JP2016179451A - 排気ガス浄化触媒装置及び排気ガス浄化方法 - Google Patents

排気ガス浄化触媒装置及び排気ガス浄化方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016179451A
JP2016179451A JP2015061708A JP2015061708A JP2016179451A JP 2016179451 A JP2016179451 A JP 2016179451A JP 2015061708 A JP2015061708 A JP 2015061708A JP 2015061708 A JP2015061708 A JP 2015061708A JP 2016179451 A JP2016179451 A JP 2016179451A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
exhaust gas
composite oxide
catalyst
oxygen
gas purification
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015061708A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6217677B2 (ja
Inventor
益寛 松村
Masuhiro Matsumura
益寛 松村
久也 川端
Hisaya Kawabata
久也 川端
山田 啓司
Keiji Yamada
啓司 山田
重津 雅彦
Masahiko Shigetsu
雅彦 重津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2015061708A priority Critical patent/JP6217677B2/ja
Publication of JP2016179451A publication Critical patent/JP2016179451A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6217677B2 publication Critical patent/JP6217677B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Landscapes

  • Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)
  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】三元触媒と酸化触媒とを備えた排気ガス浄化触媒装置において、NOxが殆ど発生しないHCCI燃焼モードからSI燃焼モードに切替わった後の所定時間内におけるNOx浄化性能を向上させる。
【解決手段】Rhを担持するOSC材として、酸素放出速度の速いCeZr系複合酸化物51と、当該CeZr系複合酸化物51よりも酸素放出速度の遅い非Ce系複合酸化物71とを併用する構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は排気ガス浄化触媒装置及び排気ガス浄化方法に関する。
予備混合圧縮自己着火(Homogeneous Charge Compression Ignition、HCCI)燃焼モードと火花点火(Spark Ignition、SI)燃焼モードとを選択的に切替えて運転可能なエンジンから排出される排気ガスの浄化用触媒装置として、リーンNOx浄化触媒(LNT)と、固体酸性担体に触媒金属を担持したHC触媒材とを同一支持体に担持した触媒装置を使用することにより、HCCI燃焼モードのリーン雰囲気下においても、NOx及びHCを効率よく浄化することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、リーン雰囲気といっても、空燃比(A/F)によってNOx発生量は大きく変化し、一般的にA/F=30よりも高いA/Fで運転するHCCI燃焼モードにおいては、NOxは殆ど発生しなくなる。このため、上記特許文献1のような触媒装置を設ける必要がなくなると考えられる。
一方、上記のようなA/Fが大きく切り替わるエンジンの排気ガス浄化触媒装置として、例えば、上流触媒が触媒金属としてPtを含まないPd/Rh触媒で、下流触媒がPt担持アルミナとRhドープ酸素吸蔵放出材とを含むものや、上流触媒と下流触媒のそれぞれにPtとRhとが含有され、そのうちPtは活性アルミナにのみ担持されているものが知られている(特許文献2,3参照)。
従って、特許文献2,3のような触媒を使用することにより、上述のようなHCCI・SI切替型のエンジンにおいても、NOxが発生しないリーン雰囲気からストイキ(又はリッチ)雰囲気に切替わったときに、Pd/Rh触媒とPt触媒とでHC、CO及びNOxを同時に浄化することが効果的であると考えられる。
特開2014−213269号公報 特開2008−62156号公報 特開2013−220402号公報
しかしながら、本出願人が研究を進めたところ、NOxが殆ど発生しないリーン雰囲気のHCCI燃焼からSI燃焼に切替わった後、所定時間内において、Pd/Rh触媒ではNOx浄化率が低いということが判った。
その原因として、HCCI燃焼時において、Pd/Rh触媒中のRhの表面が酸化状態となり、SI燃焼に切替わった直後から所定時間はRh表面が活性化していないことが考えられる。
そして、燃焼モード切替後にRhの活性化が遅れる要因の1つとして、次のことが考えられる。すなわち、通常、Pd/Rh触媒等の三元触媒には、排気ガスが酸素過剰(リーン)雰囲気下で酸素を吸蔵し、酸素不足(ストイキ又はリッチ)雰囲気下で酸素を放出する酸素吸蔵放出材が含まれている。この酸素吸蔵放出材は、ストイキ運転時のパータベーションになるべく即時追随できるように酸素放出速度の速いものが用いられている。これにより、リーン雰囲気からストイキ又はリッチ雰囲気に切替わったとき、酸素吸蔵放出材から急速に酸素が放出され、その放出された酸素によりRhが還元状態に戻り難いということが考えられる。
そこで、本発明は、Pd/Rh触媒等の三元触媒とPt触媒等の酸化触媒とを備えた排気ガス浄化触媒装置において、NOxが殆ど発生しないHCCI燃焼モードからSI燃焼モードに切替わった後の所定時間内におけるNOx浄化性能を向上させることを課題とする。また、そのような浄化方法をもたらすことを課題とする。
