JP2016175246A - 液体吐出ヘッド及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】チャネル間の高剛性化、高密度化を可能とし、接着接合部において振動板側に接着剤が流れ出すことを抑制し、接着接合の信頼性を確保できる液体吐出ヘッド。【解決手段】ノズルを有するノズル基板と、該ノズル基板と接合され、前記ノズルに連通する液室を有する液室基板と、該液室基板と接合し、前記液室内の液体を加圧する電気−機械変換素子を有するアクチュエータ基板と、前記アクチュエータ基板における前記液室基板とは反対側の面で前記電気−機械変換素子が形成されていない領域に設けられた被接合部(30,40)と接合されてなる保持基板12と、を備え、保持基板12に設けられた隔壁部13と前記被接合部とが接着剤により接合され、隔壁部13の側面は、凹凸状の溝形状が形成され、前記隔壁部における一方の側面に形成された凹凸状のパターンと、他方の側面に形成された凹凸状のパターンが半周期分ずれることにより、前記隔壁部の幅を一定とする。【選択図】図5

Description

本発明は、液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置あるいは画像形成装置に使用されるインクジェット記録装置や液体吐出ヘッドは、インク滴を吐出するノズル、このノズルが連通する加圧室(インク流路、加圧液室、圧力室、吐出室、液室等とも称される)、加圧室内のインクを加圧する圧電素子などの電気−機械変換素子等を備えていることが知られている。そして、エネルギー発生手段で発生したエネルギーで加圧室内インクを加圧することによってノズルからインク滴が吐出される。
液体吐出ヘッドの一つとして、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものが知られている。例えば、振動板の表面全体にわたって成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室に独立するように圧電素子を形成したものが知られている。
また、たわみ振動モードのアクチュエータに使用される圧電素子は、例えば、共通電極である下部電極と、下部電極上に形成されたPZT膜(圧電体層)と、PZT膜上に形成された個別電極である上部電極とで構成される。さらに、上部電極上には層間絶縁膜が形成されて下部電極と上部電極との絶縁が図られ、この層間絶縁膜に開口されたコンタクトホールを介して上部電極に電気的に接続される配線が設けられた構造が知られている。
このような液体吐出ヘッドにおいて、例えば特許文献1では、圧電素子を外部環境から保護すること及びインクジェットヘッドにおけるインク流路との干渉を防止することを目的として、サブフレーム基板を接着剤により接合する構造が提案されている。
しかしながら、サブフレーム基板を接着剤により接合するにあたり、接着剤が振動板側に流れ出してしまい、振動板側に接着剤が流れ出すと振動板の変位特性ばらつきが発生してしまうという問題があった。
これに対し、特許文献2では、接着剤の逃げをサブフレームの周囲に設ける構造が提案されている。
ここで、特許文献2におけるアクチュエータは隣接して複数個形成されているが、個々のアクチュエータの吐出力及び吐出周波数を高くするために、アクチュエータ間の剛性を高める必要が生じ、隣接するアクチュエータ間(チャネル(ch)間とも称される)もサブフレームと接着接合することが必要となってきた。
そのため、サブフレームとの接合に対して、特許文献2と同様にサブフレームの周囲に逃げ部を設けようとすると、チャネル間のピッチが広くなってしまい、高密度化が阻害されるという問題が生じてしまう。
これに対し、特許文献3では、隣接チャネル間においてもサブフレームの隔壁とアクチュエータ基板とを接着接合する構成において、アクチュエータ基板は、サブフレームと接合される箇所の側面に複数の段差を有する凸形状を備えていることが開示されている。これにより、振動板側への接着剤の流れ出しを抑制することが提案されている。
しかしながら、この構成においてもアクチュエータ基板へ接着剤流れ出しをせき止めるダムの機能として凸部を設ける必要があり、高密度化の阻害要因となっている。
また、特許文献4では、圧電素子基板(アクチュエータ基板)の保持基板(サブフレーム)が接合される箇所と、圧電素子が積層された領域との間に突起部を設けることが開示されている。これにより、接合部から余剰接着剤がはみ出すことを抑制する試みがなされており、また高密度化に対しても阻害要因はないと考えられる。
しかしながら、接着剤が供給される量がばらついてしまうことを十分に抑えることはできず、この接着剤の供給量のばらつきに起因して振動板側に接着剤が流れ出すのを防止すること及び接着接合を確実にすることを両立できる技術が望まれている。
また、特許文献5では、接着剤流れ出し量及び接着剤のヤング率を制御することで特性を確保することが提案されている。
しかしながら、この特性の範囲内においても、振動板の剛性のばらつきが発生し、吐出特性のばらつきを発生させてしまう。
また、特許文献6では、サブフレームに凹凸形状を設けて接着剤流れ出し量を制御することが提案されている。
しかしながら、サブフレームの隔壁幅が異なることで特許文献6の特性の範囲内においても、振動板の剛性のばらつきが発生し、吐出特性のばらつきを発生させてしまう。
以上のように、チャネル間の高剛性化、高密度化を可能とし、接着接合部において振動板側に接着剤が流れ出すことを抑制し、接着接合の信頼性を確保することができる技術が望まれていた。
そこで、本発明は上記課題を鑑み、チャネル間の高剛性化、高密度化を可能とし、接着接合部において振動板側に接着剤が流れ出すことを抑制し、接着接合の信頼性を確保することができる液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、液体を吐出するノズルを有するノズル基板と、該ノズル基板と接合され、前記ノズルに連通する液室を有する液室基板と、該液室基板と接合し、前記液室内の液体を加圧する圧力を発生させるための電気−機械変換素子を有するアクチュエータ基板と、前記アクチュエータ基板における前記液室基板とは反対側の面で前記電気−機械変換素子が形成されていない領域に設けられた被接合部と接合されてなる保持基板と、を備える液体吐出ヘッドであって、前記保持基板に設けられた隔壁部と前記被接合部とが接着剤により接合され、前記隔壁部の側面は、凹凸状の溝形状が形成され、前記隔壁部における一方の側面に形成された凹凸状のパターンと、他方の側面に形成された凹凸状のパターンが半周期分ずれていることにより、前記隔壁部の幅が一定であることを特徴とする。
