JP2016155920A - 焼成ペースト用共重合体、および焼成ペースト用樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼成性が良好で、かつ、金属への密着性が高い焼成用ペースト用共重合体を提供する。【解決手段】下記式(I)で表されるエチレンオキシド基含有モノマー(A)を5〜50質量%、極性基含有モノマー(B)を1〜40質量%および、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(C)を10〜80質量%含むモノマー成分を共重合させて得られることを特徴とする焼成ペースト用共重合体。R1:水素原子またはメチル基、n:5〜29【選択図】なし
Description
本発明は、焼成ペースト用共重合体、および該焼成ペースト用共重合体を用いた焼成ペースト用樹脂組成物とその用途に関する。
焼成ペースト用樹脂組成物とは、金属粉末、金属酸化物粉末、セラミック粉末、ガラス粉末、蛍光粉末等の無機粉末(フィラー)、バインダー樹脂および溶剤等を含む組成物であって、基材に塗工後焼成して、バインダー樹脂を熱分解し、無機粉末によるパターンを形成するために用いられる組成物である。
例えば、導電性粉末を含む導電ペースト組成物は、回路形成やコンデンサーの製造等に用いられている。また、セラミック粉末を含むセラミックペースト組成物やガラス粉末を含むガラスペースト組成物は、プラズマディスプレイパネル(PDP)の誘電体層や積層セラミックコンデンサー(MLCC)の誘電体層、蛍光表示管に用いられている。さらに、スズドープ酸化インジウム(ITO)を含むペースト組成物は、PDP、液晶ディスプレイパネル(LCD)、タッチパネル、太陽電池パネルの駆動部の回路形成等を製造するための透明電極材料等に用いられている。加えて、蛍光体を含むペースト組成物は、無機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、PDP、FED等に用いられ、銀を含むペースト組成物は、太陽電池、発光ダイオード(LED)等に用いられている。
上記焼成ペースト用樹脂組成物は、焼成工程後に炭素成分の残渣があると、ペースト組成物中の導電性の無機粉末によるパターンが形成された電子製品の性能を妨げる等の問題が生じるおそれがある。
したがって、上記焼成ペースト用樹脂組成物中の焼成ペースト用共重合体には、焼成により炭素成分の残渣を残すことなく熱分解される性質(焼成性)が良好であることが望まれる。
また、積層コンデンサーの外部電極ペーストはニッケル層などの金属層へ塗工して用いられるが、密着性が悪いと剥離してしまい、不良品の原因となるため、焼成ペースト用共重合体には、金属密着性が高いことも望まれる。
特許文献1(特開2006−282978号公報)には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントと、−(OR)n−で表される繰り返しユニットからなるポリアルキレンオキサイドセグメントを有する共重合体をマトリックス樹脂とするバインダー樹脂組成物が記載されている。
特許文献2(特開2011−225702号公報)は、カルボキシル基含有ビニルモノマー、ヒドロキシル基含有ビニルモノマー、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルモノマー、及びポリオキシエチレン構造を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを含むモノマー組成物の共重合体及び/又はその塩からなり、焼成工程を含む成型用バインダーポリマーが記載されている。
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載された共重合体は、金属密着性が充分ではなく、さらなる改善が望まれる。
特許文献2(特開2011−225702号公報)は、カルボキシル基含有ビニルモノマー、ヒドロキシル基含有ビニルモノマー、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルモノマー、及びポリオキシエチレン構造を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを含むモノマー組成物の共重合体及び/又はその塩からなり、焼成工程を含む成型用バインダーポリマーが記載されている。
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載された共重合体は、金属密着性が充分ではなく、さらなる改善が望まれる。
本発明は、焼成性が良好で、かつ、金属への密着性が高い焼成ペースト用樹脂組成物、および該焼成ペースト用樹脂組成物に使用される焼成ペースト用共重合体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の構成を有する焼成ペースト用共重合体を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成は以下の[1]〜[6]の通りである。
[1]下記式(I)で表されるエチレンオキシド基含有モノマー(A)を5〜50質量%、極性基含有モノマー(B)を1〜40質量%および、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(C)を10〜80質量%含むモノマー成分を共重合させて得られることを特徴とする焼成ペースト用共重合体。
本発明の構成は以下の[1]〜[6]の通りである。
[1]下記式(I)で表されるエチレンオキシド基含有モノマー(A)を5〜50質量%、極性基含有モノマー(B)を1〜40質量%および、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(C)を10〜80質量%含むモノマー成分を共重合させて得られることを特徴とする焼成ペースト用共重合体。
[2]前記極性基含有モノマー(B)の極性基が、水酸基、カルボキシル基、アミノ基から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記[1]に記載の焼成ペースト用共重合体。
[3]重量平均分子量が1万〜50万であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の焼成ペースト用共重合体。
[4]前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の焼成ペースト用共重合体と、無機粉末と、溶剤とを含むことを特徴とする焼成ペースト用樹脂組成物。
[5]さらに分散剤を含むことを特徴とする前記[4]に記載の焼成ペースト用樹脂組成物。
[6]前記[4]または[5]に記載の焼成ペースト用樹脂組成物を用いて製造された多層セラミックコンデンサー。
