JP2014142264A - セシウム含有層状複水酸化物複合体及びそれを用いた廃棄物固化体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】層状複水酸化物、及び前記層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物を含む層状複水酸化物複合体と、層状複水酸化物複合体を構成するフェロシアン化金属化合物に吸着したセシウムと、を含有するセシウム含有層状複水酸化物複合体である。
【選択図】なし
Description
[1]層状複水酸化物、及び前記層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物を含む層状複水酸化物複合体と、前記層状複水酸化物複合体を構成する前記フェロシアン化金属化合物に吸着したセシウムと、を含有するセシウム含有層状複水酸化物複合体。
[2]前記層状複水酸化物複合体が、その数平均粒子径が0.1μm〜10mmの粉末又は粒子である前記[1]に記載のセシウム含有層状複水酸化物複合体。
[3]前記セシウムが、放射性セシウムである前記[1]又は[2]に記載のセシウム含有層状複水酸化物複合体。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセシウム含有層状複水酸化物複合体が、セメントを含有する固化材料で固化されてなる廃棄物固化体。
[5]層状複水酸化物、及び前記層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物を含む層状複水酸化物複合体を用いて、セシウムを含有する廃水を処理する工程を有するセシウム含有廃水の処理方法(以下、「第1のセシウム含有廃水の処理方法」又は「第1の処理方法」とも記す)。
[6]セシウムを含有する廃水にフェロシアン化金属化合物を添加して、前記セシウムを前記フェロシアン化金属化合物に吸着させてセシウム含有フェロシアン化金属化合物を形成させる工程と、層状複水酸化物を用いて、前記セシウム含有フェロシアン化金属化合物を含有する前記廃水を処理する工程と、を有するセシウム含有廃水の処理方法(以下、「第2のセシウム含有廃水の処理方法」又は「第2の処理方法」とも記す)。
[7]層状複水酸化物と、前記層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物と、を含む層状複水酸化物複合体。
[8]その数平均粒子径が0.1μm〜10mmの粉末又は粒子である前記[7]に記載の層状複水酸化物複合体。
[9]前記[7]又は[8]に記載の層状複水酸化物複合体の製造方法であって、フェロシアン化金属化合物を含有する水媒体に、層状複水酸化物又は前記層状複水酸化物を焼成して得た焼成物を浸漬する第1の工程を有する層状複水酸化物複合体の製造方法。
[10]前記第1の工程で得た生成物を硝酸金属塩の水溶液と接触させる第2の工程をさらに有する前記[9]に記載の層状複水酸化物複合体の製造方法。
本発明のセシウム含有層状複水酸化物複合体は、層状複水酸化物複合体と、この層状複水酸化物複合体を構成するフェロシアン化金属化合物に吸着したセシウムとを含有する。そして、層状複水酸化物複合体は、層状複水酸化物と、この層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物とを含む。
層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide(LDH))は多数の金属水酸化物層を有する層状化合物であり、ハイドロタルサイト様化合物とも呼ばれる。層状複水酸化物の組成は、例えば下記一般式(1)で表される。
[M2+ 1-xM3+ x(OH)2][An- x/n・mH2O] ・・・(1)
フェロシアン化金属化合物は、その組成が下記一般式(2)で表される化合物である。フェロシアン化金属化合物のなかには「紺青」と呼ばれて広く色材として使用されているものもある。本発明においては、いずれのフェロシアン化金属化合物であっても好適に用いることができる。
AxMy[Fe(CN)6] ・・・(2)
MFe[Fe(CN)6] ・・・(A)(M=NH4、K、又はFe)
MK2[Fe(CN)6] ・・・(B)(M=Ni又はCo)
本発明の層状複水酸化物複合体は、上述の層状複水酸化物と、上述のフェロシアン化金属化合物とを含む。そして、フェロシアン化金属化合物は、層状複水酸化物を構成するホスト層である金属水酸化物層の層間と表面の少なくともいずれかに配置されている。なかでも、フェロシアン化金属化合物は、金属水酸化物層の層間と表面の両方に配置されていることが好ましい。
層状複水酸化物複合体は、例えば、以下に示す(i)再構築法や(ii)イオン交換法等の方法によって製造することができる。
再構築法は、フェロシアン化鉄やフェロシアン化ニッケル等のフェロシアン化金属化合物を含有する水媒体に、層状複水酸化物を焼成して得た焼成物を浸漬する工程を有する。層状複水酸化物を焼成する際の温度は特に限定されないが、例えば400〜600℃とすればよい。また、フェロシアン化金属化合物を含有する水媒体に層状複水酸化物やその焼成物を浸漬する際の温度は、例えば25〜100℃とすればよい。さらに、浸漬時間は、例えば1〜24時間程度である。浸漬後、定法にしたがって固形分を分離するとともに適宜乾燥すること等によって、本発明の層状複水酸化物複合体を生成物として得ることができる。
イオン交換法は、フェロシアン化鉄やフェロシアン化ニッケル等のフェロシアン化金属化合物を含有する水媒体に、層状複水酸化物を浸漬する工程を有する。浸漬する際の温度は、例えば25〜100℃とすればよい。また、浸漬時間は、例えば1〜24時間程度である。浸漬後、定法にしたがって固形分を分離するとともに適宜乾燥すること等によって、本発明の層状複水酸化物複合体を生成物として得ることができる。
