JP2016175104A - 連続鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】凝固完了後の鋳片を圧下するに際して、鋳片の逆V偏析を発生させることなく、また鋳造後の圧延で表面疵を発生させることなく、センターポロシティを低減することのできる連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】凝固完了後の鋳片を圧下する圧下ロール1としてフラットロールを用いて圧延時の表面欠陥発生を防止する。圧下量を10〜50%とし、圧下ロール1と隣接する上流側ロールとのロール間にデスケーリングノズル3を配置して鋳片表面のデスケーリングを行うことにより、センターポロシティを十分に圧着するとともに、圧下ロール1によるスケール押し込みに起因する表面疵発生を防止する。圧下開始位置における鋳片厚み中心部温度を固相線温度−60℃よりも低い温度として逆V偏析発生を防止する。圧下終了位置における鋳片厚み中心部温度を800℃以上として十分な圧下を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、連続鋳造中において凝固完了後の鋳片を圧下する連続鋳造方法に関するものである。
連続鋳造方法によってスラブやブルームなどの鋳片を鋳造する場合に、鋳片の中心部にリンやマンガン等の成分が偏析する、いわゆる中心偏析が発生することがある。また、鋳片中心部にはセンターポロシティと呼ばれる空孔が発生する。
連続鋳造中の凝固末期において、溶鋼の凝固収縮に伴って未凝固溶鋼が最終凝固部の凝固完了点に向かって流動する。溶鋼流動に際して、固液界面の不純物濃化溶鋼が最終凝固部に集積する。これが中心偏析の原因となる。従って、中心偏析を軽減するためには、最終凝固部付近において、溶鋼の凝固収縮量に見合った分だけ凝固シェルを圧下することにより、最終凝固部付近の溶鋼流動を抑えることが有効となる。このような考え方に基づき、連続鋳造末期の凝固完了前においてサポートロールによって鋳片を圧下する軽圧下技術が用いられている(例えば特許文献1)。しかし、未凝固領域での軽圧下の圧下量を増大すると、内部割れの問題や逆V偏析発生の問題があるため、軽圧下量を少なくせざるを得ず、センターポロシティの減少には不十分な結果になっている。
特許文献2には、凝固末期の未凝固領域で圧下率10〜50%の強圧下を行い、中心偏析とセンターポロシティをともに減少するとしている。強圧下において濃化溶鋼の確実な絞り出しとそれによる逆V偏析防止のため、ロールの幅中央部が幅端部に比較して太くなるロール(以下「凸型ロール」という。)を用いて強圧下を行い、強圧下による内部割れ発生を防止するために圧下ロール径を500mm以上としている。
特許文献3には、鋳片を凝固末期に軽圧下し、更に、凝固直後に大圧下する連続鋳造方法が記載されている。未凝固領域の軽圧下で完全凝固前のセンターポロシティの径を減少させておき、完全凝固後の大圧下でセンターポロシティの圧着を行う。
特許文献4には、センターポロシティを減少させるロール圧下方法として、鋳片が完全凝固した後でその切断前に、該鋳片の表面温度が700℃以上1000℃以下で、該鋳片の内部中心と表面との温度差が250℃以上となる領域を、回転する上下ロールで挟んで圧下する連続鋳造方法が開示されている。圧下部位では表層側に対して内部側が高温のため相対的に軟らかくなっており、鋳片の表面に加えた圧下力を鋳片の内部まで伝達させることができる。圧下ロールとして凸型ロールを用い、ロール幅中央の太径部の幅(圧下幅)が鋳片幅の40%以下であると好ましいとしている。圧下量は鋳片の厚みの2%以上が好ましいとしている。
特許文献5には、鋳鋼片の内部に介在する空隙を圧着するため、連続鋳造ライン内に配した圧下装置によって、鋳鋼片を鋳鋼片の板厚中央部温度が1400℃以上凝固点以下で圧下する厚鋼板の製造方法が開示されている。
特公昭62−34460号公報 特開平6−126406号公報 特開平8−164460号公報 特開2009−279652号公報 特開平7−227658号公報
