以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)第1の実施の形態
図1において、1は全体としてベッセル洗浄装置を示し、洗浄対象ベッセル2に対して洗浄ノズル3を用いることにより、洗浄装置本体4に設けられた洗浄水ポンプ5によって洗浄液タンク6から純水又は加温された純水でなる洗浄水7を洗浄ノズル3を介して洗浄対象ベッセル2に供給し噴射すると共に、洗浄対象ベッセル2の洗浄された後の洗浄排水液8を排水ポンプ9によって排水液タンク10に回収するように構成されている。
洗浄対象ベッセル2は、図2に示す製剤溶出試験装置15において、ベッセル用ラック16(作業台に立設された支持脚に固定されている)に溶出容器として6個分1列又は2列等に配設されており、当該6個の洗浄対象ベッセル2の上下方向の中心線に沿って溶出試験装置本体17から垂直方向に下方に突出する6本の溶出動作機構部18の先端操作部19を上方から受け入れるようになされている。
溶出動作機構部18は製剤溶出試験装置15が溶出試験動作をするときには、溶出試験装置本体17から各洗浄対象ベッセル2内に溶出用試験液を導入し、その後ベッセル用ラック16の下部に設けられている恒温槽(図示せず)によって洗浄対象ベッセル2内の温度が恒温温度37〔°C〕に保持された状態で、溶出動作機構部18が、溶出試験対象である固形製剤を落し込むと共に撹拌機20によって撹拌しながら落し込まれた製剤の溶液を所定の時間間隔で抽出して溶出試験装置本体17に取り込ませるような溶出試験作業を行う。
かくして6個の洗浄用対象ベッセル2における溶液の採取が終了すると、溶出試験装置本体17は、図3において矢印aで示すように、ベッセル用ラック16から垂直方向に上方に離間するように上昇し、これにより製剤溶出試験装置15はベッセル洗浄モードに入る。
このベッセル洗浄モードにおいて、ユーザは、ベッセル洗浄用ラック16と溶出試験装置本体17の先端操作部19との間に形成された空間を利用して、ベッセル用ラック16に残された6本の洗浄対象ベッセル2に対して、順次1本ずつ洗浄ノズル3を装着して行くことにより、洗浄対象ベッセル2を1本ずつ順次洗浄して行く。
洗浄ノズル3は、図4に示すように、全体として外観形状が円柱構造を有し、手元側部材21と先端側部材22との間に鍔状のベッセル蓋部材23が円環状に外方に突出されるように形成され、これにより洗浄ノズル3が1つの洗浄対象ベッセル2の上部開口に上方向から差込み操作されたとき、ベッセル蓋部材23が洗浄対象ベッセル2の上端面を閉塞すると共に、洗浄ノズル3の中心線L1が洗浄対象ベッセル2の中心線L2上に一致した姿勢で、ベッセル蓋部材23が洗浄ノズル3を保持できるようになされている。
この実施の形態の場合、ベッセル蓋部材23は、洗浄対象ベッセル2の上端内縁部に嵌め込まれる形状を有する板状の位置決め部材23Aと、当該位置決め部材23A上に貼り合わされると共に、外周円部の下端面が洗浄対象ベッセル2の上方端部に当接して蓋をする板状の蓋部材23Bとでなる。
かくして洗浄ノズル3が洗浄対象ベッセル2の上方から持ちきたされたとき、ベッセル蓋部材23の位置決め部材23Aが洗浄対象ベッセル2の開口内周面に外周面が当接することにより、洗浄ノズル3をその中心線L1が洗浄対象ベッセル2の中心線L2と一致する位置に位置決めすると共に、蓋部材23Bが洗浄対象ベッセル2を上方から閉塞するようになされている。
洗浄ノズル3の手元側部材21の上端面には排水ノズル25が外方に突出するように設けられ、これが図1の排水ポンプ9に連通する排水パイプ26に結合されている。
また洗浄ノズル3の手元側部材21の側面には、洗浄水ノズル27が設けられ、これが図1の洗浄水ポンプ5に連通する洗浄水パイプ28に結合されている。
かくして洗浄対象ベッセル2に洗浄ノズル3が装着された図4の状態において、洗浄水ポンプ5から送水される洗浄水7が洗浄水ノズル27を介して洗浄ノズル3に供給されると共に、排水ポンプ9が洗浄排水液8を吸引方向に送水することにより、排水ノズル25を介して洗浄ノズル3内の洗浄排水液8を排水するようになされている。
洗浄ノズル3は、図5に示すように、中心線L1上に二重構造に配設された大径管部31及び小径管部32を有し、大径管部31が洗浄水ノズル27に連通すると共に、大径管部31の内部に配設されている小径管部32が排水ノズル25に連通している。
この実施の形態の場合、大径管部31は、塩化ビニールパイプでなるパイプ本体35に異径チーズ部材36の大径部が嵌め込まれており、当該異径チーズ部材36の側面から分岐した小径部が洗浄水ノズル27を形成している。
パイプ本体35にはソケット部材37の大径部が嵌め込まれており、その先端側の絞り込まれた小径部が小径管部32を構成する塩化ビニールパイプでなる排水パイプ部材38を嵌込み保持している。
かくして排水パイプ部材38は、排水口46を有する先端部を異径ソケット部材37によって保持された状態で、パイプ本体35及び異径チーズ部材36を通ってキャップ部材39の先端面上に穿設された貫通孔40に嵌め込まれている。
キャップ部材39の貫通孔40の手元側には排水ノズル25を形成するエルボ部材41が嵌め込まれており、かくして小径管部32を構成する排水パイプ部材38が、大径管部の中心線L1上に同心状に貫通してエルボ部材41によって構成された排水ノズル25に連通している。
この実施の形態の場合、異径チーズ部材36とキャップ部材39とは塩化ビニールパイプ製の連結部材43で連結され、これにより大径管部31の手元側端部がキャップ部材39によって閉塞されている。
また洗浄水ノズル27及び排水ノズル25は、連結金具27A及び25Aによって洗浄水パイプ28及び排水パイプ26に連結している。
大径管部31の先端部31Aの側面には、3種類の噴射口45A、45B及び45Cが設けられている。
噴射口45A、45B及び45Cは、それぞれ洗浄水ノズル27から導入された洗浄水7(図1)を小径管部32の表面との間の空所に受けて洗浄対象ベッセル2の内側表面に強く噴射させることにより、当該洗浄対象ベッセル2の内側表面に付着している残りかすを洗い落とすように作用する。
この実施の形態の場合、第1の噴射口45Aは、図6(B)に示すように、中心線L1を先端方向に見たとき、当該中心線L1に対してθ1(=90〔°〕)の方向(横方向)に放射方向に向くような透孔として、大径管部31の厚みを横切るように穿設されている。
かくして第1の噴射口45Aから噴射する洗浄水は、大径管部31の外側表面から直角方向に外方に噴射する。
この実施の形態の場合、第1の噴射口45Aは、パイプ本体35の先端部分において、図6(A)に示すように、中心線L1から見て大径管部31の外周面に45〔°〕の角等間隔を保つ位置に8個穿設されていると共に、当該8個の噴射口の組を中心線L1に沿って先端方向に4段分等間隔を持つように配列された構成を有し、これにより8×4=32個の第1の噴射口45Aを配設している。
第2の噴射口45Bは、第1の噴射口45Aの先端側の異径ソケット部材37の位置において、図7(B)に示すように、中心線L1の先端方向に見て浅く傾いた角度θ2(=45〔°〕)の方向に斜め先端方向に傾くように異径ソケット37の厚みを横切るように穿設されている。
このとき第2の噴射口45Bは、図7(A)に示すように、中心線L1の周囲に45〔°〕の角等間隔を保つ位置に1段分、すなわち8個だけ設けられている。
かくして洗浄水ノズル27から供給された洗浄水は、大径管部31の外表面から先端方向に45〔°〕の角度で洗浄水を噴射する。
また第3の噴射口45Cは、第2の噴射口45Bの先端側の異径ソケット37の位置において、図8(B)に示すように、先端方向に向かう中心線L1に対して、先端方向にさらに浅く傾いた角度θ3(=15〔°〕)の方向に大径管部31の厚みを横切るように穿設されている。
この場合も図8(A)に示すように、第3の噴射口45Cは中心線L1を中心として45〔°〕の角等間隔を保つ位置に1段分、従って8個の第3の噴射口45Cが形成されている。
かくして洗浄水ノズル27から供給された洗浄水は、大径管部31の先端部位置において先端方向に15〔°〕の角度で洗浄水を噴射する。