本発明によれば、チャネル間の高剛性化、高密度化を可能とし、接着接合部において振動板側に接着剤が流れ出すことを抑制し、接着接合の信頼性を確保することができる液体吐出ヘッドを提供することができる。
液体吐出ヘッドの一例における要部断面模式図である。 液体吐出ヘッドの一例における全体構成断面を示す模式図である。 従来例におけるサブフレームとアクチュエータ基板の接合部分の拡大模式図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの一例におけるサブフレームの平面図である。 本発明の一例におけるサブフレームとアクチュエータ基板の接合部分の拡大模式図である。 本発明の他の例におけるサブフレームとアクチュエータ基板の接合部分の拡大模式図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの他の例におけるサブフレームの平面図(A)及び断面図(B)である。 電気−機械変換素子の構成の一例を示す模式図である。 電気−機械変換素子の構成の他の例を示す断面の模式図(A)及び平面の模式図(B)である。 本発明に係る画像形成装置の一例を示す模式図である。 本発明に係る画像形成装置の他の例を示す模式図である。
以下、本発明に係る液体吐出ヘッド及び画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明は、液体を吐出するノズルを有するノズル基板と、該ノズル基板と接合され、前記ノズルに連通する液室を有する液室基板と、該液室基板と接合し、前記液室内の液体を加圧する圧力を発生させるための電気−機械変換素子を有するアクチュエータ基板と、前記アクチュエータ基板における前記液室基板とは反対側の面で前記電気−機械変換素子が形成されていない領域に設けられた被接合部と接合されてなる保持基板と、を備える液体吐出ヘッドであって、前記保持基板に設けられた隔壁部と前記被接合部とが接着剤により接合され、前記隔壁部の側面は、凹凸状の溝形状が形成され、前記隔壁部における一方の側面に形成された凹凸状のパターンと、他方の側面に形成された凹凸状のパターンが半周期分ずれていることにより、前記隔壁部の幅が一定であることを特徴とする。
本発明によれば、チャネル間の高剛性化、高密度化を可能とし、接着接合部において振動板側に接着剤が流れ出すことを抑制し、接着接合の信頼性を確保することができる。また、供給する接着剤の供給量の幅が広くても接着剤が振動板側に流れ出すことを抑制でき、接合プロセス余裕度を確保することができる。
(液体吐出ヘッド)
まず、液体吐出ヘッドの一例について図面を参照しながら説明する。
図1に液体吐出ヘッドの一例における要部断面模式図を示す。図1には、ノズル板11、加圧室17、ノズル18、流路隔壁26、振動板20、第1の電極23(下部電極とも称することがある)、電気−機械変換膜21、第2の電極22(上部電極とも称することがある)が図示されている。各構成の詳細は後述するが、振動板20により加圧室17に圧力が加えられ、液滴(インク滴)がノズル18から吐出される。
図2に液体吐出ヘッドの一例における全体構成断面を示す。
以下、振動板20、第1の電極23、電気−機械変換膜21、第2の電極22を少なくとも有する部分を「アクチュエータ基板」と称し、第1の電極23、電気−機械変換膜21、第2の電極22を「電気−機械変換素子」と称し、流路隔壁26を構成する部分を「液室基板」と称する。また、以下、サブフレームとあるのは「保持基板」を意味するものである。
図2には、図1で示される液体吐出ヘッドが隣接したものが図示されており、図2に示される液体吐出ヘッドは、サブフレーム12、アクチュエータ基板、液室基板、ノズル基板11を有している。サブフレーム12は、加圧室17を形成する液室基板と接着剤10により接着接合されており、アクチュエータが変動する領域を確保するための空隙14が図示されている。
また、以下、1つの加圧室17、ノズル18、電気−機械変換素子(第1の電極23、電気−機械変換膜21、第2の電極22)の単位をチャネル(ch)と称する。
図2に示されるように、アクチュエータ基板の剛性を高めるため、隣接するチャネル間にも隔壁を設けるようにしてサブフレーム12とアクチュエータ基板が接合されている。これにより、チャネル間の剛性を高めることができる。このように剛性を高めることにより、駆動時の相互干渉を抑えることができる。また、接着剤10の逃げ部を設ける構成でないため、高密度化も可能である。
次に、図2における符号(a)の部分について、拡大模式図を参照しながら説明する。
図3に、従来例における、サブフレーム12とアクチュエータ基板との接合面の拡大模式図を示す。図3では、アクチュエータ基板として、振動板20、第1の電極23、電気−機械変換膜21、第2の電極22、保護層28、層間膜32、被接合部40、パッシベーション層30が図示されている。図示されるように、被接合部は、アクチュエータ基板における液室基板とは反対側の面で電気−機械変換素子が形成されていない領域に設けられている。
なお、ここでは保護層28とパッシベーション層30とを区別して示しているが、同じであってもよい。また、被接合部40及びパッシベーション層30の材料は、特に制限されるものではない。
図3に示されるように、サブフレーム12は隣接するチャネル間にサブフレーム隔壁13(隔壁部)を有しており、このサブフレーム隔壁13がアクチュエータ基板、特にここでは、パッシベーション層30、層間膜32、保護層28等が接着剤10を介して接合されている。
またこの例では、フレキソ印刷方式によりサブフレーム12の面、特にサブフレーム隔壁13におけるアクチュエータ基板側の面に、接合のための接着剤10を転写供給している。なお、フレキソ版は#450を使用しており、押し込み深さ50μmにより供給されている。
接着剤10は転写供給されると、サブフレーム隔壁13の接合面に転写されるとともに、フレキソ版の押し込みによりサブフレーム隔壁13の側面(例えば符号13a)にも接着剤が付着する。この場合、接着剤10の供給がばらつくことにより、サブフレーム隔壁13の側面に付着する接着剤10の量がばらつき、過剰に接着剤10が付着する場合がある。
この状態で接着接合すると、加圧加熱時に接着剤10の粘度が低下し、振動板20薄肉部まで接着剤10が流れ出してしまうことが問題となっている。すなわち、符号(b)に示される箇所にまで、接着剤10が流れ出してしまう。なお、「振動板薄肉部」とは、振動板20上に積層される膜が薄い箇所を示す。すなわち、図3の符号(b)で示される部分であり、電気−機械変換膜21や層間膜32等が形成されていない場所ともいえる。
