JP2016187869A - ハードコートフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハードコートフィルム10は、シクロオレフィンフィルム1の少なくとも片面に易接着層2を介してハードコート層3が設けられている。上記易接着層2はポリオレフィン系樹脂と繊維素系樹脂との混合物を含有し、それらの配合比率(重量部)は例えば99/1〜90/10の範囲である。また、上記ハードコート層3は電離放射線硬化型樹脂を含有する。
【選択図】図1
Description
そこで、従来、シクロオレフィンフィルムにハードコート層との易接着性を付与する方法が特許文献1、特許文献2等に開示されている。
すなわち、本発明は、以下の構成を有するものである。
図1に示すように、本発明の一実施の形態のハードコートフィルム10の層構成は、基材フィルムであるシクロオレフィンフィルム1の少なくとも片面に易接着層2を介して、ハードコート層3が設けられており、上記易接着層2は、ポリオレフィン系樹脂と繊維素系樹脂との混合物を含有し、その易接着層2の上に電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層を形成したものである。
まず、ハードコートフィルムの基材フィルムについて説明する。
本発明において、ハードコートフィルム10の基材フィルム1としては、透明性、耐熱性、寸法安定性、低吸湿性、低複屈折性、及び光学的等方性等に優れるシクロオレフィンフィルムを用いることを特徴とする。具体的には、シクロオレフィン類単位がポリマー骨格中に交互に又はランダムに重合し分子構造中に脂環構造を有するものであり、ノルボルネン系化合物、単環の環状オレフィン、環状共役ジエンおよびビニル脂環式炭化水素から選択される少なくとも一種の化合物を含んでなる(共)重合体であるシクロオレフィンコポリマーフィルム又はシクロオレフィンポリマーフィルムが対象となり何れかを適宜選択し使用される。
次に、上記易接着層2について説明する。
本発明において、上記易接着層2は、ポリオレフィン系樹脂と繊維素系樹脂との混合物を含有することが必要である。
ポリオレフィン系樹脂の配合比率が99重量部を超えると、形成される易接着層2が軟らかく伸び易いため、硬く伸びないハードコート層3との収縮差により、耐熱条件下(例えば、100℃で5分間保存)でクラックが発生し易い問題点や、易接着層2上にハードコート層を形成した際、塗膜硬度(鉛筆硬度)が低下し易い問題点がある。一方、ポリオレフィン系樹脂の配合比率が90重量部未満では、易接着層2とハードコート層3との収縮差が小さくなり耐熱条件下でのクラックの発生は無く良好であるが、易接着層2とシクロオレフィンフィルム1との密着性が低下する問題点がある。
次に、上記ハードコート層3について説明する。
本発明において、上記ハードコート層3に含まれる樹脂としては、被膜を形成する樹脂であれば特に制限なく用いることができるが、特にハードコート層の表面硬度(鉛筆硬度、耐擦傷性)を付与し、また、紫外線の露光量によって架橋度合を調節することが可能であり、ハードコート層の表面硬度の調節が可能になるという点で、電離放射線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
なお、特に断りのない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
<易接着層塗料の調製>
まず、繊維素系樹脂「メトローズ 65SH−400(商品名)」(固形分100%、信越化学株式会社製、ガラス転移温度165℃)2部を、温度約90℃の熱水98部中で攪拌機を用い攪拌しながら少量ずつ添加し分散状態とした後、氷水で冷却し濃度2%の水溶解液を作製した。
次いで、ポリオレフィン系樹脂「アローベースSA−1200(商品名)」(固形分25%、ユニチカ株式会社製)77.6部と上記の繊維素系樹脂「メトローズ 65SH−400(商品名)」(固形分2%)30部とを配合し、ポリオレフィン系樹脂と繊維素系樹脂との混合比率を97/3、また、希釈剤を水/メタノール=60/40(重量%)にて固形分濃度5%となるまで希釈し易接着層塗料を調製した。
ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂「紫光UV−7630B(商品名)」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:6、日本合成化学株式会社製)100部を主剤とし、イルガキュア184(光重合開始剤、BASF社製)3.5部と、ヒンダードアミン系光安定化剤「TINUVIN 292(商品名)」(BASF社製)2.5部と、レベリング剤RS75(フッ素系レベリング剤、DIC株式会社製)0.3部を酢酸ブチル/n−プロピルアルコール=50/50(重量部)で紫外線硬化型樹脂の塗料中の固形分濃度が45%となるまで希釈し十分攪拌してハードコート層塗料を調製した。
シクロオレフィンフィルムとして厚さ100μmのアートンフィルム FEKP100(商品名)」(JSR株式会社製)の片面に上記の易接着層塗料をバーコーターを用いて塗工し、90℃の乾燥炉で1分間熱風乾燥させ乾燥固化し、塗膜厚み0.3μmの易接着層を形成させ、易接着層付きフィルムを得た。
次に、その易接着層付きフィルムの易接着層上に、上記のハードコート層塗料を、バーコーターを用いて塗工し、80℃の乾燥炉で1分間熱風乾燥させ、塗膜厚み5.0μmの塗工層を形成した。これを、塗工面より60mmの高さにセットされたUV照射装置を用い、UV照射量150mJ/cm2にて硬化させてハードコート層を形成し、本実施例のハードコートフィルムを作製した。