この実施の形態の場合、洗浄対象ベッセル2は、図4に示すように、円筒形状の上半部の下端側に、下端部分の形状がほぼ半球状に突出するように成形されており、これにより当該半球形状部分に500〔ml〕の液面レベルLV1までの製剤溶出液を入れることができるようになされている。
この液面レベルLV1での範囲に対して、第2の噴射口45B及び第3の噴射口45Cが洗浄対象ベッセル2の中心線L2に対してそれぞれ45〔°〕及び15〔°〕の角度で噴射したとき、当該洗浄水はそれぞれ洗浄対象ベッセル2の内面にほぼ直角方向から当たるようになる。
これに対して洗浄対象ベッセル2は、1000〔ml〕の液面レベルLV2までの洗剤溶出液が入れられる場合には、内径形状が中心線L2に対して円筒形状をもつ部分に対して4段の第1の噴射口45Aから洗浄対象ベッセル2の内面にほぼ直角に当たるように洗浄水が噴射される。
小径管部32を構成するパイプ部材38の先端面の排水口46は、ほぼ断面が半円形状に切り込まれており、これにより洗浄対象ベッセル2に洗浄ノズル3が装着されたとき、小径管部32の先端面が洗浄対象ベッセル2の底面に当接した状態になることにより、洗浄対象ベッセル2の底面に溜まった製剤溶出排液を残さないように、切込された排水口46を介して小径管部32内に吸い込むことができるようになされている。
この実施の形態の場合、ベッセル蓋部材23の下面には、図1に示すように、液面スイッチSW2が設けられており、これにより洗浄対象ベッセル2に洗浄後の洗浄排水液が満杯状態になったとき、これを検出して液面検出信号S2を洗浄操作部50の操作制御回路55に入力するようになされている。
ベッセル洗浄装置1の洗浄水ポンプ5及び排水ポンプ9は、図1に示すように、操作制御回路55と共に1つの筐体であるケース内に設けられ、これにより洗浄操作部50を構成し、ユーザが操作制御回路55を操作することにより、ベッセル洗浄装置1を全体として、洗浄水7の供給及び洗浄排水液8の排出制御を行う。
この実施の形態の場合、洗浄水ポンプ5及び排水ポンプ9は、図12に示すような、ダイヤフラムポンプDPを用いている。
ダイヤフラムポンプDPは、ゴム、熱可塑性樹脂、又はテフロン(登録商標)性ダイヤフラムD1によって閉塞された流体保留室D2に対して、ダイヤフラム駆動部D3によってダイヤフラムD1を上下運動させることにより、上方に駆動したとき流体入口D4から逆止弁D5を開いて流体を吸い込み、その後ダイヤフラムD1を下方に押し下げたとき、流体保留室D2に保留されている流体を逆止弁D6を開動作させて流体出口D7に吐き出す。
かくして洗浄水ポンプ5及び排水ポンプ9はダイヤフラム駆動部D3に駆動電圧S1を印加して、ダイヤフラムD1を上下運動させることにより、洗浄水7又は洗浄排水液8を容積移送方式で、例え空気を含んでいるとしても、これを一緒に移送する。
(2)ベッセルの洗浄操作手順
以上の構成において、ユーザは、ベッセル洗浄モード(図3)において、洗浄ノズル3を6個の洗浄対象ベッセル2に順次装着したのち、図11に示す操作手順に従って洗浄操作部50の操作制御回路55に設けられた電源スイッチSW0及び洗浄スイッチSW1(図1)を操作することにより、洗浄対象ベッセル2の洗浄処理を手動操作により行う。
まず図11の時点t0以前においては、電源がオフ状態(図11(A))であるので、図10に示す操作制御回路55の洗浄リレーK1及び排水リレーK2は共に非励磁状態にあり、これにより洗浄操作部50(図9)において、洗浄リレーK1の常開接点K1−2aがオフ状態にあると共に、操作制御回路55(図10)において、切換動作接点K1−1cが排水リレーK2側に切り換わった状態にある。
また排水リレーK2の常開接点K2−2a(図9)はオフ状態にあると共に、常閉接点K2−1b(図10)はオン状態にある。
この状態において時点t0においてユーザが電源スイッチSW0をオン操作すると、洗浄操作部50従って操作制御回路55に電源が与えられることにより、洗浄リレーK1の切換接点K1−1cを通じて排水リレーK2が励磁されることにより(図11(D))、常開接点K2−2aがオン動作することにより(図9)、排水ポンプ9が排水動作をする。
これにより、洗浄ノズル3は今回の洗浄操作する前に、洗浄対象ベッセル2に残留していた残留液を排水ポンプ9によって排水タンク10に排水する。
この排水動作はユーザが洗浄対象ベッセル2内の状態を見ることにより確認できるので、ユーザはその後の時点t1において洗浄操作部50の操作制御回路55に設けられている洗浄スイッチSW1(図9)をオン操作することにより(図10、図11(B))、洗浄リレーK1をオン動作させ(図10、図11(C))、これにより、その常開接点K1−2a(図9)を通じて洗浄水ポンプ5を洗浄動作させる。
この洗浄リレーK1のオン動作は、切換接点K1−1cが切換え動作することにより(図10)、排水リレーK2が非励磁状態になり(図11(D))、これによりその常閉接点K2−1bを介して自己保持される。
かくして時点t1から洗浄水ポンプ5によって洗浄水7が洗浄ノズル3に供給され、これが大径管部31の第1、第2及び第3の噴射口45A、45B及び45Cから洗浄対象ベッセル2の内面に噴射される。
このとき第1、第2及び第3の噴射口45A、45B及び45Cから噴射する洗浄水は、当該第1、第2及び第3の噴射口45A、45B及び45Cの穿設角度がθ1(=90〔°〕)、θ2(=45〔°〕)及びθ3(=15〔°〕)に選定されていることにより、洗浄対象ベッセル2の半球状湾曲部から円筒状の直立部の内面に亘ってほぼ直角に噴射する。
かくして例え、洗浄対象ベッセル2の内面に製剤溶出液の残りかすが付着していたとしても、これを第1、第2及び第3の噴射口45A、45B及び45Cから強く噴射する洗浄水による洗浄効果が大きい洗浄作業によって洗浄することができる。
この洗浄作業の間に、洗浄対象ベッセル2内に供給された洗浄水によって洗浄対象ベッセル2内の液面が高くなって行って時点t2において液面スイッチSW2がオン動作すると(図11(E))、その検出出力S2が操作制御回路55(図10)に到達することにより、液面スイッチSW2がオン動作して排水リレーK2を励磁状態に保ち、(図11(D))、その常閉接点K2−1bがオフ動作することにより洗浄リレーK1の自己保持状態が解除されて(図11(C))その切換接点K1−1cが排水リレーK2側に戻って排水リレーK2の励磁状態を維持する(図11(D))。
このとき、洗浄操作部50において常開接点K1−2aがオフ動作することにより洗浄水ポンプ5に対する駆動電源が与えられなくなると共に、常開接点K2−2aがオン動作して排水ポンプ9に駆動電源が与えられることにより、排水ポンプ9が排水パイプ26を介して洗浄ノズル3の小径管部32から洗浄排水液8を引き抜く動作をする。
この結果洗浄対象ベッセル2内の洗浄水は、小径管部32を通って排水ノズル25を介して洗浄排水液8として引き抜かれて行くことにより、洗浄対象ベッセル2の洗浄排水液面が下がって行く。
これにより液面スイッチSW2が時点t3においてオフ動作するが(図11(E))、このとき排水リレーK2に対して切換接点K1−1c(図10)を通じて排水リレーK2の励磁状態を維持する(図11(D))ことにより、洗浄ノズル3からの排水動作を続ける。
この排水ポンプ9による洗浄対象ベッセルからの排水動作は、ユーザが目視確認できる。この時点で1回の洗浄サイクルは完了し、通常は1本のベッセルの洗浄は終わり次のベッセルに移行できる。
しかし、必要に応じて、このような確認をしながら、ユーザが時点t4において洗浄スイッチSW1を長押し操作をすると(図11(B))、洗浄リレーK1がオン動作して、切換接点K1−1c−常閉接点K2−1b−洗浄リレーK1の回路によって自己保持されることにより、洗浄水ポンプ5が洗浄水を供給する状態になる。
ここで、時点t4において洗浄スイッチSW1を長押しするのは、排水ポンプ9による排水効果が遅れたために、液面検出信号S2(図11(E))が検出動作を続けている間に洗浄スイッチSW1を操作したような場合に、洗浄リレーK1の自己保持動作を確実に確保するためである。
かくして、時点t4以降、再度確実に洗浄水ポンプ5による洗浄対象ベッセル2に対する洗浄効果を確実に確保できる。
