JP2008248421A - 潜在捲縮性複合繊維及びこれを用いた繊維集合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】弾力性と嵩回復性が高く、その耐久性も高い潜在捲縮性複合繊維及びこれを用いた繊維集合物を提供する。
【解決手段】第一成分(1)は、ポリブテン−1を含み、第二成分(2)はポリブテン−1の融解ピーク温度よりも20℃以上高い融解ピーク温度を有するポリマー又は融解開始温度(示差走査熱量(DSC)測定法より測定される補外融解開始温度)が120℃以上であるポリマーであり、潜在捲縮性複合繊維(10)を断面から見たとき、第一成分(1)は複合繊維表面の少なくとも20%を占めており、第二成分(2)の重心位置(3)は複合繊維の重心位置からずれており、潜在捲縮性複合繊維(10)は120℃におけるJIS-L-1015で測定した乾熱収縮率が、(A)初荷重0.018mN/dtex(2mg/de)での測定において50%以上、かつ(B)初荷重0.45mN/dtex(50mg/de)での測定において5%以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として弾力性と嵩回復性が高い繊維集合物、特に不織布に適した潜在捲縮性複合繊維及びこれを用いた繊維集合物に関する。
衛生材料、包装材、ウェットティッシュ、フィルター、ワイパー等に用いられる不織布、或いは硬綿、椅子等に用いられる不織布、成形体など様々な用途において、低融解ピーク温度成分の少なくとも一部が繊維表面に露出し、低融点成分よりも融点が高い高融点成分からなる熱融着性複合繊維を用いた熱接着不織布が使用されており、特に、不織布の高い弾力性と嵩回復性、すなわち厚み方向での嵩回復性の高い繊維の要求が、発泡ウレタン代替として大きくなっている。発泡ウレタン代替として要求が大きい理由は、生産する際に使用する薬品の取り扱いが難しかったり、フロンが排出されたりする点、使用後の廃棄が難しいといった問題がある。また、得られた発泡ウレタンの特性として、圧縮の際、圧縮初期に硬く感じるという問題があったり、通気性が乏しく蒸れやすかったり、吸音性が十分でなかったり、黄変し易かったりするからである。従って、弾力性と嵩回復性が高い不織布について様々の検討がなされている。
下記特許文献1〜2は、融点が200℃以上のポリエステル成分と、融点が180℃以下のポリエーテルエステルブロック共重合体成分、いわゆるエラストマー成分とからなる複合繊維を提案している。鞘成分にエラストマー成分を使用することによって、圧縮変形を受けた際に、接着部分の自由度、及び耐久性が向上するために、嵩回復性の高い繊維が得られる。
下記特許文献3は、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)系ポリマーを含有する第一成分と、ポリオレフィン系ポリマー、特にポリエチレンを含有する第二成分から構成され、繊維断面において第一成分の重心位置が繊維の重心位置からずらすことで捲縮を顕在化させた、顕在捲縮性複合繊維を提案している。この顕在捲縮性複合繊維は、第一成分に曲げ弾性が大きく、かつ曲げ硬さの小さいポリマーを使用し、更に、繊維断面を偏心とし、捲縮形状を波形状とすることによって、嵩回復性が高く、柔軟な、更に初期嵩の大きい不織布が得られる。
下記特許文献4は、芯成分にポリエチレンテレフタレート(PET)、又はPETとポリブチレンテレフタレート(PBT)とのブレンド、若しくはPETとPTTとのブレンドポリマーを使用し、鞘成分にメタロセン触媒により重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)を使用した潜在捲縮性複合繊維と不織布を提案している。
特開平4−240219号公報 特開平5−247724号公報 特開2003−3334号公報 特開2006−233381号公報
前記引用文献1〜2では、鞘成分にポリエステルエーテルエラストマーを使用しており、このポリマーがゴム状弾性を有し、接着点の変形に対する自由度が大きいため、嵩回復性の高い不織布を得ようとしている。しかし、このポリエステルエーテルエラストマーは硬質なポリエステルと軟質なエーテルとの共重合体であり、耐熱性が低い軟質成分を含むため、熱により柔らかくなり易く、熱加工時に不織布の嵩が減少する、いわゆるへたりが生じる。その結果、鞘成分にポリエステルエーテルエラストマーを使用した複合繊維は、不織布にしたときの初期嵩が小さく、高密度な不織布しか得られず、用途が限定されるという問題があった。また、熱が加わった状態で圧縮された後、あるいは繰り返し圧縮された後の不織布は、繊維同士の接着点および繊維自体が破壊されたり、折れ曲がったり、繊維強度が低下するなど、元の不織布に比べて不織布硬さが大きく低下するという問題があった。
前記引用文献3〜4では、芯のポリマー、及び繊維断面を特定のものとし、且つ、捲縮状態を特定のものにすることによって、嵩回復性の高い不織布を得ようとするものであるが、初期の不織布厚み(初期嵩)が大きいものの、嵩回復性、特に除重直後の初期嵩回復性が十分とはいえず、用途が限定されるという問題があった。
