以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ装置は、図1に示すように、頭部保護エアバッグ装置Sであり、頭部保護エアバッグ(カーテンエアバッグともいう、以下、単にエアバッグとする)30と、膨張用ガスを吐出するインフレーター20と、エアバッグカバー11と、取付ブラケット13と、を備えて構成されている。エアバッグ30は、車両Vの車内側における前席や後席の側方で前後に並設される窓(サイドウインド)W1,W2の上縁WU側において、フロントピラー部FPの下縁側から、中間ピラー部CPの上方を経て、リヤピラー部RPの上方まで、の範囲に、折り畳まれて収納されている。
インフレーター20は、図2〜4に示すように、略円柱状のシリンダタイプとして、エアバッグ30における膨張用ガスGを流入させるための後述する接続口部33に挿入されて、エアバッグ30と連結される。インフレーター20は、燃焼して膨張用ガスGを発生させる薬剤や点火装置等を内蔵して構成され、円柱状の本体部21と、本体部21の先端に設けられた小径の円柱状のガス吐出部22と、を備えて構成されている。ガス吐出部22には、複数のガス吐出口22aが配設されており、インフレーター20は、作動時、これらのガス吐出口22aから膨張用ガスGを吐出することとなる。
このインフレーター20は、本体部21の外周面21aの元部側、すなわち、元部側外周面21cに、本体部21を挟持するように取付ブラケット24が取り付けられ、取付ブラケット24がボルト26止めされることにより、中間ピラー部CPの上方付近におけるルーフサイドレール部RRのインナパネル2に対し、ルーフヘッドライニング5の下縁5aに覆われて、取付固定される(図1参照)。また、インフレーター20は、ガス吐出部22を含めた先端側20aから接続口部33の後述する挿入側筒部35内に挿入されて、挿入側筒部35を、接続手段としてのクランプ28により、インフレーター20側に挟持させるように押圧して、挿入側筒部35に接続される。
また、このインフレーター20は、車両Vの側面衝突や、オフセット衝突を含む斜め衝突を検知した所定の制御装置により、作動される。
各取付ブラケット13は、図1に示すように、取付ボルト14によって、エアバッグ30の後述する取付部60をインナパネル2に取付固定している。なお、各取付ボルト14は、インナパネル2におけるナット等を設けたねじ孔に、締結されている。
エアバッグカバー11は、図1に示すように、フロントピラー部FPに配置されるフロントピラーガーニッシュ4の下縁4a側と、ルーフサイドレール部RRに配置されるルーフヘッドライニング5の下縁5a側と、から構成されている。
エアバッグ30は、図1,5に示すように、窓W1,W2を覆うように膨張するエアバッグ本体31と、エアバッグ本体31内に配設される可撓性を有した整流シート(実施形態の場合、整流布とも言える)としてのインナチューブ63と、耐熱性を向上させる可撓性を有した補強シート(実施形態の場合、補強布とも言える)70と、を備えて構成される。
エアバッグ本体31は、インフレーター20からの膨張用ガスGを流入させて、折り畳み状態から展開して、窓W1,W2、中間ピラー部CP、及び、リヤピラー部RPの車内側を覆うように展開膨張する。このエアバッグ本体31は、図2〜5に示すように、膨張用ガスGを流入させて対向する正面側壁部としての車内側壁部32aと背面側壁部としての車外側壁部32bとを離すように膨張するガス流入部32と、車内側壁部32aと車外側壁部32bとを結合させたような状態として膨張用ガスGを流入させない非流入部45と、を備えて構成される。
ガス流入部32は、窓W1,W2、中間ピラー部CP、及び、リヤピラー部RPの車内側を覆う本体膨張部37と、インフレーター20からの膨張用ガスGを本体膨張部37へ流入させるように、インフレーター20と接続される筒状の接続口部33と、を備えて構成される。
接続口部33は、本体膨張部37の前後方向の中央付近から上方に突出するように配設されている。そして、接続口部33は、本体膨張部37側から略直交して上方へ突出するようにして本体膨張部37と接続される本体側筒部34と、本体側筒部34の上端で、本体側筒部34から略直交して後方へ突出するように本体側筒部34に連なるとともに、後端の開口35cからインフレーター20を挿入させてインフレーター20と接続される挿入側筒部35と、を有するL字状として構成され、その屈曲された状態として、車両Vに搭載される。
また、本体膨張部37は、膨張完了時、窓W1の車内側を覆うように配設される前側膨張部39と、窓W2の車内側を覆うように配設される後側膨張部40と、エアバッグ本体31の上縁31a側で前後方向に沿って筒状に配設される供給路部38と、を備えて構成されている。供給路部38は、前後方向の中間部位で、接続口部33と接続されて、接続口部33からの膨張用ガスGを、インナチューブ63を利用しつつ、前側膨張部39と後側膨張部40とに供給する部位となる。
さらに、実施形態の場合、エアバッグ本体31は、構成部材として、非流入部45の後述する取付部60と、接続口部33の車内側壁部32aや車外側壁部32bを構成する接続口部用布材52(図3,4,6,13参照)と、本体膨張部37の部位を構成して袋織りで形成される袋織り部47と、の三種類の部材から構成されている。袋織り部47は、ポリアミドやポリエステル等の糸から袋織りにより形成され、膨張用ガスGを流入させて車内側壁部32aと車外側壁部32bとを分離させるように膨らむガス流入部32を構成する袋本体部48と、ガス流入部32の周囲に配置される閉じ部49と、を備えて構成されている。接続口部用布材52(52I,52O)や取付部60、さらに、補強シート70を形成するための補強用シート材90、インナチューブ63を形成するためのチューブ用シート材68、及び、後述する案内布(案内シートともいえる)94は、可撓性を有したシート材、例えば、ポリアミド等の糸を平織りした布材等から形成されている。
非流入部45は、周縁部46と取付部60とから構成されている。周縁部46は、ガス流入部32の周囲を囲むように形成されて、エアバッグ本体31の上縁31a側に位置する上縁46aが、袋織りで形成される袋織り部47の閉じ部49と、接続口部用布材52等と一体的な縫合により形成されるバッグ形成用縫合部55と、から構成されている。
なお、閉じ部49は、エアバッグ本体31の上縁31a側に、上前閉じ部49aと上後閉じ部49bとを備え、両者の間に、開口部としての分断部位50を配設させている。分断部位50の周縁の車内側壁部32aと車外側壁部32bとには、図3,5,13に示すように、接続口部用布材52(52I,52O)の下縁側の延設部位52cが、それぞれ、連結縫合部57により、縫合されている。
接続口部用布材52I,52Oは、図3〜6,13に示すように、接続口部33の車内側壁部32aと車外側壁部32bとを形成するものであり、それぞれ、本体側筒部34を形成する本体側部52aと、挿入側筒部35を形成する挿入側部52bと、本体膨張部37側、換言すれば、分断部位50側に縫合される延設部位52cと、を備えている。
そして、分断部位50と接続口部33とにおける車内側壁部32aと車外側壁部32bとの相互は、バッグ形成用縫合部55の前縁側縫合部55aと後縁側縫合部55bとにより、縫合されている。前縁側縫合部55aは、上前閉じ部49aから後方へ延び、分断部位50を経て、接続口部33の本体側筒部34の前縁34aから挿入側筒部35の上縁35aにおける車内側壁部32aと車外側壁部32bとの相互を縫合している(図5,14参照)。後縁側縫合部55bは、上後閉じ部49bから前方に延び、分断部位50を経て、接続口部33の本体側筒部34の後縁34bから挿入側筒部35の下縁35bの車内側壁部32aと車外側壁部32bとの相互を縫合している(図5,14参照)。
なお、実施形態の場合、バッグ形成用縫合部55の前縁側縫合部55aは、車内側壁部32aと車外側壁部32bと共にインナチューブ63と補強シート70も共縫い(同じ場所で縫合すること)し、後縁側縫合部55bは、同様に、車内側壁部32aと車外側壁部32bと共にインナチューブ63と補強シート70も縫合し、インナチューブ63と補強シート70の後述する縫合部75,85も共縫いしている。
取付部60は、図5に示すように、エアバッグ本体31の上縁31a側における周縁部46の上縁46aから上方へ突出するように、複数(実施形態では6個)形成されている。各取付部60には、取付ボルト14を挿通させる取付孔60aが、形成されている。各取付部60には、既述したように、ボディ1側のインナパネル2に取り付けるための取付ブラケット13が固着され、そして、各取付孔60aを挿通する取付ボルト14がインナパネル2の各ねじ孔に締結されることにより、各取付部60が、インナパネル2に固定される。
前端の取付部60Fは、ポリアミド等の織布から形成された別体の布材からなり、エアバッグ本体31の袋織りで形成された周縁部46の前縁46cに対して、縫合されて形成されている。また、この取付部60Fは、フロントピラー部FPの下部付近に固定されて、エアバッグ30の膨張完了時、エアバッグ30の下縁31b側、具体的には、取付部60Fとフロントピラー部FPから離れた取付部60(60B、図1参照)とを結ぶライン上に、強い張力を発揮させ、エアバッグ30における乗員の室内側への拘束性を良好にするように、構成されている。
なお、前方から二番目の取付部60Sは、取付部60Fの布材に縫合して配設されている。
