JP2016176161A - 液晶ポリエステルマルチフィラメント - Google Patents

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Abstract

【課題】織物、ロープ、漁網およびテンションメンバー等の高次加工製品に適用した際に耐摩耗性に優れた液晶ポリエステルマルチフィラメントの提供。
【解決手段】液晶ポリエステルからなり、単繊維間融着度が0〜15であり、糸−糸間の静止摩擦係数が0.15〜0.35であり、糸−金属間の動摩擦係数が0.20〜0.50である液晶ポリエステルマルチフィラメント。また総繊度が50〜3000dtexであり、単繊維数が10〜2000本であり、更に強度が13cN/dtex以上であり、強度のバラツキが0.1〜2.5であり、伸度バラツキが0.1〜2.5%であり、更に20T/10cmで撚糸した際の原糸強力保持率が60〜90%である液晶ポリエステルマルチフィラメント。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ポリエステルマルチフィラメントに関するものである。詳しくは、本発明は、織物、ロープ、漁網およびテンションメンバー等の産業資材用途に好適な単繊維間融着が改善され、かつ糸−糸間の静止摩擦係数および糸−金属間の動摩擦係数が低減された液晶ポリエステルマルチフィラメントに関するものである。
液晶ポリエステルは、剛直な分子構造を有するポリマーであり、溶融紡糸においては、分子鎖を繊維軸方向に高度に配向させ、さらに高温長時間の熱処理を施すことにより、溶融紡糸で得られる繊維の中では最も高い強度と弾性率が発現することが知られている。また、溶融紡糸で得られた液晶ポリエステル繊維は、熱処理を施すことにより分子量が増加するとともに、融点も上昇するため、耐熱性や寸法安定性が向上することも知られている。
さらに、高い耐薬品性や低吸湿特性を有するため、コントロールケーブル、テンションメンバー(光ファイバー、電線、ヘッドコーンなど)、各種電気製品のコード補強材、ヒーター線芯糸、セールクロス、ロープ、防護手袋、プラスチックの補強材、ザイル、陸上ネット(安全ネット、ゴルフ練習場のネット他)、命綱、釣糸、漁網、および延縄など、広範囲にわたる一般産業資材用途に用いられている。また、フィルター用メッシュ織物やスクリーン印刷用の紗織物などの各種織物向けの需要も伸びている。
しかしながら、このように優れた特性を有する液晶ポリエステル繊維は、ポリマーの分子直線性が高いため得られる繊維は剛直であり、繊維が金属やプラスチック等の対象物と接触する際に、摩擦抵抗が大きくなることが知られている。また、液晶ポリエステル繊維は繊維軸方向に分子鎖が高配向しているため、繊維軸方向には高い強度と弾性率を示すものの、繊維軸に垂直な方向、すなわち繊維断面方向からの応力に対しては非常に弱くフィブリル化しやすいという特徴がある。このように液晶ポリエステル繊維は、繊維として剛直であるため、対象物との摩擦抵抗が大きくなることに加えて、繊維断面方向からの応力に弱いことから、汎用繊維に比べて耐摩耗性に劣っているという課題があった。
さらに、液晶ポリエステル繊維からなるマルチフィラメントでは、マルチフィラメントであるがゆえに、高温長時間の熱処理時に単繊維間の融着が発生し、熱処理糸の強度と弾性率が低下するとともに、マルチフィラメントの糸条が擬似モノフィラメントのようになって、糸条がさらに剛直となる等の課題がある。
このような単繊維間融着による糸条の剛直化は、さらなる耐摩耗性低下を引き起こし、高い耐摩耗性が要求される一般産業資材用途への適用が困難となる。糸条の剛直化による耐摩耗性低下は、先に述べた、対象物との摩擦抵抗が増加することに加えて、大きな摩擦抵抗を受けた際に応力が糸条全体に分散しにくくなり、応力集中した部分で摩耗と破断がしやすくなるためと考えられる。
これらの課題を解決する方法として、紡糸工程または巻き返し工程において、全方向多段OR給油法や油浴浸漬法を用いて、融着防止剤を繊維表面に均一に付着させることにより、単繊維間融着度を0〜20とした液晶ポリエステルマルチフィラメントが提案されている(特許文献1参照。)。
また、液晶ポリエステル繊維を、示差熱量測定において、50℃の温度から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)+10℃以上の温度で熱処理することを特徴とする液晶ポリエステル繊維の製造方法が提案されている(特許文献2参照。)。
また、液晶ポリエステル繊維をパッケージとなし、固相重合し、そのパッケージから固相重合した液晶ポリエステル繊維を解舒しつつ一旦巻き取ることなく引き続いて熱処理する液晶ポリエステル繊維の製造方法であって、その熱処理の温度を固相重合後の液晶ポリエステル繊維の吸熱ピーク温度(Tm1)+60℃以上とするとともに、熱処理前後の繊維の速度を、それぞれ第1ローラーおよび第2ローラーにより規制することを特徴とする液晶ポリエステル繊維の製造方法が提案されている(特許文献3参照。)。
さらに、モース硬度4以下のケイ酸およびマグネシウムを主成分とする平均粒径が0.01〜15μmの無機微粒子0.03〜5.0質量%を、繊維表面に付着させてなるポリアリレート繊維が提案されている(特許文献4参照。)。
WO2013−099863号公報 特開2008−240228号公報 特開2010−209495号公報 特許第3923398号公報
しかしながら、前記の特許文献1の提案における単繊維間融着度低減による効果は、強度、弾性率および工程通過性向上のみであり、融着防止剤を単繊維間に均一付与するだけでは、単繊維間融着度低減には効果はあるものの、得られる液晶ポリエステルマルチフィラメントの耐摩耗性を向上させることはできない。
実際に、本発明者らがさらに検討を重ねたところ、特許文献1に記載の提案では、確かに単繊維間への融着防止剤の均一付与により単繊維間融着度は低減できるものの、繊維表面の平滑性が悪いため、糸−糸間の静止摩擦係数および糸−金属間の動摩擦係数が高く、耐摩耗性が不十分であった。
また、前記の特許文献2と3の提案では、液晶ポリエステル繊維に対して、融点以上の温度で熱処理を施すことによって、確かに耐摩耗性を向上させることは可能である。しかしながら、マルチフィラメントの場合には走行糸条表層の単繊維のみしか熱処理することができず、走行糸条内部にある大部分の単繊維は熱処理を受けることができない。そのため、耐摩耗性向上効果はなお不十分であった。
さらに、マルチフィラメントの場合、融着防止剤などを用いて固相重合時の融着を低減したにも関わらず、後工程で再び融点以上の熱処理を加えることは、かえって単繊維間融着を誘発し、得られる液晶ポリエステルマルチフィラメントの糸条は極めて剛直となってしまうことがある。その結果、強度、弾性率および耐摩耗性に劣るものしか得られないというが課題であった。
さらに、前記の特許文献4では、無機粒子を繊維表面に付着させることにより、粒子が支点となって糸条が屈曲しやすくなり、確かに屈曲に対する耐久性を向上させることは可能と考えられる。しかしながら、無機粒子を付着させることは、かえって、糸条と接触する対象物との摩擦抵抗を大きくすることにつながり、金属やプラスチック等の対象物との激しい擦れに対する耐久性が要求される、ロープやスリングに代表される一般産業資材用途に適用する場合には、耐摩耗性が十分であるとは言えない。
そこで本発明の目的は、前記の従来技術の有する課題を解決し、高次加工製品に適用した際に耐摩耗性に優れた液晶ポリエステルマルチフィラメントを提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであり、本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントは、液晶ポリエステルからなり、単繊維間融着度が0〜15であり、糸−糸間の静止摩擦係数が0.15〜0.35であり、糸−金属間の動摩擦係数が0.20〜0.50であることを特徴とする液晶ポリエステルマルチフィラメントである。
本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの好ましい態様によれば、前記の液晶ポリエステルマルチフィラメントの総繊度は50〜3000dtexである。
本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの好ましい態様によれば、前記の液晶ポリエステルマルチフィラメントの強度は13cN/dtex以上であり、伸度は5%以下である。
本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの好ましい態様によれば、前記の液晶ポリエステルマルチフィラメントは、20T/10cmで撚糸した際の原糸強力保持率が60〜90%である。
本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの好ましい態様によれば、前記の液晶ポリエステルは、下記の化学式に示す構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)からなるものである。
Figure 2016176161
