JP2016170955A - 二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギー密度が大きく、サイクル特性の良好な二次電池の提供。【解決手段】電極活物質が、一般式1で表される有機化合物を含む二次電池である。<一般式1>[Arは置換/非置換の1,1−ビナフタレン、アントラセン、トリフェニレン、テトラフェニレン又はピレン;Arの置換基はOH基、カルボニル基、C1−3のアルキル基、ハロゲン原子又はアミノ基から選択される基;nは2〜8の整数]【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池等の二次電池に関する。
二次電池は、正極及び負極で起きる酸化還元反応を利用して化学エネルギーを電気エネルギーに変換して取り出したり、又はその逆の過程を行って電気エネルギーを貯蔵するものであり、各種の装置に電源として利用されている。
近年、ノート型パソコン、スマートフォン等の急速な市場拡大により、これらに用いられる二次電池のエネルギー密度、出力密度の飛躍的な向上への要求が高まっている。また、東日本大震災以降の電力事情の緩和のため、大規模大容量二次電池開発への期待が高まっている。これらの要求に応えるために、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンを荷電担体として、その電荷授受に伴う電気化学反応を利用したリチウムイオン二次電池が精力的に開発されている。
前記リチウムイオン二次電池の正極側の電極材料(正極活物質)は、負極側の電極材料(負極活物質)と比較して放電容量(Ah/Kg)の少ないものがほとんどであり、これがリチウムイオン二次電池の高容量化を妨げている大きな要因となっている。また、現在市場に出回っているリチウムイオン二次電池は、正極活物質として比重の大きな金属酸化物を用いているため、単位質量当たりの電池容量が充分でないという問題がある。そこで、より軽量の電極材料、即ち、有機化合物を用いて大容量の二次電池を開発する試みが数多く検討され、報告されている(例えば、特許文献1〜5及び非特許文献1〜2参照)。しかしながら、前記先行技術文献は、いずれも、十分満足できる性能を有するものではなかった。
また最近、キノン骨格を有する機能部位を側鎖として高分子主鎖に導入し、キノンの酸化還元を利用して充放電を行う機構について提案されている(例えば、特許文献6参照)。この提案の技術では、キノン部位はアニオン安定であるためLiイオンのみが移動するロッキングチェア機構で充放電が進行する。そのため、充放電過程において電解液濃度の変動が無く、安定した充放電を行うことができる。
しかし、前記特許文献6に記載の技術は、キノン部位を高分子に導入するため、単位質量あたりの放電容量が低下してしまい、キノン本来の放電容量を発揮しきれないという課題がある。
そこで、本発明は、エネルギー密度が大きく、サイクル特性の良好な二次電池を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の二次電池は、電極活物質が、下記一般式1で表される有機化合物を含む。
<一般式1>
ただし、前記一般式1中、Arは、1,1−ビナフタレン、アントラセン、トリフェニレン、テトラフェニレン、及びピレンから選択される少なくとも1種を表し、これらは置換基により置換されていてもよい。前記Arの置換基は、OH基、該OH基が酸化されたカルボニル基、炭素数3以下のアルキル基、ハロゲン原子、及びアミノ基から選択される少なくとも1種を表す。nは2〜8の整数を表す。
本発明によると、エネルギー密度が大きく、サイクル特性の良好な二次電池を提供することができる。
図1は、本発明の二次電池の一例を示す概略断面図である。 図2は、実施例1における充放電200サイクル時点での電圧−放電容量をプロットした図である。 図3は、実施例17及び比較例3における充放電200サイクル時点での電圧−放電容量をプロットした図である。
(二次電池)
本発明の二次電池は、下記一般式1で表される有機化合物を電極活物質として用いることを特徴とする。
<一般式1>
ただし、前記一般式1中、Arは、1,1−ビナフタレン、アントラセン、トリフェニレン、テトラフェニレン、及びピレンから選択される少なくとも1種を表し、これらは置換基により置換されていてもよい。前記Arの置換基は、OH基、該OH基が酸化されたカルボニル基、炭素数3以下のアルキル基、ハロゲン原子、及びアミノ基から選択される少なくとも1種を表す。nは2〜8の整数を表す。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
前記一般式1のArの置換基としては、OH基、該OH基が酸化されたカルボニル基、及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記一般式1のArが、置換又は無置換の1,1−ビナフタレン、置換又は無置換のアントラセン、及び置換又は無置換のトリフェニレンから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前期一般式1中のnは、2〜8の自然数であり、2〜6の自然数が好ましい。
前記電極活物質としては、正極の電極活物質(正極活物質)と、負極の電極活物質(負極活物質)とがあり、前記一般式1で表される有機化合物は、前記正極活物質及び前記負極活物質の少なくともいずれかに含まれていることが好ましく、これらの中でも、正極活物質に含まれていることが特に好ましい。
前記一般式1で表される有機化合物は、水酸基(OH基)を有する低分子芳香族化合物であり、安定化された酸化還元化合物である。そのため、前記一般式1で表される有機化合物は、充電反応及び放電反応の少なくともいずれかの過程で酸化還元反応を伴う有機化合物を電極活物質として用いる二次電池に有効に使用し得る。
前記一般式1で表される有機化合物を電極活物質として用いることにより、エネルギー密度が大きく、サイクル特性の良好な二次電池を得ることができる。前記二次電池は、電極活物質として用いる前記一般式1で表される有機化合物が安定化されているので、充放電サイクルが安定化し、寿命が長くなる。