時点t4以降の洗浄動作によって、洗浄対象ベッセル2の液面が上昇して行き、やがて時点t5において液面スイッチSW2が動作すると(図11(E))、排水リレーK2がオン動作することにより(図11(D))、洗浄リレーK1の自己保持状態が解除され(図11(C))、洗浄対象ベッセル2は小径管部32から洗浄対象ベッセル2内の洗浄液を排水ノズル25から排水する動作に移る。
この動作状態において、ユーザは時点t6において洗浄スイッチSW1を比較的短い時間の間オン動作させる(図11(B))。
このときの状態は、洗浄対象ベッセル2の洗浄液が液面スイッチSW2の検出レベル以上になっている状態において、排水リレーK2がオン動作することにより排水ポンプ9が排水動作をすると同時に、洗浄スイッチSW1がオン動作することにより洗浄リレーK1がオン動作して洗浄水ポンプ5によって洗浄対象ベッセル2に洗浄水7を供給する状態になる。
この状態は、洗浄対象ベッセル2には液面スイッチSW2を越える水位の洗浄水が入っている状態において、排水ポンプ9による排水動作と同時に、洗浄ノズル3の第1、第2及び第3の噴射口45A、45B及び45Cから洗浄液を噴射する状態になっていることを意味する。
この状態は、洗浄対象ベッセル2内に十分な洗浄水がある状態においてさらに洗浄水を第1、第2及び第3の噴射口45A、45B及び45Cから洗浄対象ベッセル2内に噴射している状態にすることにより、洗浄水を強制循環させて洗浄対象ベッセル2を掻き回すように強く洗浄し、これにより、洗浄対象ベッセル2内に製剤溶出液が僅かに残っていたとしても、これを洗浄できることを意味する。
時点t6の後の時点t7においてユーザが洗浄スイッチSW1の押圧操作を解除すると、洗浄リレーK1に対する励磁状態が解除される(図11(C))、これにより洗浄水ポンプ5による洗浄対象ベッセル2に対する洗浄水の供給が終わる。
時点t7において洗浄スイッチSW1の操作が終わると、洗浄対象ベッセル2には洗浄水が供給されない状態になると共に、排水ポンプ9による排水動作が続き、やがて時点t8において、液面スイッチSW2がオフ動作する(図11(E))。
排水リレーK2は、時点t9において電源がオフ操作されたとき(図11(A))、オフ動作し(図11(D))、これにより洗浄対象ベッセル2に対する一連の洗浄動作が終わる。
かくして、1本の洗浄対象ベッセル2に対する洗浄操作を終了する。
以上の構成によれば、ユーザが時点t1において洗浄スイッチSW1を操作することにより、洗浄水ポンプ5によって洗浄対象ベッセル2に洗浄水を供給することにより洗浄をした後、時点t4において洗浄スイッチSW1を長押しすることにより、洗浄対象ベッセル2を再度洗浄した後、時点t6において洗浄対象ベッセル2内に液面スイッチSW2を越える洗浄水がある状態において、ユーザが洗浄スイッチSW1を押すことにより洗浄水ポンプ5によって洗浄水を供給すると同時に排水ポンプ9による排水をしながら、洗浄対象ベッセル2内の洗浄を効果的に行い得るようなベッセル洗浄装置1を実現できる。
この実施の形態の場合、洗浄水ポンプ5や、排水ポンプ9として、容積移送方式のダイヤフラムポンプを用いるようにしたことにより、洗浄水7や洗浄排水液8内に、空気の泡が含まれていても、これを容積移送成分の一部として移送できることにより、洗浄対象ベッセル2内の洗浄を支障を生じさせることなく確実になし得る。
以上の構成によれば、ユーザはベッセル用ラック16に配設されている6本の洗浄対象ベッセル2に対して、1本ずつ洗浄ノズル3を装着して当該洗浄対象ベッセル2を手動で洗浄作業をすることができる。
かくするにつき、洗浄しようとする洗浄対象ベッセル2をその都度ベッセル用ラック16から取り外して洗浄する必要がないことから、製剤溶出試験装置において薬局方の規定に従って洗浄対象ベッセル2をベッセル用ラック16に一旦校正設定したとき、その後の洗浄した後に改めて校正し直す必要がなくなる。
かくして、一段と簡便かつ正確に洗浄対象ベッセル2を洗浄できると共に、製剤溶出試験装置15の6個の洗浄対象ベッセル2に対して用意すべき洗浄手段は、1個の洗浄対象ベッセル2に見合った大きさの洗浄ノズル3を1個だけで済むので、簡易かつ小型になる作用効果が得られる。
これに加えて、排水後に必ず洗浄水が全流路を洗浄する為に、自らを浄化して汚染を防止する機能が効果を発揮する。
(3)第2の実施の形態
図13〜図15は第2の実施の形態を示し、図9〜図13との対応部分に同一符号を付して示す。
この場合の洗浄操作部50は、図13に示すように、ダイヤフラムポンプで構成された1台の洗浄・排水ポンプ60を有し、その流体入口D4側に電磁弁でなる流入側切換弁V1が設けられていると共に、流体出口D7側に電磁弁でなる流出側切換弁V2が設けられている。
この洗浄・排水ポンプ60と流入側及び流出側切換弁V1及びV2は、図14に示す操作制御回路55の洗浄・排水スイッチSW3、液面スイッチSW2及び停止スイッチSW5の動作に応じて、図15に示す操作手順に従って洗浄ノズル3の洗浄水ノズル27に洗浄水を供給すると共に、排水ノズル25から排水液を引き出す動作をする。
この実施の形態の場合、洗浄・排水スイッチSW3は、自己復帰型の中立接点Cと、洗浄側接点ON1及び排水側接点ON2とを有し、ユーザは中立接点Cを洗浄側接点ON1又は排水側接点ON2に切換操作することにより洗浄操作部50に対して洗浄動作又は排水動作を指示するようになされている。
図15の時点t10以前においては、洗浄・排水スイッチSW3が中立位置Cにあるので、洗浄側接点ON1がオフ動作にあり(図15(A))、洗浄・排水スイッチSW3の排水側接点ON2もオフ状態にある(図15(B))。
このとき洗浄リレーK1及び排水リレーK2は共に非励磁状態にあり(図15(C)及び(D))、洗浄操作部50(図13)において洗浄リレーK1の常開接点K1−2aがオフ動作していることにより、流入側切換弁V1が洗浄ノズル3の排水ノズル25に連通した状態にあると共に、流出側切換弁V2が排水タンク10に連通した状態になっている。
これにより、図15(F)に示すように、流入側切換弁V1及び流入側V2が排水モードになっている。
このように洗浄リレーK1及び排水リレーK2が非励磁状態にあるとき、洗浄・排水ポンプ60に対する駆動接点となる洗浄リレーK1の常開接点K1−3a及び排水リレーK2の常開接点K2−3aが共にオフ動作していることにより、洗浄・排水ポンプ60はオフ動作状態にある(図14(G))。
この状態において、ユーザが、時点t10において洗浄・排水スイッチSW3を洗浄側接点ON1に切り換えると(図14(A))、洗浄リレーK1が励磁されることにより、当該洗浄リレーK1が停止スイッチSW5−切換接点K1−1c−常閉接点K2−1bを通じて自己保持状態になる。
これと共に、常開接点K1−3aがオン動作することにより洗浄・排水ポンプ60がオン動作する(図15(G))。
これと共に、常開接点K1−2aがオン動作することにより、流入側切換弁V1及び流出側切換弁V2が洗浄モードに切り換わり(図15(F))、流入側切換弁V1が洗浄水タンク6と連通する状態に切り換わると共に、流出側切換弁V2が洗浄水ノズル27に連通する状態に切り換わる。
かくして洗浄・排水ポンプ60は、洗浄水タンク6の洗浄水を洗浄ノズル3の洗浄水ノズル27に供給して洗浄対象ベッセル2を洗浄する。
この状態になると、洗浄対象ベッセル2内の液面レベルが上昇して行き、やがて時点t11において液面スイッチSW2が動作すると(図15(E))、この液面スイッチSW2を通じて排水リレーK2がオン動作する(図15(D))。
このとき常閉接点K2−1bがオフ動作することにより、停止スイッチSW5−切換スイッチK1−1c−常開接点K2−1bを通じた洗浄リレーK1の自己保持が解除される。
かくして洗浄リレーK1が非励磁になると共に排水リレーK2が励磁状態になったことにより、洗浄・排水ポンプ60は常開接点K2−3aを通じて動作し続けるのに対して、常開接点K1−2aがオフ動作することにより、流入側切換弁V1が排水ノズル25に連通しかつ流出側切換弁V2が排水タンク10に連通する状態に切り換わる。
かくして流入側切換弁V1及び流出側切換弁V2が排水モードに切り換わる(図15(F))ことにより、洗浄対象ベッセル2に溜まっている洗浄後の洗浄水が洗浄排水液8として排水タンク10に排水される。