上記の目的を達成するために、本発明では、三元触媒を備えた排気ガス浄化触媒装置において、Rhを担持する酸素吸蔵放出材として、酸素放出速度の速い第1複合酸化物と、当該第1複合酸化物よりも酸素放出速度の遅い第2複合酸化物とを併用する構成とした。
すなわち、ここに開示する排気ガス浄化触媒装置は、エンジンの排気ガス通路に配設され、排気ガス中のHC、CO、及びNOxを同時に浄化可能な三元触媒を備えた排気ガス浄化触媒装置であって、上記三元触媒には、排気ガスがリーン雰囲気下で排気ガス中の酸素を吸蔵するとともに排気ガスがストイキ又はリッチ雰囲気下で吸蔵していた酸素を放出する酸素吸蔵放出材が含有され、上記三元触媒の酸素吸蔵放出材として、Ceを含有する第1複合酸化物と、Ceを含有しない第2複合酸化物とが含まれるとともに、両複合酸化物にRhが担持されており、上記第2複合酸化物の酸素放出速度は、上記第1複合酸化物の酸素放出速度よりも遅い特性を有することを特徴とする。
上述のごとく、リーン雰囲気からストイキ又はリッチ雰囲気に切替わったとき、酸素吸蔵放出材から急速に酸素が放出され、その放出された酸素によりRhが還元状態に戻り難いことが、燃焼モード切替直後から所定時間における三元触媒のNOx浄化率が低いことの要因の1つである。
本発明によれば、三元触媒におけるRh担持用の酸素吸蔵放出材として、酸素放出速度の異なる複数の複合酸化物を併用することにより、リーン雰囲気からストイキ又はリッチ雰囲気に切り替わったときに、酸素吸蔵放出材から酸素が放出される速度を抑えることができる。これにより、酸化状態のRhが還元状態となって触媒金属として活性化されるのを促進することができ、燃焼モード切替直後から所定時間における三元触媒のNOx浄化性能を向上させることができる。
なお、好ましい態様では、上記第1複合酸化物はCeZr系複合酸化物であり、上記第2複合酸化物は、一般式ABで表される非Ce系複合酸化物である。上記CeZr系複合酸化物は、酸素放出速度が速いため、ストイキ運転時のパータベーションに即時追随できる。また、上記非Ce系複合酸化物は、CeZr系複合酸化物よりも酸素放出速度が遅いため、これら両複合酸化物を併用することにより、リーン・ストイキ切替直後の酸素吸蔵放出材からの酸素の放出速度を緩和することができる。なお、好ましい態様では、一般式AB中、AはMg,Ca等のアルカリ土類金属、BはFe,Co,Ni等の遷移金属である。
また、上記三元触媒は、例えば、Rhを含む上層と、Rhを含まずPdを含む下層とからなるとともに、両層にアルミナとCe含有複合酸化物とが含有されているPd/Rh触媒であることが好ましい。これにより、燃焼モードがストイキ又はリッチ燃焼(SI燃焼)時に排気ガスに多く含まれる不飽和HCを効率的に浄化することができる。
好ましい態様では、上記三元触媒の排気ガス流れ方向下流側に、上記三元触媒よりも飽和炭化水素の浄化性能が高い酸化触媒を備える。これにより、燃焼モードがリーン燃焼(HCCI燃焼)時に排気ガスに多く含まれる飽和HCを効率的に浄化することができ、上流側の三元触媒と併用することで、いずれの燃焼モードにおいても効果的に排気ガス中のHC,CO及びNOxを浄化することができる。
なお、好ましくは、上記酸化触媒は、Pt担持アルミナである。これにより効率的に飽和HCを浄化することができる。
好ましい態様では、上記エンジンは、予混合圧縮着火(HCCI)燃焼モードと火花点火(SI)燃焼モードとで選択的に切り替えて運転することが可能である。このようなエンジンの運転では、燃焼モードがHCCI燃焼モードではリーン燃焼であり、SI燃焼ではストイキ又はリッチ燃焼である。
また、ここに開示する排気ガス浄化方法は、燃焼モードをリーン燃焼とストイキ又はリッチ燃焼との間で選択的に切替えて運転可能なエンジンの排気ガスを浄化する方法であって、上記エンジンの排気ガス通路に、排気ガス中のHC、CO、及びNOxを同時に浄化可能な三元触媒が配置され、上記三元触媒には、排気ガスがリーン雰囲気下で排気ガス中の酸素を吸蔵するとともに排気ガスがストイキ又はリッチ雰囲気下で吸蔵していた酸素を放出する酸素吸蔵放出材が含有され、上記三元触媒の酸素吸蔵放出材として、Ceを含有する第1複合酸化物と、Ceを含有しない第2複合酸化物とが含まれるとともに、両複合酸化物にRhが担持されており、上記第2複合酸化物の酸素放出速度は、上記第1複合酸化物の酸素放出速度よりも遅い特性を有し、上記エンジンの燃焼モードがリーン燃焼からストイキ又はリッチ燃焼に切り替わったときに、上記酸素吸蔵放出材からの酸素放出速度を抑えることにより、酸化状態のRhが還元状態となって触媒金属として活性化されるのを促進することを特徴とする。これにより、燃焼モード切替直後から所定時間における三元触媒のNOx浄化率を向上させることができる。
好ましい態様では、上記第1複合酸化物はCeZr系複合酸化物であり、上記第2複合酸化物は、Ceを含有せず且つ一般式ABで表される複合酸化物である。好ましい態様では、一般式AB中、AはMg,Ca等のアルカリ土類金属、BはFe,Co,Ni等の遷移金属である。
また、好ましい態様では、上記三元触媒の排気ガス流れ方向下流側に、上記三元触媒よりも飽和炭化水素の浄化性能が高い酸化触媒を備える。好ましくは、上記酸化触媒はPt担持活性アルミナである。
上記排気ガス浄化方法は、予混合圧縮着火(HCCI)燃焼モードと火花点火(SI)燃焼モードとで選択的に切り替えて運転可能なエンジンの排気ガスを浄化する方法として好適に使用することができる。
以上述べたたように、本発明によると、三元触媒におけるRh担持用の酸素吸蔵放出材として、酸素放出速度の異なる複数の複合酸化物を併用することにより、リーン雰囲気からストイキ又はリッチ雰囲気に切り替わったときに、酸素吸蔵放出材から酸素が放出される速度を抑えることができる。これにより、酸化状態のRhが還元状態となって触媒金属として活性化されるのを促進することができ、燃焼モード切替直後から所定時間における三元触媒のNOx浄化性能を向上させることができる。
本発明の実施形態に係るエンジンシステムの構成を示す概略図。 エンジンの燃焼モードマップの一例を示す図。 第1触媒の構成を模式的に示す断面図。 第2触媒の構成を模式的に示す断面図。 リーン・ストイキ切替評価試験におけるA/Fの経時変化を示すグラフ。 図5に示す試験において、実施例及び比較例のNOx濃度の経時変化を示すグラフ。 図5に示す試験において、実施例及び比較例のNOx浄化率を示すグラフ。 各OSC材毎の酸素放出速度を示すグラフ。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