(1)第1のセシウム含有廃水の処理方法
本発明の第1のセシウム含有廃水の処理方法は、前述の層状複水酸化物複合体を用いて放射性セシウム等のセシウムを含有する廃水を処理する工程を有する。前述の通り、層状複水酸化物複合体は高いセシウム吸着能を有する。このため、層状複水酸化物複合体を用いることで、セシウムを含有する廃水からセシウムを吸着除去して廃水を浄化し、廃棄物である本発明のセシウム含有層状複水酸化物複合体を得ることができる。また、層状複水酸化物複合体はアルカリ条件下であっても安定である。このため、廃水のpHが7〜13程度のアルカリ性であっても有効に処理可能であるために汎用性が高い。
本発明の第2のセシウム含有廃水の処理方法は、セシウムを含有する廃水にフェロシアン化金属化合物を添加して、セシウムをフェロシアン化金属化合物に吸着させてセシウム含有フェロシアン化金属化合物を形成させる工程(工程(1))と、層状複水酸化物を用いて、セシウム含有フェロシアン化金属化合物を含有する廃水を処理する工程(工程(2)と、を有する。
本発明のセシウム含有層状複水酸化物複合体は、上述の通り、第1の処理方法又は第2の処理方法を実施することにより、廃棄物として得ることができる。このようにして得られる本発明のセシウム含有層状複水酸化物複合体は、pH≦13程度のアルカリ条件下であっても安定である。このため、本発明のセシウム含有層状複水酸化物複合体を用いれば、セメントを含有する固化材料で固化すること等によって、吸着したセシウムが容易に漏出することなく、安定した状態で長期間保存可能な本発明の廃棄物固化体を形成することができる。
(製造例1:硝酸型Mg−Al系LDH)
Mg/Alモル比を3に調整した硝酸マグネシウム六水和物と硝酸アルミニウム九水和物の混合水溶液200mLを調製した。窒素ガスでバブリングした蒸留水400mLに、調製した混合水溶液を、水酸化ナトリウム水溶液でpHを10に調整しながら、5mL/minの速度で滴下した。なお、窒素ガスによるバブリングは炭酸ガスの混入を防ぐために実施した。滴下後1時間熟成し、次いで、蒸留水1500mLでろ過洗浄して固形分を得た。凍結乾燥器を使用し、得られた固形分を24時間乾燥して、硝酸型Mg−Al系LDHを得た。
Ca/Alモル比を3に調整した硝酸カルシウム四水和物と硝酸アルミニウム九水和物の混合溶液200mLを調製した。窒素ガスでバブリングした蒸留水400mLに、調製した混合水溶液を、水酸化ナトリウム水溶液でpHを12に調整しながら、5mL/minの速度で滴下した。なお、窒素ガスによるバブリングは炭酸ガスの混入を防ぐために実施した。滴下後1時間熟成し、次いで、蒸留水1500mLでろ過洗浄して固形分を得た。凍結乾燥器を使用し、得られた固形分を24時間乾燥して、硝酸型Ca−Al系LDHを得た。
(実施例1)
炭酸型Mg−Al系LDH(商品名「Hydrotalcite,synthetic」、Mg6Al2CO3(OH)16・4H2O、アルドリッチ社製)を550℃で焼成して得た焼成物3.0gを、フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)3.0gを入れた蒸留水600mL中に浸漬し、内温を60℃に調整した乾燥器中に24時間載置した。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて層状複水酸化物複合体を得た。得られた層状複水酸化物複合体のXRDチャートを図1に示す。図1に示すように、LDHの回折線が低角度側にシフトしたとともに、フェロシアン化鉄の回折線が認められた。このため、LDHの層間と表面の少なくともいずれかにフェロシアン化鉄が配置されたことが分かる。
製造例1で得た硝酸型Mg−Al系層状複水酸化物3.0gを、フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)3.0gを入れた蒸留水600mL中に浸漬し、25℃で24時間放置した。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて層状複水酸化物複合体を得た。得られた層状複水酸化物複合体のXRDチャートを図2に示す。図2に示すように、LDHとフェロシアン化鉄の両方の回折線が認められる。このため、LDHの少なくとも表面にフェロシアン化鉄が配置されたことが分かる。
炭酸型Mg−Al系LDH(商品名「Hydrotalcite,synthetic」、Mg6Al2CO3(OH)16・4H2O、アルドリッチ社製)を550℃で焼成して得た焼成物3.0gを、フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)3.0gを入れた蒸留水600mL中に浸漬し、内温を60℃に調整した乾燥器中に24時間載置した。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて生成物を得た。0.1mol/L硝酸ニッケル(II)六水和物水溶液200mL中に得られた生成物1.0gを入れ、横揺れ振とう機を使用して80rpmで24時間振とうした。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて層状複水酸化物複合体を得た。得られた層状複水酸化物複合体のXRDチャートを図3に示す。図3に示すように、LDHとフェロシアン化ニッケルの両方の回折線が認められる。このため、LDHの層間と表面の少なくともいずれかにフェロシアン化ニッケルが配置されたことが分かる。