本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの好ましい態様によれば、前記の構造単位(I)は、前記の構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して40〜85mol%であり、前記の構造単位(II)は前記の構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜90mol%であり、前記の構造単位(IV)は前記の構造単位(IV)および(V)の合計に対して40〜95mol%である。
本発明によれば、単繊維間融着度が0〜15で、糸−糸間の静止摩擦係数が0.15〜0.35であり、糸−金属間の動摩擦係数が0.20〜0.50であるため、熱処理後にも、マルチフィラメントの糸条の柔軟性を維持することができ、またマルチフィラメントの糸条が金属やプラスチック等の対象物に接触する際の摩擦抵抗を低減することができる液晶ポリエステルマルチフィラメントが得られる。その結果、摩擦による応力を受けた際に、糸条全体で応力を分散し吸収することができ、製品とした場合の耐摩耗性が飛躍的に向上する。このように、本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントにおいては、単繊維間融着度、糸−糸間の静止摩擦係数、および糸−金属間の動摩擦係数を特定の範囲に制御することが重要であり、高い耐摩耗性が要求される高性能ロープ、スリングおよび漁網等の一般産業資材用途に好適な繊維材料を提供することができる。
次に、本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントとその製造方法について、詳細に説明する。
本発明で用いられる液晶ポリエステルとは、加熱して溶融した際に光学異方性(液晶性)を呈するポリエステルを指す。これは、液晶ポリエステルからなる試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、偏光顕微鏡で試料の透過光を観察することにより認定することができる。
本発明で用いられる液晶ポリエステルとしては、例えば、(a)芳香族オキシカルボン酸の重合物、(b)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールや脂肪族ジオールの重合物、および(c)上記(a)と上記(b)の共重合物等が挙げられ、中でも芳香族のみで構成された重合物が好ましく用いられる。芳香族のみで構成された重合物は、繊維にした際に優れた強度および弾性率を発現する。また、液晶ポリエステルの重合処方は、従来公知の方法を用いることができる。
ここで、芳香族オキシカルボン酸としては、例としてヒドロキシ安息香酸(p−ヒドロキシ安息香酸など)およびヒドロキシナフトエ酸等(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸など)、またはこれらのアルキル、アルコキシおよびハロゲン置換体等が挙げられる。
また、芳香族ジカルボン酸としては、例としてテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸およびジフェニルエタンジカルボン酸等、またはこれらのアルキル、アルコキシおよびハロゲン置換体等が挙げられる。
更に、芳香族ジオールとしては、例としてヒドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシビフェニルおよびナフタレンジオール等、またはこれらのアルキル、アルコキシおよびハロゲン置換体等が挙げられ、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールおよびネオペンチルグリコール等が挙げられる。
本発明で用いられる液晶ポリエステルは、上記のモノマー以外に、液晶性を損なわない程度の範囲で、更に他のモノマーを共重合させることができる。他のモノマーの例としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、ポリエチレングリコール等のポリエーテル、ポリシロキサン、芳香族イミノカルボン酸、芳香族ジイミン、および芳香族ヒドロキシイミン等が挙げられる。
本発明で用いられる前記のモノマー等を重合した液晶ポリエステルの好ましい例としては、p−ヒドロキシ安息香酸成分と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸成分が共重合された液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸成分と4,4’−ジヒドロキシビフェニル成分とイソフタル酸成分および/またはテレフタル酸成分が共重合された液晶ポリエステル、およびp−ヒドロキシ安息香酸成分と4,4’−ジヒドロキシビフェニル成分とイソフタル酸成分とテレフタル酸成分とヒドロキノン成分が共重合された液晶ポリエステルが挙げられる。
本発明では特に、下記の化学式に示される構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)からなる液晶ポリエステルであることが好ましい。本発明において、構造単位とはポリマーの主鎖における繰り返し構造を構成し得る単位を指す。
Figure 2016176161
このように、構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の組み合わせにより、分子鎖は適切な結晶性と非直線性すなわち溶融紡糸可能な融点を有するようになる。したがって、ポリマーの融点と熱分解温度の間で設定される紡糸温度において良好な製糸性を有するようになり、長手方向に比較的均一な繊維が得られ、かつ適度な結晶性を有するため繊維の強度と弾性率を高めることができる。
さらに本発明においては、構造単位(II)と(III)のような嵩高くなく、直線性の高いジオールからなる成分を組み合わせることが重要である。この成分を組み合わせることにより、繊維中で分子鎖は秩序だった乱れの少ない構造を取ると共に、結晶性が過度に高まらず繊維軸垂直方向の相互作用も維持することができる。これにより高い強度と弾性率に加えて、比較的良好な耐摩耗性が得られるのである。
上記した構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して40〜85mol%であることが好ましく、より好ましくは65〜80mol%であり、さらに好ましくは68〜75mol%である。このような範囲とすることにより、結晶性を適切な範囲とすることができ、高い強度と弾性率が得られ、かつ融点も溶融紡糸可能な範囲となる。
また、構造単位(II)は、構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜90mol%であることが好ましく、より好ましくは60〜80mol%であり、さらに好ましくは65〜75mol%である。このような範囲とすることにより、で結晶性が過度に高まらず繊維軸垂直方向の相互作用も維持できるため、耐摩耗性を高めることができる。
さらに、構造単位(IV)は、構造単位(IV)および(V)の合計に対して40〜95mol%であることが好ましく、より好ましくは50〜90mol%であり、さらに好ましくは60〜85mol%である。このような範囲とすることにより、ポリマーの融点が適切な範囲となり、ポリマーの融点と熱分解温度の間で設定される紡糸温度において良好な製糸性を有するようになり、長手方向に比較的均一な繊維が得られる。
本発明で用いられる液晶ポリエステルの各構造単位の特に好ましい範囲は、下記のとおりである。各構造単位の好ましい範囲は、構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の合計を100mol%としたときの範囲である。この範囲の中で、上記した条件を満たすように組成を調整することにより、本発明の液晶ポリエステル繊維が安定製糸できる。
・構造単位(I)45〜65mol%
・構造単位(II)12〜18mol%
・構造単位(III)3〜10mol%
・構造単位(IV)5〜2mol%
・構造単位(V)2〜15mol%
本発明に用いる液晶ポリエステルのポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、Mwと略すことがある。)は、3万以上であることが好ましく、より好ましくは5万以上である。Mwを3万以上とすることにより、紡糸温度において適切な粘度を持ち製糸性高めることができ、Mwが高いほど得られる繊維の強度、伸度および弾性率は高まる。また、流動性を優れたものとする観点から、Mwは25万未満であることが好ましく、より好ましくは15万未満である。本発明で言うMwとは、実施例に記載の方法により求められた値とする。
本発明で用いられる液晶ポリエステルの融点は、溶融紡糸のし易さと耐熱性の面から、200〜380℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは250〜350℃であり、更に好ましくは290〜340℃である。本発明で言う融点とは、実施例に記載の方法により求められた値とする。
また、本発明で用いられる液晶ポリエステルには、本発明の効果を損なわない範囲で他のポリマーを添加して併用することができる。添加・して併用とは、ポリマー同士を混合する場合や、2成分以上の複合紡糸において一方の成分、乃至は複数の成分に他のポリマーを部分的に混合使用すること、あるいは全面的に使用することをいう。
