JP2016169359A - ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定の変性された共役ジエン系ゴムを10質量部以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを30質量部以上およびグリセリンモノ脂肪酸エステルをシリカに対して1〜20質量%配合してなるゴム組成物によって上記課題を解決した。
【選択図】なし
Description
しかし、従来技術における変性ゴムは、変性基同士の相互作用による未加硫ゴム組成物の粘度上昇や、シリカの分散性向上による硬度の低下等の問題点がある。また、従来技術における変性ゴムは、導入される変性基によりシリカの分散性を確保するものであるが、変性基の導入には限界があり、シリカの分散性向上にはいまだ改善の余地があった。
すなわち本発明は以下のとおりである。
前記共役ジエン系ゴム(A)が、下記重合体ブロック(B)に下記重合体ブロック(C)を前記重合体ブロック(B)と一続きにして形成することによって得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、下記一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンを反応させることによって得られた共役ジエン系ゴムであることを特徴とするゴム組成物。
前記重合体ブロック(B):イソプレン単量体単位80〜95質量%および芳香族ビニル単量体単位5〜20質量%を含む活性末端を有する重量平均分子量500〜15,000の重合体ブロック。
前記重合体ブロック(C):1,3−ブタジエンおよび/または芳香族ビニル単量体を含む活性末端を有する重合体ブロック。
2.さらに、下記一般式(1)で表される化合物を前記シリカに対し1〜10質量%配合してなることを特徴とする前記1に記載のゴム組成物。
3.前記グリセリンモノ脂肪酸エステルが不飽和結合を含むことを特徴とする前記1または2のいずれかに記載のゴム組成物。
4.前記1〜3のいずれかに記載のゴム組成物をトレッドに使用した空気入りタイヤ。
本発明で使用されるジエン系ゴムは、その全体を100質量部としたときに、下記で説明する共役ジエン系ゴム(A)を10質量部以上含む必要がある。共役ジエン系ゴム(A)が10質量部未満であると、シリカの分散性が低下する。共役ジエン系ゴム(A)のさらに好ましい配合量は、ジエン系ゴムの全体を100質量部としたときに、40質量部以上である。
また本発明では共役ジエン系ゴム(A)以外にも、ゴム組成物に配合することができる任意のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
本発明の共役ジエン系ゴム(A)は、公知であって、その製造方法を含め、特許文献1(国際公開WO2014/050341号パンフレット)に詳細に開示されている。以下、共役ジエン系ゴム(A)について説明する。本発明における共役ジエン系ゴム(A)は、下記重合体ブロック(B)に下記重合体ブロック(C)を前記重合体ブロック(B)と一続きにして形成することによって得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、下記一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンを反応させることによって得られる。
前記重合体ブロック(C):1,3−ブタジエンおよび/または芳香族ビニル単量体を含む活性末端を有する重合体ブロック。
前記重合体ブロック(B)は、イソプレン単量体単位80〜95質量%および芳香族ビニル単量体単位5〜20質量%を含んでいれば特に限定されず、イソプレン単量体単位85〜95質量%および芳香族ビニル単量体単位5〜15質量%を含んでいることが好ましく、イソプレン単量体単位89〜95質量%および芳香族ビニル単量体単位5〜11質量%を含んでいることがより好ましい。
重合体ブロック(C)は、1,3−ブタジエン単量体単位50〜100質量%および芳香族ビニル単量体単位0〜50質量%を含んでいれば特に限定されず、1,3−ブタジエン単量体単位55〜95質量%および芳香族ビニル単量体単位5〜45質量%を含んでいることが好ましく、1,3−ブタジエン単量体単位55〜90質量%および芳香族ビニル単量体単位10〜45質量%を含んでいることがより好ましい。
本明細書において「変性剤」とは、分子中に、共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有するものであり、本発明において、この官能基は、エポキシ基およびアルコキシ基から選ばれる少なくともいずれかの基である。本発明において、この官能基の数は、1分子中に3以上である。エポキシ基およびアルコキシ基から選ばれる少なくともいずれかの基を1分子中に3以上有する変性剤を用いることにより、共役ジエン系重合体鎖を高効率に変性させることができるため、本発明の製造方法により得られる共役ジエン系ゴムは、シリカとの親和性が高まる。その結果、得られるタイヤは、低発熱性に優れる。なお、本明細書において「エポキシ基およびアルコキシ基から選ばれる少なくともいずれかの基を1分子中に3以上有する」とは、一分子中にエポキシ基を3以上有する場合、一分子中にアルコキシ基を3以上有する場合、一分子中に1のエポキシ基および2以上のアルコキシ基を有する場合、一分子中に2のエポキシ基および1以上のアルコキシ基を有する場合、ならびに一分子中に3以上のエポキシ基および1以上のアルコキシ基を有する場合を含むことを意図している。
