JP5936196B2 - セシウム含有層状複水酸化物複合体、廃棄物固化体、セシウム含有廃水の処理方法、層状複水酸化物複合体、及び層状複水酸化物複合体の製造方法 - Google Patents

セシウム含有層状複水酸化物複合体、廃棄物固化体、セシウム含有廃水の処理方法、層状複水酸化物複合体、及び層状複水酸化物複合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セシウムを安定的に吸着したセシウム含有層状複水酸化物複合体、及びそれを固化材料で固化して得られる長期間保存可能な廃棄物固化体に関する。
従来、原子力発電所等の放射性物質を取り扱う施設から発生する放射性物質を含む廃液から、放射性物質を自然環境中に排出させないことが要求されている。例えば、γ線を放射する放射性セシウム137(137Cs、半減期:約30年)は、蓄積性及び水溶性の高い放射性物質である。このため、放射性セシウムが自然環境中に飛散したような場合には、体内被曝等の生体に対する悪影響が懸念される。
吸着剤である活性炭やゼオライトは、幅広い分野において汚染物質の吸着や浄化に活用されている。例えば、汚染物質が含まれる汚染水を活性炭やゼオライトで処理し、汚染物質を活性炭やゼオライトに吸着させて除去し、浄化水を得ることが一般的に行われている。また、活性炭やゼオライトは、放射性物質を吸着する性能をも有することが知られている。このため、活性炭やゼオライトは、原子力発電所等の施設から発生する放射性物質を含む汚染水を浄化するための材料としても有用である。
例えば、活性炭を充填した濾過槽に放射性物質を含有する汚染水を通過させ、放射性物質を活性炭に吸着させる浄化方法が開示されている(特許文献1参照)。さらに、放射性物質が溶解又は懸濁した汚染水にゼオライトを含む粒子を接触させ、放射性物質を粒子に吸着させる浄化方法が開示されている(特許文献2参照)。
しかしながら、活性炭やゼオライトは吸着能力が高い一方で選択性が若干乏しいため、本来除去する必要のない物質までをも吸着してしまう場合がある。このように、除去を必要としない物質まで吸着した活性炭等を処理するには、多大な労力とコストが必要とされるといった課題がある。
一方、電極材や金属吸着剤等に顔料として用いられる紺青(フェロシアン化金属化合物)は、放射性セシウムの吸着剤として知られている。例えば、フェロシアン化金属化合物を添着したゼオライトを吸着剤として用いる、放射性セシウムを含有する廃液の処理方法が開示されている(特許文献3参照)。また、セメントを含有する水硬性の固化材料によって放射性廃棄物を固化させる放射性廃棄物の処理方法が知られている(特許文献4参照)。
特開2005−177709号公報 特開2008−232773号公報 特公昭62−043519号公報 特開昭62−267699号公報
しかしながら、一般的に、フェロシアン化金属化合物はアルカリ条件下で不安定である。このため、紺青等を用いて放射性セシウムを吸着させて得られた放射性廃棄物をセメントを含有する水硬性の固化材料で固化して保存しようとすると、セメントがアルカリ性であるため、吸着した放射性セシウムが漏出されやすくなる可能性がある。このため、フェロシアン化金属化合物を用いて得られた廃棄物を長期間保存することは困難であった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、高選択的に吸着したセシウムを安定した状態で長期間保存可能な廃棄物固化体を形成することができるセシウム含有層状複水酸化物複合体を提供することにある。
また、本発明の課題とするところは、上記のセシウム含有層状複水酸化物複合体を用いて得られる廃棄物固化体、上記のセシウム含有層状複水酸化物複合体を構成する層状複水酸化物複合体及びそれを用いたセシウム含有廃水の処理方法、並びに層状複水酸化物複合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物を含む層状複水酸化物複合体を使用し、そのフェロシアン化金属化合物にセシウムを吸着させることによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下に示すセシウム含有層状複水酸化物複合体が提供される。
[1]層状複水酸化物、及び前記層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物を含む層状複水酸化物複合体と、前記層状複水酸化物複合体を構成する前記フェロシアン化金属化合物に吸着したセシウムイオン(Cs + と、を含有し、前記フェロシアン化金属化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であるセシウム含有層状複水酸化物複合体。
x y [Fe(CN) 6 ] ・・・(2)
(前記一般式(2)中、Aは、K、Na、又はNH 4 を示し、Mは、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、又はZnを示す。xとyは「x+ny=4(xは0〜3の数)」の関係を満たし、nはMの価数を表す)