したがって、従来技術では弾力性と嵩回復性、また、繰り返し圧縮した際における耐久性が高く、さらに高温下での使用時における弾力性、嵩回復性、その耐久性が高い複合繊維及び不織布は得られていなかった。
本発明は、前記従来の問題を解決するため、弾力性と嵩回復性、また、繰り返し圧縮した際における耐久性が高く、さらに高温下での使用時における弾力性、嵩回復性、その耐久性が高い潜在捲縮性複合繊維及びこれを用いた繊維集合物を提供する。
本発明の潜在捲縮性複合繊維は、第一成分と第二成分を含む複合繊維であって、前記第一成分は、ポリブテン−1を含み、前記第二成分は、ポリブテン−1の融解ピーク温度よりも20℃以上高い融解ピーク温度を有するポリマー、又は融解開始温度が120℃以上であるポリマーであり、前記複合繊維を断面から見たとき、前記第一成分は前記複合繊維表面の少なくとも20%を占めており、前記第二成分の重心位置は前記複合繊維の重心位置からずれており、
前記複合繊維は、120℃におけるJIS−L−1015で測定した乾熱収縮率が、
(1)初荷重0.018mN/dtex(2mg/de)での測定において50%以上、かつ
(2)初荷重0.45mN/dtex(50mg/de)での測定において5%以上である
ことを特徴とする。本発明でいう前記融解開始温度とは、JIS−K−7121で規定される、示差走査熱量(DSC)測定法より測定される、補外融解開始温度である。
本発明の繊維集合物は、前記の潜在捲縮性複合繊維を少なくとも30質量%含有し、前記潜在捲縮性繊維の捲縮が発現している繊維集合物である。
本発明の潜在捲縮性複合繊維は、第一成分にポリブテン−1又はポリブテン−1を含むポリマーを選択し、第二成分にポリブテン−1の融解ピーク温度よりも20℃以上高い融解ピーク温度を有するポリマー又は融解開始温度が120℃以上であるポリマーを選択することにより、弾力性と嵩回復性が高く、その耐久性も高い。また、本発明の潜在捲縮性複合繊維を用いた繊維集合物は、複数層重ねて加熱成形した際、潜在捲縮が立体捲縮を発現することで層間の繊維の交絡性が良好となり、弾力性と嵩回復性がより一層高くなる。
本発明の潜在捲縮性複合繊維は、第一成分(例えば、鞘の接着成分)としてポリブテン−1(PB−1)又はPB−1を含むポリマーを用いる。このポリマーは比較的柔軟であるが、エラストマーのように軟質成分を含まず、耐熱性に優れるため、熱加工の際の嵩減少(へたり)が小さく、初期嵩の大きい不織布が得られる。また、PB−1は、エラストマー同様、ある程度の柔軟性、及び形状維持性(変形に対するもどり)を有するため、圧縮の際の接着点が変形し、更に変形に対する回復性に優れ、嵩回復性の高い不織布が得られる。
第一成分はPB−1単独でも良いし、PB−1に、エチレン等を共重合したプロピレン共重合体(以下「共重合PP」という。)を添加してもよい。PB−1に少量の共重合PPを添加する場合は、PB−1を60質量%以上95質量%以下、共重合PPを5質量%以上、40質量%以下という質量比で使用するのが好ましい。前記第一成分は例えば潜在捲縮性複合繊維の鞘に配置する。なお、本発明でいう共重合PPとは、プロピレン成分が50質量%を越えるものをいう。
潜在捲縮性複合繊維の第二成分としては、融解ピーク温度がPB−1よりも20℃以上高いポリマー、例えばポリエステルを使用するのが好ましい。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等又はこれらの混合物を使用できる。前記第二成分は例えば潜在捲縮性複合繊維の芯に配置する。
繊維断面形状は、第二成分の重心位置が繊維の重心位置からずれており、さらに熱収縮性を有することから潜在捲縮となり、この潜在捲縮性複合繊維を熱処理することで捲縮が発現し、この結果、圧縮の際スプリング効果を発揮し、弾力性及び嵩回復性が高い繊維集合物を得ることができる。
本発明に用いられるPB−1は、JIS−K−7121に従って測定した示差走査熱量(DSC)より求められる融解ピーク温度が115〜130℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは、120〜130℃である。融解ピーク温度が115〜130℃の範囲であると、耐熱性が高く、高温下での嵩回復性が良好である。
前記PB−1のJIS−K−7210に準じて測定したメルトフローレート(MFR;測定温度190℃、荷重21.18N(2.16kgf))は、1〜30g/10分の範囲であることが好ましい。より好ましいMFRは3〜25g/10分であり、さらにより好ましくは3〜20g/10分である。MFRが1〜30g/10分の範囲であると、PB−1が高分子量となるため、耐熱性が良好であり、繊維集合物として高温下で使用した際、嵩回復性が良好であり、好ましい。また、紡糸引き取り性、および延伸性が良好となる。
