JP2016183179A - 不眠症の治療用薬剤の遅動型剤形 - Google Patents

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Abstract

【課題】不眠症の処置用の方法および組成物の提供。
【解決手段】実質的に薬物物質が放出されないタイムラグの後で該薬物物質が放出されるよう、不眠症の処置に有用な薬物物質であるザレプロンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の放出制御剤を含むマトリックスを、脂肪酸類またはそれらのエステルもしくは塩;直鎖脂肪アルコール類;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンステアレート類;糖エステル類;ラウロイルマクロゴール−32グリセリル、ステアロイルマクロゴール−32グリセリル、ロウ状物質、リン酸カルシウム塩等で圧縮コートされた錠剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒト対象における不眠症の処置のための方法および組成物に関する。
多くの病状と症状が日周リズムの異常に関係する。不眠症はかかる症状である。しかしながら、不眠症は非常に一般的な症状である一方、多くの医師の間では、多くの人がこれらの問題を改善するのに役立つ薬理学的診療に従順であると、一般的に考えられている。
不眠症の症状を評価するときに、医師はそれらが一般に以下のカテゴリに入るとわかってきた:i)眠るまでの時間、ii)睡眠の期間、iii)睡眠の妨げられたパターン(すなわち頻繁な夜間の覚醒イベント)、およびiv)眠気および認識および運動機能の障害などの覚醒に対する残存効果(residual hangover effect)。
不眠症の初期の治療は、共通して、バルビツール酸等の中枢神経系(CNS)抑制剤を採用した。これらの化合物は、典型的には、長い半減期を有し、無気力、混乱、鬱、および翌日の残存効果(hangover effect)を含む、よく知られた副作用スペクトルを有する。さらに、慢性的な使用は、身体的および精神的の両方を含む依存の高い潜在性に関連する。
処置は、バルビツール酸および他のCNS抑制剤からベンゾジアゼピン類の鎮静−睡眠薬へ移った。このクラスの化合物は、ヒトおよび動物で睡眠のような状態に結果としてなる鎮静効果を発揮し、以前の睡眠薬に比較し大きな安全域を有する。しかしながら、多くのベンゾジアゼピン類は、特定の患者集団における有用性を制限する副作用を有する。これらの問題には、他のCNS抑制剤(とりわけアルコール)との相乗効果、繰り返し投与における耐性の発展、投与中断に続くリバウンド不眠、翌日への残存効果および精神運動機能および記憶の障害が含まれる。
より最近の不眠症の処置は、非ベンゾジアゼピン化合物を使用してきた。アンビエン(ゾルピデム)、ソナタ(ザレプロン)は認可された薬物の例である。ザレプロンは、また、N−[3−(3−シアノピラゾール[1,5−a]ピリミジン−7−イル)フェニル]−N−エチルアセトアミドとして知られ、GABA−A(γ−アミノ酪酸、タイプA)受容体複合体のベンゾジアゼピンタイプI部位に選択的に結合するピラゾロピリミジン睡眠薬である。不眠症の処置で有用な他の非ベンゾジアゼピン化合物は文献に知られ、本発明に採用されうる。
しかしながら、明らかなことは、沈静剤および他のCNSに作用する薬剤を慢性的に使用する点に関し、患者および医師の一部にいまだ逡巡があるということである。使用できる薬剤物質(drug substance)の大きな改善にもかかわらず、薬理学的治療は、それら薬物物質のみに由来する性質だけに依存できない。かかる薬物物質の製剤方法は、それらの薬効、副作用プロフィール、および最終的には、患者および医師による許容にも同様に大きな影響を与える。不眠症の市場の大きな成長潜在性を考えて、驚くことなかれ、現在の治療および改善された薬剤物質の探索に加えて、多くの会社が既存薬物物質の改善された治療の開発に注意を向けている。
ある鎮静薬は、即時放出性の剤形で、一般に入手でき、または開発中である。本分野で知られるように、即時放出性の剤型は、消化後すぐの薬物物質のバーストを与え、素早いオンセットの睡眠を誘導する。かかる剤型は眠るまでの時間の問題を解決する一方、薬物物質が長い半減期を有していなければ、長時間にわたる有効血清濃度レベルを維持するために、短い睡眠時間または夜間の頻繁な覚醒イベントを経験する患者は、睡眠を維持するため、夜間にさらなる剤型の服用を必要とするであろう。
改変された放出剤形は、薬物物質の初期のバーストを起こし、睡眠の素早いオンセットを誘導し、そして、睡眠の持続性を改善するために、長時間にわたって有効血漿濃度が維持されるよう制御されたやり方で、薬物物質を放出し続ける。このアプローチの潜在的な不利益は、患者の組織からの活性物質のクリアランスまでの時間である。有効レベルで薬物物質が依然として存在することは、覚醒時の残存効果の原因となり得る。
特定の改変された放出剤形は、米国の特許6,485,746に記載されている。この特許において、投与されると薬物物質が素早く放出され、投与後0.1から2時間以内に最大血漿濃度を与える、インビボでパルス放出プロフィールを示す鎮静−睡眠薬の剤型が記載されている。その後、第2パルスが約3から5時間で第2の最大血漿濃度を送達する前に、血漿濃度は投与後約2から4時間で最小値を通り過ぎる。最終的に、8時間後に、第2最大値の血漿濃度の20%程度を示す血漿濃度が残る。
既存の製剤および開発中の製剤は、睡眠の質の改善および残存効果の予防にのみ関係がある。出願人が知る限り、鎮静薬が患者の睡眠前の習慣に対し起こし得る問題を取り扱ったものはない。眠気の素早いオンセットと、そしてそれに付随して、読書やTV鑑賞等の睡眠前の活動を妨げることが、医師が薬剤を処方することにより躊躇させ、患者のコンプライアンスをより悪くさせ得る。
睡眠前習慣に影響する鎮静は、不眠症治療の喜ばしくない一面であり、高い割合の不眠症患者が、睡眠導入問題に不満は無く、短い睡眠時間および夜間の頻繁な覚醒イベントに悩まされているだけであることを考えれば、なおさらである。さらに、睡眠の素早いオンセットを誘導することを意図された治療に関し、顕著なプラセボ効果を示唆するエビデンスが存在する。
この領域の治療の開発において活動が増加しているにもかかわらず、延長された睡眠時間を提供し、夜間の覚醒イベントを減らし、または排除するだけでなく、患者の睡眠前活動を鎮静されずに自由に行う状態にする、就寝前に服用可能な剤形を患者に提供することへの需要が依然として存在する。
したがって、本発明は、第一の態様において、不眠症の処置に有用な薬物物質を含む剤形であって、該剤形は、タイムラグ(lag time)の後、該薬物物質を放出するよう適応されており、そのタイムラグの間は、薬物物質が放出されないか、実質的に放出されず、タイムラグが剤形の投与後少なくとも約1時間である、剤形を投与することを含む、それを必要とする患者の不眠症を処置する方法を提供する。
先行文献に記載されているある種の剤形に比較して、本発明の方法で使用される剤形は、時間依存的態様で、すなわち、予め決定されたタイムラグの後、有効薬物物質を放出するのに適応されている。予め決定されたタイムラグの後、剤形から薬物物質を即座に放出するために、pHや温度の変化のような、環境の外因性変化は何も要求されない。
より好ましくは、タイムラグは1〜4時間、よりさらに好ましくは、1から2、または2から3時間であることができる。
胃の管腔のpHは、患者が摂食か絶食の状態にあるかどうかに依存して、著しく変化し得る。したがって、信頼できる予め決定されたタイムラグを得るためには、剤形からの該薬物物質の放出は、好ましくはpH非依存性である。
好ましい組成物において、タイムラグが未決の間、放出されるいずれかの薬物物質は、薬物物質の有効血漿濃度には達しない程度の少量である。好ましくは、薬物物質の放出は、重量の10%未満、さらに具体的には5%未満、よりさらに具体的には2%未満、さらにより具体的には1%未満である。
タイムラグの終了の後、薬物物質は剤形から放出される。薬物物質は、例えば、迅速に放出され得る(即時放出)か、一定時間にわたってゆっくりと放出され得る(改変放出)。好ましくは、薬物物質は非パルス的な様式で放出され得る。したがって、薬物物質は、一様の、または持続的な速度で剤形から放出され得る。
タイムラグは、本分野で一般的に知られている溶解方法および装置を用いて、インビトロで測定され得る。米国薬局方は、いくつかのそのような方法を記載する。
本発明の特別な実施態様では、不眠症の処置に有用な薬物物質を含む剤形であって、該剤形は、タイムラグの後、該薬物物質を放出するよう適応されており、そのタイムラグの間は、薬物物質が放出されないか、実質的に放出されず、タイムラグが剤形の投与後少なくとも約1時間であり、その剤形は、1000mlの水性溶媒において、100rpmでUSP Paddle Method(タイプII装置)で測定されるとき、インビトロでの該薬物物質の制御された放出を得るように適応され、その結果、該タイムラグの間、多くて10%の薬物物質が放出される、剤形を投与することを含む、それを必要とする患者の不眠症を処置する方法を提供する。
