JP2016163575A - 飲料エマルション用の封入密度調整剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】飲料が、保存可能期間中に望ましくないクリーム層を形成する。
【解決手段】水性相に溶解された乳化剤、油滴を含む油相、および、前記油滴に封入された固体の密度調整剤を有する水性相を含むエマルションが開示されている。エマルション中の固体の密度調整剤と油相の比が、約1:5から約1:2000であってもよい。前記エマルジョンは、購入後直ぐ飲める飲料および飲料原液に使用されてもよい。そのようなエマルジョンを作製する方法もまた開示されている。
【選択図】なし
【解決手段】水性相に溶解された乳化剤、油滴を含む油相、および、前記油滴に封入された固体の密度調整剤を有する水性相を含むエマルションが開示されている。エマルション中の固体の密度調整剤と油相の比が、約1:5から約1:2000であってもよい。前記エマルジョンは、購入後直ぐ飲める飲料および飲料原液に使用されてもよい。そのようなエマルジョンを作製する方法もまた開示されている。
【選択図】なし
Description
本分野は、密度調整剤、より詳細には、飲料エマルション用の油中封入密度調整剤、およびこれを生成するための方法に関する。
清涼飲料は、最も広く消費される飲料の一部である。オレンジ、レモンおよびハッカ油などの香味油は特徴的な芳香プロファイルを有する揮発性成分を含有するので、それらは飲用可能な飲料に香味剤としてしばしば使用される。清涼飲料はまた、懸濁剤、密度調整剤、栄養補助食品、油溶性ビタミン、および油溶性抗菌剤などの多様な疎水性成分を含有することもできる。香味油および他の疎水性構成要素の非極性のため、かかる構成要素は重力によって急速に凝集および分離して製品の上部に油の層をもたらすので、それらは典型的には水性相に直接分散しない。代わりに、こうした構成要素は、通常、水性媒体中に懸濁した小粒子内に封入された香味分子からなるコロイド性分散液、すなわち、エマルションに転換される。
飲料業界で使用されるエマルションは典型的には2つの群:フレーバーエマルション(flavor emulsion)およびクラウドエマルション(cloud emulsion)に分割される。フレーバーエマルションは、飲料製品に味および芳香を提供するために主として存在する親油性化合物を含有する(レモン、ライム、またはオレンジ油など)。他方、クラウドエマルションは、ある種の飲料製品に特定の光学特性を提供するために、すなわち、それらの濁度(「曇り度」)を上げるために使用される。クラウドエマルションは典型的には、水不溶性が高く化学的に分解されにくい油相、例えば、無香性植物油を使用して調製される。加えて、クラウドエマルション内の液滴の大きさは典型的には、光の散乱が大きいが重力による分離を受けるほどは大きくないような寸法を液滴が有するように設計される。クラウドエマルションは、比較的低い百分率の果汁しか含有しない飲料にしばしば添加され、沈降および環状化を見えなくする望ましい濁った外観を提供する。
一般に、エマルションは、少なくとも2つの不混和性の液体(通常、油および水)からなり、一方の液体が他方の液体中に小さい球状液滴として分散している。エマルションは、油および水相の相対的な空間的構成によって分類される。水中に分散された油滴を含有する系は、水中油型(O/W)エマルションと呼ばれ、油中に分散された水滴を含有する系は、油中水型(W/O)エマルションと呼ばれる。現在、飲料業界で使用されているエマルションはほとんどすべて、O/W型であるが、一部の用途では、他のエマルションの型を使用する方が有利である場合もある。
飲料エマルションは、それらの製造、輸送、貯蔵、および利用中に、それらの保存可能期間を短くする可能性のある範囲の環境ストレスを受ける。例として、機械的な力(例えば、撹拌、パイプ中の流れ、遠心分離、振動、および注入)、温度変動(例えば、凍結、冷却、温度上昇、低温殺菌、および殺菌)、光への暴露(例えば、自然または人工の可視または紫外波)、酸素への暴露、溶液特性の変動(例えば、水のpHおよび鉱物組成)が挙げられる。こうした環境ストレスへの暴露は、構成要素の機能の喪失(例えば、溶解度、表面活性、または安定化能の変化)、化学的な分解反応の加速(例えば、酸化、重合、または加水分解)、および物理的な不安定化機構の加速(例えば、軟凝集、凝集またはオストワルド熟成)を含めた多様な物理化学的な機構を介してエマルションの不安定性を促進する場合がある。
一般に、エマルションは、熱力学的に不安定な系であり、それは、重力による分離、軟凝集、凝集およびオストワルド熟成を含めた多様な物理化学的な機構のために時間と共に壊れる傾向がある。かかる不安定な機構は、系内の多様な成分の構造的構成の変化をもたらし、飲料エマルションの物理的な安定性に有害な変化をもたらす場合がある。重力による分離は、市販の飲料エマルションにおける物理的な不安定性の最も普通の形態の1つであり、油滴および周囲の水性相の相対的な密度に応じて、クリーム化または沈降の形態であり得る。
飲料エマルションにおけるかかる課題の1つは、クリーム化であり、これは、水性相より液滴の密度が小さい場合における液滴の上方への移動であり、一方、沈降は、水性相より液滴の密度が大きい場合における液滴の下方への移動である。飲料エマルションに使用される油相は主として、水より密度が小さいトリアシルグリセロールおよび/または香味油からなるので、クリーム化がより一般的である。飲料エマルションが、比較的に厚く、密な界面層で覆われた非常に小さい油滴を含有する場合、それは、沈降しやすい可能性がある。
飲料エマルションで起こり得る別の課題は、「環状化」であり、これは、製品の上部における油滴の可視環の蓄積であり、これは、一部の消費者にとって視覚的に不快であり得る。「環状化」効果は、液滴のクリーム化によるものであり、これは、最初のエマルション中の液滴の数が大きすぎたため、または貯蔵中に例えば、軟凝集、凝集、もしくはオストワルド熟成により一部の液滴が成長したために生じた可能性がある。オストワルド熟成とは、介在している水性相中を油分子が拡散することによって、水中油型エマルション中の油滴の大きさが時間と共に小滴から大滴へと増大する過程である。飲料エマルションのオストワルド熟成に対する感受性は、油相の水性相中への溶解度によって主として決定される。特に、油相の水性相中への溶解度が大きいほど、より不安定なエマルションである。
一般に、油の密度によって、エマルション内の粒子のクリーム化または沈降の速度が決定される。特に、液滴と周囲の流体の間の密度差が大きいほど、重力による分離の速度がより大きくなる。したがって、飲料エマルションの重力による分離に対する安定性は、油滴の密度を周囲の水性相のそれに確実に近づけることによって改良することができる。香味油および植物油の密度は典型的には、水および糖水溶液のそれらより相当に低く、そのため、香味油および植物油を含有する液滴は、貯蔵中に上方に移動する傾向があり、望ましくないクリーム化がもたらされる。エマルション中のクリーム化速度は、油滴と周囲の水性相の間の密度差を小さくすることによって遅くすることができる。