前記共重合PPの添加量の上限は、添加量が増えるにつれ、延伸性がよくなり、熱収縮性が大きくなるが、添加しすぎると得られる不織布の嵩回復性が小さくなる傾向にある。また、共重合PP添加量が増えるに従って、PB−1の結晶化を阻害するため、紡糸引き取り時に冷却しきれず、融着糸が発生しやすくなる。従って、40質量%以下にすることが好ましい。共重合PPを添加する場合は、0質量%を超え40質量%以下、好ましくは、5質量%以上30質量%以下、最も好ましくは10質量%以上25質量%以下である。PB−1と共重合PPを溶融ブレンドさせると、両ポリマーは相溶化しやすい。また、ポリブテン−1(PB−1)との相溶性が高い共重合PPをブレンドすることにより、紡糸性及び延伸性が良好となる。すなわち、PB−1に共重合PPをブレンドすることにより流動特性を向上し、安定して均一な紡糸ができる。また、共重合PPをブレンドすることにより、延伸性も改善される。これは、前述したようにポリブテン−1は分子量が大きく(つまり、分子鎖が長い)、分子同士の絡み合いが大きいため、延伸しにくいといった問題があるが、共重合PPをブレンドすることによって、共重合PPが高分子量のポリブテン−1分子鎖間へ入り込み、ポリブテン−1分子鎖の絡み合いを適度に抑制しているためと推定される。
前記共重合PPは、ランダム共重合体、あるいはブロック共重合体のいずれであっても構わないが、熱収縮性を考慮すると、ランダム共重合体が好ましい。
前記共重合PPのJIS−K−7210で規定されるメルトフローレート(MFR;測定温度230℃、荷重21.18N(2.16kgf))は50g/10分以下であることが好ましい。より好ましくは2〜30g/10分の範囲内である。
また、前記共重合PPは、エチレン−プロピレン共重合体、およびエチレン−ブテン−1−プロピレン三元共重合体から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。共重合PPがエチレン−プロピレン共重合体の場合、好ましい共重合割合は、質量比でエチレン:プロピレン=1:99〜3:7の範囲である。共重合PPがエチレン−ブテン−1−プロピレン三元共重合体の場合は、質量比でエチレン0.5〜15、ブテン−1 0.5〜15、プロピレン70〜99の範囲である。
前記共重合PPの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)は、3以上のエチレン−プロピレン共重合体であることが好ましい。より好ましいQ値は、4〜7である。Q値が3以上、つまり分子量分布が大きいと、高分子量成分の含有量が多くなるため、共重合PPがPB−1の分子鎖間に入り込みにくくなり、その結果熱収縮を大きくすることができると推定される。
第一成分に、別にブレンドできるポリマーとしては、嵩高性及び嵩回復性を阻害しない範囲で、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどのオレフィン系のポリマー、ビニル基、カルボシキル基、無水マレイン酸等極性基を持つオレフィン等との共重合ポリマー、スチレン系等のエラストマーが挙げられる。また、添加剤としては、アイオノマーなどの樹脂、テルペン等の粘着性付与剤等が挙げられる。
第二成分は、曲げ弾性に優れるポリマーが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66,ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレンなどが挙げられる。特に、ポリエステルが好ましい。最も好ましくは、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)である。
本発明で好ましく用いられるPTTは、PTTホモ樹脂、下記に示すPTT共重合樹脂、あるいはPTTと他のポリエステル系樹脂とのブレンドであってもよく、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸等の酸成分や、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール等のグリコール成分、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシメチレングリコール等が10質量%以下共重合されていてもよいし、PET、PBTなど他のポリエステル系樹脂を50質量%以下でブレンドしてもよい。前記共重合成分は、10質量%を超えると、曲げ弾性率が小さくなるため好ましくない。一方、他のポリエステル系樹脂のブレンド率が50質量%を超えると、ブレンドした他のポリエステル系樹脂の性質に近づくため好ましくない。
前記PTTの極限粘度[η]は、0.4〜1.2が好ましい。より好ましくは、0.5〜1.1である。極限粘度[η]を上記範囲とすることにより、生産性に優れ、嵩回復性に優れた潜在捲縮性複合繊維を得ることができる。ここでいう極限粘度[η]とは、35℃のo−クロロフェノール溶液として、オストワルド粘度計により測定した、下記式(数1)に基づいて求められる値である。
Figure 2008248421
(ただし、ηr:純度98%以上のo−クロロフェノールで溶解した試料の希釈溶液における35℃での粘度を同一温度で測定した上記溶剤全体の濃度で除した値。C:上記溶液100ml中のグラム単位による溶質重量値。)
極限粘度が0.4未満であると、樹脂の分子量が低すぎるため、紡糸性に劣るだけでなく、繊維強度も低く、実用性に乏しい。極限粘度が1.2を超えると、樹脂の分子量が大きくなって溶融粘度が高くなりすぎるため、単糸切れ等が発生し良好な紡糸が難しくなり好ましくない。
