JP2016186040A - 熱可塑性エラストマー組成物、成形体及びエアバッグ収納カバー - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物、成形体及びエアバッグ収納カバー Download PDF

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Abstract

【課題】無塗装のエアバッグ収納カバーとして満足される外観、射出成形性、低温耐衝撃性等に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量に対し、成分(A)の含有量が20〜60重量%、成分(B)の含有量が30〜50重量%、成分(C)の含有量が10〜30重量%であり、かつ[成分(B)の重量]/[成分(C)の重量]が1.3〜5.0である組成物を下記成分(D)の存在下で動的熱処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):ポリプロピレン系樹脂
成分(B):油展前ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が50〜150である油展エチレン−α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
成分(C):ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が50〜100である非油展エチレン−α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム成分(D):有機過酸化物
【選択図】なし

Description

本発明は、外観、射出成形性、低温耐衝撃性等に優れた熱可塑性エラストマー組成物に関する。また、本発明は、この熱可塑性エラストマー組成物を用いて得られる成形体及びエアバッグ収納カバーに関するものである。
自動車用エアバッグシステムは自動車等の衝突の際に運転手や搭乗者を保護するシステムであり、衝突の際の衝撃を感知する装置とエアバッグ装置とからなる。このエアバッグ装置は、ステアリングホイール、助手席前方のインストルメントパネル、運転席及び助手席のシート、フロント及びサイドピラー等に設置される。
エアバッグ装置におけるエアバッグ収納カバーは、エアバッグ膨脹時にそれを収納しているカバーの破壊による破片の飛散やカバー取り付け部の破壊によるカバーの飛散が懸念される。このため、カバーが異常な破壊をして飛散するのを防止することを目的として、その構造や材質において種々の提案がなされている。エアバッグ収納カバーの主要な材料の1つとして、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が用いられている。
エアバッグ収納カバー向けのオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物として、例えば、特許文献1において、ポリプロピレン系樹脂、エチレン・プロピレン共重合体ゴム及びエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム、油展エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム及び高級脂肪酸アミドを特定量含む組成物を有機過酸化物及び架橋助剤の存在下で動的熱処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。また、特許文献2において、ポリプロピレン系樹脂、油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム及びエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを架橋剤の存在下で動的熱処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。また、特許文献3において、ポリプロピレン系樹脂及びエチレン単位の含有量が異なる2種のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを特定量含む熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。また、特許文献4において、ポリプロピレン系樹脂及びヨウ素価が異なる2種のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを特定量含む熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。更に、特許文献5において、プロピレン系樹脂、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、鉱物油軟化剤からなる熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。
特開平11−208404号公報 特開2006−282992号公報 特開2007−284669号公報 特開2007−332351号公報 特開2012−224837号公報
本発明者らの詳細な検討によれば、特許文献1〜5に記載されているような樹脂組成物においては、エアバッグ収納カバーのような成形体としたときの外観、特にエアバッグ収納カバーのティアライン部(エアバッグ展開時にエアバッグカバーを開裂させるために設
けられたエアバッグカバーの薄肉部)の表面意匠側に艶むらが発生するため外観性に乏し
く、意匠性向上のためには塗装工程が必須であった。また、ティアライン部以外でエアバッグカバーが開裂・飛散しないように、特に寒冷地での使用にも耐えうるように高い低温衝撃性の両立が求められるが、本発明者らの詳細な検討によれば、前記特許文献1〜5に記載されているような従来のエアバッグ収納カバー向けの材料においては外観と低温耐衝撃性の両立が不十分であることが見出された。
本発明は上記のような従来技術の問題を鑑みてなされたものである。即ち、本発明の課題は、無塗装のエアバッグ収納カバーとして満足される外観、射出成形性、低温耐衝撃性、エアバッグ収納カバーとしたときの展開性能などに優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供すること、並びに該熱可塑性エラストマー組成物を用いて得られる成形体及びエアバッグ収納カバーを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂、特定の油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体及び非油展エチレン・α−オレフィン共重合体を特定量で含む組成物を有機過酸化物の存在下で動的熱処理してなる熱可塑性エラストマー組成物が、無塗装エアバッグ収納カバーでも満足できるほどの外観、射出成形性、低温耐衝撃性、エアバッグ収納カバーとしたときの展開性能等に優れることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[12]に存する。
[1] 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量に対し、成分(A)の含有量が20〜60重量%、成分(B)の含有量が30〜50重量%、成分(C)の含有量が10〜30重量%であり、かつ[成分(B)の重量]/[成分(C)の重量]が1.3〜5.0である組成物を下記成分(D)の存在下で動的熱処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):ポリプロピレン系樹脂
成分(B):油展前ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が50〜150である油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
成分(C):ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が50〜100である非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
成分(D):有機過酸化物