本発明によれば、焼成性が良好であり、かつ、金属への密着性も良好である焼成ペースト用共重合体を提供できる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本明細書において、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの両方または一方を示すために用いられ、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの両方または一方を示すために用いられ、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの両方または一方を示すために用いられる。
本明細書において、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの両方または一方を示すために用いられ、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの両方または一方を示すために用いられ、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの両方または一方を示すために用いられる。
[焼成ペースト用共重合体]
本発明に係る焼成ペースト用共重合体は、エチレンオキシド基含有モノマー(A)と、極性基含有モノマー(B)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(C)とを含むモノマー成分の共重合体である。
本発明に係る焼成ペースト用共重合体は、エチレンオキシド基含有モノマー(A)と、極性基含有モノマー(B)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(C)とを含むモノマー成分の共重合体である。
エチレンオキシド基含有モノマー(A)
エチレンオキシド基含有モノマー(A)としては、例えば、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
エチレンオキシド基含有モノマー(A)としては、例えば、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
エチレンオキシド基含有モノマー(A)としては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)クリレートなどが挙げられる。
焼成ペースト用共重合体を形成するモノマー成分100質量%中、エチレンオキシド基含有モノマー(A)の使用量は、5〜50 質量%、好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%の範囲である。前記範囲で、エチレンオキシド基含有モノマー(A)が含まれていると、金属への密着性や塗工性の点で優れる。
極性基含有モノマー(B)
極性基含有モノマー(B)の極性基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、窒素系複素環から選ばれる少なくとも1種が好ましく、各種分散剤との相性やペースト後の安定性の観点から水酸基が特に好ましい。
水酸基含有モノマーとして、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートでのヒドロキシアルキル基の炭素数は、通常2〜8、好ましくは2〜6である。また、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環状アルキルを有する水酸基含有モノマーも使用することが可能である。
カルボキシル基含有モノマーとして、具体的には、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸5−カルボキシペンチル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
アミノ基含有モノマーとして、具体的には、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
窒素系複素環含有モノマーとしては、例えば、ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタムが挙げられる。
焼成ペースト用共重合体を形成するモノマー成分100質量%中、極性基含有モノマー(B)の使用量は、1〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは5〜20質量%である。前記範囲で、極性基含有モノマー(B)が含まれていると、ペーストの高粘度化やフィラーの分散性の点で優れる。
極性基含有モノマー(B)の極性基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、窒素系複素環から選ばれる少なくとも1種が好ましく、各種分散剤との相性やペースト後の安定性の観点から水酸基が特に好ましい。
水酸基含有モノマーとして、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートでのヒドロキシアルキル基の炭素数は、通常2〜8、好ましくは2〜6である。また、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環状アルキルを有する水酸基含有モノマーも使用することが可能である。
カルボキシル基含有モノマーとして、具体的には、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸5−カルボキシペンチル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
アミノ基含有モノマーとして、具体的には、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
窒素系複素環含有モノマーとしては、例えば、ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタムが挙げられる。
焼成ペースト用共重合体を形成するモノマー成分100質量%中、極性基含有モノマー(B)の使用量は、1〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは5〜20質量%である。前記範囲で、極性基含有モノマー(B)が含まれていると、ペーストの高粘度化やフィラーの分散性の点で優れる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(C)