前記PTTのJIS−K−7121に従って測定したDSCより求められる融解ピーク温度は180℃〜240℃であることが好ましい。より好ましくは200℃〜235℃である。融解ピーク温度が180〜240℃の範囲であると、耐候性が高く、得られる潜在捲縮性複合繊維の曲げ弾性率を高くすることができる。
また、前記第二成分には、必要に応じて各種の添加剤、例えば、帯電防止剤、顔料、艶消し剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、抗菌剤、滑剤、可塑剤、柔軟剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤などを本発明の目的及び効果を損なわない範囲で用途等に応じて混合することができる。
複合比(第二成分(芯)/第一成分(鞘))は、8/2〜3/7(容積比)が好ましい。より好ましくは7/3〜4から4/6、最も好ましくは6/4〜4.5/5.5である。芯成分は、主として嵩回復性に寄与し、鞘成分は、主として不織布強力および不織布の硬さに寄与する。その複合比が8/2〜3/7であると、不織布強力および硬さと、嵩回復性を両立することができる。複合比は、鞘リッチになると、不織布強力は上がるが、得られる不織布が硬くなったり、嵩回復も悪くなる傾向になる。一方、芯リッチになりすぎると接着点が少なくなりすぎ、不織布強力が小さくなったり、これも嵩回復性も悪くなる傾向となる。
本発明においては、第二成分の重心位置は複合繊維の重心位置からずれている。図1に本発明の一実施形態における潜在捲縮性複合繊維の繊維断面を示す。第二成分(2)の周囲に第一成分(1)が配置され、第一成分(1)が複合繊維(10)表面の少なくとも20%を占めている。これにより第一成分(1)は熱接着時に表面が溶融する。第二成分(2)の重心位置(3)は複合繊維(10)の重心位置(4)からずれており、ずれの割合(以下、偏心率と記載する場合がある。)は、複合繊維の繊維断面を電子顕微鏡などで拡大撮影し、第二成分(2)の重心位置(3)をC1とし、複合繊維(10)の重心位置(4)をCfとし、複合繊維(10)の半径(5)をrfとしたとき、下記式(数2)で示す数値をいう。
Figure 2008248421
第二成分(2)の重心位置(3)が繊維の重心位置(4)からずれている繊維断面としては、図1に示す偏心芯鞘型、あるいは並列型であることが好ましい形態である。場合によっては、多芯型であっても多芯部分が集合して繊維の重心位置からずれて存在しているものでも可能である。特に、偏心芯鞘型の繊維断面であると、熱処理したときに容易に所望の捲縮を発現させることができる点で好ましい。偏心芯鞘型複合繊維の偏心率は、5〜50%であることが好ましい。より好ましい偏心率は、7〜30%である。また、第二成分の繊維断面における形態は、円形以外に、楕円形、Y形、X形、井形、多角形、星形などの異形であってもよく、潜在捲縮性複合繊維(10)の繊維断面における形態は、円形以外に、楕円形、Y形、X形、井形、多角形、星形などの異形、あるいは中空形であってもよい。
次に、本発明の潜在捲縮性複合繊維の製造方法について説明する。前記潜在捲縮性複合繊維は、以下のように製造することができる。まず、ポリブテン−1を50質量%以上含む成分、例えば、ポリブテン−1を60〜95質量%と共重合PPを5〜40質量%とを含む成分を第一成分とし、ポリブテン−1の融解ピーク温度よりも20℃以上高い融解ピーク温度を有するポリマー、又は融解開始温度が120℃以上であるポリマーを第二成分とする。そして、繊維断面において第一成分が繊維表面の少なくとも20%を占め、第二成分の重心位置が繊維の重心位置からずれるように配置された複合型ノズル、例えば偏心芯鞘型複合ノズルを用いて、第二成分を紡糸温度240〜330℃、第一成分を紡糸温度200〜300℃で溶融紡糸し、引取速度100〜1500m/minで引き取り、紡糸フィラメントを得る。次いで、延伸温度を第二成分のガラス転移点以上、ポリブテン−1の融解ピーク温度未満の温度で、延伸倍率1.5倍以上で延伸処理を施す。より好ましい延伸温度の下限は、第二成分のガラス転移点より10℃高い温度である。より好ましい延伸温度の上限は、90℃である。延伸温度が第二成分のガラス転移点未満であると、PB−1の結晶化が進みにくいため、嵩回復性が小さくなる傾向がある。延伸温度がPB−1の融解ピーク温度以上であると、繊維同士が融着するからである。より好ましい延伸倍率の下限は、2倍である。より好ましい延伸倍率の上限は、4倍である。延伸倍率が1.5倍未満であると、延伸倍率が低すぎるため、熱処理したとき、捲縮が発現しにくい傾向にあり、それに加え、初期嵩が小さくなるだけでなく、繊維自体の剛性も小さくなりため、カード通過性などの不織布工程性も悪化し、嵩回復性も劣る傾向がある。
次いで、必要に応じて繊維処理剤を付与する前または後に、スタッファボックス式捲縮機など公知の捲縮機を用いて捲縮数5個/25mm以上、25個/25mm以下の捲縮を付与する。捲縮数が5個/25mm未満、あるいは捲縮数が25個/25mmを越えるとカード通過性が低下する恐れがある。
