JP6195257B1 - 焼成用樹脂バインダー及び焼成用樹脂バインダー含有組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】バインダーとして、アクリル系重合体のみを用い或いはエチルセルロースを併用して焼成用ペーストを調製した場合に、スクリーン印刷などで好適な塗布性に優れ、低糸曳き性を実現できる焼成用ペーストが得られるアクリル系(共)重合体からなる焼成用の樹脂バインダー及びこれを含有してなる焼成用樹脂バインダー含有組成物の提供。【解決手段】無機粉末の焼結体を製造する際に使用されるアクリル系(共)重合体からなる焼成用の樹脂バインダーであって、前記アクリル系(共)重合体を合成するためのモノマーが、エトキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを少なくとも含むアルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを、前記(共)重合体を合成するための全モノマー中に、質量基準で10%以上含有する焼成用樹脂バインダー及びこれを含有してなる焼成用樹脂バインダー含有組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、金属粉などの無機粉末を原料とする焼結物を製造する際に、原料である無機粉末を所望の形状の成形体又はパターンの前駆体を形成するために使用される、焼成用の樹脂バインダー及びこれを含有した焼成用樹脂バインダー含有組成物に関する。より詳しくは、従来、焼成用バインダーとして広く使用されているエチルセルロースに代替し得る焼成用の樹脂バインダー、更にはエチルセルロースとの相溶性に優れ、良好な状態で併用することができる焼成用の樹脂バインダー含有組成物を提供する技術に関する。
従来より、例えば、金や銀や銅の金属粉などの無機粉末を、焼成用バインダーを用いることで所望の形状の成形体又はパターンの前駆体を形成し、その後に焼成することで、焼結体からなる成形体又はパターンを形成する方法が種々行われている。以下、セラミック誘電体と内部電極をサンドイッチ状に交互に多層積層することで、小型化と大容量化を実現し、近年、広く使用されている積層セラミックチップコンデンサを例にとって説明する。
積層セラミックチップコンデンサは、セラミック誘導体と内部電極とがサンドイッチ状に交互に多層積層した構造を有している。従来は、焼結したセラミック誘導体の外側に電極を形成することで製造されていたが、近年、セラミック誘導体と内部電極とを同時に焼成して形成する方法が行われている。セラミック誘導体は、通常、1200〜1400℃で焼結するため、セラミック誘導体の焼成時に、セラミック誘導体内部に、融点の低い金属を導体として使用する電極を形成することはできなかった。これに対し、セラミック誘導体を、導体として使用する金属の融点よりも低い温度で焼成できる技術が開発されたことで、セラミック誘導体と内部電極とを同時に焼成して製造することが可能になっている。
積層セラミックチップコンデンサを、セラミック誘導体と内部電極とを低温で同時に焼成して製造する方法としては、例えば、下記のようにして行われる。まず、セラミック誘導体と焼結助剤を含む原料粉末に、焼成用の有機バインダーや溶剤等を混合してスラリーを作製し、セラミックグリーンシートと呼ばれる柔軟性のあるシートを形成する。これを適宜な大きさに打ち抜き、必要に応じて上下に接続するための貫通孔を開け、そこに、導体である金や銀や銅の金属粉末と、焼成用のバインダーを含有するペースト(焼成用ペーストとも呼ぶ)を用い、スクリーン印刷で、貫通孔の中及びグリーンシート表面に配線パターンを印刷し、電極となる部分を形成する。上記のようにして得た、電極の前駆体が印刷されたグリーンシートを積み重ねて一体化し、その後、焼成することで、焼結したセラミック誘導体と内部電極とがサンドイッチ状に交互に積層した構造の積層体からなるコンデンサが得られる。
上記において、セラミックグリーンシートの作製に用いられるバインダーには、ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂や、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂等が用いられている。また、電極の配線パターンの印刷に用いられる焼成用ペーストを構成するバインダーには、従来より、エチルセルロースが広く使用されている。エチルセルロースは、塗布性が良好であり、また、熱分解により除去されやすいなどの、焼成用ペーストのためのバインダーとして好適な特性を有している。先述したように、焼成用ペーストは、スクリーン印刷によって配線パターンを形成する際に多用されており、この場合、少ないバインダー量で、多くの銀や銅の金属粉末を分散させる必要があり、低濃度で高粘度を達成できる材料が要望される。すなわち、使用されるバインダーは、含有率(固形分量)が低くても焼成用ペーストの粘度を充分に高められる特性のものであることが望まれる。これに対し、エチルセルロースは、5%で10000mPa・sと高粘度であり、しかもペーストとした場合の低糸曳き性を実現できるので、上記した要望を満足できる好適な材料であるといえる。ここで、ペーストとした場合の低糸曳き性は、歩留まりを向上させる重要な特性である。すなわち、スクリーン印刷時に、スクリーンメッシュからなるスクリーンマスクを取り除く際に、上記ペーストに糸曳きが生じると、精緻な配線パターンを形成することができず、不良品の発生原因となるので避けなければならない。
これに対し、エチルセルロースを焼成用ペーストのバインダーとして用いた場合、ポリビニルアセタール樹脂等を原料とするセラミックグリーンシートとの接着性が劣ること、スクリーン印刷等により焼成用ペーストを印刷する際に、糸曳きや目詰まりといった問題を生じ、結果的に版離れが悪くなったり、厚み精度が落ちたりして、配線パターンを鮮明に描画できないといった課題があることが指摘されている。また、この点を改善する目的の焼成用ペーストのバインダーとして、セルロースエステルとポリビニルブチラール樹脂との混合物を用いた提案に対し、使用する有機溶剤の種類によっては、セルロースエステルとポリビニルブチラールとが充分に混合せず、セラミックペーストの保存安定性が低下するという問題があるとして、エチルセルロース等のセルロースエーテルと併用するポリビニルアセタール樹脂の特性を規定した樹脂組成物が提案されている(特許得る文献1参照)。
しかし、上記の提案は、樹脂バインダーにエチルセルロースを併用することを前提とした技術であるのに対し、エチルセルロースは入手コストが高く、また、植物由来の成分であるため供給に不安があるという、材料特有の問題がある。このため、その特性がエチルセルロースに代替し得るものであり、経済的でしかも安定供給が可能なバインダーが求められている。エチルセルロースに代替する合成樹脂バインダーの候補の一つとして、アクリル系重合体が挙げられ、種々の提案がなされている。
