含み、第2繊維層は親水性繊維を含み、中間繊維層は繊維長が10mm未満の親水性セルロース繊維を含む。三つの繊維層は繊維同士の交絡により一体化されている。この積層不織布は、液体含浸皮膚被覆シートとして使用する場合、第1繊維層および第2繊維層のいずれをも皮膚接触面とすることができる。
第1繊維層には、撥水性セルロース繊維と親水性セルロース繊維の両方が含まれる。撥水性セルロース繊維は第1繊維層を皮膚と接触させる際に、シートと皮膚との密着性を向上させる役割をする。親水性セルロース繊維は、後述するように繊維同士を高圧流体流、特に高圧水流を噴射して交絡させる場合に、繊維同士の交絡を確保してシートの一体性を確保する役割をする。第1繊維層が撥水性セルロース繊維のみで構成されると、第1繊維層内および第1繊維層と第2繊維層との間で繊維同士が十分に交絡せず、シートの一体性が損なわれることがある。一方、第1繊維層に含まれる親水性セルロース繊維の割合が大きすぎると、繊維同士の交絡が緊密になりすぎて、第1繊維層の表面の密着性が低下することがある。
本実施形態において、第1繊維層は、第1繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含んでよい。撥水性セルロース繊維の割合は、特に30質量%以上70質量%以下であってよく、より特には40質量%以上60質量%以下であってよく、さらにより特には45質量%以上55質量%以下であってよい。親水性セルロース繊維の割合は、特に30質量%以上70質量%以下であってよく、より特には40質量%以上60質量%以下であってよく、さらにより特には45質量%以上55質量%以下であってよい。ここで、第1繊維層に含まれる繊維の割合は、他の層と一体化される前の第1繊維層に含まれる繊維の割合である。したがって、他の層との一体化により、他の層を構成する繊維の一部が第1繊維層に混入しているとしても、当該混入した繊維は第1繊維層に含まれるものとはならない。
あるいは、本実施形態の積層不織布において、第1繊維層は、積層不織布の第1繊維層の表面における親水度が特定の範囲となるように撥水性セルロース繊維と親水性セルロース繊維を含むものであってよい。
積層不織布の第1繊維層の表面における親水度は、例えば、「JIS L 1907:2010 繊維製品の吸水性試験方法」や、「JIS R 3257:1999 基板ガラス表面のぬれ性試験方法」に記載の方法を利用して測定してよい。
積層不織布の第1繊維層の表面における親水度は、例えば、「JIS L 1907:2010 繊維製品の吸水性試験方法」や、「JIS R 3257:1999 基板ガラス表面のぬれ性試験方法」に記載の方法を利用して測定してよい。
例えば、第1繊維層に含まれる撥水性セルロース繊維が多くなり過ぎないような親水度の範囲と、第1繊維層に含まれる撥水性セルロース繊維が少なくなり過ぎないような親水度の範囲とによって、第1繊維層に含まれる撥水性セルロース繊維と親水性セルロース繊維の量を調整してよい。この場合の2つの親水度の範囲は、それぞれ異なる測定方法により測定された親水度であってよい。
本実施形態においては、3つの繊維層が繊維同士の交絡により一体化されているため、各繊維層の繊維が他の繊維層に移動する等して、一体化される前の各繊維層に含まれる繊維の割合を求めることが困難となることがある。親水度の測定はそのような場合に第1繊維層の表面が撥水性セルロース繊維によって適切な撥水性を有しているか否かを知る指標となり得る。
本実施形態において、第1繊維層は、撥水性セルロース繊維および親水性セルロース繊維以外の繊維を含んでよい。第1繊維層が、撥水性セルロース繊維および親水性セルロース繊維以外の繊維を含む場合、当該繊維の割合は第1繊維層の総質量を基準として、例えば40質量%以下であってよく、特に30質量%以下、より特には20質量%以下であってよい。撥水性セルロース繊維および親水性セルロース繊維以外の繊維の割合が多すぎると、撥水性セルロース繊維および/または親水性セルロース繊維の割合が小さくなり、シートの皮膚への密着性が低下することがあり、あるいは繊維同士の交絡が不十分となることがある。第1繊維層は、撥水性セルロース繊維および親水性セルロース繊維のみで構成されてよい。
第2繊維層は、親水性繊維を含む。第2繊維層は、撥水性セルロース繊維を含まない、または含むとしても10質量%未満、好ましくは5質量%以下の割合で含むものであってよい。第2繊維層が撥水性セルロース繊維を含む場合は、第2繊維層の総質量を基準とする第2繊維層に含まれる撥水性セルロース繊維の割合(質量%)が、第1繊維層の総質量を基準とする第1繊維層に含まれる撥水性セルロース繊維の割合(質量%)よりも小さいことが好ましい。より具体的には、例えば、第1繊維層の撥水性セルロース繊維の割合が、第2繊維層の撥水性セルロース繊維層の割合よりも、40質量%よりも多くなるように、第2繊維層の撥水性セルロース繊維の割合を選択することが好ましい。
第2繊維層は、積層不織布の機械的強度を確保する役割をする。後述するように繊維同士を高圧流体流、特に高圧水流を噴射して交絡させる場合に、第2繊維層に親水性繊維が含まれることで、繊維同士の交絡がより強固なものとなり、不織布の機械的強度を高くし得る。一方、撥水性セルロース繊維は特に水との親和性が小さいため、繊維同士の交絡に寄与しにくい傾向にある。そのため、本実施形態では撥水性セルロース繊維が第2繊維層に占める割合は、第1繊維層に占める割合よりも小さいことが好ましく、第2繊維層が撥水性セルロース繊維を含まないことがより好ましい。
第2繊維層は、積層不織布の機械的強度を確保する役割をする。後述するように繊維同士を高圧流体流、特に高圧水流を噴射して交絡させる場合に、第2繊維層に親水性繊維が含まれることで、繊維同士の交絡がより強固なものとなり、不織布の機械的強度を高くし得る。一方、撥水性セルロース繊維は特に水との親和性が小さいため、繊維同士の交絡に寄与しにくい傾向にある。そのため、本実施形態では撥水性セルロース繊維が第2繊維層に占める割合は、第1繊維層に占める割合よりも小さいことが好ましく、第2繊維層が撥水性セルロース繊維を含まないことがより好ましい。
また、第2繊維層に含まれる親水性繊維が多く含まれることにより、第2繊維層で多くの液体を保持することが可能となる。特に親水性繊維が親水性セルロース繊維である場合、繊維は高い吸液性を示すので、これが第2繊維層に多く含まれると、第2繊維層でさらに多くの液体を保持することが可能となる。したがって、第2繊維層は、それに含まれる親水性繊維の吸水特性と、高い流体(例えば水流)交絡性による小さな繊維間空隙とのバランスをとることで、第1繊維層とは異なる繊維構成で、その保液特性を第1繊維層のそれと類似又は均衡させることを可能にする。
本実施形態において、第2繊維層は、第2繊維層の総質量を基準として、親水性繊維を50質量%以上含んでよい。親水性繊維の割合は、特に70質量%以上であってよく、より特には80質量%以上であってよく、さらにより特には90質量%以上であってよい。親水性繊維の割合の上限は、例えば100質量%であってよく、特に95質量%、より特には90質量%であってよい。ここで、第2繊維層に含まれる繊維の割合は、第1繊維層および中間繊維層と一体化される前の第2繊維層に含まれる繊維の割合である。したがって、第1繊維層および中間繊維層との一体化により、これらの層を構成する繊維の一部が第2繊維層に混入しているとしても、当該混入した繊維は第2繊維層に含まれるものとはならない。
第2繊維層が撥水性セルロース繊維を含む場合、第2繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を50質量%以下含んでよい。撥水性セルロース繊維の割合は、特に30質量%以下であってよく、より特には10質量%未満であってよく、さらにより特には5質量%以下であってよい。第2繊維層は、第2繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を含んでいなくてもよく、0質量%以上含んでよく、特に0質量%より多く含んでよく、より特には5質量%以上含んでよく、さらにより特には10質量%以上含んでよい。
本実施の形態の積層不織布は、前述のとおり第1および第2繊維層の繊維組成が異なっていても、両面の密着性に大きな差が生じないことを可能としたものである。そのため、第2繊維層が撥水性セルロース繊維を10質量%未満、特に5質量%以下で含み、あるいはまったく含まないとしても、最終的に得られる液体含浸皮膚被覆シートの表裏差を感じさせにくい。
あるいは、本実施形態の積層不織布において、第2繊維層は、積層不織布の第2繊維層の表面における親水度が特定の範囲となるように親水性繊維を含むものであってよい。積層不織布の第2繊維層の表面における親水度の測定は、第1繊維層の表面における親水度の測定に関連して説明した方法等を利用して実施してよい。
あるいはまた、本実施形態の積層不織布は、第1繊維層の表面および第2繊維層の表面のランオフの比(第1/第2)が1.1以上となるように、第1繊維層が撥水性セルロース繊維および親水性セルロース繊維を含み、第2繊維層が親水性繊維を含んでよい。第1繊維層の表面および第2繊維層の表面のランオフ比は、特に1.2以上、より特には1.3以上であってよい。ランオフ比の上限は、例えば6.5、特に5.5、より特には5.0であってよい。両面のランオフ比が大きいほど、第1繊維層の表面における撥水性が第2繊維層のそれと比較してより高いことを意味し、撥水性セルロース繊維が第1繊維層表面により多く存在していることとなる。ランオフ比は以下の方法で求められる。
(ランオフ比の求め方)
25°の傾きがある試験台にろ紙を1枚置き両面テープで固定する(ろ紙サイズ30cm×10cm)。ろ紙の上に試料片を載せる。
試験台の上側端部から2.5cmの位置に分液漏斗の先が来るようにセットして、液を滴下する位置とする。分液漏斗に、メチレンブルーで青色に着色した蒸留水20mlを注ぐ。その試験台の下端に乾燥状態の吸収体 (商品名、キムタオル、日本製紙クレシア(株)製)。その後、分液漏斗から蒸留水を滴下し、滴下後の吸収体の重量を測定する。蒸留水を流す前後の吸収体の重量の差が、不織布に吸収されず不織布上を流れた蒸留水の量に相当するものとする。
上記の試験を、試料片の両面について行い、片面ずつ5回実施し、5回の測定量のうち最小値と最大値を引いた3回分の合計値を各面のランオフとした。両面それぞれについて求めた3回分の合計値を用い、第1繊維層/第2繊維層のランオフ比を求める。
25°の傾きがある試験台にろ紙を1枚置き両面テープで固定する(ろ紙サイズ30cm×10cm)。ろ紙の上に試料片を載せる。
