JP2016175777A - クレーン - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で主巻きフック及び補巻きフックの巻き上げ及び巻き下げを行うことができるクレーンを提供する。
【解決手段】クレーン1において、主巻きフック24は、補巻きフック25が第2固定機構27に固定された状態における、ドラム23によるワイヤロープ22の巻取り・操出しにより昇降させることができ、一方、補巻きフック25は、主巻きフック24が第1固定機構27に固定された状態における、ドラム23によるワイヤロープ22の巻取り・操出しにより昇降させることができる。つまり、同一(共通)の1本のワイヤロープ22、及び同一(共通)の1個のドラム23を使用することにより、主巻きフック24及び補巻きフック25を選択的に昇降させることができる。これにより、クレーン1の構成を簡略化して軽量化することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、主巻きフックと補巻きフックとを備えたクレーンに関する。
従来、主巻きフックと補巻きフックとを備えたクレーンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このクレーンは、トラック等の車両に搭載された移動式のクレーンである。クレーンは、作業アタッチメントとしてのジブの先端部近傍からそれぞれ異なるワイヤロープによって支持されて吊り下げられた主巻きフックと補巻きフックとを備えている。また、それぞれのワイヤロープを介して主巻きフック及び補巻きフックの巻き上げ及び巻き下げを行う個別なドラムを備えている。
ここで、主巻きフックのワイヤロープの巻き掛け本数は、補巻きフックのそれよりも多く設定されている。このため、作業に応じて、主巻きフックと補巻きフックとを使い分けるようにしている。例えば、重量物に対しては、主巻きフックを使用して、比較的ゆっくりと昇降させる。一方、軽量物に対しては、補巻きフックを使用して、速い速度で昇降させるようにしている。
特開2008−37535号公報
しかしながら、上述のクレーンは、主巻きフック及び補巻きフックをそれぞれ異なるワイヤロープ及び異なるドラムによって巻き上げ又は巻き下げるため、構成が複雑であるという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で主巻きフック及び補巻きフックの巻き上げ及び巻き下げを行うことができるクレーンを提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、クレーンにおいて、ジブと、前記ジブに沿って配設されるとともに、前記ジブによって支持されたワイヤロープと、前記ワイヤロープの基端側の巻取り・繰出しを行うドラムと、前記ワイヤロープの中間部が複数回巻き掛けられた昇降可能な主巻きフックと、前記ワイヤロープの先端部に固定された昇降可能な補巻きフックと、前記ジブに配設されて前記主巻きフックを固定する第1固定機構と、前記ジブに配設されて前記補巻きフックを固定する第2固定機構と、を備え、前記主巻きフックは、前記補巻きフックが前記第2固定機構に固定された状態における、前記ドラムによる前記ワイヤロープの前記巻取り・操出しにより昇降し、前記補巻きフックは、前記主巻きフックが前記第1固定機構に固定された状態における、前記ドラムによる前記ワイヤロープの前記巻取り・操出しにより昇降する、ことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に係るクレーンにおいて、前記ジブは、伸縮自在に組み合わされた主ジブ及び補助ジブを有し、前記主巻きフック、前記第1固定機構、前記補巻きフック、及び前記第2固定機構は、前記補助ジブに配設されている、ことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1に係るクレーンにおいて、前記ジブは、主ジブと、前記主ジブの先端部によって揺動可能に支持されて前記主ジブに沿って折りたたまれる収納位置と前記主ジブの先端から延びる伸展位置とをとるアーム部材と、を有し、前記主巻きフック及び前記第1固定機構は、前記主ジブの先端部に配設されるとともに、前記補巻きフック及び前記第2固定機構は、前記アーム部材に配設されている、ことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1に係るクレーンにおいて、前記ジブは、伸縮自在に組み合わされた主ジブ及び補助ジブと、前記補助ジブの先端部によって揺動可能に支持されて前記補助ジブに沿って折りたたまれる収納位置と前記補助ジブの先端から延びる伸展位置とをとるアーム部材と、を有し、前記主巻きフック及び前記第1固定機構は、前記補助ジブの先端部に配設されるとともに、前記補巻きフック及び前記第2固定機構は、前記アーム部材に配設されている、ことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に係るクレーンにおいて、前記第1固定機構は、前記ジブによって揺動可能に支持されるとともに、前記ワイヤロープの巻取りによって上昇してきた前記主巻きフックに係合する揺動アームを有する、ことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項5に係るクレーンにおいて、前記第1固定機構は、前記揺動アームに係合された前記主巻きフックと前記揺動アームとに挿通されてこれらを一体化する連結ピンと、前記ワイヤロープのさらなる巻取りにより、一体化された状態で揺動しつつ固定位置に配置された前記揺動アームと前記ジブとに挿通されて前記揺動アームを前記ジブに固定する固定ピンと、を有する、ことを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項5に係るクレーンにおいて、前記第1固定機構は、前記揺動アームに係合されて、前記ワイヤロープのさらなる巻取りにより前記揺動アームにガイドされつつロック位置に配置された前記主巻きフックに係合して前記主巻きフックを前記ロック位置に保持するロック部材、を有する、ことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、クレーンは、ジブ、ワイヤロープ、ドラム、主巻きフック、補巻きフック、第1固定機構、及び第2固定機構を備えており、主巻きフックは、補巻きフックが第2固定機構に固定された状態における、ドラムによるワイヤロープの巻取り・操出しにより昇降させることができ、一方、補巻きフックは、主巻きフックが第1固定機構に固定された状態における、ドラムによるワイヤロープの巻取り・操出しにより昇降させることができる。