JP2016179431A - セシウム吸着剤及び吸着方法 - Google Patents

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要樹 清水
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Abstract

【課題】吸着したセシウムの再溶出が著しく抑制された、セシウム処理剤を提供する。【解決手段】鉄又はアルミニウムの少なくともいずれかイオンと、芳香族カルボン酸とを含有する多孔質金属錯体、を含むセシウム吸着剤。前記多孔質金属錯体の細孔径が、20Å以上40Å以下であることが好ましい。前記多孔質金属錯体は、金属原料、芳香族カルボン酸、及びフッ素原料を溶媒中で混合する混合工程、及び、混合液を反応させる反応工程を有する製造方法により得られる。【選択図】 なし

Description

本発明は、セシウム吸着剤、及び、これを用いた吸着方法に関する。
近年、海水や地下水など、セシウム以外の金属を含有する水溶液からのセシウム除去に適した吸着剤の検討がなされている。これらの検討においては、特にセシウム吸着率が高いことから、モルデナイト型ゼオライトをはじめとするゼオライト系吸着剤や、プルシアンブルーをはじめとするフェロシアン化物が検討されている。
例えば、特許文献1では粉砕した天然モルデナイトを使用し、セシウムを吸着除去する方法が開示されている。特許文献2では、モルデナイト型ゼオライトやフェロシアン化合物を使用したセシウムの吸着除去が報告されている。
特許文献3では、フェロシアン化カリウムと硫酸第二鉄からフェロシアン化鉄を排水中で生成させることで、セシウムを吸着除去する方法が開示されている。
さらに、特許文献4では、プルシアンブルーとモルデナイト型ゼオライトを併用し、電解濃縮によりセシウムを吸着及び貯蔵するセシウムの吸着方法が開示されている。
特許文献5にはセシウムを吸着したフェロシアン化物をゼオライトと混合した後、焼成してセラミックス状固化体として安定固定化する方法が記載されている。
特開2012−247405号公報 特開2013−101098号公報 特開2013−242291号公報 特開2015−004655号公報 国際公開2013/157585号
フェロシアン化物からなる吸着剤はセシウムの吸着に優れている一方、吸着剤が分解しやすく、分解後にセシウム残滓が揮発する等再溶出してしまうため、セシウムを安定に保持することができない。吸着後のセシウムを安定に保持することを目的として、ゼオライト系吸着剤との併用をはじめとする、他の材を使用することでセシウムの安定化処理を施す必要がある。そのため、実際にフェロシアン化物を用いたセシウム除去方法は、吸着工程と固定化工程の2つの工程を必要とするものであった。ゼオライト系セシウム吸着剤は、セシウム吸着後の環境下に含有される他のイオンと接することによりセシウムのイオン交換が生じ、吸着したセシウムの再溶出が生じる。そのため、フェロシアン化物系吸着剤と同様に、ゼオライト系セシウム吸着剤は、セシウム吸着後にセシウムの再溶出を防ぐための処理を施す必要があった。
これらの課題に鑑み、本発明は、吸着したセシウムの再溶出が著しく抑制された、セシウム吸着剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、セシウム吸着剤におけるセシウムの再溶出について検討した。その結果、芳香族カルボン酸を有機配位子とする多孔質金属錯体(Metal Organic Framework;MOF)が、セシウム吸着能を有すること、及び、吸着後のセシウムの溶出が極めて小さいことを見出した。
すなわち、本発明は、鉄又はアルミニウムの少なくともいずれかのイオンと、芳香族カルボン酸とを含有する多孔質金属錯体、を含むセシウム吸着剤である。
以下、本発明のセシウム吸着剤について説明する。
本発明のセシウム吸着剤は、鉄又はアルミニウムの少なくともいずれかのイオンと、芳香族カルボン酸とを含有する多孔質金属錯体を含む。
本発明のセシウム吸着剤は多孔質金属錯体(以下、「MOF」ともいう。)を含む。多孔質金属錯体は、金属イオンと有機配位子から構成される。