一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンにおいて、一般式(I)のR1〜R8、X1およびX4を構成し得る炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基およびシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基およびメチルフェニル基などが挙げられる。これらの中でも、ポリオルガノシロキサン自体の製造の容易性の観点から、メチル基およびエチル基が好ましい。
一般式(II)中、Z1は、炭素数1〜10のアルキレン基、またはアルキルアリーレン基であり、Z2はメチレン基、硫黄原子、または酸素原子であり、Eはエポキシ基を有する炭素数2〜10の炭化水素基である。
本発明で使用されるシリカとしては、乾式シリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカおよび沈降シリカなど、従来からゴム組成物において使用することが知られている任意のシリカを単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
なお本発明では、本発明の効果がさらに向上するという観点から、シリカの窒素吸着比比表面積(N2SA)(ISO 9277)は、80〜300m2/gであるのが好ましく、100〜250m2/gであるのがさらに好ましい。
本発明で使用されるグリセリンモノ脂肪酸エステルは、炭素数8〜24の脂肪酸を由来とするモノグリセリドであるのが好ましい。
脂肪酸としては、具体的には、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸の直鎖脂肪酸類が挙げられる。
グリセリンモノ脂肪酸エステルは、1種類を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の効果が向上するという観点から、前記脂肪酸は、ステアリン酸、オレイン酸が好ましい。
本発明者の検討によれば、グリセリンモノ脂肪酸エステルは、変性ポリマーを含むジエン系ゴムの滑剤として作用し、ゴム組成物の粘度を低下させるとともに、グリセリン由来の2つの−OH基がシリカ表面のシラノール基に吸着し、かつ脂肪酸由来の炭素鎖が疎水化部位として作用し、シリカの分散性を高めるものと推測される。また、硬度を低下させずに低燃費性を高めるという効果も奏する。
特に、グリセリンモノ脂肪酸エステルのアルキル鎖が不飽和である場合、不飽和結合が硫黄との反応点となり、ポリマーの架橋密度を相対的に低下させ、余分な架橋を抑制することで本発明の効果がさらに高まるとともに、破断強度・破断伸びを向上させることが可能である。
本発明のゴム組成物は、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを30質量部以上およびグリセリンモノ脂肪酸エステルを前記シリカに対して1〜20質量%配合してなることを特徴とする。
シリカの配合量が30質量部未満であると、硬度が悪化する。
グリセリンモノ脂肪酸エステルの配合量が1質量%未満であると配合量が少なすぎて本発明の効果を得ることができない。逆に20質量%を超えると硬度が低下する。
さらに好ましい前記グリセリンモノ脂肪酸エステルの配合量は、シリカに対して5〜15質量%である。
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;酸化亜鉛、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウムのような各種充填剤;老化防止剤;可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で加硫ゴム試験片の物性を測定した。
ペイン効果:未加硫の組成物を用いてASTM P6204に準拠してRPA2000においてG’(0.56%歪)を測定した。結果は、標準例1の値を100として指数で示した。この値が低いほどシリカの分散性が高いことを意味する。
硬度:JIS K6253に従い、20℃で試験した。結果は標準例1の値を100として指数表示した。この値が高いほど、硬度が高いことを示す。
結果を表1に示す。
*2:共役ジエン系ゴム(A)(WO2014/050341の実施例1に準じて製造した共役ジエン系ゴム。油展品(表1では実際のゴム量を記載した)、以下の特性を有する:
活性末端を有する重合体ブロック(B)の構造=スチレンおよびイソプレンのランダムブロックのヒドロカルビルリチウム。