この排水モードにおいて、やがて洗浄対象ベッセル2内の排水液が液面スイッチSW4より下がることにより、時点t12において当該液面スイッチSW2がオフ動作するが、このとき排水リレーK2は停止スイッチSW5−切換接点K1−1cの回路によって自己保持状態を維持するので、流入側切換弁V1及び流出側切換弁V2は排水モードを維持する(図15(F))。
この排水処理操作は、ユーザが洗浄ノズル3を現在洗浄しようとしている洗浄対象ベッセル2の洗浄状態及び排水状態を目視しながら作業でき、やがて当該洗浄対象ベッセル2の排水が終了したとき、ユーザは時点t13において洗浄・排水スイッチSW3を洗浄側接点ON1に切り換える(図15(A))。
このとき洗浄リレーK1が励磁されて切換接点K1−1cが洗浄接点側に切り換わることにより、排水リレーK2が非励磁となることにより、洗浄リレーK1が停止スイッチSW5−切換接点K1−1c−常閉接点K2−1bを通じて自己保持される。
かくして常開接点K1−2aが閉じることにより流入側切換弁V1及び流出側切換弁V2が洗浄モードに切り換わり(図15(F))、洗浄・排水ポンプ60は洗浄水タンク6から洗浄ノズル3に洗浄水を供給して再度洗浄対象ベッセル2を洗浄する状態になる。
この状態において、ユーザが、洗浄対象ベッセル2に溜まった洗浄後の洗浄水が液面スイッチSW2が動作するまで液面が上がる前の時点t14において洗浄・排水スイッチSW11を排水側接点ON2に切り換えると(図15(B))、排水リレーK2が強制的に励磁されると共に、この励磁状態が停止スイッチSW5−切換接点K1−1cの回路において自己保持されることにより、流入側切換弁V1及び流出側切換弁V2が排水モードに切り換わり(図15(F))、洗浄・排水ポンプ60は洗浄対象ベッセル2からの排水をする。
その後ユーザが時点t15において洗浄排水スイッチSW3を洗浄側接点ON1側に長押しすると(図15(A))、洗浄リレーK1(図5(C))がオン動作して自己保持状態になる。
このとき排水リレーK2は自己保持を解除される(図15(D))ことにより、流入側切換弁V1及び流出側切換弁V2は洗浄モードに切り換わる(図15(F))。
かくして洗浄対象ベッセル2は時点t17に至るまで洗浄・排水スイッチSW3が長押しされている間洗浄動作状態を続けるが、この間の時点t16において液面スイッチSW2がオン動作して(図15(E))排水リレーK2が励磁されても(図15(D))、洗浄・排水スイッチSW3が洗浄側接点に長押しされていることにより、洗浄リレーK1の常開接点K1−2aがオン動作を続けることによって、流入側切換弁V1及び流出側切換弁V2は洗浄モードを続ける(図15(F))。
かくしてユーザは、洗浄対象ベッセル2の洗浄を、液面スイッチSW2が動作しても続けることができ、これにより洗浄対象ベッセル2を十分満足できるまで洗浄することができる。
洗浄・排水スイッチSW3の洗浄側接点ON1への長押し状態が時点t17において解除されると、これに応じて洗浄リレーK1がオフ動作し(図15(C))、その切換接点K1−1cが排水リレーK2側に切り換わって、停止スイッチSW5−切換接点K1−1cを通じて排水リレーK2の励磁状態が自己保持される(図15(D))ことにより、流入側切換弁V1及び流出側切換弁V2が排水モードに切り換わって(図15(F))、洗浄対象ベッセル2内の洗浄排水液を排水する。
以上の洗浄及び排水作業が終了すると、ユーザは時点t18において停止スイッチSW5を操作することにより(図15(H))、洗浄リレーK1及び排水リレーK2の自己保持動作を解除することにより、ベッセル洗浄装置1は全体として停止状態に戻る。
かくしてユーザは当該洗浄対象ベッセル2に対する洗浄作業を終了したので、洗浄ノズル3のベッセル蓋部材23及び先端側部材22を当該洗浄対象ベッセル2から引き抜いて次の洗浄対象ベッセル2の洗浄に備えることができる。
以上の構成によれば、ベッセル洗浄装置1は、1台の洗浄・排水ポンプ60を用いて、洗浄ノズル3による洗浄対象ベッセル2に対する洗浄処理と、排水処理とを、ユーザの希望に応じて行うことができる。
これに加えて、排水後に必ず洗浄水が全流路を洗浄するので、自らを浄化して汚染を防止する機能が効果を発揮する。
(4)変形例
上述の図1〜図15の実施の形態においては、ベッセル蓋部材23に液面スイッチSW2を設けて、洗浄操作時に、洗浄対象ベッセル2が満水になったとき、これを液面スイッチSW2の検出出力S2を操作制御回路55に与えて自動的に対応処理するようにしたが、ユーザが洗浄対象ベッセル2の液面の高さを見て確認できることに基づいて、液面スイッチSW2を省略して、満水時の処理をユーザの判断に任せるようにしても良い。
(5)第3の実施の形態
(5−1)図16は第3の実施の形態を示すもので、図1との対応部分に、同一符号又はこれに添え字を付けて示す。
この実施の形態のベッセル洗浄装置1は、洗浄対象ベッセル2として、複数例えば3つの洗浄対象ベッセル2A、2B及び2Cの第1、第2及び第3洗浄機構部71A、71B及び71Cに対する洗浄処理を、共通に設けられた洗浄制御部72によって連動するように制御する。
3つの洗浄機構部71A、71B及び71Cは、図1のベッセル洗浄装置1において、洗浄対象ベッセル2について、液面スイッチSW2と、ベッセル蓋部材23と、洗浄操作部50とを設けないような構成を有し、これに代え、洗浄制御部72によって各洗浄機構部71A、71B及び71Cに設けられた洗浄水ポンプ5A、5B及び5Cと、排水ポンプ9A、9B及び9Cとを制御する。
この実施の形態の場合、製剤溶出試験装置15のベッセル用ラック16は、図2及び図3の場合と相違し、図17に示すように、6個の洗浄対象ベッセル2がマトリクス状に2行3列に配置されており、洗浄機構部71A、71B及び71Cは各行毎に横方向に3列の洗浄対象ベッセル2A、2B及び2C(すなわち1行分の洗浄対象ベッセル2A1、2B1及び2C1、又は2A2、2B2及び2C2)が1回の洗浄処理操作毎に選定される。
洗浄対象ベッセル2A1、2B1及び2C1(又は2A2、2B2及び2C2)は、図18及び図19に示すように、三連の洗浄ノズルホルダ73によって保持された3本の洗浄ノズル3によって同時に洗浄操作処理される。
洗浄ノズルホルダ73は、図20、図21、図22及び図23に示すように、長方形状の4枚の支持板、すなわち第1支持板74、第2支持板75、第3支持板76及び第4支持板77を有し、第1支持板74、第2支持板75及び第4支持板77の下端面に1行3列分の洗浄対象ベッセル2A1、2B1及び2C1(又は2A2、2B2及び2C2)に対応する支持環部材78A、78B及び78Cが設けられている。
第2支持板75の上及び下端縁には、断面U字状の案内レール75A及び75Bが互いに対向するように設けられ、当該案内レール75A及び75Bに対して左側から第1支持板74の右端部が摺動自在に差し込まれることにより、第2支持板75の左端部に第1支持板74が連結保持される。
かくして第1支持板74及び第2支持板75が連結されたことにより第1支持板74の左端位置に設けられた支持環部材78Aがベッセル用ラック16の洗浄対象ベッセル2A1(2A2)に位置合せされたとき、第2支持板75の右端位置に設けられた支持環部材78Bがベッセル用ラック16の右隣の洗浄対象ベッセル2B1(又は2B2)に位置合せされる。
当該位置合せ状態は、止めねじ75Cによって第1支持板74及び第2支持板75の板厚を貫通するように係止することにより固定される。
この実施の形態の場合第2支持板75の右端には、円筒形状の一対のヒンジ部材75D及び75Eが設けられて、当該ヒンジ部材75D及び75E間に第3支持板76の左端に設けられた円筒状ヒンジ部材76Aが係合した状態でピン75Fを差し込むことにより、第3支持板76を第2支持板75に対して折曲り自在に連結するヒンジ79が形成されている。
第3支持板76の上及び下縁部には断面U字状の案内レール76B及び76Cが設けられ、当該案内レール76B及び76Cに右方向から第4支持板77が摺動自在に差し込まれることにより、第4支持板77が第3支持板76に結合される。
当該結合状態は、止めねじ76Dによって固定される。
