JP2016162764A - 磁性粉末混合樹脂材料 - Google Patents

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Yuichi Miwa
雄一 三輪
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剛士 妹尾
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直樹 平澤
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龍太 田辺
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Abstract

【課題】恒透磁率性を確保しつつ軟磁性粉末の充填率を向上させることができる磁性粉末混合樹脂材料を提供する。
【解決手段】軟磁性粉末を樹脂2中に分散混合してなる磁性粉末混合樹脂材料1であって、軟磁性粉末は、2つのピークを有する粒度分布を形成する多数の軟磁性粒子3によって構成されている。2つのピークのうち粒度の大きい方の第1ピークの粒径を有する軟磁性粒子3を第1粒子31とし、2つのピークのうち粒度の小さい方の第2ピークの粒径を有する軟磁性粒子3を第2粒子32としたとき、第1粒子31は、非磁性皮膜41によって被覆されており、第2粒子32は、非磁性皮膜によって被覆されていないか、又は非磁性皮膜41よりも薄い非磁性皮膜によって被覆されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、軟磁性粉末を樹脂中に分散混合してなる磁性粉末混合樹脂材料に関する。
リアクトル等のインダクタンス部品には、軟磁性粉末を樹脂中に分散混合してなる磁性粉末混合樹脂材料を用いたコアを備えたものがある。かかるインダクタンス部品のインダクタンス特性を精度よく調整するためには、磁性粉末混合樹脂材料の恒透磁率性を高くする必要がある。つまり、低電流域と高電流域との間で透磁率の差を小さくすること(恒透磁率性)が望まれる。
特許文献1には、軟磁性粉末の粒子の表面に絶縁被覆を設けることで、磁性粉末混合樹脂材料の比透磁率を抑える技術が開示されている。
特開2008−147403号公報
しかしながら、粒子を絶縁被膜(非磁性皮膜)によって覆うことにより、磁性粉末混合樹脂材料の比透磁率を抑えて恒透磁率性を高めることはできても、軟磁性粉末の充填率が低下してしまうという問題がある。その結果、磁性粉末混合樹脂材料の飽和磁束密度が低下することとなってしまう。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、恒透磁率性を確保しつつ軟磁性粉末の充填率を向上させることができる磁性粉末混合樹脂材料を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、軟磁性粉末を樹脂中に分散混合してなる磁性粉末混合樹脂材料であって、
上記軟磁性粉末は、2つのピークを有する粒度分布を形成する多数の軟磁性粒子によって構成されており、
上記2つのピークのうち粒度の大きい方の第1ピークの粒径を有する上記軟磁性粒子を第1粒子とし、上記2つのピークのうち粒度の小さい方の第2ピークの粒径を有する上記軟磁性粒子を第2粒子としたとき、
上記第1粒子は、非磁性皮膜によって被覆されており、
上記第2粒子は、非磁性皮膜によって被覆されていない、又は上記第1粒子を被覆する非磁性皮膜よりも薄い非磁性皮膜によって被覆されていることを特徴とする磁性粉末混合樹脂材料にある。