<エンジン>
図1に示す実施形態に係るエンジン1は、運転状態に応じて燃焼モードをHCCI燃焼(リーン燃焼)とSI燃焼(ストイキ又はリッチ燃焼)とで選択的に切り替えて運転可能な多気筒のガソリンエンジンであり、自動車に搭載される。
同図において、3は複数の気筒2を有するシリンダブロック、4はシリンダヘッド、5は各気筒2に設けられたピストンである。ピストン5の上面とシリンダヘッド4の下面との間に燃焼室6が形成される。ピストン5はコネクティングロッド8によってクランク軸7に連結されている。
シリンダヘッド4には、気筒2毎に吸気ポート9と排気ポート10が形成されている。吸気ポート9及び排気ポート10各々に吸気弁11及び排気弁12が設けられている。吸気弁11及び排気弁12各々は動弁機構13によりクランク軸7の回転に同期して駆動される。
吸気弁11及び排気弁12の各動弁機構13には、可変バルブリフト機構(以下、「VVL」という)14と、可変バルブタイミング機構(以下、「VVT」という)15とが組み込まれている。VVL14及びVVT15各々は、エンジン制御ユニット30からの指令に基づいて作動し、前者は吸気弁11及び排気弁12のリフト量(開弁量)を変更し、後者は、吸気弁11及び排気弁12の開閉タイミング(位相角度)を変更する。このVVL14及びVVT15によって、吸気弁11及び排気弁12のリフト特性がエンジン運転状態に応じて変更される。その結果、各気筒2への吸入空気量や残留既燃ガス(内部EGR)量が変わる。なお、VVL14及びVVT15は、一般に用いられているものであって当業者には公知であるので、その詳しい説明は省略する。
シリンダヘッド4には、各気筒2毎に燃焼室6に臨む点火プラグ16が設けられている。点火プラグ16は、点火回路17からの給電に応じて、所定のタイミングで放電(火花点火)を行なう。シリンダヘッド4には、各気筒2毎に吸気側の側方から燃焼室6に臨む燃料噴射弁18が設けられている。燃料噴射弁18には、燃料タンクからの燃料が高圧燃料ポンプ19によって燃料通路を介して供給される。なお、高圧燃料ポンプ19は、燃料噴射弁18への燃料の供給圧すなわち燃圧を低圧から高圧までの広い範囲で自在に変化させる。燃料噴射弁18は、所定の噴射タイミング(吸気行程等)で燃焼室6に対して燃料を直接噴射し、燃焼室6内に所定の空燃比の混合気を生成する。
エンジン1の吸気通路20の途中にはサージタンク21が設けられている。サージタンク21よりも上流側の吸気通路20に電子制御式のスロットル弁22が配設されている。吸気通路20はサージタンク21よりも下流側で気筒2毎に分岐し各々の下流端が各気筒2の吸気ポート9に接続されている。
エンジン1の排気ガス通路25は、その上流端側が分岐して各気筒2の排気ポート10に接続されている。排気ガス通路25の上流部には排気ガス浄化触媒装置27が設けられ、さらに、この触媒装置27よりも下流側の排気ガス通路25に排気ガス浄化用触媒装置28が設けられている。本実施形態では、上流側の触媒装置27は、上流端側が分岐した排気マニホールドの下流端に直結して自動車のエンジンルームに配置され、下流側の触媒装置28は自動車のフロア下に配置されている。
上記エンジン制御ユニット30は、中央算出処理装置(CPU)、各種メモリ等を有するコンピュータで構成されている。この制御ユニット30は、各種センサによって検出される制御情報に基いて、上記VVL14、VVT15、点火回路17、燃料噴射弁18、高圧燃料ポンプ19、スロットル弁22等の作動をエンジン1の運転状態に応じて制御する。
上記センサとしては、クランク軸7の回転角(クランク角度)を検出するクランク角センサ31、エンジン1に供給される空気量を検出するエアフローセンサ32、アクセル開度(アクセルペダル操作量)を検出するアクセル開度センサ33、各気筒2の筒内圧力(燃焼室6内の圧力)を検出する筒内圧センサ34、自動車の速度を検出する車速センサ35、吸気温度(サージタンク21内の空気の温度)を検出する吸気温度センサ36、並びに高圧燃料ポンプ19から燃料噴射弁18に供給される燃料の圧力を検出する燃圧センサ37がある。これらセンサ31〜37は制御ユニット30と電気的に接続されている。筒内圧34センサは、点火プラグ16と一体形成されたものであって、点火プラグ16内に内蔵されている。なお、筒内圧センサ34を、燃料噴射弁18と一体形成してもよい。
ここに、上記制御ユニット30は、上記制御情報に基づいて、点火プラグ16を用いることなく吸気行程中に生成された混合気を圧縮上死点付近で圧縮自己着火させて燃焼させるHCCI燃焼モードと、点火プラグ16を用いて火花点火により混合気を強制的に着火させて燃焼させるSI燃焼モードとの間で、エンジン運転の燃焼モードを切り替える。
図2に燃焼モードマップを示すように、本実施形態では、所定の低回転・低負荷のエンジン運転領域をHCCI領域とし、該HCCI領域を越える高回転又は高負荷のエンジン運転領域をSI領域として設定しており、エンジンはSI燃焼モードで始動される。この燃焼モードマップは、エンジン回転速度とエンジン負荷とに対応する最適な燃焼モードを予め実験的に求めて設定されたものであり、制御ユニット30のメモリに電子的に格納されている。
また、制御ユニット30のメモリには、アクセル開度とエンジン回転速度の変化に対して目標トルク(エンジン負荷)の最適値を実験的に決定して記録した目標トルクマップ、並びにこの目標トルク、吸入空気量及び回転数の変化に応じて実験的に決定した最適な燃料噴射量Qmを記録した燃料噴射量マップが、電子的に格納して備えられている。目標トルクマップでは、アクセル開度が大きいほど、またエンジン回転速度が高いほど、目標トルクが大きくなっている。
HCCI燃焼モードでの運転時には、排気弁12の開弁期間と吸気弁11の開弁期間とが、排気上死点(排気行程と吸気行程の間の上死点)付近で両弁11,12が共に閉弁されるネガティブバルブオーバーラップ期間(NVO期間)が存在するように設定される。そして、排気上死点後においてNVO期間が終了して吸気弁11が開弁された後に、燃料噴射弁18による燃料の噴射が行われる。この噴射された燃料は、燃焼室6内において混合気を形成し、その混合気が圧縮上死点付近においてそれ自体で(すなわち、他の点火手段又は着火手段を介することなく)圧縮自己着火する。
SIモードでの運転時には、各気筒サイクルにおいて、排気弁12の開弁期間と吸気弁11の開弁期間とが、排気上死点付近で両弁11,12の開弁期間が若干オーバーラップするように設定される。そして、吸気弁11が開弁された後に燃料噴射弁18によって1回だけ通常の燃料噴射が行われる。この後、圧縮上死点(圧縮行程と膨張行程との間の上死点)付近で点火プラグ16により混合気が点火され、混合気ないしは燃料が火炎伝播により燃焼する。