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(C)としては、例えば、CH2=CR2−COOR3で表される化合物である。式中、R2は水素原子またはメチル基であり、R3は炭素数1〜18のアルキル基である。前記アルキル基の炭素数は1〜8がより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(C)として、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、iso−ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、iso−デシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso−ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
焼成ペースト用共重合体を形成するモノマー成分100質量%中、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(C)の使用量は、10〜80質量%、好ましくは20〜80質量%、さらに好ましくは30〜70質量%である。前記範囲で、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(C)が含まれていると、各種溶媒への溶解性や焼成性に優れた焼成ペースト用樹脂組成物を得ることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(C)としては、例えば、CH2=CR2−COOR3で表される化合物である。式中、R2は水素原子またはメチル基であり、R3は炭素数1〜18のアルキル基である。前記アルキル基の炭素数は1〜8がより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(C)として、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、iso−ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、iso−デシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso−ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
焼成ペースト用共重合体を形成するモノマー成分100質量%中、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(C)の使用量は、10〜80質量%、好ましくは20〜80質量%、さらに好ましくは30〜70質量%である。前記範囲で、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(C)が含まれていると、各種溶媒への溶解性や焼成性に優れた焼成ペースト用樹脂組成物を得ることができる。
共重合性モノマー
また、焼成ペースト用共重合体を形成するモノマー成分は、焼成ペースト用共重合体の物性を損わない範囲で、例えば、脂環式基または芳香環含有(メタ)アクリレート、スチレン系単量体、酢酸ビニルなどの、共重合性モノマーを含むことができる。
脂環式基または芳香環含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキルスチレン;フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨウ化スチレン等のハロゲン化スチレン;ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレンが挙げられる。
焼成ペースト用共重合体を形成するモノマー成分100質量%中、上記共重合性モノマーの全使用量は、30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
その他のモノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
また、焼成ペースト用共重合体を形成するモノマー成分は、焼成ペースト用共重合体の物性を損わない範囲で、例えば、脂環式基または芳香環含有(メタ)アクリレート、スチレン系単量体、酢酸ビニルなどの、共重合性モノマーを含むことができる。
脂環式基または芳香環含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキルスチレン;フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨウ化スチレン等のハロゲン化スチレン;ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレンが挙げられる。
焼成ペースト用共重合体を形成するモノマー成分100質量%中、上記共重合性モノマーの全使用量は、30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
その他のモノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
焼成ペースト用共重合体の物性
本発明に係る焼成ペースト用共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算値で、1万〜50万の範囲にあることが好ましく、より好ましくは2万〜30万、さらに好ましくは3万〜15万の範囲にある。焼成ペースト用共重合体のMwが前記範囲であると、糸曳き性に優れた焼成ペースト用樹脂組成物が得ることができる。なお、本発明において、分子量を測定する方法は、後述する実施例に記載の方法を用いる。
また、焼成ペースト用共重合体のガラス転移温度(Tg)は、例えば、示差走査型熱量計(DSC)により測定できる。DSCの測定条件としては、試料5mg、窒素雰囲気下とし、1回目の測定(1st RUN)で昇温速度20℃/分で−100℃から200℃まで昇温した後、降温速度99.9℃/分で−100℃まで冷却し、さらに2回目の測定(2nd RUN)で昇温速度20℃/分で−100℃から200℃まで昇温した。ここでガラス転移温度は2nd RUNにおいて−100℃から200℃まで昇温したときに測定されるDSC曲線のベースライン が吸熱方向にシグモイド型に変化する領域において、シグモイド型に変化する領域より低温側のベースラインの延長線と、シグモイドにおける変曲点の接線の交点を指す。DSCよって算出される焼成ペースト用共重合体のTgは、通常30℃以上、好ましくは50〜150℃である。このようなTgを有する焼成ペースト用共重合体を用いることにより、糸曳き性、焼成性に優れた焼成ペースト用樹脂組成物を得ることができる。