[2]前記層状複水酸化物複合体が、その数平均粒子径が0.1μm〜10mmの粉末又は粒子である前記[1]に記載のセシウム含有層状複水酸化物複合体。
[3]前記セシウムイオン(Cs + が、放射性セシウムイオンである前記[1]又は[2]に記載のセシウム含有層状複水酸化物複合体。
また、本発明によれば、以下に示す廃棄物固化体が提供される。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセシウム含有層状複水酸化物複合体が、セメントを含有する固化材料で固化されてなる廃棄物固化体。
さらに、本発明によれば、以下に示すセシウム含有廃水の処理方法が提供される。
[5]層状複水酸化物、及び前記層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物を含む層状複水酸化物複合体を用いて、セシウムイオン(Cs + を含有する廃水を処理する工程を有し、前記フェロシアン化金属化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であるセシウム含有廃水の処理方法(以下、「第1のセシウム含有廃水の処理方法」又は「第1の処理方法」とも記す)。
x y [Fe(CN) 6 ] ・・・(2)
(前記一般式(2)中、Aは、K、Na、又はNH 4 を示し、Mは、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、又はZnを示す。xとyは「x+ny=4(xは0〜3の数)」の関係を満たし、nはMの価数を表す)
[6]セシウムイオン(Cs + を含有する廃水にフェロシアン化金属化合物を添加して、前記セシウムイオン(Cs + を前記フェロシアン化金属化合物に吸着させてセシウム含有フェロシアン化金属化合物を形成させる工程と、層状複水酸化物を用いて、前記セシウム含有フェロシアン化金属化合物を含有する前記廃水を処理する工程と、を有するセシウム含有廃水の処理方法(以下、「第2のセシウム含有廃水の処理方法」又は「第2の処理方法」とも記す)。
また、本発明によれば、以下に示す層状複水酸化物複合体、及びその製造方法が提供される。
[7]層状複水酸化物と、前記層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物と、を含み、前記フェロシアン化金属化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である層状複水酸化物複合体。
x y [Fe(CN) 6 ] ・・・(2)
(前記一般式(2)中、Aは、K、Na、又はNH 4 を示し、Mは、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、又はZnを示す。xとyは「x+ny=4(xは0〜3の数)」の関係を満たし、nはMの価数を表す)
[8]その数平均粒子径が0.1μm〜10mmの粉末又は粒子である前記[7]に記載の層状複水酸化物複合体。
[9]前記[7]又は[8]に記載の層状複水酸化物複合体の製造方法であって、前記一般式(2)で表される化合物であるフェロシアン化金属化合物を含有する水媒体に、層状複水酸化物又は前記層状複水酸化物を焼成して得た焼成物を浸漬する第1の工程を有する層状複水酸化物複合体の製造方法。
[10]前記第1の工程で得た生成物を硝酸金属塩の水溶液と接触させる第2の工程をさらに有する前記[9]に記載の層状複水酸化物複合体の製造方法。
本発明によれば、高選択的に吸着したセシウムを安定した状態で長期間保存可能な廃棄物固化体を形成することができるセシウム含有層状複水酸化物複合体を提供することができる。
また、本発明によれば、上記のセシウム含有層状複水酸化物複合体を用いて得られる、吸着したセシウムを安定した状態で長期間保存可能な廃棄物固化体が提供される。さらに、本発明によれば、上記のセシウム含有層状複水酸化物複合体を構成する、セシウム吸着能及び取り扱い性に優れた層状複水酸化物複合体、それを用いるセシウム含有廃水の処理方法、並びに層状複水酸化物複合体の製造方法が提供される。
実施例1で得た層状複水酸化物複合体のX線回折による分析結果(XRDチャート)である。 実施例2で得た層状複水酸化物複合体のX線回折による分析結果(XRDチャート)である。 実施例3で得た層状複水酸化物複合体のX線回折による分析結果(XRDチャート)である。 実施例4で得た層状複水酸化物複合体のX線回折による分析結果(XRDチャート)である。 比較例1で得た生成物のX線回折による分析結果(XRDチャート)である。 セシウム含有層状複水酸化物複合体のアルカリ条件下での安定性の評価結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