密度調整剤は、油滴の重力による分離を阻害するために、ある種の型の飲料エマルションの油相に組み込まれる添加剤である。飲料エマルションにおけるクリーム化および環状化問題は、油滴と周囲の水性相の間の密度差を小さくすることによって減らすことができる。典型的には水よりかなり大きい密度を有する疎水性成分である密度調整剤は、油相の密度が水性相の密度に合うように油相のそれを高くさせるために使用することができる。注目すべきことに、飲料エマルションは、油相含量が典型的には非常に低い(<0.1%)ので、こうした密度調整剤を使用してクリーム化速度を落とすことができる数少ない製品のうちの1つである。
市販の飲料製品内で利用するために、いくつかの異なる密度調整剤が公知である。かかる密度調整剤として、臭素化植物油(BVO)、スクロースアセタートイソブチラート(SAIB)、エステルガムおよびダンマルガムが挙げられる。こうした異なる成分のいずれが特定の飲料製品内での適用に適するかを決定するいくつかの異なる因子が存在する。法的に飲料に使用できるそれぞれの型の密度調整剤の量に関しての制限も存在する。また、一部の密度調整剤は消費者によって他より「天然に近い」と認識される場合があるので、異なる密度調整剤の「ラベルに対する親近感」に差がある。
BVOおよびエステルガムが、飲料エマルションにおいて最もよく使用される密度調整剤である。しかし、最終製品中に見出すことができる密度調整剤の量は、しばしば規制されている。例えば、BVOおよびエステルガムの使用は、それぞれ、サービング当り15および100ppmに制限されている場合が多い。許容される密度調整剤の濃度がこのように低いので、BVOおよびエステルガムを使用できる製品の型が限定される。
臭素化植物油(BVO)は、とうもろこし、大豆、綿実、またはオリーブ油中のトリアシルグリセロール分子の二重結合に臭素を添加して作製される。一部の場合、BVOは、サービング当り15ppmを超えないレベルで使用が許可されている。しかし、清涼飲料中のBVOの存在について消費者の関心が近年高まっている。BVOは、米国では、依然として使用が許可されてはいるが、それは一部の消費者にとっては望ましくない。
エステルガムは、グリセロールをエステル化してガムロジンにする場合に作製される疎水性ポリマーである。それは、通常、油相内に組み込める結晶性固体として供給される。エステルガムは、その調製時に使用されるエステル化段階のために人工の食用構成要素であると人によっては考えることもできるが、それは、天然成分(ガムロジン)および非動物性グリセロールから誘導され、一部の場合、サービング当り100ppmを超えないレベルで使用することが許容される。エステルガムは、BVOと類似の性能を示すが、密度を上げるためには、より高い濃度のエステルガムを油相に添加しなければならない。ダンマルガムは、ジャケツイバラ(Caesalpiniaceae)およびフタバガキ(Dipterocarpaceae)の低木の滲出液から単離される天然の密度調整剤である。ダンマルガムは、一部の国では、使用が承認されているが、米国では安全であると総合的にみなされた(GRAS)地位を得ていない。
スクロースアセタートイソブチラート(SAIB)は、酢酸およびイソ酪酸無水物によるスクロースのエステル化によって生成する合成の密度調整剤である。SAIBは、通常、均質化する前に油相と混合できる高粘性の透明液体の形態で供給される。飲料中のSAIBの使用は、現在、一部の場合、サービング当り300ppmまでの量で許可されている。
SAIB、BVO、およびGEWRなどの従来の密度調整剤には、いくつかの欠点が存在する。第1に、飲料におけるSAIB、BVO、およびGEの使用は、一部の例においてサービング当りそれぞれ、300、15、および100ppmに制限される場合がある。また、SAIB、BVO、およびGEWRは、一部の消費者に望まれていない場合のある構成要素である。加えて、SAIB、BVO、およびGEWRの密度は、それぞれ、1.146g/ml、1.24〜1.33g/ml、および1.08g/mlであり、これでは、油滴を適切に重くするには低すぎる。例えば、糖で甘くした即席飲料または濃縮液体飲料は、約1.05から約1.25g/mlの範囲の水性相密度および約0.9g/mlの香味/混濁油相密度を有することができる。SAIB、BVO、およびGEWRの使用および密度に関する上述の制限のために、こうした密度調整剤は、油相を水性相の密度まで重くすることができず、したがって、飲料が、保存可能期間中に望ましくないクリーム層を形成することになる。
油滴中に封入された密度調整剤を含む飲用可能な飲料用の水中油型エマルション、組成物、および/または構成要素、かかる構成要素を含む飲料、ならびにかかるエマルションを調製する方法が開示される。
1つの手法では、飲用可能な飲料用のエマルションは、その中に溶解された乳化剤を含む連続水性相と、連続水性相中に分散した油滴を含む油相とを含む。エマルションはまた、エマルション中の固体の密度調整剤と油相の比が、約1:5から約1:2000になるように油滴中に封入された固体の油不溶性密度調整剤を含む。
別の手法では、その中に溶解した乳化剤を含む連続水性相と、連続水性相中に分散した油滴を含む油相とを含むエマルション構成要素または成分を含む飲料が記載される。飲料は、さらに、油滴中に封入された固体の油不溶性密度調整剤を含み、エマルション中の固体の密度調整剤と油相の比は、約1:5から約1:2000である。エマルション成分または構成要素は、飲料用の香味油、芳香剤、混濁油(例えば、植物油)、香味油溶媒(例えば、中鎖トリグリセリド)および/またはそれらの組合せであってよい。
エマルション構成要素、成分、または組成物は、固体の油不溶性密度調整剤を封入した平均サイズが約100nm超の油滴を含む水中油型エマルションであってよい。油滴は、約100nmから約1500nmの平均の大きさを有することができる。
1つの形態では、固体の密度調整剤と油相の比は、約1:16.5から約1:1,650であってよい。固体の密度調整剤は、90%までの水を有することができるエマルションの約1:165から約1:16,500重量%でエマルション中に存在することができる。固体の密度調整剤は、約1.0g/mlから約6.0g/ml、他の場合、約1.25g/m1から約5g/mlの密度を有することができ、二酸化チタンであってよい。
油相は、ヒマシ油、テルペン系炭化水素、香味油、例えば、アルコール、ケトン、アルデヒド、ラクトン、エーテル、エステル、イオウ化合物、フラノン、テルペノイド、油溶性ビタミンまたは栄養補助食品、例えば、ビタミンA、D、E、Kなど、脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、トリグリセリドおよびトリグリセリド誘導体、酸化防止剤、着色剤、植物油、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される水不溶性脂質を含むことができる。
1つの手法では、乳化剤は、約50,000ダルトン以上、一部の場合、約100,000から約800,000ダルトン、他の場合、約400,000から約600,000ダルトンの分子量を有する。乳化剤は、アカシアガム、改質食用デンプン、改質アカシアガム、トウモロコシ繊維ガム、トラガカントガム、カラヤガム、ガッチガムおよびそれらの組合せからなる群から選択することができる。