つまり、同一(共通)の1本のワイヤ、及び同一(共通)の1個のドラムを使用することにより、主巻きフック及び補巻きフックを選択的に昇降させることができる。
これにより、主巻きフック及び補巻きフックをそれぞれ個別のワイヤロープ及びドラムによって昇降させる従来と比較して、クレーンの構成を簡略化して軽量化することができる。この軽量化は、クレーンを例えば、トラック等の車両に搭載する場合に特に有効である。
請求項2の発明によれば、ジブは、伸縮自在に組み合わされた主ジブ及び補助ジブを有し、主巻きフック、第1固定機構、補巻きフック、及び第2固定機構は、補助ジブに配設されている。
これにより、1本のワイヤロープ及び1個のドラムにより、主ジブに対する補助ジブの伸縮(伸長及び短縮)に影響を受けることなく、主巻きフック及び補巻きフックを選択的に昇降させることができる。
請求項3の発明によれば、ジブは、主ジブと、主ジブの先端部によって揺動可能に支持されて主ジブに沿って折りたたまれる収納位置と主ジブの先端から延びる伸展位置とをとるアーム部材とを有し、主巻きフック及び第1固定機構は、主ジブの先端部に配設されるとともに、補巻きフック及び第2固定機構は、アーム部材に配設されている。
これにより、1本のワイヤロープ及び1個のドラムにより、アーム部材が収納位置にある場合には主巻きフックを昇降させることができ、アーム部材が伸展位置にある場合には、主巻きフック及び補巻きフックを選択的に昇降させることができる。
請求項4の発明によれば、ジブは、伸縮自在に組み合わされた主ジブ及び補助ジブと、補助ジブの先端部によって揺動可能に支持されて補助ジブに沿って折りたたまれる収納位置と補助ジブの先端から延びる伸展位置とをとるアーム部材とを有し、主巻きフック及び第1固定機構は、補助ジブの先端部に配設されるとともに、補巻きフック及び第2固定機構は、アーム部材に配設されている。
これにより、1本のワイヤロープ及び1個のドラムにより、アーム部材が収納位置にある場合には主巻きフックを昇降させることができ、アーム部材が伸展位置にある場合には、主巻きフック及び補巻きフックを選択的に昇降させることができる。さらに、いずれも場合も、主ジブに対する補助ジブの伸縮(伸長及び短縮)に影響を受けることなく、主巻きフック又は補巻きフックを昇降させることができる。
請求項5の発明によれば、第1固定機構は、ジブによって揺動可能に支持されるとともに、ワイヤロープの巻取りによって上昇してきた主巻きフックに係合する揺動アームを有している。
これにより、揺動アームに係合する前には、ワイヤロープによって吊られていて姿勢が不安定であった主巻きフックは、揺動アームに係合することにより、姿勢が安定するととものに、その後の動作が揺動アームによってガイドされることになる。

請求項6の発明によれば、第1固定機構は、揺動アームに係合された主巻きフックと揺動アームとに挿通されてこれらを一体化する連結ピンと、ワイヤロープのさらなる巻取りにより、一体化された状態で揺動しつつ固定位置に配置された揺動アームとジブとに挿通されて揺動アームをジブに固定する固定ピンとを有している。
これにより、主巻きフックは、揺動アームに係合されて連結ピンで一体化されることにより、揺動アームに対して高い精度で位置決めされて一体化されることになる。この一体化された状態で、ワイヤロープをさらに巻き取ると、揺動アームは、固定位置に配置される。この固定位置に配置された揺動アームとジブとに固定ピンを挿入することにより、ジブに対して主巻きフックを位置決め固定することができる。
この請求項5の発明によれば、例えば、連結ピン及び固定ピンの挿入動作を人手によって行う必要があるものの、高い精度と確実性をもって、主巻きフックをジブに位置決め固定することができる。
請求項7の発明によれば、第1固定機構は、揺動アームに係合されて、ワイヤロープのさらなる巻取りにより揺動アームにガイドされつつロック位置に配置された主巻きフックに係合して主巻きフックをロック位置に保持するロック部材を有している。
これにより、上昇してきた主巻きフックは、揺動アームに対して係合して一体化された状態での、ワイヤロープのさらなるに巻き取りにより、揺動アームにガイドされて、ロック位置に配置される。このロック位置に配置された主巻きフックは、ロック部材によってロックされてジブに固定される。
以上の請求項7の発明によれば、請求項6の発明と比較して、揺動アームと主巻きフックとの一体化は、係合のみであるため、確実な係合状態を維持することが難しく、その分、揺動アームをジブに固定した際の位置決め精度が劣るおそれがあるものの、人手による連結ピン及び固定ピンの挿入が不要なため、自動化が容易である。