試験台の上側端部から2.5cmの位置に分液漏斗の先が来るようにセットして、液を滴下する位置とする。分液漏斗に、メチレンブルーで青色に着色した蒸留水20mlを注ぐ。その試験台の下端に乾燥状態の吸収体 (商品名、キムタオル、日本製紙クレシア(株)製)。その後、分液漏斗から蒸留水を滴下し、滴下後の吸収体の重量を測定する。蒸留水を流す前後の吸収体の重量の差が、不織布に吸収されず不織布上を流れた蒸留水の量に相当するものとする。
上記の試験を、試料片の両面について行い、片面ずつ5回実施し、5回の測定量のうち最小値と最大値を引いた3回分の合計値を各面のランオフとした。両面それぞれについて求めた3回分の合計値を用い、第1繊維層/第2繊維層のランオフ比を求める。
両面のランオフ比(第1/第2)が1.1以上であると、撥水性セルロース繊維を第1繊維層に多く含有させることの効果が得られやすく、第1繊維層の柔らかさや密着性を良好なものとし得る。両面のランオフ比が小さすぎる場合、両方の繊維層に含まれる撥水性セルロース繊維の割合がより近くなる。両面のランオフ比が1により近く、且つ両面のランオフがともに大きい場合には、撥水性セルロース繊維の割合が大きく、不織布全体が柔らかくなりすぎて、不織布の機械的特性が不十分となることがある。また、両面のランオフ比が1により近く、且つ両面のランオフがともに小さい場合には、第1繊維層に含まれる撥水性セルロース繊維の割合が小さくて、十分な密着力を得られないことがある。一方、両面のランオフ比が大きすぎる場合、第1繊維層に含まれる撥水性セルロース繊維の割合が大きく、両面で同等の密着性を示す不織布を得ることが難しくなることがある。
本実施形態において、第2繊維層は、親水性繊維以外の繊維を含んでよい。第2繊維層が親水性繊維以外の繊維を含む場合、当該繊維の割合は第2繊維層の総質量を基準として、例えば40質量%以下であってよく、特に30質量%以下、より特には25質量%以下であってよい。親水性繊維以外の繊維の割合が大きすぎると、親水性繊維の割合が小さくなり、積層不織布の保液性および/または機械的強度が不十分となることがある。第2繊維層は、親水性繊維のみで構成されてよい。
本実施形態において、中間繊維層は、中間繊維層の総質量を基準として、繊維長10mm未満の親水性セルロース繊維を70質量%以上含んでよい。繊維長10mm未満の親水性セルロース繊維の割合は、特に75質量%以上、より特には80質量%以上であってよい。あるいは中間繊維層は繊維長10mm未満の親水性セルロース繊維のみで構成されていてよい。中間繊維層は、繊維長10mm未満の親水性セルロース繊維以外の繊維として、接着性繊維などを含んでよい。これらの他の繊維の繊維長は好ましくは10mm未満である。ここで、中間繊維層に含まれる各繊維の割合は、他の層と一体化される前の中間繊維層に含まれる繊維の割合である。したがって、他の層との一体化により、他の層を構成する繊維の一部が中間繊維層に混入しているとしても、当該混入した繊維は中間繊維層に含まれるものとはならない。
本実施形態において、中間繊維層は湿式不織布であってよい。より具体的には、中間繊維層は湿式不織布として提供された繊維ウェブが第1繊維層および第2繊維層の繊維と交絡一体化されたものであってよい。
第1繊維層、第2繊維層または中間繊維層は、接着性繊維を含んでよい。その場合、積層不織布において、繊維同士がこの接着性繊維で接着されていることが好ましい。接着性繊維により繊維同士が接着されることで、積層不織布の機械的強度がより向上し得る。
第1繊維層、第2繊維層または中間繊維層が接着性繊維を含む場合、接着性繊維は、それぞれの繊維層の総質量を基準として、例えば10質量%以上30質量%以下含まれてよく、特に15質量%以上28質量%以下、より特には20質量%以上25質量%以下含まれてよい。接着性繊維の占める割合が大きすぎると、それぞれの繊維層における保液性、ひいては積層不織布全体の保液性が低下することがある。
接着性繊維が分割型複合繊維である場合、分割前の分割型複合繊維は、それぞれの繊維層の総質量を基準として、10質量%以上30質量%以下含まれるとよく、特に15質量%以上28質量%以下、より特には20質量%以上25質量%以下含まれてよい。分割後においては接着性を示している繊維が、それぞれの繊維層の総質量を基準として、5質量%以上15質量%以下含まれるとよく、特に7.5質量%以上14質量%以下、より特には10質量%以上12.5質量%以下含まれてよい。
後述する製造方法に従い、高圧流体流、特に高圧水流を噴射して繊維同士を交絡させると、中間繊維層と第2繊維層との間で繊維同士の交絡がより進行する傾向にある。本実施形態において、第1繊維層と中間繊維層との間の繊維の交絡度合いは、第2繊維層と中間繊維層との間の繊維の交絡度合いよりも小さい傾向にある。第1繊維層に撥水セルロース繊維が多く含まれるため、第1繊維層の交絡が比較的弱く嵩高な状態となりやすく、中間繊維層を構成する繊維との交絡も比較的弱いからと考えられる。
第2繊維層の親水性繊維をコットンとする場合、コットンは例えばビスコースレーヨンと比較して中間繊維層と交絡しやすく、また、コットンの繊度および繊維長が不均一であることと相まって、第2繊維層表面における繊維の配列がランダムなものとなりやすい。一方、第2繊維層の親水性繊維がレーヨン等の再生繊維である場合には、第2繊維層における繊維表面における繊維の配列は比較的一方向(機械方向)に揃ったものとなる傾向にある。
本実施形態の積層不織布において第2繊維層が親水性繊維として親水性セルロース繊維を含む場合、積層不織布の総質量を基準としてセルロース繊維(撥水性セルロース繊維および親水性セルロース繊維の両方を含み、また、両方に当てはまらないセルロース繊維も含む)を、例えば70質量%以上含んでよく、特に85質量%以上、より特には95質量%以上含んでよい。セルロース繊維をより多く含むことで、積層不織布の生分解性が高くなり、これを用いたシートを環境への負荷が少ない製品として提供することができる。本実施形態の積層不織布は、セルロース繊維のみで構成されていてよい。
本実施形態において、第1繊維層と第2繊維層とこれらの繊維層の間に位置する中間繊維層は繊維同士が交絡することにより一体化されている。繊維同士の交絡は、例えば、ニードルパンチ処理、または高圧流体流(特に水流)交絡処理によるものであってよい。本実施形態では、高圧流体流(特に水流)交絡処理により繊維同士が一体化されていることが好ましい。高圧流体流交絡処理によれば、繊維同士を緊密に交絡させて、不織布の表面を滑らかなものとすることができる。また、高圧流体流が高圧水流である場合には、第1繊維層および中間繊維層に含まれる親水性セルロース繊維ならびに第2繊維層に含まれる親水性繊維による交絡がより強固なものとなりやすい。
本実施形態の積層不織布において、一部または全部の繊維層が接着性繊維を含む場合、接着性繊維により繊維同士が接着していてよい。繊維同士が交絡に加えて接着されることで、不織布の機械的強度をより向上させることができる。
本実施形態において、各繊維層の目付は特に限定されない。第1繊維層の目付は、例えば10g/m2以上、特に15g/m2以上であってよく、より特には20g/m2以上であってよい。第1繊維層の目付の上限は、例えば70g/m2であり、特に50g/m2、より特には30g/m2である。第1繊維層の目付が大きすぎる場合、厚みが大きくなることで繊維の交絡が不十分となり、第1繊維層の表面が毛羽立ちやすくなることがある。第1繊維層の目付が小さすぎる場合、中間繊維層が不織布表面に現れやすくなり、交絡の際に地合が乱れやすくなることがある。
第2繊維層の目付は、例えば10g/m2以上であってよく、特に15g/m2以上、より特には20g/m2以上あってよい。第2繊維層の目付の上限は、例えば70g/m2であり、特に50g/m2、より特には30g/m2である。第2繊維層の目付が大きすぎる場合、厚みが大きくなることで繊維の交絡が不十分となり、第2繊維層の表面が毛羽立ちやすくなることがある。第2繊維層の目付が小さすぎる場合、中間繊維層が不織布表面に現れやすくなり、交絡の際に地合が乱れやすくなることがある。
中間繊維層の目付は、例えば10g/m2以上、特に12g/m2以上であってよく、より特には13g/m2以上であってよい。中間繊維層の目付の上限は、例えば40g/m2であり、特に35g/m2、より特には30g/m2である。中間繊維層の目付が大きすぎる場合、各層間で繊維同士の交絡が不十分となることがある。中間繊維層の目付が小さすぎる場合、十分な量の液体を保持できないことがある。
第1繊維層と第2繊維層の目付の比(第1/第2)は、例えば7/1~1/7であってよく、特に3/1~1/3、より特には1.5/1~1/1.5であってよい。二つの繊維層の目付の比がこれらの範囲内にあると、繊維同士の交絡を十分なものとし得る。また、中間繊維層と第2繊維層の目付の比(中間/第2)は、例えば7/1~1/7であってよく、特に3/1~1/3、より特には1.5/1~1/1.5であってよい。中間繊維層と第2繊維層の目付の比がこれらの範囲内にあると、中間繊維層と第2繊維層との交絡がより密になり、また、中間繊維層が液体を十分に保持しやすくなる。
積層不織布全体の目付もまた特に限定されず、例えば、30g/m2以上であってよく、特に40g/m2以上、より特には45g/m2以上であってよい。積層不織布全体の目付の上限は、例えば120g/m2であってよく、特に100g/m2、より特には80g/m2であってよい。不織布の目付は用途や含浸すべき液体の量等に応じて決定され、例えば、シートがフェイスマスクである場合には、不織布の目付は30g/m2以上80g/m2以下、特に40g/m2以上75g/m2以下としてよい。シートがアイシート(目元パックともいう)である場合には、不織布の目付は、40g/m2以上80g/m2以下、特に45g/m2以上75g/m2以下としてよい。積層不織布全体の目付が大きすぎる場合、シートの質量が大きくなり、皮膚に貼り付けたときに重みで剥がれやすくなることがある。積層不織布全体の目付が小さすぎる場合、十分な量の液体を保持できないことがある。
積層不織布の厚さは、乾燥時において、294Paの荷重を加えた状態で、例えば0.2mm以上、特に0.3mm以上、より特には0.4mm以上であってよい。また、不織布の厚さは、例えば1.5mm以下、特に1.3mm以下、より特には1.2mm以下であってよい。また、不織布全体の厚さは、乾燥時において、1.96kPaの荷重を加えた状態で、例えば、0.2mm以上、特に0.3mm以上、より特には0.4mm以上であってよい。また、同荷重を加えた状態の不織布の厚さは、例えば1.3mm以下、特に1.1mm以下、より特には0.9mm以下であってよい。積層不織布の厚さが小さすぎると、不織布に含浸させ得る液体の量が少なくなって、所定量の液体を皮膚に供給できないことがある。積層不織布全体の厚さが大きすぎると、皮膚の曲面にシートを沿わせにくく、シートが部分的に浮く等して、シート全体で均等に皮膚を被覆することが難しくなることがある。