ここで、前記一般式1で表される有機化合物の具体的な例示化合物を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
前記一般式1で表される有機化合物の例示化合物中でも、精製の容易さ、及び理論容量の大きさの点から、前記化合物No.4、24、及び34が特に好ましい。
前記一般式1で表される有機化合物は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記合成方法としては、下記反応式5に示すように、Ar−(X)で表されたハロゲン化アリール化合物のアルカリ加水分解処理による合成方法や、ハロゲン化アリールのメトキシ化、脱メチル化を経た合成方法が上げられる。なお、前記反応式5中、XはCl、Br、Iなどのハロゲン原子を表し、nは2〜8の自然数を表す。
<反応式5>
前記市販品としては、例えば、前記化合物No.4、23、24、25、26、27、28、30、32、34などが挙げられる。
前記一般式1で表される有機化合物の酸化還元反応を用いた二次電池の充放電機構について、2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンを例にして説明する。
下記反応式6−1に示すように、水酸基を有する低分子芳香族化合物は、二次電池内での酸化反応により、キノンへと変化する。次に、下記反応式6−2に示すように、キノンはリチウムイオンと反応し、二次電池用正極活物質として機能する。即ち、6つのリチウムイオンと外部回路を通った6電子がキノンと反応することで二次電池として電子を放出し(放電)、逆の反応が進行することで二次電池として電子を蓄える(充電)。この充放電機構を繰り返すことで二次電池の充放電が成立する。
<反応式6−1>
<反応式6−2>
本発明の二次電池は、前記一般式1で表される有機化合物を電極活物質として含有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、正極と、負極と、電解質とを有してなり、セパレータ、更に必要に応じてその他の部材を有することが好ましい。
<正極、負極>
前記正極は、正極集電体と正極活物質を含有する正極層とからなり、前記負極は、負極集電体と負極活物質を含有する負極層とからなる。
<<正極層、負極層>>
前記電極層は、正極の電極層と負極の電極層とからなり、それぞれの電極層は、電極活物質を含有しており、好ましくは、電極活物質と、結着剤と、導電助剤とを含有し、更に必要に応じて、その他の成分金属酸化物や酸化還元化合物などの添加剤を含有してなる。
−電極活物質−
前記電極活物質としては、正極活物質及び負極活物質の少なくともいずれかである。
前記電極活物質は、前記一般式1で表される有機化合物を含む。
前記一般式1で表される有機化合物は、正極及び負極のいずれの電極活物質としても使用できるが、一般的に負極に用いられる材料のエネルギー密度の観点から、正極活物質として使用することが好ましい。
前記一般式1で表される有機化合物を正極活物質として用いる場合には、負極活物質として、例えば、グラファイト、非晶質カーボン、リチウム金属、リチウム合金、リチウムイオン吸蔵炭素、導電性高分子などが用いられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記負極活物質の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウム金属では薄膜状のもの以外に、バルク状のもの、粉末を固めたもの、繊維状のもの、フレーク状のものなどが挙げられる。
一方、前記一般式1で表される有機化合物を負極活物質として用いる場合には、正極活物質としては、例えば、金属酸化物、ジスルフィド化合物、ニトロキシラジカル化合物、導電性ポリマーなどが挙げられる。更に、従来公知の活物質とこれらの材料とを混合して複合活物質として用いてもよい。
前記金属酸化物としては、例えば、LiMnO、LiNi0.5Mn1.5、LixMn(0<x<2)等のマンガン酸リチウムもしくはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム、LiCoO、LiNiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の層状化合物、LiFePO、LiCoPO、LiNiPO等のリン酸塩系化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジスルフィド化合物としては、例えば、ジチオグリコール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、S−トリアジン−2,4,6−トリチオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電性ポリマーとしては、例えば、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記一般式1で表される有機化合物を用いて正極及び負極を作製する場合、前記電極層には、前記水酸基を有した低分子芳香族化合物以外の物質、例えば、金属酸化物、酸化還元化合物を含有させてもよい。
前記金属酸化物としては、例えば、LiMnO、LiNi0.5Mn1.5、LixMn(0<x<2)等のマンガン酸リチウムもしくはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム、LiCoO、LiNiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の層状化合物、LiFePO、LiCoPO、LiNiPO等のリン酸塩系化合物などが挙げられる。
前記酸化還元化合物としては、オキシ酸化還元化合物、ニトロキシル酸化還元化合物、窒素酸化還元化合物、炭素酸化還元化合物、ホウ素酸化還元化合物等の有機化合物などが挙げられる。
