JP2017082153A - (メタ)アクリル系樹脂組成物 - Google Patents

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徳仁 古賀
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Abstract

【課題】塗工性と焼成時の熱分解性とが両立している新たなペースト組成物、及び当該ペースト組成物を実現するうえで好適に用いられる新たなバインダー樹脂組成物を提供する。【解決手段】ヒドロキシ基及び第3級アミノ基を側鎖に有し、重量平均分子量が5000〜300000である(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部と、シクロ(L−β−3,7−ジメチルオクチルアスパラギニル−L−フェニルアラニル)である化合物(B)0.1〜20質量部と、有機溶剤(C)とを含む(メタ)アクリル系樹脂組成物、並びに無機フィラー(D)をさらに含む(メタ)アクリル系樹脂組成物が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル系樹脂組成物に関し、より詳しくは、(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物、及びそれを含むペースト組成物に関する。
バインダー樹脂及び有機溶剤を含むバインダー樹脂組成物に無機フィラーを分散させてなるペースト組成物を基材に塗工した後、焼成によってバインダー樹脂を熱分解して無機フィラーによる層又はパターンを形成する方法が知られている。例えば、各種電子部品が有する回路の微細パターンは、この方法によって形成されることがある。基材への塗工性や無機フィラーの分散性が比較的良好であることから、バインダー樹脂としては従来、エチルセルロースやブチラール樹脂等が使用されてきた。一般に、バインダー樹脂には、良好な熱分解性(燃焼性)、及びペースト組成物としたときの良好な塗工性が要求される。
一方、上記方法に用いられるペースト組成物の適用(用途)範囲は近年益々広がっており、ペースト組成物に含まれるバインダー樹脂には、より低温で熱分解できること(以下、この性質を本明細書では「低温熱分解性」ともいう。)が求められるようになっている。しかしながら、エチルセルロースやブチラール樹脂のような従来のバインダー樹脂は熱分解性(とりわけ低温熱分解性)が十分ではなく、これを用いたペースト組成物は、焼成後に炭素成分からなる残渣を生じやすいという問題があった。この残渣は、電子部品等の製品の特性を低下させ得る。
上記問題を解決すべく、エチルセルロースやブチラール樹脂に代えて、熱分解性のより良好な(メタ)アクリル系樹脂をバインダー樹脂として用いることが知られている(例えば、特許文献1〜4)。
特開平10−167836号公報 特開2002−020570号公報 特開2006−249248号公報 特開2015−059196号公報
(メタ)アクリル系樹脂をバインダー樹脂とするペースト組成物は、良好な熱分解性を示し得るものの、塗工に適した粘度を得るために(メタ)アクリル系樹脂の分子量を上げると糸曳きを生じて、例えばスクリーン印刷やディップ塗装等によって基材へ塗工する際の塗工性が低下しやすい。この糸曳きの問題は、上記特許文献2及び4でも議論されている。
本発明の目的は、塗工性と焼成時の熱分解性とが両立している新たなペースト組成物、及び当該ペースト組成物を実現するうえで好適に用いられる新たなバインダー樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、以下に示す(メタ)アクリル系樹脂組成物〔(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物及び(メタ)アクリル系ペースト組成物〕を提供する。
[1] ヒドロキシ基及び第3級アミノ基を側鎖に有し、重量平均分子量が5000〜300000である(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部と、
シクロ(L−β−3,7−ジメチルオクチルアスパラギニル−L−フェニルアラニル)である化合物(B)0.1〜20質量部と、
有機溶剤(C)と、
を含む、(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[2] 前記(メタ)アクリル系重合体(A)は、
ヒドロキシ基及びN,N−ジアルキルアミノ基不含有アルキルメタクリレートのモノマー単位(a−1)を50〜94.9mol%と、
ヒドロキシアルキルメタクリレートのモノマー単位(a−2)を5〜49.9mol%と、
N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレートのモノマー単位(a−3)を0.1〜5mol%と、
を含有する、[1]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[3] 前記ヒドロキシ基及びN,N−ジアルキルアミノ基不含有アルキルメタクリレートは、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート及びラウリルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種を含む、[2]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[4] 前記N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレートは、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及びN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種を含む、[2]又は[3]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[5] 前記有機溶剤(C)の含有量は、前記(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して40〜500質量部である、[1]〜[4]のいずれかに記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[6] 前記有機溶剤(C)は、沸点が150℃以上である1種以上の有機溶剤で構成される、[1]〜[5]のいずれかに記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[7] 前記有機溶剤(C)は、テルピネオール及びジヒドロテルピネオールからなる群より選択される少なくとも1種である、[1]〜[6]のいずれかに記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[8] 無機フィラー(D)をさらに含み、
