JP2019128544A - ハードコートフィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、従来、シクロオレフィンポリマーフィルムにハードコート層との易接着性を付与する方法が特許文献1、特許文献2等に開示されている。
したがって、従来のハードコートフィルムでは、シクロオレフィンポリマーフィルムを基材として用いた場合のハードコート層との密着性、特に経時密着性の改善が大きな課題となっていた。
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
シクロオレフィンポリマー系基材フィルムの少なくとも片面に、プライマー層を介して、電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層が積層されたハードコートフィルムであって、前記プライマー層の表面の静摩擦係数が、0.6〜2.0の範囲であることを特徴とするハードコートフィルム。
前記プライマー層の表面自由エネルギーが、22mN/m以上であることを特徴とする第1の発明に記載のハードコートフィルム。
前記プライマー層表面の水の接触角が、110度以下であることを特徴とする第1又は第2の発明に記載のハードコートフィルム。
前記ハードコート層は、前記電離放射線硬化型樹脂として、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能アクリレートを含有することを特徴とする第1乃至第3の発明のいずれかに記載のハードコートフィルム。
シクロオレフィンポリマー系基材フィルム上に、プライマー層を介して、電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層を有するハードコートフィルムの製造方法であって、前記シクロオレフィンポリマー系基材フィルム上に、プライマー層用塗料を塗布し、乾燥して得られるプライマー層の表面の静摩擦係数が、0.6〜2.0の範囲であり、次いで、該プライマー層上に、電離放射線硬化型樹脂を含むハードコート層用塗料を塗布し、乾燥してハードコート層を形成した後、電離放射線照射を施すことを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
前記プライマー層の表面自由エネルギーが、22mN/m以上であることを特徴とする第5の発明に記載のハードコートフィルムの製造方法。
前記プライマー層表面の水の接触角が、110度以下であることを特徴とする第5又は第6の発明に記載のハードコートフィルムの製造方法。
なお、本明細書において、「○○〜△△」とは、特に断りのない限り、「○○以上△△以下」を意味するものとする。
以下、このハードコートフィルムの構成を詳しく説明する。
まず、上記ハードコートフィルムの基材フィルムについて説明する。
本発明において、ハードコートフィルムの基材フィルムとしては、透明性、耐熱性、寸法安定性、低吸湿性、低複屈折性、及び光学的等方性等に優れるシクロオレフィンポリマー系フィルムを用いる。具体的には、シクロオレフィン類単位がポリマー骨格中に交互に又はランダムに重合し分子構造中に脂環構造を有するものであり、ノルボルネン系化合物、単環の環状オレフィン、環状共役ジエンおよびビニル脂環式炭化水素から選択される少なくとも一種の化合物を含んでなる共重合体であるシクロオレフィンコポリマーフィルム又はシクロオレフィンポリマーフィルムが対象となり何れかを適宜選択し使用できる。
次に、上記ハードコートフィルムのプライマー層について説明する。
本発明のハードコートフィルムにおいては、上記プライマー層の表面の静摩擦係数が、0.6〜2.0の範囲であることが重要である。
なお、上記のプライマー層の表面とは、プライマー層上に積層されたハードコート層と接触する側の表面のことをいうものとする。
本発明において、上記プライマー層の表面の静摩擦係数は、協和界面科学株式会社製の自動摩擦摩耗解析装置TSf−502を用いて、荷重200gf/cm2、対金属板(ハードクロムメッキ表面、表面仕上げ3.2s)で測定された値である。
静摩擦係数は、表面凹凸が大きい場合、接触面が点接触になり、小さい値となることが分かっていて、表面凹凸状態を巨視的に示すひとつの指標である。
プライマー層に表面凹凸があることでハードコート層との接触界面が大きくなること(プライマー層の表面積の増大)、更に、プライマー層の表面凹凸の中にハードコート層が入り込み固まってクサビのような働き(投錨力)も作用し、特に経時での密着性を向上させる効果がある。但し、プライマー層の過剰な表面凹凸はハードコート層塗工後の外観不良の原因となる。
このようにプライマー層表面の静摩擦係数は、プライマー層の表面凹凸状態の指標でもあり、ハードコート層との密着性に関与する。それゆえ、プライマー層表面の静摩擦係数を本発明の範囲内にすると、プライマー層最表層の表面凹凸状態を、ハードコート層との密着性が最適な範囲に調整することができる。
ここで、上記の動摩擦係数とは、2つの物体が接触しながら運動しているとき、接触面に働く摩擦力と接触面に垂直な抗力の大きさの比である。本発明において、上記プライマー層の表面の動摩擦係数は、協和界面科学株式会社製の自動摩擦摩耗解析装置TSf−502を用いて、荷重200gf/cm2、対金属板(ハードクロムメッキ表面、表面仕上げ3.2s)で測定された値である。また、静摩擦係数については上記したとおりである。
本発明において、上記プライマー層の表面の静摩擦係数と動摩擦係数の比(静摩擦係数/動摩擦係数)は、1.0〜2.0の範囲であることが特に好ましい。
