JP2016159824A - 追加プロペラを装備する船 - Google Patents

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Abstract

【課題】船舶の運航安全性を損なうことなく、燃料消費低減を図ることができるようにする。
【解決手段】主機により常用プロペラを駆動して推進力を得る船舶に、船首部に船底を貫通する上下トンネル30が形成され、上下トンネル30に連通して横方向トンネル32が形成され、追加プロペラ20及びその駆動手段22を含む追加プロペラ装置が設けられ、追加プロペラ装置は、その追加プロペラ20が上下トンネル30の上下方向中心線回りに旋回可能に設けられ、かつ、追加プロペラ20が船底より下方と、横方向トンネル32の高さ位置とに昇降可能に構成され、追加プロペラ20が横方向トンネル32の高さ位置にあるとき、横方向トンネル30に沿うように構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ダクトプロペラなどの追加プロペラを装備する船及びその運航方法に関する。
船、たとえば商船、とりわけ貨物船の場合は、貨物を載荷して段階と荷下ろし後の段階とで、喫水線の上下がきわめて大きい。
一般的に、貨物船の場合、運航はバラスト喫水または計画満載喫水で運航している。特に海上状態が不良の時の安全性を考慮して、荒天運航の喫水がとれるように設計され建造されている。また、喫水深さは推進用プロペラを安全に効率よく使用するため、プロペラインマージョンも考慮され決定されている。
しかるに、喫水を深く維持することは排水量の増加、外板の水との接触面積の増加水線面積係数の悪化となり燃料消費の増加を意味する。
貨物船は、荷下ろし後は、運賃収入がないにもかかわらず、船の安定性を考慮してバラス計画喫水状態で運航するのが現状である。この状態での燃料消費低減を図ることは経済効果が大きく、またNoxおよびSox等の環境改善効果もある。
特に、近年ではバラスト水に海洋生物が混入する環境問題から、バラスト水の処理が問題視されている。
なお、後述するダクトプロペラ(ノズルプロペラ)に関し、次の先行技術文献がある。
特許第3508811号公報 特許第5231878号公報
大型船及び中型船は、燃料消費量が小型船に比較して大きいために、燃料消費低減を図ることが重要である。
しかも、大型船及び中型船は、細かい運動性能が劣っており、桟橋や岸に対して離着するときにおける操船に困難を伴うことが多い。
したがって、本発明の主たる課題は、燃料消費低減を図ることができる船を提供することにある。また、桟橋または岸に対して離着するときにおける操船が容易な船を提供することにある。
上記課題を解決した本発明は、
主機により常用プロペラを駆動して推進力を得る船舶に、船首部に船底を貫通する上下トンネルが形成され、
前記上下トンネルに連通して横方向トンネルが形成され、
前記上下トンネル内にプロペラ及びその駆動手段を含む追加プロペラ装置が設けられ、
前記上下トンネル内の水面の上方から前記追加プロペラ装置を吊り持つ吊持手段が設けられ、
前記追加プロペラ装置は、その追加プロペラが船底より下方と、前記横方向トンネルの高さ位置とに昇降可能に構成され、
前記吊持手段により吊り持つ状態で、前記追加プロペラ装置が前記上下トンネルの上下方向中心線回りに旋回可能に設けられ、
前記追加プロペラ装置の追加プロペラが前記横方向トンネル高さの位置にあるとき、前記横方向トンネルに沿うように構成されている、ことを特徴とする追加プロペラを装備する船に係るものである。
本発明では、常用プロペラ以外に、常用プロペラより小型の追加プロペラ及びその駆動手段を設ける。追加プロペラの前記駆動手段の出力は、前記主機の駆動手段の出力の35%以下、より好ましくは25%以下である。載荷(積荷)時には、計画満載喫水に近い喫水状態で、常用プロペラを駆動して運行する。必要あれば追加プロペラを併用して運航する。
