JP2016157863A - レーザ光源装置およびその調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レーザ光B1を出射するレーザ光源素子30と、レーザ光源素子30の後段に配置された光学素子とを備えたレーザ光源装置であって、レーザ光源素子30の活性層31と交差するY方向に変位した位置に戻り光受光面26を有し、光学素子は、光学素子で反射した戻り光であるレーザ光B4が戻り光受光面26に入射するように、レーザ光B1の光軸に対して傾けて設置されている。
【選択図】図3
Description
このような半導体レーザは、レーザ光を出射するレーザ光源素子と、レーザ光源素子の後段に配置された光学素子とを備えたレーザ光源装置により提供される。
光学素子としては、コリメータレンズのほか、エタロン基板や偏光板、各種波長板などの光学フィルタ、プリズム、保護用の透明板など、あるいはこれらの組み合わせが用いられる。
とくに、光学素子の表面が平面であると同じ方向の戻り光が大きくなり、コリメータレンズがある場合には通過する戻り光がレーザ光源素子に収束することもある。
戻り光がレーザ光源素子に入射すると、レーザ光源素子における発振が不安定になり、出射するレーザ光の強度や波長が変化する不都合が生じる。
このような戻り光のレーザ光源素子への入射を抑制するために、光学素子に反射防止膜を設けたり、光アイソレータを用いたりする構成が用いられていた。
また、光アイソレータは、高価であり、レーザ光源装置が大型化し、複雑化する等の課題もあった。
より容易に戻り光を抑制する構成として、光学素子をレーザ光の主光軸に対して傾斜させる構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図6において、レーザ光源装置90は、レーザ光99を出射するレーザ光源素子91と、このレーザ光源素子91を収容するケース92とを備えている。
レーザ光源素子91は、その活性層が図中Z方向およびX方向に沿って配置され、レーザ光99はZ方向に出射される。レーザ光99のビーム形状はX方向およびY方向に沿った断面形状として表れる。
レーザ光源素子91の背面側には、出力制御用の光検出器93が設置される。
一方、ニアフィールドよりも遠い範囲(ファーフィールド)では、Y方向の長さFYがX方向の長さFXより長くなり、長軸がY方向(活性層と交差方向)に沿った楕円形のビーム形状となる。
しかし、ファーフィールドにおいて光学素子により反射された戻り光は、レーザ光源素子の近傍でY方向が長軸となる楕円形状のスポットを形成する。
このように、戻り光がY方向に長軸となる楕円形状であると、戻り光をY方向に変位させても、戻り光の一部がレーザ光源素子に入射してしまうことがある。そして、これにより安定したレーザ光が出射できない状況を改善できない。
しかし、光学素子の設置角度をさらに大きくすることは、装置の大型化を招き、装置の剛性や温度安定性が低下する。
また、光学素子によっては、設置角度を大きく変更できない場合がある。例えば、光学素子としてエタロンを用いる場合では、設置角度によって透過波長や透過光量が変化してしまい、設置角度を大きく変更することができない。
つまり、光学素子の傾き角度が小さくても、戻り光受光面に入射する戻り光の一部がレーザ光源素子に入り込むような状況(戻り光のビーム形状が活性層と交差方向に長い場合など)を回避することができる。
レーザ光源装置において、レーザ光源素子は、ケース内に収容されるとともに、ケースのベース部材に固定された支持部材により支持されている。支持部材は、多くの場合、レーザ光源素子の発熱を発散させるためのヒートシンクを兼ねており、伝熱性をも考慮してレーザ光源素子の表裏の平坦な面、つまり活性層と交差方向となる側に配置される。従って、このような支持部材を利用して戻り光受光面を形成することができ、構造の簡素化を図ることができる。
ここで、ファーフィールドでの楕円形の長軸方向のビームがコリメートされるように、コリメータレンズを配置する。このような配置では、光学素子からレーザ光源素子に戻される光のビーム形状は、出射端付近において、出射時と同様に長軸が活性層に沿った方向となる楕円形のビーム形状になる。従って、光学素子の設置角度を浅くしても、レーザ光源素子の発光領域(活性層)や光検出器に、戻り光が入り込むような状況を回避することができる。