本発明の他の特別な実施態様では、不眠症の処置に有用な薬物物質を含む剤形であって、該剤形は、タイムラグの後、該薬物物質を放出するよう適応されており、そのタイムラグの間は、薬物物質が放出されないか、実質的に放出されず、タイムラグが剤形の投与後少なくとも約1時間であり、その剤形は、1000mlの(a)0.1M HClおよびリン酸緩衝液(pH6.8)、または(b)500ml蒸留水中の0.02%ラウリル硫酸ナトリウム、または(c)精製水において、37℃、100rpmでUSP Paddle Method(タイプII装置)で測定されるとき、インビトロでの該薬物物質の制御された放出を得るように適応され、その結果、該タイムラグの間、多くて10%の薬物物質が放出される、剤形を投与することを含む、それを必要とする患者の不眠症を処置する方法を提供する。
さらに特別には、本発明の方法では、剤形は、1000mlの水性溶媒において、100rpmでUSP Paddle Method(タイプII装置)で測定されるとき、インビトロでの該薬物物質の制御された放出を得るように適応され、その結果、該タイムラグの間、多くて10%の薬物物質が放出され、少なくとも約25から60%が5時間以内に放出され、そして、少なくとも約80%が7時間後に放出される。
さらにより特別には、本発明の方法では、剤形は、1000mlの(a)0.1M HClおよびリン酸緩衝液(pH6.8)、または(b)500ml蒸留水中の0.02%ラウリル硫酸ナトリウム、または(c)精製水において、水性溶媒中、37℃、100rpmでUSP Paddle Method(タイプII装置)で測定されるとき、インビトロでの該薬物物質の制御された放出を得るように適応され、その結果、該タイムラグの間、多くて10%の薬物物質が放出され、少なくとも約25から60%が5時間以内に放出され、そして、少なくとも約80%が7時間後に放出される。
さらに、本発明は上記方法に有用な剤形を提供する。好ましくは、剤形は単位(単一成分)投与形態(unit dose)として提供される。
睡眠の待ち時間問題に対抗する薬物物質の即座のパルスを送達することにより作用する、不眠症の処置用の上市および開発中の両方の製品の見通しから、タイムラグに係わる投与方法による本発明は、直感されないものであり、そして、既存の治療と共有しない確かな利点を有する。この点において、我々は既に、鎮静を感じることなく、自由に睡眠前活動をするという患者への利益について述べた。
本発明による剤形は、タイムラグの後薬物物質を送達するが、上記のような顕著なプラセボ効果が与えられるので、それは、覚醒イベントと同様に睡眠までの時間を処置するため、または解決するよう取り組むために有用であり得る。
睡眠に関する生物学的プロセスについての他の利益は明らかになっている。いわゆる「恒常作用」が、患者における睡眠に対する必要性を生み出す主要な原動力であると信じられている。午後11時に就寝する個人にとっては、この原動力は早朝の時間、例えば午前3時頃に弱くなり、そして、さらに、午前5時頃に、日内周期覚醒パルス(circadian alert pulse)によりさらに悪化されるが、これは、患者の覚醒へのさらなる原動力と信じられている。薬剤放出前のタイムラグは、血漿濃度のピークが、夜間の覚醒イベントが起こりやすい、睡眠サイクル中の数時間に到達することを確実にすることができる。薬剤放出およびそれによる最大血漿濃度をこれらのプロセスが起こる早朝の時間に合わせることにより、睡眠までの時間の問題を解決する目的で、最初の薬剤バーストを提供するために大量の薬物物質を含まなければならない、従来の持続性放出剤形を用いれば、必要とされるであろう量より低用量の薬物物質の使用を可能にし得る。
なおさらに、多くの薬物物質がチトクロームCYP450アイソフォーム 3A4によって代謝され、この酵素は消化(GI)管の高次領域(higher region)で比較的高濃度存在する。タイムラグを示す剤形は、CYP P450活性の低い領域に薬物物質を送達する前に、消化管のより下へ通過することができ、よって、潜在的に放出された薬物物質の薬効を増強させる。鎮静睡眠薬の第一選択薬−ザレプロン−は、かかる薬物物質であり、CYP P450により代謝される。
本発明による剤形は、薬物物質を血漿濃度のピークが約午前3時(すなわち、投与約4−5時間後)になるように送達し得る。さらに、一般的に入手可能な持続性放出賦形剤(本明細書で以下でさらに記載する)を使用して、薬物物質の血漿濃度は、恒常作用が弱まるのに合わせるために、午前3時まで、そして、上記のような日内周期覚醒パルスに合わせて午前5時まで有効レベルで維持されることができる。
本技術分野で記載されるある剤形は、8時間の長い睡眠時間を得るために意図される。しかしながら、そのような長い睡眠パターンを送達することは常に有利ではない。これは、忙しくないスケジュールの人には全く適度な睡眠パターンかもしれないが、多くの個人、たとえば、リフレッシュして目覚め、覚醒する前に、例えば5、6時間の短時間睡眠することだけが必要な旅行者がいる。そのような患者のために、日内周期覚醒パルスを抑制することが有利であると考えることはできないかもしれない。本発明の方法において有用な剤形は、恒常性の原動力が弱まるのに合わせて、薬物物質の有効な血漿濃度を提供するために、タイムラグの後、薬物物質を放出することができ、そして、投与後約6から8時間の間に血漿レベルが有効レベル以下になることを確実にするように制御されたやり方で血漿レベルを低下させることができ、それにより、いわゆる「残存効果」を回避、または低減させる。
たとえ比較的短い、例えば5から6時間程度の睡眠時間の後であっても、残存効果を回避する能力は、短い半減期の鎮静薬を用いることによってより簡単に得ることができる。一般的に、短時間作用型の鎮静薬は、2時間未満の化合物の平均血漿半減期を有し、任意の標準的な試験で検出可能な鎮静効果を有する化合物である。この点、特に注目すべきなのは、半減期が1時間であるザレプロンであり、エスゾピクローン(eszopiclone)、ゾルピデム、インディプロン、ギャボキセドール(gaboxedol)およびラメルテオン(ramelteon)である。
本明細書で記載される剤形によって提供される標的化投与と併用される短時間作用型鎮静薬の使用は、比較的短い睡眠間隔を有し、さらに残存効果を経験せずに、または低減された残存効果で目覚める可能性を患者に提供し、そしてそのような使用は本発明のとりわけ好ましい態様を形成する。
本発明における使用のための薬物物質は、不眠症を処置するのに有用なことが知られる物質のいずれかであり得る。
とりわけ、薬物物質の有用なクラスとして、ベンゾジアゼピン受容体作動薬;抗ヒスタミン剤;GABA A受容体作動薬;イミダゾピリジン類;ウレイド類;三級アセチリニック(acetylinic)アルコール類;ピペリジン誘導体;GABA受容体作動薬;およびメラトニン1受容体作動薬を言及できる。
本発明に有用な特定の薬物物質は、ブロチゾラム(Brotizolam)、ロルメタゼパム(Lormetazepam)、ロプラゾラム(Loprazolam)、フルニトラゼパム(Flunitrazepam)、ニトラゼパム(Nitrazepam)、エスタゾラム(Estazolam)、フルラゼパム(Flurazepam)、ロプラゾラム(Loprazolam)、ロルメタゼパム(Lormetazepam)、ミダゾラム(Midazolam)、ニトラゼパム(Nitrazepam)、ノルダゼパム(Nordazepam)、クワゼパム(Quazepam)、テマゼパム(Temazepam)、トリアゾラム(Triazolam)、ドキシルアミン(Doxylamine)、ジフェンヒドラミン(Diphenhydramine)、プロメタジン(Promethazine)、ニアプラジン(Niaprazine)、クロメチアゾール(Clomethiazole)、パルアルデヒド(Paraldehyde)、クロラール水和物(Chloral Hydrate)、トリクロフォス(Triclofos)、ザレプロン(Zaleplon)、ゾルピデム(Zolpidem)、アセチルカルブロマル(Acetylcarbromal)、エスクロルビノル(Ethchlorvynol)、ニアプラジン(Niaprazine)、チアガビン(Tiagabine)、グルテチミド(Glutethimide)、ゾピクローン(Zopiclone)、エスゾピクローン(Eszopiclone)、ラメルテオン(Ramelteon)、アゴメラチン(Agomelatine)、インディプロン(Indiplon)、エプリバンセリン(Eplivanserin)、リレキニル(Lirequinil)、およびギャボキサドール(Gaboxadol)である。内部コードネームによって、本分野で知られている他の物質は、Anph101、Th 9507、Ly156735、Org 4420、Ngd 963およびEMR 62218である。
使用され得る薬物物質の量は、薬物物質のタイプ、処置される症状のタイプおよび重篤度、患者の医学的履歴、年齢および体重による。しかしながら、一般的に言って、薬物物質は、1日あたり約5から50mg、より好ましくは1日あたり10から50mgの用量を得る量で投与される。
ザレプロンの場合、本発明の方法で使用される単位剤形は、5mgから50mgの薬物物質、より好ましくは、5mgから25mgの薬物物質を含み得る。
不眠症に罹患している患者の睡眠パターンを改善する薬物物質の投与のための剤形は、有効量の生物学的に利用可能な形態で薬物物質を提供でき得る様々な形態をとり得る。
本発明で有用な剤形は、1またはそれ以上の薬物物質および放出制御剤を含む。