前記酸化還元化合物の具体例としては、例えば、下記式(R−1)〜(R−12)で示される化合物が挙げられる。なお、前記式中のnは、繰り返し単位数を表す自然数である。
−結着剤−
前記結着剤は、各構成材料間の結びつきを強めるために含有されている。
前記結着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリイミド、各種ポリウレタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結着剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%〜20質量%が好ましい。
−導電助剤−
前記導電助剤は、集電体と電極活物質間の電子のやり取りを助けるために含有されている。
前記導電助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、C60、C70等のフラーレン;単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、グラフェン等のナノカーボン類;ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック類;比表面積の大きい活性炭、メソポーラスカーボン、気相成長させた炭素繊維などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電助剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着剤100質量部に対して、100質量部〜800質量部が好ましい。
<正極集電体、負極集電体>
前記集電体は、導電体で形成され電池の電極から発生する電荷を集めることができる部材であり、正極集電体と負極集電体がある。
前記集電体の形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記集電体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニッケル、アルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス等の金属箔、金属平板、メッシュ状電極、炭素電極などが挙げられる。なお、前記電極活物質と前記集電体とを化学結合させてもよい。
<電解質>
前記電解質は、負極と正極との両極間の荷電担体輸送を行うものであり、一般に室温(25℃)で10−5S/cm〜10−1S/cmのイオン伝導性を有している。
前記電解質としては、例えば、電解質塩を溶剤に溶解した電解液を用いることができる。
−電解質塩−
前記電解質塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CFSOC、Li(CSOCなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電解質塩の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mol/L〜3.0mol/Lが好ましく、0.5mol/L〜2.0mol/Lがより好ましい。
−溶剤−
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤;トリメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等のアンモニウム系、イミダゾリウム系、ピリジニウム系、ピペリジニウム系、ピロリジニウム系イオン液体を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−固体電解質−
前記電解質として固体電解質を用いることもできる。
前記固体電解質に用いられるポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体;アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリルニトリル系重合体;ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、又はこれらのアクリレート体やメタクリレート体の重合体などが挙げられる。
なお、前記固体電解質は、これらのポリマーに電解液を含ませてゲル状にしたものを用いても、前記ポリマーのみでそのまま用いてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<セパレータ>
前記セパレータは、正極と負極の短絡を防ぐために前記正極と前記負極の間に設けられる。
前記セパレータの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、セロハン、ポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布などが挙げられる。前記紙としては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙などが挙げられる。
前記セパレータの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シート状などが挙げられる。
前記セパレータの構造は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記セパレータの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータは、電解質を含ませて構成することも好ましい。なお、前記電解質として、イオン伝導性高分子等の固体電解質を用いる場合には、前記セパレータそのものを省略することもできる。
<外装容器>
前記外装容器の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銅、ステンレス鋼、ステンレス鋼又は鉄にニッケルなどのめっきを施した金属などが挙げられる。