<セシウム含有層状複水酸化物複合体及び層状複水酸化物複合体>
本発明のセシウム含有層状複水酸化物複合体は、層状複水酸化物複合体と、この層状複水酸化物複合体を構成するフェロシアン化金属化合物に吸着したセシウムとを含有する。そして、層状複水酸化物複合体は、層状複水酸化物と、この層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物とを含む。
(層状複水酸化物)
層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide(LDH))は多数の金属水酸化物層を有する層状化合物であり、ハイドロタルサイト様化合物とも呼ばれる。層状複水酸化物の組成は、例えば下記一般式(1)で表される。
[M2+ 1-x3+ x(OH)2][An- x/n・mH2O] ・・・(1)
前記一般式(1)中、M2+は、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+等の2価の金属イオンを示す。また、M3+は、Al3+、Fe3+、Cr3+、Ga3+、In3+等の3価の金属イオンを示す。さらに、An-は、CO3 2-、NO3 -、Cl-、OH-、Br-、SO4 2-、Fe(CN)6 4-、酒石酸イオン等の層間陰イオンを示す。前記一般式(1)中、x=[M3+]/([M2+]+[M3+])であり、通常、0<X≦0.33である。前記一般式(1)中の[M2+ 1-x3+ x(OH)2]が、金属水酸化物層であるホスト層であり、「x」だけ正に帯電している。そして、水分子と、正電荷を補償するゲストである陰イオンとがホスト層間に存在している。
層状複水酸化物の組成の具体例としては、推定される組成を含め、Mg6Al2CO3(OH)16・4H2O(炭酸型Mg−Al系LDH)、Mg6Al2(NO32(OH)16・4H2O(硝酸型Mg−Al系LDH)、及びCa6Al2(NO32(OH)16・4H2O(硝酸型Ca−Al系LDH)等を挙げることができる。これらの層状複水酸化物は、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。
(フェロシアン化金属化合物)
フェロシアン化金属化合物は、その組成が下記一般式(2)で表される化合物である。フェロシアン化金属化合物のなかには「紺青」と呼ばれて広く色材として使用されているものもある。本発明においては、いずれのフェロシアン化金属化合物であっても好適に用いることができる。
xy[Fe(CN)6] ・・・(2)
前記一般式(2)中、Aは、K、Na、又はNH4を示し、Mは、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、又はZnを示す。xとyは「x+ny=4(xは0〜3の数)」の関係を満たし、nはMの価数を表す。
フェロシアン化金属化合物の具体例としては、「紺青」と呼ばれている下記一般式(A)及び(B)で表される化合物等を挙げることができる。これらの化合物は古くから製造されている顔料である。色名としては、プルシアンブルー、ミロリブルー、ベルリンブルー等の慣用名がある。
MFe[Fe(CN)6] ・・・(A)(M=NH4、K、又はFe)
MK2[Fe(CN)6] ・・・(B)(M=Ni又はCo)
上記した紺青等のフェロシアン化金属化合物を放射性セシウムの除去に使用できることは既に公知である。しかしながら、フェロシアン化金属化合物が放射性セシウムを除去するメカニズムについては未だ完全には解明されておらず、「吸着」と「イオン交換」の二つのメカニズムが提唱されている。本発明においては、いずれのメカニズムによるものであっても、便宜上「吸着」と表記する。
<層状複水酸化物複合体>
本発明の層状複水酸化物複合体は、上述の層状複水酸化物と、上述のフェロシアン化金属化合物とを含む。そして、フェロシアン化金属化合物は、層状複水酸化物を構成するホスト層である金属水酸化物層の層間と表面の少なくともいずれかに配置されている。なかでも、フェロシアン化金属化合物は、金属水酸化物層の層間と表面の両方に配置されていることが好ましい。
上述したように、フェロシアン化金属化合物は放射性セシウム等のセシウムの吸着能を有する化合物である。このため、フェロシアン化金属化合物が層状複水酸化物の層間及び/又は表面に配置されてなる本発明の層状複水酸化物複合体は高いセシウム吸着能を有しており、放射性セシウム等のセシウムを含有する廃水からセシウムを除去するための材料として有用である。さらに、本発明の層状複水酸化物複合体は、アルカリ条件下であっても、フェロシアン化金属化合物に比して安定である。このため、処理対象となる廃水がアルカリ性である(pHが高い)場合であっても放射性セシウム等のセシウムを有効に吸着させて除去することができるため、極めて汎用性が高い。