荷下ろし後の帰港航海、小型の追加プロペラで主として運航する。とりわけ天候が穏やかな日においては、船舶の航海時の安定性につき過度に厳格とする必要性に乏しい。そこで、喫水線を下げた状態で、小型の追加プロペラにて走行させる。
その結果、喫水線を下げることにより、見掛け上の排水量の低下となり、外板の水との接触面積が小さくなり、水線面積係数の改善を図ることができ、燃料消費の低減効果が大きいものとなる。
また、小型の追加プロペラを駆動するので、駆動装置の出力(主機の駆動手段の出力の35%以下、より望ましくは25%以下)は小さいもので足り、この観点からも、燃料消費の低減効果が大きいものとなる。
船舶が積荷を満載した後に出港し、通常の航海に移行する場合には、常用プロペラを駆動し、深い喫水で航海する。また、揚荷後バラストで航海する場合は通常航海状態に移行後に追加プロペラ運航とする。ただし天候が悪い場合には、たとえ空船であっても、バラスト水を張り、安定化させた状態で、小型の追加プロペラ又は常用プロペラにて走行させることができる。また必要な場合、追加プロペラ及び常用プロペラを併用することも可能である
バラスト航海時に主として追加小型ダクトプロペラを使用することにより、主プロペラのプロペラ没水率の制限が少なくなり、常用プロペラのプロペラ直径を、従来の設計基準によるプロペラの直径より大きくできる。これによりプロペラ効率アップが可能となり、約5〜7%の効率アップとなる。かくして、より大きな直径の常用プロペラ採用により、プロペラ効率がアップし同一船速に対し主機関の必要出力は減少し。これにより大きな燃費改善となる。
一方、本発明においては、前記追加プロペラ装置は、その追加プロペラが船底より下方と、並びに前記横方向トンネル高さ位置とに昇降可能に構成されている。
前記小型の追加プロペラを使用して航行する場合には、前記追加プロペラ装置は、その追加プロペラが船底より下方に突出させ、省エネルギーの運航を行う。
他方で、帰港時または出港時には、前記追加プロペラを、前記横方向トンネル高さ位置に上昇させるとともに、前記横方向トンネルに沿う向きに方向決めしておき、岸または桟橋に前記船を接岸または離岸させるとき、サイドスラスターとして利用することで、接岸または離岸の操船がきわめて容易となる。
前記追加プロペラ装置の追加プロペラが前記横方向トンネル高さ位置にあるときに、前記追加プロペラ装置を、前記上下トンネルの内方に突出する支持部に固定可能に構成することができる。
船を接岸または離岸させる際に、前記追加プロペラを横方向トンネルの高さ位置に上昇させるとともに、前記横方向トンネルに沿う向きに方向決めする場合、プロペラの回転に伴う水力変動及びそれに由来する振動要因が大きいために、安定して前記追加プロペラ装置を固定するのが望ましい。
この固定のためには、追加プロペラが前記横方向トンネル高さ位置にあるときのほか、必要により追加プロペラが船底より下方に位置にあるときに、いずれの場合においても、前記上下トンネルの内方に突出する支持部を形成しておき、その支持部に前記追加プロペラ装置を固定する構造とすることにより、前記追加プロペラ装置の安定した固定が可能となる。
追加プロペラが前記横方向トンネル高さ位置にあるときにおいて、前記支持部に前記追加プロペラ装置を固定する構造において、前記支持部上に前記追加プロペラ装置を上方から押し付けて固定する構造が高い固定安定性を示すものとなる。しかるに、前記追加プロペラ装置は、その追加プロペラが船底より下方と、前記横方向トンネル高さ位置とに昇降可能に構成されるので、前記支持部として、たとえば全周に渡るフランジでは、前記追加プロペラ装置の昇降ができない。
