JP2016169779A - 捩り振動低減装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成で制振性能を変化させることのできる捩り振動低減装置を提供する。
【解決手段】少なくとも3つの回転要素によって差動作用を行う差動機構1を有し、少なくとも3つの回転要素のうち第1回転要素3がトルクが入力される入力要素とされ、第2回転要素5がトルクを出力する出力要素とされ、第3回転要素2が慣性質量体とされ、それら入力要素と出力要素とが弾性体11を介して相対回転可能に連結された捩り振動低減装置において、第3回転要素2に第3回転要素2の回転方向に所定の隙間8をあけて追加慣性体7が付設されている。この発明によれば、簡易な構成で少なくとも二種類の制振特性を持つ振動低減装置を得ることができる。
【選択図】図1

Description

この発明は、入力されたトルクの振動を、そのトルクの振動に伴って生じる慣性トルクによって低減させるように構成された振動低減装置に関するものである。
特許文献1に記載された捩り振動緩衝装置は遊星歯車機構を備え、そのサンギヤが入力要素とされ、リングギヤが出力要素とされている。サンギヤに第1のはずみ質量体が連結され、リングギヤに第2のはずみ質量体が連結されている。サンギヤとリングギヤとの間に、それらを相対回転可能にすると共に相対回転させるトルクに対抗する弾性力を生じるばね装置が設けられている。
また、特許文献2に記載されたダンパ装置は、エンジンにスプリングを介して接続される第1リングギヤと、第1リングギヤに噛み合うピニオンギヤを自転可能および公転可能に保持しかつエンジンに接続されるキャリヤと、変速機に接続される第2リングギヤとを備えている。上記の第1リングギヤに第1慣性体が取り付けられており、また、第1リングギヤはクラッチ機構を介して第2慣性体に接続されている。その第2慣性体は軸受を介してハウジングに取り付けられている。
特開平9−196122号公報 特開2014−177958号公報
上述した特許文献1に記載された装置では、トルクが変動すると、サンギヤとリングギヤとが相対回転し、それに伴ってキャリヤが回転する。キャリヤはその質量に応じた慣性トルクを前記トルクの変動に対する抵抗力として生じる。しかしながら、キャリヤの質量は一定であるため、前記キャリヤの質量に応じた慣性トルクによって低減できる振動特性が限られてしまう。
また、特許文献2に記載された構成では、クラッチ機構を介して第1リングギヤに第2慣性体を選択的に連結するため、慣性質量が変化してそれぞれに応じた振動特性を得ることができる。しかしながら、特許文献2に記載された構成では、クラッチ機構を設けるため、部品点数が増えたり、またクラッチ機構の制御のための装置が必要になったりするなど、装置の全体としての構成が複雑になってしまう可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、簡易な構成で制振性能を変化させることのできる捩り振動低減装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、少なくとも3つの回転要素によって差動作用を行う差動機構を有し、前記少なくとも3つの回転要素のうち第1回転要素がトルクが入力される入力要素とされ、第2回転要素が前記トルクを出力する出力要素とされ、第3回転要素が慣性質量体とされ、それら入力要素と出力要素とが弾性体を介して相対回転可能に連結された捩り振動低減装置において、前記第3回転要素に前記第3回転要素の回転方向に所定の隙間をあけて追加慣性体が付設されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、入力トルクの振動によって第1回転要素と第2回転要素とが弾性体を圧縮して相対回転し、それに伴って慣性質量体である第3回転要素が往復回転する。その回転角度が小さい状態では追加慣性体との間の隙間が詰まらないので、第3回転要素は追加回転体を伴わずに単独で往復回転する。したがってこの場合の慣性モーメントは第3回転要素の質量に応じた慣性モーメントになる。また、第3回転体の回転角度が大きい場合には、前記隙間が詰まって第3回転要素と追加慣性体とが一体となる。したがってこの場合の慣性モーメントは第3回転要素の質量と追加慣性体の質量とを合算した質量に応じた慣性モーメントになる。この発明によれば、簡易な構成で制振のための等価慣性を大小に変化させ、少なくとも二種類の制振特性を持つ振動低減装置を得ることができる。