[2] 210℃、せん断速度1216s−1での溶融粘度が120Pa・s以下である、[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[3] 成形体としたときの光沢度が25%未満である、[1]又は[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[4] 成分(A)のメルトフローレート(230℃、21.18N)が10〜100g/10分である、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[5] 下記成分(E)を含み、かつその含有量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、0.1〜30重量部である、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
成分(E):炭化水素系ゴム用軟化剤
[6] 下記成分(F)の存在下で動的熱処理したものである、 [1]乃至[5]のい
ずれか1つに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
成分(F):架橋助剤
[7] [1]乃至[6]のいずれか1つに記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
[8] 射出成形してなる、[7]に記載の成形体。
[9] [1]乃至[6]のいずれか1つに記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるエアバッグ収納カバー。
[10] 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を下記成分(D)の存在下で動的熱処理する熱可塑性エラストマー組成物の製造方法であり、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量に対して成分(A)20〜60重量%、成分(B)30〜50重量%、成分(C)10〜30重量%を原料として用い、かつ[成分(B)の重量]/[成分(C)の重量]を1.3〜5.0とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
成分(A):ポリプロピレン系樹脂
成分(B):油展前ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が50〜150である油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
成分(C):ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が50〜100である非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
成分(D):有機過酸化物
[11] 下記成分(E)を原料として用い、かつその使用量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して0.1〜30重量部である、[10]に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
成分(E):炭化水素系ゴム用軟化剤
[12] 下記成分(F)の存在下で動的熱処理を行う、[10]又は[11]に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
成分(F):架橋助剤
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、外観、射出成形性、低温耐衝撃性等に優れたものである。このため、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、通常の射出成形機を用いて成形を行うことができ、エアバッグ収納カバーに好適であり、特に、エアバッグ収納カバーとしたときに塗装工程を行う必要がなく、また、エアバッグの展開性能に優れた有用なものである。
実施例において、成形外観を評価するための成形体の模式図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本発明において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
〔熱可塑性エラストマー組成物〕
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含み、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量に対し、成分(A)の含有量が20〜60重量%、成分(B)の含有量が30〜50重量%、成分(C)の含有量が1
0〜30重量%であり、かつ[成分(B)の重量]/[成分(C)の重量]が1.3〜5.0である組成物を下記成分(D)の存在下で動的熱処理して得られるものである。
成分(A):ポリプロピレン系樹脂
成分(B):油展前ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が50〜150である油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
成分(C):ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が50〜100である非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
成分(D):有機過酸化物
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、外観、射出成形性、低温耐衝撃性に優れるという効果を奏する。本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては成分(A)、成分(B)と成分(C)を含むものであるが、成分(A)により射出成形性と剛性を向上させ、成分(B)により溶融粘度を下げることで外観と射出成形性を向上させ、また、成分(C)により外観と低温耐衝撃性を向上させている。特に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(B)と成分(C)とを特定の重量比で含むことにより、溶融粘度と低温耐衝撃性のバランスが更に良好なものとなり、また、この組成物を成分(D)の存在下で動的熱処理することにより溶融粘度と表面の光沢度が良好となることで、低温耐衝撃性を損なわずに、特に外観、射出成形性が良好になるものと考えられる。
なお、本発明において、「エアバッグ収納カバー」とは、エアバッグを収納する容器全般を意味するものであり、例えば、エアバッグが収納されている容器において、エアバッグが展開する際の開口部、又はこの開口部と一体となっている容器全体が該当するものである。
<成分(A)>
本発明に用いる成分(A)のポリプロピレン系樹脂は、全単量体単位に対するプロピレン単位の含有量が50重量%よりも多いポリオレフィン樹脂である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、成分(A)は射出成形性、剛性に寄与する。
成分(A)のポリプロピレン系樹脂としては、その種類は特に制限ざれず、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体等のいずれも使用することができる。これらの中でもプロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体が好ましく、プロピレンランダム共重合体が特に好ましい。また、これらのうちの1種を用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(A)がプロピレンランダム共重合体である場合、プロピレンと共重合する単量体としては、エチレン、1−ブテン、2−メチルプロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等を例示することができる。また、成分(A)がプロピレンブロック共重合体である場合、例えば、多段階で重合して得られるプロピレンブロック共重合体が挙げられ、より具体的には、第一段階でポリプロピレンを重合し、第二段階でプロピレン・エチレン共重合体を重合して得られるプロピレンブロック共重合体等が挙げられる。
成分(A)のポリプロピレン系樹脂におけるプロピレン単位の含有量は、好ましくは60重量%以上であり、より好ましくは75重量%以上であり、更に好ましくは90重量%以上である。プロピレン単位の含有量が上記下限値以上であることにより、耐熱性及び剛性が良好となる傾向にある。一方、上限については特に制限されず、通常、100重量%である。なお、ポリプロピレン系樹脂のプロピレン単位の含有量は、赤外分光法により求めることができる。