放出制御剤は、薬物物質が溶解され、または分散されているマトリックス中に存在し得る。あるいは、放出制御剤は、薬物物質含有マトリックスを囲む層またはコーティングに存在し得る。放出制御剤が層またはコーティングにあるとき、マトリックスはまた放出制御剤を含み、または、それは薬物物質の即時放出に適応され得る。
適切なマトリックスおよび/またはコーティング物質を選択することにより、タイムラグの正確な制御だけでなく、タイムラグの終了後、長期の睡眠パターンを得て、夜間の覚醒イベントを排除又は減らすために望ましい速度で、全ての、または実質的に全ての薬物物質が放出されることを確かにすることができる。
コーティング物質を選択するときには、膨張可能なまたはゲル化可能な物質を使用することは好ましくない。係る典型的な物質は、セルロースエーテル類またはヒドロキシアルキルセルロース類、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシアルキルセルロース類等のセルロース誘導体類等である。係る物質はゲルを形成する傾向があり、薬物物質がそれを通して拡散し得る浸食性バリアーを形成することにより放出制御効果を発揮する。係る物質は信頼できないタイムラグを与える傾向があり、そして、放出制御効果を発揮する量において避けられるべきである。それらが約10%またはそれ以上の量で使用されるとき、それらの放出制御効果は通常明らかである。したがって、好ましくは、上記物質のいくつかがコーティング物質として使用されるのであれば、それらは、少量、例えば10%未満、具体的には5%未満、さらに具体的には1%未満でのみ使用されるべきである。
放出制御剤は、バルク物質の欠損部およびチャネルを通して水性の生理的媒体の浸入を可能にすることにより作用する、ろう状の、そして不溶性の賦形剤等の水不溶性またはほとんど水に溶けない疎水性物質を含み得る。
放出制御剤は、親水性および/または疎水性物質、例えば、ゴム類、蜜蝋、グリコワックス、カスターワックスおよびカルナバワックス等の天然および合成ワックス、セラック、および、水素化カスターオイル、水素化植物油、ポリアルキレングリコール類、脂肪酸類および脂肪アルコール類等の長鎖(例えば、8から50の炭素原子)の置換または非置換の炭化水素、または脂肪酸類のグルセリルエステル類等の鉱物および植物油等を含み得る。
放出制御剤は、剤形中に、所望の放出プロフィールに依存した量で存在し得る。かかる薬剤は、剤形の1から99重量%の量で存在し得る。
上記成分に加えて、剤形はまた、希釈剤、潤滑剤、例えば、エチルセルロース等のアルキルセルロース類等の結合剤、造粒補助剤、着色剤、香味剤および流動促進剤等の、経口剤形において共通して使用される他の賦形剤を含み得る。係る成分の例は、微結晶セルロース、または第二リン酸カルシウム、リン酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム二水和物、セルロース誘導体、デキストロース、ラクトース、無水ラクトース、スプレー乾燥ラクトース、ラクトース1水和物、マンニトール、澱粉類、ソルビトール、およびスクロースがある。
これらの賦形剤は、適切な経口剤形を得ることに一致して、多様な量で存在し得る。賦形剤は、1から99重量%の量で存在しうる。
剤形が、タイムラグの後、即時の薬物物質のバーストを提供するように意図されるとき、マトリックスは、即時放出剤形で共通して使用される賦形剤を含み得る。
タイムラグが終了したとき即時の薬物物質のバーストのために適応させるマトリックスは、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムモノグリセラート、ソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレート、グリセリルモノブチレート、界面活性剤ポリマー類のプルロニックライン(Pluronic line)のいずれか1つ、または、他の界面活性化の性質を有する適切な物質、または上記の組み合わせを含み得る。
界面活性物質は、0.5〜10重量%の量で剤形中に存在し得る。
即時放出剤型で共通して使用される他の成分は、限定されないが、微結晶性セルロース(例えばアビセルAvicel)トウモロコシ澱粉、予めゼラチン化された澱粉(例えばStarch
1500またはNational 1551)、ジャガイモ澱粉、ナトリウムカルボキシメチル化された澱粉、ナトリウムカルボキシメチル化されたセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびエチルセルロースを含む。さらに、ゴム類(例えばグァーガム)、天然結合剤等の結合物質、およびアルギナート、キトサン、ゼラチンおよびゼラチン誘導体等の誘導体もまた有用である。ポリビニルピロリドン(PVP)、アクリル酸誘導体(エウドラジット(Eudragit)、カルボポル(Carbopol)等)、およびポリエチレングリコール(PEG)等の合成ポリマー類もまた、結合剤およびマトリックス形成剤として有用である。薬物物質の崩壊を促進するために、崩壊剤を即時放出マトリックスに組み込むこともまた望まれ得る。この目的のために、いくつかの適切な錠剤崩壊剤、例えば、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac-Di-Sol)、架橋ナトリウムカルボキシメチル澱粉(エキスプロタブ(Explotab)、プリモジェル(Primojel))、架橋PVP(プラスドンXL(Plasdone XL))または錠剤崩壊性の他のいずれかの物質等が、ここで利用され得る。
これらの成分は、1から99重量%の量で剤形に存在し得る。
当業者には即座に明らかなように、コアマトリックスの性質および組成を考慮して、幅広い多様な放出プロフィールを得ることができる。特定の実施態様において、コアは、放出制御層と即時放出のための層の両方を有する多重層構造を有し得る。係る実施態様において、層はそれぞれ他から区別されることが好まれる。これは、着色剤またはX線を通さない物質を含む1つの層と、含まない他の層より得ることができる。この理由は、以下に続く記載から明らかである。
上記の剤形は、医薬的に許容されるフィルムコーティングにより、審美的な目的(例えば、着色剤を含む)のために、安定性の目的のために(例えば、湿度バリアーで被覆される)、味覚をマスクする目的のために、または不安定な薬物物質を攻撃的な媒体から保護する目的のために(例えば、腸溶性のコーティング)、オーバーコーティングされ得る。
上記剤形は、本分野で知られているいくつかの技術により製造され得る。マトリックスは、上記で言及した物質のいくつかを含む、放出制御剤、薬物物質、およびいくつかの適切な錠剤賦形剤を混合することにより形成され、本分野の技術を用いてコーティングされることができる。
例えば、コーティングは、既知の押圧塗工機(press coater)のいずれかを使用して圧縮により形成されることができる。あるいは、剤形は、造粒および凝塊技術を用いて製造されるか、スプレー乾燥技術を用いて組み立てられ、続いて乾燥されることができる。
コーティングの厚さは、上記技術のいくつかを用いることにより正確に制御されることができる。当業者は、所望のタイムラグ、および/または薬物物質がタイムラグの後放出される所望の速度を得るための手段として、コーティングの厚さを選択できる。
患者のコンプライアンスの理由により、剤形は、好ましくは、できるだけ小さくあるべきであり、そしてコーティングは、所望のタイムラグを達成するのに一致した可能な最小限の厚さを有するべきである。コーティング物質の懸命な選択により、水分の浸入に比較的抵抗性のコーティングを製造することができ、そして非常に長いタイムラグが比較的薄いコーティングで達成することができる。
剤形は、カプセル、錠剤およびペレットを含むいくつかの好適な形態をとり得る。係る剤形は、経口、口腔内および舌下を含む、既知の手段による投与のために意図されることができる。好ましくは、剤形は、消化を意図された経口送達に応用される。
とりわけ好ましい剤形は、圧縮コート錠剤の形態で提供される。錠剤は、薬物物質を含むコア、そして該コアを包囲するコーティングを含み、コアは、予め形成されたコアの周りをコーティング物質で圧縮コーティングすることにより適用される。コーティングは上記の放出制御剤のいくつかを含むことができる。
コーティングは、1またはそれ以上の水不溶性または溶解性の乏しい疎水性の賦形剤を含む。好ましくは、これらの賦形剤は、脂肪酸類またはそれらのエステルまたは塩;直鎖脂肪アルコール類;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンステアレート類;糖エステル類;ラウロイルマクロゴール-32グリセリル、ステアロイルマクロゴール-32グリセリル等から選択される。
コーティングに疎水性の性質を提供する他の賦形剤は、錠剤賦形剤としての使用のために知られているロウ状物質から選択され得る。好ましくは、それらは、HLB値が5未満であり、より好ましくは、約2である。好ましい疎水性薬剤は、カルバナワックス、パラフィン、微結晶ワックス、蜜ろう、セチルエステルワックス(cetyl ester wax)等の油性物質;またはリン酸カルシウム塩、例えば、第二リン酸カルシウム等の非脂肪疎水性物質を含む。
