JP2016179427A - 排ガス浄化触媒および排ガス浄化用ハニカム触媒構造体 - Google Patents

排ガス浄化触媒および排ガス浄化用ハニカム触媒構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP2016179427A
JP2016179427A JP2015060045A JP2015060045A JP2016179427A JP 2016179427 A JP2016179427 A JP 2016179427A JP 2015060045 A JP2015060045 A JP 2015060045A JP 2015060045 A JP2015060045 A JP 2015060045A JP 2016179427 A JP2016179427 A JP 2016179427A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
exhaust gas
catalyst
oxide
supported
noble metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015060045A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6491004B2 (ja
Inventor
泰治 新開
Taiji Shinkai
泰治 新開
智晴 伊藤
Tomoharu Ito
智晴 伊藤
元哉 阿部
Motoya Abe
元哉 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Cataler Corp
Shin Nihon Denko Co Ltd
Original Assignee
Cataler Corp
Shin Nihon Denko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Cataler Corp, Shin Nihon Denko Co Ltd filed Critical Cataler Corp
Priority to JP2015060045A priority Critical patent/JP6491004B2/ja
Publication of JP2016179427A publication Critical patent/JP2016179427A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6491004B2 publication Critical patent/JP6491004B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】 高温等の過酷な環境下でも十分な寿命が得られて耐久性に優れた排ガス浄化触媒、排ガス浄化用ハニカム触媒構造体を提供すること。
【解決手段】 貴金属が担持された基材粒子にさらに表面沈殿膜を有し、該表面沈殿膜の成分が水酸化セリウム単独またはセリア単独、またはイットリウム及び原子番号57から71までの希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)から選ばれた1種以上の希土類の水酸化物または希土類の酸化物、水酸化アルミニウムまたはアルミナまたはシリカを含み、前記基材粒子が、セリアジルコニア系複合酸化物、またはジルコニア、またはイットリア安定化ジルコニア、またはアルミナであることを特徴とする排ガス浄化触媒。排ガス浄化用ハニカム触媒構造体は、排ガス浄化触媒を、金属又はセラミックスハニカム内壁に被覆したことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、排ガス浄化触媒および排ガス浄化用ハニカム触媒構造体に関する。特に、自動車等の内燃機関から排出される排気ガスを浄化するために用いる排ガス浄化触媒、排ガス浄化用ハニカム触媒構造体に関する。
自動車排ガス等の内燃機関から排出されるガス中のCO、NOx、HCを全て浄化する触媒として三元触媒(Three way catalysts:TWC)があり、前記触媒には、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属を組み合わせた金属触媒が広く使用されている。これら金属触媒は、そのまま触媒として使用されるのではなく、通常、活性アルミナ(γ−アルミナ、ρ−アルミナ、χ−アルミナ、η−アルミナ、δ−アルミナ、κ−アルミナ、θ−アルミナ、無定形アルミナ等)系酸化物やセリアジルコニア系酸化物等の微粒子の表面に担持された触媒として使用される。前記酸化物微粒子は、金属触媒の担体として、金属粒子を高分散化して凝集を防ぎ、有効な金属触媒の表面積を維持する目的で使用される。このように、貴金属等の触媒金属を酸化物微粒子に担持した触媒は、更に、金属ハニカムあるいはセラミックスハニカムの内壁にウォッシュコート(被覆)され、触媒コンバーター(ハニカム触媒構造体)として使用される。
近年の排ガス規制の強化に伴い、触媒の高活性や高寿命等の性能を向上すべく、触媒金属及びその担体酸化物についてそれぞれ検討されている。特に、より過酷な使用環境下でも触媒金属の凝集・シンタリングや粒成長を抑制して高寿命化する技術の要求が高い。
例えば、排ガス浄化触媒の性能向上に関する従来技術には、以下のようなものがある。特許文献1には、Pd担持量を微量としながら、優れた酸素吸蔵・放出能及び高い触媒活性を得ること、そして、高温ガスに晒された後も、優れた酸素吸蔵・放出能及び高い触媒活性が維持されることを目的として、CeZr系複合酸化物粒子に触媒金属としてPdが担持されている触媒金属担持酸素吸蔵材であって、上記Pdの大半が、上記CeZr系複合酸化物粒子を構成する一次粒子表面の凹陥部に、又はその一次粒子間に配置されていることを特徴とする触媒金属担持酸素吸蔵材が記載されている。このようにすることで、少ないPd担持量で優れた酸素吸蔵・放出能及び高い触媒活性が得られるとしている。また、Pdがシンタリングし難いと記載されている。しかしながら、シンタリング抑制の程度は記載がなく、耐久条件も1000℃で24時間に過ぎない。
特許文献2には、比較的低温での酸素貯蔵能が高く、担持させた触媒活性物質によって比較的低温から高効率で排ガスを浄化させることを目的として、コアがジルコニアで該コアの表面にセリアジルコニアとセリアとが存在している自動車排ガス浄化用助触媒材であって、前記セリアと前記ジルコニアとの固溶率が、30%〜90%であることを特徴とする自動車排ガス浄化用助触媒材が記載されている。このようにすることで、比較的低温での酸素貯蔵能が高くなるという効果が得られるとしている。しかしながら、Ptを担持した実施例はあるが、貴金属のシンタリングについての記載もなく、示唆もない。また、耐久試験の結果もない。