本発明に係る焼成ペースト用共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算値で、1万〜50万の範囲にあることが好ましく、より好ましくは2万〜30万、さらに好ましくは3万〜15万の範囲にある。焼成ペースト用共重合体のMwが前記範囲であると、糸曳き性に優れた焼成ペースト用樹脂組成物が得ることができる。なお、本発明において、分子量を測定する方法は、後述する実施例に記載の方法を用いる。
また、焼成ペースト用共重合体のガラス転移温度(Tg)は、例えば、示差走査型熱量計(DSC)により測定できる。DSCの測定条件としては、試料5mg、窒素雰囲気下とし、1回目の測定(1st RUN)で昇温速度20℃/分で−100℃から200℃まで昇温した後、降温速度99.9℃/分で−100℃まで冷却し、さらに2回目の測定(2nd RUN)で昇温速度20℃/分で−100℃から200℃まで昇温した。ここでガラス転移温度は2nd RUNにおいて−100℃から200℃まで昇温したときに測定されるDSC曲線のベースライン が吸熱方向にシグモイド型に変化する領域において、シグモイド型に変化する領域より低温側のベースラインの延長線と、シグモイドにおける変曲点の接線の交点を指す。DSCよって算出される焼成ペースト用共重合体のTgは、通常30℃以上、好ましくは50〜150℃である。このようなTgを有する焼成ペースト用共重合体を用いることにより、糸曳き性、焼成性に優れた焼成ペースト用樹脂組成物を得ることができる。
焼成ペースト用共重合体の製造方法
本発明の焼成ペースト用共重合体の重合方法は、特に制限されるものではないが、通常は溶液重合を用いることが好ましい。溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、各モノマー成分、重合開始剤を仕込み、窒素等の不活性ガス気流中、適当な重合温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させることにより行われる。この場合、有機溶媒、各モノマー成分、重合開始剤および/または連鎖移動剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。
本発明の焼成ペースト用共重合体の重合方法は、特に制限されるものではないが、通常は溶液重合を用いることが好ましい。溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、各モノマー成分、重合開始剤を仕込み、窒素等の不活性ガス気流中、適当な重合温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させることにより行われる。この場合、有機溶媒、各モノマー成分、重合開始剤および/または連鎖移動剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。
重合用有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサ等で例示される芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、iso−オクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、テレピン油等で例示される脂肪族系または脂環族系炭化水素;酢酸アルキル(ここで、アルキルとしてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルなどが例示される。以下、同じ。)、安息香酸メチル等で例示されるエステル;エチレングリコールもしくはジエチレングリコールのモノアセテート、ジアセテート、アルキルエーテルアセテート(例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)、モノアルキルエーテル、ジアルキルエーテル等で例示されるエチレングリコールの誘導体;プロピレングリコール、ジプロピレンエチレングリコール、トリプロピレングリコールのいずれかのグリコールのモノアセテート、ジアセテート、アルキルエーテルアセテート、モノアルキルエーテル(例えば、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル)、ジアルキルエーテル等で例示されるプロピレングリコール誘導体;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等で例示されるケトン、テキサノール(2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールモノ−iso−ブチレート)などを挙げることができる。これらの有機溶媒はそれぞれ単独で、または、2種以上混合して用いることができる。重合用有機溶媒としては沸点が高い溶剤が好ましく、具体的には沸点が50〜300℃の溶剤がより好ましい。
重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、カプロイルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジ−iso−プロピルパーオキシジーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシビバレート等で例示される有機過酸化物、2,2'−アゾビス−iso−ブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等で例示されるアゾ化合物などをそれぞれ単独又は組み合わせて使用することができる。
重合開始剤の使用量は、焼成ペースト用共重合体を形成するモノマー成分100質量部当り、一般には、0.01〜5質量部であり、0.02〜2質量部の範囲内とすることが好ましい。
連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、チオグリセロール、β−メルカプトプロピオン酸、α−メチルスチレンダイマーが挙げられる。連鎖移動剤を用いることにより、製造される焼成ペースト用共重合体の重量平均分子量を制御することができる。これらの連鎖移動剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
連鎖移動剤は、焼成ペースト用共重合体を形成するモノマー成分100質量部に対して、通常1質量部以下、好ましくは0.01〜0.5質量部の範囲内の量で使用することができる。
重合温度としては、40〜180℃が好ましい。重合温度が上記範囲であると、充分な反応速度が得られるとともに、温度が高すぎることによる解重合が生じることもない。
上記重合温度で反応させる時間は4〜16時間が好ましい。反応時間が上記範囲であると、反応を完全に進行させることができる。