上記の物質を含むコーティングは、生理的媒体の浸入へのバリアーとして機能することにより、タイムラグを提供する。一度媒体がコーティングを横切り、そしてマトリックスに入ると、マトリックスが、例えば、膨潤し、ゲル化し、または気泡を発することにより拡張し、コーティングが壊れ、コアマトリックスが開放され、露出され、それによって、マトリックスからの薬物物質の放出が可能となる。このように、コーティングは、タイムラグ終了後の放出速度に対し、全く、またはほとんど全く影響を及ぼさない。
好ましくは、コーティング成分は、リン酸カルシウム塩、グリセリルベヘネート、およびポリビニルピロリドン、またはそれらの混合物、そして、1またはそれ以上のアジュバント、希釈剤、潤滑油または繊維である。
コーティングにおける好ましい化合物は、以下のようであり、コーティングの重量%として表現される一般的に好適な量を有する。
ポリビニルピロリドン(ポビドン(Povidone))は、好ましくは、コーティングの約1から25重量%、さらにとりわけ4から12%、例えば6から8%の量で存在する。
グリセリルベヘネートは、グリセロールおよびベヘン酸(C22脂肪酸)のエステルである。グリセリルベヘネートは、そのモノ−、ジ−、またはトリ−エステル形態、またはそれらの混合物として存在し得る。好ましくは、それは、5未満、より好ましくは約2のHLB値を有する。それは、コーティングの約5から85重量%、より好ましくは10から70重量%、そしてある好ましい実施態様では、30から50%の量で存在し得る。
リン酸カルシウム塩は、第2リン酸カルシウム2水和物であることができ、そして、コーティングの約10から90重量%、好ましくは20から80%、例えば、40から75%の量で存在し得る。
コーティングは、上述したような固体経口剤形の形成において共通して使用される他の賦形剤を含み得る。
すでに上述したように、コアを囲むコーティングの厚さは、タイムラグに影響し、そして、選択されるコーティング物質の性質によって、その後の薬剤放出の速度にも影響し得る。出願人は、圧縮コーティングがとりわけ有効なコーティングの厚さを制御する手段を提供し、そして、それによってタイムラグを制御することを見出した。
圧縮コーティングは、剤形の地点での正確に決定された最小のコーティングの厚さを得るために、コート重量、金型の直径、およびコアのサイズを制御することができるので、特に有利である。これらの地点でのコーティングを横切る生理的媒体の浸入は、媒体がコアに届き、それを水和化する時間を決定し得るし、このようにしてタイムラグが制御される。
以下の図1を参照して、押圧塗工機パンチの移動方向の軸(「(A−B)軸」)に沿った、またはそれについてのコーティングの厚さは、金型に添加されたコーティング物質の量と剤形の形成に適用される圧縮力により決定される。一方、「(X−Y)」軸に沿った、またはそれについてのコーティングの厚さは、コアのサイズ、金型の間のその地点および圧縮コーターにおける金型の直径により決定される。図1は単に、剤形の2次元表示のみを示すにもかかわらず、剤形の中心からその円周へ放射状に延びる、「A−B」軸に直行する軸(X−Y)の複数が存在し、軸X−Yについてのコーティングの暑さについて言及するとき、これらの軸のいくつかまたは全ての周辺の厚さについて参照される。
(X−Y)軸についてのコーティングに比較して厚いことを確実にするために(A−B)軸の周辺またはそれについてのコーティングの厚さを操作することができれば、X−Yでの水分の浸入はタイムラグに影響する。したがって、策定者はA−Bに沿ったコーティングの厚さを選択するいくらかの自由度を有する。コーティングがあまりに厚く、その結果、剤が大きくなりすぎ、飲み込むのが困難となるべきではなく、一方、あまりに薄く、その結果、コーティングが弱く、僅かな機械ストレスでも亀裂が入りやすくなるべきではない。
好ましい実施態様では、剤形は、コアおよびコアを囲むコーティングを含む、圧縮コートされた錠剤を含み、コーティングは、上記本明細書で記載したように水性媒体の浸入時に、本明細書で記載したタイムラグの間、薬物物質の放出が10%未満、より特別には5%未満、さらにより特別には2%未満、最も特別には1%未満であるように、X−Y軸についての厚さを有する。
X−Y軸についてのコーティングの厚さは約2から2.6mmであり得る。
剤形は、本明細書の以下で詳細に記載される圧縮コーティング方法により形成される。圧縮コートされた剤形は、金型の中に、粉末のコーティング物質の一部を置き、パンチを用いて粉末を圧縮形態に押さえつけることにより、一般的に形成される。そして、コーティング物質の残りが金型の中に導入される前に、コアを圧縮されたコーティング物質の上に置き、圧縮力をかけてコートされた剤形を形成する。押さえつけられたコーティング物質上にコアが置かれることを確実にするため、そして、最終錠剤形態中のコーティングに対するその正確な配置を確実にするために、金型の中のコーティング物質に対してコアを位置づけするための手段を用いることが好ましい。典型的には、係る手段は、ピンパンチによって提供され得る。ピンパンチは、コーティング物質と接触する凸の表面を有し、押さえつけられたコーティング物質に凹部または空洞を残す。したがって、コアが、金型の中の、押さえつけられた物質の上に置かれるとき、それは凹部または空洞に置かれ、最終錠剤形における、その正確な配置が確かとなる。
このプロセスの結果、形成された錠剤の相違する領域は、異なる圧縮力を与えられることができ、よって、コーティングは、異なる地点で、密度または空隙率において変化し得る。例えば、A−B軸(パンチの移動方向)に沿ったコーティングの頂上部分は、一般的に、同じ軸に沿った底部分に比較してより圧縮されている。錠剤のコアが多重層である実施態様において、コアが常にA−B軸に沿って正しい様式でいることを確実にすることが重要である。押圧塗工機と共同して配置される適切な検出デバイスは、コアが押圧塗工機の金型の中で正確な位置であるか否かを読みとることができ、そしてそうでないものを排除することができる。したがって、プロセス中のコントロールの手段を提供する。
単一層のみを含むコア中において、酸化鉄等の着色剤またはX線を通さない賦形剤の使用は、コアがコーティングで正確な位置となっていることを確かめるためにも有利である。更なるプロセス中のコントロールは、完成された錠剤を検査し、与えられた剤形が、そのコアがそのコーティング中で正しく位置づけされていることを確かめるために、押圧塗工機に対して適切に配置された光または照射の検出器という手段により成し遂げられる。
コアのまわりのコーティングが圧縮されている間、そのコアの上および下のコーティング物質((A−B)軸に沿ったおよびそれについての物質)は、相対的に高度に圧縮され、密度が高くなっている。一方、(X−Y)軸に沿ったおよびそれについての配置されたコーティング物質は、低い圧縮力を受け、そして、相対的に低密度である。したがって、(X−Y)軸についての物質は、相対的に多孔性であり、水性媒体の浸入を許す。この軸に沿ったコーティング物質のより低い密度の性質により、そして、策定者は、コーティングの厚さに影響を及ぼす自由があるので、X−Y軸の方向に沿ってコーティングを通した、水性媒体の浸入速度はしっかりと制御される。一度水性媒体がコアに接触すると、コアは、膨潤および/またはゲル化または発泡して反応することができ、それにより、一般的に水性媒体の浸入方向(すなわちX−Y軸)に沿って壊れ、開放され、本質的に結合したままで残り得るコーティング物質の2つの半球を形成する。この開放された形態において、剤形は、開放された殻の外観を有し得る。コア物質の水性媒体の存在に対する反応は、コアからの薬物物質の放出の制御に、同様に部分的な原因となる。
剤形の硬度は、好ましくは、少なくとも60ニュートン、例えば、60から80ニュートン、そしてより特別には、60から75ニュートンである。硬度は、欧州薬局方4,2.9.8、201頁に記載されている方法に従って測定され得る。1つがもう1つに向かって動く、2つの相対するジョーからなる機器を試験に用いる。ジョウの平坦な表面は、移動方向に対し垂直である。ジョーの押しつぶし表面は平坦であり、剤形と接触する領域より大きい。機器は、正確な1ニュートンを有するシステムを用いて調整される。剤形は2つのジョーの間に置かれる。それぞれの測定において、剤形は、加えられる力の方向に関して同様に向けられる。測定は10錠剤において実施される。結果は、剤形を押しつぶすのに必要な力の平均、最小および最大値(ニュートン)で表される。
この範囲の硬度を有する剤形は、胃の中で、とりわけ食物の存在下で生じる力に抵抗するために、機械的に強固である。さらに、剤形は、錠剤の(X−Y)平面について十分に多孔性であり、適切な速度で生理的媒体のコアへの浸入を許し、本明細書で上述したタイムラグを確保する。
他の実施態様において、本発明は、本明細書で上述されたような圧縮コートされた剤形を形成する方法を提供する。それらは従来の圧縮コーティング装置上で形成されることができる。典型的には、係る装置は、回転するプラットホーム上に配置された連続する金型からなる。金型はプラットホームに取り外し可能に設置され、その結果、異なるサイズの金型が適宜用いられ得る。それぞれの金型は、下方のパンチを受けるための空洞である。パンチは金型に、パンチの上面と金型の内面が、正確な量のコーティング物質を受けるための容量を決定するように位置づけされる。一度充填されると、プラットホームは、金型が上方のパンチの下に位置されるまで回転する。そして、上方のパンチは決められた圧縮力の下で、コーティング物質上で下方へ駆動され、そしてコーティング物質は、上方と下方のパンチの間で予圧され、または押さえつけられる。そして、予形成されたコアは、押さえつけられたコーティングの上に置かれるために金型内に仕込まれる。従来の圧縮コーティング装置は、コアを垂直におよび放射状の両方に位置させることを可能にするセンターリングデバイスを備え得る。これは押さえつけプロセス(tamping process)によって成し遂げられることができ、それにより、コーティング物質の最初の量が金型中に置かれ、ピンパンチ等の成型されたパンチで押さえつけられ、コアを受ける凹みをコーティング物質中に残す。その後、第2の充填操作において、コアを覆うため、コーティング物質の正確な量が金型中に仕込まれ、そして、上方のパンチがコーティング物質を決められた圧縮力で圧縮し、圧縮コートされた剤形を形成する。