そこで、支持部としてフランジを周方向に複数の分割しておき、前記追加プロペラ装置には、外周部に周方向に複数分割された切欠部を有し、かつその切欠部を跨いで係止部を有する固定部を形成しておき、前記支持部相互間に前記係止部を位置させた状態で、前記追加プロペラ装置を引き上げ、その後前記追加プロペラ装置を上下トンネルの上下方向中心線回りに回転させ、前記係止部をフランジ位置に位置合わせし、係止部を支持部に、適宜の固定手段により上方から押し付けて固定することができる。
これによって、前記追加プロペラ装置の昇降及び固定が可能となる。
前記常用プロペラを駆動して推進力を得る常用運転状態と、追加プロペラを駆動して推進力を得る運転状態とを選択可能とすることができる。
前記追加プロペラとしては、効率的な推進を行わせるうえでダクトプロペラであるのが、望ましい。
追加プロペラとしてダクトプロペラを使用すると、小型であっても、相対的に大きい推力を得ることができる。
前記追加プロペラ装置は、そのプロペラを回転駆動する駆動手段を有し、
この追加プロペラ装置とは別の旋回手段により前記上下トンネルの上下方向中心線回りに旋回可能に設けられている構成とすることができる。
前記上下トンネル内の水面の変動を監視又は検知する水面検知手段を設けることができる。
主機により常用プロペラを駆動して推進力を得る船舶に、船首部に船底を貫通する上下トンネルが形成され、
前記上下トンネルに連通して横方向トンネルが形成され、
前記上下トンネル内にプロペラ及びその駆動手段を含む追加プロペラ装置が設けられ、
前記上下トンネル内の水面の上方から前記追加プロペラ装置を吊り持つ吊持手段が設けられ、
前記追加プロペラ装置は、その追加プロペラが船底より下方と、前記横方向トンネルの高さ位置とに昇降可能に構成され、
前記吊持手段により吊り持つ状態で、前記追加プロペラ装置が前記上下トンネルの上下方向中心線回りに旋回可能に設けられ、
前記追加プロペラ装置の追加プロペラが前記横方向トンネル高さの位置にあるとき、前記横方向トンネルに沿うように構成されている、追加プロペラを装備する船について;
積荷状態では前記常用プロペラを駆動して推進し、空荷状態では少なくとも前記追加プロペラを駆動して推進することを特徴とする追加プロペラを装備する船の運行方法。
前記追加プロペラを、前記横方向トンネル高さ位置に上昇させたとき、前記横方向トンネルに沿う向きに方向決めしておき、
岸または桟橋に前記船を接岸または離岸させる請求項8記載の船の運行方法。
ところで、前記上下トンネルの径を過度に大きくすることは経済的でない。しかるに、旋回手段を前記追加プロペラ装置に組み込むと、前記上下トンネルの内径を大きくすることに成らざるを得ない。
これに対し、前記上下トンネル内の水面の上方から前記追加プロペラ装置を吊り持つ吊持手段を設けておき、前記吊持手段により吊り持つ状態で、前記追加プロペラ装置を前記上下トンネルの上下方向中心線回りに旋回可能とすることにより、前記上下トンネルの径の増大を防ぐことができる。
本発明によれば、船の運航安全性を損なうことなく、燃料消費低減を図ることができる。また、桟橋または岸に対して離着するときにおける操船が容易となる。
本発明に係る追加プロペラ装置の配置例の概要斜視図である。 その部分側面図である。 船底側からの底面図である。 追加プロペラ装置例の概要図である。 追加プロペラ装置の構造例の縦断面図である。 (a)〜(d)は固定手段例の説明図である。 本発明に係る空荷での運転状態の船の概要正面図である。 積荷状態の船の概要正面図である。 他の固定手段例の部分縦断面図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。
図7及び図8は、本発明に係る船、たとえば積荷状態の商船10、たとえば貨物船の概要側面図である。この商船10には、ディーゼル機関などの主機(主機関)12により常用プロペラ(主プロペラ)11を駆動して推進力を得る。