本実施形態の積層不織布は、後述する実施例で説明する方法で保水率を測定したときに、例えば1300%以下の保水率を示すものであってよい。本実施形態の不織布の保水率は、特に1200%以下であってよく、より特には1100%以下であってよく、さらにより特には1000%以下であってよい。本実施形態の保水率の下限は、例えば700%であってよく、特に750%、より特には800%であってよい。本実施形態の不織布は撥水性セルロース繊維を含んでいるために、高い保水率を示さない傾向にある。保水率が過度に大きくない積層不織布によれば、皮膚を被覆して液体による皮膚の処理が済んだ後で、廃棄されるシートに残存する液体の量を少なくすることが可能となり、液体の損失を小さくすることができる。
保水率は、各繊維層を構成する繊維の種類および割合、ならびに積層不織布の目付により変化することがある。したがって、本実施形態の積層不織布においては、上記の保水率が得られるように、これらを調整してよい。
本実施形態の積層不織布は、乾燥時のMD方向の引張強さが、例えば、50N/5cm以上160N/5cm以下であってよく、特に55N/5cm以上150N/5cm以下であってよく、より特には60N/5cm以上140N/5cm以下であってよい。乾燥時のMD方向の引張強さが低すぎると製品加工時に破断することがある。乾燥時のMD方向の引張強さが高すぎると不織布の風合いが良好でない場合がある。
本実施形態の積層不織布は、乾燥時のCD方向の引張強さが、例えば、4.5N/5cm以上30N/5cm以下であってよく、特に5.0N/5cm以上27N/5cm以下であってよく、より特には6.0N/5cm以上25N/5cm以下であってよい。乾燥時のCD方向の引張強さが低すぎると不織布にたて筋が入りやすくなる。乾燥時のCD方向の引張強さが高すぎると不織布の風合いが良好でない場合がある。
本実施形態の積層不織布は、乾燥時のMD方向の伸び率が、例えば、15%以上60%以下であってよく、特に20%以上50%以下であってよく、より特には22%以上48%以下であってよい。また、本実施形態の積層不織布は、乾燥時のCD方向の伸び率が、例えば、40%以上150%以下であってよく、特に50%以上140%以下であってよく、より特には55%以上130%以下であってよい。乾燥時のMD方向またはCD方向の伸び率が低すぎると不織布の風合いが良好でない場合がある。乾燥時のMD方向またはCD方向の伸び率が高すぎると製品加工時の打ち抜き時に不良が出やすくなる。
本実施形態の積層不織布は、乾燥時のMD方向の10%伸長時応力が、例えば、7.0N/5cm以上60N/5cm以下であってよく、特に8.0N/5cm以上50N/5cm以下であってよく、より特には9.0N/5cm以上40N/5cm以下であってよい。また、本実施形態の積層不織布は、乾燥時のCD方向の10%伸長時応力が、例えば、0.7N/5cm以上4.5N/5cm以下であってよく、特に0.8N/5cm以上4.0N/5cm以下であってよく、より特には0.9N/5cm以上3.8N/5cm以下であってよい。乾燥時のMD方向またはCD方向の10%伸長時応力が低すぎると製品加工時の打ち抜き時に不良が出やすくなる。乾燥時のMD方向またはCD方向の10%伸長時応力が高すぎると不織布の風合いが良好でない場合がある。
本実施形態の積層不織布は、湿潤時のMD方向の引張強さが、例えば、50N/5cm以上150N/5cm以下であってよく、特に53N/5cm以上140N/5cm以下であってよく、より特には55N/5cm以上130N/5cm以下であってよい。また、本実施形態の積層不織布は、湿潤時のCD方向の引張強さが、例えば、7.0N/5cm以上35N/5cm以下であってよく、特に7.5N/5cm以上32N/5cm以下であってよく、より特には8.0N/5cm以上30N/5cm以下であってよい。湿潤時のMD方向またはCD方向の引張強さが低すぎると製品となった液体含浸皮膚被覆シートの取り出し時に破断することがある。湿潤時のMD方向またはCD方向の引張強さが高すぎると積層不織布が折れ曲がりにくくなり、凹凸のある皮膚への追従性が低下することがある。
本実施形態の積層不織布は、湿潤時のMD方向の伸び率が、例えば、20%以上80%以下であってよく、特に25%以上75%以下であってよく、より特には28%以上72%以下であってよい。また、本実施形態の積層不織布は、湿潤時のCD方向の伸び率が、例えば、60%以上160%以下であってよく、特に65%以上155%以下であってよく、より特には70%以上150%以下であってよい。湿潤時のMD方向またはCD方向の伸び率が低すぎると皮膚へ積層不織布を貼り付けにくくなる。湿潤時のMD方向またはCD方向の伸び率が高すぎると製品となった液体含浸皮膚被覆シートの取り出し時に大きく伸びることがある。
本実施形態の積層不織布は、湿潤時のMD方向の10%伸長時応力が、例えば、2.0N/5cm以上30N/5cm以下であってよく、特に2.5N/5cm以上20N/5cm以下であってよく、より特には3.0N/5cm以上15N/5cm以下であってよい。また、本実施形態の積層不織布は、湿潤時のCD方向の10%伸長時応力が、例えば、0.20N/5cm以上2.5N/5cm以下であってよく、特に0.28N/5cm以上2.0N/5cm以下であってよく、より特には0.30N/5cm以上1.8N/5cm以下であってよい。湿潤時のMD方向またはCD方向の10%伸長時応力が低すぎると皮膚へ積層不織布を貼り付けにくくなる。湿潤時のMD方向またはCD方向の10%伸長時応力が高すぎると液体含浸皮膚被覆シートに目や口等の部分が打ち抜かれている場合、貼り付ける際に目や口等の位置が伸びてずれ、使用しにくいことがある。
本実施形態の積層不織布は、湿潤時のCD方向の単位目付あたりの10%伸長時応力が、例えば0.0090N/5cm以上であり、特に0.010N/5cm以上であってよい。湿潤時のCD方向の単位目付あたりの10%伸長時応力の上限は、例えば0.030N/5cmであり、特に0.025N/5cm、より特には0.020N/5cmであってよい。一般に、液体含浸皮膚被覆シートは、不織布のCD方向の両端を掴んで皮膚に貼付されるように設計されることが多く、貼付時にはシートを少し伸ばし気味にしながら、皮膚に貼付される。そのため、湿潤時のCD方向の単位目付あたりの10%伸長時応力は、利用者がシートを使用するときに感じる伸長性に影響を与え得る。湿潤時のCD方向の単位目付あたりの10%伸長時応力の0.0090N/5cm以上であると、適度な伸長性を利用者に感じさせ、また皮膚への密着性も良好となる。
本実施形態の積層不織布は、後述する静・動摩擦測定機(トライボマスターTL201Ts、株式会社トリニティラボ製)を用いて測定される第1繊維層表面の変動係数(CV)が、例えば、0.010以上0.036以下であってよく、特に0.015以上0.035以下であってよく、より特には0.020以上0.034以下であってよい。第1繊維層表面の動摩擦係数の変動係数が高すぎると積層不織布の風合いが良好でない場合がある。第1繊維層表面の動摩擦係数の変動係数が低すぎると皮膚の凹凸に追従しにくいことがある。
本実施形態の積層不織布は、第2繊維層表面の変動係数(CV)が、例えば、0.010以上0.036以下であってよく、特に0.015以上0.035以下であってよく、より特には0.020以上0.034以下であってよい。第2繊維層表面の動摩擦係数の変動係数が高すぎると積層不織布の風合いが良好でない場合がある。第2繊維層表面の動摩擦係数の変動係数が低すぎると皮膚の凹凸に追従しにくいことがある。
本実施形態の積層不織布は、第1繊維層表面の変動係数と第2繊維層表面の変動係数との差は絶対値で表したときに、例えば、0以上0.005以下であってよく、特に0以上0.004以下、より特には0以上0.003以下であってよい。変動係数の差がこれらの範囲内にあると、第1繊維層と第2繊維層との肌当たりの差を感じにくくなることがある。
本実施形態の積層不織布は、第1繊維層表面の15分後密着力(5cm×8cmの面積あたり)が、例えば、100gf以上270gf以下であってよく、特に120gf以上260gf以下であってよく、より特には125gf以上255gf以下であってよい。また、第2繊維層表面の15分後密着力は、例えば、100gf以上270gf以下であってよく、特に120gf以上260gf以下であってよく、より特には125gf以上255gf以下であってよい。第1繊維層表面および第2繊維層表面の15分後密着力が高すぎると積層不織布を皮膚から剥がしにくくなる。第1繊維層表面および第2繊維層表面の15分後密着力が低すぎると積層不織布が皮膚からずれ落ちやすくなる。
さらに、第1繊維層表面の15分後密着力と第2繊維層表面の15分後密着力の差は、絶対値で表したときに、例えば、40gf以下であってよく、特に30gf以下、より特には20gf以下であってよく、下限は、例えば、0gfであってよい。二つの繊維層の15分後密着力の差が小さいほど、積層不織布に液体を含浸させた状態で皮膚に貼り付けるときに、皮膚と接触させる面の違いによる装着感の違いをより感じにくくなる。密着力の差が大きくなるほど、二つの表面の装着感の差が大きくなって、二つの表面を区別せずにシートを使用することがより困難となる傾向にある。
本実施形態の不織布は、乾燥時の剛軟度が、例えば、135cN以下、特に115cN以下、より特には110cN以下であってよい。乾燥時の剛軟度の下限は、例えば、40cN、特に50cN、より特には60cNである。また、本実施形態の不織布は、湿潤時の剛軟度が、例えば、100cN以下、特に85cN以下、より特には75cN以下であってよい。湿潤時の剛軟度の下限は、例えば、25cN、特に30cN、より特には35cNである。
後述するように、剛軟度はハンドルオメーター法に準じて測定され、本実施形態では試料の四辺について測定した値の和を当該試料の剛軟度とし、これを不織布の柔軟性の指標として採用する。ハンドルオメーターの値が大きいほど、剛性の大きい不織布であるといえる。
剛軟度が小さすぎると、取り扱い性が悪い。剛軟度が大きすぎると、皮膚へ貼り付けた際に、シートが皮膚に沿いにくくなり、浮き上がることがある。
後述するように、剛軟度はハンドルオメーター法に準じて測定され、本実施形態では試料の四辺について測定した値の和を当該試料の剛軟度とし、これを不織布の柔軟性の指標として採用する。ハンドルオメーターの値が大きいほど、剛性の大きい不織布であるといえる。
剛軟度が小さすぎると、取り扱い性が悪い。剛軟度が大きすぎると、皮膚へ貼り付けた際に、シートが皮膚に沿いにくくなり、浮き上がることがある。
(不織布の製造方法)
本実施形態の積層不織布は、例えば、