本発明のセシウム吸着剤に含まれる多孔質金属錯体は、鉄又はアルミニウムの少なくともいずれかのイオンと芳香族カルボン酸とを含有する。鉄又はアルミニウムの少なくともいずれかのイオンが中心金属であり、なおかつ、芳香族カルボン酸が有機配位子である多孔質金属錯体であることで、高比表面積を有する多孔質の配位ネットワーク構造が構築される。これにより、セシウムの吸着、及び吸着したセシウムの溶出の抑制に適した細孔構造を有する多孔質金属錯体となる。
多孔質金属錯体の中心金属は鉄(Fe)又はアルミニウム(Al)の少なくともいずれかのイオンであり、鉄イオンであることが好ましい。コバルトやクロムと異なり、鉄及びアルミニウムは安価、かつ、安全な金属イオンである。これらの金属が中心金属であることで、本発明のセシウム吸着剤が安価となることに加え、より多様なセシウム含有物質からのセシウム吸着剤として使用することができる。
具体的な多孔質金属錯体として、MIL−100(Fe)、MIL−101(Fe)、MIL−100(Al)、及びMIL−101(Al)からなる群の少なくとも1種を挙げることができる。原料の取り扱いの容易さ、セシウム吸着性能の高さから、多孔質金属錯体として、MIL−100(Fe)又はMIL−101(Fe)の少なくともいずれか、更にはMIL−100(Fe)であることが好ましい。ここで、上記多孔質金属錯体であることは、X線回折(以下、「XRD」とする。)測定により得られるXRDパターンと、参考文献に記載されている上記多孔質金属錯体のXRDパターンとを比較することで確認できる。例えば、MIL−100(Fe)であることは、参考文献J.Mater.(2012),22,7451のFig1に記載のXRDパターンと比較することで同定できる。
多孔質金属錯体に含有される芳香族カルボン酸は、前記多孔質金属錯体を構成できるものであればよく、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、及び、ピロメリット酸からなる群の少なくとも1種を挙げることができる。多孔質金属錯体が安価となるため、特にフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸及びトリメシン酸からなる群の少なくとも1種であることが好ましく、トリメシン酸であることが好ましい。
多孔質金属錯体は、細孔径が大きくなるほど、その比表面積が大きくなる傾向がある。上記の細孔径を有する場合、多孔質金属錯体の比表面積は、BET比表面積として1000m/g以上、3000m/g以下、更には1500m/g以上2000m/g以下であることが挙げられる。
多孔質金属錯体は、フッ素を含有することが好ましい。フッ素を含有することで、副反応が抑制される傾向がある。
本発明のセシウム吸着剤の大きさ及び形状は任意であり粉末又は成形体のいずれであってもよい。ハンドリング(操作性)を向上させるため、本発明のセシウム吸着剤は成形体であることが好ましい。
本発明のセシウム吸着剤が粉末である場合、平均粒径は0.1μm以上20μm以下であることが挙げられる。一方、本発明のセシウム吸着剤が成形体である場合、その形状は、例えば、円柱状、円板状、球状及び略球状からなる群の少なくとも1種が挙げられる。具体的な成形体の形状として、平均径が0.2mm以上1mm以下、更には0.3mm以上0.6mm以下であることが挙げられる。
成形体は多孔質金属錯体の成形体であってもよく、必要に応じて、バインダー又は成形助剤の少なくともいずれかと多孔質金属錯体とを含む成形体であってもよい。バインダーとしては、粘土、アルミナゾル、シリカゾル及びジルコニアゾルからなる群のいずれか1種以上が挙げられる。なお、上記粘土としては、アタパルジャイト、セピオライト、カオリン及からなる群の少なくとも1種が挙げられる。また、成形助剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び結晶性セルロースからなる群の少なくとも1種を挙げることができる。
本発明のセシウム吸着剤は、これを使用したセシウムの吸着方法に使用することができる。本発明のセシウム吸着剤を使用したセシウムの吸着は、任意の方法で、これを含セシウム物質と接触させればよい。含セシウム物質としては、セシウム含有溶液、更にはセシウム含有水溶液が挙げあれ、具体的なセシウム含有水溶液として、海水、地下水、排水、及び汚染水からなる群の少なくとも1種を挙げることができる。
次に、本発明のセシウム吸着剤の製造方法について説明する。