ここで、上記の表面自由エネルギーとは、「表面の単位面積が持つ自由エネルギー」として定義され、プライマー層表面が層内部(バルク)に比べて過剰に持つエネルギーのことである。固体の表面自由エネルギーが大きいほど、気体や微粒子は吸着されやすく、液体は濡れやすく、他の固体と付着しやすくなる。
本発明において、上記プライマー層の表面自由エネルギーは、25mN/m以上であることが特に好ましい。
なお、上記プライマー層の表面自由エネルギーが大きすぎても、汚れが付着しやすくなり異物混入を招いたり、耐擦傷性が低下する問題が生じるので、上限値としては、40mN/m以下であることが好ましく、38mN/m以下であることがさらに好ましく、35mN/m以下がより好ましい。
本発明においては、上記プライマー層表面の水の接触角は、後述の方法によって測定された値である。すなわち、協和界面科学株式会社製の全自動接触角計DM−701を用いて、プライマー層表面に水(純水)を1μL滴下し、30秒後の接触角を測定した。
本発明において、上記プライマー層表面の水の接触角は、105度以下であることが特に好ましい。
なお、この水接触角が低すぎると、プライマー層の耐擦傷性に劣る傾向があり、50度以上であることが望ましい。
上記の算術平均表面粗さ(Ra)とは、JIS B 0031(1994)/JIS B 0061(1994)付属書で定義される、ある基準長さにおける粗さ曲線の平均線からの絶対偏差を平均化した値であり、つまり平均線以下の粗さ曲線部分を正値側に折り返した時の凹凸の平均値をいう。算術平均表面粗さ(Ra)の具体的な評価法(測定法)は後述する。
たとえば、上記基材フィルム(シクロオレフィンポリマー系フィルム)との密着性の観点からは、ポリオレフィン系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、メチルメタクリレート樹脂などのアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、イソシアネート系樹脂、繊維素系樹脂、またはこれらの樹脂の2種類以上の混合物などを好ましく用いることができる。
次に、上記ハードコートフィルムのハードコート層について説明する。
本発明において、上記ハードコート層に含まれる樹脂としては、被膜を形成する樹脂であれば特に制限なく用いることができるが、特にハードコート層の表面硬度(鉛筆硬度、耐擦傷性)を付与し、また、紫外線の露光量によって架橋度合を調節することが可能であり、ハードコート層の表面硬度の調節が可能になるという点で電離放射線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
本発明において、無機酸化物微粒子の含有量は、ハードコート層3の電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して0.1〜10.0重量部であることが好ましい。無機酸化物微粒子の含有量が0.1重量部未満であると、表面硬度(耐擦傷性)の向上効果が得られ難い。一方、含有量が10.0重量部を超えると、ヘイズが上昇するため好ましくない。
本発明は、以上説明した構成のハードコートフィルムの製造方法についても提供する。
すなわち、本発明は、シクロオレフィンポリマー系基材フィルム上に、プライマー層を介して、電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層を有するハードコートフィルムの製造方法であって、前記シクロオレフィンポリマー系基材フィルム上に、プライマー層用塗料を塗布し、乾燥して得られるプライマー層の表面の静摩擦係数が、0.6〜2.0の範囲であり、次いで、該プライマー層上に、電離放射線硬化型樹脂を含むハードコート層用塗料を塗布し、乾燥してハードコート層を形成した後、電離放射線照射を施すことを特徴とするハードコートフィルムの製造方法である。
また、上記プライマー層の表面の静摩擦係数と動摩擦係数の比(静摩擦係数/動摩擦係数)が、2.5以下であることがさらに好ましい。また、上記プライマー層の表面の算術平均表面粗さ(Ra)が、0.5nm〜15.0nmの範囲であることがさらに好ましい。
なお、特に断りのない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
<プライマー層塗料の調製>
ポリオレフィン系樹脂(変性ポリオレフィン)「ユニストールP-802(商品名)」(固形分22%、三井化学株式会社製)を、酢酸ブチル/トルエン=85/15(重量%)にて固形分濃度(塗料濃度)が7.0%となるまで希釈しプライマー層塗料を調製した。
ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂「ARTRESIN UN−908(商品名)」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:9、重量平均分子量:3600、根上工業株式会社製)100部を主剤とし、イルガキュア184(光重合開始剤、BASF社製)3.5部と、TINUVIN 292(ヒンダードアミン系光安定化剤、BASF社製)2.5部と、レベリング剤メガファックRS75(フッ素系レベリング剤、DIC株式会社製)0.3部を酢酸ブチル/n−プロピルアルコール=50/50(重量部)で紫外線硬化型樹脂の塗料中の固形分濃度が35%となるまで希釈し十分攪拌してハードコート層塗料を調製した。
