JP2013184143A - 排ガス浄化用触媒担体及びその製造方法、並びに排ガス浄化用触媒 - Google Patents

排ガス浄化用触媒担体及びその製造方法、並びに排ガス浄化用触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】、触媒の使用初期の状態のみならず、長期間使用後においても優れたOSC特性を発揮し、貴金属が少なくても優れた浄化特性が得られる排ガス浄化用触媒担体、及びそれを有する排ガス浄化用触媒を提供する。
【解決手段】ペロブスカイト構造を有する酸化物1の粒子の表面に、CeOを含む酸化物2を直接、接合させて担持してなる複合粒子を含む、排ガス浄化用触媒担体を提供する。酸化物1は、アルカリ土類金属と鉄とを含む特定の元素の組成を有する複合酸化物である。本発明の排ガス浄化用触媒担体は、酸化物1の粒子に、酸化物2の陽イオンを含む溶液Sを含浸させる溶液法によって製造される。前記複合粒子に、三元触媒に通常使用される貴金属を担持させることによって、排ガス浄化用触媒を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃焼排ガス中の一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO)、及び未燃炭化水素(HC)を無害化する排ガス浄化用触媒担体及びその製造方法、並びに排ガス浄化用触媒に関する。特に、自動車エンジン等の内燃機関から排出される一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO)、及び未燃炭化水素(HC)を無害化する排ガス浄化用の三元触媒に用いられる排ガス浄化用触媒担体及びその製造方法、並びに排ガス浄化用触媒に関する。
ペロブスカイト構造を有する複合酸化物は、高い酸素ストレージ能(OSC)を有し、排ガス浄化用の三元触媒として用いられる貴金属触媒の担体、即ち助触媒、として有効である。しかしながら、ペロブスカイト型複合酸化物は、耐熱性が低く、触媒としての使用環境において粒成長して表面積が低下してしまい、OSCが低下するという課題を有している。このOSCの低下は、特にペロブスカイト型複合酸化物の表面における酸素の出し入れの速度が低下する、低温において顕著である。一方、最近の排ガス浄化用触媒においては、より高い浄化特性を要求されている。特に、エンジンの起動直後のまだ触媒が温まっていない低温時においても、高いOSCと、優れた浄化特性を発揮することが求められている。
排ガス浄化用触媒には、ペロブスカイト型複合酸化物と耐熱性酸化物の混合物であって、耐熱性酸化物としてCeOなどを含む触媒が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、耐熱性酸化物(CeZrY)O上にペロブスカイト型複合酸化物を担持した排ガス浄化用触媒が知られている。この排ガス浄化用触媒によれば、900℃以上の高温においても、ペロブスカイト型複合酸化物の焼結を抑制する効果が得られる、とされている(例えば、特許文献2参照。)。
その他にも、貴金属を担持するペロブスカイト型複合酸化物の粒子と、この粒子の合一を阻害する耐熱性酸化物又は複合酸化物とを含む排ガス浄化用触媒が知られている(例えば、特許文献3及び4参照。)。
従来技術において、ペロブスカイト型複合酸化物に耐熱性酸化物を共存させる目的は、ペロブスカイト型複合酸化物の焼結の抑制と、それによるペロブスカイト型複合酸化物への耐熱性の付与である。これらの従来技術においては、耐熱性酸化物は、いわゆる焼結インヒビターとして、ペロブスカイト型複合酸化物の焼結と粒成長に対する抑制効果、及び、比表面積の低下に対する抑制効果、を奏している。しかしながら、前記耐熱性酸化物が、ペロブスカイト型複合酸化物の有するOSC特性や浄化特性などを高める効果を奏することは知られていない。
特開平5−38451号公報 特開平5−31367号公報 特開2007−313500号公報 特開2010−99638号公報
従来技術においては、ペロブスカイト型複合酸化物に耐熱性酸化物を共存させることによって、耐熱性向上の効果は得られてはいた。しかしながら、ペロブスカイト型複合酸化物のOSCは、より低いOSCの耐熱性酸化物によって打ち消されてしまい、排ガス浄化用触媒全体としてのOSCが低下することがある。このため、ペロブスカイト型複合酸化物の助触媒としての効果も低下し、貴金属の担持後の触媒特性も悪化することがある。これを解決するためには、高価な貴金属をより多く担持して触媒特性を高めるなど、高コストの対策が必要である。
そこで、本発明は、前記従来技術の課題を解決するために、触媒の使用初期の状態のみならず、長期間使用後においても優れたOSC特性を発揮し、貴金属が少なくても優れた浄化特性が得られる排ガス浄化用触媒担体、及びそれを有する排ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す排ガス浄化用触媒担体を提供する。
[1] 酸化物1と酸化物2とを含み、酸化物2が酸化物1の粒子の表面に直接接合によって担持されてなる複合粒子を含み、
酸化物1は、下記式(1)で表され、ペロブスカイト型構造の結晶相を有し、
酸化物2は、CeOを含み、さらにZrO及びRE(REは、Ce以外の希土類元素)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよく、
酸化物2のCeO、ZrO、及びREの合計の担持量が、酸化物1に対して5mol%以上50mol%以下であることを特徴とする排ガス浄化用触媒担体。
a−xA’Fe1−y3−δ (1)
(式(1)中、Aは、アルカリ土類金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、A’は、希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、Bは、Fe以外の遷移元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、a、x、及びyは、それぞれ0.9≦a≦1.1、0≦x≦0.3、及び0≦y≦0.45であり、δは、電荷中性条件を満たすように決まる値である。)
[2] 前記式(1)中のBは、Co、Ni、Cu、Ti、Nb、及びTaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴とする[1]に記載の排ガス浄化用触媒担体。
[3] 前記式(1)中のBにおいて、Co、Ni、及びCuの合計量が、FeとBの合計量に対して25mol%以下であり、かつ、Ti、Nb、及びTaの合計量が、FeとBの合計量に対して20mol%以下であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の排ガス浄化用触媒担体。
[4] 前記式(1)中のAは、Sr及びCaの一方又は両方の元素であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体。
[5] 酸化物2がCeOであることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体。
[6] 酸化物2が、CeOを含み、CeOの結晶構造中のCeの一部がZr及びREの一方又は両方で置換されていることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体。
[7] 酸化物1の平均粒径が0.2μm以下であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体。
[8] 比表面積が5m/g以上であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体。
また本発明は、以下に示す排ガス浄化用触媒担体の製造方法を提供する。
[9] [1]〜[8]のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体を製造する方法であって、
前記式(1)で表され、ペロブスカイト型構造の結晶相を有する酸化物1の粒子を用意する工程と、
Ceイオンを含有するS液を酸化物1に含浸させる工程と、
S液を含浸させた酸化物1からS液の溶剤を留去する工程と、
前記溶剤を留去した後の酸化物1の粒子を、酸素ガスを含有する雰囲気中で焼成する工程と、を含む、排ガス浄化用触媒担体の製造方法。
[10] 酸化物1の粒子を用意する工程が、
前記式(1)中の金属元素の炭酸塩、水酸化物、及び酸化物からなる群から選ばれる一種以上の粉末を混合する工程と、
得られた混合粉末を900℃以上1,200℃以下の温度で焼成して酸化物1を合成する工程と、
得られた酸化物1の粉末を機械的に粉砕して微粉化する工程と、を含むことを特徴とする[9]に記載の排ガス浄化用触媒担体の製造方法。
[11] S液が、Zrイオン及びREイオン(REは、Ce以外の希土類元素)からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする[9]又は[10]に記載の排ガス浄化用触媒担体の製造方法。
さらに本発明は、以下に示す排ガス浄化用触媒を提供する。
[12] [1]〜[8]のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体を含む基材と、前記排ガス浄化用触媒担体に担持される、Pt、Pd、及びRhから選ばれる少なくとも1種である貴金属と、を含む排ガス浄化用触媒。
本発明の排ガス浄化用触媒担体(以下、「本発明の担体」とも言う)は、ペロブスカイト構造の酸化物1の粒子上に、CeOを含む酸化物2が直接接合された、酸化物1をコアとし、酸化物2をシェルとするコアシェル構造を有する。このため、高いOSCを有する。特に、本発明の担体は、経時的な熱履歴によって比表面積がある程度低下した後においても、OSCの低下が少ないか、場合によっては初期よりもさらに高いOSCを示す。また、酸化物1と酸化物2がそれぞれ独自にOSCを発揮したと仮定したとき、酸化物1単独のOSCと、酸化物2単独のOSCとから予測される本発明の担体のOSCの予想値よりも、本発明の担体は大きなOSCを有する。このようなOSC特性は、例えば、ペロブスカイト型酸化物とCeOを粒子状で混合してなる触媒や、CeO粒子上にペロブスカイト構造を構築してなるCeO(コア)/ペロブスカイト(シェル)構造の触媒では見られない。
本発明の担体において、前記のOSC特性が得られるメカニズムは未だ明らかではないが、以下のように推測される。すなわち、酸化物1におけるペロブスカイト構造の表面に存在する酸化物2中のCeOの粒子が、ペロブスカイト型の酸化物1と周辺雰囲気との間で酸素の出し入れをする出入り口の役割を果たす。これにより、酸化物1と周辺雰囲気との間での酸素の出入りが促進される。このため、酸化物1が有する多量の酸素空孔とそれに伴うOSC特性の大きなポテンシャルとが有効に引き出される。
一方で、表面積が大きな酸化物1は、水と接触すると分解が進展しやすい、という課題がある。このため、酸化物1に貴金属を担持したり、ウォッシュコートによってハニカム構造体に担持する場合には、アルコールなどの非水溶媒を用いる必要がある。一方、本発明の担体は、ペロブスカイト構造の酸化物1の表面に、より耐水性の高いCeOが酸化物2としてコーティングされている。このため、水に対するペロブスカイト構造の酸化物1の反応性を抑制する効果も得られる。このため、貴金属の担持やハニカム構造体への担持のプロセスにおいて、水を溶媒として用いることが可能となる。
さらに、酸化物1は、アルミナやジルコニアなどの耐熱性酸化物と高温で反応することがある。酸化物1の焼結を防止し、酸化物1の耐熱性を向上させるために、焼結インヒビターを分散させることがある。この場合、酸化物1に対して反応性の高いアルミナやジルコニアを用いることは困難である。一方、本発明の担体は、ペロブスカイト構造の酸化物1の表面に、アルミナやジルコニアに対して安定なCeOが酸化物2としてコーティングされている。このため、アルミナやジルコニア等の耐熱性酸化物に対する酸化物1の反応が防止される。このため、焼結インヒビターとしてアルミナやジルコニアを用いることが可能となる。