また、層状複水酸化物複合体は、数平均粒子径が、通常0.1μm〜10mm、好ましくは0.5μm〜5mm、さらに好ましくは0.5μm〜3mmの粉末又は粒子である。すなわち、層状複水酸化物複合体の粒径は、これまで放射性セシウム等の除去に用いられてきた紺青等の粒径に比して大きく設定されうる。このため、本発明の層状複水酸化物複合体は取り扱いやすいとともに、ろ過の際にフィルターが目詰まりする等の不具合も生じにくい。さらには、放射性セシウム等を吸着させた後でも拡散しにくいといった利点がある。層状複水酸化物複合体の粒径を小さくするには、例えば、原料となる成分の濃度が希薄な溶液を用いて層状複水酸化物複合体を合成すればよい。また、層状複水酸化物複合体の粒径を大きくするには、例えば、層状複水酸化物複合体の合成時の反応温度を高くすればよい。なお、尿素法によって層状複水酸化物複合体の粒子を粒成長させることもできる。
(層状複水酸化物複合体の製造方法)
層状複水酸化物複合体は、例えば、以下に示す(i)再構築法や(ii)イオン交換法等の方法によって製造することができる。
(i)再構築法
再構築法は、フェロシアン化鉄やフェロシアン化ニッケル等のフェロシアン化金属化合物を含有する水媒体に、層状複水酸化物を焼成して得た焼成物を浸漬する工程を有する。層状複水酸化物を焼成する際の温度は特に限定されないが、例えば400〜600℃とすればよい。また、フェロシアン化金属化合物を含有する水媒体に層状複水酸化物やその焼成物を浸漬する際の温度は、例えば25〜100℃とすればよい。さらに、浸漬時間は、例えば1〜24時間程度である。浸漬後、定法にしたがって固形分を分離するとともに適宜乾燥すること等によって、本発明の層状複水酸化物複合体を生成物として得ることができる。
さらに、上記の工程で得た生成物を硝酸金属塩の水溶液と接触させる工程を有してもよい。硝酸金属塩としては、硝酸ニッケル、硝酸鉄等を挙げることができる。この工程を経ることによっても、本発明の層状複水酸化物複合体を得ることができる。
(ii)イオン交換法
イオン交換法は、フェロシアン化鉄やフェロシアン化ニッケル等のフェロシアン化金属化合物を含有する水媒体に、層状複水酸化物を浸漬する工程を有する。浸漬する際の温度は、例えば25〜100℃とすればよい。また、浸漬時間は、例えば1〜24時間程度である。浸漬後、定法にしたがって固形分を分離するとともに適宜乾燥すること等によって、本発明の層状複水酸化物複合体を生成物として得ることができる。
<セシウム含有廃水の処理方法>
(1)第1のセシウム含有廃水の処理方法
本発明の第1のセシウム含有廃水の処理方法は、前述の層状複水酸化物複合体を用いて放射性セシウム等のセシウムを含有する廃水を処理する工程を有する。前述の通り、層状複水酸化物複合体は高いセシウム吸着能を有する。このため、層状複水酸化物複合体を用いることで、セシウムを含有する廃水からセシウムを吸着除去して廃水を浄化し、廃棄物である本発明のセシウム含有層状複水酸化物複合体を得ることができる。また、層状複水酸化物複合体はアルカリ条件下であっても安定である。このため、廃水のpHが7〜13程度のアルカリ性であっても有効に処理可能であるために汎用性が高い。
層状複水酸化物複合体を用いて廃水を処理するには、例えば、層状複水酸化物複合体を廃水に添加すればよい。層状複水酸化物複合体を廃水に添加する方法は特に限定されず、任意の方法で添加すればよい。具体的には、粉末状又は粒子状の層状複水酸化物複合体を廃水に直接投入する方法、層状複水酸化物複合体を充填したフィルターを用いて廃水を濾過する方法等を挙げることができる。また、層状複水酸化物複合体を不織布等の適当な素材上に担持したものを廃水に投入したり、フィルターとして使用したりすることもできる。
層状複水酸化物複合体を廃水に添加した後は、廃水を静置してもよいが、セシウムの吸着効率を向上させるためには撹拌することが好ましい。層状複水酸化物複合体にセシウムが吸着して形成されたセシウム含有層状複水酸化物複合体は、固液分離することによって廃水(浄化水)から除去することができる。固液分離の具体的な方法は特に限定されず、任意の方法でセシウム含有層状複水酸化物複合体と廃水(浄化水)を分離すればよい。具体的には、静置、遠心分離、ろ過等の方法を挙げることができる。なお、形成されるセシウム含有層状複水酸化物複合体は、数平均粒子径が、通常0.1μm〜10mm、好ましくは0.5μm〜5mm、さらに好ましくは0.5μm〜3mmの粉末又は粒子である。すなわち、本発明のセシウム含有層状複水酸化物複合体は、これまで放射性セシウム等の除去に用いられてきた紺青等の粒径に比して大粒径であるため、ろ過の際に圧力損失が過度に上昇しにくく、フィルターが目詰まりする等の不具合が生じにくい。したがって、高いセシウム吸着能を有するだけでなく、廃水(浄化水)との分離も容易であるといった利点もある。
(2)第2のセシウム含有廃水の処理方法
本発明の第2のセシウム含有廃水の処理方法は、セシウムを含有する廃水にフェロシアン化金属化合物を添加して、セシウムをフェロシアン化金属化合物に吸着させてセシウム含有フェロシアン化金属化合物を形成させる工程(工程(1))と、層状複水酸化物を用いて、セシウム含有フェロシアン化金属化合物を含有する廃水を処理する工程(工程(2)と、を有する。