成分(A)の230℃、荷重21.18Nでのメルトフローレート(MFR)は通常、0.5g/10分以上であり、流動性、外観の観点から好ましくは10g/10分以上、より好ましくは20g/10分以上であり、更に好ましくは30g/10分以上である。一方、成分(A)のMFRは通常、100g/10分以下であり、成形性、低温衝撃性の観点から、好ましくは80g/10分以下であり、より好ましくは70g/10分以下である。
成分(A)のプロピレン系樹脂の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒を用いた重合法をあげることができる。この重合法には、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等を用いることができ、これらを2種以上組み合わせて製造してもよい。
また、成分(A)のプロピレン系樹脂は市販の該当品を用いることも可能である。市販のポリプロピレン系樹脂としては下記に挙げる製造者等から調達可能であり、適宜選択することができる。入手可能な市販品としては、プライムポリマー社のPrim Polypro(登録商標)、住友化学社の住友ノーブレン(登録商標)、サンアロマー社のポリプロピレンブロックコポリマー、日本ポリプロ社のノバテック(登録商標)PP、LyondellBasell社のMoplen(登録商標)、ExxonMobil社のExxonMobil PP、Formosa Plastics社のFormolene(登録商標)、Borealis社のBorealis PP、LG Chemical社のSEETEC PP、A.Schulman社のASI POLYPROPYLENE、INEOS Olefins&Polymers社のINEOS PP、Braskem社のBraskem PP、SAMSUNG TOTAL PETROCHEMICALS社のSumsung Total、Sabic社のSabic(登録商標)PP、TOTAL PETROCHEMICALS社のTOTAL PETROCHEMICALS Polypropylene、SK社のYUPLENE(登録商標)等がある。
<成分(B)>
本発明に用いる成分(B)の油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは油展前ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が50〜150であるものである。また、本発明において「油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体」とはエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと炭化水素系ゴム用軟化剤との混合物であり、本発明の熱可塑性エラストマー組成物はこの成分(B)として、成分(A)及び/又は成分(C)と混合する前に予めエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと炭化水素系ゴム用軟化剤とを混合したものを用いるものである。成分(B)を用いることにより、外観を良好なものとすることができる。以下、成分(B)の油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムにおけるエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと炭化水素系ゴム用軟化剤についてそれぞれ説明する。
成分(B)におけるエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムにおけるα−オレフィン単位としては、プロピレン単位、1−ブテン単位、3−メチル−1−ブテン単位、1−ペンテン単位、4−メチル−1−ペンテン単位、1−ヘキセン単位、4−メチル−1−ヘキセン単位、1−ヘプテン単位、1−オクテン単位、1−デセン単位等が挙げられる。これらの中でもプロピレン単位、1−ブテン単位、1−ヘキセン単位が好ましい。なお、以上に挙げたα−オレフィン単位は1種のみで含まれていても2種以上が含まれていてもよい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムにおける非共役ジエン単位としては、ジシクロペンタジエン単位、1,4−ヘキサジエン単位、シクロオクタジエン単位、メチレンノルボルネン単位、エチリデンノルボルネン単位、ビニリデンノルボルネン単
位等が挙げられる。これらの中でもエチリデンノルボルネン単位及び/又はビニリデンノルボルネン単位が含まれているとエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムに適度な架橋構造を与えることができるために好ましい。以上に挙げた非共役ジエン単位は1種のみで含まれていても2種以上が含まれていてもよい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムにおけるエチレン単位の含有量は、単量体単位の合計量に対し、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは40重量%以上であり、更に好ましくは50重量%以上であり、特に好ましくは55重量%以上であり、一方、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは80重量%以下である。エチレン単位の含有量が上記範囲であると、成分(B)が適度な柔軟性を有するものとなるために好ましい。
また、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムにおけるα−オレフィン単位の含有量は、成分(B)を構成する単量体単位の合計量に対し、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上であり、一方、好ましくは45重量%以下であり、より好ましくは35重量%以下である。α−オレフィン単位の含有量が上記範囲であると、適度な柔軟性を与えるために好ましい。
更に、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムにおける非共役ジエン単位の含有量は、成分(B)を構成する単量体単位の合計量に対し、好ましくは1重量%以上であり、好ましくは3重量%以上であり、一方、好ましくは10重量%以下であり、好ましくは8重量%以下である。非共役ジエン単位の含有量が上記下限値以上であると熱可塑性エラストマーの架橋度を高める観点から好ましく、また、上記上限値以下であると成形性の観点から好ましい。
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムにおける各構成単位の含有量は赤外分光法により求めることができる。
成分(B)の油展前ムーニー粘度(ML1+4、125℃)は50〜150以下であり、好ましくは80〜130である。成分(B)の油展前ムーニー粘度は、上記下限値以上であると熱可塑性エラストマーの外観を良好にする観点から好ましく、また、上記上限値以下であると成形性、低温耐衝撃性の観点から好ましい。
本発明において、成分(B)の油展前ムーニー粘度(ML1+4、125℃)は特開平1−103639号公報に記載されているように以下の方法により算出されるものである。即ち、以下のMLを実測し、ML(成分(B)の油展前ムーニー粘度(ML1+4、125℃))を計算値として求めることができる。
計算式: log(ML/ML)=0.0066(ΔPHR)
ML:油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムの油展前ムーニー粘度
ML:油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムのムーニー粘度
ΔPHR:エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム100重量部当たりの油展量
炭化水素系ゴム用軟化剤としては鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤等が挙げられるが、他の成分との親和性の観点から鉱物油系軟化剤が好ましい。鉱物油系軟化剤部は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子の50%以上がパラフィン系炭化水素であるものがパラフィン系オイル、全炭素原子の30〜45%がナフテン系炭化水素であるものがナフテン系オイル、全炭素原子の35%以上が芳香族系炭化水素であるものが芳香族系オイルと各々呼ばれている。これ