この発明に係る捩り振動低減装置の第1実施例の主要部分を構成する遊星歯車機構の正面図である。 図1に示す振動低減装置を所定の動力伝達装置に組み込んだ状態を示すスケルトン図である。 図1に示す捩り振動低減装置の第1実施例の動作を説明するための図である。 この発明の捩り振動低減装置の第2実施例の主要部分を構成する遊星歯車機構の正面図である。 図4に示す捩り振動低減装置を所定の動力伝達装置に組み込んだ状態を示すスケルトン図である。 この発明の捩り振動低減装置の第3実施例の主要部分を構成する遊星歯車機構の正面図である。 図6に示す捩り振動低減装置を所定の動力伝達装置に組み込んだ状態を示すスケルトン図である。 この発明の捩り振動低減装置の第4実施例の主要部分を構成する遊星歯車機構の正面図である。 図8に示す第4実施例におけるサンギヤと質量増大部との噛み合い部を拡大して示す図である。 この発明の捩り振動低減装置の第5実施例の主要部分を構成する遊星歯車機構の正面図である。
図1は、この発明の捩り振動低減装置の第1実施例の主要部分を構成する遊星歯車機構の正面図である。この遊星歯車機構1は、外歯歯車であるサンギヤ2と、サンギヤ2に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ3と、サンギヤ2およびリングギヤ3に噛み合っている外歯歯車である複数のピニオンギヤ4と、それらピニオンギヤ4を自転可能かつ公転可能に保持しているキャリヤ5とを備えている。上記のサンギヤ2に当該サンギヤ2の回転方向に予め定めた隙間をあけて追加慣性体7が取り付けられている。具体的には、サンギヤ2の側面に複数のピン6が設けられており、そのピン6が移動可能に挿入される長孔8が追加慣性体7に形成されている。
上記の追加慣性体7は、一例として扇状に形成されており、板厚方向に貫通する一対の長孔8を有している。各長孔8は追加慣性体7の長さ方向での中央部から等しい位置に、サンギヤ2の円周方向に延びかつ追加慣性体7の形状に沿って湾曲して形成されている。これらの長孔8に上記のピン6が移動可能にそれぞれ挿入されている。前記長孔8の長さは、前記トルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより小さい場合には、長孔8の長さ方向での各内面8a,8bにピン6が接触しない長さとなっている。したがって、トルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより大きい場合には、長孔8の長さ方向での各内面8a,8bとピン6とが接触する。
図2は、図1に示す振動低減装置を所定の動力伝達装置に組み込んだ状態を示すスケルトン図である。図2に示す例では、エンジン9にリングギヤ3が連結されて該リングギヤ3が入力要素とされ、変速機10にキャリヤ5が連結されて該キャリヤ5が出力要素とされている。これらリングギヤ3とキャリヤ5とはこの第1実施例における弾性体に相当するばねダンパ11を介して連結されており、リングギヤ3とキャリヤ5との相対回転を生じさせるトルクに対してばねダンパ11の弾性力が反力として作用するようになっている。
エンジン9のトルクがリングギヤ3に伝達されている場合には、キャリヤ5には変速機10を回転させるためのトルクが反力として作用する。これに伴ってばねダンパ11には図示しないばねを圧縮する荷重が作用し、その荷重に応じた変位が生じる。これによってリングギヤ3とキャリヤ5とが所定角度、相対回転する。それに伴ってサンギヤ2がリングギヤ3とキャリヤ5との相対回転角度に応じた角度回転する。エンジン9から伝達されるトルクが安定している場合には、つまりトルクの振動がないあるいはわずかである場合には、このような相対回転が生じている遊星歯車機構1の全体が一体となって回転し、エンジン9から変速機10にトルクが伝達される。なお、遊星歯車機構1が回転すると、追加慣性体7には遠心力が生じ、その遠心力によって半径方向で外側に移動させられ、後述するように、ピン6の外周面と追加慣性体7における長孔8の内面のうちサンギヤ2の半径方向で内側の内面8cとが接触する。
リングギヤ3に伝達されるトルクが振動すると、ばねダンパ11に作用する荷重すなわち圧縮力が変化し、リングギヤ3とキャリヤ5とが所定角度、相対回転する。それに伴って、サンギヤ2が前記トルクの振動の大きさに応じた回転角度の範囲内で往復回転する。この第1実施例では、トルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより大きい場合にすなわちサンギヤ2の回転角度が予め定めた回転角度より大きい場合に、当該サンギヤ2と共に追加慣性体7が往復動するように、前記長孔8の長さが設計されている。このサンギヤ2と追加慣性体7とを一体に往復動させる回転角度、あるいは、円周方向における長孔8の長さは、エンジン9の気筒数や車種ごとに設計上、定めることができる。