撥水性セルロース繊維と親水性セルロース繊維を含む第1繊維ウェブを作製すること、
親水性繊維を含む第2繊維ウェブを作製すること、
繊維長が10mm未満である親水性セルロース繊維を70質量%以上含む第3繊維ウェブを準備すること、
第1繊維ウェブと第2繊維ウェブと第3繊維ウェブとを、第3繊維ウェブが第1繊維ウェブと第2繊維ウェブとの間に位置するように重ね合わせて積層繊維ウェブを作製すること、
積層繊維ウェブを、繊維同士を交絡させる処理に付すこと
を含む製造方法によって製造することができる。
本実施形態の積層不織布は、例えば、
撥水性セルロース繊維と親水性セルロース繊維を含む第1繊維ウェブを作製すること、
親水性繊維を含む第2繊維ウェブを作製すること、
繊維長が10mm未満である親水性セルロース繊維を70質量%以上含む第3繊維ウェブを準備すること、
第1繊維ウェブと第2繊維ウェブと第3繊維ウェブとを、第3繊維ウェブが第1繊維ウェブと第2繊維ウェブとの間に位置するように重ね合わせて積層繊維ウェブを作製すること、
積層繊維ウェブを、繊維同士を交絡させる処理に付すこと
を含む製造方法によって製造することができる。
第1繊維ウェブは第1繊維層となるウェブであり、第2繊維ウェブは第2繊維層となるウェブであり、第3繊維ウェブは中間繊維層となるウェブである。第1繊維ウェブおよび第2繊維ウェブに含まれる繊維の種類および割合は先に第1繊維層および第2繊維層に関連して説明したとおりであり、第3繊維ウェブに含まれる繊維の種類および割合は中間繊維層に関して説明したとおりであるから、ここでは省略する。第1繊維ウェブおよび第2繊維ウェブの目付も先に第1繊維層および第2繊維層に関連して説明したとおりであり、第3繊維ウェブの目付も先に中間繊維層に関連して説明したとおりであるから、ここでは省略する。
第1ないし第3繊維ウェブは、第3繊維ウェブが第1繊維ウェブと第2繊維ウェブとの間に位置するように積層される。必要に応じて、第1繊維ウェブ(または第2繊維ウェブ)と第3繊維ウェブとをあらかじめ積層した予備積層繊維ウェブを作製し、これに第2繊維ウェブ(または第1繊維ウェブ)を積層して、積層繊維ウェブを作製してよい。予備積層繊維ウェブは、繊維ウェブ間で繊維同士を予め一体化させたものであってよい。
第1繊維ウェブおよび第2繊維ウェブは、公知の方法で作製することができる。各繊維ウェブの形態は、例えば、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカードウェブ、エアレイウェブ、および湿式抄紙ウェブ等から選択されるいずれであってもよい。第1繊維ウェブと第2繊維ウェブの形態は互いに異なっていてよい。第1繊維ウェブがカードウェブであると、撥水性セルロース繊維を含むことに起因する密着性向上の効果を得やすくなる。第2繊維ウェブがカードウェブであると、第3繊維ウェブから第2繊維ウェブへ親水性セルロース繊維が移動しやすくなる。
第3繊維ウェブの形態もまた限定されず、第1および第2繊維ウェブに関連して例示した上記のいずれの形態であってよい。第3繊維ウェブは繊維長10mm未満の繊維を70質量%以上含むため、そのような繊維を用いたウェブ作製の容易さの点から、湿式抄紙ウェブまたはエアレイウェブであってよい。また、第3繊維ウェブとして、例えば湿式抄紙不織布として提供(例えば、販売)されているものを用いてよい。この場合、第3繊維ウェブは厳密にいえば繊維同士の交絡の度合いが小さいウェブの状態ではなく、繊維同士が一体化された不織布である。
第1繊維ウェブ/第3繊維ウェブ/第2繊維ウェブの積層構造を有する積層繊維ウェブは繊維同士を交絡させる処理に付される。繊維同士を交絡させる処理は、例えば、高圧流体流を用いた交絡処理であってよい。
高圧流体流処理において、高圧流体は、例えば、圧縮空気等の高圧気体、および高圧水等の高圧液体である。不織布の製造においては、高圧流体として高圧水を用いた水流交絡処理を用いることが多く、本実施形態においても、実施の容易性等の点から、水流交絡処理が好ましく用いられる。以下においては、高圧流体として高圧水(以下においては、単に「水流」とも呼ぶ)を用いた場合の製造方法を説明する。
水流交絡処理は、支持体に積層繊維ウェブを載せて、柱状水流を噴射することにより実施する。例えば、支持体は、80メッシュ以上、100メッシュ以下の平織の支持体であることが好ましい。水流交絡処理は、孔径0.05mm以上、0.5mm以下のオリフィスが0.3mm以上、1.5mm以下の間隔で設けられたノズルから、水圧1MPa以上、15MPa以下の水流を、積層繊維ウェブの表裏面にそれぞれ1~5回ずつ噴射することにより実施してよい。水圧は、好ましくは、1MPa以上、10MPa以下であり、より好ましくは、1MPa以上、7MPa以下である。
積層繊維ウェブの水流交絡処理は、水流を第2繊維ウェブの側にまず噴射し、それから第1繊維ウェブの側に噴射することが好ましい。第2繊維ウェブをまず水流に当てることで、第2繊維ウェブ中に含まれる親水性繊維による交絡がある程度進行し、また、中間繊維層となる第3繊維ウェブ中の親水性セルロース繊維との交絡も進行する。そのため、その後で第1繊維ウェブに水流を噴射したときに撥水性セルロース繊維が水をはじいても、水流による交絡が円滑に進行しやすくなる。また、第2繊維ウェブ側を先に水流噴射面とすることで、中間繊維層となる第3繊維ウェブから繊維長の短い親水性セルロース繊維を第2繊維ウェブ中に移動させることが容易となる。その結果、最終的に得られる不織布において第2繊維層の密着性を高くして、二つの表面の密着性の差を小さくすることができる。
第1繊維ウェブ、第2繊維ウェブまたは第3繊維ウェブが接着性繊維を含む場合、積層繊維ウェブを接着処理に付して、得られる積層不織布において繊維同士が接着された構成が得られるようにしてよい。接着処理は、熱接着処理であってよく、あるいは、電子線照射による接着、または超音波溶着であってよい。熱処理によれば、接着性繊維(例えば、複合繊維の低融点成分)が熱処理の際、加熱によって溶融または軟化して、積層繊維ウェブを構成する繊維同士を接着することができる。
熱処理は、例えば、熱風を吹き付ける熱風加工処理、熱ロール加工(熱エンボスロール加工)、または赤外線を使用した熱処理である。熱風加工処理は、所定の温度の熱風を積層繊維ウェブに吹き付ける装置、例えば、熱風貫通式熱処理機、または熱風吹き付け式熱処理機を用いて実施してよい。
熱処理温度(例えば、熱風の温度)は、接着性繊維を構成する成分であって、接着成分として機能させる成分が軟化または溶融する温度としてよい。例えば、熱処理温度は、当該成分の融点以上の温度としてよい。例えば、接着性繊維がポリエチレンを成分として含み、ポリエチレンを接着成分とする場合には、熱処理温度を130℃~150℃としてよく、ポリブチレンサクシネートを接着成分とする場合には、熱処理温度を120℃~133℃としてよい。
(液体含浸皮膚被覆シート)
本実施形態の積層不織布に液体を含浸させることにより、人または動物の皮膚を被覆するための液体含浸皮膚被覆シートが得られる。含浸させる液体および含浸量は、用途に応じて適宜選択される。シートを、対人用フェイスマスク、角質ケアシートおよびデコルテシートといった、対人用液体含浸皮膚被覆シートとして提供する場合には、有効成分を含む液体(例えば化粧料)を不織布100質量部に対して、500質量部以上2000質量部以下の含浸量で含浸させてよく、特に600質量部以上1800質量部以下の含浸量で含浸させてよく、より特には700質量部以上1500質量部以下の含浸量で含浸させてよい。有効成分は、例えば、保湿成分、角質柔軟成分、制汗成分、香り成分、美白成分、血行促進成分、紫外線防止成分、および痩身成分等であるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態の積層不織布に液体を含浸させることにより、人または動物の皮膚を被覆するための液体含浸皮膚被覆シートが得られる。含浸させる液体および含浸量は、用途に応じて適宜選択される。シートを、対人用フェイスマスク、角質ケアシートおよびデコルテシートといった、対人用液体含浸皮膚被覆シートとして提供する場合には、有効成分を含む液体(例えば化粧料)を不織布100質量部に対して、500質量部以上2000質量部以下の含浸量で含浸させてよく、特に600質量部以上1800質量部以下の含浸量で含浸させてよく、より特には700質量部以上1500質量部以下の含浸量で含浸させてよい。有効成分は、例えば、保湿成分、角質柔軟成分、制汗成分、香り成分、美白成分、血行促進成分、紫外線防止成分、および痩身成分等であるが、これらに限定されるものではない。
フェイスマスクは、顔を被覆するのに適した形状を有し、さらに、例えば、目、鼻および口に相当する部分に、必要に応じて打ち抜き加工による開口部又は切り込み部が設けられた形態で提供される。あるいは、フェイスマスクは、顔の一部分(例えば、目元、口元、鼻または頬)のみを覆うような形状のものであってよい。あるいはまた、フェイスマスクは、目の周囲を覆うシートと、口の周囲を覆うシートとから成るセットとして提供してよく、あるいは3以上の部分を別々に覆うシートのセットとして提供してよい。
角質ケアシートは角質が厚く、硬化しやすい踵、肘、膝などに使用される皮膚被覆シートであり、角質柔軟成分および保湿成分等を含む液体を含浸させることにより、角質に対し保湿や軟化を促す効果、あるいは余分な角質の除去を促進する効果を発揮する。本実施形態の不織布は、いずれの効果・効能を発揮する角質ケアシートにおいても、基材として使用することができる。角質ケアシート、例えば踵用の角質ケアシートは、貼り付ける際に、シートが踵の曲線に合わせやすくなるように、切り込みおよび/もしくは切り欠き、ならびに/またはシートの一部が打ち抜かれて開口部を有する形態で提供される。
液体含浸皮膚被覆シートは、身体の任意の部位(例えば、首、手の甲、首から胸元までの部位(デコルテとも呼ばれている))を保湿またはその他のケアをするために用いられる、保湿成分またはその他の有効を含む液体を含浸させた保湿シートであってよい。あるいは、液体含浸皮膚被覆シートは、痩身成分を含む液体を含浸させた、痩身用シートであってよい。痩身用シートは、例えば、大腿部または腹部に貼り付けて用いられる。
本実施形態の積層不織布を用いた液体含浸皮膚被覆シートは、積層不織布の第1繊維層および第2繊維層のいずれを皮膚接触面としても、同程度の良好な密着性を発揮し、装着感の差を利用者に感じさせにくい。