例えば、(メタ)アクリレートポリマー(A)100重量部に対して、水酸基を3個以上有する有機化合物(B)20〜200重量部、及び沸点150℃以上の有機溶剤(C)100重量部以下を含有してなる低温焼成型バインダー樹脂組成物が提案されている。この組成物は、低温での焼成性に優れ、また高粘度で糸曳き現象が生じることがなく、更に撚糸も発生することがなく、作業性に優れるとされている(特許文献2参照)。また、樹脂バインダーに、アクリル系重合体とエチルセルロースとを併用する技術に関して、アクリル系重合体を、エチルセルロースの存在下で単官能アクリル系モノマーと多官能アクリル系モノマーとを含有するアクリル系モノマーを合成することについての提案がある(特許文献3参照)。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、アクリル系重合体のみをバインダーとして用いると、焼成用ペーストの塗布性が悪化してしまうという問題がある。また、バインダーにアクリル系重合体を単独で用いた場合は、エチルセルロースによって達成されるような、低濃度で高粘度を達成することは難しい。このため、焼成用ペーストに用いるバインダーには、前述した特許文献3に記載されているように、アクリル系重合体とエチルセルロースとを併用することが一般的である。しかし、アクリル系重合体とエチルセルロースとは相溶性に問題があり、そのためこれらを併用したバインダー組成物や、このバインダー組成物を含有する焼成用ペーストの保存安定性が悪いという問題がある。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、エチルセルロースを用いることなく、例えば、アクリル系重合体のみをバインダーとして用いて焼成用ペーストを調製した場合に、スクリーン印刷などに好適な塗布性を有し、低糸曳き性を実現できる焼成用ペーストが得られるアクリル系(共)重合体からなる焼成用の樹脂バインダーを提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、焼成用バインダーを、アクリル系重合体とエチルセルロースとを併用した形態の焼成用バインダー組成物とした場合に、これらを含有してなる焼成用ペーストが、スクリーン印刷などでの塗布性が良好で、低糸曳き性を実現でき、しかも保存安定性に優れたものになる、アクリル系(共)重合体にエチルセルロースを併用してなる焼成用樹脂バインダー含有組成物を提供することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、無機粉末の焼結体を製造する際に使用されるアクリル系(共)重合体からなる焼成用の樹脂バインダーであって、前記アクリル系(共)重合体を合成するためのモノマーが、エトキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを少なくとも含むアルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを、前記(共)重合体を合成するための全モノマー中に、質量基準で10%以上含有することを特徴とする焼成用樹脂バインダーを提供する。
上記本発明の焼成用樹脂バインダーの好ましい形態としては、前記アルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーが、メタクリル酸系モノマーであること;前記アクリル系(共)重合体が、前記アルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーと、これに共重合可能な(メタ)アクリル系モノマーからなる共重合体であること;前記アクリル系(共)重合体を合成するための全モノマー中に、質量基準で、前記アルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを25%以上含有すること;前記アクリル系(共)重合体を合成するための全モノマー中に、質量基準で、前記アルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを50%以上含有すること;が挙げられる。
本発明は、別の実施形態として、上記したいずれかの焼成用樹脂バインダーと、高沸点有機溶剤とを含有してなることを特徴とする焼成用樹脂バインダー含有組成物を提供する。
本発明は、別の実施形態として、上記したいずれかの焼成用樹脂バインダーと、エチルセルロースとを併用してなり、前記焼成用樹脂バインダーと前記エチルセルロースとの質量比が、9:1〜1:9の範囲であることを特徴とする焼成用樹脂バインダー含有組成物を提供する。
上記本発明の焼成用樹脂バインダー含有組成物の好ましい形態としては、更に、有機溶剤が蒸発し難くなることで、ペースト組成物の塗工時の作業性が向上することから、高沸点有機溶剤を含有してなることが挙げられる。
本発明によれば、エチルセルロースを用いることなく、例えば、アクリル系重合体のみをバインダーとして用いて焼成用ペーストを調製した場合に、塗布性に優れる焼成用ペーストが得られるアクリル系(共)重合体からなる焼成用の樹脂バインダーが提供される。また、本発明によれば、焼成用バインダーとして、アクリル系重合体とエチルセルロースとを併用する形態とした場合にも、塗布性が良好で、しかも両者の相溶性に優れることから、保存安定性に優れる焼成用バインダー組成物の提供が可能な、アクリル系(共)重合体にエチルセルロースを併用してなる焼成用樹脂バインダー含有組成物が提供される。本発明によれば、特に、焼成用ペーストを用いてスクリーン印刷等により電極の配線パターンなどを印刷する際に有用な、糸曳きや目詰まりといった問題の発生が改善された焼成用ペーストを実現できる新規な焼成用の樹脂バインダーが提供される。
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。上記した従来技術における現状に対し、本発明者らは鋭意検討した結果、下記のことを見出して本発明を達成した。本発明者らは、まず、ある特定の構造を有するアクリル樹脂が、従来の焼成用の樹脂バインダーとして用いられていたアクリル樹脂の短所である、エチルセルロースと併用した場合における相溶性に劣る点が改善できること、加えて塗工適性を改善する効果があることを見出した。
本発明者らは、本発明の焼成用樹脂バインダーによってエチルセルロースとの相溶性を改善できた理由について、下記のように考えている。本発明者らは検討にあたり、エチルセルロースは、繰り返しグルコース単位の官能基である水酸基の一部が、エチルエーテル基となったエトキシ基が導入された構造をもつことに着目した。エチルセルロースは、このエトキシ基が導入されていることによって、良好なバインダー特性を得ていると考えられる。
本発明者らは、アクリル樹脂系の焼成用樹脂バインダーについて、エチルセルロースと併用した場合における相溶性を改善することを目的に、アクリル樹脂の構造について鋭意検討を行った。その結果、焼成用の樹脂バインダーの基本構造として、アクリル樹脂骨格にアルコキシ基、特にはエトキシ基を導入することが有効であり、このような構造とすることで、エチルセルロースとの相溶性が改善することを見出した。更に、アクリル樹脂系バインダーを、このようなエトキシ基等のアルコキシ基を導入した構成としたことで、従来のエチルセルロース系バインダーとの多種多様なブレンド比率での使用が可能になり、各種用途により適合した焼成用バインダーの提供が可能になることを見出した。