上述のHCCI燃焼モードでは、混合気(燃料)が火炎伝播を生じさせることなく急速に燃焼する。この場合、燃焼温度が火花点火の場合に比べて低いので、NOx発生量が大幅に低減される。そして、炭素数5の飽和HC(n−C12、iso−C12)やCOが大量に排出される。
<排気ガス浄化触媒装置27>
排気ガス浄化触媒装置27は、エンジン1の排気ガス通路25に配設され、エンジン1から排出される飽和・不飽和HC、CO、及びNOxを含む排気ガスを効率よく浄化するものである。排気ガス浄化触媒装置27は、排気ガス流れ方向上流側から順に、第1触媒41(三元触媒)、及び第2触媒42(酸化触媒)を備えている。
なお、本明細書において、「上流側」又は「下流側」とは、エンジン1の排気ガス通路25において、排気ガスの流れる方向に対して、その上流側又は下流側を意味する。
[第1触媒及びその調製]
第1触媒41は、排気ガス中のHC、CO、及びNOxを同時に浄化するためのものであり、特にSI燃焼モード運転時にエンジン1から排出される不飽和HCを多く含む排気ガスを効率よく浄化するためものである。
図4に模式的に示すように、上流側の第1触媒41はPd含有触媒層43とRh含有触媒層44を備えている。Pd含有触媒層43はハニカム担体45の排気ガス通路壁に形成され、Rh含有触媒層44はPd含有触媒層43の上に重ねられている。この両触媒層43,44はPtを含有しない。
Pd含有触媒層43は、活性アルミナ58にPd59を担持させてなるPd担持アルミナ60、CeZr系複合酸化物61にPd59を担持させてなるPd担持CeZr系複合酸化物62、CeZr系複合酸化物63、並びにバインダ64を含有する。本実施形態のバインダ64はY安定化ジルコニアバインダである。
Rh含有触媒層44は、OSC材(酸素吸蔵放出材)としてCeZr系複合酸化物51(第1複合酸化物)と、非Ce系複合酸化物71(第2複合酸化物)とを含有する。すなわち、CeZr系複合酸化物51にRh52を担持させてなるRh担持CeZr系複合酸化物53、非Ce系複合酸化物71にRh52を担持させてなるRh担持非Ce系複合酸化物72、Ce非含有のZr系複合酸化物54にRh52を担持させてなるRh担持Zr系複合酸化物55、活性アルミナ56、並びにバインダ57を含有する。なお、Rh担持CeZr系複合酸化物53は還元処理済みのものを採用している。また、Rh52はZr系複合酸化物54に担持させる代わりに活性アルミナに担持させるようにしてもよい。
ここに、CeZr系複合酸化物51は、Ceの価数変化を伴う反応が可逆的に進行することによって排気ガス中の酸素を吸蔵して活性酸素として放出する。このため酸素放出速度が速く、ストイキ運転時のパータベーションに即時追随できる。CeZr系複合酸化物51としては、具体的には例えばCe,Zr以外にNd,La,Y等を含有するものを使用することができる。
また、非Ce系複合酸化物71は、一般式ABで表され、AはMg,Ca等のアルカリ土類金属、BはFe,Co,Ni等の遷移金属である。このような非Ce系複合酸化物は遷移金属の反応により酸素を吸蔵し活性酸素として放出する。
ここで、非Ce系複合酸化物71は、CeZr系複合酸化物51よりも酸素放出速度が遅いという特性を有する。従って、両複合酸化物を併用することにより、リーン・ストイキ切替直後の酸素吸蔵放出材からの酸素の放出速度を緩和することができる。
また、Zr系複合酸化物54は、高いイオン伝導性を持ち、酸素交換反応によって周囲から酸素を内部に取り込んで活性な酸素を放出する。Zr系複合酸化物54としては、Zrの他に、La,Y等を含有するものを使用することができる。
また、バインダ57は、Y安定化ジルコニアバインダ、RhドープCeZr系複合酸化物等を使用することができる。RhドープCeZr系複合酸化物は還元処理を行ったものを使用することが好ましい。還元処理を行うにより、バインダ表面の金属Rh量が多くなり、金属Rhと排気ガスとの接触機会が増大し、第1触媒の排気ガス浄化性能を向上させることができる。
PdはRhに比べて熱劣化し易く、また、硫黄被毒や燐被毒を生じることが知られているところ、本実施形態では、Pd含有触媒層43を下側に配置しているから、上側のRh含有触媒層44によってPdの熱劣化や被毒が抑制される。RhはPdと合金化して劣化することが知られているところ、この両触媒金属を異なる触媒層に配置したから、その合金化が防止される。
Pd含有触媒層43を構成する触媒材及びバインダ材をイオン交換水と混合してなるスラリーに担体45を浸漬して取り出す。この担体45に余分に付着したスラリーをエアブローで除去する。その後、大気中において、担体45に付着したスラリーの乾燥(150℃)及び焼成(500℃で2時間保持)を行なう。これにより、担体45の排気ガス通路壁にPd含有触媒層43が形成される。
次に、Rh含有触媒層44を構成する触媒材のうちのRh担持Zr系複合酸化物材55を還元処理する。還元処理は、COを含む還元雰囲気下において、550℃以上800℃以下に加熱処理することにより行う。これにより、Zr系複合酸化物54の表面上に金属Rh52が高い分散度で散在するようになり、その金属Rh52の表面積が増大する。そうし、Rh52と排気ガスとの接触面積が増大するので、触媒の活性点が増加し、触媒性能を向上できる。
そして、上記Rh含有触媒層44を構成する全触媒材及びバインダ材をイオン交換水と混合してなるスラリーに、Pd含有触媒層43を有する担体45を浸漬して取り出す。そして、Pd含有触媒層43に付着した余分なスラリーをエアブローで除去した後、大気中でのスラリーの乾燥(150℃)及び焼成(500℃で2時間保持)を行なう。これにより、Pd含有触媒層43の表面上にRh含有触媒層44が形成される。
[第2触媒及びその調製]
第2触媒42は、上記第1触媒よりも飽和HC(飽和炭化水素)の浄化性能が高く、特にHCCI燃焼モード運転時にエンジン1から排出される飽和HCを多く含む排気ガスを効率良く浄化するものであり、第1触媒41の排気ガス流れ下流側に配置されている。
本実施形態に係るエンジン1では、燃焼モードの切替により、排気ガス中の飽和HCと不飽和HCの割合が変化するが、このように、第1触媒41と第2触媒42を併置することにより、いずれの燃焼モードにおいても排気ガス中のHCを効率よく浄化することができる。なお、第1触媒41と第2触媒42は、いずれが上流側に配置されてもよい。ここで、第2触媒42のハニカム担体の熱容量は第1触媒41のハニカム担体の熱容量よりも小さい。