本実施形態の積層不織布において、第1繊維層の側の表面は、撥水性および親水性セルロース繊維を含み、構成繊維の多くがセルロース繊維であるために、チクチクとした触感を与えにくく、良好な触感を与える。また、第2繊維層側の表面には、親水性繊維の種類に応じた触感を付与され、親水性繊維を例えばコットンとしたときには、コットンに由来する、少しハリのあるしっかりとした触感を与える。また、天然繊維であるコットンを使用していることは、天然志向の高い消費者に安心感を与えることができる。親水性繊維をビスコースレーヨンとしたときには、第2繊維層表面の繊維配列が一方向に揃ったものとなりやすく、触感に優れ、また、不織布全体を柔軟なものとすることができる。尤も、本実施形態の積層不織布においては、第1繊維層および第2繊維層表面の密着性が同程度となることで、これらの繊維層がそれぞれ異なる触感を与えても、装着感の差に及ぼす影響は比較的小さい。
以下、本実施形態を、実施例により説明する。
本実施例で使用する繊維として以下のものを用意した。
撥水性セルロース繊維1:繊度1.7dtex、繊維長40mm、非フッ素系撥水剤により繊維表面が撥水処理されたビスコースレーヨン(商品名:エコリペラス、ダイワボウレーヨン(株)製)。この繊維の撥水性を上記の方法で評価したところ、10分経過後もサンプルが沈降せず、サンプルのほぼ全部が水面に浮いていた。この繊維の公定水分率は12.8%、二次膨潤度は四点測定の平均値で48.2%であった。
撥水性セルロース繊維2:繊度1.7dtex、繊維長40mm、ビスコースレーヨン(商品名:Olea、Kelheim Fibres GmbH製)。この繊維の撥水性を上記の方法で評価したところ、10分経過後もサンプルが沈降せず、サンプルのほぼ全部が水面に浮いていた。
本実施例で使用する繊維として以下のものを用意した。
撥水性セルロース繊維1:繊度1.7dtex、繊維長40mm、非フッ素系撥水剤により繊維表面が撥水処理されたビスコースレーヨン(商品名:エコリペラス、ダイワボウレーヨン(株)製)。この繊維の撥水性を上記の方法で評価したところ、10分経過後もサンプルが沈降せず、サンプルのほぼ全部が水面に浮いていた。この繊維の公定水分率は12.8%、二次膨潤度は四点測定の平均値で48.2%であった。
撥水性セルロース繊維2:繊度1.7dtex、繊維長40mm、ビスコースレーヨン(商品名:Olea、Kelheim Fibres GmbH製)。この繊維の撥水性を上記の方法で評価したところ、10分経過後もサンプルが沈降せず、サンプルのほぼ全部が水面に浮いていた。
親水性セルロース繊維A:繊度1.7dtex、繊維長40mmのビスコースレーヨン(商品名:SPV、Lenzing社製)。この繊維の撥水性(親水性)を上記の方法で評価したところ、沈降速度は7秒であった。
親水性セルロース繊維B:繊度1.0dtex~5.0dtex、繊維長10mm~60mm(平均繊維長20mm)のコットン繊維(商品名:MSD、丸三産業(株)製)。この繊維の撥水性(親水性)を上記の方法で評価したところ、沈降速度は9秒であった。
親水性セルロース繊維C:繊度0.9dtex、繊維長40mmのビスコースレーヨン(商品名:BH、ダイワボウレーヨン(株)製)。この繊維の撥水性(親水性)を上記の方法で評価したところ、沈降速度は19秒であった。
親水性セルロース繊維D:繊度1.7dtex、繊維長40mmの溶剤紡糸セルロース繊維(商品名:リヨセル、Lenzing社製)。この繊維の撥水性(親水性)を上記の方法で評価したところ、沈降速度は6秒であった。
親水性セルロース繊維E:繊度3.3dtex、繊維長40mmのビスコースレーヨン(商品名:CD、ダイワボウレーヨン株式会社製)。この繊維の撥水性(親水性)を上記の方法で評価したところ、沈降速度は4.2秒であった。
親水性セルロース繊維F:繊度5.6dtex、繊維長51mmのビスコースレーヨン(商品名:CD、ダイワボウレーヨン株式会社製)。この繊維の撥水性(親水性)を上記の方法で評価したところ、沈降速度は3.7秒であった。
親水性セルロース繊維B:繊度1.0dtex~5.0dtex、繊維長10mm~60mm(平均繊維長20mm)のコットン繊維(商品名:MSD、丸三産業(株)製)。この繊維の撥水性(親水性)を上記の方法で評価したところ、沈降速度は9秒であった。
親水性セルロース繊維C:繊度0.9dtex、繊維長40mmのビスコースレーヨン(商品名:BH、ダイワボウレーヨン(株)製)。この繊維の撥水性(親水性)を上記の方法で評価したところ、沈降速度は19秒であった。
親水性セルロース繊維D:繊度1.7dtex、繊維長40mmの溶剤紡糸セルロース繊維(商品名:リヨセル、Lenzing社製)。この繊維の撥水性(親水性)を上記の方法で評価したところ、沈降速度は6秒であった。
親水性セルロース繊維E:繊度3.3dtex、繊維長40mmのビスコースレーヨン(商品名:CD、ダイワボウレーヨン株式会社製)。この繊維の撥水性(親水性)を上記の方法で評価したところ、沈降速度は4.2秒であった。
親水性セルロース繊維F:繊度5.6dtex、繊維長51mmのビスコースレーヨン(商品名:CD、ダイワボウレーヨン株式会社製)。この繊維の撥水性(親水性)を上記の方法で評価したところ、沈降速度は3.7秒であった。
また、本実施例で中間繊維層を構成する不織布として以下のものを用意した。
湿式不織布1:木材由来のパルプ繊維(繊度約1.0~4.0dtex、繊維長約0.8mm~4.5mm)100質量%からなる目付が17g/m2である湿式不織布(ハビックス(株)製)
湿式不織布2:木材由来のパルプ繊維(繊度約1.0~4.0dtex、繊維長約0.8mm~4.5mm)100質量%からなる目付が26g/m2である湿式不織布(ハビックス(株)製)
湿式不織布1:木材由来のパルプ繊維(繊度約1.0~4.0dtex、繊維長約0.8mm~4.5mm)100質量%からなる目付が17g/m2である湿式不織布(ハビックス(株)製)
湿式不織布2:木材由来のパルプ繊維(繊度約1.0~4.0dtex、繊維長約0.8mm~4.5mm)100質量%からなる目付が26g/m2である湿式不織布(ハビックス(株)製)
(実施例1)
[第1繊維層]
撥水性セルロース繊維1を50質量%と親水性セルロース繊維Aを50質量%混合して、パラレルカード機を用いて、狙い目付約26.5g/m2で第1繊維ウェブを作製した。
[第2繊維層]
親水性繊維である親水性セルロース繊維Bのみを、パラレルカード機を用いて、狙い目付約26.5g/m2で第2繊維ウェブを作製した。
[積層不織布]
第1繊維ウェブの上に中間繊維層として湿式不織布1を積層し、湿式不織布1の上に第2繊維ウェブを積層して積層繊維ウェブとし、積層繊維ウェブを90メッシュの平織の支持体に載置して、4m/分の速度で搬送しつつ、第2繊維ウェブの表面に3.0MPaの水圧の水流を1回噴射し、続いて第1繊維ウェブの表面に3.0MPa水圧の水流を1回噴射する水流交絡処理を行った。水流交絡処理で使用したノズルは、孔径0.12mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルであり、処理中、ノズルと繊維ウェブとの間の間隔は20mmとした。
[第1繊維層]
撥水性セルロース繊維1を50質量%と親水性セルロース繊維Aを50質量%混合して、パラレルカード機を用いて、狙い目付約26.5g/m2で第1繊維ウェブを作製した。
[第2繊維層]
親水性繊維である親水性セルロース繊維Bのみを、パラレルカード機を用いて、狙い目付約26.5g/m2で第2繊維ウェブを作製した。
[積層不織布]
第1繊維ウェブの上に中間繊維層として湿式不織布1を積層し、湿式不織布1の上に第2繊維ウェブを積層して積層繊維ウェブとし、積層繊維ウェブを90メッシュの平織の支持体に載置して、4m/分の速度で搬送しつつ、第2繊維ウェブの表面に3.0MPaの水圧の水流を1回噴射し、続いて第1繊維ウェブの表面に3.0MPa水圧の水流を1回噴射する水流交絡処理を行った。水流交絡処理で使用したノズルは、孔径0.12mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルであり、処理中、ノズルと繊維ウェブとの間の間隔は20mmとした。
次いで、水流交絡処理後の繊維ウェブを、100℃に設定した熱風貫通式熱処理機を用いて、乾燥処理を行って、実施例1の積層不織布を得た。
(実施例2~12、比較例1~5)
第1および第2繊維ウェブを構成する繊維の種類および割合、湿式不織布の使用の有無および使用する場合にはその種類、ならびに第1および第2繊維ウェブの狙い目付をそれぞれ表1~3に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で実施例2~12および比較例1~5の積層不織布をそれぞれ得た。
第1および第2繊維ウェブを構成する繊維の種類および割合、湿式不織布の使用の有無および使用する場合にはその種類、ならびに第1および第2繊維ウェブの狙い目付をそれぞれ表1~3に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で実施例2~12および比較例1~5の積層不織布をそれぞれ得た。
不織布の評価は、下記のように行った。
<不織布の厚さ>
厚み測定機((株)大栄科学精器製作所製のTHICKNESS GAUGE モデル CR-60A(商品名))を用い、不織布に294Pa又は1.96kPaの荷重を加えた状態で、不織布の厚さを測定した。
<不織布の厚さ>
厚み測定機((株)大栄科学精器製作所製のTHICKNESS GAUGE モデル CR-60A(商品名))を用い、不織布に294Pa又は1.96kPaの荷重を加えた状態で、不織布の厚さを測定した。
<強伸度>
強伸度は、JIS L 1913:2010 6.3に準じて、定速緊張形引張試験機を用いて、試料片の幅5cm、つかみ間隔10cm、引張速度30±2cm/分の条件で引張試験に付し、切断時の荷重値(引張強さ)、伸び率、ならびに10%伸長時応力(10%伸長させるのに必要な力)を測定した。引張試験は、不織布の縦方向(MD方向)および横方向(CD方向)を引張方向として実施した。評価結果はいずれも3点の試料について測定した値の平均で示している。
乾燥時(標準時、DRY)及び湿潤時(WET)の引張強さ等について測定した。
なお、湿潤時(WET)の測定は試料100質量部に対し、250質量部の蒸留水を含浸させて実施した。
強伸度は、JIS L 1913:2010 6.3に準じて、定速緊張形引張試験機を用いて、試料片の幅5cm、つかみ間隔10cm、引張速度30±2cm/分の条件で引張試験に付し、切断時の荷重値(引張強さ)、伸び率、ならびに10%伸長時応力(10%伸長させるのに必要な力)を測定した。引張試験は、不織布の縦方向(MD方向)および横方向(CD方向)を引張方向として実施した。評価結果はいずれも3点の試料について測定した値の平均で示している。
乾燥時(標準時、DRY)及び湿潤時(WET)の引張強さ等について測定した。
なお、湿潤時(WET)の測定は試料100質量部に対し、250質量部の蒸留水を含浸させて実施した。