エマルションのクリーム化速度は、周囲状況での貯蔵で約0から約5mm/日、一部の場合、約0から約1mm/日、および一部の場合、約0から約0.75mm/日であり得る。エマルションは、約0.1から約0.4の不安定性指数を有することができ、クリーム化が全くない場合は0、完全なクリーム化の場合1である。
1つの手法では、飲用可能な飲料用のエマルションを作製する方法は、平均の大きさ100nm超の油滴を含む油を提供するステップと、約1:5から約1:2000の固体の密度調整剤と油の比で油に固体の密度調整剤を添加し、固体の密度調整剤および油を撹拌して固体の密度調整剤が油滴中に分散している、固体の密度調整剤と油のブレンドを提供するステップと、水溶液に溶解した乳化剤を含む水溶液を提供するステップと、固体の密度調整剤と油のブレンドを水溶液に添加して水中油型エマルションを形成するステップとを含む。
本方法は、油と油滴中に封入された固体の密度調整剤とのブレンドを水溶液に添加して水中油型エマルションを形成した後に、水中油型エマルションを均質化するステップをさらに含むことができる。
本明細書で開示された製品および方法は、エマルションが、エマルションをより安定にし、クリーム化速度を落とすための油滴中に封止された密度調整剤を含む飲用可能な飲料用の構成要素または成分として適切な水中油型エマルションに関する。例えば、かかるエマルションおよび本明細書のエマルションを含むかかる飲料または組成物は、本明細書に記載の密度調整剤が以前の飲料または組成物中に含まれた従来の密度調整剤の何分の一かの量で飲料または組成物中に含まれていても、同じかまたは以前の従来の密度調整剤(例えば、SAIB、BVO、およびGEWR)を含む飲料または組成物のクリーム化速度より遅いクリーム化速度を有する。例えば、一部の手法では、本明細書の固体の封入された密度調整剤は、従来の密度調整剤より1/100超のレベルで使用され、不安定性およびクリーム化に対して等しいまたはより良好な保護を実現する。本明細書では、エマルション、エマルション組成物、エマルション成分、およびエマルション構成要素は、互換的に使用され、即席飲料または濃縮飲料に含まれて香味、芳香、油溶性ビタミンなどの栄養補助食品、混濁油等を提供することができる乳化飲料構成要素を指す。
他の手法では、本明細書に記載の飲料およびエマルションは、SAIB、BVO、およびGEWRを実質的に含まない。本明細書で使用される構成要素(SAIB、BVO、および/またはGEWRなどの)を「実質的に含まない」とは、一般に、一部の手法では約0.005%未満の構成要素および他の手法では約0.001%未満の構成要素を意味する。1つの手法では、本明細書に記載の飲料およびエマルションは、SAIB、BVO、およびGEWRを含まない。本明細書で使用される構成要素(SAIB、BVO、および/またはGEWRなどの)を「含まない」とは、構成要素が飲料またはエマルションに全く含まれないことを意味する。
本明細書では、「封入された」および「封入」という用語は、固体(例えば、二酸化チタンなどの密度調整剤)が、1つまたは複数の油滴によって形成された外殻層によって囲まれた中心部を形成する複合構造体(およびかかる複合構造体の形成)を指す。1つの形態では、エマルションは、二酸化チタンの1つまたは複数の粒子をそれぞれ含む1つまたは複数の油滴の形態で封入された密度調整剤を含むことができる。本明細書に記載の密度調整剤粒子の封入によって、有利には、密度調整剤が飲料構成要素における油相と連続水性相の間の密度差を小さくすることが可能になり、エマルション中の油滴の分布が均一になり、油粒子の望ましくない沈降またはクリーム化が制限される。本明細書に記載のエマルションは、例えば、即席飲料および液体濃縮飲料と共に使用することができる。
より多くの詳細を検討すると、本明細書のエマルションは、水中油型エマルションであってよい。1つの手法では、飲用可能な飲料用のエマルションは、その中に溶解した乳化剤を含む連続水性相と、固体の密度調整剤を封入し、連続水性相に分散した油滴を含む油相とを含む。エマルションは、即席飲料製品と別個に形成することができる。あるいは、即席飲料製品は、エマルションを組み込むこともできる。本明細書では、「エマルション」という用語とは、水中油型エマルションを意味し、エマルションの連続相が水性の水系相であり、油滴の油相が固体の密度調整剤を封入し、油滴の大きさが約100nm超であると理解されたい。
水中油型エマルションの油相は、グリセロ脂質、フェノール脂質、モノ、ジ、もしくはトリグリセリド、水不溶性脂肪酸などを含めた1種または複数の水不溶性脂質を含むことができる。1つの手法では、脂質は、ヒマシ油であってよい。ヒマシ油は、ヒマシ油植物の種子を圧縮することによって得られる植物油であり、食物業界において香味剤およびキャンディーなどの食物添加剤中に保存剤としてよく使用される。
別の手法では、水不溶性脂質は、1種または複数のテルペン系炭化水素であってよい。テルペンは、植物によって生成される有機化合物であり、多様な型の植物および花の精油の主成分であることが公知である。テルペンは、食物製品用の香味添加剤としてよく使用される。本明細書に記載のエマルション用の水不溶性脂質として使用するのに適した一部の適切なテルペン系炭化水素として、シトラール、リモネン、シトロネラル、ゲラニオール、リナロール、およびそれらの組合せが挙げられる。
さらなる別の手法では、水不溶性脂質は、1種または複数の中鎖トリグリセリドであってよい。中鎖トリグリセリドとは、6から12個の炭素原子を有し、グリセロールの主鎖と3つの脂肪酸とを含むグリセロールの脂肪酸エステルを意味すると理解されたい。さらなる別の手法では、水不溶性脂質は、1種または複数の長鎖トリグリセリドであってよい。長鎖トリグリセリドとは、12個超の炭素原子を有し、グリセロールの主鎖と3つの脂肪酸とを含むグリセロールの脂肪酸エステルを意味すると理解されたい。
エマルションは、熱力学的に不安定な系である場合があり、これは、安定剤、例えば、乳化剤、密度調整剤、熟成阻害剤、または組織改変剤として公知である物質を含むことによって相当の期間動力学的に安定させることができる。1つの手法では、エマルションは、連続水性相全体に分散した油滴中に封入された固体の密度調整剤を含むことができる。固体の密度調整剤の合計重量とエマルション中に存在する油の合計重量の比は、1つの手法では約1:5から約1:2000、別の手法では約1:16.5から約1:16,500、さらなる別の手法では約1:100から約1:2000であってよい。油の合計重量と固体の密度調整剤の合計重量の大きい比によって、有利には、密度調整剤の油滴中への封入が可能になり、それによって、有利には、油滴と周囲の水性相の間の密度差が小さくなり、生成エマルションのクリーム化速度が遅くなる。逆に、油の合計重量と密度調整剤の合計重量の小さい比(例えば、1:1から約10:1)が使用されると、油滴は、二酸化チタンを封入できない可能性があり、油粒子は、エマルションから沈降分離すると思われる。