連続鋳造中、センターポロシティ対策として完全凝固前の段階で大きな圧下率で圧下を行うと逆V偏析の発生を防ぐことができない。そのため、特許文献3〜5に記載のように、センターポロシティ対策としては鋳造中の完全凝固後において圧下を行う方法が採用されている。ところが、完全凝固後であっても、鋳造中に鋳片を大圧下すると、鋳造後の鋳片に逆V偏析が発生することがわかった。
圧下ロールとして凸型ロールを用いると、圧下反力の強い短辺付近を圧下する必要がないため、少ない圧下力で大きな圧下を行うことができる。しかし、凸型ロールを用いて大圧下を行うと、圧下によって発生した鋳片のくぼみが分塊圧延時に折れ込み、最終製品の表面疵として残存することがあるため、凸型ロールを用いた大圧下は制限を受けることになる。
センターポロシティを有効に低減するためには、圧下を行う際の鋳片表面温度と厚み方向中心温度との差が大きいほど、厚み中心部が高温のために変形しやすく、中心部を集中的に圧下してボロシティを圧着できるので好ましい。しかし、鋳造中の鋳片は、表面から冷却すれば必然的に厚み中心部も冷却されるので、鋳片表面と中心の温度差を望み通りに増大することはできない。
本発明は、連続鋳造中において凝固完了後の鋳片を圧下するに際して、鋳片の逆V偏析を発生させることなく、また鋳造後の圧延で表面疵を発生させることなく、センターポロシティを低減することのできる連続鋳造方法を提供することを目的とする。
連続鋳造中において凝固完了後の鋳片を圧下するに際し、鋳造中の完全凝固直後に大圧下すると、鋳造後の鋳片に逆V偏析が発生する。それに対し、凝固完了後の圧下開始位置における鋳片厚み中心部温度が固相線温度−60℃よりも低い温度であれば、鋳片の逆V偏析を発生させることがない。
また、圧下量を10〜50%とし、圧下終了位置における鋳片厚み中心部温度が800℃以上であり、圧下位置において鋳片の中心部温度と表面温度との差が200℃以上であり、さらに圧下ロールと隣接する上流側ロールとの間において液体噴射によって鋳片表面でデスケーリングを行って圧下時の鋳片表面温度を低下させ厚み中心部との温度差を拡大することにより、厚み中心部を圧下してセンターポロシティを低減することができる。
さらに、圧下ロールとしてフラットロールを用いることにより、圧下量が10%以上の大圧下であっても、凸型ロールを用いる際に問題となる製品表面欠陥を防止することができる。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)連続鋳造中において凝固完了後の鋳片を圧下するに際し、圧下ロールとしてフラットロールを用い、圧下量を10〜50%とし、
凝固完了後の圧下開始位置における鋳片厚み中心部温度は、固相線温度−60℃よりも低い温度であり、圧下終了位置における鋳片厚み中心部温度は800℃以上であり、圧下位置において鋳片の中心部温度と表面温度との差が200℃以上であり、
圧下ロールと隣接する上流側ロールとのロール間において液体噴射によって鋳片表面のデスケーリングを行い、
鋳型部における初期鋳片厚みが100mm以上であることを特徴とする連続鋳造方法。
本発明の連続鋳造方法は、連続鋳造中において凝固完了後の鋳片を圧下するに際し、圧下ロールとしてフラットロールを用いることにより、圧延時の表面欠陥発生を防止することができる。圧下量を10〜50%とし、圧下ロールと隣接する上流側ロールとのロール間において液体噴射によって鋳片表面のデスケーリングを行うことにより、センターポロシティを十分に圧着するとともに、圧下ロールによるスケール押し込みに起因する表面疵発生を防止することができる。凝固完了後の圧下開始位置における鋳片厚み中心部温度を固相線温度−60℃よりも低い温度とすることにより、逆V偏析発生を防止することができる。圧下終了位置における鋳片厚み中心部温度を800℃以上とすることにより、十分な圧下を行うことができる。その結果、表1に示すように同一圧下率であれば、最大ポロシティ径を小さくすることにより内部品質を向上させることができる。また、デスケーリングを加えることなく逆V偏析が発生する温度(例えば固相線温度)で圧下を開始した場合と同一のポロシティ径を、デスケーリングを加えることで、逆V偏析が発生しない温度(例えば固相線温度−60℃)で圧下を開始した場合において、デスケーリングを加えることなく逆V偏析が発生する温度で圧下を開始した場合と同一の圧下量で得ることができる。更に、ポロシティ径を所定の値以下にしようとする場合、小さな圧下率で達成可能となり設備能力が小さくなる(同一設備を用いた場合に、より小さな圧下率で品質目標達成が可能となり、設備負荷が軽減される)。