製造例2で得た硝酸型Ca−Al系LDH3.0gを、フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)3.0gを入れた蒸留水600mL中に浸漬し、25℃で24時間放置した。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて層状複水酸化物複合体を得た。得られた層状複水酸化物複合体のXRDチャートを図4に示す。図4に示すように、LDHとフェロシアン化鉄の両方の回折線が認められる。このため、LDHの層間と表面の少なくともいずれかにフェロシアン化鉄が配置されたことが分かる。
炭酸型Mg−Al系LDH(商品名「Hydrotalcite,synthetic」、Mg6Al2CO3(OH)16・4H2O、アルドリッチ社製)を550℃で焼成して得た焼成物3.0gを、フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)1.5gを入れた蒸留水600mL中に浸漬し、内温を60℃に調整した乾燥器中に24時間載置した。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて生成物を得た。得られた生成物のXRDチャートを図5に示す。図5に示すように、LDHの回折線は低角度側にシフトしたが、フェロシアン化鉄の回折線は認められなかった。このため、LDHの層間に挿入されたのはフェロシアン化物イオンのみであり、フェロシアン化鉄はLDHの層間に挿入されなかったことが分かる。これは、フェロシアン化鉄の量が少な過ぎたために反応液のpHが高くなってしまい、フェロシアン化鉄が分解したためであると考えられる。
炭酸型Mg−Al系LDH(商品名「Hydrotalcite,synthetic」、Mg6Al2CO3(OH)16・4H2O、アルドリッチ社製)を550℃で焼成して得た焼成物5.0gを、フェロシアン化カリウム(ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物)3.0gを入れた蒸留水600mL中に浸漬し、内温を60℃に調整した乾燥器中に24時間載置した。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて生成物を得た。得られた生成物は、比較例1の場合と同様、LDHの層間に挿入されたのはフェロシアン化物イオンのみであり、フェロシアン化鉄はLDHの層間に挿入されなかったと推測される。これは、フェロシアン化カリウムが水可溶性であるため、生成したフェロシアン化物イオンがLDHの層間に導入されたためであると考えられる。
(実施例5)
実施例3で得た層状複水酸化物複合体0.5gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液10mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は99.0%であった。
実施例2で得た層状複水酸化物複合体0.3gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液30mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は99.9%であった。
実施例1で得た層状複水酸化物複合体0.3gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液30mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は99.2%であった。
実施例4で得た層状複水酸化物複合体0.3gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液30mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は99.9%であった。
フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)0.3gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液30mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は95.2%であり、一部の微細な結晶が孔径0.45μmのシリンジフィルターを透過して液相に残存したことが示唆される。
フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)1.4gを入れた蒸留水600mLを、内温を60℃に調整した乾燥器中に24時間載置した。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて生成物を得た。0.1mol/L硝酸ニッケル(II)六水和物水溶液200mL中に得られた生成物1.0gを入れ、横揺れ振とう機を使用して80rpmで24時間振とうした。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させてフェロシアン化ニッケルを得た。
比較例1で得た生成物0.5gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液10mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は2.0%であった。