上記磁性粉末混合樹脂材料において、軟磁性粉末は、2つのピークを有する粒度分布を形成している。そして、上記第1粒子は非磁性皮膜によって被覆されており、上記小粒子は、非磁性皮膜によって被覆されていない、又は第1粒子を被覆する非磁性皮膜よりも薄い非磁性皮膜によって被覆されている。これにより、恒透磁率性を確保しつつ軟磁性粉末の充填率を向上させることができる。
すなわち、軟磁性粒子に非磁性皮膜を形成することで、恒透磁率性を向上させることができ、また、軟磁性粉末が、2つのピークを有する粒度分布を形成していることにより充填率を向上させることができる。しかし、粒径の大きい第1粒子と粒径の小さい第2粒子との何れにも非磁性皮膜を同じ様に(同様の厚みで)形成したのでは、充填率が却って低下することとなりかねない。すなわち、比表面積(単位体積当たりの表面積)の大きくなりやすい第2粒子の表面に、粒径の大きい第1粒子と同様の厚みの非磁性皮膜を設けると、磁性粉末混合樹脂材料中における非磁性皮膜の占有体積が大きくなり、結果として軟磁性粉末の充填率が低下することとなる。
そこで、上記磁性粉末混合樹脂材料においては、第1粒子は非磁性皮膜によって被覆され、第2粒子は非磁性皮膜によって被覆されていない、又は第1粒子を被覆する非磁性皮膜よりも薄い非磁性皮膜によって被覆されている。つまり、第2粒子は、非磁性皮膜によって被覆しないか、被覆してもその厚みを小さくする。これにより、非磁性皮膜の占有体積が大きくなることを防ぎ、軟磁性粉末の充填率を向上させることができる。したがって、上記構成によれば、恒透磁率性を確保しつつ軟磁性粉末の充填率を向上させることができる。
以上のごとく、本発明によれば、恒透磁率性を確保しつつ軟磁性粉末の充填率を向上させることができる磁性粉末混合樹脂材料を提供することができる。
実施形態1における、磁性粉末混合樹脂材料の断面説明図。 実施形態1における、粒度分布の線図。 実施形態2における、磁性粉末混合樹脂材料の断面説明図。 実験例における、測定結果を示す線図。
(実施形態1)
磁性粉末混合樹脂材料の実施形態につき、図1、図2を用いて説明する。
本例の磁性粉末混合樹脂材料1は、図1に示すごとく、軟磁性粉末を樹脂2中に分散混合してなる。
軟磁性粉末は、図2に示すごとく、2つのピークP1、P2を有する粒度分布を形成する多数の軟磁性粒子3によって構成されている。
2つのピークP1、P2のうち粒度の大きい方の第1ピークP1の粒径を有する軟磁性粒子3を第1粒子31とし、2つのピークP1、P2のうち粒度の小さい方の第2ピークP2の粒径を有する軟磁性粒子3を第2粒子32とする。
このとき、図1に示すごとく、第1粒子31は、非磁性皮膜41によって被覆されており、第2粒子32は、非磁性皮膜によって被覆されていない。
ここで、粒度分布は、軟磁性粉末の体積を基準にしたものであり、各粒径の軟磁性粒子3がどのような体積割合で存在するかの分布である。より具体的には、上記粒度分布は、例えば、図2に示すように、横軸を対数目盛にて示した粒度とし、縦軸を頻度(体積比率)として表したものである。そして、横軸に、対数目盛の幅で分割した粒径区間を多数設け、磁性粉末混合樹脂材料1中に含まれる軟磁性粒子3のうち、各粒径区間に存在する軟磁性粒子3の体積割合を、頻度として表したものである。
また、軟磁性粒子3の粒径は、磁性粉末混合樹脂材料1の断面を、電子顕微鏡にて観察して測定される粒径である。
そして、二山分布の粒度分布における粒度の大きい方のピーク(山)である第1ピークP1の粒径を有する軟磁性粒子3が、第1粒子31であり、粒度の大きい方のピーク(山)である第2ピークP2の粒径を有する軟磁性粒子3が、第2粒子32である。すなわち、ここでいう各ピークの粒径とは、ピークトップ(各ピークにおける最大頻度)の粒度ではなく、ある程度の幅をもった粒径を意味する。
各ピークの粒径とは、例えば、図2に示すごとく、各ピークの最大頻度pt1、pt2の半分以上の頻度を有する粒径d11〜d12、d21〜d22とすることができる。つまり、ここでは、例えば、粒径d11〜d12のものを第1粒子31とし、粒径d21〜d22のものを第2粒子32とすることができる。