整流シートとしてのインナチューブ63は、図2〜5に示すように、エアバッグ本体31の接続口部33内から接続口部33の近傍の供給路部38内に延びるように配設されている。すなわち、インナチューブ63は、接続口部33内に配設されるとともにインフレーター20の先端側20aを挿入させてインフレーター20と接続される接続筒部64と、接続筒部64からエアバッグ本体31の本体膨張部37側の供給路部38に延びて、端部側でインフレーター20からの膨張用ガスGを両側の流出口65a,65bから分岐させて流出させる流出口部65と、を備えている。接続筒部64の後端には、インフレーター20を挿入させる挿入口64aが開口され、流出口部65は、インナチューブ63の下縁63c側の前後両端に、前後方向で対向させるように、流出口65a,65bを開口させている。
このインナチューブ63は、図6,12に示すように、一枚の可撓性を有したチューブ用シート材68から形成されている。チューブ用シート材68は、既述したように、ポリアミド等の織布から形成されて、中央に前後方向に沿う折目68aを付けて折り重ね、挿入口64aや流出口65a,65bの部位を除き、折り重ねた外周縁を縫合することにより、形成されている。すなわち、インナチューブ63は、折目68aから、正面側部としての車内側部63aと背面側部としての車外側部63bとが上方に延び、挿入口64aや流出口65a,65bの部位を除く車内側部63aと車外側部63bとの外周縁相互が縫合されることにより、形成されている。換言すれば、インナチューブ63は、折目68aが下で、縫合部66a,66b,66cが上縁側に配置されている。
補強シート70は、図2〜5に示すように、接続口部33内に配設されたインナチューブ63の内部に配設されている。詳しくは、補強シート70は、インナチューブ63内における接続筒部64と流出口部65の上部付近に配設されている。換言すると、補強シート70は、接続筒部64内と供給路部38に到達しないエリアの流出口部65内とにわたって、配設されている。そして、補強シート70は、インフレーター20の先端側20aの周囲と、インフレーター20からインフレーター20の軸方向IDに沿って離れた部位(先端側20aの前の空間の部位)と、を覆うように配設されて、これらの部位を覆うように、第1カバー部71と第2カバー部81とを備えて構成されている。
第1カバー部71は、図2に示すように、インフレーター20の先端側20aからインフレーター20の軸方向IDに沿って離れた方向、換言すれば、インフレーター20の軸方向IDでインフレーター20の先端と対向する縁(対向縁)、実施形態では、補強シート70の前縁70a側で、インフレーター20の先端側20aを覆うように、インフレーター20の軸方向IDと交差する方向の交差方向側折目72を設けて二つ折りされて、交差方向側折目72の両側に位置する正面側部としての車内側部73と背面側部としての車外側部74との折目72から離れた両端側により、インフレーター20の先端側20aを包んで、配設されている。第1カバー部71は、インフレーター20の本体部21の先端側外周面21b側に巻き付けられる筒状ラップ部71aと、筒状ラップ部71aからインフレーター20のガス吐出部22の周囲を覆って交差方向側折目72に至るまでの部位のガス流路部71bと、を備えて構成されることとなる。
第2カバー部81は、エアバッグ本体31の本体膨張部37から離れる離隔縁側、実施形態では、補強シート70の上縁70b側に、インフレーター20の軸方向IDに沿う軸方向側折目82を設けて二つ折りされて、軸方向側折目82から延びる正面側部として車内側部83と背面側部としての車外側部84とにより、インフレーター20の先端側20aを包んで、配設されている。第2カバー部81は、インフレーター20の本体部21の先端側外周面21b側に巻き付けられる筒状ラップ部81aと、筒状ラップ部81aからインフレーター20のガス吐出部22の周囲を覆って補強シート70の前縁70a側に向かう部位のガス流路部81bと、を備えて構成されることとなる。
そして、第1カバー部71と第2カバー部81とは、インフレーター20の先端のガス吐出部22から離れた部位において、交差方向側折目72と軸方向側折目82とを連続するように、重ねて(二重にして)配設されるとともに、整流シートとしてのインナチューブ63の流出口部65側を開口させる開口部71c,81cを下端側に設けて、配設されている。さらに、実施形態の場合、第2カバー部81が、第1カバー部71の内側に配設されている。
なお、補強シート70は、実施形態の場合、インフレーター20のガス吐出部22から吐出された膨張用ガスGに対して、接続口部33の耐熱性と整流シートとしてのインナチューブ63の耐熱性とを向上させるために配設されるものである。そして、実施形態の場合、この補強シート70は、第1カバー部71と第2カバー部81との交差方向側折目72と軸方向側折目82とを連ならせた部位により、インフレーター20のガス吐出部22から吐出された膨張用ガスGが、インナチューブ63の接続筒部64や流出口部65における上前縁の縫合部66aに、直接当たらないように、縫合部66aを内側から覆っている。
また、実施形態では、第1カバー部71が、交差方向側折目72を、図11に示すように、インフレーター20の軸直交方向VDから開口部71c側に向かって拡開する傾斜角度θ(実施形態で約45°)を設けて、傾斜するように、配設させている。
さらに、実施形態では、第1カバー部71は、交差方向側折目72の部位を含めたガス流路部71bの内周側に、耐熱性を高める補強部77が配設され、第2カバー部81は、軸方向側折目82の部位を含めたガス流路部81bの外周側に、耐熱性を高める補強部86が配設されている。
そして、実施形態の第1カバー部71と第2カバー部81とは、図6,7に示すように、既述のポリアミド等の織布からなる一枚の補強用シート材90から形成されている。補強用シート材90は、第1カバー部71を形成する第1カバー構成部91と、第2カバー部81を形成する第2カバー構成部92とが、連結部93によって連結されて構成されている。
第1カバー構成部91は、本体部91aと積層用補強部91bと、を備えて構成されている。本体部91aは、交差方向側折目72の配置部位から車内側部73と車外側部74とを延ばすように構成され、それらの車内側部73と車外側部74との交差方向側折目72の近傍の略台形状の部位を、車内外方向で対向させて、ガス流路部71bを形成する流路側構成部91ab(図7の斜線部分参照)とし、流路側構成部91abに隣接する略長方形形状の部位を、車内外方向で対向させて、筒状ラップ部71aを形成する筒側構成部91aaとしている。積層用補強部91bは、車外側部74の流路側構成部91abの縁から延設されるように配設され、その縁に折目91cを付けて本体部91a側に折り重ねて配設されることとなる。なお、実施形態の場合には、本体部91aから補強部91bがずれないように、重ねた後、略コ字形に縫った縫合部91d(図9のB参照)により、本体部91aと補強部91bとが縫合されることとなる。
第2カバー構成部92は、本体部92aと積層用補強部92bと、を備えて構成されている。本体部92aは、軸方向側折目82の配置部位から車内側部83と車外側部84とを延ばすように構成され、それらの車内側部83と車外側部84との軸方向側折目82から幅寸法の広い略長方形形状の部位を、車内外方向で対向させて、ガス流路部81bを形成する流路側構成部92ab(図7の斜線部分参照)とし、流路側構成部92abから軸方向側折目82に沿って軸方向側折目82からの幅寸法を狭くする略長方形形状の部位を、車内外方向で対向させて、筒状ラップ部81aを形成する筒側構成部92aaとしている。積層用補強部92bは、車内側部83と車外側部84との流路側構成部92abにおける筒側構成部92aaから離れた縁から、延設されるように配設され、その縁に折目92cを付けて本体部92a側に折り重ねて配設されることとなる。なお、実施形態の場合には、本体部92aから補強部92bがずれないように、重ねた後、略長方形に縫った縫合部92d(図9のA参照)により、本体部92aと補強部92bとが縫合されることとなる。
さらに、実施形態では、この縫合部92dの形成時、インフレーター20の先端側20aを補強シート70の挿入口70eから補強シート70内に挿入させ易いようにするために、インフレーター20の外周面21aに直接接触して案内できるように、第2カバー構成部92の本体部92aに、略長方形板状の案内布94が共縫いされている。案内布94は、軸方向側折目82と一致する折目で折られ、インフレーター20の本体部21の先端側外周面21bを摺動可能に、略筒状に形成される。案内布94は、挿入口70eから突出する把持部94aを備え、これらの把持部94aを把持しつつ、インフレーター20の先端側20aを挿入部70dに挿入させることができて、インフレーター20の挿入部70dへの挿入作業を容易にさせることができる。
補強シート70の製造工程を説明すると、まず、図8のA,Bに示すように、案内布94を第2カバー構成部92の本体部92aの内周側となる所定位置に配置させ、さらに、折目92cを付けて、本体部92aにおける案内布94の配置側と反対側(本体部92aの外周側)に、積層用補強部92bを折り重ねて、図8のB,図9のAに示すように、ポリアミド等からなる縫合糸95を使用して、縫合部92dを設けて、補強部86を形成する。ついで、図9のA,Bに示すように、折目91cを付けて、第1カバー構成部91の本体部91aの内周側に積層用補強部91bを折り重ね、縫合糸95を使用して、縫合部91dを設けて、補強部77を形成する。
その後、図9のB,図10のAに示すように、連結部93の部位に折目を付けて、第2カバー構成部92を、第1カバー構成部91の内周側となる車内側部73の部位に載せ、図10のA,Bに示すように、第2カバー構成部92に軸方向側折目82を付けて、案内布94とともに、第2カバー構成部92を折り重ねる。なお、この時、第2カバー部81の外形形状が形成される。