本発明のセシウム吸着剤は、金属原料、芳香族カルボン酸、及びフッ素原料を溶媒中で混合する混合工程、及び、混合液を反応させる反応工程を有する製造方法により製造することができる。
混合工程において、金属原料、芳香族カルボン酸及びフッ素原料を混合する。これにより、混合物を得る。
金属原料は鉄又はアルミニウムの少なくともいずれか、並びに、鉄又はアルミニウムの少なくともいずれかを含む化合物であればよい。具体的には、鉄又はアルミニウムの少なくともいずれかを含む金属粉、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、硝酸塩、及び水酸化物塩からなる群の少なくとも1種、更には金属粉、また更には鉄粉又はアルミニウム粉の少なくともいずれかが挙げられる。金属原料が金属粉である場合、例えば、平均粒径が150μm以上5mm以下の鉄粉又はアルミニウム粉を挙げることができる。
芳香族カルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、及び、ピロメリット酸からなる群の少なくとも1種を挙げることができる。特にトリメシン酸であることが好ましい。
フッ素原料は、フッ素(F)を含有する化合物であればよく、例えば、フッ化水素酸、フッ化ナトリウム及びフッ化カリウムからなる群の少なくとも1種、更にはフッ化水素酸を挙げることができる。
溶媒は各原料、特に金属原料を溶解するものであればよく、水又はアルコールの少なくともいずれか、更には酸性溶媒が挙げられる。特に、金属原料として金属粉を使用した場合、溶媒は酸性溶媒、更には酸性水溶液であることが好ましい。
酸性溶媒の酸性度は、混合液中の金属イオンに対するHのモル比(以下、「H/M」ともいう。)が、0.1以上2.0以下、さらには0.3以上0.8以下となるものが好ましい。H/Mが0.1以上であることで、金属原料の溶解が促進される。一方、H/Mが2.0以下であることで生成した多孔質金属錯体の再溶解が抑制されやすい。このような溶媒として無機酸水溶液、更には硫酸水溶液、塩酸水溶液、硝酸水溶液、及びフッ化水素酸からなる群の少なくとも1種を挙げることができる。
混合液中の金属イオン濃度は、0.01〜0.50mol/L、更には0.01〜0.05mol/Lであることが挙げられる。
混合液の金属イオンに対する芳香族カルボン酸のモル比(以下、「Ar−COOH/M」ともいう。)は、0.2以上1.2以下、更には0.4以上1.0以下であることが好ましい。Ar−COOH/Mが0.2以上であることで、多孔質金属錯体の収率が向上する。また、Ar−COOH/M」1.2以下であれば、得られる多孔質金属錯体の純度がより高くなる。
混合液の金属イオンに対するフッ素(F)のモル比(以下、「F/M」ともいう。)は、0.1以上3.0以下、更には0.5以上1.0以下であることが好ましい。F/Mが0.1mol以上であることで、多孔質金属錯体の収率が向上する。一方、F/Mが1.0以下であれば得られる多孔質金属錯体の純度がより高くなる。
上記の原料が均一に混合できれば、混合方法は任意である。
反応工程では、混合工程で得られた混合液を反応させることにより多孔質金属錯体が得られる。
反応工程における反応は、各原料が反応する条件であれば任意であるが、90℃以上170℃以下、更には110℃以上160℃以下の反応温度で混合液を反応させることが好ましい。また、反応の際に混合物を撹拌してもよい。
反応温度が高くなるほど反応時間は短くなる傾向にある。反応が十分に進行すれば反応時間は任意であるが、例えば、反応時間を0.5〜36時間が好ましく、1〜24時間がさらに好ましい。
また、反応は常圧下での反応であってもよく、加圧下での反応であってもよい。
本発明の製造方法においては、反応工程後に、洗浄工程、焼成工程又は成形工程のいずれかを有していてもよい。
洗浄工程では、多孔質金属錯体に含まれる不純物を除去する。不純物が除去されれば、洗浄方法は任意であるが、水、アルコール又はその他の溶媒を通液させて洗浄すればよい。
焼成工程では、多孔質金属錯体を焼成することで、未反応の芳香族カルボン酸原料などの有機化合物を除去する。この場合、焼成条件は多孔質金属錯体の分解温度以下の温度ですればよい。焼成条件として、任意の雰囲気で100〜500℃で1〜100時間の処理することが挙げられる。焼成雰囲気として、例えば、乾燥空気、乾燥窒素気流下または減圧雰囲気を挙げることができる。