かくして第2支持板75の支持環部材78Bがベッセル用ラック16の中央位置にある洗浄対象ベッセル2B1(又は2B2)に位置合せされたとき、第3支持板76を介して第4支持板77の支持環部材78Cが右端の洗浄対象ベッセル2C1(又は2C2)と対応する位置に配置される。
この実施の形態の場合、第1支持板74及び第4支持板77には、板面と直交する方向に突出するように棒状の把持部材80A及び80Bが設けられ、これにより、ユーザが第1、第2及び第4の支持板74、75及び77の支持環部材78A、78B及び78Cにそれぞれ洗浄ノズル3を装着した状態において、当該洗浄ノズル3を対応する洗浄対象ベッセル2A1、2B1及び2C1(又は2A2、2B2及び2C2)に挿入した状態を得る際に、ユーザが把持部材80A及び80Bを手に持って三連の洗浄ノズルホルダ73を所定の形状(この実施の形態の場合真直に延長した状態)に設定できるようになされている。
洗浄制御部72は、防水型筐体でなるケース72A内に収納された電気制御要素で構成されている操作制御回路85と洗浄・排水駆動回路86とで構成されている。
操作制御回路85は、図24に示すように、商用電源に接続されたコンセント91Aから電源を供給されるブレーカスイッチ91Bでなる電源スイッチ91を含む起動回路90を有し、オペレータが電源スイッチ91を入り操作をすることにより、第1電源92A、第2電源92B及び第3電源92Cの電源+12V−1、+12V−2及び+12V−3を図25(A)の時点t21において立ち上げる。
これらの電源+12V−1、+12V−2、+12V−3は、操作回路93の排水ポンプ9A、9B及び9C用の排水リレーK13、K15及びK17を洗浄タイマTMの常閉接点TM−bを介して同時に励磁する。
これに対して洗浄水ポンプ5A、5B及び5C用の洗浄リレーK12、K14及びK16は安全蓋制御リレーK11の常開接点K11−2aを通じ、さらに洗浄タイマTMの常開接点TM−bを通じて+12V−1、+12V−2及び+12V−3に接続されていることにより、洗浄タイマTMがオン動作したとき当該洗浄タイマTMの限時時間T1の間同時に励磁される。
ここで洗浄タイマTMは、洗浄制御部72のケース72A上に設けられた洗浄スイッチSW11が図25(B)の時点t22においてオン操作されたとき、安全蓋制御リレーK11の常開接点K11−1aを通じてオン動作することにより、その常開接点TM−a、安全蓋制御リレーK11の常開接点K11−1aを通じて洗浄水ポンプ5A、5B及び5C用の洗浄リレーK12、K14及びK16をオン動作させる(図25(C))。
このとき図25(E)に示すように、タイマ回路TMは、洗浄水ポンプ5A、5B及び5C用の洗浄リレーK12、K14及びK16をオン動作させた洗浄モードで設定時間T1の限時動作を開始する。
その後図25(E)に示すように、タイマ回路TMが設定時間T1の限時動作を時点t23で終了すると、洗浄タイマTMの常開接点TM−aがオフ動作すると同時に常閉接点TM−bがオン動作することにより、洗浄水ポンプ5A、5B及び5C用の洗浄リレーK12、K14及びK16が非励磁となると同時に、排水ポンプ9A、9B及び9C用の排水リレーK13、K15及びK17がオン動作することにより、洗浄機構部71A、71B及び71Cを排水モードに切り換える。
洗浄・排水駆動回路86は、図26に示すように、第1、第2及び第3洗浄機構部71A、71B及び71Cに対応する第1、第2及び第3駆動回路101A、101B及び101Cを有し、当該第1、第2及び第3駆動回路101A、101B及び101Cによって第1、第2及び第3洗浄機構部71A、71B及び71Cの洗浄水ポンプ5A、5B及び5Cを駆動することにより、それぞれ洗浄液タンク6の洗浄水を洗浄水パイプ28を通じて洗浄水ノズル27から洗浄ノズル3に対して洗浄水を供給する。
また第1、第2、第3駆動回路101A、101B及び101Cは第1、第2及び第3洗浄機構部71A、71B及び71Cの排水ポンプ9A、9B及び9Cを駆動することにより、洗浄ノズル3の排水ノズル25から排水パイプ26を介して洗浄排水液を抜き取って排水タンク10に回収する。
第1、第2及び第3駆動回路101A、101B及び101Cには、第1、第2及び第3洗浄機構部71A、71B及び71Cに対する第1、第2及び第3ノズル選択スイッチSW3、SW4及びSW5が設けられ、当該第1、第2及び第3ノズル選択スイッチSW3、SW4並びにSW5が選択操作されたとき、第1、第2並びに第3洗浄機構部71A、71B並びに71Cの洗浄リレーK12の常開接点K12−1a及び排水リレーK13の常開接点K13−1a、洗浄リレーK14の常開設定K14−1a及び排水リレーK15の常開接点K15−1a並びに洗浄リレーK16の常開点K16−1a及び排水リレーK17の常開接点K17−1aを通じて洗浄水ポンプ5A、5B及び5C並びに排水ポンプ9A、9B及び9Cに駆動電源を供給するようになされている。
この実施の形態の場合、洗浄制御部72のケース72Aには、安全蓋スイッチSW12が設けられ、ケース72Aの安全蓋が閉じられたとき、安全蓋スイッチSW12がオン動作することにより、操作制御回路85の操作回路93に設けられた安全蓋制御リレーK11を励磁する。
安全蓋制御リレーK11が励磁したとき、その常開接点K11−1aを通じて洗浄タイマTMをオン動作させることにより、その常開接点TM−aをオン動作させると共に常閉接点TM−bをオフ動作させる。
洗浄タイマTMはオン動作したとき限時動作を開始し、所定の限時時間T1が経過したとき常開接点TM−aをオフ動作させると共に常閉接点TM−bをオン動作させる。
洗浄タイマTMの常開接点TM−aは安全蓋制御リレーK11の常開接点K11−2aを通じてその限時時間T1の間制御リレーK12、K14及びK16を励磁することにより当該限時時間T1の間洗浄・排水駆動回路86に設けられた常開接点K12−1a、K14−1a及びK16−1aをオン動作させることにより、洗浄水ポンプ5A、5B及び5Cを洗浄動作させる。
洗浄タイマTMの常閉接点TM−bは洗浄タイマTMが励磁動作していないとき、排水リレーK13、K15及びK17を励磁動作させ、洗浄・排水駆動回路86に設けられている常開接点K13−1a、K15−1a及びK17−1aをオン動作させることにより排水ポンプ9A、9B及び9Cを排水動作させる。
以上の構成において、ユーザがベッセル用ラック16の洗浄対象ベッセル2を洗浄処理する際には、ユーザは三連の洗浄ノズルホルダ73の支持環部材78A、78B及び78Cに3本の洗浄ノズル3を装着した状態で、1行3列分の洗浄対象ベッセル2A1、2B1、2C1(又は2A2、2B2、2C2)に挿入するように洗浄ノズルホルダ73をベッセル用ラック16に挿着し、この状態において洗浄制御部72のケース72A上に設けられている第1、第2及び第3ノズル選択スイッチSW13、SW14及びSW15をオン操作する。
この状態において、ケース72Aの安全蓋が閉じられており、その結果ケース72A内に洗浄水又は排液水が飛び込むおそれがないときには安全蓋スイッチSW12がオン動作している。
この状態において、ユーザは電源スイッチ91をオン動作させると、操作制御回路85及び洗浄・排水駆動回路86に第1、第2及び第3電源92A、92B及び92Cから電源が供給される(図25(A)の時点t21の状態)。
このとき操作制御回路85の排水リレーK13、K15及びK16が洗浄タイマTMの常閉接点TM−bを通じて励磁されることにより、洗浄・排水駆動回路86の排水ポンプ9A、9B及び9Cが排水リレーK13、K15及びK17の常開接点K13−1a、K15−1a及びK17−1aを通じて駆動されて、図25(D)に示すように排水動作をする。
これによりベッセル用ラック16に設けられている洗浄対象ベッセル2のうち1行分の洗浄対象ベッセル2A1、2B1、2C1(又は2A2、2B2、2C2)に残留している排水液が排水パイプ26を通じて第1、第2及び第3洗浄機構部71A、71B及び71Cの排水タンク10にそれぞれ排水される。