さらに本発明の担体は、貴金属を担持しなくとも三元触媒としての排ガス浄化特性を発揮する。このため、より廉価な三元触媒として利用可能である。本発明の担体は、貴金属をさらに担持すること(本発明の触媒とすること)によって、低温でのOSCがさらに向上する。このため、特に優れたOSC特性と、三元触媒としての排ガス浄化特性とを発揮する。また、酸化物1に酸化物2が直接接合していることから、本発明の担体は、前述した水に対する反応性が抑制され、また、アルミナやジルコニアなどの酸化物粒子と安定して共存する。これらのより廉価な溶媒や材料を本発明の触媒の製造に用いることができることから、三元触媒をより廉価に提供することが可能である。
さらに本発明の担体は、酸化物2において、CeOをベースとしつつ、その一部のCeをZrやREで置換することができる。この場合、OSC向上効果とともに、より大きな耐熱性向上効果を得ることが可能となる。
本発明は、触媒の使用初期の状態のみならず、長期間使用後においても優れたOSC特性を発揮し、貴金属が少なくても優れた浄化特性が得られる排ガス浄化用触媒担体、及びそれを有する排ガス浄化用触媒を提供することができる。
本発明の排ガス浄化用触媒の構造を概略的に示す図である。
次に、本発明について詳細に説明する。
[1.本発明の排ガス浄化用触媒担体]
本発明の担体は、複合粒子を含む。この複合粒子は、酸化物1と酸化物2とを含む。
酸化物1は、下記式(1)で表され、ペロブスカイト型構造の結晶相を有する。
a−xA’Fe1−y3−δ (1)
式(1)中、Aは、アルカリ土類金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。Aのアルカリ土類金属元素として好ましいのは、Sr及びCaである。またAにおいて、Srの含有量が多い方が、より高いOSCを有する担体が得られる。このため、AにおけるSrの含有量は50mol%以上であることが好ましい。より好ましくは、AとしてSrのみを含むことである。
式(1)中、A’は、希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。A’としては、LaやYが好適である。
式(1)中、Bは、Fe以外の遷移元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。より具体的には、Bは、Co、Ni、Cu、Ti、Nb、及びTaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。Bは、酸化物1中の酸素空孔の量を増やしOSC特性を向上させる観点から、Co、Ni、及びCuからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であることが好ましい。
Bにおいて、Co、Ni、及びCuの合計量が、FeとBの合計量に対して25mol%以下であり、かつ、Ti、Nb、及びTaの合計量が、FeとBの合計量に対して20mol%以下であることが好ましい。Co、Ni及びCuの含有量の合計が、FeとB元素の合計の25mol%を超えた場合、担体の耐熱性が低下することがある。担体の耐熱性をより高める観点から、Bは、Co、Ni及びCuの中でも、Cuのみを含むことがより好ましい。またBとして、Ti、Nb、Taから選ばれる1種又は2種以上の元素を含有することは、触媒担体の耐熱性をより高める観点から好ましい。Ti、Nb、Taの含有量が、FeとB元素の合計の20mol%を超える場合、担体のOSCが低下することがある。
式(1)中、aは、0.9≦a≦1.1である。aがこの範囲を超えて大きくなった場合、酸化物1においてペロブスカイト型とは異なる構造の相の含有量が増加し、300℃以下の低温における担体のOSCが低下することがある。また、aがこの範囲よりも小さくなった場合、担体の耐熱性が低下することがある。
式(1)中、xは、0≦x≦0.3である。前記式(1)において、A’に該当する元素を含まない場合がある。この場合、xは0である。一方、A’に該当する元素を含む場合には、xは0より大きく0.3以下の範囲である。この範囲でA’を含有させることにより、担体の耐熱性を向上させることができる。一方、xが前記範囲を超えて大きくなった場合、酸化物1中の酸素空孔の量が減少し、担体のOSCが低下することがある。
式(1)中、yは、0≦y≦0.45である。前記式(1)において、B元素に該当する元素を含まない場合がある。この場合、yは0である。一方、Bに該当する元素を含む場合には、yは0より大きく0.45以下の範囲である。この範囲でBを含有させることにより、酸化物1が含有する酸素空孔の量が増加し、担体のOSCをより高めることが可能となったり、担体の耐熱性を高めることが可能となる。
式(1)中、δは、電荷中性条件を満たすように決まる値であり、材料の履歴によって決まる。より具体的には、δは、陽イオン(A、A’、Fe、B)の価数の和が陰イオン(O)の価数と等しくなるように定まる値である。
酸化物1の平均粒径は0.2μm以下であることが好ましい。平均粒径が前記値よりも大きくなると、担体のOSCが低下しやすくなる。ただし本発明においては、酸化物1の粒子表面にCeOなどの酸化物2を直接接合するように担持することにより、外界雰囲気との酸素の交換が加速される。このため、OSC特性の観点から前記平均粒径を小さくすることに対する要求は、酸化物2を担持することによって、大きく緩和される。一方で酸化物1の平均粒径は、0.05μm以上であることが望ましい。酸化物1の平均粒径が0.05μm未満であると、後述する固相合成法によって酸化物1を作製する場合に、ペロブスカイト型結晶構造が損なわれやすくなって担体のOSCが低下することがある。また、耐熱性が低下しやすくなって比表面積が低下することがある。
酸化物2は、CeOを含む。酸化物2は、CeOのみであってもよいし、さらにZrO及びREからなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。REは、Ce以外の希土類元素である。担体のOSC向上効果を得るために、酸化物2には必ずCeを含有することが必要である。また担体のOSC向上効果をより高めるために、酸化物2におけるCeの割合は50mol%以上であることが望ましい。
CeO以外の希土類の酸化物は、REで表され、例えばYやLaなどである。Zr及びREは、酸化物2におけるCeOの一部がZrOやREで置換されることによって酸化物2に含まれていてもよい。この場合、酸化物2の耐熱性をより高め、結果として担体全体の耐熱性をさらに向上させることが可能である。或いは、Zr及びREは、CeOの結晶構造中のCeの一部と置換される形態で、酸化物2に含まれていてもよい。
酸化物2のCeO、ZrO、REの合計の担持量は、酸化物1に対して5mol%以上50mol%以下である。これは、酸化物2の含有するCe、Zr、及びREの合計モル量と、酸化物1の含有するFe、及びB元素の合計モル量が0.05≦(Ce+Zr+RE)/(Fe+B)≦0.5なる範囲にあることを表す。酸化物2におけるCeO、ZrO、REの合計の担持量が5mol%未満である場合には、担体のOSC向上効果が得られないことがある。酸化物2におけるCeO、ZrO、REの合計の担持量が50mol%を超える場合には、担体のOSC特性が低下することがある。
酸化物2の平均粒径は、酸化物1の平均粒径よりも小さいことが好ましい。酸化物2の平均粒径は、酸化物1の平均粒径に対して1%以上80%以下であることが、担体のOSC向上効果や担体の耐熱性を向上させる観点から好ましい。酸化物2の平均粒径は、具体的には、担体を合成した段階で10nm程度以下であり、耐熱性を検査する加速試験を経験した後においても、50nm程度以下である。
前記複合粒子は、酸化物2が酸化物1の粒子の表面に直接接合によって担持されてなる。
酸化物2が酸化物1に「直接接合」していることは、例えば、前記複合粒子をイオンビームで切断し、その界面の元素分布を測定することによって確認することができる。
また、酸化物2が酸化物1に「接合」していることは、例えば、前記複合粒子(又は担体)を、水又はアルコール等の液媒中に投入し、攪拌して分散したときに、酸化物1における酸化物2の担持量がほとんど変化しないことによって確認することができる。
本発明の担体では、耐熱試験によって酸化物2の粒径の粒成長が見られる。しかしながら、酸化物2は酸化物1の粒子の表面に強固に接合された状態を保つ。耐熱試験とそれに伴う酸化物2の粒成長によっても、担体のOSCの低下は少ないか、むしろ向上する場合も見られる。
本発明の担体の比表面積は、5m/g以上であることが好ましい、比表面積が前記値よりも小さくなると、担体のOSCが低下しやすくなる。ただし本発明においては、ペロブスカイト型酸化物1の粒子表面にCeOなどの酸化物2を直接接合によって担持する。このため、外界雰囲気と担体との間の酸素の交換が加速される。よって、OSC特性の観点からの前記比表面積を大きくする必要性は、酸化物2が酸化物1の表面に直接接合によって担持されることによって、大きく緩和される。本発明における担体および排ガス浄化用触媒の比表面積は、窒素ガス吸着によるBET法により求めることが可能である。
本発明の担体のOSCは、貴金属を担持した担体を試料として用い、200℃において示差熱天秤(TG−DTA)法によって測定される。具体的には、まず、20mg程度の試料を200℃で安定させる。次いで、4%水素アルゴンバランス混合ガスフロー(100cm毎分以上)中に前記試料を1時間置いた後の重量1を測定する。引き続き、前記試料の雰囲気を空気フロー(100cm毎分以上に)に切り替え、当該雰囲気中に1時間置いた後の重量2を測定する。そして、後者の重量2の、前者の重量1に対する増加分より、単位試料重量当たりの酸素分子のモル吸収量、すなわちOSCを測定する。OSCの単位はμmol/gで表す。担体のOSCは100μmol/g以上であることが好ましく、より好ましくは200μmol/g以上、さらに好ましくは300μmol/g以上である。
本発明の担体の耐熱性は、熱処理を受けた後の比表面積で評価することができる。本発明の担体の耐熱性の目安として、大気中で900℃5時間の熱処理を行った後における担体の比表面積は、5m/g以上であることが望ましい。より好ましくは、前記熱処理後の担体の比表面積は8m/gであり、更に好ましくは10m/gである。この範囲よりも熱処理後の担体の比表面積が低くなってしまう場合では、担体の耐熱性が不十分なために、排ガス浄化触媒としての使用期間中に優れたOSC特性と高い浄化性能を提供し続けることが困難となることがある。
[2.本発明の排ガス浄化用触媒担体の製造方法]
本発明の担体は、
酸化物1の粒子を用意する工程と、
Ceイオンを含有するS液を酸化物1に含浸させる工程と、
S液を含浸させた酸化物1からS液の溶剤を留去する工程と、
前記溶剤を留去した後の酸化物1の粒子を、酸素ガスを含有する雰囲気中で焼成する工程と、
を含む方法によって製造することができる。
酸化物1の粒子を用意する工程は、例えば固相合成法や溶液法によって行うことができる。
溶液法は、原料を均一に溶解した溶液から製造する方法である。このため、比較的低温の焼成でペロブスカイト型構造の酸化物1を得ることが可能である。よって、低温焼成の効果として、比表面積の高い酸化物1を製造し易い。しかしながら、溶液法による酸化物1の合成は、原料が高価であったり、合成プロセスが煩雑であったりして、コストが高くなる課題がある。
固相合成法は、
前記式(1)中の金属元素の炭酸塩、水酸化物、及び酸化物からなる群から選ばれる一種以上の粉末を混合する工程と、