密度調整剤は、エマルション中の油と二酸化チタン相との合計重量の約0.05%から約33%でエマルションに存在することができる。他の手法において、エマルションは、1つの手法ではエマルションの油と二酸化チタン相との合計重量の約0.1%から約25%の密度調整剤を、別の手法ではエマルションの油と二酸化チタン相との合計重量の約0.15%から約20%の密度調整剤を、さらなる別の手法ではエマルションの油と二酸化チタン相との合計重量の約0.2%から約7%の密度調整剤を含むことができる。固体の密度調整剤粒子は、1つの手法では約100nmから約5000nm、別の手法では約150nmから約2500nm、別の手法では約200nmから約1200nm、別の手法で約300nmから約1000nm、さらなる別の手法では約400nmから約600nmの大きさを有することができる。
本明細書に記載のエマルションと共に使用するための固体の密度調整剤は、1つの手法では約2g/mlから約10g/ml、別の手法では約3g/mlから約7g/ml、さらなる別の手法で約4g/mlから約5g/mlの密度を有することができる。上で議論したように、SAIB、BVO、およびGEWRなどの従来の密度調整剤の密度は、それぞれ、1.146g/ml、1.24〜1.33g/ml、および1.08g/mlであり、糖甘味の即席または液体濃縮飲料は、約1.05から約1.25g/mlの範囲の水性相密度および約0.9g/mlの香味/混濁油相密度を有することができる。理論に制約されることを望むのではないが、SAIB、BVO、およびGEWRなどの従来の密度調整剤の密度は、エマルション中の油滴を適切に重くするには低すぎるが、従来の密度調整剤の密度より約4から約8倍大きい本明細書に記載の密度調整剤の密度は、有利には、本明細書に記載のエマルション中の油滴を適切に重くすることができる。より具体的には、香味油および植物油の密度は、水および糖水溶液のそれらよりかなり低いが、本明細書に記載の密度調整剤は、有利には、油相の密度を高くさせて、それが水性相の密度に実質的に一致する。
エマルションは、遷移金属の酸化物の形態の密度調整剤を含むことができる。1つの手法では、密度調整剤は、二酸化チタンであってよい。二酸化チタンは、食物および飲料によく使用されるが、飲料エマルション用の密度調整剤としては有効な方式で使用されない白色顔料である。二酸化チタンは、消費して安全であるとU.S.Food and Drug Administrationによって長期間列記されている。4.23g/mlの密度の二酸化チタンは、油と混和性でなく、その水への溶解度は、無視できる。
人の消費に対して安全であると分類されている、二酸化チタン以外の遷移金属酸化物が本明細書に記載のエマルションの油粒子中に封入される密度調整剤として使用できることを理解されたい。
理論に制約されることを望むのではないが、二酸化チタンの高い密度によって、油粒子の所望の重みを実現するために従来の密度調整剤(例えば、SAIB、BVO、およびGEWR)が使用されるレベルの何分の一か(例えば、200分の1まで、一部の場合、約100から約200分の1)で油滴中に有利には封入される二酸化チタンが密度調整剤として機能することが可能になる。さらに、理論に制約されることを望むのではないが、二酸化チタンの高い密度は、SAIB、BVO、およびGEWRなどの密度調整剤の密度が飲料用途の密度より低いか、またはエマルション中のかかる密度調整剤の使用レベルが、エマルションを適切に重くするほど高くないという理由で、かかる密度調整剤が、密度調整剤として有効でないとされるような1.0g/ml超の密度を有するカロリー飲料や濃縮飲料(カロリーおよび非カロリー)、さらに具体的には、1.05g/ml超および1.10g/ml超の密度を有する飲料などの高密度飲料用途で使用される一部のエマルションで、油粒子用の密度調整剤として有効に二酸化チタンが作用することを可能にする。
乳化剤は、均質化中に形成されたばかりの液滴の表面に吸着し、液滴が凝集するのを防止する保護層を形成する表面活性な分子である。エマルションは、高分子量乳化剤である乳化剤を含むことができる。本出願では、「高分子量乳化剤」という用語は、100,000ダルトンを超える分子量を有する乳化剤を意味すると理解されたい。1つの形態では、高分子量乳化剤は、約100,000ダルトンから約1,000,000ダルトン、他の手法では、約300,000ダルトンから約700,000ダルトンの分子量を有することができる。理論に制約されることを望むのではないが、高分子量乳化剤は、密度調整剤(例えば、二酸化チタン)粒子をその中に封入するのに十分な大きさを有する油滴を形成することができる。例えば、高分子量乳化剤の使用の結果として形成される油滴は、約100nmを超える大きさを有することができる。1つの手法では、高分子量乳化剤の使用の結果として形成される油滴は、約100nmから約1000nmの大きさを有することができる。逆に、100nm未満の大きさを有する油滴は、二酸化チタンなどの密度調整剤を封入するほどは大きくない可能性があり、したがって、乳化剤を用いないでおよび/または約100nm未満である油滴を用いて、二酸化チタンなどの密度調整剤を使用することによっては、エマルション中のかかる油滴のクリーム化速度を遅延させることができない。
1つの手法では、エマルションは、アカシアガム(アラビアガムとしても公知である)、改質食用デンプンなどの乳化剤を含むことができる。アカシアガムは、サハラ以南のアフリカ、例えば、スーダンのアカシア樹から収穫された天然の滲出液であり、混濁およびフレーバーエマルションを配合するために飲料業界で最も広く使用される乳化剤であり得る。アカシアガムは、水に対する溶解度が大きく、他のガムに比較して溶液粘度が比較的小さいので、乳化剤としてのその用途に好都合である。アカシアガムは、約200,000ダルトンから約800,000ダルトン、より具体的には、約400,000ダルトンの分子量を有することができる。
エマルション中の乳化剤は、改質食用デンプンであってよい。天然(非改質)デンプンは、それらの親水性グルコース主鎖のために表面活性が不十分であるが、デンプンは、非極性鎖をそれらの主鎖に結合させることによって、化学的に改質してそれらを有効な乳化剤にすることができ、かかる型の改質デンプンは、飲料業界で乳化剤として広く使用される。アカシアガムと同様に、改質デンプンは、界面活性が比較的小さい(タンパク質または界面活性剤に比較して)。1つの手法では、改質食用デンプンは、モチトウモロコシのオクテニルスクシナート誘導体であってよく、これは、陰イオン性および非極性である、オクテニルスクシナート無水物から誘導された側鎖基を含有するように化学的に改質された(食用デンプンとエステルを形成する)アミロペクチンから主としてなる。かかる側鎖基は、分子を油滴表面に固定することができ、親水性デンプン鎖が、水性相中に突き出し、立体的な斥力によって液滴が凝集しないようにすることができる。かかる改質デンプンの分子量は、約200,000ダルトンから約800,000ダルトン、より具体的には、約400,000ダルトンであり得る。