更に、本発明者らは、上記知見に基づき更なる検討を行った結果、アクリル樹脂骨格にアルコキシ基、特にはエトキシ基を導入することで、エチルセルロースを併用せずに、アクリル樹脂単独で、焼成用の樹脂バインダーとしての性能を発揮し、十分に適用可能であり、良好な焼成用の樹脂バインダーとできることを見出した。具体的には、アクリル樹脂骨格に、アルコキシ基、特にはエトキシ基を導入したことで、従来のアクリル樹脂では改善困難であった、塗工適性、特にはスクリーン印刷塗工時における糸曳き性の改善に効果があることを見出した。以下、本発明の焼成用樹脂バインダーについて詳細に説明する。
本発明の焼成用樹脂バインダーは、金属粉などの無機粉末の焼結体を製造する際に使用されるアクリル系(共)重合体からなる焼成用であって、前記アクリル系(共)重合体が、エトキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを少なくとも含むアルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを、前記(共)重合体を合成するための全モノマー中に、質量基準で10%以上含有することを特徴とする。
本発明を特徴づける、本発明で必須とするエトキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、メタクリル酸2−エトキシエチル(2−エトキシエチルメタクリレート)などのメタクリル酸系モノマーが挙げられる。その他のアルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、メタクリル酸2−メトキシエチル(2−メトキシエチルメタクリレート)、メタクリル酸2−ブトキシエチル(2−ブトキシエチルメタクリレート)及びメタクリル酸2−フェノキシエチル(2−フェノキシエチルメタクリレート)などのメタクリル酸系モノマー挙げられる。本発明は、無機粉末の焼結体を製造する際に使用されるアクリル系(共)重合体からなる焼成用の樹脂バインダーに関し、前記したように、無機粉末の焼結体を得る焼成段階で消失するものでなければならない。このため、本発明で用いるアルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、焼成後に残渣が生じることが懸念されるようなモノマー、例えば、珪素を含むメタクリレート系のシランカップリング剤のような、シラン系のアルコキシ化合物を用いることは好ましくない。
本発明の焼成用樹脂バインダーを構成するアクリル系(共)重合体は、上記に挙げたような、エトキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを少なくとも含むアルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを、前記アクリル系(共)重合体を合成するための全モノマー中に、質量基準で10%以上含有することを要し、より好ましくは25%以上含有し、更には50%以上含有する構成としたものがより好ましい。本発明者らの検討によれば、アクリル系重合体とエチルセルロースとを併用した形態の焼成用バインダー組成物とした場合は、特にアルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーの使用量が少なくても、十分に本発明の効果を得ることができる。
本発明を構成するアクリル系(共)重合体は、例えば、上記に挙げたような、アルコキシ基含有アクリル系モノマーと、これに共重合可能な(メタ)アクリル系モノマーから合成される。この際に使用できる共重合可能なアクリル系モノマーとしては、特に制限されないが、例えば、下記に挙げるような、単官能アクリル系モノマーや多官能アクリル系モノマーが使用できる。単官能アクリル系モノマーとしては、例えば、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、2−エチルへキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルメタクリレート及びポリプロピレングリコールモノメタクリレート(n≒4〜13)などが使用できる。これらは、単独で或いは2種以上を組み合わして使用することができる。
本発明では、上記した単官能アクリル系モノマーの中でも、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、2−エチルへキシルメタクリレート、水酸基含有モノマーを使用することが好ましい。水酸基含有モノマーとしては、例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、グリセリンモノメタクリレートなどが挙げられる。本発明者らの検討によれば、アルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーと、上記に挙げたようなモノマーを使用して合成したアクリル系重合体は、エチルセルロースとの相溶性が特に向上するので、エチルセルロースと併用した形態のバインダー組成物を構成する樹脂として有用である。本発明で必須としている、エトキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを含むアルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーとの共重合体を得る際に使用する特に好ましいものとしては、メチルメタクリレートが挙げられる。本発明では、アルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーと反応する、メタクリル酸のようなカルボキシ基を有するモノマーは用いない方が好ましい。
本発明を構成するアクリル系(共)重合体を合成するためのモノマーとしては、下記に挙げるような多官能アクリル系モノマーを用いることができる。後述するように、本発明では、本発明の焼成用樹脂バインダーを構成するアクリル系(共)重合体を合成する際に、エチルセルロースを併存させることで、本発明の焼成用樹脂バインダーとエチルセルロースとを併有した焼成用樹脂バインダー含有組成物とすることができる。エチルセルロースの存在下でアクリル系モノマーを重合してバインダー中にエチルセルロースを併存させた場合に、重合性モノマー中に多官能アクリル系モノマーが含まれていると、焼成用バインダー組成物が、より良好な塗布性を維持しながら、本発明の焼成用樹脂バインダーとエチルセルロースとの相分離がより生じにくくなるので好ましい。
多官能アクリル系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコールジメタクリレート(n≒2〜13)、ポリエチレングリコールジアクリレート(n≒2〜13)、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(n≒2〜13)、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート(m+n≒4〜18)、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート(m+n≒4〜18)、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート(m+n≒4〜18)、エチレンオキシド変性ビスフェノールFジアクリレート(m+n≒4〜18)、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート(m+n≒4〜18)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート及びグリセリンジメタクリレート等が使用できる。