工程(1)では、セシウムを含有する廃水にセシウム吸着能を有する公知のフェロシアン化金属化合物を添加する。これにより、セシウムをフェロシアン化金属化合物に吸着させて、セシウム含有フェロシアン化金属化合物を形成させる。そして、工程(2)では、層状複水酸化物を使用して、工程(1)で形成されたセシウム含有フェロシアン化金属化合物を含有する廃水を処理する。具体的には、粉末状又は粒子状の層状複水酸化物を廃水に添加すればよい。層状複水酸化物を廃水に添加すると、廃水中のセシウム含有フェロシアン化金属化合物が層状複水酸化物を構成する金属水酸化物層の層間に挿入(導入)される。これにより、前述の本発明のセシウム含有層状複水酸化物複合体が形成されると推測される。
層状複水酸化物を廃水に添加した後は、廃水を静置してもよいが、浄化効率を向上させるためには撹拌することが好ましい。形成されたセシウム含有層状複水酸化物複合体は、前述の第1の処理方法の場合と同様、固液分離することによって廃水(浄化水)から除去することができる。
(セシウム含有層状複水酸化物複合体及び廃棄物固化体)
本発明のセシウム含有層状複水酸化物複合体は、上述の通り、第1の処理方法又は第2の処理方法を実施することにより、廃棄物として得ることができる。このようにして得られる本発明のセシウム含有層状複水酸化物複合体は、pH≦13程度のアルカリ条件下であっても安定である。このため、本発明のセシウム含有層状複水酸化物複合体を用いれば、セメントを含有する固化材料で固化すること等によって、吸着したセシウムが容易に漏出することなく、安定した状態で長期間保存可能な本発明の廃棄物固化体を形成することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<層状複水酸化物の製造>
(製造例1:硝酸型Mg−Al系LDH)
Mg/Alモル比を3に調整した硝酸マグネシウム六水和物と硝酸アルミニウム九水和物の混合水溶液200mLを調製した。窒素ガスでバブリングした蒸留水400mLに、調製した混合水溶液を、水酸化ナトリウム水溶液でpHを10に調整しながら、5mL/minの速度で滴下した。なお、窒素ガスによるバブリングは炭酸ガスの混入を防ぐために実施した。滴下後1時間熟成し、次いで、蒸留水1500mLでろ過洗浄して固形分を得た。凍結乾燥器を使用し、得られた固形分を24時間乾燥して、硝酸型Mg−Al系LDHを得た。
(製造例2:硝酸型Ca−Al系LDH)
Ca/Alモル比を3に調整した硝酸カルシウム四水和物と硝酸アルミニウム九水和物の混合溶液200mLを調製した。窒素ガスでバブリングした蒸留水400mLに、調製した混合水溶液を、水酸化ナトリウム水溶液でpHを12に調整しながら、5mL/minの速度で滴下した。なお、窒素ガスによるバブリングは炭酸ガスの混入を防ぐために実施した。滴下後1時間熟成し、次いで、蒸留水1500mLでろ過洗浄して固形分を得た。凍結乾燥器を使用し、得られた固形分を24時間乾燥して、硝酸型Ca−Al系LDHを得た。
<層状複水酸化物複合体の製造>
(実施例1)
炭酸型Mg−Al系LDH(商品名「Hydrotalcite,synthetic」、Mg6Al2CO3(OH)16・4H2O、アルドリッチ社製)を550℃で焼成して得た焼成物3.0gを、フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)3.0gを入れた蒸留水600mL中に浸漬し、内温を60℃に調整した乾燥器中に24時間載置した。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて層状複水酸化物複合体を得た。得られた層状複水酸化物複合体のXRDチャートを図1に示す。図1に示すように、LDHの回折線が低角度側にシフトしたとともに、フェロシアン化鉄の回折線が認められた。このため、LDHの層間と表面の少なくともいずれかにフェロシアン化鉄が配置されたことが分かる。
(実施例2)
製造例1で得た硝酸型Mg−Al系層状複水酸化物3.0gを、フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)3.0gを入れた蒸留水600mL中に浸漬し、25℃で24時間放置した。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて層状複水酸化物複合体を得た。得られた層状複水酸化物複合体のXRDチャートを図2に示す。図2に示すように、LDHとフェロシアン化鉄の両方の回折線が認められる。このため、LDHの少なくとも表面にフェロシアン化鉄が配置されたことが分かる。
(実施例3)