<変動係数>
変動係数は、静・動摩擦測定機(トライボマスターTL201Ts、株式会社トリニティラボ製)を用いて測定した。試料片として5cm×10cmの不織布を用意した。なお試料片は不織布のMD方向、CD方向が長辺となるものをそれぞれ用意した。測定機の接触端子には触覚接触子(株式会社トリニティラボ製)を使用した。試料片100質量部に1000質量部の蒸留水を含浸させた状態で、試料片を測定機(テーブル摺動型)の測定テーブルに固定し、試料片の表面に対して接触端子を荷重30gf、速度10mm/sec、距離30mmで往復2回移動させた。2往復目の動摩擦力の数値を読み取り、往の数値と復の数値との平均値を、1つの試料片の動摩擦力(gf)とした。
変動係数は、静・動摩擦測定機(トライボマスターTL201Ts、株式会社トリニティラボ製)を用いて測定した。試料片として5cm×10cmの不織布を用意した。なお試料片は不織布のMD方向、CD方向が長辺となるものをそれぞれ用意した。測定機の接触端子には触覚接触子(株式会社トリニティラボ製)を使用した。試料片100質量部に1000質量部の蒸留水を含浸させた状態で、試料片を測定機(テーブル摺動型)の測定テーブルに固定し、試料片の表面に対して接触端子を荷重30gf、速度10mm/sec、距離30mmで往復2回移動させた。2往復目の動摩擦力の数値を読み取り、往の数値と復の数値との平均値を、1つの試料片の動摩擦力(gf)とした。
各試料片について3回測定を行い、MD方向及びCD方向の合計6つの測定値の平均値を、各実施例及び比較例の動摩擦力Fk(gf)とした。また、測定の際に得られた動摩擦係数の標準偏差σと上述した動摩擦力Fkとから、下記の式に従って動摩擦係数の変動係数(バラつき)CVを求めた。変動係数CVは、第1繊維層および第2繊維層の表面それぞれについて求めた。
動摩擦係数の変動係数CV=σ/Fk
さらに、二つの繊維層の表面それぞれについて求めた変動係数から、不織布の両面の変動係数の差を求めた。
動摩擦係数の変動係数CV=σ/Fk
さらに、二つの繊維層の表面それぞれについて求めた変動係数から、不織布の両面の変動係数の差を求めた。
<剛軟度>
不織布の剛軟度は、JIS L 1913:2010 6.7.5 ハンドルオメーター法に準じて測定した。具体的には、次の手順で測定した。
試料台の上に縦:20cm、横:20cmの試料片を試料片の測定方向がスロット(隙間幅10mm)と直角になるように置く。
不織布の剛軟度は、JIS L 1913:2010 6.7.5 ハンドルオメーター法に準じて測定した。具体的には、次の手順で測定した。
試料台の上に縦:20cm、横:20cmの試料片を試料片の測定方向がスロット(隙間幅10mm)と直角になるように置く。
次に、試料台の表面から8mmまで下がるように調整されたペネトレータのブレードを下降させ、試料片を押し込む。測定は、いずれか一方の辺から6.7cm(試料片の幅の1/3)の位置で、縦方向及び横方向それぞれ表裏異なる個所について行い、押し込みに対する抵抗値を読み取る。抵抗値として、マイクロアンメータの示す最高値(cN)を読み取る。4辺それぞれについて読み取った抵抗値の合計値を求める。この合計値を求める操作を同一の不織布から採取した3つの試料片について実施し、合計値の平均値を算出して、当該試料の剛軟度(cN)とする。
なお、湿潤状態の試料の剛軟度は、試料に資料の質量の500%に相当する蒸留水を含浸させて測定した。また、湿潤時の試料の測定に際しては、試料台の上にポリエチレン製シート(縦:23cm、横:23cm、厚み0.06mm)を置き、その上に試料を置いて測定を実施した。さらに、ポリエチレン製シートのみの剛軟度を測定し、試料について測定した値からシートのみについて測定した値を引き、湿潤状態の試料の剛軟度とした。
なお、湿潤状態の試料の剛軟度は、試料に資料の質量の500%に相当する蒸留水を含浸させて測定した。また、湿潤時の試料の測定に際しては、試料台の上にポリエチレン製シート(縦:23cm、横:23cm、厚み0.06mm)を置き、その上に試料を置いて測定を実施した。さらに、ポリエチレン製シートのみの剛軟度を測定し、試料について測定した値からシートのみについて測定した値を引き、湿潤状態の試料の剛軟度とした。
<密着力>
密着力を求めるにあたり、15分後水分率をまず求めた。
5cm×6cmの試料片(MD×CD)を用意し、試料片の質量を測定した後、試料片100質量部に対して1000質量部の蒸留水を含浸させた。蒸留水を含浸させた試料片を32℃に調整した金属製プレートの上に置いて15分後の質量を測定して、下記の式に従って15分後水分率を算出した。
15分後水分率(%)=[(m2-m1)/m1]×100
m1:蒸留水を含浸させる前の不織布の質量(g)
m2:32℃の金属製プレートの上に15分置いた後の不織布の質量(g)
密着力を求めるにあたり、15分後水分率をまず求めた。
5cm×6cmの試料片(MD×CD)を用意し、試料片の質量を測定した後、試料片100質量部に対して1000質量部の蒸留水を含浸させた。蒸留水を含浸させた試料片を32℃に調整した金属製プレートの上に置いて15分後の質量を測定して、下記の式に従って15分後水分率を算出した。
15分後水分率(%)=[(m2-m1)/m1]×100
m1:蒸留水を含浸させる前の不織布の質量(g)
m2:32℃の金属製プレートの上に15分置いた後の不織布の質量(g)
密着力は、静・動摩擦測定機(トライボマスターTL201Ts、株式会社トリニティラボ製)を用いて測定した。試料片として、15分後水分率を求めた試料片と同じサンプルから採取した5cm×10cmの試料片を用意した。試料片は不織布のMD方向、CD方向が長辺となるものをそれぞれ用意した。測定機(テーブル摺動型)の測定テーブルに人工皮膚(縦24cm×横12cm、商品名:BIO SKIN PLATE、製造販売元:株式会社ビューラックス)を取り付けた。
各試料片の15分後水分率に基づいて、試料片100質量部に15分後水分率と同じ水分率となるように蒸留水を含浸させた状態で、測定機のクリップで試料片の短辺側の端部(当該箇所を「クリップ端部」とする)を水平方向に把持するために挟んだ。測定テーブルを移動させて、クリップ端部と対向する端部(当該箇所を「非クリップ端部」とする)から試料の長辺8cm×短辺5cmの領域だけが人工皮膚と重なるように水平に重ねて、15分間載置した。試料片の長辺方向に沿って、測定テーブルを試料の長辺方向と平行に、クリップ端部から遠ざかる方向に速度10mm/secで移動させた時の最大抵抗力(N)を読み取った。一つの実施例につきMD方向及びCD方向それぞれについて5枚の試料片について測定し、MD方向5枚の測定結果から最大値、最小値を除外し、CD方向5枚の測定結果から最大値、最小値を除外した合計6つの測定値の平均値を算出した。
なお、本実施例において、密着力は不織布の両面について求め、それらの差も合わせて求めた。
なお、本実施例において、密着力は不織布の両面について求め、それらの差も合わせて求めた。
<保水率>
不織布を縦(MD)方向×横(CD)方向=100mm×100mmに切断し、不織布の質量を測定した後、蒸留水に2分間浸した。それから、蒸留水を含浸させた不織布の三隅を洗濯ばさみで挟んで吊し、10分経過後の質量を測定して、下記の式に従って保水率を算出した。なお測定は温度23℃、相対湿度55%の条件で行った。
保水率(%)=[(M2-M1)/M1]×100
M1:蒸留水を含浸させる前の不織布の質量(g)
M2:蒸留水を含浸させてから10分間吊した後の不織布の質量(g)
不織布を縦(MD)方向×横(CD)方向=100mm×100mmに切断し、不織布の質量を測定した後、蒸留水に2分間浸した。それから、蒸留水を含浸させた不織布の三隅を洗濯ばさみで挟んで吊し、10分経過後の質量を測定して、下記の式に従って保水率を算出した。なお測定は温度23℃、相対湿度55%の条件で行った。
保水率(%)=[(M2-M1)/M1]×100
M1:蒸留水を含浸させる前の不織布の質量(g)
M2:蒸留水を含浸させてから10分間吊した後の不織布の質量(g)
<官能試験>
不織布を縦(MD)方向×横(CD)方向=100mm×100mmに切断し、不織布の質量を測定した後、その質量100質量部に対して、化粧水(商品名:白潤薬用美白化粧水、ロート製薬(株)製)を800質量部含浸させた。化粧水を含浸させた状態の不織布を、10名のパネラーに触ってもらい、密着性、ふんわり感、滑らかさを総合的に評価して、5点満点で点数をつけ、その平均値を求めた。
不織布を縦(MD)方向×横(CD)方向=100mm×100mmに切断し、不織布の質量を測定した後、その質量100質量部に対して、化粧水(商品名:白潤薬用美白化粧水、ロート製薬(株)製)を800質量部含浸させた。化粧水を含浸させた状態の不織布を、10名のパネラーに触ってもらい、密着性、ふんわり感、滑らかさを総合的に評価して、5点満点で点数をつけ、その平均値を求めた。
実施例1~21および比較例1~5の評価結果を表1~5に示す。
実施例の不織布はいずれも、湿潤状態での単位目付当たりのCD方向10%伸長時応力が0.009N/5cm以上、不織布両面のCVが0.04以下、不織布両面の密着力の差が40gf以下であった。そのため、これらの不織布はいずれも適度な伸長性を有するとともに、両面で同等の密着性を示し、両方の表面を区別することなく(すなわち、表裏面を意識することなく)、利用するのに有用な液体含浸皮膚被覆シートを提供し得るものであった。
コットンのみからなる層とパルプからなる湿式不織布とを一体化させた不織布(比較例4)においては、コットンとパルプとが強固に交絡して、触感が硬くなった。実施例1~5および実施例9~16においては、第1繊維層がコットンを含まず、柔軟な撥水性セルロースを含むために、柔軟性が比較例4よりも高くなったと考えられる。
第2繊維層がコットンからなる実施例1~5および実施例9~16は、第1繊維層と第2繊維層の密着力の差は小さく、特に、実施例1、8、9において、密着力の差が小さかった。これは、第1繊維層の撥水セルロース繊維の含有量(50質量%)、各層の目付比、第2繊維層のコットンによる影響と考えられる。
第2繊維層がコットンからなる実施例1~5および実施例9~16は、第1繊維層と第2繊維層の密着力の差は小さく、特に、実施例1、8、9において、密着力の差が小さかった。これは、第1繊維層の撥水セルロース繊維の含有量(50質量%)、各層の目付比、第2繊維層のコットンによる影響と考えられる。
第2繊維層がレーヨンまたはリヨセルからなる実施例6~8および実施例17~21についても、第1繊維層と第2繊維層の密着力の差は小さかった。また、これらの実施例はいずれも、湿潤時の剛軟度が小さくて全体として柔軟であり、また、繊度のばらつきに起因する不均一感を感じにくい触感を有していた。実施例20および21は、第2繊維層がレーヨンからなる実施例と比較して剛軟度が大きく、柔軟性がやや低く、また、CV値がやや高くなる傾向にあった。これは使用したレーヨン繊維の繊度が大きいことによると考えられる。