このように、振動板20の薄肉部にまで接着剤10が流れ出してしまうと、振動板20の変位特性のばらつきが生じてしまい問題となる。
これに対し、本発明では接着剤10の流れ出しを抑制するため、サブフレーム隔壁13の側面部分に凹凸状の溝形状が形成されており、この凹凸形状を有したサブフレーム隔壁13の隔壁幅を一定としている。以下、本発明における一実施形態について説明する。
図4は、本実施形態におけるサブフレーム12の平面図を示すものであり、サブフレーム12をアクチュエータ基板側から見た場合の平面図である。
図4に示されるように、サブフレーム隔壁13の側面側に凹凸形状が形成されている。このように、サブフレーム隔壁13の側面に凹凸状の溝形状を形成することにより、サブフレーム12の接合面(サブフレーム隔壁13の底面)及びサブフレーム隔壁13の側面に供給された接着剤10における、接合に寄与しない余剰分は、表面張力により凹凸の溝にぬれ広がることとなる。このため、アクチュエータ基板側の振動板20の薄肉部に接着剤10が流れ出すことを抑制することができる。
また、本実施形態では、サブフレーム隔壁13の隔壁幅が一定となるように、凹凸形状のピッチが半周期分ずれるように形成されている。このサブフレーム隔壁13では、一方の側面側の凹凸パターンと、もう一方の凹凸パターンとが一致し、かつ、半周期分ずれている。凹部のピッチT1と凸部のピッチT2は、両者で一致している。そのため、図4では、凹部の深さ(凸部の高さともいう)W1、隔壁の仮想最大幅W2が図示されているが、サブフレーム隔壁13の隔壁幅は、どこでもW2−W1となっており、一定となっている。なお、T1とT2は同じであってもよく、異なっていてもよい。
図5に、本実施形態における、サブフレーム12とアクチュエータ基板の接合部分の拡大模式図を示す。図5は、図4におけるAA’断面図を示すものである。
本実施形態では、フレキソ印刷方式によりサブフレーム12の面に、接合のための接着剤10を転写供給しており、フレキソ版は#450を使用し、押し込み深さ50μmにより供給している。接着剤10は、転写供給された状態として、サブフレーム隔壁13の接合面に転写されているとともに、フレキソ版の押し込みによりサブフレーム隔壁13の側面にも接着剤10が付着することになる。
このサブフレーム12に対し、アクチュエータ基板を接着接合した際の断面図の模式図が図5のようになる。サブフレーム12とアクチュエータ基板とを位置あわせした後、加圧状態で加熱硬化させると、この加熱過程で接着剤10の粘度は低下するため流動し始める。
このとき、サブフレーム隔壁13の側面側(13a、13b)に凹凸形状が設けられていることにより、符号(c)で示されるように、接着剤10が表面張力により凹部に流動してぬれ広がる。このため、アクチュエータ側への接着剤10の流れ出しが抑制され、振動板20の薄肉部に接着剤10が流れ出すことを抑制することができる。
また、本実施形態では、サブフレーム隔壁13の隔壁幅が一定となっている。転写方式でサブフレーム12の接合面に接着剤10を供給するに際し、接着剤10の膜厚は接着剤10の表面張力と接合面の幅に依存して決まるため、サブフレーム12の接合面に供給される接着剤10の膜厚を一定にすることができる。このため、アクチュエータ基板とサブフレーム12を貼り合わせる際に、アクチュエータ基板側の振動板20側に接着剤10が流れ出すことをより確実に防止することができる。
また、図4では、凹部のピッチT1、凸部のピッチT2が図示されていることに加え、凹部の幅W1が図示されている。本実施形態では、サブフレーム隔壁13の凹凸状のパターンにおいて、凹部の深さをW1、ピッチをT1としたとき、アスペクト比W1/T1が1以上であることが好ましい。アスペクト比W1/T1が1以上の場合、加熱流動時の接着剤10の流動をより促進することができ、接合に寄与しない余剰接着剤を効率的にサブフレーム12の凹凸部側へ流動させることができる。また、アスペクト比W1/T1が1以上の場合、表面張力による浸透力を高めることができ、より低粘度の接着剤10を使用しても振動板20側への接着剤流れ出しを抑制できる。
また、図4では、サブフレーム隔壁13の仮想最大幅W2が図示されており、本実施形態では、図5に示されるように、W2は、アクチュエータ基板側の被接合部の幅W4よりも大きくなっている。なお、ここでいう被接合部の幅W4は、パッシベーション層30を含んだ幅である。
また、図4では、サブフレーム隔壁13の凹凸を除いた部分(コア部)の幅W3が図示されており、図5に示されるように、コア部の幅W3はアクチュエータ基板側の被接合部の幅W4より小さくなっていることが好ましい。
すなわち、サブフレーム隔壁13の凹凸パターンを含めた仮想最大幅をW2とし、仮想最大幅W2から前記凹凸状のパターンにおける凹部の深さW1を両側から引いた部分をサブフレーム隔壁13のコア部とし、該コア部の幅をW3とし、アクチュエータ基板における被接合部の幅をW4としたとき、コア部の幅W3が被接合部の幅W4よりも小さいことが好ましい。
これにより、サブフレーム12の接合面に供給された接着剤10の余剰分についても、サブフレームの凹凸溝へ接着剤を流動させることができ、振動板20側に接着剤10が流れ出すことを抑制することができる。
また、図5では、サブフレーム12におけるサブフレーム隔壁13の座ぐり深さH1が図示されている。本実施形態では、サブフレーム隔壁13の高さをサブフレーム隔壁13の座ぐり深さH1としたとき、座ぐり深さH1は、座ぐり部分の底まで接着剤10が流動しない深さを有することが好ましい。
上述したように本実施形態では、サブフレーム隔壁13の形状として、その側面部に溝形状の凹凸形状を形成しており、アクチュエータ基板と接着接合する際の余剰接着剤10を表面張力の作用によりこの溝形状に流動させている。このため、サブフレーム隔壁13の座ぐり深さH1は、接着する際のサブフレーム12側への接着剤10の流動において、座ぐりの底まで接着剤10が到達しない深さであることが好ましい。これにより、表面張力作用を充分に活用することができ、余剰接着剤は制約を受けることなく、凹凸溝部へぬれ広げられるようにすることができる。
なお、本実施形態における凹凸形状は90度の角度で形成されているが、サブフレーム隔壁13の隔壁幅が一定であれば、その形状は適宜変更することが可能であり、例えば台形等のようなテーパー形状としてもよい。