光学素子の傾きがない状態では、戻り光はレーザ光源素子に入射するので、光検出器の出力信号は高い値を示す。この状態から、光学素子の傾きを大きくしてゆき、戻り光の入射がレーザ光源素子から戻り光受光面に移ることで、光検出器の出力信号は低い値を示すようになる。
従って、光検出器の出力信号が所定の閾値以下になった状態で傾きを固定すれば、戻り光のレーザ光源素子への入射を回避できる最小の傾き角度に設定することができる。
図1において、レーザ光源装置10は、外周にフランジを有する中空筒状の本体11を有する。
半導体レーザ光源20からは、本体11の前面側に向けてレーザ光B1が出射される。レーザ光B1は、主光軸がZ方向とされた拡散光束である。
レンズホルダ13は中空筒状とされ、中空部の半導体レーザ光源20に対向する側にはコリメータレンズ14が固定されている。
コリメータレンズ14は、半導体レーザ光源20から出射されたレーザ光B1をコリメートする。コリメートされたレーザ光B2は、Z方向の平行光束となる。
光学素子ホルダ15は、円板状であるが中央部が空洞とされ、空洞のレンズホルダ13側には光学フィルタ16が固定されている。
光学フィルタ16は、レーザ光B1,B2の光軸であるZ方向の軸線に対して、Y方向に角度θだけ傾けた状態で、光学素子ホルダ15に固定されている。
ベース21のケース22で覆われた部分には、ブラケット23が固定され、その先端にはサドル24が固定され、このサドル24にレーザ光源素子30が支持されている。
ベース21には、レーザ光源素子30の背面側(コリメータレンズ14に向かう全面側とは反対側)に、出力制御用の光検出器25が設置されている。
光検出器25には、レーザ光源素子30からレーザ光B1と逆向きに出射されるレーザ光が入射される。
この際、光学フィルタ16の表面では、レーザ光B2の一部が反射され、反射されたレーザ光B3はコリメータレンズ14を逆向きに通過し、収束するレーザ光B4が戻り光として半導体レーザ光源20に戻る。
レーザ光源素子30は、2枚の半導体層の間に活性層31を有し、一端面の発光領域32からレーザ光B1を出射する。
サドル24は、発光領域32がある側の表面を戻り光受光面26とされ、この戻り光受光面26には、前述した戻り光であるレーザ光B4が入射され、そのスポットマーク27が表れる。
図4において、レーザ光源素子30から出射されるレーザ光B1には、活性層31に交差するY方向の成分(図4(A)参照)と、活性層31に沿ったX方向の成分(図4(B)参照)との間で非点隔差Dがあり、Z方向の光軸に沿ってビーム形状(光束の断面形状)が変化する。
図4(B)において、レーザ光B1のX方向の成分B1Xは、レーザ光源素子30の出射端より奥が焦点となり、発光領域32においてはX方向の幅が比較的大きい。
従って、発光領域32において、レーザ光B1のビーム形状は、Y方向に狭く、X方向に広い楕円形、つまり長軸がX方向に沿った楕円形となる。
さらに、境界Eより先の領域では、Y方向の成分B1Yの幅がX方向の成分B1Xの幅より大きくなり、レーザ光B1のビーム形状は、Y方向に広く、X方向に狭い楕円形、つまり長軸がY方向に沿った楕円形となる。
本実施形態においては、コリメータレンズ14が、境界Eより先のファーフィールド領域に設置されており、コリメータレンズ14がコリメートするレーザ光B1は長軸がY方向に沿った楕円形となっている。
従って、コリメータレンズ14を通過したレーザ光B2のY方向の成分B2Yは、平行光束として光学フィルタ16に入射される(図4(A)参照)。
一方、コリメータレンズ14を通るレーザ光B1のX方向の成分B1Xは、平行光にはならず、一旦収束したのち、再び発散する光束となる(図4(A)参照)。
光学フィルタ16は、元のレーザ光B1の主光軸であるZ方向に対してY方向へ角度θだけ傾けられており、レーザ光源素子30側に戻るレーザ光B4は、発光領域32ではなく、レーザ光源素子30に隣接した戻り光受光面26の表面にスポットマーク27を形成する。
一方、レーザ光B3のX方向の成分B3Xは、成分B2Xに準じて拡散光束であり、コリメータレンズ14を逆向きに通過したレーザ光B4のX方向の成分B4Xは収束光束となるものの収束角度が緩く、スポットマーク27はX方向の幅が広く狭くなる。
従って、スポットマーク27において、戻り光であるレーザ光B4のビーム形状は、Y方向に狭く、X方向に広い楕円形、つまり長軸がX方向に沿った楕円形となる。
そして、レーザ光B1のうちファーフィールドでの楕円形の長軸であるY方向の成分B1Yがコリメートされるように、コリメータレンズ14が配置されているため、光学フィルタ16からレーザ光源素子30側に戻るレーザ光B3のビーム形状は、出射端付近において、出射時と同様に長軸が活性層31に沿ったX方向となる楕円形のビーム形状になる。