(メタ)アクリル系樹脂組成物100質量部中における前記無機フィラー(D)の含有量が70〜97質量部である、[1]〜[7]のいずれかに記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[9] 前記無機フィラー(D)は、導電性粉末を含む、[8]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
本発明によれば、塗工性と焼成時の熱分解性とが両立している新たなペースト組成物、及び当該ペースト組成物を実現するうえで好適に用いられる新たなバインダー樹脂組成物を提供することができる。
本明細書において「(メタ)アクリル系樹脂組成物」とは、(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物(以下、「バインダー樹脂組成物」ともいう。)と、(メタ)アクリル系ペースト組成物(以下、「ペースト樹脂組成物」ともいう。)とを包含する用語である。バインダー樹脂組成物は、ペースト組成物に含まれる樹脂組成物であって、少なくともそのバインダー成分として用いられるものである。本発明に係るバインダー樹脂組成物は、(メタ)アクリル系重合体(A)と、化合物(B)と、有機溶剤(C)とを含み、本発明に係るペースト組成物は、(メタ)アクリル系重合体(A)、化合物(B)及び有機溶剤(C)に加えて、無機フィラー(D)をさらに含む。以下、本発明に係るバインダー樹脂組成物及びペースト組成物について詳細に説明する。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル等というときの「(メタ)」も同様の趣旨である。
<(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物>
〔1〕(メタ)アクリル系重合体(A)
バインダー樹脂である(メタ)アクリル系重合体(A)は、ヒドロキシ基及び第3級アミノ基を側鎖に有する(メタ)アクリル系重合体である。本明細書において「(メタ)アクリル系重合体」とは、(メタ)アクリル系モノマーを含有するモノマー組成物を(共)重合して得られる重合体をいい、例えば、メタクリル系モノマーを含み、アクリル系モノマーを含まないモノマー組成物の重合体、アクリル系モノマーを含み、メタクリル系モノマーを含まないモノマー組成物の重合体、メタクリル系モノマーとアクリル系モノマーとを含むモノマー組成物の重合体であり得る。
本発明に係る(メタ)アクリル系重合体(A)において、モノマー組成物中におけるメタクリル系モノマーの含有率は、通常50mol%以上であり、熱分解性の観点から、好ましくは70mol%、より好ましくは90mol%以上、さらに好ましくは95mol%以上、最も好ましくは100mol%である。(メタ)アクリル系重合体(A)は、必要に応じてアクリル系モノマーのモノマー単位を含有してもよい。(メタ)アクリル系重合体(A)におけるアクリル系モノマーのモノマー単位の含有率は通常、30mol%以下である。
本明細書において「メタクリル系モノマー」とは、メタクリロイル基(より典型的には、メタクリロイルオキシ基)を有する重合性モノマーを意味する。また、「アクリル系モノマー」とは、アクリロイル基(より典型的には、アクリロイルオキシ基)を有する重合性モノマーを意味する。
(メタ)アクリル系重合体(A)は、上述のとおり、メタクリル系モノマーを主成分とすることが好ましい。これは、アクリル系モノマーを主成分とするアクリル系重合体を用いる場合よりも熱分解性の面で有利であるためである。
(メタ)アクリル系重合体(A)がヒドロキシ基を側鎖に有することにより、ペースト組成物において無機フィラー(D)の分散性を優れたものとすることができる。また(メタ)アクリル系重合体(A)が第3級アミノ基を側鎖に有することにより、ペースト組成物の塗工性を改善することができる。この点については後で詳述する。
ヒドロキシ基及び第3級アミノ基を側鎖に有する(メタ)アクリル系重合体(A)は、上記モノマー組成物として、ヒドロキシ基を含有するメタクリル系モノマーと、第3級アミノ基を含有するメタクリル系モノマーとを含むものを用い、これを共重合させることによって調製することができる。ペースト組成物の塗工性及び熱分解性、並びにスクリーン印刷等で塗工する場合に必要とされる塗工時の高粘性を考慮すると、モノマー組成物は、上記2種の官能基含有メタクリル系モノマーに加えて、ヒドロキシ基及び第3級アミノ基不含有のメタクリル系モノマーをさらに含むことが好ましい。上記モノマー組成物に含まれるメタクリル系モノマーはいずれも、好ましくはアルキルメタクリレートである。上記モノマー組成物は、必要に応じて他のモノマー、例えばアクリレート等のアクリル系モノマーなどを含有していてもよい。
(メタ)アクリル系重合体(A)の好適な例は、ヒドロキシ基及びN,N−ジアルキルアミノ基不含有アルキルメタクリレートのモノマー単位(a−1)と、ヒドロキシアルキルメタクリレートのモノマー単位(a−2)と、N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレートのモノマー単位(a−3)とを含有するものである。モノマー単位(a−1)は、下記式(a−1):
Figure 2017082153
で示される。式中、R1はヒドロキシ基及びN,N−ジアルキルアミノ基を含有しないアルキル基を表す。モノマー単位(a−2)は、下記式(a−2):
Figure 2017082153
で示される。式中、R2はヒドロキシアルキル基を表す。モノマー単位(a−3)は、下記式(a−3):
Figure 2017082153