らの中でも、成分(B)の炭化水素系ゴム用軟化剤としてはパラフィン系オイルを用いることが好ましい。なお、炭化水素系ゴム用軟化剤は1種のみで用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(B)において、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと炭化水素系ゴム用軟化剤の含有割合は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム100重量部に対し、炭化水素系ゴム用軟化剤の含有量が、通常、10重量部以上であり、好ましくは20重量部以上であり、一方、通常、200重量部以下であり、好ましくは160重量部以下であり、より好ましくは120重量部以下である。
成分(B)の油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは、密度が、0.850g/cm以上であることが好ましく、0.860g/cm以上であることがより好ましく、一方、0.900g/cm以下であることが好ましく、0.890g/cm以下であることがより好ましい。成分(B)の密度が上記下限値以上であると加工性の観点で好ましく、一方、上記上限値以下であると柔軟性の観点で好ましい。
成分(B)の油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムを製造する方法(油展方法)としては公知の方法を用いることができる。油展方法としては、例えば、ミキシングロールやバンバリーミキサーを用い、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと炭化水素系ゴム用軟化剤を機械的に混練して油展する方法、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムに所定量の鉱物油系ゴム用軟化剤を添加し、その後スチームストリッピング等の方法により脱溶媒する方法、クラム状のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと鉱物油系ゴム用軟化剤の混合物をヘンシェルミキサー等で撹拌して含浸させる方法等が挙げられる。なお、原料として用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムの製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体等の錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等があげられる。
成分(B)の油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは市販品として入手することが可能である。例えば、JSR社製JSR EPR、三井化学社製三井EPT、住友化学社製エスプレン(登録商標)、LANXESS社製Keltan(登録商標)等から該当品を選択して使用することができる。
<成分(C)>
本発明に用いる成分(C)は、ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が50〜100である非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムである。成分(C)を用いることにより、外観、射出成形性、低温耐衝撃性を良好なものとすることができる。
成分(C)におけるα−オレフィン単位としては、プロピレン単位、1−ブテン単位、2−メチルプロピレン単位、1−ペンテン単位、3−メチル−1−ブテン単位、1−ヘキセン単位、4−メチル−1−ペンテン単位、1−オクテン単位等を例示することができる。これらの中でもα−オレフィン単位として好ましくは、炭素原子数3〜10のα−オレフィン単位であり、より好ましくは、プロピレン単位、1−ブテン単位、1−ヘキセン単位、1−オクテン単位である。α−オレフィン単位は1種のみを含むものであっても2種以上を含むものであってもよい。
成分(C)の非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムにおける非共役ジエン単位としては、ジシクロペンタジエン単位、1,4−ヘキサジエン単位、シク
ロオクタジエン単位、メチレンノルボルネン単位、エチリデンノルボルネン単位、ビニリデンノルボルネン単位等が挙げられる。これらの中でもエチリデンノルボルネン単位及び/又はビニリデンノルボルネン単位が含まれていると非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムに適度な架橋構造を与えることができるために好ましい。以上に挙げた非共役ジエン単位は1種のみで含まれていても2種以上が含まれていてもよい。
成分(C)の非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムにおいて、エチレン単位の含有量は成分(C)を構成する単量体単位の合計量に対し、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは40重量%以上であり、更に好ましくは50重量%以上であり、一方、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは80重量%以下である。エチレン単位の含有量が上記範囲であると適度な柔軟性を与えるため好ましい。
成分(C)の非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムにおいて、α−オレフィン単位の含有量は成分(C)を構成する単量体単位の合計量に対し、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上であり、一方、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下である。α−オレフィン単位の含有量が上記範囲であると適度な柔軟性を与えるために好ましい。
成分(C)の非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムにおいて、非共役ジエン単位の含有量は、成分(C)を構成する単量体単位の合計量に対し、好ましくは1重量%以上であり、好ましくは3重量%以上であり、一方、好ましくは10重量%以下であり、好ましくは8重量%以下である。非共役ジエン単位の含有量が上記下限値以上であると熱可塑性エラストーの架橋度を高める観点から好ましく、また、上記上限値以下であると成形性の観点から好ましい。
なお、非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムの各構成単位の含有量は赤外分光法により求めることができる。
成分(C)のムーニー粘度(ML1+4、125℃)は50〜100であり、好ましくは60〜95である。成分(C)のムーニー粘度(ML1+4、125℃)は、上記下限値以上であると、外観、低温衝撃性の観点で好ましく、また、上記上限値以下であると成形性の観点で好ましい。
成分(C)の非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは、密度が、0.850g/cm以上であることが好ましく、0.860g/cm以上であることがより好ましく、一方、0.900g/cm以下であることが好ましく、0.890g/cm以下であることがより好ましい。成分(C)の密度が上記下限値以上であると加工性の観点で好ましく、一方、上記上限値以下であると柔軟性の観点で好ましい。
成分(C)の非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムの製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体等の錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等があげられる。
成分(C)の非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは市販品を用いることもできる。例えば、JSR社製JSR EPR、三井化学社製三井EPT、住友化学社製エスプレン(登録商標)、LANXESS社製Keltan(登録商標)、Dow社製Nordel(登録商標)、ExxonMobil社製Vistalon(登録商標)等から該当品を選択して使用することができる。
<成分(D)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、成分(D)の有機過酸化物は動的熱処理において架橋剤として作用する。