次に、その他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は省略する。図6に、本実施形態における、サブフレーム12とアクチュエータ基板の接合部分の拡大模式図を示す。
本実施形態では、サブフレーム隔壁13における仮想最大幅をW2、アクチュエータ基板における被接合部の幅をW4としたとき、仮想最大幅W2が被接合部の幅W4よりも小さくなっている。
図4では、サブフレーム隔壁13の仮想最大幅W2が図示されており、図6に示されるように、W2は、アクチュエータ基板側の被接合部の幅W4よりも小さい。サブフレーム隔壁13の仮想最大幅W2が、被接合部の幅W4よりも小さいことにより、アクチュエータ基板側の凸形状のエッジ効果により、被接合部におけるサブフレーム隔壁13の接合面に接着剤10を留めることができるようになる。
これにより、サブフレームに供給された接着剤はアクチュエータの接合面にのみ濡れ広がり、アクチュエータ基板における被接合部(被接合部40及びパッシベーション層30)の側面への接着剤広がりを抑制できる。
さらに、その他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は省略する。
本実施形態におけるサブフレーム12について、アクチュエータ基板側から見た場合の平面図を図7(A)に、図7(A)におけるBB’断面図を図7(B)に示す。
図7(A)に示されるように、本実施形態ではサブフレーム隔壁13の側面における凹凸形状として、三角形状としている。三角形状とすることで、凹凸ピッチをより細かくすることができ、より接着剤10の供給量を制御することができる。すなわち、三角形状とすることにより、サブフレームの接合面に接着剤10を供給する際、隣接する凸間に接着剤10のブリッジが発生しなくなり、接着剤10の供給量を制御しやすくなる。
本実施形態においても、サブフレーム隔壁13の隔壁幅は一定とされている。隔壁幅を一定にするには、三角形状のピッチと周期を半周期分ずらすことで実現することができ、隔壁幅はW2−W1で一定となっている。これにより、転写により接着剤10を供給する際、接着剤10が表面張力によりぬれ広がることで、サブフレーム12の接合部分に供給される接着剤10の膜厚をそろえることができ、接合品質を安定させることができる。
<液体吐出ヘッドの各構成>
次に、アクチュエータ基板について図8、図9を用いて説明する。図8では、基板59、振動板20、第1の電極23、電気−機械変換膜21、第2の電極22により構成されている例が示されている。また、絶縁保護膜、引き出し配線を含めた構成例について、図9(A)及び図9(B)に示す。第1の絶縁保護膜51は、コンタクトホール55、56を有しており、第1の電極23に対して、共通電極引き出し配線(第3の電極57)、第2の電極22に対して個別電極引き出し配線(第4の電極58)が伸びた構成となっている。このとき、第1の電極23を共通電極、第2の電極22を個別電極として、共通・個別電極引き出し配線を保護する第2の絶縁保護膜52が形成されている。図9(B)に示されるように、一部開口されて共通電極パッド53、個別電極パッド54を形成している。なお、図9(B)では絶縁保護膜は省略されている。
なお、第1の電極23は下部電極を示し、第2の電極は上部電極を示すものであり、それぞれ共通電極、個別電極とも称されることがある。また、共通電極、個別電極をそれぞれ上部電極、下部電極にしてもよい。
<<基板>>
アクチュエータ基板の基板59としては、特に制限されるものではないが、シリコン単結晶基板を用いることが好ましく、厚みが100〜600μmであることが好ましい。面方位としては、(100)、(110)、(111)と3種を用いることができ、一般的に(100)、(111)が用いられており、本発明においては、(100)の面方位を持つ単結晶基板が好ましい。
また、加圧室17を作製する場合、エッチングを利用してシリコン単結晶基板を加工するが、この場合のエッチング方法としては、異方性エッチングを用いることが一般的である。異方性エッチングは結晶構造の面方位に対してエッチング速度が異なる性質を利用したものである。例えばKOH等のアルカリ溶液に浸漬させた異方性エッチングでは、(100)面に比べて(111)面は約1/400程度のエッチング速度となる。従って、面方位(100)では約54°の傾斜を持つ構造体が作製できるのに対して、面方位(110)では深い溝をほることができるため、より剛性を保ちつつ、配列密度を高くすることができる。
本発明においては(110)の面方位を持った単結晶基板を使用することも可能であるが、この場合、マスク材として用いられ得るSiOもエッチングされてしまうことにも留意する。
<<振動板>>
振動板20は、電気−機械変換膜21によって発生した力を受けて、変形変位して加圧室17のインク滴を吐出させる。そのため、振動板20としては所定の強度を有したものであることが好ましい。
振動板20の材料としては、例えばSi、SiO、SiをCVD(Chemical Vapor Deposition)法により作製したものが挙げられる。
さらに、第1の電極23、電気−機械変換膜21の線膨張係数に近い材料を選択することが好ましい。特に、電気−機械変換膜21は、一般的な材料としてPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)が使用されることから、振動板20の材料は線膨張係数8×10−6(1/K)に近い線膨張係数として、5×10−6〜10×10−6の線膨張係数を有した材料が好ましく、さらには7×10−6〜9×10−6の線膨張係数を有した材料がより好ましい。
具体的な材料としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化オスミウム、酸化レニウム、酸化ロジウム、酸化パラジウム及びこれらの化合物等であり、これらをスパッタ法もしくは、ゾルゲル法を用いてスピンコーター等にて作製することができる。
膜厚としては0.1μm〜10μmが好ましく、0.5μm〜3μmがより好ましい。0.1μm未満の場合、加圧室17の加工が難しくなり、10μmより大きい場合、振動板20が変形変位しにくくなり、インク滴の吐出が不安定になることがある。
<<第1の電極>>
第1の電極23としては、金属もしくは金属と酸化物からなっていることが好ましい。振動板20と金属膜の間に密着層を積層させることで、剥がれ等を抑制することができる。以下、密着層含めて金属電極膜、酸化物電極膜の詳細について記載する。
−密着層−