特許文献3には、優れた耐熱性を有するコアシェル構造体を提供することを目的として、第1の金属酸化物を主成分とするコア部と、該第1の金属酸化物とは異なる第2の金属酸化物を主成分とするシェル部とからなり、該第1の金属酸化物が該第2の金属酸化物とは異なる結晶構造を有することを特徴とする、コアシェル構造体が記載されている。このようにすることで、コアシェル構造体における耐熱性の向上だけでなく、高温の使用条件下での貴金属のシンタリングも抑制することができ、したがって、触媒の活性を顕著に改善することが可能であるとしている。しかしながら、白金を担持した実施例はあるが、耐久条件は、耐久モデルガスを使用し、リッチモデルガスとリーンモデルガスを1分ごとに切り替えながら10℃/分の昇温速度で昇温し、900℃で5時間保持する耐久試験に過ぎない。
特許文献4には、ナノオーダーの貴金属超微粒子を各種形状の担持体に担持させることを可能にすることによって、触媒効率(処理効率)を向上させると共に、構造体としての形状の自由度を高めた触媒構造体を提供することを目的として、担持体と、前記担持体の表面近傍部分に埋め込まれた触媒機能を有する貴金属超微粒子とを有する触媒構造体において、前記担持体と前記貴金属超微粒子とは、真空雰囲気中での電子線の同時照射により、前記貴金属超微粒子の一部が前記担持体から露出するように融合していることを特徴とする触媒構造体が記載されている。このようにすることで、担持体に融合された貴金属超微粒子は、例えばその直径が20nm以下というように、従来の担持方法では到底得ることができない超微粒子とすることができ、触媒効率を大幅に高めることが出来るとしている。しかしながら、触媒効率を高めるだけの作用効果であり、実施例に、アルミナ多結晶体上に直径10〜20nm程度の多数のPt微粒子を配置したとの記載があるものの、高温耐久時のシンタリング抑制については記載がなく、耐久試験の結果もない。
特許文献5には、貴金属粒子の凝集を抑え、耐久性に優れた触媒粉末を提供することを目的として、貴金属Aと遷移金属Bと多孔体酸化物Cとを有し、前記遷移金属Bと前記多孔体酸化物Cはそれらの一部又は全部が一つ以上の複合体Dを形成し、前記貴金属Aの一部又は全部が前記複合体D上に存在していることを特徴とする触媒粉末が記載されている。このようにすることで、遷移金属Bがアンカーとして作用するため、貴金属Aの凝集を抑えることができ、耐久性に優れた触媒粉末を得ることが可能としている。しかしながら、耐久試験条件は、酸素雰囲気下、700℃で1時間焼成に過ぎない。
特許文献6には、排ガス浄化性能に優れ、かつ触媒活性粒子のシンタリングを防止して耐久性に富んだ排ガス浄化触媒を提供することを目的として、触媒元素もしくはその化合物からなる触媒活性粒子を担体に担持させた排気ガス浄化触媒において、前記担体に担持されかつ担体の表面に露出している触媒活性粒子が、その全表面積の20〜90%を前記担体に覆われていることを特徴とする排ガス浄化触媒が記載されている。このようにすることで、触媒活性粒子が担体に大きく埋没した状態になり、その触媒活性粒子の移動が担体によって阻止されるので、シンタリングおよびそれに起因する触媒活性の低下が防止されると記されている。しかしながら、実施例を見ると、Ptを担持した場合でのシンタリング調査条件は、空気中700℃で48時間に過ぎない。
特許文献7には、Ceと、Zrと、Ce及びZr以外の触媒金属を含み、且つ各成分が均質に分散している触媒材料を得て、触媒性能の向上を図ることを目的として、Ceと、Zrと、Ce及びZr以外の触媒金属とを含む触媒材料の製造方法であって、上記Ce、Zr及び触媒金属の各イオンを含む酸性溶液を調製するステップと、上記酸性溶液とアンモニア水とを混合して上記Ce、Zr及び触媒金属を水酸化物として共沈させるステップと、得られた沈殿物を焼成して上記Ce、Zr及び触媒金属を含む複酸化物を得るステップとを備え、上記共沈ステップでは、上記酸性溶液とアンモニア水との混合を2分以内に完了させることを特徴とする触媒材料の製造方法が記載されている。このようにすることで、各成分が比較的均質に混じり合ったものになり、得られる触媒材料は触媒金属分散度が高いものになって触媒活性の向上に有利になるとともに、耐熱性が高くなると記されている。実施例(図7など)を見ると、1000℃の温度に24時間保持するエージング後に、担持Rhの結晶子径が従来例のRh後担持複合酸化物と比べて抑制されていると記載がある。
特許文献8には、複数種の金属酸化物を有し、それぞれの金属酸化物の性質を良好に発揮できる触媒担体のための金属酸化物粒子及びその製造方法、並びにこの金属酸化物粒子から得られる排ガス浄化触媒を提供することを目的として、第1の金属酸化物を比較的多く含む中心部と、第2の金属酸化物を比較的多く含む外皮部とを有し、前記中心部と前記外皮部とがそれぞれ複数の一次粒子からなり、且つ前記第2の金属酸化物の一次粒子径が、前記第1の金属酸化物の一次粒子径よりも小さい、金属酸化物粒子が記載されている。このようにすることで、セリアと貴金属、特に白金とのシンタリングを防止し、良好な触媒性能を提供することができると記されている。耐久は、耐久用リッチガス及びリーンガスを1分毎に切り替えて、1000℃において5L/分の流量で5時間にわたって行っている。
特許文献9には、より高活性であり且つ複数種類の物質に対して活性を示すことの可能な触媒粒子およびそのような触媒粒子を製造することのできる製造方法を提供することを目的として、ナノメートルオーダの一次粒子径を持つ一種の単体微粒子または二種以上の固溶体微粒子である基粒子(1)と、この基粒子の表面の少なくとも一部を被覆する一種以上の金属またはそれらの誘導体と、よりなることを特徴とする触媒粒子が記載されている。また、前記基粒子(1)の表面には、融点が1500℃以上の金属または金属酸化物よりなるシンタリング防止剤(3)が存在していることを特徴とする触媒粒子が記載されている。このようにすることで、1500℃近くまでの高温下で使用しても、基粒子の表面には安定なシンタリング防止剤が存在しているため、シンタリングによる粒子同士の結合や一種以上の金属またはそれらの誘導体同士の結合等を防止して、反応活性な比表面積が低下するのを抑制し、高温耐久性に優れた触媒粒子が実現可能になるとしている。しかしながら、実際に1500℃近くで耐久をかけた場合の詳細については記されていないし、実施例には1000℃の炉で24時間の耐久が記されているに過ぎない。
特許文献10には、貴金属使用量を低減して低コスト化を図ると共に、触媒活性を高めた高耐熱性触媒及びその製造方法を提供することを目的として、同一の基材上に、貴金属と助触媒成分である金属化合物とを含有する複合微粒子が担持され、前記貴金属の一部又は全部が、金属化合物の一部又は全部が還元された金属の状態で接するか、あるいは、前記貴金属の一部又は全部が、金属化合物の酸化物の状態で接するかの少なくともいずれかの状態であることを特徴とする高耐熱性触媒が記載されている。このように、貴金属と助触媒成分である金属化合物とを含有した複合微粒子を基材上に担持することにより、貴金属の使用量を低減した場合にも、金属化合物の有する助触媒効果が発揮されるため、触媒活性を損なうことなく、触媒の低コスト化を実現することができると記されている。しかしながら、耐久試験によるシンタリング抑制については記載がない。