図1〜図6は実施形態1のクレーン1を説明する図であり、このうち図1はクレーン1を搭載したトラック10の右側面図である。 クレーン1が動作中のトラック10の背面図である。 (A)〜(C)は実施形態1のクレーン1の主要部を説明する図であり、このうち(A)はアーム部材40を収納した(折り畳んだ)状態のクレーン1の背面図、(B)はアーム部材40を伸ばした状態のクレーン1の左側面図、(C)は(B)に対応する平面図である。 (A)、(B)は第1固定機構26を説明する図であり、このうち(A)は第1揺動アーム34に対する主巻きフック24の固定を説明する背面図であり、(B)は補助ジブ21Bに対する第1揺動アーム34の固定を説明する左側面図である。 (A)は図4(B)中の第1揺動アーム34近傍の拡大図であり、(B)は図5(A)中のA−A線矢視図である。 (A)、(B)は第2固定機構27を説明する図であり、(A)は図3(B)中のB−B線矢視拡大図であり、(B)は図3(A)の状態から固定ピン58を抜いて補巻きフック25を外した状態を示している。 (A)〜(C)は実施形態2のクレーン2の、主巻きフック24A、第1固定機構26A、補巻きフック25A、及び第2固定機構27Aを説明する図である。 図8〜図10は実施形態3のクレーン3を説明する図であり、このうち図8は図5(A)に相当する図である。 (A)は第1固定機構26Bを説明する図であり、(B)は上連結板66dを説明する図である。 ロック部材70を説明する正面図である。
以下、本発明を適用した実施形態を、図面に基づいて詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同一又は類似の構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
図1〜図6を参照して本発明を適用した実施形態1に係るクレーン1について説明する。なお、以下ではクレーン1が、トラック10に架装(搭載)された車両積載型クレーンである場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。クレーン1は、例えば、トラッククレーン、クローラクレーン等の移動式クレーン、さらには、固定式のクレーンにも適用することが可能である。
まず、図1、図2を参照して、トラック10の概略を説明する。
ここで、図1は、トラック10の右側面図である。また、図2は、クレーン1が動作中のトラック10の背面図である。
トラック10は、前端に配設された運転台(運転室)11、運転台11近傍から後方に延びるフレーム12、フレーム12に取り付けられた車輪13、及び荷台14を備えている。フレーム12における運転台の11の後側、つまり運転台11と荷台14の間には、クレーン1の土台となる強固な基台15が固定されている。
基台15には、左右のアウトリガー16L,16Rが取り付けられている。アウトリガー16L,16Rは、内端が基台15に固定されて左右方向に延びるメインフレーム17L,17Rと、これらメインフレーム17L,17Rに対して油圧により左右方向に伸縮するサブフレーム18L,18R、及びサブフレーム18L,18Rのそれぞれの先端に配設された油圧ジャッキ19L,19Rを有している。
アウトリガー16L,16Rは、クレーン1で物を吊ったりする際に、荷台14の横に張り出して地面Gに接地することにより、トラック10を安定させるものである。
次に、図3〜図6を参照して、クレーン1について詳述する。
ここで、図3(A)〜(C)は、クレーン1の主要部を説明する図であり、このうち(A)はアーム部材40を収納した状態のクレーン1の背面図、(B)はアーム部材40を伸ばした状態のクレーン1の右側面図、(C)は(B)に対応する平面図である。
また、図4(A)、(B)は第1固定機構26を説明する図であり、このうち(A)は第1揺動アーム34に対する主巻きフック24の固定を説明する背面図であり、(B)はジブ21に対する第1揺動アーム34の固定を説明する左側面図である。
また、図5(A)は図4(B)中の第1揺動アーム34近傍の拡大図であり、(B)は図5(A)中のA−A線矢視図である。
また、図6(A)、(B)は第2固定機構27を説明する図であり、(A)は図3(B)中のB−B線矢視拡大図であり、(B)は図3(A)の状態から固定ピン58を抜いて補巻きフック25を外した状態を示している。
クレーン1は、図1〜図3に示すように、ジブ21、ワイヤロープ22、ドラム23、主巻きフック24、補巻きフック25、第1固定機構26、及び第2固定機構27を備えている。
このうちジブ21は、伸縮自在に組み合わされた主ジブ(ブーム)21A及び補助ジブ21Bと、アーム部材40とを有している。主ジブ21Aは、角筒状の長尺の部材である。補助ジブ21Bは、同じく角筒状の長尺部材であり、主ジブ21Aの内側に入れ子状に収納され、また、主ジブ21Aから引き延ばすことが可能である。なお、補助ジブ21Bは、1本でも、また、複数のものが入れ子状に組み合わされたものであってもよい(図7(A)参照)。
図1,図2に示すように、主ジブ21Aの基端部21aは、ジブポスト28の上端近傍によってほぼ上下方向に揺動可能に支持されている。ジブポスト28は、上述のトラック10側の基台15によって回転可能に支持された回転台29に立設されている。この回転台29には、後述するドラム23が取り付けられている。
ジブ21は、基台15に対して回転台29を回転させることにより、ジブポスト28を回転中心とした回転方向の位置を調整することができる。
主ジブ21Aの基端部21a近傍と、ジブポスト28の下部との間には、油圧シリンダ31が配設されている。
主ジブ21Aは、油圧シリンダ31を伸長することにより、地面Gに対する傾斜角度を増加させ、逆に、短縮することにより、傾斜角度を小さくすることができる。なお、主ジブ21Aは、トラック10の走行中は、図1に示すように、地面Gに対する傾斜角度がほぼ0となるホームポジションHPに配置される。
補助ジブ21Bは、トラック10の走行中やクレーン1による作業開始前及び作業終了後には、短縮されて主ジブ21Aの内側に収納されている。一方、補助ジブ21Bは、作業中には、必要に応じて、主ジブ21Aの先端部21bから伸長される。
図3、図4に示す補助ジブ21Bは、伸長された状態を示している。これらの図に示すように、主巻きフック24は、補助ジブ21Bの先端部21bに配設されている。