次に、上記構成の捩り振動低減装置の作用について説明する。エンジン9から遊星歯車機構1に伝達されるトルクが安定している場合には、上述したように、ばねダンパ11のばねが撓み、その撓みを維持した状態で遊星歯車機構1の全体が一体となって回転する。追加慣性体7にはその質量および回転数に応じた遠心力が生じ、この遠心力によって追加慣性体7はサンギヤ2の回転中心から半径方向で最も遠い箇所に移動させられる。その結果、ピン6と長孔8の内面のうちサンギヤ2の半径方向で内側の内面8cとが接触する。各長孔8は上述したように追加慣性体7の長さ方向での中央部からそれぞれ等しい位置に形成されているため、各ピン6は各長孔8における前記中央部からそれぞれ等しい位置に配置される。遊星歯車機構1に伝達されるトルクが安定している場合には、この状態が維持される。このような状態がいわゆる中立状態である。
図3は、図1に示す捩り振動低減装置の第1実施例の動作を説明するための図である。図3の(a)は、上述した中立状態の一例を示しており、ここに示す例では、各長孔8の長さ方向での中央部にピン6がそれぞれ配置されている。前記トルクが振動すると、ばねダンパ11に作用する圧縮力が変化し、リングギヤ3とキャリヤ5とがトルクの振動の大きさに応じた角度の範囲内で相対回転する。それに伴ってサンギヤ2は前記トルクの振動の大きさに応じた角度の範囲内で往復回転する。
前記トルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより小さい場合には、サンギヤ2の回転角度は前記予め定めたトルクの振動の大きさに応じた回転角度より小さくなる。図3の(b)および(c)はその状態を示しており、また図3の(b)および(c)にサンギヤ2に作用するトルクの振動の大きさおよび作用方向をベクトルV1またはベクトルV2で記してある。すなわち、図3の(b)にベクトルV1で示すトルクの振動によってサンギヤ2が回転すると、追加慣性体7は見かけ上、サンギヤ2とは反対方向に移動する。図3の(b)に示す例では、サンギヤ2の回転角度は前記予め定めたトルクの振動の大きさに応じた回転角度より小さいため、ピン6と長孔8の長さ方向での他方の内面8bとが当接しない。また、図3の(c)にベクトルV2で示すトルクの振動によってサンギヤ2が回転した場合もこれと同様であって、ピン6と長孔8の長さ方向での一方の内面8aとが当接しない。このように、トルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより小さい場合には、サンギヤ2と追加慣性体7との間の隙間が詰まらない。その結果、追加慣性体7とサンギヤ2とが相対移動し、サンギヤ2は、その質量(慣性モーメント)と回転角加速度とに応じた慣性トルクを生じる。このサンギヤ2の慣性トルクが前記トルクの振動を低減する荷重として作用し、トルクの振動が低減される。
一方、前記トルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより大きい場合には、サンギヤ2の回転角度は前記予め定めたトルクの振動の大きさに応じた回転角度より大きくなる。図3の(d)および(e)はその状態を示しており、また図3の(d)および(e)にサンギヤ2に作用するトルクの振動の大きさおよび作用方向をベクトルV3またはベクトルV4で記してある。すなわち、図3の(d)にベクトルV3で示すトルクの振動によってサンギヤ2が回転すると、サンギヤ2の回転角度が大きいことによりピン6と長孔8の他方の内面8bとが当接する。これは、図3の(e)にベクトルV4で示すトルクの振動によってサンギヤ2が回転した場合も同様である。このようにトルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより大きい場合には、サンギヤ2と追加慣性体7との間の隙間が詰まってこれらが一体となって往復回転する。その結果、サンギヤ2の質量と追加慣性体7の質量とを合算させた質量(慣性モーメント)と回転角加速度とに応じた慣性トルクが生じ、この慣性トルクによってトルクの振動が低減される。