成分(D)の有機過酸化物としては、芳香族系有機過酸化物及び脂肪族系有機過酸化物のいずれも使用することが可能である。具体的には、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のジアルキルパーオキシド類;t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類;アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド等のヒドロパーオキシド類等が挙げられる。これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。なお、以上に挙げた成分(d)の有機過酸化物は1種類のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<成分(E)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は得られる熱可塑性エラストマー組成物を軟化させ、柔軟性と弾性を増加させるとともに、得られる熱可塑性エラストマー組成物の加工性、流動性を向上させるために下記成分(E)を含むことが好ましい。
成分(E):炭化水素系ゴム用軟化剤
炭化水素系ゴム用軟化剤としては鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤等が挙げられるが、他の成分との親和性の観点から鉱物油系軟化剤が好ましい。鉱物油系軟化剤は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子の50%以上がパラフィン系炭化水素であるものがパラフィン系オイル、全炭素原子の30〜45%がナフテン系炭化水素であるものがナフテン系オイル、全炭素原子の35%以上が芳香族系炭化水素であるものが芳香族系オイルと各々呼ばれている。これらの中でも、本発明の熱可塑性エラストマー組成物はパラフィン系オイルを用いることが好ましい。なお、成分(E)の炭化水素系ゴム用軟化剤は1種のみで用いてもでも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭化水素系ゴム用軟化剤の40℃における動粘度は、20センチストークス以上であることが好ましく、50センチストークス以上であることが更に好ましく、また、一方、800センチストークス以下であることが好ましく、600センチストークス以下であるのが好ましい。また、炭化水素系ゴム用軟化剤の引火点(COC法)は、200℃以上であることが好ましく、250℃以上であるのが更に好ましい。
<成分(F)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製造する際には、前記成分(D)と共に下記成分(F)の存在下で動的熱処理を行うことが好ましい。
成分(F):架橋助剤
成分(F)の架橋助剤としては、例えば、硫黄、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベンゼン、1,3−ジフェニルグアニジン等の過酸化物用助剤;ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<配合割合>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の原料の配合割合について以下に説明する。なお、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は成分(A)〜(C)、必要に応じて成分(E)等を含む組成物を成分(D)の存在下、必要に応じて成分(F)の存在下で動的熱処理して得られるものであり、以下に説明する各成分の配合割合は動的熱処理を行う前の仕込み量を意味するものである。
成分(A)の含有量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量に対し、成形加工性の観点から20重量%以上であり、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは40重量%以上である。一方、低温耐衝撃性の観点から60重量%以下であり、好ましくは55重量%以下であり、より好ましくは50重量%以下である。成分(A)の含有量が上記下限値以上であると外観、成形性、剛性が良好となる傾向にあり、上記上限値以下であると低温衝撃性が良好となる傾向にある。
成分(B)の含有量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量に対し、外観、成形性の観点から30重量%以上であり、好ましくは33重量%以上であり、より好ましくは35重量%以上である。また、低温耐衝撃性の観点から、50重量%以下であり、好ましくは48重量%以下であり、より好ましくは45重量%以下である。成分(B)の含有量が上記下限値以上であると外観、成形性が良好となる傾向にあり、上限値以下であると低温耐衝撃性が良好となる傾向にある。
成分(C)の含有量は成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量に対して、外観、低温耐衝撃性の観点から10重量%以上であり、好ましくは11重量%以上であり、より好ましくは12重量%以上であり、更に好ましくは13重量%以上であり、一方、成形性の観点から30重量%以下であり、好ましくは25重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下である。成分(C)の含有量が上記下限値以上であると外観、低温耐衝撃性が良好となる傾向にあり、上限値以下であると成形性が良好となる傾向にある。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、[成分(B)の重量]/[成分(C)の重量]は1.3〜5.0である。[成分(B)の重量]/[成分(C)の重量]が1.3以上であると外観、流動性が優れたものになり、5.0以下であると低温耐衝撃性に優れたものになる。これらの観点から[成分(B)の重量]/[成分(C)の重量]は、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは2.0以上であり、一方、好ましくは4.0以下であり、より好ましくは3.5以下であり、更に好ましくは3.0以下である。
成分(D)の使用量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100重量部に対し、架橋反応を十分に進行させるため、好ましくは0.05重量部以上であり、より好ましくは0.1重量部以上である。一方、架橋反応を制御する観点から、好ましくは5.0重量部以下であり、より好ましくは4.0重量部以下であり、更に好ましくは3.0重量部以下である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において成分(E)の含有量は成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100重量部に対し、外観、成形性の観点から、好ましくは1重量部以上であり、より好ましくは3重量部以上であり、一方、低温耐衝撃性の観点か
ら、好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下である。
成分(F)の使用量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100重量部に対し、通常0.01〜4.0重量部の範囲で用いられ、好ましくは0.05〜3.0重量部で用いられる。上記下限値以上であると架橋助剤の使用効果が得られ、上記上限値以下であることがコスト面で好ましい。
<その他の成分>
本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物には、成分(A)〜(F)以外に本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じてその他の成分を配合することができる。
その他の成分としては例えば、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤等の各種添加物、成分(A)〜(C)以外の熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。これらは任意のものを単独又は併用して用いることができる。