成形工程では、多孔質金属錯体に任意の形状を付与する。所望の形状が得られれば、成形方法は任意であるが、例えば、成形方法としてプレス成形、押出し成形、射出成形、鋳込み成形、転動造粒成形及びシート成形からなる群の少なくとも1種を挙げることができる。
また、成形工程において、必要に応じて、多孔質金属錯体に成形助剤又はバインダーを混合して成形してもよい。
本発明のセシウム吸着剤は、セシウム吸着方法に使用することができる。
被処理媒体がセシウムを含む液体である場合、当該液体にセシウム吸着剤を浸漬させ、静置又は攪拌して所定時間処理する方法、また、セシウム吸着剤を充填した充填層に当該セシウム溶液を通水する方法が挙げられる。前記吸着方法を行う前に、必要に応じて当該液体を前処理し、セシウム以外のイオン、固形物を除いてもよい。
被処理媒体がセシウムを含む固体である場合、当該固体とセシウム吸着剤を混合させる方法、当該固体を液体で処理してセシウムを溶出させ、そのセシウムを溶出させた液体を吸着剤で処理する方法が挙げられる。
本発明により、吸着したセシウムの再溶出が著しく抑制された、セシウム処理剤を提供することができる。さらに、本発明により、固定化工程等を必須とすることなく、セシウム処理をすることができるため、従来より小さい設備でセシウム吸着及びセシウム除去ができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。しかしながら、本発明は実施例に限定されるものではない。
(粉末X線回折測定)
各吸着剤試料の結晶構造を粉末X線回折測定により測定した。測定には一般的なX線回折装置(装置名:MXP−3、Material Analysis and Characterization社製)を使用した。測定条件を以下に示す。
線源 :CuKα線(λ=1.5405Å)
測定範囲 :2θ=3〜46°
ステップ幅 :0.02°
計測時間 :1秒/ステップ
得られたXRDパターンと参照となるXRDパターンとを比較し、各吸着剤試料の結晶構造を同定した。なお、MIL−100(Fe)の結晶構造の同定にはJ.Mater.(2012),22,7451のFig1に記載の粉末X線回折パターンを使用した。
(吸着特性の評価)
孔径0.1μmのセルロース混合エステル性のメンブレンフィルターを使用した吸引ろ過により、吸着処理後の吸着剤とセシウム水溶液とを固液分離した。ICP−MASSにより、得られたセシウム水溶液中のセシウム濃度を測定し、以下の式から吸着剤の吸着処理後のセシウム吸着量を求めた。
吸着処理後のセシウム吸着量(mg/g)=(C1−C2)×VCs1/Wab1
C1 : 吸着処理前のセシウム水溶液中のセシウム濃度(mg/L)
C2 : 吸着処理後のセシウム水溶液中のセシウム濃度(mg/L)
Cs1 : 吸着処理に使用したセシウム水溶液の体積(mL)
ab1 : 吸着処理に使用した吸着剤重量(g)
(脱離特性の評価)
孔径0.1μmのセルロース混合エステル性のメンブレンフィルターを使用した吸引ろ過により、脱離処理後の吸着剤とセシウム水溶液とを分離した。ICP−MASSにより、得られたセシウム水溶液中のセシウム濃度を測定し、以下の式から吸着剤の脱離処理後のセシウム吸着量を求めた。
脱離処理後のセシウム吸着量(mg/g)={Q−(C3×VCs2)}/Wab2
Q : 脱離処理前の吸着剤のセシウム含有量(mg)
C3 : 脱離処理後のセシウム脱離液中のセシウム濃度(mg/L)
Cs2 : 脱離処理に使用したセシウム脱離液の体積(mL)
ab2 : 脱離処理に使用した吸着剤重量(g)
(脱離率の評価)
吸着剤試料のセシウム安定性の指標として、以下の式から、脱離率(%)を求めた
脱離率(%)={(吸着処理後のセシウム吸着量)−(脱離処理後のセシウム吸着量)
/(吸着処理後のセシウム吸着量)}×100
実施例1
(セシウム吸着剤の合成)
鉄粉(キシダ化学社製)277.5mg、トリメシン酸(和光純薬工業社製)687.5mg、65%硝酸(特級、キシダ化学社製)190μL、46〜48%フッ化水素酸(和光純薬工業社製)149μL、及び、純水20mLを100mLフラスコに添加し、これを混合することで混合液を得た。