図4に示すように、補助ジブ21Bの先端部21bの下側には、一対の支持板32が固定されていて、これら支持板32によって4個のシーブ33が軸C1を基準として回転可能に支持されている。4個のシーブ33のうち、支持板32,32間に配設された3個のシーブ33は、ワイヤロープ22を介して主巻きフック24を支持するためのものである。
一方の支持板32(図4(A)中の左側の支持板32)の外側に配置された1個のシーブ33は、ワイヤロープ22の先端側を補巻きフック25に導くためのものである。この1個のシーブ33の外側、及び他方の支持板32(図4(A)中の右側の支持板32)の外側には、一対の第1揺動アーム(揺動アーム)34が配設されている。これら第1揺動アーム34は、縦長の長方形の板状に形成されていて、下端部はほぼ「T」字形に形成されている。
第1揺動アーム34は、上端側が軸C1を基準に揺動可能に支持されている。図5に示すように、第1揺動アーム34の下端部近傍には、後述する連結ピン35が貫通されるピン孔34aが穿設されており、また、下端には、半円状の係合凸部34bが突設され、この係合凸部34bの両端部には、平坦な当接面34dが形成されている。なお、第1揺動アーム34については、後に、第1固定機構26の一部として再度、説明する。
主巻きフック24は、図4に示すように、フックブロック36、3個のシーブ37、及びフック38を有している。
このうちフックブロック36は、図4に示すように、左右一対の側板36f、これら左右の側板36fの上部を連結する上連結板36d、及び左右の側板36fの下部を連結する下連結板36aを有している。上連結板36dの左右の両端には、それぞれ上述の第1揺動アーム34の係合凸部34bが係脱可能な係合凹部36e(図5参照)が形成されている。また、左右の側板36fのそれぞれの上端からガイド板36bが突設されている。これらガイド板36bには、連結ピン35が挿通されるピン孔36cが穿設されている。
3個のシーブ37は、フックブロック36の左右の側板36fによって、軸C2を基準として回転可能に支持されている。これら3個のシーブ37は、上述の補助ジブ21B側のシーブ33に対応している。
フック38は、フックブロック36の下連結板36aによって、上下方向の軸C3を基準として、回転可能に支持されている。なお、フック38の先端は、図4(A)では、右方を向き、図4(B)では前方を向いている。
つづいて、補巻きフック25について説明する。
補巻きフック25は、図2、図3に示すように、アーム部材40の先端に配設されている。
ここで、アーム部材40は、図3(A)に示すように、基端部に「門」字形の揺動ベース41を有しており、この揺動ベース41の左右の両端部には上下方向に貫通された円柱状のピン受け部材42a,42bが固定されている。揺動ベース41からは先端に向かって2枚の長板部材43が延び、さらにこれら長板部材43の先端部に挟まれるようにして、別の長板部材44が延びている。この長板部材44と上述の揺動ベース41との間には、薄板状の補強部材45が渡されている。
アーム部材40は、補助ジブ21Bの先端部21bに突設された上下一対の長板状の支持板21cによって伸展位置P1(図3(B)、(C)中の実線参照)と収納位置P2(図3(A)中の実線、及び図3(B)、(C)中の二点鎖線参照)との間を揺動可能に支持されている。これら支持板21cは、伸展位置P1に配置された状態のアーム部材40の揺動ベース41を上下から挟み込む位置に配置されている。支持板21cの両端には、上下方向にピン孔21dが貫通されている。
アーム部材40は、その揺動ベース41を、補助ジブ21B側の上下の支持板21cに合わせ、上下の支持板21cのピン孔21d、及びピン受け部材42a,42bにピン46a,46bを貫通させることで、伸展位置P1に配置することができる。
一方、アーム部材40は、ピン46bを一旦、引き抜いた後、他方のピン46aを基準としてほぼ180度回転させて、補助ジブ21Bにほぼ沿わせることで、収納位置P2に折り畳むことができる。なお、収納位置P2に配置したアーム部材40は、固定部材(不図示)によって補助ジブ21Bに固定される。
図3に示すように、補巻きフック25は、上述のアーム部材40の先端部40aに配設されている。
アーム部材40の先端部40aの下側には、一対の支持板47が固定されていて、これら支持板47によってシーブ48が回転可能に支持されている。補巻きフック25は、このシーブ48に掛けられたワイヤロープ22の先端部22aに取り付けられている。
補巻きフック25は、フックブロック50、連結部材51、及びフック52を有している。連結部材51は、上部に、ワイヤロープ22の先端部22aが固定されている。また、連結部材51の下部は、円筒状の連結ピン53を介して、フックブロック50の上部に揺動可能に連結されている。なお、この円筒状の連結ピン53の内側には、後述する固定ピン58が挿入される。フック52は、フックブロック50と一体に構成されている。
上述構成の主巻きフック24、及び補巻きフック25は、1本のワイヤロープ22、及び1個のドラム23によって昇降させることができるようになっている。
ドラム23は、図1、図2に示すように、回転台29に搭載されていて、回転台29の回転動作に伴って一体的に回転する。ドラム23は、モータ、伝達機構、制御装置(いずれも不図示)によって、正逆回転が制御される。ドラム23は、次に説明するワイヤロープ22の基端部(基端側)22cの巻取り・操出しを行う。
ワイヤロープ22は、基端部(基端側)22cがドラム23に巻き付けられ、中間部22bが補助ジブ21Bに沿って配設されて主巻きフック24に複数回巻き掛けられ、そして、先端部22aが補巻きフック25に固定されている。