密着層の作製の例としては、Tiをスパッタ成膜後、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置を用いて、650〜800℃、1〜30分、O雰囲気でチタン膜を熱酸化させ、チタン膜を酸化チタン膜にする方法が挙げられる。
酸化チタン膜を作成するには反応性スパッタでもよいが、チタン膜の高温による熱酸化法が好ましい。反応性スパッタによる作製では、シリコン基板を高温で加熱する必要があるため、特別なスパッタチャンバ構成が必要となることに留意する。
さらに、一般の炉による酸化よりも、RTA装置による酸化の方が酸化チタン膜の結晶性が良好になる。これは、通常の加熱炉による酸化によれば、酸化しやすいチタン膜は、低温においてはいくつもの結晶構造を作るため、一旦、それを壊す必要が生じるためである。従って、昇温速度の速いRTAによる酸化の方が良好な結晶を形成するために有利になる。
また、Ti以外の材料としてはTa、Ir、Ru等が挙げられる。
密着層の膜厚としては、10nm〜50nmが好ましく、15nm〜30nmがより好ましい。10nm未満の場合、密着性に懸念があり、50nmよりも大きい場合、密着層上の膜において良好な結晶性が得られないことがある。
−金属電極膜−
第1の電極23における金属電極膜の金属材料としては、例えば白金、イリジウム、白金−ロジウムなどの白金族元素、これらの合金膜などが挙げられる。
また、白金を使用する場合には振動板20(特にSiO)との密着性を考慮し、密着層を先に積層した後、金属電極膜を作製することが好ましい。
金属電極膜の作製方法の例としては、スパッタ法や真空蒸着等の真空成膜が挙げられる。
金属電極膜の膜厚は、80〜200nmが好ましく、100〜150nmがより好ましい。80nm未満の場合、共通電極として十分な電流を供給できない場合があり、インク吐出をする際に不具合が発生する場合がある。200nmより大きい場合、白金族元素などの高価な材料を用いると、コスト増につながることがある。また200nmより大きい場合において、白金を用いて膜厚を厚くすると表面粗さが大きくなり、金属電極膜上の酸化物電極膜の表面粗さやPZTの結晶配向性に影響を及ぼして、インク吐出が不良となることがある。
−酸化物電極膜−
酸化物電極膜の材料としては、TiO膜等を用いることが好ましい。この場合、Ti膜を成膜後、高温焼成することで酸化膜を形成することができる。
酸化物電極膜の膜厚としては、40nm〜150nmが好ましく、50nm〜80nmがより好ましい。40nm未満の場合、初期変位や連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られないことがあり、PZTのオーバーエッチングを抑制するためのストップエッチング層としての機能も得られにくくなることがある。また、150nmより大きい場合、その後成膜したPZTの絶縁耐圧が悪くなり、リークしてしまうことがある。
酸化物電極膜の比抵抗としては、5×10−3Ω・cm以下が好ましく、1×10−3Ω・cm以下がより好ましい。5×10−3Ω・cmよりも大きい場合、十分な電流を供給することができなくなり、インク吐出をする際に不具合が発生することがある。
<<電気-機械変換膜>>
電気−機械変換膜21の材料としては、PZTが好適に用いられる。PZTはジルコン酸鉛(PbZrO)とチタン酸鉛(PbTiO)の固溶体で、その比率により特性が異なる。一般的に優れた圧電特性を示す組成はPbZrOとPbTiOの比率が53:47の割合であり、化学式で示すとPb(Zr0.53,Ti0.47)O、一般的にはPZT(53/47)と示されることがある。
PZT以外の複合酸化物としてはチタン酸バリウムなどが挙げられ、この場合はバリウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒に溶解させることでチタン酸バリウム前駆体溶液を作製することも可能である。
これら材料を一般式として表した場合、ABOで記述され、A=Pb、Ba、Sr B=Ti、Zr、Sn、Ni、Zn、Mg、Nbを主成分とする複合酸化物が挙げられる。
これらの例としては、(Pb1−x,Ba)(Zr,Ti)O、(Pb1−x,Sr)(Zr,Ti)O等が挙げられ、これはAサイトのPbを一部BaやSrで置換した場合の例である。このような置換は2価の元素であれば可能であり、その効果は熱処理中の鉛の蒸発による特性劣化を低減させる作用を示す。
電気−機械変換膜21の作製方法としては、例えばスパッタ法やゾルゲル法を用いてスピンコーター等にて作製することが挙げられる。その場合は、パターニング化が必要となるので、フォトリソエッチング等により所望のパターンを得る。
また、PZTをゾルゲル法により作製する場合、出発材料に酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒としてメトキシエタノールに溶解させ、均一の溶液を得ることで、PZT前駆体溶液が作製できる。金属アルコキシド化合物は大気中の水分により容易に加水分解してしまうので、前駆体溶液に安定剤としてアセチルアセトン、酢酸、ジエタノールアミンなどの安定化剤を適量、添加しても良い。
また、振動板20全面にPZT膜を得る場合、スピンコートなどの溶液塗布法により塗膜を形成し、溶媒乾燥、熱分解、結晶化の各々の熱処理を施すことで得ることができる。塗膜から結晶化膜への変態には体積収縮が伴うので、クラックフリーな膜を得るには一度の工程で100nm以下の膜厚が得られるように前駆体濃度を調整し、PZT膜を作製していくのが好ましい。
電気−機械変換膜21の膜厚としては0.5μm〜5μmが好ましく、1μm〜2μmがより好ましい。0.5μm未満の場合、加圧室17の加工が難しくなり、5μmより大きい場合、振動板20が変形変位しにくくなりインク滴の吐出が不安定になるほか、十分な変位を発生できなくなることがあり、また作製工程の負担が増加し、プロセス時間が長くなることがある。
また、比誘電率としては600以上2000以下であることが好ましく、1200以上1600以下がより好ましい。このとき、この値を満たないときには十分な変位特性が得られないことがあり、2000より大きくなると、分極処理が十分行われず、連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られないことがある。
<<第2の電極>>
第2の電極22としては、酸化物電極膜、金属電極膜を有していることが好ましい。