シクロオレフィンフィルムとして厚さ40μmのゼオノアフィルムZF14(日本ゼオン株式会社製)の片面に、上記のプライマー層塗料を、バーコーター(#4)を用いて塗工し、100℃の乾燥炉で、炉内の風速1m/秒とし、60秒間熱風乾燥させて乾燥固化し、塗膜厚み0.4μmのプライマー層を形成させ、プライマー層塗布フィルムを得た。
こうして得られたプライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を以下の項目について測定した。その結果を他の実施例及び比較例とともに纏めて表1に示した。
協和界面科学株式会社製の自動摩擦摩耗解析装置TSf−502を用いて、荷重200gf/cm2、対金属板(ハードクロムメッキ表面、表面仕上げ3.2s)での静摩擦係数を測定した。
また、同様にして動摩擦係数を測定した。その結果から、静摩擦係数と動摩擦係数の比(静摩擦係数/動摩擦係数)を算出した。
協和界面科学株式会社製の全自動接触角計DM−701を用いて、プライマー層表面に水(純水)を1μL滴下し、30秒後の接触角を測定する。更に、プライマー層表面にn-ヘキサデカンを1μL滴下し、30秒後測定する。このようにして測定した水の接触角、及びn-ヘキサデカンの接触角を用いて、Kaelble−Uyの方法により表面自由エネルギーを算出した。
協和界面科学株式会社製の全自動接触角計DM−701を用いて、プライマー層表面に水(純水)を1μL滴下し、30秒後の接触角を測定した。
(株)菱化システム製の三次元表面粗計「VertScan2.0」を用いて測定した。
[光学条件]
Camera:SONY HR−50 1/3型
Objective:10×(10倍)
Tube:1×Body
Relay:No Relay
Filter:530white
※光量調節:Lampの値が50〜95の範囲内に入るよう自動で実施。
[測定条件]
Mode:Phaze
Size:640×480
Range(μm):Start(10)、Stop(−10)
次に、上記とまったく同様にして作製したプライマー層塗布フィルムのプライマー層上に、上記のハードコート層塗料を、バーコーターを用いて塗工し、80℃の乾燥炉で1分間熱風乾燥させ、塗膜厚み2.5μmの塗工層を形成した。これを、塗工面より60mmの高さにセットされたUV照射装置を用い、UV照射量180mJ/cm2にて硬化させてハードコート層を形成し、本実施例のハードコートフィルムを作製した。
実施例1のプライマー層塗料に配合した樹脂を、ポリオレフィン系樹脂(変性ポリオレフィン)「ユニストールP−901(商品名)」(固形分22%、三井化学株式会社製)に変更し、固形分濃度を7.0%としたプライマー層塗料を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例2)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
実施例1のプライマー層塗料に配合した樹脂を、ポリオレフィン系樹脂(変性ポリオレフィン)「ユニストールP−902(商品名)」(固形分22%、三井化学株式会社製)に変更し、固形分濃度を7.0%としたプライマー層塗料を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例3)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
[実施例4]
実施例3のプライマー層塗料の塗工後の乾燥条件を、60℃の乾燥炉で、炉内の風速1m/秒とし、60秒間熱風乾燥としたこと以外は、実施例3と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例4)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
プライマー層塗料に配合した樹脂を、実施例1と同じポリオレフィン系樹脂(変性ポリオレフィン)「ユニストールP−802(商品名)」(固形分22%、三井化学株式会社製)とし、固形分濃度を5.5%としたプライマー層塗料を用い、塗膜厚み0.3μmのプライマー層としたこと以外は、実施例1と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例5)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
[実施例6]
実施例5のプライマー層塗料に、さらにレベリング剤フタージェント−602A(フッ素系レベリング剤、株式会社ネオス製)0.5%を配合したプライマー層塗料を用いたこと以外は、実施例5と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例6)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
実施例5のプライマー層塗料に、さらにレベリング剤メガファックRS−75(フッ素系レベリング剤、DIC株式会社製)0.5%を配合したプライマー層塗料を用いたこと以外は、実施例5と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例7)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
[実施例8]
実施例1のプライマー層塗料に配合した樹脂を、ポリオレフィン系樹脂(変性ポリオレフィン)「ユニストールP−901(商品名)」(固形分22%、三井化学株式会社製)に変更し、固形分濃度を5.5%としたプライマー層塗料を用い、塗膜厚み0.3μmのプライマー層としたこと以外は、実施例1と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例8)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