得られた混合粉末を900℃以上1,200℃以下の温度で焼成して酸化物1を合成する工程と、
得られた酸化物1の粉末を機械的に粉砕して微粉化する工程と、
を含む。固相合成法は、非常に簡便に酸化物1の粒子を製造することが可能である。
このため、本発明においては安価でかつ再現性良く、高特性な担体を製造することができる固相合成法によって酸化物1を製造することが好ましい。
前記固相合成法における原料について説明する。
式(1)におけるA元素であるアルカリ土類金属元素Ba、Sr、Caの原料としては、BaCO、SrCO、CaCO等の炭酸塩や、Ba(OH)・8HO、Sr(OH)・8HO、Ca(OH)等の水酸化物が好適に使用できる。アルカリ土類金属元素の原料として、前記以外の、例えば酸化物などを用いた場合には、所望とするペロブスカイト相が得られない場合がある。
A’の原料としては、LaやY等の酸化物が好適に使用できる。また、Feの原料としては、Fe等が好適に使用できる。さらに、B元素の原料としては、CoO、Co、NiO、CuO、TiO、Nb、Ta等の酸化物が好適に使用できる。特にTi、NbおよびTaの酸化物は、安価に入手することができる。従って固相合成法は、酸化物1を安価に製造することが可能であり好適である。一方で、溶液法におけるTi、NbおよびTaの原料には、溶媒に溶解可能なアルコキシドなどの高価な原料を用いることが必要である。このように固相合成法は、溶液法に対してコスト的に有利な点を大きな特長として有している。
前記原料の粉末を、式(1)の組成比となるように秤量した後、水やアルコール等を分散媒とし、ボールミル等のミルで湿式混合して、スラリーとする。また、場合によっては分散媒を用いない乾式混合でもよい。得られたスラリーを乾燥、解砕する。乾式混合の場合には、スラリーの乾燥及び解砕の工程は不要である。
得られた混合粉末を、例えばアルミナ製等のセラミック容器に入れて、大気中で数時間焼成する。焼成温度は900℃以上1,200℃以下である。この焼成により、ペロブスカイト型構造の相を有する複合酸化物である酸化物1が生成する。焼成は、異なる温度で複数回行うことが望ましく、また、焼成と焼成の間には乳鉢等によって混合粉末を粉砕しておくことが望ましい。焼成を複数回行う場合、それぞれの焼成温度は、順番に低い温度から高い温度としていくことが望ましい。
典型的な焼成工程としては、1回目に900℃で焼成を行い、2回目には1,100℃で焼成する工程が挙げられる。このような焼成工程によって、優れた特性の酸化物1を製造することが可能となる。焼成温度が1,200℃を超えると、後工程の粉砕が困難になることがある。また、焼成温度が900℃を下回ると、ペロブスカイト型構造の形成が不十分となることがあり、所望の触媒特性が得られないことがある。
焼成に引き続き、得られた酸化物1の粉末を粉砕して微粒子化する。粉砕には、例えば、直径0.5mm〜0.01mm程度のセラミックスボールを用いる、ビーズミル等の媒体撹拌型粉砕装置を用いる。このような粉砕を行うことで、極めて容易に酸化物1の微粉化が可能である。粉砕に用いるセラミックスのボールとしては、ボールの摩耗による不純物混入が少ないとの観点から、ジルコニア製のボールを用いることが好ましい。セラミックスボールによる酸化物1の粉砕は、酸化物1の比表面積が少なくとも20m/gになるまで行うことが望ましく、より好ましくは30m/g以上になるまで行う。粉砕後の酸化物1の比表面積が前記範囲よりも低いと、得られた触媒を使用する過程において比表面積が小さくなり、担体のOSCが低下し、排ガス浄化触媒の性能が経時的に低くなることがある。
得られた酸化物1の粒子に酸化物2を担持する。酸化物1への酸化物2の担持は、溶液法によって行うのが、酸化物2を酸化物1に直接接合させ、均一な担持層を形成するのに有利であり、好ましい。
前記溶液法において、CeO、ZrOおよびREの原料としては、硝酸セリウム六水和物、オキシ硝酸ジルコニル二水和物、および希土類元素の硝酸塩などが好適に使用できる。これらの原料の所要量を秤量して、例えばエタノールなどのアルコール溶媒に溶解して混合溶液(S液)とする。さらに、所定量のS液を所定量の酸化物1に含浸させる。その後、例えばロータリーエバポレータ等を利用して酸化物1の粒子から前記アルコール溶媒を留去させる。そして酸化物1の粒子を乾燥させる。
その後、得られた酸化物1の粒子を、酸素ガスを含有する雰囲気中で焼成する。この焼成工程は、例えば、600℃程度の温度で大気中、数時間の熱処理によって行われる。
一方、酸化物2としてCeO以外に、ZrOやREも担持する場合には、S液に、Ceイオンと、Zrイオン及びREイオン(REは、Ce以外の希土類元素)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有する液を用いる。このようなS液を用いることによって、ZrとREとの酸化物1への担持を、Ceの酸化物1への担持と同時に行う。本発明では、このような同時の担持によって、酸化物2を均一な一層にすることが重要である。ZrとREの酸化物1への担持を、Ceの酸化物1への担持と別々に行うと、CeOとそれ以外の成分とが別々の層を形成する。この場合、担体のOSCが大幅に低下することがある。これは、酸化物1におけるペロブスカイト構造の表面にCeOが直接接合されないか、或いは、酸素の透過性が高くないZrOやREの層が酸化物1に対する酸素の出入りに対し、バリヤー層として働くためと考えられる。
酸化物1の粒子に担持された酸化物2は、ペロブスカイト構造の粒子上にしっかりと接合されていることが、担体のOSCの向上効果を得る上で重要である。CeOを中心とする酸化物2の層のミクロ組織を透過型電子顕微鏡などによって観察すると、酸化物2の層は、担持直後の状態では、粒径が10nm程度以下の酸化物2の微粒子で構成される。個々の酸化物2の微粒子は、酸化物1の表面に直接接合されている。また耐熱試験を経験した後においては、酸化物2の微粒子は、粒成長して、粒径50nm程度以下の粒子となる。そして酸化物1の表面に直接接合された状態を保ちながら、島状に分布する。
[3.本発明の排ガス浄化用触媒]
本発明の排ガス浄化用触媒(以下、「触媒」とも言う)は、本発明の担体を含む基材と、本発明の担体に担持される貴金属とからなる。
図1は、本発明の触媒の一例を概略的に示している。図1に示す触媒は、酸化物1の粒子10と、酸化物1の粒子10の表面に直接接合によって担持される酸化物2の粒子11と、酸化物2の粒子11上に担持される貴金属12と、からなる。酸化物2の粒子11は、酸化物1の粒子10に比べて小さい。また酸化物2の粒子11は、酸化物1の粒子の表面を層状に覆うように密集して酸化物1の粒子10の表面に担持されている。
前記基材は、本発明の担体そのものであってもよいし、本発明の担体を担持する他の部材であってもよい。他の部材としては、例えば、排ガス浄化用触媒の担持に通常使用されるハニカム構造体が挙げられる。
前記貴金属は、Pt、Pd、及びRhから選ばれる少なくとも1種である。本発明の担体は、単独でOSC特性を示すが、三元触媒として高い特性、特に低温でのOSC特性、を得る場合では、前記の貴金属を含むことが望ましい。
本発明の触媒における貴金属の担持量は、好ましくは、担体に対して質量パーセントで0.1%以上2%以下の範囲である。貴金属の担持量がこの範囲を超える場合では、触媒のコストが高くなると共に、触媒の使用時における貴金属の粗大化が進行し易くなる可能性がある。また、貴金属の担持量が前記範囲よりも小さい場合、触媒の浄化性能が不十分になる可能性がある。
本発明の触媒は、本発明の効果が得られる範囲において、他の成分をさらに含有していてもよい。このような他の成分としては、前述した焼結インヒビターとして用いられる耐熱性酸化物が挙げられる。
[4.本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法]
本発明の触媒は、前述した本発明の担体の前記複合粒子に、排ガス浄化用触媒の製造で貴金属の担持に通常使用される方法を用いて、貴金属を担持させることによって得られる。貴金属の担持は、本発明の担体に対して行うことができ、例えば、本発明の担体や、本発明の担体を担持した前記基材に対して行うことができる。
担体への貴金属の担持は、溶液法によって行うことができる。Pt、Pd、及びRhの原料としては、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液、硝酸パラジウム水溶液、又は硝酸ロジウム水溶液等が好適に使用できる。或いは、貴金属塩をエタノール等のアルコールに溶解し、前記の水溶液に代えてアルコール溶媒を用いた含浸を行うことも可能である。それらの所要量を秤量して混合溶液とし、さらに、その混合溶液の所定量を、所定量の担体に含浸させる。その後、ロータリーエバポレータ等を利用して担体を乾燥する。その後、得られた担体を600℃程度の温度で大気中、数時間熱処理する。
こうして得られた本発明の触媒は、特に優れたOSC特性と、三元触媒としての排ガス浄化特性とを発揮し、排ガス中のCO、NO、及びHCの浄化性能に優れている。貴金属を担持させない場合、本発明の担体は、貴金属を担持させた場合と比較すれば低温でのOSCは低くなるが、廉価な三元触媒として利用可能である。
本発明の担体は、優れたOSC特性を有し、特に長期間の使用後において優れたOSC特性を発揮する。このため、本発明の担体は、高いOSCと浄化特性における高い耐熱性(高温耐久性)とを有する。さらに、本発明の触媒は、貴金属の少ない担持量で所望の触媒特性を得ることが可能であり、また低コストで製造可能である。したがって、本発明の担体は、自動車等の内燃機関の排ガスに含まれるCO、HC、及びNOの無害化用の三元触媒の担体(助触媒)として好適に用いられる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
本実施例中のペロブスカイト型の酸化物1、および該酸化物粒子に酸化物2が担持された担体の結晶構造の解析には、粉末X線回折法を用いた。
また、本実施例中の担体の組成は、製造の際の仕込み量を用いているが、これは別に化学分析により、仕込んだ化合物中の金属元素の量と生成物中のそれとが一致することを確認した。
本実施例において、酸化物1の粒子の粒度分布の測定は、島津製作所製のSLAD−3000、日機装製のMT3300、UPA150などの粒度分布測定装置によって体積平均径の測定を行い、D50を求めた。
一方、酸化物2の平均粒径は、後述する比表面積を測定したのと同一の試料を用い、日本電子製JEM−2100Fなどの透過型電子顕微鏡によって評価した。
該電子顕微鏡の元素分布分析によって、酸化物2の粒子をそれぞれ20個以上選択し、電子顕微鏡写真をもとにラインインターセプト法によって該平均粒径を求めた。即ち該写真上に複数の直線を描き、各粒子を横切る直線部分の長さの平均値を算出してこれを平均粒径とした。
本実施例中の比表面積は、日本ベル社製Belsorbを用い、窒素ガス吸着によるBET法により求めた。比表面積の評価は、まず貴金属担持前の担体に対して行った。また引き続き、該担体をアルミナ製るつぼに入れ、大気雰囲気にて900℃5時間の熱処理を行った後、再度比表面積を測定した。該比表面積を、耐熱試験後の比表面積とした。
耐熱試験後の比表面積が10m/g以上である場合を優(◎)、10m/g未満8m/g以上である場合を良(○)、8m/g未満5m/g以上である場合を可(△)、5m/g未満である場合を不良(×)、として担体の耐熱性を評価した。
本実施例中のOSC特性の評価は、担体に貴金属を担持した触媒を用いて行った。
OSCは、リガク製ThermoPlusにより測定した。20mg程度の試料を200℃で安定させた後、4%水素アルゴンバランス混合ガスを100cm毎分流し、1時間置いた後の重量1を測定した。引き続き当該試料の雰囲気を空気100cm毎分フローに切り替え、当該雰囲気中に1時間置いた後の重量2を測定した。後者の重量2の、前者の重量1に対する増加分より、OSCをμmol/gで求めた。