高分子量乳化剤(例えば、アカシアガム、改質食用デンプン)は、本明細書に記載のエマルションの連続水性相に溶解した場合、油滴中に密度調整剤を封入することができ、有利には、例えば、かかるエマルションのクリーム化速度を遅くし、かかるエマルションを長期間貯蔵可能にすることによって、かかるエマルションの安定性を顕著に増加させることができる。例えば、アカシアガムや改質食用デンプンなどの高分子量乳化剤と、ヒマシ油、テルペン系炭化水素、または中鎖トリグリセリドなどの水不溶性脂質の粒子中に封入された二酸化チタンなどの密度調整剤とを含むエマルションのクリーム化速度および不安定指数は、それぞれ、周囲状況での貯蔵で約0から約5mm/日および約0から約2.5になることができる。かかるエマルションは、約6ケ月から約1年間、室温または冷蔵で保存安定性であり続けることができる。
逆に、低分子量界面活性剤/乳化剤Polysorbate60(約1000ダルトンから約2300ダルトンの分子量)またはキラヤ抽出物(約1000ダルトンから約2300ダルトンの分子量)が、アカシアガムや改質食用デンプンなどの高分子量乳化剤の代わりに使用される場合、エマルションの油滴のクリーム化の速度は、顕著により速く、エマルションは、より短期間しか安定した状態を保たない。理論に制約されることを望むのではないが、アカシアガムや改質食用デンプンなどの高分子量乳化剤に比較して、低分子量界面活性剤/乳化剤Polysorbate60またはキラヤ抽出物がエマルション中の油粒子のクリーム化の速度の遅延化に対して有効でないのは、Polysorbate60やキラヤ抽出物などの低分子量乳化剤が、大分子乳化剤によって創出される油滴の大きさに比較して、油滴の大きさが減少する可能性があるという事実のためであると思われ、こうした大きさが減少した液滴は小さいので密度調整剤(例えば、二酸化チタン)を油滴内に封入することができない。例えば、本明細書に記載のエマルションで、Polysorbate60およびキラヤ抽出物は、1つの手法では200nm未満、別の手法では約50nmから約100nmの平均の大きさを有する油滴をもたらし得る。他方で、アカシアガムおよび改質食用デンプンは、1つの手法では100nm超、別の手法では約400nmから約800nmの平均の大きさを有する油滴をもたらし得る。
乳化剤は、エマルションの合計重量の約1%から約30%でエマルション中に存在することができる。例えば、エマルションは、1つの手法ではエマルションの合計重量の約5%から約25%の乳化剤を、別の手法ではエマルションの合計重量の約10%から約20%の乳化剤を、さらなる別の手法ではエマルションの合計重量の約15%から約20%の乳化剤を含むことができる。さらに、エマルションは、エマルションの合計重量の約10%から約95%の水とエマルションの合計重量の約5%から約90%の油とを含むことができる。エマルションは、エマルションの合計重量の約0.0001%から約0.3%の二酸化チタンを含むことができる。1つの手法では、エマルションは、約60%から約85%の水と、約15%から約40%の油とを含むことができる。エマルションの油相は、1種または複数の香味剤または芳香生成化合物を含むことができる。
封入された密度調整剤を含む飲用可能な飲料用のエマルションを調製する例示的な方法の詳細に目を転ずると、例示的なエマルションは、以下のようにして調製することができる:
エマルション用の水溶液を調製するために、乳化剤は、水に添加することができ、生成溶液は、撹拌して乳化剤を水に溶解することができる。乳化剤は、約1:2から約1:20の比で水に添加することができる。1つの手法では、約1gから約25gのアカシアガムが、約75mlの水に添加され、溶解されて水溶液が提供される。別の手法では、約1gから約25gの改質食用デンプンが、約75mlの水に添加され、溶解されて水溶液が提供される。アカシアガムおよび改質食用デンプン以外の乳化剤も使用できることが理解されよう。
油と密度調整剤のブレンドである封入された密度調整剤を調製するために、密度調整剤は、過剰の油に添加することができる。1つの手法では、密度調整剤は、室温、例えば、約65°Fから約75°Fで油に添加することができる。油は、ヒマシ油、テルペン、中鎖トリグリセリド、長鎖トリグリセリド、または類似の不溶性脂質であってよい。密度調整剤は、ヒトの消費用として安全である固体形態の二酸化チタンまたは類似の遷移金属酸化物であってよい。固体の密度調整剤は、密度調整剤と油の比約1:5から約1:2000で油に添加することができる。1つの手法では、密度調整剤は、密度調整剤と油の比約1:10から約1:20で油に添加することができる。別の手法では、密度調整剤は、密度調整剤と油の比約1:100から約1:200で油に添加することができる。
次いで、密度調整剤および油は、固体の密度調整剤が油中に分散している固体の密度調整剤と油のブレンドを提供するのに十分な時間(例えば、約1から約5分)撹拌することができる。次いで、油と油中に分散した固体の密度調整剤とを含むブレンドは、その中に溶解した乳化剤を含む水溶液に添加して水中油型エマルションを形成することができる。1つの手法では、水中油型エマルションは、室温、例えば、約65°Fから75°Fで均質化することができる。
1つの手法では、水中油型エマルション中の油は、室温で液体であり、エマルションを均質化することが可能である。逆に、室温で固体である脂質成分を使用する場合、均質化は、かかる脂質成分では機能しない。理論に制約されることを望むのではないが、水中油型エマルションの均質化は、油滴中への密度調整剤の封入を促進し、均質化が行われないと、密度調整剤粒子は、水中油型エマルションの底部に沈殿する可能性があり、油滴による封入は行われない。理論に制約されることを望むのではないが、均質化の温度は、水中油型エマルションの安定性に影響する場合があり、均質化温度がかなり高くまで(例えば、200°F超)上昇すると、水中油型エマルションは、油と水が混和性になるために不安定になる可能性がある。逆に、均質化温度がかなり低くまで(例えば、40°F未満)低下すると、水中油型エマルションは、油の結晶化のために不安定になる可能性がある。
1つの手法では、走査型電子顕微鏡(「SEM」)を使用して固体の密度調整剤が油滴中に封入されているか否かを決定することができる。理論に制約されることを望むのではないが、油と密度調整剤の大きい比で油に密度調整剤を添加することによって油滴中への二酸化チタンの封入が促進される。例えば、ブレンドの合計重量の密度調整剤と油の比約1:16.5から約1:100で油に密度調整剤を添加することによって密度調整剤と油のブレンドを形成すると、有利には、乳化剤/水溶液が油/密度調整剤ブレンドに添加された後に油に添加された二酸化チタンの50%超、90%超、または実質的に全部(すなわち、約100%)の封入を促進することができる。逆に、密度調整剤と油の比約1:1から約1:4で油に密度調整剤を添加することは、あまりに小さくて、二酸化チタンの十分な封入がもたらされず、望ましくないことには、未封入の二酸化チタンの沈降をもたらすことになる。理論に制約されることを望むのではないが、二酸化チタンの封入された粒子は、有利には、油滴を重くし、生成エマルションのクリーム化速度を効果的に遅延させるが、油相から沈降分離する二酸化チタンの封入されていない粒子は、油滴を重くせず、生成エマルションのクリーム化速度を遅延させるには効果的でない。