また、上述のごとく、本例において、第1粒子31は、非磁性皮膜41によって被覆されており、第2粒子32は、非磁性皮膜によって被覆されていない。ただし、多数存在する第1粒子31のうちの大部分(例えば90%以上)の第1粒子31に非磁性皮膜41が形成されており、多数存在する第2粒子32のうちの大部分(例えば90%以上)の第2粒子32が非磁性皮膜によって被覆されていない状態となっていればよい。
また、第1ピークP1のピークトップの粒度d1は、第2ピークP2のピークトップの粒度d2の4倍〜150倍であることが好ましい。本明細書において、ピークトップは、対数にてデータを取得した際のピークトップを意味するものとする。
磁性粉末混合樹脂材料1において、樹脂2としては、例えばエポキシを用いることができ、軟磁性粉末(軟磁性粒子3)としては、例えば鉄粉を用いることができ、非磁性皮膜41としては、例えばリン酸系の絶縁皮膜、シリカ等のセラミック系の絶縁皮膜を用いることができる。
磁性粉末混合樹脂材料1は、例えば、リアクトル等のインダクタンス部品のコアに用いることができる。
本実施形態における磁性粉末混合樹脂材料1を製造するにあたっては、以下の粉末準備工程と、皮膜形成工程と、混合工程と、樹脂充填工程と、樹脂硬化工程とを行う。
粉末準備工程は、互いにピークの異なる粒度分布を有する2種類の軟磁性粉末である大粒子粉末と小粒子粉末とを用意する。
次いで、皮膜形成工程において、大粒子粉末を構成する軟磁性粒子3に非磁性皮膜を形成する。一方、小粒子粉末を構成する軟磁性粒子3には、非磁性皮膜を形成しない。
次いで、混合工程において、大粒子粉末と小粒子粉末とを、混合する。混合比(体積比率)は、例えば、80:20にて混合する。この混合した軟磁性粉末をケースに入れ、軟磁性粉末のかさが減少しなくなるまで、振動を加える。
次いで、樹脂充填工程において、ケース内を真空引きした後、樹脂(エポキシ)を、ケース内に流し込み、軟磁性粒子3の間の隙間に含浸させる。
次いで、樹脂硬化工程において、樹脂を加熱することにより硬化させる。以上により、磁性粉末混合樹脂材料1を作製する。
次に、本実施形態の作用効果につき説明する。
上記磁性粉末混合樹脂材料1において、軟磁性粉末は、2つのピークP1、P2を有する粒度分布を形成している。そして、第1粒子31は非磁性皮膜41によって被覆されており、上記小粒子は、非磁性皮膜によって被覆されていない。これにより、恒透磁率性を確保しつつ軟磁性粉末の充填率を向上させることができる。
すなわち、軟磁性粒子3に非磁性皮膜41を形成することで、恒透磁率性を向上させることができ、また、軟磁性粉末が、2つのピークP1、P2を有する粒度分布を形成していることにより充填率を向上させることができる。しかし、粒径の大きい第1粒子31と粒径の小さい第2粒子32との何れにも非磁性皮膜を同じ様に(同様の厚みで)形成したのでは、充填率が却って低下することとなりかねない。すなわち、比表面積(単位体積当たりの表面積)の大きくなりやすい第2粒子32の表面に、粒径の大きい第1粒子31と同様の厚みの非磁性皮膜を設けると、磁性粉末混合樹脂材料1中における非磁性皮膜の占有体積が大きくなり、結果として軟磁性粉末の充填率が低下することとなる。
そこで、上記磁性粉末混合樹脂材料1においては、第1粒子31は非磁性皮膜41によって被覆され、第2粒子32は非磁性皮膜によって被覆されていない。これにより、非磁性皮膜4の占有体積が大きくなることを防ぎ、軟磁性粉末の充填率を向上させることができる。したがって、上記構成によれば、恒透磁率性を確保しつつ軟磁性粉末の充填率を向上させることができる。