他のポリマーとしては、例として、ポリエステル、ポリオレフィンやポリスチレン等のビニル系重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ポリケトン、脂肪族ポリケトン、半芳香族ポリエステルアミド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂等のポリマーを添加しても良く、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6T、ナイロン9T、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、およびポリエステル99M等が挙げられる。
これらのポリマーを添加して併用する場合、その融点は液晶ポリエステルの融点±30℃以内にすることが製糸性を損なわないために好ましい。また、得られる繊維の強度と弾性率を向上させるためには、添加して併用する量は、液晶ポリエステルに対して50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。実質的に他のポリマーを添加して併用しないことが最も好ましい。
本発明で用いられる液晶ポリエステルには、本発明の効果を損なわない範囲内で、各種金属酸化物、カオリン、シリカ等の無機物、着色剤、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤、末端基封止剤、および相溶化剤等の添加剤を少量含有させることができる。
本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの製造方法は、本発明で規定する液晶ポリエステルマルチフィラメントが得られる限り、何ら限定されないが、好ましい形態を次に述べる。
本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの溶融紡糸において、基本的な溶融押出法としては通常の手法を用いることができるが、重合時に生成する秩序構造をなくすためにエクストルーダー型の押出機を用いることが好ましい。押し出されたポリマーは、配管を経由してギアーポンプ等公知の計量装置により計量され、異物除去のフィルターを通過した後、口金へと導かれる。このときポリマー配管から口金までの温度(紡糸温度)は、液晶ポリエステルの融点以上、熱分解温度以下とすることが好ましく、液晶ポリエステルの融点+10℃以上、400℃以下とすることがより好ましく、液晶ポリエステルの融点+20℃以上、370℃以下とすることが更に好ましい態様である。また、ポリマー配管から口金までの温度を、それぞれ独立して調整することも可能である。この場合、口金に近い部位の温度を、その上流側の温度より高くすることにより吐出が安定する。
また、本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの溶融紡糸では、1つの口金に多数の口金孔を穿孔するため、それぞれの口金孔の吐出と細化挙動を安定させることが好ましい。
これを達成するためには、口金孔の孔径を小さくするとともに、ランド長(口金孔の孔径と同一の直管部の長さ)を長くすることが好ましい。ただし、孔の詰まりを有効に防止する観点から、孔径は0.03mm以上1.00mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05mm以上0.80mm以下であり、更に好ましくは0.08mm以上0.60mm以下である。
圧力損失が高くなることを有効に防止する観点から、ランド長Lを孔径Dで除した商で定義されるL/Dは、0.5以上3.0以下であることが好ましく、より好ましくは0.8以上2.5以下であり、更に好ましくは1.0以上2.0以下である。
また、液晶ポリエステルマルチフィラメントの生産性を向上させるために、1つの口金の孔数は、10孔以上2,000孔以下が好ましく、より好ましくは50孔以上1000孔以下であり、更に好ましくは100孔以上500孔以下である。口金孔の直上に位置する導入孔は、圧力損失を高めないという観点から、直径が口金孔径の5倍以上のストレート孔とすることが好ましい。導入孔と口金孔の接続部分は、テーパーとすることが異常滞留を抑制する上で好ましいが、テーパー部分の長さはランド長の2倍以下とすることが圧力損失を高めず、流線を安定させる上で好ましい態様である。
口金孔から吐出されたポリマーは、保温領域と冷却領域を通過させ固化させた後、一定速度で回転するローラー(ゴデットローラー)により引き取られる。保温領域は過度に長いと製糸性が悪くなるため、口金面から400mmまでとすることが好ましく、300mmまでとすることがより好ましく、保温領域を200mmまでとすることが更に好ましい態様である。また、保温領域は加熱手段を用いて雰囲気温度を高めることも可能であり、その温度範囲は100℃以上500℃以下であることが好ましく、より好ましくは200℃以上400℃以下である。冷却は、不活性ガス、空気および水蒸気等を用いることができるが、環境負荷を低くするという観点から、平行あるいは環状の空気流を用いることが好ましい。
引き取り速度は、生産性向上のため50m/分以上であることが好ましく、より好ましくは300m/分以上であり、更に好ましくは500m/分以上である。本発明で用いられる液晶ポリエステルは、紡糸温度において良好な曳糸性を有することから引き取り速度を高速にすることができる。引き取り速度の上限は特に制限されないが、本発明で用いられる液晶ポリエステルにおいては曳糸性の点から3,000m/分程度となる。
引き取り速度を吐出線速度で除した商で定義される紡糸ドラフトは、1以上500以下とすることが好ましく、5以上200以下とすることがより好ましく、12以上100以下とすることが更に好ましい態様である。本発明で用いられる液晶ポリエステルは、良好な曳糸性を有することからドラフトを高くすることができ、生産性向上に有利である。上記の紡糸ドラフトの計算に用いた吐出線速度(m/分)とは、単孔あたりの吐出量(m/分)を単孔断面積(m)で除した商で定義される値であり、引き取り速度(m/分)を吐出線速度で除するため、紡糸ドラフトは無次元数となる。
本発明では、製糸性および生産性向上の観点から、上記の紡糸ドラフトを得るために、紡糸パックあたりのポリマー吐出量を10〜2,000g/分と設定することが好ましく、30〜1,000g/分と設定することがより好ましく、50〜500g/分と設定することが更に好ましい態様である。ポリマー吐出量を10〜2,000g/分と高吐出で紡糸することにより、液晶ポリエステルの生産性が向上する。
糸条の巻き取りは、通常の巻き取り機を用いてチーズ、パーンおよびコーン等の形状のパッケージとすることができるが、巻量を高く設定できるチーズ巻きとすることが好ましい。糸条の巻き取りの際、ガイドやローラーとの摩擦抵抗を低減させるために、オイリングローラーを用いて各種油剤を使用しても何ら差し支えない。
このようにして得られた液晶ポリエステルマルチフィラメントは、更に強度および弾性率を向上させるために固相重合を行うことが好ましい。固相重合は、パッケージ形状、カセ形状、トウ形状(例えば、金属網等にのせて行う)、あるいはローラー間で連続的に糸条として処理することも可能であるが、設備を簡素化することができ、生産性も向上できるという観点から、パッケージ形状で行うことが好ましい。
パッケージ状で固相重合を行う場合、融着し易いので、これを防止するためには、固相重合を行う際の繊維パッケージの巻密度が0.50g/cm以上の繊維パッケージとしてボビン上に形成し、これを固相重合することが好ましい。ここで巻密度とは、パッケージ外形寸法と心材となるボビンの寸法から求められるパッケージの占有体積Vf(cm)と繊維の重量Wf(g)からWf/Vf(g/cm)により計算される値である。
巻密度は過度に小さいと、パッケージにおける張力が不足するため繊維間の接点面積が大きくなり融着が増大するだけでなく、パッケージが巻き崩れるため0.30g/cm以上とすることが好ましい。また、巻密度の上限は、巻密度が過度に大きいとパッケージの内層における繊維間の密着力が大きくなり接点での融着が増大するため、1.50g/cm以下とすることが好ましい。本発明においては、融着軽減および巻き崩れ防止の観点から、巻密度を0.50〜1.00g/cmとすることがより好ましい態様である。このような巻密度のパッケージは、生産効率が良く、工程の簡略化が可能である。例えば、液晶ポリエステルの溶融紡糸時に直接巻き取って、上記の巻密度を有するパッケージを形成することも可能であり、生産効率の向上を図ることができる。また、固相重合時の糸質量を調整する際などに、溶融紡糸で一旦巻き取ったパッケージを巻き返して、上記の巻密度を有するパッケージを形成することも可能である。パッケージ形状を整え巻密度制御するためには、通常用いられるコンタクトロール等を用いず、繊維パッケージ表面を非接触の状態で巻き取ることや、溶融紡出した原糸を、調速ロールを介さず直接、速度制御された巻取機で巻き取ることも有効である。これらの場合、パッケージ形状を整えるためには、巻取速度を3000m/分以下、特に2000m/分以下とすることが好ましい。
上記の繊維パッケージを形成するために用いられるボビンは、円筒形状のものであればいかなるものでも良く、繊維パッケージとして巻き取る際に巻取機に取り付けこれを回転させることで繊維を巻き取り、パッケージを形成する。固相重合に際しては、繊維パッケージをボビンと一体で処理することもできるが、繊維パッケージからボビンのみを抜き取って処理することもできる。繊維をボビンに巻いたまま処理する場合、そのボビンは固相重合温度に耐える必要があり、アルミニウム、真鍮、鉄およびステンレスなどの金属製であることが好ましい。またこの場合、ボビンには、固相重合を効率的に行えるようにするため、多数の穴が空いていることが好ましい。