図2にも参照されるように、船舶に、追加プロペラ20及びその駆動手段22を含むダクト追加プロペラ装置24が、上下方向トンネル30に沿う形態で設けられている。
この追加プロペラ20は、常用プロペラ11とは異なる位置、すなわち図示の船首領域に配置される。
また、船尾側にはブリッジ13が設けられ、船首方向のみならず船尾方向側も監視できるように窓13Aが形成されている。
追加プロペラ装置24の例が、主に図1、図4及び図5に示されている。追加プロペラ20の駆動手段22、たとえばモータの出力は、主機12の駆動手段の出力の25%以下であり、小さいものである。
そして、常用プロペラ11を駆動して推進力を得る常用運転状態と、追加プロペラ21を駆動して推進力を得る運転状態とを選択可能とされている。
追加プロペラ装置21の例を説明すると、駆動手段22としては、電気モータ、油圧モータなどのほか、必要ならば、主機(主機関)12と連結して駆動力を得るようにすることもできる。駆動手段22はカバー22Aにより水密構造とするのが望ましい。
駆動手段22による出力軸23の回転駆動力は、一対の傘歯車25を介して横軸26に伝達され、プロペラの周囲にダクト21を有する追加プロペラ20を回転させるように構成されている。
さらに、船底10Aより下方のダクト追加プロペラ装置24を含む機器は、図7に示すように、船底10Aの外へ張出す状態にあるが、通常の航海あるいは浅い海での航海では邪魔になるので、船内への引き込み可能である。
かかる船構造であると、貨物Rの積荷(載荷)時には、図7に示すように、計画満載喫水に近い喫水状態で、主機12により常用プロペラ11を駆動して運行する。
荷下ろし後は、とりわけ天候が穏やかな日、あるいは波の静かな海においては、船舶の航海時の安定性につき過度に厳格とする必要性に乏しいので、図8に示すように、喫水線を下げた状態で、小型の追加プロペラ20にて走行させる。この場合、図8の白抜き矢印で示すように船の進行方向は適宜選択でき、船の進行方向によりブリッジ13で船首、船尾を監視する。
その結果、喫水線を下げることにより、見掛け上の排水量の低下となり、外板の水との接触面積が小さくなり、水線面積係数の改善を図ることができ、燃料消費の低減効果が大きいものとなる。
また、小型の追加プロペラ20を駆動するので、駆動装置22の出力は小さいもので足り、主機12の駆動手段の出力の35%以下、特に25%以下、とりわけ10%〜5%程度の出力で航行できる観点からも、燃料消費の低減効果が大きいものとなる。天候が穏やかな日(ビューフォートスケールで0〜3の日)での走行速度は5〜10ノット程度で十分である。
当該船舶が貨物Rを満載した後に出港し、通常の航海に移行する場合には、常用プロペラ11を駆動し、または追加プロペラ20をも併用し深い喫水で航海する。
また、天候が悪い場合には、たとえ空船であっても、バラスト水BW(バラスト水の貯留空間は図示していない。)を張り、安定化させた状態で、小型の追加プロペラ20又は常用プロペラ11にて走行させることができる。
ダクト追加プロペラ装置24が、上下軸線周りに回転可能であると、必要とする運転状態において、図8に示すように、ダクト追加プロペラ装置24を駆動して船尾方向に推進することができる。
また、ダクト追加プロペラ装置24による推進方向を船首方向とすることができる。そのために、常用プロペラ11に対し、その回転を防止するプロペラ遊転防止装置11Aを設けておくことができる。
一方、本発明例においては、図7及び図8に示すように、船首部に船底を貫通する上下トンネル30が形成され、図1に示すように、その上下トンネル30に連通して横方向トンネル32が形成されている。32Aは横方向トンネル32の保護カバーである。
そして、上下トンネル30内にプロペラ20及びその駆動手段22を含む追加プロペラ装置24が設けられている。さらに、前記上下トンネル内の水面の上方から前記追加プロペラ装置を吊り持つ吊持手段(図示せず)が設けられ、追加プロペラ装置24は、その追加プロペラ20が船底10Aより下方と、横方向トンネル32の高さ位置とに昇降可能に構成されている。