さらに、前記捲縮機にて捲縮を付与した後、50℃以上90℃以下、好ましくは60℃以上80℃以下、より好ましくは60℃以上75℃以下の乾熱、湿熱、あるいは蒸熱の雰囲気下でアニーリング処理を施すとよい。具体的には、繊維処理剤を付与した後に捲縮機にて捲縮を付与し、50℃以上90℃以下の乾熱雰囲気下でアニーリング処理と同時に乾燥処理を施すことが、工程を簡略化することができ、好ましい。アニーリング温度を50℃以上90℃以下にすることで、所望の熱収縮率が得られ、熱処理したときに捲縮が発現する潜在捲縮性複合繊維を得ることができる。またカード通過性も高い繊維を得ることができる。
本発明の潜在捲縮性複合繊維における乾熱収縮率は、JIS−L−1015に従って測定され、初荷重0.018mN/dtex(2mg/de)での測定において50%以上、初荷重0.45mN/dtex(50mg/de)での測定において5%以上である。好ましい乾熱収縮率は初荷重0.018mN/dtexでの測定において60%以上、初荷重0.45mN/dtexでの測定において5%以上であり、より好ましい乾熱収縮率は初荷重0.018mN/dtexでの測定において70%以上、初荷重0.45mN/dtexでの測定において10%以上である。
初荷重は、加熱の前後に繊維長を測定するときに加えられる荷重である。初荷重が0.018mN/dtex(2mg/de)であると、荷重が小さいために、発現した立体捲縮が維持された状態で加熱後の繊維長を測定することができる。したがって、この乾熱収縮率は、立体捲縮発現に起因する収縮の度合い(即ち、見かけの収縮の度合い)を示す指標といえる。一方、初荷重0.450mN/dtex(50mg/de)であると、繊維が荷重により強く引っ張られて、繊維に発現した立体捲縮が比較的「伸ばされた」状態で、加熱後の繊維長が測定される。即ち、この乾熱収縮率は、加熱による繊維そのものの収縮の度合いを示す。本発明の潜在捲縮性複合繊維は、これら2つの初期荷重で測定される乾熱収縮率が上記の範囲を満たすことにより、優れた立体捲縮発現性を有し、捲縮を良好に発現すると考えられる。
本発明の繊維集合物は、前記の潜在捲縮性複合繊維を少なくとも30質量%含有し、前記潜在捲縮性繊維の捲縮が発現していることを特徴とする。30質量%以上含有すると、弾力性と嵩回復性その他の特性を高く維持できる。前記繊維集合物としては編織物、不織布などが挙げられる。
本発明の不織布を構成する繊維ウェブ形態としては、パラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスレイウェブ、クリスクロスウェブ、エアレイウェブなどが挙げられる。前記繊維ウェブは、熱処理により第一成分が接着することにより、さらに高い弾力性や嵩回復性を発揮する。そして、前記繊維ウェブは熱加工前に必要に応じて、ニードルパンチ処理あるいは水流交絡処理が施されてもよい。熱加工の手段としては、特に限定はされないが、本発明の潜在捲縮性複合繊維の機能を十分に発揮させるのであれば、熱風貫通式熱処理機、熱風上下吹き付け式熱処理機、赤外線式熱処理機など風圧など圧力のあまりかからない熱処理機を用いることが好ましい。また、熱加工温度としては、潜在捲縮性複合繊維の捲縮が発現する温度範囲に設定すればよく、例えば、PB−1の融解ピーク温度をTmとしたとき、Tm−10(℃)〜第二成分の融点未満、好ましくは、Tm−10(℃)〜Tm+60(℃)の範囲で設定することが好ましい。特に、前記潜在捲縮性複合繊維の少なくともPB−1を溶融させて、構成する繊維同士を熱融着させると、より強固な繊維同士の交点を形成することができ、嵩回復性が高くなり好ましい。さらには、130℃〜180℃の温度で熱融着させることが最も好ましい。
前記繊維集合物(以下不織布ともいう)は、25℃において、下記の測定により得られる初期嵩回復率が70%以上、かつ長期嵩回復率が90%以上を満たすことが好ましい。より好ましい初期嵩回復率は、75%以上、かつ長期嵩回復率は95%以上である。
(1)嵩回復率
合計の目付が約1000g/m2となるように10cm角に切断した不織布を必要枚数重ね合わせて初期合計厚み(To)を測定し、重ね合わせた不織布の上に10cm角で9.8kPa荷重の重りを載せて25℃雰囲気下で24時間荷重を掛け、24時間後荷重を取り除き、除重直後の重ね合わせた不織布の合計厚み(T1)、及び除重24時間後の合計厚み(T2)を測定し、不織布の嵩回復率を下記式にて算出し、それぞれ初期嵩回復率、長期嵩回復率とする。
初期嵩回復率(%)=(T1/T0)×100
長期嵩回復率(%)=(T2/T0)×100
初期嵩回復率が60%以上、および長期嵩回復率が85%以上を満たす不織布は、クッション材、車両用等の内装材、ブラジャー等のパッド材などの繰り返し厚み方向に圧力の加わる用途、ウレタン発泡体に置き換わる用途に好適である。
(2)硬さ試験
硬さ試験は、JIS−K−6401−5.4で測定する。前記測定方法で測定される不織布の硬さH0(N)は、60N以上であれば、圧縮時にしっかりした硬さを備えており好ましい。
(3)加熱硬さ保持率