図4は、この発明の捩り振動低減装置の第2実施例の主要部分を構成する遊星歯車機構の正面図であり、図5は、図4に示す捩り振動低減装置を所定の動力伝達装置に組み込んだ状態を示すスケルトン図である。図4および図5に示す例は、エンジン9にサンギヤ2を連結して入力要素とし、変速機10にキャリヤ5を連結して出力要素とした例である。また、それらのサンギヤ2とキャリヤ5とがばねダンパ11を介して連結されている。リングギヤ3に予め定めた隙間をあけて追加慣性体7が取り付けられている。具体的には、リングギヤ3にピン6が設けられており、そのピン6が追加慣性体7の長孔8に挿入される。伝達されるトルクが振動すると、ばねダンパ11に作用する圧縮力が変化し、サンギヤ2とキャリヤ5とが伝達されたトルクの振動の大きさに応じた角度の範囲内で相対回転する。それに伴ってリングギヤ3が前記トルクの振動の大きさに応じた角度の範囲内で往復回転する。この第2実施例では、トルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより大きい場合にすなわちリングギヤ3の回転角度が予め定めた角度より大きい場合に、リングギヤ3と共に追加慣性体7が往復動するように、円周方向における前記長孔8の長さが設計されている。この円周方向における長孔8の長さは、上述した第1実施例と同様に、エンジン9の気筒数や車種ごとに設計上、定めることができる。
図4および図5に示すように構成した場合であっても、伝達されるトルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより小さい場合には、第1実施例と同様の原理により、リングギヤ3が往復回転する。そのため、リングギヤ3の質量と回転角加速度とに応じた慣性トルクによって前記トルクの振動が低減される。一方、トルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより大きい場合には、第1実施例と同様の原理により、リングギヤ3と追加慣性体7とが一体となって往復回転するので、それらの質量を合算させた質量と回転角加速度とに応じた慣性トルクによってトルクの振動が低減される。
図6は、この発明の捩り振動低減装置の第3実施例の主要部分を構成する遊星歯車機構の正面図であり、図7は、図6に示す捩り振動低減装置を所定の動力伝達装置に組み込んだ状態を示すスケルトン図である。図6および図7に示す例は、エンジン9にサンギヤ2を連結して入力要素とし、変速機10にリングギヤ3を連結して出力要素とした例である。また、それらのサンギヤ2とリングギヤ3とがばねダンパ11を介して連結されている。キャリヤ5に予め定めた隙間をあけて追加慣性体7が取り付けられている。具体的には、キャリヤ5にピン6が設けられており、そのピン6が追加慣性体7の長孔8に挿入されている。サンギヤ2に伝達されるトルクが振動すると、ばねダンパ11に作用する圧縮力が変化し、サンギヤ2とリングギヤ3とが伝達されたトルクの振動の大きさに応じた角度の範囲内で相対回転する。それに伴ってキャリヤ5が前記トルクの振動の大きさに応じた角度の範囲内で往復回転する。この第3実施例では、トルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより大きい場合にすなわちキャリヤ5の回転角度が予め定めた回転角度より大きい場合に、キャリヤ5と共に追加慣性体7が往復動するように、円周方向における前記長孔8の長さが設計されている。この円周方向における長孔8の長さは、上述した第1実施例や第2実施例と同様に、エンジン9の気筒数や車種ごとに設計上、定めることができる。
図6および図7に示すように構成した場合であっても、伝達されるトルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより小さい場合には、第1実施例や第2実施例と同様の原理により、キャリヤ5が往復回転する。そのため、キャリヤ5の質量と回転角加速度とに応じた慣性トルクによって前記トルクの振動が低減される。一方、トルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより大きい場合には、第1実施例や第2実施例と同様の原理により、キャリヤ5と追加慣性体7とが一体となって往復動するので、それらの質量を合算させた質量と回転角加速度とに応じた慣性トルクによってトルクの振動が低減される。