特に、本例においては、第2粒子32に非磁性皮膜を形成していないため、軟磁性粉末の充填率を効果的に向上させることができる。
また、第1ピークP1のピークトップの粒度d1を、第2ピークP2のピークトップの粒度d2の4倍〜150倍とすることにより、充填率を充分に高めることができる。
以上のごとく、本実施形態によれば、恒透磁率性を確保しつつ軟磁性粉末の充填率を向上させることができる磁性粉末混合樹脂材料を提供することができる。
(実施形態2)
本実施形態は、図3に示すごとく、第2粒子32の少なくとも一部が、第1粒子31を被覆する非磁性皮膜41よりも薄い非磁性皮膜42によって被覆されている、磁性粉末混合樹脂材料1の形態である。
本例においては、特に、第2粒子32のすべて若しくは大部分(例えば90%以上)が、非磁性皮膜42によって被覆されている。
そして、第1粒子31を被覆する非磁性皮膜41の平均膜厚は、第2粒子32を被覆する非磁性皮膜42の平均膜厚の5倍以上である。
その他は、実施形態1と同様である。なお、実施形態1における符号と同じ符号は、同一の構成要素等を示すものであって、先行する説明を参照する
本実施形態における磁性粉末混合樹脂材料1を製造するにあたっては、粉末準備工程と、皮膜形成工程と、混合工程と、樹脂充填工程と、樹脂硬化工程とを行う。これらの工程のうち、皮膜形成工程以外については、実施形態1と同様である。
皮膜形成工程においては、大粒子粉末を構成する軟磁性粒子3に非磁性皮膜を形成すると共に、小粒子粉末を構成する軟磁性粒子3にも、非磁性皮膜を形成する。このとき、小粒子粉末を構成する軟磁性粒子3を被覆する非磁性皮膜の膜厚を、大粒子粉末を構成する軟磁性粒子3を被覆する非磁性皮膜の膜厚よりも小さくする。
本実施形態においては、第2粒子32についても、非磁性皮膜42を被覆されているが、その膜厚が、第1粒子31を被覆する非磁性皮膜41よりも薄いため、充填率を向上させることができる。また、第1粒子31を被覆する非磁性皮膜41の平均膜厚は、第2粒子32を被覆する非磁性皮膜42の平均膜厚の5倍以上である。すなわち、非磁性皮膜42の平均膜厚は、非磁性皮膜41の平均膜厚の1/5以下である。それゆえ、恒透磁率性を確保しつつ軟磁性粉末の充填率を充分に向上させることができる磁性粉末混合樹脂材料を提供することができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
(実験例)
本例においては、表1、図4に示すごとく、軟磁性粉末における第2粒子の有無及び非磁性皮膜の有無又は膜厚を種々変更したときの、磁性粉末混合樹脂材料における軟磁性粉末の充填率及び磁気特性の相違につき調べた。
すなわち、磁性粉末混合樹脂材料として、表1に示すように、試料1〜試料8の8種類の試料を作製した。
Figure 2016162764
試料1は、第1粒子及び第2粒子のいずれにも非磁性皮膜を設けていないものである。
試料2は、実施形態1に示した磁性粉末混合樹脂材料の一例であり、第1粒子の非磁性皮膜を100nmとしたものである。
試料3は、実施形態1に示した磁性粉末混合樹脂材料の一例であり、第1粒子の非磁性皮膜を150nmとしたものである。
試料4は、軟磁性粉末が第2粒子を有さず、第1粒子に非磁性皮膜を設けていないものである。すなわち、試料4の軟磁性粉末は一山分布の粒度分布を有し、いずれの軟磁性粒子にも、非磁性被膜が形成されていない。
試料5は、第1粒子及び第2粒子のいずれにも同様の膜厚(平均膜厚100nm)の非磁性皮膜を設けているものである。
試料6、試料7、試料8は、第1粒子及び第2粒子のいずれにも非磁性皮膜を設け、第1粒子の非磁性皮膜よりも、第2粒子の非磁性皮膜を薄くしたものである。
試料1〜試料8の何れについても、第1ピークのピークトップ(対数にてデータを取得した際のピークトップ)の粒径は、200μmである。また、試料1〜試料3及び試料5〜試料8について、いずれも、第2ピークのピークトップの粒径は、18μmである。