上述構成のクレーン1は、1個のドラム23、及び1本のワイヤロープ22によって、主巻きフック24、及び補巻きフック25の昇降を行う。補巻きフック25を昇降させて作業を行う場合には、使用しない方の主巻きフック24は固定する。また、逆に、主巻きフック24を昇降させて作業を行う場合には、使用しない方の補巻きフック25は固定する。このように、主巻きフック24と補巻きフック25のうちの、使用しない一方を固定することにより、1個のドラム23及び1本のワイヤロープ22を使用しての主巻きフック24及び補巻きフック25の選択的な昇降を可能としている。
主巻きフック24は、第1固定機構26で固定し、また、補巻きフック25は第2固定機構27によって固定する。
まず、第1固定機構26について説明する。
第1固定機構26は、図4、図5に示す第1揺動アーム34、連結ピン35、保持板54、及び固定ピン55を有している。これらは左右一対の第1揺動アーム34に対応して、補助ジブ21Bの左側と右側とに設けられている。なお、図5(A)では、右側の第1揺動アーム34等を示している。このうち、第1揺動アーム34は、上述のように、補助ジブ21Bの先端部21bの下側に固定された支持板32によって軸C1を基準として揺動可能に支持されている。この第1揺動アーム34には、図5に示すように、ほぼ中央に、後述する固定ピン55が挿脱されるピン孔34cが穿設されている。第1揺動アーム34は、主巻きフック24を固定しない場合、つまり主巻きフック24を昇降させて作業を行う場合には、鉛直下方を向いた受入れ位置(係合位置)P3(図5(A)中の二点鎖線参照)に配置されている。一方、主巻きフック24を固定する場合には、受入れ位置P3に対してほぼ90度回転された固定位置P4(図5(A)中の実線参照)に配置される。
支持板32には、縦長の長方形状の保持板54が台座56を介して固定されている。保持板54には、第1揺動アーム34のピン孔34cよりも大径のピン孔54aが穿設されている。固定ピン55は、先端側に、第1揺動アーム34のピン孔34cに挿脱される小径部55aを有し、基端側に、保持板54のピン孔54aに挿脱される大径部55bを有している。固定ピン55は、ばね等の付勢部材(不図示)により、支持板32に向けて付勢された状態で、保持板54に取り付けられている。
上述構成の第1固定機構26は、主巻きフック24を第1段階と第2段階とに分けて、補助ジブ21Bを確実に固定することができる。
第1段階は、主巻きフック24を第1揺動アーム34に連結する工程である。ワイヤロープ22をドラム23で巻取り、図4(A)に示すように、主巻きフック24を上昇させる。図5(A)に示すように、フックブロック36の上連結板d36の係合凹部36eに第1揺動アーム34の係合凸部34bを挿入させ、上連結板36dを第1揺動アーム34の当接面34dに当接させる。これにより、第1揺動アーム34に対して主巻きフック24を位置決めして、第1揺動アーム34のピン孔34aとフックブロック36のピン孔36cとを合わせることができる。これらピン孔34a,36cに連結ピン35を挿入する。これにより、第1揺動アーム34に対する主巻きフック24の連結、つまり第1段階が終了する。これにより、第1揺動アーム34によって、主巻きフック24の重量が支えられることになる。
つづいて、第2段階、すなわち保持板54に対する第1揺動アーム34の固定(位置決めを行う。図5に示すように、固定ピン55を把持して手前側に引き、第1揺動アーム34を主巻きフック24とともにほぼ90度回転させて支持板32と保持板54との間に入れ込む。第1揺動アーム34のピン孔34cを保持板54のピン孔54a合わせて、把持していた固定ピン55を離して、小径部55aをピン孔34cに挿入し、また、大径部55bをピン孔54aに挿入する。
これにより、保持板54に対する第1揺動アーム34の固定、すなわち補助ジブ21Bに対する主巻きフック24の固定が完了して、補助ジブ21Bに対して主巻きフック24を固定することができる。
なお、この第2段階の動作は、ワイヤロープ22をドラム23で巻き取ることにより、シーブ33が回転され、この回転によって、第1揺動アーム34と主巻きフック24とを一体で、ほぼ90度回転させることができる。第1揺動アーム34は、受入れ位置P3から固定位置P4に移動することになる。
このように、第1固定機構26に対する主巻きフック24の固定を、それぞれ単純な2段階、すなわち主巻きフック24の重量を支える第1段階と、位置決めを行う第2段階とに分けることにより、全体として確実に高い精度で行うことができる。
第2段階が終了して、主巻きフック24が固定された状態においては、ワイヤロープ22の中間部22bは、固定状態の主巻きフック24に単に巻き掛けられているに過ぎない。このため、補巻きフック25は、主巻きフック24がない場合とほぼ同様にして、ドラム23によるワイヤロープ22の基端部22cの巻取りにより上昇し、操出しにより下降させることができる。
なお、第1段階が終了した時点では、主巻きフック24は、第1揺動アーム34と一体となり、軸C1を中心として揺動可能となるが、昇降させることはできない。このため、主巻きフック24は、他のワイヤロープ(不図示)を使用して、荷物等を吊り下げることはできる。また、この状態では、補巻きフック25を昇降させることは可能である。
このため、例えば、主巻きフック24によって荷物の一方の端部をほぼ同じ高さに吊った状態で、荷物の他方の端部を補巻きフック25によって昇降させる、といった作業が可能となる。
次に、図3、図6を参照して、第2固定機構27について説明する。
第2固定機構27は、一対の保持部材57、上述の連結ピン53、及び固定ピン58を有している。一対の保持部材57は、図3(B)、図6(A)に示すように、相互に対向する板状の部材であり、アーム部材40の基端部40bの下面側から下方に向けて突設されている。保持部材57の下端側には、固定ピン58が挿脱されるピン孔57aが穿設されている。連結ピン53は、上述のように、補巻きフック25の一部を構成する円筒状の部材であり、フックブロック50と連結部材51とを貫通して、これらを揺動可能に連結している。