押しつけプロセスの間に適用される圧縮力は、比較的弱く、そして、コアを受けるためのコーティング物質のベッドを提供するため、そして、遠心性の力の結果としてコーティング物質の移動を防ぐために、ちょうど足りる。その後の剤形を形成するための圧縮は、必要な硬度を与えるために調整され得る。
好ましくは、要求される硬度の錠剤を提供するために+/−30%調整されるが、この圧縮力は400kgである。
金型に仕込まれるコーティング物質の量は、圧縮の後に、剤形が(A−B)軸について要求されるコーティングの厚さで形成されることを確かにするために、コーティング物質の濃度に関して正確に決定され得る;そして、金型の容積がX−Y軸についての厚さを提供するために選択される。コーティングの厚さを変えることが必要であるならば、適切な内容量の金型を回転プラットホームに設置することができ、そして、金型に仕込まれるコーティング物質の量が、それに従い調整され得る。
早い処理スピードを有する適切な回転錠剤機は、本分野で知られ、本明細書でこれ以上の議論をする必要はない。
コアは、同様に、従来の回転錠剤機械を使用して形成される。好ましくは、コアは、約60ニュートン、少なくとも、例えば50から70ニュートンの硬度を有するコアを提供するために十分な圧縮力の下で圧縮される。この範囲の硬度を有するコアは、所望の放出特性を与える。望まれるなら、コアは、圧縮コートされた錠剤が製造されるのと同時に形成されることができる。係る場合、マネスティードライコータ(Manesty Dry Cota)を用いることができる。係る圧縮機は、並んだ、そして内部接続された2つの圧縮機からなり、そこで、コアは、圧縮コーティングのための他の圧縮機へ機械的に移送される前に、1つの圧縮機で作られる。係る装置を用いた剤形製造のための係る装置および技術は、本分野で知られ、本明細書でこれ以上の議論をする必要はない。
コアは、好ましくは、本分野で一般に知られている湿式の造粒技術に従って形成される。典型的な手順において、コア物質は篩にかけられて、混合される。粒状化するための流体、典型的には、水が混合に加えられ、そして、混合は粒状体を形成するために均質にされ、その後、要求される残存水分を有する顆粒を得るために、スプレー乾燥され、または流動床乾燥機上で乾燥される。好ましくは、残存する水分含量は約0.4から2.0重量%である。そして、顆粒はそれを所望の開口のスクリーンに通すことによって、大きさを設定される。この段階で、任意のアジュバントが大きさを設定され、圧縮に適したコア組成物を形成するために顆粒に加えられる。当業者は、コーティング組成物が同様の方法で形成され得ることを理解できる。
当業者は、また、ある範囲の粒子サイズを有する顆粒を得ることができることも理解できる。好ましくは、コーティング顆粒は30%未満の精緻なフラクションを有する。「精緻なフラクション」とは、約63ミクロンまでの粒子サイズを有する顆粒を意味する。
本発明を説明するために提供されるいくつかの実施例が以下にある。
実施例1
薬物物質を含むコアを、以下の圧縮コートシステムのために製造する。コアの組成を表1に記載する。ラクトース一水和物(Lactose Pulvis・H2O(登録商標)、Danone、フランス、およびLactose Fast Flo(登録商標)・NF 316、Foremost Ing. Group、米国)は、興味深い技術的および機能的性質を有する充填剤である。Lactose Pulvis・H2Oを、湿式造粒により調製された混合物中で使用し、Lactose Fast Floを直接圧縮のために製造された混合物において使用する。微結晶セルロース(Avicel(登録商標)pH101、FMC International、アイルランド)を、直接圧縮のための不溶性希釈剤として使用する。ポリビニルピロリドン(Plasdone(登録商標)K29-32、ISP Technology、米国)は、造粒化剤であり、水溶性であり、粉末粒子を結合する能力がある。クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol(登録商標)、FMC Corporation、米国)を強力な崩壊剤として製剤中に使用する。外部層として、ステアリン酸マグネシウム(Merck、スイス)を滑剤として加え、二酸化ケイ素(Aerosil(登録商標)200、Degussa AG、ドイツ)を顆粒粉体の流動性を改善するために加えた。
Figure 2016183179
コーティング物質は疎水性の、水不溶性の性質である。このコーティングは、第二リン酸カルシウム(Emcompress(登録商標)、Mendell、米国)およびグリセリルベヘネート(Compritol(登録商標)888 ATO、Gattefosse、フランス)からなる。ポリビニルピロリドン(Plasdone(登録商標)K29-32)は造粒化剤で、水溶性で、粉体粒子に結合する能力を有する。黄色酸化鉄(Yellow ferric oxide)(Sicovit(登録商標)Yellow 10、BASF、ドイツ)を染料として加えた。このバリアー混合物の詳細な組成を表2に示す。
Figure 2016183179
薬物物質A、Ac-Di-Sol(登録商標)、Lactose Pulvis H2O(登録商標)、Plasdone(登録商標)K29-32の必要量を測定し、0.710mmの開口径を有するスクリーンを用いて手動で篩にかけた。組成を、Niro-Fielder PMA 25リットル混合造粒機中で、6分間、羽根車スピード250rpmで、チョッパーなしで均一に混ぜた。その後、造粒溶液(精製水、25.47重量%の乾燥混合物)を、4分の間に羽根車スピード250rpm、チョッパースピード1500rpm、ノズルH1/4VV-95015(スプレー速度250g/分)を用いて添加した。混合を均一化および湿った塊を集めるために、3分間、羽根車スピード500rpm、チョッパースピード3000rpmで続けた。
混合した湿った顆粒を、その後、Glatt WSG5 流動空気床乾燥機(fluidised air bed drier)で乾燥する。注入口温度を乾燥の間45℃に維持する。乾燥を20分間続け、残存湿度2.5%未満の顆粒を得た。得られた乾燥顆粒を、Frewitt MGI 205 整粒機中で、開口径0.8mmのスクリーンを用いて、3分間、244osc/分のスピード(目盛り7)で測定した。Aerosil(登録商標)200およびステアリン酸マグネシウムの適量を、開口径1.0mmのスクリーンを用いて手動で篩にかける。乾燥顆粒の半分をNiro-Fielder PMA 25リットル混合造粒機中に入れ、続いて、Aerosil(登録商標)200、そして、その後、乾燥顆粒の他の半分を入れる。内容物を2分間、羽根車スピード250rpmで混合する。最後に、ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合を2分間、羽根車スピード250rpmで続ける。
コーティング混合物を、下記の方法に従って製造する。バリアー混合物のバッチサイズは13kgである。Emcompress(登録商標)、Compritol(登録商標)888 ATO、Lactose pulvis・H2O(登録商標)、Plasdone(登録商標)K29-32およびSicovit(登録商標)Yellow 10 E172の測定量を、開口径0.710mmのスクリーンを用いて手動で篩にかける。それらを、Niro-Fielder PMA 65リットル混合造粒機中に置く。そして、組成物を6分間、羽根車スピード200rpmで、チョッパーなしで均一に混ぜる。その後、造粒溶液(精製水、8.12重量%の乾燥混合物)を、2分の間に羽根車スピード200rpm、チョッパースピード1500rpmで、ノズル4.9(スプレー速度520g/分)を用いて添加した。混合を均一化および集めるために、1分間、羽根車スピード400rpm、チョッパースピード3000rpmで続ける。
混合された湿った顆粒を、その後、Niro-Fielder TSG 2流動空気床乾燥機中で乾燥する。注入口温度を乾燥の間45℃に維持する。乾燥を33分間続け、残存湿度2.5%未満にした。得られた乾燥顆粒を、Frewitt MGI 205 整粒機中で、開口径0.8mmのスクリーンを用いて、4分間、244osc/分のスピード(目盛り7)で測定する。Aerosil(登録商標)200およびステアリン酸マグネシウムの適量を、開口径1.0mmのスクリーンを用いて手動で篩にかける。乾燥顆粒の半分をNiro-Fielder PMA 65リットル混合造粒機中に入れ、続いて、Aerosil(登録商標)200、そして、その後、乾燥顆粒の他の半分を入れる。内容物を2分間、羽根車スピード200rpm、チョッパーなしで混合する。最後に、ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合をさらに2分間、羽根車スピード200rpm、チョッパーなしで続ける。