ポリマーの重量平均分子量を、本発明の範囲とするためには、重合開始剤を重合の初期に添加することに加えて、重合がある程度進行してから、さらに重合開始剤を添加することも好ましい。その場合、重合開始剤の使用量は、すべての添加量の合計で上記範囲内にあることが好ましい。
上記反応を行なった後、反応混合物は室温まで冷却する。そして、ヘキサン等の非極性溶媒を用いて、共重合体を析出させる。析出した共重合体は濾別して、乾燥させる。
ポリマーの重量平均分子量を、本発明の範囲とするためには、重合開始剤を重合の初期に添加することに加えて、重合がある程度進行してから、さらに重合開始剤を添加することも好ましい。その場合、重合開始剤の使用量は、すべての添加量の合計で上記範囲内にあることが好ましい。
上記反応を行なった後、反応混合物は室温まで冷却する。そして、ヘキサン等の非極性溶媒を用いて、共重合体を析出させる。析出した共重合体は濾別して、乾燥させる。
[焼成ペースト用樹脂組成物]
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物は、上記焼成ペースト用共重合体、溶剤および無機粉末を含み、さらに必要に応じて分散剤を含むことがより好ましい。
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物は、上記焼成ペースト用共重合体、溶剤および無機粉末を含み、さらに必要に応じて分散剤を含むことがより好ましい。
焼成ペースト用共重合体
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物は、焼成ペースト用樹脂組成物100質量%に対して、焼成ペースト用共重合体を、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは、4〜10質量%の範囲で含む。
焼成ペースト用樹脂組成物中における焼成ペースト用共重合体の割合が上記範囲にあると、溶剤との相溶性が良好であるとともに、焼成ペースト用樹脂組成物に適度な粘性を付与することができ、各種塗工方法に採用でき、焼成ペースト用樹脂組成物中の無機粉末の分散性および焼成ペースト用樹脂組成物の基板への密着性も良好である。
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物は、焼成ペースト用樹脂組成物100質量%に対して、焼成ペースト用共重合体を、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは、4〜10質量%の範囲で含む。
焼成ペースト用樹脂組成物中における焼成ペースト用共重合体の割合が上記範囲にあると、溶剤との相溶性が良好であるとともに、焼成ペースト用樹脂組成物に適度な粘性を付与することができ、各種塗工方法に採用でき、焼成ペースト用樹脂組成物中の無機粉末の分散性および焼成ペースト用樹脂組成物の基板への密着性も良好である。
溶剤
溶剤としては、焼成後に残渣が残らず、焼成ペースト用共重合体を溶解することができる溶剤であれば制限なく用いることができる。
溶剤としては、焼成後に残渣が残らず、焼成ペースト用共重合体を溶解することができる溶剤であれば制限なく用いることができる。
溶剤としては、例えば、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールアルキルエーテルアセテート(ここで、アルキルとしては、エチル、プロピル、n−ブチルなどが例示される。以下同じ。)、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールアルキルエーテル、エチレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールモノ−iso−ブチレート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールジ−iso−ブチレート等の有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤はそれぞれ単独で、または、2種以上混合して用いることができる。溶剤の沸点、レベリング性の観点から、より好ましい溶剤は、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルアセテート、ブチルカルビトールアセテートである。
また、溶剤の沸点は150〜300℃であることが好ましく、200〜290℃であることがより好ましく、220〜280℃であることがさらに好ましい。沸点が上記範囲にあると、スクリーン印刷後のペーストの乾燥速度が速すぎて版の目詰まりとなることもない一方で、乾燥速度が遅すぎて作業性が低下することもない。
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物は、焼成ペースト用樹脂組成物100質量%に対して、溶剤を好ましくは10〜60質量%、より好ましくは20〜60質量%含む。溶剤の割合が上記範囲にあると、焼成ペースト用共重合体との相溶性が良好であるとともに、ペーストとして所望の粘度を発現することができる。
無機粉末
無機粉末としては、例えば、金属粉末、金属酸化物粉末、ガラス粉末、顔料粉末、蛍光体粉末、セラミック粉末、およびこれらに感光性を付与した粉末等が挙げられる。これらの無機粉末は用途に応じて選択されるが、それぞれ単独で、または、2種以上混合して用いることができる。金属粉末および金属酸化物粉末は、導電性粉末として用いられることが好ましく、ガラス粉末およびセラミック粉末は、誘電体粉末として用いられることが好ましい。
無機粉末としては、例えば、金属粉末、金属酸化物粉末、ガラス粉末、顔料粉末、蛍光体粉末、セラミック粉末、およびこれらに感光性を付与した粉末等が挙げられる。これらの無機粉末は用途に応じて選択されるが、それぞれ単独で、または、2種以上混合して用いることができる。金属粉末および金属酸化物粉末は、導電性粉末として用いられることが好ましく、ガラス粉末およびセラミック粉末は、誘電体粉末として用いられることが好ましい。
金属粉末としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、タングステンやこれらの合金等からなる粉末等が挙げられる。金属酸化物粉末としては、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等が挙げられる。ガラス粉末としては、例えば、酸化ビスマスガラス、ケイ酸塩ガラス、鉛ガラス、亜鉛ガラス、ボロンガラスや各種ケイ素酸化物のガラス粉末等が挙げられる。セラミック粉末としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、チタン酸バリウム、窒化アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素等が挙げられる。