理論に制約されることを望むのではないが、密度調整剤を水溶液に添加する前に、油に密度調整剤を時系列的に添加すると、有利には、油粒子中の密度調整剤の封入が効果的になり、油滴と周囲の水性相の間の密度差が小さくなり、結果としてエマルションの安定性および貯蔵時間が増加するが、これは、エマルションのクリーム化速度の遅延によって実証される。逆に、密度調整剤が水溶液に添加され、続いて油と合わせられると、または密度調整剤、油、およびその中に溶解した乳化剤を含む水溶液が同時に合わせられると、密度調整剤は、油粒子中に封入されず、その高い密度のために沈降し、エマルションのクリーム化速度を遅延せず、エマルションの安定性またはその保存可能期間を改良しない。
本明細書のエマルション成分は、飲料に対して香味、芳香、混濁化油(例えば、植物油)、香味油溶媒(例えば、中鎖トリグリセリド)、およびそれらの組合せを提供するために飲料において使用することができる。一部の手法では、飲料は、炭酸化もしくは非炭酸化清涼飲料および/または果実飲料などの即席飲料であってよく、約0.001%から約0.5%のエマルション成分、他の手法では、約0.01%から約0.25%のエマルション成分を含む。他の手法では、飲料は、もどされてまたは稀釈されて飲用可能な飲料を形成する濃縮飲料であってよい。1つの形態では、本明細書の飲料は、約1%から約30%、他の形態では、約3%から約25%の量で本明細書に記載のエマルションを含むことができる。
本明細書に記載の油粒子中に封入された密度調整剤を含むエマルションの利点および実施形態は、以下の実施例によりさらに例示される;しかし、こうした実施例に記載された特定の条件、加工スキーム、材料、およびそれらの量、ならびに他の条件および詳細は、本方法を不当に制限するとみなすべきでない。別段の指示のない限り、百分率、比および部はすべて重量によるものとする。
以下の実施例は、全体の試料の総体的なクリーム化度を測定する不安定性指数を使用して試料の安定性を評価する。本出願では、不安定性指数は、油滴が水溶液中で一定期間中にどの程度クリーム化したかまたは沈降したのかを測定する。不安定性指数0は、クリーム化なしを示し、不安定性指数1は、完全なクリーム化を示す。
以下の実施例で、70°FにおいてSilverson’s Fine Emulsor Statorを備えたSilverson L4R High Shear Mixerを用いてエマルションを生成した。試料をL4Rの容積速度(capacity speed)の半分で約5分間均質化した。均質化前に密度調整剤(BVO、エステルガム、SAIB、および二酸化チタン)を油に溶解し、均質化前に乳化剤を水に添加した。混合する前にアカシアガムおよび改質食用デンプンを水中で24時間可溶化した。
以下の実施例の試料を、エマルション濃縮物として分散分析器LUMiSizer(登録商標)(LUM GmbH、ベルリン、ドイツ製)によって分析した。LUMiSizer(登録商標)のソフトウエアプログラムは、SEPView(商標)6.1.2657.8312であった。理論に制約されることを望むのではないが、エマルションのクリーム化は、重力によるものであるので、LUMiSizer(登録商標)は、重力を増加して多様なRCF値でクリーム化を加速する。相対遠心力(RCF)とは、機械の与える力が地球の重力より何倍強いかの量を意味すると理解されよう。
試料の体積は1.5mlであり、LUM2.0mmのバイアルを使用した。以下の実施例のデータを生成するのに使用された標準の操作手順は以下の通りであった:30秒間隔での60個の測定および60秒間隔での追加の60個の測定を使用して、速度2700RPM、光因子1.0、温度25.0°C。
[実施例1]
試料は、概略970〜980gで4980秒間運転した後、種々の密度調整剤を有する安定化アカシアガムおよびヒマシ油エマルションを含んでいた。18.81mm(110.46mmから129.29mm)の範囲で試料をLUMiSizer(登録商標)によって測定した。試料の安定性は、以下の通りであった:
試料は、概略970〜980gで4980秒間運転した後、種々の密度調整剤を有する安定化アカシアガムおよびヒマシ油エマルションを含んでいた。18.81mm(110.46mmから129.29mm)の範囲で試料をLUMiSizer(登録商標)によって測定した。試料の安定性は、以下の通りであった:
表1から知ることができるように、二酸化チタン(Ti02)は、対照と比較してクリーム化の速度を遅延させた。具体的には、TiO2は、BVO/SAIB/GEWRのそれぞれの試料で使用されたそれらのレベルの1/10であるレベルで使用された場合でもBVO/SAIB/GEWRの性能を凌駕した。TiO2を含む本発明の試料は、比較例の試料に存在するBVO/SAID/GEWRの量の1/100の量でTiO2が本発明の試料中に存在する場合でもBVO/SAIB/GEWRを含む比較例の試料と類似の安定性であった。
[実施例2]
透過閾値20%に設定された実施例1の試料におけるクリーム化速度をmm/日で測定した。概略970〜980gで4980秒間、エマルション濃縮液として試料を操作した後、LUMiSizer(登録商標)で試料のクリーム化速度を測定した。18.83mm(110.67mmから129.5mm)の範囲でLUMiSizer(登録商標)によって試料を測定した。
透過閾値20%に設定された実施例1の試料におけるクリーム化速度をmm/日で測定した。概略970〜980gで4980秒間、エマルション濃縮液として試料を操作した後、LUMiSizer(登録商標)で試料のクリーム化速度を測定した。18.83mm(110.67mmから129.5mm)の範囲でLUMiSizer(登録商標)によって試料を測定した。
本出願では、閾値20%とは、試料では光の20%が試料中を通過し、試料中を通過する光の80%を吸収することを意味すると理解されたい。全体の試料を通じて、この20%透過レベルを測定してクリーム化速度を計算する。例えば、より速やかなクリーム化速度とは、試料がより短い期間で光透過20%になることを意味し、より遅いクリーム化速度は、試料がより長い期間で光透過20%になることを示す。
上の表2で知ることができるように、0.12%から6.1%のTi02を含む試料は、BVO/SAIB/GEWRを含む試料よりクリーム化速度が遅く、安定性が高かった。透過閾値20%で、1.2から6.1%のTi02に対する速度を測定するのに十分なクリーム化は存在せず、クリーム化速度は0であった。
[実施例3]
実施例1の試料を、比1:9でスクロースの10%水溶液(w/w)中に希釈して、飲料濃縮液から再構成された典型的な飲料をシミュレートした。概略970〜980gで4980秒間、エマルション濃縮液として試料を操作した後、LUMiSizer(登録商標)で試料の不安定性指数を測定した。18.91mm(110.66mmから129.57mm)の範囲でLUMiSizer(登録商標)によって試料を測定した。