実施例1の易接着層のポリオレフィン系樹脂と繊維素系樹脂との配合部数を99部/1部とした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1の易接着層のポリオレフィン系樹脂と繊維素系樹脂との配合部数を90部/10部とした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1の易接着層の塗膜厚みを0.1μmとした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1の易接着層の塗膜厚みを1.0μmとした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1のシクロオレフィンフィルムを厚さ60μmの「ゼオノアフィルムZF14(日本ゼオン株式会社製)に替えた以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1のハードコート層に用いたウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂「紫光UV−7630B」の替わりに「UA−306H(商品名)」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:3、共栄社化学株式会社製)を使用した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1の易接着層のポリオレフィン系樹脂と繊維素系樹脂との配合部数を88部/12部とした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1の易接着層のポリオレフィン系樹脂と繊維素系樹脂との配合部数を100部/0部(つまりポリオレフィン系樹脂のみ)としたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1の易接着層のポリオレフィン系樹脂と繊維素系樹脂との配合部数を0部/100部(つまり繊維素系樹脂のみ)としたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
(1)塗膜の厚み
易接着層及びハードコート層の塗膜の形成厚みは、Thin−Film Analyzer F20(商品名)(FILMETRICS社製)を用いて測定した。
各実施例、比較例で作製したハードコートフィルムについて、JIS K7136に示される試験法により全光線透過率を測定した。
密着性は、JIS−K5600−5−6に準じて評価した。また、易接着層とシクロオレフィンフィルムとの密着性、及び易接着層とハードコート層との密着性を各々確認するため、シクロオレフィンフィルムに易接着層を形成したもので易接着層とシクロオレフィンフィルムとの密着性(表1には「基材/易接着層」と表記)を確認し、シクロオレフィンフィルムに易接着層、及びハードコート層を形成したもので易接着層とハードコート層との密着性(表1には「易接着層/ハードコート層」と表記)を評価した。
まず、易接着層とシクロオレフィンフィルムとの密着性(初期密着性)については、通常条件下、すなわち恒温恒湿条件下(23℃、53%RH)で、碁盤目剥離試験治具を用い1mm2のクロスカットを100個作製し、積水化学工業株式会社製の粘着テープNo.252をその上に貼り付け、ヘラを用いて均一に押し付け後、90度方向に剥離し、易接着層の残存個数を4段階評価した。
次に、同様にして易接着層とハードコート層との密着性(初期密着性)を評価した。
評価基準は下記の通りであり、◎と○評価品を密着性は合格と判定した。
評価基準
◎:100個 ○:99〜95個 △:94〜50個 ×:49〜0個
実施例、比較例で作製した各ハードコートフィルムを、100℃の乾燥機中でサンプル掛けを用い5分間吊るし保存した後、ハードコートフィルムサンプルを取り出し、クラックの発生の有無を目視評価した。クラックの発生程度を次の基準で評価した。○評価品を耐熱クラックは良好とした。
評価基準
○:クラックの発生なし ×:クラックの発生あり
実施例、比較例で作製した各ハードコートフィルムについて、JIS−K5600−5−10に準じた試験方法にて、ハードコート層面を、スチールウール#0000を用い、荷重1kgをかけ10往復摩擦し、傷のつき具合を次の基準で評価した。○評価品を耐擦傷性は良好としたが、△評価品も製品として使用可能である。
評価基準
○:傷の発生なし。△:傷が少し発生する。×:傷が無数に発生する。
各実施例、比較例で作製したハードコートフィルムについて、JIS K5600−5−4に準じた試験法により鉛筆硬度を測定した。表面に傷の発生なき硬度を表記した。
また、易接着層におけるポリオレフィン系樹脂と繊維素系樹脂との配合比率(重量部)が、99/1〜90/10の範囲であることにより、本発明の効果がより良く発揮される。更に、ポリオレフィン系樹脂と繊維素系樹脂との配合比率(重量部)を88/12としたもの(実施例8)では、基材と易接着層の密着不良が発生し易い問題点があり品質が劣った。
2 易接着層
3 ハードコート層
10 ハードコートフィルム
Claims (5)
- シクロオレフィンフィルムの少なくとも片面に易接着層を介してハードコート層が設けられたハードコートフィルムであって、
前記易接着層は、ポリオレフィン系樹脂と繊維素系樹脂との混合物を含有し、前記ハードコート層は、電離放射線硬化型樹脂を含有することを特徴とするハードコートフィルム。 - 前記易接着層における前記ポリオレフィン系樹脂と前記繊維素系樹脂との配合比率(重量部)が、99/1〜90/10の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
- 前記電離放射線硬化型樹脂は、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能アクリレートを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のハードコートフィルム。
- 前記易接着層は、水系樹脂の混合物を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハードコートフィルム。
- 前記易接着層の厚みは、0.1〜1.0μmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のハードコートフィルム。
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