で示される。式中、R3はN,N−ジアルキルアミノアルキル基を表す。上記モノマー単位(a−1)〜(a−3)を含有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、後述する所定の化合物(B)と、有機溶剤(C)とを含むバインダー樹脂組成物によれば、糸曳きの問題が抑制されて塗工性が良好であり、かつ熱分解性(とりわけ低温熱分解性)に優れるペースト組成物を提供することができる。
ヒドロキシ基及びN,N−ジアルキルアミノ基不含有アルキルメタクリレートのモノマー単位(a−1)が有する、ヒドロキシ基及びN,N−ジアルキルアミノ基を含有しないアルキル基R1としては、例えば炭素数が1〜24である直鎖状、分岐状又は環状の無置換アルキル基を挙げることができる。熱分解性、有機溶剤(C)への溶解性、及び/又はペースト組成物の塗工時における粘性等の観点から、R1の炭素数は、好ましくは3〜18であり、より好ましくは4〜12である。炭素数4〜12の無置換アルキル基であるR1の具体例は、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、シクロへキシル基、n−ヘプチル基、シクロヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、シクロオクチル基、n−デシル基、ラウリル基(n−ドデシル基)、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル等を含む。中でもR1は、上記の観点から、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロへキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、n−デシル基及びラウリル基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、イソブチル基、2−エチルヘキシル基及びラウリル基からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。(メタ)アクリル系重合体(A)は、モノマー単位(a−1)を1種のみ含有していてもよいし、R1の異なるモノマー単位(a−1)を2種以上含有していてもよい。
モノマー単位(a−1)の含有率は、(メタ)アクリル系重合体(A)を構成する全モノマーの合計量を100mol%とするとき、好ましくは50mol%以上であり、より好ましくは60mol%以上であり、さらに好ましくは70mol%以上(例えば75mol%以上)である。モノマー単位(a−1)の含有率を上記範囲とすることにより、ペースト組成物の熱分解性及び低温熱分解性、並びに有機溶剤(C)への溶解性等を高めることができ、また、ペースト組成物の塗工時における粘性を適度に高めることができる。モノマー単位(a−1)の含有率は、通常94.9mol%以下であり、好ましくは90mol%以下(例えば85mol%以下)である。
ヒドロキシアルキルメタクリレートのモノマー単位(a−2)が有するヒドロキシアルキル基R2としては、ヒドロキシ基で置換された炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を挙げることができる。R2は、2個以上のヒドロキシ基を有していてもよいが、熱分解性の観点から、好ましくは1個のヒドロキシ基を有する。ペースト組成物の熱分解性、及び無機フィラー(D)の分散性の観点から、R2の炭素数は、好ましくは2〜6であり、より好ましくは2〜4である。R2の具体例は、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−n−プロピル基、2−ヒドロキシ−n−プロピル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1−(ヒドロキシメチル)エチル基、1−ヒドロキシ−n−ブチル基、2−ヒドロキシ−n−ブチル基、3−ヒドロキシ−n−ブチル基、4−ヒドロキシ−n−ブチル基、2−(ヒドロキシメチル)−n−プロピル基、1−ヒドロキシ−イソブチル基、2−ヒドロキシ−イソブチル基、ヒドロキシ−tert−ブチル基等を含む。中でもR2は、上記の観点から、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシ−n−プロピル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、2−ヒドロキシ−n−ブチル基、3−ヒドロキシ−n−ブチル基及び4−ヒドロキシ−n−ブチル基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、2−ヒドロキシエチル基及び2−ヒドロキシ−n−プロピル基からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。(メタ)アクリル系重合体(A)は、モノマー単位(a−2)を1種のみ含有していてもよいし、R2の異なるモノマー単位(a−2)を2種以上含有していてもよい。
モノマー単位(a−2)の含有率は、(メタ)アクリル系重合体(A)を構成する全モノマーの合計量を100mol%とするとき、好ましくは5〜49.9mol%であり、より好ましくは5〜40mol%であり、さらに好ましくは10〜35mol%であり、特に好ましくは12〜30mol%(例えば15〜25mol%)である。モノマー単位(a−2)の含有率を上記範囲とすることにより、ペースト組成物の熱分解性及び低温熱分解性、並びにペースト組成物における無機フィラー(D)の分散性等を高めることができる。モノマー単位(a−2)の含有率が5mol%未満であると、無機フィラー(D)の分散性が悪くなる傾向にある。モノマー単位(a−2)の含有率が49.9mol%を超えると、ペースト組成物の熱分解性及び低温熱分解性が不十分となりやすい。
N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレートのモノマー単位(a−3)が有するN,N−ジアルキルアミノアルキル基R3としては、N,N−ジアルキル部分を構成するアルキル基がそれぞれ独立して炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、N,N−ジアルキルアミノ基が結合するアルキル基が炭素数1〜6、好ましくは2〜4の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基であるものを挙げることができる。ペースト組成物の塗工性等の観点から、N,N−ジアルキル部分を構成するアルキル基の炭素数は、それぞれ独立して、好ましくは1又は2であり、N,N−ジアルキルアミノ基が結合するアルキル基の炭素数は、より好ましくは2又は3である。