圧縮コートされた錠剤(直径9mm)を得るために、コア上で440mgのコーティング混合物を圧縮コートする。圧縮コートされた錠剤(直径8mm)を得るために、コア上で305mgのコーティング混合物を圧縮コートする。これらの相違する圧縮コーティングは、Kilian RUD錠剤機を利用してなされる。第1のおよび第2のローディングホッパーを、コーティング顆粒で満たす。2つのローディングホッパーの間に、機械は、コアを送り出すのに適合された移送システムが装着される。それぞれの錠剤について、第1のローディングホッパーは、コアに供給される量の約半分を提供する。そして、移送システムは、金型の中央にコアを提供し、位置させる。その後、第2のローディングホッパーはコアに供給される量の他の半分を提供する。そして、圧縮工程が起こる。
実施例2
実施例1の方法で製造された薬物物質Aの5mg充填量を含む錠剤のインビトロ溶出プロフィールを、USP溶出装置No.2(paddles)および固定されたバスケットを用い、および100rpmのかき混ぜスピードを適用して測定する。溶出媒体は、1000mlの容積で、精製水であった。
図2は、上記製剤および手順にしたがって形成された、いくつかの錠剤の放出プロフィールを示す。図は、非常に高い正確性をもって、タイムラグを得ることが可能であることを明確に示す。
実施例3:製剤53Q1(1時間タイムラグ、4時間持続放出)
薬物物質を含むコアを、以下の圧縮コートシステムで製造する。コアの組成を表3に記載する。ラクトース一水和物(Lactose Pulvis・H2O(登録商標)、Danone、フランス、およびLactose Fast Flo(登録商標)・NF 316、Foremost Ing. Group、米国)は、興味深い技術的および機能的性質を有する充填剤である。Lactose Pulvis・H2Oを、湿式造粒により調製された混合物中で使用し、Lactose Fast Floを直接圧縮のために製造された混合物において使用する。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel K4M)を、活性物質(ザレプロン)の放出を修飾するために使用する。ポリビニルピロリドン(Plasdone(登録商標)K29-32、ISP Technology、米国)は、造粒化剤であり、水溶性であり、粉末粒子を結合する能力がある。ラウリル硫酸ナトリウムは、コアを湿らせ、水和させるのに役立ち、そして活性物質を可溶化するのに役立ち得る、界面活性剤である。赤色酸化鉄(Red ferric oxide)を、コアが正確に錠剤パンチの中央にあることを確実にするのに役立つ視覚インディケーターとして添加する。外部層として、ステアリン酸マグネシウム(Merck、スイス)を滑剤として加え、二酸化ケイ素(Aerosil(登録商標)200、Degussa AG、ドイツ)を顆粒粉体の流動性を改善するために加えた。
Figure 2016183179
コーティング物質は疎水性の、水不溶性の性質を有する。このコーティングは、第二リン酸カルシウム二水和物(Calipharm(登録商標)、CAS 7789-77-7)およびグリセリルベヘネート(Compritol(登録商標)888ATO、Gattefosse、フランス)からなる。ポリビニルピロリドン(Plasdone(登録商標)K29-32)は造粒化剤で、水溶性で、粉体粒子に結合する能力を有する。黄色酸化鉄(Sicovit(登録商標)Yellow 10、BASF、ドイツ)を染料として加えた。キシリトール300(Xylisorb, CAS87-99-0)を親水性化合物として用い、一方、ラウリル硫酸ナトリウム(CAS 151-21-3)を親水性化合物および可溶化剤として加える。
このバリアー混合物の詳細な組成を表4に示す。
Figure 2016183179
ザレプロン、Methocel K4M、Lactose Pulvis H2O(登録商標)、Plasdone(登録商標)K29-32の必要量を測定し、0.710mmの開口径を有するスクリーンを用いて手動で篩にかけた。組成物を、Niro-Fielder PMA 25リットル混合造粒機中で、6分間、羽根車スピード250rpmで、チョッパーなしで均一に混ぜた。その後、造粒溶液(精製水、25.47重量%の乾燥混合物)を、4分の間に羽根車スピード250rpm、チョッパースピード1500rpm、ノズルH1/4VV-95015(スプレー速度250g/分)を用いて添加した。混合を均一化および湿った塊を集めるために、3分間、羽根車スピード500rpm、チョッパースピード3000rpmで続けた。
混合した湿った顆粒を、その後、Glatt WSG5 流動空気床乾燥機で乾燥する。注入口温度を乾燥の間45℃に維持する。乾燥を20分間続け、残存湿度2.5%未満の顆粒を得た。得られた乾燥顆粒を、Frewitt MGI 205 整粒機中で、開口径0.8mmのスクリーンを用いて、3分間、244osc/分のスピード(目盛り7)で測定する。Aerosil(登録商標)200およびステアリン酸マグネシウムの適量を、開口径1.0mmのスクリーンを用いて手動で篩にかける。乾燥顆粒の半分をNiro-Fielder PMA 25リットル混合造粒機中に入れ、続いて、Aerosil(登録商標)200、そして、その後、乾燥顆粒の他の半分を入れる。内容物を2分間、羽根車スピード250rpmで混合する。最後に、ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合を2分間、羽根車スピード250rpmで続ける。
コーティング混合物を、下記の方法に従って製造する。バリアー混合物のバッチサイズは13kgである。Calipharm(登録商標)、Compritol(登録商標)888ATO、Lactose pulvis・H2O(登録商標)、Plasdone(登録商標)K29-32およびSicovit(登録商標) Yellow
10 E172の測定量を、開口径0.710mmのスクリーンを用いて手動で篩にかける。それらを、Niro-Fielder PMA 65リットル混合造粒機中に置く。そして、組成物を6分間、羽根車スピード200rpmで、チョッパーなしで均一に混ぜる。その後、造粒溶液(精製水、8.12重量%の乾燥混合物)を、2分の間に羽根車スピード200rpm、チョッパースピード1500rpmで、ノズル4.9(スプレー速度520g/分)を用いて添加した。混合を均一化および集めるために1分間、羽根車スピード400rpm、チョッパースピード3000rpmで続ける。
混合された湿った顆粒を、その後、Niro-Fielder TSG 2流動空気床乾燥機中で乾燥する。注入口温度を乾燥の間45℃に維持する。乾燥を33分間続け、残存湿度2.5%未満にした。得られた乾燥顆粒を、Frewitt MGI 205 整粒機中で、開口径0.8mmのスクリーンを用いて、4分間、244osc/分のスピード(目盛り7)で測定する。Aerosil(登録商標)200およびステアリン酸マグネシウムの適量を、開口径1.0mmのスクリーンを用いて手動で篩にかける。乾燥顆粒の半分をNiro-Fielder PMA 65リットル混合造粒機中に入れ、続いて、Aerosil(登録商標)200、そして、その後、乾燥顆粒の他の半分を入れる。内容物を2分間、羽根車スピード200rpm、チョッパーなしで混合する。最後に、ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合をさらに2分間、羽根車スピード200rpm、チョッパーなしで続ける。
圧縮コートされた錠剤(直径9mm)を得るために、コア上で440mgのコーティング混合物を圧縮コートする。圧縮コートされた錠剤(直径8mm)を得るために、コア上で305mgのコーティング混合物を圧縮コートする。これらの相違する圧縮コーティングは、Kilian RUD錠剤機を利用してなされる。第1のおよび第2のローディングホッパーを、コーティング顆粒で満たす。2つのローディングホッパーの間に、機械は、コアを送り出すのに適合された移送システムが装着される。それぞれの錠剤のために、第1のローディングホッパーは、コアに供給される量の約半分を提供する。そして、移送システムは、金型の中央にコアを提供し、位置させる。その後、第2のローディングホッパーはコアに供給される量の他の半分を提供する。そして、圧縮工程が起こる。
実施例4:製剤51Q1(2時間タイムラグ、即時放出)
薬物物質を含むコアを、以下の圧縮コートシステムで製造する。コアの組成を表5に記載する。ラクトース一水和物(Lactose Pulvis・H2O(登録商標)、Danone、フランス、およびLactose Fast Flo(登録商標)・NF 316、Foremost Ing. Group、米国)は、興味深い技術的および機能的性質を有する充填剤である。Lactose Pulvis・H2Oを、湿式造粒により調製された混合物中で使用し、Lactose Fast Floを直接圧縮のために製造された混合物において使用する。クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol、FMC Corporation、米国)を、強力な崩壊剤として製剤中に使用する。ポリビニルピロリドン(Plasdone(登録商標)K29-32、ISP Technology、米国)は、造粒化剤であり、水溶性であり、粉末粒子を結合する能力がある。ラウリル硫酸ナトリウムは、コアを湿らせ、水和させるのに役立ち、そして、活性物質を可溶化するのに役立ち得る、界面活性剤である。赤色酸化鉄を、コアが正確に錠剤パンチの中央にあることを確実にするのに役立つ視覚インディケーターとして添加する。外部層として、ステアリン酸マグネシウム(Merck、スイス)を滑剤として加え、二酸化ケイ素(Aerosil(登録商標)200、Degussa AG、ドイツ)を顆粒粉体の流動性を改善するために加えた。