炭酸型Mg−Al系LDH(商品名「Hydrotalcite,synthetic」、Mg6Al2CO3(OH)16・4H2O、アルドリッチ社製)を550℃で焼成して得た焼成物3.0gを、フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)3.0gを入れた蒸留水600mL中に浸漬し、内温を60℃に調整した乾燥器中に24時間載置した。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて生成物を得た。0.1mol/L硝酸ニッケル(II)六水和物水溶液200mL中に得られた生成物1.0gを入れ、横揺れ振とう機を使用して80rpmで24時間振とうした。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて層状複水酸化物複合体を得た。得られた層状複水酸化物複合体のXRDチャートを図3に示す。図3に示すように、LDHとフェロシアン化ニッケルの両方の回折線が認められる。このため、LDHの層間と表面の少なくともいずれかにフェロシアン化ニッケルが配置されたことが分かる。
(実施例4)
製造例2で得た硝酸型Ca−Al系LDH3.0gを、フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)3.0gを入れた蒸留水600mL中に浸漬し、25℃で24時間放置した。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて層状複水酸化物複合体を得た。得られた層状複水酸化物複合体のXRDチャートを図4に示す。図4に示すように、LDHとフェロシアン化鉄の両方の回折線が認められる。このため、LDHの層間と表面の少なくともいずれかにフェロシアン化鉄が配置されたことが分かる。
(比較例1)
炭酸型Mg−Al系LDH(商品名「Hydrotalcite,synthetic」、Mg6Al2CO3(OH)16・4H2O、アルドリッチ社製)を550℃で焼成して得た焼成物3.0gを、フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)1.5gを入れた蒸留水600mL中に浸漬し、内温を60℃に調整した乾燥器中に24時間載置した。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて生成物を得た。得られた生成物のXRDチャートを図5に示す。図5に示すように、LDHの回折線は低角度側にシフトしたが、フェロシアン化鉄の回折線は認められなかった。このため、LDHの層間に挿入されたのはフェロシアン化物イオンのみであり、フェロシアン化鉄はLDHの層間に挿入されなかったことが分かる。これは、フェロシアン化鉄の量が少な過ぎたために反応液のpHが高くなってしまい、フェロシアン化鉄が分解したためであると考えられる。
(比較例2)
炭酸型Mg−Al系LDH(商品名「Hydrotalcite,synthetic」、Mg6Al2CO3(OH)16・4H2O、アルドリッチ社製)を550℃で焼成して得た焼成物5.0gを、フェロシアン化カリウム(ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物)3.0gを入れた蒸留水600mL中に浸漬し、内温を60℃に調整した乾燥器中に24時間載置した。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて生成物を得た。得られた生成物は、比較例1の場合と同様、LDHの層間に挿入されたのはフェロシアン化物イオンのみであり、フェロシアン化鉄はLDHの層間に挿入されなかったと推測される。これは、フェロシアン化カリウムが水可溶性であるため、生成したフェロシアン化物イオンがLDHの層間に導入されたためであると考えられる。
<セシウム吸着試験(1)>
(実施例5)
実施例3で得た層状複水酸化物複合体0.5gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液10mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は99.0%であった。
(実施例6)
実施例2で得た層状複水酸化物複合体0.3gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液30mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は99.9%であった。
(実施例7)
実施例1で得た層状複水酸化物複合体0.3gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液30mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は99.2%であった。
(実施例8)
実施例4で得た層状複水酸化物複合体0.3gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液30mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は99.9%であった。