3の具体例は、N,N−ジメチルアミノメチル基、N,N−ジエチルアミノメチル基、N,N−ジ−n−プロピルアミノメチル基、N,N−ジ−イソプロピルアミノメチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、N,N−ジエチルアミノエチル基、N,N−ジ−n−プロピルアミノエチル基、N,N−ジ−イソプロピルアミノエチル基、N,N−ジメチルアミノプロピル基、N,N−ジエチルアミノプロピル基、N,N−ジ−n−プロピルアミノプロピル基、N,N−ジ−イソプロピルアミノプロピル基、N,N−ジメチルアミノブチル基、N,N−ジエチルアミノブチル基、N,N−ジ−n−プロピルアミノブチル基、N,N−ジ−イソプロピルアミノブチル基等を含む。中でもR3は、ペースト組成物の塗工性及び入手容易性等の観点から、N,N−ジメチルアミノエチル基及びN,N−ジエチルアミノエチル基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。(メタ)アクリル系重合体(A)は、モノマー単位(a−3)を1種のみ含有していてもよいし、R3の異なるモノマー単位(a−3)を2種以上含有していてもよい。
モノマー単位(a−3)の含有率は、(メタ)アクリル系重合体(A)を構成する全モノマーの合計量を100mol%とするとき、好ましくは0.1〜5mol%であり、より好ましくは0.5〜4mol%(例えば1〜3mol%)である。モノマー単位(a−3)の含有率を上記範囲とすることにより、ペースト組成物の熱分解性及び低温熱分解性、並びにペースト組成物の塗工性等を高めることができる。
(メタ)アクリル系重合体(A)は、上記モノマー単位(a−1)〜(a−3)以外の他のモノマー単位(a−4)を1種又は2種以上含有することができる。他のモノマー単位(a−4)を含有させることにより、(メタ)アクリル系重合体(A)の有機溶剤(C)への溶解性やペースト組成物における無機フィラー(D)の分散性の調整が容易になることがある。
他のモノマー単位(a−4)を構成するモノマーの具体例は、モノマー単位(a−1)〜(a−3)以外のメタクリレート系モノマー(メタクリロイル基を2個以上含有するものも含まれる。);ヒドロキシ基、N,N−ジアルキルアミノ基等の官能基を有していてもよいアクリレート(例えばアルキルアクリレート)等のアクリレート系モノマー(アクリロイル基を2個以上含有するものも含まれる。);スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマー;エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマー;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸等の酸類;N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、酢酸ビニル等を挙げることができる。中でも、他のモノマー単位(a−4)を構成するモノマーは、アルキルアクリレート等のアクリレートであることが好ましい。(メタ)アクリル系重合体(A)を構成する全モノマーの合計量を100mol%とするとき、アクリレートのモノマー単位の含有率は通常、30mol%以下である。
ただし、他のモノマー単位(a−4)の含有率は、所望の効果を奏することができるよう、できるだけ少ない方が好ましい。具体的には、他のモノマー単位(a−4)の含有率は、(メタ)アクリル系重合体(A)を構成する全モノマーの合計量を100mol%とするとき、好ましくは20mol%以下であり、より好ましくは10mol%以下であり、さらに好ましくは5mol%以下であり、なおさらに好ましくは1mol%以下であり、最も好ましくは0mol%である。
(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量は、ペースト組成物の塗工性を高めるために、5000〜300000であることが好ましく、6000〜200000であることがより好ましく、6000〜150000であることがさらに好ましい。(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量が上記範囲であると、ペースト組成物へ塗工に適した粘度を付与することができるとともに、糸曳きの問題が抑制されて良好な塗工性が得られる。重量平均分子量の測定方法は、後述する実施例の項の記載に従う。
(メタ)アクリル系重合体(A)は、上述のモノマー単位を形成するモノマーを含むモノマー組成物を、溶液重合法等の公知の方法を用いてラジカル重合させることによって調製することができる。
〔2〕化合物(B)
本発明に係るバインダー樹脂組成物は、バインダー樹脂である上記(メタ)アクリル系重合体(A)とともに、化合物(B)を含む。化合物(B)は、下記式(B):
Figure 2017082153
で示されるシクロ(L−β−3,7−ジメチルオクチルアスパラギニル−L−フェニルアラニル)である。
(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物に化合物(B)を含有させることにより、従来の(メタ)アクリル系重合体をバインダー樹脂とする場合に生じやすい糸曳きの問題を抑制することができ、もって、高い熱分解性及び低温熱分解性を有しながら塗工性にも優れるペースト組成物を提供することができる。本発明に係るペースト組成物が優れた塗工性を発揮するのは、化合物(B)による次のような作用に起因するものと考えられる。