また、繊維パッケージからボビンを抜き取って処理する場合には、ボビン外層に外皮を装着しておくことが好ましい。また、いずれの場合にもボビンの外層にはクッション材を巻き付け、その上に溶融紡糸した液晶ポリエステルマルチフィラメントを巻き取っていくことが好ましい。クッション材の材質は、アラミド繊維などの有機繊維または金属繊維からなるフェルトが好ましく、厚みは0.1mm以上20mm以下であることが好ましい。前述の外皮を、上記のクッション材で代用することもできる。
上記の繊維パッケージの繊維の質量は、巻密度が本発明の範囲内となるものであればいかなる質量でも良いが、生産性を考慮すると0.01kg以上11kg以下であることが好ましい範囲である。また、糸長は1万m以上200万m以下が好ましい範囲である。
本発明において、固相重合時の融着を防ぐため、繊維表面に油分を付着させることは好ましい実施形態である。これら油分成分の付着は溶融紡糸から巻き取りまでの間に行うこともできるが、付着効率を高めるためには巻き返しの際に行う、あるいは溶融紡糸で少量を付着させ、巻き返しの際にさらに追加することが好ましい。
油分付着方法はガイド給油でも良いが、マルチフィラメントに均一付着させるためには、金属製あるいはセラミック製のキスロール(オイリングロール)による付着が好ましい。油分の成分としては、固相重合での熱処理で揮発させないため耐熱性が高い方が好ましいが、液晶ポリエステル繊維を用いた製品において、高い耐摩耗性を得るためには、金属やプラスチック等の対象物との摩擦抵抗を小さくした方が好適であるため、融着防止剤として粒子状のものを使用することは避けるようにする。よって、融着防止剤としては、粒子状でなければ何ら限定されないが、公知のフッ素系化合物やシロキサン系化合物(ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなど)およびこれらの混合物などが好ましく用いられる。
これらの成分の塗布方法は、直接塗布でも構わないが、付着量を適正化しつつ均一塗布するためにはエマルジョン塗布が好ましく、安全性の点から水エマルジョン塗布が特に好ましく用いられる。したがって、成分としては水溶性あるいは水エマルジョンを形成しやすいことが好ましく、中でもシロキサン系化合物の水エマルジョンを主体とした融着防止剤がより好ましく用いられる。このような融着防止剤は、固相重合条件下において不活性であり、固相重合での融着防止効果に加え、易滑性にも効果を示す。融着防止剤の濃度は、実施例に記載した方法により求められる値を指す。
繊維への油分付着量は、融着抑制のためには多い方が好ましく、繊維全体を100質量%としたときに0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは1.0質量%以上である。一方、油分付着量が多すぎると、繊維がべたつきハンドリングを悪化させる他、後工程で工程通過性を悪化させるため、油分付着量は10.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは8.0質量%以下であり、特に好ましくは6.0質量%以下である。繊維への油分付着量は、実施例に記載した方法により求められる値を指す。
固相重合は、窒素等の不活性ガス雰囲気中や、空気のような酸素含有の活性ガス雰囲気中または減圧下で行うことが可能であるが、設備の簡素化および繊維あるいは付着物の酸化防止のため窒素雰囲気下で行うことが好ましい。この際、固相重合の雰囲気は、露点が−40℃以下の低湿気体であることが好ましい。
本発明において、単繊維間融着度が0〜15であり、糸−糸間の静止摩擦係数が0.15〜0.35であり、糸−金属質量動摩擦係数が0.20〜0.50である液晶ポリエステルマルチフィラメントを得るために最も重要な点は、固相重合における昇温条件を最適化することである。具体的には、多段ステップかつ低速昇温を採用することである。本発明では、液晶ポリエステルマルチフィラメントの固相重合の昇温条件と単繊維間融着の関係を鋭意検討した結果、多段ステップかつ低速昇温を採用することにより、従来技術で使用されているような融着防止剤等を使用することなく、単繊維間融着を抑制できることを見出した。
次に、本発明における固相重合時の多段ステップ昇温と低速昇温について、詳しく説明する。
固相重合における最高到達温度は、固相重合に供する液晶ポリエステルマルチフィラメントの融点(Tm1)−80℃以上であることが好ましい。このような融点近傍の高温とすることにより固相重合が速やかに進行し、繊維の強度を向上させることができる。また、最高到達温度は、融着防止のためにTm1未満とすることが好ましい。また、固相重合の進行と共に液晶ポリエステルマルチフィラメントの融点は上昇するため、固相重合における熱処理温度を固相重合の進行状態に応じて、固相重合に供する液晶ポリエステルフィラメントの融点(Tm1)+100℃程度まで高めることも可能である。このように、最高到達温度まで昇温するために、従来技術では、最高到達温度の−150℃〜−50℃程度の比較的低温領域で1度予備加熱を実施して結晶化を進め、その後、最高到達温度まで昇温していく方法が一般的であった。本発明では、この最高到達温度までの昇温条件を詳細に検討した結果、最高到達温度までの昇温を複数のステップに分割し、多段ステップ昇温とするとともに、昇温速度を遅くすることにより、従来技術に比較して、固相重合時の単繊維間融着が飛躍的に軽減できることを見出したのである。
本発明でいう多段ステップ昇温の各ステップの熱処理温度と各ステップの熱処理時間は、ステップ数が3段以上であれば何ら限定されないが、この場合次のような条件設定が好ましい。多段ステップ昇温のステップ数は、液晶ポリエステルの融点(Tm1)と室温(20℃)の温度差を分割して、最高到達温度のステップを含めて3段以上50段以下とすることが好ましい。単繊維間融着を軽減するためには、ステップ数は多い方が好ましく、5段以上であることがより好ましく、単繊維間融着を軽減する上で7段以上がさらに好ましい態様である。本発明では、融着軽減効果は最終的には飽和するため、生産効率を考慮すればステップ数はより好ましくは30段以下である。
また、ステップ間の温度差については、液晶ポリエステルの融点(Tm1)と室温(20℃)の温度差を均等に分割しても良く、不均一でも何ら問題ないが、熱処理に伴う液晶ポリエステル繊維の構造変化速度を均一化するという観点では、ステップ間の温度差は均等にすることが好ましい。
さらに、各ステップの熱処理時間は、各ステップでの熱処理に伴う液晶ポリエステルマルチフィラメントの構造変化を均一にする上では、0.1以上5.0時間以下であることが好ましい。単繊維間融着を軽減するためには、各ステップの処理時間は長い方が好ましく、0.3時間以上であることが好ましく、単繊維間融着を軽減する上では0.5時間以上であることが好ましい。本発明では、融着軽減効果は最終的には飽和するため、生産効率を考慮すれば、各ステップの処理時間はより好ましくは3.0時間以下である。
また、本発明では、このような多段ステップでの昇温条件を採用することに加え、各ステップへの昇温速度を低速とすることが単繊維間融着抑制に有効であることを見出した。ここでいう各ステップへの昇温速度は、融着抑制の点からは、各ステップ間で液晶ポリステルマルチフィラメントに大きな構造変化を与えない方が好ましく、好ましくは0.01℃/時間以上60℃/時間以下である。単繊維間融着を軽減するためには、各ステップ間の昇温速度は低速である方が好ましいため、より好ましくは30℃/時間以下である。生産効率を考慮すれば、各ステップ間の昇温速度は、更に好ましくは10℃/時間以下である。
このように、本発明では、液晶ポリエステルの固相重合における昇温条件、すなわち、多段ステップ昇温と低速昇温を採用することにより、単繊維間融着が飛躍的に抑制できることを見出したのである。このような昇温条件を採用することにより、単繊維間融着が抑制できた理由は、詳しくは分からないものの、従来技術では着目されなかった、固相重合時の多段ステップかつ低速昇温の採用により、最高到達温度までの各熱処理に伴う液晶ポリエステルマルチフィラメントの構造変化を少しずつマイルドに進行させることができ、各温度での単繊維間融着が起こりにくくなったものと考えられる。
本発明におけるこのような革新的な単繊維間融着抑制技術により、固相重合後の単繊維間融着を格段に抑制することができ、柔軟性を有する液晶ポリエステルマルチフィラメントが得られるのである。
さらに、本発明で得られる液晶ポリエステルマルチフィラメントは、糸−糸間の静止摩擦係数および糸−金属間の動摩擦係数が格段に低くなることも大きな特徴である。この糸−糸間の静止摩擦係数および糸−金属間の動摩擦係数が格段に低くなる理由については、詳しくは分からないものの、固相重合における昇温条件の最適化による革新的な単繊維間融着抑制により、軽微な融着をも抑制でき、融着により生じる繊維表面の微細なフィブリル化、すなわち、凹凸形成を抑制することができたため、繊維表面の平滑性が確保できたのではないかと考えられる。
このように、固相重合における昇温条件を最適化するなどして得られる、単繊維間融着度が0〜15で、糸−糸間の静止摩擦係数が0.15〜0.35で、糸−金属間の動摩擦係数が0.20〜0.50の特性を有する本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントは、糸条柔軟性と繊維表面平滑性を有しているため、耐摩耗性に優れており一般産業資材用途に好適に用いることができる。