上記に挙げたようなアクリル系モノマーの重合は、適宜の重合方法、例えば、溶液重合、乳化重合及び懸濁重合等により行われる。溶液重合の方法としては、アクリル系モノマーを、下記に挙げるような溶剤中で、後述するような重合開始剤の存在下、窒素雰囲気下で加熱撹拌する方法が挙げられる。また、本発明では、アクリル系モノマーを用いてアクリル系(共)重合体を合成する際に、モノマー中にエチルセルロースを存在させることで、本発明の焼成用樹脂バインダーであるアクリル系(共)重合体と、エチルセルロースとを併用した形態のバインダー組成物を得ることもできる。本発明に使用されるアクリル系(共)重合体は溶液重合法で容易に得られるが、溶液重合法の場合には、製法上、粘度の高い共重合体を得ることが難しい傾向がある。このため、溶液重合法で得たアクリル系共重合体を用いる場合には、所望の粘度の焼成用樹脂バインダーを得る目的から、エチルセルロースを併用することが好ましい。
溶液重合に使用する溶剤としては、特に限定されないが、例えば、フェニルプロピレングリコール、フェニルグリコール、テキサノール、ベンジルアルコール、フェニルジグリコール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、オクタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びブチルカルビトールアセテートなどの高沸点溶剤がより好ましい。これらは、単独で或いは2種類以上を組み合して使用できる。また、アクリル系(共)重合体を合成する際のアクリル系モノマー中に、エチルセルロースを存在させて、アクリル系(共)重合体とエチルセルロースを併用した形態のバインダー組成物を得る場合、使用する溶剤は、アクリル系モノマーとエチルセルロースとを共に溶解或いは分散させ得るものを使用することが必要になる。
重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)等のアゾ化合物;4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド及びジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物などが挙げられる。
アクリル系(共)重合体の分子量を適宜に制御する観点から、アクリル系モノマーの重合は、適宜の連鎖移動剤の存在下で行うことが好ましい。使用する連鎖移動剤としては特に制限されないが、例えば、n−ドデシルメルカプタン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸2−エチルヘキシル及び2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどが挙げられる。
上記のようにして得られる本発明の焼成用樹脂バインダーを構成するアクリル系(共)重合体の重量平均分子量は、例えば、10000〜1000000程度であればよく、好ましくは、100000〜600000程度、更には、300000程度であることが好ましい。
本発明を構成するアクリル系(共)重合体は、先に述べたように、上記した溶液重合に限らず、乳化重合によっても得ることができる。この場合は、溶液重合によっては得られ難かったような高い粘度のアクリル系(共)重合体を得ることが可能である。例えば、乳化重合法を利用する場合は、イオン交換水、下記に挙げるような乳化剤、上記に挙げたような(メタ)アクリル系モノマーとを撹拌混合して、モノマー混合乳化物を調製後、開始剤を添加し、通常の乳化重合によりアクリル系(共)重合体エマルションを得る。そして、このようにして調製したアクリル系(共)重合体エマルションを粉体化し、その後に高沸点溶剤に溶解させれば、任意の粘度のアクリル系(共)重合体を得ることが可能である。
乳化重合に使用する乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;脂肪酸塩、ロジン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(アリール)硫酸エステル塩等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤;が使用できる。また、下記に挙げるような反応性乳化剤を使用することもできる。例えば、ラジカル反応性基としてエチレン性不飽和基、親水基として、ポリオキシアルキレン基やスルホン基や硫酸基、疎水基としてアルキル基を1分子中に有する乳化剤等が挙げられる。このような反応性乳化剤の市販品としては、例えば、ラテムルPD−104(商品名、花王社製)、エレミノールJS−20(商品名、三洋化成社製)、アクアロンKH−05、アクアロンKH−10(商品名、第一工業製薬社製)、アデカリアソープSR−10、アデカリアソープSR−20(商品名、ADEKA社製)等のアニオン性反応性乳化剤や、アクアロンRN−20(商品名、第一工業製薬社製)、アデカリアソープER−20、アデカリアソープER−30(商品名、ADEKA社製)等の非イオン性反応性乳化剤を挙げることができる。
乳化重合に使用する開始剤としては、特に限定されないが、下記に挙げるようなラジカル重合開始剤が用いられる。例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系化合物等の水性重合開始剤や、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の油性重合開始剤を挙げることができる。中でもアゾ系化合物がより好ましい。これらの重合開始剤の使用量は、アクリル系樹脂を構成する不飽和単量体100質量部あたり、0.01〜1.0質量部が好ましい。また、重合開始剤は、重合の各段階で用いることができ、各段階で所定量を添加して、重合反応を行わせることができる。また、必要に応じて還元剤を組み合わせて用いることもできる。
本発明の焼成用樹脂バインダーは、高沸点有機溶剤を加えて混合して焼成用樹脂バインダー含有組成物とし、該組成物に導体となる金属粉末を分散混合させることでペースト状(塗料状)とし、これにより、優れた焼成用ペーストを作製することができる。また、焼成用ペーストを作製する際に、エチルセルロースをバインダーとして併用することもできる。上記のようにして得た本発明の焼成用樹脂バインダーを含有してなる焼成用ペーストは、スクリーン印刷に適用して電極の配線パターンを印刷した場合に、良好な塗布性と低糸曳き性を示し、配線パターンを鮮明に描画できる有用なものになる。また、本発明の焼成用樹脂バインダーに加えて、エチルセルロースをバインダーとして併用した形態のバインダー組成物を使用した焼成用ペーストは、スクリーン印刷の際の作業性に優れる所望の粘度に調整し易く、また、従来技術で課題となっていた相溶性が改善されて、保存安定性に優れるものになる。本発明を構成するアクリル系(共)重合体は、エチルセルロースに比べて熱分解性に優れるので、併用することでこの点を改善することもできる。