基材に塗工した後に焼成して無機フィラーによる層やパターンを形成するためのペースト組成物には、塗膜の形状維持等に適した適度な粘度を有する一方で、塗工時には擦りや撹拌等の応力を与えることにより適度な流動性を発揮するチキソトロピー性が求められる。例えば、スクリーン印刷によってペースト組成物を基材に塗工する場合、スキージを移動させることによってパターン形成用スクリーンメッシュの細かい網目にペースト組成物を通過させる必要があるため、印刷時には適度な流動性が要求される。しかしながら、(メタ)アクリル系重合体をバインダー樹脂とする従来のペースト組成物において(メタ)アクリル系重合体は、分子鎖間及び分子鎖内が複雑に絡み合った状態で存在し、これによりペースト組成物は、塗工時において糸曳きの問題を生じていた。この糸曳きの問題は、例えばスクリーン印刷やディップ塗装等によって基材にパターンを形成する場合、所望する細い線幅のパターンを精度良く形成できなかったり、パターンが断線したりする等、塗工性を低下させていた。
これに対して、本発明に従う(メタ)アクリル系重合体(A)と化合物(B)とを含む(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物を用いたペースト組成物によれば、糸曳きの問題が抑制されて塗工性を改善することができる。これは、(メタ)アクリル系重合体(A)に導入されている第3級アミノ基と化合物(B)の環状アミド基との間の水素結合による相互作用に起因するものと考えられる。すなわち、上記相互作用は、特に(メタ)アクリル系重合体(A)における分子鎖間及び分子鎖内の上記絡み合いを生じにくくさせ、これにより糸曳きを抑制させながらも、塗膜の形状維持等に適した適度な粘度をペースト組成物に与える。加えて、上記相互作用は、塗工時における擦りや撹拌等の応力によって比較的容易に切断されるため、ペースト組成物は、塗工時において適度な流動性を示すことができる。このように本発明に係るペースト組成物が優れた塗工性を示すのは、上記相互作用によってバインダー樹脂の糸曳きが抑制されるとともに、チキソトロピー性が改善されることによるものと考えられる。
メタクリル系樹脂組成物〔(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物及び(メタ)アクリル系ペースト組成物〕における化合物(B)の含有量は、(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して0.1〜20質量部とされる。化合物(B)の含有量を0.1質量部以上とすることにより、ペースト組成物の塗工性を有意に高めることことができる。塗工性改善の観点から、化合物(B)の含有量は、(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上であり、より好ましくは1質量部以上であり、さらに好ましくは2質量部以上である。
一方、化合物(B)の含有量を(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して20質量部以下とすることにより、化合物(B)の相溶性及び無機フィラー(D)の分散性が良好で均一性に優れた(メタ)アクリル系樹脂組成物を得ることができる。化合物(B)の相溶性及び無機フィラー(D)の分散性、並びにペースト組成物の貯蔵安定性等の観点から、化合物(B)の含有量は、(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して、好ましくは15質量部以下であり、より好ましくは12質量部以下である。
化合物(B)の含有量を調整することにより、ペースト組成物の粘度やチキソトロピー性を制御することも可能である。
なお、化合物(B)それ自体はゲル化剤として知られる化合物である。しかしながら、化合物(B)と所定の官能基を有する(メタ)アクリル系重合体(A)との併用によって熱分解性と塗工性とが両立されたペースト組成物が得られ得ることは本発明による新たな知見である。また、基材に塗工した後に焼成して無機フィラーによる層やパターンを形成するためのペースト組成物には、当該層やパターンの均質性を確保する観点から、配合成分の均一分散性(相溶性)が求められるところ、化合物(B)以外の他のいくつかのゲル化剤を用いた場合には、当該ゲル化剤の相溶性や無機フィラー(D)の分散性、貯蔵安定性を満足しないことが明らかになっている(後述する比較例4及び5)。
〔3〕有機溶剤(C)
本発明に係るバインダー樹脂組成物に含まれる有機溶剤(C)は、焼成後に残渣が残らず、(メタ)アクリル系重合体(A)及び化合物(B)を溶解可能なものであることが好ましい。また有機溶剤(C)は、その沸点が150℃以上であることが好ましい。沸点が150℃以上の有機溶剤(C)を用いることにより、スクリーン印刷やディップ塗装等の塗工時における塗工作業性を高めることができる。沸点が150℃未満であると、揮発速度が大きすぎて、例えばスクリーン印刷で用いるスクリーンメッシュに目詰まりが生じることがある。有機溶剤(C)の沸点は、好ましくは180℃以上であり、より好ましくは200℃以上であり、さらに好ましくは220℃以上である。
また、無機フィラー(D)による層やパターンを形成する際の作業効率の観点から、有機溶剤(C)の沸点は、極度に高くないことが好ましく、具体的には、有機溶剤(C)の沸点は、300℃以下であることが好ましく、290℃以下であることがより好ましい。
バインダー樹脂組成物は、1種又は2種以上の有機溶剤(C)を含むことができる。2種以上の有機溶剤(C)を含む場合、それぞれの有機溶剤が上記範囲の沸点を有することが好ましい。
有機溶剤(C)の具体例は、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロテルピニルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールアルキルエーテルアセテート(アルキルの例は、n−ブチル、プロピル、エチル等である。以下同じ。)、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールアルキルエーテル、エチレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールジイソブチレート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールジイソブチレート等を含む。