製造例1で得た硝酸型Mg−Al系LDH0.5gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液10mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は6.0%であった。
(実施例9)
実施例3で得た層状複水酸化物複合体0.5gを、水酸化ナトリウム水溶液を用いて初期のpHを(i)10、(ii)11、(iii)12、及び(iv)13に調整したセシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液10mLにそれぞれ入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は(i)95.0%、(ii)95.2%、(iii)94.3%、及び(iv)90.8%であった。
比較例1で得た生成物0.5gを用いたこと以外は、前述の実施例9と同様にしてセシウムイオン吸着率を測定した。その結果、いずれのpHの塩化セシウム水溶液を用いた場合であってもセシウムイオン吸着率は5.0%以下であった。
(実施例10)
フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)0.1gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液30mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。次いで、製造例1で得た硝酸型Mg−Al系LDH0.3gを添加してさらに撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は99.1%であった。
フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)0.1gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液30mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。次いで、製造例2で得た硝酸型Ca−Al系LDH0.3gを添加してさらに撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は99.4%であった。
実施例1及び3で得た層状複水酸化物複合体3.0gを、セシウム濃度10mg/Lの塩化セシウム水溶液300mLとそれぞれ接触させた。接触後の層状複水酸化物複合体(セシウム含有層状複水酸化物複合体)1.5gを、初期pHをpH10、pH11、pH12、及びpH13に調整した水酸化ナトリウム水溶液中に入れた。24時間後、それぞれの初期pHにおけるセシウムイオン(Cs+)溶出率(%)を測定及び算出した。なお、Cs+溶出率(%)は、10mg/Lのセシウムイオンが吸着されたと仮定して算出した。結果を図6に示す。図6に示すように、実施例1で得た層状複水酸化物複合体を用いて調製したセシウム含有層状複水酸化物複合体は、初期pH12までCs+溶出率が20%以下であった。さらに、実施例3で得た層状複水酸化物複合体を用いて調製したセシウム含有層状複水酸化物複合体は、初期pH13までCs+溶出率が20%以下であった。すなわち、いずれのセシウム含有層状複水酸化物複合体についても、高アルカリ条件下であっても安定してセシウムを吸着し、長期間保存可能であることが分かる。
Claims (10)
- 層状複水酸化物、及び前記層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物を含む層状複水酸化物複合体と、
前記層状複水酸化物複合体を構成する前記フェロシアン化金属化合物に吸着したセシウムと、を含有するセシウム含有層状複水酸化物複合体。 - 前記層状複水酸化物複合体が、その数平均粒子径が0.1μm〜10mmの粉末又は粒子である請求項1に記載のセシウム含有層状複水酸化物複合体。
- 前記セシウムが、放射性セシウムである請求項1又は2に記載のセシウム含有層状複水酸化物複合体。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のセシウム含有層状複水酸化物複合体が、セメントを含有する固化材料で固化されてなる廃棄物固化体。
- 層状複水酸化物、及び前記層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物を含む層状複水酸化物複合体を用いて、セシウムを含有する廃水を処理する工程を有するセシウム含有廃水の処理方法。
- セシウムを含有する廃水にフェロシアン化金属化合物を添加して、前記セシウムを前記フェロシアン化金属化合物に吸着させてセシウム含有フェロシアン化金属化合物を形成させる工程と、
層状複水酸化物を用いて、前記セシウム含有フェロシアン化金属化合物を含有する前記廃水を処理する工程と、を有するセシウム含有廃水の処理方法。 - 層状複水酸化物と、前記層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物と、を含む層状複水酸化物複合体。
- その数平均粒子径が0.1μm〜10mmの粉末又は粒子である請求項7に記載の層状複水酸化物複合体。
- 請求項7又は8に記載の層状複水酸化物複合体の製造方法であって、
フェロシアン化金属化合物を含有する水媒体に、層状複水酸化物又は前記層状複水酸化物を焼成して得た焼成物を浸漬する第1の工程を有する層状複水酸化物複合体の製造方法。 - 前記第1の工程で得た生成物を硝酸金属塩の水溶液と接触させる第2の工程をさらに有する請求項9に記載の層状複水酸化物複合体の製造方法。
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