上述構成の第2固定機構27は、補巻きフック25を把持して持ち上げ、その連結ピン53を2枚の保持部材57の間に挿入して連結ピン53をピン孔57aに位置合わせし、その後、保持部材57のピン孔57a及び連結ピン53の内側に固定ピン58を挿入することにより、補巻きフック25をアーム部材40に固定することができる。つまり、補巻きフック25を、補助ジブ21Bに対しアーム部材40を介して固定とすることができる。なお、挿入後の固定ピン58は、その透孔58aに割りピン(不図示)を挿入することで抜け止めとすることができる。
この補巻きフック25が第2固定機構27固定された状態においては、ワイヤロープ22の先端部22aは、補助ジブ21Bに対して固定されていることになる。このため、主巻きフック24は、補巻きフック25がない場合とほぼ同様にして、ドラム23によるワイヤロープ22の基端部22cの巻取りにより上昇し、操出しにより下降させることができる。
ここで、以上説明したクレーン1の作用、効果について整理する。
・クレーン1は、上述のジブ21、ワイヤロープ22、ドラム23、主巻きフック24、補巻きフック25、第1固定機構26、及び第2固定機構27を備えており、主巻きフック24は、補巻きフック25が第2固定機構27に固定された状態における、ドラム23によるワイヤロープ22の巻取り・操出しにより昇降させることができ、一方、補巻きフック25は、主巻きフック24が第1固定機構26に固定された状態における、ドラム23によるワイヤロープ22の巻取り・操出しにより昇降させることができる。つまり、同一(共通)の1本のワイヤロープ22、及び同一(共通)の1個のドラム23を使用することにより、主巻きフック24及び補巻きフック25を選択的に昇降させることができる。
これにより、主巻きフック及び補巻きフックをそれぞれ個別のワイヤロープ及びドラムによって昇降させる従来と比較して、クレーン1の構成を簡略化して軽量化を図ることができる。この軽量化は、クレーンを例えば、トラック10等の車両に搭載する場合に特に有効である。
・ジブ21は、伸縮自在に組み合わされた主ジブ21A及び補助ジブ21Bと、補助ジブ21Bの先端部によって揺動可能に支持されて補助ジブ21Bに沿って折り畳まれる収納位置P2と補助ジブ21Bの先端から延びる伸展位置P1とをとるアーム部材40とを有し、主巻きフック24及び第1固定機構26は、補助ジブ21Bの先端部に配設されるとともに、補巻きフック25及び第2固定機構27は、アーム部材40に配設されている。
これにより、1本のワイヤロープ22及び1個のドラム23により、アーム部材40が収納位置P2にある場合には主巻きフック24を昇降させることができ、アーム部材40が伸展位置P1にある場合には、主巻きフック24及び補巻きフック25を選択的に昇降させることができる。さらに、いずれの場合も、主ジブ21Aに対する補助ジブ21Bの伸縮(伸長及び短縮)に影響を受けることなく、主巻きフック24又は補巻きフック25を昇降させることができる。
<実施形態2>
図7を参照して、本発明を適用した実施形態2に係るクレーン2について説明する。
上述の実施形態1のクレーン1は、アーム部材40を有していたが、本実施形態2のクレーン2は、アーム部材40を有していない。すなわち、ジブ21は、入れ子状に組み合わされて伸縮自在な主ジブ(ブーム)21Aと複数の補助ジブ21Bとによって構成されている。なお、補助ジブ21Bは、複数に限らず1つであってもよい。
複数の補助ジブ21Bのうち、短縮時に最も内側に入り込む補助ジブ21B(伸長時に最も先端に位置する補助ジブ21B)には、主巻きフック24A、第1固定機構26A、補巻きフック25A、及び第2固定機構27Aが配設されている。
このうち、主巻きフック24A及び第1固定機構26Aは、実施形態1の主巻きフック24及び第1固定機構26と同様な構成であるので説明は省略する。
これに対し、補巻きフック25A及び第2固定機構27Aは、実施形態1の補巻きフック25及び第2固定機構27とは、構成が異なる。
補巻きフック25Aは、ほぼ円柱状のフックブロック50Aとその下端に設けられたフック52Aとを有している。フックブロック50Aの上部にはフランジ状の係合凸部50aが全周にわたって突設されている。
一方、第2固定機構27Aは、補助ジブ21Bの先端に突設されたブラケット27a、ガイドプーリ27b、フック受け部27c、及びラッチ27dを有している。ガイドプーリ27bは、ブラケット27aによって回転自在に支持されていて、主巻きフック24A側から延びるワイヤロープ22が掛け回されている。フック受け部27cは、下側が開口したカップ状に形成されていて、ブラケット27aに固定されている。フック受け部27cの天井部の中心には、ワイヤロープ22が貫通する透孔hが穿設されている。また、フック受け部27cには、これを周方向に4等分する位置のそれぞれに切欠(不図示)が形成されていて、各切欠にはラッチ27dが配設されている。各ラッチ27dは、支点27eを基準に揺動可能に配設されている。ラッチ27dは、支点27eよりも上側の部分がばね部材27fによって外側に付勢されることにより、下端内側の爪部27gが内側に向けて付勢されている。
上述構成の第2固定機構27Aは、ワイヤロープ22を介して補巻きフック25Aが引き上げられてフックブロック50Aの上端部がフック受け部27cに進入すると、係合凸部50aが爪部27gを外側に退避させる。そして、爪部27gは、係合凸部50aが通過すると元の位置に復帰して、係合凸部50aに係合する。
これにより、補巻きフック25Aは、第2固定機構27Aに固定される。この補巻きフック25Aの固定状態においては、主巻きフック24Aの昇降が可能となる。
なお、補巻きフック25Aを使用する際には、各ラッチ27dの上端側を内側に押すことにより、係合凸部50aに対するラッチ27dの係合が解除される。これにより、補巻きフック25Aは、第2固定機構27Aから解放されて、昇降動作が可能となる。