図5に模式的に示すように、第2触媒42は、ハニカム担体65の排気ガス通路壁にPt含有触媒層66を形成してなる。Pt含有触媒層66は、活性アルミナ58にPt67を担持させてなるPt担持アルミナ68、並びにバインダ69を含有する。本実施形態のバインダ69はY安定化ジルコニアバインダである。
第2触媒42の調製方法は次のとおりである。Pt担持アルミナ材及びバインダ材をイオン交換水と混合してなるスラリーに担体65を浸漬して取り出す。この担体65に余分に付着したスラリーをエアブローで除去した後、大気中において、スラリーの乾燥(150℃)及び焼成(500℃で2時間保持)を行なう。これにより、担体65の排気ガス通路壁にPt含有触媒層66が形成される。
[各触媒材の調製]
−Pd担持CeZr系複合酸化物62−
CeZr系複合酸化物としてCeZrNd複合酸化物を採用するケースを例に当該調製方法を説明する。
CeZrNd複合酸化物は共沈法を用いて調製できる。まず、硝酸セリウム6水和物、オキシ硝酸ジルコニウム溶液、硝酸ネオジム6水和物、及びイオン交換水を混合してなる硝酸塩溶液に、28質量%アンモニア水の8倍希釈液を混合して中和することにより共沈物を得る。この共沈物を含む溶液を遠心分離器にかけて上澄み液を除去する(脱水)、そこにさらにイオン交換水を加えて撹拌する(水洗)、という操作を必要回数繰り返す。その後、共沈物を大気中において150℃で一昼夜乾燥し、粉砕した後、大気中において500℃で2時間焼成する。これにより、CeZrNd複合酸化物の粉末が得られる。このCeZrNd複合酸化物粉末に、硝酸パラジウム水溶液を用いて蒸発乾固法によってPdを担持する。このようにして、Pd担持CeZr系複合酸化物を得ることができる。
−Pd担持アルミナ60−
Pd担持アルミナ60は、硝酸パラジウム水溶液を用いた蒸発乾固法によってPdを活性アルミナ粉末に担持することで得ることができる。なお、本明細書に記載されている活性アルミナとしては、全てLaを4質量%含有するものを採用している。
−CeZr系複合酸化物63−
CeZr系複合酸化物63も上述の共沈法によって得ることができる。
−Rh担持CeZr系複合酸化物53−
Rh担持CeZr系複合酸化物53は、上述の共沈法によって得たCeZrNd複合酸化物粉末にRhを蒸発乾固法によって担持することで得ることができる。Rh源としては硝酸ロジウム水溶液を用いることができる。
−Rh担持Zr系複合酸化物55−
Ce非含有のZr系複合酸化物としてZrLaアルミナを採用するケースを例に当該調製方法を説明する。
ZrLaアルミナは、次のようにして調製した。すなわち、硝酸ジルコニウム及び硝酸ランタンの混合溶液に活性アルミナ粉末を分散させ、これにアンモニア水を加えて沈殿を生成した。得られた沈殿物を濾過、洗浄し、200℃で2時間保持する乾燥、並びに500℃に2時間保持する焼成を行なうことにより、ZrLaアルミナ粉末を得た。その組成は、ZrO:La:Al=38:2:60(質量比)である。このZrLaアルミナ粉末に、硝酸ロジウム水溶液を用いてRhを蒸発乾固法によって担持した後、CO雰囲気下、550℃以上800℃以下で加熱処理することにより、Rh担持ZrLaアルミナが得られる。
−Rh担持非Ce系複合酸化物72−
非Ce系複合酸化物71として、MgFe複合酸化物を採用するケースを例に当該調整方法を説明する。
MgFe複合酸化物は、次のようにして調製した。すなわち、硝酸マグネシウム水溶液、硝酸鉄水溶液、及びイオン交換水を混合してなる硝酸塩溶液に、28質量%アンモニア水の8倍希釈液を混合して中和することにより共沈物を得る。この共沈物を含む溶液を遠心分離器にかけて上澄み液を除去する(脱水)、そこにさらにイオン交換水を加えて撹拌する(水洗)、という操作を必要回数繰り返す。その後、共沈物を大気中において150℃で一昼夜乾燥し、粉砕した後、大気中において800℃で5時間焼成する。これにより、MgFe複合酸化物の粉末が得られる。なお、得られたMgFe複合酸化物粉末は、XRD測定によれば、MgFeを主相とする複合酸化物である。
このMgFe複合酸化物粉末に、硝酸ロジウム水溶液を用いて蒸発乾固法によってRhを担持する。このようにして、Rh担持非Ce系複合酸化物を得ることができる。
<排気ガス浄化方法>
本実施形態に係る排気ガス浄化触媒装置27を用いた排気ガス浄化方法は、以下の通りである。
すなわち、HCCI燃焼時には、NOxが排出されないため、第1触媒及び第2触媒により排気ガス中のHC及びCOが効果的に浄化される。特に、HCCI燃焼時には、排気ガス中に飽和HCが多く含まれるため、第2触媒による飽和HCの浄化が効果的に進行する。
一方、SI燃焼時には、NOxが排出されるとともに、排気ガス中に不飽和HCが多く含まれるため、第1触媒によるNOx及び不飽和HCの浄化が特に効果的に進行する。
そして、HCCI燃焼からSI燃焼に切り替わった直後は、上述のごとく、上記OSC材として2種類の複合酸化物、すなわちCeZr系複合酸化物51及び非Ce系複合酸化物71を採用していることにより、これらOSC材からの酸素放出速度が全体として抑えられる。これにより、第1触媒中の酸化状態のRhが還元状態となって触媒金属として活性化されるのが促進される。
このようにして、燃焼モード切替から所定時間のNOx浄化率を効果的に向上させることができる。
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
実施例1,2及び比較例1,2で使用した第1触媒と第2触媒の構成を表1〜表5に示す。
なお、比較例1は、従来の第1触媒及び第2触媒を備えた構成、比較例2は第1触媒のみを備えた構成となっている。
表1及び表2に示すように、実施例1,2において、OSC材である第1複合酸化物は、CeZrNd複合酸化物である。また、第2複合酸化物は、実施例1ではMgFe、実施例2ではCaFeOである。
ここに、第1触媒を担持するハニカム担体としては、「四角セル、3.5mil/600cpsi、嵩密度0.292g/cm」を用いた。また、第2触媒を担持するハニカム担体には「六角セル、3.5mil/600cpsi、嵩密度0.276g/cm」を用いた。これら担体は同じコージェライト製であり、嵩密度の違いから、第2触媒の熱容量はNOxトラップ材及び第1触媒の熱容量よりも小さいものとなっている。
[リーン・ストイキ切替評価試験]
表5に示す、実施例1,2及び比較例1の排気ガス浄化触媒装置について、燃焼モード切替(リーン→ストイキ)時のNOx浄化性能を調べるため、模擬ガスによるリーン・ストイキ切替評価試験を行った。