その後さらに、図10のB,Cに示すように、交差方向側折目72を付けて、第1カバー構成部91の車内側部73の上に第2カバー部81を載せたまま、第1カバー構成部91の車内側部73を車外側部74の上に載せれば、第1カバー部71の外形形状も形成され、補強シート70が形成される。
なお、実施形態では、図10のCや図11に示すように、第1カバー部71と第2カバー部81とのずれを防止し、さらに、第1カバー部71の車内側部73と車外側部74とのずれを防止するように、縫合糸95を使用して、縫合部75,76,85を縫合している。
縫合部75は、補強シート70のインフレーター20の先端側20aを挿入させる挿入部70dの周縁の下縁側の部位であり、第1カバー部71の車内側部73と車外側部74との下縁後部側相互を縫合して形成されている。縫合部76は、補強シート70の上縁70bの部位であり、第1カバー部71の交差方向側折目72から後方側に延びる車内側部73と車外側部74との重なった外周縁相互を縫合して形成されている。縫合部85は、補強シート70のインフレーター20の先端側20aを挿入させる挿入部70dの周縁の下縁側の部位であり、第2カバー部81の車内側部83と車外側部84との下縁後部側相互を縫合して形成されている。
なお、実施形態では、縫合部75,85は、第1カバー部71と第2カバー部81との車内側部73,83と車外側部74,84とを共縫いして形成されており、異なる符号を付しているものの、同じ縫合部位である。
このように形成した補強シート70は、図11に示すように、後端側にインフレーター20の先端側20aを前方側に向けて挿入可能な挿入口70eを配設させた筒状の挿入部70dと、前縁70a側の下縁70c側に、膨張用ガスGを流出させる放出口70gを配設させた放出部70fが形成されることとなる。放出部70fは、インフレーター20のガス吐出部22のガス吐出口22aから吐出される膨張用ガスGを受け止めて、放出口70g、換言すれば、第1カバー部71と第2カバー部81との開口部71c,81cから放出することとなる。そして、実施形態では、放出部70fの部位が、第1カバー部71と第2カバー部81とのガス流路部71b,81bにより構成されている。
このように形成した補強シート70は、図12のA〜Cに示すように、折り畳む前のチューブ用シート材68の上に載せ、折目68aで折り、重ねた車内側部63aと車外側部63bとの挿入口64aや流出口65a,65bの部位を除く所定の外周縁相互を、縫合糸95を使用して縫合する。すなわち、実施形態では、インナチューブ63の後縁側の挿入口64aと流出口65bとの間の外周縁の縫合部66bを形成し、さらに、縫合部66bから分岐するように、車内側部63aと車外側部63bとをL字状に縫合する縫合部66cを形成している。
なお、縫合部66bと縫合部66cとは、部分的に、補強シート70と共縫いしている。そのため、この時、インナチューブ63の形状が形成されるとともに、補強シート70もインナチューブ63に締結されて、補強シート70を設けたインナチューブ63、換言すれば、補強シート組付体97、が形成されることとなる。
なお、実施形態の場合、インナチューブ63の前縁の流出口65aと挿入口64aとの間の外周縁の部位(上前縁)は、実施形態の場合、接続口部33の前縁側縫合部55aの縫合時に、縫合するように構成しているが、このインナチューブ63の形成時、上前縁の車内側部63aと車外側部63bとの相互を縫合して、縫合部66aを形成しておいても良い。
その後、エアバッグ本体31に、インナチューブ63に補強シート70を設けた補強シート組付体97を組み付ける。その際、エアバッグ本体31では、図13のA,Bに示すように、予め、袋織り部47の分断部位50の車内側壁部32aと車外側壁部32bとに、接続口部用布材52I,52Oとを、縫合糸95を使用する連結縫合部57を設けて、縫合しておく。ついで、図14のA,Bに示すように、開いた接続口部用布材52I,52Oの間に、補強シート組付体97を配置する。そして、縫合糸95を使用するバッグ形成用縫合部55の前縁側縫合部55aと後縁側縫合部55bとを設けて、接続口部用布材52I,52O、補強シート70、及び、インナチューブ63、を共縫いすれば、接続口部33を形成できるとともに、接続口部33内に、インナチューブ63に補強シート70を設けた補強シート組付体97を、配設固定することができる。前縁側縫合部55aにより接続口部用布材52I,52Oに共縫いされる部位は、インナチューブ63の上前縁66aの部位と補強シート70における軸方向側折目82より上方側の上縁70bの部位である(図11参照)。後縁側縫合部55bにより接続口部用布材52I,52Oに共縫いされる部位は、補強シート70の縫合部75,85に重なって、インナチューブ63と補強シート70との挿入側筒部35の下縁側の部位である。換言すれば、前縁側縫合部55aは、軸方向側折目82の部位を縫合していない。
ついで、取付部60を所定部位に縫合すれば、エアバッグ30を形成することができる。
その後、下縁31b側を上縁31a側に接近させるようにエアバッグ30を折り畳んで、折り崩れ防止用の破断可能な図示しないテープを巻き付けるとともに、取付部60に取付ブラケット13を取り付け、接続口部33の挿入側筒部35の開口35c側から、インナチューブ63の接続筒部64内の補強シート70の挿入部70d内に、挿入口70eを経て、インフレーター20の先端側20aを挿入し、クランプ28を挿入側筒部35の外周側からインフレーター20側に押圧するように締結して、インフレーター20を挿入側筒部35に接続させれば、エアバッグ組付体99を組み立てることができる。
そして、このように組み立てたエアバッグ組付体99は、取付ブラケット13を組み付けた各取付部60を、ボディ1側のインナパネル2の対応する取付部位に配置させ、各取付孔60aに挿通させる等して、取付ボルト14をねじ孔に締結し、さらに、取付ブラケット24をボルト26止めし、インフレーター20をインナパネル2に固定して、エアバッグ組付体99をボディ1に取り付ける。ついで、インフレーター20に、所定のインフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を結線し、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5をボディ1に取り付け、さらに、中間ピラーガーニッシュ7やリヤピラーガーニッシュ8をボディ1に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置Sを、車両Vに搭載することができる。
頭部保護エアバッグ装置Sの車両Vへの搭載後、インフレーター20が作動すれば、膨張用ガスGが、インフレーター20のガス吐出部22のガス吐出口22aから吐出されて、エアバッグ30の接続口部33から本体膨張部37側に流れる。詳しくは、膨張用ガスGは、図2〜4に示すように、ガス吐出部22のガス吐出口22aから補強シート70の放出部70fに流出し、放出部70fの放出口70gからインナチューブ63の流出口部65の上部に流出し、インナチューブ63の下縁63cに到達して、前後両側に分岐して、流出口部65の前後両端の流出口65a,65bからエアバッグ本体31の本体膨張部37における供給路部38を経て、本体膨張部37の前側膨張部39と後側膨張部40とに流れることから、エアバッグ30は、エアバッグカバー11を押し開いて、図1の二点鎖線に示すように、窓W1,W2、中間ピラー部CP、及び、リヤピラー部RPの車内側を覆うように展開膨張することとなる。
そして、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Sでは、作動時、図2〜4に示すように、インフレーター20の先端側20aから吐出される膨張用ガスGは、エアバッグ本体31の接続口部33の内部で、挿入側筒部35に沿って流れ、そして、挿入側筒部35から曲がって、本体側筒部34に流れ、そして、本体膨張部37側に流れる。その際、補強シート70の内部では、挿入側筒部35から曲がって本体側筒部34に流れる膨張用ガスGは、開口部71c,81cを経て整流シートとしてのインナチューブ63の流出口部65側に流れるが、その前に、補強シート70の第1カバー部71の交差方向側折目72の部位(前縁70a)に当たる。しかし、その折目72の部位は、図2,4に示すように、第1カバー部71の車内側部(正面側部)73と車外側部(背面側部)74とが連続的に連なって形成されている折目の部位であって、第1カバー部71の車内側部73と車外側部74とを縫合して形成した部位でないことから、従来の補強シート(平織り等の布材からなる補強布)に比べて、耐熱性を向上させることができる。また、インフレーター20の先端側20aのガス吐出口22aから吐出する膨張用ガスGは、補強シート70における開口部71c,81cから離れた反対側の離隔縁70b側と当たるが、その部位は、図2,3に示すように、第2カバー部81の軸方向側折目82の部位が配設され、その折目82の部位も、第2カバー部81の車内側部(正面側部)83と車外側部(背面側部)84とが連続的に連なって形成されている折目の部位であって、第2カバー部81の車内側部83と車外側部84とを縫合して形成した部位でないことから、耐熱性を有している。そして、補強シート70は、これらの交差方向側折目72と軸方向側折目82とが連なるように、第1カバー部71と第2カバー部81とを重ねて配設するだけで、形成できることから、耐熱性を有した補強シート70を、簡便に製造することができる。
したがって、実施形態のエアバッグ装置Sでは、エアバッグ30の接続口部33に配設される補強シート70の耐熱性を簡便に向上させることができる。