このようなレーザ光B4の傾き調整は、前述した光学フィルタ16の傾き角度θの調整により行うことができる。
本実施形態では、以下の手順で光学フィルタ16の傾き角度θの調整を行う。
傾きのない状態では、戻り光であるレーザ光B4はZ方向に沿ってレーザ光源素子30に戻り、スポットマーク27が発光領域32に重なって表れ、光検出器25の出力信号は高い状態になっている。
具体的には、傾き角度θを増し、その都度、光検出器25の出力信号を判定し(処理ST4)、光検出器25の出力信号が閾値より高い状態であれば傾きを増すこと(処理ST3)を繰り返してゆく。
光検出器25の出力信号が閾値以下と判定されたら(処理ST4)、光検出器25の出力信号の監視を終了し(処理ST5)、その傾き角度θで光学フィルタ16を固定する(処理ST6)。
そして、調整で得られる傾き角度θは、スポットマーク27がレーザ光源素子30から離れる最小角度となり、光学フィルタ16の傾きを最小にすることができる。
本発明のレーザ光源装置は、レーザ光を出射するレーザ光源素子と、前記レーザ光源素子の後段に配置された光学素子とを備えたレーザ光源装置であって、前記レーザ光源素子の活性層と交差方向に変位した位置に戻り光受光面を有し、前記光学素子は、前記光学素子で反射した戻り光が前記戻り光受光面に入射するように、前記レーザ光の光軸に対して傾けて設置されていることを特徴とする。
つまり、光学フィルタ16の傾き角度θが小さくても、戻り光受光面26に入射するレーザ光B4の一部がレーザ光源素子30に入り込むような状況を回避することができる。
さらに、サドル24の表面で戻り光受光面26を形成したため、部材の兼用により構造の簡素化を図ることができる。
さらに、コリメータレンズ14は、レーザ光B1の光軸上でレーザ光B1のビーム形状が活性層31と交差するY方向に長い楕円形状となるファーフィールド領域に設置した。
つまり、光学フィルタ16の傾き角度θが小さくても、戻り光受光面26に入射するレーザ光B4の一部がレーザ光源素子30に入り込むような状況を回避することができる。
前記実施形態では、光学素子として光学フィルタ16を例示したが、エタロン基板や偏光板、各種波長板などであってもよく、プリズム、保護用の透明板など、あるいはこれらの組み合わせを用いてもよい。
このような構成では、レーザ光源素子30の発光領域32からY方向にずれた位置に戻り光受光面26となる部材、例えば遮蔽板などを独立して設ければよい。
Claims (4)
- レーザ光を出射するレーザ光源素子と、前記レーザ光源素子の後段に配置された光学素子とを備えたレーザ光源装置であって、
前記レーザ光源素子の活性層と交差方向に変位した位置に戻り光受光面を有し、
前記光学素子は、前記光学素子で反射した戻り光が前記戻り光受光面に入射するように、前記レーザ光の光軸に対して傾けて設置されていることを特徴とするレーザ光源装置。 - 請求項1に記載したレーザ光源装置において、
前記レーザ光源素子は、前記レーザ光源素子の活性層と交差方向に設置された支持部材で支持され、前記支持部材の表面が前記戻り光受光面を形成していることを特徴とするレーザ光源装置。 - 請求項1または請求項2に記載したレーザ光源装置において、
前記光学素子と前記レーザ光源素子との間にコリメータレンズを有し、
前記コリメータレンズは、前記レーザ光の前記活性層と交差方向の成分が平行光となるようにコリメートするとともに、前記レーザ光の光軸上で前記レーザ光のビーム形状が前記活性層と交差方向に長い楕円形状となる領域に設置されていることを特徴とするレーザ光源装置。 - レーザ光を出射するレーザ光源素子と、前記レーザ光源素子の後段に配置された光学素子と、前記レーザ光源素子の活性層と交差方向に変位した位置に設置された戻り光受光面と、前記レーザ光源素子の前記光学素子とは反対側に設置された光検出器と、を備え、前記光学素子が、前記光学素子で反射した戻り光が前記戻り光受光面に入射するように、前記レーザ光の光軸に対して傾けて設置されているレーザ光源装置の調整方法であって、
前記光検出器の出力信号を監視しつつ、前記光学素子の前記活性層と交差方向の傾きを調整し、前記光検出器の出力信号が所定の閾値以下になったらその傾きで前記光学素子を固定することを特徴とするレーザ光源装置の調整方法。
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