第1繊維層が親水性セルロースを含まない比較例1、ならびに中間繊維層を含まない比較例2および3はいずれも、両面の密着力の差が大きくなった。比較例1においては、撥水性レーヨンが中間繊維層と交絡しにくかったことが、両面の密着力の差を大きくしたと考えられる。同様に、第1繊維層が撥水性セルロースを含まない比較例5においても、両面の密着力の差は大きくなった。これは、第1繊維層が撥水性セルロースを含まないことにより、第1繊維層側で追従性が向上せず、第2繊維層においてのみ、短いパルプ繊維の影響を受けて追従性が向上し、もって密着力が高くなったことによると考えられる。
第1繊維層および第2繊維層がともにコットンで形成され、第1繊維層が撥水性セルロース繊維を含まない比較例4は、風合いが硬く、ドレープ性が小さく、また、第2繊維層表面のCV値が大きく、ざらざらとした触感を有しており、官能試験の平均値も低かった。これはコットンが中間繊維層を構成するパルプと強固に交絡したこと、また、コットンの繊度や繊維長の不均一性に起因して、繊維密度が高くなったことによると考えられる。
本開示は以下の態様を含む。
(態様1)
一方の表面を形成する第1繊維層と、もう一方の表面を形成する第2繊維層と、前記第1繊維層と前記第2繊維層との間に位置する中間繊維層とが積層されて一体化されてなる液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布であって、
前記第1繊維層は前記第1繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、
前記第2繊維層は前記第2繊維層の総質量を基準として、親水性繊維を50質量%以上含み、
前記中間繊維層は前記中間繊維層の総質量を基準として、繊維長が10mm未満である親水性セルロース繊維を70質量%以上含み、
前記第1繊維層、前記中間繊維層、および前記第2繊維層は繊維同士の交絡により一体化されている、
液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様2)
前記第2繊維層が撥水性セルロース繊維を含む場合に、前記第1繊維層の撥水性セルロース繊維の割合が、前記第2繊維層の撥水性セルロース繊維層の割合よりも、10質量%よりも多い、態様1の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様3)
前記第2繊維層が、撥水性セルロース繊維を含まない、または含むとしても10質量%未満である、態様1または2の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様4)
前記第1繊維層に含まれる親水性セルロース繊維と前記第2繊維層に含まれる親水性繊維とが互いに異なる、態様1~3のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様5)
前記第1繊維層と前記中間繊維層との間の繊維の交絡度合いが、前記第2繊維層と前記中間繊維層との間の繊維の交絡度合いよりも小さい、態様1~4のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様6)
前記親水性繊維として、親水性セルロース繊維を含む、態様1~5のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様7)
前記液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布の総質量を基準としてセルロース繊維を70質量%以上含む、態様6の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様8)
前記親水性繊維がコットンを含む、態様1~7のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様9)
前記親水性繊維がレーヨンを含む、態様1~7のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様10)
前記中間繊維層が湿式不織布である、態様1~9のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様11)
前記液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布の目付が30g/m2以上120g/m2以下である、態様1~10のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様12)
皮膚接触面が、前記第1繊維層及び前記第2繊維層のいずれの表面であってもよい、態様1~11のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様13)
第1繊維ウェブの総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含む、第1繊維ウェブを作製すること、
第2繊維ウェブの総質量を基準として、親水性繊維を50質量%以上含む、第2繊維ウェブを作製すること、
第3繊維ウェブの総質量を基準として、繊維長が10mm未満である親水性セルロース繊維を70質量%以上含む第3繊維ウェブを準備すること、
前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブと前記第3繊維ウェブとを、前記第3繊維ウェブが前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブとの間に位置するように重ね合わせて積層繊維ウェブを作製すること、
前記積層繊維ウェブを、高圧流体流を用いた交絡処理に付して繊維同士を交絡させること
を含む、液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布の製造方法。
(態様14)
前記高圧流体流を用いた交絡処理において、前記高圧流体流が水流であり、前記第2繊維ウェブの表面に水流を最初に噴射した後、前記第1繊維ウェブの表面に水流を噴射する、態様13の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布の製造方法。
(態様15)
態様1~12のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布100質量部に対して、液体を500質量部以上2000質量部以下の量で含浸させてなる、液体含浸皮膚被覆シート。
(態様16)
態様1~12のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布100質量部に対して、液体を500質量部以上2000質量部以下の量で含浸させてなる、フェイスマスク。
(態様17)
前記液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布は、
前記第1繊維層が、撥水性セルロース繊維を40質量%以上60質量%以下含み、親水性セルロース繊維を40質量%以上60質量%以下含み、
前記第2繊維層が、前記親水性繊維としてコットンを95質量%以上含み、
前記中間繊維層が、パルプからなる、態様16のフェイスマスク。
(態様1)
一方の表面を形成する第1繊維層と、もう一方の表面を形成する第2繊維層と、前記第1繊維層と前記第2繊維層との間に位置する中間繊維層とが積層されて一体化されてなる液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布であって、
前記第1繊維層は前記第1繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、
前記第2繊維層は前記第2繊維層の総質量を基準として、親水性繊維を50質量%以上含み、
前記中間繊維層は前記中間繊維層の総質量を基準として、繊維長が10mm未満である親水性セルロース繊維を70質量%以上含み、
前記第1繊維層、前記中間繊維層、および前記第2繊維層は繊維同士の交絡により一体化されている、
液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様2)
前記第2繊維層が撥水性セルロース繊維を含む場合に、前記第1繊維層の撥水性セルロース繊維の割合が、前記第2繊維層の撥水性セルロース繊維層の割合よりも、10質量%よりも多い、態様1の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様3)
前記第2繊維層が、撥水性セルロース繊維を含まない、または含むとしても10質量%未満である、態様1または2の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様4)
前記第1繊維層に含まれる親水性セルロース繊維と前記第2繊維層に含まれる親水性繊維とが互いに異なる、態様1~3のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様5)
前記第1繊維層と前記中間繊維層との間の繊維の交絡度合いが、前記第2繊維層と前記中間繊維層との間の繊維の交絡度合いよりも小さい、態様1~4のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様6)
前記親水性繊維として、親水性セルロース繊維を含む、態様1~5のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様7)
前記液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布の総質量を基準としてセルロース繊維を70質量%以上含む、態様6の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様8)
前記親水性繊維がコットンを含む、態様1~7のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様9)
前記親水性繊維がレーヨンを含む、態様1~7のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様10)
前記中間繊維層が湿式不織布である、態様1~9のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様11)