また、前記吊持手段により吊り持つ状態で、前記追加プロペラ装置24は、その追加プロペラ20が上下トンネル30の上下方向中心線回りに旋回可能に設けられている。
そして、追加プロペラ装置24の追加プロペラ20が横方向トンネル32の高さ位置にあるとき、追加プロペラ20が横方向トンネル32に沿うように構成されている。
追加プロペラ20の吊持手段、または追加プロペラ装置24の昇降に際しては適宜の手段を用いることができる。
簡便には、上下トンネル30の上方にメンテナンス用のデッキ10Cに、又は上甲板10B上の櫓(デリック:図示せず)に設けた、チェーンやシリンダなどの昇降機(図示せず)を、追加プロペラ装置24と連結し、昇降機により昇降させる形態である。この形態がより解るように、図9にモータカバーに設けた昇降用の吊り具50の部分を示した。
他方、特表2002−544028のように、上下トンネル30の内面にあるいはこれに連結したシャフトに沿ってラックレールを設け、追加プロペラ装置24がわにピニオン及びその駆動装置を設け、ピニオンをラックレールに噛み合わせ、ピニオン駆動装置により追加プロペラ装置24を昇降させる構成でもよい。
前述のように、上下トンネル30の径を過度に大きくすることは経済的でない。しかるに、旋回手段を追加プロペラ装置に組み込むと、上下トンネル30の径を大きくすることに成らざるを得ない。
これに対し、この追加プロペラ装置とは別の旋回手段により追加プロペラ装置を上下トンネル30の上下方向中心線回りに旋回可能とすることにより、上下トンネル30の径の増大を防ぐことができる。
このための旋回手段としては、チェーンやシリンダなどの昇降機を、追加プロペラ装置24を吊り持つ状態で、上下トンネル30の上下方向中心線回りに旋回する形態を挙げることができる。
他方、上下トンネル30内に嵌合する旋回用支持筒(図示せず)を設け、たとえば旋回用支持筒を、その上部位置に設けた旋回駆動手段により、たとえば旋回用支持筒がわと旋回駆動手段との間に対向配置した噛み合いギアを介して駆動し、旋回用支持筒を上下トンネル30の上下方向中心線回りに旋回するように構成することができる。
また、前述のように、船を接岸または離岸させる際に、追加プロペラ20を横方向トンネル32の高さ位置に上昇させるとともに、追加プロペラ20を横方向トンネル32に沿う向きに方向決めし、サイドスラスター、すなわちバウスラスターとして使用する。
追加プロペラ装置24の固定のために、たとえば図1、図5及び図6が参照されるように、上下トンネル30の内方に突出する支持部30B、30Bを形成しておき、その支持部30B、30Bに追加プロペラ装置24を固定する構造とすることにより、追加プロペラ装置24の安定した固定が可能となる。
こ形態において、支持部30B、30Bに追加プロペラ装置24を固定する構造において、支持部30B、30B上に追加プロペラ装置24を上方から押し付けて固定する構造が高い固定安定性を示すものとなる。しかるに、追加プロペラ装置24は、その追加プロペラ20が船底10Aより下方と、横方向トンネル32の高さ位置とに昇降可能に構成されるので、支持部30B、30Bとして、たとえば全周に渡るフランジでは、追加プロペラ装置24の昇降ができない。
そこで、支持部30B、30Bとして、図6(c)のように上下トンネル30の内方に突出するフランジを周方向に複数の分割しておき、追加プロペラ装置24には、駆動手段22及びモータケース22Aの固定ベース40について、図6(a)(b)のように外周部に周方向に複数分割された切欠部40A,40Aを有し、かつその切欠部40A,40Aを跨いで、係止部40B,40Bを有する固定部を形成しておき、支持部30B、30B相互間に係止部40B,40Bを位置させた状態で、追加プロペラ装置24を引き上げ、その後、追加プロペラ装置24を上下トンネルの上下方向中心線回りに回転させ、係止部40B,40Bをフランジ位置に位置合わせし、係止部40B,40Bを支持部30B、30Bに、適宜の固定手段により上方から押し付けて固定することができる。