OSCは、貴金属担持後の耐熱試験前の状態と、該貴金属担持触媒をアルミナ製るつぼに入れ、大気雰囲気にて900℃5時間の熱処理を行った後で、それぞれ測定した。
耐熱試験後のOSCが300μmol/g以上である場合を優(◎)、300μmol/g未満200μmol/g以上である場合を良(○)、200μmol/g未満100μmol/g以上である場合を可(△)、100μmol/g未満である場合を不良(×)、としてOSC特性を評価した。
排ガス浄化触媒用担体および排ガス浄化用触媒としての総合判定は、OSC特性と耐熱性のそれぞれの判定結果において、いずれも優のものを◎、優と良のものを○+、いずれも良のものを○、良と可および優と可のものを○−、いずれも可のものを△、片方でも不良のものを×として評価した。
本実施例中の触媒特性の評価では、触媒をステンレス箔で作られたハニカム担体にウォッシュコートによって担持して触媒部材を作製し、測定を行った。本実施例及び比較例の浄化性能評価において用いた触媒量は、粉末触媒換算で5〜6gである。前記触媒部材の評価装置への設置においては、ハニカム担体の外周をアルミナ短繊維の断熱性ウールで巻き、これをカラム内部に設置することにより、ハニカム担体をカラム内部に固定した。
次に、触媒性能の評価方法について述べる。ここで用いた評価装置は、ステンレス製配管で構成された流通型反応装置であり、入り側から第1表の組成のモデルガスを導入し、これを排ガス浄化反応部に流通させて、出口側に排出するものである。モデルガスを外部ヒーターにて加熱して排ガス浄化反応部に送ることで、浄化反応部分を加熱する。
浄化特性評価においては、まず、前記触媒部材を、第1表のストイキ条件の雰囲気中に450〜500℃で1時間保持した後、一旦、常温付近まで冷却した。続いて、前記触媒部材を評価装置のカラム内にセットし、昇温しながら、第1表に示したストイキ条件のモデルガスを流した。そして、流出側(触媒部分通過後)のガス組成を分析して、CO、HC、及びNO濃度の触媒部材の通過前後での変化率を求めた。これにより、各々のガス成分に対する浄化特性を評価した。空間速度は10万hr−1とした。
Figure 2013184143
触媒特性は、CO、HC、NOが、それぞれ浄化率50%となる温度(T50)を求めて評価した。
CO、HC、及びNOのそれぞれのT50を、耐熱試験をする前の触媒、および耐熱試験をした後の触媒に対して測定した。
触媒の浄化特性については、耐熱試験後でのCO、HC、及びNOのT50の平均値が255℃以下である場合を優(◎)、255℃超260℃以下である場合を良(○)、260℃超265℃以下である場合を可(△)、265℃超であるか浄化率50%に到達しない場合を不良(×)とした。
(実施例1)
組成がSr1.0Fe1.03−δで表される酸化物1−1の粒子に、CeOを酸化物2として酸化物1−1のFeに対して10mol%担持した担体1を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒1を製造した。
酸化物1−1の粒子は、以下の方法により製造した。
Sr及びFeの原料として、各々、粒状のSrCO及びFeを用いた。モル比で、Sr:Fe=1.0:1.0となるように、前記原料を秤量して、エチルアルコール(分散媒)に加え、ボールミルにより粉砕しながら湿式混合することにより、スラリーを得た。前記スラリーから、ロータリーエバポレータ固形分を分離し、凡そ120℃で1時間乾燥した。
次に、得られた乾固物を解砕後、アルミナ製の角さや容器に入れ、電気炉にて大気中900℃で5時間焼成し、多孔質塊状の焼成物を得た。焼成物を解砕後、自動乳鉢により乾式粉砕し、再びアルミナ製の角さや容器に入れ、電気炉にて大気中1,100℃で5時間焼成し、Sr1.0Fe1.03−δ組成の複合酸化物とした。この複合酸化物の構成相を粉末X線回折法で評価したところ、ペロブスカイト型構造の単一相となっていた。
該複合酸化物の粉末を、直径0.2mmのジルコニアビーズを用い、エタノールを溶媒とするビーズミルにて3時間粉砕し、酸化物1−1の粒子を得た。得られた酸化物1−1の粒子の粒径分布を測定したところ、D50は0.1μmであった。
次に、酸化物1−1の粒子に、以下のようにして10mol%のCeOを担持させた。
市販硝酸セリウム六水和物の所定量(酸化物1−1のFeに対してCeイオンが10mol%となる量)を秤量し、これをエタノールで希釈して300mL程度の体積の希釈溶液とした。この希釈溶液と酸化物1−1の粒子100gをロータリーエバポレータに入れ、まず、常温、減圧下で回転攪拌しながら脱泡処理をした。常圧に戻して約50℃に加熱した後、減圧して乾燥した。常温まで冷却後、常圧に戻して固形物を取り出し、約120℃で5時間乾燥した。得られた乾燥物を大気中600℃で5時間熱処理した後、解砕して粒状とした。以上の操作により、CeO担持率が10mol%の担体1の粉末を得た。
得られた担体1の比表面積を測定したところ、25m/gであった。また担体1をアルミナ製るつぼに入れ、大気雰囲気にて900℃5時間の熱処理(耐熱試験)を行った後、再度比表面積を測定したところ、8m/gであった。この結果、担体1の耐熱性は良(○)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体1を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの試料においてもCeO粒子は酸化物1−1の粒子の表面に直接接合しており、CeOの平均粒径は、熱処理前で6nm、熱処理後で30nmであった。
次に、担体1に、以下のようにして0.4質量%のPdを担持させた。
市販硝酸パラジウムの所定量(担体1に対してPdが0.4質量%となる量)を秤量し、これをエタノールで希釈して100mL程度の体積の希釈溶液とした。この希釈溶液と50gの担体1とをロータリーエバポレータに入れ、まず、常温、減圧下で回転攪拌しながら脱泡処理をした。常圧に戻して約50℃に加熱した後、減圧して乾燥した。常温まで冷却後、常圧に戻して固形物を取り出し、約120℃で5時間乾燥した。得られた乾燥物を大気中600℃で5時間熱処理した後、解砕して粒状とした。以上の操作により、本発明の触媒の一つである、Pd担持率が0.4質量%の10mol%CeO担持Sr1.0Fe1.03−δ触媒1の粉末を得た。
触媒1の200℃におけるOSCを測定したところ、320μmol/gであった。また該触媒粉末をアルミナ製るつぼに入れ、大気雰囲気にて900℃5時間の熱処理(耐熱試験)を行った後、再度、200℃におけるOSCを測定したところ、430μmol/gであった。この結果、当該触媒のOSC特性は優(◎)と判定された。また担体1及び触媒1の総合判定は○+であった。
担体1及び触媒1の組成、製造条件、及び評価結果を、表2、表4、及び表5の実施例1の行に示した。
(排ガス浄化性能の測定と評価)
次に、触媒1を前記ハニカム担体に担持させた。
質量比で、触媒1の粉末10質量部、市販γ−アルミナ(活性アルミナ)5質量部、市販シリカゾル(商品名スノーテックスC)4質量部、純水7質量部、市販メルセルロース溶液(固形分2.5質量%)、及び消泡剤適量を攪拌しながら、良く混合してスラリーとした。
ハニカム担体として、直径が25mm、高さが60mm、ハニカム断面のセル空孔の大きさが縦1mm×横2mmの、円筒型のステンレス鋼製ハニカム担体を用いた。このハニカム担体を垂直に保持し、その上部端面に過剰量の前記スラリーをそれぞれ一様に盛り、ハニカム担体の下端面からスラリーを吸引してセル空孔の内壁に塗布した。さらに、余剰のスラリーを除去した。ハニカム担体の外表面にスラリーが付着した場合には、乾燥してしまう前に、付着したスラリーを拭き取った。吸引を継続しつつ、ハニカム担体の上端面をエアーブローして、乾燥した。ハニカム担体の上下を逆転し、前記セル空孔の内壁へのスラリー塗布、乾燥操作を再度行った。その後、ハニカム担体を大気中600℃で1時間熱処理することによって、実施例1の触媒1がステンレス鋼製ハニカム状担体に担持されてなる触媒1’を得た。尚、ハニカム担体に固定されたPd量は、ハニカム担体の容積1Lに対して0.63g(0.63g/L−担体)であった。
触媒1’の排ガス浄化性能を測定したところ、CO、HC、及びNOのT50は、それぞれ、220℃、230℃、及び240℃であった。また、触媒1’に耐熱試験を行った後のCO、THC、及びNOのT50はそれぞれ、235℃、245℃、及び255℃であった。これら耐熱試験後のT50の平均値は245℃であり、浄化特性は優(◎)であった。
(比較例1)
酸化物1−1にCeO粉末を混合した担体を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒を製造した。
酸化物1−1は、実施例1と同様に製造した。酸化物1−1に、ビーズミルで平均粒径D50が100nmになるよう粉砕したCeO粉末を酸化物1−1のFeに対して10mol%となる量で添加し、ボールミルにて湿式混合して担体2を得た。
得られた担体2の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は23m/gであったものが、耐熱試験後には3m/gと大きく低下していた。この結果、担体2の耐熱性は不良(×)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体2を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体2においてもCeO粒子は、担体2に直接接合されておらず、酸化物1−1の粒子と独立した粒子として混合されていた。CeOの平均粒径は熱処理後で250nmまで大きくなっていた。
次に、担体2に、実施例1と同様に、担体2に対して0.4質量%となる量のPdを担持させ、触媒2を得た。触媒2の200℃におけるOSCを耐熱試験前後で測定したところ、耐熱試験前は250μmol/gであったが、耐熱試験後には90μmol/gと大きく低下していた。この結果、触媒2のOSC特性は不良(×)と判定された。また担体2及び触媒2の総合判定は×であった。
担体2及び触媒2の組成、製造条件、及び評価結果を、表2、表4、及び表5の比較例1の行に示した。
(排ガス浄化性能の測定と評価)
次に、触媒2を実施例1と同様にハニカム担体に担持させて、触媒2’を得た。
触媒2’の排ガス浄化性能を測定したところ、CO、HC、及びNOのT50は、それぞれ、215℃、235℃、及び240℃であった。一方、耐熱試験を行った後の触媒2’のCO、及びTHCのT50はそれぞれ、270℃、280℃であった。またNOについては、浄化率が50%に到達しなかった。これらの結果、触媒2’の浄化特性は不良(×)と判定された。
(比較例2)
酸化物1−1に、酸化物2を担持や混合することなく担体3とし、そのまま0.4質量%のPdを担持してなる触媒を製造した。
酸化物1−1は、実施例1と同様に製造した。得られた担体3の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は27m/gであったものが、耐熱試験後には2m/gと大きく低下していた。この結果、担体3の耐熱性は不良(×)と判定された。
次に、担体3に、実施例1と同様に、担体3に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒3を得た。触媒3の200℃におけるOSCを耐熱試験前後で測定したところ、耐熱試験前は280μmol/gであったが、耐熱試験後には15μmol/gと大きく低下していた。この結果、触媒3のOSC特性は不良(×)と判定された。また、前記担体としての担体3及び触媒3の総合判定は×であった。
担体3及び触媒3の組成、製造条件、及び評価結果を、表2、表4、及び表5の比較例2の行に示した。
(比較例3)