そして勿論、実施形態の補強シート70では、第1カバー部71と第2カバー部81との交差方向側折目72と軸方向側折目82とを連ならせた部位により、インフレーター20のガス吐出部22から吐出される膨張用ガスGを、インナチューブ63の接続筒部64や流出口部65における上前縁の縫合部66aに、直接当たらないようにしており、インナチューブ63の耐熱性を向上させている。
なお、実施形態では、エアバッグ30が、エアバッグ本体31の接続口部33と接続口部33の近傍の本体膨張部37の内部に配設されて、内周側に補強シート70を配設させた可撓性を有した整流シートとしてのインナチューブ63を備え、インナチューブ63が、接続筒部64と流出口部65とを備えて構成されている。接続筒部64は、接続口部33内に配設されるとともにインフレーター20の先端側20aを挿入させて、補強シート70を介在させて、インフレーター20と接続される。流出口部65は、接続筒部64から本体膨張部37側に延びて、端部側(下縁63c側)で、接続筒部64を経て流入したインフレーター20からの膨張用ガスGを、前後両側に分岐させて流出可能な少なくとも二つの流出口65a,65bを有して構成されている。
そのため、実施形態では、補強シート70によって耐熱性を向上させた整流シートとしてのインナチューブ63が、インフレーター20の膨張用ガスGを、接続筒部64を経て流出口部65に流し、そして、流出口部65の少なくとも前後両側の流出口65a,65bから、エアバッグ本体31の本体膨張部37側の前側膨張部39や後側膨張部40に、円滑に分岐させて、流出させることができる。
そして、実施形態のエアバッグ装置Sでは、整流シートとしてのインナチューブ63が、一枚の可撓性を有したチューブ用シート材68から形成されるとともに、流出口部65側に折目68aを設けて二つ折りされて、重ねた外周縁相互を縫合されて、形成されている。
そのため、実施形態では、膨張用ガスGが、補強シート70の開口部71c,81cを経て、インナチューブ63の流出口部65に流れ、そして、両側の流出口65a,65bから流出する際、流出口部65の折目68aの部位に当るが、その部位は、インナチューブ63の正面側部としての車内側部63aと背面側部としての車外側部63bが連続的に連なって形成されている折目68aの部位であって、インナチューブ63の車内側部63aと車外側部63bとを縫合して形成した部位ではないことから、耐熱性が向上している。そのため、上記のような構成では、耐熱性を有したインナチューブ63を簡便に形成することができる。
勿論、上記の点を考慮しなければ、インナチューブ63の上前縁66aの部位を折目として、二つ折りするようなチューブ用シート材を使用して、二つ折りして、重ねた外周縁の下縁63cと後方側の内周縁(縫合部66bの配置される縁)とを縫合して、整流シートとしてのインナチューブを、形成してもよい。
また、実施形態のエアバッグ装置Sでは、補強シート70の第2カバー部81が、第1カバー部71の内側に配設されている。
そのため、実施形態では、軸方向側折目82を有した第2カバー部81が、インフレーター20に接近する内側に配設されることなり、インフレーター20の先端側20aから吐出される膨張用ガスGは、補強シート70の第1カバー部71よりインフレーター20に接近している第2カバー部81の軸方向側折目82の部位に当たって、エアバッグ本体31の接続口部33内において、第2カバー部81の軸方向側折目82の部位から、第1カバー部71の交差方向側折目72に案内されて、本体膨張部37側に流れる。すなわち、インフレーター20の先端側20aから吐出される膨張用ガスGは、接続口部33の挿入側筒部35から円滑に本体側筒部34側に流れることとなり、膨張用ガスGの上流側において、補強シート70が耐熱性をより好適に発揮することができる。
勿論、この点を考慮しなければ、第1カバー部71を第2カバー部81の内側に配設してもよい。例えば、第2カバー部81を前後方向に長く形成し、その軸方向側折目82の前端から後方にずれた位置に、交差方向側折目72の上端を当てるように配置させれば、交差方向側折目72と軸方向側折目82とを連ならせた状態として、第2カバー部81の内側に、第1カバー部71を配設することができる。
また、実施形態のエアバッグ装置Sでは、補強シート70の第1カバー部71が、交差方向側折目72を、インフレーター20の軸直交方向から開口部71c側に向かって拡開するような傾斜角度θ(実施形態では約45°)を設けて、傾斜するように、配設させている(図11参照)。
そのため、実施形態では、インフレーター20の先端側20aのガス吐出口22aから吐出された膨張用ガスGが、交差方向側折目72の部位に当たった後、その交差方向側折目72の部位の傾斜角度θによって、開口部71c側に案内されるように、流れることから、交差方向側折目72付近の圧力上昇を抑制して、円滑に、交差方向側折目72付近の膨張用ガスGを、補強シート70の開口部71c,81cを経て、整流シートとしてのインナチューブ63の流出口部65側や本体膨張部37側に流すことができる。
この点を考慮しなければ、傾斜角度θを設けずに、インフレーター20の軸方向IDと直交するように、交差方向側折目72を設けても良い。
なお、実施形態では、傾斜角度θを45°としたが、折目72のコンパクトな配置スペースを確保し、かつ、円滑なガスの案内を確保するためには、傾斜角度θは、15〜75°の範囲内が好ましく、さらに、望ましくは、30〜60°の範囲内が望ましい。ちなみに、傾斜角度θが小さくなれば、交差方向側折目72の前後方向の縮小に伴なって補強シート70の前後方向の寸法を小さくできることから、補強シート70をコンパクトに構成できる。そのため、補強シート70の補強用シート材90の強度が大きければ、傾斜角度θを15°未満、例えば、0〜5°の範囲内として、補強シート70をコンパクトに構成してもよい。
さらに、実施形態のエアバッグ装置Sでは、補強シート70の第1カバー部71が、交差方向側折目72の部位から連なった本体膨張部37から離れる離隔縁70b相互を、縫合部76を設けて、縫合させている。
そのため、実施形態では、補強シート70の第1カバー部71の車内側部(正面側部)73と車外側部(背面側部)74との開口部71cから離れる離隔縁70b相互を縫合させていることから、第1カバー部71を、整流シートとしてのインナチューブ63内(接続口部33内)に配設する際、第1カバー部71の車内側部73と車外側部74とがずれ難く、補強シート70の第1カバー部71をインナチューブ63内(接続口部33内)内の所定位置に容易に配設させることができる。
勿論、第1カバー部71は、インフレーター20との接続時に、インフレーター20の先端側外周面21bに対し、クランプ28を使用して、インナチューブ63とともに締結されることから、インナチューブ63や接続口部33に対して、最終的にずれずに配置されることとなるため、縫合部76を省いても良い。さらに、実施形態では、接続口部33を形成する前縁側縫合部55aや後縁側縫合部55bによっても、インナチューブ63と第1カバー部71とは共縫いされることから、縫合部76を省いても良い。
また、実施形態のエアバッグ装置Sでは、補強シート70の第2カバー部81が、軸方向側折目82の部位から離れ、かつ、開口部81cとインフレーター20を挿入させる開口(挿入口)70e側に隣接する縁70c相互を、縫合部85を設けて、縫合させている。
そのため、実施形態では、補強シート70の第2カバー部81をインナチューブ63内(接続口部33内)に配設する際、第2カバー部81の車内側部83と車外側部84とがずれ難く、補強シート70の第2カバー部81をインナチューブ63内(接続口部33内)の所定位置に容易に配設させることができる。
勿論、第2カバー部81も、インフレーター20との接続時に、インフレーター20の先端側外周面21bに対し、クランプ28を使用して、インナチューブ63とともに締結されることから、インナチューブ63や接続口部33に対して、最終的にずれずに配置されることとなるため、縫合部85を省いても良い。さらに、実施形態では、接続口部33を形成する後縁側縫合部55bによっても、インナチューブ63と第2カバー部81とは共縫いされることから、縫合部85を省いても良い。
また、実施形態のエアバッグ装置Sでは、第1カバー部71と第2カバー部81とが、軸方向側折目82から離れ、かつ、開口部71c,81cに連なり、インフレーター20を挿入させる開口(挿入口)70e側の下縁側相互を重ね、縫合部75,85として、共縫いされている。
そのため、実施形態では、第1カバー部71と第2カバー部81とが、車内側部73,83と車外側部74,84との相互も含めて、相互にずれ難く、インナチューブ63内(接続口部33内)の所定位置に、補強シート70を容易に配設することができる。
勿論、インナチューブ63や接続口部33に対して、縫合部75,85は、後縁側縫合部55bにより縫合されることから、上記の点を考慮しなければ、補強シート70の形成時、共縫いする縫合部75,85を設けなくとも良い。あるいは、相互にずれた位置に縫合部75,85を配置させてもよい。
さらに、実施形態のエアバッグ装置Sでは、第1カバー部71と第2カバー部81とが、相互に連結された一枚の補強用シート材90から形成されている。
そのため、実施形態では、第1カバー部71と第2カバー部81とが、予め、連結部93を利用して、連結されていることから、取り扱いが容易となり、また、第1カバー部71と第2カバー部81とを連結させる作業を、軽減させることができる。
勿論、第1カバー部71と第2カバー部81とは、クランプ28により、インフレーター20の先端側外周面21bに締結されて、相互に連結されたり、あるいは、縫合部75,85の共縫い時や補強シート70の形成時、あるいは、インナチューブ63の形成時、さらには、接続口部33の形成時に、相互に連結される態様となることから、図15に示すように、第1カバー部71を形成する第1カバー構成部91と第2カバー部81を形成する第2カバー構成部92とが、相互に分離されていてもよい。