前記不織布は、JIS−K−6401−5.4(硬さ試験)に従って測定される不織布の硬さH0(N)とし、JIS−K−6401−5.5(圧縮残留ひずみ試験)に従って測定される圧縮残留ひずみ試験をした後の前記硬さ試験での不織布の硬さH1(N)としたとき、下記式で示される加熱硬さ保持率は、90%以上であることが好ましい。より好ましい加熱硬さ保持率は、100%以上であり、さらにより好ましくは105%以上である。前記加熱硬さ保持率は、70℃に加熱される前後で不織布の硬さが変化する度合いを示す指標であり、この値が大きいほど、熱による繊維あるいは不織布自体の劣化が抑制されていることを示す。
加熱硬さ保持率(%)=(H1/H0)×100
上記範囲を満足する不織布は、ニードルパンチ不織布、又は不織布中の繊維の配列方向が厚さ方向に対して垂直、斜め方向のいずれかに配列した不織布であることが好ましい。
(4)耐久硬さ保持率
前記不織布は、JIS−K−6401−5.4(硬さ試験)に従って測定される不織布の硬さH0(N)とし、JIS−K−6401−5.6(繰り返し圧縮残留ひずみ試験)に従って測定される繰り返し圧縮残留ひずみ試験をした後の前記硬さ試験での不織布の硬さH2(N)としたとき、下記式で示される耐久硬さ保持率は、90%以上であることが好ましい。より好ましい耐久硬さ保持率は、100%以上である。前記耐久硬さ保持率は、50%圧縮を8万回繰り返す前後で不織布の硬さが変化する度合いを示す指標であり、この値が大きいほど、圧縮による繊維あるいは不織布自体の劣化が抑制されていることを示す。
耐久硬さ保持率(%)=(H2/H0)×100
上記範囲を満足する不織布は、ニードルパンチ不織布、又は不織布中の繊維の配列方向が厚さ方向に対して垂直、斜め方向のいずれかに配列した不織布であることが好ましい。
(5)加熱融着処理
前記加熱硬さ保持率及び/又は前記耐久硬さ保持率を満足する不織布は、例えば、ニードルパンチ、水流交絡処理等公知の方法により交絡されている繊維集合物を、前記潜在捲縮性複合繊維の少なくともPB−1を溶融させて、好ましくはPB−1及び共重合PPを熱加工により溶融させて繊維交点を接着させることにより得ることができる。
以下実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお各特性は以下の方法で測定した。
(1)使用したポリマーの物性
前記において、IVは極限粘度である。MFRはJIS−K−7210に従って、230℃、21.18N(2.16kgf)で測定されるメルトフローレートである。また、MFR(190℃)はJIS−K−7210に準じて、測定温度190℃、21.18N(2.16kgf)で測定されるポリマーのメルトフローレートである。
本発明において融解開始温度とは、JIS−K−7121で規定される補外融解開始温度である。補外融解開始温度は、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線に勾配が最大となる点で引いた接線の交点の温度であり、いわゆる、融解ピーク温度に至る吸熱が開始される温度をいう。
Q値は、次の条件で測定した。
I.使用する分析装置
a.クロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(CFCと略す)
b.フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは光路長1mm、光路直径5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
c.ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段部分のGPCカラムは、昭和電工社製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
II.CFCの測定条件
a.溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
b.サンプル濃度:1mg/mL
c.注入量:0.4mL
d.カラム温度:140℃
e.溶媒流速:1mL/分
III.FT−IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、GPC−IRデータを採取する。
a.検出器:MCT
b.分解能:8cm-1
c.測定間隔:0.2分(12秒)
d.一測定当たりの積算回数:15回
IV.測定結果の後処理と解析
分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm-1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.4mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には以下の数値を用いる。
a.標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時
K=0.000138、α=0.70
b.ポリプロピレンのサンプル測定時
K=0.000103、α=0.78