特許文献11には、充分に触媒活性粒子の凝集を抑制することを目的として、Ptと、Ce酸化物がAlに略均一に分散された複合化合物と、を含む排気ガス浄化触媒であって、前記Ce酸化物の粒子径が10nm以下であり、前記Ptの表面積の10〜80%の範囲が前記複合化合物によって被覆された状態で、前記Ptが前記複合化合物に担持されており、前記複合化合物に担持されている前記Ptの担持濃度が1.0質量%以下であることを特徴とする排気ガス浄化触媒が記載されている。このようにすることで、貴金属の分散度低下を抑制して貴金属の粒子径が小さい状態を維持することができ、少ない貴金属担持量で耐熱性に優れた排気ガス浄化触媒を得ることが可能になると記されている。耐久条件は空気中、900度で3時間焼成であり、Ptの粒子径が10nm以下になるとしている。
特開2009−78202号公報 特開2014−30800号公報 特開2009−279544号公報 特開2000−15098号公報 特開2005−18956号公報 特開平10−216517号公報 特開2004−174490号公報 特開2005−313029号公報 特開2003−80077号公報 特開2005−185969号公報 特許5200315号公報
上述のように、近年、排ガス浄化触媒は、より厳しい環境でも優れた寿命となる高耐久性が求められている。前記のような高耐久性を評価する耐久試験としては、1150℃で24時間というこれまでにない高負荷条件でも担持貴金属の粗大化が抑制される評価が得られる耐久試験である。
特許文献1では、少ないPd担持量で優れた酸素吸蔵・放出能及び高い触媒活性が得られるとし、また、Pdがシンタリングし難いと記載されているが、シンタリング抑制の程度は記載がなく、耐久条件も1000℃で24時間に過ぎない。
特許文献2では、Ptを担持した実施例はあるが、貴金属のシンタリングについての記載もなく、示唆もない。また、耐久試験の結果もない。
特許文献3では、高温の使用条件下での貴金属のシンタリングも抑制することができ、したがって、触媒の活性を顕著に改善することが可能であるとし、白金を担持した実施例はあるが、耐久条件は、耐久モデルガスを使用し、リッチモデルガスとリーンモデルガスを1分ごとに切り替えながら10℃/分の昇温速度で昇温し、900℃で5時間保持する耐久試験に過ぎない。
特許文献4では、触媒効率を高めるだけの作用効果であり、実施例に、アルミナ多結晶体上に直径10〜20nm程度の多数のPt微粒子を配置したとの記載があるものの、高温耐久時のシンタリング抑制については記載がなく、耐久試験の結果もない。
特許文献5では、遷移金属Bがアンカーとして作用するため、貴金属Aの凝集を抑えることができ、耐久性に優れた触媒粉末を得ることが可能としているが、耐久試験条件は、酸素雰囲気下、700℃で1時間焼成に過ぎない。
特許文献6では、触媒活性粒子が担体に大きく埋没した状態になり、その触媒活性粒子の移動が担体によって阻止されるので、シンタリングおよびそれに起因する触媒活性の低下が防止されるとしているが、実施例を見ると、Ptを担持した場合でのシンタリング調査条件は、空気中700℃で48時間に過ぎない。
特許文献7では、得られる触媒材料は触媒金属分散度が高いものになって触媒活性の向上に有利になるとともに、耐熱性が高くなるとしているが、実施例(図7など)を見ると、1000℃の温度に24時間保持するエージング後に、担持Rhの結晶子径が従来例のRh後担持複合酸化物と比べて抑制されていると記載があるが、1150℃24時間の耐久で十分な貴金属抑制効果が得られるものでない。
特許文献8では、セリアと貴金属、特に白金とのシンタリングを防止し、良好な触媒性能を提供することができると記されているが、耐久は、耐久用リッチガス及びリーンガスを1分毎に切り替えて、1000℃において5L/分の流量で5時間にわたって行っているにすぎず、1150℃24時間の耐久で十分な貴金属抑制効果が得られるものでない。
特許文献9では、実際に1500℃近くで耐久をかけた場合の詳細については記されていないし、実施例には1000℃の炉で24時間の耐久が記されているに過ぎない。
特許文献10では、耐久試験によるシンタリング抑制については記載がなく、1150℃24時間の耐久で十分な貴金属抑制効果が得られるものでない。
特許文献11では、貴金属の分散度低下を抑制して貴金属の粒子径が小さい状態を維持することができ、少ない貴金属担持量で耐熱性に優れた排気ガス浄化触媒を得ることが可能になると記され、耐久条件は空気中、900度で3時間焼成であり、Ptの粒子径が10nm以下になるとしているが、1150℃24時間の耐久で十分な貴金属抑制効果が得られるものでない。
以上のように、特許文献1〜11記載の発明では、耐久性に優れた触媒技術に関する発明も含まれているが、更なる過酷な環境下でも十分な寿命が得られるような貴金属のシンタリング(粗大化)抑制されるものではないという問題があり、例えば、1150℃で24時間という耐久試験でも貴金属のシンタリング(粗大化)を抑制できるものではないという問題がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温等の過酷な環境下でも十分な寿命が得られて耐久性に優れた排ガス浄化触媒および排ガス浄化用ハニカム触媒構造体を提供することである。例えば、1150℃で24時間の耐久試験後でも貴金属の粗大化を抑制できる排ガス浄化触媒および排ガス浄化用ハニカム触媒構造体を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究し、その結果、排ガス浄化触媒として貴金属が担持された基材粒子に、更に表面沈殿膜を有することによって従来にない優れた寿命(耐久性)を示す、即ち、これまで以上に厳しい環境下でも優れた寿命(耐久性)を示すことを知見した。厳しい環境下での寿命(耐久性)を評価する耐久試験としては、従来よりも高温の1150℃で24時間という条件で担持貴金属のシンタリング(粗大化)が抑制できるという評価を行う試験である。
本発明は、上記知見に基づいて完成したもので、その発明の要旨は以下の通りである。
(1)貴金属が担持された基材粒子にさらに表面沈殿膜を有することを特徴とする排ガス浄化触媒。
(2)表面沈殿膜が、酸素イオン伝導酸化物を含むことを特徴とする上記(1)記載の排ガス浄化触媒。
(3)表面沈殿膜が、酸素吸放出可能な酸化物を含むことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の排ガス浄化触媒。
(4)表面沈殿膜の成分が、水酸化セリウム単独またはセリア単独、であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
(5)表面沈殿膜の成分が、イットリウム及び原子番号57から71までの希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)から選ばれた1種以上の希土類の水酸化物または希土類の酸化物を含むことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
(6)表面沈殿膜が、水酸化アルミニウム、またはアルミナ、またはシリカを含むことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
(7)基材粒子が、セリアジルコニア系複合酸化物、またはジルコニア、またはイットリア安定化ジルコニア、またはアルミナであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