そしてさらに、実施形態のエアバッグ装置Sでは、第1カバー部71が、交差方向側折目72付近を二層構造とする補強部77、を備えて構成されている。同様に、第2カバー部81が、軸方向側折目82付近を二層構造とする補強部86、を備えて構成されている。
そのため、実施形態では、第1カバー部71や第2カバー部81が、補強部77,86により、交差方向側折目72付近や軸方向側折目82付近の耐熱性をより一層向上させることができる。
さらに、実施形態では、これらの補強部77,86が、補強用シート材90の第1カバー構成部91や第2カバー構成部92の本体部91a,92aに、折り重ねて配設できるように、積層用補強部91b,92bとして、本体部91a,92aから連なって配設されており、取り扱いが容易となって、容易に、補強部77,86を配設できる。
勿論、インフレーター20の出力に対応させて、補強部77,86の一方を省力したり、両方を省略してもよい。例えば、図16に示す補強用シート材90Aのように、積層用補強部91b,92bを設けずに、第1カバー構成部91Aと第2カバー構成部92Aとを構成しても良い。逆に、さらに補強する場合には、追加する積層用補強部91b,92bを、本体部91a,92aから延設させたり、本体部91a,92aから延設させた積層用補強部91b,92bから、さらに延設させても良い。
勿論、補強部77,86は、設ける補強層の数に対応させて、別途、縫合して、配設させてもよい。
また、実施形態では、補強シート70の挿入部70dの内周側に案内布94を設けており、把持部94aを把持しつつ、インフレーター20の先端側20aを挿入部70d内に容易に挿入できるように構成されている。勿論、この点を考慮しなければ、案内布94は設けなくともよい。
なお、実施形態では、エアバッグ30の接続口部33を、袋織り部47に縫合する接続口部用布材52(52O,52I)を利用して形成した場合を示したが、図17,18に示すように、エアバッグ30Bのポリアミド糸等による袋織りで形成されたエアバッグ本体31Bの接続口部33Bに、整流シートとしてのインナチューブ63Bに補強シート70Bを設けた補強シート組付体97Bを配設させてもよい。この接続口部33Bは、エアバッグ30の本体膨張部37Bから上方に延びる本体側筒部34Bと、本体側筒部34Bから後方に屈曲する挿入側筒部35Bと、を備え、挿入側筒部35Bの後端にインフレーター20を挿入させる開口35cを設けて構成されている。接続口部33Bの本体側筒部34Bは、本体膨張部37Bの上部側の供給路部38に連通されている。勿論、供給路部38や接続口部33Bは、縫合されずに、袋織りによって、一体化するように形成されている。
インナチューブ63Bは、図17,図21のA,Bから図22のA,Bに示すように、図12のAからCに示すインナチューブ63と同様に、ポリアミド糸等の織布から形成されたチューブ用シート材68Bを、インナチューブ63Bの流出口部65Bの下縁63c側となる部位に、折目68aを設けて、二つ折りされ、重ねた車内側部63aと車外側部63bとの所定の外周縁に縫合部66a,66b,66cを設けて形成されている。縫合部66aは、インナチューブ63Bのインフレーター20を接続させる接続筒部64の挿入口64aと前側の流出口65aとに連なる前上縁を縫合した部位であり、縫合部66bは、挿入口64aと後側の流出口65bとに連なる内周縁を縫合した部位であり、縫合部66cは、縫合部66bから分岐したL字状の部位としている。縫合部66cは、補強シート70Bと共縫いされ、縫合部66bは、その一部が補強シート70Bと共縫いされている。
なお、このインナチューブ63Bは、流出口部65Bの車内側部63aと車外側部63bとに、バタツキを防止するように、補強シート70Bにおける第2カバー部81Bの開口部81cの下縁81dを、縫合部81fにより結合させている。この下縁81dは、縫合部81fを接続口部33Bの内周側に露出させないように、インナチューブ63Bのチューブ用シート材68Bを二つ折りする前に、車内側部63aと車外側部63bとに縫合されて、縫代81gから反転されている(図18及び21B参照)。
補強シート70Bは、図17,19Aから図20Cに示すように、第1カバー部71Bを構成する第1カバー構成部91Bと第2カバー部81Bを構成する第2カバー構成部92Bとが、分離して構成されている。勿論、この補強シート70Bでも、第1カバー部71Bが、インフレーター20の先端側20aからインフレーター20の軸方向IDに沿って離れた方向における補強シート70Bの前縁70a側で、インフレーター20の軸方向IDと交差する方向の交差方向側折目72を設けて二つ折りされて、交差方向側折目72の両側に配置される正面側部としての車内側部73と背面側部としての車外側部74との折目72から離れた両端側により、インフレーター20の先端側20aを包んで、配設されている。第1カバー部71Bは、インフレーター20の本体部21の先端側外周面21b側に巻き付けられる筒状ラップ部71aと、筒状ラップ部71aからインフレーター20のガス吐出部22の周囲を覆って交差方向側折目72に至るまでの部位のガス流路部71bと、を備えて構成されることとなる。第2カバー部81Bは、エアバッグ本体31Bの本体膨張部37Bから離れる離隔縁側、実施形態では、補強シート70Bの上縁70b側に、インフレーター20の軸方向IDに沿う軸方向側折目82を設けて二つ折りされて、軸方向側折目82から延びる正面側部として車内側部83と背面側部としての車外側部84とにより、インフレーター20の先端側20aを包んで、配設されている。第2カバー部81Bは、インフレーター20の本体部21の先端側外周面21b側に巻き付けられる筒状ラップ部81aと、筒状ラップ部81aからインフレーター20のガス吐出部22の周囲を覆って補強シート70Bの前縁70a側に向かう部位のガス流路部81bと、を備えて構成されることとなる。
そして、第1カバー部71Bと第2カバー部81Bとは、補強シート70と同様に、インフレーター20の先端のガス吐出部22から離れた部位において、交差方向側折目72と軸方向側折目82とを連ならせるように、重ねて配設されるとともに、インナチューブ63Bの流出口部65B側を開口させる開口部71c,81cを設けて、配設されている。さらに、第2カバー部81Bが、第1カバー部71Bの内側に配設されている。
勿論、この補強シート70Bでも、交差方向側折目72と軸方向側折目82との連なった部位は、インナチューブ63Bの上前縁側の縫合部66aの内周側を覆って、インフレーター20のガス吐出部22から吐出される膨張用ガスGが、直接、その縫合部66aに当たらないようして、インナチューブ63Bの耐熱性を向上させるように、配設されている。
また、この第1カバー部71Bでも、交差方向側折目72を、図22のBに示すように、インフレーター20の軸直交方向VDから開口部71c側に向かって拡開するような傾斜角度θ(実施形態で約45°)を設けて、傾斜するように、配設させている。
さらに、第1カバー部71Bでも、交差方向側折目72の部位を含めたガス流路部71bの内周側に、耐熱性を高める補強部77が配設され、第2カバー部81でも、軸方向側折目82の部位を含めたガス流路部81bの外周側に、耐熱性を高める補強部86が配設されている。
この補強シート組付体97Bの製造について説明すると、まず、図19のA,Bに示すように、案内布94を第2カバー構成部92Bの本体部92aの内周側となる所定位置に配置させ、さらに、折目92cを付けて、本体部92aにおける案内布94の配置側と反対側(本体部92aの外周側)に、積層用補強部92bを折り重ねて、図19のBに示すように、縫合糸95を使用して、縫合部92dを縫合する。そして、図21のAの二点鎖線に示すように、二つ折りする前のチューブ用シート材68Bの所定位置に、流路側構成部92abの端縁となる下縁81d,81dを、縫代81gを外側に向くように配置させた状態で、縫合糸95を使用して縫合し、縫合部81fを形成する。
ついで、図21のB(図19のC参照)に示すように、第2カバー構成部92Bに軸方向側折目82を付けて、案内布94とともに、第2カバー構成部92を折り重ねるとともに、チューブ用シート材68Bを折目68aを付けて二つ折りする。なお、この時、第2カバー部81Bとインナチューブ63Bとの外形形状(折畳形状)が形成される。
同時に、図20A,Bに示すように、第1カバー構成部91Bにおける本体部91aと積層用補強部91bとの連結部91cに折目を付けて、積層用補強部91bを本体部91aの上に載せて、積層用補強部91bがずれないように、縫合部91dを設けて、両者を縫合する。そして、図20のCに示すように、交差方向側折目72を付けて、第1カバー構成部91Bの車内側部73を車外側部74の上に載せれば、第1カバー部71Bの外形形状(折畳形状)が形成される。
そして、図22のA,Bに示すように、第2カバー部81Bを縫合しているインナチューブ63Bの内側の所定位置に、開いた上前縁側から、第1カバー部71Bを入れ、そして、インナチューブ63Bに、縫合部66a,66b,66cを設ければ、補強シート組付体97Bを形成することができる。なお、インナチューブ63Bの上前縁の縫合部66aは、第2カバー部81Bの軸方向側折目82から上方に離れた配置位置として、第1カバー部71Bの交差方向側折目72から延びる上縁の縫合部76を、重ねて共縫いして形成している(図22A参照)。また、既述したように、縫合部66cは、補強シート70Bと共縫いされ、縫合部66bは、その一部が補強シート70Bと共縫いされている。