前記封止容器の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、周囲が反り上がった底の浅い皿状、有底円筒形、有底角柱状などが挙げられる。
前記外装容器の構造は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。前記積層構造としては、例えば、ニッケル、ステンレス鋼、及び銅の三層構造などが挙げられる。
前記外装容器の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の二次電池の製造方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記正極、前記負極、及び前記非水電解液と、必要に応じて用いられるセパレータとを、適切な形状に積層することにより製造される。更に、必要に応じて外装缶等の他の構成部材を用いることも可能である。前記正極及び前記負極の積層方法としては、特に制限はなく、通常採用されている方法の中から適宜選択することができ、多層積層したもの、集電体の両面に積層したものを組み合わせたもの、巻回したものなどが挙げられる。
前記二次電池の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コイン型、円筒状、角形、シート型、ボタン型などが挙げられる。
ここで、図1に、本発明の二次電池の一例を示す概略断面図である。この二次電池は、負極10として負極集電体3と負極活物質を含有する負極層1とを有している。正極11として正極集電体4と正極活物質を含有する正極層2とを有している。前記正極11と前記負極10との間に電解質を含有するセパレータ5を有している。
本発明の二次電池は、図1に示したように、外装容器6の中には、負極集電体3、負極層1、電解質を含んだセパレータ5、正極層2、及び正極集電体4がこの順に積層されている。
<用途>
本発明の二次電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池が好適である。
前記二次電池の用途としては、特に制限はなく、各種用途に用いることができ、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、スマートフォン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ等の電源、バックアップ電源、などが挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<二次電池の作製>
−正極の作製−
前記化合物4と、導電助剤としてのアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、デンカブラック)と、結着剤としてのポリ(フッ化ビニリデン)(株式会社クレハ製、KFポリマーL#1120)とを混合した。そこに、N−メチルピロリドン(関東化学株式会社製、脱水溶剤)を17mL加え、全体が均一になるまで混練して黒色のペーストを得た。なお、混合質量比は、化合物4:導電助剤:結着剤=2:6:2とした。
次に、得られたペーストを、ブレードコート治具を用いてアルミニウム箔(住軽アルミ箔株式会社製、厚み20μm)上に均一に塗工した。得られた塗工膜を、予め100℃に設定しておいた温風乾燥器内に入れて、20分間乾燥させ、正極層を作製した。得られた電極層を直径16mmの円形状に打ち抜き、円形状正極とした。
次に、露点温度−75℃以下のグローブボックス中において、ステンレス鋼製の外装容器内に、前記円形状正極、直径16mmのポリプロピレン多孔質フィルムセパレータ、直径16mmの円形状のLi金属箔からなる負極の順に積層した。
次に、電解質として1.0mol/LのLiPFを含むエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液(体積比1:2)を400μmL充填した。
最後に、ステンレス鋼製の外装容器の蓋を被せ、密閉した。以上により、実施例1の二次電池を作製した。
(実施例2〜16)
<二次電池の作製>
実施例1において、前記化合物4を、表1の実施例2〜16の欄に示す化合物No.の有機化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜16の二次電池を作製した。
(比較例1)
<二次電池の作製>
実施例1において、前記化合物4を、下記比較化合物1に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の二次電池を作製した。
前記式中のnは、繰り返し単位数を表す自然数である。
(比較例2)
<二次電池の作製>
実施例1において、前記化合物4を、下記比較化合物2に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の二次電池を作製した。
次に、作製した実施例1〜16及び比較例1〜2の二次電池において、以下のようにして、放電容量を評価した。結果を表1に示した。
<放電容量の測定>
実施例及び比較例の各二次電池について、定電流(1Cレート;1Cレートとは二次電池の全容量を1時間かけて充電又は放電する電流値)下で、カットオフ電圧を充電4.5V、放電1.4Vとして充放電を行った。その結果、表1に示す正極活物質あたりの放電容量を確認した。なお、正極活物質あたりの放電容量は自動電池評価装置(1024B―7V0.1A−4:エレクトロフィールド社製)により測定した。なお、図2に、実施例1の二次電池の1C充放電200サイクル目の電圧−放電容量をプロットした図を示した。
表1の結果から、前記一般式1で表される有機化合物を正極活物質として用いた実施例1〜16の二次電池は、充放電200サイクル後においても大きな放電容量を示し、二次電池として良好に動作することが確認できた。
これに対して、比較例1の二次電池は、容量劣化が小さいものの、理論的に蓄えられる容量が小さいため、放電容量は小さいことがわかった。