酸化物1−1に対し、Yを酸化物2として担持した担体4を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒4を製造した。
酸化物1−1は、実施例1と同様に製造した。酸化物1−1に、硝酸イットリウム六水和物を用いて、Yが酸化物1−1のFeに対して10mol%になるように実施例1と同様の方法でYを酸化物2として担持させて担体4を得た。
得られた担体4の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は24m/g、耐熱試験後では11m/gであった。この結果、担体4の耐熱性は優(◎)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体4を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体4においても、酸化物2の粒子は、酸化物1−1の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で10nm、熱処理後で20nmであった。
次に、担体4に、実施例1と同様の方法で、担体4に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒4を得た。さらに触媒4の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で50μmol/g、耐熱試験後で60μmol/gと、いずれも低い値であった。この結果、触媒4のOSC特性は不良(×)と判定された。また担体4及び触媒4の総合判定は×であった。
担体4及び触媒4の組成、製造条件、及び評価結果を、表2、表4、及び表5の比較例3の行に示した。
(実施例2)
酸化物1−1に対し、CeOとYを酸化物2として担持した担体5を製造し、更に、実施例1と同様の方法で、0.4質量%のPdを担持してなる触媒5を製造した。
酸化物1−1は、実施例1と同様に製造した。酸化物1−1に、硝酸セリウム六水和物と硝酸イットリウム六水和物を用いて、CeとYが酸化物1のFeに対してそれぞれ10mol%、合計20mol%になるように、実施例1と同様の方法でCeOとYを酸化物2として担持させた。
得られた担体5の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は24m/g、耐熱試験後では12m/gであった。この結果、担体5の耐熱性は優(◎)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体5を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体5においても酸化物2の粒子は酸化物1−1の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で5nm、熱処理後で20nmであった。
次に、担体5に、実施例1と同様の方法で、担体5に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒5を得た。さらに触媒5の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で290μmol/g、耐熱試験後で300μmol/gであった。この結果、触媒5のOSC特性は優(◎)と判定された。また担体5及び触媒5の総合判定は◎であった。
担体5及び触媒5の組成、製造条件、及び評価結果を、表2、表4、及び表5の実施例2の行に示した。
(比較例4)
酸化物1−1に対し、CeOとYを酸化物2として別々に担持した担体6を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒6を製造した。
酸化物1−1は、実施例1と同様に製造した。酸化物1−1に、まず硝酸イットリウム六水和物を用いて、Yが酸化物1のFeに対して10mol%になるように、実施例1と同様の方法でYを担持させた。更にYを担持した酸化物1−1に、今度は硝酸セリウム六水和物を用いて、Ceが酸化物1のFeに対して10mol%になるように、CeOを実施例1と同様の方法で担持させた。
得られた担体6の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は23m/g、耐熱試験後では9m/gであった。この結果、担体6の耐熱性は良(○)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体6を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体6においても酸化物2の粒子は酸化物1の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で6nm、熱処理後で40nmであった。
次に、担体6に、実施例1と同様の方法で、担体6に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒6を得た。さらに触媒6の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で80μmol/g、耐熱試験後で60μmol/gといずれも低い値であった。この結果、触媒6のOSC特性は不良(×)と判定された。また担体6及び触媒6の総合判定は×であった。
担体6及び触媒6の組成、製造条件、及び評価結果を、表2、表4、及び表5の比較例4の行に示した。
(実施例3)
酸化物1−1に対し、CeOとZrOを酸化物2として担持した担体7を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のRhを担持してなる触媒7を製造した。
酸化物1−1は、実施例1と同様に製造した。酸化物1−1に、硝酸セリウム六水和物とオキシ硝酸ジルコニル二水和物を用いて、CeとZrが酸化物1−1のFeに対してそれぞれ10mol%、合計20mol%になるように、実施例1と同様の方法でCeOとZrOを酸化物2として担持させ、担体7を得た。
得られた担体7の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は26m/g、耐熱試験後では14m/gであった。この結果、担体7の耐熱性は優(◎)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体7を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体7においても酸化物2の粒子は酸化物1−1の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で6nm、熱処理後で18nmであった。
次に、担体7に、塩化ロジウムを用いた以外は実施例1と同様の方法で、担体7に対して0.4質量%のRhを担持させて触媒7を得た。さらに触媒7の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で270μmol/g、耐熱試験後で280μmol/gであった。この結果、触媒7のOSC特性は良(○)と判定された。また担体7及び触媒7の総合判定は○+であった。
担体7及び触媒7の組成、製造条件、及び評価結果を、表2、表4、及び表5の実施例3の行に示した。
(実施例4)
酸化物1−1に対し、CeOとLaを酸化物2として、担持した担体8を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPtを担持してなる触媒8を製造した。
酸化物1−1は、実施例1と同様に製造した。当該粉末に、硝酸セリウム六水和物と硝酸ランタンム六水和物を用いて、CeとLaが酸化物1のFeに対してそれぞれ10mol%、合計20mol%になるように、実施例1と同様の方法でCeOとLaを酸化物2として担持させ、担体8を得た。
得られた担体8の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は22m/g、耐熱試験後では13m/gであった。この結果、担体8の耐熱性は優(◎)と判定された。また前記耐熱試験前後の試料を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体8においても酸化物2の粒子は酸化物1−1の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で7nm、熱処理後で25nmであった。
次に、担体8に、ジニトロジアミン白金硝酸を用いた以外は実施例1と同様の方法で、担体8に対して0.4質量%のPtを担持させて触媒8を得た。さらに触媒8の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で260μmol/g、耐熱試験後で260μmol/gであった。この結果、触媒8のOSC特性は良(○)と判定された。また担体8及び触媒8の総合判定は○+であった。
担体8及び触媒8の組成、製造条件、及び評価結果を、表2、表4、及び表5の実施例4の行に示した。
(実施例5)
酸化物1−1に代えて酸化物1−2を用い、CeOを酸化物2として、Ceが酸化物1−2のFeに対して5mol%になるように担持した担体9を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒9を製造した。
酸化物1−2は、2回目の焼成温度を1,200℃に変更した以外は実施例1における酸化物1−1と同様に手法で製造した。酸化物1−2の粒度分布のD50は0.2μmであった。
得られた担体9の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は18m/g、耐熱試験後では7m/gであった。この結果、担体9の耐熱性は可(△)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体9を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体9においても酸化物2の粒子は酸化物1−2の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で6nm、熱処理後で30nmであった。
次に、担体9に、実施例1と同様の方法で、担体9に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒9を得た。さらに触媒9の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で250μmol/g、耐熱試験後で260μmol/gであった。この結果、触媒9のOSC特性は良(○)と判定された。また担体9及び触媒9の総合判定は○−であった。
前記の担体9及び触媒9の組成、製造条件、及び評価結果を、表2、表4、及び表5の実施例5の行に示した。
(実施例6)
酸化物1−1に代えて酸化物1−3を用い、CeOを酸化物2として、Ceが酸化物1−3のFeに対して7mol%になるように担持した担体10を製造し、更にそれを用いて0.1質量%のPdを担持してなる触媒10を製造した。
酸化物1−3は、2回目の焼成温度を1,200℃に変更し、さらにビーズミル粉砕時間を2時間に短縮した以外は、実施例1における酸化物1−1と同様に手法で製造した。酸化物1−3の粒度分布のD50は0.8μmであった。
得られた担体10の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は6m/g、耐熱試験後では5m/gであった。この結果、担体10の耐熱性は可(△)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体10を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体10においても酸化物2の粒子は酸化物1−3の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で10nm、熱処理後で50nmであった。