本発明の連続鋳造方法を説明する部分側面図である。 圧下位置における鋳片中心温度別の圧下量と最大ボロシティ径との関係を示す図である。 鋳片温度と圧下抵抗との関係を示す図である。 比較例におけるデスケーリングノズル配置位置を示す図である。
連続鋳造鋳片のセンターポロシティ低減のため、凝固完了後の鋳片を大圧下することが有効であることは知られていた。凝固完了後であっても、中心部温度が高いほどセンターポロシティの圧着に有利である。凝固完了後の時間経過とともに中心部温度は低下するため、凝固完了直後に大圧下を行っていた。凝固完了前に大圧下を行うと逆V偏析が発生するが、凝固完了後であれば大圧下しても逆V偏析は発生しないものと考えられていた。
本発明において、凝固完了後であっても、凝固完了直後に圧下率が10%以上となる大圧下を行うと、大圧下の影響によって凝固完了前の固液共存領域に影響が及び、未凝固溶鋼が逆流して逆V偏析が発生することをはじめて知見した。そして、凝固完了後の圧下開始位置における鋳片厚み中心部温度が固相線温度−60℃よりも低い温度であれば、圧下率10%以上の大圧下であっても、凝固後鋳片に逆V偏析が発生しないことが明らかとなった。
一般的に、鋼の温度が高ければ高いほど熱間強度が小さくなるので、高温ほど圧下が容易になる。本発明で述べる、相対する一対のフラットロールにて鋳片表面と厚み中心部との温度差が200℃以上の条件下で凝固後大圧下を実施する場合、厚み中心位置(1/2厚部)に圧下力が効率的に加わるため、鋳片の温度、特に、鋳片の(幅中央かつ)厚み1/2の部分の温度が高ければ高いほど望ましい。しかしながら、本発明者らが検討を進めた結果、(幅中央かつ)厚み1/2の部分の温度が完全に凝固する固相率=1となる温度(Ts;固相線温度)で凝固後大圧下を開始した場合、1/2厚部の部分が圧下されることにより上流側に押し上げられ、その結果濃化溶鋼が上流側に押し出され、逆V偏析が形成され、鋳片品質が劣位になる事がわかった。本発明者らが更に検討を進めた結果、凝固後大圧下によって1/2厚部の部分が圧下されることにより上流側に押し上げられる影響は、圧下開始位置を1/2厚部の温度がTs−60℃以下とすることによりなくなることがわかった。
また、センターポロシティ圧着のための圧下効果を有効にするためには、圧下位置において鋳片中心部温度と表面温度の差が大きいことが重要である。鋳片の温度が高いほど変形抵抗が小さく、温度が低いほど変形抵抗が大きくなる。従って、圧下ロールによる圧下効果をできる限り鋳片中心部の変形に寄与させるためには、鋳片表面温度が低いほど有効である。本発明においては、圧下位置において鋳片の中心部温度と表面温度との差が200℃以上であるとともに、圧下ロールと隣接する上流側ロールとのロール間において液体噴射によって鋳片表面のデスケーリングを行うことによって圧下位置における鋳片表面温度を低下させることにより、センターポロシティ圧着をさらに向上することに成功した。
まず、凝固完了後の鋳片に大圧下を行い、圧下量がセンターポロシティ状況に及ぼす影響について調査した。最大ポロシティ径については、高周波超音波(周波数100MHz)を用いて測定した鋳片1/2厚部を超音波探傷で評価したポロシティの最大径で評価した。鋳片厚み中心位置を中心線として上下35mmの70mm×鋳片全幅×厚み10mmの鋳片で評価した。結果を図2に示す。圧下位置は、中心部温度が固相線温度−100℃となる位置(図中「●」)、中心部温度が固相線温度−60℃となる位置(図中「□」)の2カ所いずれかとし、フラットロールを用いて圧下を行った。圧下を行わない場合(圧下量=0%)は最大ボロシティ径が1000μmであったが、圧下量を10%とすると大幅に最大ボロシティ径が低減し、圧下量を大きくするほど最大ポロシティ径が低減することが明らかとなった。この結果に基づき、本発明においては、圧下量の下限を10%とした。一方、図2に示すように圧下量を大きくすると、厚み中心位置の最大ポロシティ径は小さくなるものの50%超では改善の効果は飽和する傾向となる一方、総圧下量が大きくなって、鋳片圧下装置の能力が大きくなるとともに、圧下ロール1の径が大型化する問題が生ずるため、圧下量の上限を50%とした。なお、圧下量とは、圧下前後の鋳片厚みの差を圧下前鋳片厚みで除した数値の%表記を意味する。