上記した本発明の焼成用樹脂バインダー含有組成物を構成する高沸点有機溶剤とは、沸点が150℃以上のものを意味し、好ましくは以下に挙げたようなものを用いることができる。本発明では、特に210〜270℃程度の比較的高沸点のアルコール系、グリコールエーテル系溶剤を使用することが好ましい。具体的には、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃)、ベンジルアルコール(沸点205℃)、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点212℃)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点215℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点216℃)、2−(4−メチルシクロヘキサ−3−エニル)プロパン−2−オール(別名:ターピネオール、沸点220℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(別名:ブチルカルビトール、沸点230℃)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(沸点245℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点256℃)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点261℃)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点264〜294℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点275℃)及びポリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点290〜310℃)などが挙げられる。中でも、ターピネオール系溶剤やブチルカルビトール系溶剤などが好ましい。
本発明の焼成用バインダーと高沸点有機溶剤とを含有してなる混合物は、そのまま本発明の焼成用バインダー組成物となり得、焼成用ペーストの構成材料として使用し得る。また、これに限定されず、本発明の焼成用バインダーと高沸点有機溶剤とを含有してなる混合物中の溶剤量を調製したり、必要に応じて種々の添加剤を加えることで、より効果的な本発明の焼成用バインダー組成物が調製できる。
本発明の焼成用バインダーと高沸点有機溶剤とを含有してなる本発明の焼成用樹脂バインダー含有組成物の粘度は、1000〜30000mPa・sの範囲に、さらには3000〜20000mPa・s程度に調整されることが好ましい。このような粘度の焼成用バインダー組成物を含有して調製される焼成用ペーストは、塗布性が特に良好となる。
本発明の焼成用樹脂バインダー含有組成物は、エチルセルロースを更に含有したものであってもよい。このように構成にすることで、組成物の粘度の調整が容易にできるようになる。先に述べたように、エチルセルロースは、本発明の焼成用樹脂バインダーを構成するアクリル系(共)重合体を合成する際に、モノマー中に混合することで併用する形態としてもよい。また、本発明では、本発明の焼成用樹脂バインダーを構成するアクリル系(共)重合体を合成した後、エチルセルロースを更に配合することで、バインダーとして、本発明の焼成用バインダーとエチルセルロースとを併用してなる焼成用樹脂バインダー含有組成物とすることもできる。
本発明の焼成用バインダー組成物に必要に応じて使用するエチルセルロースは、特に限定されず、市販されているものをいずれも使用できる。例えば、エトセルSTD−7、STD−20、STD−45、STD−100(商品名、ダウ・ケミカル社製)などが挙げられ、これらを、単独で或いは2種類以上を組み合して使用される。
エチルセルロースの使用量は、特に制限されないが、焼成用バインダー組成物の保存安定性及び塗布性を向上する観点から、本発明の焼成用樹脂バインダーと、エチルセルロースとの質量比が、9:1〜1:9の範囲内となるように調製することが好ましい。質量比が7:3〜5:5の範囲であれば更に好ましい。アクリル系(共)重合体を合成する際に、モノマー中にエチルセルロースを混合し、更に、その後の配合でエチルセルロースを含有させてもよい。エチルセルロースを併用することで、焼成用バインダー組成物の粘度を調整い易くなる。
このようにして得られる本発明の焼成用バインダー組成物は、焼成用ペーストに適用すると、塗布性が良好であり、特に塗布時に塗膜とアプリケータとの間で組成物が糸を曳くいわゆる糸曳き現象の発生が抑制される。また、本発明の焼成用バインダー組成物が、エチルセルロースを併用する形態のものである場合、エチルセルロースとアクリル系(共)重合体との相溶性が高くなり、両者が相分離を起こしにくい。このため焼成用バインダー組成物の保存安定性がより高くなる。このため、例えば、焼成用ペーストに適用した場合に、エチルセルロースを併用する形態の焼成用バインダー組成物は、従来広く行われていた、バインダーとしてエチルセルロースのみが使用される場合と比べて遜色ない特性を示す。また、本発明の焼成用バインダー組成物は、アクリル系(共)重合体を用いていることから、熱分解性の点で優れたものになる。
本発明の焼成用バインダー組成物は、上記したいずれの形態のものも、焼成用ペーストに適用し、スクリーン印刷などで配線パターンを印刷する際に用いた場合に、糸曳きや目詰まりといった問題の発生が改善されたものになる。ここで、焼成用ペーストは、本発明の焼成用バインダー組成物と、無機粉体とを含有してなる。
焼成用ペーストを作製する場合における無機粉体としては、用途に応じた適宜の粉体が用いられる。例えば、無機粉体として、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、ITO、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、チタン酸バリウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、各種ガラス粉、無機蛍光体、黒鉛粉、はんだ粉などが挙げられ、単独で或いは複数を組合して使用される。例えば、配線パターンをスクリーン印刷などで印刷する場合に用いる焼成用ペーストの調製には、銀や銅などが用いられる。
焼成用ペースト中における、本発明の焼成用バインダー組成物と無機粉体との割合は、焼成用ペーストの良好な塗布性や、焼成用ペーストを焼結させて得られる各種の要素の良好な特性が維持されるように、適宜調整される。具体的には、例えば、焼成用バインダー組成物100質量部に対する無機粉体の割合が20質量部〜4000質量部の範囲であることが好ましい。
焼成用ペーストを使用して所望の形状の成形体や、適宜の対象物上に所望のパターンの前駆体を形成し、その後に焼成して焼結体を得る。例えば、配線パターンを形成する場合は、焼成用ペーストを、先に述べたセラミックグリーンシートなどの上に塗布する。この際に用いる焼成用ペーストの塗布方法は、特に制限されない。例えば、スクリーン印刷法、ディスペンス法、ドクターブレード法等が挙げられる。本発明の焼成用バインダー組成物と高沸点有機溶剤とを少なくとも含有してなる焼成用ペーストの塗布性は良好であり、一定の厚みの塗膜が容易に形成されると共に、塗布時にいわゆる糸曳き現象が生じにくくなる。