積層の順としては、酸化物電極膜、金属電極膜の順に積層される。第2の電極22における酸化物電極膜、金属電極膜は、第1の電極23における酸化物電極膜、金属電極膜と同じ態様とすることができるため、相違点について以下に説明する。
−酸化物電極膜−
第2の電極22における酸化物電極膜の膜厚としては、20nm〜80nmが好ましく、40nm〜60nmがより好ましい。20nm未満の場合、初期変位や変位劣化特性について十分な特性が得られないことがあり、80nmより大きい場合、その後成膜するPZTの絶縁耐圧が悪くなり、リークしやすくなることがある。
−金属電極膜−
第2の電極22における金属電極膜の膜厚としては30nm〜200nmが好ましく50nm〜120nmがより好ましい。30nm未満の場合、十分な電流を供給することができなくなり、インク吐出をする際に不具合が発生することがある。200nmより大きい場合、白金族元素などの高価な材料を用いると、コスト増につながることがある。また200nmより大きい場合において、白金を用いて膜厚を厚くすると表面粗さが大きくなり、さらに積層する場合、膜剥がれ等が発生することがある。
<<第1絶縁保護膜>>
次に、第1の電極23上に積層される第1の絶縁保護膜51について説明する。
第1の絶縁保護膜51は成膜・エッチングの工程による電気−機械変換素子へのダメージを防ぐとともに、大気中の水分が透過しづらい材料を選定する必要があるため、緻密な無機材料が好ましい。有機材料では十分な保護性能を得るためには膜厚を厚くする必要があるため、好ましくないことがある。
第1の絶縁保護膜51の膜厚を大きくすると、振動板20の振動変位を著しく阻害してしまうため、吐出性能の低い液体吐出ヘッドになってしまうことがある。
第1の絶縁保護膜51の膜厚を抑えつつ、高い保護性能を得るには、酸化物、窒化物、炭化物を用いるのが好ましく、第1の絶縁保護膜51の下地となる、電極材料、圧電体材料、下地膜材料と密着性が高い材料を選定する必要がある。
成膜方法は電気−機械変換素子を損傷しない成膜方法を選定する必要がある。すなわち、反応性ガスをプラズマ化して基板上に堆積するプラズマCVD法やプラズマをターゲット材に衝突させて飛ばすことで成膜するスパッタリング法は好ましくない。好ましい成膜方法としては、蒸着法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などが例示できるが、使用できる材料の選択肢が広いALD法が好ましい。
第1の絶縁保護膜51に用いられる好ましい材料としては、Al、ZrO、Y、Ta、TiOなどのセラミクス材料に用いられる酸化膜が例として挙げられる。ALD法を用いることで、膜密度の非常に高い薄膜を作製し、プロセス中でのダメージを抑制することができる。
第1の絶縁保護膜51の膜厚は、電気−機械変換素子の保護性能を確保できる十分な薄膜とする必要があると同時に、下地膜の変位を阻害しないように可能な限り薄くする必要があり、20nm〜100nmが好ましい。20nm未満の場合、電気−機械変換素子の保護層としての機能が不足してしまうため、電気−機械変換素子の性能が低下してしまうことがある。100nmより大きい場合、振動板20の変位が低下するため、吐出効率の低い液体吐出ヘッドとなることがある。
また、第1の絶縁保護膜51を2層にする構成とすることもできる。この場合、2層目の絶縁保護膜を厚くするため、振動板20の振動変位を著しく阻害しないように第2の電極22付近において2層目の絶縁保護膜を開口するような構成とすることもできる。
このとき2層目の絶縁保護膜としては、酸化物、窒化物、炭化物又はこれらの複合化合物を用いることができ、また半導体デバイスで一般的に用いられるSiOなども用いることができる。
2層目の絶縁保護膜の成膜方法は公知の手法を用いることができ、CVD法、スパッタリング法なとが挙げられ、電極形成部等のパターン形成部の段差被覆を考慮すると等方的に成膜できるCVD法を用いることが好ましい。
2層目の絶縁保護膜の膜厚は共通電極と個別電極配線に印加される電圧で絶縁破壊されない膜厚とする必要がある。すなわち絶縁保護膜に印加される電界強度を、絶縁破壊しない範囲に設定する必要がある。さらに、絶縁保護膜の下地の表面性やピンホール等を考慮すると膜厚は200nm以上が好ましく、500nm以上がより好ましい。
<<第3の電極、第4の電極、電極パッド>>
第3の電極57、第4の電極58(これらを引き出し配線と称することがある)及び電極パッド53、54の材料は、Ag合金、Cu、Al、Au、Pt、Irのいずれかから成る金属電極材料であることが好ましい。これらの電極の作製方法としては、スパッタ法、スピンコート法を用いて作製し、その後フォトリソエッチング等により所望のパターンを得る。
膜厚としては、0.1〜20μmが好ましく、0.2〜10μmがより好ましい。0.1μm未満の場合、抵抗が大きくなり電極に十分な電流を流すことができなくなり、ヘッド吐出が不安定になることがある。一方、20μmより大きい場合、プロセス時間が長くなることがある。
また、共通電極及び個別電極に接続されるコンタクトホール55、56(例えば10μm×10μm)での接触抵抗としては、共通電極としは10Ω以下、個別電極としては1Ω以下が好ましい。より好ましくは、共通電極としては5Ω以下、個別電極としては0.5Ω以下である。この範囲を超えると十分な電流を供給することができなくなり、液滴を吐出する際に不具合が発生することがある。
また、電極パッド部の面積については、50×50μm以上が好ましく、100×300μm以上がより好ましい。この値を満たさない場合は、十分な分極処理ができなくなることがあり、連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られないといった不具合が発生することがある。
<<第2の絶縁保護膜>>
第2の絶縁保護膜52としての機能は、個別電極配線や共通電極配線の保護層の機能を有するパッシベーション層である。図9(A)に示されるように、第2の絶縁保護膜52は個別電極引き出し部と共通電極引き出し部を除き、個別電極と共通電極上を被覆する。これにより電極材料に安価なAlもしくはAlを主成分とする合金材料を用いることができる。その結果、低コストかつ信頼性の高い液体吐出ヘッドとすることができる。
材料としては、公知の無機材料、有機材料を使用することができるが、透湿性の低い材料とする必要がある。無機材料としては、酸化物、窒化物、炭化物等が挙げられ、有機材料としてはポリイミド、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