充填材としては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、金属石鹸、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。充填剤を用いる場合、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して通常0.1〜50重量部で用いられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤を用いる場合には成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して通常、0.01〜3.0重量部の範囲で用いられる。
成分(A)〜(C)以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート系樹脂;ポリオレフィン樹脂(だだし、成分(A)〜(C)に該当するものを除く。)等を挙げることができる。また、成分(A)〜(C)以外の熱可塑性エラストマーとしては、例えばスチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴム等のスチレン系熱可塑性エラストマー;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリブタジエン等を挙げることができる。
<熱可塑性エラストマー組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を所定量含有する組成物を成分(D)の存在下で動的熱処理して得られるものである。また、本発明の熱可塑性エラストマーは前述の通り、成分(A)〜(C)に加えて成分(E)、その他の成分を含むことも可能であり、また、動的熱処理は成分(F)の存在下で行うこともできる。
本発明において「動的熱処理」とは成分(D)の存在下で溶融状態又は半溶融状態で混練することを意味する。この動的熱処理は、溶融混練によって行うのが好ましく、そのための混合混練装置としては、例えば非開放型バンバリーミキサー、ミキシングロール、ニーダー、二軸押出機等が用いられる。これらの中でも二軸押出機を用いることが好ましい。この二軸押出機を用いた製造方法の好ましい態様としては、複数の原料供給口を有する二軸押出機の原料供給口(ホッパー)に各成分を供給して動的熱処理を行うものである。
動的熱処理を行う際の温度は、通常80〜300℃、好ましくは100〜250℃である。また、動的熱処理を行う時間は通常0.1〜30分である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を二軸押出機により動的熱処理を行う場合においては、二軸押出機のバレル半径R(mm)、スクリュー回転数N(rpm)及び吐出量Q(kg/時)の間に下記式(1)の関係を保ちながら押出することが好ましく、下記式(2)の関係を保ちながら押出することがより好ましい。
2.6<NQ/R<22.6 (1)
3.0<NQ/R<20.0 (2)
二軸押出機のバレル半径R(mm)、スクリュー回転数N(rpm)及び吐出量Q(kg/時)との間の前記関係が上記下限値より大きいことが熱可塑性エラストマー組成物を効率的に製造するために好ましい。一方、前記関係が上記上限値より小さいことが、剪断による発熱を抑え、外観不良の原因となる異物が発生しにくくなるために好ましい。
<物性>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前述の通り、射出成形性、低温耐衝撃性、外観等に優れるものである。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は以下の各物性を満たすものであることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、JIS K7210に準拠した温度230℃、測定荷重21.18Nでのメルトフローレート(MFR)が、通常0.1g/10分以上であり、エアバッグ収納カバー成形時の流動性の観点から、好ましくは5g/10分以上であり、より好ましくは6g/10分以上であり、更に好ましくは7g/10分以上である。また、メルトフローレートは通常、100g/10分以下であり、エアバッグ収納カバー成形時のヒケやバリを防止する観点から、好ましくは60g/10分以下であり、より好ましくは40g/10分以下であり、更に好ましくは30g/10分以下、特に好ましくは20g/10分以下である。熱可塑性エラストマー組成物のMFRが上記範囲内であると、射出成形性の観点から好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、JIS K7203による曲げ弾性率が、荷重撓み性の観点から、好ましくは100MPa以上、より好ましくは150MPa以上である。また、曲げ弾性率は成型体の低温耐衝撃性の観点から、好ましくは700MPa以下であり、より好ましくは500MPa以下であり、更に好ましくは300MPa以下である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、JIS K7110による−40℃におけるアイゾット衝撃強度が50kJ/m以上の物性を有するものが好ましい。アイゾット衝撃強度が、上記範囲未満のものを用いた場合には、低温耐衝撃性が劣るためにエアバッグ収納カバーの低温展開性が低下する傾向がある。一方、本発明の熱可塑性エラストマー組成物のアイゾット衝撃強度の上限は特に制限されないが、通常150kJ/m以下である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、210℃、せん断速度1,216s−1での溶融粘度が120Pa・s以下であるものが好ましく、110Pa・s以下であるものがより好ましく、100Pa・s以下であるものが更に好ましい。溶融粘度が上記上限値以下であると、射出成形性、外観が優れたものになる傾向にある。この溶融粘度は、熱可塑性エラストマー組成物中の成分(B)の含有量が多くなるとその値が小さくなる傾向にあり、逆に成分(C)の含有量が多くなるとその値が大きくなる傾向にある。また、溶融粘
度は、熱可塑性エラストマー組成物を成分(D)の存在下で動的に熱処理することにより小さくなる。即ち、溶融粘度はこれらの条件により制御することができる。一方、溶融粘度の下限値は特に制限されないが、通常、50Pa・s以上である。本発明において、溶融粘度は、後掲の実施例に示す方法により測定することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、後掲の実施例に記載するように射出成形して得られる成形体の入射角、反射角を共に60度としたときの光沢度が25%未満であるものが好ましく、20%以下であるものがより好ましく、15%以下であるものが更に好ましい。光沢度が上記上限値未満であると、外観がより良好となる傾向にある。この光沢度は、熱可塑性エラストマー組成物中の成分(B)の含有量が多くなることにより値が小さくなる傾向にあり、逆に成分(C)の含有量が多くなることにより値が大きくなる傾向にある。また、成分(B)の油展前ムーニー粘度、及び成分(C)のムーニー粘度が高くなると値が小さく、これらのムーニー粘度が低くなると小さくなる傾向にある。更に、熱可塑性エラストマー組成物を成分(D)の存在下で動的に熱処理することにより光沢度の値が小さくなる。即ち、成分(B)と成分(C)の重量比、成分(B)と成分(C)のムーニー粘度、及び熱可塑性エラストマー組成物の動的熱処理により光沢度を制御することができる。本発明において、光沢度は、後掲の実施例に示す方法により測定されるものである。
溶融粘度及び光沢度のいずれもが上記の好ましい範囲を満たすものであると、射出成形性、外観のバランスが特に優れたものとなる。これは、本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、成分(B)と成分(C)を前述の特定の重量比で含み、更に成分(D)の存在下で動的熱処理することにより外観、成形性に影響する流動性が向上して溶融粘度を低下し、それと共に表面光沢が低く抑えられることにより艶むらが低減され、外観が向上するためであると推定される。
<成形体・用途>
上記熱可塑性エラストマー組成物を用いて、一般に、通常の射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、中空成形法、又は、必要に応じて、ガスインジェクション成形法、射出圧縮成形法、ショートショット発泡成形法等の各種成形法を用いてエアバッグ収納カバーを成形することができる。特に、エアバッグ収納カバーを射出成形する際の成形条件は以下の通りである。成形温度は一般に150〜300℃であり、好ましくは180〜280℃である。射出圧力は通常、5〜100MPaであり、好ましくは10〜80MPaである。また、金型温度は通常0〜80℃であり、好ましくは20〜60℃である。