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物は、焼成ペースト用樹脂組成物100質量%に対して、無機粉末を好ましくは30〜90質量%、より好ましくは40〜80質量%含む。
無機粉末の割合が上記範囲にあると、焼成ペースト用樹脂組成物から得られる焼成体の導電性等の各性能が良好であるとともに、焼成ペースト用樹脂組成物中での分散性も良好である。
無機粉末の割合が上記範囲にあると、焼成ペースト用樹脂組成物から得られる焼成体の導電性等の各性能が良好であるとともに、焼成ペースト用樹脂組成物中での分散性も良好である。
分散剤
分散剤としては、例えば、カチオン系分散剤、アニオン系分散剤、ノニオン系分散剤、両性界面活性剤、高分子系分散剤が挙げられる。これらの分散剤はそれぞれ単独で、または、2種以上混合して用いることができる。
分散剤としては、例えば、カチオン系分散剤、アニオン系分散剤、ノニオン系分散剤、両性界面活性剤、高分子系分散剤が挙げられる。これらの分散剤はそれぞれ単独で、または、2種以上混合して用いることができる。
カチオン系分散剤としては、ポリアミン系の分散剤等が挙げられる。アニオン系分散剤としては、カルボン酸系、リン酸エステル系、硫酸エステル系、スルホン酸エステル系の分散剤等が挙げられる。ノニオン系分散剤としては、ポリエチレングリコール系分散剤等が挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボン酸と第4級アンモニウム塩とを有する界面活性剤等が挙げられる。高分子系分散剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物は、焼成ペースト用樹脂組成物100質量%に対して、分散剤を使用する場合には、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%含む。
分散剤の割合が上記範囲にあると、無機粉末の焼成ペースト用樹脂組成物中での分散性がより良好となる。
分散剤の割合が上記範囲にあると、無機粉末の焼成ペースト用樹脂組成物中での分散性がより良好となる。
添加剤
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物には、上述した成分のほかに、本発明の目的を損なわない範囲で従来知られている可塑剤、湿潤剤、消泡剤等を含有してもよい。
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物には、上述した成分のほかに、本発明の目的を損なわない範囲で従来知られている可塑剤、湿潤剤、消泡剤等を含有してもよい。
焼成用ペースト用樹脂組成物の製造方法
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物は、後述のとおり粘性を有するため、上述した各成分を、ミキサー、ロール等を単独または適宜組み合わせて1段階または数段階に分けて混練することによって製造されることが好ましい。また、必要に応じて、30〜150℃で加熱してもよい。
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物は、後述のとおり粘性を有するため、上述した各成分を、ミキサー、ロール等を単独または適宜組み合わせて1段階または数段階に分けて混練することによって製造されることが好ましい。また、必要に応じて、30〜150℃で加熱してもよい。
焼成用ペースト用樹脂組成物の粘度
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物の25℃における粘度は、好ましくは20〜400Pa・s、より好ましくは30〜200Pa・s、さらに好ましくは50〜150Pa・sである。焼成ペースト用樹脂組成物の粘度が上記範囲にあると、塗工性に優れるとともに塗膜形成性も優れる。粘度の測定方法は、後述の実施例に記載の方法による。上記粘度は、焼成ペースト用樹脂組成物を組成物が均一な状態になるまで混練してから測定した値である。
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物の25℃における粘度は、好ましくは20〜400Pa・s、より好ましくは30〜200Pa・s、さらに好ましくは50〜150Pa・sである。焼成ペースト用樹脂組成物の粘度が上記範囲にあると、塗工性に優れるとともに塗膜形成性も優れる。粘度の測定方法は、後述の実施例に記載の方法による。上記粘度は、焼成ペースト用樹脂組成物を組成物が均一な状態になるまで混練してから測定した値である。
焼成ペースト用樹脂組成物の使用方法
上記焼成ペースト用樹脂組成物は、基材に塗布したのち(以下「塗布工程」ともいう。)、乾燥させ(以下「乾燥工程」ともいう。)、積層物を焼成して(以下「焼成工程」ともいう。)使用される。
上記焼成ペースト用樹脂組成物は、基材に塗布したのち(以下「塗布工程」ともいう。)、乾燥させ(以下「乾燥工程」ともいう。)、積層物を焼成して(以下「焼成工程」ともいう。)使用される。
塗布工程における基材としては、金属、セラミックス、グリーンシート、プラスチック、半導体等の部材が挙げられる。
塗布工程における塗布方法としては、スプレー印刷、ディップコート印刷、スピン印刷、スクリーン印刷、ダイコート印刷、ドクターブレード印刷、ロールコート印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンス印刷等を用いた塗布法、シート状に加工するためのキャスティング法が挙げられる。塗布方法は基材種類や目的物に応じて適宜選択されるが、本発明の組成物は、ディップコート印刷に優れる。
塗布工程における塗布方法としては、スプレー印刷、ディップコート印刷、スピン印刷、スクリーン印刷、ダイコート印刷、ドクターブレード印刷、ロールコート印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンス印刷等を用いた塗布法、シート状に加工するためのキャスティング法が挙げられる。塗布方法は基材種類や目的物に応じて適宜選択されるが、本発明の組成物は、ディップコート印刷に優れる。
乾燥工程は、溶剤の乾燥を行う。
焼成工程は、焼成ペースト用共重合体を熱分解させるために、窒素ガス等の不活性ガス気流下、通常500〜1,000℃で、1〜5時間行われる。
焼成工程は、焼成ペースト用共重合体を熱分解させるために、窒素ガス等の不活性ガス気流下、通常500〜1,000℃で、1〜5時間行われる。
焼成ペースト用樹脂組成物の用途