ただし有機材料の場合には膜厚を大きくする必要があるため、パターニングに適さない。そのため、薄膜で配線保護機能を発揮できる無機材料とすることが好ましい。特に、Al配線上にSiを用いることが、半導体デバイスで実績のある技術であり、好ましい。
また、膜厚は200nm以上が好ましく、500nm以上がより好ましい。200nm未満の場合、十分なパッシベーション機能を発揮できないため、配線材料の腐食による断線が発生し、液滴吐出の信頼性を低下させてしまうことがある。
電気−機械変換素子上とその周囲の下地膜上に開口部をもつ構造が好ましい。これは、前述の第1の絶縁保護膜51の個別液室領域を薄くしていることと同様の理由である。これにより、高効率かつ高信頼性の液体吐出ヘッドとすることが可能になる。
開口部分の形成においては、第1及び第2の絶縁保護膜で電気−機械変換素子が保護されているため、フォトリソグラフィ法、ドライエッチングを用いることができる。
(画像形成装置)
本発明に係る画像形成装置の一例について図10及び図11を参照して説明する。
この画像形成装置は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド101とガイドレール102とでキャリッジ103を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ104で駆動プーリ106Aと従動プーリ106B間に架け渡したタイミングベルト105を介して矢示方向(主走査方向)に移動走査する。
キャリッジ103には、例えば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の記録液の液滴(インク滴)を吐出する液体吐出ヘッド107k、107c、107m、107yで構成した記録ヘッド107を主走査方向に沿う方向に配置し、液滴吐出方向を下方に向けて装着している。
なお、ここでは独立した液体吐出ヘッドを用いているが、各色の記録液の液滴を吐出する複数のノズル列を有する1又は複数のヘッドを用いる構成とすることもできる。また、色の数及び配列順序はこれに限るものではない。
キャリッジ103には、記録ヘッド107に各色のインクを供給するための各色のサブタンク108を搭載している。このサブタンク108にはインク供給チューブ109を介して図示しないメインタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。
一方、給紙カセット110などの用紙積載部(圧板)111上に積載した被記録媒体(用紙)112を給紙するための給紙部として、用紙積載部111から用紙112を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙ローラ)113及び給紙ローラ113に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド114を備え、この分離パッド114は給紙ローラ113側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙112を記録ヘッド107の下方側で搬送するための搬送部として、用紙112を静電吸着して搬送するための搬送ベルト121と、給紙部からガイド115を介して送られる用紙112を搬送ベルト121との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ122と、略鉛直上方に送られる用紙112を略90°方向転換させて搬送ベルト121上に倣わせるための搬送ガイド123と、押さえ部材124で搬送ベルト121側に付勢された加圧コロ125A及び先端加圧コロ125Bとを備えている。また、搬送ベルト121表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ126を備えている。
ここで、搬送ベルト121は、無端状ベルトであり、搬送ローラ127とテンションローラ128との間に掛け渡されて、副走査モータ131からタイミングベルト132及びタイミングローラ133を介して搬送ローラ127が回転されることで、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。なお、搬送ベルト121の裏面側には記録ヘッド107による画像形成領域に対応してガイド部材129を配置している。
帯電ローラ126は、搬送ベルト121の表層に接触し、搬送ベルト121の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に例えば各2.5Nをかけることができる。
さらに、記録ヘッド107で記録された用紙112を排紙するための排紙部として、搬送ベルト121から用紙112を分離するための分離部と、排紙ローラ152及び排紙コロ153と、排紙される用紙112をストックする排紙トレイ154とを備えている。
また、背部には両面給紙ユニット155が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット155は搬送ベルト121の逆方向回転で戻される用紙112を取り込んで反転させて再度カウンタローラ122と搬送ベルト121との間に給紙する。
さらに、図11に示すように、キャリッジ103の走査方向の一方側の非印字領域には、記録ヘッド107のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構156を配置している。
この維持回復機156は、記録ヘッド107の各ノズル面をキャピングするための各キャップ157と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード158と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け159などを備えている。