この様にして得られたエアバッグ収納カバーは、自動車等の高速移動体が衝突事故等の際に、その衝撃や変形を感知することにより作動し、膨張展開によって乗員を保護するエアバッグシステムのエアバッグ収納カバーとして好適に用いることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は前述の効果を奏するため、エアバッグ収納カバーとして好適であり、運転席用エアバッグ収納カバーとして特に好適である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物の用途はエアバッグ収納カバーに制限されず、エアバッグ収納カバー以外の自動車部品(インストルメントパネル、ウェザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、エアダクトホース、各種パッキン類等)、土木・建材部品(止水材、目地材、窓枠等)、スポーツ用品(ゴルフクラブやテニスラケットのグリップ類等)、工業用部品(ホースチューブ、ガスケット等)、家電部品(ホース、パッキン類等)、医療用部品(医療用容器、ガスケット、パッキン等)、食品用部品(容器、パッキン等)、医療用機器部品、電線、雑貨等の広範な分野で用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
<原料>
以下の実施例・比較例で使用した原料は以下の通りである。
[成分(A)]
A−1:
プロピレン系ブロック共重合体(第1工程でプロピレン単独重合体を重合し、続いて第2工程でエチレン−プロピレン共重合体を重合して得られたもの)
MFR(JIS K7210):60g/10分(測定条件:230℃、荷重21.18N(2.16kgf))
プロピレン単独重合体の含有量:91重量%
エチレン・プロピレン共重合体の含有量:9重量%
エチレン・プロピレン共重合体におけるエチレン単位含有量:53重量%
A−2:
プロピレン・エチレンランダム共重合体
MFR(JIS K7210):30g/10分(測定条件:230℃、荷重21.18N(2.16kgf))
プロピレン単位含有量:97重量%
[成分(B)]
B−1:
油展エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム100重量部あたりパラフィン系ゴム用軟化剤40重量部を含有するもの)/JSR株式会社製EP501EC
油展前ムーニー粘度(ML1+4、125℃):105
油展後ムーニー粘度(ML1+4、125℃):57
エチレン含有量:66重量%
エチリデンノルボルネン含有量:5.5重量%
B−2:
油展エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム100重量部あたりパラフィン系ゴム用軟化剤40重量部を含有するもの)/三井化学株式会社製EPT3072EPM
油展前ムーニー粘度(ML1+4、125℃):94
油展後ムーニー粘度(ML1+4、125℃):51
エチレン単位含有量:64重量%
エチリデンノルボルネン単位含有量:5.4重量%
b−1(比較例用):
油展エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム100重量部あたりパラフィン系ゴム用軟化剤100重量部を含有するもの)/JSR株式会社製EP505EC
油展前ムーニー粘度(ML1+4、125℃):292
油展後ムーニー粘度(ML1+4、125℃):64
エチレン単位含有量:67重量%
エチリデンノルボルネン単位含有量:4.5重量%
[成分(C)]
C−1:
非油展エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム/JSR株式会社製EP57C
ムーニー粘度(ML1+4、125℃):58
エチレン単位含有量:66重量%
エチリデンノルボルネン単位含有量:4.5重量%
c−1(比較例用):
エチレン・オクテン共重合体ゴム/ダウ・ケミカル社製 Engage(登録商標)8200
MFR:5g/10分(温度190℃、測定荷重21.18N)
密度:0.870g/cm
c−2(比較例用):
エチレン・オクテン共重合体ゴム/ダウ・ケミカル社製 Engage(登録商標)8180
MFR:0.5g/10分(温度190℃、測定荷重21.18N)
密度:0.863g/cm
[成分(D)]
D−1:
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン40重量%と炭酸カルシウム60重量%の混合物/化薬アクゾ株式会社製カヤヘキサAD40C
[成分(E)]
E−1:
パラフィン系ゴム用軟化剤/出光興産株式会社製ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW90
40℃の動粘度:95.54cSt
流動点:−15℃、引火点:272℃
[成分(F)]
F−1:
和光純薬工業社製 ジビニルベンゼン(ジビニルベンゼン55重量%とエチルビニルベンゼン45重量%の混合物)
<評価方法>
以下の実施例・比較例における熱可塑性エラストマー組成物の評価方法は以下の通りである。以下の2)〜5)の測定には、インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)にて、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃にて、曲げ弾性率の試験片を厚さ4mm×幅10mm×長さ80mmとした試験片に成形し、アイゾット衝撃強度用の試験片をノッチの付いた厚さ4mm×幅12.7mm×長さ64mmとした試験片に成形し、光沢度測定用の試験片をシート(厚さ2mm×幅120mm×長さ80mm)に成形し、引張り試験の試験片はシート(厚さ2mm×幅120mm×長さ80mm)を成形した後にJIS K6251準拠(JIS−3号ダンベル
)で打ち抜いて使用した。6)の成形外観の評価には、インラインスクリュウタイプ射出成形機(住友機械社製「SE180」)にて、射出圧力80MPa、シリンダー温度240℃、金型温度60℃にて、ティア部(厚さ0.7mm)を有する箱状の成形体(図1参
照)に成形して使用した。
1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に従って、測定温度230℃、測定荷重21.18Nの条件で測定した。
2)曲げ弾性率
JIS K7203に従って、スパン間64mm、曲げ速度2mm/分の条件下で測定した。曲げ弾性率の値が高いほど剛性が優れることを示す。
3)アイゾッド衝撃強度
JIS K7110に従って、温度−40℃で測定した。破壊しなかった場合を「NB」、破壊しなかったものと破壊されたものが混在した場合を「NB−B」と表示した。アイゾッド衝撃強度の値が高いほど低温耐衝撃性及びエアバッグ収納カバーとしての展開性能に優れることを示し、「NB」であることが好ましい。
4)光沢度
光沢度計(日本電色工業株式会社製 光沢計VG−2000)を用い、入射角、反射角共に60度の条件で測定した。
5)引張試験(引張破断強さ、引張破断伸び)
JIS K6251に従ってJIS−3号ダンベル、引張速度500mm/分の条件で
、引張破断強さと引張り破断伸びを測定した。エアバッグ収納カバーとして用いるための展開性能の観点からは引張破断強さは10MPa以上であることが好ましく、引張破断伸びは600%以上であることが好ましい。
6)成形外観
射出成形体の外観を目視観察し、ティアライン部の艶むらの状態を以下の基準で評価した。
◎:非常に良好(ティアライン部に艶むらがほとんど確認されなかった。)
○:良好(ティアライン部に目立った艶むらは確認されなかった。)
△:軽不良(ティアライン部にやや目立つ艶むらが確認された。)
×:不良(ティアライン部に目立つ艶むらが確認された。)
7)溶融粘度の評価
キャピラリーレオメーター(株式会社東洋精機製作所製 キャピログラフ1D)を用い、温度210℃、せん断速度1,216sec−1の条件で、直径1mm及び長さ10mmのオリフィスから溶融した熱可塑性エラストマー組成物を押出し、熱可塑性エラストマー組成物の溶融粘度を測定した。
8)エチレン単位含有量、プロピレン単位含有量 原料として用いた成分(A)〜(C)について、赤外分光法(JASCO社製 FT/IR−60)により測定を行った。
<実施例・比較例>
[実施例1]