焼成用ペーストを用い、所望する形状の焼結体を得る場合は、続いて必要に応じて適宜な温度で加熱乾燥させる。加熱の結果、塗布された焼成用ペースト中の溶剤が揮発すると共に、バインダーであるアクリル系重合体と、必要に応じて併有させたエチルセルロースの一部又は全部が熱分解して除去される。更に、塗布された焼成用ペーストは、焼成されることで、焼成用ペースト中に残留するバインダーが除去されると共に、無機粉体が焼結する。これにより、電極、導体配線等の適宜の要素が形成される。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中「部」または「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[実施例1−5:焼成用樹脂バインダー含有組成物(溶液重合/エチルセルロース無)]
撹拌機、冷却器、温度計、湯浴及び窒素ガス導入口を備えた容量1Lのフラスコを準備した。このフラスコに、表1中に、成分I及び成分IIとして示した(メタ)アクリル系モノマーと、表1の高沸点溶剤の欄の上段に示したそれぞれの量の高沸点有機溶剤Aを加えて、実施例1−5で用いるモノマー溶解液をそれぞれ得た。
撹拌機、冷却器、温度計、湯浴及び窒素ガス導入口を備えた容量1Lのフラスコを準備した。このフラスコに、表1中に、成分I及び成分IIとして示した(メタ)アクリル系モノマーと、表1の高沸点溶剤の欄の上段に示したそれぞれの量の高沸点有機溶剤Aを加えて、実施例1−5で用いるモノマー溶解液をそれぞれ得た。
次に、上記のようにして調製した各モノマー溶解液を、80℃に昇温後、窒素ガスで30分バブリングすることで溶液中の溶存酸素を除去し、これを合成用のモノマー溶解液とした。
続いて、上記のようにして準備したそれぞれのモノマー溶解液中に、重合開始剤(2,2−アゾビスイソブチロニトリル)0.05部を加えることで、(メタ)アクリル系モノマーの重合反応を開始させた。その際、重合反応中も、重合溶液に、高沸点溶剤を追加的に添加した。表1の高沸点溶剤の欄の下段に、追加的に添加した高沸点溶剤の量を示した。重合開始時から8時間後に重合を終了させ、各共重体樹脂溶液を得た。
その結果、固形分20%の樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の25℃における粘度を、東京計器社製のB型粘度計(型式 BH型)で測定し、測定値を表1中に示した。本実施例では、得られた共重体樹脂溶液を焼成用樹脂バインダー含有組成物とした。
[実施例6:焼成用樹脂バインダー含有組成物(乳化重合/エチルセルロース無)]
撹拌機、冷却器、温度計、湯浴及び窒素ガス導入口を備えた容量1Lのフラスコを準備した。このフラスコに、イオン交換水を85.0部仕込み、80℃に昇温後、窒素ガスで30分バブリングすることで、溶液中の溶存酸素を除去したものを準備した。また、イオン交換水を65.0部、乳化剤として、アデカリアソープER−30(商品名、ADEKA社製)を2.0部、n−ドデシルメルカプタン0.5部を、表1中に、成分I及び成分IIとして示した(メタ)アクリル系モノマーと撹拌混合して、モノマー混合乳化物を調製した。
撹拌機、冷却器、温度計、湯浴及び窒素ガス導入口を備えた容量1Lのフラスコを準備した。このフラスコに、イオン交換水を85.0部仕込み、80℃に昇温後、窒素ガスで30分バブリングすることで、溶液中の溶存酸素を除去したものを準備した。また、イオン交換水を65.0部、乳化剤として、アデカリアソープER−30(商品名、ADEKA社製)を2.0部、n−ドデシルメルカプタン0.5部を、表1中に、成分I及び成分IIとして示した(メタ)アクリル系モノマーと撹拌混合して、モノマー混合乳化物を調製した。
続いて、内温を80℃に保ちながら、上記で準備したフラスコ内に、重合開始剤(4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸)0.2部添加溶解後、上記で調製したモノマー混合乳化物を4時間掛けて滴下重合させた。重合開始時から8時間後に重合を終了させ、共重合体樹脂エマルションを得た。次に、この得られた共重合体樹脂エマルションを、スプレードライによる噴霧加熱乾燥処理により、粉体化させた。その後、得られた粉体化物100部を、表1に示したように、1900部の高沸点溶剤Aに溶解させて、共重体樹脂溶液を得た。
その結果、固形分5%の樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の25℃における粘度を、東京計器社製のB型粘度計(型式:BH型)で測定し、測定値を表1中に示した。本実施例では、上記したように、粉体化物を高沸点溶剤Aに溶解させて得られた共重体樹脂溶液を焼成用樹脂バインダー含有組成物とした。
[評価]
上記のようにして得た各実施例の焼成用バインダー組成物について、次の評価試験を実施した。具体的には、下記の方法で、溶液安定性、塗工性、耐糸曳き性及び熱分解性を評価し、得られた結果を表1中にまとめて示した。
上記のようにして得た各実施例の焼成用バインダー組成物について、次の評価試験を実施した。具体的には、下記の方法で、溶液安定性、塗工性、耐糸曳き性及び熱分解性を評価し、得られた結果を表1中にまとめて示した。
(1)溶液安定性評価
焼成用バインダー組成物をそれぞれ調製してから、これを常温で30日間貯蔵した。貯蔵後の焼成用バインダー組成物を目視で観察することで、焼成用バインダー組成物における相分離の有無を確認した。そして、下記の基準で評価した。
(評価基準)
○:相分離が認めらない。
×:相分離が認められる。
焼成用バインダー組成物をそれぞれ調製してから、これを常温で30日間貯蔵した。貯蔵後の焼成用バインダー組成物を目視で観察することで、焼成用バインダー組成物における相分離の有無を確認した。そして、下記の基準で評価した。
(評価基準)
○:相分離が認めらない。
×:相分離が認められる。
(2)塗工性
4面アプリケータ(太佑機材社製、型番No112)を用いて、各焼成用バインダー組成物5gをガラス板(寸法150mm×70mm×1.5mm)上に塗工して、これを評価用サンプルとした。そして、この評価用サンプル上に形成された塗膜を目視で観察し、下記の基準で評価した。
(評価基準)
◎:塗膜にムラやクレーター跡などが認められないことに加えて、レベリング性が非常によい
○:塗膜に、ムラやクレーター跡などが認められない。
×:焼成用バインダー組成物がアプリケータに貼り付き、良好な塗膜とならない、或いは、塗膜にムラ、クレーター跡がある。
4面アプリケータ(太佑機材社製、型番No112)を用いて、各焼成用バインダー組成物5gをガラス板(寸法150mm×70mm×1.5mm)上に塗工して、これを評価用サンプルとした。そして、この評価用サンプル上に形成された塗膜を目視で観察し、下記の基準で評価した。
(評価基準)
◎:塗膜にムラやクレーター跡などが認められないことに加えて、レベリング性が非常によい
○:塗膜に、ムラやクレーター跡などが認められない。
×:焼成用バインダー組成物がアプリケータに貼り付き、良好な塗膜とならない、或いは、塗膜にムラ、クレーター跡がある。
(3)熱分解性