各試料を作製するにあたっては、中心粒径D50が140μmの軟磁性粉末である大粒子粉末と、中心粒径D50が15μmの軟磁性粉末である小粒子粉末とを、それぞれ用意した。また、混合する前の大粒子粉末及び小粒子粉末の粒子の粒径については、レーザー回折・散乱法式粒度分布測定にて得られたものである。また、各粒子の形状はさまざまであるが、それらの粒径は、同じ回折・散乱光のパターンを示す真球の粒子の直径と同等の値として測定される。軟磁性粉末としては鉄粉を用いた。
なお、「大粒子粉末を構成する軟磁性粒子」と「第1粒子」とは、必ずしも一致するものではないが、「大粒子粉末を構成する軟磁性粒子」の大半(例えば50%以上)は、「第1粒子」となる。同様に、「小粒子粉末を構成する軟磁性粒子」と「第2粒子」とは、必ずしも一致するものではないが、「小粒子粉末を構成する軟磁性粒子」の大半(例えば50%以上)は、「第2粒子」となる。逆に、「大粒子粉末」の中には、「第2粒子」となるものはほとんど含まれないが、若干(例えば5%未満)含まれうる。また、「小粒子粉末」の中には、「第1粒子」となるものはほとんど含まれないが、若干(例えば5%未満)含まれうる。
試料1については、大粒子粉末と小粒子粉末とを、そのままの状態で、80:20の混合比(体積比率)にて混合した。この混合した軟磁性粉末をケースに入れ、軟磁性粉末のかさが減少しなくなるまで、振動を加えた。次いで、ケース内を真空引きした後、樹脂(エポキシ)を、ケース内に流し込み、軟磁性粒子の間の隙間に含浸させた。次いで、樹脂を加熱することにより硬化させた。以上により、各試料を作製した。
試料2、試料3については、大粒子粉末と小粒子粉末との混合前に、大粒子粉末にのみ表面に非磁性皮膜を形成した。非磁性皮膜の形成は、非磁性成分を溶かした溶媒を大粒子粉末に吹き付けることにより行った。なお、非磁性皮膜の形成方法としては、非磁性成分を溶かした溶媒へ軟磁性粉末を浸漬するという方法もある。また、本例においては、非磁性皮膜は、シリカ等のセラミックス系の絶縁被膜によって形成した。
その後、非磁性皮膜を備えた大粒子粉末と小粒子粉末とを、試料1と同様の方法にて混合し、その後の工程は、試料1と同様に行った。
また、試料5〜試料8については、大粒子粉末と小粒子粉末との双方の表面に非磁性皮膜を形成した以外は、試料2、試料3と同様の方法にて作製した。
また、試料4については、大粒子粉末のみを用いて試料1と同様の方法にて作製した。
各試料につき、軟磁性粉末の充填率を測定した。測定に当たっては、アルキメデス法から密度を算出し、磁性粉末(鉄粉)の比重と樹脂の比重から磁性粉末の充填率を算出するという方法を用いた。測定の結果、表1に示すごとく、試料4、試料5の充填率に比べて、試料1〜試料3の充填率が高いことが確認できた。すなわち、軟磁性粉末に第2粒子を含まない(一山分布の)試料4と、軟磁性粉末のすべてを同様の膜厚にて非磁性皮膜を形成した試料5とは、いずれも充填率が比較的低かった。その一方で、軟磁性粉末を第1粒子と第2粒子とによって構成し、第2粒子に非磁性皮膜を形成していない試料1〜試料3については、充填率を高くすることができた。
また、試料6〜試料8についても、試料4、試料5に比べて充填率が高い。試料6〜試料8は、第2粒子にも非磁性皮膜を形成しているが、その厚みを小さくしているため、試料1〜試料3ほどではないが、充填率を高くすることができている。そして、第2粒子の非磁性皮膜の膜厚が薄くなるほど、充填率が高くなっている。