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物の具体的な用途としては、MLCCの製造に用いられる内部電極用ペースト、端子電極用ペースト、低温同時焼成セラミックス(LTCC)の製造に用いられる内部電極用ペースト、タッチパネルスクリーン用ペースト、PDP製造に用いられる誘電体ペースト、隔壁材ペースト、蛍光体ペーストやFEDの封止やICパッケージの封止に用いられる封止用ガラスペースト、グリーンシート用ペースト等が挙げられ、例えば、MLCCのグリーンシートの製造のために使用することが好ましい。ここで、グリーンシートとは、焼成ペースト用樹脂組成物を基材に塗布して得られた薄板状の未焼成体を意味する。
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物の具体的な用途としては、MLCCの製造に用いられる内部電極用ペースト、端子電極用ペースト、低温同時焼成セラミックス(LTCC)の製造に用いられる内部電極用ペースト、タッチパネルスクリーン用ペースト、PDP製造に用いられる誘電体ペースト、隔壁材ペースト、蛍光体ペーストやFEDの封止やICパッケージの封止に用いられる封止用ガラスペースト、グリーンシート用ペースト等が挙げられ、例えば、MLCCのグリーンシートの製造のために使用することが好ましい。ここで、グリーンシートとは、焼成ペースト用樹脂組成物を基材に塗布して得られた薄板状の未焼成体を意味する。
本発明の焼成ペースト用樹脂組成物を用いて、例えば、以下の方法を用いてMLCCを製造することができる。セラミック原料に、エタノール、およびポリビニルブチラール系バインダーを加えて混合、分散し、セラミックスラリーを作製する。次いで、このセラミックスラリーをシート状に成形し、セラミックグリーンシートを得る。そして、このセラミックグリーンシートに、内部電極形成用の本発明の焼成ペースト用樹脂組成物(無機粉末としてニッケル粉末を使用)を印刷して、内部電極パターン(導電性ペースト層)を形成し、乾燥させる。
次いで、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを、内部電極パターンが交互に逆の端部側に引き出されるように複数枚積層し、未焼成の積層体を得る。
上記未焼成積層体を、N2等の不活性ガス雰囲気中で焼成してセラミック積層体(積層セラミック素子)を得る。焼成後得られたセラミック積層体の両端面にCuペーストを塗布し、N2等の不活性ガス雰囲気中で焼成し、内部電極と電気的に接続された端子電極を形成することにより、MLCCが得られる。
上記未焼成積層体を、N2等の不活性ガス雰囲気中で焼成してセラミック積層体(積層セラミック素子)を得る。焼成後得られたセラミック積層体の両端面にCuペーストを塗布し、N2等の不活性ガス雰囲気中で焼成し、内部電極と電気的に接続された端子電極を形成することにより、MLCCが得られる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例における各値の測定条件は以下の通りである。
実施例における各値の測定条件は以下の通りである。
<重量平均分子量(Mw)>
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)による分析を行い、ポリスチレン換算により算出した。
・測定装置:HLC−8320GPC(東ソー社製)
・GPCカラム構成:以下の4連カラム(すべて東ソー社製)
(1)TSKgel HxL−H(ガードカラム)
(2)TSKgel GMHxL
(3)TSKgel GMHxL
(4)TSKgel G2500HxL
・流速:1.0mL/min
・カラム温度:40℃
・サンプル濃度:1.5(w/v) (テトラヒドロフランで希釈)
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)による分析を行い、ポリスチレン換算により算出した。
・測定装置:HLC−8320GPC(東ソー社製)
・GPCカラム構成:以下の4連カラム(すべて東ソー社製)
(1)TSKgel HxL−H(ガードカラム)
(2)TSKgel GMHxL
(3)TSKgel GMHxL
(4)TSKgel G2500HxL
・流速:1.0mL/min
・カラム温度:40℃
・サンプル濃度:1.5(w/v) (テトラヒドロフランで希釈)
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
[製造例1]
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、酢酸エチル100質量部、およびiso-ブチルメタクリレート 75質量%、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(ブレンマーPE−350〔n≒8〕:日油株式会社製)15質量%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10質量%からなるモノマー混合物計100質量部を仕込み、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら30分攪拌して窒素置換を行った後、フラスコの内容物を80℃まで昇温した。次いで、フラスコ内の内容物を80℃に維持しながら、2,2'−アゾビス−iso−ブチロニトリル(AIBN)0.2質量部を1時間おきに計5回添加した。80℃で、最初のAIBN投入より8時間反応させた後、室温まで冷却した。得られたポリマー溶液を、n−ヘキサン2000質量部中へ30分かけて滴下を行い、ポリマー析出物を生成させた。ポリマー析出物については、200メッシュ金網で濾別し、105℃で8時間乾燥することで、焼成ペースト用共重合体(ポリマー1)を調製した。得られたポリマー1の重量平均分子量は20万であった。
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、酢酸エチル100質量部、およびiso-ブチルメタクリレート 75質量%、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(ブレンマーPE−350〔n≒8〕:日油株式会社製)15質量%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10質量%からなるモノマー混合物計100質量部を仕込み、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら30分攪拌して窒素置換を行った後、フラスコの内容物を80℃まで昇温した。次いで、フラスコ内の内容物を80℃に維持しながら、2,2'−アゾビス−iso−ブチロニトリル(AIBN)0.2質量部を1時間おきに計5回添加した。80℃で、最初のAIBN投入より8時間反応させた後、室温まで冷却した。得られたポリマー溶液を、n−ヘキサン2000質量部中へ30分かけて滴下を行い、ポリマー析出物を生成させた。ポリマー析出物については、200メッシュ金網で濾別し、105℃で8時間乾燥することで、焼成ペースト用共重合体(ポリマー1)を調製した。得られたポリマー1の重量平均分子量は20万であった。