(8)基材粒子が、酸素吸放出可能な酸化物であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の排ガス浄化触媒を、金属又はセラミックスハニカム内壁に被覆したことを特徴とする排ガス浄化用ハニカム触媒構造体。
本発明によれば、これまで以上の厳しい条件下でも担持貴金属の粗大化が抑制され、耐久性に優れた排ガス浄化触媒および排ガス浄化用ハニカム触媒構造体を提供できるという顕著な効果を奏する。
本発明の排ガス浄化触媒の作製例を示す概念図である。 排ガス浄化触媒の1150℃−24時間耐久試験後のXRDパターンにおけるPdのピーク強度を示す図である。
以下本発明を詳細に説明する。
通常、排ガス浄化触媒は、貴金属の触媒金属を酸化物微粒子に担持した触媒が用いられているが、本発明はこのような排ガス浄化触媒よりもこれまで以上に厳しい環境下でも優れた寿命(耐久性)を向上させた排ガス浄化触媒であって、本発明の排ガス浄化触媒は、貴金属が担持された基材粒子に、さらに表面沈殿膜を有する排ガス浄化触媒である。
本発明の基材粒子とは、貴金属を担持できる酸化物粒子である。前記基材粒子の例としては、セリアジルコニア系複合酸化物、セリウム・プラセオジム系酸化物、ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ等の粒子が挙げられる。
前記基材粒子は、比表面積10m/g以上であるのが貴金属を高分散して担持するためには好ましい。より好ましくは比表面積35m/g以上である。比表面積は大きいほど貴金属を高分散して担持することができるのでより好ましいが、酸化物粒子では大きな比表面積は通常250m/g程度までである。より耐久性に優れた排ガス浄化触媒とするには、基材粒子の比表面積が耐久試験で低下し難いのが好ましい。耐熱性に優れる(比表面積の変化率が小さくできる)基材粒子の成分としては、セリア、セリアジルコニア系複合酸化物、またはジルコニア、またはイットリア安定化ジルコニア、またはアルミナを挙げることができる。
また、前記基材粒子は、酸素吸放出可能な酸化物であるのが三元触媒等の触媒活性が高くなるのでより好ましい。酸素吸放出可能な酸化物としては、例えば、セリア、セリアジルコニア系酸化物、セリウム・プラセオジム系酸化物等が挙げられる。
本発明の貴金属(触媒金属)とは、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)である。排ガス浄化触媒としてより好ましいのは、銀、白金、パラジウム、ロジウムである。また、本発明における貴金属は、前記基材粒子に担持されているものであり、基材粒子の表面に分散して存在する貴金属である。分散している貴金属は、金属又は酸化物で存在して10nm以下のサイズであるのが好ましい。貴金属の担持量(=貴金属/(貴金属+基材粒子+表面沈殿膜))は、特に特定しないが、触媒機能を十分に発揮させるためには0.01質量%〜10質量%の範囲がこのましく、より好ましくは0.1質量%〜10質量%の範囲である。
本発明の表面沈殿膜とは、貴金属を担持した基材粒子を分散させた液相中から形成される水酸化物や酸化物である。水酸化物の具体例として、水酸化セリウムや水酸化イットリウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。酸化物の具体例としては、セリアやイットリア、アルミナなどが挙げられる。
液相中から形成される前記水酸化物や酸化物膜を熱処理してもよく、本発明の表面沈殿膜である。または、貴金属を担持した基材粒子を分散させた液相中から形成される酸化物前駆体を熱処理して生成する酸化物も本発明の表面沈殿膜である。
前記表面沈殿膜は、貴金属を担持した基材粒子の表面の一部又は全体に存在することになる。また、前記表面沈殿膜は、担持された貴金属の周囲に存在してもいいし、一部あるいは全体を覆っていてもよい。このような表面沈殿膜は、たとえば、表面沈殿膜の原料となるセリウムイオンなどの添加量や、水酸化物化させる際のpHなどで制御することで形成することができる。
前記表面沈殿膜は、酸素吸放出可能な酸化物を含む方が、三元触媒等の触媒活性が高くなるのでより好ましい。酸素吸放出可能な酸化物としては、例えば、セリア、セリアジルコニア系酸化物、セリウム・プラセオジム系酸化物等が挙げられる。
また、前記表面沈殿膜が、酸素イオン伝導酸化物を含む方が好ましく、基材粒子が酸素吸放出可能な酸化物である場合には更に好ましい。酸素イオン伝導酸化物としては、イットリア安定化ジルコニアが挙げられる。酸素イオン伝導酸化物を含有させることで、表面沈殿膜の酸素イオン伝導性が向上し、OSC応答性能が向上する。
また、前記表面沈殿膜の成分が、水酸化セリウム単独またはセリア単独、またはさらにイットリウム及び原子番号57から71までの希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)から選ばれた1種以上の希土類の水酸化物または希土類の酸化物を含むのがより好ましい。
また、前記表面沈殿膜が、アルミナまたはシリカを含むことも出来る。アルミナやシリカは焼結しにくいので、表面沈殿膜に含有させることで、製品の耐熱性が向上する。
以下、本発明の排ガス浄化触媒の作製例(表面沈殿膜が希土類水酸化物または希土類酸化物の場合)について、図1を参酌して説明する。
図1(a)に示すように、貴金属2を担持する基材粒子1からなる貴金属担持基材粒子を得る第1段階と、前記第1段階で得られた貴金属担持基材粒子を水に分散してスラリーにして、表面沈殿膜の原料となるイオンを添加、混合し、その際、反応系のpHを4以上8以下に調整して原料イオンを吸着した貴金属担持基材粒子を得る第2段階と、前記第2段階に引き続き、前記原料イオンを吸着した貴金属担持基材粒子に、さらにアルカリを添加して、pHを8超12以下に上昇せしめて、前記貴金属担持基材粒子に吸着した原料イオンを水酸化物として固定するとともに、前記第2段階で貴金属担持基材粒子の表面に、未吸着の原料イオンを水酸化物の沈殿膜として沈殿させ、図1(b)に示すように表面に水酸化物3の沈殿膜を形成する第3段階と、前記第3段階において得られたスラリーをろ過、洗浄する第4段階と、前記第4段階で得られたケーキを乾燥後、500〜900℃の温度条件で焼成して、図1(c)に示すように表面沈殿膜(酸化物)4で覆われた貴金属担持基材粒子を得る第5段階と、を順次行うことによって作製する。なお、表面沈殿膜を水酸化物とする場合は、前記4段階で得られたケーキを乾燥すればよい。
たとえば、貴金属2を担持する基材粒子1として、貴金属2がPdで、基材粒子1がセリアジルコニアであり、そして表面沈殿膜4がセリアの場合、セリアは、水酸化セリウムの形でセリアジルコニアの表面に水酸化物3の沈殿膜として沈殿させた後に、加熱によって酸化物であるセリア(表面沈殿膜4)とする。或いは、表面沈殿膜4を水酸化セリウムとする場合は、水酸化物(水酸化セリウム)3の沈殿膜を乾燥すればよい。
貴金属の担持量(=貴金属/(貴金属+基材粒子+表面沈殿膜))は、質量%で、0.1〜10%でよい。調製時においては、基材粒子の比表面積径に基づき、基材粒子の表面を計算上0.001〜3nm程度覆うように、表面沈殿膜用酸化物の原料を添加する。本発明では、表面沈殿膜の中間体となる水酸化物を貴金属担持基材粒子の表面に沈殿させた後、500〜900℃で加熱して酸化物とし、排ガス浄化触媒のフレッシュ品を得る。このとき、担持された貴金属の粒子径は数nmであり、表面沈殿膜の理論膜厚が0.001nm未満では、表面沈殿膜による貴金属粗大化抑制効果が十分でなく、一方、表面沈殿膜の膜厚が3nmを超えると、担持貴金属が埋没してしまい、触媒活性が低下するので好ましくない。なお、表面沈殿膜の理論膜厚は、基材粒子のすべての一次粒子(比表面積径)を、表面沈殿膜がその膜厚で均一に覆うものとしたときの計算上の膜厚であり、表面沈殿膜の原料は、設定膜厚に相当する量を加える。