中でも、有機溶剤(C)は、化合物(B)の相溶性(溶解性)及び無機フィラー(D)の分散性、並びにペースト組成物の貯蔵安定性等に鑑み、テルピネオール及びジヒドロテルピネオールからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、当該群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂組成物〔(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物及び(メタ)アクリル系ペースト組成物〕における有機溶剤(C)の含有量は、化合物(B)の相溶性(溶解性)及び無機フィラー(D)の分散性、並びにペースト組成物の粘度等を考慮して、(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して40〜500質量部とすることが好ましく、50〜400質量部とすることがより好ましい。
〔4〕その他の成分
本発明に係るバインダー樹脂組成物は、(メタ)アクリル系重合体(A)、化合物(B)及び有機溶剤(C)以外のその他の成分の1種又は2種以上を必要に応じて含むことができる。その他の成分の具体例は、分散剤(カチオン系分散剤、アニオン系分散剤、ノニオン系分散剤、両性界面活性剤、高分子系分散剤等)、可塑剤、湿潤剤、消泡剤、レベリング剤を含む。また、本発明に係るバインダー樹脂組成物は、上記(メタ)アクリル系重合体(A)以外のその他の樹脂を含むことができる。その他の樹脂の具体例は、上記(メタ)アクリル系重合体(A)以外の(メタ)アクリル系重合体、エチルセルロース樹脂、ブチラール樹脂等を含む。
<(メタ)アクリル系ペースト組成物>
(メタ)アクリル系ペースト組成物は、上述の(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物と、無機フィラー(D)とを含むものである。バインダー樹脂組成物と無機フィラー(D)との混練によりペースト組成物を調製することができる。ペースト組成物は、1種又は2種以上の無機フィラー(D)を含むことができる。
無機フィラー(D)としては各種材料からなる粉末を挙げることができる。当該粉末の具体例は、導電性粉末、ガラス粉末、顔料粉末、蛍光体粉末、セラミック粉末を含む。導電性粉末としては、例えば、銅、銀、金、白金、鉄、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、タングステン、及びこれらのいずれかを含む合金等からなる金属粉末;ITO等からなる金属酸化物粉末;炭素粉末等が挙げられる。セラミック粉末としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、チタン酸バリウム、窒化アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素等からなるものが挙げられる。
ペースト組成物における無機フィラー(D)の含有量は、(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して、通常100〜5000質量部であり、ペースト組成物の粘度や無機フィラー(D)の分散性の観点から、好ましくは500〜1500質量部である。同様の理由から、(メタ)アクリル系樹脂組成物(ペースト組成物)100質量部中における無機フィラー(D)の含有量は、例えば70〜97質量部であってよい。当該ペースト組成物100質量部中における(メタ)アクリル系重合体(A)の含有量は、例えば3〜30質量部であってよい。
上記ペースト組成物を基材に塗工した後、続く焼成によって有機溶剤(C)を揮発させるとともに、(メタ)アクリル系重合体(A)及び化合物(B)を熱分解させることにより、無機フィラー(D)による層又はパターンを形成することができる。ペースト組成物の塗工方法としては、スクリーン印刷、ダイコート印刷、ドクターブレード印刷、ロールコート印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンス印刷、キャスト法、ディップ塗装等が挙げられ、中でもスクリーン印刷、ディップ塗装が好適である。焼成により得られる層又はパターンは、通常、無機フィラー(D)の焼結体からなる。
本発明に係るペースト組成物は、熱分解性、とりわけ低温熱分解性に優れており、550℃以下、さらには500℃以下、なおさらには450℃以下の温度でも残渣なく焼成を行うことができる。また、塗工時の糸曳きが抑制されておりチキソトロピー性にも優れるため、本発明に係るペースト組成物によれば、無機フィラー(D)の焼結体からなる微細なパターンを精度良く作製することができる。さらに本発明に係るペースト組成物は、(メタ)アクリル系重合体(A)と化合物(B)と有機溶剤(C)との相溶性に優れ、無機フィラー(D)の分散性も良好であり、経時的に相分離などを生じずに貯蔵安定性に優れたものであり得る。かかるペースト組成物の均質性は、その焼成により形成される層やパターンの均質性を向上させる。
本発明に係るペースト組成物は、各種電子部品の回路や電極パターン、誘電体層、蛍光体層等を形成するためのペーストとして好適に用いることができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<実施例1>
〔1〕(メタ)アクリル系重合体の調製
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに、表1に示されるモノマーを表1に示される配合比率(表1に示される数値は、各モノマーの配合比率をmol%で示したものである。)で仕込むとともに、表1に示される有機溶剤(C)を仕込み、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら30分攪拌して窒素置換を行った後、フラスコの内容物を80℃まで昇温した。次いで、フラスコ内の内容物を80℃に維持しながら、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを添加して、80℃で6時間、次いで105℃で1時間攪拌した。その後、(メタ)アクリル系重合体(A)に対する量が表1に示される量となるように、表1に示される有機溶剤(C)を添加し、室温まで冷却して、(メタ)アクリル系重合体(A)の樹脂液を得た。
〔2〕(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物の調製