最高到達温度での固相重合時間は、繊維の強度、弾性率および融点を十分に高くするために5時間以上とすることが好ましく、より好ましくは10時間以上である。固相重合時間の上限は、強度、弾性率および融点増加の効果が経過時間と共に飽和するため、100時間程度で十分であり、生産性を高めるためには短時間が好ましく、50時間程度で十分である。
固相重合後のパッケージはそのまま製品として供することもできるが、製品運搬効率を高めるために、固相重合後のパッケージを再度巻き返して巻密度を高めることが好ましい。このとき、繊維を固相重合パッケージから解舒する際には解舒による固相重合パッケージの崩れを防ぎ、さらに軽微な融着を剥がす際のフィブリル化を抑制するために、固相重合パッケージを回転させながら、回転軸と垂直方向(繊維周回方向)に糸を解舒する、いわゆる横取りにより解舒することが好ましい。さらに、固相重合パッケージの回転は自由回転ではなく積極駆動により回転させることにより、パッケージからの糸離れ張力を低減させフィブリル化をより抑制することができる。ここで、液晶ポリエステルマルチフィラメントパッケージを形成するためには、パーン、ドラムおよびコーンなどの形態のパッケージとすることができるが、生産性の観点から、巻量を多く確保することができるドラム巻取とすることが好ましい。
また、本発明における液晶ポリエステルマルチフィラメントは、目的に応じて各種仕上げ油剤を付与することができる。
本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの固相重合後のポリスチレン換算のMwは、25万以上150万以下であることが好ましい。25万以上の高いMwを有することにより高い強度、伸度および弾性率を有する他、特に細繊度化した際には衝撃吸収性が高まり高次工程での糸切れを抑制することができ、耐摩耗性も向上する。また、融点も高いため優れた耐熱性を有する。Mwが高いほどこれらの特性は向上するため、Mwは30万以上であることが好ましく、より好ましくは35万以上である。Mwの上限は特に限定されないが、本発明で達し得る上限としては150万程度である。本発明で言うMwは、実施例に記載したポリスチレン換算の重量平均分子量測定での値を指す。
本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントは、単繊維間融着度が0〜15であり、好ましくは0〜10であり、より好ましくは0〜5である。単繊維間融着度が15を超えると、繊維間の融着が酷く、得られる液晶ポリエステルマルチフィラメントの糸条が剛直となりすぎて柔軟性が失われ、高次加工での工程通過性が悪化する。さらに、融着により繊維表面がフィブリル化し繊維表面の平滑性が失われるため、摩擦による耐久性も低下する。単繊維間融着度は、実施例に記載した手法により求められる値を指す。
また、本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの糸−糸間の静止摩擦係数は、0.15〜0.35であり、好ましくは0.15〜0.30であり、より好ましくは0.15〜0.25である。糸−糸間の静止摩擦係数が0.35を超えると、製品形態とした場合に、繊維間の滑り性が悪いため、外部からの応力が製品全体に分散しにくく、製品特性の低下を引き起こす。また、糸−糸間の静止摩擦係数が0.15より低い場合には、製品とした場合に、繊維同士が動きやすく、製品形態の維持が難しくなる。糸−糸間の静止摩擦係数は、実施例に記載した手法により求められる値を指す。
また、本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの糸−金属間の動摩擦係数は、0.20〜0.50であり、好ましくは0.20〜0.40であり、より好ましくは0.20〜0.30である。糸−金属間の動摩擦係数が0.50を超えると、製品として使用した際に、金属製部材などの対象物との摩擦抵抗が大きいため、擦過によるフィブリル化などを引き起こす。また、糸−金属間の動摩擦係数が0.20より低い場合には、製品を金属製部材などの対象物へ固定する際に、滑りが生じて固定が難しい。糸−金属間の動摩擦係数は、実施例に記載した手法により求められる値を指す。
さらに、本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントを、20T/10cmで撚糸した際の原糸強力保持率は60〜90%であることが好ましく、より好ましくは70〜90%であり、さらに好ましくは80〜90%である。原糸強力保持率が上記の範囲であるならば、高次加工において撚りを付与した場合でも、繊維の強力が低下しにくいため、製品強度向上などの物性向上を図ることができる。撚糸した際の原糸強力保持率は、実施例に記載した手法により求められる値を指す。
本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの総繊度は、50〜3,000dtexであることが好ましく、より好ましくは100〜2,500dtexであり、さらに好ましくは150〜2000dtexである。総繊度を50〜3,000dtexとすることにより、生産効率が高く、原糸使用量が極めて多い産業資材用途に好適である。また、溶融紡糸で得られた液晶ポリエステルマルチフィラメントを分繊あるいは合糸して総繊度が50〜3,000dtexの液晶ポリエステルマルチフィラメントとすることもできる。総繊度は、実施例に記載した手法により求められる値を指す。
本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの単繊維数は、10〜2000本であることが好ましく、より好ましくは30〜1000本であり、さらに好ましくは50〜500本である。単繊維数を10〜2000本とすることにより、マルチフィラメントの生産性向上を図ることができる上、熱処理時に外気に触れる繊維表面積が大きくなるため固相重合反応が促進されて、強度と弾性率のバラツキが低減し、均一な物性を有する液晶ポリエステルマルチフィラメントが得られる。また、溶融紡糸で得られた液晶ポリエステルマルチフィラメントを分繊あるいは合糸して、単繊維数が、10〜2000の液晶ポリエステルマルチフィラメントとすることもできる。単繊維数は、実施例に記載した手法により求められる値を指す。
本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの単繊維繊度は、300dtex以下であることが好ましく、より好ましくは100dtex以下であり、さらに好ましくは50dtex以下である。単繊維繊度を300dtex以下とすることにより、吐出後に単繊維内部まで均一な冷却が可能となり、製糸性が安定し、毛羽品位の良好な液晶ポリエステルマルチフィラメントが得られる。単繊維繊度の下限について、本発明で達し得る下限としては1dtex程度である。本発明でいう単繊維繊度は、総繊度を単繊維数で除した商を単繊維繊度(dtex)とした。
本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの強度は、13.0cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは15.0cN/dtex以上であり、さらに好ましくは17.0cN/dtex以上である。強度が13.0cN/dtex以上あることにより、高強度でかつ軽量化が求められる産業資材用途に好適である。また、強度の上限について、本発明で達し得る上限としては30.0cN/dtex程度である。本発明で言う強度は、実施例に記載した手法により求められる値を指す。
本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの伸度は、5.0%以下であることが好ましく、より好ましくは4.0%以下であり、さらに好ましくは3.0%以下である。伸度が5.0%以下であるため、外部から応力を受けた際に伸びにくく、重量物を吊り上げる際に寸法変化を生じずに好適に使用できる。伸度の下限について、本発明で達し得る下限としては1.0%程度である。本発明で言う伸度は、実施例に記載した手法により求められる値を指す。
また、本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの弾性率は、500cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは700cN/dtex以上であり、さらに好ましくは900cN/dtex以上ある。弾性率が500cN/dtex以上あれば、応力を受けた際の寸法変化が小さく産業資材用途に好適である。弾性率の上限について、本発明で達し得る上限としては、1,500cN/dtex程度である。本発明で言う弾性率とは、実施例に記載した手法により求められる値を指す。
また、本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントの強度バラツキおよび伸度バラツキは、いずれも0.1〜2.5% であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2.0%であり、さらに好ましくは0.1〜1.5%である。