本発明で凝固完了後の鋳片を圧下するに際し、圧下ロールとしてフラットロールを用いる。フラットロールとは、圧下ロールの幅方向で、鋳片に接する部分のロール直径が変化しないロールを意味する。ロールの幅中央部が幅端部に比較して太くなるロール(凸型ロール)を用いて大圧下を行うと、圧下によって発生した鋳片のくぼみが分塊圧延時に折れ込み、最終製品の表面疵として残存することがあるため、凸型ロールを用いた大圧下は制限を受けることになる。それに対して本発明ではフラットロールを用いて大圧下を行うので、圧下量の上限が制限を受けることがなく、上記のように圧下量を50%まで増大することが可能となる。
次に、圧下位置における鋳片中心部温度と固相線温度との差が鋳片品質に及ぼす影響について調査した。圧下量を30%一定とし、圧下位置を変化させることにより、圧下位置における鋳片中心部温度を固相線温度から固相線温度−100℃まで変化させた。圧下位置が完全凝固位置に一致しているときに鋳片中心部温度は固相線温度に等しくなり、圧下位置が完全凝固位置から下流側に遠ざかるほど、鋳片中心部温度と固相線温度との差が大きくなる。結果を表1に示す。表1から明らかなように、完全凝固後の圧下であっても、圧下位置における中心部温度が固相線温度に近い、即ち圧下位置が完全凝固位置の下流側であって完全凝固位置に近い位置だと逆V偏析が発生するのに対し、圧下開始温度が固相線温度−60℃と同等又はそれ以下であって圧下位置が完全凝固位置から下流側に十分に遠ざかれば、逆V偏析が発生せずセンターポロシティを低減できることがわかった。
Figure 2016175104
圧下位置における中心部温度が低すぎる、即ち圧下位置が完全凝固位置から遠ざかりすぎると、中心部の変形抵抗が大きくなりすぎてポロシティ低減が困難となる。試料の温度を600〜1200℃で変化させ、試料に0.5%圧下歪みを与えたときの圧下抵抗を測定した。結果を図3に示す。試料温度が低くなると急速に圧下抵抗が増大するが、温度が800℃以上であれば、圧下抵抗を低く抑えることができる。そこで本発明では、圧下終了位置における鋳片厚み中心部温度を800℃以上と規定した。なお、圧下を行う圧下ロールが1対であれば、圧下開始位置と圧下終了位置の鋳片中心部温度は同一の温度とすることができる。
本発明はセンターポロシティの少ない鋳片を製造することを課題とする。センターポロシティ低減ニーズが強い品種は主に厚板材である。厚板材、特に高強度を要する品種は合金含有量が多く、固相線温度が低い品種、具体的には固相線温度が1450℃以下となる品種が多い。固相線温度が低い品種では、圧下位置における鋳片中心部温度(固相線温度−60℃)も必然的に低くなる。本発明においては、圧下位置における鋳片中心部温度が800℃以上であれば足りるので、厚板材のように固相線温度が低い品種においても十分に圧下を行ってセンターポロシティを低減することができる。
圧下位置における鋳片中心部温度が同等であれば、圧下位置における鋳片表面温度が低いほど、即ち圧下位置において鋳片の中心部温度と表面温度との差が大きいほど、センターポロシティ改善効果が向上する。本発明においては、圧下位置において鋳片の中心部温度と表面温度との差を200℃以上とすることがまず必要である。鋳型部における初期鋳片厚みが100mm以上であれば、通常の連続鋳造において圧下位置において鋳片の中心部温度と表面温度との差を200℃以上とすることができる。そうすれば、図3に示すように、鋳片表層と内部との強度差を大きくすること(表層の強度を大きく、厚み中心近傍を柔らかくすること)が可能となるので、中心部を効率的に圧下する事が可能となる。
本発明においてはさらに、図1に示すように、圧下ロール1と隣接する上流側ロール(サポートロール2a)とのロール間にデスケーリングノズル3を設け、液体噴射によって鋳片4の表面のデスケーリングを行う。液体噴射で鋳片表面をデスケーリングすることにより、鋳片表面のスケールを除去するとともに、鋳片表面温度を急速に低下させることができる。これにより、圧下位置における鋳片表面温度をより一層低減し、鋳片の中心部温度と表面温度との差を拡大し、圧下によるセンターポロシティ改善効果を向上できることが明らかとなった。