(比較例3)
フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)0.3gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液30mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は95.2%であり、一部の微細な結晶が孔径0.45μmのシリンジフィルターを透過して液相に残存したことが示唆される。
(比較例4)
フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)1.4gを入れた蒸留水600mLを、内温を60℃に調整した乾燥器中に24時間載置した。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させて生成物を得た。0.1mol/L硝酸ニッケル(II)六水和物水溶液200mL中に得られた生成物1.0gを入れ、横揺れ振とう機を使用して80rpmで24時間振とうした。次いで、定性ろ紙を用いてろ過するとともに洗浄して固形分を分離した後、凍結乾燥器を用いて24時間乾燥させてフェロシアン化ニッケルを得た。
フェロシアン化ニッケル0.5gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液10mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は17.3%であった。
(比較例5)
比較例1で得た生成物0.5gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液10mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は2.0%であった。
(比較例6)
製造例1で得た硝酸型Mg−Al系LDH0.5gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液10mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は6.0%であった。
<セシウム吸着試験(2)>
(実施例9)
実施例3で得た層状複水酸化物複合体0.5gを、水酸化ナトリウム水溶液を用いて初期のpHを(i)10、(ii)11、(iii)12、及び(iv)13に調整したセシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液10mLにそれぞれ入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は(i)95.0%、(ii)95.2%、(iii)94.3%、及び(iv)90.8%であった。
(比較例7)
比較例1で得た生成物0.5gを用いたこと以外は、前述の実施例9と同様にしてセシウムイオン吸着率を測定した。その結果、いずれのpHの塩化セシウム水溶液を用いた場合であってもセシウムイオン吸着率は5.0%以下であった。
<セシウム吸着試験(3)>
(実施例10)
フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)0.1gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液30mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。次いで、製造例1で得た硝酸型Mg−Al系LDH0.3gを添加してさらに撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は99.1%であった。
(実施例11)
フェロシアン化鉄(商品名「MILORI BLUE 905」、大日精化工業社製)0.1gを、セシウム濃度が10mg/Lである塩化セシウム水溶液30mLに入れた。横揺れ振とう機を使用し、25℃の恒温室中で100rpm、24時間撹拌した。次いで、製造例2で得た硝酸型Ca−Al系LDH0.3gを添加してさらに撹拌した。その後、孔径0.45μmのシリンジフィルターを用いて固液分離し、得られた液相中のセシウムイオン濃度を原子吸光光度計により測定した。その結果、セシウムイオン吸着率は99.4%であった。
<アルカリ条件下での安定性評価>