本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントは、強伸度バラツキが0.1〜2.5%と物性安定性に優れているため、製品とした場合に原糸の物性利用率が高く、製品強度などの物性向上を図ることができる。本発明で言う強度バラツキおよび伸度バラツキとは、実施例に記載した手法により求められる値を指す。
このようにして得られた本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントは、単繊維間融着度が0〜15、糸−糸間の静止摩擦係数が0.15〜0.35、糸−金属間の動摩擦係数が0.20〜0.50であるため、糸条柔軟性と繊維表面平滑性を有し耐摩耗性に優れている。このように、優れた耐摩耗性の他に、高強度、高弾性、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性および低吸湿特性などを有する本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントは、一般産業資材、土木資材、建築資材、スポーツ用途、防護衣、防護手袋、ゴム補強資材、プラスチック補強材、電気材料、音響材料、電気製品のコード補強材、および一般衣料等の分野で広く用いられる。
有効な用途としては、ロープ、スリング、ネット、魚網、テンションメンバー、コンピューターリボン、プリント基板用基布、抄紙用のカンバス、フィルター用メッシュ織物、スクリーン印刷用紗織物、エアバッグ、飛行船、ドーム用等の基布、ライダースーツ、釣糸、各種ライン(ヨット、パラグライダー、気球、凧糸)、ブラインドコード、網戸用支持コード、自動車や航空機内各種コード、電気製品、およびロボットの力伝達コード等が挙げられる。
次に、実施例により、本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントについて、更に詳細に説明する。明細書および実施例で用いた特性の定義および各物性の測定と算出法を次に示す。
(1)融点:
示差走査熱量計(TA 1nstruments社製DSC2920)で行う示差熱量測定において、50℃の温度から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、およそTm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温速度で50℃の温度まで冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点とした。同様の操作を2回行い、2回の平均値を液晶ポリエステルの融点Tm2(℃)とした。
(2)ポリスチレン換算の重量平均分子量(分子量):
溶媒としてペンタフルオロフェノール/クロロホルム=35/65(質量比)の混合溶媒を用い、液晶ポリエステルの濃度が0.05質量%となるように混合溶媒に溶解させGPC測定用試料とし、これをWaters社製GPC測定装置を用いて測定し、ポリスチレン換算によりMwを求めた。同様の操作を2回行い、2回の平均値を重量平均分子量(Mw)とした。
・カラム:ShodexK−806M 2本、K-802 1本
・検出器:示差屈折率検出器RI(8020型)
・温度:232℃
・流速:0.8mL/分
・注入量:300μL。
(3)融着防止剤濃度:
融着防止剤を分散させた溶液の質量をW0、融着防止剤の質量をW1とした場合に、W1をW0で除した商に100を乗じた積を融着防止剤濃度(質量%)とした。
(4)融着防止剤付着量:
検尺機によって繊維を100mカセ取りして質量を測定した後、カセを100mlの水に浸して 、超音波洗浄機を用いて1時間洗浄を行った。超音波洗浄後のカセを乾燥させて質量を測定し、洗浄前質量と洗浄後質量の差を洗浄前質量で除した商に100を乗じた積を融着防止剤の付着量(質量%)とした。
(5)単繊維間融着度:
単繊維間融着度は、交絡度測定に用いられるRothschild社製エンタングルメントテスターR−2072を用いて、次の条件で算出した。初期張力(cN)={繊度(dtex)0.5}×0.7、糸速1m/分、トリップレベル(cN)={繊度(dtex)0.35}×3.31での触針トリップ回数30回の平均開繊長L(mm)を測定し、次の式で定義して、単繊維間融着度を算出した。
・単繊維間融着度(−)=1,000(mm)/平均開繊長L(mm)。
(6)糸−糸間の静止摩擦係数:
東レエンジニアリング(株)製摩擦試験機YF850を使用した。測定では、装置に仕掛けたマルチフィラメントの糸条の一部を360°捻って、45°の角度で交差させてローラーガイドに掛け、糸速0.1m/分、初荷重200gで糸条を走行させた。このときの走行糸条の張力(T)と初荷重(T)から、糸―糸間の静止摩擦係数μF-Fを算出した。
・μF-F={(T/2)―(T/2)}/{(T/2)+(T/2)}
(7)糸−金属間の動摩擦係数:
東レエンジニアリング(株)製摩擦試験機YF850を使用した。測定では、装置に仕掛けたマルチフィラメントの糸条の一部を、直径170mmの固定金属摩擦体(表面梨地Crメッキ加工)に常温で180°の角度で接触させ、糸速20m/分、初荷重200gで糸条を走行させた。このときの走行糸条の張力(T)と初荷重(T)から、糸―金属間の動摩擦係数μF-Mを算出した。
・μF-M={(T/2)―(T/2)}/{(T/2)+(T/2)}
(8)総繊度:
JIS L 1013(2010)8.3.1A法により、所定荷重0.045cN/dtexで正量繊度を測定して総繊度(dtex)とした。
(9)単繊維数:
JIS L 1013(2010)8.4の方法で算出した。
(10)単繊維繊度:
総繊度をフィラメント数で除した値を単繊維繊度(dtex)とした。
(11)強伸度と弾性率:
JIS L 1013(2010)8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。試料をオリエンテック社製“テンシロン”(TENSILON) UCT−100を用い、掴み間隔(測定試長)は250mm、引張速度は50mm/分で行った。強度と伸度は破断時の応力および伸びとし、弾性率は引張試験における応力と伸びのグラフでの最大傾きから算出した。
(12)強度バラツキ(CV%)および伸度バラツキ(CV%):
製品パッケージについて、繊維長手方向にマルチフィラメントの糸条を1000m解舒する毎に強伸度の測定を10回行い平均して強伸度(以下1000m毎の強伸度、弾性率という)を求める操作をパッケージ全量にわたって行う。こうして得られた1000m毎の強伸度、弾性率について平均値(A)を求め、強伸度の平均値(A)と標準偏差(σ)を用いて、以下の式から製品パッケージ長手方向の強度および伸度バラツキ(CV%)を算出した。
・強度バラツキ(CV%)および伸度バラツキ(CV%)=(σ/A)×100。
(13)撚糸時の原糸強力保持率:
20T/10cmで撚糸した後の原糸強力(X1)と、未撚糸時の原糸強力(X0)から、次の式をもとに原糸強力保持率を算出した。
・原糸強力保持率(%)=(X1/X0)×100。
(14)糸条の柔軟性:固相重合後の液晶ポリエステルマルチフィラメントの糸条の柔軟性は、官能評価(3段階)で行った。東レ(株)製ポリエステル長繊維“テトロン”(登録商標)1670T−288F−702Cのマルチフィラメント糸条の柔軟性を3とし、その“テトロン”(登録商標)マルチフィラメント対比やや柔軟性に劣っている場合を柔軟性2、その“テトロン”(登録商標)マルチフィラメント対比かなり柔軟性に劣って糸条が剛直である場合を柔軟性1とした。
(15)繊維表面の平滑性:
固相重合後の液晶ポリエステルマルチフィラメントの繊維表面の平滑性は、官能評価(3段階)で行った。東レ(株)製ポリエステル長繊維“テトロン” (登録商標)1670T−288F−702Cの繊維表面の平滑性を3とし、繊維表面にフィブリル化が散見されて、その“テトロン”(登録商標)マルチフィラメント対比やや平滑性に劣っている場合を平滑性2、繊維表面に多数のフィブリル化が確認されて、その“テトロン”(登録商標)マルチフィラメント対比かなり平滑性に劣って繊維表面の凹凸が顕著である場合を平滑性1とした。
(16)耐摩耗性評価:
測定糸条の片端をチャックに固定し、サンドペーパー(#600)を巻き付けた回転丸棒(直径50mm)の上に糸条を通し、チャックしていない糸条の片端に荷重(0.18g/dtex)をかけて垂直にたらす。このとき、糸条が回転丸棒に対し、90度の角度で接触するようにする。その後、この回転丸棒を35mm幅で横方向にトラバースさせながら、毎分180回転で回転させ、マルチフィラメントの糸条がサンドペーパーにより擦過を受けて糸条が切断するまでの回転丸棒の回転数(回)で耐摩耗性を評価した。切断までの回転数が多いほど、耐摩耗性は良好となる。耐摩耗性は、それぞれ回転数1000回以上のときは◎、700回以上のときは○、500回以上のときは△、500回未満は×とした。
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
攪拌翼と留出管を備えた5Lの反応容器に、p−ヒドロキシ安息香酸870質量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル327質量部、イソフタル酸157質量部、テレフタル酸292質量部、ヒドロキノン89質量部および無水酢酸1433質量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら20℃から145℃の温度まで30分で昇温した後、145℃の温度で2時間反応させた。その後、330℃の温度まで4時間で昇温した。重合温度を330℃に保持し、1.5時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に20分間反応を続け、所定トルクに到達したところで重縮合を完了させた。次に、反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1個持つ口金を経由して、ポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