鋳片表面にスケールが付着したままで大圧下を行うと、付着したスケールが鋳片に押し込まれ、大圧下後にデスケーリングを行ってもスケールを十分に除去できないことがある。その結果、後工程での圧延でスケール性欠陥が発生する可能性がある。本発明では、上記のように圧下直前の鋳片表面をデスケーリングすることにより、大圧下に伴う鋳片表面スケールの鋳片及び圧下ロールへの押し込みを防止することができる。
デスケーリングに際しては、噴射する液体として水を用い、デスケーリングノズル3からの吐出圧を5〜15MPaとすると好ましい。また、ノズル1本あたりの液体流量を130リットル/分以上とし、ノズルと鋳片との距離を120mm以下とすることにより、十分にデスケーリングするとともに、鋳片表面温度を十分に低下してセンターポロシティ圧着効果を高めることができる。
図4(b)(c)に示すように、圧下ロールと隣接する上流側ロール2aのさらに上流側にデスケーリングノズル3を設けてデスケーリングを行った場合には、圧下時の鋳片表面温度が回復して表面温度低下によるセンターポロシティ改善効果が減殺されるとともに、デスケーリング後に鋳片が圧下ロールに到達するまでの間にスケールがふたたび成長し、大圧下によるスケールの押し込みが発生するので、本発明においては、図1に示すように、圧下ロール1と隣接する上流側ロール2aとのロール間においてデスケーリングを行うこととした。
連続鋳造において、鋳型内の溶鋼表面に連続鋳造パウダーを供給してパウダー層を形成する。パウダー層は溶鋼からの熱によって溶融し、鋳型と凝固シェルとの間に流入してパウダーフィルム層を形成する。そのため、連続鋳造鋳片の表面に付着するスケールには、パウダーが含浸されている。鋳片表面にパウダー含浸スケールが付着したままで熱間圧延を行うと、加熱炉で鋳片を加熱する際に鋳片表面の結晶粒界が酸化され、パウダーを含有したスケールが鋳片内部に取り込まれる。その結果、熱間圧延後の鋼板表面にパウダー性の品質欠陥が発生することがある。特に、センターポロシティ低減のために連続鋳造中に鋳片大圧下を行うと、パウダーが浸潤したスケール層の大きな押し込みが発生し、鋳片内部までスケールが押し込まれる結果として、後工程で高圧デスケーリングを実施しても奥に押し込まれたスケールに対してデスケーリングの効果が効かないことになり、熱間圧延後のパウダー性品質欠陥が顕著になる懸念がある。それに対し本発明は、上記のように圧下直前に鋳片表面のデスケーリングを行うことにより、熱間圧延後のパウダー性欠陥を有効に防止することが可能となる。
本発明は、連続鋳造中の凝固完了前に行う軽圧下を併用しても良い。凝固完了前において、凝固収縮に見合った量だけ鋳片を軽圧下することにより、鋳片の中心偏析を低減するとともに、センターポロシティについても程度を軽くしておくことができる。さらに凝固完了後に本発明の大圧下を行うので、センターポロシティの改善効果をより一層確実にすることができる。
垂直曲げ連続鋳造装置を用いて、鋳造幅2000mm、鋳造厚み240mmの鋳型によって鋳片を鋳造するに際し、本発明を適用した。鋳造品種の成分は、質量%でC:0.09%,Si:0.15%,Mn:1.6%,P:0.005%,S:0.004%とした。平居の式(Ts=1538−476.5[%C]−20.5[%Si]−6.5[%Mn]−500[%P]−700[%S])を用いて鋳造品種の成分から算出される固相線温度は1476℃である。
連続鋳造中の凝固完了後の位置(鋳造長で30mの位置)に、1組の圧下ロールを設けた。圧下ロールとして、直径が600mmのフラットロールを用いた。鋳造速度を0.5m/分から1.5m/分まで変化させることによって凝固完了位置を変化させ、圧下位置における鋳片中心部温度を変化させた。圧下ロールが1組なので、圧下開始位置における鋳片厚み中心部温度と圧下終了位置における鋳片厚み中心部温度は同一温度とみることができる。
圧下ロールの前後にデスケーリングノズルを設けて鋳片のデスケーリングを行った。鋳造方向におけるデスケーリングノズル配置位置は図1、図4に示すとおりである。図1は大圧下前、図4(a)は大圧下後、(b)は圧下ロール1本前、(c)は圧下ロール2本前にデスケーリングノズル3を設けている。デスケーリングノズル3と鋳片4との間の距離を120mmとし、吐出圧力を変化させるとともに、ノズルを変更して流量を変化させた。