当該排水状態はユーザが目視確認できることにより、ユーザが洗浄処理をしたい時点t22においてケース72A上に設けられている洗浄スイッチSW11(図25(B))を操作すると、操作制御回路85において洗浄タイマTMが励磁されることにより、その限時時間T1の間常開接点TM−aがオン動作すると同時に常閉接点TM−bがオフ動作する。
このとき洗浄タイマTMの常開接点TM−aを通じて洗浄リレーK12、K14及びK16が励磁されることにより、洗浄・排水駆動回路86の常開接点K12−1a、K14−1a及びK16−1aがオン動作することにより、第1、第2及び第3洗浄機構部71A、71B及び71Cの洗浄水ポンプ5A、5B及び5Cが駆動する(図25(C))と同時に、排水リレーK13、K15及びK17が非励磁状態になることにより、その常開接点K13−1a、K15−1a及びK17−1aを介して排水ポンプ9A、9B及び9Cが非動作状態になる。
かくしてベッセル用ラック16の洗浄対象ベッセル2のうち、1行3列分の洗浄対象ベッセル2A1、2B1、2C1(又は2A2、2B2、2C2)が洗浄ノズル3から噴射される洗浄水によって洗浄される。
当該洗浄動作は、洗浄タイマTMの限時時間T1の間続けられ(図25(E))、やがて当該限時時間T1が時点t23において終了すると、洗浄タイマTMの常開接点TM−aがオフ動作すると同時に、常閉接点TM−bがオン動作することにより、洗浄リレーK12、K14及びK16がオフ動作し(図25(C))、かつ排水リレーK13、K15及びK17がオン動作することにより(図25(D))、第1、第2及び第3洗浄機構部71A、71B及び71Cの排水ポンプ9A、9B及び9Cが排水動作をする。
ここで、洗浄タイマTMは、図25(E)に示すように、限時時間T1の限時動作を終了した時、限時動作終了表示d1を点灯することにより、ユーザに知らせる。
このとき洗浄水ポンプ5Aは、洗浄リレーK12、K14及びK16はがオフ動作することにより洗浄水を洗浄ノズル3に供給する動作を停止する。
このような三連の洗浄ノズルホルダ73に装着された3本の洗浄ノズル3による排水動作は、ユーザが目視確認できることにより時点t24において洗浄対象ベッセル2A1、2B1、2C1(又は2A2、2B2、2C2)において排水液が無くなったことを確認することにより、当該3本の洗浄対象ベッセルの1回の洗浄動作を終了する。
この実施の形態の場合時点t24において1回分の洗浄排水動作を終了したとき、例えば時点t24においてユーザが洗浄スイッチSW11を操作すれば、洗浄タイマTMが新たに限時時間T1の限時動作を開始し、これにより洗浄水ポンプ5A、5B及び5Cが洗浄動作をする(図25(C))と共に、排水ポンプ9A、9B及び9Cがその排水動作を停止する(図25(D))。
この状態において限時時間T1の間(t24〜t25)にケース27Aの安全蓋を開いて安全蓋スイッチSW12をオフ動作させると(図25(G))、安全扉制御リレーK11が非励磁になることにより、その常開接点K11−2aがオフ動作することにより洗浄リレーK12、K14及びK16がオフ動作することによって洗浄水ポンプ5A、5B及び5Cが洗浄動作を停止する(図25(C))。
このとき当該限時時間T1の間に安全蓋が閉められると、その時点において安全蓋制御リレーK11が励磁することにより、その常開接点K11−2aが閉じることによって洗浄水ポンプ5A、5B及び5Cによる洗浄動作を続ける。
このときユーザが洗浄スイッチSW11を操作しても(図25(B))、当該洗浄スイッチSW11への操作が無視されて洗浄水ポンプ5A、5B及び5C(図25(C))及び排水ポンプ9A、9B及び9Cの排水動作(図25(D))に影響を与えないようになされている。
かくして、洗浄水ポンプ5A、5B及び5Cによる洗浄動作をしている間に不用意に安全蓋が開けられたとしても、洗浄水ポンプが停止することにより洗浄水が不用意に飛び散るような不都合を有効に防止することができる。
またこの実施の形態の場合、時点t25〜t26間の動作として示すように、排水動作をしている(図25(D))間にノズル選択スイッチSW3、SW4又はSW5をオフ動作させ(図25(F))たとき、又は時点t26〜t27について洗浄タイマTMが励磁動作をすることにより洗浄水ポンプ5A〜5Cをオン動作させている間に、ノズル選択スイッチSW3、SW4又はSW5をオフ動作させる(図25(F))と、洗浄・排水駆動回路86において第1、第2又は第3洗浄機構71A、71B又は71Cの洗浄水ポンプ5A〜5C及び排水ポンプ9A〜9Cを停止動作させる(図25(D)及び図25(C))。
これにより、ノズル選択スイッチSW3、SW4、SW5の選択の仕方によって、洗浄処理が必要ではない洗浄対象ベッセル2を除いた他の洗浄対象ベッセルの洗浄処理を簡便に選択しながら洗浄処理を実行できる。
またこの実施の形態の場合、時点t27以降の時点t28において、安全蓋スイッチSW12がオフ動作している状態(従って安全蓋が開いた状態)において、ユーザが洗浄スイッチSW11を押圧操作すると(図25(B))、操作制御回路85において安全蓋制御リレーK11の常開設点K11−2aがオフ動作することにより、洗浄リレーK12、K14及びK16が非励磁状態を維持するのに対して、排水リレーK13、K15及びK17は洗浄タイマTMの常閉接点TM−bを通じて励磁状態を維持することにより、洗浄水ポンプ5A〜5Cは洗浄動作をしないのに対して、排水ポンプ9A〜9Cは引き続き排水動作をする。
かくして、不用意に安全蓋を開いても噴射圧及び噴射量が大きい洗浄水が供給されない状態になっているので、不用意にケース72A内の電子回路に洗浄水をかけないようにできる。
かくして、すべての処理動作が行われたので、時点t29において電源スイッチ91をオフ動作する(図25(A))ことにより、すべての洗浄水ポンプ5A〜5C及び排水ポンプ9A〜9Cを停止動作させた休止状態にできる。
かくしてユーザは三連の洗浄ノズルホルダ73によって保持された3本の洗浄ノズル3によって、ベッセル用ラック16に設けられた洗浄対象ベッセル2A1〜2C1(又は2A2〜2C2)を3本ずつ処理できることにより、効率良く製剤溶出試験装置15の洗浄を行うことができる。
かくするにつき、ユーザが洗浄処理操作をするときは、洗浄対象となる洗浄対象ベッセルを目視確認しながら手動で簡便にかつ安全に作業を行うことができる。
(5−2)図27及び図28は第3の実施の形態の変形例(1)及び(2)を示す。
図19の場合には、三連の洗浄ノズルホルダ73を、1列3行の洗浄対象ベッセル2A1、2B1、2C1又は2A2、2B2、2C2を横1列に配列しているものとして、これに適合するように、洗浄ノズル3を支持する支持環部材78A、78B及び78Cが横1列に配列するように、ヒンジ79を直線状に伸ばした状態で適用するようにしたが、図27及び図28の場合は、これに代えて、ヒンジ79を折り曲げるように使用することにより、2行3列に設けられている洗浄対象ベッセル2A1、2B1、2C1及び2A2、2B2、2C2のうちから互いに異なる行の3つを選択して洗浄ノズル3を挿入する。
図27の場合は、2行目右側の2つの洗浄対象ベッセル2B2及び2C2と、1行目右側の1つの洗浄対象ベッセル2C1に洗浄ノズル3を挿入する。
これに対して図28の場合は、1行目左側の2つの洗浄対象ベッセル2A1及び2B1と、2行目左側の1つの洗浄対象ベッセル2A2に洗浄ノズル3を挿入する。
図27及び図28の構成によれば、三連の洗浄ノズルホルダ73を折り曲げて使用できることにより、ユーザは必要に応じて多様な使い方をしながらベッセル用ラック16上に予め配置位置が決まっている複数の洗浄対象ベッセル2を簡便かつ効率良く洗浄処理することができるようなベッセル洗浄装置1を実現できる。
(5−3)図29及び図30は、図16〜図26について上述した第3の実施の形態における変形例(3)を示すもので、図24及び図25との対応部分に同一符号又はこれに添え字を付して示す。
上述の第3の実施の形態においては、洗浄タイマTMの限時時間T1の間洗浄対象ベッセル2を洗浄するようにしたが、図29の操作制御回路85Xは、当該洗浄タイマTMに代えて、洗浄用タイマTM1と全行程時間タイマTM2を設けた構成を有する。
これに対して、洗浄・排水駆動回路86は、図26のものを適用する。