[製造例2〜6]
製造例1において、原料モノマーの組成が表1となるように仕込み、製造例1と同様の条件で重合を行い、表1に示されるポリマー2〜6を調製した。
製造例1において、原料モノマーの組成が表1となるように仕込み、製造例1と同様の条件で重合を行い、表1に示されるポリマー2〜6を調製した。
[実施例1]
ポリマー1を20量%、溶剤としてのジヒドロターピネオール(沸点:247℃)80質量%を混合し、ポリマーが溶剤に溶解した後、無機粉末としての銅フィラー(平均粒径200nm)を、ポリマー溶液に対し200質量%となるように、配合し、自転・公転ミキサー(商品名「あわとり練太郎」、シンキー社製)で混練した後、さらに3本ロールで混練して、焼成ペースト用樹脂組成物を得た。焼成ペースト用樹脂組成物の各物性の測定結果を表2に示す。
ポリマー1を20量%、溶剤としてのジヒドロターピネオール(沸点:247℃)80質量%を混合し、ポリマーが溶剤に溶解した後、無機粉末としての銅フィラー(平均粒径200nm)を、ポリマー溶液に対し200質量%となるように、配合し、自転・公転ミキサー(商品名「あわとり練太郎」、シンキー社製)で混練した後、さらに3本ロールで混練して、焼成ペースト用樹脂組成物を得た。焼成ペースト用樹脂組成物の各物性の測定結果を表2に示す。
[実施例2および3、比較例1〜3]
実施例1において、各ポリマーの配合種を表2に記載のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして焼成ペースト用樹脂組成物の各物性を評価した。測定結果を表2に示す。
実施例1において、各ポリマーの配合種を表2に記載のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして焼成ペースト用樹脂組成物の各物性を評価した。測定結果を表2に示す。
《評価》
<粘度>
実施例・比較例で得られた焼成ペースト用樹脂組成物をE型粘度計によって25℃にて粘度の測定を行ない、以下の基準で評価した。
粘度が50Pa・s以上、150Pa・s未満の場合:◎
粘度が30Pa・s以上、50Pa・s未満である場合、または、150Pa・s以上、200Pa・s未満の場合:○
粘度が20Pa・s以上、30Pa・s未満である場合、または、200Pa・s以上、400Pa・s未満の場合:△
粘度が20Pa・s未満である場合、または、400Pa・s以上の場合:×
<粘度>
実施例・比較例で得られた焼成ペースト用樹脂組成物をE型粘度計によって25℃にて粘度の測定を行ない、以下の基準で評価した。
粘度が50Pa・s以上、150Pa・s未満の場合:◎
粘度が30Pa・s以上、50Pa・s未満である場合、または、150Pa・s以上、200Pa・s未満の場合:○
粘度が20Pa・s以上、30Pa・s未満である場合、または、200Pa・s以上、400Pa・s未満の場合:△
粘度が20Pa・s未満である場合、または、400Pa・s以上の場合:×
<密着性>
碁盤目試験法(JIS K5400)に準拠して評価した。
SUS板上に乾燥後の塗膜の厚さが20μmとなるように実施例・比較例で得られた焼成ペースト用樹脂組成物を塗布し、150℃10分の乾燥を行った後、200℃1時間の熱処理を行って塗膜を形成した。塗膜に幅1mmの傷を碁盤目状(100マス)に作り、次いで、この塗膜にセロハンテープ(登録商標)を貼着し、密着させたのちセロハンテープを剥がし、剥がれなかった碁盤目の個数により、次の基準で密着性を評価した。
○:90〜100/100
△:50〜90/100
×:0〜50/100
碁盤目試験法(JIS K5400)に準拠して評価した。
SUS板上に乾燥後の塗膜の厚さが20μmとなるように実施例・比較例で得られた焼成ペースト用樹脂組成物を塗布し、150℃10分の乾燥を行った後、200℃1時間の熱処理を行って塗膜を形成した。塗膜に幅1mmの傷を碁盤目状(100マス)に作り、次いで、この塗膜にセロハンテープ(登録商標)を貼着し、密着させたのちセロハンテープを剥がし、剥がれなかった碁盤目の個数により、次の基準で密着性を評価した。
○:90〜100/100
△:50〜90/100
×:0〜50/100
<糸曳き性>
E型粘度計により25℃で測定した粘度が10Pa・sとなるように実施例・比較例にポリマー1〜6を、ジヒドロターピネオール溶剤に溶解した溶液に、ガラス棒を突き刺し引き上げた際に、溶液表面とガラス棒間に糸状で存在する溶液が切れるのに要する時間について測定を行い、以下の基準で評価した。
3秒以下で溶液が切れる場合:○
3秒を超え、5秒以下で溶液が切れる場合:△
5秒を超えて溶液が切れる場合:×
E型粘度計により25℃で測定した粘度が10Pa・sとなるように実施例・比較例にポリマー1〜6を、ジヒドロターピネオール溶剤に溶解した溶液に、ガラス棒を突き刺し引き上げた際に、溶液表面とガラス棒間に糸状で存在する溶液が切れるのに要する時間について測定を行い、以下の基準で評価した。
3秒以下で溶液が切れる場合:○
3秒を超え、5秒以下で溶液が切れる場合:△
5秒を超えて溶液が切れる場合:×
<焼成性>
ポリマー1〜6を窒素雰囲気中500℃で1時間の焼成(TG−DTA)を行った場合の残炭の有無を以下の基準にしたがって目視にて確認して、共重合体の焼成性を以下の基準で評価した。
残炭がない場合:○
残炭が有る場合:×
ポリマー1〜6を窒素雰囲気中500℃で1時間の焼成(TG−DTA)を行った場合の残炭の有無を以下の基準にしたがって目視にて確認して、共重合体の焼成性を以下の基準で評価した。
残炭がない場合:○
残炭が有る場合:×
実施例1および2の共重合体を使用した場合、金属密着性が高く、粘度、焼成性とバランスよく優れている。
Claims (6)
- 前記極性基含有モノマー(B)の極性基が、水酸基、カルボキシル基、アミノ基から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の焼成ペースト用共重合体。
- 重量平均分子量が1万〜50万であることを特徴とする請求項1または2の焼成ペースト用共重合体。
- 前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼成ペースト用共重合体と、無機粉末と、溶剤とを含むことを特徴とする焼成ペースト用樹脂組成物。
- さらに分散剤を含むことを特徴とする請求項4に記載の焼成ペースト用樹脂組成物。
- 前記請求項4または5のいずれか1項に記載の焼成ペースト用樹脂組成物を用いて製造された多層セラミックコンデンサー。
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