前記液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布の目付が30g/m2以上120g/m2以下である、態様1~10のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様12)
皮膚接触面が、前記第1繊維層及び前記第2繊維層のいずれの表面であってもよい、態様1~11のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
(態様13)
第1繊維ウェブの総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含む、第1繊維ウェブを作製すること、
第2繊維ウェブの総質量を基準として、親水性繊維を50質量%以上含む、第2繊維ウェブを作製すること、
第3繊維ウェブの総質量を基準として、繊維長が10mm未満である親水性セルロース繊維を70質量%以上含む第3繊維ウェブを準備すること、
前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブと前記第3繊維ウェブとを、前記第3繊維ウェブが前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブとの間に位置するように重ね合わせて積層繊維ウェブを作製すること、
前記積層繊維ウェブを、高圧流体流を用いた交絡処理に付して繊維同士を交絡させること
を含む、液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布の製造方法。
(態様14)
前記高圧流体流を用いた交絡処理において、前記高圧流体流が水流であり、前記第2繊維ウェブの表面に水流を最初に噴射した後、前記第1繊維ウェブの表面に水流を噴射する、態様13の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布の製造方法。
(態様15)
態様1~12のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布100質量部に対して、液体を500質量部以上2000質量部以下の量で含浸させてなる、液体含浸皮膚被覆シート。
(態様16)
態様1~12のいずれかの液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布100質量部に対して、液体を500質量部以上2000質量部以下の量で含浸させてなる、フェイスマスク。
(態様17)
前記液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布は、
前記第1繊維層が、撥水性セルロース繊維を40質量%以上60質量%以下含み、親水性セルロース繊維を40質量%以上60質量%以下含み、
前記第2繊維層が、前記親水性繊維としてコットンを95質量%以上含み、
前記中間繊維層が、パルプからなる、態様16のフェイスマスク。
本開示の積層不織布は、撥水性セルロース繊維と親水性セルロース繊維を含む第1繊維層と、親水性繊維を含む第2繊維層と、第1繊維層と第2繊維層との間に位置し、親水性セルロース繊維を含む中間繊維層とが一体化されてなり、湿潤状態にて第1繊維層および第2繊維層が皮膚への良好な密着性を示す。したがって、本開示の積層不織布は、フェイスマスクのような、液体を含浸させた状態で皮膚を被覆する基材として有用である。
Claims (17)
- 一方の表面を形成する第1繊維層と、もう一方の表面を形成する第2繊維層と、前記第1繊維層と前記第2繊維層との間に位置する中間繊維層とが積層されて一体化されてなる液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布であって、
前記第1繊維層は前記第1繊維層の総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、
前記第2繊維層は前記第2繊維層の総質量を基準として、親水性繊維を50質量%以上含み、
前記中間繊維層は前記中間繊維層の総質量を基準として、繊維長が10mm未満である親水性セルロース繊維を70質量%以上含み、
前記第1繊維層、前記中間繊維層、および前記第2繊維層は繊維同士の交絡により一体化されている、
液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。 - 前記第2繊維層が撥水性セルロース繊維を含む場合に、前記第1繊維層の撥水性セルロース繊維の割合が、前記第2繊維層の撥水性セルロース繊維層の割合よりも、40質量%よりも多い、請求項1に記載の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
- 前記第2繊維層が、撥水性セルロース繊維を含まない、または含むとしても10質量%未満である、請求項1または2に記載の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
- 前記第1繊維層に含まれる親水性セルロース繊維と前記第2繊維層に含まれる親水性繊維とが互いに異なる、請求項1~3のいずれかに記載の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
- 前記第1繊維層と前記中間繊維層との間の繊維の交絡度合いが、前記第2繊維層と前記中間繊維層との間の繊維の交絡度合いよりも小さい、請求項1~4のいずれかに記載の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
- 前記親水性繊維として、親水性セルロース繊維を含む、請求項1~5のいずれかに記載の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
- 前記液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布の総質量を基準としてセルロース繊維を70質量%以上含む、請求項6に記載の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
- 前記親水性繊維がコットンを含む、請求項1~7のいずれかに記載の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
- 前記親水性繊維がレーヨンを含む、請求項1~7のいずれかに記載の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
- 前記中間繊維層が湿式不織布である、請求項1~9のいずれかに記載の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
- 前記液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布の目付が30g/m2以上120g/m2以下である、請求項1~10のいずれかに記載の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
- 皮膚接触面が、前記第1繊維層及び前記第2繊維層のいずれの表面であってもよい、請求項1~11のいずれかに記載の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布。
- 第1繊維ウェブの総質量を基準として、撥水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含み、親水性セルロース繊維を10質量%以上90質量%以下含む、第1繊維ウェブを作製すること、
第2繊維ウェブの総質量を基準として、親水性繊維を50質量%以上含む、第2繊維ウェブを作製すること、
第3繊維ウェブの総質量を基準として、繊維長が10mm未満である親水性セルロース繊維を70質量%以上含む第3繊維ウェブを準備すること、
前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブと前記第3繊維ウェブとを、前記第3繊維ウェブが前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブとの間に位置するように重ね合わせて積層繊維ウェブを作製すること、
前記積層繊維ウェブを、高圧流体流を用いた交絡処理に付して繊維同士を交絡させること
を含む、液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布の製造方法。 - 前記高圧流体流を用いた交絡処理において、前記高圧流体流が水流であり、前記第2繊維ウェブの表面に水流を最初に噴射した後、前記第1繊維ウェブの表面に水流を噴射する、請求項13に記載の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布の製造方法。
- 請求項1~12のいずれか1項に記載の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布100質量部に対して、液体を500質量部以上2000質量部以下の量で含浸させてなる、液体含浸皮膚被覆シート。
- 請求項1~12のいずれか1項に記載の液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布100質量部に対して、液体を500質量部以上2000質量部以下の量で含浸させてなる、フェイスマスク。
- 前記液体含浸皮膚被覆シート用積層不織布は、
前記第1繊維層が、撥水性セルロース繊維を40質量%以上60質量%以下含み、親水性セルロース繊維を40質量%以上60質量%以下含み、
前記第2繊維層が、前記親水性繊維としてコットンを95質量%以上含み、
前記中間繊維層が、パルプからなる、請求項16に記載のフェイスマスク。
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Cited By (1)
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2021
- 2021-09-30 JP JP2021161495A patent/JP2022058301A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN116725777A (zh) * | 2023-08-09 | 2023-09-12 | 露乐健康科技股份有限公司 | 透气芯体及透气纸尿裤 |
CN116725777B (zh) * | 2023-08-09 | 2023-11-24 | 露乐健康科技股份有限公司 | 透气芯体及透气纸尿裤 |
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