上記〔1〕で得られた樹脂液中の(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して、表1に示される化合物(B)を表1に示される量で混合して、(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物を得た。
〔3〕(メタ)アクリル系ペースト組成物の調製
上記〔2〕で得られた(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物100質量部に対して、銀粉末(DOWAエレクトロニクス株式会社製の「AG−3−8F」)560質量部、分散剤(東京化成工業株式会社製の「Span 85」)3.2質量部を加え、3本ロール(株式会社井上製作所製の「S−2×6」)により混練して、(メタ)アクリル系ペースト組成物(銀ペースト)を得た。
〔4〕測定及び評価
(メタ)アクリル系重合体(A)、(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物及び(メタ)アクリル系ペースト組成物に関し、次の項目について測定又は評価を行った。結果を表1に示す。
〔4−1〕(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量の測定
下記の条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行い、ポリスチレン換算により算出した。比較例5及び6で用いたエチルセルロース樹脂、ブチラール樹脂についても同じ方法で重量平均分子量を測定した。
(重量平均分子量の測定条件)
装置:ポンプ〔製品名:ポンプPU−2080plus(JASCO製)〕、検出器〔製品名:RI−2030plus(JASCO製)〕、デガッサー〔製品名:DG−2080−53(JASCO製)〕、恒温槽〔製品名:CO-2065plus(JASCO製)〕で構成したSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)測定装置、
カラム:Shodex KF−805L×1本、
媒体:テトラヒドロフラン、
流速:1.0mL/min、
試料濃度:1.5mg/ml、
注入量:300μL、
カラム温度:40℃。
〔4−2〕(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物の固形分の測定
(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物を約0.3g精秤し、150℃で5時間加熱する加熱処理前後の質量から固形分を算出した。固形分は下記式:
固形分(質量%)={(加熱処理後の質量)/(加熱処理前の質量)}×100
により算出される。
〔4−3〕(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物の相溶性の評価
(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物を80℃で3時間加熱撹拌した後、25℃で8時間放置した後の該組成物の外観を目視で確認し、次の評価基準に基づいて相溶性を評価した。
(相溶性の評価基準)
A:組成物が透明であるか、又は沈殿物を生じていない、
B:加熱撹拌時にほとんど溶解しないか、又は沈殿物を生じている。
〔4−4〕(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物の熱分解性の評価
示差熱−熱重量同時測定装置を用い、下記の条件に従って熱重量減少を測定し、その測定値に基づき、次の評価基準に基づいて熱分解性を評価した。
(熱分解性の測定条件)
装置:TG−DTA(セイコーインスツルメンツ株式会社製の「EXSTAR TG/DTA6200」)、
試料重量:10mg、
昇温条件:30→500℃(昇温速度:10℃/min)、
雰囲気:窒素雰囲気。
(熱分解性の評価基準)
A:加熱後の試料残渣質量が加熱前の質量に対して1.0質量%未満である、
B:加熱後の試料残渣質量が加熱前の質量に対して1.0質量%以上2.5質量%未満である、
C:加熱後の試料残渣質量が加熱前の質量に対して2.5質量%以上である。
〔4−5〕(メタ)アクリル系ペースト組成物の塗工性(スクリーン印刷性)
スクリーン印刷版として、SUS304製、線径20μm、平織りカレンダー加工・黒染め有り・500番メッシュに12μm厚みの樹脂を塗布したものを準備した。このスクリーン印刷版を用い、スクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製の「LS−150」)によって、スキージ幅170mm、スキージ速度30mm/s、スキージ角度70°、印圧0.15MPa、背圧0.1MPa、クリアランス1.5mmのスキージ条件で(メタ)アクリル系ペースト組成物を塗布することにより、線幅約165μmのペースト組成物からなるパターンを印刷した。印刷されたパターンをマイクロスコープ(キーエンス社製)を用いて観察し、線幅が広がっている箇所と線幅が狭くなっている箇所をそれぞれ5箇所(計10箇所)ランダムに選択して、これらの線幅を測定した。これら10箇所の線幅の中から、最大の線幅と最小の線幅を選択し、これらの差を求め、次の評価基準に基づいて塗工性を評価した。
(塗工性の評価基準)
A:最大線幅と最小線幅との差が20μm未満である、
B:最大線幅と最小線幅との差が20μm以上40μm未満である、
C:最大線幅と最小線幅との差が40μm以上であるか、又はパターンが断線している。
〔4−6〕(メタ)アクリル系ペースト組成物における無機フィラーの分散性の評価
上記〔4−5〕で形成したペースト組成物からなるパターンをマイクロスコープ(キーエンス社製)を用いて観察し、次の評価基準に基づいて無機フィラーの分散性を評価した。
(無機フィラーの分散性の評価基準)
A:パターンの表面に凝集物が認められない、
B:パターンの表面に凝集物が認められる。
<実施例2〜11、比較例1〜4>