実施例8のプライマー層塗料に、さらにレベリング剤フタージェント−602A(フッ素系レベリング剤、株式会社ネオス製)0.5%を配合したプライマー層塗料を用いたこと以外は、実施例8と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例9)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
[実施例10]
実施例8のプライマー層塗料に、さらにレベリング剤メガファックRS−75(フッ素系レベリング剤、DIC株式会社製)0.5%を配合したプライマー層塗料を用いたこと以外は、実施例8と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例10)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
実施例1のプライマー層塗料に配合した樹脂を、ポリオレフィン系樹脂(変性ポリオレフィン)「ユニストールP−902(商品名)」(固形分22%、三井化学株式会社製)に変更し、固形分濃度を5.5%としたプライマー層塗料を用い、塗膜厚み0.3μmのプライマー層としたこと以外は、実施例1と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例11)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
[実施例12]
実施例11のプライマー層塗料に、さらにレベリング剤フタージェント−602A(フッ素系レベリング剤、株式会社ネオス製)0.5%を配合したプライマー層塗料を用いたこと以外は、実施例11と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例12)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
実施例11のプライマー層塗料に、さらにレベリング剤メガファックRS−75(フッ素系レベリング剤、DIC株式会社製)0.5%を配合したプライマー層塗料を用いたこと以外は、実施例11と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例13)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
[実施例14]
実施例1のプライマー層塗料に配合した樹脂を、ポリオレフィン系樹脂(変性ポリオレフィン)「アウローレンS−5419T(商品名)」(固形分15%、日本製紙株式会社製)に変更し、固形分濃度を3.0%としたプライマー層塗料を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてプライマー層塗布して、塗工厚み0.2μmのプライマー層を形成させ、プライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例14)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
実施例14のプライマー層塗料を、バーコーター(#6)を用いて塗工し、塗膜厚み0.3μmのプライマー層を形成させたこと以外は、実施例14と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例15)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
[実施例16]
実施例7のプライマー層塗料を、バーコーター(#6)を用いて塗工し、塗膜厚み0.6μmのプライマー層を形成させたこと以外は、実施例7と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例16)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
実施例7のプライマー層塗料を、バーコーター(#10)を用いて塗工し、塗膜厚み1.0μmのプライマー層を形成させたこと以外は、実施例7と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例17)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
[実施例18]
実施例5のプライマー層塗料に、さらにシリカ微粒子スラリー「NanoTek Slurry(商品名)」(シリカ平均粒径30nm、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶媒、固形分15%、CIKナノテック株式会社製)を固形分として30%を添加したプライマー層塗料を用いたこと以外は、実施例5と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(実施例18)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
スチレンアクリル系樹脂「ARUFON−UG4040(商品名)」(固形分100%、東亜合成株式会社製)を、酢酸ブチル/トルエン=85/15(重量%)にて固形分濃度(塗料濃度)が5.5%となるまで希釈しプライマー層塗料を調製した。