また、比較例2の二次電池は、理論容量は大きいものの、正極活物質の母核となるベンゼン環が実施例で使用した前記一般式1で表される有機化合物と比較して小さいため、電解液への正極活物質の溶出が生じ、放電容量は小さいことがわかった。
(実施例17)
<二次電池の作製>
実施例1において、正極として用いた電極を負極として使用し、負極活物質としての効果を確認した。なお、前記正極としては、実施例1における化合物No.4の有機化合物をLiCoO(Strem Chemicals Inc.製)とした正極を使用した。それ以外は、実施例1と同様にして、実施例17の二次電池を作製した。
(比較例3)
<二次電池の作製>
実施例17において、負極活物質として用いた化合物No.4の有機化合物を、前記比較化合物2とした以外は、実施例17と同様にして、比較例3の二次電池を作製した。
<放電容量の測定>
実施例17及び比較例3の各二次電池について、定電流(1Cレート;1Cレートとは二次電池の全容量を1時間かけて充電又は放電する電流値)下で、カットオフ電圧を充電4.3V、放電3.0Vとして充放電を行った。その結果、表2に示す負極活物質あたりの放電容量を確認した。なお、負極活物質あたりの放電容量は自動電池評価装置(1024B―7V0.1A−4:エレクトロフィールド社製)により測定した。なお、図3に、実施例17及び比較例3の二次電池の1C充放電200サイクル後の電圧−放電容量をプロットした図を示した。
表2及び図3の結果から、化合物No.4の有機化合物を負極活物質として用いた実施例17の二次電池は、充放電200サイクル後においても大きな放電容量を示し、良好な二次電池として動作することが確認された。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 電極活物質が、下記一般式1で表される有機化合物を含むことを特徴とする二次電池である。
<一般式1>
ただし、前記一般式1中、Arは、1,1−ビナフタレン、アントラセン、トリフェニレン、テトラフェニレン、及びピレンから選択される少なくとも1種を表し、これらは置換基により置換されていてもよい。前記Arの置換基は、OH基、該OH基が酸化されたカルボニル基、炭素数3以下のアルキル基、ハロゲン原子、及びアミノ基から選択される少なくとも1種を表す。nは2〜8の整数を表す。
<2> 正極と、負極と、電解質とを有してなり、
前記正極の電極活物質及び前記負極の電極活物質の少なくともいずれかが、前記一般式1で表される有機化合物を含む前記<1>に記載の二次電池である。
<3> 前記正極の電極活物質が、前記一般式1で表される有機化合物を含む前記<2>に記載の二次電池である。
<4> 前記一般式1におけるArの置換基が、OH基、該OH基が酸化されたカルボニル基、及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種である前記<1>から<3>のいずれかに記載の二次電池である。
<5> ハロゲン原子が、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子から選択される少なくとも1種である前記<1>から<4>のいずれかに記載の二次電池である。
<6> 前記一般式1におけるArが、置換又は無置換の1,1−ビナフタレン、置換又は無置換のアントラセン、及び置換又は無置換のトリフェニレンから選択される少なくとも1種である前記<1>から<5>のいずれかに記載の二次電池である。
<7> リチウムイオン二次電池である前記<1>から<6>のいずれかに記載の二次電池である。
1 負極層
2 正極層
3 負極集電体
4 正極集電体
5 セパレータ
6 外装容器
10 負極
11 正極
米国特許第4833048号公報 特許第2715778号公報 特公平7−85420号公報 特許第4687848号公報 特開2010−80343号公報 特開2013−20760号公報
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Claims (7)

  1. 電極活物質が、下記一般式1で表される有機化合物を含むことを特徴とする二次電池。
    <一般式1>
    ただし、前記一般式1中、Arは、1,1−ビナフタレン、アントラセン、トリフェニレン、テトラフェニレン、及びピレンから選択される少なくとも1種を表し、これらは置換基により置換されていてもよい。前記Arの置換基は、OH基、該OH基が酸化されたカルボニル基、炭素数3以下のアルキル基、ハロゲン原子、及びアミノ基から選択される少なくとも1種を表す。nは2〜8の整数を表す。
  2. 正極と、負極と、電解質とを有してなり、
    前記正極の電極活物質及び前記負極の電極活物質の少なくともいずれかが、前記一般式1で表される有機化合物を含む請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記正極の電極活物質が、前記一般式1で表される有機化合物を含む請求項2に記載の二次電池。
  4. 前記一般式1におけるArの置換基が、OH基、該OH基が酸化されたカルボニル基、及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載の二次電池。
  5. ハロゲン原子が、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子から選択される少なくとも1種である請求項1から4のいずれかに記載の二次電池。
  6. 前記一般式1におけるArが、置換又は無置換の1,1−ビナフタレン、置換又は無置換のアントラセン、及び置換又は無置換のトリフェニレンから選択される少なくとも1種である請求項1から5のいずれかに記載の二次電池。
  7. リチウムイオン二次電池である請求項1から6のいずれかに記載の二次電池。
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