実施例1及び3で得た層状複水酸化物複合体3.0gを、セシウム濃度10mg/Lの塩化セシウム水溶液300mLとそれぞれ接触させた。接触後の層状複水酸化物複合体(セシウム含有層状複水酸化物複合体)1.5gを、初期pHをpH10、pH11、pH12、及びpH13に調整した水酸化ナトリウム水溶液中に入れた。24時間後、それぞれの初期pHにおけるセシウムイオン(Cs+)溶出率(%)を測定及び算出した。なお、Cs+溶出率(%)は、10mg/Lのセシウムイオンが吸着されたと仮定して算出した。結果を図6に示す。図6に示すように、実施例1で得た層状複水酸化物複合体を用いて調製したセシウム含有層状複水酸化物複合体は、初期pH12までCs+溶出率が20%以下であった。さらに、実施例3で得た層状複水酸化物複合体を用いて調製したセシウム含有層状複水酸化物複合体は、初期pH13までCs+溶出率が20%以下であった。すなわち、いずれのセシウム含有層状複水酸化物複合体についても、高アルカリ条件下であっても安定してセシウムを吸着し、長期間保存可能であることが分かる。
本発明のセシウム含有層状複水酸化物複合体は、吸着した放射性セシウム等を長期間安定して保存可能な廃棄物固化体を形成するための材料として好適である。

Claims (10)

  1. 層状複水酸化物、及び前記層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物を含む層状複水酸化物複合体と、
    前記層状複水酸化物複合体を構成する前記フェロシアン化金属化合物に吸着したセシウムイオン(Cs + と、を含有し、
    前記フェロシアン化金属化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であるセシウム含有層状複水酸化物複合体。
    x y [Fe(CN) 6 ] ・・・(2)
    (前記一般式(2)中、Aは、K、Na、又はNH 4 を示し、Mは、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、又はZnを示す。xとyは「x+ny=4(xは0〜3の数)」の関係を満たし、nはMの価数を表す)
  2. 前記層状複水酸化物複合体が、その数平均粒子径が0.1μm〜10mmの粉末又は粒子である請求項1に記載のセシウム含有層状複水酸化物複合体。
  3. 前記セシウムイオン(Cs + が、放射性セシウムイオンである請求項1又は2に記載のセシウム含有層状複水酸化物複合体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のセシウム含有層状複水酸化物複合体が、セメントを含有する固化材料で固化されてなる廃棄物固化体。
  5. 層状複水酸化物、及び前記層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物を含む層状複水酸化物複合体を用いて、セシウムイオン(Cs + を含有する廃水を処理する工程を有し、
    前記フェロシアン化金属化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であるセシウム含有廃水の処理方法。
    x y [Fe(CN) 6 ] ・・・(2)
    (前記一般式(2)中、Aは、K、Na、又はNH 4 を示し、Mは、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、又はZnを示す。xとyは「x+ny=4(xは0〜3の数)」の関係を満たし、nはMの価数を表す)
  6. セシウムイオン(Cs + を含有する廃水にフェロシアン化金属化合物を添加して、前記セシウムイオン(Cs + を前記フェロシアン化金属化合物に吸着させてセシウム含有フェロシアン化金属化合物を形成させる工程と、
    層状複水酸化物を用いて、前記セシウム含有フェロシアン化金属化合物を含有する前記廃水を処理する工程と、を有するセシウム含有廃水の処理方法。
  7. 層状複水酸化物と、前記層状複水酸化物の層間と表面の少なくともいずれかに配置されたフェロシアン化金属化合物と、を含み、
    前記フェロシアン化金属化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である層状複水酸化物複合体。
    x y [Fe(CN) 6 ] ・・・(2)
    (前記一般式(2)中、Aは、K、Na、又はNH 4 を示し、Mは、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、又はZnを示す。xとyは「x+ny=4(xは0〜3の数)」の関係を満たし、nはMの価数を表す)
  8. その数平均粒子径が0.1μm〜10mmの粉末又は粒子である請求項7に記載の層状複水酸化物複合体。
  9. 請求項7又は8に記載の層状複水酸化物複合体の製造方法であって、
    前記一般式(2)で表される化合物であるフェロシアン化金属化合物を含有する水媒体に、層状複水酸化物又は前記層状複水酸化物を焼成して得た焼成物を浸漬する第1の工程を有する層状複水酸化物複合体の製造方法。
  10. 前記第1の工程で得た生成物を硝酸金属塩の水溶液と接触させる第2の工程をさらに有する請求項9に記載の層状複水酸化物複合体の製造方法。
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