かかる形態において、追加プロペラ20を横方向トンネル32に沿う向きに方向決めしたときに、上下トンネル30の上下方向中心線回りの位置も決まる形態として、たとえば
、図6に示すように、支持部30B、30Bの端部にストッパーを30D,30Dを形成しておくと、追加プロペラ装置24を上下トンネルの上下方向中心線回りに回転させ、固定ベース40を回転させるとき、その係止部40B,40Bが支持部30B、30Bの端部のストッパーを30D,30Dに突き当たるようにすることができる。
さらに、係止部40B,40Bの下面から突出して円錐ピン40Cを形成し、これに対応して、支持部30B、30Bにテーパ形状の嵌め受け孔30Eを形成しておくと、円錐ピン40Cが嵌め受け孔30Eに入り込むので、固定ベース40の周方向の位置決めを行わせることができる。
他方で、係止部40B,40Bを支持部30B、30Bに上方から押し付けて固定する固定手段としては、適宜の形態を採用できる。
固定手段60の第1の例は、図4及び図5に示されるように、たとえば偏心円カム61を、係止部40A上に設け、この偏心円カム61を、たとえば支持台10Dに固定した駆動モータ62の回転駆動力を、ギアボックス63を介して偏心円カム61に回転力として伝達させるものである。
係止部40B,40Bを支持部30B、30Bに位置合わせした後、偏心円カム61により押し付け力として作用させる場合に、偏心円カム61をその作用点が下方になるように回転させる。外す場合は、逆の操作を行う。
固定手段60の第2の例は、図9に示されるように、たとえばトッグル機構を採用した例である。
すなわち、上下トンネル30又は支持部30Bに設けたブラケット64に、押し付けアーム65を連結し、他方で上下トンネル30にブラケット66を設け、伸縮シリンダ67の先端を、押し付けアーム65との間ではリンク68により連結し、ブラケット66の間ではリンク69により連結したものである。
この例では、係止部40B,40Bを支持部30B、30Bに位置合わせした後、伸縮シリンダ67のピストンロッドを伸長させ、トッグル機構を介して、押し付けアーム65の他端部を係止部40Bに強く押圧するものである。
また、追加プロペラ装置24の追加プロペラ20が船底より下方に位置にあるときには、たとえば、図4に示すように、上下トンネル30の下端部に形成した、内方に突出する支持部30Fに、上述例の構造のように、固定ベース40を固定することができる。
なお、必要ならば、船尾側の追加プロペラ装置24Aについては、船の中心線を境として左右に設けることもできる。船尾側の左右に追加プロペラ装置24A,24Aを設けることにより、操船性を高めることができる。また、サイドスラスターとして利用時において、着岸がより一層簡単になる。
他方、船尾側の追加プロペラ装置24Aの設置は行わなくてもよい。代わりに、スターンサイドスラスターを設けることもできる。なお、スターンサイドスラスターとしては、スターン側の船の中心軸には機関室などがあるので、上下トンネル30を形成することはできない。したがって、スターンサイドスラスターを設ける場合には、前述のように、船の中心軸を挟んで左右に2つのスターンサイドスラスターを設けることになる。
また、図2及び図4に示すように、本発明例においては、上下トンネル30内に水が入り込むことになる。しかるに、上下トンネル30内の(海)水面WLは波の影響と殆ど受けない。そこで、上下トンネル30内の(海)水面WLを適宜の検出器(図示せず)により検出し、図2に概要を示すように、現在の喫水を把握又は監視することができる。