重合体ブロック(B)におけるイソプレン含量=92.8質量%
重合体ブロック(B)におけるスチレン含量=7.2質量%
重合体ブロック(B)の重量平均分子量=8400
重合体ブロック(C)の単量体=1,3−ブタジエンおよびスチレンの混合物
変性剤=下記式(IV)で表されるポリオルガノシロキサン(使用した重合開始剤の0.33倍モルに相当する量を反応させた)
共役ジエン系ゴム(A)のスチレン含量=21.6質量%
共役ジエン系ゴム(A)のビニル含量=53.6質量%
共役ジエン系ゴム(A)の重量平均分子量=375000)
*4:変性S−SBR2(日本ゼオン(株)製NS612、末端にヒドロキシル基含有ポリオルガノシロキサン構造を有する溶液重合スチレンブタジエンゴム、スチレン含量=16質量%、非油展品)
*5:BR(日本ゼオン(株)製Nipol BR1220)
*6:シリカ(ローディア社製Zeosil 1165MP、窒素吸着比表面積(N2SA)=165m2/g)
*7:カーボンブラック(キャボットジャパン(株)製ショウブラックN339、窒素吸着比比表面積(N2SA)=90m2/g))
*8:シランカップリング剤(エボニックデグッサ社製Si69、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
*9:アルキルトリエトキシシラン(信越化学(株)製KBE−3083、n−オクチルトリエトキシシラン)
*10:グリセリンモノ脂肪酸エステル−1(シグマアルドリッチ社製モノステアリン酸グリセロール)
*10’:グリセリンモノ脂肪酸エステル−2(モノ酪酸グリセロール)
*10’’:グリセリンモノ脂肪酸エステル−3(モノデカン酸グリセロール)
*10’’’:グリセリンモノ脂肪酸エステル−4(モノベヘン酸グリセロール)
*10’’’’:グリセリンモノ脂肪酸エステル−5(モノオレイン酸グリセロール)
*11:グリセリン(シグマアルドリッチ社製)
*12:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*13:ステアリン酸(日油(株)製ステアリン酸YR)
*14:老化防止剤(Solutia Europe社製Santoflex 6PPD)
*15:プロセスオイル(昭和シェル石油(株)製エキストラクト4号S)
*16:硫黄(軽井沢精錬所社製油処理イオウ)
*17:加硫促進剤CZ(大内新興化学工業(株)製ノクセラーCZ−G)
*18:加硫促進剤DPG(Flexsys社製Perkacit DPG)
これに対し、比較例1は、グリセリンモノ脂肪酸エステルを配合していないので、ムーニー粘度が上昇し、硬度も低下した。
比較例2は、グリセリンモノ脂肪酸エステルの配合量が本発明で規定する下限未満であるので、ムーニー粘度が上昇し、硬度も低下した。
比較例3は、グリセリンモノ脂肪酸エステルの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、硬度が低下した。
比較例4は、グリセリンモノ脂肪酸エステルの替わりにグリセリンを配合した例であるので、ムーニー粘度が上昇し、シリカの分散性が悪化した。
比較例5は、共役ジエン系ゴム(A)の配合量が本発明で規定する下限未満であるので、シリカの分散性が悪化した。
比較例6および7は、本発明で規定する特定の変性ゴム以外のゴムを配合した例であるので、ムーニー粘度が上昇し、硬度も低下した。比較例6ではシリカの分散性も悪化した。
比較例8は、モノ酪酸グリセロールを配合した例であるので、ムーニー粘度が上昇し、シリカの分散性が悪化した。
Claims (4)
- 共役ジエン系ゴム(A)を10〜100質量部含むジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを30質量部以上およびグリセリンモノ脂肪酸エステルを前記シリカに対して1〜20質量%配合してなり、
前記共役ジエン系ゴム(A)が、下記重合体ブロック(B)に下記重合体ブロック(C)を前記重合体ブロック(B)と一続きにして形成することによって得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、下記一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンを反応させることによって得られた共役ジエン系ゴムであることを特徴とするゴム組成物。
前記重合体ブロック(B):イソプレン単量体単位80〜95質量%および芳香族ビニル単量体単位5〜20質量%を含む活性末端を有する重量平均分子量500〜15,000の重合体ブロック。
前記重合体ブロック(C):1,3−ブタジエンおよび/または芳香族ビニル単量体を含む活性末端を有する重合体ブロック。
- 前記グリセリンモノ脂肪酸エステルが不飽和結合を含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物をトレッドに使用した空気入りタイヤ。
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