実施例1の試料を、比1:9でスクロースの10%水溶液(w/w)中に希釈して、飲料濃縮液から再構成された典型的な飲料をシミュレートした。概略970〜980gで4980秒間、エマルション濃縮液として試料を操作した後、LUMiSizer(登録商標)で試料の不安定性指数を測定した。18.91mm(110.66mmから129.57mm)の範囲でLUMiSizer(登録商標)によって試料を測定した。
表3で知ることができるように、TiO2試料すべての性能は、対照を凌駕した。さらに、BVO/SAIB含有試料に存在するBVOおよびSAIBの量と比較して1/2および1/4量のTiO2を含有するTiO2試料の性能も、BVO/SAIB試料を凌駕した。
[実施例4]
試料は、種々の密度調整剤を有する安定化改質食用デンプン(Purity Gum Ultra)およびヒマシ油エマルションを含んでいた。概略970〜980gで4980秒間、エマルション濃縮液として試料を操作した後、LUMiSizer(登録商標)で試料の不安定性指数を測定した。16.7mm(113.2mmから129.9mm)の範囲でLUMiSizer(登録商標)によって試料を測定した。試料の安定性は、以下の通りであった:
試料は、種々の密度調整剤を有する安定化改質食用デンプン(Purity Gum Ultra)およびヒマシ油エマルションを含んでいた。概略970〜980gで4980秒間、エマルション濃縮液として試料を操作した後、LUMiSizer(登録商標)で試料の不安定性指数を測定した。16.7mm(113.2mmから129.9mm)の範囲でLUMiSizer(登録商標)によって試料を測定した。試料の安定性は、以下の通りであった:
全体として、TiO2は、対照と比較してクリーム化の速度を遅延した。6.1%におけるTiO2は、BVO/SAIB/GEWRのそれぞれの試料において12.2%(すなわち、2倍)濃度で存在するそれらを性能で凌駕した(すなわち、より低い不安定性指数をもたらした)。また、3%におけるTiO2は、12.2%におけるBVOに性能で匹敵し、12.2%におけるGEWRを性能で凌駕した。
[実施例5]
透過閾値20%に設定された実施例4の試料におけるクリーム化速度をmm/日で測定した。概略970〜980gで4980秒間、エマルション濃縮液として試料を操作した後、LUMiSizer(登録商標)で試料のクリーム化速度を測定した。17.41mm(112mmから129.41mm)の範囲でLUMiSizer(登録商標)によって試料を測定した。
透過閾値20%に設定された実施例4の試料におけるクリーム化速度をmm/日で測定した。概略970〜980gで4980秒間、エマルション濃縮液として試料を操作した後、LUMiSizer(登録商標)で試料のクリーム化速度を測定した。17.41mm(112mmから129.41mm)の範囲でLUMiSizer(登録商標)によって試料を測定した。
以下の表5で知ることができるように、全体として、TiO2試料の性能は、対照を凌駕した(すなわち、より遅いクリーム化速度をもたらした)。3から6.1%におけるTiO2は、SAIB/GEWRで重くした試料を性能で凌駕し、BVOと等しい性能であった。透過閾値20%で、3および6.1%のTiO2およびBVO試料で速度を測定するのに十分なクリーム化は存在しなかった。
[実施例6]
試料は、種々の密度調整剤を有する安定化アカシアガムおよびテルペン系炭化水素エマルションを含んでいた。概略970〜980gで4980秒間、エマルション濃縮液として試料を操作した後、LUMiSizer(登録商標)で試料の不安定性指数を測定した。16.35mm(113.36mmから129.71mm)の範囲でLUMiSizer(登録商標)によって試料を測定した。試料の安定性は、以下の通りであった:
試料は、種々の密度調整剤を有する安定化アカシアガムおよびテルペン系炭化水素エマルションを含んでいた。概略970〜980gで4980秒間、エマルション濃縮液として試料を操作した後、LUMiSizer(登録商標)で試料の不安定性指数を測定した。16.35mm(113.36mmから129.71mm)の範囲でLUMiSizer(登録商標)によって試料を測定した。試料の安定性は、以下の通りであった:
上の表6で知ることができるように、TiO2は、BVOおよびSAIBのそれぞれの試料においてそれらより低いレベルで使用されたにもかかわらず、BVOおよびSAIB試料と類似の性能であった。
[実施例7]
TiO2の添加の順序が不安定性指数に影響を及ぼすか否かを決定するために一組の実験を実施した。概略970〜980gで4980秒間、エマルション濃縮液として試料を操作した後、LUMiSizer(登録商標)で試料の不安定性指数を測定した。18.4mm(110.6mmから129mm)の範囲でLUMiSizer(登録商標)によって試料を測定した。
TiO2の添加の順序が不安定性指数に影響を及ぼすか否かを決定するために一組の実験を実施した。概略970〜980gで4980秒間、エマルション濃縮液として試料を操作した後、LUMiSizer(登録商標)で試料の不安定性指数を測定した。18.4mm(110.6mmから129mm)の範囲でLUMiSizer(登録商標)によって試料を測定した。
上の表7は、TiO2を油と同時に水相に添加する場合に、不安定性指数が顕著に上昇することを示す。TiO2を最初に水相に添加する場合も、乳化の前にTiO2を油中にブレンドした試料と比較して不安定性指数が増加することが観察された。
[実施例8]
試料は、種々の密度調整剤を有する、Polysorbate60(P60)およびキラヤ抽出物などの安定化小分子界面活性剤ならびにヒマシ油または中鎖トリグリセリド(MCT)エマルションを含んでいた。概略970〜980gで4980秒間、エマルション濃縮液として試料を操作した後、LUMiSizer(登録商標)で試料の不安定性指数を測定した。18.1mm(110.9mmから129mm)の範囲でLUMiSizer(登録商標)によって試料を測定した。試料の安定性は、以下の通りであった:
試料は、種々の密度調整剤を有する、Polysorbate60(P60)およびキラヤ抽出物などの安定化小分子界面活性剤ならびにヒマシ油または中鎖トリグリセリド(MCT)エマルションを含んでいた。概略970〜980gで4980秒間、エマルション濃縮液として試料を操作した後、LUMiSizer(登録商標)で試料の不安定性指数を測定した。18.1mm(110.9mmから129mm)の範囲でLUMiSizer(登録商標)によって試料を測定した。試料の安定性は、以下の通りであった:
表8で知ることができるように、Polysorbate60およびキラヤ抽出物などの低分子量乳化剤と共にTiO2を使用した場合、アカシアガムおよび改質食用デンプンなどの高分子量乳化剤と共にTiO2を使用した場合と比較して油滴のクリーム化速度の遅延は劣っていた。
本明細書に記載の飲用可能な飲料用の水中油型エマルションは、油滴中に封入された密度調整剤を含み、本明細書に記載の密度調整剤粒子の封入によって、有利には、密度調整剤が、油滴と周囲の水性相の間の密度差を低減することが可能になり、それによって、油粒子の望ましくない沈降またはクリーム化が限定される。本明細書に記載の密度調整剤は、有利には、従来の密度調整剤より顕著に少ない量で使用して、クリーム化に対して同じかまたはより良好な保護作用を実現することができる。