混合液を100mLの円筒型オートクレーブ(外筒:ステンレス、内筒:ポリテトラフルオロエチレン)に入れ、45rpmで回転させながら、150℃で12時間加熱した。生成した固体をろ過した後、純水、温水、及び、エタノールの順で得られた固相を洗浄した。洗浄後、遠心分離で固液分離した。得られた固相を乾燥窒素流通下、100℃の条件で6時間加熱してこれを乾燥して多孔質金属錯体を得た。結晶構造の同定の結果、得られた多孔質金属錯体はMIL−100(Fe)であることが確認できた。当該MIL−100(Fe)を本実施例のセシウム吸着剤とした。なお、MIL−100(Fe)は細孔径25Åの細孔と、細孔径29Åの細孔とを有する。
(吸着処理)
1000mg/Lのセシウム標準液(キシダ化学社製)と純水とを混合し、10mg/Lのセシウムを含有するセシウム水溶液を得た。セシウム水溶液20mLに本実施例のセシウム吸着剤0.02gを添加し、フッ素樹脂コーティングされたスターラーチップで撹拌しながら、室温で24時間撹拌を行うことでセシウムの吸着評価を行った。吸着処理後のセシウム水溶液中のセシウム濃度は8.8mg/Lであった。
(脱離処理)
固液分離した吸着処理後の本実施例のセシウム吸着剤0.02gを回収し、これを20mLの純水でリパルプ洗浄した。その後、孔径0.1μmのセルロース混合エステル性のメンブレンフィルターを用いて吸引ろ過した。ろ過後、得られた固相に純水500mLを通液させて洗浄して、脱離処理用の吸着剤とした。
純水100gに、塩化ナトリウム(特級、キシダ化学社製)0.53gを添加し、これを混合してナトリウム濃度が5300重量ppmのセシウム脱離液を得た。セシウム脱離液に脱離処理用の吸着剤を混合し、室温で24時間、フッ素樹脂コーティングされたスターラーチップ撹拌することで脱離処理とした。脱離処理後のセシウム脱離液中のセシウム濃度は0.011mg/Lであった。
吸着処理及び脱離処理の結果よりセシウム処理剤が吸着したセシウムの脱離率を求めた。結果を表1に示す。
比較例1
多孔質金属錯体の代わりにモルデナイト型ゼオライト(商品名:HSZ−642NAA、東ソー社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様な方法で吸着処理及び脱離処理を行った。吸着処理後のセシウム水溶液中のセシウム濃度は0.022mg/Lであり、脱離処理後のセシウム脱離液中のセシウム濃度は1.1mg/Lであった。結果を表1に示す。
Figure 2016179431
比較例では脱離率が55%以上であった。これより、従来からセシウム吸着剤として使用されているモルデナイト型ゼオライトは、吸着したセシウムとナトリウムが交換されること、すなわち、吸着後のセシウムが脱離しやすいことが確認できた。これに対し、本実施例において多孔質金属錯体を含むセシウム吸着剤は、セシウムとナトリウムとのイオン交換が著しく抑制され、本実施例のセシウム吸着剤は一度吸着したセシウムを安定に吸蔵していることが確認できた。この結果より、本発明のセシウム吸着剤は、吸着したセシウムの再溶出が生じにくいことが確認できた。
本発明のセシウム処理剤は、含セシウム物質からのセシウム除去、及び、除去したセシウムの貯蔵に使用することができる。さらには、本発明のセシウム吸着剤は、放射性セシウムを含む物質であっても、当該物質からのセシウム除去及びその貯蔵に使用することができる。

Claims (6)

  1. 鉄又はアルミニウムの少なくともいずれかのイオンと、芳香族カルボン酸とを含有する多孔質金属錯体、を含むセシウム吸着剤。
  2. 前記多孔質金属錯体の細孔径が、20Å以上40Å以下である請求項1に記載のセシウム吸着剤。
  3. 前記多孔質金属錯体が、MIL−100(Fe)、MIL−101(Fe)、MIL−100(Al)、及びMIL−101(Al)からなる群の少なくとも1種である請求項1又は2に記載のセシウム吸着剤。
  4. 前記芳香族カルボン酸が、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、及びピロメリット酸からなる群の少なくとも1種である請求項1乃至3いずれか一項に記載のセシウム吸着剤。
  5. 金属原料、芳香族カルボン酸、及びフッ素原料を溶媒中で混合する混合工程、及び、混合液を反応させる反応工程を有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに一項に記載のセシウム吸着剤を用いる吸着方法。
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