ここで、以上説明したクレーン2の作用、効果について整理する。
・クレーン2において、ジブ21は、伸縮自在に組み合わされた主ジブ21A及び補助ジブ21Bを有し、主巻きフック24A、第1固定機構26A、補巻きフック25A、及び第2固定機構27Aは、補助ジブ21Bに配設されている。
これにより、1本のワイヤロープ22及び1個のドラム23により、主ジブ21Aに対する補助ジブ21Bの伸縮(伸長及び短縮)に影響を受けることなく、主巻きフック24A及び補巻きフック25Aを選択的に昇降させることができる。
<実施形態3>
図8〜図10を参照して、本発明を適用した実施形態3に係るクレーン3について説明する。このうち、図8は、図5(A)に相当する図である。つまり、第2揺動アーム(揺動アーム)64近傍の拡大図である。また、図9(A)は、第1固定機構26Bを説明する図であり、(B)は上連結板66dを説明する平面図である。なお。図9(A)中では、(B)に示すガイド板36bの図示は省略している。また、図9(A)中に斜線で示す上連結板66dは、(B)中のC−C線矢視図で示している。また、図10は、ロック部材70を説明する正面図(図9中の矢印D方向から見た図)である。
本実施形態のクレーン3は、第1固定機構26Bが、上述の実施形態1の第1固定機構26とは異なる。これ以外の構成については、実施形態1とほぼ同様なので説明は省略する。
第1固定機構26Bは、図8〜図10に示すように、第2揺動アーム64と、ロック部材70とを備えている。
第2揺動アーム64は、実施形態1の第1揺動アーム34(図5参照)と同形である。すなわち、第2揺動アーム64は、縦長の板状に形成されるとともに、先端(下端)に半円状の係合凸部64bを有し、その両端には、平坦部64dが形成されている。第2揺動アーム64は、実施形態1の第1揺動アーム34のピン孔34a,34cに相当するピン孔がない。
第2揺動アーム64は、基端側の軸C1を基準として、ジブ21(図9参照)に固定された支持板62によって揺動可能に支持されていて、係合凸部64bを下方に向けた受入れ位置P3と、係合凸部64bを前方に向けた固定位置P4との間を揺動可能である。
第2揺動アーム64は、係合凸部64bが、主巻きフック24Bの一部(係合凹部66e)に係脱される。
主巻きフック24Bは、フックブロック66、シーブ37、及びフック38を備えている。このうちフックブロック66は、上連結板66dを除いた部分、すなわち左右一対の側板36f、ガイド板36b、及び下連結板(不図示)は、実施形態1のフックブロック36と同様である。また、シーブ37及びフック38も同様である。
上連結板66dは、長方形の板状に形成されていて、左右の側板36fの上端を連結している。上連結板66dの左右の両端には、それぞれ前後方向に長い係合凹部36eが形成されている。これは、実施形態1の係合凹部36eと同様である。
上連結板66dには、実施形態1の上連結板36dにはない、フック係合孔66gが前後方向に長く穿設されている。このフック係合孔66gには、後述するロックフック73が係合される。
ロック部材70は、図9、図10に示すように、円柱状の回転軸71、この回転軸71の右端近傍から上側斜め前方に延びるレバー72、回転軸71の左端近傍から下側斜め前方の延びるロックフック73、及びロックフック73の右側に形成されたガイドプーリ74を有している。これら回転軸71、レバー72、ロックフック73、及びガイドプーリ74は、一体に構成されている。このうち、レバー72とロックフック73とは、図9に示すように、側面視においてほぼ90度の角度をもって配設されている。
ロック部材70は、軸受部材80によって揺動可能に支持されている。軸受部材80は、ジブ21から前方に延びるステー81、ステー81に固定された円筒状の軸受82、軸受82に固定されたアーム83、アーム83から左に延びる軸84、及び軸84によって回転自在に支持された押えプーリ85を有している。上述のステー81〜軸84は一体に構成されている。押えプーリ85と上述のガイドプーリ74との間で、ワイヤロープ22の一部をガイドしている。軸受82の右側の周端縁には、凹状ガイド82a、頂部82b、及び傾斜ガイド82cが形成されている。なお、凹状ガイド82aは、周方向に沿って長く形成されている。
軸受部材80側のステー81と、ロック部材70側の回転軸71の右端面71aとの間には、圧縮ばね86が配設されている。これにより、ロック部材70全体が左方に向けて付勢されている。
図9、図10に示すロック部材70は、ロックフック73が主巻きフック24B側の上連結板66dのフック係合孔66gに係合されて、主巻きフック24Bをロック位置P5(図9(A)参照)に保持(位置決め固定)している状態を示す。この状態では、レバー72は、図10に示すように、左方に付勢された状態で、凹状ガイド82aに位置している。
ロックフック73によってロックを解除するには、まず、ドラム23によってワイヤロープ22をわずかに巻き取って主巻きフック24Bの上連結板66dをわずかに上昇させた後、レバー72を図9(A)中の矢印r1方向に回転させる。これにより、上連結板66dに対するロックフック73の係合が解除される。
つづいて、ドラム23によってワイヤロープ22を繰り出すことにより、主巻きフック24Bは、第2揺動アーム64とともに、矢印r2方向に回転し、さらに、ワイヤロープ22を繰り出すと、第2揺動アーム64から離れて下降する。
主巻きフック24Bが第2揺動アーム64から離れたことを確認したら、ドラム23を一旦止めて、主巻きフック24Bを停止させる。
レバー72を手で図10中の右方に引きながら矢印矢印r4方向に回転させ、レバー72が頂部82bを超えたら少しr4方向に回転させる(M2参照)。その後、レバー72から手を離すと、ロック部材70全体が圧縮ばね86によって左方に付勢されているため、レバー72は、傾斜ガイド82cに沿って図10中の下方に移動する(M3参照)。これにより、ロックフック73は、図9に示す傾斜よりもさらに急な傾斜となる。