なお、上記GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定するが、別の機種により測定したとき、2005年度プラスチック成形材料商取引便覧(化学工業日報社、2004年8月30日発行)に記載の、日本ポリプロ社製「MG03B」と同時に測定し、MG03Bが3.5を示すときの値をブランク条件とし、条件を調整して測定することもできる。
(2)各測定方法
[乾熱収縮率]JIS−L−1015に従って測定した。初荷重を0.018mN/dtex(2mg/de)、0.45mN/dtex(50mg/de)とし、実施例1〜4、比較例1〜3は温度120℃で15分間乾熱処理して収縮率を測定した。
[面積収縮率]熱加工前のカードウェブを縦:100mm、横:100mmに切断し120℃にて熱加工した際の、面積減少率を測定した。
[25℃嵩回復率]合計の目付が約1000g/m2となるように100mm角に切断した不織布を必要枚数準備し、重ね合わせて無荷重下で初期厚み(To)を測定する。重ね合わせた不織布の上に100mm角、9.8kPa荷重の重りを乗せて、25℃で24時間荷重を掛け、24時間後荷重を取り除き、除重直後の重ね合わせた不織布の厚み(T1)、及び除重24時間後の厚み(T2)を測定し、不織布の嵩回復率を下記式により算出する。
初期嵩回復率(%)=(T1/T0)×100
長期嵩回復率(%)=(T2/T0)×100
厚みの測定は、何れも無荷重下とする。
[70℃嵩回復率]温度を70℃とし、荷重を掛ける時間を4時間とした以外は上記と同じとした。
[見掛け密度]JIS−K−6401−5.3(見掛け密度試験)に従って測定した。
[硬さ]JIS−K−6401−5.4(硬さ試験)に従って測定した。
[圧縮残留ひずみ]JIS−K−6401−5.5(圧縮残留ひずみ試験)に従って測定した。
[繰り返し圧縮残留ひずみ]JIS−K−6401−5.6(繰り返し圧縮残留ひずみ試験)に従って測定した。
[実施例1〜5、比較例1〜3]
1.繊維製造条件
(A)使用したポリマー(略語の説明は次のとおり)。
(1)PTT(シェルケミカルズジャパン(株)製「CORTERRA9240」、融解ピーク温度(mp)228℃、IV値0.92、融解開始温度213℃)
(2)PP−(1)(日本ポリプロ(株)製「SA03B」、mp160℃、MFR30、Q値3.6)
(3)共重合PP−(1)(日本ポリプロ(株)製「FX4G」、mp125℃、MFR5、Q値5.5、二元ランダムタイプ)
(4)共重合PP−(2)(日本ポリプロ(株)製「ウィンテックWFX4」、mp125℃、MFR7、Q値2.5、メタロセン触媒使用、二元ランダムタイプ)
(5)共重合PP−(3)(プライムポリマー(株)製「F794NV」、mp130℃、MFR7、Q値5.0、三元ランダムタイプ)
(6)共重合PP−(4)(日本ポリプロ(株)製「ウィンテックWXK1183」、mp128℃、MFR26、Q値2.6、メタロセン触媒 二元ランダムタイプ)
(7)PB−1(1)(サンアロマー(株)製「DP0401M」、mp123℃、MFR(190℃)15)
(8)PB−1(2)(サンアロマー(株)製「PB0300」、mp123℃、MFR(190℃)4)
(9)HDPE(日本ポリエチレン社製 「HE481」、mp130℃、MFR(190℃)12)
(10)PBTエラストマー(東レ・デュポン社製「ハイトレル 4047H−36」、
mp160℃)
鞘成分のブレンド比は、表1に記載した。
(B)押し出し温度:芯成分ポリマー(PTT等)を280℃、鞘成分ポリマーを250℃、ノズル口金温度を270℃とした。
(C)ノズル孔数:600ホール
(D)複合比:芯/鞘=55/45(容積比)
(E)未延伸糸繊度:実施例1〜3は12dtex、実施例4は10dtex、比較例1は17.9dtex、比較例2、3は8dtex
(F)延伸温度:湿式70℃
(G)延伸倍率:実施例1〜3は2.3倍、実施例4は1.9倍、比較例1は3.2倍、比較例2、3は2.3倍
(H)捲縮:12〜15個/25mm
(I)アニーリング温度(乾燥温度)−時間:70℃−15分間。比較例2、3:110℃−15分
(J)製品繊度、繊維長:6.7dtex、51mm、比較例2、3は繊維長:4.4dtex、51mm
2.不織布製造条件
各潜在捲縮性複合繊維100質量%をパラレルカードに掛けウェブを採取し、熱風循環式の熱処理機を用い、表1に示す加工温度で30秒間熱処理して鞘成分を熱融着させ、目付約100g/m2の不織布とした。
3.ニードルパンチ不織布の製造条件
各潜在捲縮性複合繊維100質量%をパラレルカードに掛け、クロスレイヤーを用いてクロスレイウェブを作製した。次いで、クロスレイウェブに、フォスターニードル社製円錐ブレードを用いて、針深度5mm、表5に示すペネ数(表裏とも)でニードルパンチ処理を施した。得られたニードルパンチ不織布を熱風循環式の熱処理機を用い、表5に示す加工温度で30秒間熱処理して鞘成分を熱融着させ、不織布とした。得られた不織布の硬さ、圧縮残留ひずみ、加熱硬さ保持率、繰り返し圧縮残留ひずみ、および耐久硬さ保持率を測定した結果を表1、表2に示す。
各条件と得られた結果を表1、表2に示す。
実施例5は、実施例1の潜在捲縮性繊維50質量%と繊度6.7dtex、繊維長64mmのポリエチレンテレフタレート繊維(東レ社製 「T−70」)50質量%を混綿して作製した。