Figure 2016183179
コーティング物質は疎水性の、水不溶性の性質を有する。このコーティングは、第二リン酸カルシウム二水和物(Calipharm(登録商標)、CAS 7789-77-7)およびグリセリルベヘネート(Compritol(登録商標)888ATO、Gattefossoe、フランス)からなる。ポリビニルピロリドン(Plasdone(登録商標)K29-32)は造粒化剤で、水溶性で、粉体粒子に結合する能力を有する。黄色酸化鉄(Sicovit(登録商標)Yellow 10、BASF、ドイツ)を染料として加えた。キシリトール300(Xylisorb, CAS87-99-0)を親水性化合物として用い、一方、ラウリル硫酸ナトリウム(CAS 151-21-3)を親水性化合物および可溶化剤として加える。
このバリアー混合物の詳細な組成を表6に示す。
Figure 2016183179
ザレプロン、Methocel K4M、Lactose Pulvis H2O(登録商標)、Plasdone(登録商標)K29-32の必要量を測定し、0.710mmの開口径を有するスクリーンを用いて手動で篩にかけた。組成を、Niro-Fielder PMA 25リットル混合造粒機中で、6分間、羽根車スピード250rpmで、チョッパーなしで均一に混ぜた。その後、造粒溶液(精製水、25.47重量%の乾燥混合物)を、4分の間に羽根車スピード250rpm、チョッパースピード1500rpm、ノズルH1/4VV-95015(スプレー速度250g/分)を用いて添加した。混合を均一化および湿った塊を集めるために、3分間、羽根車スピード500rpm、チョッパースピード3000rpmで続けた。
混合した湿った顆粒を、その後、Glatt WSG5 流動空気床乾燥機で乾燥する。注入口温度を乾燥の間45℃に維持する。乾燥を20分間続け、残存湿度2.5%未満の顆粒を得た。得られた乾燥顆粒を、Frewitt MGI 205 整粒機中で、開口径0.8mmのスクリーンを用いて、3分間、244osc/分のスピード(目盛り7)で測定する。Aerosil(登録商標)200およびステアリン酸マグネシウムの適量を、開口径1.0mmのスクリーンを用いて手動で篩にかける。乾燥顆粒の半分をNiro-Fielder PMA 25リットル混合造粒機中に入れ、続いて、Aerosil(登録商標)200、そして、その後、乾燥顆粒の他の半分を入れる。内容物を2分間、羽根車スピード250rpmで混合する。最後に、ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合を2分間、羽根車スピード250rpmで続ける。
コーティング混合物を、下記の方法に従って製造する。バリアー混合物のバッチサイズは13kgである。Calipharm(登録商標)、Compritol(登録商標)888ATO、Lactose pulvis・H2O(登録商標)、Plasdone(登録商標)K29-32およびSicovit(登録商標) Yellow
10 E172の測定量を、開口径0.710mmのスクリーンを用いて手動で篩にかける。それらを、Niro-Fielder PMA 65リットル混合造粒機中に置く。そして、組成物を6分間、羽根車スピード200rpmで、チョッパーなしで均一に混ぜる。その後、造粒溶液(精製水、8.12重量%の乾燥混合物)を、2分の間に羽根車スピード200rpm、チョッパースピード1500rpmで、ノズル4.9(スプレー速度520g/分)を用いて添加した。混合を均一化および集めるために、1分間、羽根車スピード400rpm、チョッパースピード3000rpmで続ける。
混合された湿った顆粒を、その後、Niro-Fielder TSG 2流動空気床乾燥機中で乾燥する。注入口温度を乾燥の間45℃に維持する。乾燥を33分間続け、残存湿度2.5%未満にした。得られた乾燥顆粒を、Frewitt MGI 205 整粒機中で、開口径0.8mmのスクリーンを用いて、4分間、244osc/分のスピード(目盛り7)で測定する。Aerosil(登録商標)200およびステアリン酸マグネシウムの適量を、開口径1.0mmのスクリーンを用いて手動で篩にかける。乾燥顆粒の半分をNiro-Fielder PMA 65リットル混合造粒機中に入れ、続いて、Aerosil(登録商標)200、そして、その後、乾燥顆粒の他の半分を入れる。内容物を2分間、羽根車スピード200rpm、チョッパーなしで混合する。最後に、ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合をさらに2分間、羽根車スピード200rpm、チョッパーなしで続ける。
圧縮コートされた錠剤(直径9mm)を得るために、コア上で440mgのコーティング混合物を圧縮コートする。圧縮コートされた錠剤(直径8mm)を得るために、コア上で305mgのコーティング混合物を圧縮コートする。これらの相違する圧縮コーティングは、Kilian RUD錠剤機を利用してなされる。第1のおよび第2のローディングホッパーを、コーティング顆粒で満たす。2つのローディングホッパーの間に、機械は、コアを送り出すのに適合された移送システムが装着される。それぞれの錠剤のために、第1のローディングホッパーは、コアに供給される量の約半分を提供する。そして、移送システムは、金型の中央にコアを提供し、位置させる。その後、第2のローディングホッパーはコアに供給される量の他の半分を提供する。そして、圧縮工程が起こる。
実施例5:製剤54Q1(2時間タイムラグ、2時間持続放出)
薬物物質を含むコアを、以下の圧縮コートシステムで製造する。コアの組成を表7に記載する。ラクトース一水和物(Lactose Pulvis・H2O(登録商標)、Danone、フランス、およびLactose Fast Flo(登録商標)・NF 316、Foremost Ing. Group、米国)は、興味深い技術的および機能的性質を有する充填剤である。Lactose Pulvis・H2Oを、湿式造粒により調製された混合物中で使用し、Lactose Fast Floを直接圧縮のために製造された混合物において使用する。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel K4M)を、活性物質(ザレプロン)の放出を修飾するために使用する。ポリビニルピロリドン(Plasdone(登録商標)K29-32、ISP Technology、米国)は、造粒化剤であり、水溶性であり、粉末粒子を結合する能力がある。ラウリル硫酸ナトリウムは、コアを湿らせ、水和させるのに役立ち、そして活性物質を可溶化するのに役立ち得る、界面活性剤である。赤色酸化鉄(Red ferric oxide)を、コアが正確に錠剤パンチの中央にあることを確実にするのに役立つ視覚インディケーターとして添加する。外部層として、ステアリン酸マグネシウム(Merck、スイス)を滑剤として加え、二酸化ケイ素(Aerosil(登録商標)200、Degussa AG、ドイツ)を顆粒粉体の流動性を改善するために加えた。
Figure 2016183179
コーティング物質は疎水性の、水不溶性の性質を有する。このコーティングは、第二リン酸カルシウム二水和物(Calipharm(登録商標)、CAS 7789-77-7)およびグリセリルベヘネート(Compritol(登録商標)888ATO、Gattefossoe、フランス)からなる。ポリビニルピロリドン(Plasdone(登録商標)K29-32)は造粒化剤で、水溶性で、粉体粒子に結合する能力を有する。黄色酸化鉄(Sicovit(登録商標)Yellow 10、BASF、ドイツ)を染料として加えた。キシリトール300(Xylisorb, CAS87-99-0)を親水性化合物として用い、一方、ラウリル硫酸ナトリウム(CAS 151-21-3)を親水性化合物および可溶化剤として加える。
このバリアー混合物の詳細な組成を表8に示す。
Figure 2016183179
ザレプロン、Methocel K4M、Lactose Pulvis H2O(登録商標)、Plasdone(登録商標)K29-32の必要量を測定し、0.710mmの開口径を有するスクリーンを用いて手動で篩にかけた。組成物を、Niro-Fielder PMA 25リットル混合造粒機中で、6分間、羽根車スピード250rpmで、チョッパーなしで均一に混ぜた。その後、造粒溶液(精製水、25.47重量%の乾燥混合物)を、4分の間に羽根車スピード250rpm、チョッパースピード1500rpm、ノズルH1/4VV-95015(スプレー速度250g/分)を用いて添加した。混合を均一化および湿った塊を集めるために、3分間、羽根車スピード500rpm、チョッパースピード3000rpmで続けた。