貴金属のうち、Pdの粗大化の程度は、1150℃−24時間耐久試験後のXRDパターンを測定し(CuKα)、2θ≒40°におけるPdのピークで評価した。本発明の排ガス浄化用貴金属担持触媒は、実際の使用時に高温雰囲気中にさらされても担持された貴金属粒子の劣化(粗大化)が抑制されることに特徴がある。この貴金属粒子の劣化の評価には粉末X線回折法を用い、各担持金属の(111)面(例:Ag:37.92°、Rh:41.05°、Pd:40.11°、Pt:39.74°)の強度、半値幅で判定しており、強度が大きく半値幅が小さくなるにつれ、粒子は粗大化している。たとえば、後述の実施例と比較例との比較によって、表面沈殿膜を有する実施例のほうが、1150℃耐久試験後のPdの粗大化が抑制されていることが分かり、表面沈殿膜の有効性が示されている。
以上のように、本発明の排ガス浄化触媒は、これまで以上の厳しい条件下でも担持貴金属の粗大化が抑制され、耐久性に優れた排ガス浄化触媒とすることができ、また、本発明の排ガス浄化触媒を用いて排ガス浄化用ハニカム触媒構造体を作製すれば、これまで以上の厳しい条件下でも担持貴金属の粗大化が抑制され、耐久性に優れた排ガス浄化用ハニカム触媒構造体を得ることができる。
以下に実施例、比較例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下で用いる%は、特に断らない限り質量%であり、製品を構成する酸化物中の該当する酸化物の質量%である。
(実施例1−1)
基材粒子であるセリアジルコニア系複合酸化物(比表面積85m/g)10gに対して、硝酸パラジウム水溶液を添加し、エバポレータで真空引きしながら70℃で加熱、蒸発乾固し、600℃で1時間焼成して、Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物を得た(第1段階)。得られたPd担持セリアジルコニア系複合酸化物に水を加えて50mLのスラリーとし、撹拌しながら酸化セリウム1.3g相当を含む塩化セリウム溶液を添加し、アンモニア水でpHを6.5に調整、セリウムイオンをPd担持セリアジルコニア系複合酸化物に吸着させた(第2段階)。前記第2段階に続き、前記セリウムイオンを吸着させたPd担持セリアジルコニア系複合酸化物にさらにアンモニア水を添加、pHを9に調整して、Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物の表面に水酸化セリウムを沈殿固定させた(第3段階)。
前段階で得られたスラリーをヌッチェでろ過し、得られた水酸化セリウム被覆Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物を2%アンモニア水50mLで2回リパルプ洗浄した(第4段階)。前記第4段階で得られた固形物を120℃で乾燥後、乳鉢で粉砕し、大気中700℃で3時間焼成し、セリア表面沈殿膜形成Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物を得た(第5段階)。得られた表面沈殿膜形成Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物中のPd量は0.23%であった。
前記5段階により得られた表面沈殿膜形成Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物の大気中1150℃の温度条件で24時間加熱する耐久試験後のPdのピークは、図2に示すとおりである。
(比較例1−2)
実施例1−1と同じ基材粒子に対して0.23重量%のPdに相当する硝酸パラジウム水溶液を基材粒子に添加し、エバポレータで真空引きしながら70℃で加熱、蒸発乾固し、600℃で1時間焼成し、さらに、実施例1−1と同じ熱履歴とするため、700℃で3時間焼成して、Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物を得た。
得られた表面沈殿膜形成なしのPd担持セリアジルコニア系複合酸化物の大気中1150℃の温度条件で24時間加熱する耐久試験後のPd粒子径(粗大化)は、図2のPdのピークに示すとおりである。実施例1−1と比較例1−2のPdのピークの比較から、実施例の表面沈殿膜を形成したほうが、比較例の表面沈殿膜を形成しなかった場合に比較して、1150℃−24時間の耐久試験後のPdの粗大化が抑制されており、本発明の効果が現れていることが確認できた。
(実施例2−1)
実施例1と同じ基材粒子10gに対して、硝酸パラジウム水溶液を添加し、エバポレータで真空引きしながら70℃で加熱、蒸発乾固し、600℃で1時間焼成して、Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物を得た。得られたPd担持セリアジルコニア系複合酸化物に水を加え、50mLのスラリーとし、撹拌しながら、酸化イットリウム0.8g相当を含む塩化イットリウム溶液を添加し、アンモニア水でpHを一旦6.5に保持してイットリウムイオンを基材粒子表面に吸着させた後、さらにpHを9に調整、基材粒子の表面に水酸化イットリウムを沈殿固定させた。
前段階で得られたスラリーをヌッチェでろ過し、得られた水酸化イットリウム被覆Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物を2%アンモニア水50mLで2回リパルプ洗浄した。上記段階で得られた固形物を120℃で乾燥後、乳鉢で粉砕し、焼成は行わず、水酸化イットリウム表面沈殿膜形成Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物を得た。
得られた表面沈殿膜形成Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物のPd含有量は、Pd:0.28%(表面沈殿膜の水酸化イットリウムがイットリアになった場合での含有量)であった。
(比較例2−2)
実施例2−1と同じ基材粒子に対して0.28重量%のPdに相当する硝酸パラジウム水溶液を基材粒子に添加し、エバポレータで真空引きしながら70℃で加熱、蒸発乾固し、600℃で1時間焼成し、Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物を得た。
実施例2−1と比較例2−2の1150℃の温度条件で24時間加熱する耐久試験後のPd粒径を比較すると、図2と同様の比較から実施例2−1のほうが、1150℃−24時間耐久試験後のPdの粗大化が抑制されており、本発明の効果が現れていたことが確認できた。
(実施例3−1)