このように形成した補強シート組付体97Bを接続口部33Bの開口35cから挿入させて、補強シート70Bの放出部70fとともに、インナチューブ63Bの流出口部65Bを、エアバッグ本体31Bの接続口部33Bの本体側筒部34Bから供給路部38にわたる領域に配置させ、また、補強シート70Bの挿入部70dとともに、インナチューブ63Bの接続筒部64を、エアバッグ本体31Bの接続口部33Bの挿入側筒部35Bに配置させれば、エアバッグ30Bを形成でき、既述したエアバッグ30と同様に、車両Vに搭載すれば良い。
そして、図例のような構成のインナチューブ63Bに補強シート70を組み付けた補強シート組付体97Bでは、袋織りされた接続口部33B内に、容易に、インナチューブ63Bと補強シート70Bとを配設することができる。勿論、このような補強シート組付体97Bでは、縫製される接続口部33にも、使用することができる。
そして、図例のように、補強シート70Bとしては、インナチューブ63Bに対して、第2カバー部81Bと第1カバー部71Bとを別々に組み付けて、補強シート70Bを形成しても良い。
さらに、図例のように、第2カバー部81Bの開口部81cの下縁81d側が、供給路部38の領域に進入するように、長く下方に延びて配設されていても、下縁81d側が、縫合部81fによりインナチューブ63Bに縫合されて、インナチューブ63B内で、バタついたり、ずれたりしない。そのため、インナチューブ63Bは、流出口部65Bにおける前後両側の流出口65a,65bから分岐させて膨張用ガスGを流出させる整流作用を、円滑に発揮させることができる。さらに、下縁81d側の縫合部81fは、縫代81g側が反転されてインナチューブ63Bの車内側部63aと車外側部63bに直接接触するように縫合され、縫合部81fが、膨張用ガスGの流れる第2カバー部81Bの内周側に対して、車内側部83と車外側部84とに覆われて、膨張用ガスGに曝されず、耐熱性を有している(図18参照)。そのため、第2カバー部81Bは、ずれない下縁81d側の開口部81cから、円滑に、インナチューブ63Bの流出口部65B側に膨張用ガスGを流すことができる。
また、頭部保護エアバッグ装置に使用するエアバッグとしては、図23に示すように構成してもよい。
このエアバッグ30Cは、図2〜6に示すエアバッグ30と同様に、図23〜28に示すように、エアバッグ本体31Cが、複数の取付部60と、袋織り部47と、接続口部用布材52と、から構成されている。しかし、大きく異なる点として、以下の相違点がある。
すなわち、補強シート70Cの第1カバー部71Cと第2カバー部81Cとが、別体として、耐熱性を高めるために、図25,26に示すように、インフレーター20の先端側外周面21bと対向して膨張用ガスGに曝される面に、シリコーン樹脂等からなる耐熱性を高めるためのコーティング層CLが配設されている。
また、第2カバー部81Cが、第1カバー部71Cの内側に配置されるとともに、膨張用ガスGによって捲れないように、第1カバー部71Cと縫合されている。具体的には、第2カバー部81Cは、図25,26,30,32に示すように、第2カバー部81Cにおけるインフレーター20の軸方向IDに沿ってインフレーター20の先端から離れた前縁81h側を、縫合糸95による縫合部78,79により、第1カバー部71Cに縫合させている。
さらに、補強シート70Cが、補強シート70に設けた案内布94を備えずに、図26,29,37に示すように、内周側の第2カバー部81Cに、挿入口70eから車内外方向で対向するように、突出し、そして、先端88aを折り返されるベロ部88(88I,88O)を備えている。これらのベロ部88(88I,88O)は、第2カバー部81Cの周囲に配置される第1カバー部71C、整流シートとしてのインナチューブ63C、及び、接続口部用布材52に設けられた貫通孔87を貫通して、インフレーター20の外周面21bに接触する第2カバー部81Cの部位に溶着されている。すなわち、ベロ部88I,88Oは、この溶着部89により、補強シート70Cの内周面側から接続口部33Cの外周面側に折り返された状態を維持して、第1カバー部71C、整流シートとしてのインナチューブ63C、及び、接続口部用布材52における開口35c(挿入口64a,70e)側の端面を覆っている。
さらに、整流シートとしてのインナチューブ63Cが、図23,24に示すように、流出口部65Cに、前後の流出口65a,65bの他に、エアバッグ本体31Cに対応して、折目68a側となる下縁63c側における前後の流出口65a,65b間の部位に、中間流出口65cを備えて構成されている。
なお、エアバッグ本体31Cは、供給路部38の下縁側に、中間流出口65cから流出する膨張用ガスGを通過させる開口38aを備えている。そして、エアバッグ本体31Cの本体膨張部37Cは、後側膨張部40の前方側の前側膨張部39が、開口38aに連通する調圧室39bと、調圧室39bの前方の主室39aを備えて構成されている。このエアバッグ本体31Cでは、前側膨張部39が、調圧室39bに膨張用ガスGを流入させることにより、膨張初期の主室39aの過度の圧力上昇を抑制できる。
さらにまた、インナチューブ63Cが、図25〜28,33に示すように、内周側に当て布69を縫合させて、耐熱性を高めるとともに、さらに、膨張時の応力集中によるダメージを抑制できるように構成されている。すなわち、当て布69が、インナチューブ63Cを形成するチューブ用シート材68Cにおけるインナチューブ63Cの内周面側に、縫合糸95を利用した縫合部69a,69b,69cにより、縫合されている。縫合部69cは、中間流出口65cの周縁の縫合部位であり、縫合部69a,69bが、応力集中を分散するように、チューブ用シート材68Cを折目68aで二つ折りして重ねた外周縁相互の縫合部66bに沿って、配設されている。すなわち、縫合部66bは、インナチューブ63Cの流出口部65Cから接続筒部64に向かって略L字状に屈曲する屈曲部67の縫合部位であり(図35参照)、縫合部69a,69bは、屈曲部67の縫合部位66bから離れた屈曲部67近傍で、屈曲部67に沿って、チューブ用シート材68Cにおける二つ折りされた折目68aの両側の部位である車内側部63aと車外側部63bとに対して、当て布69を縫合している。
このエアバッグ30Cでは、図28に示すように、構成部材としての接続口部用布材52、チューブ用シート材68C、当て布69、第1カバー部71Cを形成する第1カバー構成材91C、及び、第2カバー部81Cを形成する第2カバー構成材92Cは、それぞれ、可撓性を有したシート材、例えば、ポリアミド等の糸を平織りした布材等に、シリコーン樹脂等の耐熱性を高めるコーティング剤を塗布したコーティング層CLを設けて構成され、そして、コーティング層CL側の面を、膨張用ガスGに曝されたり、膨張用ガスG側に接近させて、配設される。なお、接続口部用布材52、チューブ用シート材68C、当て布69、第1カバー部71Cを形成する第1カバー構成材91C、及び、第2カバー部81Cを形成する第2カバー構成材92Cには、縫合時の位置決め用の位置決め孔(図符号省略)が、周縁に、開口されている。
なお、このエアバッグ30Cでは、エアバッグ30と大きく異なる部位・部材には、大文字のCを適宜付け、エアバッグ30と近似若しくは同様となる部位・部材には、エアバッグ30に付した符号を付けて、適宜、説明を省略する。
このエアバッグ30Cの製造について説明する。まず、補強シート70Cの製造工程を説明すると、図29のA,Bに示すように、折目92cを付けて、第2カバー構成材92Cの本体部92aの外周側に、積層用補強部92bを折り重ねて、ポリアミド等からなる縫合糸95を使用して、縫合部92dを設けて、補強部86を形成する。
その後、図30のA,Bに示すように、第2カバー構成材92Cを、第1カバー構成材91Cの内周側に配置し、縫合部78を設けて、第1カバー構成材91Cに縫合する。なお、この縫合部78は、第1カバー部71Cと第2カバー部81Cの車内側部73,83相互を縫合するように、略長方形の環状に形成され、極力、第2カバー部81Cの前縁81h側における軸方向側折目82の近傍から下縁81d側へ延びるように、配設されている。但し、第1カバー部71Cと第2カバー部81Cの車外側部74,84相互も、縫合部79(図32参照)により、縫合することから、補強シート70Cの厚さ寸法を小さくするように、縫合部78は、縫合部79と重ならないように、軸方向側折目82の近傍におけるガス流路部81bの上側半分のエリアに配設されている。
その後さらに、図30のB,図31のAに示すように、軸方向側折目82を付けて、第2カバー構成材92Cを二つ折りして第2カバー部81Cを形成し、さらに、図31のA,Bに示すように、交差方向側折目72を付けて、第1カバー構成材91Cを二つ折りして、第2カバー部81Cを内側に配置させた状態で、第1カバー部71Cを形成する。
なお、この第1カバー部71Cの交差方向側折目72は、インフレーター20の軸直交方向VDから開口部71c側に向かって拡開するような傾斜角度θ(図例では約60°)を設けて、傾斜するように、配設させている(図32参照)。
さらに、図31のB,図32のAに示すように、第1カバー部71Cと第2カバー部81Cとの車内側部73,83を捲り、第1カバー部71Cと第2カバー部81Cの車外側部74,84相互を、縫合部79により、縫合する。この縫合部79は、略長方形の環状に形成され、極力、第2カバー部81Cの前縁81h側として、縫合部78と車内外方向で重ならないように、下縁81d側に配設されている。そして、図32のBに示すように、第1カバー部71Cと第2カバー部81Cとのずれを防止し、さらに、第1カバー部71の車内側部73と車外側部74とのずれを防止するように、縫合糸95を使用して、縫合部75,85を縫合すれば、補強シート70Cが形成される。そして、この補強シート70Cでも、交差方向側折目72と軸方向側折目82とが連なるように、重ねて配設されている。