圧下位置における鋳片表面温度は、連続鋳造中の鋳片伝熱計算を有限要素モデルを用いて行うことによって算出するとともに、鋳造中の鋳片表面温度を二色温度計にて計測して計算結果の検証を行った。圧下位置における鋳片厚み中心部温度も同様の計算方法にて算出した。デスケーリングによる鋳片表面温度低下量は、圧下前にデスケーリングを行わなかった場合に対比し、デスケーリングによって圧下位置における表面温度が何℃低下したかを評価した。
最大ポロシティ径については、高周波超音波(周波数100MHz)を用いて測定した鋳片1/2厚部を超音波探傷で評価したポロシティの最大径で評価した。鋳片厚み中心位置を中心線として上下35mmの70mm×鋳片全幅×厚み10mmの鋳片で評価した。最大ポロシティ径が500μm以下であれば合格とした。250μm以下であればより好ましい。100μm以下であればさらに好ましい。50μm以下であれば最も好ましい。
表面欠陥については、鋳片を熱延後、0.8mmの板厚まで冷間圧延し、全長の表面を疵検査して評価した。スケール系およびパウダー系の表面欠陥1個を1mとしてコイル全長で除して%表示したものを表面欠陥指数(%)とした。表面欠陥指数が0.0015%以下を合格とした。
逆V偏析については、鋳造後、1/2幅部の鋳片を、鋳造長さ方向に20cm切断し、厚み中心部上下35mm(厚さ70mm)の中に存在する偏析形態を評価し、逆V偏析が存在したら「発生」として不合格とした。
Figure 2016175104
Figure 2016175104
結果を表2に示す。本発明範囲から外れている数値にアンダーラインを付している。
発明例1〜15が本発明例である。最大ポロシティ径、表面欠陥指数ともに良好であり、逆V偏析の発生もなく、最終合否は合格であった。
一般的には、鋳片中心部の温度が高く固相線温度に近い方が中心部の強度が低く効率的に圧下する事が可能である。実施例2、8は比較例27、28に比べ圧下量は同じであるが圧下時の中心部温度は低いものの、大圧下直前にデスケーリングノズルの適用により鋳片表面の温度が低下し、中心と表面の温度差が大きくなり、最大ポロシティ径は小さくなっている。即ち効率的に圧下されている。
比較例1〜6は、圧下量が不足し、センターポロシティ改善がなされず、最大ポロシティ径が不合格であった。
比較例7、11、15、19、23、27、28は、圧下位置での鋳片中心部温度が固相線温度−60℃より高く、逆V偏析が発生して不合格であった。
比較例8、12、16、20、24、27、28は、大圧下の前にデスケーリングを行っていない。そのため、同じ圧下量で圧下している本発明例と最大ポロシティ径について比較すると、本発明例に対して最大ポロシティ改善効果が低下していることがわかる。また、これら比較例は表面欠陥指数が大幅に増大している。大圧下の前にデスケーリングを行っていないので、大圧下に際して表面に付着したパウダーが鋳片に押し込まれ、鋼板段階でパウダー性欠陥として発現したものと思われる。
比較例9、10、13、14、17、18、21、22、25、26は、大圧下前にデスケーリングは行っているものの大圧下の直前ではない。そして、表面欠陥指数が不合格となっている。デスケーリング後に大圧下の前にスケール再付着が起こり、そのスケールが大圧下に際して鋳片に押し込まれ、鋼板段階でスケール性欠陥として発現したものと思われる。
1 圧下ロール
2 サポートロール
3 デスケーリングノズル
4 鋳片
5 鋳造方向

Claims (1)

  1. 連続鋳造中において凝固完了後の鋳片を圧下するに際し、圧下ロールとしてフラットロールを用い、圧下量を10〜50%とし、
    凝固完了後の圧下開始位置における鋳片厚み中心部温度は、固相線温度−60℃よりも低い温度であり、圧下終了位置における鋳片厚み中心部温度は800℃以上であり、圧下位置において鋳片の中心部温度と表面温度との差が200℃以上であり、
    圧下ロールと隣接する上流側ロールとのロール間において液体噴射によって鋳片表面のデスケーリングを行い、
    鋳型部における初期鋳片厚みが100mm以上であることを特徴とする連続鋳造方法。
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