次に、担体10に、実施例1と同様の方法で、担体10に対して0.1質量%のPdを担持させて触媒10を得た。さらに触媒10の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で100μmol/g、耐熱試験後で150μmol/gであった。この結果、触媒10のOSC特性は可(△)と判定された。また担体10及び触媒10の総合判定は△であった。
担体10及び触媒10の組成、製造条件、及び評価結果を、表2、表4、及び表5の実施例6の行に示した。
(比較例5)
酸化物1−1に代えて酸化物1−4を用い、CeOを酸化物2として、Ceが酸化物1−4のFeに対して2mol%になるように担持した担体11を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒11を製造した。
酸化物1−4は、2回目の焼成温度を1,300℃に変えた以外は実施例1における酸化物1−1と同様に手法で製造した。酸化物1−4の粒度分布のD50は1.0μmであった。
得られた担体11の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は3m/g、耐熱試験後では2m/gであった。この結果、担体11の耐熱性は不良(×)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体11を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体11においても酸化物2の粒子は酸化物1−4の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で5nm、熱処理後で10nmであった。
次に、担体11に、実施例1と同様の方法で、担体11に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒11を得た。さらに触媒11の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で80μmol/g、耐熱試験後で50μmol/gといずれも低い値であった。この結果、触媒11のOSC特性は不良(×)と判定された。また担体11及び触媒11の総合判定は×であった。
担体11及び触媒11の組成、製造条件、及び評価結果を、表2、表4、及び表5の比較例5の行に示した。
(比較例6)
酸化物1−1に代えて酸化物1−5を用い、CeOを酸化物2として、Ceが酸化物1−5のFeに対して60mol%になるように担持した担体12を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒12を製造した。
酸化物1−5は、ビーズミル粉砕を1.5時間に短縮した以外は実施例1における酸化物1−1と同様に手法で製造した。酸化物1−5の粒度分布のD50は0.5μmであった。
得られた担体12の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は9m/g、耐熱試験後では3m/gであった。この結果、担体12の耐熱性は不良(×)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体12を透過型電子顕微鏡で観察したところ、酸化物2の粒子の一部は単独粒子として存在していた。酸化物2の平均粒径は、熱処理前で60nm、熱処理後で300nmであった。
次に、担体12に、実施例1と同様の方法で、担体12に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒12を得た。さらに触媒12の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で150μmol/g、耐熱試験後で70μmol/gであった。この結果、触媒12のOSC特性は不良(×)と判定された。また担体12及び触媒12の総合判定は×であった。
担体12及び触媒12の組成、製造条件、及び評価結果を、表2、表4、及び表5の比較例6の行に示した。
(実施例7)
酸化物1−1に対し、CeOとZrOを酸化物2として担持した担体13を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒13を製造した。
酸化物1−1に、硝酸セリウム六水和物とオキシ硝酸ジルコニル二水和物を、CeとZrが酸化物1のFeに対してそれぞれ25mol%、合計50mol%になるように用いた以外は、実施例1と同様の方法でCeOとZrOを酸化物2として担持させて担体13を得た。
得られた担体13の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は22m/g、耐熱試験後では9m/gであった。この結果、担体13の耐熱性は良(○)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体13を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体13においても酸化物2の粒子は酸化物1−1の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で15nm、熱処理後で50nmであった。
次に、担体13に、実施例1と同様の方法で、担体13に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒13を得た。さらに触媒13の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で220μmol/g、耐熱試験後で200μmol/gであった。この結果、触媒13のOSC特性は良(○)と判定された。また担体13及び触媒13の総合判定は○であった。
担体13及び触媒13の組成、製造条件、及び評価結果を、表2、表4、及び表5の実施例7の行に示した。
(比較例7)
酸化物1−1に代えて酸化物1−6を用い、CeOを酸化物2として、Ceが酸化物1−6のFeに対して20mol%になるように担持した担体14を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒14を製造した。
酸化物1−6は、焼成を800℃にて1回のみ行った以外は実施例1における酸化物1−1と同様に手法で製造した。X線粉末回折で解析したところ、酸化物1−6には多量のSrCOとFeが未反応のまま残存しており、ペロブスカイト型構造の形成は不十分であった。酸化物1−6の粒度分布のD50は0.1μmであった。
得られた担体14の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は20m/g、耐熱試験後では3m/gで大きく低下していた。この結果、担体14の耐熱性は不良(×)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体14を透過型電子顕微鏡で観察したところ、酸化物2の粒子は酸化物1−6の粒子の表面に担持されている場合と、単独粒子として存在している場合が混在していた。酸化物2の平均粒径は、熱処理前で8nm、熱処理後で100nmであった。
次に、担体14に、実施例1と同様の方法で、担体14に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒14を得た。さらに触媒14の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で40μmol/g、耐熱試験後で60μmol/gといずれも低い値であった。この結果、触媒14のOSC特性は不良(×)と判定された。また担体14及び触媒14の総合判定は×であった。
担体14及び触媒14の組成、製造条件、及び評価結果を、表2、表4、及び表5の比較例7の行に示した。
(実施例8)
酸化物1−1に代えて、組成がSr1.0(Fe0.8Cu0.2)O3−δで表される酸化物1−7を用い、CeOを酸化物2として担持した担体15を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒15を製造した。
酸化物1−7はCuの原料としてCuO粉末を、モル比でSr:Fe:Cu=1.0:0.8:0.2となる量で用いた以外は、実施例1における酸化物1−1と同様に製造した。酸化物1−7の粒度分布のD50は0.1μmであった。Ceが酸化物1−7のFeとCuの和に対して、10mol%になるように、実施例1と同様の方法で、CeOを酸化物2として酸化物1−7に担持させて担体15を得た。
得られた担体15の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は28m/g、耐熱試験後では5m/gであった。この結果、担体15の耐熱性は可(△)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体15を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体15においても酸化物2の粒子は酸化物1−7の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で6nm、熱処理後で40nmであった。
次に、担体15に、実施例1と同様の方法で、担体15に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒15を得た。さらに触媒15の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で610μmol/g、耐熱試験後で440μmol/gであった。この結果、触媒15のOSC特性は優(◎)と判定された。また担体15及び触媒15の総合判定は○−であった。
担体15及び触媒15の組成、製造条件、及び評価結果を、表3、表4、及び表5の実施例8の行に示した。
(比較例8)
酸化物1−7に対し、酸化物2を担持や混合することなく、そのまま0.4質量%のPdを担持した以外は実施例8と同様にして触媒16を製造した。
酸化物1−7を担体16とした。担体16の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は28m/g、耐熱試験後では3m/gであった。この結果、担体16の耐熱性は不良(×)と判定された。
次に、担体16に、実施例8と同様の方法で、担体16に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒16を得た。さらに触媒16の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で550μmol/gであったものが、耐熱試験後で80μmol/gと大きく低下していた。この結果、触媒16のOSC特性は不良(×)と判定された。また担体16及び触媒16の総合判定は×であった。
担体16及び触媒16の組成、製造条件、及び評価結果を、表3、表4、及び表5の比較例8の行に示した。
(実施例9)
酸化物1−1に代えて組成が(Sr0.5Ca0.51.1(Fe0.55Cu0.25Ti0.2)O3−δで表される酸化物1−8を用い、CeOを酸化物2として担持した担体17を製造し、更にそれを用いて2.0質量%のPdを担持してなる触媒17を製造した。
酸化物1−8は、モル比でSr:Ca:Fe:Cu:Ti=0.55:0.55:0.55:0.25:0.2となる量でCaとTiの原料としてそれぞれCaCO、TiOの粉末を用いた以外は、実施例1における酸化物1−1と同様に製造した。酸化物1−8の粒度分布のD50は0.1μmであった。Ceが酸化物1−8のFe、Cu及びTiの和に対して、10mol%になるように、実施例1と同様の方法でCeOを酸化物2として酸化物1−8に担持させて担体17を得た。