基材粒子であるアルミナ(比表面積203m/g)10gに対して、硝酸パラジウム水溶液を添加し、エバポレータで真空引きしながら70℃で加熱、蒸発乾固し、600℃で1時間焼成して、Pd担持アルミナを得た。得られたPd担持アルミナに水を加え、50mLのスラリーとし、撹拌しながら、酸化セリウム1.5g相当を含む塩化セリウム溶液を添加し、アンモニア水を添加し、pHを一旦6.5に保持してセリウムイオンを基材粒子表面に吸着させた後、さらにpHを9に調整、水酸化セリウムをPd担持アルミナの表面に沈殿固定させた。前段階で得られたスラリーをヌッチェでろ過し、得られた水酸化セリウム被覆Pd担持アルミナをアンモニア水50mLで2回リパルプ洗浄した。
上記段階で得られた固形物を120℃で乾燥後、乳鉢で粉砕し、大気中700℃で3時間焼成し、セリア表面沈殿膜形成Pd担持アルミナを得た。最終製品中のPdは0.27%であった。
(比較例3−2)
実施例3−1と同じ基材粒子に対して0.27重量%のPdに相当する硝酸パラジウム水溶液を基材粒子に添加し、エバポレータで真空引きしながら70℃で加熱、蒸発乾固し、600℃で1時間焼成し、さらに、実施例3−1と同じ熱履歴とするため、700℃で3時間焼成して、Pd担持アルミナを得た。
実施例3−1と比較例3−2を比較すると、図2と同様に実施例3−1のほうが、1150℃−24時間耐久後のPdの粗大化が抑制されており、本発明の効果が現れていたことが確認できた。
(実施例4−1)
基材粒子であるジルコニア(比表面積60m/g)10gに対して、硝酸パラジウム水溶液を添加し、エバポレータで真空引きしながら70℃で加熱、蒸発乾固し、600℃で1時間焼成して、Pd担持ジルコニアを得た。得られたPd担持ジルコニアに水を加え、50mLのスラリーとし、撹拌しながら、酸化セリウム1.5g相当を含む塩化セリウム溶液を添加し、アンモニア水を添加し、pHを一旦6.5に保持してセリウムイオンを基材粒子表面に吸着させた後、さらにpHを9に調整、水酸化セリウムをPd担持ジルコニアの表面に沈殿固定させた。
前段階で得られたスラリーをヌッチェでろ過し、得られた水酸化セリウム被覆Pd担持ジルコニアをアンモニア水50mLで2回リパルプ洗浄した。
上記段階で得られた固形物を120℃で乾燥後、乳鉢で粉砕し、大気中700℃で3時間焼成し、セリア表面沈殿膜形成Pd担持ジルコニアを得た。最終製品中のPdは0.30%であった。
(比較例4−2)
実施例4−1と同じ基材粒子に対して0.30重量%のPdに相当する硝酸パラジウム水溶液を基材粒子に添加し、エバポレータで真空引きしながら70℃で加熱、蒸発乾固し、600℃で1時間焼成し、さらに、実施例4−1と同じ熱履歴とするため、700℃で3時間焼成して、Pd担持ジルコニアを得た。
比較例4−2と、実施例4−1を比較すると、実施例4−1のほうが、図2と同様に、1150℃−24時間耐久後のPdの粗大化が抑制されており、本発明の効果が現れていたことが確認できた。
(実施例5−1)
基材粒子であるイットリア安定化ジルコニア(比表面積50m/g)10gに対して、硝酸パラジウム水溶液を添加し、エバポレータで真空引きしながら70℃で加熱、蒸発乾固し、600℃で1時間焼成して、Pd担持イットリア安定化ジルコニアを得た。得られたPd担持イットリア安定化ジルコニアに水を加え、50mLのスラリーとし、撹拌しながら、酸化セリウム1.5g相当を含む塩化セリウム溶液を添加し、アンモニア水を添加し、pHを一旦6.5に保持してセリウムイオンを基材粒子表面に吸着させた後、さらにpHを9に調整、水酸化セリウムをPd担持ジルコニアの表面に沈殿固定させた。
前段階で得られたスラリーをヌッチェでろ過し、得られた水酸化セリウム被覆Pd担持イットリア安定化ジルコニアをアンモニア水50mLで2回リパルプ洗浄した。
上記段階で得られた固形物を120℃で乾燥後、乳鉢で粉砕し、大気中700℃で3時間焼成し、セリア表面沈殿膜形成Pd担持イットリア安定化ジルコニアを得た。最終製品中のPdは0.33%であった。
(比較例5−2)
実施例5−1と同じ基材粒子に対して0.33重量%のPdに相当する硝酸パラジウム水溶液を基材粒子に添加し、エバポレータで真空引きしながら70℃で加熱、蒸発乾固し、600℃で1時間焼成し、さらに、実施例5−1と同じ熱履歴とするため、700℃で3時間焼成して、Pd担持イットリア安定化ジルコニアを得た。
実施例5−1と比較すると、図2と同様に、実施例のほうが、1150℃−24時間耐久後のPdの粗大化が抑制されており、本発明の効果が現れていたことが確認できた。
(実施例6−1)
実施例1と同じ基材粒子10gに対して、硝酸パラジウム水溶液を添加し、エバポレータで真空引きしながら70℃で加熱、蒸発乾固し、600℃で1時間焼成して、Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物を得た。得られたPd担持セリアジルコニア系複合酸化物に水を加え、50mLのスラリーとし、撹拌しながら、酸化アルミニウム0.7g相当を含む塩化アルミニウム溶液を添加し、アンモニア水を用いて基材粒子の表面に水酸化アルミニウムを沈殿固定させた。水酸化アルミニウムの沈殿固定pHは7.5とした。
前段階で得られたスラリーをヌッチェでろ過し、得られた水酸化アルミニウム被覆Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物をアンモニア水50mLで2回リパルプ洗浄した。
上記段階で得られた固形物を120℃で乾燥後、乳鉢で粉砕し、大気中700℃で3時間焼成し、アルミナ表面沈殿膜形成Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物を得た。得られた表面沈殿膜形成Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物のPd含有量は、Pd:0.34%であった。
(比較例6−2)
実施例6−1と同じ基材粒子に対して0.34重量%のPdに相当する硝酸パラジウム水溶液を基材粒子に添加し、エバポレータで真空引きしながら70℃で加熱、蒸発乾固し、600℃で1時間焼成し、さらに、実施例6−1と同じ熱履歴とするため、700℃で3時間焼成して、Pd担持セリアジルコニア系複合酸化物を得た。
実施例6−1と比較例6−2を比較すると、図2と同様に実施例6−1のほうが、1150℃−24時間耐久後のPdの粗大化が抑制されており、本発明の効果が現れていたことが確認できた。
以上の実施例、比較例の結果を纏めて表1に示した。
Figure 2016179427
さらに、実施例1−1において、貴金属としてPdに換えて、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)としたが、実施例1−1と同様に貴金属粒子の粗大化は抑制できた。
また、実施例2−1において、表面沈殿膜として水酸化イットリウムに換えて、水酸化セリウム、水酸化アルミニウムとしたが、実施例2−1と同様に貴金属粒子の粗大化は抑制できた。
また、実施例4−1において、表面沈殿膜としてセリアに換えて、セリアジルコニア、イットリア、イットリア安定ジルコニアとしたが、実施例4−1と同様に貴金属粒子の粗大化は抑制できた。
また、実施例6−1において、表面沈殿膜としてアルミナに換えて、シリカとしたが、実施例6−1と同様に貴金属粒子の粗大化は抑制できた。
以上述べたように、本発明によれば、高温等の過酷な環境下でも十分な寿命が得られて耐久性に優れた排ガス浄化触媒および排ガス浄化用ハニカム触媒構造体が得られることが確認できた。