このように構成した画像形成装置においては、給紙部から用紙112が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙112はガイド115で案内され、搬送ベルト121とカウンタローラ122との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド123で案内されて先端加圧コロ125で搬送ベルト121に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、図示しない制御回路によってACバイアス供給部から帯電ローラ126に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト121が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト121上に用紙112が給送されると、用紙112が搬送ベルト121に静電力で吸着され、搬送ベルト121の周回移動によって用紙112が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ103を往路及び復路方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド107を駆動することにより、停止している用紙112にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙112を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙112の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙112を排紙トレイ154に排紙する。
また、両面印刷の場合には、表面(最初に印刷する面)の記録が終了したときに、搬送ベルト121を逆回転させることで、記録済みの用紙112を両面給紙ユニット155内に送り込む。そして、用紙112を反転させて(裏面が印刷面となる状態にして)再度カウンタローラ122と搬送ベルト121との間に給紙し、タイミング制御を行って、前述したと同様に搬送ベル121上に搬送して裏面に記録を行った後、排紙トレイ154に排紙する。
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ103は維持回復機構155側に移動されて、キャップ157で記録ヘッド107のノズル面がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ157で記録ヘッド107をキャッピングした状態でノズルから記録液を吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という。)し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行い、この回復動作によって記録ヘッド107のノズル面に付着したインクを清掃除去するためにワイパーブレード158でワイピングを行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド107の安定した吐出性能を維持する。
このようにこの画像形成装置においては本発明に係る液体吐出ヘッドを備えるので、小型化、低コスト化を図るとともに吐出ヘッドサイズが同等で吐出可能なノズル数を増やせることから、更なる高速印刷も可能となる。なお、上記実施形態では本発明をプリンタ構成の画像形成装置に適用した例で説明したが、これに限るものではなく、例えば、プリンタ/ファックス/コピア複合機などの画像形成装置に適用することができる。また、インク以外の液体である記録液や定着処理液などを用いる画像形成装置にも適用することができる。
なお、本発明は、インクジェットプリンタ、MFP(多機能周辺装置)を使用するデジタル印刷装置、オフィス、パーソナルで使用するプリンタ、MFPなどに利用できる。また、インクジェット技術を利用する三次元造型技術などにも利用できる。
10 接着剤
11 ノズル板
12 サブフレーム
13 サブフレーム隔壁
14 空隙
17 加圧室
18 ノズル
20 振動板
21 電気−機械変換膜
22 第2の電極
23 第1の電極
26 流路隔壁
28 保護層
30 パッシベーション膜
32 層間膜
40 被接合部
W1 サブフレーム隔壁凹部深さ
W2 サブフレーム隔壁仮想最大幅
W3 サブフレーム隔壁コア部幅
W4 被接合部幅
T1 サブフレーム隔壁凹部ピッチ
T2 サブフレーム隔壁凸部ピッチ
H1 サブフレーム隔壁座ぐり深さ
特開2003−136734号公報 特開2007−050552号公報 特開2014−172328号公報 特開2014−151537号公報 特開2003−276190号公報 特開2013−163341号公報

Claims (7)

  1. 液体を吐出するノズルを有するノズル基板と、
    該ノズル基板と接合され、前記ノズルに連通する液室を有する液室基板と、
    該液室基板と接合し、前記液室内の液体を加圧する圧力を発生させるための電気−機械変換素子を有するアクチュエータ基板と、
    前記アクチュエータ基板における前記液室基板とは反対側の面で前記電気−機械変換素子が形成されていない領域に設けられた被接合部と接合されてなる保持基板と、を備える液体吐出ヘッドであって、
    前記保持基板に設けられた隔壁部と前記被接合部とが接着剤により接合され、
    前記隔壁部の側面は、凹凸状の溝形状が形成され、前記隔壁部における一方の側面に形成された凹凸状のパターンと、他方の側面に形成された凹凸状のパターンが半周期分ずれていることにより、前記隔壁部の幅が一定であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記凹凸状のパターンは、凹部の深さをW1、ピッチをT1としたとき、アスペクト比W1/T1が1以上であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記隔壁部の凹凸パターンを含めた仮想最大幅をW2とし、
    前記仮想最大幅W2から前記凹凸状のパターンにおける凹部の深さW1を両側から引いた部分を前記隔壁部のコア部とし、該コア部の幅をW3とし、
    前記被接合部の幅をW4としたとき、
    前記コア部の幅W3が前記被接合部の幅W4よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記仮想最大幅W2が前記被接合部の幅W4よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記隔壁部の高さを前記隔壁部の座ぐり深さとしたとき、前記座ぐり深さは、前記座ぐり深さの底まで前記接着剤が流動しない深さを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記凹凸状の溝形状が三角形状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えることを特徴とする画像形成装置。
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