図8は、この発明の捩り振動低減装置の第4実施例の主要部分を構成する遊星歯車機構の正面図である。ここに示す例は、図1に示す第1実施例の一部を変更した例であって、サンギヤ2の半径方向で内側に、円周方向に予め定めた隙間をあけて追加慣性体7を付設した例である。図8に示す追加慣性体7は、環状に形成されており、その外周面に一定の間隔で外歯が形成されている。それらの外歯に噛み合う内歯がサンギヤ2の半径方向で内側に形成されている。図9は、サンギヤ2と追加慣性体7との噛み合い部を拡大して示す図である。この図9に示すように、サンギヤ2の内歯2aの歯面と、追加慣性体7の外歯7aの歯面との間に予め定めた隙間Cが形成されている。この隙間Cは第1実施例ないし第3実施例での長孔8と同様に機能するものであって、トルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより大きい場合に、サンギヤ2と追加慣性体7とが一体となって往復動するように、設計されている。すなわち、予め定めたトルクの振動の大きさに応じたサンギヤ2の移動長さと同じ長さとなっている。なお、サンギヤ2と追加慣性体7とは、いわゆるドグ歯同士の噛み合いに替えて、前記隙間Cをあけてスプライン嵌合するように構成してもよく、要は、上記の隙間が形成されていればよい。なおまた、第1実施例と同様に、リングギヤ3にエンジン9が連結され、キャリヤ5に変速機10が連結されており、それらのリングギヤ3とキャリヤ5とがばねダンパ11を介して連結されている。
図10は、この発明の捩り振動低減装置の第5実施例の主要部分を構成する遊星歯車機構の正面図である。ここに示す例は、図8に示す第4実施例の一部を変更した例であって、サンギヤ2の外歯に予め定めた隙間をあけて噛み合うように、追加慣性体7を設けた例である。詳細は図示しないが、その追加慣性体7は環状に形成されており、その外周面に一定の間隔でサンギヤ2の外歯に噛み合う外歯が形成されている。また、サンギヤ2の外歯の歯面と、追加慣性体7の外歯の歯面との間に、前記第4実施例と同様に、隙間Cが形成されている。
図8に示す第4実施例および図10に示す第5実施例であっても、伝達されるトルクが振動すると、第1実施例と同様に、リングギヤ3とキャリヤ5とがトルクの振動の大きさに応じた角度の範囲内で相対回転する。それに伴ってサンギヤ2が前記トルクの振動の大きさに応じた角度の範囲内で往復回転する。上述した隙間Cは長孔8と同様に機能するため、前記トルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより小さい場合には、第1実施例と同様の原理により、追加慣性体7の外歯とサンギヤ2の内歯あるいは外歯とが噛み合わず、サンギヤ2のみが往復動する。そのサンギヤ2の質量と回転角加速度とに応じた慣性トルクによってトルクの振動が低減される。一方、前記トルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより大きい場合には、第1実施例と同様の原理により、追加慣性体7の外歯とサンギヤ2の内歯あるいは外歯とが噛み合うことにより、これらが一体となって往復動し、それらの質量を合算させた質量と回転角加速度とに応じた慣性トルクによってトルクの振動が低減される。
このように、この発明に係る振動低減装置では、三つの回転要素によって差動作用を行う遊星歯車機構を有し、その三つの回転要素のうち一つの回転要素を捩り振動を低減する慣性質量体として機能させる。そして、この慣性質量体に予め定めた隙間をあけて追加慣性体7が付設されているため、入力されるトルクの振動の大きさが予め定めたトルクの振動の大きさより大きい場合には、慣性質量体と追加慣性体7とを一体に往復動させることができる。そのため、この発明によれば、構成が簡単で、しかも、少なくとも二種類の制振特性を持つ振動低減装置を得ることができる。
1…遊星歯車機構、 2…サンギヤ、 3…リングギヤ、 5…キャリヤ、 6…ピン、 7…追加慣性体、 8…長孔、 11…ばねダンパ。

Claims (1)

  1. 少なくとも3つの回転要素によって差動作用を行う差動機構を有し、前記少なくとも3つの回転要素のうち第1回転要素がトルクが入力される入力要素とされ、第2回転要素が前記トルクを出力する出力要素とされ、第3回転要素が慣性質量体とされ、それら入力要素と出力要素とが弾性体を介して相対回転可能に連結された捩り振動低減装置において、 前記第3回転要素に前記第3回転要素の回転方向に所定の隙間をあけて追加慣性体が付設されている
    ことを特徴とする捩り振動低減装置。
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