実施例1と同じ厚さ40μmのゼオノアフィルムZF14(日本ゼオン株式会社製)の片面に、上記のプライマー層塗料を、バーコーター(#4)を用いて塗工し、100℃の乾燥炉で、炉内の風速1m/秒とし、60秒間熱風乾燥させて乾燥固化し、塗膜厚み0.3μmのプライマー層を形成させ、プライマー層塗布フィルムを得た。
次に、上記とまったく同様にして作製したプライマー層塗布フィルムのプライマー層上に、実施例1のハードコート層塗料を実施例1と同様にして塗工し、UV照射で硬化させてハードコート層を形成し、比較例1のハードコートフィルムを作製した。
比較例1のプライマー層塗料の塗工後の乾燥条件を、60℃の乾燥炉で、炉内の風速1m/秒とし、60秒間熱風乾燥としたこと以外は、比較例1と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(比較例2)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
比較例1のプライマー層塗料に配合した樹脂を、アクリル系樹脂「サーモラックLG−45M−30(商品名)」(固形分30%、綜研化学株式会社製)に変更し、固形分濃度を5.5%としたプライマー層塗料を用いたこと以外は、比較例1と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(比較例3)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
比較例3のプライマー層塗料の塗工後の乾燥条件を、60℃の乾燥炉で、炉内の風速1m/秒とし、60秒間熱風乾燥としたこと以外は、比較例3と同様にしてプライマー層塗布フィルムおよびハードコートフィルム(比較例4)を作製した。また、プライマー層塗布フィルムのプライマー層の表面特性を実施例1と同様に測定した。
プライマー層及びハードコート層の塗膜の形成厚みは、Thin−Film Analyzer F20(商品名)(FILMETRICS社製)を用いて測定した。
初期密着性は、JIS−K5600−5−6に準じて評価した。具体的には、各ハードコートフィルムについて、通常条件下、すなわち恒温恒湿条件下(23℃、50%RH)で、碁盤目剥離試験治具を用い1mm2のクロスカットを100個作製し、積水化学工業株式会社製の粘着テープNo.252をその上に貼り付け、ヘラを用いて均一に押し付け後、60度方向に剥離し、ハードコート層の残存個数を4段階評価した。評価基準は下記の通りであり、◎と○評価品(つまりハードコート層の残存率90%以上)を密着性は合格と判定した。
◎:100個
○:99〜90個
△:89〜50個
×:49〜0個
各ハードコートフィルムについて、JIS−K−5600−5−4に準じた試験法により鉛筆硬度を測定した。表面に傷の発生なき硬度を測定した。判定基準については、硬度3B以上は合格とした。
各ハードコートフィルムについて、JIS−K−5600−5−10に準じた試験法にて、ハードコート層面を、スチールウール#0000を用い、荷重1kgを掛け10往復摩擦し、傷のつき具合を次の基準で評価した。○評価品を耐擦傷性は良好とした。△評価品も製品として使用可能である。
○:傷の発生なし
△:傷が少し発生する
×:傷が無数に発生する
Claims (7)
- シクロオレフィンポリマー系基材フィルムの少なくとも片面に、プライマー層を介して、電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層が積層されたハードコートフィルムであって、
前記プライマー層の表面の静摩擦係数が、0.6〜2.0の範囲であることを特徴とするハードコートフィルム。 - 前記プライマー層の表面自由エネルギーが、22mN/m以上であることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
- 前記プライマー層表面の水の接触角が、110度以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハードコートフィルム。
- 前記ハードコート層は、前記電離放射線硬化型樹脂として、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能アクリレートを含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハードコートフィルム。
- シクロオレフィンポリマー系基材フィルム上に、プライマー層を介して、電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層を有するハードコートフィルムの製造方法であって、
前記シクロオレフィンポリマー系基材フィルム上に、プライマー層用塗料を塗布し、乾燥して得られるプライマー層の表面の静摩擦係数が、0.6〜2.0の範囲であり、
次いで、該プライマー層上に、電離放射線硬化型樹脂を含むハードコート層用塗料を塗布し、乾燥してハードコート層を形成した後、電離放射線照射を施すことを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。 - 前記プライマー層の表面自由エネルギーが、22mN/m以上であることを特徴とする請求項5に記載のハードコートフィルムの製造方法。
- 前記プライマー層表面の水の接触角が、110度以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載のハードコートフィルムの製造方法。
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