なお、実施形態では、縫合部75,85は、第1カバー部71Cと第2カバー部81Cとの車内側部73,83と車外側部74,84とを共縫いして形成されており、異なる符号を付しているものの、同じ縫合部位である。
このように形成した補強シート70Cは、図32Bに示すように、後端側にインフレーター20の先端側20aを前方側に向けて挿入可能な挿入口70eを配設させた筒状の挿入部70dと、前縁70a側の下縁側に、膨張用ガスGを流出させる放出口70gを配設させた放出部70fが形成されることとなる(図24〜26参照)。放出部70fは、インフレーター20のガス吐出部22のガス吐出口22aから吐出される膨張用ガスGを受け止めて、放出口70g、換言すれば、第1カバー部71Cと第2カバー部81Cとの開口部71c,81cから放出することとなる。そして、補強シート70と同様に、放出部70fの部位が、第1カバー部71Cと第2カバー部81Cとのガス流路部71b,81bにより構成されている。
このように形成した補強シート70Cは、図34,35に示すように、折り畳む前のチューブ用シート材68Cの上に載せ、折目68aで折り、重ねた車内側部63aと車外側部63bとの挿入口64aや流出口65a,65bの部位を除く所定の外周縁相互を、縫合糸95を使用して縫合する。すなわち、インナチューブ63Cの前縁側の流出口65aと挿入口64aとの間の外周縁の縫合部66aと、後縁側の挿入口64aと流出口65bとの間の外周縁の縫合部66bとを形成すれば、インナチューブ63Cが形成される。縫合部66bは、接続筒部64の挿入口64a側の後縁64bと、流出口部65Cの接続筒部64より後方側の上縁65dと、に配設される略L字状に屈曲される屈曲部67の縫合部位としている。
なお、エアバッグ30Cの場合、縫合部66aは、補強シート70Cと共縫いしていないが、縫合部66bは、部分的に、補強シート70Cを共縫いしている。そのため、縫合部66a,66bにより、インナチューブ63Cの形状が形成されるとともに、縫合部66bにより、補強シート70Cもインナチューブ63Cに締結されて、補強シート70Cを設けたインナチューブ63C、換言すれば、補強シート組付体97C、が形成されることとなる。
また、折目68aで二つ折りする前のチューブ用シート材68Cには、図33のA,Bに示すように、内周側に、当て布69が縫合されている。当て布69は、インナチューブ63Cの接続筒部64の前側と、流出口部65Cにおける流出口65a,65bの周縁を除いた中央部位と、に配設されている。そして、縫合糸95による縫合部69a,69b,69cによって、当て布69は、チューブ用シート材68Cの内周側に縫合される。
縫合部69aは、図27,35に示すように、インナチューブ63Cの屈曲部67の縫合部66bの近傍における縫合部66bから離れたインナチューブ63Cの内周面側となって、縫合部66bに沿うように、インナチューブ63Cの車内側部63aに、当て布69を縫合する部位である。縫合部69bは、インナチューブ63Cの屈曲部67の縫合部66bの近傍における縫合部66bから離れたインナチューブ63Cの内周面側となって、縫合部66bに沿うように、インナチューブ63Cの車外側部63bに、当て布69を縫合する部位である。なお、縫合部69a,69bにおける相互に離れる端部(上端)69at,69bt側は、図33に示すように、折目68aと直交するように直線状に延びている。
また、縫合部69cは、中間流出口65cの周縁で、当て布69をチューブ用シート材68Cに縫合する部位としている。
その後、エアバッグ本体31Cに、インナチューブ63Cに補強シート70Cを設けた補強シート組付体97Cを組み付ける際には、エアバッグ本体31Cでは、エアバッグ本体31と同様に、図36のA,Bに示すように、予め、袋織り部47の分断部位50の車内側壁部32aと車外側壁部32bとに、接続口部用布材52I,52Oとを、縫合糸95を使用する連結縫合部57を設けて、縫合しておく。ついで、図37のA,Bに示すように、開いた接続口部用布材52I,52Oの間に、補強シート組付体97Cを配置する。そして、縫合糸95を使用するバッグ形成用縫合部55の前縁側縫合部55aと後縁側縫合部55bとを設けて、接続口部用布材52I,52O、補強シート70C、及び、インナチューブ63C、を共縫いすれば、接続口部33Cを形成できるとともに、接続口部33C内に、インナチューブ63Cに補強シート70Cを設けた補強シート組付体97Cを、配設固定することができる。前縁側縫合部55aにより接続口部用布材52I,52Oに共縫いされる部位は、インナチューブ63Cの上前縁と補強シート70Cにおける軸方向側折目82より上方側の上縁70bの部位である(図24参照)。後縁側縫合部55bにより接続口部用布材52I,52Oに共縫いされる部位は、補強シート70Cの縫合部75,85の後方側に配設されて、インナチューブ63Cと補強シート70Cとの挿入側筒部35の下縁側の部位である。換言すれば、前縁側縫合部55aは、交差方向側折目72や軸方向側折目82の部位を縫合していない。
なお、接続口部33Cでは、補強シート70Cの挿入口70eから車内外方向で対向するように突出するベロ部88(88I,88O)の先端88a側を、折り返して、第2カバー部81Cの周囲に配置される第1カバー部71C、インナチューブ63C、及び、接続口部用布材52に設けられた貫通孔87を貫通して、インフレーター20の外周面21bに接触する第2カバー部81Cの部位に溶着させて、開口35cの周縁における接続口部33Cの挿入側筒部35Cの外周面側に取り付けておく(図24,26参照)。
ついで、取付部60を所定部位に縫合すれば、エアバッグ30Cを形成することができる。
その後、下縁31b側を上縁31a側に接近させるようにエアバッグ30Cを折り畳んで、折り崩れ防止用の破断可能な図示しないテープを巻き付けるとともに、取付部60に取付ブラケット13(図1参照)を取り付け、接続口部33Cの挿入側筒部35Cの開口35c側から、インナチューブ63Cの接続筒部64内の補強シート70Cの挿入部70d内に、挿入口70eを経て、インフレーター20の先端側20aを挿入し、クランプ28を挿入側筒部35の外周側からインフレーター20側に押圧するように締結して、インフレーター20を挿入側筒部35に接続させれば、エアバッグ組付体99を組み立てることができる。
そして、このように組み立てたエアバッグ組付体99は、図1に示すように、取付ブラケット13を組み付けた各取付部60を、ボディ1側のインナパネル2の対応する取付部位に配置させ、各取付孔60aに挿通させる等して、取付ボルト14をねじ孔に締結し、さらに、取付ブラケット24をボルト26止めし、インフレーター20をインナパネル2に固定して、エアバッグ組付体99をボディ1に取り付ける。ついで、インフレーター20に、所定のインフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を結線し、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5をボディ1に取り付け、さらに、中間ピラーガーニッシュ7やリヤピラーガーニッシュ8をボディ1に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置Sを、車両Vに搭載することができる。
このようなエアバッグ30Cを使用してエアバッグ装置Sでも、作動時には、エアバッグ30を使用したエアバッグ装置Sと同様な作用・効果を得ることができる。そしてさらに、エアバッグ30Cの構成により、つぎのような作用・効果を得ることができる。
すなわち、このエアバッグ30Cでは、図24〜26に示すように、補強シート70Cの第2カバー部81Cにおけるインフレーター20の軸方向IDに沿ってインフレーター20の先端から離れた前縁81h側が、縫合部78,79により、第1カバー部71Cと縫合されている。
そのため、このエアバッグ30Cでは、第2カバー部81Cの前縁81h側が、第1カバー部71Cから離れるようなめくれを防止できる。そして、膨張用ガスGが、第2カバー部81Cの前縁81hを回りこんで、第2カバー部81Cの外周側と第1カバー部71Cの内周側との間に進入することを防止できる。したがって、例えば、膨張用ガスGが、第1カバー部71Cの交差方向側折目72の部位に当たって跳ね返り、その後、第2カバー部81Cの軸方向側折目82の側に向かっても、第2カバー部81Cの前縁81hが捲れ難いことから、軸方向側折目82の外周側に進入し難くなり、第2カバー部81Cの軸方向側折目82の外周側に、第1カバー部71Cやインナチューブ63C等を縫合する縫合部位(縫合部)55aがあったとしても、その縫合部55aにおける膨張用ガスGによるダメージを防止できる。
なお、第2カバー部81Cの捲れを防止するように、第2カバー部81Cの前縁81h側を上下にわたって、第1カバー部71Cに縫合する構造は、図11に示す補強シート70に適用してもよい。
また、このエアバッグ30Cでは、図25,26に示すように、第1カバー部71Cと第2カバー部81Cとにおける少なくとも一方のインフレーター20の外周面21bに接近している側(図例では、第2カバー部81C側)が、インフレーター20と接触する内側面に、耐熱性を有したコーティング層CLを、配設させて構成されている。
そのため、このような構成では、補強シート70Cの耐熱性を向上させることができる。
特に、このエアバッグ30Cでは、第1カバー部71Cと第2カバー部81Cとが、共に、インフレーター20の外周面21b側と対向して膨張用ガスGに曝される面に、耐熱性を有したコーティング層CLを、配設させて構成されているため、補強シート70Cの耐熱性を一層向上させることができる。