モノマー組成、(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量、化合物(B)の使用量(ただし、比較例2及び3においては化合物(B)の代わりに他のゲル化剤を使用した。)、有機溶剤(C)の種類を表1又は表2に示されるとおりとしたこと以外は実施例1の〔1〕と同様にして(メタ)アクリル系重合体(A)の樹脂液を調製した。得られた(メタ)アクリル系重合体(A)の樹脂液を用い、実施例1の〔2〕と同様にして(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物を調製した。また、得られた(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物を用い、実施例1の〔3〕と同様にして(メタ)アクリル系ペースト組成物(銀ペースト)を調製した。得られた(メタ)アクリル系重合体(A)、(メタ)アクリル系バインダー樹脂組成物及び(メタ)アクリル系ペースト組成物について、実施例1の〔4〕と同様にして測定、評価を行った。結果を表1及び表2に示す。実施例10及び実施例11においては、化合物(B)の相溶性が不十分であり、これに起因して無機フィラーの分散性が不十分であった。また、比較例2及び比較例3においても、ゲル化剤の相溶性が不十分であり、これに起因して無機フィラーの分散性が不十分であった。
<比較例5及び6>
バインダー樹脂としてエチルセルロース樹脂(比較例5)、ブチラール樹脂(比較例6)を用意した。このバインダー樹脂を用い、実施例1の〔2〕と同様にしてバインダー樹脂組成物を調製した。また、得られたバインダー樹脂組成物を用い、実施例1の〔3〕と同様にしてペースト組成物(銀ペースト)を調製した。ただし、銀粉末、分散剤の混合量は、バインダー樹脂組成物100質量部に対して、それぞれ194質量部、1.1質量部とした。バインダー樹脂、バインダー樹脂組成物及びペースト組成物について、実施例1の〔4〕と同様にして測定、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2017082153
Figure 2017082153
表1及び表2に示される略称の詳細は次のとおりである。
iBMA: イソブチルメタクリレート、
2EHMA: 2−エチルヘキシルメタクリレート、
LMA: ラウリルメタクリレート、
2HEMA: 2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
2HPMA: 2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
DMAEMA: ジメチルアミノエチルメタクリレート、
DEAEMA: ジエチルアミノエチルメタクリレート、
化合物(B): シクロ(L−β−3,7−ジメチルオクチルアスパラギニル−L−フェニルアラニル)、
ゲルオールD: 1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトール(ジベンジリデンソルビトール)
ゲルオールMD: 1,3:2,4−ビス−O−(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール。

Claims (9)

  1. ヒドロキシ基及び第3級アミノ基を側鎖に有し、重量平均分子量が5000〜300000である(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部と、
    シクロ(L−β−3,7−ジメチルオクチルアスパラギニル−L−フェニルアラニル)である化合物(B)0.1〜20質量部と、
    有機溶剤(C)と、
    を含む、(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  2. 前記(メタ)アクリル系重合体(A)は、
    ヒドロキシ基及びN,N−ジアルキルアミノ基不含有アルキルメタクリレートのモノマー単位(a−1)を50〜94.9mol%と、
    ヒドロキシアルキルメタクリレートのモノマー単位(a−2)を5〜49.9mol%と、
    N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレートのモノマー単位(a−3)を0.1〜5mol%と、
    を含有する、請求項1に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  3. 前記ヒドロキシ基及びN,N−ジアルキルアミノ基不含有アルキルメタクリレートは、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート及びラウリルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  4. 前記N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレートは、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及びN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項2又は3に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  5. 前記有機溶剤(C)の含有量は、前記(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して40〜500質量部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  6. 前記有機溶剤(C)は、沸点が150℃以上である1種以上の有機溶剤で構成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  7. 前記有機溶剤(C)は、テルピネオール及びジヒドロテルピネオールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  8. 無機フィラー(D)をさらに含み、
    (メタ)アクリル系樹脂組成物100質量部中における前記無機フィラー(D)の含有量が70〜97質量部である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  9. 前記無機フィラー(D)は、導電性粉末を含む、請求項8に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
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