−サンプル作製−
まず、表1〜表4に示す第1触媒及び第2触媒のサンプルA〜Dを以下の方法で作製した。なお、A〜Dの記号は表1〜表4の記号に対応している。
まず、上記ハニカム担体を使用して表1〜4に示す構成の第1触媒及び第2触媒のサンプルA〜Dを作製し、これらにベンチエージングを行なった。このベンチエージングは、両サンプルをエンジンの排気管に取り付け、触媒温度が880℃となるようにエンジン回転数・負荷を設定し、当該エンジンの排気ガスに触媒を100時間晒すというものである。エンジン運転期間中、Pを添加したエンジンオイルを吸気マニホールドにポンプで供給し続けるようにした。
上記ベンチエージング後、サンプルA〜Dから担体容量25mLのコアサンプルA〜Dを各々切り出し、表5に示す構成で実施例1,2及び比較例1に対応するコアサンプルA〜Dをモデルガス流通反応装置に取り付けた。
−NOx濃度の経時変化−
ストイキ条件において、排気ガスの入口ガス温度を上昇させ、500℃で10分保持(前処理)した後、N中で温度を100度まで下げた。その後、ストイキ条件下で、400℃まで昇温した。
温度が一定になったところで、表6に示すHCCIリーンを模擬したガス条件(1)と、SIストイキ燃焼を模擬したガス条件(2)を使用し、図5に示すように、100秒毎にSI燃焼(ストイキ、A/F=14.7)とHCCI燃焼(リーン、A/F=20)とをSI→HCCI→SIとなるように切り替えて、排気ガス浄化触媒装置から排出される排気ガス中のNOx濃度(ppm)を検出した。
表6に示すように、HCCIリーンを模擬したガス条件(1)は、NOxを含有しない。また、SIストイキを模擬したガス条件(2)の組成は、NOxを1000ppm含有する。
−結果と考察−
図6に、実施例1及び比較例1において触媒装置から排出されるNOx濃度(ppm)の測定結果を示す。
図5において、650秒でSI→HCCI→SIの切替を行ったことにより、HCCIに切り替えた瞬間に模擬ガス中のNOx濃度は0となる。その後SI燃焼に切り替えた瞬間に模擬ガス中のNOx濃度は1000ppmとなるが、切替直後は第1触媒のNOx浄化性能が低いため、図6に示すように浄化しきれないNOxが排出される。その後680秒程度でNOx濃度は0となり、第1触媒によって模擬ガス中のNOxが浄化されていると考えられる。従って、図6中の約660秒、約760秒、約860秒に観測されるNOx濃度ピークは、上述のように排出されたNOxに起因するものと考えられる。
図6を参照し、例えば実施例1のNOx浄化率Pを下記式(1)により算出した。
=(X−Y)/X ・・・(1)
ここで、Xは、図6において、650〜680秒における触媒装置を通過しない模擬ガスのNOx濃度(ppm)の積算値、Yは、同様に650〜680秒における実施例1のNOx濃度(ppm)積算値である。
同様に、750〜780秒におけるNOx浄化率P、850〜880秒におけるNOx浄化率Pを各々算出し、実施例1のNOx浄化率PとしてP〜Pの平均値を求めた。
このようにして、実施例2及び比較例1についてもそれぞれのNOx浄化率Pを算出した。結果を表6及び図7に示す。
表6及び図7に示すように、従来の第1触媒Cを備えた比較例1では、NOx浄化率Pは89.6%であるのに対し、第1触媒A,Bを備えた実施例1,2では、NOx浄化率がそれぞれ93.1%,91.6%となり、NOx浄化性能が向上していることが判る。
これは、第1触媒のRh含有触媒層においてRhが担持されるOSC材を、後述する[酸素放出速度評価試験]の結果から判るように、酸素放出速度の速いCeZr系複合酸化物と、このCeZr系複合酸化物よりも酸素放出速度の遅い非Ce系複合酸化物とを含むものとしたことにより、(1)HCCIリーンから(2)SIストイキに切替直後のOSC材からの酸素放出速度が比較例1のものよりも抑えられ、第1触媒A,Bに含有されるRhの活性化が促進された結果、第1触媒A,BのNOx浄化性能が向上したためと考えられる。
[酸素放出速度評価試験]
実施例1,2及び比較例1で使用した3種類のOSC材、すなわちMgFe、CaFe、Rh担持CeZrNd複合酸化物(10%CZN)、について、酸素放出速度評価試験を行った。
−サンプル作製−
各OSC材、及びバインダ材としてのY安定化ジルコニアをイオン交換水と混合してなるスラリーに、第1触媒の担持に使用したものと同じハニカム担体を浸漬して取り出す。この担体に余分に付着したスラリーをエアブローで除去した後、大気中において、スラリーの乾燥(150℃)及び焼成(500℃で2時間保持)を行なう。これにより、担体の排気ガス通路壁に各OSC材が担持されたサンプルが形成される。なお、担体1LあたりのOSC材及びバインダ材の担持量は、それぞれ100g/L及び11.1g/Lである。
これらのサンプルに対し上述のベンチエージングを行った後、担体容量25mLのコアサンプルを各々切り出し、モデルガス流通反応装置に取り付けた。
−O濃度の経時変化及び酸素放出速度の算出−
ストイキ条件において、排気ガスの入口ガス温度を上昇させ、520℃で10分保持(前処理)した後、N中で温度を100度まで下げた。その後、ストイキ条件下で、600℃まで昇温し、温度が一定になった後、表6に示す模擬ガス条件(1)HCCIリーンと、(2)SIストイキを、180秒毎に繰り返し、その時のO濃度(ppm)の変化を測定した。
そして、(1)HCCIリーンから(2)SIストイキへ切り替えてから10秒間のO濃度変化の時間積分と、対応する模擬ガスのO濃度変化の時間積分とから、各OSC材の酸素放出量(μmol)を求め、1秒間に放出される酸素放出量を酸素放出速度(μmol/s)として算出した。結果を図8に示す。
−結果−
図8に示すように、10%CZNでは、酸素放出速度が4.2μmol/sであったのに対し、MgFeでは1.5μmol/s、CaFeでは2.2μmol/sとなり、10%CZNに比べて非Ce系複合酸化物では、酸素放出速度がかなり遅いことが判る。
本発明は、三元触媒と酸化触媒とを備えた排気ガス浄化触媒装置において、NOxが殆ど発生しないHCCI燃焼モードからSI燃焼モードに切替わった後の所定時間内におけるNOx浄化性能を向上させるので、極めて有用である。
1 エンジン
25 排気ガス通路
27 排気ガス浄化触媒装置
41 第1触媒(三元触媒)
42 第2触媒(酸化触媒)
51 CeZr系複合酸化物(第1複合酸化物)
52 Rh
68 Pt担持アルミナ
71 非Ce系複合酸化物(第2複合酸化物)