混合した湿った顆粒を、その後、Glatt WSG5 流動空気床乾燥機で乾燥する。注入口温度を乾燥の間45℃に維持する。乾燥を20分間続け、残存湿度2.5%未満の顆粒を得た。得られた乾燥顆粒を、Frewitt MGI 205 整粒機中で、開口径0.8mmのスクリーンを用いて、3分間、244osc/分のスピード(目盛り7)で測定する。Aerosil(登録商標)200およびステアリン酸マグネシウムの適量を、開口径1.0mmのスクリーンを用いて手動で篩にかける。乾燥顆粒の半分をNiro-Fielder PMA 25リットル混合造粒機中に入れ、続いて、Aerosil(登録商標)200、そして、その後、乾燥顆粒の他の半分を入れる。内容物を2分間、羽根車スピード250rpmで混合する。最後に、ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合を2分間、羽根車スピード250rpmで続ける。
コーティング混合物を、下記の方法に従って製造する。バリアー混合物のバッチサイズは13kgである。Calipharm(登録商標)、Compritol(登録商標)888ATO、Lactose pulvis・H2O(登録商標)、Plasdone(登録商標)K29-32およびSicovit(登録商標) Yellow
10 E172の測定量を、開口径0.710mmのスクリーンを用いて手動で篩にかける。それらを、Niro-Fielder PMA 65リットル混合造粒機中に置く。そして、組成物を6分間、羽根車スピード200rpmで、チョッパーなしで均一に混ぜる。その後、造粒溶液(精製水、8.12重量%の乾燥混合物)を、2分の間に羽根車スピード200rpm、チョッパースピード1500rpmで、ノズル4.9(スプレー速度520g/分)を用いて添加する。混合を均一化および集めるために、1分間、羽根車スピード400rpm、チョッパースピード3000rpmで続ける。
混合された湿った顆粒を、その後、Niro-Fielder TSG 2流動空気床乾燥機中で乾燥する。注入口温度を乾燥の間45℃に維持する。乾燥を33分間続け、残存湿度2.5%未満にした。得られた乾燥顆粒を、Frewitt MGI 205 整粒機中で、開口径0.8mmのスクリーンを用いて、4分間、244osc/分のスピード(目盛り7)で測定する。Aerosil(登録商標)200およびステアリン酸マグネシウムの適量を、開口径1.0mmのスクリーンを用いて手動で篩にかける。乾燥顆粒の半分をNiro-Fielder PMA 65リットル混合造粒機中に入れ、続いて、Aerosil(登録商標)200、そして、その後、乾燥顆粒の他の半分を入れる。内容物を2分間、羽根車スピード200rpm、チョッパーなしで混合する。最後に、ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合をさらに2分間、羽根車スピード200rpm、チョッパーなしで続ける。
圧縮コートされた錠剤(直径9mm)を得るために、コア上で440mgのコーティング混合物を圧縮コートする。圧縮コートされた錠剤(直径8mm)を得るために、コア上で305mgのコーティング混合物を圧縮コートする。これらの相違する圧縮コーティングは、Kilian RUD錠剤機を利用してなされる。第1のおよび第2のローディングホッパーを、コーティング顆粒で満たす。2つのローディングホッパーの間に、機械は、コアを送り出すのに適合された移送システムが装着される。それぞれの錠剤のために、第1のローディングホッパーは、コアに供給される量の約半分を提供する。そして、移送システムは、金型の中央にコアを提供し、位置させる。その後、第2のローディングホッパーはコアに供給される量の他の半分を提供する。そして、圧縮工程が起こる。
実施例6
実施例3、4および5の方法により製造される、それぞれザレプロンの5mg充填量を含む錠剤のインビトロ溶出プロフィールを、USP溶出装置No.2(paddles)および固定されたバスケットを用い、および100rpmのかき混ぜスピードを適用して測定する。溶出媒体は、1000mlの容積で、500ml精製水中の0.02%ラウリル硫酸ナトリウムであった。
図3は、実施例3−5の製剤からのザレプロンの放出を表す。少なくとも1時間のタイムラグが、どのケースにおいても観察され、その後、活性物質の即時放出(実施例4)または遅延放出(実施例3および5)が続く。
図1は単に、剤形の2次元表示を示す。 図2は実施例1の製剤および手順にしたがって形成された、いくつかの錠剤の放出プロフィールを示す。 図3は実施例3−5の製剤からのザレプロンの放出を表す。

Claims (21)

  1. 不眠症の処置に有用な薬物物質を含有する剤形であって、剤形は、薬物物質が実質的に放出されないタイムラグの後、該薬物物質を放出するように適合され、該タイムラグは剤形の投与後少なくとも約1時間である、剤形。
  2. タイムラグが、1から4時間である、請求項1に記載の剤形。
  3. タイムラグの間に10%未満の薬物物質が放出される、請求項1または2に記載の剤形。
  4. 剤形からの該薬物物質の放出がpH非依存性である、請求項1−3のいずれかに記載の剤形。
  5. 単位(単一成分)投与形態として提供される、請求項1−4のいずれかに記載の剤形。
  6. 剤形が、USP Paddle Dosage form(タイプII装置)で、100rpm、1000mlの水性溶媒中で測定されるとき、該タイムラグの間、該薬物物質の10%以下が放出されるように、インビトロで該薬物物質の制御放出が得られるように適合されている、請求項1−5のいずれかに記載の剤形。
  7. 剤形が、USP Paddle Method(タイプII装置)で、100rpm、1000mlの水性溶媒中で測定されるとき、該タイムラグの間、該薬物物質の10%以下が放出され、5時間以内に少なくとも約25から60%が放出され、そして、7時間後に少なくとも約80%が放出されるように、インビトロで該薬物物質の制御放出が得られるように適合されている、請求項6に記載の剤形。
  8. 該水性溶媒が、(a)0.1M HClおよびリン酸緩衝液(pH6.8)、または(b)500mlの蒸留水中の0.02%ラウリル硫酸ナトリウム、または(c)精製水を含み、そして、該測定が37℃でなされる、請求項6または7に記載の剤形。
  9. 薬物物質が、ベンゾジアゼピン受容体作動薬;抗ヒスタミン薬;GABA A受容体作動薬;イミダゾピリジン;ウレイド;三級アセチリニックアルコール;ピペリジン誘導体;GABA受容体作動薬;およびメラトニン1受容体作動薬からなる群から選択される、請求項1−8のいずれかに記載の剤形。
  10. 薬物物質が、ブロチゾラム、ロルメタゼパム、ロプラゾラム、フルニトラゼパム、ニトラゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ロプラゾラム、ロルメタゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、クワゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ドキシルアミン、ジフェンヒドラミン、プロメタジン、ニアプラジン、クロメチアゾール、パルアルデヒド、クロラール水和物、トリクロフォス、ザレプロン、ゾルピデム、アセチルカルブロマル、エスクロルビノル、ニアプラジン、チアガビン、グルテチミド、ゾピクローン、エスゾピクローン、ラメルテオン、アゴメラチン、インディプロン、エプリバンセリン、リレキニル、およびギャボキサドールからなる群から選択される、請求項1−9のいずれかに記載の剤形。
  11. 薬物物質がザレプロンである、請求項1−10のいずれかに記載の剤形。
  12. 薬物物質が剤形あたり5から50mgの量で存在する、請求項11に記載の剤形。
  13. 1以上の薬物物質および放出制御剤を含む、請求項1−12のいずれかに記載の剤形。
  14. 放出制御剤が、該薬物物質が溶解され、または分散されているマトリックス中に提供されるか;または、該放出制御剤が薬物物質含有マトリックスを囲む層またはコーティング中に提供される、請求項13に記載の剤形。
  15. コーティングが10%未満の膨潤性の、またはゲル化する物質を含む、請求項14に記載の剤形。
  16. 放出制御剤が、該剤形を構成するバルク物質の欠損部またはチャネルを通して水性の生理的媒体の浸入を可能にするように適合されている、不溶性または水溶性に乏しい疎水性物質を含む、請求項13−15のいずれかに記載の剤形。
  17. 放出制御剤が、1以上の親水性および/または疎水性物質、例えば、ゴム、蜜蝋、グリコワックス、カスターワックスおよびカルナバワックス等の天然および合成ワックス、セラック、および、水素化カスターオイル、水素化植物油、ポリアルキレングリコール、脂肪酸および脂肪アルコール等の長鎖(例えば、8から50の炭素原子)の置換または非置換の炭化水素、または脂肪酸のグルセリルエステル等の鉱物および植物油等を含む、請求項13−16のいずれかに記載の剤形。
  18. 圧縮コートされた錠剤の形態である、請求項1−17のいずれかに記載の剤形。
  19. 睡眠待ち時間および/または覚醒イベントを処置するために好適な、請求項1−18のいずれかに記載の剤形。
  20. 請求項1−19のいずれかに記載の剤形を投与することを含む、それを必要とする患者の不眠症の処置方法。
  21. 請求項1−19のいずれかに記載の剤形の製造における、不眠症の処置に有用な薬物物質の使用。
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