成分(A−1)を45重量%、成分(B−1)を40重量%、成分(C−1)を15重量%配合し、更に(A−1)、(B−1)及び(C−1)の合計100重量部に対して成分(D−1)0.3重量部(炭酸カルシウム0.18重量部を含む。)、(F−1)0.2重量部(エチルビニルベンゼン0.09重量部を含む。)、酸化防止剤としてイルガノックス(登録商標)1010を0.1重量部、黒色顔料(カーボン濃度40重量%品)1
.5重量部をヘンシェルミキサーにて1分間ブレンドした。同方向二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX30」、L/D=46、シリンダブロック数:12)を用い、供給口から表−1に記載の各原料成分を供給し、合計20kg/hの吐出にて、上流部から下流部を180〜210℃の範囲で昇温させ溶融混練を行い、ペレット化して熱可塑性エラストマー組成物を製造した。得られた熱可塑性エラストマー組成物について、前記1)〜7)の評価を実施した。得られた評価結果を表−1に示す。
[実施例2〜4及び比較例1〜8]
表−1に示したように配合組成を変更した以外は実施例1と同様にして実施し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物について、実施例1と同様の評価を実施した結果を表−1に示す。
Figure 2016186040
[評価結果]
表−1に示す通り、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に該当する実施例1〜4はいずれもエアバッグ収納カバーとしたときの展開性に適した曲げ弾性率を有し、射出成形性、低温耐衝撃性に優れ、また、光沢度が低く、成形外観に優れたものであることがわかる。
一方、比較例1は成分(D)を用いず、動的熱処理をしなかった例であるが、外観、低温耐衝撃性が共に不良であった。比較例2、3は成分(B)と成分(C)の含有量の重量比([成分(B)の重量]/[成分(C)の重量])が1.0である例であるが、比較例2は低温耐衝撃性、外観が不良であり、比較例3は外観が不良であった。比較例4は成分(B)を使用せず、これに該当しない「b−1」を用いた例であるが、外観が悪かった。比較例5、6はいずれも実施例2に対して成分(C)の非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン系共重合体ゴムの代わりにエチレン・オクテン共重合体ゴムを使用した例であるが、いずれも成形外観が悪く、特に比較例6は低温耐衝撃性も悪かった。比較例7は実施例2に対し、成分(C)の非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン系共重合体ゴムを用いずに油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン系共重合体ゴムのみを使用した例であるが、成形外観、低温耐衝撃性共に不良であった。比較例8は成分(B)を使用しなかった例であるだが、成形外観が不良であった。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は前述の効果を奏するため、エアバッグ収納カバーとして好適であり、運転席用エアバッグ収納カバーとして特に好適である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物の用途はエアバッグ収納カバーに制限されず、エアバッグ収納カバー以外の自動車部品(インストルメントパネル、ウェザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、エアダクトホース、各種パッキン類等)、土木・建材部品(止水材、目地材、窓枠等)、スポーツ用品(ゴルフクラブやテニスラケットのグリップ類等)、工業用部品(ホースチューブ、ガスケット等)、家電部品(ホース、パッキン類等)、医療用部品(医療用容器、ガスケット、パッキン等)、食品用部品(容器、パッキン等)、医療用機器部品、電線、雑貨等の広範な分野で用いることができる。

Claims (12)

  1. 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量に対し、成分(A)の含有量が20〜60重量%、成分(B)の含有量が30〜50重量%、成分(C)の含有量が10〜30重量%であり、かつ[成分(B)の重量]/[成分(C)の重量]が1.3〜5.0である組成物を下記成分(D)の存在下で動的熱処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):ポリプロピレン系樹脂
    成分(B):油展前ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が50〜150である油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
    成分(C):ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が50〜100である非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
    成分(D):有機過酸化物
  2. 210℃、せん断速度1216s−1での溶融粘度が120Pa・s以下である、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 成形体としたときの光沢度が25%未満である、請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 成分(A)のメルトフローレート(230℃、21.18N)が10〜100g/10分である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 下記成分(E)を含み、かつその含有量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、0.1〜30重量部である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(E):炭化水素系ゴム用軟化剤
  6. 下記成分(F)の存在下で動的熱処理したものである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(F):架橋助剤
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
  8. 射出成形してなる、請求項7に記載の成形体。
  9. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるエアバッグ収納カバー。
  10. 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を下記成分(D)の存在下で動的熱処理する熱可塑性エラストマー組成物の製造方法であり、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量に対して成分(A)20〜60重量%、成分(B)30〜50重量%、成分(C)10〜30重量%を原料として用い、かつ[成分(B)の重量]/[成分(C)の重量]を1.3〜5.0とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
    成分(A):ポリプロピレン系樹脂
    成分(B):油展前ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が50〜150である油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
    成分(C):ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が50〜100である非油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
    成分(D):有機過酸化物
  11. 下記成分(E)を原料として用い、かつその使用量が成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して0.1〜30重量部である、請求項10に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
    成分(E):炭化水素系ゴム用軟化剤
  12. 下記成分(F)の存在下で動的熱処理を行う、請求項10又は11に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
    成分(F):架橋助剤
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