本方法および生成する濃縮物の本質を説明するために本明細書に記載され、例示された詳細、材料、および方法の構成、調合、ならびにそれらの構成要素における多様な変形形態は、添付の特許請求の範囲に明示された具体的な方法の原理および範囲内で当業者によって作製できることを理解されたい。
Claims (31)
- 飲用可能な飲料用のエマルションであって、
前記エマルジョンは、
その中に溶解した乳化剤を含む連続水性相と、
前記連続水性相中に分散した油滴を含む油相と、および、
前記油滴中に封入した固体の油不溶性密度調整剤と、
を含み、
前記エマルション中の前記固体の密度調整剤と前記油相の比は、約1:5から約1:2000である、
エマルジョン。 - 前記エマルジョンは、前記油滴の平均サイズが約100nm超である水中油型エマルジョンである、請求項1に記載のエマルジョン。
- 前記油滴が、約100nmから約1000nmの平均サイズを有する請求項1に記載のエマルジョン。
- 前記固体の密度調整剤と前記油相の比は、約1:3から約1:1650である請求項1に記載のエマルジョン。
- 前記固体の密度調整剤は、前記エマルジョンの中にエマルジョンの約0.0001重量%から約0.3重量%存在する請求項1に記載のエマルジョン。
- 前記油相は、ヒマシ油、テルペン系炭化水素、香味油、ケトン、アルデヒド、ラクトン、エーテル、エステル、イオウ化合物、フラノン、テルペノイド、油溶性ビタミン、栄養補助食品、脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、トリグリセリドおよびトリグリセリド誘導体、酸化防止剤、着色剤、植物油、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される脂質を含む請求項1に記載のエマルジョン。
- 前記固体の密度調整剤は、約1.0g/mlから約6g/mlの密度を有する請求項1に記載のエマルジョン。
- 前記固体の密度調整剤は、二酸化チタンである請求項1に記載のエマルジョン。
- 前記乳化剤は、16、000ダルトン以上の分子量を有する請求項1に記載のエマルジョン。
- 前記乳化剤は、アカシアガム、改質食用デンプン、改質アカシアガム、トウモロコシ繊維ガム、トラガカントガム、カラヤガム、ガッチガムおよびそれらの組合せからなる群から選択される請求項1に記載のエマルジョン。
- 前記エマルジョンのクリーム化速度は、周囲状況での貯蔵で約0mm/日から約5mm/日である請求項1に記載のエマルジョン。
- 飲用可能な飲料用のエマルションを作製する方法であって、
前記方法は、
平均の大きさ100nm超の油滴を含む油を提供するステップと、
固体の密度調整剤と油の比が約1:5から約1:2000である固体の密度調整剤を油に添加し、固体の密度調整剤および油を撹拌して固体の密度調整剤が油滴中に分散している、固体の密度調整剤と油のブレンドを提供するステップと、
水溶液に溶解した乳化剤を含む水溶液を提供するステップと、
固体の密度調整剤と油のブレンドを水溶液に添加して水中油型エマルションを形成するステップと、
を含む方法。 - 固体の密度調整剤と前記油とのブレンドを水溶液に添加して水中油型エマルションを形成した後に、水中油型エマルションを均質化するステップをさらに含む請求項12に記載の方法
- 前記油滴は、約100nmから約1500nmの平均粒子サイズを有する請求項12に記載の方法。
- 前記油に固体の密度調整剤を添加するステップは、前記固体の密度調整剤と前記油の比が、約1:3から約1:1650で油に固体の密度調整剤を添加するステップを含む請求項12に記載の方法。
- 前記固体の密度調整剤は、前記エマルジョンの中にエマルジョンの約0.0001重量%から約0.3重量%存在する請求項12に記載の方法
- 前記油は、ヒマシ油、テルペン系炭化水素、香味油、ケトン、アルデヒド、ラクトン、エーテル、エステル、イオウ化合物、フラノン、テルペノイド、油溶性ビタミン、栄養補助食品、脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、トリグリセリドおよびトリグリセリド誘導体、酸化防止剤、着色剤、植物油、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される脂質を含む請求項12に記載の方法。
- 前記固体の密度調整剤は、二酸化チタンである請求項12に記載の方法。
- 前記乳化剤は、50、000ダルトン以上の分子量を有する請求項12に記載の方法。
- 前記乳化剤は、アカシアガム、改質食用デンプン、改質アカシアガム、トウモロコシ繊維ガム、トラガカントガム、カラヤガム、ガッチガムおよびそれらの組合せからなる群から選択される請求項12に記載の方法。
- 前記エマルジョンのクリーム化速度が、周囲状況での貯蔵で約0mm/日から約5mm/日である請求項12に記載の方法。
- エマルジョンを含む飲料であって、
前記飲料は、
その中に溶解した乳化剤を含む連続水性相と、
前記連続水性相中に分散した油滴を含む油相と、および、
前記油滴中に封入した固体の油不溶性密度調整剤と、
を含み、
前記エマルション中の前記固体の密度調整剤と前記油相の比は、約1:5から約1:2000である、
飲料。 - 前記エマルジョンは、前記封入された油滴の平均サイズが約100nm超である水中油型エマルジョンである、請求項22に記載の飲料。
- 前記油滴は、約100nmから約1500nmの平均サイズを有する請求項22に記載の飲料。
- 前記固体の密度調整剤と前記油相の比は、約1:3から約1:1650である請求項22に記載の飲料。
- 前記固体の密度調整剤は、前記エマルジョンの中にエマルジョンの約0.0001重量%から約0.3重量%存在する請求項22に記載の飲料。
- 前記油相は、ヒマシ油、テルペン系炭化水素、香味油、ケトン、アルデヒド、ラクトン、エーテル、エステル、イオウ化合物、フラノン、テルペノイド、油溶性ビタミン、栄養補助食品、脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、トリグリセリドおよびトリグリセリド誘導体、酸化防止剤、着色剤、植物油、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される脂質を含む請求項22に記載の飲料。
- 前記固体の密度調整剤は、約1.0g/mlから約6.0g/mlの密度を有する請求項22に記載の飲料。
- 前記固体の密度調整剤は、二酸化チタンである請求項22に記載の飲料。
- 前記乳化剤は、50、000ダルトン以上の分子量を有する請求項22に記載の飲料。
- 前記乳化剤は、アカシアガム、改質食用デンプン、改質アカシアガム、トウモロコシ繊維ガム、トラガカントガム、カラヤガム、ガッチガム、およびそれらの組合せからなる群から選択される請求項22に記載の飲料。
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