当該全行程時間タイマTM2の限時時間T12(図30(F))は、洗浄タイマTM1が限時動作を開始することにより、洗浄水ポンプ5A〜5Cが洗浄対象ベッセル2(2A1〜2C1、又は2A2〜2C2)に洗浄水を供給している洗浄時間T11(図30(F))に対して、当該洗浄時間T11と同時に開始した後、洗浄時間T11の終了時点から洗浄対象ベッセル2に供給された洗浄水を排水ポンプ9A〜9Cによって排水し終わるまでの時間(これを全行程時間と呼ぶ)に選定されている。
この図29の実施の形態の場合、操作制御回路85Xは、図24の操作制御回路85の対応部分に同一符号を付して示すように、洗浄スイッチSW11がオン操作されたとき、安全蓋スイッチSW12によってオン動作する安全蓋制御リレーK11の常開接点K11−1a、全行程時間タイマTM2の常開接点TM2−2bを介して洗浄タイマTM1が励磁されると共に、当該励磁状態を洗浄タイマTM1の常開接点TM1−1aを介して自己保持するようになされている。
洗浄タイマTM1が励磁状態になったとき、その切換接点TM1−2cがその常開接点aを通じ、さらに安全蓋制御リレーK11の常開接点K11−2aを通じて、洗浄リレーK12、K14及びK16を励磁することにより洗浄水ポンプ5A〜5Cを駆動するようになされていると共に、洗浄タイマTM1が非励磁になってその切換接点TM1−2cが常閉接点b側に切り換えられたとき、排水リレーK13、K15及びK17を励磁することにより排水ポンプ9A〜9Cを駆動するようになされている。
全行程時間タイマTM2は洗浄タイマTM1の切換接点TM1−2cの常開接点aに接続され、かくして洗浄タイマTM1が励磁されて洗浄水ポンプ5A〜5Cが駆動されたとき、全行程時間タイマTM2が励磁されると共に、その常開接点TM2−1aによって当該励磁状態に自己保持される。
かくして全行程時間タイマTM2は洗浄タイマTM1が励磁されたときこれと同時に励磁され、この励磁状態を自己保持するようになされている。
この実施の形態の場合の操作制御回路85Xは、図26について上述した洗浄・排水駆動回路86を用いて、図30に示す操作手順に従って、第1、第2及び第3洗浄機構部71A、71B及び71Cを駆動制御する。
時点t31において、ユーザが電源スイッチ91をオン動作させることにより第1、第2及び第3電源92A、92B及び92Cをオン動作させたとき(図30(A))、洗浄タイマTM1の切換接点TM1−2cの常閉接点bを通じて排水リレーK13、K15及びK17が励磁される(図30(D))ことにより、第1、第2及び第3駆動回路101A、101B及び101Cの排水ポンプ9A、9B及び9Cをオン動作させる。
かくして洗浄対象ベッセル2(2A1〜2C1、又は2A2〜2C2)の残留液が排水された状態において、ユーザが時点t32において洗浄スイッチSW11をオン動作させると(図30(B))、このとき安全蓋スイッチSW12がオン動作している(図30(H))ことにより安全蓋制御リレーK11が励磁した状態にあるので、その常開接点K11−1a、全行程時間タイマTM2の常閉接点TM2−2bを通じて洗浄タイマTM1の限時時間T11の限時動作を開始し(図30(E))、当該励磁状態がその常開接点TM1−1aを通じてその限時時間T11の間自己保持される。
このとき洗浄タイマTM1の切換接点TM1−2cが常開接点a側に切り換わることにより、安全蓋リレーK11の常開接点K11−2aを通じて洗浄リレーK12、K14及びK16が励磁される(図30(C))。
これにより第1、第2及び第3洗浄機構部71A、71B及び71Cの洗浄水ポンプ5A、5B及び5Cが洗浄ノズル3に対して洗浄水を供給することにより洗浄時間T11が経過する時点t33まで洗浄処理をする。
このとき、全行程時間タイマTM2が洗浄タイマTM1の切換接点TM1−2cの常開接点aを通じて励磁され、洗浄タイマTM1の限時時間T11より長い全行程時間T12が経過する時点t35まで自己保持状態を維持する。
かくして時点t33において洗浄タイマTM1の限時時間T11が経過してその常開接点TM1−1aがオフ動作すると、洗浄タイマTM1の自己保持状態が解除されることにより、その切換接点TM1−2cが常閉接点b側に切り換わって、当該時点t33から排水リレーK13、K15及びK17が励磁状態になる。
これにより時点t33が過ぎた後、時点t35において全行程時間タイマTM2の限時時間T12が経過した後も、排水リレーK13、K15及びK17の励磁状態が維持されることにより、第1、第2及び第3洗浄機構部71A、71B及び71Cの排水ポンプ9A、9B及び9Cが排水動作を続ける。
これにより洗浄対象ベッセルに残った洗浄水がほぼ完全に排水される。
この排水動作において、洗浄時間T11が終了した時点t33から全行程時間T12が終了する時点t35間の時点t34において洗浄スイッチSW11が操作されても(図30(B))、全行程時間タイマTM2の常閉接点TM2−2bがオフ動作していることにより、洗浄タイマTM1がオン動作しないので、洗浄動作を開始せずに排水動作を続ける(図30(C)及び(D))。
これにより全行程時間T12が終了するまでの間の排水動作が確保されることにより、洗浄対象ベッセル2に過剰な洗浄水を供給させないようにできる。
これに対して全行程時間T12が終了した時点t35においては、全行程時間タイマTM2の常開接点TM2−1aがオフ動作して全行程時間タイマTM2の自己保持が解除されることにより、その後の任意の時点t36において洗浄スイッチSW11が操作されると、このときオン動作状態に復帰した全行程時間タイマTM2の常閉接点TM2−2bを通じて洗浄タイマTM1が励磁されると共に、その常開接点TM1−1aによって自己保持されることにより、再度洗浄時間T11の限時動作が開始する(図30(E))。このとき、その切換接点TM1−2cを通じて全行程時間タイマTM2が励磁されると共に、その常開接点TM2−1aによって自己保持されることにより、再度洗浄動作を開始する(図30(C))と共に、排水動作を停止させる(図30(D))動作を繰り返す。
この洗浄・排水動作時において、例えば時点t37〜t38の間に安全蓋スイッチSW12がオフ動作したとすると(図30(H))、当該オフ動作をしている間(t37〜t38)の間、安全蓋制御リレーK11側がオフ動作して、その常開接点K11−2aがオフ動作すると共に、洗浄リレーK12、K14及びK16が非励磁状態になることにより、洗浄動作を停止する。
このとき安全蓋スイッチSW12が時点t38においてオン動作に復帰すると、安全蓋制御リレーK11の常開接点K11−2aが直ちにオン動作に復帰することにより洗浄リレーK12、K14及びK16による洗浄動作が復帰される。
その後の時点t39においてユーザが洗浄スイッチSW11を操作すると(図30(B))、洗浄タイマTM1はその常開接点TM1−1aによって自己保持していてその切換接点TM1−2cが常開接点a側に切り換わった状態を維持していることにより、洗浄動作を維持すると共に排水動作をしない状態を維持する。
かくして、洗浄制御部72のケース72Aの蓋が洗浄動作時に誤って開かれたとしても、当該安全蓋が閉じられるまで洗浄動作を停止することにより洗浄ノズル3による洗浄水がケース72A内に飛散するおそれを有効に回避し得る。
この場合もt40において洗浄時間T11が終了すると洗浄動作を停止し(図30(C))、全行程時間T12における排水動作を開始する(図30(D))。
この排水動作期間t40〜t43内の時点t41〜t42において、第1、第2及び第3ノズル選択スイッチSW3、SW4、SW5がオフ操作されると(図30(G))、当該オフ操作された系統の排水ポンプ9A、9B、9Cが排水動作を停止する(図30(D))。
同じように、その後の洗浄スイッチSW11の操作動作期間(t44〜t48)について示すように、洗浄時間T11において第1、第2及び第3ノズル選択スイッチSW3、SW4及びSW5のいずれかが時点t45〜t46の間にオフ操作されたとき(図30(G))、対応する洗浄水ポンプ5A、5B、5Cがオフ動作する(図30(C))。