得られた担体17の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は25m/g、耐熱試験後では6m/gであった。この結果、担体17の耐熱性は可(△)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体17を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体17においても酸化物2の粒子は酸化物1−8の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で6nm、熱処理後で35nmであった。
次に、担体17に、実施例1と同様の方法で、担体17に対して2.0質量%のPdを担持させて触媒17を得た。さらに触媒17の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で320μmol/g、耐熱試験後で320μmol/gであった。この結果、触媒17のOSC特性は優(◎)と判定された。また担体17及び触媒17の総合判定は○−であった。
担体17及び触媒17の組成、製造条件、及び評価結果を、表3、表4、及び表5の実施例9の行に示した。
(実施例10)
酸化物1−1に代えて、組成が(Sr0.5Ca0.50.9(Fe0.8Cu0.05Co0.05Ti0.1)O3−δで表される酸化物1−9を用い、CeOを酸化物2として担持した担体18を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒18を製造した。
酸化物1−9は、、モル比でSr:Ca:Fe:Cu:Co:Ti=0.45:0.45:0.8:0.05:0.05:0.1となる量でCoの原料としてCo粉末をさらに用いた以外は、実施例9における酸化物1−8と同様に製造した。酸化物1−9の粒度分布のD50は0.1μmであった。Ceが酸化物1のFe、Cu、Co及びTiの和に対して、10mol%になるように、実施例1と同様の方法で、CeOを酸化物2として酸化物1−9に担持させて担体18を得た。
得られた担体18の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は27m/g、耐熱試験後では5m/gであった。この結果、担体18の耐熱性は可(△)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体18を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体18においても酸化物2の粒子は酸化物1−9の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で6nm、熱処理後で40nmであった。
次に、担体18に、実施例1と同様の方法で、担体18に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒18を得た。さらに触媒18の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で310μmol/g、耐熱試験後で300μmol/gであった。この結果、触媒18のOSC特性は優(◎)と判定された。また担体18及び触媒18の総合判定は○−であった。
担体18及び触媒18の組成、製造条件、及び評価結果を、表3、表4、及び表5の実施例10の行に示した。
(実施例11)
酸化物1−1に代えて、組成が(Sr0.5Ba0.51.0(Fe0.8Cu0.05Ni0.05Ti0.05Mn0.05)O3−δで表される酸化物1−10を用い、CeOを酸化物2として担持した担体19を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒19を製造した。
酸化物1−10は、モル比でSr:Ba:Fe:Cu:Ni:Ti:Mn=0.5:0.5:0.8:0.05:0.05:0.05:0.05となる量で、CaCOに代えてBaCOを用い、NiとMnの原料としてNiO粉末とMnO粉末をさらに用いた以外は、実施例9における酸化物1−8と同様に製造した。酸化物1−10の粒度分布のD50は0.1μmであった。Ceが酸化物1のFe、Cu、Ni、TiとMnの和に対して、10mol%になるように、実施例1と同様の方法で、CeOを酸化物2として酸化物1−10に担持させて担体19を得た。
得られた担体19の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は27m/g、耐熱試験後では7m/gであった。この結果、担体19の耐熱性は可(△)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体19を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体19においても酸化物2の粒子は酸化物1−10の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で6nm、熱処理後で50nmであった。
次に、担体19に、実施例1と同様の方法で、担体19に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒19を得た。さらに触媒19の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で310μmol/g、耐熱試験後で300μmol/gであった。この結果、触媒19のOSC特性は優(◎)と判定された。また担体19及び触媒19の総合判定は○−であった。
担体19及び触媒19の組成、製造条件、及び評価結果を、表3、表4、及び表5の実施例11の行に示した。
(実施例12)
酸化物1−1に代えて、組成が{(Sr0.35Ba0.351.0La0.3}(Fe0.8Cu0.1Mn0.1)O3−δで表される酸化物1−11を用い、CeOを酸化物2として担持した担体20を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒20を製造した。
酸化物1−11は、モル比でSr:Ba:La:Fe:Cu:Mn=0.35:0.35:0.3:0.8:0.1:0.1となる量で、CaCOに代えてBaCOを用い、TiOに代えてMnOを用い、Laの原料としてLa粉末をさらに用いた以外は、実施例9における酸化物1−8と同様に製造した。酸化物1−11の粒度分布のD50は0.1μmであった。Ceが酸化物1−11のFe、CuとMnの和に対して、10mol%になるように、実施例1と同様の方法で、CeOを酸化物2として酸化物1−11に担持させて担体20を得た。
得られた担体20の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は26m/g、耐熱試験後では9m/gであった。この結果、担体20の耐熱性は良(○)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体20を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体20においても酸化物2の粒子は酸化物1の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で6nm、熱処理後で50nmであった。
次に、担体20に、実施例1と同様の方法で担体20に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒20を得た。さらに触媒20の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で250μmol/g、耐熱試験後で260μmol/gであった。この結果、触媒20のOSC特性は良(○)と判定された。また担体20及び触媒20の総合判定は○であった。
担体20及び触媒20の組成、製造条件、及び評価結果を、表3、表4、及び表5の実施例12の行に示した。
(実施例13)
酸化物1−1に代えて、組成が{(Sr0.45Ba0.451.00.1}(Fe0.8Cu0.1Mn0.1)O3−δで表される酸化物1−12を用い、CeOを酸化物2として担持した担体21を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒21を製造した。
酸化物1−12は、モル比でSr:Ba:Y:Fe:Cu:Mn=0.45:0.45:0.1:0.8:0.1:0.1となる量で、Laに代えてYの原料としてY粉末を用いた以外は、実施例12における酸化物1−11と同様に製造した。酸化物1−12の粒度分布のD50は0.1μmであった。Ceが酸化物1のFe、CuとMnの和に対して、10mol%になるように、実施例1と同様の方法で、CeOを酸化物2として酸化物1−12に担持させて担体21を得た。
得られた担体21の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は27m/g、耐熱試験後では8m/gであった。この結果、担体21の耐熱性は良(○)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体21を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体21においても酸化物2の粒子は酸化物1の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で6nm、熱処理後で50nmであった。
次に、担体21に、実施例1と同様の方法で、担体21に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒21を得た。さらに触媒21の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で290μmol/g、耐熱試験後で290μmol/gであった。この結果、触媒21のOSC特性は良(○)と判定された。また担体21及び触媒21の総合判定は○であった。
担体21及び触媒21の組成、製造条件、及び評価結果を、表3、表4、及び表5の実施例13の行に示した。
(比較例9)
酸化物1−1に代えて、組成が(Sr0.5Ca0.50.85(Fe0.5Co0.3Ti0.2)O3−δで表される酸化物1−13を用い、CeOを酸化物2として担持した担体22を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒22を製造した。
酸化物1−13は、CuO粉末を用いず、その他の粉末を、モル比でSr:Ca:Fe:Co:Ti=0.425:0.425:0.5:0.3:0.2となる量で用いた以外は、実施例10における酸化物1−9と同様に製造した。酸化物1−13の粒度分布のD50は0.1μmであった。Ceが酸化物1−13のFe、Co及びTiの和に対して、10mol%になるように、実施例1と同様の方法で、CeOを酸化物2として酸化物1−13に担持させて担体22を得た。
得られた担体22の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は25m/gであったものが、耐熱試験後では2m/gと大きく低下していた。この結果、担体22の耐熱性は不良(×)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体22を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体22においても酸化物2の粒子は酸化物1−13の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で7nm、熱処理後で150nmであった。