差動型示差熱天秤(リガク社製、型番TG8120)を用い、各例の焼成用バインダー組成物をチッソ雰囲気下で、昇温速度10℃/minで、室温から500℃まで温度が上がるように加熱しながら、焼成用バインダー組成物中の重量変化を測定した。
(評価結果)
◎:400℃に昇温した時点での焼成用バインダー組成物の重量減少量が98%以上
○:400℃に昇温した時点での焼成用バインダー組成物の重量減少量が、98%未満95%以上
×:400℃に昇温した時点での焼成用バインダー組成物の重量減少量が95%未満
差動型示差熱天秤(リガク社製、型番TG8120)を用い、各例の焼成用バインダー組成物をチッソ雰囲気下で、昇温速度10℃/minで、室温から500℃まで温度が上がるように加熱しながら、焼成用バインダー組成物中の重量変化を測定した。
(評価結果)
◎:400℃に昇温した時点での焼成用バインダー組成物の重量減少量が98%以上
○:400℃に昇温した時点での焼成用バインダー組成物の重量減少量が、98%未満95%以上
×:400℃に昇温した時点での焼成用バインダー組成物の重量減少量が95%未満
(4)糸曳き性
4面アプリケータ(太佑機材株式会社製、型番No112)を用い、各例の焼成用バインダー組成物5gを、ガラス板(寸法150mm×70mm×1.5mm)上に固定した100メッシュ(テトロン製)(寸法150mm×50mm)上に塗工した。この場合の、ウェット塗膜からナイロンメッシュを引き上げる際の、引き上げ開始時から、ウェット塗膜とナイロンメッシュとの間の糸曳きが切れるまでに要した時間を測定した。
(評価結果)
◎:糸曳きが無い。
○:糸曳きが1秒未満で切れる。
×:糸曳きが1秒以上ある。
4面アプリケータ(太佑機材株式会社製、型番No112)を用い、各例の焼成用バインダー組成物5gを、ガラス板(寸法150mm×70mm×1.5mm)上に固定した100メッシュ(テトロン製)(寸法150mm×50mm)上に塗工した。この場合の、ウェット塗膜からナイロンメッシュを引き上げる際の、引き上げ開始時から、ウェット塗膜とナイロンメッシュとの間の糸曳きが切れるまでに要した時間を測定した。
(評価結果)
◎:糸曳きが無い。
○:糸曳きが1秒未満で切れる。
×:糸曳きが1秒以上ある。
[実施例7−12:焼成用樹脂バインダー含有組成物(溶液重合/エチルセルロース併用)]
撹拌機、冷却器、温度計、湯浴及び窒素ガス導入口を備えた容量1Lのフラスコを準備した。このフラスコに、表2中に、成分I及び成分IIとして示した(メタ)アクリル系モノマーと、表2の高沸点溶剤の欄の上段に示したそれぞれの量の高沸点有機溶剤Bを加えて、各実施例におけるモノマー溶解液を得た。その際、実施例10又は実施例11の場合では、下記のようにして、反応系にエチルセルロースを入れた。具体的には、上記したと同様にして得たモノマー溶解液中に、更に、エチルセルロースであるエトセルSTD−100(商品名、Dow Chemical社製)を表2に示した量投入し、投入したエチルセルロースを、上記で調製したモノマー溶解液中に80℃で溶解させた。
撹拌機、冷却器、温度計、湯浴及び窒素ガス導入口を備えた容量1Lのフラスコを準備した。このフラスコに、表2中に、成分I及び成分IIとして示した(メタ)アクリル系モノマーと、表2の高沸点溶剤の欄の上段に示したそれぞれの量の高沸点有機溶剤Bを加えて、各実施例におけるモノマー溶解液を得た。その際、実施例10又は実施例11の場合では、下記のようにして、反応系にエチルセルロースを入れた。具体的には、上記したと同様にして得たモノマー溶解液中に、更に、エチルセルロースであるエトセルSTD−100(商品名、Dow Chemical社製)を表2に示した量投入し、投入したエチルセルロースを、上記で調製したモノマー溶解液中に80℃で溶解させた。
上記のようにして調製した各モノマー溶解液を、窒素ガスで30分バブリングすることで溶液中の溶存酸素を除去し、これを合成用のモノマー溶解液とした。続いて、上記のようにして準備したそれぞれのモノマー溶解液中に、重合開始剤(2,2−アゾビスイソブチロニトリル)を加えることで、(メタ)アクリル系モノマーの重合反応を開始させた。実施例10又は実施例11以外の実施例では、重合反応中も、重合溶液に、高沸点溶剤を追加的に添加した。表2の高沸点溶剤の欄の下段に、追加的に添加した高沸点溶剤の量を示した。重合開始時から8時間後に重合を終了させ、共重体樹脂溶液を得た。
その結果、固形分20%の樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の25℃における粘度を、東京計器社製のB型粘度計(型式 BH型)で測定し、測定値を表2中に示した。
上記で得た実施例10以外の樹脂溶液には、更に、表2中に配合系としてそれぞれ示した量のエチルセルロースであるエトセルSTD−100(商品名、Dow Chemical社製)と、高沸点有機溶剤Bとを混合したエチルセルロース溶液を加えて混合し、アクリル樹脂とエチルセルロースとを併用してなる、実施例7−12のアクリル樹脂バインダー含有組成物をそれぞれ調製した。使用したエチルセルロース溶液は、樹脂固形分が5%で、25℃における粘度が12000mPa・sであった。表2中の括弧内は、反応系におけるモノマーの全量を100部とした場合の各モノマーの使用量を示した。実施例7−12では、いずれもエチルセルロースを併用したので、表2中の値は、アクリル系共重合体とエチルセルロースとを併用した全バインダーを100部として配合を示した。
そして、上記で得られた各アクリル樹脂バインダー含有組成物の樹脂溶液について、先に述べた方法で、溶液安定性、塗工性、耐糸曳き性及び熱分解性を評価し、得られた結果を表2中に示した。
[比較例1]
実施例で用いたと同様のエチルセルロースと、高沸点有機溶媒Bとを用意し、これらを混合することで得られた混合溶液を、本比較例の焼成用バインダー組成物とした。そして、得られた混合溶液について、後述する方法で、溶液安定性、塗工性、耐糸曳き性及び熱分解性を評価し、得られた結果を表3中に示した。
実施例で用いたと同様のエチルセルロースと、高沸点有機溶媒Bとを用意し、これらを混合することで得られた混合溶液を、本比較例の焼成用バインダー組成物とした。そして、得られた混合溶液について、後述する方法で、溶液安定性、塗工性、耐糸曳き性及び熱分解性を評価し、得られた結果を表3中に示した。
[比較例2〜5]
比較例3と比較例5では、実施例で用いたと同様のエチルセルロースを、表3に示したモノマー組成で合成したアクリル樹脂系のバインダー溶液と同量配合した。
比較例3と比較例5では、実施例で用いたと同様のエチルセルロースを、表3に示したモノマー組成で合成したアクリル樹脂系のバインダー溶液と同量配合した。
[比較例6:焼成用樹脂バインダー含有組成物(乳化重合/エチルセルロース無)]
実施例6で行ったと同様に、容量1Lのフラスコにイオン交換水85.0部を仕込み、80℃に昇温後、窒素ガスで30分バブリングすることで、溶液中の溶存酸素を除去したものを準備した。また、イオン交換水を65.0部、乳化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを2.0部、n−ドデシルメルカプタン0.5部を、表3中に、成分I及び成分IIとして示した(メタ)アクリル系モノマーと撹拌混合して、モノマー混合乳化物を調製した。