このようにして得られた液晶ポリエステルは、それぞれp−ヒドロキシ安息香酸単位が全体の54mol%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル単位が16mol%、イソフタル酸単位が8mol%、テレフタル酸単位が15mol%、ヒドロキノン単位が7mol%からなり、融点は318℃であり、高化式フローテスターを用いて温度328℃、剪断速度1,000/秒で測定した溶融粘度が16Pa・secであった。また、Mwは91,000であった。この液晶ポリエステルを用い、150℃の温度で12時間の真空乾燥を行い、水分とオリゴマーを除去した。このようにして乾燥した液晶ポリエステルを、単軸のエクストルーダーを用いて(ヒーター温度290〜340℃)溶融押出しし、ギアーポンプで計量しつつ紡糸パックにポリマーを供給した。このときのエクストルーダー出口から紡糸パックまでの間の紡糸温度は、335℃とした。紡糸パックでは、濾過精度が15μmの金属不織布フィルターを用いてポリマーを濾過し、孔径が0.13mmで、ランド長が0.26mmの孔を300個有する口金から、吐出量136.0g/分(単孔あたり0.45g/分)でポリマーを吐出した。
吐出されたポリマーは、20℃の温度で冷却し固化させ、オイリングローラーを用いて油剤(ポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製「SH200−350cSt」)が5.0質量%の水エマルジョン)を付着させながら、300フィラメントを800m/分のネルソンローラーで引き取った 。
このときの紡糸ドラフトは、28.8である。ネルソンローラーで引き取った糸条は、そのままダンサーアームを介し羽トラバース型のワインダーを用いて、チーズ形状に巻き取った。溶融紡糸での曳糸性は良好であり、総繊度が1700dtexで、単繊維繊度が5.7dtexの液晶ポリエステルマルチフィラメントが、糸切れすることなく安定紡糸でき、4.0kg巻パッケージの紡糸原糸を得た。
この紡糸パッケージから、繊維を縦方向(繊維周回方向に対し垂直方向)に解舒し、速度を一定とした巻取機((株)神津製作所製SSP−WV8P型プレシジョンワインダー)を用いて、400m/分で巻き返しを行った。巻き返しの芯材にはステンレス製のボビンを用い、巻き返し時の張力は0.01cN/dtexとし、巻き密度を0.50g/cmとし、巻量は4.0kgとした。更に、パッケージ形状は、テーパー角65°のテーパーエンド巻きとした。このようにして得られた総繊度が1700dtexで、単繊維繊度が5.7dtexの巻き返しサンプルを、密閉型オーブンを用いて、次の条件で最高到達温度まで昇温した。
実施例1では、最高到達温度のステップ以外を2ステップ とするために、20℃から最高到達温度290℃までを均等に3分割し、各ステップを90℃の温度間隔で設定した。まず、20℃から110℃の温度まで0.5℃/時間で昇温して110℃の温度で2時間保持し、次に110℃から200℃の温度まで0.5℃/時間で昇温して200℃の温度で2時間保持した後、200℃から290℃の温度まで0.5℃/時間で昇温して290℃の温度で10時間固相重合を行った。
固相重合の雰囲気は、除湿窒素を流量100L/分で供給し、庫内が加圧にならないように排気口より排気させた。
このようにして得られた固相重合パッケージを、インバーターモーターにより回転できる送り出し装置に取り付け、繊維を横方向(繊維周回方向)に400m/分で送り出しつつ解舒を行い、巻取機によって製品パッケージに巻き取ったところ、融着によるフィブリル化を生じることなく、ほぼ無抵抗で安定解舒することができ、糸切れは発生しなかった。
得られた液晶ポリエステルマルチフィラメントの熱処理糸物性(強伸度、弾性率、単繊維間融着度、糸−糸間の静止摩擦係数、糸−金属動摩擦係数、強伸度バラツキ、糸条柔軟性、繊維表面平滑性および耐摩耗性)を表1に示す。実施例1で得られた液晶ポリエステルマルチフィラメントの強度バラツキは2.7%で、伸度バラツキは2.8%であり、撚糸時の強力保持率は58%であったものの、 実用に耐え得るものであった。
[実施例2]
固相重合の昇温条件において、最高到達温度のステップ以外を29ステップとするため、20℃から290℃の温度までを均等に30分割し、各ステップを9℃の温度間隔で設定するとともに、各ステップの熱処理時間を2時間とし、各ステップ間の昇温速度を0.5℃/時間としたこと以外は、実施例1と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表1に示す。
[実施例3]
固相重合の昇温条件において、最高到達温度のステップ以外を49ステップとするために、20℃から290℃の温度までを均等に50分割し、各ステップを5.4℃の温度間隔で設定したこと以外は、実施例2と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表1に示す。
[実施例4]
固相重合の昇温条件において、各ステップの熱処理時間を0.1時間としたこと以外は、実施例2と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。実施例4で得られた液晶ポリエステルマルチフィラメントの強度バラツキは2.6%であり、伸度バラツキは2.7%であったものの、実用に耐え得るものであった。結果を表1に示す。
[実施例5]
固相重合の昇温条件において、各ステップの熱処理時間を5.0時間としたこと以外は、実施例2と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表1に示す。
[実施例6]
固相重合の昇温条件において、各ステップ間の昇温速度を0.01℃/時間としたこと以外は、実施例2と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表1に示す。
[実施例7]
固相重合の昇温条件において、各ステップ間の昇温速度を0.1℃/時間としたこと以外は、実施例2と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表1に示す。
[実施例8]
固相重合の昇温条件において、各ステップ間の昇温速度を30℃/時間としたこと以外は、実施例2と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表1に示す。
[実施例9]
固相重合の昇温条件において、各ステップ間の昇温速度を60℃/時間としたこと以外は、実施例2と同じ方法で、液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。実施例9で得られた液晶ポリエステルマルチフィラメントの強度バラツキは2.7%であり、伸度バラツキは2.6%であったものの、実用に耐え得るものであった。結果を表1に示す。
[実施例10]
最高到達温度を270℃とし、最高到達温度での固相重合時間を15時間としたこと以外は、実施例2と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表2に示す。
[実施例11]
最高到達温度を310℃とし、最高到達温度での固相重合時間を7時間としたこと以外は、実施例2と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表2に示す。
[実施例12]
固相重合の昇温条件において、最高到達温度のステップ以外を49ステップとするために、20℃から290℃までを均等に50分割し、各ステップを5.4℃の温度間隔で設定するとともに、各ステップの熱処理時間を5.0時間、各ステップ間の昇温速度を0.01℃/時間、最高到達温度を270℃、最高到達温度での固相重合時間を15時間としたこと以外は、実施例2と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。実施例12で得られた液晶ポリエステルマルチフィラメントの強度バラツキは0.4%で、伸度バラツキは0.3%であり、撚糸時の強力保持率は92%となり、原糸物性安定性および表面平滑性に優れているため、高い物性が要求される産業用途に好適に使用することができた。結果を表2に示す。
[実施例13]
液晶ポリエステル樹脂として、p−ヒドロキシ安息香酸単位が全体の73mol%で、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸単位が27mol%からなる液晶ポリエステル樹脂(融点280℃)を用いたこと、また、固相重合温度を260℃とし、固相重合時間を10時間としたこと以外は、実施例2と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。実施例13で得られた液晶ポリエステルマルチフィラメントの強度バラツキは3.2%であり、伸度バラツキは3.4%であったものの、実用に耐え得るものであった。結果を表2に示す。