Claims (10)

  1. エンジンの排気ガス通路に配設され、排気ガス中のHC、CO、及びNOxを同時に浄化可能な三元触媒を備えた排気ガス浄化触媒装置であって、
    上記三元触媒には、排気ガスがリーン雰囲気下で排気ガス中の酸素を吸蔵するとともに排気ガスがストイキ又はリッチ雰囲気下で吸蔵していた酸素を放出する酸素吸蔵放出材が含有され、
    上記三元触媒の酸素吸蔵放出材として、Ceを含有する第1複合酸化物と、Ceを含有しない第2複合酸化物とが含まれるとともに、両複合酸化物にRhが担持されており、
    上記第2複合酸化物の酸素放出速度は、上記第1複合酸化物の酸素放出速度よりも遅い特性を有する
    ことを特徴とする排気ガス浄化触媒装置。
  2. 請求項1において、
    上記第1複合酸化物はCeZr系複合酸化物であり、上記第2複合酸化物は、一般式ABで表される非Ce系複合酸化物である
    ことを特徴とする排気ガス浄化触媒装置。
    (ここで、AはMg,Ca等のアルカリ土類金属、BはFe,Co,Ni等の遷移金属である。)
  3. 請求項1又は請求項2において、
    上記三元触媒の排気ガス流れ方向下流側に、上記三元触媒よりも飽和炭化水素の浄化性能が高い酸化触媒を備えた
    ことを特徴とする排気ガス浄化触媒装置。
  4. 請求項3において、
    上記酸化触媒はPt担持活性アルミナである
    ことを特徴とする排気ガス浄化触媒装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
    上記エンジンは、予混合圧縮着火燃焼モードと火花点火燃焼モードとで選択的に切り替えて運転可能である
    ことを特徴とする排気ガス浄化触媒装置。
  6. 燃焼モードをリーン燃焼とストイキ又はリッチ燃焼との間で選択的に切替えて運転可能なエンジンの排気ガスを浄化する排気ガス浄化方法であって、
    上記エンジンの排気ガス通路に、排気ガス中のHC、CO、及びNOxを同時に浄化可能な三元触媒が配置され、
    上記三元触媒には、排気ガスがリーン雰囲気下で排気ガス中の酸素を吸蔵するとともに排気ガスがストイキ又はリッチ雰囲気下で吸蔵していた酸素を放出する酸素吸蔵放出材が含有され、
    上記三元触媒の酸素吸蔵放出材として、Ceを含有する第1複合酸化物と、Ceを含有しない第2複合酸化物とが含まれるとともに、両複合酸化物にRhが担持されており、
    上記第2複合酸化物の酸素放出速度は、上記第1複合酸化物の酸素放出速度よりも遅い特性を有し、
    上記エンジンの燃焼モードがリーン燃焼からストイキ又はリッチ燃焼に切り替わったときに、上記酸素吸蔵放出材からの酸素放出速度を抑えることにより、酸化状態のRhが還元状態となって触媒金属として活性化されるのを促進する
    ことを特徴とする排気ガス浄化方法。
  7. 請求項6において、
    上記第1複合酸化物はCeZr系複合酸化物であり、上記第2複合酸化物は、一般式ABで表される非Ce系複合酸化物である
    ことを特徴とする排気ガス浄化方法。
    (ここで、AはMg,Ca等のアルカリ土類金属、BはFe,Co,Ni等の遷移金属である。)
  8. 請求項6又は請求項7において、
    上記三元触媒の排気ガス流れ方向下流側に、上記三元触媒よりも飽和炭化水素の浄化性能が高い酸化触媒を備えた
    ことを特徴とする排気ガス浄化方法。
  9. 請求項8において、
    上記酸化触媒はPt担持活性アルミナである
    ことを特徴とする排気ガス浄化方法。
  10. 請求項6乃至請求項9のいずれか一において、
    上記エンジンは、予混合圧縮着火燃焼モードと火花点火燃焼モードとで選択的に切替えて運転可能である
    ことを特徴とする排気ガス浄化方法。
JP2015061708A 2015-03-24 2015-03-24 排気ガス浄化触媒装置及び排気ガス浄化方法 Active JP6217677B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015061708A JP6217677B2 (ja) 2015-03-24 2015-03-24 排気ガス浄化触媒装置及び排気ガス浄化方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015061708A JP6217677B2 (ja) 2015-03-24 2015-03-24 排気ガス浄化触媒装置及び排気ガス浄化方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016179451A true JP2016179451A (ja) 2016-10-13
JP6217677B2 JP6217677B2 (ja) 2017-10-25