Figure 2008248421
Figure 2008248421
以上の結果から明らかなとおり、本発明の実施例1〜4の不織布は比較例1の不織布に比べて、圧縮硬さが高く、弾力性が良好であった。これは、不織布中の繊維形状がループ状立体捲縮を発現していたことによるものと考えられる。また、実施例1〜5の不織布は初期嵩回復率も長期嵩回復率も高く、さらに加熱硬さ保持率と耐久硬さ保持率も高かった。これは、第一成分(鞘成分)にPB−1を使用し、第二成分(芯成分)にポリトリメチレンテレフタレートを使用したからであると推定される。
さらにカードウェブを数枚重ねて加熱成形したところ、実施例5はPET繊維が混綿されているので圧縮硬さが若干低下したが、本発明の実施例1〜4の不織布は層間の繊維が交絡することで一体性を発現しており、優れた弾力性を有していた。一方、比較例1及び比較例3はPB−1を使用していないため、嵩回復性、圧縮性(圧縮硬さ、耐久硬さ保持率)が不十分であった。また比較例2、比較例3の不織布はPB−1を使用しておらず、顕在捲縮性繊維であったため、ウェブ層間の繊維の交絡が弱く、分離しやすかった。
以上から、本発明の潜在捲縮性複合繊維を用いた不織布は、弾力性と嵩回復性が高く、かつ複数層重ねて圧縮加熱成形の際に、層間の繊維の交絡性が良好で層間の一体性が高いことが確認できた。
本発明の潜在捲縮性複合繊維を用いた繊維集合物は、従来のエラストマーを用いた複合繊維からなる繊維集合物に比べて初期嵩と嵩回復性も共に優れており、クッション材等の硬綿、衛生材料、包装材、フィルター、化粧品用材料、女性のブラジャーのパッド、肩パッド等の低密度の不織布製品にも使用することができる。さらに、本発明の潜在捲縮性複合繊維を用いた繊維集合物は、高温(例えば60〜90℃程度)での嵩回復性にも優れており、耐熱性が要求される分野、例えば車両用クッション材、床暖房用フローリングの裏打ち材等に使用することができる。
図1は本発明の一実施形態における潜在捲縮性複合繊維の繊維断面を示す。
符号の説明
1 第一成分
2 第二成分
3 第二成分の重心位置
4 複合繊維の重心位置
5 複合繊維の半径
10 潜在捲縮性複合繊維

Claims (10)

  1. 第一成分と第二成分を含む複合繊維であって、
    前記第一成分は、ポリブテン−1を含み、
    前記第二成分は、ポリブテン−1の融解ピーク温度よりも20℃以上高い融解ピーク温度を有するポリマー、又は融解開始温度が120℃以上であるポリマーであり、
    前記複合繊維を断面から見たとき、前記第一成分は前記複合繊維表面の少なくとも20%を占めており、前記第二成分の重心位置は前記複合繊維の重心位置からずれており、
    前記複合繊維は、120℃におけるJIS−L−1015で測定した乾熱収縮率が、
    (1)初荷重0.018mN/dtex(2mg/de)での測定において50%以上、かつ
    (2)初荷重0.45mN/dtex(50mg/de)での測定において5%以上である
    ことを特徴とする潜在捲縮性複合繊維。
  2. 前記第二成分は、ポリエステルである請求項1に記載の潜在捲縮性複合繊維。
  3. 前記ポリエステルは、ポリトリメチレンテレフタレートである請求項2に記載の潜在捲縮性複合繊維。
  4. 前記第一成分は、ポリブテン−1にさらにプロピレン共重合体を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の潜在捲縮性複合繊維。
  5. 前記第一成分は、ポリブテン−1の含有量が60質量%以上95質量%以下であり、プロピレン共重合体の含有量が5質量%以上40質量%以下の範囲である、請求項4に記載の潜在捲縮性複合繊維。
  6. 前記ポリブテン−1は、JIS−K−7121で測定した示差走査熱量(DSC)より求められる融解ピーク温度が115〜130℃であり、JIS−K−7210に準じて測定したメルトフローレート(MFR;測定温度190℃、荷重21.18N(2.16kgf))が1〜30g/10分の範囲である請求項1〜5のいずれか1項に記載の潜在捲縮性複合繊維。
  7. 前記プロピレン共重合体が、エチレン−プロピレン共重合体、およびエチレン−ブテン−1−プロピレン三元共重合体から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の潜在捲縮性複合繊維。
  8. 前記プロピレン共重合体は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が3以上のエチレン−プロピレン共重合体である請求項1〜7のいずれか1項に記載の潜在捲縮性複合繊維。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の潜在捲縮性複合繊維を少なくとも30質量%含有し、前記潜在捲縮性繊維の捲縮が発現している繊維集合物。
  10. 前記潜在捲縮性複合繊維の少なくともポリブテン−1が溶融して、構成する繊維同士が熱融着されている請求項9に記載の繊維集合物。
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