また、図4に示すごとく、各試料につき、磁気特性の評価を行った。磁気特性の評価は、直流磁化特性評価装置(理研電子社製、BHU−20S)を用いて行った。なお、磁気特性の評価のために、各試料は環状に形成した。その環状の試料に対して、BコイルとHコイルとをそれぞれ所定の巻き数分巻回した。そして、各試料につき、直流磁化特性評価装置によって、B−H特性を測定し、透磁率特性(各試料に作用させた磁界強度Hと透磁率μとの関係)を算出した。ここで、磁界強度Hは、0〜60000A/mの間で変化させた。
測定結果を、図4に示す。同図において、符号S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8を付した線にて結んだプロットが、それぞれ、試料1、試料2、試料3、試料4、試料5、試料6、試料7、試料8のデータを示す。
同図から分かるように、試料1については、低い磁界強度の領域(低電流域)と高い磁界強度の領域(高電流域)との透磁率μの差が大きく、恒透磁率性が低い。これに対して、試料2、試料3、試料6、試料7、試料8については、低い磁界強度の領域(低電流域)と高い磁界強度の領域(高電流域)との透磁率μの差が低減されており、恒透磁率性が向上しているといえる。なお、試料4、試料5については、上述のごとく、充填率が低いため、透磁率μが低くなってしまう。
本例の結果から、試料2、試料3、試料6、試料7、試料8は、試料1、試料4、試料5とは異なり、恒透磁率性を確保しつつ軟磁性粉末の充填率を向上させることができることが分かる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、第2粒子の一部を非磁性皮膜によって被覆し、他の一部を非磁性皮膜によって被覆しない構成とすることもできる。
1 磁性粉末混合樹脂材料
2 樹脂
3 軟磁性粒子
31 第1粒子
32 第2粒子
41 (第1粒子の)非磁性皮膜
42 (第2粒子の)非磁性皮膜
P1 第1ピーク
P2 第2ピーク

Claims (5)

  1. 軟磁性粉末を樹脂(2)中に分散混合してなる磁性粉末混合樹脂材料(1)であって、
    上記軟磁性粉末は、2つのピーク(P1、P2)を有する粒度分布を形成する多数の軟磁性粒子(3)によって構成されており、
    上記2つのピーク(P1、P2)のうち粒度の大きい方の第1ピーク(P1)の粒径を有する上記軟磁性粒子(3)を第1粒子(31)とし、上記2つのピーク(P1、P2)のうち粒度の小さい方の第2ピーク(P2)の粒径を有する上記軟磁性粒子(3)を第2粒子(32)としたとき、
    上記第1粒子(31)は、非磁性皮膜(41)によって被覆されており、
    上記第2粒子(32)は、非磁性皮膜によって被覆されていない、又は上記第1粒子(31)を被覆する非磁性皮膜(41)よりも薄い非磁性皮膜(42)によって被覆されていることを特徴とする磁性粉末混合樹脂材料(1)。
  2. 上記第2粒子(32)は、非磁性皮膜によって被覆されていないことを特徴とする請求項1に記載の磁性粉末混合樹脂材料(1)。
  3. 上記第2粒子(32)の少なくとも一部は、上記第1粒子(31)を被覆する非磁性皮膜(41)よりも薄い非磁性皮膜によって被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の磁性粉末混合樹脂材料(1)。
  4. 上記第1粒子(31)を被覆する非磁性皮膜(41)の平均膜厚は、上記第2粒子(32)を被覆する非磁性皮膜の平均膜厚の5倍以上であることを特徴とする請求項3に記載の磁性粉末混合樹脂材料(1)。
  5. 上記第1ピーク(P1)のピークトップの粒度(d1)は、上記第2ピーク(P2)のピークトップの粒度(d2)の4倍〜150倍であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁性粉末混合樹脂材料(1)。
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