このようにして洗浄動作時又は排水動作時に第1、第2、第3の選択スイッチSW3、SW4、SW5のいずれかがオフ操作されたときには、対応する洗浄水ポンプ5A、5B、5C又は排水ポンプ9A、9B、9Cが停止することにより、第1、第2及び第3の洗浄機構部71A、71B、71Cのいずれか1つをユーザが洗浄処理を停止させたい場合には、これに確実に応動動作させることができる。
ユーザが時点t51において電源スイッチ91をオフ動作させることにより、第1、第2及び第3電源92A、92B及び92Cをオフ動作させれば、操作制御回路85X及び洗浄・排水駆動回路86の洗浄操作がすべて停止する。
ここで、洗浄タイマTM1は、図30(E)に示すように、限時時間T11の限時動作を終了した時、限時動作終了表示d11を点灯することにより、ユーザに知らせる。
また、全行程時間タイマTM2は、図30(F)に示すように、限時時間T12の限時動作を終了した時、限時動作終了表示d12を点灯することにより、ユーザに知らせる。
これによりユーザは、洗浄水ポンプ5A〜5Cが洗浄動作をすることにより洗浄機構部71A〜71Cが洗浄動作を行っていることを目視確認できると共に、限時動作終了表示d11が点灯したことを目視することにより洗浄機構部71A〜71Cが排水動作に切り換わったことを確認でき、その後限時動作表示d12が点灯したことを目視することにより洗浄機構部71A〜71Cが引き続き排水動作を行っていることを確認できる。
かくしてユーザは、各洗浄機構部71A〜71Cを処理動作状態を的確に把握しながら、ベッセル洗浄装置1を全体として安全に手動で洗浄処理を行うことができる。
図29及び図30の構成によれば、洗浄タイマTM1の限時時間T11の間、原則として洗浄動作を行うと共に、当該洗浄タイマTM1の限時動作が終了した後全行程時間タイマTM2の限時時間T12の間排水動作を維持するようにしたことにより、ベッセル用ラック16の6個の洗浄対象ベッセル2に対して十分な洗浄水による洗浄と、当該洗浄後の排液の排水と、ユーザが目視確認しながら簡便に、かつ確実に洗浄操作を行うことができるようなベッセル洗浄装置を実現できる。
(6)第4の実施の形態
(6−1)図31は第4の実施の形態を示すもので、図16の第3の実施の形態との対応部分に同一符号を付して示すように、図16の場合の3つの洗浄機構部71A〜71Cのうちの1つ、例えば第1洗浄機構部71Aと同様の構成を有する。
この場合の洗浄ノズルホルダ71Aは図32及び図33に示すように、図18の洗浄ノズルホルダ73のうちの第1支持板74(図20)と同様の構成の支持板74Aの支持環部材78Aによって、1本の洗浄ノズル3を支持している。
かくしてユーザは、図17について上述したベッセル用ラック16に設けられた6個の洗浄対象ベッセル2について、図34に示すように、洗浄ノズルホルダ73Aの把持部材80Aによって2行3列に設けられた6個の洗浄対象ベッセル2A1、2B1、2C1及び2A2、2B2、2C2に1本ずつ洗浄ノズル3を装着して洗浄操作をする。
この実施の形態の場合の操作制御回路85Y及び洗浄・排水駆動回路86Yは、図35及び図36に示すように、図24及び図26について上述した操作制御回路85及び洗浄・排水駆動回路86のうち、1つのノズル選択スイッチに対応する1系統分の洗浄水ポンプ及び排水ポンプ、例えば第1ノズル選択スイッチSW3に対応する洗浄水ポンプ5A及び排水ポンプ9Aを駆動制御する構成を有する。
かくして、操作制御回路85Y及び洗浄・排水駆動回路86Yは、図37に示す操作手順に従って、6個の洗浄対象ベッセル2A1〜2C2を、ユーザが1つずつ洗浄処理するような操作を実行する。
図37の操作手順は、図25の操作手順のうち、図25(F)に示すような第1〜第3ノズル選択スイッチSW3〜SW5についての操作を除いて(ノズル選択スイッチは設けられていないので)、時点t21〜t29の操作と同様の操作を行う。
すなわち、ユーザが時点t21において第1電源92Aをオン動作させた状態において(図37(A))、時点t22において洗浄スイッチSW11をユーザがオン操作することにより(図37(B))、洗浄リレーK12をオン動作させる(図37(C))と共に、洗浄タイマTMの限時動作を開始させ(図37(E))、洗浄水ポンプ5Aを洗浄動作させる(図36)。
そして洗浄タイマTMが時点t23において限時動作を終了したとき(図37(E))、洗浄リレーK12(図37(C))をオフ動作させると共に、排水リレーK13(図37(D))をオン動作させることにより、排水ポンプ9A(図36)を排水動作させる。
この状態はその後の時点t24においてユーザが新たに洗浄スイッチSW11をオン動作させる(図37(B))まで維持され、当該操作時点t24から新たな洗浄動作が開始される。
ユーザは、図37の時点t24〜t29の操作手順について、図25の時点t24〜t29の操作手順と同じように、洗浄操作を行う。
かくして操作制御回路85Y及び洗浄・排水駆動回路86Yによって、1系統分の洗浄ノズルホルダ73Aに保持された洗浄ノズル3によって洗浄対象ベッセル2を1つずつ洗浄処理することができる。
以上の構成によれば、洗浄タイマTMを用いてユーザが手動操作によって洗浄対象ノズルを1つずつ洗浄できることにより、複数例えば6個の洗浄対象ベッセル2が設けられたベッセル用ラック16を簡便な操作で確実に洗浄することができるベッセル洗浄装置1を実現できる。
(6−2)図38は図31〜図37について上述した第4の実施の形態の変形例を示すもので、図29との対応部分に同一符号及びこれに添え字を付して示す。
図38の操作制御回路85Zは、図31〜図37について上述した第4の実施の形態のうち、図35の操作制御回路85Yと置き換えると共に、図36の洗浄・排水駆動回路81Yと組み合わせて使用する。
図38の操作制御回路85Zは、図29の操作制御回路85Xが三連の洗浄ノズルホルダによって3つの洗浄ノズルを用いて洗浄処理する場合に適用されるものであるのに対して、図32の一連の洗浄ノズルホルダ73Aを用いて洗浄処理を行う際に、図29の場合と同様に、洗浄タイマTM1と全行程時間タイマTM2とによって洗浄リレーK12と排水リレーK13と制御する。
この洗浄リレーK12及び排水リレーK13の制御は、図29の操作制御回路85Xにおける3つの洗浄リレーK12、K14及びK16のうちの1つ、すなわち洗浄リレーK12だけを残し、また3つの排水リレーK13、K15及びK17のうちの1つの排水リレーK13だけを残した構成を有する。
かくして操作制御回路85Zは、図30との対応部分に同一符号を付して図39に示すように、図30の操作手順のうち、ノズル選択スイッチSW3、SW4、SW5の操作(図30(G))に関する操作を除いて、他の操作を図30の場合と同様に実行する。
すなわち、ユーザが時点t32において洗浄スイッチSW11を操作することにより(図39(B))洗浄リレーK12をオン動作させる(図39(C))と共に、排水リレーK13をオフ動作させ(図39(D))、洗浄タイマTM1の限時時間T1が終了した時点t33(図39(E))において洗浄リレーK12をオフ動作させると共に、排水リレーK13をオン動作させ、これにより洗浄時間T1の間に洗浄水ポンプ5Aによって洗浄した後、全行程時間T2の残りの時間によって排水ポンプ9Aに基づく排水処理を行う。
また全行程時間タイマTM2の限時時間T2が終了した時点t35(図39(F))の後の時点t36においてユーザが洗浄スイッチSW11を操作したとき、新たに洗浄リレーK12をオン動作させると共に排水リレーK13をオフ動作させることにより新たな洗浄処理を開始したとき、洗浄時間T1の間の時点t36〜t38において安全蓋スイッチSW12がオフ動作したとき(図39(H))その間だけ洗浄リレーK12をオフ動作させることにより、安全蓋が開いた状態で洗浄水がケース72A内に浸水しないようにする。
またその後の洗浄処理は、時点t44〜t48に示すように、洗浄動作時にユーザが洗浄スイッチSW11を操作することにより洗浄時間T1ないし全行程時間T2の間に洗浄水ポンプ5Aによる洗浄及び排水ポンプ9Aによる排水を安全に行う。
図38及び図39の構成によれば、一連の洗浄ノズルホルダ73Aに装着された1本の洗浄ノズル3によって、洗浄対象ベッセル2を、洗浄タイマTM1及び全行程時間タイマTM2を用いたユーザの手動操作によって確実かつ簡便に洗浄処理することができる。