次に、担体22に、実施例1と同様の方法で、担体22に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒22を得た。さらに触媒22の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で650μmol/gであったものが、耐熱試験後は50μmol/gと大きく低下していた。この結果、触媒22のOSC特性は不良(×)と判定された。また担体22及び触媒22の総合判定は×であった。
担体22及び触媒22の組成、製造条件、及び評価結果を、表3、表4、及び表5の比較例9の行に示した。
(比較例10)
酸化物1−1に代えて、組成がCa1.3(Fe0.5Nb0.3Ti0.2)O3−δで表される酸化物1−14を用い、CeOを酸化物2として担持した担体23を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒23を製造した。
酸化物1−14は、モル比でCa:Fe:Ti:Nb=1.3:0.5:0.2:0.3となる量で、SrCOに代えてCaCOを用い、TiO及びNbをさらに用いた以外は、実施例1における酸化物1−1と同様に製造した。酸化物1−14の粒度分布のD50は0.1μmであった。Ceが酸化物1のFe、Ti、及びNbの和に対して、10mol%になるように、実施例1と同様の方法で、CeOを酸化物2として酸化物1−14に担持させて担体23を得た。
得られた担体23の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は23m/g、耐熱試験後は7m/gであった。この結果、担体23の耐熱性は可(△)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体23を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体23においても酸化物2の粒子は酸化物1−14の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で7nm、熱処理後で35nmであった。
次に、担体23に、実施例1と同様の方法で、担体23に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒23を得た。さらに触媒23の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は80μmol/g、耐熱試験後は60μmol/g、といずれも低い値であった。この結果、触媒23のOSC特性は不良(×)と判定された。また担体23及び触媒23の総合判定は×であった。
担体23及び触媒23の組成、製造条件、及び評価結果を、表3、表4、及び表5の比較例10の行に示した。
(比較例11)
酸化物1−1に代えて、組成が{(Sr0.25Ba0.251.0La0.5}(Fe1.0)O3−δで表される酸化物1−15を用い、CeOを酸化物2として担持した担体24を製造し、更にそれを用いて0.4質量%のPdを担持してなる触媒24を製造した。
酸化物1−15は、CuO及びMnOを用いず、その他の粉末をモル比でSr:Ba:La:Fe=0.25:0.25:0.5:1.0となる量で、実施例12における酸化物1−11と同様に製造した。酸化物1−15の粒度分布のD50は0.1μmであった。Ceが酸化物1のFeに対して、10mol%になるように、実施例1と同様の方法で、CeOを酸化物2として酸化物1−15に担持させて担体24を得た。
得られた担体24の比表面積を耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前は27m/g、耐熱試験後では13m/gであった。この結果、担体24の耐熱性は優(◎)と判定された。また前記耐熱試験前後の担体24を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの担体24においても酸化物2の粒子は酸化物1−15の粒子の表面に担持されており、酸化物2の平均粒径は、熱処理前で6nm、熱処理後で25nmであった。
次に、担体24に、実施例1と同様の方法で、担体24に対して0.4質量%のPdを担持させて触媒24を得た。さらに該触媒粉末の200℃におけるOSCを耐熱試験の前後で測定したところ、耐熱試験前で80μmol/g、耐熱試験後で90μmol/gと低い値であった。この結果、当該触媒のOSC特性は不良(×)と判定された。また担体24及び触媒24の総合判定は×であった。
担体24及び触媒24の組成、製造条件、及び評価結果を、表3、表4、及び表5の比較例11の行に示した。
Figure 2013184143
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酸化物2が酸化物1に直接接合している実施例1の触媒1における耐熱前のOSCは高く、耐熱後のOSCさらに向上している。また酸化物2にイットリウムをさらに含む実施例2の触媒5は、高いOSCと高い耐熱性との両方を有している。さらに酸化物2にジルコニウムをさらに含む実施例3の触媒7、及び、酸化物2にランタンをさらに含む実施例4の触媒8は、共に、高い耐熱性を有している。
一方、酸化物1の粉体と酸化物2の粉体とを混合してなる比較例1の触媒2、及び、酸化物2を有さない比較例2の触媒3は、共に、耐熱後においてOSC及び耐熱性の両方が著しく低減している。
また、酸化物1にCuをさらに含む実施例8の触媒15は、耐熱後でOSCが低下するものの、耐熱前後で非常に高いOSCを有している。
以上より、前記式(1)で表されるペロブスカイト構造の酸化物1と、この酸化物1の粒子の表面に直接接合することによって担持される、CeOを含む酸化物2とを有する担体は、高いOSCと高い耐熱性とを有することが明らかである。この特徴は、酸化物を酸化物1の粒子の表面に単に担持しているだけでは得られないことも明らかである。
本発明の排ガス浄化用触媒担体は、当初から高いOSCを有する。そして、本発明の担体のOSCは、経時的な熱履歴によって低下せず、むしろ向上する傾向を有する。さらに、水への分散によるペロブスカイト型酸化物の分解が抑制される等の、触媒の製造において有利な特徴をも有する。このため、本発明によれば、内燃機関の排気ガス浄化用の三元触媒における高性能化、貴金属の使用量の低減、及び環境負荷のより低い製造、が期待される。
10 酸化物1の粒子
11 酸化物2の粒子
12 貴金属

Claims (12)

  1. 酸化物1と酸化物2とを含み、酸化物2が酸化物1の粒子の表面に直接接合によって担持されてなる複合粒子を含み、
    酸化物1は、下記式(1)で表され、ペロブスカイト型構造の結晶相を有し、
    酸化物2は、CeOを含み、さらにZrO及びRE(REは、Ce以外の希土類元素)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよく、
    酸化物2のCeO、ZrO、及びREの合計の担持量が、酸化物1に対して5mol%以上50mol%以下であることを特徴とする排ガス浄化用触媒担体。
    a−xA’Fe1−y3−δ (1)
    (式(1)中、Aは、アルカリ土類金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、A’は、希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、Bは、Fe以外の遷移元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、a、x、及びyは、それぞれ0.9≦a≦1.1、0≦x≦0.3、及び0≦y≦0.45であり、δは、電荷中性条件を満たすように決まる値である。)
  2. 前記式(1)中のBは、Co、Ni、Cu、Ti、Nb、及びTaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒担体。
  3. 前記式(1)中のBにおいて、Co、Ni、及びCuの合計量が、FeとBの合計量に対して25mol%以下であり、かつ、Ti、Nb、及びTaの合計量が、FeとBの合計量に対して20mol%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒担体。
  4. 前記式(1)中のAは、Sr及びCaの一方又は両方の元素であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体。
  5. 酸化物2がCeOであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体。
  6. 酸化物2が、CeOを含み、CeOの結晶構造中のCeの一部がZr及びREの一方又は両方で置換されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体。
  7. 酸化物1の平均粒径が0.2μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体。
  8. 比表面積が5m/g以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体を製造する方法であって、
    下記式(1)で表され、ペロブスカイト型構造の結晶相を有する酸化物1の粒子を用意する工程と、
    Ceイオンを含有するS液を酸化物1に含浸させる工程と、
    S液を含浸させた酸化物1からS液の溶剤を留去する工程と、
    前記溶剤を留去した後の酸化物1の粒子を、酸素ガスを含有する雰囲気中で焼成する工程と、を含む、排ガス浄化用触媒担体の製造方法。
    a−xA’Fe1−y3−δ (1)
    (式(1)中、Aは、アルカリ土類金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、A’は、希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、Bは、Fe以外の遷移元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、a、x、及びyは、それぞれ0.9≦a≦1.1、0≦x≦0.3、及び0≦y≦0.45であり、δは、電荷中性条件を満たすように決まる値である。)
  10. 酸化物1の粒子を用意する工程が、
    前記式(1)中の金属元素の炭酸塩、水酸化物、及び酸化物からなる群から選ばれる一種以上の粉末を混合する工程と、
    得られた混合粉末を900℃以上1,200℃以下の温度で焼成して酸化物1を合成する工程と、
    得られた酸化物1の粉末を機械的に粉砕して微粉化する工程と、を含むことを特徴とする請求項9に記載の排ガス浄化用触媒担体の製造方法。
  11. S液が、Zrイオン及びREイオン(REは、Ce以外の希土類元素)からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする請求項9又は10に記載の排ガス浄化用触媒担体の製造方法。
  12. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒担体を含む基材と、前記排ガス浄化用触媒担体に担持される、Pt、Pd、及びRhから選ばれる少なくとも1種である貴金属と、を含む排ガス浄化用触媒。
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JP2018187621A (ja) * 2017-05-11 2018-11-29 株式会社デンソー 窒素酸化物吸蔵材料、その製造方法、排ガス浄化触媒

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