Family

ID=57131618

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015061708A Active JP6217677B2 (ja) 2015-03-24 2015-03-24 排気ガス浄化触媒装置及び排気ガス浄化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6217677B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018161618A (ja) * 2017-03-24 2018-10-18 マツダ株式会社 触媒付きパティキュレートフィルタの製造方法
WO2018199248A1 (ja) * 2017-04-28 2018-11-01 ユミコア日本触媒株式会社 排気ガス浄化用触媒およびそれを用いた排気ガス浄化方法
WO2018225514A1 (ja) * 2017-06-05 2018-12-13 マツダ株式会社 エンジンの排気ガス処理装置及びその製造方法
JP2020131060A (ja) * 2019-02-13 2020-08-31 三菱自動車工業株式会社 内燃機関の排気浄化触媒

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004176589A (ja) * 2002-11-26 2004-06-24 Toyota Motor Corp 排ガス浄化装置
WO2010010714A1 (ja) * 2008-07-23 2010-01-28 新日鉄マテリアルズ株式会社 酸素貯蔵材料、排ガス浄化用触媒、及び排ガス浄化用ハニカム触媒構造体
JP2013184143A (ja) * 2012-03-09 2013-09-19 Nippon Steel & Sumikin Materials Co Ltd 排ガス浄化用触媒担体及びその製造方法、並びに排ガス浄化用触媒
JP2013220401A (ja) * 2012-04-18 2013-10-28 Mazda Motor Corp 排気ガス浄化用触媒

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004176589A (ja) * 2002-11-26 2004-06-24 Toyota Motor Corp 排ガス浄化装置
WO2010010714A1 (ja) * 2008-07-23 2010-01-28 新日鉄マテリアルズ株式会社 酸素貯蔵材料、排ガス浄化用触媒、及び排ガス浄化用ハニカム触媒構造体
JP2013184143A (ja) * 2012-03-09 2013-09-19 Nippon Steel & Sumikin Materials Co Ltd 排ガス浄化用触媒担体及びその製造方法、並びに排ガス浄化用触媒
JP2013220401A (ja) * 2012-04-18 2013-10-28 Mazda Motor Corp 排気ガス浄化用触媒

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018161618A (ja) * 2017-03-24 2018-10-18 マツダ株式会社 触媒付きパティキュレートフィルタの製造方法
WO2018199248A1 (ja) * 2017-04-28 2018-11-01 ユミコア日本触媒株式会社 排気ガス浄化用触媒およびそれを用いた排気ガス浄化方法
JPWO2018199248A1 (ja) * 2017-04-28 2020-03-12 ユミコア日本触媒株式会社 排気ガス浄化用触媒およびそれを用いた排気ガス浄化方法
US11143072B2 (en) 2017-04-28 2021-10-12 Umicore Shokubai Japan Co., Ltd. Exhaust gas purification catalyst and exhaust gas purification method using the same
WO2018225514A1 (ja) * 2017-06-05 2018-12-13 マツダ株式会社 エンジンの排気ガス処理装置及びその製造方法
JP2018204537A (ja) * 2017-06-05 2018-12-27 マツダ株式会社 エンジンの排気ガス処理装置及びその製造方法
US10870082B2 (en) 2017-06-05 2020-12-22 Mazda Motor Corporation Device for treating exhaust gas from engine and method for manufacturing said device
JP2020131060A (ja) * 2019-02-13 2020-08-31 三菱自動車工業株式会社 内燃機関の排気浄化触媒
JP7335543B2 (ja) 2019-02-13 2023-08-30 三菱自動車工業株式会社 内燃機関の排気浄化触媒

Also Published As

Publication number Publication date
JP6217677B2 (ja) 2017-10-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6269823B2 (ja) 排気ガス浄化触媒装置及び排気ガス浄化方法
JP4463248B2 (ja) NOx低減化システムの制御方法
US8479493B2 (en) Oxidation catalysts for engines producing low temperature exhaust streams
US20070134145A1 (en) Precious metal catalyst stabilized with iron oxide for the removal of pollutants from exhaust gases from leanburn engines
US8938953B2 (en) Exhaust gas purifying method
EP1663457A1 (en) Catalyst for removing pollutants from exhaust gases from lean-burn engines, with ruthenium as active metal
JP6217677B2 (ja) 排気ガス浄化触媒装置及び排気ガス浄化方法
JP7195995B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
JPWO2017203863A1 (ja) ガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒
JP5910276B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒
JP5939010B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒装置
US20060075740A1 (en) Spark ignition engine including three-way catalyst with nox storage component
US20090199547A1 (en) Method and apparatus for exhaust aftertreatment in a spark-ignition direct-injection internal combustion engine
US11007480B2 (en) Exhaust gas purification system
JP2016180378A (ja) 排気ガス浄化触媒装置及び排気ガス浄化方法
US11794172B2 (en) Exhaust treatment system including nickel-containing catalyst
JP5910275B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒
JP2010104898A (ja) 排気浄化触媒
JP2009007942A (ja) 排気ガス浄化触媒装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170314

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170515

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170829

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170911

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6217677

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150