Claims (9)

  1. 貴金属が担持された基材粒子にさらに表面沈殿膜を有することを特徴とする排ガス浄化触媒。
  2. 表面沈殿膜が、酸素イオン伝導酸化物を含むことを特徴とする請求項1記載の排ガス浄化触媒。
  3. 表面沈殿膜が、酸素吸放出可能な酸化物を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の排ガス浄化触媒。
  4. 表面沈殿膜の成分が、水酸化セリウム単独またはセリア単独、であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
  5. 表面沈殿膜の成分が、イットリウム及び原子番号57から71までの希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)から選ばれた1種以上の希土類の水酸化物または希土類の酸化物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
  6. 表面沈殿膜が、水酸化アルミニウム、またはアルミナ、またはシリカを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
  7. 基材粒子が、セリアジルコニア系複合酸化物、またはジルコニア、またはイットリア安定化ジルコニア、またはアルミナであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
  8. 基材粒子が、酸素吸放出可能な酸化物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の排ガス浄化触媒を、金属又はセラミックスハニカム内壁に被覆したことを特徴とする排ガス浄化用ハニカム触媒構造体。
JP2015060045A 2015-03-23 2015-03-23 排ガス浄化触媒および排ガス浄化用ハニカム触媒構造体 Expired - Fee Related JP6491004B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015060045A JP6491004B2 (ja) 2015-03-23 2015-03-23 排ガス浄化触媒および排ガス浄化用ハニカム触媒構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015060045A JP6491004B2 (ja) 2015-03-23 2015-03-23 排ガス浄化触媒および排ガス浄化用ハニカム触媒構造体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016179427A true JP2016179427A (ja) 2016-10-13
JP6491004B2 JP6491004B2 (ja) 2019-03-27