本発明は、一般貨物船のほか、コンテナ船、タンカー、LNG船、自動車運搬船、バラ積み船、貨客船などについて適用可能である。
10…船
10A…船底
11…常用プロペラ(主プロペラ)
12…主機(主機関:駆動手段)
20…追加プロペラ
21…ダクト
22…駆動手段
22A…カバー
24…追加プロペラ装置
30…上下トンネル
30B…支持部
30D…ストッパー
30F…支持部
32…横方向トンネル
40…固定ベース
40B…係止部
60…固定手段
61…偏心円カム
67…伸縮シリンダ
WL…(海)水面

Claims (8)

  1. 主機により常用プロペラを駆動して推進力を得る船舶に、船首部に船底を貫通する上下トンネルが形成され、
    前記上下トンネルに連通して横方向トンネルが形成され、
    前記上下トンネル内にプロペラ及びその駆動手段を含む追加プロペラ装置が設けられ、
    前記上下トンネル内の水面の上方から前記追加プロペラ装置を吊り持つ吊持手段が設けられ、
    前記追加プロペラ装置は、その追加プロペラが船底より下方と、前記横方向トンネルの高さ位置とに昇降可能に構成され、
    前記吊持手段により吊り持つ状態で、前記追加プロペラ装置が前記上下トンネルの上下方向中心線回りに旋回可能に設けられ、
    前記追加プロペラ装置の追加プロペラが前記横方向トンネル高さの位置にあるとき、前記横方向トンネルに沿うように構成されている、
    ことを特徴とする追加プロペラを装備する船。
  2. 前記追加プロペラ装置の追加プロペラが前記横方向トンネル高さ位置にあるときに、前記追加プロペラ装置を、前記上下トンネルの内方に突出する支持部に固定可能に構成した
    請求項1記載の追加プロペラを装備する船。
  3. 前記追加プロペラ装置の追加プロペラが船底より下方に位置にあるときに、前記追加プロペラ装置を、前記上下トンネルの内方に突出する支持部に固定可能に構成した請求項1記載の追加プロペラを装備する船。
  4. 前記常用プロペラを駆動して推進力を得る常用運転状態と、追加プロペラを駆動して推進力を得る運転状態とを選択可能とされたことを特徴とする追加プロペラを装備する船。
  5. 前記追加プロペラはダクトプロペラである請求項1記載の追加プロペラを装備する船。
  6. 前記上下トンネル内の水面の変動を監視又は検知する水面検知手段を有する請求項1記載の追加プロペラを装備する船。
  7. 主機により常用プロペラを駆動して推進力を得る船舶に、船首部に船底を貫通する上下トンネルが形成され、
    前記上下トンネルに連通して横方向トンネルが形成され、
    前記上下トンネル内にプロペラ及びその駆動手段を含む追加プロペラ装置が設けられ、
    前記上下トンネル内の水面の上方から前記追加プロペラ装置を吊り持つ吊持手段が設けられ、
    前記追加プロペラ装置は、その追加プロペラが船底より下方と、前記横方向トンネルの高さ位置とに昇降可能に構成され、
    前記吊持手段により吊り持つ状態で、前記追加プロペラ装置が前記上下トンネルの上下方向中心線回りに旋回可能に設けられ、
    前記追加プロペラ装置の追加プロペラが前記横方向トンネル高さの位置にあるとき、前記横方向トンネルに沿うように構成されている、追加プロペラを装備する船について;
    積荷状態では前記常用プロペラを駆動して推進し、空荷状態では少なくとも前記追加プロペラを駆動して推進することを特徴とする追加プロペラを装備する船の運行方法。
  8. 前記追加プロペラを、前記横方向トンネルの高さ位置に上昇させたとき、前記横方向トンネルに沿う向きに方向決めしておき、
    岸または桟橋に前記船を接岸または離岸させる請求項7記載の船の運行方法。
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