なお、エアバッグ30Cでは、第1カバー部71Cと第2カバー部81Cとを別体の第1カバー構成材91Cと第2カバー構成材92Cとから構成しており、容易に、インフレーター20の外周面21b側と対向して膨張用ガスGに曝される面側に、第1カバー部71Cと第2カバー部81Cとのコーティング層CL側を配置させることができる。
ちなみに、一枚状の補強用シート材90から形成される補強シート70では、図8〜10に示すように、第1カバー部71と第2カバー部81との内周面側が、シート材90の表裏となって、異なることから、少なくとも、インフレーター20に近い第2カバー部81の内周面側にコーティング層CLが配設されるように、補強用シート材90の表裏の片面側に、コーティング層CLに設けてもよい。
また、図19,20に示す第2カバー部81Bや第1カバー部71Bにおいても、膨張用ガスGに曝される面に、インナチューブ63B(図3のインナチューブ63も同様である)を含めて、耐熱性を有したコーティング層を設けることが望ましい。
そして、エアバッグ30Cでは、第1カバー部71Cと第2カバー部81Cとにおけるインフレーター20の外周面21b側に接近している側が、耐熱性を有したコーティング層CLを配設させて構成されていても、第1カバー部71Cと第2カバー部81Cとにおけるインフレーター20の外周面21b側に接近している側、図例の場合には、第2カバー部81C側は、つぎのように構成されている。すなわち、第2カバー部81C側は、接続口部33Cのインフレーター20を挿入させる開口35c側で、インフレーター20を間にして対向するように延設されるベロ部88(88I,88O)を設け、対向する二つのベロ部88I,88Oの先端88aを、図26に示すように、接続口部33Cの外表面側に折り返し、溶着部89を利用して、接続口部33Cの外表面側に取り付けている。
そのため、このエアバッグ30Cでは、耐熱性を有したコーティング層CLが、一般的に、シリコーン樹脂等のコーティング剤からなり、滑り難く、インフレーター20を挿入し難い。しかし、接続口部33Cの開口35cの端面側が、内周面側から外周面側に折り返されたベロ部88(88I,88O)で覆われていれば、ベロ部88I,88Oを持って、インフレーター20を、接続口部33Cの補強シート70Cの内周側に押し込むことができて、インフレーター20の接続口部33Cへの挿入作業を容易に行うことができる。また、ベロ部88I,88Oにより、補強シート70Cやエアバッグ本体31Cの接続口部33Cの端面側が、覆われることから、補強シート70Cの外周面側とエアバッグ本体31Cの接続口部33Cの内周面側との間に、インフレーター20を挿入させるような誤組付も無くすことができる。
また、このエアバッグ30Cでは、インナチューブ63Cが、流出口部65Cにおける両側の流出口65a,65b間の折目68a側(下縁63c側)に、膨張用ガスGを流出可能な中間流出口65cを、備えている。
そのため、インナチューブ63Cが、流出口部65Cに、両側の流出口65a,65bの他に、中間流出口65cを設けて構成されており、インナチューブ63Cの各流出口65a,65b,65cから流出させる膨張用ガスGの流量を、エアバッグ本体31Cに設けられた複数の膨張部位39a,39b,40に応じて、種々設定できて、エアバッグ30Cの性能を向上させることができる。ちなみに、このエアバッグ本体31Cでは、前側膨張部39が、調圧室39bに膨張用ガスGを流入させることにより、膨張初期の主室39aの過度の圧力上昇を抑制できることとなり、主室39aの上部近傍に乗員頭部が配置されている場合、その頭部への圧力を抑制できる。
そしてさらに、このエアバッグ30Cでは、インナチューブ63Cが、チューブ用シート材68Cを折目68aで二つ折りして、重ねた外周縁相互を、縫合部66a,66bにより、縫合して形成されている。そして、縫合部66bの部位には、流出口部65Cから接続筒部64に向かって略L字状に屈曲する屈曲部67を配設させて構成されている。そして、このエアバッグ30Cでは、インナチューブ63Cにおける屈曲部67の少なくとも近傍の内周側に、可撓性を有した当て布69が配設されている。この当て布69は、屈曲部67の縫合部66bから離れた屈曲部67近傍で、インナチューブ63Cにおける二つ折りされた折目68aの両側の部位である車内側部63aと車外側部63bに対して、それぞれ、屈曲部67に沿って縫合されて、インナチューブ63Cと一体化されるとともに、屈曲部67の縫合部66bで、端縁69d,69e相互を重ねて、インナチューブ63Cとともに縫合されている。
そのため、インナチューブ63Cが、エアバッグ本体31Cの内周側で、かつ、補強シート70Cの外周側において、接続筒部64から流出口部65C側を膨張させる際、膨張用ガスGの圧力による引張り力Tにより、屈曲部67付近の縫合部66bに応力が集中する。しかし、インナチューブ63Cは、図24,27に示すように、屈曲部67の縫合部66bが、当て布69を縫合させて補強されている。すなわち、インナチューブ63Cにおける二つ折りされた折目68aの両側の車内側部63aと車外側部63bとが、それぞれ、屈曲部67の縫合部66bの手前で、縫合部69a,69bにより、当て布69を縫合させて、厚さを増すように、一体化されて補強されている。そのため、インナチューブ63Cの屈曲部67付近の縫合部66bは、膨張用ガスGの圧力によるダメージを受け難く、破損することなく、円滑に、流出口65a,65b,65cから、膨張用ガスを流出させることができる。
なお、図例の場合、縫合部69a,69bは、接続筒部64から流出口部65Cにおけるインナチューブ63Cの外周縁の縫合部66a,66bの内、曲率の大きな後縁側のL字状(J字状ともいえる)の縫合部66bの近傍に配設されているが、前方側の縫合部66a側が、膨張時のダメージが生じやすい場合には、縫合部66aの近傍にも、当て布69の縫合部位を設けてもよい。
ちなみに、図例の場合には、図33,35に示すように、縫合部66a側は、縫合部66bから離れているものの、縫合部66b側より曲率が小さく、さらに、縫合部69a,69bによる当て布69のシート材68Cへの一体化により、縫合部66a付近も厚さを増すように、一体化される状態となり、膨張時のダメージを受け難く構成されている。特に、図例の場合には、縫合部69a,69bが、折目68aから離れたシート材68Cの端縁、すなわち、接続筒部64の上縁64c側まで延びる端部69at,69btを備えている。そのため、縫合部66a側は、端部69at,69btによる接続筒部64の周壁の部位におけるシート材68Cへの当て布69の一体化により、補強される態様となって、端部69at,69btの縫合部位によっても、縫合部66aは膨張時のダメージを防止されることとなる。
したがって、シート材68C(インナチューブ63C)の厚さを増すように、当て布69を縫合してシート材68C(インナチューブ63C)と一体化させる場合には、少なくとも、前後の縫合部66a,66bの間で、インナチューブ63Cの接続筒部64の外周縁から略直線状に下方に延びて、流出口部65Cの曲率の大きな屈曲部67を越えるエリアまで、当て布69をシート材68Cに縫合することがよい。
そしてさらに、接続筒部64と流出口部65Cとの外周縁の交差部位に関し、縫合部66aより曲率の大きな屈曲部を有した縫合部66bがある場合には、図例のように、その曲率の大きな屈曲部67側に接近させて、インナチューブ63Cの接続筒部64の外周縁(上縁64c側)から略直線状に流出口部65C側の下方に延ばし、その端側の下端69ab、69bb側を、屈曲部67に沿って曲げ、そして、流出口部65Cの外周縁の縫合部位である後上縁65dに沿わせて、縫合部69a,69bを当て布69の前後方向の端縁(後縁)69gまで設けることが望ましい。
なお、縫合部69a,69bの端部69at,69bt側は、図例のように、接続筒部64の上縁64c側に延ばせばよく、接続筒部64の上縁64自体でなくとも、接続筒部64の前縁側、すなわち、縫合部66aと交差するように、配設させてもよい。
そして、図例の場合、当て布69が、整流シートとしてのインナチューブ63Cの内周側で連なった一枚のシートから構成されており、一枚のインナチューブ63Cを構成するチューブ用シート材68Cに対して、1枚の当て布69を配設するだけでよく、当て布69の取り扱いや管理が容易となる。
この点を考慮しなければ、屈曲部67の縫合部66bの手前における車内側部63aと車外側部63bとに対して、各縫合部69a,69b付近から縫合部66bまで縫合する二枚から、当て布を構成してもよい。
なお、実施形態では、エアバッグ30,30B,30Cでは、インナチューブ(整流シート)63,63B,63Cを設けた場合を示したが、インナチューブを設けない構成のエアバッグとして、挿入側筒部35,35B,35Cと本体側筒部34,34B,34Cとを備えた接続口部33,33B,33C内に、補強シート70,70B,70Cを配設させるだけの構成としてもよい。この場合でも、補強シート70,70B,70Cが、接続口部33,33B,33Cの前縁34aや上縁35aの耐熱性を向上させることができ、特に、前縁側縫合部55aを配設されている接続口部33,33Cの場合には、好適となる。
なお、実施形態では、頭部保護エアバッグ装置Sを例示したが、エアバッグが、本体膨張部から接続口部が突出される構成として、接続口部が、車両への搭載時、L字状に屈曲されて、その内部に、補強シートが配設される構成であれば、本発明を実施することができ、例えば、カーテンエアバッグでなくとも、歩行者保護エアバッグ等に本発明を適用してもよい。
また、本発明のエアバッグの接続口部は、本体膨張部から単に直線状に突出し、車両への搭載時、L字状に屈曲されて、本体側筒部と挿入側筒部とを形成する構成であってもよい。