[実施例14]
液晶ポリエステル樹脂として、p−ヒドロキシ安息香酸単位が全体の50mol%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル単位が25mol%、イソフタル酸単位が6mol%、およびテレフタル酸単位が19mol%からなる液晶ポリエステル樹脂(融点314℃)を用いたこと、また、固相重合温度を290℃とし、固相重合時間を10時間としたこと以外は、実施例2と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。実施例14で得られた液晶ポリエステルマルチフィラメントの強度バラツキは3.5%で、伸度バラツキは3.6%であり、撚糸時の強力保持率は55%であったものの、実用に耐え得るものであった。結果を表2に示す。
Figure 2016176161
Figure 2016176161
[比較例1]
固相重合の昇温条件において、最高到達温度のステップ以外を1ステップとするために、室温20℃から290℃までを均等に2分割し、各ステップを135℃間隔で設定したこと以外は、実施例1と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。得られた液晶ポリエステルマルチフィラメントの熱処理糸物性(強伸度、弾性率、単繊維間融着度、糸−糸間の静止摩擦係数、糸−金属間の動摩擦係数、強伸度バラツキ、糸条柔軟性、繊維表面平滑性および耐摩耗性)を、表3に示す。
[比較例2]
固相重合の昇温条件において、各ステップの熱処理時間を5.0時間としたこと以外は、比較例1と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表3に示す。
[比較例3]
固相重合の昇温条件において、各ステップ間の昇温速度を0.01℃/時間としたこと以外は、比較例2と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表3に示す。
[比較例4]
最高到達温度を270℃、最高到達温度での固相重合時間を15時間としたこと以外は、比較例3と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表3に示す。
[比較例5]
固相重合の昇温条件において、各ステップの熱処理時間を0.05時間としたこと以外は、実施例2と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表3に示す。
[比較例6]
固相重合の昇温条件において、各ステップ間の昇温速度を0.01℃/時間としたこと以外は、比較例5と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表3に示す。
[比較例7]
最高到達温度を270℃とし、最高到達温度での固相重合時間を15時間としたこと以外は、比較例6と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表3に示す。
[比較例8]
固相重合の昇温条件において、最高到達温度のステップ以外を49ステップとするために、室温20℃から290℃までを均等に50分割し、各ステップを5.4℃間隔で設定したこと以外は、比較例7と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表3に示す。
[比較例9]
固相重合の昇温条件において、各ステップ間の昇温速度を80℃/時間としたこと以外は、実施例2と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表4に示す。
[比較例10]
固相重合の昇温条件において、各ステップの熱処理時間を5.0時間としたこと以外は、比較例9と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表4に示す。
[比較例11]
固相重合の昇温条件において、最高到達温度のステップ以外を49ステップとするために、室温20℃から290℃までを均等に50分割し、各ステップを5.4℃間隔で設定したこと以外は、比較例10と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表4に示す。
[比較例12]
最高到達温度を270℃、最高到達温度での固相重合時間を15時間としたこと以外は、比較例11と同じ方法で液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表4に示す。
[比較例13]
特許文献1の実施例1記載の方法で、単繊維間融着抑制を図りつつ、固相重合を実施し、液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表4に示す。
[比較例14]
特許文献2と3の実施例1記載の方法で、単繊維間融着抑制を図りつつ、固相重合を実施し、さらに固相重合後に液晶ポリエステルの融点以上の温度で熱処理を施して、液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表4に示す。
[比較例15]
特許文献4の実施例1記載の方法で、単繊維間融着抑制を図りつつ、固相重合を実施し、液晶ポリエステルマルチフィラメントを得た。結果を表4に示す。
Figure 2016176161
Figure 2016176161
表1と2の実施例1〜14から明らかなように、固相重合の昇温条件の最適化、すなわち多段ステップ昇温と低速昇温を採用することにより、融着防止剤を使用することなく、固相重合後の単繊維間融着が格段に抑制することができ、単繊維間融着度が0〜15の糸条柔軟性を有する液晶ポリエステルマルチフィラメントが安定して得られることが判る。さらに、本発明で得られる液晶ポリエステルマルチフィラメントは、糸−糸間の静止摩擦係数および糸−金属間の動摩擦係数が格段に低くなることも大きな特徴であり、糸−糸間の静止摩擦係数は0.15〜0.35の範囲内に、また、糸−金属動摩擦係数は0.20〜0.50の範囲内に制御することが可能となった。このような本発明の液晶ポリエステルマルチフィラメントは、糸条柔軟性と繊維表面平滑性を有しているため、耐摩耗性に優れ、一般産業資材用途に好適に用いることができるのである。
一方で、表3と4の比較例1〜12から明らかなように、固相重合の昇温条件が適切でない場合、すなわち単段昇温や高速昇温などを採用した場合には、固相重合後の単繊維間融着が酷く、繊維表面には多数のフィブリル化が発生した。得られた液晶ポリエステルマルチフィラメントは、強伸度特性の低下に加え、糸条は剛直化して、摩擦抵抗も大きく、耐摩耗性に劣るものであった。このような固相重合後の液晶ポリエステルマルチフィラメントにおいて、単繊維間融着度が大きく、糸−糸間の静止摩擦係数および糸−金属間の動摩擦係数が高い場合、高次加工後の製品としての耐摩耗性が不十分であるため、高い耐摩耗性が要求される一般産業資材用として好適に使用できない。

Claims (8)

  1. 液晶ポリエステルからなり、単繊維間融着度が0〜15であり、糸−糸間の静止摩擦係数が0.15〜0.35であり、糸−金属間の動摩擦係数が0.20〜0.50であることを特徴とする液晶ポリエステルマルチフィラメント。
  2. 総繊度が50〜3000dtexであり、単繊維数が10〜2000本であることを特徴とする請求項1記載の液晶ポリエステルマルチフィラメント。
  3. 強度が13cN/dtex以上であり、伸度が5%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の液晶ポリエステルマルチフィラメント。
  4. 強度バラツキが0.1〜2.5%であり、伸度バラツキが0.1〜2.5%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリエステルマルチフィラメント。
  5. 20T/10cmで撚糸した際の原糸強力保持率が60〜90%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶ポリエステルマルチフィラメント。
  6. 液晶ポリエステルが、下記の化学式に示される構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)からなる請求項1〜5のいずれかに記載の液晶ポリエステルマルチフィラメント。
    Figure 2016176161
  7. 構造単位(I)が、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して40〜85mol%であり、構造単位(II)が構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜90mol%であり、構造単位(IV)が構造単位(IV)および(V)の合計に対して40〜95mol%である請求項6記載の液晶ポリエステルマルチフィラメント。
  8. 液晶ポリエステルマルチフィラメントの製造方法において、溶融紡糸した紡糸原糸を固相重合する際、固相重合の最高到達温度まで昇温する条件が、多段ステップかつ低速昇温であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の液晶ポリエステルマルチフィラメントの製造方法。
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