実施例6で行ったと同様に、容量1Lのフラスコにイオン交換水85.0部を仕込み、80℃に昇温後、窒素ガスで30分バブリングすることで、溶液中の溶存酸素を除去したものを準備した。また、イオン交換水を65.0部、乳化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを2.0部、n−ドデシルメルカプタン0.5部を、表3中に、成分I及び成分IIとして示した(メタ)アクリル系モノマーと撹拌混合して、モノマー混合乳化物を調製した。
続いて、内温を80℃に保ちながら、上記で準備したフラスコ内に、重合開始剤(過硫酸アンモニウム)0.2部添加溶解後、上記で調製したモノマー混合乳化物を4時間掛けて滴下重合させた。重合開始時から8時間後に重合を終了させ、共重合体樹脂エマルションを得た。この得られた共重合体樹脂エマルションを、スプレードライによる噴霧加熱乾燥処理により、粉体化させた。その後、得られた粉体化物100部を、表3に示したように、1900部の高沸点溶剤Aに溶解させて共重体樹脂溶液を得た。
[比較例2〜6における相違点]
比較例2と比較例4と比較例6では、エチルセルロースを併有することなく、表3に示したモノマー組成で合成したアクリル樹脂系のバインダー溶液を用いた。なお、比較例6では、粉体化した後、高沸点溶剤Aに溶解させた共重体樹脂溶液を用いた。また、比較例2と比較例3と比較例6では、合成の際に、実施例では成分Iとして用いた本発明で必須とする、アルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを用いなかった。また、比較例4と比較例5では、本発明で規定するよりも少ない量でアルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを合成に用いた。得られた比較例の各混合溶液について、前記した方法で、溶液安定性、塗工性、耐糸曳き性及び熱分解性を評価し、得られた結果を表3中に示した。
比較例2と比較例4と比較例6では、エチルセルロースを併有することなく、表3に示したモノマー組成で合成したアクリル樹脂系のバインダー溶液を用いた。なお、比較例6では、粉体化した後、高沸点溶剤Aに溶解させた共重体樹脂溶液を用いた。また、比較例2と比較例3と比較例6では、合成の際に、実施例では成分Iとして用いた本発明で必須とする、アルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを用いなかった。また、比較例4と比較例5では、本発明で規定するよりも少ない量でアルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを合成に用いた。得られた比較例の各混合溶液について、前記した方法で、溶液安定性、塗工性、耐糸曳き性及び熱分解性を評価し、得られた結果を表3中に示した。
なお、表1〜3中の反応系とは(メタ)アクリル系モノマーの重合時に使用した成分であり、配合系とは、アクリル系モノマーの重合後に配合した成分である。また、表1〜3に示した成分の略記の詳細は次の通りである。
・MTEMA:メタクリル酸2−メトキシエチル
・ETEMA:メタクリル酸2−エトキシエチル
・BTEMA:メタクリル酸2−ブトキシエチル
・MMA:メタクリル酸メチル
・CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
・BMA:メタクリル酸ブチル
・HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
・STD−100:エトセルSTD−100(Dow Chemical社製エチルセルロース)
・高沸点溶剤A:ブチルカルビトール(沸点230℃/三協化学社製)
・高沸点溶剤B:ターピネオール(沸点約220℃/ヤスハラカミカル社製)
・MTEMA:メタクリル酸2−メトキシエチル
・ETEMA:メタクリル酸2−エトキシエチル
・BTEMA:メタクリル酸2−ブトキシエチル
・MMA:メタクリル酸メチル
・CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
・BMA:メタクリル酸ブチル
・HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
・STD−100:エトセルSTD−100(Dow Chemical社製エチルセルロース)
・高沸点溶剤A:ブチルカルビトール(沸点230℃/三協化学社製)
・高沸点溶剤B:ターピネオール(沸点約220℃/ヤスハラカミカル社製)
Claims (8)
- 無機粉末の焼結体を製造する際に使用されるアクリル系(共)重合体からなる焼成用の樹脂バインダーであって、
前記アクリル系(共)重合体を合成するためのモノマーが、エトキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを少なくとも含むアルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを、前記(共)重合体を合成するための全モノマー中に、質量基準で10%以上含有し、且つ、前記アルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーと反応するカルボキシ基を有するモノマーを含まないことを特徴とする焼成用樹脂バインダー。 - 前記アルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーが、メタクリル酸系モノマーである請求項1に記載の焼成用樹脂バインダー。
- 前記アクリル系(共)重合体が、前記アルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーと、これに共重合可能な(メタ)アクリル系モノマーからなる共重合体である請求項1又は2に記載の焼成用樹脂バインダー。
- 前記アクリル系(共)重合体を合成するための全モノマー中に、質量基準で、前記アルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを25%以上含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼成用樹脂バインダー。
- 前記アクリル系(共)重合体を合成するための全モノマー中に、質量基準で、前記アルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーを50%以上含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼成用樹脂バインダー。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の焼成用樹脂バインダーと、高沸点有機溶剤とを含有してなることを特徴とする焼成用樹脂バインダー含有組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の焼成用樹脂バインダーと、エチルセルロースとを併用してなり、前記焼成用樹脂バインダーと前記エチルセルロースとの質量比が、9:1〜1:9の範囲であることを特徴とする焼成用樹脂バインダー含有組成物。
- 更に、高沸点有機溶剤を含有してなる請求項7に記載の焼成用樹脂バインダー含有組成物。
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