以上で、ロック解除が完了し、主巻きフック24Bを使用しての作業が可能となる。
次に、作業が終了して、主巻きフック24Bをロックする手順を説明する。
ドラム23により、ワイヤロープ22を巻き取っていくと、主巻きフック24Bが上昇し、受入れ位置P3にある第2揺動アーム64の係合凸部64bが、主巻きフック24B側のガイド板36bにガイドされつつ、係合凹部36eに係合する。これにより、主巻きフック24Bと第2揺動アーム64とが一体となる。
さらに、ドラム23によるワイヤロープ22の巻取りを続けると、主巻きフック24Bは、第2揺動アーム64にガイドされて、軸C1を基準とした円軌道で矢印r3方向に回転する。
主巻きフック24Bがロック位置P5に近づくと、主巻きフック24B側の上連結板66dがロックフック73を徐々に押し上げていく。ロックフック73は、急だった傾斜角度が徐々に緩くなり、その後、フック係合孔66gに係合する。ロックフック73の傾斜角度が緩くなっていくのに伴って、傾斜ガイド82cに沿って進んでいたレバー72は、フック係合孔66gに対するロックフック73の係合により、頂部82bを超えて、凹状ガイド82aに移動する。
以上のように、主巻きフック24Bのロックは、ドラム23によるワイヤロープ22の巻取りによって自動的に行うことができ、ロック後は、作業者による積極的なロック解除動作を行わない限り、ロック解除は行われない。
1 実施形態1のクレーン
2 実施形態2のクレーン
10 トラック
21 ジブ
21A 主ジブ
21B 補助ジブ
22 ワイヤロープ
22a ワイヤロープの先端部(先端側)
22b ワイヤロープの中間部
22c ワイヤロープの基端部(基端側)
23 ドラム
24,24A,24B 主巻きフック
25,25A 補巻きフック
26,26A,26B 第1固定機構
27,27A 第2固定機構
34 第1揺動アーム(揺動アーム)
35 連結ピン
40 アーム部材
40a アーム部材の先端部(先端側)
40b アーム部材の基端部(基端側)
55 固定ピン
64 第2揺動アーム(揺動アーム)
70 ロック部材
P1 伸展位置
P2 収納位置
P3 受入れ位置(係合位置)
P4 固定位置
P5 ロック位置

Claims (7)

  1. ジブと、
    前記ジブに沿って配設されるとともに、前記ジブによって支持されたワイヤロープと、
    前記ワイヤロープの基端側の巻取り・繰出しを行うドラムと、
    前記ワイヤロープの中間部が複数回巻き掛けられた昇降可能な主巻きフックと、
    前記ワイヤロープの先端部に固定された昇降可能な補巻きフックと、
    前記ジブに配設されて前記主巻きフックを固定する第1固定機構と、
    前記ジブに配設されて前記補巻きフックを固定する第2固定機構と、を備え、
    前記主巻きフックは、前記補巻きフックが前記第2固定機構に固定された状態における、前記ドラムによる前記ワイヤロープの前記巻取り・操出しにより昇降し、
    前記補巻きフックは、前記主巻きフックが前記第1固定機構に固定された状態における、前記ドラムによる前記ワイヤロープの前記巻取り・操出しにより昇降する、
    ことを特徴とするクレーン。
  2. 前記ジブは、伸縮自在に組み合わされた主ジブ及び補助ジブを有し、
    前記主巻きフック、前記第1固定機構、前記補巻きフック、及び前記第2固定機構は、前記補助ジブに配設されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
  3. 前記ジブは、主ジブと、前記主ジブの先端部によって揺動可能に支持されて前記主ジブに沿って折りたたまれる収納位置と前記主ジブの先端から延びる伸展位置とをとるアーム部材と、を有し、
    前記主巻きフック及び前記第1固定機構は、前記主ジブの先端部に配設されるとともに、前記補巻きフック及び前記第2固定機構は、前記アーム部材に配設されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
  4. 前記ジブは、伸縮自在に組み合わされた主ジブ及び補助ジブと、前記補助ジブの先端部によって揺動可能に支持されて前記補助ジブに沿って折りたたまれる収納位置と前記補助ジブの先端から延びる伸展位置とをとるアーム部材と、を有し、
    前記主巻きフック及び前記第1固定機構は、前記補助ジブの先端部に配設されるとともに、前記補巻きフック及び前記第2固定機構は、前記アーム部材に配設されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
  5. 前記第1固定機構は、
    前記ジブによって揺動可能に支持されるとともに、前記ワイヤロープの巻取りによって上昇してきた前記主巻きフックに係合する揺動アームを有する、
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のクレーン。
  6. 前記第1固定機構は、
    前記揺動アームに係合された前記主巻きフックと前記揺動アームとに挿通されてこれらを一体化する連結ピンと、
    前記ワイヤロープのさらなる巻取りにより、一体化された状態で揺動しつつ固定位置に配置された前記揺動アームと前記ジブとに挿通されて前記揺動アームを前記ジブに固定する固定ピンと、を有する、
    ことを特徴とする請求項5に記載のクレーン。
  7. 前記第1固定機構は、
    前記揺動アームに係合されて、前記ワイヤロープのさらなる巻取りにより前記揺動アームにガイドされつつロック位置に配置された前記主巻きフックに係合して前記主巻きフックを前記ロック位置に保持するロック部材、を有する、
    ことを特徴とする請求項5に記載のクレーン。

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