Family

ID=57131399

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015060045A Expired - Fee Related JP6491004B2 (ja) 2015-03-23 2015-03-23 排ガス浄化触媒および排ガス浄化用ハニカム触媒構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6491004B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016198725A (ja) * 2015-04-10 2016-12-01 新日本電工株式会社 排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法
WO2019187604A1 (ja) * 2018-03-28 2019-10-03 エヌ・イーケムキャット株式会社 ディーゼル酸化触媒粉末及びその製造方法、並びに一体構造型排ガス浄化用触媒
WO2022131244A1 (ja) * 2020-12-15 2022-06-23 エヌ・イーケムキャット株式会社 鞍乗型車両用排ガス浄化触媒

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003117393A (ja) * 2001-10-09 2003-04-22 Toyota Motor Corp 排ガス浄化用触媒
JP2007289920A (ja) * 2006-03-28 2007-11-08 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 排ガス浄化用触媒、その再生方法、それを用いた排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法
JP2008221217A (ja) * 2008-06-06 2008-09-25 Nissan Motor Co Ltd 排ガス浄化用触媒及びその製造方法
JP2013198879A (ja) * 2012-03-26 2013-10-03 Ne Chemcat Corp 排気ガス浄化用触媒組成物
JP2015009212A (ja) * 2013-06-28 2015-01-19 住友大阪セメント株式会社 排ガス浄化フィルタ
JP2015513449A (ja) * 2012-02-08 2015-05-14 シュトゥディエンゲゼルシャフト・コーレ・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングStudiengesellschaft Kohle mbH メソ多孔性黒鉛粒子上に担持された、高度に焼結安定性の金属ナノ粒子およびその使用

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003117393A (ja) * 2001-10-09 2003-04-22 Toyota Motor Corp 排ガス浄化用触媒
JP2007289920A (ja) * 2006-03-28 2007-11-08 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 排ガス浄化用触媒、その再生方法、それを用いた排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法
JP2008221217A (ja) * 2008-06-06 2008-09-25 Nissan Motor Co Ltd 排ガス浄化用触媒及びその製造方法
JP2015513449A (ja) * 2012-02-08 2015-05-14 シュトゥディエンゲゼルシャフト・コーレ・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングStudiengesellschaft Kohle mbH メソ多孔性黒鉛粒子上に担持された、高度に焼結安定性の金属ナノ粒子およびその使用
JP2013198879A (ja) * 2012-03-26 2013-10-03 Ne Chemcat Corp 排気ガス浄化用触媒組成物
JP2015009212A (ja) * 2013-06-28 2015-01-19 住友大阪セメント株式会社 排ガス浄化フィルタ

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016198725A (ja) * 2015-04-10 2016-12-01 新日本電工株式会社 排ガス浄化用貴金属担持触媒の製造方法
WO2019187604A1 (ja) * 2018-03-28 2019-10-03 エヌ・イーケムキャット株式会社 ディーゼル酸化触媒粉末及びその製造方法、並びに一体構造型排ガス浄化用触媒
WO2022131244A1 (ja) * 2020-12-15 2022-06-23 エヌ・イーケムキャット株式会社 鞍乗型車両用排ガス浄化触媒
CN116322946A (zh) * 2020-12-15 2023-06-23 N.E.化学株式会社 鞍骑型车辆用废气净化催化剂

Also Published As

Publication number Publication date
JP6491004B2 (ja) 2019-03-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3498453B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒及びその製造方法
EP1952876A1 (en) Exhaust gas purifying catalyst and manufacturing method thereof
JP5428773B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒
JP6499683B2 (ja) コアシェル型酸化物材料、その製造方法、それを用いた排ガス浄化用触媒、及び排ガス浄化方法
JP2003126694A (ja) 排ガス浄化用触媒
JP2009279544A (ja) コアシェル構造体及び当該コアシェル構造体を含む排ガス浄化用触媒
JPH10277394A (ja) 自動車排ガス触媒及びその製法
JP2000189799A (ja) 排ガス浄化用触媒及びその製造方法
JP6491004B2 (ja) 排ガス浄化触媒および排ガス浄化用ハニカム触媒構造体
JP4831753B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP2007098200A (ja) 排気ガス浄化用触媒及び排気ガス浄化用触媒材の製造方法
JP2006051431A (ja) 排気ガス浄化用三元触媒及びその製造方法
JP5794908B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒及び排気ガス浄化用触媒構成体
JP2011098258A (ja) 排ガス浄化用触媒およびその製造方法
JP5531567B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒
WO2019167515A1 (ja) 排ガス浄化用三元触媒及びその製造方法、並びに一体構造型排ガス浄化用触媒
JP2006298759A (ja) 排ガス浄化用触媒
WO2015087781A1 (ja) 排ガス浄化用触媒
JPH09248462A (ja) 排気ガス浄化用触媒
WO2012005235A1 (ja) 排気ガス浄化用触媒及びその製造方法
JP5463861B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒
JP7355775B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP2019166450A (ja) 排ガス浄化用触媒、及びその製造方法、並びに一体構造型排ガス浄化用触媒
JP2018038999A (ja) 排ガス浄化用触媒
JP3882422B2 (ja) 排ガス浄化用触媒の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180226

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181113

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181210

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190226

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190228

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6491004

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees